JP2016135724A - MnZnフェライトコアの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】室温を含む−20℃の低温から120℃〜150℃の高温までの広い温度域で、ノイズ減衰機能が低下せず、かつ1個で所定の周波数帯域をカバーできるチョークコイルに使用されるコアを、高い生産性の下、容易かつ低コストに製造する。
【解決手段】磁路に平行に分割された複数個の分割コアを重ね合わせて一体化した構造になる、MnZnフェライトコアの製造方法において、分割コアの素材として、磁気特性が異なる材質のMnZnフェライトからなる成形体を準備し、準備した成形体を、その間に剥離剤を挿入することなく重ね合わせ、焼成することにより一体化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、MnZnフェライトコアの製造方法に関し、特には、入出力端子の一方から流入して他方へ通過するコモンモードノイズ電流を、低温から高温までの広い温度域にわたり阻止するノイズフィルター用のチョークコイルに使用されるMnZnフェライトコアの製造方法に関するものである。
コモンモードノイズ電流を減衰させるための一般的なノイズフィルターは、閉磁路を有するフェライトなどの酸化物磁性体のコアを使用することが多い。端子ノイズの規制対象となる周波数域は10kHzから30MHzまでの広い帯域にわたっている。ノイズの減衰にあたっては、高周波数帯域成分はチョークコイルのインダクタンスとコンデンサのキャパシタンスによるフィルタ回路で減衰させ、一方低周波数帯域成分はチョークコイルのインダクタンスを大きくし、コイルを高インピーダンス化させることによって減衰を図っている。
コモンモードチョークコイルに要求される性能としては、コモンモードノイズの10kHzから30MHzまでの周波数成分に対するインピーダンスができ得るかぎり大きいことが望まれる。すなわち、このような広い周波数帯域でインダクタンスができるだけ大きいことが要求される。コモンモードチョークコイルで使用される閉磁路を有する磁性体のコアとしては、インダクタンスの高い、すなわち比初透磁率の高い磁性体であればいずれも適用可能であるが、コスト、ハンドリングおよび量産性の観点から酸化物磁性体であるフェライトコアを用いることが多い。
そして、フェライトの中では、10kHzから1MHz程度で最も高い比初透磁率を有するMnZnフェライトと、30MHzまで比較的高い比初透磁率を有するNiZnフェライトが主として用いられる。
コアの形状としては、閉磁路を有するトロイダル形状(リング形状)のものが多く用いられているが、閉磁路を形成できる他の形状としてEE型、EI型、UU型、日の字型、あるいはロの字型のコアも用いられている。
ところで、コモンモードチョークコイルにおいて、10kHzから30MHzまでの周波数帯域でのコモンモードノイズの減衰量を大きくするためには、コモンモードノイズに対する抵抗、すなわちインピーダンスを大きくする必要がある。巻線したコイルのインピーダンスが10kHzから30MHzの周波数帯域で大きいことが要求され、通常は使用するコアを大きくしてコイル全体を大きくするか、あるいはコイルを直列に2個接続する等の方策がとられている。
また、コモンモードチョークコイルでは、コアを大きくする以外にコイルの巻数を増やしたり、またコアの材料として比初透磁率の大きいものを用いたりすることによって、低周波数帯域でのインピーダンスを大きくすることも行われている。ただし、コイルの巻数を単純に増加すると線間分布容量が増加し、この容量分のキャパシタンスとインダクタンスが共鳴現象を起こし、インピーダンスが急激に低下するという問題がある。このため、巻数を増やさなくてもよいように、低周波帯域、特に10kHz〜500kHz程度の領域で高いインダクタンス、すなわち高い比初透磁率をもったコアが必要となる。
さらに、インピーダンスの周波数特性を改良する方法として、例えば特許文献1に示されているようなカルボニル鉄圧粉コアとフェライトコアを重ね合わせたものや、特許文献2に示されているようなアモルファス磁性材料のコアと圧粉コアとを組み合わせたもの等のように、周波数特性が異なる2種類のコアを並列に配置して巻線する構造のものも提案されている。
実開平4−32513号公報 実開昭62−197823号公報
しかしながら、上述した方策や特許文献1および2に示す構造のものは、いずれも基本的にチョークコイルが室温付近で稼働することを前提に考えられており、対象とするノイズ減衰も室温での評価がほとんどである。
近年、各種電子機器の小型化、低コスト化で、チョークコイルの設置場所が、高温となる半導体やトランスの近くに置かれるようになり、高温域でのノイズ減衰が不足して規格を満足しないといった問題が出てきている。
さらに、車載部品の電子化が進み、エンジン周りの高温箇所にもチョークコイルを含む電源等が設置されるようになってきており、室温だけでなく100℃を超える120℃〜150℃の高温域でノイズフィルターとして機能することも要求されるようになってきた。また、車載部品では、寒冷地などで野外に駐車した場合、気温が低下するため室温以下の−20℃といった低温域でも、ノイズフィルターとして機能しなければならないことも考慮する必要がある。
加えて、このように異なる組成系の材質コアを組み合わせる方法は、チョークコイルを組み立てる際に、それぞれ別個に製造したコアを、ボビン等に入れる、接着剤等で接着する、コアにテープを巻いて接着する等、いずれも複数のコアを後で固定する工程が必要となり、これによって、煩雑さとともに、生産性の低下やコストの上昇を招いていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、室温を含む−20℃の低温から120℃〜150℃の高温までの広い温度域で、ノイズ減衰機能が低下せず、かつ1個で所定の周波数帯域をカバーできるチョークコイルに使用されるコアを、高い生産性の下、容易かつ低コストに製造することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。その結果、高温域でのノイズ減衰が不足して規格を満足しない原因は、酸化物磁性体である各種MnZnフェライトの比初透磁率の周波数特性が温度によって大きく変化することにあることを突き止めた。そして、この問題を解決するには、磁気特性の異なる材質のコア、特には比初透磁率の周波数特性の温度変化が異なる材質のコアを組み合わせることが有効であり、これにより所望の低温域から高温域までノイズ減衰特性が低下しないチョークコイルが得られることの知見を得た。
そして次に、発明者らは、かような磁気特性の異なる材質のコアを組み合わたコアを、高い生産性の下、容易かつ低コストに製造するための方法について、鋭意検討を重ねた。
その結果、チョークコイルを組み立てる際に、それぞれ別個に製造したコアを固定するのではなく、コアの製造工程の中で、磁気特性の異なる材質のコアの素材となる成形体を、その間に剥離剤を挿入することなく重ね合わせ、焼成することにより、磁気特性の異なる材質のコアを組み合わた一体化コアを、十分な接着強度を確保して、高い生産性の下、低コストに製造できることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えた末に完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.磁路に平行に分割された複数個の分割コアを重ね合わせて一体化した構造になる、MnZnフェライトコアの製造方法であって、
該分割コアの素材として、磁気特性が異なる材質のMnZnフェライトからなる成形体を準備し、
該成形体を、その間に剥離剤を挿入することなく重ね合わせ、焼成することにより一体化することを特徴とする、MnZnフェライトコアの製造方法。
2.磁路に平行に分割された複数個の分割コアを重ね合わせて一体化した構造になる、MnZnフェライトコアを複数セット製造するものとし、
その際、セットをなす成形体間には剥離剤を挿入することなく、一方各セット間には剥離剤を挿入して、成形体を重ね合わせ、焼成することにより、セットをなす成形体を一体化する一方、各セット間では溶着を防止することを特徴とする、前記1に記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
3.一体化する成形体間の接触面における一方の面内に少なくとも一つの凹部を形成し、他方の面内に該凹部と嵌合する凸部を形成することを特徴とする前記1または2に記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
4.前記コアが、チョークコイル用であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
本発明によれば、−20℃の低温域から120℃さらには150℃の高温域にわたって、比初透磁率の周波数特性が大きく変化せず、幅広い温度域で動作可能なMnZnフェライトコアを、高い生産性の下、容易かつ低コストに製造することが可能となる。
また、特に磁気特性の異なる材質のコアの素材となる成形体を組み合わて一体化するにあたり、一体化する成形体間の接触面における一方の面内に少なくとも一つの凹部を形成し、他方の面内に該凹部と嵌合する凸部を形成することにより、より安定でかつ強固な接着が可能となる。
磁路に平行に分割された複数個の分割コアを重ね合わせて一体化した構造になる、MnZnフェライトコアの一例を示す模式図である。 一体化する成形体間の接触面に設けた凹部および凸部の一例を示す模式図である。 一体化する成形体間の接触面に設けた凹部および凸部の一例を示す模式図である。 図4(a)および(b)は、一体化する成形体間の接触面に設けた凹部および凸部の一例を示す模式図であり、図4(c)は、図4(a)および(b)で示した凹部および凸部の断面形状を示す図である。 一体化する成形体間の接触面に設けた凹部および凸部の断面形状の一例を示す図である。 一体化する成形体間の接触面に設けた凹部および凸部の断面形状の一例を示す図である。 実施例における各成形体間での剥離剤の散布状況を示す模式図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明の製造方法で製造するMnZnフェライトコアについて説明する。
コモンモードノイズのノイズ低減に用いられるチョークコイル用のコアとしては、MnZnフェライトが一般的に使用されている。このノイズ低減用のMnZnフェライトは室温23℃付近で最も比初透磁率とその周波数特性が良くなるように設計された、いわゆる高透磁率材である。MnZnフェライトの高透磁率材は室温付近での比初透磁率を高める組成を選択しているため、キュリー温度が100℃〜150℃と低く、さらにこのキュリー温度に近づくにつれて比初透磁率が10kHz程度の低周波域で急上昇し、その反対に500kHz程度の高周波域で急減するという挙動を示す。したがって高透磁率材は一般的に100℃以上の温度域では低温域でのようなノイズ低減機能は発揮できない。
このような高透磁率材に対し、同じMnZnフェライトでも電源のトランスコアに使用される、いわゆる電源材はもともと100℃付近の高温域で稼働することを前提に材質設計がなされており、一般的に100℃付近で最もコアロスが小さく、また比初透磁率とその周波数特性も良好な挙動を示す。さらに100℃付近で稼働させるため、キュリー温度は200℃以上となっている。ただし、電源材は100℃付近でのコアロスの低減に重きをおいているため、100℃未満の低温域では高透磁率材ほど比初透磁率は高くないという問題がある。
そこで、これら高透磁率材と電源材のコアの比初透磁率の挙動を幅広く詳細に調査した結果、閉磁路を有する状態で両者のコアを適当な割合で組み合わせれば、両者の特性を合わせ持つ、広い温度範囲で比初透磁率の周波数特性が劣化しないコアとできることを新たに見いだした。
すなわち、本発明の製造方法で製造するMnZnフェライトコアは、図1に示すように、コアの磁路に平行に複数個に分割し、これらの分割コアを重ね合わせて一体化した構造になる。そして、本発明の製造方法では、かかる分割コアの素材として、磁気特性が異なる材質のMnZnフェライト、好ましくは比初透磁率の極大値温度とキュリー温度が異なる異種材質のMnZnフェライトを用いるのである。
ここで、磁気特性の異なるMnZnフェライトの組み合わせとしては、いわゆる電源材と高透磁率材との組み合わせが特に好適である。というのは、電源材は高温域での比初透磁率に優れ、一方高透磁率材は低温域での比初透磁率に優れることから、これらを組み合わせることによって幅広い温度域にわたって優れた周波数特性を有するコア(例えば、比初透磁率が、周波数:10kHz〜500kHz、かつ温度:−20℃〜120℃の範囲で、3000以上であるコアや、周波数:10kHz〜500kHz、かつ温度:−20℃〜150℃の範囲で、3000以上であるコア)とすることが可能になるからである。
図1に磁路に平行に分割された複数個の分割コアを重ね合わせて一体化した構造になる、MnZnフェライトコアの一例を示す。図中、符号1が電源材分割コア(以下、単に電源材コアともいう)、2が高透磁率材分割コア(以下、単に高透磁率材コアともいう)であり、図1(a)では、電源材コア1と高透磁率材コア2とを積層して一体化した2層構造の場合を示している。
また、電源材コア1と高透磁率材コア2の積層構造については、図1(a)に示した2層構造に限るものではなく、図1(b)に示すように、例えば高透磁率材コア2をその両側から電源材コア1で挟んだ3層構造としても良い。さらに、磁気特性の異なる材質のMnZnフェライトを用いさえすれば、積層数は4層、5層、あるいはそれ以上であっても良い。
ここに、電源材として好適なMnZnフェライト組成は、Fe2O3=52〜54mol%、ZnO=5〜15mol%、残部MnOである。また、高透磁率材として好適なMnZnフェライト組成は、Fe2O3=52〜54mol%、ZnO=15〜25mol%、残部MnOである。さらにいずれも比初透磁率の温度依存性を小さく制御するために、CoOを、CoO=0.05〜1mol%の範囲で添加してもよい。
次に、本発明の製造方法について詳しく説明する。
本発明の製造方法は、上述した磁路に平行に分割された複数個の分割コアを重ね合わせて一体化した構造になる、MnZnフェライトコアを製造するものである。
ここで、異なる材質のコアを組み合わせてチョークコイル等として使用する場合、通常は別々に焼結体コアを製造し、その後、チョークコイル等に組み上げる際にボビンに入れて固定したり、接着剤やテープで固定したあと、コイルを巻くことになる。このため、上記した方法により、それぞれ別個に製造したコアを固定する場合には、煩雑さとともに、生産性の低下やコストの上昇を招いていた。
一般に、MnZnフェライトコアの成形体を焼成するときは、生産量を上げるため、同一コアの成形体をセラミックスの台板上に何段にも積層し、各コアが焼結したあとに溶着しないよう、上下のコア間にZrO粉等の剥離剤を散布・挿入している。
この点、本発明の製造方法は、磁気特性が異なる材質のMnZnフェライト粉末を金型等により加圧成形することで成形体(圧粉体)を準備し、これらの成形体を、その間に剥離剤を挿入することなく重ね合わせて焼成することにより一体化することで、チョークコイルを組み立てる際の接着剤やテープなどによるコアの固定工程を省略したのである。
特に、MnZnフェライトコアを複数セット製造する場合には、セットをなす成形体間には剥離剤を挿入することなく、一方各セット間には剥離剤を挿入して、成形体を重ね合わせ、焼成することが好ましい。これにより、セットをなす成形体を一体化する一方、各セット間の成形体で焼結したあとに溶着しないようにすることが可能となるので、大量生産を行う場合には、生産性・製造コストの面で非常に有利になる。
なお、上記した焼成前のMnZnフェライト粉末の平均粒径は、比初透磁率の向上の観点から、電源材では1.2〜1.4μm程度、高透磁率材では1.1〜1.3μm程度とすることが好ましい。
そして、このようにして焼成し、一体化したコアは、接着面のごく表層だけが溶着一体化しているだけなので、組み合わせる前のコア特性はそれぞれ確保され、結果的に、接着剤やテープで固定したときと同様の特性となる。
また、図2(a)、(b)〜図4(a)、(b)に示すように、一体化する成形体間の接触面における一方の面内に少なくとも一つの凹部を、他方の面内に該凹部と嵌合する凸部を磁路に平行な面内で形成すると、成形体焼成の際の一体化を強化し、さらにはコア同士の位置ずれも防止できるため好ましい。
ここで、凹部および凸部の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、図2(a)、(b)および図3(a)、(b)のような半球状のものや、図4(a)、(b)のような同心円状溝・壁のものが挙げられる。
また、同心円状溝・壁の断面形状は特に限定されず、例えば、図4(c)に示す四角形や図5に示すような三角形、図6に示すような半円形などが挙げられる。
さらに、凹部の最大深さは、成形体焼成の際の一体化を強化する観点から、一体化後の成形体厚みの1/20〜1/10程度とすることが好ましい。
なお、この一体化する成形体間の接触面に形成される凹部および凸部は、例えば、これらの凹部および凸部に応じた形状をあらかじめ金型に加工をしておくことで容易に形成できる。
また、成形体の焼成条件などについては特に限定されるものではなく、例えば、雰囲気を酸素濃度0.1〜4vol%に制御し、最高温度:1310〜1380℃の範囲で1〜6時間保持して焼成すればよい。
以下、本発明の製造方法を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
組み合わせに用いる分割コアの素材の1つを電源材とし、この電源材として、その組成がFe2O3=52.7mol%、ZnO=12.1mol%、CoO=0.5mol%、残部MnOで、比初透磁率の極大値温度Tが80℃、キュリー温度Tが230℃である材質(電源材A)を使用した。なお、この電源材における焼成前の粉末の平均粒径は1.3μmであった。この電源材Aを用いて、外径:31mm、内径:19mm、高さ:15mmのリング形状コアとした場合の比初透磁率μri(周波数:10kHzおよび500kHz、温度:−20℃〜150℃)を表1に示す。
Figure 2016135724
また、組み合わせに用いる別の分割コアの素材を高透磁率材とし、この高透磁率材として、その組成がFe2O3=52.2mol%、ZnO=21.0mol%、残部MnOで、比初透磁率の極大値温度Tが23℃、キュリー温度Tが130℃である材質(高透磁率材a)を使用した。なお、この高透磁率材における焼成前の粉末の平均粒径は1.2μmであった。この高透磁率材aを用いて、外径:31mm、内径:19mm、高さ:15mmのリング形状コアとした場合の比初透磁率μri(周波数:10kHzおよび500kHz、温度:−20℃〜150℃)を表2に示す。
Figure 2016135724
次に、電源材Aを用いて、焼成後に外径:31mm、内径:19mm、高さ:8.7mmのリング形状コアとなる成形体をそれぞれ768個成形した。また、高透磁率材aを用いて、焼成後に外径:31mm、内径:19mm、高さ:6.3mmのリング形状コアとなるような成形体をそれぞれ768個成形した。
そして、セラミックス台板上に、台板面内で縦横8列の配置で電源材Aと高透磁率材aを交互に高さ12段まで積層した焼成用台板を2台準備した。2台の台板の内、一方の台板に載置した成形体では、図7(a)に示すように成形体間全てにZrO粉の剥離剤を散布・挿入した。また、他方の台板に載置した成形体では、図7(b)に示すように、一体化する各セットの電源材Aと高透磁率材aの間には剥離剤を散布・挿入しない一方、各セット間には剥離剤を散布・挿入した。
その後、これらの成形体を積載した台板を連続式焼成炉であるローラーハース炉に装入して、必要な酸素雰囲気制御を実施しながら最高温度1350℃で2時間保持の焼成を行い、フェライト焼成体試料を得た。
焼成体コアの分離状態を調査すると、成形体間全てに剥離剤を散布・挿入した台板上のコアはすべて分離しており、一体化したコアは零であった。これに対し、一体化する各セットの電源材Aと高透磁率材aの間には剥離剤を散布・挿入しない一方、各セット間には剥離剤を散布・挿入した台板上のコアは、各セットで電源材Aと高透磁率材aが接着して一体化し、かような一体化コアが384個得られた。また、これらの一体化コアは、各セット間でいずれも分離していた。この一体化したコアのうち、台板面内縦横8列の配置の中から最も比初透磁率の高い中央分の4個、最も比初透磁率の低い4角の4個、計8個をそれぞれの段から採取して、それら全体のコアの比初透磁率μriの平均値を、温度が−20℃〜150℃の範囲で、周波数が10kHz、500kHzの場合について調べた。結果を表3に示す。
Figure 2016135724
また、この一体化したコアの接着強度を試験するため、150cm、70cm、30cmの高さからそれぞれ128個ずつ、コンクリート床上に自然落下させ、分離するコアの個数を計測した。結果を表4に示す。
Figure 2016135724
表3より、磁気特性が異なる材質、すなわち初透磁率の極大値温度Tとキュリー温度Tが異なる材質のMnZnフェライトを素材としたコアを組み合わせることにより、それぞれ単独では実現できなかった、周波数:10kHz〜500kHzの範囲で、広い温度範囲にわたり高い比初透磁率を実現できていることがわかる。
また、表4に示すように、通常の作業でコアが落下した時の状況を再現した、30cm、70cmの高さからの落下では分離するコアは零であり、1個のコアとして十分扱える状態になっていることがわかる。なお、さらに高い150cmからの落下では、分離するコアも出るが、衝撃で割れるコアも同程度あり、このことからも通常の1個のコアと同等であると言える。
以上のことから、周波数:10kHz〜500kHzの範囲で、広い温度範囲にわたり高い比初透磁率を実現するコアを製造することができ、しかも通常の1個のコアと同等に取り扱うことができるMnZnフェライトコアを、コアの組合せをコイル作製段階で行うこなく、容易かつ低コストに製造できることがわかる。
(実施例2)
実施例1で使用した電源材Aのリング状成形体に、図2(a)に示すような直径1mmの半球状突起を凸部として形成した。また、高透磁率材aの成形体には、図2(b)に示すような直径1mmの半球状窪みを凹部として形成し、両者を重ねた時に凹部と凸部が嵌合してコアが動かないような構造とした。なお、これらの凹部および凸部は、成形体の加圧成形の際に使用する金型をあらかじめ加工しておくことで形成できる。また、このような凹部および凸部は一箇所だけでなく、図3(a)および(b)に示すように、例えば3箇所に形成すれば、コアがより動きにくく、より安定に積層することができる。
次に、上記の成形体を用いて、実施例1と同じ条件で電源材Aと高透磁率材aをセラミックス台板上に交互に両者合計768個を積層し、一体化する各セットの電源材Aと高透磁率材aの間には剥離剤を散布・挿入しない一方、各セット間には剥離剤を散布・挿入した。
その後、これらの成形体を積載した台板を連続式焼成炉であるローラーハース炉に装入して、必要な酸素雰囲気制御を実施しながら最高温度1350℃で2時間保持の焼成を行い、フェライト焼成体試料を得た。
焼成後のコアは、各セットで電源材Aと高透磁率材aが接着して一体化し、かような一体化コアが384個得られた。また、これらの一体化コアは、各セット間でいずれも分離していた。なお、得られたコアの比初透磁率μriは、実施例1で得られたコアとほぼ同じであった。
また、実施例1の場合と同様に、この一体化したコアの接着強度を試験するため、150cm、70cm、30cmの高さからそれぞれ128個ずつ、一体化したコアをコンクリート床上に自然落下させ、分離するコアの個数を計測した。結果を表5に示す。
Figure 2016135724
表5に示すように、通常の作業でコアが落下した時の状況を再現した、30cm、70cmの高さからの落下では分離するコアは零であり、1個のコアとして十分扱える状態になっていることがわかる。なお、さらに高い150cmからの落下では、分離するコアも出るが、その数は、実施例1のような一体化する成形体の接触面に凹部および凸部を設けない場合よりも減少していた。
(実施例3)
実施例1で使用した電源材Aのリング状成形体に、図4(b)に示すような幅1mm、深さ1mmの同心円状溝を凹部として形成した。また、高透磁率材aの成形体には、図4(a)に示すような幅1mm、高さ1mmの同心円状壁を凸部として形成し、両者を重ねた時に凹部と凸部が嵌合してコアが動かないような構造とした。なお、これらの凹部および凸部は、成形体の加圧成形の際に使用する金型をあらかじめ加工しておくことで簡単に形成できる。また、このような同心円状溝・壁は、断面が四角形のものだけでなく、図5(a)および(b)に示すような断面が三角形のものや、図6(a)および(b)に示すような断面が半円状のものとすることもできる。こうした凹部および凸部を同心円状溝・壁の構造とすることで、コアが動きにくくより安定に積層できる。
次に、上記の成形体を用いて、実施例1と同じ条件で電源材Aと高透磁率材aをセラミックス台板上に交互に両者合計768個を積層し、一体化する各セットの電源材Aと高透磁率材aの間には剥離剤を散布・挿入しない一方、各セット間には剥離剤を散布・挿入した。
その後、これらの成形体を積載した台板を連続式焼成炉であるローラーハース炉に装入して、必要な酸素雰囲気制御を実施しながら最高温度1350℃で2時間保持の焼成を行い、フェライト焼成体試料を得た。
焼成後のコアは、各セットで電源材Aと高透磁率材aが接着して一体化し、かような一体化コアが384個得られた。また、これらの一体化コアは、各セット間でいずれも分離していた。なお、得られたコアの比初透磁率μriは、実施例1で得られたコアとほぼ同じであった。
また、実施例1の場合と同様に、この一体化したコアの接着強度を試験するため、150cm、70cm、30cmの高さからそれぞれ128個ずつ、一体化したコアをコンクリート床上に自然落下させ、分離するコアの個数を計測した。結果を表6に示す。
Figure 2016135724
表6に示すように、通常の作業でコアが落下した時の状況を再現した、30cm、70cmの高さからの落下では分離するコアは零であり、1個のコアとして十分扱える状態になっていることがわかる。また、さらに高い150cmからの落下でも、分離するコアは零であった。
1 電源材コア
2 高透磁率材コア

Claims (4)

  1. 磁路に平行に分割された複数個の分割コアを重ね合わせて一体化した構造になる、MnZnフェライトコアの製造方法であって、
    該分割コアの素材として、磁気特性が異なる材質のMnZnフェライトからなる成形体を準備し、
    該成形体を、その間に剥離剤を挿入することなく重ね合わせ、焼成することにより一体化することを特徴とする、MnZnフェライトコアの製造方法。
  2. 磁路に平行に分割された複数個の分割コアを重ね合わせて一体化した構造になる、MnZnフェライトコアを複数セット製造するものとし、
    その際、セットをなす成形体間には剥離剤を挿入することなく、一方各セット間には剥離剤を挿入して、成形体を重ね合わせ、焼成することにより、セットをなす成形体を一体化する一方、各セット間では溶着を防止することを特徴とする、請求項1に記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
  3. 一体化する成形体間の接触面における一方の面内に少なくとも一つの凹部を形成し、他方の面内に該凹部と嵌合する凸部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
  4. 前記コアが、チョークコイル用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のMnZnフェライトコアの製造方法。
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