JP2016128171A - 表面疵の発生し難いチタン熱間圧延用スラブおよびその製造方法 - Google Patents

表面疵の発生し難いチタン熱間圧延用スラブおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子ビーム溶解法やプラズマアーク溶解法を用いて鋳造したチタンスラブにおいて、分塊圧延や鍛造などのブレークダウン工程を省略しても、熱間圧延後の帯状コイルの表面性状が良好である、チタンスラブを提供する。
【解決手段】電子ビーム溶解法やプラズマアーク溶解法により製造した工業用純チタン鋳造ままスラブであって、少なくとも圧延面にあたるスラブ表層を、β安定化元素であるFe,Cr,Niを含有する素材とともに溶融することで、深さ1mm以上の微細針状組織から成る溶融再凝固組織とし、この部分の表層1mmまでのFe濃度もしくは、Feの一部または全部をCr,Niの一種または二種で代替した各元素の総含有量が0.10mass%以上1.50mass%以下である。β安定化元素を含有する素材として、粉末、チップ、ワイヤー、箔を用いる。また、表層を溶融する手段として、電子ビーム加熱およびプラズマアーク加熱を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、工業用純チタンの熱間圧延用スラブおよび同熱間圧延用スラブの製造方法であって、特に、分塊圧延や鍛造などのブレークダウン工程を省略したチタンスラブの熱間圧延を行い、帯状コイルとした際のコイル表面性状を良好に保つことができる熱間圧延用スラブおよびその製造方法に関する。
工業用純チタンおよびチタン合金は、一般的に、スポンジチタンやチタンスクラップを原料とし、非消耗電極式アーク溶解法、電子ビーム溶解法、プラズマアーク溶解法等により溶解され、チタンインゴットとなる。非消耗式アーク溶解法では、スポンジチタンを加圧成形したブリケットを電極として、電極と鋳型でアーク放電させ、電極自体を溶解し、鋳型内に鋳造することでインゴットを得ている。そのため、鋳型と電極との放電を均一に行う必要があるため、鋳型形状は円筒型に限られる。一方で、電子ビーム溶解法やプラズマアーク溶解法では、それぞれ電子ビームとプラズマアークを用いており、溶解法は異なるが、溶解時にハース上で溶解したチタン溶湯を鋳型に流し込むため、鋳型形状の選択が自由であり、矩形インゴットを製造することが可能である。
現状のチタンスラブ製造工程では、この後、インゴットのブレークダウン工程と呼ばれる、分塊圧延や鍛造等の熱間加工工程を経た後、熱間圧延を実施しており、ブレークダウン工程が必須工程となっている。しかしながら、矩形インゴットでは、その形状から、ブレークダウン工程を省略することができると考えられており、ブレークダウン工程を省略して熱間圧延を行う技術が検討されている。この技術が確立されれば、工程省略および歩留向上によるコスト改善が期待できる。
しかしながら、電子ビーム溶解法やプラズマアーク溶解法を用いて製造した、チタンインゴットは、鋳造ままのため、数十mmにも及ぶ粗大粒が存在している。このようなチタンインゴットについて、ブレークダウン工程を省略して、熱間圧延を行うと、粗大粒に起因して粒内および各結晶粒間の変形異方性の影響により、表面に凹凸を生じ、これが表面疵になる。熱間圧延で発生した表面疵を除去するためには、次工程である酸洗工程で熱延板表面の溶削量を増やす必要があり、その分の歩留が悪化し、コストの増加が懸念される。
従って、電子ビーム溶解法やプラズマアーク溶解法で製造したチタンインゴットは、分塊圧延や鍛造等のブレークダウン工程の省略によるコスト改善が期待される一方で、表面疵の増加によるコストの増加が懸念され、ブレークダウン工程を省略した熱間圧延用スラブの実用化を阻害してきた。
特許文献1では、電子ビーム溶解炉で溶解し、鋳型内から直接引き抜いたチタンスラブの断面組織において、表層から内部に向かう凝固方向とスラブの鋳造方向とのなす角θが45°〜90°、もしくは、表層の結晶方位分布において、hcpのc軸とスラブ表層との法線とのなす角が35°〜90°である場合に、鋳肌が良好で、且つインゴットのブレークダウン工程を省略しても、熱間圧延後の表面疵が改善できる方法が開示されている。即ち、表面の結晶粒の形状や結晶方位を制御することによってこのような粗大結晶粒に起因する疵の発生を抑制することができる。しかしながら、特許文献1では、操業条件のばらつきによって、表層近傍の結晶粒の凝固方向や結晶方位分布が稀に変化し、表面疵が発生する場合がある。
特許文献2では、チタン材のインゴットのブレークダウン工程を省略し、直接熱間圧延を行う方法として、圧延面にあたる面の表層を高周波誘導加熱、アーク加熱、プラズマ加熱、電子ビーム加熱およびレーザー加熱などで溶融再凝固させることで、表層から深さ1mm以上の細粒化を行っている。このスラブ表層の急冷凝固により微細且つ不規則な結晶方位分布とすることで、表面疵の発生を防止している。しかしながら、特許文献2では、溶融再凝固処理時に、十分にスラブ温度が低くなければ、細粒化せず、溶融再凝固処理時をスラブ圧延面に連続的に実施すると、スラブ温度が上昇し、細粒化が達成されない場合がある。また、熱延加熱温度や加熱時間のばらつきにより、結晶粒が粗大化する場合がある。このように、十分に細粒化が達成されないと、表面疵が発生する場合がある。
国際公開2010/090353号 特開2007−332420号公報
前述のように、電子ビーム溶解法やプラズマアーク溶解法等のハースを利用した溶解法で製造した矩形チタンインゴットにおいて、従来必須工程であった分塊圧延や鍛造等のブレークダウン工程を省略して、熱間圧延を行う場合、インゴット表面の粗大粒に起因して粒内および各結晶粒間の変形異方性の影響により、表面に凹凸を生じ、表面疵が発生する。従って、この表面疵を次工程の酸洗工程で除去する必要があり、その分の歩留まりの低下の懸念がある。
そこで、本発明は、電子ビーム溶解法やプラズマアーク溶解法により製造した鋳造ままチタンスラブにおいて、従来必要であったブレークダウン工程を省略して、熱間圧延を実施しても、熱間圧延後の表面性状が良好な熱間圧延用チタンスラブおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を達成すべく、鋭意検討した結果、工業用純チタンの溶解方法として、電子ビーム溶解法やプラズマアーク溶解法を用いて製造した鋳造ままチタンスラブにおいて、従来必要であったブレークダウン工程を省略して、熱間圧延を行う際、熱間圧延の前工程として、鋳造ままチタンスラブの圧延面表層にFe、Ni、Crのβ安定化元素を含有する素材(粉末、ワイヤー、箔)を据えるもしくは散布し、素材ごとスラブ表層を溶融することで、スラブ表層にβ安定化元素リッチ層を形成させることで、熱間圧延後の表面性状を良好に保つことができることを見出した。
即ち、
(1)工業用純チタンの鋳造ままスラブであって、少なくとも圧延面に当たる面の表層から深さ1mm以上が溶融再凝固されており、その溶融再凝固層の中の表層から1mm深さまで、β安定化元素であるFeの濃度が0.10mass%以上で、且つ、1.50mass%以下であることを特徴とする熱間圧延用チタンスラブ。
(2)前記Feの一部または全部をβ安定化元素であるNi,Crの一種または二種で代替したことを特徴とする、(1)に記載の熱間圧延用チタンスラブ。
(3)工業用純チタンの鋳造ままスラブの少なくとも圧延面にあたる面の表層を、β安定化元素であるFe,Cr,Niを含有する素材とともに溶融再凝固させたことを特徴とする、(1)または(2)に記載の熱間圧延用チタンスラブの製造方法。
(4)β安定化元素であるFe,Cr,Niを含有する素材が、粉末、チップ、ワイヤー、箔の形状を有することを特徴とする、(3)に記載の熱間圧延用チタンスラブの製造方法。
(5)β安定化元素であるFe,Cr,Niを含有する素材およびスラブ圧延面にあたる表層を溶融する手段として、電子ビーム加熱、プラズマ加熱を用いることを特徴とする(3)または(4)に記載の熱間圧延用チタンスラブの製造方法。
本発明は、鋳造ままチタンスラブからチタンコイルを製造する際、従来必要不可欠であった分塊圧延や鍛造等のブレークダウン工程を省略して、熱間圧延を実施しても、従来材と同等の表面性状を有する帯状コイルの製造が可能な熱間圧延用チタンスラブおよびその製造方法に関するものであり、ブレークダウン工程省略による加熱時間の低減、表層溶融によるスラブ表層の平滑化に伴う切削手入れの低減、帯状コイルの表面性状の向上による酸洗時の溶削量の低減等、これらにより歩留まりの向上が図られることから、製造コストの削減に効果があり、産業上の効果は計り知れない。
以下、本発明について詳しく説明する。
通常、工業用純チタンはβ変態点以下の温度域のα単相域で熱間圧延を実施している。高純度の純チタンであれば、β変態点以下は全てα単相域となるが、工業用純チタンは、僅かに合金元素として、Fe等のβ安定化元素を添加しており、僅かながらα+β二相域が存在する。工業用純チタンの中に、他のβ安定化元素と比較して多く含まれるFeは、JIS1種に0.020mass%含有し、JIS4種に0.500mass%含有している。
本発明では、鋳造ままスラブの表層部のみを加熱し、深さ1mm以上を溶融することで、溶融後に急冷再凝固され、室温まで冷却した際の溶融再凝固層の断面組織は、微細な針状組織となる。そして、表層溶融時にFeとともに同時に溶融することで溶融再凝固層にFeが含有され、Feによる焼入れ性向上により、溶融再凝固層をより微細な組織とすることができる。また、Feとともに溶融することで、溶融再凝固層内にFeが濃化し、熱延加熱時にはこの部分がα+β二相域の状態となり、この部分ではα粒の粒成長が抑制されるため、熱延時の結晶粒が細粒のまま保たれることに起因して、表面疵が発生しない、表面性状の優れた帯状コイルが製造できるということが分かった。
スラブ表層の深さ1mm以上を上記のように溶融再凝固することで、表層から深さ1mm以上が溶融再凝固した微細針状組織となるが、溶融再凝固層よりスラブ中央側は、鋳造まま組織となる。少なくともスラブの圧延面に当たる表層を、Feを含有する素材とともに溶融再凝固することで、溶融再凝固層内の表層から1mm深さまでのFe濃度を0.10mass%以上で、且つ、1.50mass%以下とすれば良い。この部位のFe濃度が、0.10mass%未満では、Fe添加による焼入れ性向上効果および結晶粒成長抑制効果が十分に得られず、熱延後の帯状コイルには、表面疵が発生してしまう。また、この部位のFe濃度が前記範囲内であれば、熱延以降の工程である、ショット酸洗工程による表層の溶削や、焼鈍工程によるFeの拡散により、溶融再凝固層に濃化したFeは無害化される。しかしながら、Fe濃度が1.50mass%より高くなると、熱延時にスラブ表層のβ相の割合が多くなり、スラブ表層部の酸化が激しくなるため、歩留りが著しく低下する。加えて、後工程でのFe濃化層の無害化も困難になるため、表層から1mm深さまでのFe濃度を1.50mass%以下とした。なお、表層から深さ1mm以上の溶融再凝固層を形成した場合、表層から1mm深さまでの成分組成はほぼ均一となっている。加えて、溶融深さを1mm以上としたが、溶融深さが深くなりすぎると、ショット酸洗工程や焼鈍工程後にもFeの濃化層が残存する懸念があるので、溶融深さは5mm程度までが望ましい。
鋳造ままスラブの表層とともに溶融する素材は、Feのみでなくても良く、β安定化元素を含む素材であれば、同様の効果が得られることがわかった。従って、Feの一部または全部をβ安定化元素で代替でき、β安定化元素としてMo等を用いても良いが、Moは高価なため、β安定化元素で且つ比較的安価なFe、Ni、Crを用いる方が好ましい。前記のように、β安定化元素には、Ni、Crも含まれるため、ステンレス粉末等のステンレス素材を用いても効果的である。この時、表層から1mm深さまでのFe濃度の代わりに、各元素の総含有量([mass%Fe]+[mass%Cr]+[mass%Ni])が0.10mass%以上で、且つ、1.50mass%以下であれば良い。なお、工業的に実用的なFe、Ni、Crの3元素に絞っているが、他のβ安定化元素を用いても有効である。Feの一部をNi、Crの一種または二種で代替した場合でも、各元素の総含有量を0.10mass%以上で、且つ、1.50mass%以下とすることで、良好な表面性状の帯状コイルを得ることができた。
前記のβ安定化元素であるFe,Cr,Niをスラブ表層に添加するために用いる素材は、粉末、チップ、ワイヤー、箔のいずれの形状でもよい。粉末は、粒径1μm〜0.5mm、チップは、大きさ2mm角〜5mm角、ワイヤーは、φ0.5mm〜φ5mm、箔は、膜厚1μm〜0.1mmの範囲の素材を用いると効果的である。これらの素材は、スラブ表面に据えるもしくは散布する際に、スラブ表面に均一に配置することで、スラブ表層へも均一に添加することが可能となり、より良好な表面性状の帯状コイルが得られる。
また、β安定化元素であるFe,Cr,Niと共に表層を溶融する方法は、電子ビーム加熱、アーク加熱、レーザー加熱、および誘導加熱等の方法があるが、チタンは活性な金属であり、大気中で表層を溶融すると溶融部が著しく酸化するため、真空雰囲気もしくは不活性ガス雰囲気で処理が可能な電子ビーム加熱、アーク加熱(特に、プラズマアーク加熱やTIG(Tungsten Inert Gas)溶接等のイナートガスを用いる加熱方法)、レーザー加熱等が適しており、いずれの方法でも前記の処理は可能である。その中でも、一度に高エネルギーを付与できる電子ビーム加熱もしくはプラズマアーク加熱が工業的には適しており、これらの方法を用いると良い。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
Figure 2016128171
表1に示す実施例および比較例において、チタンスラブは、電子ビーム溶解により、矩形鋳型を用いて製造されたものである。厚さ200mm×幅1000mm×長さ4500mmのインゴットから熱間圧延により厚さ4mmの熱延板を製造した。スラブの品種は、工業用純チタンJIS1種を用いた。また、β安定化元素を含有する素材としては、Feについては、粉末(粒径100μm)、チップ(2mm角、1mm厚)、ワイヤー(φ1mm)、箔(20μm)のいずれかを使用し、Cr,Niについては、オーステナイト系ステンレス鋼のSUS304およびフェライト系ステンレス鋼のSUS430のステンレス粉末(粒径100μm)を使用した。なお、いずれの場合においても、鋳造ままスラブの鋳肌まま面にβ安定化元素であるFe,Cr,Niを含有する素材を据えるもしくは散布し、その上からスラブ表層の加熱を実施し、電子ビームおよびプラズマアークにより加熱部を走査させることで、スラブ圧延面全面を処理しており、Fe,Cr,Niが含まれる素材およびスラブ圧延面の未溶融部が残存しない様にした。加えて、鋳造ままスラブは、比較的、鋳肌が良好なものを使用しており、表層の溶融時に鋳肌に起因した溶け残りが発生しないようにしている。また、Fe,Cr,Niが均一にスラブ内部に添加させるように、Fe,Ni,Crを含有する素材を、スラブ圧延面に均一に分散させた。溶融再凝固層の深さの測定方法は、溶融再凝固後のスラブを一部切り出し、研磨およびエッチングしたものを、光学顕微鏡で観察し、微細針状組織となっている層の厚さを測定した。また、この際、スラブの圧延面の任意の10箇所の表層1mm以内から分析サンプルを採取し、ICP発光分光分析を行い、10箇所の平均値をとることで、Fe,Cr,Niの濃度を調査した。また、表面疵の発生状況は、熱間圧延後、熱延板を酸洗した後に、コイル表面を目視観察し、評価した。なお、表層の溶融処理を実施していない比較例では表層1mm以内から分析サンプルを採取し、溶融再凝固層厚さが1mm未満の比較例においては溶融再凝固層内から分析サンプルを採取した。
まず、Feを含む素材とともに表層を溶融したスラブについての結果について記載する。
No.1、No.2の参考例および比較例では、表層の溶融処理を実施せず、熱間圧延を実施している。溶融処理を実施していないので、表層1mmまでのFe濃度は母材Fe濃度に等しい。No.1の参考例は、通常のチタンインゴットと同様に、分塊圧延を実施した場合である。厚さ200mmから100mmまで分塊圧延を行い、その後再加熱して4mmまで熱間圧延を実施した。分塊圧延を実施したので、熱間圧延後の表面性状に異常はなかった。No.2の比較例は、分塊圧延を実施しなかった場合である。分塊圧延も実施していないため、酸洗後の熱延板には粗大な表面疵が発生していた。
No.3、No.4の比較例は、Feを含む素材として粉末を用い、電子ビーム加熱により、圧延面の表層を溶融した場合である。No.3の比較例は、表層1mmまでのFe濃度が0.09mass%、溶融再凝固層の深さが2mmの場合である。Feの濃度が0.10mass%よりも低かったため、酸洗後の熱延板表面には、部分的に粗大な疵が発生していた。No.4の比較例は、溶融再凝固層内のFe濃度が0.24mass%、溶融再凝固層の深さが0.5mmの場合である。溶融再凝固層の深さが1mmよりも浅かったため、酸洗後の熱延板表面には、部分的に粗大な疵が発生していた。No.3、No.4の比較例は、No.2に示す比較例と比べると、熱延板の表面性状は改善していたが、やや大きな表面疵も発生しており、品質は不十分であった。
No.5からNo.13の実施例では、スラブ表層の溶融手法として、電子ビーム加熱を使用しており、β安定化元素を含む素材の形状を変化させて、熱間圧延試験を行っている。
また、No.5からNo.7の実施例では、Feを含む素材として粉末を用いている。
No.5の実施例は、表層1mmまでのFe濃度が0.10mass%、溶融再凝固層の深さが3mmの場合である。酸洗後の熱延板では、部分的にやや粗大な表面疵が発生していたが、許容可能な水準であり、No.3、No.4の比較例と比べると、非常に良好な表面性状であった。
No.6の実施例は、表層1mmまでのFe濃度が0.89mass%、溶融再凝固層の深さが1mmの場合である。No.7の実施例は、表層1mmまでのFe濃度が1.50mass%、溶融再凝固層の深さが5mmの場合である。No.6、No.7の実施例では、酸洗後の表面疵が軽微であり、非常に良好な表面性状が得られた。
No.8からNo.13の実施例では、スラブ表層の溶融再凝固層の深さを3mmとなるように、表層の加熱を実施した。No.8、No.9の実施例では、Feを含む素材としてチップを、No.10、No.11の実施例では、ワイヤーを、No.12、No.13の実施例では、箔を用いている。No.8からNo.13の実施例では、表層1mmまでのFe濃度が0.10%以上となっており、熱延板の表面疵は許容可能な水準のものおよび軽微なものとなっていた。
以上の結果より、β安定化元素を含む素材の形状として、粉末、チップ、ワイヤー、および箔のいずれを用いても、熱延板の表面性状は良好な結果が得られた。
No.14、No.15の実施例では、β安定化元素を含む素材として粉末を用いており、スラブ表層の溶融方法を変化させて、熱間圧延試験を行っている。No.14、No.15の実施例では、スラブ表層の溶融方法として、プラズマアーク加熱を用いており、溶融再凝固層の深さは4mmであった。No.14、No.15の実施例では、酸洗後の熱延板の表面疵は軽微で、非常に良好であった。 以上の結果より、スラブ表層の溶融方法として、電子ビーム加熱およびプラズマアーク加熱のどちらを用いても、熱延板の表面性状は良好な結果が得られた。
次に、Feの他に、CrやNiを含むステンレス鋼を用いた場合の結果について記載する。
No.16からNo.19の比較例および実施例は、ステンレス鋼としてSUS304の粉末を用いており、電子ビーム加熱により表層を溶融することで、溶融再凝固層の深さを2mmとした場合である。No.16の比較例は、表層1mmまでのFe,Cr,Niの総含有量が0.10mass%未満となっており、熱延板の表面疵は粗大なものが発生していた。No.17からNo.19の実施例では、表層1mmまでのFe,Cr,Niの総含有量が0.10mass%以上となっており、熱延板の表面疵は許容可能な水準のものおよび軽微なものとなっていた。
No.20からNo.23の比較例および実施例は、ステンレス鋼としてSUS430の粉末を用いており、電子ビーム加熱により表層を溶融することで、溶融再凝固層の深さを2mmとした場合である。No.20の比較例では、表層1mmまでのFe,Cr,Niの総含有量が0.10mass%未満となっており、熱延板の表面疵は粗大なものが発生していた。No.21からNo.23の実施例では、表層1mmまでのFe,Cr,Niの総含有量が0.10mass%以上となっており、熱延板の表面疵は許容可能な水準のものおよび軽微なものとなっていた。

Claims (5)

  1. 工業用純チタンの鋳造ままスラブであって、少なくとも圧延面に当たる面の表層から深さ1mm以上が溶融再凝固しており、その溶融再凝固層の中の表層から1mm深さまで、β安定化元素であるFeの濃度が0.10mass%以上で、且つ、1.50mass%以下であることを特徴とする熱間圧延用チタンスラブ。
  2. 前記Feの一部または全部をβ安定化元素であるNi,Crの一種または二種で代替したことを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延用チタンスラブ。
  3. 工業用純チタンの鋳造ままスラブの少なくとも圧延面にあたる面の表層を、β安定化元素であるFe,Cr,Niを含有する素材とともに溶融再凝固させたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の熱間圧延用チタンスラブの製造方法。
  4. β安定化元素であるFe,Cr,Niを含有する素材が、粉末、チップ、ワイヤー、箔の形状を有することを特徴とする、請求項3に記載の熱間圧延用チタンスラブの製造方法。
  5. β安定化元素であるFe,Cr,Niを含有する素材およびスラブ圧延面にあたる表層を溶融する手段として、電子ビーム加熱、プラズマアーク加熱を用いることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の熱間圧延用チタンスラブの製造方法。
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