図1は、本発明の1実施例構成図を示す。
図1において、電子ビームコラム1は、電子ビーム3を発生する鏡筒であって、図示外の電子ビーム3を発生する電子銃、電子銃で発生された電子ビーム3を集束する集束レンズ、集束レンズで集束した電子ビーム3を細く絞ってフォトマスク(試料)8に照射しつつ図示外の2段偏向器でXY走査させる対物レンズ2、およびフォトマスク8で発生した2次電子を検出する検出器などから構成される公知のものである。典型的な電子ビームコラム1は直径が10cm程度、長さが数十センチ程度である。シミュレーション上では、電子ビームコラム1の色々な屈曲運動が算出されるが、剛性が非常に大きいため電子ビームコラム1自身の屈曲振動の振動振幅は無視できるほど小さく、電子ビームコラム1の振動は電子ビームコラム1が設置されている天板41の振動とほぼ同じと見なせることが判明している。
対物レンズ2は、電子ビームコラム1を構成するものであって、電子ビーム3を細く絞ってフォトマスク(試料)8に照射するものである。照射された細く絞られた電子ビーム3は図示外の2段偏向器でXY走査される。
電子ビーム3は、電子ビームコラム1を構成する図示外の電子銃で発生された電子ビームである。
真空チャンバー4は、真空に図示外の真空排気系で排気され容器であって、底板42、天板41を有する真空容器であり、図示のように、XYステージ5、弾性材料6、マスクパレット7、フォトマスク8、固定部材9、上下機構10などを真空中に収納する容器である。真空チャンバー4の上部の天板41には電子ビーム3を照射するための電子ビームコラム1が配置されている。真空チャンバー4は純鉄など磁気シールド効果がある材料で出来ており、その厚みは大凡3cm、天板4の厚みは6cm程度ある。
XYステージ5は、底板42上に固定され、上部に搭載された弾性材料6、マスクパレット7、フォトマスク8などをXY方向に精密に移動させるものである。XY方向の移動は、図示外のレーザー干渉計によりリアルタイムにX、Y方向の位置を測定しつつ所望の位置(指定された位置)に移動制御する。
弾性材料6は、上下機構10が天板41を押圧したときに適度な接触力で該上下機構10と天板41とが接触して機械的にフォトマスク8を天板41に対して剛性接続(固定)するためのものであって、実験により求めて適切な圧力で接触するように構成したものである。尚、弾性材料6の代わりに圧電素子、あるいは弾性材料に直列接続した圧電素子を装着し、上下機構10と連動して実験で求めた適切な圧力で上下機構10と天板41とが接触するように構成してもよい。
マスクパレット7は、フォトマスク8を保持するものであって、アルミなどの金属や低熱膨張セラミックなどで出来ており、電子ビーム3が近傍を通過するため、非磁性材料が使用されている。天板との機械的結合を容易にするために、ハニカム構造を用いるなど、剛性が大きく軽量化を図ることが望ましい。
固定部材9は、マスクパレット7と上下機構10とを機械的に接続(固定)する部材である。
上下機構(アクチュエータ)10は、上下に移動して天板41を押圧し、フォトマスク8を天板41に機械的に剛性接続(固定)し、天板41とフォトマスク8とが一緒に振動するように剛性接続するためのものであって、圧電素子や超音波モータあるいは磁気シールドを施した電磁モータ、ソレノイド、ボイスコイル、リニアモータ、油圧等を用いたシリンダなどで作製したものであり、必要な上下昇降距離および発生力等を考慮して決定したアクチュエータである。
天板41は、真空チャンバー(試料室)の上側の頑丈な天板であって、対物レンズ2と剛性接続(固定)されたものである。通常は、磁気シールドを行うために、純鉄などが利用される。
底板42は、真空チャンバー(試料室)の下側の頑丈な底板である。
次に、構成および動作を説明する。
(1)フォトマスク8を装着したマスクパレット7を、図示外の試料交換ロボットにより図示の位置に搬送して固定する。
(2)XYステージ5を図示外のレーザー干渉計でリアルタイムに計測しつつ移動制御し、指定された位置に対物レンズ2により細く絞られてXY走査される電子ビーム3が照射される位置に移動させる。これにより、フォトマスク8上の所望の場所(測長場所)に、電子ビーム3がXY走査する位置に対応づけられたこととなる。
(3)通常時(非測定時)は、マスクパレット7上にある上下機構10は短縮しており、天板41との間に隙間が生じ、天板41には接触しない。そのため、XYステージ5は自由に移動することが出来る。
(4)一方、電子ビーム観察あるいは測定中などはPC等からの信号によって、上下機構10は天板41に到達するまで伸び、天板41とマスクパレット7との間に機械的な結合が生じる。また、マスクパレット7とXYステージ5とは弾性材料6などで弾性結合しており微小変形が許されるようになっている。これらの構造により、XYステージ5上のマスクパレット7に保持されたフォトマスク(試料)8と電子ビームコラム1を設置した真空チャンバー4の天板41との振動がほぼ一致するように振動する。
(5)天板41の高さが広い範囲で一定になる仕組みによって、XYステージ5がどこに移動しても、上下機構(アクチュエータ)10の伸縮動作によって、天板41に対して固定、非固定を切り替えることが出来る。もちろん対物レンズ2のポールピースの高さに天板41の高さを合わせれば、天板41の任意の位置で固定できるのでもっと良い。天板は、サブミクロンオーダーの平坦度であることが望ましい。
(6)マスクパレット7上に配置されたフォトマスク(試料)8の振動は、XYステージ5の共鳴振動に原因があることが多い。そのため、図1に示したように、マスクパレット7と天板41の間に強い力学的な結合を作り、かつ、XYステージ5とマスクパレット7との間には弾性材料6を入れて変形を許容し、力学的に切り離してしまうと、XYステージ5の振動がフォトマスク8には伝わらない、または、伝わり難くなる。
このようにすることで、電子ビームコラム1(あるいは対物レンズ2)とフォトマスク8との振動は一致するため、相対的に振動が無くなり、電子顕微鏡の画像には振動が現れなくなる。
(7)上下機構10の駆動方法に電磁力を用いる場合は、電子ビーム3による観察や測定をしているときに、悪影響を及ぼさないように制御電流を流さないことが望ましい(ノーマリーオフ)。それを実行するために、電源オフの状態で天板41に接触し、電源オンの状態で引きはがされる機構を有することが望ましい。例えば、ばねの力で、電磁力がオフの時は上下機構(アクチュエータ)10が伸びた状態にあり、電磁力をオンにすることで、上下機構(アクチュエータ)10が縮み、天板41と非接触となり自由にXYステージ5で移動できるようにする。このような考え方を適用すれば、幅広いアクチュエータを電子ビームに影響を与えず利用できる。
図2は、本発明の電子顕微鏡ステージの力学モデル説明図を示す。これは、既述した図1の底板42、弾性材料6、(マスクパレット7+フォトマスク8)、上下機構10、(天板41+対物レンズ2)の間の振動に関する力学モデルを模式的に表したものである。
図2において、底板42は、図1の真空チャンバー4を構成する底板42である。
Ksは、図1の弾性材料6のばね定数である。
Mは、測定対象等であって、図1のマスクパレット7、フォトマスク8である。
Kfは、図1の圧電素子(上下機構)10のばね定数である。
対物レンズ2(天板41)は、図1の真空チャンバー4を構成する天板41、および電子ビームコラム1を構成する対物レンズ2であって、対物レンズ2は天板41に強く固定されたものである。
以上のように、図1の上下機構(圧電素子)10でマスクパレット7と天板41とを剛体接続すると、図2に示すように剛体接続され、測定対象等(マスクパレット7、フォトマスク8)が当該剛体接続により対物レンズ2、天板41に強く接続されて一緒に振動するように構成されることとなり、たとえ測定対象等(マスクパレット7、フォトマスク8)が振動したとしても対物レンズ2や天板41と一緒に振動し、画像上に振動が現れなくなくすることが可能となる。
図3は、本発明の1実施例構成図(その2)を示す。図3は、図1の上下機構10がマスクパレット7の側に配置した代わりに、図3の天板41の側に配置した例を示す。
図3において、上下機構10は、固定部材9を介して天板41に固定されたものである。図3では、上下機構(アクチュエータ)10は図1のマスクパレット7の側ではなく、天板41の側に配置し、マスクパレット7の構造を簡単にしたものである。
これは、フォトマスク8をフォトマスクパレット7に載せた状態で、フォトマスクパレット7を図示外のロボットアームで外部に取り出す必要があるため、フォトマスクパレット7上に上下機構(アクチュエータ)10が配置されていると、搬送時にひっかかる可能性がある。図3では、フォトマスクパレット7上に上下機構(アクチュエータ)10が無いため、全体を薄くすることが可能であり、搬送系がシンプルで小型になるため搬送中に引っかかることが無い。
また、マスクパレット7の側に上下機構(アクチュエータ)10の接触面が必要なので、フォトマスク8のサイズの外側に接触面を確保する。例えば、フォトマスク8の観察範囲が10cm×10cm程度であれば、フォトマスク8の外側に、上下機構(アクチュエータ)10の接触面として数cm幅の接触面の領域を設けることが望ましい。
図4は、本発明の1実施例構成図(その3)を示す。図4は、対物レンズ2のポールピース21の底面に上下機構10を配置した例を示す。
図4において、上下機構(アクチュエータ)10は、電子ビームコラム1の底面の対物レンズ・ポールピース21に配置したものである。本発明者の振動実験によると、電子ビームコラム1の振動は天板41の振動とほとんど一致していることが判明しているが、設置場所が許せば、電子ビーム着地点を決定する対物レンズ・ポールピース21とフォトマスク(サンプル)8とが機械的に結合することが両者の振動を一致させるためには最も望ましい。
図4では、電子ビームコラム1の底面にある対物レンズ2のポールピース21に直接に上下機構(アクチュエータ)10を設けている。ポールピース21はパーマロイ等の高透磁率磁性材料で出来ており周辺の磁場変動の影響を受けて対物レンズ2の状態が変化し易いため、上下機構(アクチュエータ)10には圧電素子等の非磁性のものを用いることが望ましい。フォトマスク(サンプル)8の表面を傷つけないように、上下機構(アクチュエータ)10の先端部にはクッション性のある材料で被覆してある。また、上下機構(アクチュエータ)10が横滑りするとフォトマスク8の表面に傷が付くので、上下機構(アクチュエータ)10は出来るだけフォトマスク8の表面に対して垂直に移動させる。フォトマスク8はXYステージ5から機械的に切り離されるように弾性材料6で支持されている。このようにすると、電子ビームコラム1の振動とフォトマスク(サンプル)8の振動とは完全に一致させることが出来る。これにより、画像に現れる振動を低減することが出来る。
図5は、本発明の1実施例構成図(その4)を示す。図5は、上下機構(アクチュエータ)12をマスクパレット7の下側に配置した例を示す。
図5において、上下機構12は、マスクパレット7を、対物レンズ・ポールピース21に固定した固定蓋11に押圧して剛体接続するものである。上下機構12は、フォトマスク8をXYステージ5で移動させるときは縮んで、固定蓋11との間に隙間がある。電子ビーム観察を行う時には上下機構(アクチュエータ)12が伸びてマスクパレット7を、対物レンズ・ポールピース21に固定した固定蓋11に押し付ける。上下機構(アクチュエータ)12は上下伸縮方向には剛性が高いが、横方向には小さいものを利用する。このようにすると上下機構(アクチュエータ)12を伸ばしてマスクパレット7を固定蓋11に接触させた時、フォトマスク8は宙に浮いたようになる。そのため、フォトマスク8の振動は容易に対物レンズ・ポールピース21のある電子ビームコラム1の側に支配されるようになり、XYステージ5から来る振動を避けることが出来る。
また、図5では、WDは対物レンズ2の底部に設けた固定蓋11の厚みで正確に決まるため、フォトマスク8を対物レンズ2にぶつける心配が不要でWDを安心して小さくすることが出来る。一般に電子顕微鏡はWDを短くするとそれに比例して分解能の向上が図れるが、本実施例によりWDの短縮化が達成され,さらなる高分解能の電子顕微鏡を実現できる。WDが一定なので、オートフォーカスも通常不要となる。
図6は、本発明の1実施例構成図(その5)を示す。図6は、上下機構(アクチュエータ)14をマスクパレット7の下側に配置し、かつ対物レンズ2の底面のポールピース21にストッパー131を固定してこれにフォトマスク8を接触させて剛体接続した例を示す。
図6の(a)は全体構成図を示し、図6の(b)はストッパー131の模式図を示す。
図6において、上下機構14は、フォトマスク8を移動させるときは縮んで対物レンズ2のポールピース21に固定したストッパー131と、フォトマスク8との間には隙間が空いているが、電子ビーム観察を行う時には上下機構(アクチュエータ)14は伸びてフォトマスク8をストッパー131に押し付ける。対物レンズ2のポールピース21の底面にはやわらかい材料で出来ているストッパー131があり、フォトマスク8が押し付けられた時にフォトマスク8の表面に傷が付かないようになっている。上下機構(アクチュエータ)14は上下伸縮方向には剛性が高いが、横方向には小さいものを利用する。このようにすると上下機構(アクチュエータ)14を伸ばしてフォトマスク8とをストッパー131に接触させた時、フォトマスク8は宙に浮いたようになる。そのため、フォトマスク8の振動は容易に対物レンズ2のある電子ビームコラム1の側に支配されるようになり、XYステージ5から来る振動を避けることが出来る。
図6では、WDは対物レンズ2のポールピース21の底部に設けたストッパー131の厚みで正確に決まるため、フォトマスク8を対物レンズ2のポールピース21にぶつける心配が不要でWDを安心して小さくすることが出来る。一般に電子顕微鏡はWDを短くするとそれに比例して分解能の向上が図れるが、本実施例によりWDの短縮化が達成されさらなる高分解能の電子顕微鏡を実現できる。WDが一定なので、オートフォーカスも通常不要となる。
図7は、本発明のいろいろなストッパー形状例を示す。これは、既述した図6の対物レンズ2のポールピース21の底部に固定するストッパー131の形状例を示す。
図7の(a)は、円板で中心に電子ビーム3が通過する穴を設けたストッパー131の例を示す。図6の上下機構14が動作して上方向に伸びると、フォトマスク8が図示のストッパー131の部分に接触して中心部分で剛体接続(中心支持)する。
図7の(b)は、軸対称の4個に分割した部分を設けたストッパー131の例を示す。図6の上下機構14が動作して上方向に伸びると、フォトマスク8が図示のストッパー131の4つの分割部分に接触して剛体接続(分割支持)する。
図7の(c)は、大きなリング状の平板としたストッパー131の例を示す。図6の上下機構14が動作して上方向に伸びると、フォトマスク8が図示のストッパー131のリング状の部分に接触して剛体接続(周辺支持)する。
図7の(d)は、メッシュ状の平板としたストッパー131の例を示す。図6の上下機構14が動作して上方向に伸びると、フォトマスク8が図示のストッパー131のメッシュ状の部分に接触して剛体接続(メッシュ支持)する。
図8は、本発明の他の実施例構成図を示す。図8は、従来の電子顕微鏡とは全く逆にフォトマスク(サンプル)8を真空チャンバー4の内部に逆さに吊るし、かつ、XYステージ5上に逆にした電子ビームコラム1を配置した例を示す。つまり、フォトマスク(サンプル)8では無く電子ビームコラム1がXYステージ5によって移動する方式である。
図8において、上下機構15は、電子ビームコラム1が移動している間は、フォトマスク(サンプル)8がXYステージ5から機械的に切り離されるように、フォトマスク8を天板41の側に持ち上げるものである。一方、電子ビームコラム1が移動を停止して測定する時は、XYステージ5の側にフォトマスク(サンプル)8を降ろして天板41との機械的接触を断つ。このようにすると、XYステージ5で発生する振動と、電子ビームコラム1およびフォトマスク8の振動は一致するようになる。この状態で細く絞った電子ビーム3でフォトマスク8上をXY平面走査してそのときに放出された2次電子ビームを検出・増幅して画像観察を行えば、画像上の揺れは無くなる。
支持機構161は、フォトマスク8を搭載したマスクパレット91を、上下機構15が動作して下方向に移動したときに、当該フォトマスク8を搭載したマスクパレット91を支持するものである。
マスクパレット91は、フォトマスク8を通常とは逆方向に保持(即ち、下面が観察面として保持)するものである。
図9は、本発明の他の実施例構成図(その2)を示す。図9は、図1の構成に加えて、更に、ミラー(1)15と距離測定装置(1)16、およびミラー(2)15と距離測定装置(2)16により、対物レンズ2の振動する位置およびマスクパレット7(フォトマスク8)の振動する位置をそれぞれ検出し、これら検出結果をもとに補正を行う例を示す。
図9において、ミラー(1)15および距離測定装置(1)16は、ミラー(1)15を対物レンズ2のポールピース21の部分に固定し、距離測定装置(1)16、例えばレーザー干渉計で該ミラー(1)15の位置、ここでは、振動する位置情報をリアルタイムに検出するものである。
ミラー(2)15および距離測定装置(2)16は、ミラー(2)15をマスクパレット7(あるいはフォトマスク8)の部分あるいは近傍に固定し、距離測定装置(2)16、例えばレーザー干渉計で該ミラー(2)15の位置、ここでは、振動する位置情報をリアルタイムに検出するものである。
次に、構成および動作を説明する。
(1)既述した図1のフォトマスク8を搭載したマスクパレット9を上下機構10で天板41あるいは対物レンズ2に剛体接続することで取得した画像上のかなりの振動成分が除去できるが、必ずしも完全ではない。そこで、図9では図1の機械的方法によって除去できない画像上振動残渣を取り除くために、レーザー干渉計等の極めて精密かつリアルタイム検出可能な装置を用い、フォトマスク8に生じている振動(位置変化)と、電子ビームコラム1を構成する対物レンズ2に生じている振動(位置変化)とをリアルタイムに検出し、画像取得と、同時測定した2つの振動(位置変化)とをもとに、両者の振動(位置変化)の差だけ取得画像をシフトする画像処理を行い画像上に現れる振動を除去する。
(2)そのため、図1で既述した機械的結合に加えて、図9でマスクパレット7の上に干渉測定用のミラー(2)15をX軸、Y軸用にそれぞれ配置、および電子ビームコラム1の対物レンズ2の近傍あるいは天板41にミラー(1)15をX軸、Y軸用にそれぞれ配置する。距離測定装置(2)16および距離測定装置(1)16を構成するレーザー干渉計(2)、(1)によってそれぞれの位置を連続的に測定し、その位置の差分を算出(必要に応じて取得画像と、連続的に測定した位置とを同期して記録)する。算出した位置の差分に対応して、取得した画像を補正する(後述する図10以降参照)。
(3)例えば、画像振動の原因と成る機械振動の周波数範囲は0から大凡2KHz程度であり、主成分は100/120Hz(電源周波数の2倍)近傍に多いことが知られている。また、XYステージ5などの特定の場所が共振して起こることが多いため、単一の周波数で構成されることも多い。このように振動現象は1msecよりも長い応答時間を持ち、比較的ゆっくりした現象である。この時間よりも十分に短い時間で位置を測定すれば、振動の位置あるいは位相を正確に測定可能である。その周波数に注目して、フィルターを使用して他の周波数に応答しなくするなどすることがシステムを簡単に構成する上で重要である。
(4)一方、現在入手可能なレーザー干渉位置測定装置は0.03nm以上の測定分解能を持ち、100nsec以上の速度で位置測定が出来るものが入手可能である。従って、レーザー干渉計はサブナノメートル振動する天板41やフォトマスク8の位置変動を実時間で測定することが可能である。
(5)一方、電子ビーム走査による画像取得は通常数十MHz以上のピクセルクロックを利用して実施される。例えば、ピクセルクロックが10MHzの場合、1000ピクセルで構成される1本のライン走査は、100μ秒、1000×1000ピクセルで構成される1フレームの画像取得時間は100m秒である。従って、少なくとも1ラインを走査する度に、振動の位置を測定すれば、画像補正をするために必要なサブナノメートル精度で位置情報を知ることが出来る。
図10は、本発明の説明図(画像振動除去)を示す。図10は、図9のシステム構成の例を示す。
図10において、S1は、同期信号をS2の画像取得およびS4の距離測定装置(1)、S5の距離測定装置(2)に通知する。これは、図9において、図示外のPC(パソコン)から同期信号として画像取得開始信号をS2の画像取得手段に通知、および同期信号として測定開始信号をS4の距離測定装置(1)16、S5の距離測定装置(2)16にそれぞれ通知する。
S2は、画像取得する。これは、S1から通知された同期信号(画像取得開始信号)に同期して図9で、上下機構10を上方向に伸ばしてマスクパレット7を固定部材9、上下機構10を介して天板41に押圧して剛体接続した状態で、細く絞った電子ビーム3をフォトマスク8に照射しつつXY走査させ、そのときに放出された2次電子を2次電子検出器で検出・増幅し、検出・増幅された信号をもとに画像(2次電子画像)を取得する。 S3は、画像ピクセル逓倍する。S2で取得した画像のままのピクセルの細かさでは、ここで対象とするサブナノメートル分解能の差を表現できないので、取得した画像のピクセル数を逓倍して増やし、該対象とするサブナノメートルを表現できるようにする。この状態で、後述する画像(1ライン分の画素あるいは1ラインの所定数分の1の画素など)をずらしながら重ね合わせ、1枚のフレーム画像に補正できるようにする。
S4、S5は、距離測定装置(1)、(2)が同期信号(位置測定開始信号)をもとに、図9のミラー(1)、(2)に向けて放射したレーザー光線と反射したレーザー光線とをもとに公知の手法でリアルタイムに位置情報を取得する。
S6は、差分評価する。これは、S4、S5でそれぞれ取得したリアルタイムの位置情報の差分(リアルタイムの位置の差分)を算出する。
S7は、倍率調整する。これは、画像取得したときの倍率に対応して画像上の位置の変化が変わるので該倍率でその調整(補正)を行う(倍率で規格化する)。
S8は、取得画像の位置シフトし、重ね合わせる。これは、S7の規格化後の振動の差をもとに、S2、S3で取得した画像ピクセル逓倍した後の画像について当該振動の差に対応するだけシフトして補正し振動の差分をキャンセルする(図11を用いて後述する)。
S9は、振動除去画像を出力する。
以上によって、図9の構成のもとで、上下機構10を動作させてマスクパレット7を天板41に剛体接続した状態で、細く絞った電子ビーム3をフォトマスク8に照射しつつ平面走査してそのときに放出された2次電子を検出・増幅して生成した取得画像と(S1からS3)、ミラー(1)、(2)の位置の変化(振動)をリアルタイムに測定した信号の差分とをもとに(S4からS7)、取得画像を位置シフトして重ね合わせる補正を行い(S8)、振動除去した画像を生成することが可能となる。
次に、図11を用いて画像振動除去について詳細に説明する。
図11の(a)はフローチャートを示し、図11の(b)はその模式説明図を示す。
図11の(a)において、S11は、マスク、天板の位置を同時測定、およびSEM画像を同時取得する。これらは、図10のS1、S4、S5、およびS1、S2で既述したように、フォトマスク8(マスクパレット7)の位置をミラー(2)15と距離測定装置(2)16で、天板41の位置をミラー(1)15と距離測定装置(1)16で位置を同時測定、およびフォトマスク8に細く絞った電子ビーム3を照射しつつXY走査してそのときに放出された2次電子を検出・増幅してSEM画像を同時取得する。
S12は、位置の差を計算する。これは、S11で同時測定した距離測定装置(2)と(1)とで計測した位置の差を計算する。例えば、ある時間にミラー(1)とミラー(2)の位置がそれぞれa,bである場合、差分はa−bと評価する。これはある瞬間に天板41とフォトマスク8とが振動でa−bだけ位置がずれていることを意味している。この際、画像情報の取り込む速度は、位置測定の誤差が生じない程度に高速に行う。
S13は、差が0になるようにSEM画像位置を移動する。これは、S12で算出した位置の差が0となるように、取得画像の位置を移動し、振動の差分を補正する。この際、取得画像は所望の位置分解能が表現できるようにピクセル逓倍を補間方法など利用して行う。そして、取得画像の位置座標を、コンピュータ上でa−bだけずらして、基準位置に対して差分が0の画像を生成する。位置座標は取得画像の倍率に依存するので、それを係数として考慮してシフトするピクセル量を算出する。
S14は、前のSEM画像に重ね合わせる。これを必要回数繰り返して1枚の蓄積画像を完成させる。
S15は、画像取得が完了か判別する。これは、1枚の画像取得が完了したか判別する。YESの場合にはS16に進む。NOの場合には、S11以降を繰り返す。
S16は、SEM画像を出力する。これは、振動補正後のSEM画像を出力する。
図11の(b)は、図11の(a)の模式説明図を示す。左側が補正前、右側が補正後を示す。
図11の(b−1)は補正前の画像が右側にシフト(振動でシフト)した例を模式的に示す。図11の(b−2)は補正後の画像の例を模式的に示す。この(b−2)は、(b−1)の補正前はbだけ右シフトしたと判明したので(S12の差)、その差のbだけ左側に補正して差を0にした状態(ろうそくが中央の位置)に戻す補正したものである。
同様に、図11の(b−3)は補正前の画像が左にシフト(振動でシフト)した例を模式的に示す。図11の(b−4)は補正後の画像の例を模式的に示す。この(b−4)は、(b−3)の補正前はbだけ左シフトしたと判明したので(S12の差)、その差のbだけ右側に補正して差を0にした状態(ろうそくが中央の位置)に戻す補正したものである。
図11の(b−5)は補正前の振動による位置の差ば左にb,右にbだけずれた画像を重ねたものであって、図示のように「ぼけ有」となる。
図11の(b−6)は補正後の振動による位置の差をそれぞれ補正した後の画像を重ねたものであって、図示のように「ばけ無」となる。
尚、bの位置の補正は、取得画像の1ライン毎(あるいは1ライン内で位置が所定範囲よりも大きく変動している場合には1画素毎あるいは位置変動が閾値範囲内の所定画素毎)に行う。
尚2、bの位置の補正は、図11の(b)では説明を簡単にするために、左右方向(X方向)のみ行ったが、実際の位置の補正は更に上下方向(Y方向)にも同様にして行う。
図12は、本発明の他の実施例構成図(その3)示す。図12は、既述した図9から図11で使用した位置センサ(ミラー15と距離測定装置16)の代わり、振動センサ17に置き換えて振動を検出する構成にしたものである。他の構成は、図9と同一であるので説明を省略する。
ここで、電子ビームコラム1を搭載する天板41と、マスクパレット7(あるいはフォトマスク8)とに振動センサ17をそれぞれ取り付け、それぞれの振動を測定してその差分を評価することで、電子ビームコラム1の天板41と、フォトマスク8との相対振動量を検出し、その量を用いることで画像に現れる振動を除去するものである。以下順次詳細に説明する。
図12において、振動センサー(1)、(2)17は、振動を検出するものであって、例えば加速電センサーであり、これを2重積分して位置の変動を検出するためのものである。振動センサー17として用いる加速度センサーとしては、通常、帯域が0から1KHz程度、感度が0.1g/V程度である。最近では容易にXY2軸を同時測定可能な高感度なMEMS加速度センサーも容易に入手可能であり、サイズも数mm角と極めて小さいので容易に実装出来る。機械振動は0Hz近傍から精々1KHz程度なので、それ以上高い不要な信号はフィルター等によって取り除くことが望ましい。既述した図9から図11の構成と同様に、振動センサー(1),(2)17を用いてマスクパレット7(あるいはフォトマスク8)の振動振幅と、天板41の振動振幅との差を評価する。加速度を評価しているので、2重積分して位置座標に直して用いる。
尚、二重積分は不安定になりやすいが、同じ特性を実現し易い2つのMEMS加速度センサ−の積分値の差は比較的安定になる傾向がある。この値を用いて取得した画像情報の位置座標をシフト(X,Y方向に位置のずれだけシフト)する。必要回数振動測定と画像取得およびシフトを行って画像を重ね合わせ、振動を取り除いた最終画像を得る。
図13は、本発明の説明図(画像振動除去、その2)を示す。既述した図9の説明である図10のS4の距離測定装置(1)、S5の距離測定装置(2)で位置の変動を直接に検出し、S6でその位置の差分を評価していたが、当該図13は図12の説明である当該図13のS24の振動センサー(1)、S25の振動センサー(2)で加速度を検出し、S26で2重積分後の位置差を計算することに置き換えたものである。他の説明のS21、S22、S23、S27、S28、S29は、図10の対応するS1、S2、S3、S7、S8、S9と同一であるので説明を省略する。
図13において、S24、S25は、振動センサー(1)、(2)が同期信号(位置測定開始信号)をもとに、図11の振動センサー(1)、(2)17から加速度信号の取得を開始する。
S26は、二重積分後、位置差を計算する。これは、S24、S25で取得した振動センサー(1)、(2)からの加速度信号を二重積分して位置情報を計算し、計算した位置情報の差分(位置差)を計算する。
以上によって、図12の構成のもとで、上下機構10を動作させてマスクパレット7を天板41に剛体接続した状態で、細く絞った電子ビーム3をフォトマスク8に照射しつつ平面走査してそのときに放出された2次電子を検出・増幅して生成した取得画像と(S21からS23)、振動センサー(1)、(2)の加速度を二重積分して位置情報に変換した後に両者の差分(位置差分)を算出し、この算出した位置差分(S24、S25、S26)をもとに、取得画像の位置シフトして重ね合わせる補正を行い(S27、S28)、振動除去した画像を生成することが可能となる。
図14は、本発明の動作説明図(画像振動除去、その2)を示す。既述した図11の(a)のS11、S12で2つの位置を同時測定してその差を算出したのに対して、図14の(a)のS31、S32で振動(加速度)を同時測定して二重積分して算出した位置の差を算出するように置き換えたものである。その他の図14の(a)のS33からS36、および図14の(b)は、図11の(a)のS13からS16、および図11の(b)と同じであるので、説明を省略する。
図14の(a)において、S31は、マスク、天板の振動(加速度)を同時測定、およびSEM画像を同時取得する。これらは、図13のS21、S24、S25、およびS21、S22で既述したように、フォトマスク8(マスクパレット7)の振動を振動センサー(2)17で、天板41の振動を振動センサー(1)17で同時測定、およびフォトマスク8に細く絞った電子ビーム3を照射しつつXY走査してそのときに放出された2次電子を検出・増幅してSEM画像を同時取得する。
S32は、積分して位置の差を計算する。これは、S31で同時測定した振動を二重積分して位置を算出し、これら算出した位置の差分を計算する。例えば、ある時間に振動センサー(1)と振動センサー(2)の二重積分した後の位置がそれぞれa,bである場合、差分はa−bと評価する。これはある瞬間に天板41とフォトマスク8とが振動でa−bだけ位置がずれていることを意味している。この際、画像情報の取り込む速度は、位置測定の誤差が生じない程度に高速に行う。
以下、図11の(a)のS13からS16と同様に図14の(a)のS33からS36を実行することにより、差が0となるようにSEM画像を移動し、振動補正後のSEM画像を出力することが可能となる。
図14の(b)は、図14の(a)の模式説明図を示す。左側が補正前、右側が補正後を示す。図14の(b−1)から(b−6)は、既述した図11の(b−1)から(b−6)と同様であるので、説明を省略する。
図15は、本発明の他の実施例構成図(その4)を示す。図15は、図11が取得画像を移動して振動補正を行う代わりに、フォトマスク8上を照射する電子ビームの位置を、電子ビーム偏向器18で移動して振動補正するものである。図15における電子ビーム偏向器18以外は、図9の番号のものと同一であるので説明を省略する。
図15において、電子ビーム偏向器18は、対物レンズ2で細く絞った電子ビーム3をフォトマスク8上に照射しつつXY走査する位置を、X、Yの任意の方向にダイナミック(リアルタイム)に高速移動させる偏向器である。XY走査用の偏向器と兼用してもよいし、独立に設けてもよい。以下構成および動作を順次説明する。
(1)図15の構成は、画像取得を行う際に、直接に画像振動を除去(キャンセル)するものであって、実時間に距離測定装置(1)、(2)16で測定した電子ビームコラム1を搭載する天板41などの位置と、フォトマスク8(マスクパレット7)の位置との差をサブナノメートル分解能で計測し、その差に相当する分だけ電子ビームの偏向を余計に行うことで見かけ上、フォトマスク8が振動していないように振動補正するものである。つまり、フォトマスク8の振動の方向(X、Y方向)に追従して細く絞った電子ビームを偏向し、見かけ上、フォトマスク8が振動しないように振動補正するものである。
(2)そのため、図15の構成に用いる電子ビーム走査装置(スキャン偏向器)のピクセル分解能は通常のピクセル走査よりも細かい分解能(振動補正対象とする最小分解能)で電子ビームを走査可能なように出来ている。例えば、通常の画像取得では視野3ミクロンを1000ピクセル程度で表現する。この場合、ピクセル分解能は3nmである。図15の電子ビーム走査装置は例えばその10分の1以下の0.3nm分解能で電子ビーム走査を行う能力を有したものを用いる。
(3)例えば、右方向(X方向)に0.3nm移動するような画像振動が加わった場合、距離測定装置(1)、(2)は電子ビームコラム1を搭載する天板41と、フォトマスク8との間に0.3nmの誤差があることを検出する。この検出された信号を電子ビーム偏向器18に通常の走査信号に加えて入力する。そうすると、電子ビーム3のフォトマスク8上の着地点は0.3nmだけ右に寄った場所になり(追従し)、振動が無い場合に電子ビーム3が照射すべき場所と一致させることが出来る。このようにして画像上に現れる振動を取り除くことが出来る。この方式では、ピクセル数は増えないので、高速のコンピュータで画像処理する必要がない。
(4)電子ビーム偏向器18は、MHzよりも十分高速に実施できるため(静電偏向器など)、現在のフォトマスク8の位置を特定(距離測定装置(2)で位置を特定)し、基準となる位置を特定(距離測定装置(1)で天板41(対物レンズのポールピース)の位置を特定)し、基準となる位置からのフォトマスク8の位置までの差を算出し、この算出した差で補正するように電子ビーム3を電子ビーム偏向器18で偏向することで、フォトマスク8が基準位置に対して振動した場合にその振動に追従して電子ビーム3の位置を電子ビーム偏向器18で偏向することをリアルタイムに行い、画像に現れる振動を除去することが出来る。
次に、図16を用いて図15の構成の動作を説明する。
図16は、本発明の説明図(画像振動除去、その3)を示す。
図16において、S41は、同期信号をS42の電子ビーム走査装置およびS43の距離測定装置(1)、S44の距離測定装置(2)に通知する。これは、図15において、図示外のPC(パソコン)から同期信号として画像取得開始信号をS42の電子ビーム走査装置に通知、および同期信号として測定開始信号をS43の距離測定装置(1)16、S44の距離測定装置(2)16にそれぞれ通知する。
S42は、電子ビーム走査信号を出力する。これは、S41から通知を受けた同期信号に同期し、電子ビーム走査信号を図15の電子ビーム偏向器18に出力する。
S43、S44は、距離測定装置(1)、(2)が同期信号(位置測定開始信号)をもとに、図15のミラー(1)、(2)に向けて放射したレーザー光線と反射したレーザー光線とをもとに公知の手法でリアルタイムに位置情報を取得する。
S45は、差分評価する。これは、S43、S44でそれぞれ取得したリアルタイムの位置情報の差分(リアルタイムの位置の差分)を評価(算出)する。
S46は、加算する。
S47は、加算した信号(XY走査信号)で電子ビームを偏向する。これらS46、S47は、S42の電子ビーム走査信号に、S45で算出した差分(天板41(対物レンズ2のポールピース)の位置(基準位置)に対するフォトマスク8の振動による位置の移動した差分)に相当する信号を加算し、電子ビームを、フォトマスク8の振動に追従偏向させる。これらにより、フォトマスク8が振動して位置が移動しても、電子ビーム3は追従して同じ位置を照射するように追従偏向される。
S48は、振動除去画像を出力する。
以上によって、図15の構成のもとで、距離測定装置(1)16で基準位置(天板41、対物レンズ2のポール―ピース)の位置)をリアルタイム測定し、距離測定装置(2)でフォトマスク8の位置をリアルタイム測定し、基準位置に対するフォトマスク8の位置の差分を算出し、この差分に対応する信号を電子ビーム走査信号に加算して電子ビームをXY方向に走査することにより、フォトマスク8が振動によりその位置が移動しても追従して電子ビームが偏向され、画像振動を除去できる。
図17は、本発明の動作説明フローチャートを示す。図17は、図15、図16の詳細動作説明フローチャートである。
図17において、S51は、マスク、天板の位置を同時測定する。これは、図14のS41、S43、S44で既述したように、フォトマスク8(マスクパレット7)の位置をミラー(2)15と距離測定装置(2)16で、天板41の位置をミラー(1)15と距離測定装置(1)16で位置を同時測定する。
S52は、差分を計算する。これは、S51で同時測定した距離測定装置(2)と(1)とで計測した位置の差分を計算する。
S53は、電子ビーム照射位置を差分が0に成るようにシフトする。これは、S52で計算した位置の差分が0となるような信号を、図15の電子ビーム偏向器18に入力する信号に加算し、電子ビーム3の照射位置をフォトマスク8上でシフトさせ、該フォトマスク8の振動による位置の移動に追従して電子ビーム3の照射位置を追従偏向させる。
S54は、画像取得する。これは、S53でフォトマスク8の振動による位置の移動に追従して電子ビーム3の位置を追従偏向することをリアルタイムに実行している状態で、電子ビームをXY走査して画像を取得する。
S55は、画像取得が完了か判別する。YESの場合には、S56に進む。NOの場合には、S51以降を繰り返す。
S56は、SEM画像を出力する。
以上によって、基準位置(天板41、対物レンズ2のポールピースなどの位置)に対するフォトマスク8の位置をリアルタイムに検出してその位置の差分を算出し、算出した位置の差分をもとに電子ビーム3のフォトマスク8の照射位置を追従偏向させることにより、フォトマスク8がたとえ振動しても電子ビーム3も追従偏向されるのでみかけ上、フォトマスク8の振動がなくなり、画像上の振動を除去できる。
図18は、本発明の動作説明フローチャート(その2)を示す。
図18において、S61は、X、Y、Zを測定する。これは、天板41に上下機構15を動作させない状態で、フォトマスク8の測定点の座標(X,Y,Z)を測定する。
S62は、固定する。これは、上下機構15を動作させ、フォトマスク8を天板41に接触させて剛体接続して固定する。
S63は、X’,Y’,Z’を測定する。これは、天板41に上下機構15を動作させて接触させて剛体接続させた後の状態で、フォトマスク8の測定点の座標(X,Y,Z)を測定する。
S64は、差分算出する。ここでは、差分(X−X’,Y−Y’,Z−Z’)を算出する。
S65は、測定、パターンマッチングを行う。ここで、X、Y画像のずれはパターンマッチングで行う。Zずれは、倍率補正を行う。
以上のように、本発明により、上下機構15を動作させたことで、フォトマスク8が若干、上下方向などに移動しても、上下機構15を動作させてフォトマスク8を天板41に剛体接続して固定した状態で振動の低減した画像(取得画像)を取得でき、更に、フォトマスク8の若干のXY方向のずれは取得画像をパターンマッチング・ソフトウェア等でX、Y方向に自動補正でき、また、フォトマスク8の若干のZ方向のずれは取得画像をソフトウエアで倍率補正できる。