JP2016098120A - 炭化珪素単結晶インゴットおよび炭化珪素単結晶基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】低欠陥で高品質かつ低抵抗なSiC単結晶インゴットおよびSiC単結晶基板を提供する。【解決手段】SiC単結晶インゴットもしくはSiC単結晶基板を構成するSiC単結晶に含まれる金属不純物の残留不純物濃度が1×1014cm-3以下で、残留不純物濃度Rに対するSiC単結晶中のドーパント濃度Dの比であるドーパント濃度D/残留不純物濃度Rが1×104以上かつ1×107以下となるようにする。【選択図】図3
Description
本発明は、パワーMOSFET等の素材に利用することができる炭化珪素(以下、SiCという)単結晶インゴットおよびそれを切り出して形成されるSiC単結晶基板に関するものである。
従来、結晶成長によるSiC単結晶インゴット、つまりSiC単結晶基板の切り出し前の柱状のSiC単結晶は、SiC原料粉末を原料とする昇華法によって作製されている。ところが、昇華法で用いられるSiC原料粉末には、金属不純物などが多く含まれていることから、成長させたSiC単結晶にその不純物が取り込まれて残留不純物となる。これが抵抗率を低下させたり、欠陥を増殖させるため、高品質のSiC単結晶インゴットおよびSiC単結晶基板の製造の障害となっている。
これに対して、特許文献1において、昇華法によってSiC単結晶を成長させるときに、残留不純物濃度を1×1016cm-3以下とし、導電性不純物濃度を1×1018cm-2以上とすることで、転位の増殖(転位密度1×104cm-2)を抑制する技術が提案されている。一方、昇華法では、黒鉛製の坩堝などの内部でSiC単結晶を成長させることから、坩堝に含まれる不純物などの混入などにより、残留不純物濃度を1×1014cm-3とすることが限界である。このため、特許文献1では、残留不純物濃度を1×1014cm-3以上かつ1×1016cm-3以下としつつ、導電性不純物濃度を1×1018cm-2以上として、転位の増殖を抑制している。
低抵抗なSiC単結晶を作製するためには、ドーパントを導入する必要があるが、ドーパントを多く導入するほど欠陥が多くなる。ドーパントが少なくても低抵抗なSiC単結晶とするためには、ドーパントがキャリアとして機能する割合、つまり活性化率が大きい方が良いが、金属不純物による残留不純物がキャリアを補償するため、活性化率を低下させてしまう。ドーパントを多くすれば所望のキャリア濃度を得られるが、結局欠陥が多くなり、この欠陥が原因となって、ドーパントの活性化率をさらに低下させたり、欠陥にドーパントがトラップされてしまい、キャリアとして機能する量を尚更に低減させてしまう。
本発明は上記点に鑑みて、低欠陥で高品質かつ低抵抗なSiC単結晶インゴットおよびSiC単結晶基板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1または3に記載の発明では、SiC単結晶インゴットもしくはSiC単結晶基板がSiC単結晶(20)によって構成され、該SiC単結晶に含まれる金属不純物の残留不純物濃度が1×1014cm-3以下で、残留不純物濃度Rに対するSiC単結晶中のドーパント濃度Dの比であるドーパント濃度D/残留不純物濃度Rが1×104以上かつ1×107以下とされていることを特徴としている。
このように、残留不純物濃度Rが1×1014cm-3以下で、D/Rが1×104以上かつ1×107以下のSiC単結晶にて、SiC単結晶インゴットまたはSiC単結晶基板を構成している。このような残留不純物濃度RやD/Rで規定されるSiC単結晶とすることにより、低欠陥で高品質かつ低抵抗なSiC単結晶インゴットまたはSiC単結晶基板とすることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態のSiC単結晶インゴットの製造に用いられるSiC単結晶製造装置(以下、単に結晶製造装置という)について説明する。
本発明の第1実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態のSiC単結晶インゴットの製造に用いられるSiC単結晶製造装置(以下、単に結晶製造装置という)について説明する。
図1に示すように、結晶製造装置1に底部に流入口2が備えられており、この流入口2を通じて、原料ガス供給源3からのSiC原料ガス3aをキャリアガスやエッチングガスと共に導入する。また、結晶製造装置1には、上部に流出口4が備えられており、この流出口4を通じてSiC原料ガス3aのうちの未反応ガスなどを排出する。そして、結晶製造装置1は、装置内に配置したSiC単結晶基板からなる種結晶5上にSiC単結晶を成長させることにより、SiC単結晶20のインゴットを形成する。
具体的には、結晶製造装置1には、原料ガス供給源3、真空容器6、下部断熱材7、加熱容器8、台座9、外周断熱材10、回転引上機構11、第1、第2加熱装置12、13等が備えられている。
原料ガス供給源3は、キャリアガスやエッチングガスと共にSiおよびCを含有するSiC原料ガス3aを流入口2より供給する。例えば、SiC原料ガス3aとしては、シラン等のシラン系ガスとプロパン等の炭化水素系ガスの混合ガスを用いている。本実施形態の場合、シラン系ガス中のシラン純度が99.9995%、炭化水素系ガス中のプロパン純度が99.9%の高純度ガスをSiC原料ガス3aとして用いており、SiC単結晶20中に取り込まれた残留不純物量を低減できるようにしている。
真空容器6は、石英ガラスなどで構成され、中空円筒状の部材で構成されている。真空容器6は、キャリアガスやエッチングガスおよびSiC原料ガス3aの導入導出が行え、かつ、結晶製造装置1の他の構成要素を収容すると共に、その収容している内部空間の圧力を真空引きすることにより減圧できる構造とされている。この真空容器6の底部にSiC原料ガス3aなどの流入口2が設けられ、上部(具体的には側壁の上方位置)にSiC原料ガス3aなどの流出口4が設けられている。
下部断熱材7は、円筒形状を為しており、真空容器6に対して同軸的に配置され、中空部によりSiC原料ガス3aなどが導入されるガス導入管7aを構成している。下部断熱材7は、例えば黒鉛やTaC(炭化タンタル)、NbC(炭化ニオブ)、ZrC(炭化ジルコニウム)などの高融点金属炭化物にて覆われている。これにより、熱エッチングの抑制を図っていると共に、SiC単結晶20中への金属不純物の混入を低減し、SiC単結晶20中の残留不純物の低減を図っている。
加熱容器8は、種結晶5の表面にSiC単結晶20を成長させる反応室を構成しており、例えば黒鉛や表面をTaC、NbC、ZrCなどの高融点金属炭化物にてコーティングした黒鉛またはTaC、NbC、ZrCなどの高融点金属炭化物などで構成されている。これにより、熱エッチングの抑制を図っていると共に、SiC単結晶20中への金属不純物の混入を低減し、SiC単結晶20中の残留不純物の低減を図っている。この加熱容器8は、台座9を囲むように、台座9に対してSiC原料ガス3aの流動方向の上流側より下流側まで配置されている。この加熱容器8により、流入口2から供給されたSiC原料ガス3aを種結晶5に導くまでに、SiC原料ガス3aに含まれたパーティクルを排除しつつ、SiC原料ガス3aを加熱分解している。
具体的には、加熱容器8は、中空円筒状部材を有した構造とされ、本実施形態の場合は有底円筒状部材で構成されている。加熱容器8には、底部に下部断熱材7の中空部と連通させられるガス導入口8aが備えられ、下部断熱材7の中空部を通過してきたSiC原料ガス3aがガス導入口8aを通じて加熱容器8内に導入される。
台座9は、加熱容器8の中心軸と同軸的に配置された円盤状部材であり、例えば黒鉛や表面をTaC、NbC、ZrCなどの高融点金属炭化物にてコーティングした黒鉛などまたはTaC、NbC、ZrCなどの高融点金属炭化物で構成されている。これにより、熱エッチングの抑制を図っていると共に、SiC単結晶20中への金属不純物の混入を低減し、SiC単結晶20中の残留不純物の低減を図っている。この台座9に、種結晶5が貼り付けられ、種結晶5の表面にSiC単結晶20を成長させる。
外周断熱材10は、加熱容器8や台座9の外周を囲むことで、加熱容器8とそれよりも外周側とを断熱する。本実施形態の場合、外周断熱材10は、例えば円筒形状で構成されており、真空容器6および加熱容器8に対して同軸的に配置されている。この外周断熱材10も、例えば黒鉛やTaC、NbC、ZrCなどの高融点金属炭化物にて覆われている。これにより、熱エッチングの抑制を図っていると共に、SiC単結晶20中への金属不純物の混入を低減し、SiC単結晶20中の残留不純物の低減を図っている。
回転引上機構11は、ギヤやモータなどを備えた機構を有し、シャフト11aを例えば一定トルクで回転させつつ、シャフト11aの引上げを行う。シャフト11aは、一端が台座9のうちの種結晶5の貼付面と反対側の面に接続されており、他端が回転引上機構11の本体に接続されている。このシャフト11aも、例えば黒鉛や表面をTaCなどの高融点金属炭化物にてコーティングした黒鉛などで構成されている。これにより、熱エッチングの抑制を図っていると共に、SiC単結晶20中への金属不純物の混入を低減し、SiC単結晶20中の残留不純物の低減を図っている。このような構成により、シャフト11aと共に台座9、種結晶5およびSiC単結晶20の回転および引き上げが行え、SiC単結晶20の成長表面が所望の温度分布となるようにしつつ、SiC単結晶20の成長に伴って、その成長量に応じた引き上げ量に調整できる。また、SiC単結晶20の成長表面を回転させることができる。
第1、第2加熱装置12、13は、誘導加熱用コイルやヒータによって構成され、真空容器6の周囲を囲むように配置されている。これら第1、第2加熱装置12、13は、それぞれ独立して温度制御できるように構成されている。このため、より細やかな温度制御を行うことができる。第1加熱装置12は、加熱容器8の下方と対応した位置に配置されている。第2加熱装置13は、台座9と対応した位置に配置されている。このような配置とされているため、第1、第2加熱装置12、13を制御することにより、SiC単結晶20の成長表面の温度分布をSiC単結晶20の成長に適した温度に調整できる。
このような構造により、本実施形態にかかる結晶製造装置1が構成されている。続いて、本実施形態にかかる結晶製造装置1を用いたSiC単結晶20の製造方法について説明する。
まず、台座9に種結晶5を取り付けたのち、第1、第2加熱装置12、13を制御し、所望の温度分布を付ける。そして、SiC原料ガス3aを供給しつつ、種結晶5が昇華レートよりも結晶化レートの方が高くなる温度となるようにする。これにより、種結晶5の表面においてSiC原料ガス3aが表面反応により結晶化されることでSiC単結晶20が成長する。
また、真空容器6を所望圧力にしつつ、必要に応じてArやHeなどの不活性ガスによるキャリアガスやH2やHClなどのエッチングガスを導入しながら原料ガス導入管7aを通じてSiC原料ガス3aと共にドーパントとなる元素の原料ガスを導入する。例えば、SiC単結晶20をn型とする場合には、原料ガスとして窒素ガスを導入し、p型とする場合には、アルミニウムを含むTMA(トリメチルアルミニウム)を混入したガスを導入する。これにより、図1中の矢印Aで示したように、ドーパントとなる元素の原料ガスを含有したSiC原料ガス3aが流動し、種結晶5に供給されてSiC単結晶20を成長させることができる。
このとき、シラン系ガス中のシラン純度が99.9995%、炭化水素系ガス中のプロパン純度が99.9%というように、純度99.9%以上の高純度ガスをSiC原料ガス3aとして用いている。このため、金属不純物によるSiC単結晶20の残留不純物濃度を低くすることが可能となる。具体的には、SiC単結晶20の残留不純物濃度を1×1014cm-3以下にでき、1×1013cm-3以下も実現できる。特に、結晶製造装置1のうち真空容器6内に配置される各部(下部断熱材7、加熱容器8、台座9、外周断熱材10、シャフト11aなど)を高融点金属炭化物でコーティングしているため、黒鉛に含まれる金属不純物のSiC単結晶20への混入をより抑制できる。
なお、ここでいう金属不純物としては、B、Na、Mg、Al、P、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Hf、Wなどが該当する。また、残留不純物濃度とは、金属不純物のうちドーパントとして用いていない元素のトータルの不純物濃度を示している。
また、ドーパントとなる元素の原料ガスに含まれるドーパントがSiC単結晶20中に取り込まれ、ドーパント濃度が1×1018〜1×1021cm-3となるSiC単結晶20を得ることができる。
このように、結晶製造装置1にて高純度ガスを用いてSiC単結晶20のインゴットを形成することで、SiC単結晶20中の残留不純物濃度を1×1014cm-3以下にでき、ドーパント濃度が1×1018cm-3以上かつ1×1021cm-3以下となるようにできる。そして、このようなSiC単結晶20のインゴットをスライスすることにより、SiC単結晶20にて構成されるSiC単結晶基板を製造することができる。
次に、このようにして製造された本実施形態のSiC単結晶20のインゴットおよびそれを切り出して得られるSiC単結晶基板の効果について説明する。
上記したように、低抵抗なSiC単結晶を作製するためには、ドーパントを導入する必要があるが、ドーパントを多く導入するほど欠陥が多くなる。ドーパントが少なくても低抵抗なSiC単結晶とするためには、ドーパントがキャリアとして機能する割合、つまり活性化率が大きい方が良いが、金属不純物による残留不純物がキャリアを補償するため、活性化率を低下させてしまう。ドーパントを多くすれば所望のキャリア濃度を得られるが、結局欠陥が多くなり、この欠陥が原因となって、ドーパントの活性化率をさらに低下させたり、欠陥にドーパントがトラップされてしまい、キャリアとして機能する量を尚更に低減させてしまう。
このため、低欠陥かつ低抵抗なSiC単結晶を得るためには、残留不純物濃度を低くして活性化率を向上させることが必要である。さらに、この活性化率の向上によってドーパント濃度を低下させられることから、欠陥を減少させられ、尚更に活性化率を向上させることが可能になると共に、ドーパントのうちキャリアとして機能しなくなる量を低下させられるという相乗効果を生むことができる。したがって、このような効果を得るためには、
残留不純物濃度やドーパント濃度を独立して設定しただけでは不十分であり、残留不純物濃度に加えて、残留不純物濃度とドーパント濃度との関係を所定に関係に設定することが必要である。
残留不純物濃度やドーパント濃度を独立して設定しただけでは不十分であり、残留不純物濃度に加えて、残留不純物濃度とドーパント濃度との関係を所定に関係に設定することが必要である。
そして、本発明者らの鋭意検討によれば、残留不純物濃度が1×1014cm-3以下、かつ、残留不純物濃度Rに対するドーパント濃度Dの比(ドーパント濃度D/残留不純物濃度R(以下、単にD/Rという))が1×104以上かつ1×107以下であれば、上記効果が得られた。本実施形態のSiC単結晶20のように、残留不純物濃度Rが1×1014cm-3以下にでき、ドーパント濃度Dが1×1018cm-3以上かつ1×1021cm-3以下にできれば、上記範囲を満たすことができる。
具体的には、残留不純物濃度R(cm-3)に対する活性化率の関係は、図2のように表され、残留不純物濃度Rが大きくなるほど活性化率が低下している。このことからも、活性化率を向上させるには、残留不純物濃度Rを低下させる必要があることが判る。
また、残留不純物濃度Rが大きいほど、活性化率を向上させるためにはドーパント濃度Dが大きい必要がある反面、ドーパント濃度Dが大きくなり過ぎると逆に活性化率が低下していく。この関係は、D/Rに対する活性化率で示され、図3のように表される。
残留不純物濃度Rごとにドーパント濃度Dを変化させて、D/Rに対する活性化率の変化を調べると、図3の領域R1に示されるように、残留不純物濃度Rが大きいとドーパント濃度Dが大きくても、活性化率が低くなるという結果となっている。具体的には、残留不純物濃度Rが1×1015cm-3の場合には、D/Rが1×102〜1×104のどの範囲でも活性化率が低くなっている。さらに、残留不純物濃度Rを1×1015cm-3で固定しつつ、ドーパント濃度Dを増加させてD/Rを増加させた場合、D/Rが増加するに連れて徐々に活性化率が低下していた。したがって、図中破線Aに示したように、残留不純物濃度Rが大きいと、ドーパント濃度Dを増加させることでキャリアとして機能するものを増加させられるものの、活性化率が更に低下していくことが判る。
参考として、残留不純物濃度Rが1×1016cm-3の場合と1×1017cm-3の場合についても調べたが、これらの場合も同様のことが言え、D/Rが1×101〜1×102のどの範囲でも活性化率が低くなっていた。これらの場合について、残留不純物濃度Rを固定して、ドーパント濃度Dを増加させてD/Rを増加させたとしても、図中破線Bに示すように、D/Rが増加するに連れて徐々に活性化率が低下していくと推定される。
一方、図3中の領域R2に示すように、残留不純物濃度Rが1×1014cm-3の場合を調べてみると、D/Rが1×104以上において高い活性化率が得られており、それよりもD/Rが大きくなると更に活性化率が高くなっていた。したがって、図中に示したように、残留不純物濃度Rが小さいと、活性化率が高まり、さらにドーパント濃度Dを増加させることでキャリアとして機能するものを増加させられる。ただし、この場合においても、ドーパント濃度Dを高くし過ぎると欠陥が多くなって活性化率が低下していくことになる。具体的には、D/Rが1×107cm-3を超えると活性化率が低下していくという結果が得られたが、欠陥の増加が原因となって、そのような結果になったと考えられる。
なお、ここでは、残留不純物濃度Rが1×1014cm-3の場合について、D/Rが1×104以上かつ1×107以下であれば良いことを示した。しかしながら、図3中の領域R3に示すように、残留不純物濃度Rが1×1014cm-3より低ければ、当然D/Rが1×104以上かつ1×107以下よりも広い範囲において上記効果が得られる。このため、少なくとも、残留不純物濃度Rが1×1014cm-3より低い場合にも、D/Rが1×104以上かつ1×107以下の範囲において上記効果が得られることが判る。
したがって、SiC単結晶20の残留不純物濃度Rが1×1014cm-3以下で、かつ、D/Rが1×104以上かつ1×107以下であれば、SiC単結晶20を低欠陥で高品質かつ低抵抗とすることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態では、残留不純物濃度Rが1×1014cm-3以下で、D/Rが1×104以上かつ1×107以下のSiC単結晶20を得るようにしている。これにより、低欠陥で高品質かつ低抵抗なSiC単結晶インゴットとすることが可能となり、これを切り出すことで低欠陥かつ低抵抗なSiC単結晶基板とすることが可能となる。
また、SiC原料ガス3aを用いてSiC単結晶20を製造する場合には、昇華法と比較して残留不純物濃度のバラツキが少ない。残留不純物がSiC単結晶20内に混入することで格子間隔に歪みが生じるが、不純物が均等に混入されることでこの格子間隔の歪みも小さくなる。その結果、より転位や積層欠陥が形成され難い高品質なSiC単結晶20とすることが可能となる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、結晶製造装置1のうち真空容器6内に配置される各部を黒鉛で構成する場合に加えて、高融点金属炭化物でコーティングしたものや、高融点金属炭化物のみで構成する場合を説明した。これら各部をすべて同じ材質で構成する必要はなく、1つ1つ異なる材質としても良い。ただし、黒鉛が含まれる場合、残留不純物濃度が高くなることから、これら各部のうちのより多くの部材を高融点金属炭化物のみの構成とすることで、より残留不純物濃度を低減することが可能となる。
また、上記実施形態では、SiC原料としてSiC原料ガス3aを用いる場合について説明したが、液体原料およびSiC原料粉末を一旦昇華させて再付着したものを再び原料としたものでも、SiC原料ガス3aとほぼ同等に残留不純物濃度を低減できる。
1 結晶製造装置
3a SiC原料ガス
5 種結晶
8 加熱容器
9 台座
11 回転引上機構
20 SiC単結晶
3a SiC原料ガス
5 種結晶
8 加熱容器
9 台座
11 回転引上機構
20 SiC単結晶
Claims (4)
- SiC単結晶(20)によって構成され、該SiC単結晶に含まれる金属不純物の残留不純物濃度が1×1014cm-3以下で、前記残留不純物濃度Rに対する前記SiC単結晶中のドーパント濃度Dの比であるドーパント濃度D/残留不純物濃度Rが1×104以上かつ1×107以下とされていることを特徴とするSiC単結晶インゴット。
- 前記金属不純物は、B、Na、Mg、Al、P、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Hf、Wのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のSiC単結晶インゴット。
- SiC単結晶(20)によって構成され、該SiC単結晶に含まれる金属不純物の残留不純物濃度が1×1014cm-3以下で、前記残留不純物濃度Rに対する前記SiC単結晶中のドーパント濃度Dの比であるドーパント濃度D/残留不純物濃度Rが1×104以上かつ1×107以下とされていることを特徴とするSiC単結晶基板。
- 前記金属不純物は、B、Na、Mg、Al、P、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Hf、Wのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のSiC単結晶基板。
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