JP2016094506A - 難燃性樹脂組成物、成形体およびそれらの製造方法 - Google Patents

難燃性樹脂組成物、成形体およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 非ハロゲン系難燃剤を用い、機械強度、特に耐衝撃性や色調等のゴム強化系スチレン樹脂本来の物性を維持しつつ、かつ前記非ハロゲン系難燃剤のブリードアウトの抑制、難燃性および耐熱性に優れたゴム強化系スチレン樹脂組成物およびその成形品を提供すること。【解決手段】 ABS樹脂およびリン原子含有オリゴマーを溶融混練する難燃性樹脂組成物の製造方法、当該製造方法で得られる難燃性に優れた難燃性樹脂組成物、難燃性マスターバッチ、難燃性樹脂成形品およびそれらの製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は難燃性樹脂組成物に関し、とくにゴム強化系スチレン樹脂本来の機械特性を損なうことなく難燃性、耐熱性、耐衝撃性および色調に優れた難燃性樹脂組成物、およびそれからなる成形品に関する。
従来より、難燃性を付与されたゴム強化系スチレン樹脂は、成形加工性、良好な機械的特性バランスを有し、電気絶縁性に優れることから、電気・電子機器分野、OA機器分野等、広範な分野で用いられている。この難燃化の方法としては、当初、難燃化効率の高い臭素化合物などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合して難燃化する方法が採用されていたものの、燃焼の際の発煙量が多いことや環境負荷低減のため、非ハロゲン系難燃剤を用いる方法が提案されてきた。
非ハロゲン系難燃剤として、例えば、燐系難燃剤の代表的な燐酸エステルが従来からよく使用されている(特許文献1、2参照)。しかしながら、燐酸エステルの難燃化効果は極めて低く、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するためには、燐酸エステルを多量に配合する必要があり、耐熱性や耐衝撃性、さらには光沢性ないし色調が低下するといった問題があった。さらに、燐酸エステルがブリードアウトするため、成形時に金型汚染が発生するといった問題点や成形時にガスが発生するという問題点を有していた。
そこでこれらの問題を解決する手法として、ヒドロキシル基含有燐酸エステルに炭化層形成ポリマーとして、ノボラックフェノール樹脂、さらにトリアジン骨格を含有する化合物を添加する方法が開示されている(特許文献3参照)。しかしこの方法も、ゴム強化系スチレン樹脂本来の機械的特性、特に耐衝撃性および成形加工性が損なわれるという問題点を解決できるものではなかった。
この機械特性低下を抑制する方法として、変性フェノール系樹脂を用いる方法が開示されている(特許文献4参照)。しかし当該方法も難燃性が充分ではなく、ゴム強化系スチレン樹脂本来の耐熱性を維持できるものではなかった。
特開昭59−247365号公報 特開平7−26093号公報 特開平7−70448号公報 特開2005−36135号公報
そこで本発明が解決しようとする課題は、非ハロゲン系難燃剤を用い、機械強度、特に耐衝撃性や色調等のゴム強化系スチレン樹脂本来の物性を維持しつつ、かつ前記非ハロゲン系難燃剤のブリードアウトの抑制、難燃性および耐熱性に優れたゴム強化系スチレン樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
本願発明者らは種々の検討を行った結果、HCAまたはその誘導体とo−ヒドロキシベンズアルデヒド化合物を反応させて得られるリン原子含有フェノール系オリゴマーをゴム強化系スチレン樹脂に配合して得られるゴム強化系スチレン樹脂組成物およびその成形品が、ゴム強化系スチレン樹脂本来の物性を維持しつつ、かつ前記オリゴマーのブリードアウトを抑制し、優れた難燃性および耐熱性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
ゴム強化スチレン系樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を必須成分として含有する難燃性樹脂組成物であって、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜40質量部の範囲で含有すること、および、前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Xは水素原子又は下記構造式(x1)或いは(x2)
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかを表す。)で表される構造部位の何れかであり、nは0以上である。]で表されることを特徴とする難燃性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、
(2)ゴム強化スチレン系樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を溶融混練する難燃性樹脂組成物の製造方法であって、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜40質量部の範囲で含有すること、および、前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Xは水素原子又は下記構造式(x1)或いは(x2)
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかを表す。)で表される構造部位の何れかであり、nは0以上である。]で表されることを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法に関する。
さらに本発明は前記難燃性樹脂組成物を成形して得られる成形体、繊維、フィルム又はシートに関する。
本発明により、非ハロゲン系難燃剤を用い、機械強度、特に耐衝撃性や色調等のゴム強化系スチレン樹脂本来の物性を維持しつつ、かつ前記非ハロゲン系難燃剤のブリードアウトの抑制、難燃性および耐熱性に優れたゴム強化系スチレン樹脂組成物およびその成形品を提供することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、ゴム強化スチレン系樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を必須成分として含有する難燃性樹脂組成物であって、前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Xは水素原子又は下記構造式(x1)或いは(x2)
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかを表す。)で表される構造部位の何れかであり、nは0以上である。]で表されることを特徴とする。
・ゴム強化系スチレン樹脂(A)
本発明に使用するゴム強化系スチレン樹脂(A)(以下、単に「樹脂(A)」と言うことがある)は、ゴム状重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体および必要に応じこれと共重合可能なビニル単量体を加えた単量体混合物を、公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合または乳化重合に供することにより得られるものである。
このようなゴム強化系スチレン樹脂(A)の具体例としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体)およびAES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)などが挙げられる。
また、ゴム強化系スチレン樹脂としては、スチレン単量体を含有する重合体または共重合体(以下、(共)重合体と表記することもある。)がゴム質重合体にグラフトした構造をとったものと、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトした構造をとったものとを含むものである。
具体的には、ゴム質重合体5〜80質量部に対し、芳香族ビニル系単量体を20質量%以上含有する単量体または単量体混合物95〜20質量部をグラフト重合して得られるグラフト(共)重合体(A−1)10〜100質量%と、芳香族ビニル系単量体を20質量%以上含有する単量体または単量体混合物を重合して得られるビニル系(共)重合体(A−2)0〜90質量%とからなるものが好ましいものとして挙げられる。
上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ましく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレン、およびエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体の使用が好ましい。
ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限されないが、ゴム粒子の質量平均粒子径が0.15〜0.6μm、特に0.2〜0.55μmである場合が、耐衝撃性にすぐれることから好ましい。中でも質量平均粒子径0.20〜0.25μmのものと、0.50〜0.65μmのものとの質量比が、90:10〜60:40のものが、耐衝撃性および薄肉成形品の落錘衝撃が著しくすぐれることから好ましい。
なお、ゴム粒子の平均質量粒子径は、「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した質量割合と、アルギン酸ナトリウム濃度の累積質量分率とより累積質量分率50%の粒子径を求める)により測定することができる。
芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンの使用が好ましい。
芳香族ビニル系単量体以外の単量体としては、一層の耐衝撃性、耐薬品性向上を目的とする場合にはシアン化ビニル系単量体が、また靭性および色調の向上を目的とする場合には(メタ)アクリル酸エステル系単量体が、それぞれ好ましく用いられる。
前記シアン化ビニル系単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく用いられる。
さらに前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、必要に応じて他のビニル系単量体、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを使用することもできる。
上記のグラフト(共)重合体(A−1)において用いる単量体または単量体混合物は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、芳香族ビニル系単量体が20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、樹脂組成物の成形加工性の観点から、60質量%以下であることが好ましく、特に50質量%以下が好ましく用いられる。また(メタ)アクリル酸エステル系単量体を混合する場合には、靱性および耐衝撃性の観点から、80質量%以下であることが好ましく、特に75質量%以下が好ましく用いられる。単量体また単量体混合物における芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の配合量の総和は、95〜20質量%であることが好ましく、さらに好ましくは90〜30質量%である。
グラフト(共)重合体(A−1)を得る際のゴム質重合体と単量体混合物との配合割合は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、全グラフト共重合体100質量部中に、ゴム質重合体が5質量部以上であることが好ましく、より好ましくは10質量部以上である。また、樹脂組成物の耐衝撃性および成形品の外観の観点からは、80質量部以下であることが好ましく、より好ましくは70質量部以下である。また、単量体または単量体混合物の配合割合は、は95質量部以下、好ましくは90質量部以下、あるいは20質量部以上、好ましくは30質量部以上である。
グラフト(共)重合体(A−1)は、公知の重合法で得ることができる。例えば、ゴム質重合体ラテックスの存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供給して乳化重合する方法などによって得ることができる。
グラフト(共)重合体(A−1)は、ゴム質重合体に単量体または単量体混合物がグラフトした構造をとったグラフト共重合体の他に、グラフトしていない共重合体を含有したものである。グラフト(共)重合体のグラフト率は特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均衡してすぐれる樹脂組成物を得るためには、20〜80質量%、特に25〜50質量%の範囲であることが好ましい。ここで、グラフト率は次式により算出される値である。
グラフト率(%)=[<ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有量>]×100
グラフトしていない(共)重合体の特性は特に制限されないが、メチルエチルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃で測定)が、0.25〜0.6dl/g、特に0.25〜0.5dl/gの範囲であることが、すぐれた耐衝撃性の樹脂組成物を得るために好ましい条件である。
ビニル系(共)重合体(A−2)とは芳香族ビニル系単量体を必須とする共重合体である。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエンおよびo−エチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましく使用される。これらは1種または2種以上を用いることができる。
芳香族ビニル系単量体以外の単量体としては、一層の耐衝撃性、耐薬品性向上を目的とする場合にはシアン化ビニル系単量体が、また靭性および色調の向上を目的とする場合には(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく用いられる。
シアン化ビニル系単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく使用される。(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく使用される。
また、必要に応じて使用されるこれらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体が挙げられる。
本発明において、マレイミド系単量体を共重合したビニル系共重合体、即ち、マレイミド基変性ビニル系共重合体は、ポリスチレン系樹脂中に含有させて使用することにより、樹脂組成物の耐熱性を向上でき、さらに難燃性も特異的に向上できるため、好ましく使用することができる。
ビニル系(共)重合体(A−2)の構成成分である芳香族ビニル系単量体の割合は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、全単量体に対し20質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上の範囲である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、耐衝撃性、流動性の観点から、60質量%以下が好ましく、さらに好ましくは50質量%以下の範囲である。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を混合する場合には、靭性、耐衝撃性の観点から、80質量%以下が好ましく、さらに好ましくは75質量%以下の範囲である。更に、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を混合する場合には、60質量%以下が好ましく、特に50質量%以下の範囲が好ましい。
ビニル系(共)重合体(A−2)の特性には制限はないが、メチルエチルケトン溶媒を用いて、30℃で測定した極限粘度[η]が、0.4〜0.65dl/g、特に0.45〜0.55dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメチルホルムアミド溶媒を用いて、30℃で測定した場合には、0.35〜0.85dl/g、特に0.45〜0.7dl/gの範囲のものが、すぐれた耐衝撃性および成形加工性を有する樹脂組成物が得られることから好ましい。
ビニル系(共)重合体(A−2)の製造法には特に制限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−懸濁重合法および溶液−塊状重合法など通常の方法を用いることができる。
また、本発明においては、必要に応じてカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する変性ビニル系重合体(以下、変性ビニル系重合体と略称する。)を用いることもできる。この変性ビニル系重合体としては、一種または二種以上のビニル系単量体を重合または共重合して得られる構造を有し、かつ分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する重合体である。これらの官能基を含有する化合物の含有量については制限されないが、特に変性ビニル系重合体100質量部当たり0.01〜20質量部の範囲であることが好ましい。
変性ビニル系重合体中にカルボキシル基を導入する方法には特に制限はないが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸、フタル酸およびイタコン酸などのカルボキシル基または無水カルボキシル基を有するビニル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法、γ,γ’−アゾビス(γ−シアノバレイン酸)、α,α’−アゾビス(α−シアノエチル)−p−安息香酸および過酸化サクシン酸などのカルボキシル基を有する重合開始剤および/またはチオグリコール酸、α−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプト−イソ酪酸および2,3または4−メルカプト安息香酸などのカルボキシル基を有する重合度調節剤を用いて、所定のビニル系単量体を(共)重合する方法、およびメタクリル酸メチルやアクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体、必要に応じてシアン化ビニル系単量体との共重合体をアルカリによってケン化する方法などを用いることができる。
上記ヒドロキシル基を導入する方法についても特に制限はないが、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、4−ジヒドロキシ−2−ブテンなどのヒドロキシル基を有するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
上記エポキシ基を導入する方法についても特に制限はないが、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルおよびp−グリシジルスチレンなどのエポキシ基を有するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。中でも、メタクリル酸グリシジルを共重合させることによりエポキシ基を導入したエポキシ変性ビニル系共重合体は、ポリスチレン系樹脂中に含有させて使用した場合、本発明の樹脂組成物の難燃性、衝撃強度を向上することができる。
上記アミノ基を導入する方法についても特に制限はないが、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレンなどのアミノ基およびその誘導体を有するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
上記オキサゾリン基を導入する方法についても特に制限はないが、例えば2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどのオキサゾリン基を有するビニル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
この変性ビニル系重合体の特性には制限はないがメチルエチルケトン溶媒を用いて、30℃で測定した極限粘度[η]が、0.2〜0.65dl/g、特に0.35〜0.6dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメチルホルムアミド溶媒を用いて、30℃で測定した場合には、0.3〜0.9dl/g、特に0.4〜0.75dl/gの範囲のものが、すぐれた難燃性、耐衝撃性、成形加工性の樹脂組成物が得られることから好ましい。
・リン原子含有オリゴマー(B)
次に、本発明で用いるリン原子含有オリゴマー(B)は、前記した通り、下記構造式(1)
次に、本発明で用いるリン原子含有オリゴマー(B)は、前記した通り、下記構造式(1)
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Xは水素原子又は下記構造式(x1)或いは(x2)
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかを表す。)で表される構造部位の何れかであり、nは0以上である。]で表されるリン原子含有化合物である。該リン原子含有化合物は、従来から知られている各種の難燃剤と比較して難燃効果が著しく高いため、少ない添加量でも十分に優れた難燃性を発現する。
ここで、前記構造式(1)中で表される化学構造のうち、Xが水素原子であるものは、具体的には、下記構造式(1−1)〜(1−4)の何れかで表されるものが挙げられる。
前記構造式(1)中で表される化学構造のうち、Xが前記構造式(x1)で表される構造部位であるものは、具体的には下記構造式(1−5)〜(1−8)の何れかで表されるものが挙げられる。
また、前記構造式(1)中で表される化学構造のうち、Xが前記構造式(x2)で表される構造部位であるものは、具体的には下記構造式(1−9)〜(1−12)の何れかで表されるものが挙げられる。
本発明では、より高い難燃効果が得られることから前記構造式(1)中のXは前記構造式(x1)であることが好ましく、よって、前記構造式(1−5)〜(1−8)で表されるリン原子含有化合物が好ましい。
また、前記構造式(1)におけるR〜R及び前記構造式(x1)におけるR〜Rは、前記したとおり、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかを表す。ここで、炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基が挙げられ、炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、t−ブトキシ基が挙げられる。
中でも、難燃効果により優れることから前記構造式(1)におけるR〜R及び前記構造式(x1)におけるR〜Rが、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、これらすべての置換基が水素原子であることがより好ましい
本発明のリン原子含有オリゴマー(B)は、前記構造式(1)で表されるリン原子含有化合物のうち一種類を単独で用いても良いし、式中の各構造部位やnの値が異なる複数種のリン原子含有化合物を含有しても良い。中でも、難燃性に優れる硬化物が得られることから、前記構造式(1)においてnの値が異なる複数種のリン原子含有化合物を含むことが好ましい。更に、より高い難燃性が発現することからリン原子含有オリゴマー(B)中の前記構造式(1)において、nが1以上の範囲であり、好ましくは1〜10の範囲である。さらに、nの値が1以上である成分の合計の含有率が、GPC測定におけるピーク面積比率で5〜90%の範囲であるリン原子含有オリゴマー組成物で得あることがより好ましく、nが1以上の成分の含有率が40〜75%となる範囲であることが特に好ましい。
ここで、本発明において前記構造式(1)におけるnが1以上の成分の含有率とは、下記の条件で測定されたGPCのチャートにおいて、36.0分未満のピーク面積の割合のことをいう。
<GPC測定条件>
4)GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器 : RI(示差屈折径)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件 : カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
前記リン原子含有オリゴマー(B)のより好ましい組成は、具体的には、難燃性付与効果に優れることから、nが0の成分の含有率が95〜10%、nが1の成分の含有率が3〜50%、かつ、nが2以上の成分の含有率が2〜45%であることが好ましく、nが0の成分の含有率が60〜25%、nが1の成分の含有率が10〜45%、かつ、nが2以上の成分の含有率が10〜40%であることが更に好ましい。
また、前記リン原子含有オリゴマー(B)中のリン原子含有率は、難燃効果が一層向上することから9〜12質量%の範囲であることが好ましい。かかるリン原子含有率は「JIS規格K0102 46」に準拠して測定した値である。
以上詳述したリン原子含有オリゴマー(B)は、例えば、下記構造式(a1)又は(a2)
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかを表す。)
の何れかで表されるリン原子含有化合物(a)と、下記構造式(b)
(式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかを表す。)
で表されるモノヒドロキシベンズアルデヒド化合物(b)との反応により得ることが出来る。
該反応は、具体的には、前記リン原子含有化合物(a)とモノヒドロキシベンズアルデヒド化合物(b)とを、両者のモル比[(a)/(b)]が0.01/1.0〜3/1.0となる割合で仕込み、酸触媒の存在下或いは無触媒下に、125〜150℃の温度条件で2〜5時間程度反応させ、次いで、155〜220℃の温度条件で4〜10時間程度反応させることが好ましい。この方法によれば、反応中間体の析出を良好に抑制でき、かつ、前記構造式(1)においてnの値が1以上であるオリゴマー成分が生成し易くなる。
ここで、リン原子含有化合物(a)を表す前記構造式(a1)又は(a2)中のR〜Rを構成する炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基が挙げられ、炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、t−ブトキシ基が挙げられる。中でも、より難燃効果に優れるリン原子含有化合物が得られることからR〜Rの全てが水素原子であるものが好ましく、前記構造式(a1)で表されるものがより好ましい。
他方、モノヒドロキシベンズアルデヒド化合物(b)を表す前記構造式(b)中のRを構成する炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基が挙げられ、炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、t−ブトキシ基が挙げられる。これらのなかでも、前記リン原子含有化合物(a)との反応性及び難燃効果に優れることから、Rは水素原子であることが好ましい。
前記した通り、前記方法では触媒を用いても用いなくともよいが、目的物であるリン原子含有化合物を選択的に高収率で得られることから無触媒下に反応させることが好ましい。ここで、触媒を用いる場合に使用し得る触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などが挙げられる。また、その使用量は仕込み原料の総重量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲が挙げられる。
該反応は前記モノヒドロキシベンズアルデヒド化合物(b)が液状であるため、これを基質兼有機溶媒として反応を行うことができるが、作業性等の向上という観点から他の有機溶媒を使用してもよい。ここで用いる有機溶媒としては、アルコール系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒などの非ケトン系有機溶媒が挙げられ、具体的には、前記アルコール系有機溶媒としてはプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられ、前記炭化水素系有機溶媒としてはトルエン、キシレン等が挙げられる。
反応終了後は減圧下で乾燥することにより、目的物であるリン原子含有オリゴマー(B)を得ることができる。
本発明で使用するリン原子含有オリゴマー(B)の難燃性樹脂組成物中の含有割合は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されるものではないが、機械特性、難燃性および光沢性や色調などの外観性に優れる点から、ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対し、3〜40質量部の範囲であることが好ましく、さらに、耐熱性に優れる点から、3〜30質量部の範囲であることがより好ましい。また、成形時の流動性の観点から、ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対し、3〜25質量部の範囲であることが好ましく、さらに成形品の外観性に特に優れる観点から5〜20質量部の範囲であることが最も好ましい。
・難燃助剤(C)
本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性や熱安定性を向上させるため、必要に応じて種々の難燃助剤(例えば、他の難燃剤、酸化防止剤、安定剤、ドリッピング防止剤など)を含んでいてもよい。
(C1 他の難燃剤)
なお、本発明の難燃性樹脂組成物は、さらに難燃性を付与するため、他の難燃剤、例えば、リン含有化合物、窒素含有難燃剤、硫黄含有難燃剤、ケイ素含有難燃剤、アルコール系難燃剤、無機系難燃剤(金属酸化物、金属水酸化物など)(以下、他の難燃剤ということがある)などを本発明の効果を損ねない範囲で含んでいてもよい。
(C1−1)リン含有化合物
リン含有化合物リン含有化合物としては、有機リン化合物(モノマー型、ダイマー型及びトリマー型のオリゴマー型有機リン化合物、ポリマー型有機リン化合物など)、無機リン化合物などが挙げられる。
(C1−1−1)有機リン化合物
前記有機リン化合物のうち、オリゴマー型有機リン化合物には、リン酸エステル、リン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、有機ホスホン酸化合物(エステル、金属塩など)、有機ホスフィン酸化合物(エステル、金属塩など)、ポリマー型有機リン化合物、ホスフィンオキシドなどが含まれる。
(C1−1−1−1)リン酸エステル
リン酸エステルとしては、脂肪族リン酸エステル[リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチル、リン酸ペンタエリスリトール(例えば、GreatLakes Chemical社のNH−1197、特開2001−106889号公報に記載のビシクロリン酸エステルなど)などのリン酸トリC1−10アルキルエステル;前記リン酸トリエステルに対応するリン酸ジC1−10アルキルエステル及びリン酸モノC1−10アルキルエステルなど]、芳香族リン酸エステル[リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、リン酸ジフェニルエチルクレジルなどのリン酸トリC6−20アリールエステルなど]、脂肪族−芳香族リン酸エステル[リン酸メチルジフェニル、リン酸フェニルジエチル、スピロ環状芳香族リン酸エステル(ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェート、ジクレジルペンタエリスリトールジホスフェート、ジキシリルペンタエリスリトールジホスフェート等)など]などが挙げられる。
(C1−1−1−2)リン酸エステルアミド
リン酸エステルアミドとしては、リン酸エステル及びリン酸アミドの結合様式を含み、特開2002−226547号公報、特開2001−354684号公報、特開2001−139823号公報、特開2000−327834号公報、特開2000−154277号公報、特開平10−175985号公報、特開平8−59888号公報、特開昭63−235363号公報、特開昭54−19919号公報に記載のリン酸エステルアミドなどが使用できる。
リン酸エステルアミドは、商品名「リン酸エステルアミド系難燃剤SPシリーズ(例えば、SP−601、SP−670、SP−703など)」(四国化成工業株式会社製)として入手できる。
(C1−1−1−3)ホスホニトリル化合物
ホスホニトリル化合物としては、直鎖状及び環状のフェノキシホスファゼンなどが使用できる。
(C1−1−1−4)有機ホスホン酸化合物
有機ホスホン酸(亜リン酸)化合物としては、例えば、芳香族亜リン酸エステル(アリールがフェニル、クレジル、キシリルなどである亜リン酸トリC6−20アリールエステルなど)、脂肪族亜リン酸エステル(アルキルが前記アルキルなどである亜リン酸トリC1−10アルキルエステル;前記亜リン酸トリアルキルエステルに対応する亜リン酸ジ又はモノC1−10アルキルエステルなど)、有機亜リン酸エステル[例えば、アルキルが前記例示のアルキルであるC1−6アルキルホスホン酸ジC1−6アルキル(ペンタエリスリトールビス(メチルホスホネート)などのスピロ環状アルキルホスホン酸エステルなど)、アルキルが前記例示のアルキルであり、アリールがフェニル、クレジル、キシリルなどであるC1−6アルキルホスホン酸ジC6−10アリール及びC1−6アルキルホスホン酸C1−6アルキルC6−10アリールなどのアルキルホスホン酸ジエステル;前記アルキルホスホン酸ジエステルに対応するC6−10アリール−ホスホン酸ジエステル(ペンタエリスリトールジフェニルホスホネートなどのスピロ環状C6−10アリールホスホン酸エステルなど);C6−10アリールホスホン酸モノエステル(例えば、10−ヒドロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなど);ホスホノカルボン酸エステル(メトキシカルボニルメチルホスホン酸ジメチルなどの前記アルキルホスホン酸ジエステルに対応するC1−4アルコキシカルボニルオキシC1−4アルキルホスホン酸ジエステル)などのホスホノカルボン酸トリエステル]などの各種ホスホン酸エステルが含まれる。また、アルキル又はアリール基で置換されていてもよい亜リン酸、亜リン酸モノエステル、又はホスホノカルボン酸の金属塩(Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩など)なども含まれる。
(C1−1−1−5)有機ホスフィン酸化合物
有機ホスフィン酸化合物には、アルキル基(C1−4アルキル基など)又はアリール基(C6−10アリール基など)が置換(一置換又は二置換)していてもよいホスフィン酸エステル(ホスフィン酸メチルなどのホスフィン酸C1−6アルキル、ホスフィン酸フェニルなどのホスフィン酸C6−10アリール、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−C1−30アルキル又はC6−20アリール置換−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなどの環状ホスフィン酸エステルなど)などが含まれる。また、アルキル基又はアリール基が置換していてもよいホスフィン酸(例えば、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸など)の金属塩(Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩など)、ホスフィニコカルボン酸エステル(例えば、3−メチルホスフィニコプロピオン酸エステル、3−フェニルホスフィニコプロピオン酸エステルなど)、及びその単独重合体や共重合体なども含まれる。
(C1−1−1−6)ポリマー型有機リン化合物
ポリマー型有機リン化合物としては、ポリマー型リン酸エステル(C)以外のモノマー型有機リン化合物の縮合物、例えば、ポリホスフィニコカルボン酸エステル、ポリホスホン酸アミドも含まれる。
(C1−1−1−7)ホスフィンオキシド
ホスフィンオキシドとしては、トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレジルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
(C1−1−2)無機リン化合物
前記無機リン化合物には、例えば、赤リン、(ポリ)リン酸塩などが含まれる。
(C1−1−2−1)赤リン
赤リンは、難燃効果が高く、少量であっても樹脂に難燃性を付与できる。また、少量で効果が得られるため、樹脂の特性(例えば、機械的特性や電気的特性)を損なうことなく難燃化できる。赤リンとしては、通常、安定化処理を施した赤リン(安定化赤リン)が好ましく用いられる。特に、赤リンの粉砕を行わず、赤リン表面に水や酸素との反応性が高い破砕面を形成させずに微粒子化する方法で得られた赤リン、さらには、赤リンの表面が、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)、金属、金属化合物(例えば、金属水酸化物、金属酸化物等)等により単独で又は2種以上組み合わせて被覆された赤リンなどが使用できる。
赤リンとしては、通常、安定化赤リンを粉粒状で使用できる。安定化赤リンの粒子径としては、例えば、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜70μm、さらに好ましくは0.1〜50μm程度である。
(C1−2−2)(ポリ)リン酸の無機塩
(ポリ)リン酸塩としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等の非縮合又は縮合リン酸の無機塩(アンモニウム、Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩)などが挙げられる。
(C1−2)窒素含有難燃剤
窒素含有難燃剤窒素含有難燃剤としては、トリアジン類とシアヌール酸又はその誘導体との塩、例えば、メラミンシアヌレートなどのシアヌール酸のメラミン塩;メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩(例えば、グアナミンシアヌレート、アセトグアナミンシアヌレート、ベンゾグアナミンシアヌレートなど)などが含まれる。これらの塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(C1−3)硫黄含有難燃剤
硫黄含有難燃剤硫黄含有難燃剤としては、有機スルホン酸(アルカンスルホン酸、パーフルオロスルホン酸、アリールスルホン酸、スルホン化ポリスチレンなど)、スルファミン酸、有機スルファミン酸、有機スルホン酸アミドなどの塩(アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)などが挙げられる。
(C1−4)ケイ素含有難燃剤
ケイ素含有難燃剤には、(ポリ)オルガノシロキサンが含まれる。(ポリ)オルガノシロキサンとしては、ジアルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロキサンなど)、アルキルアリールシロキサン(フェニルメチルシロキサンなど)、ジアリールシロキサン、モノオルガノシロキサンなどの単独重合体(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサンなど)、又は共重合体などが含まれる。また、(ポリ)オルガノシロキサンとしては、分岐オルガノシロキサン[東芝シリコーン株式会社の商品名「XC99−B5664」、信越化学工業株式会社の商品名「X−40−9243」、「X−40−9244」、「X−40−9805」、特開平10−139964号公報記載の化合物など]、分子末端や主鎖に、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エーテル基などの置換基を有する変性(ポリ)オルガノシロキサン(例えば、変性シリコーンなど)なども使用できる。
(C1−5)アルコール系難燃剤
アルコール系難燃剤としては、多価アルコール(ペンタエリスリトールなど)、オリゴマーの多価アルコール(ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなど)、エステル化された多価アルコール、置換されたアルコール、セルロース類(セルロース、ヘミセルロース、リグノセルロース、ペクトセルロース、アジポセルロースなど)、糖類(単糖類、多糖類など)などが挙げられる。
(C1−6)無機系難燃剤
無機系難燃剤のうち、金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化マンガン、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどが挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化スズ、水酸化ジルコニウムが挙げられる。金属硫化物としては、例えば、硫化亜鉛、硫化モリブデン、硫化タングステンなどが挙げられる。また、無機系難燃剤には、膨張性黒鉛なども含まれる。
これら他の難燃剤は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。他の難燃剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲であれば特に制限されないが、用いる場合は、例えば、樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜50質量部の範囲が好ましく、さらに0.05〜30質量部の範囲がより好ましく、さらに0.1〜20質量部の範囲が最も好ましい。
(C2 酸化防止剤又は安定剤)
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、長期間安定に耐熱性を維持するために酸化防止剤又は安定剤を本発明の効果を損ねない範囲で含んでいてもよい。酸化防止剤又は安定剤には、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、アミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤(又は安定剤)、無機系安定剤、活性水素原子に対して反応性の官能基を有する化合物(反応性安定剤)などが含まれる。
(C2−2)フェノール系酸化防止剤
フェノール系酸化防止剤には、ヒンダードフェノール類(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)、例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC2−10アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのジ又はトリオキシC2−4アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、グリセリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC3−8アルキレントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC4−8アルキレンテトラオールテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが好ましい。
(C2−3)アミン系酸化防止剤
アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミン類、例えば、トリ又はテトラC1−3アルキルピペリジン又はその誘導体(4−位にメトキシ、ベンゾイルオキシ、フェノキシなどが置換していてもよい2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど)、ビス(トリ、テトラ又はペンタC1−3アルキルピペリジン)C2−20アルキレンジカルボン酸エステル[例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギザレート、オギザレートに対応するマロネート、アジペート、セバケート、テレフタレートなど;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート]、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、フェニルナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミンなどが含まれる。
(C2−4)(有機)リン系安定剤又は酸化防止剤
リン系(有機リン系)安定剤又は酸化防止剤には、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(分岐C3−6アルキルフェニル)ホスファイト[例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイトなど]、(分岐C3−6アルキルフェニル)フェニルホスファイト[例えば、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、2−t−ブチルフェニルジフェニルホスファイトなど]、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ビス(C1−9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど]、トリフェニルホスフェート系安定剤(例えば、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−ジホスファピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなど)、ジホスフォナイト系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトなど)などが含まれる。リン系安定剤は、通常、分岐C3−6アルキルフェニル基(特に、t−ブチルフェニル基)を有している。本発明の難燃性樹脂組成物は、リン系安定剤又は酸化防止剤を併用することが好ましく、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対して、リン系酸化防止剤(C2−4)を0.01〜10質量部を配合することで飛躍的に耐光性を高めることができる。これは、リン原子含有オリゴマー(B)が、フェノール性水酸基近傍に嵩高いHCAが反応をした構造をもつことで、自動酸化で生成するパーオキサイドラジカルに水素を供与した際、フェノール性水酸基自体が立体障害により活性の低いフェノキシラジカルになるためと考えられる。
(C2−5)ヒドロキノン系酸化防止剤
ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが含まれ、イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどが含まれる。
(C2−6)無機系安定剤(無機金属又は鉱物系安定剤)
無機系安定剤(無機金属又は鉱物系安定剤)には、ハイドロタルサイト、ゼオライト及びアルカリ土類金属化合物などが含まれる。
(C2−6−1)ハイドロタルサイト
前記ハイドロタルサイトとしては、特開昭60−1241号公報及び特開平9−59475号公報などに記載されているハイドロタルサイト類、例えば、下記式[M2+ 1-X3+ (OH)2X+[AN− X/n・mHO]X−(式中、M2+はMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+などの二価金属イオンを示し、M3+はAl3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンを示す。An−はCO 2−、OH、HPO 2−、SO 2−などのn価(特に1価又は2価)のアニオンを示す。xは、0<x<0.5であり、mは、0≦m<1である)で表されるハイドロタルサイト化合物などが使用できる。なお、ハイドロタルサイトは、「DHT−4A」、「DHT−4A−2」、「アルカマイザー」などとして協和化学工業株式会社から入手可能である。
(C2−6−2)ゼオライト
前記ゼオライトとしては、特に制限されないが、例えば、特開平7−62142号公報に記載されているゼオライト[最小単位セルがアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の結晶性アルミノケイ酸塩であるゼオライト(A型、X型、Y型、L型及びZSM型ゼオライト、モルデン沸石型ゼオライト;チャバザイト、モルデン沸石、ホージャサイトなどの天然ゼオライトなど)など]などが使用できる。なお、A型ゼオライトは、「ゼオラムシリーズ(A−3、A−4、A−5)」、「ゼオスターシリーズ(KA100P、NA−100P、CA−100P)」などとして、また、X型ゼオライトは、「ゼオラムシリーズ(F−9)」、「ゼオスターシリーズ(NX−100P)」などとして、Y型ゼオライトは、「HSZシリーズ(320NAA)」などとして東ソー株式会社、日本化学工業株式会社から入手可能である。
(C2−6−3)アルカリ土類金属化合物
前記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、酸化物(酸化マグネシウムなど)、水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、炭酸塩[炭酸マグネシウム、(軟質/コロイド/重質)炭酸カルシウムなど]、有機カルボン酸塩(酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなど)などが使用できる。
これらの無機系安定剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(C2−7)反応性安定剤
反応性安定剤には、活性水素原子に対して反応性の官能基を有する化合物が含まれる。活性水素原子に対して反応性の官能基を有する化合物としては、環状エーテル基、オキセタン基、酸無水物基、イソシアネート基、オキサゾリン基(環)、オキサジン基(環)、カルボジイミド基等から選択された少なくとも一種の官能基を有する化合物が例示できる。
(C2−7−1) 環状エーテル基を有する化合物
環状エーテル基を有する化合物には、エポキシ基やオキセタン基を有する化合物などが含まれる。エポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシドなどの脂環式化合物、バーサティック酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物(ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテルなど)、グリシジルアミン化合物、エポキシ基含有ビニル共重合体、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ジエン系モノマー−スチレン共重合体、トリグリシジルイソシアヌレート、エポキシ変性(ポリ)オルガノシロキサンなどが挙げられる。
(C2−7−2) オキセタン基を有する化合物
オキセタン基を有する化合物としては、例えば、イソフタル酸ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエステルやテレフタル酸ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエステルなどのオキセタニルエステル化合物、オキセタニルエーテル化合物{例えば、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルや3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンなどのアルキルオキセタニル化合物、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタンなどのアリールオキセタニル化合物、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンなどのアラルキルオキセタニルエーテル化合物、ビスフェノール−Aジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのビスフェノール型オキセタン樹脂、モノ乃至ポリ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル化フェノールノボラックやモノ乃至ポリ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル化クレゾールノボラックなどのノボラック型オキセタン樹脂など}、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチルオキセタンなどのオキセタン変性(ポリ)オルガノシロキサン、及び前記オキセタニル単位を有する誘導体{例えば、[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル誘導体}に対応するアルキルオキセタニルメチル誘導体{例えば、[1−メチル(3−オキセタニル)]メチル誘導体}などが挙げられる。
(C2−7−3)酸無水物基を有する化合物
酸無水物基を有する化合物としては、例えば、無水マレイン酸基を有するオレフィン系樹脂(例えば、エチレン−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等)などが挙げられる。
(C2−7−4)イソシアネート基を有する化合物
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、これらのイソシアネートの変性体(例えば、イソホロンジイソシアネートの三量体など)などが挙げられる。
(C2−7−5)オキサゾリン基を有する化合物
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)や2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などのビスオキサゾリン化合物や、オキサゾリン基を有するビニル系樹脂(例えば、ビニルオキサゾリン変性スチレン系樹脂等)などが挙げられる。
(C2−7−6)オキサジン基を有する化合物
オキサジン基を有する化合物としては、例えば、2,2’−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)などのビスオキサジン化合物などが挙げられる。
(C2−7−7)カルボジイミド基を有する化合物
カルボジイミド基を有する化合物としては、例えば、ポリ(フェニルカルボジイミド)、ポリ(ナフチルカルボジイミド)などのポリアリールカルボジイミド、ポリ(2−メチルジフェニルカルボジイミド)、ポリ(2,6−ジエチルジフェニルカルボジイミド)、ポリ(2,6−ジイソプロピルジフェニルカルボジイミド)、ポリ(2,4,6−トリイソプロピルジフェニルカルボジイミド)、ポリ(2,4,6−トリt−ブチルジフェニルカルボジイミド)などのポリアルキルアリールカルボジイミド、ポリ[4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド]、ポリ[4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルフェニル)カルボジイミド]、ポリ[4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド]、ポリ[4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルシクロヘキシルフェニル)カルボジイミド]などのポリ[アルキレンビス(アルキル又はシクロアルキルアリール)カルボジイミド]などが挙げられる。
これらの反応性安定剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの酸化防止剤及び/又は安定剤は単独で又は二種以上使用できる。酸化防止剤及び/又は安定剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲であれば特に制限されないが、用いる場合は、例えば、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜15質量部の範囲が好ましく、さらに0.05〜10質量部の範囲がより好ましく、さらに0.1〜10質量部の範囲が最も好ましい。
これらの酸化防止剤及び安定剤のうち、耐加水分解性の点から、無機系安定剤と反応性安定剤とを組み合わせるのが好ましく、両者の割合(質量比)は、無機系安定剤/反応性安定剤=95/5〜10/90、好ましくは90/10〜30/70、さらに好ましくは80/20〜50/50である。
前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)に前記特定の難燃助剤の項で例示したリン酸類(例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などの無機リン酸;ホスホノカルボン酸、含窒素リン酸などの有機リン酸など)を添加すると、熱安定性がさらに向上する。
(C3 ドリッピング防止剤)
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明の効果を損ねない範囲でフッ素系樹脂などのドリッピング防止剤を添加してもよい。ドリッピング防止剤により、燃焼時の火種及び融液の滴下(ドリップ)を抑制できる。フッ素系樹脂には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノマーと、エチレン、プロピレン、アクリレートなどの共重合性モノマーとの共重合体が含まれる。このようなフッ素系樹脂(フッ素含有樹脂)としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体が例示される。これらのフッ素樹脂は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記フッ素系樹脂は、粒子状で使用してもよく、平均粒径は、例えば、10〜5000μm程度、好ましくは100〜1000μm程度、さらに好ましくは100〜700μm程度であってもよい。
フッ素系樹脂の含有量は、例えば、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部である。
・添加剤(D1)/充填剤(D2)
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、目的に応じて他の成分として添加剤(D1)や充填剤(D2)を含んでいてもよい。他の添加剤(D1)としては、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤など安定剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、核剤、衝撃改良剤、摺動剤などが挙げられる。さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、機械的強度、剛性、耐熱性及び電気的性質などをさらに向上させるため、充填剤(D2)により改質されていてもよい。充填剤(D2)には、繊維状充填剤、非繊維状充填剤(板状充填剤、粉粒状充填剤など)が含まれる。これら添加剤(D1)や充填剤(D2)を用いる場合、難燃性樹脂組成物中の添加剤(D1)または充填剤(D2)の割合は、本発明の効果を損ねない範囲であれば特に制限されないが、用いる場合は、例えば、本発明の難燃性樹脂組成物中に1〜60質量%の範囲が好ましく、さらに1〜50質量%の範囲がより好ましく、さらに1〜45質量%の範囲が最も好ましい。
(D2−1 繊維状充填剤)
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、高融点有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂など)などが例示できる。好ましい繊維状充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維が挙げられる。
(D2−2 繊維状充填剤)
非繊維状充填剤のうち、板状充填剤には、例えば、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種金属箔などが例示できる。粉粒状充填剤には、カーボンブラック、炭化ケイ素、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラスファイバーなど)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、ケイ藻土、ウォラストナイトなどのケイ酸塩;酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属の硫酸塩、金属粉末などが含まれる。好ましい非繊維状充填剤としては、粉粒状又は板状充填剤、特に、ガラスビーズ、ミルドファイバー、カオリン、タルク、マイカ、及びガラスフレークが挙げられる。
また、特に好ましい充填剤(D2)には、ガラス繊維、例えば、高い強度・剛性を有するガラス繊維(チョップドストランドなど)が含まれる。
これらの充填剤(D2)の使用に当たっては、必要ならば、収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。このような収束剤又は表面処理剤としては、官能性化合物が含まれる。前記官能性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物、好ましくはエポキシ系化合物、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
充填剤(D2)は、前記収束剤又は表面処理剤により、収束処理又は表面処理されていてもよい。処理の時期については、充填剤の添加と同時に処理してもよく、添加前に予め処理してもよい。また、併用される官能性表面処理剤又は収束剤の使用量は、充填剤に対して5質量%以下、好ましくは0.05〜2質量%程度である。
本発明のリン原子含有オリゴマー(B)は、燃焼時に樹脂表面の炭化を促進するためか、樹脂を高度に難燃化できる。また、ポリマー型リン酸エステルや、芳香族樹脂、などと組み合わせて用いることにより、少量であっても前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)含有樹脂組成物に対し、さらに難燃性を付与することができ、ブリードアウトや耐熱性の低下も引き起こすこともないため好ましい。
(D3 高分子化合物)
(D3−1 樹脂)
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明の効果を損ねない範囲で、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対して、ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂に代表されるポリアリーレンエーテル樹脂を1〜100質量部をさらに配合することが好ましく、更に難燃性と耐熱性を高めたものとすることができる観点からポリアリーレンエーテル樹脂が好ましい樹脂として挙げられる。
本発明に用いることができるポリフェニレンエーテル樹脂としては、下記一般式(p−1)
(但し、R11、R12、R13、R14は、それぞれ水素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよい。)で示される結合単位からなる単独重合体及び/又は共重合体である。このポリフェニレンエーテル樹脂の具体的な例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体等が好ましく、中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。かかるポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば米国特許第3,306,874号明細書記載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば、2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3,306,875号明細書、米国特許第3,257,357号明細書、米国特許第3,257,358号明細書及び特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報に記載された方法で容易に製造できる。本発明にて用いる上記PPEの還元粘度ηSP/C(0.5g/dl、クロロフォルム溶液、30℃測定)は、0.20〜0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがより好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂の還元粘度に関する上記要件を満たすための手段としては、前記ポリフェニレンエーテル樹脂の製造の際の触媒量の調整などを挙げることができる。
(D3−2 シリコーン化合物)
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、それ自体で燃焼時の液滴の落下(ドリップ)しにくい組成物であるが、本発明の効果を損ねない範囲で、さらにシリコーン化合物を添加すると、燃焼時の液滴の落下(ドリップ)抑制、燃焼時の延燃抑制、耐衝撃性の向上効果を更にいっそう高めることができるため好ましい。本発明に使用することができるシリコーン化合物とは、シリコーン樹脂および/またはシリコーンオイルをいうものとする。
本発明に使用することができるシリコーン樹脂としては、下記一般式(s−1)〜(s−4)
(ここで、R21はそれぞれ飽和または不飽和一価炭化水素基、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アリール基、ビニルまたはアリル基から選ばれる基を表す。)で表される単位およびこれらの混合物から選ばれる化学的に結合されたシロキサン単位からなるポリオルガノシロキサンを挙げることができ、さらに、室温(23℃)で約200〜300,000,000センチポイズの粘度のものが好ましいが、上記のシリコーン樹脂である限り、それに限定されるものではない。
本発明に使用することができるシリコーンオイルとしては、下記一般式(s−5)
(ここで、R22はアルキル基またはフェニル基を表し、iは1以上の整数である。)で表されるものをあげることができる。使用することができるシリコーンオイルは、0.65〜100,000センチトークスの粘度のものが好ましいが、上記のシリコーンオイルである限り、それに限定されるものではない。
本発明に使用することができるシリコーン化合物として、シリコーン樹脂および/またはシリコーンオイルを使用することができるが、難燃性、耐衝撃性向上の面からシリコーンオイルが好ましい。
上記シリコーン化合物の添加量は前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、さらに0.05〜8質量部の範囲であることがより好ましく、更に0.1〜5質量部の範囲であることが最も好ましい。
・難燃性樹脂組成物の製造方法
本発明の難燃性樹脂組成物は、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)とリン原子含有オリゴマー(B)と、さらに必要に応じて、本発明の効果を損ねない範囲で、難燃助剤(C)、添加剤(D1)、充填剤(D2)、高分子化合物(D3)とを、例えば、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を使用して予め予備混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等の混合機を用い、樹脂設定温度を融点以上にして溶融混練することができる。 また各成分を予め予備混合せずに、又は一部の成分のみ予め混合してフィダーを用いて押出機に供給して溶融混練して製造してもよい。更に(C)、(D1)、(D2)、(D3)成分を添加する場合、これらの成分が溶融混練により破壊しやすいなど脆性を有する部材であるときは、(A)乃至(B)成分を上流部分に一括投入し、中流以降で(C)、(D1)、(D2)、(D3)成分を添加し樹脂成分と溶融混練する方法も、得られる樹脂組成物の機械的強度の点から好ましい。溶融混練後の樹脂組成物は、後述する成形加工に供されるが、一旦、保存や流通のためにペレットや粉末の形態とすることもできる。その場合の形態は、本発明の効果を損ねなければ、ペレットや粉末など公知の形態でよく、特に限定されることはないものの取扱い性の観点からペレットであることが好ましい。ペレットは、常法に従って製造することができ、例えば前記溶融混練に使用した装置からストランド状に押出した後、水冷、カッティングし、ペレットとすることが好ましい。
・難燃性マスターバッチ及びその製造方法
本発明の難燃性樹脂組成物は、上述の通り前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を含む難燃性樹脂組成物を直接溶融混練して製造することもできるが、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)および高濃度でリン原子含有オリゴマー(B)を含有する難燃性マスターバッチを溶融混練にて製造し、得られた難燃性マスターバッチに、さらにゴム強化スチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂(E)を希釈配合し、溶融混練して得ることもできる。以下、詳述する。
より具体的には、上記した各(A)、(B)成分を必要に応じてV型ブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサーなどの混合機により予備混合したのち、単軸押出型混錬機、オープンロールミキサー、加圧型ニーダー、バンバリーミキサー、二軸押出型混錬機等、既知の混合機を用い、樹脂設定温度を融点以上にして溶融混練する。このなかでも二軸押出型混練機は混練性、生産性の点で好ましい。溶融混練後、常法に従ってペレット等に加工することにより、本発明の難燃性マスターバッチが得られる。難燃性マスターバッチ中のリン原子含有オリゴマー(B)の含有割合は、本発明の効果を損ねない範囲であれば特に限定されないが、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対し、前記リン原子含有オリゴマー(B)を5〜50質量部の範囲で含有するよう溶融混練することが好ましく、7〜40質量部の範囲で含有するよう溶融混練することがより好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、このようにして得られた難燃性マスターバッチに、さらに、希釈樹脂として熱可塑性樹脂(E)を加えて溶融混練して得られる。このようにマスターバッチを経由して難燃性樹脂組成物を得ることで、難燃成分であるリン原子含有オリゴマー(B)を安定的に均一分散でき、さらに高濃度添加することもできるため、成形体に優れた難燃効果を付与することができる。
ここで本発明に用いることができる希釈樹脂用の熱可塑性樹脂(E)としては、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、例えば、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)や高分子化合物(D3)、すなわち、前記ゴム強化スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、シリコーン化合物などが挙げられ、このうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂が好ましいものとして挙げられる。前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)を含む難燃性マスターバッチと、熱可塑性樹脂(E)とを溶融混練する際、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(E)は、目的に応じて同じ種類の樹脂を用いても、異なる種類の樹脂を用いても良いが、相溶性の点から同じ種類の樹脂を用いることが好ましい。
本発明の難燃性マスターバッチから、難燃性樹脂組成物を製造するには、最終的に得られる難燃性樹脂組成物中の前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対し、前記リン原子含有オリゴマー(B)を3〜40質量部の範囲となる割合で含有するように、希釈樹脂用の熱可塑性樹脂(E)を調整して加え、溶融混練すれば特に制限はない。例えば、熱可塑性樹脂(E)が前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)の場合には、難燃性マスターバッチ中の前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)と希釈樹脂用の熱可塑性樹脂(E)の合計100質量部に対し、前記リン原子含有オリゴマー(B)が3〜40質量部となるよう、熱可塑性樹脂(E)を加えることが好ましい。熱可塑性樹脂(E)が前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)以外の樹脂の場合には、難燃性マスターバッチ中の前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対して、希釈樹脂用の熱可塑性樹脂(E)が1〜100質量部および前記リン原子含有オリゴマー(B)が3〜40質量部となるよう、熱可塑性樹脂(E)を加えることが好ましい。溶融混練の方法は、特に制限はなく、例えば、当該マスターバッチの製造方法と同様の方法を採用することができる。
なお、前記難燃性マスターバッチを製造する際に上記の前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)及びリン原子含有オリゴマー(B)と伴に、または、前記難燃性マスターバッチに希釈する際に熱可塑性樹脂(E)と伴に、上記した難燃助剤(C)、添加剤(D1)、充填剤(D2)、高分子化合物(D3)を本発明の効果を損ねない範囲で配合することもできる。
・成形体/用途
上記のようにして得られた前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜40質量部の範囲で含有する本発明の難燃性樹脂組成物は、成形機内で溶融混練して押出成形、射出成形、カレンダー成形、中空成形、真空成形、圧空成形等の公知の各種成形加工法にて、難燃性樹脂成形体を製造することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物を成形加工して得られる難燃性樹脂成形体の具体例としては、高難燃性が求められる種々の用途で使用することが可能であり、特に、特にフィルム、シート、繊維などの用途に好適に用いることができる。具体的には、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ファックス、コピー、ワープロ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブなどの記憶装置のハウジング、シャーシ、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品、その他各種用途に有用である。
本発明の難燃性樹脂組成物をシート状ないしフィルム状に成形して得られるシートないしフィルムの厚みは、その用途に応じて異なり、任意の厚さとすることができるが、通常5〜200μm、好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜100μm、特に好ましくは30〜70μmである。
本発明の難燃性樹脂組成物を成形してなる成形体、特にシート状ないしフィルム状又は繊維状に成形してなるフィルムないしシートまたは繊維は、機械強度や透明性等の樹脂(A)本来の物性を維持しつつ、難燃成分であるリン原子含有オリゴマー(B)のブリードアウトを抑制し、UL−94/VTM−0を満たす優れた難燃性と、耐熱性を発揮することができる。
なお、本発明におけるシート又はフィルムの用語は特にシートとフィルムを厳密に区別する為のものではなく、いずれをも含むことを明確にするために使用するものであり、本発明の特徴を有する限り、シート、フィルムは最大限広く解釈しうるもので、シートの用語は本発明の特徴を有する限り、プレート又は板と言われているものも含むものとする。なお、シートとフィルムを区別する必要がある場合には、シートは通常その厚さが0.5〜5mm程度のものの場合に使用し、フィルムは通常その厚さが5〜500μm程度のものの場合に使用される。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<ゴム強化スチレン系樹脂>
・A−1:グラフト(共)重合体を以下の方法で製造した。なおグラフト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この溶液を8000rpm(遠心力10,000G(98×10 m/s ))30分遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。
グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100
ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径0.3μm、ゲル含率85%)60部(固形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物40部を加えて乳化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固した後、乾燥してパウダー状として得た。
得られたグラフト共重合体のグラフト率は36%であり、スチレン構造単位70%およびアクリロニトリル30%からなる非グラフト性の共重合体を18.1%含有するものであった。またメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.34dl/gであった。
A−2−1:ビニル系共重合体を以下の方法で製造した。
スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体<A−2−1>を調製した。得られたビニル系共重合体<A−2−1>はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.53dl/gであった。
・A−2−2:ビニル系共重合体を以下の方法で製造した。
スチレン69.7%、アクリロニトリル30%、グリシジルメタクリレート0.3%からなる単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体<A−2−2>を調製した。得られたビニル系共重合体<A−2−2>はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.54dl/gであった。
・A−2−3:ビニル系共重合体を以下の方法で製造した。
スチレン51%、アクリロニトリル9%、N−フェニルマレイミド40%からなる単量体混合物をシクロヘキサノン溶媒中で溶液重合してビニル系共重合体<A−2−3>を調製した。得られたビニル系共重合体<A−2−3>はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.59dl/gであった。
<リン原子含有オリゴマー>
B−1:リン原子含有オリゴマーを以下の方法で製造した。
温度計、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを324.0質量部(1.5モル)、o−ヒドロキシベンズアルデヒド122質量部(1.0モル)を仕込み、40℃下、窒素を吹き込みながら撹拌した。140℃に加熱し4時間撹拌後、180℃に加熱し8時間撹拌した。その後、水を加熱減圧下で除去して下記構造式
であらわされるリン原子含有オリゴマー組成物(1)を410重量部得た。得られたリン原子含有オリゴマー組成物(1)の水酸基当量は428グラム/当量、軟化点は140℃、リン原子含有量は10.5%であり、GPC測定から算出されるn=1以上の成分比率は46.7%であった。
<リン系酸化防止剤>
・C−1:BASF製トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト)「IRGAFOS168」を用いた。
<ポリフェニレンエーテル樹脂>
・D−1:高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を以下の方法で製造した。
酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解して反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら180分間重合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別した。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを得た。還元粘度ηSPは0.55dl/gであった。また、SP値は8.67である。
・D−2:低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を以下の方法で製造した。
上記<D−1>の製造において、重合時間を90分に短縮すること以外、<D−1>と同一の実験を繰り返した。還元粘度ηsp/Cは0.41dl/gであった。また、SP値は8.67である。
<シリコーン系化合物>
・D−3:東レダウコーニングシリコーン社製シリコーン樹脂「DC4−7081」を用いた。
・D−4:東レダウコーニングシリコーン社製シリコーンオイル「SH200(1000cs)」を用いた。
<リン系難燃剤>
・PX−200:大八化学工業株式会社製リン系難燃剤「PX−200」を用いた。
・PFR:ADEKA製リン系難燃剤「レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)」を用いた。
・FR−1:以下の合成法により水酸基含有リン化合物を製造した。
特許文献3実施例に基づき、ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−1)を製造した。すなわち、フェノール122.7質量部(モル比2.0)、塩化アルミニウム0.87質量部(モル比0.01)をフラスコに取り90℃でオキシ塩化リン100質量部(モル比1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中間体にレゾルシン71.7質量部(モル比1.0)を加え、更に反応させた。反応を完結させるために、徐々に昇温し最終的には180℃まで温度を上げてエステル化を完了させた。次いで反応生成物を冷却し、水洗して触媒及び塩素分を除去してリン酸エステル混合物(以下FR−1と称する)を得た。この混合物をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により分析したところ、ジフェニルレゾルシニルホスフェートと、トリフェニルホスフェートと、下記式
で表される芳香族縮合リン酸エステルからなり、質量比がそれぞれ54.2/18.3/27.5であった。
・fr−1:大八化学工業株式会社製ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル「CR741C」を用いた。
<トリアジン化合物>
・MC:日産化学株式会社製「メラミンシアヌレートMC610」を用いた。
<ノボラック樹脂>
・PSM−4362:群栄化学工業製「レジトップPSM−4326」を用いた。
<変性フェノール系樹脂>
・EPOXY:以下の方法で合成したものを用いた。
温度計,滴下ロート,冷却管,撹拌機を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら,50重量%n−ブタノール溶液の25℃における溶液粘度が205mm/sのフェノールノボラック樹脂104部(水酸基1.0当量),エピクロルヒドリン370部(4.0モル),n−ブタノール42部,テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2.3部を仕込み溶解させた。65℃に昇温した後に,共沸する圧力までに減圧して,49%水酸化ナトリウム水溶液82部(1.0モル)を5時間かけて滴下した,次いで同条件下で0.5時間撹拌を続けた。この間,共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して,水層を除去し,油層を反応系内に戻しながら反応した。その後,未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン550部とn−ブタノール55部とを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液15部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水100部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し,精密濾過を経た後に,溶媒を減圧下で留去して目的の変性フェノール樹脂144部を得た。得られた変性フェノール樹脂のエポキシ当量は185g/eqであり、50重量%1,4−ジオキサン溶液の25℃における溶液粘度は48mm/s(粘度計番号:200番を用い測定)、また空気雰囲気下、40℃/分で昇温した場合のTGA測定による600℃残留炭化物量は37%であった。
実施例1〜9、比較例1〜3
各成分を表に示した配合比で混合し、ベント付き30mmφ2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−30)を使用し、220〜270℃で溶融混練、押出しを行うことによって、ペレット状のポリマーを製造した。次いで射出成形機(住友重機社製、プロマット40/25)により、射出圧を下限圧+1MPaでそれぞれの試験片を成形し、次の条件で物性を測定した。
(1)難燃性:射出成形により得た1.6mm厚みの難燃性評価用試験片についてUL94に定められている評価基準に従い、5本の試験片について難燃性を評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低下する。
(2)耐衝撃性:ASTM D256−56Aに従い耐衝撃性を評価した。
(3)耐熱性:ASTM D648(荷重:1.82MPa)に従い耐熱性を評価した。
(4)色調:試験片の色調を目視判断した。(◎:白色、○:やや黄色みあり、△:淡黄色、×:黄色)
各サンプルの難燃性、耐衝撃性、耐熱性、および色調の測定結果を表1にまとめて示す。

Claims (7)

  1. ゴム強化スチレン系樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を必須成分として含有する難燃性樹脂組成物であって、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜40質量部の範囲で含有すること、および、前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
    [式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Xは水素原子又は下記構造式(x1)或いは(x2)
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかを表す。)で表される構造部位の何れかであり、nは0以上である。]で表されることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)に加え、さらにリン系安定剤又は酸化防止剤を前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で含有する請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. ゴム強化スチレン系樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を溶融混練する難燃性樹脂組成物の製造方法であって、前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜40質量部の範囲で含有すること、および、前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
    [式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかであり、Xは水素原子又は下記構造式(x1)或いは(x2)
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基の何れかを表す。)で表される構造部位の何れかであり、nは0以上である。]で表されることを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)に加え、さらにリン系安定剤又は酸化防止剤を前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で加えて溶融混練する請求項3記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1記載の難燃性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
  6. 請求項1記載の難燃性樹脂組成物を成形して得られる繊維。
  7. 請求項1記載の難燃性樹脂組成物を成形して得られるフィルム又はシート。
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