以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に接客部3が設けられている。
接客部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉鎖する。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部(図示せず)から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
筐体2は、前面側若しくは後面側に、開閉可能な扉が設けられている。筐体2は、顧客との間で取引処理が行われる取引動作時の場合には扉を閉鎖することにより、現金自動取引装置1の内部を保護する。一方筐体2は、保守員や金融機関の行員等により保守作業が行われる保守作業時の場合には、必要に応じて扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。以下では、現金自動取引装置1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左、右、上及び下をそれぞれ左側、右側、上側及び下側として説明する。
[1−2.紙幣入出金機の構成]
紙幣入出金機10は、図2に示すように箱状の入出金機筐体23を中心に構成されており、内部に紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ブロック10Uと、その下側部分を閉める下部ブロック10Lとにより構成されている。
[1−2−1.上部ブロックの構成]
上部ブロック10Uには、上部ユニット21Uが設けられている。上部ユニット21Uは、全体を統括制御する紙幣制御部12と、顧客との間で紙幣を授受する入出金部14と、紙幣を各部へ搬送する搬送部15と、紙幣を鑑別する鑑別部16と、紙幣を一時的に収納する一時保留部17と、偽券と鑑別された紙幣を収納する偽券庫18とにより構成されている。上部ユニット21Uは、図4に示すように、入出金機筐体23に対して図示しないスライドレールにより後方向へ引き出されるようになっている。また上部ユニット21Uは、引き出された状態から入出金筐体23に対して前方向へ移動することにより収納されるように構成されている。すなわち、上部ユニット21Uは、入出金機筐体23に対して前後方向へ移動可能になっている。因みに図4において紙幣制御部12は図示せず省略する。
紙幣制御部12は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部12は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部13を有しており、この記憶部13に種々の情報を記憶させる。
入出金部14は、上部ブロック10U内における前側上部に位置している。この入出金部14は、顧客から入金された紙幣及び顧客へ出金すべき紙幣を収容する収容器22を内部に有しており、その上方をシャッタ11により開閉し得るようになっている。収容器22内には、複数の紙幣が紙面を前後方向に向けて集積された状態で、すなわち前後方向に沿って整列された状態で収容される。
図3に示すように搬送部15は、上部ブロック10U内における下端部分に、すなわち紙幣入出金機10全体における上下のほぼ中央を前後方向に横切るように位置しており、全体的に上下方向に薄く前後方向に細長い形状となっている。この搬送部15内には、多数の回転するローラや紙幣を案内するガイド等が適宜配置されており、紙幣の短手方向を進行方向として、主に前後方向に沿って搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。また搬送部15内には、複数の切替部24A、24B、24C、24D、24E、24F及び24G(以下ではまとめて切替部24とも呼ぶ)が配置されている。各切替部24は、図中三角形で示すブレード及びその周囲に配置された複数のローラにより構成されている。各ローラは、紙幣の搬送路を挟んで互いに対向するように配置されている。
この切替部24は、紙幣制御部12の制御に従い、各紙幣の搬送先に応じてブレードの傾斜方向を変化させると共に各ローラを所定の回転方向へ回転させることにより、紙幣の搬送方向を偽券庫18、紙幣収納庫20、リジェクト庫19、一時保留部17及び入出金部14へ適宜切り替えて所望の搬送先へ搬送する。
搬送部15は、ほぼ前後方向に沿う搬送路である直線搬送部15aと、切替部24B、24D、24E、24F及び24Gを介し、当該直線搬送部15aと紙幣収納庫20A、20B、20C、20D及び20Eとを接続する収納庫切替搬送部15bとを有している。
収納庫切替搬送部15bには、収納庫搬送路ローラ群26が設けられている。収納庫搬送路ローラ群26は、切替部24B、24D、24E、24F及び24Gの下方における収納庫切替搬送部15bの前側に位置する上側前方ローラ26UFと、当該上側前方ローラ26UFと収納庫切替搬送部15bを挟んで対向する上側後方ローラ26UBとからなる1組のローラと、上側前方ローラ26UFの下方における収納庫切替搬送部15bの前側に位置する下側前方ローラ26DFと、当該下側前方ローラ26DFと収納庫切替搬送部15bを挟んで対向する下側後方ローラ26DBとからなる1組のローラとにより構成されている。
切替部24B、24D、24E、24F及び24Gは、直線搬送部15aと収納庫切替搬送部15bとの接続箇所に設けられ、後方から前方へ向かう紙幣の搬送経路を、直線搬送部15a又は収納庫切替搬送部15bに切り替える。
鑑別部16は、上部ブロック10U内における前端であって入出金部14の下に隣接する位置に設けられ、内部に複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)、及び搬送状態を認識し、その鑑別結果を紙幣制御部12へ送出する。また鑑別部16は、紙幣に付された記番号を識別し、その識別結果を紙幣制御部12へ送出する。
一時保留部17は、上部ブロック10U内における前後方向のほぼ中央部であって搬送部15の上に隣接する位置に設けられ、円筒形状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出すようになっている。
偽券庫18は、上部ブロック10U内における後端近傍であって、搬送部15の上に隣接する位置に設けられており、内部に紙幣を収納する空間を有している。この偽券庫18は、鑑別部16及び紙幣制御部12により偽造紙幣(以下、偽券と呼ぶ)と判断された紙幣が搬送部15により搬送されてくると、これを内部に収納する。
[1−2−2.下部ブロックの構成]
下部ブロック10Lは、比較的厚い複数の金属板を組み合わせるようにして略箱型に形成された金庫筐体30を有し、当該金庫筐体30が入出金機筐体23内に固設されている。下部ブロック10Lにおける金庫筐体30の内部には、図4に示すように、図示しないスライドレールを介して金庫筐体30に取り付けられた下部ユニット21Lが設けられている。下部ユニット21Lは、金庫筐体30に対して後方向へ引き出されるようになっている。また下部ユニット21Lは、引き出された状態から金庫筐体30に対して前方向へ移動することにより収納されるように構成されている。すなわち、下部ユニット21Lは、金庫筐体30に対して前後方向へ移動可能になっている。下部ユニット21Lには、再利用すべきでない紙幣を収納するリジェクト庫19と、再利用可能な紙幣を収納する紙幣収納庫20(20A、20B、20C、20D及び20E)とが着脱可能に設けられている。
リジェクト庫19は、下部ブロック10L内における最も前側且つ上寄りに位置しており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。因みにリジェクト庫19は、上下方向の長さが下部ブロック10Lの半分程度となっている。このリジェクト庫19は、鑑別部16及び紙幣制御部12により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部15により搬送されて来ると、当該紙幣を内部に収納する。
下部ブロック10L内におけるリジェクト庫19の後方には、前側から後側へ向けて順に紙幣収納庫20A、20B、20C、20D及び20Eが設けられている。各紙幣収納庫20(20A、20B、20C、20D及び20E)は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。各紙幣収納庫20は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫20は、鑑別部16及び紙幣制御部12により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部15により搬送されてくると、当該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫20は、紙幣制御部12から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部15に受け渡す。
ここで、上部ユニット21Uにおける前側上部の一部分である可動フレーム32は、入出金部14と、鑑別部16における搬送路の上部分と、切替部24Bの一部分とを内部に格納したまま、上部ユニット21Uの搬送部15の前端部に設けられた支点シャフト34を中心に回動可能に構成され、上部ユニット21U内部を外部に対し露出又は遮蔽させる。この可動フレーム32は、取引動作時には閉塞されることにより可動フレーム閉鎖状態となり、現金自動取引装置1に収納している紙幣を保護する。一方可動フレーム32は、上部ブロック10Uの保守作業時には図4に示すように、上部ユニット21Uが入出金機筐体23から後方へ引き出された状態で、当該可動フレーム32が支点シャフト34を軸として開放されることにより可動フレーム開放状態となり、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。
かかる構成において現金自動取引装置1は、鑑別部16による紙幣の鑑別結果及び識別結果等をもとに主制御部9及び紙幣制御部12が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理等を行う。
すなわち現金自動取引装置1は、入金取引時、顧客により操作表示部6を介して入金取引が選択され、さらに入出金口5から紙幣が投入されると、投入された紙幣を入出金部14から1枚ずつ鑑別部16に搬送する。ここで現金自動取引装置1は、鑑別部16の鑑別結果及び識別結果に基づき入金可能と判定された入金受入紙幣については一時保留部17に搬送して一時的に収納する。一方で現金自動取引装置1は、入金に適さないと判定された入金リジェクト紙幣については、搬送部15に貯留する。やがて現金自動取引装置1は、入出金部14の収容器22から全ての紙幣を取り込み終えると、搬送部15に貯留している入金リジェクト紙幣を入出金部14へ戻して、シャッタ11を開くことで顧客に返却する。その後顧客により入金金額が確定されると、現金自動取引装置1は、一時保留部17に収納している入金受入紙幣のうち収納可能と判定された再利用可能な紙幣については、その金種に応じて各紙幣収納庫20へ搬送して保管する。一方で現金自動取引装置1は、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫19へ、偽券については偽券庫18へそれぞれ搬送して収納する。
一方出金取引時、現金自動取引装置1は、顧客により操作表示部6を介して出金取引が選択され出金金額が入力されると、要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて各紙幣収納庫20から紙幣を繰り出して鑑別部16に搬送して鑑別結果及び記番号の識別結果を得る。ここで現金自動取引装置1は、鑑別部16の鑑別結果及び識別結果に基づき出金可能と判定された出金可能紙幣については入出金部14に搬送する。一方で現金自動取引装置1は、出金に適さないと判定された出金リジェクト紙幣についてはリジェクト庫19に搬送して収納する。そして要求金額分の紙幣が入出金部14へ集積されると、現金自動取引装置1は、シャッタ11を開ける。これにより入出金部14内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、顧客がこの紙幣を受け取る。
[1−3.切替部の構成]
図5及び図6に示すように、切替部24Bは、いわゆるY字状分岐搬送路であり、中心に位置するブレード38と、当該ブレード38の上側、前側及び下側にそれぞれ位置するローラ46(上側前方ローラ46UF、上側後方ローラ46UB、前側上方ローラ46FU、前側下方ローラ46FD、下側前方ローラ46DF及び下側後方ローラ46DB)と、直線搬送路40(前側直線搬送路40F及び後側直線搬送路40B)と、屈曲搬送路42とにより構成されている。これらのブレード38と複数のローラ46とは、図示しないアクチュエータから駆動力が伝達されることにより駆動される。
上側ガイド44Uは、ブレード38の上方において前後方向に延設しており、紙幣の紙面と対向する平面状のガイド面が形成されている。下側ガイド44Dは、ブレード38の後方から前後方向に延設し、当該ブレード38の後端部近傍において前方下側に向かって屈曲してからブレード38の下方において前方下側に向かって延設しており、紙幣の紙面と対向する平面状のガイド面が形成されている。前側ガイド44Fは、U字形状であり、ブレード38の前方において、上側ガイド44Uのガイド面と紙幣の厚み方向に沿う方向である搬送路厚方向に所定の間隔を空けて対向するガイド面と、当該ガイド面と一体に成型され下側ガイド44Dのガイド面と所定の搬送路厚を空けて対向するガイド面とが形成されている。
この上側ガイド44Uの前部分のガイド面と、前側ガイド44Fにおいて上側ガイド44Uと対向するガイド面との間に、直線搬送部15aの一部であり前後方向に延設された前側直線搬送路40Fが形成されている。また上側ガイド44Uの後部分のガイド面と、下側ガイド44Dにおいて上側ガイド44Uと対向するガイド面との間に、直線搬送部15aの一部であり前後方向に延設された後側直線搬送路40Bが形成されている。以下では前側直線搬送路40F及び後側直線搬送路40Bをまとめて直線搬送路40とも呼ぶ。この前側直線搬送路40F及び後側直線搬送路40Bは、入出金部14から一時保留部17につながる搬送路の一部を含むものである。また下側ガイド44Dのガイド面と、前側ガイド44Fにおいて下側ガイド44Dと対向するガイド面と、下側ガイド44Dにおいて上側ガイド44Uと対向するガイド面との間に、収納庫切替搬送部15bの一部であり後側直線搬送路40Bから前方下側に屈曲して延設された屈曲搬送路42が形成されている。
上側ガイド44Uには、上側前方ローラ46UF及び上側後方ローラ46UBが、中心軸を左右方向に、すなわち紙幣の搬送方向と直交する搬送幅方向に向けるよう、回転可能に取り付けられている。また上側前方ローラ46UF及び上側後方ローラ46UBは、上側ガイド44Uに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部を直線搬送路40側に露出させている。
前側ガイド44Fには、前側上方ローラ46FU及び前側下方ローラ46FDが、中心軸を搬送幅方向に向けるよう、回転可能に取り付けられている。また前側上方ローラ46FUは、前側ガイド44Fに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部を直線搬送路40側に露出させている。前側下方ローラ46FDは、前側ガイド44Fに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部を屈曲搬送路42側に露出させている。
下側ガイド44Dには、下側前方ローラ46DF及び下側後方ローラ46DBが、中心軸を搬送幅方向に向けるよう、回転可能に取り付けられている。また下側前方ローラ46DFは、下側ガイド44Dに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部を屈曲搬送路42側に露出させている。下側後方ローラ46DBは、下側ガイド44Dに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部を直線搬送路40側及び屈曲搬送路42側に露出させている。
上側前方ローラ46UF、上側後方ローラ46UB、前側上方ローラ46FU及び下側後方ローラ46DBは、上側前方ローラ46UFと前側上方ローラ46FUとの接点と、上側後方ローラ46UBと下側後方ローラ46DBとの接点との間隔、すなわち上側前方ローラ46UF及び前側上方ローラ46FUと上側後方ローラ46UB及び下側後方ローラ46DBとのローラピッチが、紙幣の搬送方向(短手方向)の長さよりも短く、且つブレード38の長手方向の長さ、すなわちブレード38において紙幣をガイドするガイド面の搬送方向に沿った長さよりも長くなるよう配置されている。前側下方ローラ46FD、下側前方ローラ46DF、上側後方ローラ46UB及び下側後方ローラ46DBは、前側下方ローラ46FD及び下側前方ローラ46DFと上側後方ローラ46UB及び下側後方ローラ46DBとのローラピッチが、紙幣の搬送方向の長さよりも短く、且つブレード38のガイド面の搬送方向の長さよりも長くなるよう配置されている。
ブレード38は、側面視で楔形に形成され左右方向に所定の間隔を隔てて、回動自在に支持され搬送幅方向に伸びるブレードシャフト39に櫛歯状に固定された複数の板部により構成される。ブレード38は、回動して傾斜角度を変化させることで紙幣の搬送方向を直線搬送路40か屈曲搬送路42かの2通りに切り替える、いわゆる2ウェイブレードとなっている。上側ガイド44U及び下側ガイド44Dには、ブレード38の後端部が入り込む孔部が穿設されている。また前側上方ローラ46FU、上側後方ローラ46UB、前側下方ローラ46FD及び下側後方ローラ46DBにおいてブレード38と対向する箇所には、ブレード38が入り込む溝部が形成されている。
具体的に切替部24Bは、ブレード38の後端が上側ガイド44Uのガイド面よりも上方に位置するよう当該ブレード38を回動させることにより、直線搬送部15aを経て後側直線搬送路40Bから前方へ搬送された紙幣の搬送経路を屈曲搬送路42へ切り替え当該紙幣を収納庫切替搬送部15bへ搬送させると共に、収納庫切替搬送部15bを経て屈曲搬送路42から後方上側へ搬送された紙幣の搬送経路を後側直線搬送路40Bへ切り替え当該紙幣を直線搬送部15aへ搬送させる。一方切替部24Bは、ブレード38の後端が下側ガイド44Dのガイド面よりも下方に位置するよう当該ブレード38を回動させることにより、直線搬送部15aを経て後側直線搬送路40Bから前方へ搬送された紙幣の搬送経路を、前側直線搬送路40Fへ切り替え当該紙幣を直線搬送部15aへ搬送させると共に、直線搬送部15aを経て前側直線搬送路40Fから後方へ搬送された紙幣の搬送経路を後側直線搬送路40Bへ切り替え当該紙幣を直線搬送部15aへ搬送させる。
可動フレーム32の下側には、入出金機筐体23の一部分であり固定された固定フレーム36が設けられている。可動フレーム32は、後端部が固定フレーム36から離隔するように上方向へ回動し可動フレーム開放状態となる。可動フレーム32は、下端面がほぼ水平方向に沿って形成されており、可動フレーム32から固定フレーム36に向かって突出するシャフト支持フレーム部48にブレードシャフト39が回動可能に取り付けられている。固定フレーム36の上端面においてシャフト支持フレーム部48と対向する箇所は、可動フレーム32から離隔する方向に向かって当該シャフト支持フレーム部48が嵌り込む形状にシャフト支持フレーム嵌込部49が凹設されている。
このためブレード38は可動フレーム32側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、当該可動フレーム32に追従して、固定フレーム36から離隔する上側へ移動する。また上側ガイド44Uと下側ガイド44D及び前側ガイド44Fとは、可動フレーム開放状態において搬送路を開放させるため、それぞれ可動フレーム32と固定フレーム36とに分かれて配置されている。
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、ブレード38は、可動フレーム32側に取り付けられているため、図7に示すように当該可動フレーム32に追従して固定フレーム36から離隔する上側へ移動する。可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、前側直線搬送路40F及び後側直線搬送路40Bは、可動フレーム閉鎖状態よりも搬送路厚が大きくなる方向へ開放され、一方、屈曲搬送路42は、可動フレーム閉鎖状態に対し搬送路厚が変化しない。
すなわち切替部24Bは、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない搬送路である屈曲搬送路42が形成されている固定フレーム36側ではなく、搬送路厚が広がる搬送路である直線搬送路40が形成されている可動フレーム32側にブレード38を設けるようにした。換言すれば切替部24Bは、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が広がる直線搬送路40を形成するガイド面を有する上側ガイド44Uが設けられた可動フレーム32にブレード38を設けるようにした。
このため切替部24Bは、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない屈曲搬送路42を外部に開放させ、当該屈曲搬送路42近傍に詰まった紙幣を取り出しやすくさせることができる。
また切替部24は、換言すれば、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際、2個のローラとして上側前方ローラ46UF及び上側後方ローラ46UBが設けられた可動フレーム32と共に、4個のローラとして前側上方ローラ46FU、前側下方ローラ46FD、下側前方ローラ46DF及び下側後方ローラ46DBが設けられた固定フレーム36から離隔する方向へ、ブレード38を移動させるようにした。すなわち切替部24は、4個のローラが設けられた固定フレーム36よりも少ない個数である2個のローラが設けられた可動フレーム32と共にブレード38を固定フレーム36に対し移動させるようにした。
図20及び図21に示すように、従来の切替部124Bにおいては、固定フレーム136にブレードシャフト39が回動可能に取り付けられている。このため、ブレード38は固定フレーム136側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、可動フレーム132に追従せず、固定フレーム136に残ることとなる。この従来の切替部124Bにおいては、上側ガイド44Uとブレード38の上側面との間の空間である空間SP1は、可動フレーム開放状態においては外部に開放される。このため保守員は、空間SP1に詰まった紙幣を容易に除去することができる。しかしながら従来の切替部124Bにおいては、下側ガイド44Dと前側ガイド44Fとブレード38の下側面との間の空間である空間SP2は、可動フレーム開放状態においては外部に開放されない。このため、空間SP2に詰まった紙幣を保守員が除去することは困難となってしまう。
このため従来の切替部124Bにおいては、空間SP2に紙幣が詰まると、行員は、下部ユニット21Lを入出金機筐体23から引き出して屈曲搬送路42の下側から紙幣にアクセスしなければ、当該紙幣が除去できない場合があった。ここで、一般的に、紙幣が多数収納される紙幣収納庫20が格納される下部ユニット21Lは、セキュリティのレベルが搬送部15よりも高く設定されているため、行員等、特定の権限を有する者しか取り扱うことができないように設定されている。このため、従来の切替部124Bの空間SP2に紙幣が詰まると、一般的な保守員ではなく、下部ユニット21Lを取り扱う権限を有する行員が紙幣除去作業を行う必要があり、効率的な運用ができなかった。また、運用上の効率を保つために、従来の切替部124Bにおいて、下部ユニット21Lを取り扱う権限を有しない保守員が下部ユニット21Lを入出金機筐体23から引き出して屈曲搬送路42の下側から紙幣にアクセスして当該紙幣を除去すると、セキュリティが保てなくなってしまった。
これに対し切替部24Bにおいては、可動フレーム開放状態においてブレード38が可動フレーム32と共に空間SP2から離隔するため、空間SP2がブレード38によって隠されてしまうことなく外部に開放される。このため保守員は、空間SP2に詰まった紙幣を容易に除去することができる。
また切替部24Bにおいては、空間SP2に紙幣が詰まった場合、保守員は、下部ユニット21Lを入出金機筐体23から引き出すことなく、屈曲搬送路42の上側から紙幣にアクセスして当該紙幣を除去することができる。このため、現金自動取引装置1は、空間SP2に紙幣が詰まった場合に、下部ユニット21Lを取り扱う権限を有する行員に紙幣除去作業を行わせる必要もなく、また、下部ユニット21Lを取り扱う権限を有しない保守員に下部ユニット21Lを扱わせることなく、空間SP2に詰まった紙幣を除去させることができ、運用上の効率を保つと共に、セキュリティを保つことができる。
また切替部24Bは、上側前方ローラ46UF及び前側上方ローラ46FUと、上側後方ローラ46UB及び下側後方ローラ46DBとのローラピッチ、すなわち紙幣の搬送方向の進行方向側に位置する1組のローラと、進行方向の逆側に位置する1組のローラとのローラピッチを、紙幣の搬送方向の長さよりも短く設定することにより、紙幣を安定的に搬送するようにしている。
このため、切替部24Bにおいて空間SP1に紙幣が詰まったとしても、当該紙幣は、前端又は後端の何れか一方がブレード38の前端よりも前方か、又は後端よりも後方に露出することになる。このため保守員は、空間SP1に詰まった紙幣を、当該紙幣の前端又は後端を摘んで空間SP1から引き出すことにより、容易に除去することができる。
さらに現金自動取引装置1は、可動フレーム開放状態において、入出金部14から切替部24Cの上流側近傍までに亘る範囲の搬送路を含む可動フレーム32を、支点シャフト34を軸にして回動させることにより、直線搬送路40を開放させるようにした。これにより現金自動取引装置1は、従来の切替部124Bにおける空間SP2(図21)だけでなく、入出金部14から鑑別部16を介し切替部24Cの上流側近傍までに亘る広い範囲の搬送路を一度に開放でき、搬送路に詰まった紙幣の除去等の保守作業を保守員に容易に行わせることができる。
以上の構成によれば、切替部24Bは、紙葉状の媒体としての紙幣を搬送する複数の搬送路である前側直線搬送路40F、後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42と、複数の搬送路のうちオープン状態としての可動フレーム開放状態において開放される開放搬送路としての前側直線搬送路40F及び後側直線搬送路40Bが形成され紙幣をガイドする上側ガイド44Uと、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放されない非開放搬送路としての屈曲搬送路42が形成され紙幣をガイドする下側ガイド44D及び前側ガイド44Fと、前側直線搬送路40F、後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42の分岐部において、上側ガイド44U側に設けられ、紙幣の搬送方向を前側直線搬送路40F又は屈曲搬送路42へ切り替えるブレード38とを設け、上側ガイド44Uと下側ガイド44D及び前側ガイド44Fとは互いに離隔可能に構成され、上側ガイド44Uと下側ガイド44D及び前側ガイド44Fとが離隔して可動フレーム開放状態になった際、ブレード38が屈曲搬送路42から離隔するようにした。これにより切替部24Bは、屈曲搬送路42とブレード38との間に詰まった紙幣を取り出させやすくすることができる。
[2.第2の実施の形態]
[2−1.切替部の構成]
図8に示すように、第2の実施の形態による切替部50は、いわゆるT字状分岐搬送路であり、中心に位置するブレード52と、当該ブレード52の前側、上側及び下側にそれぞれ位置するローラ54(前側上方ローラ54FU、前側下方ローラ54FD、上側前方ローラ54UF、上側後方ローラ54UB、下側前方ローラ54DF及び下側後方ローラ54DB)と、上側搬送路56Uと、下側搬送路56Dと、後側搬送路56Bとにより構成されている。これらのブレード52と複数のローラ54とは、図示しないアクチュエータから駆動力が伝達されることにより駆動される。この切替部50は、例えば、紙幣入出金機10(図2)における切替部24Aに適用される。
前側ガイド60Fは、ブレード52の前方において上下方向に延設しており、紙幣の紙面と対向する平面状のガイド面が形成されている。上側ガイド60Uは、ブレード52の後方から上方にかけてブレード52に向かって湾曲して延設しており、紙幣の紙面と対向する平面状のガイド面が形成されている。下側ガイド60Dは、ブレード52の後方から下方にかけてブレード52に向かって湾曲して延設しており、紙幣の紙面と対向する平面状のガイド面が形成されている。
この前側ガイド60Fの上部分のガイド面と、上側ガイド60Uにおいて前側ガイド60Fと対向するガイド面との間に、上下方向に延設された上側搬送路56Uが形成されている。また前側ガイド60Fの下部分のガイド面と、下側ガイド60Dにおいて前側ガイド60Fと対向するガイド面との間に、上下方向に延設された下側搬送路56Dが形成されている。また上側ガイド60Uのガイド面と、下側ガイド60Dにおいて上側ガイド60Uと対向するガイド面との間に、前後方向に延設された後側搬送路56Bが形成されている。
前側ガイド60Fには、前側上方ローラ54FU及び前側下方ローラ54FDが、中心軸を搬送幅方向に向けるよう、回転可能に取り付けられている。また前側上方ローラ54FU及び前側下方ローラ54FDは、前側ガイド60Fに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部をそれぞれ上側搬送路56U側及び下側搬送路56D側に露出させている。
上側ガイド60Uには、上側前方ローラ54UF及び上側後方ローラ54UBが、中心軸を搬送幅方向に向けるよう、回転可能に取り付けられている。また上側前方ローラ54UF及び上側後方ローラ54UBは、上側ガイド60Uに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部をそれぞれ上側搬送路56U側及び後側搬送路58側に露出させている。
下側ガイド60Dには、下側前方ローラ54DF及び下側後方ローラ54DBが、中心軸を搬送幅方向に向けるよう、回転可能に取り付けられている。また下側前方ローラ54DF及び下側後方ローラ54DBは、下側ガイド60Dに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部をそれぞれ下側搬送路56D側及び後側搬送路58側に露出させている。
前側上方ローラ54FU、上側前方ローラ54UF、上側後方ローラ54UB及び下側後方ローラ54DBは、前側上方ローラ54FU及び上側前方ローラ54UFと上側後方ローラ54UB及び下側後方ローラ54DBとのローラピッチが、紙幣の搬送方向の長さよりも短く、且つブレード52のガイド面の搬送方向の長さよりも長くなるよう配置されている。前側下方ローラ54FD、下側前方ローラ54DF、上側後方ローラ54UB及び下側後方ローラ54DBは、前側下方ローラ54FD及び下側前方ローラ54DFと上側後方ローラ54UB及び下側後方ローラ54DBとのローラピッチが、紙幣の搬送方向の長さよりも短く、且つブレード52のガイド面の搬送方向の長さよりも長くなるよう配置されている。
ブレード52は、側面視でT字形に形成され左右方向に所定の間隔を隔てて、回動自在に支持され搬送幅方向に伸びるブレードシャフト53に櫛歯状に固定された複数の板部により構成される。ブレード52は、回動して傾斜角度を変化させることで紙幣の搬送方向を上側搬送路56Uか下側搬送路56Dかの2通りに切り替える、いわゆる2ウェイブレードとなっている。上側ガイド60U及び下側ガイド60Dには、ブレード52の後端部が入り込む孔部が穿設されている。また前側上方ローラ54FU、前側下方ローラ54FD、上側後方ローラ54UB及び下側後方ローラ54DBにおいてブレード52と対向する箇所には、ブレード52が入り込む溝部が形成されている。
具体的に切替部50は、ブレード52の後端が上側ガイド60Uのガイド面よりも上方に位置するよう当該ブレード52を回動させることにより、後側搬送路56Bから前方へ搬送された紙幣の搬送経路を下側搬送路56Dへ切り替えると共に、下側搬送路56Dから上方へ搬送された紙幣の搬送経路を後側搬送路56Bへ切り替える。一方切替部50は、ブレード52の後端が下側ガイド60Dのガイド面よりも下方に位置するよう当該ブレード52を回動させることにより、後側搬送路56Bから前方へ搬送された紙幣の搬送経路を上側搬送路56Uへ切り替えると共に、上側搬送路56Uから下方へ搬送された紙幣の搬送経路を後側搬送路56Bへ切り替える。
可動フレーム62は、上側搬送路56U及び下側搬送路56Dの前側に位置しており、上側搬送路56U及び下側搬送路56Dの後側において固定された固定フレーム64に対し、上端部が固定フレーム64から離隔するように前方向へ回動し可動フレーム開放状態となる。ブレード52は、可動フレーム62から固定フレーム64に向かって突出するシャフト支持フレーム部(図示せず)にブレードシャフト53が回動可能に取り付けられている。このためブレード52は可動フレーム62側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、当該可動フレーム62に追従して、固定フレーム64から離隔する前側へ移動する。
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、ブレード52は、可動フレーム62側に取り付けられているため、図9に示すように当該可動フレーム62に追従して固定フレーム64から離隔する前側へ移動する。可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、上側搬送路56U及び下側搬送路56Dは、可動フレーム閉鎖状態よりも搬送路厚が大きくなる方向へ開放され、一方、後側搬送路56Bは、可動フレーム閉鎖状態に対し搬送路厚が変化しない。
すなわち切替部50は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない搬送路である後側搬送路56Bが形成されている固定フレーム64側ではなく、搬送路厚が広がる搬送路である上側搬送路56U及び下側搬送路56Dが形成されている可動フレーム62側にブレード52を設けるようにした。換言すれば切替部50は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が広がる上側搬送路56U及び下側搬送路56Dを形成するガイド面を有する前側ガイド60Fが設けられた可動フレーム62にブレード52を設けるようにした。
このため切替部50は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない後側搬送路56Bを外部に開放させ、当該後側搬送路56B近傍に詰まった紙幣を取り出しやすくさせることができる。
また切替部50は、換言すれば、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際、2個のローラとして前側上方ローラ54FU及び前側下方ローラ54FDが設けられた可動フレーム62と共に、4個のローラとして上側前方ローラ54UF、上側後方ローラ54UB、下側前方ローラ54DF及び下側後方ローラ54DBが設けられた固定フレーム64から離隔する方向へ、ブレード52を移動させるようにした。すなわち切替部50は、4個のローラが設けられた固定フレーム64よりも少ない個数である2個のローラが設けられた可動フレーム62と共にブレード52を固定フレーム64に対し移動させるようにした。
図22に示すように、従来の切替部150においては、固定フレーム164にブレードシャフト53が回動可能に取り付けられている。このため、ブレード52は固定フレーム164側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、可動フレーム162に追従せず、固定フレーム164に残ることとなる。この従来の切替部150においては、上側ガイド60Uと下側ガイド60Dとブレード52との間の空間である空間SP11は、可動フレーム開放状態においては外部に開放されない。このため、空間SP11に詰まった紙幣を保守員が除去することは困難となってしまう。
これに対し切替部50においては、可動フレーム開放状態においてブレード52が可動フレーム62と共に空間SP11から離隔するため、空間SP11がブレード52によって隠されることなく外部に開放される。このため保守員は、空間SP11に詰まった紙幣を容易に除去することができる。
以上の構成によれば、切替部50は、紙幣を搬送する複数の搬送路である上側搬送路56U、下側搬送路56D及び後側搬送路56Bと、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放される開放搬送路としての上側搬送路56U及び下側搬送路56Dが形成され紙幣をガイドする前側ガイド60Fと、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放されない非開放搬送路としての後側搬送路56Bが形成され紙幣をガイドする上側ガイド60U及び下側ガイド60Dと、上側搬送路56U、下側搬送路56D及び後側搬送路56Bの分岐部において、前側ガイド60F側に設けられ、紙幣の搬送方向を上側搬送路56U又は下側搬送路56Dの何れかへ切り替えるブレード52とを設け、前側ガイド60Fと上側ガイド60U及び下側ガイド60Dとは互いに離隔可能に構成され、前側ガイド60Fと上側ガイド60U及び下側ガイド60Dとが離隔して可動フレーム開放状態になった際、ブレード52が後側搬送路56Bから離隔するようにした。これにより切替部50は、後側搬送路56Bとブレード52との間に詰まった紙幣を取り出させやすくすることができる。
その他の第2の実施の形態における切替部50は、第1の実施の形態における切替部24Bとほぼ同様の作用効果を奏する。
[3.第3の実施の形態]
[3−1.切替部の構成]
図10乃至図12に示すように、第3の実施の形態による切替部66は、互いに120度角度をずらした搬送路を有するいわゆる三叉路状分岐搬送路であり、中心に位置するブレード68と、当該ブレード68の上側、下側及び後側にそれぞれ位置するローラ70(上側前方ローラ70UF、上側後方ローラ70UB、下側前方ローラ70DF及び下側後方ローラ70DB、後側上方ローラ70BU及び後側下方ローラ70BD)と、上前搬送路72(上側搬送路75及び前側搬送路77)と、下前搬送路73(下側搬送路76及び前側搬送路77)と、上下搬送路74(上側搬送路75及び下側搬送路76)とにより構成されている。これらのブレード68と複数のローラ70とは、図示しないアクチュエータから駆動力が伝達されることにより駆動される。この切替部66は、例えば、紙幣入出金機10(図2)における切替部24Cに適用される。
上側ガイド78Uは、ブレード68の前方から上方にかけてブレード68に向かって湾曲して延設しており、紙幣の紙面と対向する平面状のガイド面が形成されている。下側ガイド78Dは、ブレード68の前方から下方にかけてブレード68に向かって湾曲して延設しており、紙幣の紙面と対向する平面状のガイド面が形成されている。後側ガイド78Bは、ブレード68の上方から下方にかけてブレード68に向かって湾曲して延設しており、紙幣の紙面と対向する平面状のガイド面が形成されている。
この上側ガイド78Uの前部分のガイド面と、下側ガイド78Dにおいて上側ガイド78Uと対向するガイド面との間に、前後方向に延設された前側搬送路77が形成されている。また下側ガイド78Dの後部分のガイド面と、後側ガイド78Bにおいて下側ガイド78Dと対向するガイド面との間に、上下方向に延設された下側搬送路76が形成されている。後側ガイド78Bの上部分のガイド面と、上側ガイド78Uにおいて後側ガイド78Bと対向するガイド面との間に、上下方向に延設された上側搬送路75が形成されている。以下では下側搬送路76及び前側搬送路77をまとめて下前搬送路73とも呼び、上側搬送路75及び前側搬送路77をまとめて上前搬送路72とも呼び、上側搬送路75及び下側搬送路76をまとめて上下搬送路74とも呼ぶ。
上側ガイド78Uには、上側前方ローラ70UF及び上側後方ローラ70UBが、中心軸を搬送幅方向に向けるよう、回転可能に取り付けられている。また上側前方ローラ70UF及び上側後方ローラ70UBは、上側ガイド78Uに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部をそれぞれ前側搬送路77側及び上側搬送路75側に露出させている。
下側ガイド78Dには、下側前方ローラ70DF及び下側後方ローラ70DBが、中心軸を搬送幅方向に向けるよう、回転可能に取り付けられている。また下側前方ローラ70DF及び下側後方ローラ70DBは、下側ガイド78Dに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部をそれぞれ前側搬送路77側及び下側搬送路76側に露出させている。
後側ガイド78Bには、後側上方ローラ70BU及び後側下方ローラ70BDが、中心軸を搬送幅方向に向けるよう、回転可能に取り付けられている。また後側上方ローラ70BU及び後側下方ローラ70BDは、後側ガイド78Bに対しガイド面に穿設された孔部からその外周面の一部をそれぞれ上側搬送路75側及び下側搬送路76側に露出させている。
上側前方ローラ70UF、下側前方ローラ70DF、後側下方ローラ70BD及び下側後方ローラ70DBは、上側前方ローラ70UF及び下側前方ローラ70DFと後側下方ローラ70BD及び下側後方ローラ70DBとのローラピッチが、紙幣の搬送方向の長さよりも短く、且つブレード68のガイド面の搬送方向の長さよりも長くなるよう配置されている。上側前方ローラ70UF、下側前方ローラ70DF、上側後方ローラ70UB及び後側上方ローラ70BUは、上側前方ローラ70UF及び下側前方ローラ70DFと上側後方ローラ70UB及び後側上方ローラ70BUとのローラピッチが、紙幣の搬送方向の長さよりも短く、且つブレード68のガイド面の搬送方向の長さよりも長くなるよう配置されている。上側後方ローラ70UB、後側上方ローラ70BU、後側下方ローラ70BD及び下側後方ローラ70DBは、上側後方ローラ70UB及び後側上方ローラ70BUと後側下方ローラ70BD及び下側後方ローラ70DBとのローラピッチが、紙幣の搬送方向の長さよりも短く、且つブレード68のガイド面の搬送方向の長さよりも長くなるよう配置されている。
ブレード68は、側面視で楔形に形成され左右方向に所定の間隔を隔てて、回転自在に支持され搬送幅方向に伸びるブレードシャフト69に櫛歯状に固定された複数の板部により構成される。ブレード68は、360度回転して傾斜角度を変化させることで紙幣の搬送方向を上側搬送路75か下側搬送路76か前側搬送路77かの3通りに切り替える、いわゆる3ウェイブレードとなっている。上側ガイド78U、下側ガイド78D及び後側ガイド78Bには、ブレード68の先端部が入り込む孔部が穿設されている。ローラ70においてブレード68と対向する箇所には、ブレード68が入り込む溝部が形成されている。
具体的に切替部66は、図10に示すように、ブレード68の先端が下側ガイド78Dのガイド面よりも前方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、下側搬送路76から上方へ搬送された紙幣の搬送経路を上側搬送路75へ切り替えると共に、上側搬送路75から下方へ搬送された紙幣の搬送経路を下側搬送路76へ切り替える。一方切替部66は、ブレード68の先端が後側ガイド78Bのガイド面よりも後方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、下側搬送路76から上方へ搬送された紙幣の搬送経路を前側搬送路77へ切り替えると共に、前側搬送路77から後方へ搬送された紙幣の搬送経路を下側搬送路76へ切り替える。
また切替部66は、図11に示すように、ブレード68の先端が上側ガイド78Uのガイド面よりも前方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、上側搬送路75から下方へ搬送された紙幣の搬送経路を下側搬送路76へ切り替えると共に、下側搬送路76から上方へ搬送された紙幣の搬送経路を上側搬送路75へ切り替える。一方切替部66は、ブレード68の先端が後側ガイド78Bのガイド面よりも後側に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、上側搬送路75から下方へ搬送された紙幣の搬送経路を前側搬送路77へ切り替えると共に、前側搬送路77から後方へ搬送された紙幣の搬送経路を上側搬送路75へ切り替える。
また切替部66は、図12に示すように、ブレード68の先端が上側ガイド78Uのガイド面よりも上方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、前側搬送路77から後方へ搬送された紙幣の搬送経路を下側搬送路76へ切り替えると共に、下側搬送路76から上方へ搬送された紙幣の搬送経路を前側搬送路77へ切り替える。一方切替部66は、ブレード68の先端が下側ガイド78Dのガイド面よりも下方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、前側搬送路77から後方へ搬送された紙幣の搬送経路を上側搬送路75へ切り替えると共に、上側搬送路75から下方へ搬送された紙幣の搬送経路を前側搬送路77へ切り替える。
可動フレーム80は、上前搬送路72の上側に位置しており、下前搬送路73の下側及び上下搬送路74の後側において固定された固定フレーム82に対し、前端部が固定フレーム82から離隔するように上方向へ回動し可動フレーム開放状態となる。ブレード68は、可動フレーム80から固定フレーム82に向かって突出するシャフト支持フレーム部(図示せず)にブレードシャフト69が回転可能に取り付けられている。このためブレード68は、可動フレーム80側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、当該可動フレーム80に追従して、固定フレーム82から離隔する上側へ移動する。
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、ブレード68は、可動フレーム80側に取り付けられているため、図13に示すように当該可動フレーム80に追従して固定フレーム82から離隔する上側へ移動する。可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、上側搬送路75及び前側搬送路77は、可動フレーム閉鎖状態よりも搬送路厚が大きくなる方向へ開放され、一方、下側搬送路76は、可動フレーム閉鎖状態に対し搬送路厚が変化しない。
すなわち切替部66は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない搬送路である下側搬送路76が形成されている固定フレーム82側ではなく、搬送路厚が広がる搬送路である上側搬送路75及び前側搬送路77が形成されている可動フレーム80側にブレード68を設けるようにした。換言すれば切替部66は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が広がる上前搬送路72を形成するガイド面を有する上側ガイド78Uが設けられた可動フレーム80にブレード68を設けるようにした。
このため切替部66は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない下側搬送路76を外部に開放させ、当該下側搬送路76近傍に詰まった紙幣を取り出しやすくさせることができる。
また切替部66は、換言すれば、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際、2個のローラとして上側前方ローラ70UF及び上側後方ローラ70UBが設けられた可動フレーム80と共に、4個のローラとして下側前方ローラ70DF、下側後方ローラ70DB、後側上方ローラ70BU及び後側下方ローラ70BDが設けられた固定フレーム82から離隔する方向へ、ブレード68を移動させるようにした。すなわち切替部66は、4個のローラが設けられた固定フレーム82よりも少ない個数である2個のローラが設けられた可動フレーム80と共にブレード68を固定フレーム82に対し移動させるようにした。
図23に示すように、従来の切替部166においては、固定フレーム182にブレードシャフト69が回動可能に取り付けられている。このため、ブレード68は固定フレーム182側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、可動フレーム180に追従せず、固定フレーム182に残ることとなる。この従来の切替部150においては、下側ガイド78Dと後側ガイド78Bとブレード68との間の空間である空間SP21は、可動フレーム開放状態においては外部に開放されない。このため、空間SP21に詰まった紙幣を保守員が除去することは困難となってしまう。
これに対し切替部66においては、可動フレーム開放状態においてブレード68が可動フレーム80と共に空間SP21から離隔するため、空間SP21がブレード68によって隠されることなく外部に開放される。このため保守員は、空間SP21に詰まった紙幣を容易に除去することができる。
以上の構成によれば、切替部66は、紙幣を搬送する複数の搬送路である上側搬送路75、下側搬送路76及び前側搬送路77と、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放される開放搬送路としての上側搬送路75及び前側搬送路77が形成され紙幣をガイドする上側ガイド78Uと、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放されない非開放搬送路としての下側搬送路76が形成され紙幣をガイドする下側ガイド78D及び後側ガイド78Bと、上側搬送路75、下側搬送路76及び前側搬送路77の分岐部において、上側ガイド78U側に設けられ、紙幣の搬送方向を上側搬送路75、下側搬送路76又は前側搬送路77の何れかへ切り替えるブレード68とを設け、上側ガイド78Uと下側ガイド78D及び後側ガイド78Bとは互いに離隔可能に構成され、上側ガイド78Uと下側ガイド78D及び後側ガイド78Bとが離隔して可動フレーム開放状態になった際、ブレード68が下側搬送路76から離隔するようにした。これにより切替部66は、下側搬送路76とブレード68との間に詰まった紙幣を取り出させやすくすることができる。
その他の第3の実施の形態における切替部66は、第1の実施の形態における切替部24Bとほぼ同様の作用効果を奏する。
[4.第4の実施の形態]
[4−1.切替部の構成]
図14乃至図16に示すように、第4の実施の形態による切替部86は、第3の実施の形態による切替部66と比べて、下側前方ローラ70DF、下側後方ローラ70DB及び下側ガイド78Dに替えてドラム88が設けられている点が相違するものの、それ以外は同様に構成されている。切替部86は、中心に位置するブレード68と、当該ブレード68の上側、後側及び下側にそれぞれ位置するローラ70(上側前方ローラ70UF、上側後方ローラ70UB、後側上方ローラ70BU及び後側下方ローラ70BD)及びドラム88と、上前搬送路72(上側搬送路75及び前側搬送路77)と、下前搬送路73(下側搬送路76及び前側搬送路77)と、上下搬送路74(上側搬送路75及び下側搬送路76)とにより構成されている。これらのブレード68と複数の70ローラとドラム88とは、図示しないアクチュエータから駆動力が伝達されることにより駆動される。
ドラム88は、ローラ70よりも大きい外径の円筒形状であり、中心軸を搬送幅方向に向けるよう、後側ガイド78B及び上側ガイド78Uの下側において回転可能に固定フレーム92に取り付けられている。このドラム88は、ブレード68の前方から下方にかけてブレード68に向かって湾曲して延設しており、紙幣の紙面と対向する平面状のガイド面が外周面に形成されている。またドラム88は、ガイド面が上側前方ローラ70UF及び後側下方ローラ70BDと当接するよう設けられている。
上側ガイド78Uの前部分のガイド面と、ドラム88において上側ガイド78Uと対向するガイド面との間に、前後方向に延設された前側搬送路77が形成されている。またドラム88の後部分のガイド面と、後側ガイド78Bにおいてドラム88と対向するガイド面との間に、上下方向に延設された下側搬送路76が形成されている。
上側前方ローラ70UF、後側下方ローラ70BD及びドラム88は、上側前方ローラ70UF及びドラム88と後側下方ローラ70BD及びドラム88とのローラピッチが、紙幣の搬送方向の長さよりも短く、且つブレード68のガイド面の搬送方向の長さよりも長くなるよう配置されている。上側前方ローラ70UF、ドラム88、上側後方ローラ70UB及び後側上方ローラ70BUは、上側前方ローラ70UF及びドラム88と上側後方ローラ70UB及び後側上方ローラ70BUとのローラピッチが、紙幣の搬送方向の長さよりも短く、且つブレード68のガイド面の搬送方向の長さよりも長くなるよう配置されている。上側後方ローラ70UB、後側上方ローラ70BU、後側下方ローラ70BD及びドラム88は、上側後方ローラ70UB及び後側上方ローラ70BUと後側下方ローラ70BD及びドラム88とのローラピッチが、紙幣の搬送方向の長さよりも短く、且つブレード68のガイド面の搬送方向の長さよりも長くなるよう配置されている。ドラム88においてブレード68と対向する箇所には、ブレード68が入り込む溝部が形成されている。
具体的に切替部86は、図14に示すように、ブレード68の先端がドラム88のガイド面よりも前方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、下側搬送路76から上方へ搬送された紙幣の搬送経路を上側搬送路75へ切り替えると共に、上側搬送路75から下方へ搬送された紙幣の搬送経路を下側搬送路76へ切り替える。一方切替部86は、ブレード68の先端が後側ガイド78Bのガイド面よりも後方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、下側搬送路76から上方へ搬送された紙幣の搬送経路を前側搬送路77へ切り替えると共に、前側搬送路77から後方へ搬送された紙幣の搬送経路を下側搬送路76へ切り替える。
また切替部86は、図15に示すように、ブレード68の先端が上側ガイド78Uのガイド面よりも前方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、上側搬送路75から下方へ搬送された紙幣の搬送経路を下側搬送路76へ切り替えると共に、下側搬送路76から上方へ搬送された紙幣の搬送経路を上側搬送路75へ切り替える。一方切替部86は、ブレード68の先端が後側ガイド78Bのガイド面よりも後側に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、上側搬送路75から下方へ搬送された紙幣の搬送経路を前側搬送路77へ切り替えると共に、前側搬送路77から後方へ搬送された紙幣の搬送経路を上側搬送路75へ切り替える。
また切替部86は、図16に示すように、ブレード68の先端が上側ガイド78Uのガイド面よりも上方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、前側搬送路77から後方へ搬送された紙幣の搬送経路を下側搬送路76へ切り替えると共に、下側搬送路76から上方へ搬送された紙幣の搬送経路を前側搬送路77へ切り替える。一方切替部86は、ブレード68の先端がドラム88のガイド面よりも下方に位置するよう当該ブレード68を回転させることにより、前側搬送路77から後方へ搬送された紙幣の搬送経路を上側搬送路75へ切り替えると共に、上側搬送路75から下方へ搬送された紙幣の搬送経路を前側搬送路77へ切り替える。
可動フレーム90は、下前搬送路73の上側に位置しており、下前搬送路73の下側において固定された固定フレーム92に対し、後端部が固定フレーム92から離隔するように後方向へ回動し可動フレーム開放状態となる。ブレード68は、固定フレーム92から可動フレーム90に向かって突出するシャフト支持フレーム部(図示せず)にブレードシャフト69が回転可能に取り付けられている。このためブレード68は、固定フレーム92側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、可動フレーム90に追従して移動せず、固定フレーム92に取り付けられたままとなる。
[4−2.動作及び効果]
以上の構成において、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、ブレード68は、固定フレーム92側に取り付けられているため、図17に示すように可動フレーム90が固定フレーム92から離隔する上側へ移動しても、固定フレーム92に残っている。可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、下側搬送路76及び前側搬送路77は、可動フレーム閉鎖状態よりも搬送路厚が大きくなる方向へ開放され、一方、上側搬送路75は、可動フレーム閉鎖状態に対し搬送路厚が変化しない。
すなわち切替部86は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない搬送路である上側搬送路75が形成されている可動フレーム90側ではなく、搬送路厚が広がる搬送路である下側搬送路76及び前側搬送路77が形成されている固定フレーム92側にブレード68を設けるようにした。換言すれば切替部86は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が広がる下前搬送路73を形成するガイド面を有するドラム88が設けられた固定フレーム92にブレード68を設けるようにした。
このため切替部86は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない上側搬送路75を外部に開放させ、当該上側搬送路75近傍に詰まった紙幣を取り出しやすくさせることができる。
また切替部86は、換言すれば、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際、4個のローラとして上側前方ローラ70UF、上側後方ローラ70UB、後側上方ローラ70BU及び後側下方ローラ70BDが設けられた可動フレーム90を、ローラが設けられていない固定フレーム92から離隔する方向へ移動させることにより、ブレード68から離隔する方向へ可動フレーム90を移動させるようにした。すなわち切替部86は、4個のローラが設けられた可動フレーム90よりも少ない個数である0個のローラとブレード68とが設けられた固定フレーム92から可動フレーム90を離隔させるようにした。
図24に示すように、従来の切替部186においては、可動フレーム190にブレードシャフト69が回転可能に取り付けられている。このため、ブレード68は可動フレーム190側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、可動フレーム190と共に固定フレーム182から離隔する。この従来の切替部186においては、上側ガイド78Uと後側ガイド78Bとブレード68との間の空間である空間SP31は、可動フレーム開放状態においては外部に開放されない。このため、空間SP31に詰まった紙幣を保守員が除去することは困難となってしまう。
これに対し切替部86においては、可動フレーム開放状態において固定フレーム92にブレード68を残しつつ可動フレーム90が当該固定フレーム92から離隔することにより、結果的にブレード68が固定フレーム92と共に空間SP31から離隔することになるため、空間SP31がブレード68によって隠されることなく外部に開放される。このため保守員は、空間SP31に詰まった紙幣を容易に除去することができる。
以上の構成によれば、切替部86は、紙幣を搬送する複数の搬送路である上側搬送路75、下側搬送路76及び前側搬送路77と、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放される開放搬送路としての下側搬送路76及び前側搬送路77が形成され紙幣をガイドするドラム88と、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放されない非開放搬送路としての上側搬送路75が形成され紙幣をガイドする後側ガイド78B及び上側ガイド78Uと、上側搬送路75、下側搬送路76及び前側搬送路77の分岐部において、ドラム88側に設けられ、紙幣の搬送方向を上側搬送路75、下側搬送路76又は前側搬送路77の何れかへ切り替えるブレード68とを設け、上側ガイド78U及び後側ガイド78Bとドラム88とは互いに離隔可能に構成され、上側ガイド78U及び後側ガイド78Bとドラム88とが離隔して可動フレーム開放状態になった際、上側搬送路75がブレード68から離隔するようにした。これにより切替部86は、上側搬送路75とブレード68との間に詰まった紙幣を取り出させやすくすることができる。
その他の第4の実施の形態における切替部86は、第3の実施の形態における切替部66とほぼ同様の作用効果を奏する。
[5.第5の実施の形態]
[5−1.切替部の構成]
図18に示すように、第5の実施の形態による切替部93は、第1の実施の形態による切替部24Bと比べて、可動フレーム94及び固定フレーム95が可動フレーム32及び固定フレーム36と相違するものの、それ以外は同様に構成されている。
可動フレーム94は、直線搬送路40の上側と、直線搬送路40と屈曲搬送路42との間とに位置しており、屈曲搬送路42の下側において固定された固定フレーム95に対し、前端部が固定フレーム98から離隔するように後方向へ回動し可動フレーム開放状態となる。ブレード38は、固定フレーム95から可動フレーム94に向かって突出するシャフト支持フレーム部(図示せず)にブレードシャフト39が回動可能に取り付けられている。このためブレード38は、固定フレーム95側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、当該可動フレーム94に追従して移動せず、固定フレーム95に取り付けられたままとなる。
[5−2.動作及び効果]
以上の構成において、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、ブレード38は、固定フレーム95側に取り付けられているため、可動フレーム94が固定フレーム95から離隔する上側へ移動しても、固定フレーム95に残っている。可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42は、可動フレーム閉鎖状態よりも搬送路厚が大きくなる方向へ開放され、一方、前側直線搬送路40Fは、可動フレーム閉鎖状態に対し搬送路厚が変化しない。
すなわち切替部93は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない搬送路である前側直線搬送路40Fが形成されている可動フレーム94側ではなく、搬送路厚が広がる搬送路である後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42が形成されている固定フレーム95側にブレード38を設けるようにした。換言すれば切替部93は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が広がる後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42を形成するガイド面を有する下側ガイド44Dが設けられた固定フレーム95にブレード38を設けるようにした。
このため切替部93は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない前側直線搬送路40Fを外部に開放させ、当該前側直線搬送路40F近傍に詰まった紙幣を取り出しやすくさせることができる。
また切替部86は、換言すれば、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際、4個のローラとして上側前方ローラ46UF、上側後方ローラ46UB、前側上方ローラ46FU及び前側下方ローラ46FDが設けられた可動フレーム94を、2個のローラとして下側前方ローラ46DF及び下側後方ローラ46DBが設けられた固定フレーム95から離隔する方向へ移動させることにより、ブレード38から離隔する方向へ可動フレーム94を移動させるようにした。すなわち切替部93は、4個のローラが設けられた可動フレーム90よりも少ない個数である2個のローラとブレード38とが設けられた固定フレーム95から可動フレーム94を離隔させるようにした。
図25に示すように、従来の切替部193においては、可動フレーム194にブレードシャフト39が回動可能に取り付けられている。このため、ブレード38は可動フレーム194側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、可動フレーム194と共に固定フレーム195から離隔する。この従来の切替部193においては、上側ガイド44Uとブレード38の上側面との間の空間である空間SP41は、可動フレーム開放状態においては外部に開放されない。このため、空間SP41に詰まった紙幣を保守員が除去することは困難となってしまう。
これに対し切替部93においては、可動フレーム開放状態において固定フレーム95にブレード38を残しつつ可動フレーム94が当該固定フレーム95から離隔することにより、結果的にブレード68が固定フレーム95と共に空間SP41から離隔することになるため、空間SP41がブレード38によって隠されることなく外部に開放される。このため保守員は、空間SP41に詰まった紙幣を容易に除去することができる。
また切替部93は、前側下方ローラ46FD及び下側前方ローラ46DFと上側後方ローラ46UB及び下側後方ローラ46DBとのローラピッチを、紙幣の搬送方向の長さよりも短く設定している。このため、切替部93において下側ガイド44Dと前側ガイド44Fとブレード38の下側面との間の空間である空間SP42に紙幣が詰まったとしても、当該紙幣は、前端又は後端の何れか一方がブレード38の前端よりも前方か、又は後端よりも後方に露出することになる。このため保守員は、空間SP42に詰まった紙幣を、当該紙幣の前端又は後端を摘んで空間SP42から引き出すことにより、容易に除去することができる。
以上の構成によれば、切替部93は、紙幣を搬送する複数の搬送路である前側直線搬送路40F、後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42と、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放される開放搬送路としての後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42が形成され紙幣をガイドする下側ガイド44Dと、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放されない非開放搬送路としての前側直線搬送路40Fが形成され紙幣をガイドする上側ガイド44U及び前側ガイド44Fと、前側直線搬送路40F、後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42の分岐部において、下側ガイド44D側に設けられ、紙幣の搬送方向を前側直線搬送路40F又は屈曲搬送路42へ切り替えるブレード38とを設け、上側ガイド44U及び前側ガイド44Fと下側ガイド44Dとは互いに離隔可能に構成され、上側ガイド44U及び前側ガイド44Fと下側ガイド44Dとが離隔して可動フレーム開放状態になった際、ブレード38が前側直線搬送路40Fから離隔するようにした。これにより切替部93は、前側直線搬送路40Fとブレード38との間に詰まった紙幣を取り出させやすくすることができる。
[6.第6の実施の形態]
[6−1.切替部の構成]
図19に示すように、第6の実施の形態による切替部96は、第1の実施の形態による切替部24Bと比べて、可動フレーム97及び固定フレーム98が可動フレーム32及び固定フレーム36と相違するものの、それ以外は同様に構成されている。
可動フレーム97は、直線搬送路40と屈曲搬送路42との間とに位置しており、直線搬送路40の上側と屈曲搬送路42の下側とにおいて固定された固定フレーム98に対し、後端部が固定フレーム98から離隔するように前方向へ回動し可動フレーム開放状態となる。ブレード38は、可動フレーム97から固定フレーム98に向かって突出するシャフト支持フレーム部(図示せず)にブレードシャフト39が回動可能に取り付けられている。このためブレード38は、可動フレーム97側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、当該可動フレーム97に追従して、固定フレーム98から離隔する前側へ移動する。
[6−2.動作及び効果]
以上の構成において、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、ブレード38は可動フレーム97側に取り付けられているため、当該可動フレーム97に追従して固定フレーム98から離隔する前側へ移動する。可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行すると、前側直線搬送路40F及び屈曲搬送路42は、可動フレーム閉鎖状態よりも搬送路厚が大きくなる方向へ開放され、一方、後側直線搬送路40Bは、可動フレーム閉鎖状態に対し搬送路厚が変化しない。
すなわち切替部96は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない搬送路である後側直線搬送路40Bが形成されている固定フレーム98側ではなく、搬送路厚が広がる搬送路である前側直線搬送路40F及び屈曲搬送路42が形成されている可動フレーム97側にブレード38を設けるようにした。換言すれば切替部96は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が広がる前側直線搬送路40F及び屈曲搬送路42を形成するガイド面を有する前側ガイド44Fが設けられた可動フレーム97にブレード38を設けるようにした。
このため切替部96は、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に搬送路厚が変化しない後側直線搬送路40Bを外部に開放させ、当該後側直線搬送路40B近傍に詰まった紙幣を取り出しやすくさせることができる。
また切替部96は、換言すれば、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際、2個のローラとして前側上方ローラ46FU及び前側下方ローラ46FDが設けられた可動フレーム97と共に、4個のローラとして上側前方ローラ46UF、上側後方ローラ46UB、下側前方ローラ46DF及び下側後方ローラ46DBが設けられた固定フレーム98から離隔する方向へ、ブレード38を移動させるようにした。すなわち切替部24は、4個のローラが設けられた固定フレーム98よりも少ない個数である2個のローラが設けられた可動フレーム97と共にブレード38を固定フレーム98に対し移動させるようにした。
図26に示すように、従来の切替部196においては、固定フレーム198にブレードシャフト39が回動可能に取り付けられている。このため、ブレード38は固定フレーム198側に取り付けられており、可動フレーム開放状態においては、可動フレーム192に追従せず、固定フレーム198に残ることとなる。この従来の切替部196においては、上側ガイド44Uと下側ガイド44Dとブレード38との間の空間である空間SP51は、可動フレーム開放状態においては外部に開放されない。このため、空間SP51に詰まった紙幣を保守員が除去することは困難となってしまう。
これに対し切替部96においては、可動フレーム開放状態においてブレード38が可動フレーム97と共に空間SP51から離隔するため、空間SP51がブレード38によって隠されることなく外部に開放される。このため保守員は、空間SP51に詰まった紙幣を容易に除去することができる。
以上の構成によれば、切替部96は、紙幣を搬送する複数の搬送路である前側直線搬送路40F、後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42と、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放される開放搬送路としての前側直線搬送路40F及び屈曲搬送路42が形成され紙幣をガイドする前側ガイド44Fと、複数の搬送路のうち可動フレーム開放状態において開放されない非開放搬送路としての後側直線搬送路40Bが形成され紙幣をガイドする上側ガイド44U及び下側ガイド44Dと、前側直線搬送路40F、後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42の分岐部において、前側ガイド44F側に設けられ、紙幣の搬送方向を前側直線搬送路40F又は屈曲搬送路42へ切り替えるブレード38とを設け、前側ガイド44Fと上側ガイド44U及び下側ガイド44Dとは互いに離隔可能に構成され、前側ガイド44Fと上側ガイド44U及び下側ガイド44Dとが離隔して可動フレーム開放状態になった際、ブレード38が後側直線搬送路40Bから離隔するようにした。これにより切替部96は、後側直線搬送路40Bとブレード38との間に詰まった紙幣を取り出させやすくすることができる。
[7.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、可動フレーム32のシャフト支持フレーム部48にブレードシャフト39を回動可能に取り付けることにより、可動フレーム32側にブレード38を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に固定フレーム36から離隔するよう可動フレーム32と同期して動作する種々の機構にブレード38を設けても良い。第2、第3及び第6の実施の形態においても同様である。
また上述した第5の実施の形態においては、固定フレーム95のシャフト支持フレーム部(図示せず)にブレードシャフト39を回動可能に取り付けることにより、固定フレーム95側にブレード38を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、可動フレーム閉鎖状態から可動フレーム開放状態へ移行する際に可動フレーム32に追従せず、固定フレーム36に残るよう動作する種々の機構にブレード38を設けても良い。第4の実施の形態においても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、回転する一対のローラにより挟持された紙幣の搬送先を切り替える切替部に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、紙幣の搬送方向に沿って設けられた一対のプーリに張架された無端ベルトにより搬送された紙幣の搬送先を切り替える切替部に本発明を適用しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ブレード38を、側面視で楔形に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、紙幣の搬送経路を切り替えることができる種々の形状であって良い。第2乃至第6の実施の形態においても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動取引装置1において、媒体としての紙幣を搬送する場合に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を搬送する種々の装置に本発明を適用しても良い。また、例えば紙幣を入出する紙幣入出金機や紙幣を所定枚数毎に施封する施封小束支払機等、紙幣や硬貨の取引に関する種々の処理を行う複数種類の装置の組み合わせにより構成された現金処理装置に本発明を適用してもよい。
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送路としての前側直線搬送路40F、後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42と、搬送路開放ガイドとしての上側ガイド44Uと、搬送路非開放ガイドとしての下側ガイド44D及び前側ガイド44Fと、切替器としてのブレード38とによって、媒体搬送機構としての切替部24Bを構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送路と、搬送路開放ガイドと、搬送路非開放ガイドと、切替器とによって、媒体搬送機構を構成しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、入出部としての入出金部14と、搬送路としての前側直線搬送路40F、後側直線搬送路40B及び屈曲搬送路42と、搬送路開放ガイドとしての上側ガイド44Uと、搬送路非開放ガイドとしての下側ガイド44D及び前側ガイド44Fと、切替器としてのブレード38とによって、媒体搬送機構としての切替部24Bを構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる入出部と、搬送路と、搬送路開放ガイドと、搬送路非開放ガイドと、切替器とによって、媒体取引装置を構成しても良い。