JP2016117872A - 画像形成用セット、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記後処理液には、樹脂やワックスなどの成分が含有されており、前記樹脂や前記ワックスが、前記水性インクを吐出して形成した画像の表面に均一な塗膜を形成することで画像の光沢性が付与される。しかし、前記水性インクを吐出して形成した画像が未定着の状態で前記画像の表面に前記後処理液を付与させると、前記後処理液が前記画像中に混ざり込んでしまい、前記画像の表面に均一な塗膜を形成できず、画像の光沢性が劣化するという問題がある。なお、未定着の状態とは、水性インクを吐出して形成した画像が、未乾燥であり、前記画像が固着していない状態をいう。
また、水性インクのメンテナンス性に優れる、全質量に対して50質量%以上の水、及び全質量に対して5質量%以上の溶剤を含み、前記溶剤の50質量%以上がSP値27.5(MPa)1/2(13.4(cal/cm3)1/2)以下の溶剤であるインクセットが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
なお、前記特許文献2は、実施例から水性インクとメンテナンス液のSP値の差を計算すると、0.05(cal/cm3)1/2以上1.13(cal/cm3)1/2以下と小さいため、水性インクを吐出して形成した画像と前記メンテナンス液とが混じりやすくなっており、仮に前記画像の表面に前記メンテナンス液を付与しても光沢性は得られず、また、前記特許文献2は、インクジェットヘッドのノズル面のメンテナンス性の向上を課題としており、光沢性の向上の課題について記載もない。
なお、本発明において、有機溶剤が水溶性であるとは、例えば、純水と穏やかにかき混ぜた場合に、流動がおさまった後、二つの層に分離して存在しないことを意味する。
本発明の画像形成用セットは、水性インク、後処理液を含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記水性インクとしては、着色剤、水溶性有機溶剤、及び水を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水性インクにおいて公知の顔料及び染料を使用することができる。
前記着色剤としては、例えば、無機粒子をカーボンブラックで被覆した着色剤粒子、無機粒子を有機顔料で被覆した着色剤粒子、顔料が樹脂に含有されてなる着色剤粒子(樹脂被覆型顔料)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機粒子を有機顔料で被覆する方法としては、無機粒子の存在下で有機顔料を析出する方法、無機粒子と有機顔料を機械的に混合摩砕する方法などが挙げられる。前記有機顔料が、熱安定性に優れる場合には、化学的蒸着する方法などを用いることができる。また、前記無機粒子と前記有機顔料との間に、更に必要に応じて、ポリシロキサン、アルキルシランから生成されるオルガノシラン化合物層を設けることが好ましい。前記オルガノシラン化合物層を設けることにより、前記無機粒子と前記有機顔料との接着性を向上させることができる。
前記無機粒子としては、例えば、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化鉄、水酸化鉄、酸化スズなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機粒子の形状としては、アスペクト比が小さいものが好ましく、球状がより好ましい。また、前記無機粒子の表面にカラー着色剤を吸着させる場合には、前記無機粒子は無色透明又は白色が好ましく、黒色着色剤を吸着させる場合には、前記無機粒子は黒色が好ましい。
前記顔料としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機粒子を被覆する顔料としては、例えば、黒色用の無機顔料、黒色用の有機顔料、カラー用の有機顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用の有機顔料としては、例えば、アニリンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記キナクリドン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット42などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記モノアゾイエロー系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー151などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジアゾイエロー系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記複素環式イエロー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂に被覆された顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉、カーボンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カーボンブラックが好ましい。
前記樹脂に被覆された顔料である前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものなどが挙げられる。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ローダミンβレーキ顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用の有機顔料である前記カーボンブラックとしては、個数平均一次粒子径として15nm以上40nm以下が好ましく、BET法による比表面積として50m2/g以上300m2/g以下が好ましく、DBP吸油量として40ml/100g以上150ml/100g以下が好ましく、揮発分として0.5%以上10%以下が好ましく、pHとして2以上9以下が好ましい。
前記樹脂被覆型顔料に用いる樹脂としては、例えば、アニオン性基含有有機高分子化合物などが挙げられる。
前記アニオン性基含有有機高分子化合物としては、アニオン性基を中和することにより、水に対する自己分散能や溶解能を付与することができるものであれば、特に制限はなく用いることができる。
前記カルボキシル基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸などが挙げられる。
前記スルホン酸基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、スルホエチルメタクリレート、ブチルアクリルアミドスルホン酸などが挙げられる。
前記ホスホン酸基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、ホスホエチルメタクリレートなどが挙げられる。
前記混合溶液としては、水溶性有機溶剤、及び水を含有してなる。前記混合溶液とは、水溶性有機溶剤、及び水を含有してなるものをいい、機能上、浸透剤、抑泡剤などに分類されるものも含むものをいう。
水性インク中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液におけるSP値(cal/cm3)1/2=[水溶性有機溶剤AのSP値×水溶性有機溶剤Aの体積分率] + [水溶性有機溶剤BのSP値×水溶性有機溶剤Bの体積分率] + ・・・ + [水溶性有機溶剤NのSP値×水溶性有機溶剤Nの体積分率]+ [水のSP値×水の体積分率] ・・・ 式(A)
SP値(溶解パラメータ)=(CED値)1/2=(E/V)1/2 ・・・・・式(B)
前記式(B)において、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(cm3/mol)であり、原子団の蒸発エネルギーをΔei、モル体積をΔviとした場合、下記式(C)、及び式(D)で示される。
E=ΣΔei ・・・・・式(C) V=ΣΔvi ・・・・・式(D)
SP値の計算方法は諸説あるが、本発明においては一般的に用いられているFedorsの方法を用いた。
また、−CF3基などが示されていないものに関しては、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)を参照することができる。
なお、参考までに、式(B)で示されるSP値を(J/cm3)1/2に換算する場合には2.046を、SI単位(J/m3)1/2に換算する場合には、2,046を乗ずればよい。
前記水溶性有機溶剤は、インクの乾燥防止、及び分散安定性の向上のために含有されている。
前記アミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記含硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止、保存安定性、及び吐出安定性の点から、グリセリン、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールが好ましい。
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水;超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記水のSP値としては、23.4(cal/cm3)1/2である。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、前記水性インクに使用することができるものであればよく、例えば、糖化合物、及びその誘導体;界面活性剤;抑泡剤;カルボキシル基含有樹脂;浸透剤;ポリマー粒子;pH調整剤;防腐防黴剤;防錆剤などが挙げられる。
前記糖化合物としては、耐乾燥性を向上させるために含有され、例えば、単糖化合物、二糖化合物、オリゴ糖化合物(三糖化合物、四糖化合物も含む)、多糖化合物、及びこれらの誘導体などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キロース、トレハロース、マントトリオースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、多糖化合物とは、広義の糖をいい、α−シクロデキストリン、セルロース等の自然界に広く存在する物質を含むものをいう。 前記糖化合物の誘導体としては、例えば、前記糖化合物の還元糖、前記糖化合物の酸化糖類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、マルチトール、ソルビットがより好ましい。 前記糖化合物、及びその誘導体の含有量としては、水性インク全量に対して、0.1質量%以上40質量%以下が好ましく、0.5質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、着色剤の種類や水溶性有機溶剤、浸透剤等の組み合わせによって、分散安定性を損なわない界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができる。前記界面活性剤としては、特に記録媒体に記録する場合には、表面張力が低く、高いレベリング性の点から、フッ素系界面活性剤、シリコーン型界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フッ素系界面活性剤が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、泡性が小さい点から、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン型界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高いpHでも分解しないものが挙げられ、具体的には、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンが好ましく、水系界面活性剤として良好な性質を示す点から、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものがより好ましい。
前記市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製、信越化学工業株式会社製、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製などが挙げられ、ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKF−618、KF−642、KF−643などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素系界面活性剤及びシリコーン型界面活性剤以外のその他の界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、例えば、エアープロダクツ株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、82、465、485、TG)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノピロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記両性界面活性剤の市販品として、例えば、日光ケミカルズ株式会社製、日本エマルジョン株式会社製、株式会社日本触媒製、東邦化学工業株式会社製、花王株式会社製、株式会社ADEKA製、ライオン株式会社製、青木油脂工業株式会社製、三洋化成工業株式会社製のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記抑泡剤は、気泡が発生を抑制するために含有されている。
前記式(i)の化合物などを含む界面活性剤の界面活性能は非常に高く、また、一般的に使用されているシリコーン型抑泡剤を添加したとしても、一度気泡が発生してしまうと気泡が消えずに残留してしまい、不具合が発生するという問題がある。前記問題に対して、抑泡剤を含有することで、前記吐出ヘッドによって吐出する際に吐出不良などの発生を抑制することができる。
前記カルボキシル基含有樹脂は、後処理液中の架橋剤と反応し、記録媒体上での顔料の凝集を起こし、画像品質を向上させるために含有されている。また、後処理液が存在しない場合においても、前記カルボキシル基含有樹脂が含有されていることにより、耐擦過性を向上させることができる。
前記カルボキシル基含有樹脂としては、適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。前記カルボキシル基含有樹脂の市販品としては、例えば、荒川化学工業株式会社製のマルキードシリーズ、ハリマ化成株式会社製のハリマックシリーズ、ハリフタールシリーズなどが挙げられる。
前記浸透剤としては、記録媒体への浸透速度を速めると共にブリードを防止するために含有されている。
前記浸透剤としては、炭素数8以上11以下のポリオール化合物、グリコールエーテル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記浸透剤としては、記録媒体への浸透速度を速めると共にブリードを防止する効果を有し、水よりも高沸点であり、25℃の水中において、0.1質量%以上4.5質量%以下の溶解度を有する部分的に水溶性の化合物である。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、多価アルコールアルキルエーテル化合物、多価アルコールアリールエーテル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールアルキルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールアリールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマー粒子としては、造膜性を向上させるために含有されている。なお、造膜性とは、ポリマー粒子を水に分散させ水性エマルジョンの形態とした時、前記水性エマルジョンの水分を蒸発させていくと、樹脂皮膜が形成される性質をいう。
前記ポリマー粒子が含有されていると、水性インク中の揮発成分が蒸発した際に前記ポリマー粒子が皮膜を形成し、水性インク中の着色剤を強固に記録媒体に固着する役割を課すことができる。これにより、耐擦過性、及び耐水性に優れた画像を実現することができる。
前記無機粒子を前記着色剤で被覆した着色剤粒子(複合顔料粒子)は、アニオン性分散剤と共に水に混練分散する際に酸性を示す傾向が強くなる。水などの媒体に分散している複合顔料の表面は、アニオン系分散剤に包まれているため、負電荷を帯びているが、インク全体が酸性を示すことから、内部は正電荷を帯びており、粒子表面の負電荷が中和されやすい状態にある。前記状態では分散粒子は凝集し吐出不良を起こす原因となるため、pH調整剤を加えてアルカリ性に保つことにより分散状態を安定化させ、吐出を安定化させることが好ましい。
前記アルコールアミン化合物としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アンモニウム水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第四級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ホスホニウム水酸化物としては、例えば、第四級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐防黴剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記後処理液は、画像の光沢性を向上させるために含有されている。
前記後処理液は、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれか、水溶性有機溶剤及び水の混合溶液を含み、更に必要に応じて、ワックス、自己架橋型樹脂、及びその他の成分を含有してなる。
前記混合溶液としては、水溶性有機溶剤、及び水を含有してなる。前記混合溶液とは、水溶性有機溶剤、及び水を含有してなるものをいい、機能上、浸透剤、抑泡剤などに分類されるものも含むものをいう。
前記後処理液中の前記水溶性有機溶剤及び前記水の前記混合溶液におけるSP値としては、前記水性インク中の前記水溶性有機溶剤及び前記水の前記混合溶液におけるSP値に対して、前記SP値が1.5(cal/cm3)1/2以上低いと、後処理液を定着した状態の画像の表面に付与した場合に画像の光沢性を得ることができ、さらに後処理液を未定着の状態の画像の表面に付与した場合でも、後処理液が前記未定着の画像に混ざり込むことを抑制し、後処理液が前記画像の表面に均一に塗膜を形成することができ、画像の光沢性を付与することができる。また、7.5(cal/cm3)1/2以下低いと、後処理液により形成される塗膜の膜厚が大きくなり、画像の耐擦過性を向上させることができる。なお、前記後処理液中の前記水溶性有機溶剤におけるSP値、前記水におけるSP値、並びに前記水溶性有機溶剤及び前記水の前記混合溶液におけるSP値は、前記水性インク中の前記水溶性有機溶剤におけるSP値、前記水におけるSP値、並びに前記水溶性有機溶剤及び前記水の前記混合溶液におけるSP値と同様に算出することができる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、下記式(I)で示される化合物、下記式(II)で示される化合物、及び下記式(III)で示される化合物などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記後処理液中に前記水溶性有機溶剤を含有することで、前記後処理液中の前記混合溶液におけるSP値を、前記水性インク中の前記混合溶液におけるSP値よりも低くすることができる。
前記含硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水としては、前記水性インクと同様のものを用いることができる。
前記樹脂は、画像の光沢性、及び画像の耐擦過性を向上させるために含有されている。
前記水性インク中に用いられる着色剤の体積平均粒子径よりも、体積平均粒子径が小さい樹脂を使用した場合、着色剤間の小さい隙間にまで樹脂が入り込むことができ、画像の耐擦過性を向上させることができる。また、水性インクに用いられる着色剤の体積平均粒子径よりも体積平均粒子径が大きい樹脂を使用した場合、水性インクの表面に均一に塗膜を形成することで平滑性を向上し、画像の光沢性を向上させることができる。また、物理的に前記樹脂と記録媒体との結着性を向上させることができ、樹脂ごと取れてしまうことが生じにくくなり、耐擦過性を向上させることができる。前記樹脂の体積平均粒子径、及び成膜時の平滑性を制御することによって画像の光沢性を調整することができる。
前記後処理液中のウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれかにおけるSP値と、後処理液中の前記水溶性有機溶剤及び前記水の混合溶液におけるSP値との差が、4(cal/cm3)1/2以下であると、画像光沢性を向上できる。
樹脂のSP値={(Vml)1/2×δH+(Vmh)1/2×δD}/{(Vml)1/2+(Vmh)1/2}
ここで、Vml、Vmh、δH及びδDは、測定温度20℃において、樹脂0.5g(固形分)をアセトン10mLに溶解した中に、n−ヘキサンを加えたときの濁点における滴定量H(mL)と、測定温度20℃において、樹脂0.5g(固形分)をアセトン10mLに溶解した中に、脱イオン水を加えたときの濁点における滴定量D(mL)とを、下記式に適用することにより算出される値である。
Vml=74.4×130.3/{(1−VH)×130.3+VH×74.4}
Vmh=74.4×18/{(1−VD)×18+VD×74.4}
VH=H/(10+H)
VD=D/(10+D)
δH=9.75×10/(10+H)+7.24×H/(10+H)
δD=9.75×10/(10+D)+23.43×D/(10+D)
なお、各溶剤の分子容(mL/mol)は、アセトン:74.4、n−ヘキサン:130.3、脱イオン水:18であり、各溶剤のSP値は、アセトン:9.75、n−ヘキサン:7.24、脱イオン水:23.43である。また、得られた樹脂のSP値の単位は(cal/cm3)1/2である。
前記ウレタン樹脂としては、分散安定性の点から、アニオン性自己乳化型のウレタン樹脂が好ましく、後処理液を画像形成部に付与した際の成膜性、強度、及び折り曲げ性の点から、アニオン性自己乳化型のエーテル型ウレタン樹脂がより好ましい。
前記アクリル樹脂の中では、特に後処理液を画像形成部に付与した際の強度、光沢性の観点から、アクリルシリコーン型樹脂が好ましい。
前記ワックスは、画像部に滑り性を付与するために含有されている。
前記カルナバワックスとしては、市販品を使用することができ、前記市販品として中京油脂株式会社製のセロゾール 524、トラソル CNなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記自己架橋型樹脂は、水性インクと後処理液の間に架橋構造を形成させるために含有されてもよい。
前記熱反応型樹脂としては、例えば、イソシアネート基を有する自己架橋型樹脂が挙げられる。前記イソシアネート基を有する自己架橋型樹脂は、ウレタン骨格にブロックイソシアネート基を有する熱反応型樹脂であり、熱によってイソシアネート基に結合しているブロック部が解離し活性イソシアネート基となり、前記活性イソシアネート基同士が自己架橋反応を起こして三次元網目構造を形成することができる。また、同時に前記活性イソシアネート基が後処理液中のウレタン樹脂とも反応を起こすことで三次元網目構造の鎖長が伸び、さらに密な三次元網目構造を形成することができる。
前記オキサゾリン基を有する樹脂としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、株式会社日本触媒製のK−2000シリーズ、WAシリーズ、RPSシリーズ、RASシリーズなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カルボジイミド基含有ポリマーとしては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、日清紡ケミカル株式会社製のカルボジライトシリーズなどが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、前記後処理液に使用することができるものであればよく、例えば、界面活性剤;抑泡剤;pH調整剤;防腐防黴剤;防錆剤などが挙げられる。
前記界面活性剤は、前記後処理液の表面張力を下げるために含有されている。
前記界面活性剤を含有することで、記録媒体に対して適度に濡れやすくなり、記録媒体への浸透速度を早めることができ、画像の耐擦過性、ブリード等の不具合を改善することができる。
前記抑泡剤としては、水性インクに用いられる抑泡剤と同様のものを用いることができる。
前記pH調整剤としては、水性インクに用いられるpH調整剤と同様のものを用いることができる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷用紙などを好適に使用することができる。
前記カートリッジは、前記後処理液、及び前記水性インクを容器内に収容したものであり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記画像形成方法は、刺激を印加し、前記水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像形成工程と、前記水性インクを吐出された面上に後処理液を付与する後処理工程と、を有する。
前記画像形成装置は、刺激を印加し、前記水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録する画像形成手段と、前記水性インクが吐出された面上に後処理液を付与する後処理手段と、を有する。
前記画像形成工程は、前記水性インクに、刺激を印加し、前記水性インクを吐出して画像を形成する工程である。
前記画像形成手段は、前記水性インクに、刺激を印加し、前記水性インクを吐出して画像を形成する手段である。
前記処理液工程としては、前記水性インクが吐出された面上に前記後処理液を均一に付与する付与方法を用いればよく、特に制限はない。
前記処理液手段としては、前記水性インクが吐出された面上に前記後処理液を均一に付与する付与手段を用いればよく、特に制限はない。
画像形成装置101には、水性インクを吐出するヘッドを集積したヘッドユニット110K、110C、110M、110Yと、後処理液を吐出するヘッドユニット151、それぞれのヘッドユニットに対応し、ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニット111K、111C、111M、111Y、図示しないメンテナンスユニット、インクを供給するインクカートリッジ107K、107C、107M、107Y、及び図示しない後処理液カートリッジ、カートリッジからのインクを一部貯蔵し、ヘッドに適切な圧力でインクを供給するサブインクタンク108K、108C、108M、108Y、図示しない後処理液のサブタンクを備えている。
さらに、メンテナンス後に排出される廃液を回収する廃液タンク109や、装置を操作し装置状態を表示することができる操作パネル106も備えている。
前記ヘッドユニットはヘッド外周部材160にヘッド154A〜154Lを固定しており、ヘッドはノズルの一部が重複するように交互に配置されている。
図4は、図3のヘッドユニットに配列しているヘッドを示す模式図で、各ヘッドには、ノズルプレート201にノズル200が設けられており、ヘッドとヘッド外周部材との間には充填剤202にて密閉されており、ノズル面側からの隙間をなくしている。
<水性インク>
<<アニオン性基含有スチレン−アクリル系共重合体の調製>>
攪拌装置、滴下装置、温度センサー及び上部に窒素導入装置を有する還流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業株式会社製)の反応容器にメチルエチルケトンを550g仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃で加温した後、滴下装置によりメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルを75.0g、メタクリル酸を77.0g、スチレンを80.0g、メタクリル酸ブチルを150.0g、アクリル酸ブチルを98.0g、メタクリル酸メチルを20.0g、及び「パーブチル(登録商標)O」(日油株式会社製)を40.0gの混合溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に同温度で15時間反応を継続させて、酸価:100(JIS K 0070−1992に記載の方法で測定実施)、重量平均分子量:21,000(D5280 LCS M−PDA、株式会社島津製作所製にて測定実施)、ガラス転移点:31℃(STA7200、株式会社日立ハイテクサイエンス製にて測定実施)のアニオン性基含有スチレン−アクリル系共重合体Aのメチルエチルケトン溶液を得た。反応終了後、前記メチルエチルケトンの一部を減圧留去し、不揮発分を50%に調整したアニオン性基含有スチレン−アクリル系共重合体A溶液を得た。
冷却用ジャケットを備えた混合槽にカーボンブラック(商品名:Raven1080、コロンビヤン・カーボン日本株式会社製)を800gと、前記アニオン性基含有スチレン−アクリル系共重合体A溶液を200g、10%水酸化ナトリウム水溶液を143g、メチルエチルケトンを100g、及び水1,957gを仕込み、攪拌混合した。混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(商品名:SCミルSC100、三井鉱山株式会社製)に通し、循環方式(分散装置より出た分散液を混合槽に戻す方式)により6時間分散した。分散装置の回転数は2,700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。分散終了後、混合槽より分散原液を抜き取り、次に、水10,000gで混合槽、及び分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。ガラス製蒸留装置に希釈分散液を入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した。室温まで冷却後、攪拌しながら10%塩酸を滴下してpH4.5に調整した後、固形分をヌッチェ式濾過装置で濾過、水洗した。ケーキを容器に取り、20%水酸化カリウム水溶液を200g加えた後、ディスパ(商品名:TKホモディスパー、プライミクス株式会社製)にて分散し、更に水を加えて不揮発分を調製して、不揮発分20%のカーボンブラックが水酸化カリウム中で中和されたカルボキシル基含有スチレン−アクリル系共重合体で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散体を得た。
ロジン変性マレイン酸樹脂(カルボキシル基含有樹脂)2.0g、グリセリン(水溶性有機溶剤、SP値:16.38(cal/cm3)1/2)20.0g、1,3−ブタンジオール(水溶性有機溶剤、SP値:12.75(cal/cm3)1/2)10.0g、式(i)で示される化合物(フッ素系界面活性剤)0.4g、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(pH調整剤)0.2g、ベンゾトリアゾール(防腐防錆剤)0.1g、及び水(SP値:23.4(cal/cm3)1/2)58.1gを1時間攪拌し均一に混合した。次に、N−オクチル−2−ピロリドン(抑泡剤)1.2gを加えてさらに1時間攪拌し均一に混合した。その後、前記水性顔料分散体の固形分換算で8.0gを加えてさらに1時間攪拌し均一に混合した。この混合物を平均孔径0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧濾過し、粗大粒子やゴミを除去して水性インク1を得た。水性インク1の組成及び含有量を表1に示す。
−後処理液の調製1−
水溶性有機溶剤A(グリセリン、SP値:16.38(cal/cm3)1/2)2.5g、水溶性有機溶剤B(3−メトキシ−1−ブタノール、SP値:9.98(cal/cm3)1/2)27.5g、エーテル型ウレタン樹脂A(商品名:パーマリン UA00、三洋化成工業株式会社製、体積平均粒子径(D50):400nm)30.0g、ポリエチレン型ワックスエマルジョンB(商品名:ノプコート PEM−17、サンノプコ株式会社製、融点:105℃)5.0g、イソシアネート基含有樹脂(商品名:エラストロン E−37、第一工業製薬株式会社製)2.0g、式(i)で示される化合物0.4g、N−オクチル−2−ピロリドン2.0g、オクタンジオール2.0g、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.2g、ベンゾトリアゾール0.1g、及びイオン交換水(SP値:23.4(cal/cm3)1/2)29.1gを1時間攪拌し均一に混合して実施例1で用いる後処理液Aを得た。
得られた水性インク1及び後処理液Aを用いて、画像形成用セットとした。
実施例2〜29及び比較例1〜4について、表2〜表8に記載の水性インク及び後処理液の組成、並びに含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、水性インク及び後処理液の画像形成用セットとした。表2〜表8に実施例1〜29及び比較例1〜4の組成及び含有量を示す。
実施例1〜29及び比較例1〜4で用いられる水性インクを画像形成装置(商品名:IPSIO GXe5500、株式会社リコー製)により記録媒体(商品名:OKトップコート+、王子製紙株式会社製)へ吐出させた後、ドットパターンで形成された3cm四方の未定着のベタ画像を形成し、1.5秒後に実施例1〜29及び比較例1〜4で用いられる後処理液を前記画像形成装置により前記水性インクを吐出して形成した画像の表面へ吐出させた。その後、温風及びドラムヒーターにて90℃で2分間乾燥させて定着画像を得た。なお、実施例29においては、前記乾燥を行わなかった。前記画像について、以下の方法により諸特性を評価した。
ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、色彩色差計(商品名:CR−400、コニカミノルタ株式会社製)にて画像光沢度(60°光沢)を測定した。画像光沢度の数値が高いほど、画像の光沢性が良好である。なお、画像光沢度が30%以上であると実用上問題なく使用することができる。
前記画像の3cm四方のベタ画像のベタ部を、摩擦試験機(商品名:クロックメーター、株式会社東洋精機製作所製)に布を貼り付けて擦り、擦過後の布へのインクの転写濃度を、分光測色濃度計(商品名:X−Rite939、X−Rite社製)で測定した。転写濃度が小さいほど、画像の耐擦過性が良好である。なお、転写濃度が0.20未満であると実用上問題なく使用することができる。
実施例1〜29及び比較例1〜4で用いられる後処理液を70℃の恒温槽に2週間放置し、初期粘度と保存後の粘度との差(粘度上昇レベル)を、下記評価基準に基づき、「保存安定性」を評価した。なお、下記評価基準が「○」であると実用上問題なく使用することができる。なお、初期粘度、及び保存後の粘度は、TV−22形粘度計(東機産業株式会社製)を用いて25℃で測定した。
−評価基準−
○:初期粘度と保存後の粘度との差が±5%以内
△:初期粘度と保存後の粘度との差が±5%超±10%以内
×:初期粘度と保存後の粘度との差が±10%超
前記画像の3cm四方のベタ画像のベタ部を印字した後、記録ヘッドにキャップをしない状態で30分間放置し、その後再度同画像を記録させて、不吐出のノズル数を測定し、以下の評価基準に基づき、「吐出安定性」を評価した。なお、下記評価基準が「△」以上であると実用上問題なく使用することができる。
−評価基準−
○:不吐出無し
△:不吐出ノズル数が5ch未満
×:不吐出ノズル数が5ch以上
また、表2〜表8において、略号などについては下記の通りの内容を示す。
*水溶性有機溶剤A:グリセリン(SP値:16.38(cal/cm3)1/2、阪本薬品工業株式会社製)
*水溶性有機溶剤B:3−メトキシ−1−ブタノール(SP値:9.98(cal/cm3)1/2、東京化成工業株式会社製)
*水溶性有機溶剤C:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(SP値:8.87(cal/cm3)1/2、東京化成工業株式会社)
*水溶性有機溶剤D:ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(SP値:9.84(cal/cm3)1/2、東京化成工業株式会社)
*水溶性有機溶剤E:ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(SP値:9.44(cal/cm3)1/2、東京化成工業株式会社)
*水溶性有機溶剤F:トリプロピレングリコールメチルエーテル(SP値:9.77(cal/cm3)1/2、東京化成工業株式会社)
*水溶性有機溶剤G:下記式(I)で表される化合物(SP値:7.80(cal/cm3)1/2、商品名:ハイソルブ MDPOM、東邦化学工業株式会社製)
*エーテル型ウレタン樹脂B:商品名:SU−100N(中央理化工業株式会社製、体積平均粒子径(D50):84nm)
*エーテル型ウレタン樹脂C:商品名:W5661(三井化学株式会社製、体積平均粒子径(D50):11nm)
*エーテル型ウレタン樹脂D:商品名:XW−75−W932(三井化学株式会社製、体積平均粒子径(D50):8nm)
*アクリルシリコン系樹脂:商品名:AQ914(ダイセルファインケム社製、体積平均粒子径(D50):120nm)
*ポリエチレン型ワックスエマルジョンA:商品名:ノプコマル MS−40(サンノプコ株式会社製、融点:79℃)
*ポリエチレン型ワックスエマルジョンB:商品名:ノプコート PEM−17(サンノプコ株式会社製、融点=105℃)
*ポリエチレン型ワックスエマルジョンC:商品名:ハイテック E−6314(東邦化学工業株式会社製、融点:137℃)
*カルナバワックス:商品名:セロゾール 524(中京油脂株式会社製、融点:83℃)
*イソシアネート基含有樹脂:商品名:エラストロン E−37、第一工業製薬株式会社製)
*フッ素系界面活性剤である下記式(i)で示される化合物(商品名:ユニダイン DSN−403N)、ダイキン工業株式会社製)
<1> 着色剤、水溶性有機溶剤、及び水を含有する水性インクと、
ウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれか、水溶性有機溶剤、並びに水を含有する後処理液と、を有し、
前記後処理液中の前記水溶性有機溶剤及び前記水の混合溶液における溶解パラメータが、前記水性インク中の前記水溶性有機溶剤及び前記水の混合溶液における溶解パラメータに対して、1.5(cal/cm3)1/2以上低いことを特徴とする画像形成用セットである。
<2> 後処理液中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液における溶解パラメータが、水性インク中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液における溶解パラメータに対して、7.5(cal/cm3)1/2以下低い前記<1>に記載の画像形成用セットである。
<3> 後処理液中のウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれかにおける溶解パラメータと、後処理液中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液における溶解パラメータとの差が、4(cal/cm3)1/2以下である前記<1>から<2>に記載の画像形成用セットである。
<4> 後処理液中の水溶性有機溶剤が、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、下記式(I)で示される化合物、下記式(II)で示される化合物、及び下記式(III)で示される化合物から選択される少なくとも1種であり、
前記後処理液中の前記水溶性有機溶剤の含有量が、後処理液全量に対して、20質量%以上40質量%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成用セットである。
前記ウレタン樹脂が、アニオン性自己乳化型のエーテル型ウレタン樹脂であり、
前記アクリル樹脂が、アクリルシリコーン型樹脂である前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成用セットである。
<6> 後処理液中のウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれかが、体積平均粒子径が異なる少なくとも2種であり、
前記ウレタン樹脂及び前記アクリル樹脂の少なくともいずれか1種の体積平均粒子径が、水性インク中の着色剤の体積平均粒子径に対して、大きく、
前記ウレタン樹脂及び前記アクリル樹脂の少なくともいずれか他の1種の体積平均粒子径が、水性インク中の着色剤の体積平均粒子径に対して、小さい前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成用セットである。
<7> 後処理液が、ワックスをさらに含有し、
前記ワックスが、ポリエチレン型ワックスエマルジョン及びカルナバワックスの少なくともいずれかであり、かつ融点が、80℃以上140℃以下であり、
前記ワックスの含有量が、後処理液全量に対して、1質量%以上10質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成用セットである。
<8> 後処理液が、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれかと架橋する自己架橋型樹脂をさらに含有し、
前記自己架橋型樹脂が、イソシアネート基含有樹脂であり、
前記自己架橋型樹脂の含有量が、後処理液全量に対して、1質量%以上10質量%以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成用セットである。
<9> 水性インクが、フッ素系界面活性剤をさらに含有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の画像形成用セットである。
<10> 水性インク中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液における溶解パラメータが、18(cal/cm3)1/2以上22(cal/cm3)1/2以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の画像形成用セットである。
<11> 後処理液中の前記水溶性有機溶剤及び前記水の混合溶液における溶解パラメータが、10(cal/cm3)1/2以上30(cal/cm3)1/2以下である前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成用セットである。
<12> 後処理液中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液における溶解パラメータが、水性インク中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液における溶解パラメータに対して、3.0(cal/cm3)1/2以上5.0(cal/cm3)1/2以下低い前記<1>から<11>にいずれかに記載の画像形成用セットである。
<13> 水性インク中の混合溶液における水溶性有機溶剤の含有量(質量%)と、水の含有量(質量%)との質量比(水溶性有機溶剤/水)が、0.5以上2以下である前記<1>から<12>にいずれかに記載の画像形成用セットである。
<14> 後処理液中の混合溶液における水溶性有機溶剤の含有量(質量%)と、水の含有量(質量%)との質量比(水溶性有機溶剤/水)が、0.5以上2以下である前記<1>から<13>にいずれかに記載の画像形成用セットである。
<15> ウレタン樹脂の最低造膜温度が、25℃以下である前記<1>から<14>にいずれかに記載の画像形成用セットである。
<16> フッ素系界面活性剤が、下記式(i)で表される化合物である前記<9>から<15>にいずれかに記載の画像形成用セットである。
記録媒体に水性インクを吐出して画像を形成する画像形成手段と、前記記録媒体の前記水性インクが吐出された面上に後処理液を付与する後処理手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
<18> 前記後処理手段後に、記録媒体を乾燥させる乾燥手段を有する前記<17>に記載の画像形成装置である。
<19> 前記<1>から<16>のいずれかに記載の画像形成用セットを用いた画像形成方法であって、
記録媒体に水性インクを吐出して画像を形成する画像形成工程と、前記記録媒体の前記水性インクが吐出された面上に後処理液を付与する後処理工程とを含むことを特徴とする画像形成方法である。
<20> 水性インクを吐出した1秒間後から3秒間後の間に後処理液を付与する前記<19>に記載の画像形成方法である。
Claims (11)
- 着色剤、水溶性有機溶剤、及び水を含有する水性インクと、
ウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれか、水溶性有機溶剤、並びに水を含有する後処理液と、を有し、
前記後処理液中の前記水溶性有機溶剤及び前記水の混合溶液における溶解パラメータが、前記水性インク中の前記水溶性有機溶剤及び前記水の混合溶液における溶解パラメータに対して、1.5(cal/cm3)1/2以上低いことを特徴とする画像形成用セット。 - 後処理液中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液における溶解パラメータが、水性インク中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液における溶解パラメータに対して、7.5(cal/cm3)1/2以下低い請求項1に記載の画像形成用セット。
- 後処理液中のウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれかにおける溶解パラメータと、後処理液中の水溶性有機溶剤及び水の混合溶液における溶解パラメータとの差が、4(cal/cm3)1/2以下である請求項1から2のいずれかに記載の画像形成用セット。
- 後処理液中のウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれかの含有量が、後処理液全量に対して、10質量%以上40質量%以下であり、
前記ウレタン樹脂が、アニオン性自己乳化型のエーテル型ウレタン樹脂であり、
前記アクリル樹脂が、アクリルシリコーン型樹脂である請求項1から4のいずれかに記載の画像形成用セット。 - 後処理液中のウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれかが、体積平均粒子径が異なる少なくとも2種であり、
前記ウレタン樹脂及び前記アクリル樹脂の少なくともいずれか1種の体積平均粒子径が、水性インク中の着色剤の体積平均粒子径に対して、大きく、
前記ウレタン樹脂及び前記アクリル樹脂の少なくともいずれか他の1種の体積平均粒子径が、水性インク中の着色剤の体積平均粒子径に対して、小さい請求項1から5のいずれかに記載の画像形成用セット。 - 後処理液が、ワックスをさらに含有し、
前記ワックスが、ポリエチレン型ワックスエマルジョン及びカルナバワックスの少なくともいずれかであり、かつ融点が、80℃以上140℃以下であり、
前記ワックスの含有量が、後処理液全量に対して、1質量%以上10質量%以下である請求項1から6のいずれかに記載の画像形成用セット。 - 後処理液が、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくともいずれかと架橋する自己架橋型樹脂をさらに含有し、
前記自己架橋型樹脂が、イソシアネート基含有樹脂であり、
前記自己架橋型樹脂の含有量が、後処理液全量に対して、1質量%以上10質量%以下である請求項1から7のいずれかに記載の画像形成用セット。 - 請求項1から8のいずれかに記載の画像形成用セットを用いた画像形成装置であって、
記録媒体に水性インクを吐出して画像を形成する画像形成手段と、前記記録媒体の前記水性インクが吐出された面上に後処理液を付与する後処理手段とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 後処理手段後に、記録媒体を乾燥させる乾燥手段を有する請求項9に記載の画像形成装置。
- 請求項1から8のいずれかに記載の画像形成用セットを用いた画像形成方法であって、
記録媒体に水性インクを吐出して画像を形成する画像形成工程と、前記記録媒体の前記水性インクが吐出された面上に後処理液を付与する後処理工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
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