JP2016102719A - 放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射性汚染物質によって汚染された焼却灰を、低コストで効率的に減容化できるとともに、放射性汚染物質の溶出量を効果的に抑制して確実に安定化することが可能な、放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法を提供する。【解決手段】放射性汚染物質を含む焼却灰1に弱酸性溶液2を添加して混合溶液3を調整することで、焼却灰1の灰分の少なくとも一部を抽出するとともに、混合溶液3のpHを弱酸性領域〜中性領域に調整する抽出工程と、この抽出工程で調整された混合溶液3を、処理灰4と抽出液5とに固液分離する分離工程とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、放射性汚染物質によって汚染された焼却灰の減容化を図るとともに、放射性汚染物質の溶出量を抑制して安定化を図るための、放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法に関する。
例えば、地震や津波等の大規模自然災害に伴い、原子力発電所において非常に過酷な事故が発生した場合には、放射性セシウム等の放射性汚染物質が排出されることにより、周辺地域が広範囲で汚染されることがある。例えば、東日本大震災(平成23年東北地方太平洋沖地震)に伴う原子力発電所の事故で汚染された地域においては、急ピッチで除染作業が進められており、それらの地域においては、除染作業により、膨大な量の汚染廃棄物が排出されている。それらの汚染廃棄物のうち、草木等の可燃物については、当面の間は保管した後、将来的には焼却処理によって減容化される見通しとなっている。
一般に、木質を燃焼させた際に生成される焼却灰は、灰分の量が少ないことから減容率は大きくなるが、生成された焼却灰中に放射性汚染物質として含まれる放射性セシウムは、水等に溶出され易いという特性がある。一方、稲わら等を焼却させた際に生成される焼却灰は、灰分が多いことから、木質を焼却した場合に比べて焼却灰の減容率は大きくは無いが、放射性セシウムの水への溶出は、木質から生成された焼却灰の場合ほどは多くないという特性がある。
ここで、放射性汚染物質を含む焼却灰の安定化、即ち、放射性物質の溶出量の抑制は、焼却灰の長期保管の観点から必須となる。このような焼却灰の安定化については、これまでにも多くの方法が試みられており、特に木質等から生成され、放射性セシウムの溶出量が高めとなる焼却灰について、例えば、水等の湿式処理によって溶出を促進させた後、溶出液中に溶出した放射性セシウムを吸着剤等で処理し、安定化させる方法等、数多くの提案がなされている。
上述のような、主に木質の燃焼により生成され、放射性汚染物質を含む焼却灰の安定化を図る方法としては、例えば、流動層燃焼炉内での焼却温度を調節することで、放射性物質を揮発させずに流動層燃焼炉内に留まらせるか、あるいは放射性物質を揮発させて排ガスに同伴させるかを制御するとともに、流動層燃焼炉内での空塔速度を調節することで、流動層燃焼炉内に留まる主灰と、排ガス中に含まれる飛灰との比率を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、焼却して減容化される放射性廃棄物の灰に含まれる放射性物質濃度を選択的に制御することで、焼却灰を安定化できるとされている。
また、木質から生成される焼却灰の減容化を図る方法として、例えば、ガス化溶融炉に低レベル放射性廃棄物を装入し、塩素分を含む還元雰囲気下で低レベル放射性廃棄物を加熱することでガス化した放射性塩化物を生成する工程と、ガス化溶融炉から排出された放射性塩化物を含む可燃性ガスを冷却する工程と、可燃性ガスを除塵装置に導入して放射性塩化物を含む放射性飛灰を除塵装置で捕集する工程とが備えられた方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2によれば、上記の各工程を備えることで、焼却灰を減容化できるとされている。
さらに、木質から生成され、放射性汚染物質を含む焼却灰の安定化と減容化の両方を実現するための方法として、まず、セシウム等の放射性物質が付着した焼却飛灰に固化材を加えて固化させることで固化体とし、次いで、固化体を回転式破砕混合機等の粒状化装置によって粒状化した後、さらに、粒状化された固化体を洗浄槽にて洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3によれば、上記方法を採用することで、焼却灰を安定化させながら、減容化を行うことができるとされている。
しかしながら、主に木質の燃焼により生成される、放射性汚染物質を含む焼却灰の減容化や安定化を図る方法については、上記のように多くの提案がなされている一方、灰分が多い焼却灰の減容化及び安定化については、未だに十分な減容化及び安定化が可能な方法が確率されていないのが実情である。このため、放射性汚染物質を含む焼却灰を効率的に減容化できるとともに、確実な安定化が可能な処理方法の確立が急務とされている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、放射性汚染物質によって汚染された焼却灰を、低コストで効率的に減容化できるとともに、放射性汚染物質の溶出量を効果的に抑制して確実に安定化することが可能な、放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、まず、本発明における第一の発明は、放射性汚染物質を含む焼却灰を減容化処理するとともに、前記放射性汚染物質の溶出を抑制して安定化処理する、放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法であって、前記放射性汚染物質を含む焼却灰に弱酸性溶液を添加して混合溶液を調整することで、前記焼却灰の灰分の少なくとも一部を抽出するとともに、前記混合溶液のpHを弱酸性領域〜中性領域に調整する抽出工程と、前記抽出工程で調整された前記混合溶液を、処理灰と抽出液とに固液分離する分離工程と、を備えることを特徴とする。
このような構成の放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法によれば、上記のように、抽出工程における弱酸性溶液の添加により、焼却灰の灰分の少なくとも一部を抽出することで、焼却灰を質量比で1/4程度にまで減容化できる。そして、分離工程において固液分離を行うことで得られる処理灰には、主として焼却灰の灰分に含まれるアルミニウムやケイ素及びその複合体が残留するが、放射性セシウム等の放射性汚染物質は、処理灰に残留する上記物質に対して強固に吸着していることから、処理灰が安定化された状態となる。これにより、例えば、処理灰が水と接触した場合でも、水への放射性汚染物質の溶出が抑制される。従って、放射性汚染物質によって汚染された焼却灰を、低コストで効率的に減容化できるとともに、放射性汚染物質の溶出量を効果的に抑制して確実に安定化することが可能となる。
また、本発明における第二の発明は、上記構成とされた放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法において、前記抽出工程が、前記弱酸性溶液として塩酸又は硝酸を用いることを特徴とする。
このような構成の放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法によれば、弱酸性溶液として、塩酸又は硝酸のような入手性に優れる汎用的な薬剤を用いることにより、処理コストを低減しながら効率的な減容化を行うことが可能になる。
また、本発明における第三の発明は、上記構成とされた放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法において、さらに、前記分離工程で分離された前記抽出液から、該抽出液に含まれる前記放射性汚染物質を吸着剤によって分離する吸着工程が備えられていることを特徴とする。
このような構成の放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法によれば、固液分離された抽出液に含まれる放射性汚染物質を吸着剤によって分離することで、例えば、放射性セシウムを高濃度で濃縮された状態で分離することができ、分離された放射性汚染物質の廃棄物総量に占める割合が小さくなることから、より効率的な減容化が可能となる。
また、本発明における第四の発明は、上記構成とされた放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法において、前記吸着工程が、前記吸着剤として、ゼオライト又はフェロシアン化物を用いることを特徴とする。
このような構成の放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法によれば、吸着剤としてゼオライト又はフェロシアン化物を用いることにより、抽出液から放射性汚染物質を分離する処理を、低コストで効率的に行うことができ、さらに顕著な減容化が可能になる。
本発明に係る放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法によれば、上記構成のように、抽出工程における弱酸性溶液の添加により、焼却灰の灰分の少なくとも一部を抽出することで、焼却灰を質量比で1/4程度にまで減容化できる。そして、分離工程において固液分離を行うことで得られる処理灰に残留するアルミニウムやケイ素及びその複合体には、放射性セシウム等の放射性汚染物質が強固に吸着した状態となるので、処理灰が安定化された状態となる。これにより、例えば、処理灰が水と接触した場合でも、水への放射性汚染物質の溶出が効果的に抑制される。従って、放射性汚染物質によって汚染された焼却灰を、低コストで効率的に減容化できるとともに、放射性汚染物質の溶出量を効果的に抑制して確実に安定化することが可能となる。
以下、本発明の実施形態である放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法の一例を挙げ、その構成及び優位性について、図1のフローチャートを適宜参照しながら詳述する。
本実施形態は、放射性汚染物質、特に、放射性セシウムで汚染された稲わら等、灰分が多く、従来の方法で処理した場合には、木質を焼却した場合に比べて焼却灰の減容率が十分では無かった焼却灰を減容化及び安定化する方法であり、以下の説明においては、上記の稲わらの焼却灰を処理する方法を例に挙げて説明する。
本発明者等は、従来は確立されていなかった、稲わら等の灰分が多い焼却灰を十分に減容化及び安定化させることが可能な処理方法を実現するため、鋭意実験検討を重ねた。その結果、まず、稲わら系の焼却灰は、灰分として、アルカリ金属、アルカリ土類金属を始め、アルミニウム、ケイ素等が多く含まれているが、原発事故に由来する放射性セシウムは、特に、アルミニウム、ケイ素、及びその複合体に強く吸着しているものが多いことをつきとめた。そして、灰分である上記各物質に付着した放射性セシウムは、燃焼(焼却)によっても、多くはその結合を解離していないことを見出した。
そこで、本発明者等は、稲わら等の焼却灰を、比較的弱めの酸(弱酸性溶液)で処理する実験を行ったところ、下記表1に示すように、焼却灰の重量(試験後 灰重量)が、原灰(試験前 灰重量)に対して1/4程度にまで減少した(増減率:−73.0〜―74.0%)。この処理実験は、比較的濃度の薄い酸を用い、アルカリ性が強い灰を中和処理する形で、最終的なpHが弱酸性領域〜中性領域を示すまで酸の添加を続ける条件で行った。上記の、比較的濃度の薄い酸としては、例えば、塩酸・硝酸等を挙げることができるが、本実験においては、下記表1に示すように、塩酸(HCl:1N,2N,3N)を用いた条件とした。
また、表1に示すように、上記の処理を行った後の弱酸性溶液には、処理前の焼却灰に含まれる放射性セシウムのうちの25〜30%程度が溶出していたが、残りの放射性セシウムは、処理を行った減容後の処理灰に残留していた。本実験では、ここまでの処理で、原灰の重量が1/4強程度となり、処理後の放射性セシウム濃度は、原灰のおよそ3倍(試験前の原灰:48000〜57000(Bq/kg)、試験後の処理灰:134000〜154000(Bq/kg))となっていることが確認された。そして、この処理灰を水に浸漬することで、放射性セシウムの水への溶出量を確認したところ、全く溶出が見られず、処理灰が安定化されていることが確認できた。
即ち、本発明は上記各知見からなされたものである。
即ち、本発明は上記各知見からなされたものである。
本実施形態の放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法(以下、単に処理方法と略称することがある)は、放射性汚染物質を含む焼却灰を減容化処理するとともに、放射性汚染物質の溶出を抑制して安定化処理する方法である。そして、本実施形態の処理方法は、図1のフローチャートに示すように、放射性汚染物質を含む焼却灰1に弱酸性溶液2を添加して混合溶液3を調整することで、焼却灰1の灰分の少なくとも一部、具体的には、灰分に含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属を抽出するとともに、混合溶液3のpHを弱酸性領域〜中性領域に調整する抽出工程と、この抽出工程で調整された混合溶液3を、処理灰4と抽出液5とに固液分離する分離工程とを備え、概略構成される。
まず、抽出工程は、図1に示すように、本実施形態の処理方法における最初の工程であり、原発事故等に由来する放射性汚染物質で汚染された稲わら等を焼却した際に生成される焼却灰1に対し、弱酸性溶液2を添加して混合溶液3を調整する。この際、混合溶液3のpHが弱酸性領域〜中性領域となるまで弱酸性溶液2を添加する。
上述したように、稲わら等の焼却灰1の灰分には、主として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、ケイ素等が多く含まれているが、抽出工程においては、弱酸性溶液2の添加により、上記のうち、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が液中に抽出(溶出)される。このように、焼却灰1の灰分の少なくとも一部、具体的にはアルカリ金属及びアルカリ土類金属を抽出することにより、処理後の焼却灰(処理灰)の量を、焼却灰1の原灰に対する質量比で1/4程度にまで減容化することができる。
ここで、弱酸性溶液2の添加によって抽出されるアルカリ金属としては、例えば、ナトリウムやカリウム等の他、それらの化合物が挙げられ、また、アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウムやカルシウム等の他、それらの化合物が挙げられる。
一方、抽出工程においては、原灰に対して1/4程度の質量の処理灰が残留するが、この処理灰の成分は、主に、アルミニウム、ケイ素、及びその複合体等から占められる。上述したように、本発明者等による検討の結果、原発事故に由来する放射性セシウムは、特に、アルミニウム、ケイ素、及びその複合体に強く吸着していることが明らかになっている。このように、上記各物質に対して放射性セシウムが強固に吸着していることで、処理灰は、水等に接触した場合でも放射性セシウムが溶出し難い安定化されたものとなる。
本実施形態の抽出工程で用いる弱酸性溶液2としては、特に限定されないが、塩酸又は硝酸を用いることが好ましい。このように、弱酸性溶液2として、塩酸又は硝酸のような入手性に優れる汎用的な薬剤を用いることにより、処理コストを低減できるとともに、焼却灰1の灰分に含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属を効果的に抽出できるので、焼却灰1を効率的に減容化することが可能になる。
また、弱酸性溶液2の濃度についても、特に限定されないが、概ね6N以下であることが好ましい。弱酸性溶液2の濃度が上記範囲であれば、混合溶液3のpHを安定的に弱酸性領域〜中和領域に調整しながら、焼却灰1の灰分に含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属を効果的に抽出できるので、焼却灰1の減容化を促進することが可能になる。
なお、混合溶液3の調整にあたって、処理対象となる焼却灰1の原灰に対する弱酸性溶液2の添加量は、特に限定されるものではないが、混合溶液3が安定して弱酸性領域〜中性領域のpHを示すようになるまで添加することが好ましい。また、同様に、抽出工程の処理時間としても、混合溶液3が安定して弱酸性領域〜中性領域のpHを示すようになるまでの時間とすれば良い。このような条件で抽出工程を行うことで、焼却灰1の灰分に含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属をより効果的に抽出でき、焼却灰1の減容化がさらに促進される。
また、本実施形態で述べる弱酸性領域〜中性領域とは、上記の混合溶液のpHが概ね5.0以上11.0以下の範囲である場合をいう。
また、本実施形態で述べる弱酸性領域〜中性領域とは、上記の混合溶液のpHが概ね5.0以上11.0以下の範囲である場合をいう。
また、抽出工程における混合溶液3の温度についても、特に限定されるものではないが、上述したような、焼却灰1の灰分であるアルカリ金属やアルカリ土類金属を効率的に抽出できるように、常温に対して若干加温してもよい。
次に、分離工程においては、図1のフローチャートに示すように、抽出工程で調整された混合溶液3を、処理灰4と抽出液5とに固液分離する。分離工程においては、例えば、濾過法やデカンテーション法等の従来公知の方法を用いて、混合溶液3を処理灰4と抽出液5とに分離することができる。
分離工程では、上記の固液分離を行うことで、減容化及び安定化が図られた処理灰4と、焼却灰1の灰分をなすアルカリ金属やアルカリ土類金属が抽出されて含まれ、焼却灰1の原灰に含まれていた放射性セシウムのうちの概ね25〜30%程度が含まれる抽出液5とに分離する。
本実施形態の処理方法は、上述した抽出工程と分離工程とを順次備えることにより、焼却灰1(処理灰4)を原灰に対する質量比で1/4程度にまで減容化でき、また、原灰に含まれていた放射性セシウムの一部を、抽出液5に抽出された状態で分離することができる。
なお、本実施形態の処理方法においては、図1に示す例のフローチャートのように、上記の抽出工程及び分離工程に加え、さらに、分離工程で分離された抽出液5から、この抽出液5に含まれる放射性セシウム等の放射性汚染物質を吸着剤6によって分離する、吸着工程が備えられていることが好ましい。
本実施形態の処理方法においては、図示例のような吸着工程を設け、固液分離された抽出液5に含まれる放射性セシウムを吸着剤6によって吸着分離することで、放射性セシウムが高濃度で濃縮された濃縮セシウム8の状態で分離することができる。これにより、分離された放射性セシウムの廃棄物総量に占める割合が小さくなることから、より効率的な減容化が可能となる。また、抽出液5から高濃度で放射性セシウム(濃縮セシウム8)が吸着分離された後の処理液7は、放射性セシウムの多くが除去された状態となり、従来公知の方法で保管又は処理できる。
本実施形態においては、上記の抽出工程において、混合溶液3が弱酸性領域〜中性領域に調整されていることから、吸着工程で用いる吸着剤6としては各種材料からなるものを使用することができ、例えば、ゼオライト又はフェロシアン化物からなるものを用いることが好ましい。このように、吸着剤6としてゼオライト又はフェロシアン化物からなるものを用いることにより、抽出液5から放射性汚染物質(放射性セシウム)を分離する処理を、低コストで効率的に行うことができ、より顕著な減容化が可能になる。
ここで、例えば、吸着剤6として、不溶化されたフェロシアン化物を使用した場合には、放射性セシウムの濃度を、概ね105〜106Bq/kg程度にまで濃縮し、濃縮セシウム8として分離することが可能なことから、最終的な廃棄物総量に占める割合が極めて小さくなり、さらに顕著な減容化が可能になる。
なお、吸着工程において抽出液5から分離された放射性セシウムを含む成分、即ち、濃縮セシウム8については、従来公知の方法によって処理したうえで安全に保管し、将来的に最終処分する必要があるが、本実施形態においては、上述のように、最終的な廃棄物総量に対してごく僅かな量にまで濃縮・減容化されるので、その後の保管や最終処分が容易になる。
また、本実施形態においては、放射性汚染物質で汚染された稲わら等を焼却することで発生した焼却灰1を対象として、減容化及び安定化の処理を行う場合について説明したが、本発明の処理方法は、これには限定されない。例えば、本発明に係る処理方法は、放射性汚染物質を含む焼却灰全般に適用することが可能であり、放射性セシウムを始めとする各種放射性汚染物質を含んだ焼却灰の減容化及び安定化処理を行うことが可能となる。
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態の放射性汚染物質を含む焼却灰1の処理方法によれば、抽出工程における弱酸性溶液2の添加により、焼却灰1の灰分の少なくとも一部、具体的には、灰分に含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属を抽出することで、焼却灰1を質量比で1/4程度にまで減容化できる。そして、分離工程において固液分離を行うことで得られる処理灰4に残留するアルミニウムやケイ素及びその複合体には、放射性セシウム等の放射性汚染物質が強固に吸着した状態となるので、処理灰4が安定化された状態となる。これにより、例えば、処理灰4が水と接触した場合でも、水への放射性汚染物質の溶出が効果的に抑制される。
従って、放射性汚染物質によって汚染された焼却灰1を、低コストで効率的に減容化できるとともに、放射性汚染物質の溶出量を効果的に抑制して確実に安定化することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の放射性汚染物質を含む焼却灰1の処理方法によれば、抽出工程における弱酸性溶液2の添加により、焼却灰1の灰分の少なくとも一部、具体的には、灰分に含まれるアルカリ金属及びアルカリ土類金属を抽出することで、焼却灰1を質量比で1/4程度にまで減容化できる。そして、分離工程において固液分離を行うことで得られる処理灰4に残留するアルミニウムやケイ素及びその複合体には、放射性セシウム等の放射性汚染物質が強固に吸着した状態となるので、処理灰4が安定化された状態となる。これにより、例えば、処理灰4が水と接触した場合でも、水への放射性汚染物質の溶出が効果的に抑制される。
従って、放射性汚染物質によって汚染された焼却灰1を、低コストで効率的に減容化できるとともに、放射性汚染物質の溶出量を効果的に抑制して確実に安定化することが可能となる。
なお、以上説明した実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は上記の実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1…焼却灰(原灰)
2…弱酸性溶液
3…混合溶液
4…処理灰
5…抽出液
6…吸着剤
7…処理液
8…濃縮セシウム
2…弱酸性溶液
3…混合溶液
4…処理灰
5…抽出液
6…吸着剤
7…処理液
8…濃縮セシウム
Claims (4)
- 放射性汚染物質を含む焼却灰を減容化処理するとともに、前記放射性汚染物質の溶出を抑制して安定化処理する、放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法であって、
前記放射性汚染物質を含む焼却灰に弱酸性溶液を添加して混合溶液を調整することで、前記焼却灰の灰分の少なくとも一部を抽出するとともに、前記混合溶液のpHを弱酸性領域〜中性領域に調整する抽出工程と、
前記抽出工程で調整された前記混合溶液を、処理灰と抽出液とに固液分離する分離工程と、を備えることを特徴とする、放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法。 - 前記抽出工程は、前記弱酸性溶液として塩酸又は硝酸を用いることを特徴とする、請求項1に記載の放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法。
- さらに、前記分離工程で分離された前記抽出液から、該抽出液に含まれる前記放射性汚染物質を吸着剤によって分離する吸着工程が備えられていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法。
- 前記吸着工程は、前記吸着剤として、ゼオライト又はフェロシアン化物を用いることを特徴とする、請求項3に記載の放射性汚染物質を含む焼却灰の処理方法。
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