JP2016123928A - 水性塗布液、膜及びその製造方法、積層体、並びに太陽電池モジュール - Google Patents

水性塗布液、膜及びその製造方法、積層体、並びに太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れた膜を形成し得る水性塗布液、膜及びその製造方法、積層体、並びに太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】基材上に、水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である水性塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、塗布形成された塗布膜を乾燥する塗布膜乾燥工程と、を含む膜の製造方法、及びその応用。【選択図】なし

Description

本発明は、水性塗布液、膜及びその製造方法、積層体、並びに太陽電池モジュールに関する。
シリカ微粒子を含有する水性塗布液は、水を含む溶媒を用いており、形成された膜の表面エネルギーが低く、透明性に優れることから、種々の用途に使用されている。その用途としては、例えば、反射防止膜、光学レンズ、光学フィルタ、各種ディスプレイの薄層フィルムトランジスタ(TFT)用平坦化膜、結露防止膜、防汚膜、表面保護膜等が挙げられる。これらの中でも反射防止膜及び防汚膜は、例えば、太陽電池モジュール、監視カメラ、照明機器、標識等の保護膜に使用することができるため有用である。
防汚膜等の用途に使用されるシリカ微粒子を含有する水性塗布液については、近年、種々の提案がなされている。
例えば、水性液をはじく性質を有する塗膜表面にも均一に塗布することが可能な防汚コーティング液として、必須成分としてシリカ微粒子と、水と、界面活性剤とを含有し、かつ、アルコールを実質的に含有しない防汚コーティング液が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、硬質表面に対する防汚効果に優れ、かつ、易洗効果も有する防汚剤として、正に帯電した平均粒径1〜100nmのシリカ系化合物及び水を含有する硬質表面用防汚剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許2010−138358号公報 特開2002−3820号公報
ところで、屋外に設置されて長期間使用される太陽電池モジュール、監視カメラ等の保護膜に対しては、防汚性だけでなく、反射防止性及び耐傷性も求められる。
しかしながら、特許文献1に記載の防汚コーティング液を用いて形成された塗膜表面は、十分な防汚性を有するものの、反射防止性及び耐傷性は十分ではなかった。また、特許文献2に記載の防汚剤を用いて形成された塗膜表面は、十分な防汚性を有するものの、反射防止性及び耐傷性に劣っていた。
すなわち、反射防止性、耐傷性、及び防汚剤の全てに優れる膜は、提供されるに至っていないのが実情である。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れた膜を形成し得る水性塗布液を提供することを課題とする。
また、本発明は、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れた膜及びその製造方法、積層体、並びに太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 基材上に、水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である水性塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、塗布形成された塗布膜を乾燥する塗布膜乾燥工程と、を含む膜の製造方法。
[2] シリカ粒子の平均一次粒子径が6nm以下である[1]に記載の膜の製造方法。
[3] 水性塗布液のpHが9〜11である[1]又は[2]に記載の膜の製造方法。
[4] 水性塗布液中のポリオール型非イオン界面活性剤の含有量が、水性塗布液の全質量に対して、0.07質量%〜1.0質量%である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の膜の製造方法。
[5] ポリオール型非イオン界面活性剤が、環状ポリエーテルを親水基として有するポリオール型非イオン界面活性剤である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の膜の製造方法。
[6] ポリオール型非イオン界面活性剤が、アルキルポリグルコシド系界面活性剤である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の膜の製造方法。
[7] 塗布膜乾燥工程の後、更に、乾燥後の塗布膜を400℃以上800℃以下の温度で焼成する塗布膜焼成工程を含む[1]〜[6]のいずれか1つに記載の膜の製造方法。
[8] 塗布膜焼成工程は、乾燥後の塗布膜を500℃以上800℃以下の温度で焼成する[7]に記載の膜の製造方法。
[9] 塗布膜乾燥工程の後、塗布膜焼成工程の前における塗布膜中のシリカ粒子の含有量が、塗布膜の全固形分に対して、64質量%〜95質量%である[7]又は[8]に記載の膜の製造方法。
[10] 焼成後の塗布膜は、膜厚が50nm以上350nm以下である[7]〜[9]のいずれか1つに記載の膜の製造方法。
[11] 少なくとも乾燥後の塗布膜は、下記式(1)で定義される、波長400nm〜1100nmの光における5°入射時の平均反射率変化ΔRの絶対値が、2.0%以上である[1]〜[10]のいずれか1つに記載の膜の製造方法。
|平均反射率変化ΔR|=|R膜形成後の基材の平均反射率 − R基材の平均反射率| 式(1)
[12] 平均反射率変化ΔRの絶対値が、2.5%以上である[11]に記載の膜の製造方法。
[13] 水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である水性塗布液。
[14] シリカ粒子の平均一次粒子径が6nm以下である[13]に記載の水性塗布液。
[15] 水性塗布液のpHが9〜11である[13]又は[14]に記載の水性塗布液。
[16] 水性塗布液中のシリカ粒子の含有量が、水性塗布液の全固形分に対して、64質量%〜95質量%である[13]〜[15]のいずれか1つに記載の水性塗布液。
[17] 水性塗布液中のポリオール型非イオン界面活性剤の含有量が、水性塗布液の全質量に対して、0.07質量%〜1.0質量%である[13]〜[16]のいずれか1つに記載の水性塗布液。
[18] ポリオール型非イオン界面活性剤が、環状ポリエーテルを親水基として有するポリオール型非イオン界面活性剤である[13]〜[17]のいずれか1つに記載の水性塗布液。
[19] ポリオール型非イオン界面活性剤が、アルキルポリグルコシド系界面活性剤である[13]〜[18]のいずれか1つに記載の水性塗布液。
[20] [1]〜[12]のいずれか1つに記載の製造方法により製造された膜。
[21] 基材上に、[20]に記載の膜を有する積層体。
[22] 基材が、ガラス基材である[21]に記載の積層体。
[23] [21]又は[22]に記載の積層体を備える太陽電池モジュール。
本発明によれば、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れた膜を形成し得る水性塗布液を提供することができる。
また、本発明によれば、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れた膜及びその製造方法、積層体、並びに太陽電池モジュールを提供することができる。
評価基準[A]に相当する面状の電子顕微鏡写真である。 評価基準[E]に相当する面状の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
[膜の製造方法]
本発明の膜の製造方法は、基材上に、水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である水性塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、塗布形成された塗布膜を乾燥する塗布膜乾燥工程と、を含む。
本発明の膜の製造方法は、塗布膜乾燥工程の後、更に、乾燥後の塗布膜を400℃以上800℃以下の温度で焼成する塗布膜焼成工程を含むことが好ましい。また、本発明の膜の製造方法は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、他の工程を含んでもよい。
本発明の膜の製造方法においては、基材上に、水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である水性塗布液を塗布して塗布膜を形成した後、塗布形成された塗布膜を乾燥することにより、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れる膜を得ることができる。
本発明の製造方法によって得られる膜がこのような効果を奏し得る理由については明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。
基材上にシリカ粒子を含む水性塗布液を塗布して乾燥させると、シリカ粒子同士が部分的にくっ付いた膜が形成される。シリカ粒子同士が部分的にくっ付いて形成された膜は、シリカ粒子間に生じる空隙を有するため、反射防止性に優れると考えられる。
微細なシリカ粒子は、液中で凝集し易い。平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子を含み、シリカ粒子の等電点(pH4〜6)と離れたpH(8〜12)に制御した水性塗布液を用いると、水性塗布液中でのシリカ粒子の凝集が抑制され、シリカ粒子の分散性が良好なものとなり、水性塗布液の塗布の精度が向上するため、形成される膜の反射防止性が優れたものとなると考えられる。
粒子の表面が負に帯電したシリカ粒子は、互いに反発して分散性を維持しようとするところ、水性塗布液中に共存するポリオール型非イオン界面活性剤は、シリカ粒子の表面に吸着し難い性質を有するため、シリカ粒子の分散性を損ない難い。一方、ポリオール型非イオン界面活性剤は、水性塗布液中で液の表面に偏在し、少量で水性塗布液の表面張力を下げることができるため、水性塗布液の濡れ性が良好なものとなる。このようなポリオール型非イオン界面活性剤の作用によって、より均一な塗布膜の形成が可能となり、優れた反射防止性が得られると考えられる。
基材上に平均一次粒子径が8nm以下という微細なシリカ粒子を含む水性塗布液を塗布して乾燥させると、シリカ粒子が密に配置され、緻密な膜が形成されるため、膜の硬度が向上し、優れた耐傷性が得られると考えられる。なお、乾燥された塗布膜を焼成すると、粒子間の部分的なくっ付きがより強固になり、かつ、膜が緻密になるため、耐傷性は更に向上するものと考えられる。
また、緻密な膜が形成されることで、膜面が平滑となる結果、汚れの付着が抑制され、優れた防汚性が得られると考えられる。
以上のことから、本発明の製造方法で製造される膜は、反射防止性、耐傷性、及び防汚性の全てにおいて優れると考えられる。
以下、本発明の膜の製造方法における各工程について詳細に説明する。各工程で用いる成分等の詳細については後述する。
〔塗布膜形成工程〕
塗布膜形成工程は、基材上に、水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である水性塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程である。
塗布膜形成工程では、既述したように、シリカ粒子の分散性が良好な水性塗布液を用いるため、良好な塗布精度で塗布膜を形成することができると考えられる。また、塗布膜形成工程において用いる水性塗布液は、液の表面に偏在する傾向があるポリオール型非イオン界面活性剤を含むため、濡れ性が良好となり、より均一な塗布膜を形成することができると考えられる。
水性塗布液の塗布量は、特に限定されるものではなく、水性塗布液中の固形分の濃度、所望の膜厚等に応じて、操作性等を考慮し、適宜設定することができる。水性塗布液の塗布量は、0.1mL/m〜1000mL/mであることが好ましく、1mL/m〜100mL/mであることがより好ましく、1mL/m〜50mL/mであることが更に好ましい。水性塗布液の塗布量が、上記の範囲内であると、塗布精度が良好となり、反射防止性により優れた膜を形成することができる。
基材上に水性塗布液を塗布する方法は、特に限定されるものではない。塗布方法としては、スプレー塗布、刷毛塗布、ローラー塗布、バー塗布、ディップ塗布等の公知の塗布方法をいずれも適用することができる。
〔塗布膜乾燥工程〕
塗布膜乾燥工程は、塗布形成された塗布膜を乾燥する工程である。
塗布膜乾燥工程では、水性塗布液を塗布して形成された塗布膜を乾燥することにより、基材上に、シリカ粒子同士が部分的にくっ付いた膜が形成される。シリカ粒子同士が部分的にくっ付くと、シリカ粒子間に空隙が生じるため、乾燥された塗布膜は、反射防止性に優れると考えられる。
また、塗布膜乾燥工程では、塗布膜形成工程において精度良く塗布され、より均一に形成された塗布膜を乾燥するため、乾燥後の塗布膜は、反射防止性に優れると考えられる。
塗布膜乾燥工程では、水性塗布液中の水分が除去されることで、シリカ粒子が密に配置され、緻密な膜が形成される。膜が緻密になり、硬度が高くなることで、優れた耐傷性が得られると考えられる。また、膜が緻密になり、膜面が平滑となることで、汚れが付着し難くなり、優れた防汚性が得られると考えられる。
塗布膜の乾燥は、室温(25℃)で行なってもよいし、加熱装置を用いて行なってもよい。加熱装置としては、目的の温度に加熱することができれば、特に限定されることなく、公知の加熱装置をいずれも用いることができる。加熱装置としては、オーブン、電気炉等の他、製造ラインに合わせて独自に作製した加熱装置を用いることができる。
塗布膜の乾燥は、例えば、上記の加熱装置を用いて、雰囲気温度40℃〜400℃にて塗布膜を加熱することにより行なってもよい。加熱により塗布膜を乾燥する場合には、例えば、加熱時間を1分間〜30分間程度とすることができる。
塗布膜の乾燥条件としては、塗布膜を、雰囲気温度40℃〜200℃にて1分間〜10分間加熱する乾燥条件が好ましく、雰囲気温度100℃〜180℃にて1分間〜5分間加熱する乾燥条件がより好ましい。
乾燥後の塗布膜は、膜厚が50nm以上であることが好ましい。膜厚が50nm以上であると、乾燥後の塗布膜は反射防止性により優れる。
乾燥後の塗布膜は、膜厚が50nm以上350nm以下であることがより好ましく、100nm以上300nm以下が更に好ましく、100nm以上250nm以下が特に好ましい。
塗布膜乾燥工程の後、塗布膜焼成工程の前における塗布膜中の、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の含有量は、塗布膜の全固形分に対して、64質量%〜95質量%であることが好ましく、70質量%〜95質量%であることがより好ましい。塗布膜焼成工程に供する乾燥後の塗布膜中の、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の含有量が、上記範囲内であると、反射防止性、耐傷性、及び防汚性により優れた膜を形成することができる。
〔塗布膜焼成工程〕
本発明の膜の製造方法は、既述の塗布膜乾燥工程の後、更に、乾燥後の塗布膜を雰囲気温度400℃以上800℃以下の温度で焼成する塗布膜焼成工程を含むことが好ましい。
塗布膜焼成工程では、乾燥後の塗布膜を雰囲気温度400℃以上800℃以下の温度で焼成することで、塗布膜乾燥工程で形成された緻密な膜の硬度が更に高まり、耐傷性がより向上するとともに、有機成分が消失することにより部分的に微小な空隙が形成されることで反射防止性が顕著に向上する。
塗布膜の焼成は、加熱装置を用いて行なうことができる。加熱装置としては、目的の温度に加熱することができれば、特に限定されることなく、公知の加熱装置をいずれも用いることができる。加熱装置としては、電気炉等の他、製造ラインに合わせて独自に作製した焼成装置を用いることができる。
塗布膜の焼成温度(雰囲気温度)は、450℃以上800℃以下であることがより好ましく、500℃以上800℃以下であることが更に好ましく、600℃以上800℃以下であることが特に好ましい。焼成時間は、1分間〜10分間であることが好ましく、1分間〜5分間であることがより好ましい。
焼成後の塗布膜は、膜厚が50nm以上であることが好ましい。膜厚が50nm以上であると、焼成後の塗布膜は反射防止性により優れる。
焼成後の塗布膜は、膜厚が50nm以上350nm以下であることがより好ましく、100nm以上300nm以下が更に好ましく、100nm以上250nm以下が特に好ましい。
〔その他の工程〕
本発明の膜の製造方法は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、その他の工程を含んでもよい。
その他の工程としては、洗浄工程、表面処理工程、冷却工程等が挙げられる。
以下、本発明の膜の製造方法における各工程で用いる成分等について詳細に説明する。
<基材>
本発明の膜の製造方法において、水性塗布液を塗布する基材は、特に限定されるものではない。基材としては、ガラス、樹脂、金属、セラミック、これらの複合材料等の基材が挙げられ、これらの基材のいずれも好適に用いることができる。これらの中でも、基材としては、ガラス基材が好ましい。基材としてガラス基材を用いると、ヒドロキシル基の縮合が、シリカ粒子が有するヒドロキシル基同士だけでなく、シリカ粒子が有するヒドロキシル基とガラス表面のヒドロキシル基との間でも発生するため、基材との密着性に優れた塗布膜を形成することができる。
<水性塗布液>
本発明の膜の製造方法における水性塗布液は、水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である。
水性塗布液によれば、反射防止性、耐傷性、及び防汚性の全てにおいて優れる膜を形成することができる。
水性塗布液はシリカ粒子を含むため、反射防止性に優れる膜を形成することができる。
基材上に水性塗布液を塗布して乾燥させると、シリカ粒子同士が部分的にくっ付き、シリカ粒子間に空隙を有する多孔膜が形成される。この空隙により、膜の反射防止性が優れたものになると考えられる。
また、水性塗布液は、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子を含み、シリカ粒子の等電点(pH4〜6)と離れたpH(8〜12)に制御されているため、反射防止性に優れる膜を形成することができる。
平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子を含む水性塗布液のpHを、シリカ粒子の等電点と離れたpHにすることで、微細なシリカ粒子の凝集が抑制され、シリカ粒子が良好に分散すると考えられる。シリカ粒子が良好に分散している水性塗布液は、塗布の精度に優れるため、形成される膜の反射防止性が優れたものとなると考えられる。
さらに、水性塗布液は、ポリオール型非イオン界面活性剤を含むため、反射防止性に優れる膜を形成することができる。
既述したように、ポリオール型非イオン界面活性剤は、シリカ粒子の表面に吸着し難い性質を有し、シリカ粒子の分散性を損ない難い。また、ポリオール型非イオン界面活性剤は、水性塗布液の表面張力を少量で下げることが可能なため、水性塗布液の濡れ性が良好なものとなると考えられる。水性塗布液の濡れ性が良好になることで、形成される膜の均一性が高まり、膜の反射防止性が優れたものになると考えられる。
水性塗布液は、平均一次粒子径が8nm以下という微細なシリカ粒子を含むため、耐傷性及び防汚性に優れる膜を形成することができる。
水性塗布液が微細なシリカ粒子を含むと、塗布して乾燥させた際に、シリカ粒子が密に配置され、硬度が高い緻密な膜が形成されるため、形成される膜の耐傷性が優れたものとなると考えられる。また、シリカ粒子が密に配置された緻密な膜は、膜面が平滑となるため、形成される膜の防汚性が優れたものとなると考えられる。
(シリカ粒子)
水性塗布液は、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子を含む。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、8nm以下であり、6nm以下であることが好ましく、2nm以上4nm以下であることがより好ましい。シリカ粒子の平均一次粒子径が8nm以下であると、反射防止性及び耐傷性に優れた膜が形成される。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、分散したシリカ粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、撮影した写真の画像から求めることができる。具体的には、写真の画像から、シリカ粒子の投影面積を測定し、測定した投影面積から円相当径を求め、求めた円相当径の値を算術平均することにより得られた値をシリカ粒子の平均一次粒子径とする。本明細書におけるシリカ粒子の平均一次粒子径は、300個のシリカ粒子の投影面積をそれぞれ測定し、測定した投影面積からそれぞれ円相当径を求め、求めた円相当径の値を算術平均することにより得られた値を採用している。
水性塗布液中に含まれるシリカ粒子の種類は、特に限定されるものではない。シリカ粒子としては、例えば、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子、無孔質シリカ粒子等が挙げられる。
シリカ粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円状、鎖状等のいずれの形状であってもよい。
また、シリカ粒子は、表面がアルミ化合物等で処理されたシリカ粒子であってもよい。
水性塗布液中に含まれるシリカ粒子としては、上記の中でも、無孔質シリカ粒子が好ましい。
「無孔質シリカ粒子」とは、粒子の内部に空隙を有さないシリカ粒子を意味し、中空シリカ粒子、多孔質シリカ粒子等の粒子の内部に空隙を有するシリカ粒子とは区別される。なお、「無孔質シリカ粒子」には、粒子の内部にポリマー等のコアを有し、コアの外殻(シェル)がシリカ、又はシリカの前駆体(例えば、焼成によってシリカに変化する素材)で構成されるコア−シェル構造のシリカ粒子は含まれない。
無孔質シリカ粒子は、塗布膜焼成工程の前後で、塗布膜中で存在する粒子の状態が変化する。具体的には、焼成前の塗布膜中では、それぞれの無孔質シリカ粒子が単一粒子(ファンデル・ワールス力により凝集した状態等の集合している状態をここでは単一粒子とする。)として存在し、焼成後の塗布膜中では、複数の無孔質シリカ粒子のうち少なくとも一部が、互いに連結された粒子連結体として存在する。
水性塗布液中に含まれるシリカ粒子が無孔質シリカ粒子であると、塗布膜の焼成により、複数の無孔質シリカ粒子が連結されて粒子連結体が形成されるため、膜の硬度が高まり、耐傷性がより向上する。
焼成により連結された粒子の平均一次粒子径は、連結部(例えば、ネック部分)を考慮せず、連結されたうちの1つのみを球と仮定したときの直径を算術平均することにより得られた値を採用する。焼成により連結された粒子の平均一次粒子径は、既述のシリカ粒子の平均一次粒子径と同様の方法により算出することができる。
水性塗布液は、一次粒子径が異なるシリカ粒子を複数種含んでいてもよい。また、水性塗布液は、無孔質シリカ粒子と無孔質シリカ粒子以外の1種以上のシリカ粒子とを含んでいてもよい。
シリカ粒子は、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、NALCO(登録商標)8699(無孔質シリカ粒子の水分散物、平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)、NALCO(登録商標)1130(無孔質シリカ粒子の水分散物、平均一次粒子径:8nm、固形分:30質量%、NALCO社製)、スノーテックス(登録商標)XS(無孔質シリカ粒子の水分散物、平均一次粒子径:5nm、固形分:20質量%、日産化学(株)製)等が挙げられる。
水性塗布液が含有する平均一次粒子径が8nm以下のシリカ粒子は、表面が負に帯電している。
表面が負に帯電したシリカ粒子は、水性塗布液中での分散安定性が良い。水性塗布液中のシリカ粒子の分散安定性が良いと、塗布の精度が良くなるため、反射防止性に優れた膜を形成することができる。また、良好な面状(表面外観)の膜を形成することができる。
水性塗布液に含まれるシリカ粒子の帯電状態は、ゼーダ電位を測定することにより確認することができる。具体的には、水性塗布液を、pHを維持した状態で脱イオン水を用いて適宜希釈し、得られた水性塗布液の希釈液について、ゼーダ電位を測定し、測定結果がマイナスの場合には、シリカ粒子が「負」に帯電しているとし、測定結果がプラスの場合には、シリカ粒子が「正」に帯電しているとする。ゼーダ電位の測定装置としては、例えば、ゼーダ電位測定システム(型番:ELSZ−1、大塚電子(株)製)を用いることができる。
水性塗布液中の平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の含有量は、水性塗布液の全固形分に対して、64質量%〜95質量%であることが好ましく、70質量%〜95質量%であることがより好ましい。
水性塗布液中に含まれる、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の割合が減少すると、このシリカ粒子以外の成分の割合が増えることになる。例えば、ポリオール型非イオン界面活性剤の割合が増えた場合には、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の表面がポリオール型非イオン界面活性剤で覆われ易くなることで、このシリカ粒子の分散性が低下し、膜の表面にシリカ粒子の凝集物が確認される等、良好な面状が得られ難くなる。一方、水性塗布液中に含まれる、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の割合が増加すると、相対的にポリオール型非イオン界面活性剤の割合が減ることになるため、焼成による良好な面状の膜の形成及び反射防止性の向上といった、ポリオール型非イオン界面活性剤に起因する効果が低減する。
水性塗布液中の平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の含有量が、水性塗布液の全固形分に対して、64質量%以上であると、耐傷性により優れる等、より良好な膜質の膜を形成することができる。
水性塗布液中の平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の含有量が、水性塗布液の全固形分に対して、95質量%以下であると、塗布膜の焼成により更に良好な面状の膜を形成することができる。
なお、水性塗布液中の平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の含有量は、水性塗布液の全質量に対して、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが更に好ましい。
水性塗布液中の平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の含有量が、水性塗布液の全質量に対して、15質量%以下であると、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の水性塗布液中での分散性が高まるため、このシリカ粒子の凝集等を防止する点で有利である。
(ポリオール型非イオン界面活性剤)
水性塗布液は、ポリオール型非イオン界面活性剤の少なくとも1種を含む。
水性塗布液中でポリオール型非イオン界面活性剤は、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子の表面には吸着し難く、液の表面近くに存在するため、水性塗布液の濡れ性が高まり、均一な膜を形成することができる。したがって、水性塗布液は、ポリオール型非イオン界面活性剤を含むことで、反射防止性に優れた膜を形成することができる。また、ポリオール型非イオン界面活性剤を含む水性塗布液を用いて形成された塗布膜は、焼成することで膜の面状が良好なものとなる。
「ポリオール型非イオン界面活性剤」とは、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤のようにイオン解離する部分を含まず、かつ、複数の水酸基を有する界面活性剤である。ポリオール型非イオン界面活性剤としては、環状ポリエーテル構造を親水基として有するものとして、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド等があり、また、環状ポリエーテル構造を有さないものとしてグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンのアルキル脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、ソルビトール等の非イオン界面活性剤がある。
これらの中でも、ポリオール型非イオン界面活性剤としては、より良好な面状の膜を形成することができるという観点から、環状ポリエーテルを親水基として有する非イオン界面活性剤が好ましい。更に、より優れた反射防止性及び防汚性を有する膜を形成することができるという観点から、ポリオール型非イオン界面活性剤としては、アルキルポリグルコシドがより好ましい。
アルキルポリグルコシドのアルキル鎖の炭素数は、5〜20であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、8〜14であることが更に好ましい。アルキルポリグルコシドのアルキル鎖は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。グルコシドの平均重合度は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。アルキルポリグルコシドの具体例としては、デシルグルコシド、オクチルグルコシド等が挙げられる。
アルキルポリグルコシドの重量平均分子量は、100〜2000であることが好ましく、100〜1000であることがより好ましい。
ポリオール型非イオン界面活性剤は、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、TRITON(登録商標)BG−10(アルキルポリグルコシド系界面活性剤、ダウ・ケミカル社製)、マイドール(登録商標)10、12(アルキルポリグルコシド系界面活性剤、花王(株)製)、レオドール(登録商標)SP−P10(ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、花王(株)製)、リケマール(登録商標)L−71−D(ジグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤、理研ビタミン(株)製)、エキセル(登録商標)95N(グリセリン脂肪酸エステル、花王(株)製)、ポエム(登録商標)PR−100(アルキルグリセリルエーテル、理研ビタミン(株)製)、DKエステル(登録商標)(ショ糖脂肪酸エステル、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
水性塗布液中のポリオール型非イオン界面活性剤の含有量は、水性塗布液の全質量に対して、0.07質量%〜1.0質量%であることが好ましく、0.07質量%〜0.8質量%であることがより好ましく、0.07質量%〜0.5質量%であることが更に好ましい。
水性塗布液中のポリオール型非イオン界面活性剤の含有量が、水性塗布液の全質量に対して、0.07質量%以上であると、水性塗布液の表面張力が大きく下がり、水性塗布液の濡れ性がより良好なものとなるため、塗布膜の均一性をより高めることができる。水性塗布液中のポリオール型非イオン界面活性剤の含有量が、水性塗布液の全質量に対して、1.0質量%以下であると、水性塗布液中のミセル形成が抑制されるため、塗膜形成時のシリカ粒子の緻密性をより高めることができる。
(水)
水性塗布液は、水を含む。
水性塗布液の水性媒体として水を用いることで、揮発性の有機溶媒を大量に用いた塗布液に比して、環境への負荷が大幅に軽減される。
水性塗布液に用いられる水としては、不純物を含まないか、或いは、その含有量を極力低減させた脱イオン水が好ましい。
(その他の成分)
水性塗布液は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子、ポリオール型非イオン界面活性剤、及び水以外の他の成分を含んでもよい。
他の成分としては、親水性有機溶媒、水溶性高分子、水分散ラテックス等が挙げられる。
−親水性有機溶媒−
水性塗布液は、水以外に、水との親和性に優れる親水性有機溶媒を更に含んでもよい。
水性塗布液が親水性有機溶媒を含むことで、水性塗布液の表面張力がより低くなり、より均一な塗布が可能となる。また、親水性有機溶媒が低沸点有機溶媒であると、水性塗布液の乾燥が容易になる等の利点を有することになる。
親水性有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、エチレングリコール、エチルセロソルブ等が挙げられる。入手容易性及び環境負荷の低減の観点から、親水性有機溶媒としては、アルコールが好ましく、中でも、エタノール、イソプロパノール等がより好ましい。
水性塗布液が水性媒体として水以外に親水性有機溶媒を含む場合、水性塗布液に用いられる水の含有量は、水性媒体の全質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。
水性塗布液中の固形分量は、水性塗布液の全質量に対して、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、0.2質量%〜20質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜10質量%であることが更に好ましい。水性塗布液中の固形分量は、溶媒、特に水の含有量により調整することができる。
(水性塗布液のpH)
水性塗布液のpHは、8〜12であり、9〜11であることが好ましい。
水性塗布液のpHを、シリカ粒子の等電点(pH4〜6)と離れたpH(8〜12)とすることで、水性塗布液中でのシリカ粒子の凝集が抑制され、シリカ粒子の分散性が良好なものとなり、塗布の精度が向上すると考えられる。水性塗布液の塗布の精度が向上することで、特に、反射防止性に優れた膜の形成が可能となると考えられる。
水性塗布液のpHが8以上であると、水性塗布液中でのシリカ粒子の凝集が抑制されるため、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れた膜が形成される。また、良好な面状の膜が形成される。
水性塗布液のpHが12を超えると、水性塗布液中でシリカ粒子が溶解するため、水性塗布液の長期安定性が損なわれる。水性塗布液のpHが12以下であると、シリカ粒子が溶解しないため、反射防止性及び防汚性に優れた膜が形成される。
シリカ粒子の等電点は、製造方法、一次粒子径、シリカ粒子の表面状態等により若干の上下を示すが、その場合は、シリカ粒子の等電点のpHに合わせて水性塗布液のpHを調整してもよい。
本明細書における水性塗布液のpHは、pHメーター(型番:HM−31、東亜DKK(株)製)を用いて、25℃で測定された値である。
[膜]
本発明の膜は、既述の本発明の製造方法により製造される。本発明の製造方法により製造された膜は、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れる。以下に、本発明の製造方法により製造される膜の好ましい物性を示す。
〔平均反射率変化ΔRの絶対値〕
少なくとも乾燥後の塗布膜は、下記式(1)で定義される、波長400nm〜1100nmの光における5°入射時の平均反射率変化ΔRの絶対値により、その反射防止性能を表すことができる。
なお、「少なくとも乾燥後の塗布膜」は、既述の塗布膜乾燥工程を経た塗布膜であればよく、塗布膜乾燥工程の後、既述の塗布膜焼成工程を経た塗布膜も含まれる。

|平均反射率変化ΔR|=|R膜形成後の基材の平均反射率 − R基材の平均反射率| 式(1)
式(1)における平均反射率変化ΔRは、塗布膜を形成していない基材の平均反射率(R基材の平均反射率)及び水性塗布液により形成した塗布膜を有する基材の平均反射率(R膜形成後の基材の平均反射率)を、硫酸バリウム白板をリファレンスとして測定することで求めることができる。
反射率は、積分球付の分光光度計を用いることにより測定することができる。本発明においては、測定装置として紫外可視赤外分光光度計(型番:UV3100PC、(株)島津製作所製)を用い、波長400nm〜1100nmの光における反射率を、積分球を用いて測定し、それぞれの波長における反射率の値を算術平均することにより得られた値を平均反射率として採用している。
平均反射率変化ΔRの絶対値の数値が高いほど、膜の反射防止性が優れていることを示す。
少なくとも乾燥後の塗布膜平均反射率変化ΔRの絶対値は、反射防止性の観点から、2.0%以上であることが好ましく、2.5%以上であることがより好ましい。
(膜厚)
本発明の膜は、反射防止性の観点から、膜厚が50nm以上350nm以下であることが好ましく、100nm以上300nm以下であることがより好ましく、100nm以上250nm以下であることが更に好ましい。
[水性塗布液]
本発明の水性塗布液は、水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である。
本発明の水性塗布液を用いることで、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れた膜を製造することができる。
本発明の水性塗布液は、既述の本発明の膜の製造方法における水性塗布液と同義であり、好ましい態様も同様である。共通する点については、説明を省略する。
[積層体]
本発明の積層体は、基材上に、既述の本発明の製造方法により製造された膜を有する。本発明の積層体は、本発明の製造方法により製造された膜を有するため、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れる。
本発明の積層体における基材は、ガラス基材が好ましい。特に限定されるものではない。基材としては、ガラス、樹脂、金属、セラミック、これらの複合材料等の基材が挙げられ、これらの基材のいずれも好適に用いることができる。これらの中でも、基材としては、既述の本発明の製造方法により製造された膜との密着性の観点から、ガラス基材が好ましい。
ガラス基材上に、本発明の製造方法により製造された膜を有する積層体は、反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れるため、例えば、太陽電池モジュール、監視カメラ、照明機器、標識の保護膜等の用途に好適に使用することができる。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、既述の本発明の積層体を備える。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する側に設けられる反射防止性、耐傷性、及び防汚性に優れる本発明の膜を有する積層体とポリエステルフィルムに代表される太陽電池用バックシートとの間に配置して構成され得る。本発明の積層体とポリエステルフィルム等の太陽電池用バックシートとの間は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂に代表される封止材により封止される。
太陽電池モジュール、太陽電池セル等の、積層体及びバックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。本発明の太陽電池モジュールは、太陽光が入射する側に本発明の積層体を備えることが好ましく、本発明の積層体以外の構成は問わない。
太陽光が入射する側に設けられる基材としては、例えば、ガラス基材、アクリル樹脂等の透明樹脂などを挙げることができ、好ましくはガラス基材である。
本発明の太陽電池モジュールに使用される太陽電池素子としては、特に制限はない。本発明の太陽電池モジュールには、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系太陽電池素子、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素等のIII−V族又はII−VI族化合物半導体系太陽電池素子など、各種公知の太陽電池素子をいずれも適用することができる。
本発明の太陽電池モジュールは、反射防止性、耐傷性、及び防汚性が良好な膜をガラス基材上に有する積層体を備えるため、長期間使用しても、表面の膜に傷が発生したり、汚染物質が付着したりすることによる光透過性の低下が抑制され、付着した汚染物質は雨等の水で容易に除去されることから、長期間に亘り良好な発電効率が維持される。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
〔水性塗布液1の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、水性塗布液1を調製した。なお、水性塗布液1中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液1の全固形分に対して、90.2質量%である。
水性塗布液1のpH(25℃)を、pHメーター(型番:HM−31、東亜DKK(株)製)を用いて測定したところ、10.5であった。
〔膜サンプル1の作製〕
水性塗布液1を、ガラス基材上にバーコーターを用いて塗布(塗布量:10mL/m〜20mL/m)し、塗布膜を形成した。この塗布膜を、オーブンを用いて雰囲気温度150℃で1分間加熱し、乾燥させた。次いで、乾燥後の塗布膜を、電気炉を用い、雰囲気温度700℃で3分間焼成することにより、膜サンプル1を作製した。
なお、膜サンプル1は、ガラス基材上に形成される塗布膜の最終的な膜厚が130nmになるように作製した。
[実施例2]
〔水性塗布液2の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)1.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、水性塗布液2を調製した。なお、水性塗布液2中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液2の全固形分に対して、94.9質量%である。
水性塗布液2のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔膜サンプル2の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液2に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル2を作製した。
[実施例3]
〔水性塗布液3の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)6.3質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、水性塗布液3を調製した。なお、水性塗布液3中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液3の全固形分に対して、69.8質量%である。
水性塗布液3のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔膜サンプル3の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液3に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル3を作製した。
[実施例4]
〔水性塗布液4の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)10.5質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、水性塗布液4を調製した。なお、水性塗布液4中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液4の全固形分に対して、64.9質量%である。
水性塗布液4のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔膜サンプル4の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液4に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル4を作製した。
[比較例1]
〔比較水性塗布液1の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、総量が1000質量部となるように、脱イオン水を添加し撹拌することにより、比較水性塗布液1を調製した。なお、比較水性塗布液1中のシリカ粒子の含有量は、比較水性塗布液1の全固形分に対して、100質量%である。
比較水性塗布液1のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔比較膜サンプル1の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を比較水性塗布液1に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、比較膜サンプル1を作製した。
[実施例5]
〔水性塗布液5の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:スノーテックス(登録商標)XS、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:5nm、固形分:20質量%、日産化学(株)製)67.1質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、水性塗布液5を調製した。なお、水性塗布液5中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液5の全固形分に対して、90.2質量%である。
水性塗布液5のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔膜サンプル5の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液5に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル5を作製した。
[実施例6]
〔水性塗布液6の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となり、かつ、pHが8となるように、リン酸及び脱イオン水を更に添加して調整することにより、水性塗布液6を調製した。なお、水性塗布液6中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液6の全固形分に対して、90.2質量%である。
〔膜サンプル6の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液6に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル6を作製した。
[比較例2]
〔比較水性塗布液2の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となり、かつ、pHが7となるように、リン酸及び脱イオン水を更に添加して調整することにより、比較水性塗布液2を調製した。なお、比較水性塗布液2中のシリカ粒子の含有量は、比較水性塗布液2の全固形分に対して、89.9質量%である。
〔比較膜サンプル2の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を比較水性塗布液2に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、比較膜サンプル2を作製した。
[比較例3]
〔比較水性塗布液3の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となり、かつ、pHが13となるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液及び脱イオン水を更に添加して調整することにより、比較水性塗布液3を調製した。なお、比較水性塗布液3中のシリカ粒子の含有量は、比較水性塗布液3の全固形分に対して、89.9質量%である。
〔比較膜サンプル3の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を比較水性塗布液3に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、比較膜サンプル3を作製した。
[比較例4]
〔比較水性塗布液4調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:スノーテックス(登録商標)AK、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:13nm、固形分:19質量%、日産化学(株)製)84.9質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、比較水性塗布液4を調製した。なお、比較水性塗布液4中のシリカ粒子の含有量は、比較水性塗布液4の全固形分に対して、90.2質量%である。
比較水性塗布液4のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、5であった。
〔比較膜サンプル4の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を比較水性塗布液4に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、比較膜サンプル4を作製した。
[実施例7]
〔水性塗布液7の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:レオドール(登録商標)SP−P10、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、固形分:100質量%、花王(株)製)1.5質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、水性塗布液7を調製した。なお、水性塗布液7中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液7の全固形分に対して、89.9質量%である。
水性塗布液7のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔膜サンプル7の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液7に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル7を作製した。
[実施例8]
〔膜サンプル8の作製〕
水性塗布液1を、ガラス基材上にバーコーターを用いて塗布(塗布量:10mL/m〜20mL/m)し、塗布膜を形成した。この塗布膜を、オーブンを用いて雰囲気温度150℃で1分間加熱し、乾燥させることにより、膜サンプル8を作製した。
なお、膜サンプル8は、ガラス基材上に形成される塗布膜の最終的な膜厚が130nmになるように作製した。
[比較例5]
〔比較水性塗布液5調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤(商品名:ニューコール 2303−Y、ポリオキシアルキレン系界面活性剤、固形分:100質量%、日本乳化剤(株)製)1.5質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、比較水性塗布液5を調製した。なお、比較水性塗布液5中のシリカ粒子の含有量は、比較水性塗布液5の全固形分に対して、90.2質量%である。
比較水性塗布液5のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔比較膜サンプル5の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を比較水性塗布液5に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、比較膜サンプル5を作製した。
[比較例6]
〔比較水性塗布液6調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、陰イオン界面活性剤(商品名:ペレックス(登録商標)OT−P、スルホコハク酸Na系界面活性剤、固形分:70質量%、花王(株)製)10.5質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、比較水性塗布液6を調製した。なお、比較水性塗布液6中のシリカ粒子の含有量は、比較水性塗布液6の全固形分に対して、64.4質量%である。
比較水性塗布液6のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔比較膜サンプル6の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を比較水性塗布液6に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、比較膜サンプル6を作製した。
[実施例9]
〔水性塗布液8の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)1130、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:8nm、固形分:30質量%、NALCO社製)44.7質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、水性塗布液8を調製した。なお、水性塗布液8中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液8の全固形分に対して、90.2質量%である。
水性塗布液8のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔膜サンプル9の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液8に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル9を作製した。
[比較例7]
〔比較水性塗布液7調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)1030、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:13nm、固形分:30質量%、NALCO社製)44.7質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、比較水性塗布液7を調製した。なお、比較水性塗布液7中のシリカ粒子の含有量は、比較水性塗布液7の全固形分に対して、89.9質量%である。
比較水性塗布液7のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔比較膜サンプル7の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を比較水性塗布液7に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、比較膜サンプル7を作製した。
[実施例10]
〔水性塗布液9の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:リケマール(登録商標)L−71−D、ジグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤、固形分:100質量%、理研ビタミン(株)製)1.5質量部を添加した後、総量が1000質量部となるように、更に脱イオン水を添加し撹拌することにより、水性塗布液9を調製した。なお、水性塗布液9中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液9の全固形分に対して、89.9質量%である。
水性塗布液9のpH(25℃)を、水性塗布液1と同様の方法により測定したところ、10.5であった。
〔膜サンプル10の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液9に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル10を作製した。
[比較例8]
〔比較水性塗布液8の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:スノーテックス(登録商標)AK−XS、アルミ化合物による表面処理により正に帯電させた無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:5nm、固形分:20質量%、日産化学(株)製)67.1質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となり、かつ、pHが10.5となるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液及び脱イオン水を更に添加して調整することにより、比較水性塗布液8を調製した。なお、比較水性塗布液8中のシリカ粒子の含有量は、比較水性塗布液8の全固形分に対して、89.9質量%である。
〔比較膜サンプル8の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を比較水性塗布液8に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、比較膜サンプル8を作製した。
[実施例11]
〔膜サンプル11の作製〕
水性塗布液1を、ガラス基材上にバーコーターを用いて塗布(塗布量:10mL/m〜20mL/m)し、塗布膜を形成した。この塗布膜を、オーブンを用いて雰囲気温度150℃で1分間加熱し、乾燥させた。次いで、乾燥後の塗布膜を、電気炉を用い、雰囲気温度450℃で3分間焼成することにより、膜サンプル11を作製した。
なお、膜サンプル11は、ガラス基材上に形成される塗布膜の最終的な膜厚が130nmになるように作製した。
[実施例12]
〔膜サンプル12の作製〕
水性塗布液1を、ガラス基材上にバーコーターを用いて塗布(塗布量:10mL/m〜20mL/m)し、塗布膜を形成した。この塗布膜を、オーブンを用いて雰囲気温度150℃で1分間加熱し、乾燥させた。次いで、乾燥後の塗布膜を、電気炉を用い、雰囲気温度550℃で3分間焼成することにより、膜サンプル12を作製した。
なお、膜サンプル12は、ガラス基材上に形成される塗布膜の最終的な膜厚が130nmになるように作製した。
[実施例13]
〔膜サンプル13の作製〕
水性塗布液1を、ガラス基材上にバーコーターを用いて塗布(塗布量:10mL/m〜20mL/m)し、塗布膜を形成した。この塗布膜を、オーブンを用いて雰囲気温度150℃で1分間加熱し、乾燥させた。次いで、乾燥後の塗布膜を、電気炉を用い、雰囲気温度800℃で3分間焼成することにより、膜サンプル13を作製した。
なお、膜サンプル13は、ガラス基材上に形成される塗布膜の最終的な膜厚が130nmになるように作製した。
[実施例14]
〔膜サンプル14の作製〕
水性塗布液1を、ガラス基材上にバーコーターを用いて塗布(塗布量:5mL/m〜10mL/m)し、塗布膜を形成した。この塗布膜を、オーブンを用いて雰囲気温度150℃で1分間加熱し、乾燥させた。次いで、乾燥後の塗布膜を、電気炉を用い、雰囲気温度700℃で3分間焼成することにより、膜サンプル14を作製した。
なお、膜サンプル14は、ガラス基材上に形成される塗布膜の最終的な膜厚が75nmになるように作製した。
[実施例15]
〔膜サンプル15の作製〕
水性塗布液1を、ガラス基材上にバーコーターを用いて塗布(塗布量:20mL/m〜30mL/m)し、塗布膜を形成した。この塗布膜を、オーブンを用いて雰囲気温度150℃で1分間加熱し、乾燥させた。次いで、乾燥後の塗布膜を、電気炉を用い、雰囲気温度700℃で3分間焼成することにより、膜サンプル15を作製した。
なお、膜サンプル15は、ガラス基材上に形成される塗布膜の最終的な膜厚が200nmになるように作製した。
[実施例16]
〔膜サンプル16の作製〕
水性塗布液1を、ガラス基材上にバーコーターを用いて塗布(塗布量:35mL/m〜45mL/m)し、塗布膜を形成した。この塗布膜を、オーブンを用いて雰囲気温度150℃で1分間加熱し、乾燥させた。次いで、乾燥後の塗布膜を、電気炉を用い、雰囲気温度700℃で3分間焼成することにより、膜サンプル16を作製した。
なお、膜サンプル16は、ガラス基材上に形成される塗布膜の最終的な膜厚が300nmになるように作製した。
[実施例17]
〔水性塗布液10の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となり、かつ、pHが10.9となるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液及び脱イオン水を更に添加して調整することにより、水性塗布液10を調製した。なお、水性塗布液10中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液10の全固形分に対して、89.9質量%である。
〔膜サンプル17の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液10に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル17を作製した。
[実施例18]
〔水性塗布液11の調製〕
シリカ粒子の水分散物(商品名:NALCO(登録商標)8699、無孔質シリカ粒子、シリカ粒子の平均一次粒子径:3nm、固形分:15質量%、NALCO社製)89.4質量部に、ポリオール型非イオン界面活性剤(商品名:TRITON(登録商標)BG−10、アルキルポリグルコシド系界面活性剤、固形分:70質量%、ダウ・ケミカル社製)2.1質量部を添加した後、総量が1000質量部となり、かつ、pHが12となるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液及び脱イオン水を更に添加して調整することにより、水性塗布液11を調製した。なお、水性塗布液11中のシリカ粒子の含有量は、水性塗布液11の全固形分に対して、89.9質量%である。
〔膜サンプル18の作製〕
膜サンプル1の作製において用いた水性塗布液1を水性塗布液11に変更したこと以外は膜サンプル1と同様にして、膜サンプル18を作製した。
[シリカ粒子の帯電状態の確認]
上記にて得られた各水性塗布液に含まれるシリカ粒子の帯電状態を確認した。水性塗布液を、pHを維持した状態で脱イオン水を用いて適宜希釈した。得られた水性塗布液の希釈液について、ゼーダ電位測定システム(型番:ELSZ−1、大塚電子(株)製)を用いてゼーダ電位を測定し、測定結果がマイナスの場合には、シリカ粒子が「負」に帯電しているとし、測定結果がプラスの場合には、シリカ粒子が「正」に帯電しているとした。結果を表1に示す。
[膜サンプルの評価]
上記にて得られた各膜サンプルについて、反射防止(AR:Anti Reflection)性、耐傷性、防汚性、及び面状を評価した。評価結果を表1に示す。
<反射防止(AR)性>
紫外可視赤外分光光度計(型番:UV3100PC、(株)島津製作所製)により、各膜サンプルの波長400nm〜1100nmの光における反射率を、積分球を用いて測定した。
反射率測定の際、膜サンプルを有するガラス基材の裏面(ガラス基材の膜が形成されていない側の面)の反射を抑えるため、裏面のガラス基材表面に黒色のテープを貼り付けた。測定により得られた波長400nm〜1100nmにおけるそれぞれの波長の反射率から平均反射率を算出し、膜が形成されていないガラス基材に対する平均反射率の変化の絶対値(|ΔR|)を下記式(1)に従い算出した。なお、|ΔR|は、数値が高いほど反射防止(AR)性に優れることを示す。

|平均反射率変化ΔR|=|R膜形成後の基材の平均反射率 − R基材の平均反射率| 式(1)
<耐傷性>
温度25℃、相対湿度55%の環境条件においてラビングテスタを用い、膜サンプルの膜面をスチールウール(♯0000、日本スチールウール(株)製)に50gの荷重をかけて、速度1000mm/minで一方向に10回往復摩擦した後、膜表面を目視及び光学顕微鏡(倍率:100倍)にて観察し、以下の評価基準にしたがって耐傷性を評価した。なお、目視による観察は、蛍光灯下及びタングステン光源下で行なった。耐傷性は、[A]、[B]及び[C]が許容範囲である。
−評価基準−
A : 蛍光灯下での目視、タングステン光源下での目視、及び光学顕微鏡による観察のいずれによっても膜表面に傷が全く確認されなかった。
B : 蛍光灯下での目視、及びタングステン光源下での目視による観察では膜表面に傷が確認されなかったが、光学顕微鏡による観察では僅かに傷が確認された。
C : 蛍光灯下での目視による観察では膜表面に傷が確認されなかったが、タングステン光源下での目視、及び光学顕微鏡による観察では膜表面に僅かに傷が確認された。
D : 蛍光灯下での目視、タングステン光源下での目視、及び光学顕微鏡による観察の全てにおいて、膜表面に線状の傷が確認され、その傷の数が1本〜20本であった。
E : 蛍光灯下での目視、タングステン光源下での目視、及び光学顕微鏡による観察の全てにおいて、膜表面に線状の傷が確認され、その傷の数が21本以上であった。
<防汚性>
天然黄土顔料(ホルベイン社製)を、膜サンプルの膜上に一様に散布して付着させた後、膜サンプルの裏面を叩き、付着した天然黄土顔料を落とした。この作業を10回繰り返した。その後、天然黄土顔料の付着状態を目視で確認し、下記の評価基準にしたがって防汚性を評価した。なお、防汚性は、[A]及び[B]が許容範囲である。
−評価基準−
A : 膜表面には天然黄土顔料が付着せず、膜表面は無色透明であった。
B : 膜表面に僅かに天然黄土顔料が付着したが、膜表面はほぼ無色透明であった。
C : 膜表面の全面に天然黄土顔料が付着し、目視で膜表面の透明性の低下が確認された。
D : 膜表面の全面に天然黄土顔料が付着し、膜表面はほぼ不透明であった。
<面状>
乾燥後焼成前における膜サンプルの表面及び焼成後における膜サンプルの表面を、目視及び光学顕微鏡(倍率:100倍)にて観察し、下記の評価基準にしたがって面状を評価した。なお、表1中では、「乾燥後焼成前」を「未焼成」と表記し、「焼成後」を「焼成」と表記する。
−評価基準−
A : 目視及び光学顕微鏡のいずれによっても膜表面の30センチ四方の面積にシリカ粒子の凝集物が全く確認されなかった。
B : 目視では膜表面の30センチ四方の面積にシリカ粒子の凝集物が確認されなかったが、光学顕微鏡の観察ではシリカ粒子の凝集物が僅かに確認された。
C : 目視にて膜表面の30センチ四方の面積の5%未満の領域でシリカ粒子の凝集物が確認された。
D : 目視にて膜表面の30センチ四方の面積の5%以上30%未満の領域でシリカ粒子の凝集物が確認された。
E : 目視にて膜表面の30センチ四方の面積の30%以上の領域でシリカ粒子の凝集物が確認された。
参考までに、評価基準の[A]に相当する面状の電子顕微鏡写真(倍率:100倍)及び[E]に相当する面状の電子顕微鏡写真(倍率:100倍)をそれぞれ図1及び図2に示す。
表1に示すように、実施例の膜サンプルは、反射防止性、耐傷性、及び防汚性のいずれにも優れていた。また、実施例の膜サンプルの中でも、pHの高い水性塗布液を用いて形成された膜サンプルは、優れた面状を有していた。

Claims (23)

  1. 基材上に、水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である水性塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
    塗布形成された塗布膜を乾燥する塗布膜乾燥工程と、
    を含む膜の製造方法。
  2. 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が6nm以下である請求項1に記載の膜の製造方法。
  3. 前記水性塗布液のpHが9〜11である請求項1又は請求項2に記載の膜の製造方法。
  4. 前記水性塗布液中のポリオール型非イオン界面活性剤の含有量が、水性塗布液の全質量に対して、0.07質量%〜1.0質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  5. 前記ポリオール型非イオン界面活性剤が、環状ポリエーテルを親水基として有するポリオール型非イオン界面活性剤である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  6. 前記ポリオール型非イオン界面活性剤が、アルキルポリグルコシド系界面活性剤である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  7. 前記塗布膜乾燥工程の後、更に、乾燥後の塗布膜を400℃以上800℃以下の温度で焼成する塗布膜焼成工程を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  8. 前記塗布膜焼成工程は、乾燥後の塗布膜を500℃以上800℃以下の温度で焼成する請求項7に記載の膜の製造方法。
  9. 前記塗布膜乾燥工程の後、前記塗布膜焼成工程の前における塗布膜中の前記シリカ粒子の含有量が、塗布膜の全固形分に対して、64質量%〜95質量%である請求項7又は請求項8に記載の膜の製造方法。
  10. 焼成後の塗布膜は、膜厚が50nm以上350nm以下である請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の膜の製造方法。
  11. 少なくとも乾燥後の塗布膜は、下記式(1)で定義される、波長400nm〜1100nmの光における5°入射時の平均反射率変化ΔRの絶対値が、2.0%以上である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の膜の製造方法。

    |平均反射率変化ΔR|=|R膜形成後の基材の平均反射率 − R基材の平均反射率| 式(1)
  12. 前記平均反射率変化ΔRの絶対値が、2.5%以上である請求項11に記載の膜の製造方法。
  13. 水と、平均一次粒子径が8nm以下の表面が負に帯電したシリカ粒子と、ポリオール型非イオン界面活性剤と、を含み、pHが8〜12である水性塗布液。
  14. 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が6nm以下である請求項13に記載の水性塗布液。
  15. 水性塗布液のpHが9〜11である請求項13又は請求項14に記載の水性塗布液。
  16. 水性塗布液中の前記シリカ粒子の含有量が、水性塗布液の全固形分に対して、64質量%〜95質量%である請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載の水性塗布液。
  17. 水性塗布液中のポリオール型非イオン界面活性剤の含有量が、水性塗布液の全質量に対して、0.07質量%〜1.0質量%である請求項13〜請求項16のいずれか1項に記載の水性塗布液。
  18. 前記ポリオール型非イオン界面活性剤が、環状ポリエーテルを親水基として有するポリオール型非イオン界面活性剤である請求項13〜請求項17のいずれか1項に記載の水性塗布液。
  19. 前記ポリオール型非イオン界面活性剤が、アルキルポリグルコシド系界面活性剤である請求項13〜請求項18のいずれか1項に記載の水性塗布液。
  20. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の製造方法により製造された膜。
  21. 基材上に、請求項20に記載の膜を有する積層体。
  22. 前記基材が、ガラス基材である請求項21に記載の積層体。
  23. 請求項21又は請求項22に記載の積層体を備える太陽電池モジュール。
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