JP2016094029A - タイヤ用面ファスナー、それを用いた空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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修作 友井
篤 丹野
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Abstract

【課題】 押出成形が可能であって、優れた耐熱性と優れた疲労耐久性とを併せ持つことを可能にしたタイヤ用面ファスナー、それを用いた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 空気入りタイヤの内面に設置される面ファスナー10であって、シート状の基材部11と該基材部11の一方の面に形成された複数本の係合素子12とを備えた成形体をなし、該成形体を熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマー粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物から構成し、そのエラストマー粒子の量を熱可塑性エラストマー組成物の総量の5重量%〜50重量%とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、吸音材等の付属物を必要に応じてタイヤ内面に取り付けるための面ファスナー、そのような面ファスナーをタイヤ内面に備えた空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、更に詳しくは、押出成形が可能であって、優れた耐熱性と優れた疲労耐久性とを併せ持つことを可能にしたタイヤ用面ファスナー、それを用いた空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
従来、吸音材等の付属物の取り付けを容易にするために、タイヤ内面に面ファスナーを備え付けた空気入りタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。空気入りタイヤにおいては、空洞部内で生じる共鳴音を低減するために、空洞部内に吸音材を設置することが行われているが、上記面ファスナー付き空気入りタイヤによれば、吸音材等の付属物を必要に応じて簡単に着脱することができる。
しかしながら、面ファスナーをタイヤ内面に取り付けた状態で空気入りタイヤの加硫を行うと、加硫ブラダーの圧力により面ファスナーの係合素子が潰れてしまうという問題がある。そして、面ファスナーの係合素子が潰れると、面ファスナーを介してタイヤ内面に取り付けられた吸音材等の付属物の安定性が低下し、タイヤ走行時に付属物が離脱し易くなる。
これに対して、面ファスナーを軟化点が高い樹脂材料から構成し、加硫工程における面ファスナーの耐熱性を高めることが考えられる。しかしながら、軟化点が高い樹脂材料は柔軟性に欠ける傾向があるため、そのような樹脂材料を用いた場合、タイヤ内面において反復的な変形に晒される面ファスナーの疲労耐久性が低下し、面ファスナーにクラックが生じ易くなる。そのため、優れた耐熱性と優れた疲労耐久性とを併せ持つタイヤ用面ファスナーを構成することは難しい。
特開2006−44503号公報
本発明の目的は、押出成形が可能であって、優れた耐熱性と優れた疲労耐久性とを併せ持つことを可能にしたタイヤ用面ファスナー、それを用いた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のタイヤ用面ファスナーは、空気入りタイヤの内面に設置される面ファスナーであって、シート状の基材部と該基材部の一方の面に形成された複数本の係合素子とを備えた成形体をなし、該成形体は熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマー粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物からなり、前記エラストマー粒子の量が前記熱可塑性エラストマー組成物の総量の5重量%〜50重量%であることを特徴とするものである。
また、上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、上述したタイヤ用面ファスナーを備えた空気入りタイヤであって、前記タイヤ用面ファスナーを前記係合素子がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面に設置したことを特徴とするものである。
更に、上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、上述したタイヤ用面ファスナーを用いた空気入りタイヤの製造方法であって、前記タイヤ用面ファスナーを前記係合素子がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面に設置した未加硫の空気入りタイヤを成形し、該面ファスナーを備えた未加硫の空気入りタイヤを金型内に投入し、該空気入りタイヤをブラダーによりタイヤ内側から加圧しながら加硫を行うことを特徴とするものである。
本発明では、面ファスナーがシート状の基材部と該基材部の一方の面に形成された複数本の係合素子とを備えた成形体をなし、その成形体を熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマー粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物から構成し、エラストマー粒子の量を熱可塑性エラストマー組成物の総量の5重量%〜50重量%とするので、熱可塑性樹脂として軟化点が高い材料を使用して加硫工程における面ファスナーの耐熱性を高めるようにした場合であっても、マトリクス中に分散したエラストマー粒子の存在により面ファスナーの柔軟性を確保し、その疲労耐久性を高めることができる。従って、本発明によれば、押出成形が可能であって、優れた耐熱性と優れた疲労耐久性とを併せ持つことを可能にしたタイヤ用面ファスナーを提供することができる。
そして、上述したタイヤ用面ファスナーを係合素子がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面に設置した空気入りタイヤを加硫する際には、面ファスナーの耐熱性が良好であるため、その係合素子が加硫ブラダーの圧力により潰れるのを防ぐことができる。そのため、タイヤ内面に面ファスナーを介して吸音材や計測器等の付属物を容易に取り付けることができ、その付属物がタイヤ走行時に離脱し難くなる。しかも、面ファスナーの疲労耐久性が良好であるため、空気入りタイヤの内面に設置された面ファスナーにクラックが生じ難いという利点もある。
本発明において、係合素子の高さは0.5mm〜5.0mmであることが好ましい。これにより、係合素子の潰れを回避すると共に、係合素子による係合力を十分に確保することができる。
面ファスナーの成形体は、基材部及び係合素子に加えて、基材部の他方の面に形成された複数本のアンカー素子を備えることが好ましい。これらアンカー素子はタイヤ内面のゴム層に埋設されることになるため、面ファスナーのタイヤ内面に対する接着力を向上することができる。このようなアンカー素子の高さは0.3mm〜2.0mmであると良い。
上記熱可塑性樹脂はナイロンを含むことが好ましい。特に、ナイロンはナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66、ナイロン6/66/12、ナイロン6/66/610、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T、ナイロン9T及び芳香族ナイロンからなる群から選ばれた少なくとも1種であると良い。なかでも高耐熱性の観点からナイロン6、ナイロン66、ナイロンMXD6から選ばれた少なくとも1種であるとさらに好ましい。これらナイロンはタイヤ加硫工程での加熱温度との関係において軟化点が十分に高い樹脂材料であるため、面ファスナーの耐熱性を確保する上で好適である。ナイロンの総量は熱可塑性エラストマー組成物に含まれる熱可塑性樹脂の総量の50重量%以上であれば良い。
一方、上記エラストマー粒子はハロゲン化ブチルゴム及び酸変性エラストマーの少なくとも一方から構成されることが好ましい。より具体的には、ハロゲン化ブチルゴムは臭素化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体であり、酸変性エラストマーは酸変性エチレン−αオレフィン共重合体、酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、酸変性スチレン−ブタジエン共重合体及び酸変性水添スチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。上述したハロゲン化ブチルゴム及び酸変性エラストマーは熱可塑性樹脂をマトリクスとする面ファスナーの柔軟性を改善する上で好適である。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。 本発明で使用される面ファスナーの一例を示す斜視図である。 本発明で使用される面ファスナーの一部を拡大して示す断面図である。 本発明で使用される面ファスナーの押し出し成形方法を示す斜視図である。 本発明で使用される面ファスナーの係合素子を拡大して示す斜視図である。 本発明で使用される面ファスナーのアンカー素子を拡大して示す斜視図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図2は本発明で使用される面ファスナーの一例を示すものである。
図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。また、カーカス層4よりもタイヤ内腔側の部位にはインナーライナー層6が配置されている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。
上記空気入りタイヤにおいて、タイヤ内面Sのトレッド部1に対応する領域には面ファスナー10が設置されている。面ファスナー10は、図2に示すように、シート状の基材部11と、該基材部11の一方の面に形成された複数本の係合素子12と、基材部11の他方の面に形成された複数本のアンカー素子14とが一体的に成形された構造を有している。係合素子12及びアンカー素子14はいずれもタイヤ周方向Cに沿って列をなし、複数の列がタイヤ幅方向Wに沿って並ぶように配置されている。但し、このような配置が特に限定されるものではなく任意の方向に配置しても良い。係合素子12及びアンカー素子14の形状は特に限定されるものではないが、例えば、図示のように先端部が枝分かれして面ファスナー10の面方向に向かって延びるT字形状や鏃形状(2段鏃形状を含む)であると良い。アンカー素子14はタイヤ内面Sのインナーライナー層6に埋設され、面ファスナー10のタイヤ内面Sに対する接着力を向上するものであるが、必ずしも設ける必要はない。
タイヤ内面Sに設置された面ファスナー10には、必要に応じて吸音材20等の付属物が取り付けられる。例えば、ポリウレタンフォームや不織布からなる吸音材20の場合、そのポリウレタンフォームや不織布の網目構造を利用することで吸音材20をそのまま面ファスナー10に対して係合させることができる。勿論、付属物には面ファスナー10に対して係合可能な他の面ファスナーを取り付けるようにしても良い。付属物としては、吸音材20の他に、温度センサやトランスポンダ等を挙げることができる。また、面ファスナー10のタイヤ内面Sにおける設置場所は付属物の種類に応じて任意に選択することができる。
上述した面ファスナー10の成形体は、熱可塑性樹脂のマトリクス10A中にエラストマー粒子10Bが分散した熱可塑性エラストマー組成物(図3参照)からなり、エラストマー粒子10Bの量が熱可塑性エラストマー組成物の総量の5重量%〜50重量%の範囲に設定されている。
このように面ファスナー10が少なくともシート状の基材部11と該基材部11の一方の面に形成された複数本の係合素子12とを備えた成形体をなし、その成形体を熱可塑性樹脂のマトリクス10A中にエラストマー粒子10Bが分散した熱可塑性エラストマー組成物から構成し、エラストマー粒子10Bの量を熱可塑性エラストマー組成物の総量に対して規定することにより、熱可塑性樹脂として軟化点が高い材料を使用して加硫工程における面ファスナー10の耐熱性を高めるようにした場合であっても、マトリクス10A中に分散したエラストマー粒子10Bの存在により面ファスナー10の柔軟性を確保し、その疲労耐久性を高めることができる。その結果、面ファスナー10は優れた耐熱性と優れた疲労耐久性とを併せ持つこととなる。
このような面ファスナー10は押出成形が可能である。例えば、基材部11及び係合素子12を備えた面ファスナー10を成形する場合、図4に示すように、基材部11及び係合素子12をタイヤ周方向に向かって見たときの側面視形状に相当する開口部を備えた押出成形機から熱可塑性エラストマー組成物を押出し、係合素子12に相当する突条部分にスリットを間欠的に形成し、その押出物を延伸して係合素子12の相互間隔を広げることにより、基材部11の一方の面に多数本の独立した係合素子12を備えた面ファスナー10を成形することが可能である。
上記面ファスナー10において、エラストマー粒子10Bの量は熱可塑性エラストマー組成物の総量の5重量%〜50重量%とする必要があるが、エラストマー粒子10Bの量が熱可塑性エラストマー組成物の総量の5重量%未満であると面ファスナー10の疲労耐久性を改善する効果が得られず、逆に50重量%超であると面ファスナー10の係合素子12が過度に柔らかくなるため、その係合素子12に基づく係合力が不十分になる。特に、エラストマー粒子10Bの量は熱可塑性エラストマー組成物の総量の10重量%〜40重量%であることが好ましい。
上述した空気入りタイヤを製造する場合、面ファスナー10を係合素子12がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面Sに設置した未加硫の空気入りタイヤを成形し、この面ファスナー10を備えた未加硫の空気入りタイヤを金型内に投入し、その空気入りタイヤを加硫ブラダーによりタイヤ内側から加圧しながら加硫を行うようにする。これにより、面ファスナー10の基材部11がタイヤ内面Sに対して加硫接着されるが、タイヤ加硫時において面ファスナー10は加硫ブラダーにより押圧されるため、係合素子12にはタイヤ径方向の圧力が掛かることになる。
しかしながら、上述のように面ファスナー10の耐熱性が良好であるため、その係合素子12が加硫ブラダーの圧力により潰れるのを防ぐことができる。つまり、加硫後の状態において、面ファスナー10の係合素子12は加硫前に付与された形状を維持することができる。そのため、タイヤ内面Sに面ファスナー10を介して吸音材20等の付属物を容易に取り付けることができ、その付属物がタイヤ走行時に離脱し難くなる。一方、面ファスナー10は優れた疲労耐久性を有しているので、タイヤ内面Sにおいて反復的な変形に晒されたとしても、その基材部11においてクラックが生じ難い。そのため、タイヤ内面Sに対して面ファスナー10を介して吸音材20等の付属物を長期間にわたって安定的に保持することが可能になり、その信頼性を高めることができる。
面ファスナー10において、係合素子12の高さH12は0.5mm〜5.0mmであると良い(図5参照)。係合素子12の高さH12を上記の如く設定することにより、係合素子12の潰れを回避すると共に、係合素子12による係合力を十分に確保することができる。ここで、係合素子12の高さH12が0.5mmよりも小さいと係合力が低下し、逆に5.0mmよりも大きいと係合素子12が加硫時に潰れ易くなる。
面ファスナー10の成形体は、基材部11及び係合素子12に加えて、基材部11の他方の面に形成された複数本のアンカー素子14を備えることが望ましい。これらアンカー素子14はタイヤ内面Sのインナーライナー層6に埋設されることになるため、面ファスナー10のタイヤ内面Sに対する接着力を向上することができる。
アンカー素子14の高さH14は0.3mm〜2.0mmであると良い(図6参照)。ここで、アンカー素子14の高さH14が0.3mmよりも小さいとアンカー効果が不十分になり、逆に2.0mmを超えるとインナーライナー層6の空気透過防止機能を悪化させたり、カーカス層4のカーカスコードを損傷したりする恐れがある。
以下、本発明で使用される面ファスナー10を構成する熱可塑性エラストマー組成物について説明する。
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン9T、芳香族ナイロン、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物〔例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物〕、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
ここで、熱可塑性エラストマー組成物のマトリクスとなる熱可塑性樹脂はナイロンを含むことが好ましい。特に、ナイロンはナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66、ナイロン6/66/12、ナイロン6/66/610、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T、ナイロン9T及び芳香族ナイロンからなる群から選ばれた少なくとも1種であると良い。なかでも高耐熱性の観点からナイロン6、ナイロン66、ナイロンMXD6から選ばれた少なくとも1種であるとさらに好ましい。これらナイロンはタイヤ加硫工程での加熱温度との関係において軟化点が十分に高い樹脂材料であるため、面ファスナー10の耐熱性を確保する上で好適である。ナイロンの総量は熱可塑性エラストマー組成物に含まれる熱可塑性樹脂の総量の50重量%以上であれば良い。これにより、ナイロンの特性を十分に発揮することができる。
一方、本発明で使用されるエラストマー粒子を構成するエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕、酸変性エラストマー〔例えば、酸変性エチレン−αオレフィン共重合体、酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、酸変性スチレン−ブタジエン共重合体、酸変性水添スチレン−ブタジエン共重合体〕等を好ましく使用することができる。
ここで、上記熱可塑性エラストマー組成物の分散相となるエラストマー粒子は、ハロゲン化ブチルゴム及び酸変性エラストマーの少なくとも一方から構成されることが好ましい。ハロゲン化ブチルゴムとしては、臭素化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体(Br−IPMS)を選択することができる。また、酸変性エラストマーとしては、酸変性エチレン−αオレフィン共重合体、酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、酸変性スチレン−ブタジエン共重合体及び酸変性水添スチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種を選択することができる。上述したハロゲン化ブチルゴム及び酸変性エラストマーは、熱可塑性樹脂をマトリクスとする熱可塑性エラストマー組成物からなる面ファスナー10の柔軟性を改善する上で好適であり、エラストマー粒子としての配合量は熱可塑性エラストマー組成物の総量の5重量%〜50重量%が好ましく、10重量%〜40重量%がさらに好ましい。
前記した特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散相を形成しているゴム粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマーの両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて相溶化剤などの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性を改良するため、材料の成型加工性をよくするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。また、一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等を任意に配合することもできる。
また、エラストマーは熱可塑性樹脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマーの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr〔本明細書において、「phr」は、エラストマー成分100重量部あたりの重量部をいう。以下、同じ。〕程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、芳香族ジアミン〔例えば、メチレンジアニリン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(それぞれ2phr程度)〕が例示できる。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr程度用いることができる。
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等、チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr程度)等が使用できる。
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラストマーを分散させることによる。エラストマーを加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマーへの各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマーの混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマーの混練およびエラストマーの動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は1000〜7500sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で製作されたポリマー組成物は、射出成形、押出し成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法によって所望の形状にすればよい。
このようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、面ファスナー10に十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマーの多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができる。
(1)熱可塑性エラストマー組成物の製造
表1に示す原料のうちBr−IPMSは予めゴムペレタイザー(森山製作所製)によりペレット状に加工した。当該ゴムペレット、熱可塑性樹脂(ナイロン)、酸変性エラストマー及び添加剤(酸化亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸)を、表1に示す配合比率で、二軸混練押出機(日本製鋼所製)に投入し、実施例1〜6,8〜9及び比較例2は250℃で、実施例7は265℃で3分間混練した。混練物を押出機から連続的にストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断することにより、実施例1〜9及び比較例2に係るペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
(2)面ファスナーの製造
上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物(実施例1〜9及び比較例2)、ナイロン6(比較例1)、ポリエチレン(比較例3)、ポリプロピレン(比較例4)をそれぞれ原料とし、その原料を基材部、係合素子、アンカー素子をタイヤ周方向に向かって見たときの側面視形状に相当する開口部を備えた押出成形機から押出し、係合素子、アンカー素子に相当する突条部分にスリットを間欠的に形成し、その押出物を延伸して係合素子、アンカー素子の相互間隔を広げることにより、基材部の片面に形成された多数本の独立した係合素子及びもう片面に形成された多数本の独立したアンカー素子を備えた実施例1〜9及び比較例1〜4の面ファスナーを得た。
(3)評価
上記(2)で製造した面ファスナーについて、タイヤ加硫後の係合素子の状態、面ファスナーの係合力及びタイヤにおける面ファスナーの疲労耐久性を評価した。その評価結果を表1に併せて示す。なお、各評価項目の評価方法は次の通りである。
(4)タイヤの作成
タイヤサイズ215/60R16の空気入りタイヤについて、タイヤ内面のトレッド部に対応する領域に幅20mmの面ファスナーを係合素子がタイヤ内面側でアンカー素子がタイヤゴム部材側となるように設置した未加硫タイヤを成形し、該面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた加硫機で加硫し、そのアンカー素子を加硫時にタイヤ内表面に食い込ませることにより、実施例1〜9及び比較例1〜4の面ファスナー付き空気入りタイヤを製造した。
(5)加硫後の係合素子の状態に関する評価
上記(4)で製造した加硫後の試験タイヤにおいてタイヤ内面に接着されている面ファスナーを観察し、係合素子の状態を調べた。評価結果は、係合素子の潰れが顕著である場合を「×」で示し、係合素子の潰れがやや認められる場合を「△」で示し、係合素子の潰れが殆ど認められない場合を「○」で示した。
(6)面ファスナーの係合力に関する評価
上記(4)で製造した加硫後の試験タイヤにおいてタイヤ内面に接着されている面ファスナーの係合力を評価した。より具体的には、タイヤ内面に設置された面ファスナーと対をなす他の面ファスナーを用意し、JIS−L3416に規定される「剥離強さ」を測定した。評価結果は、比較例1を100とする指数値を求めたとき、指数値が80以上である場合を「○」で示し、指数値が60以上80未満である場合を「△」で示し、指数値が60未満である場合を「×」で示した。なお、比較例3〜4のタイヤでは加硫後において係合素子が潰れていたため面ファスナーの係合力を測定することができなかった。
(7)タイヤにおける面ファスナーの疲労耐久性に関する評価
試験タイヤとして、実施例1〜9および比較例1〜2のタイヤを、空気圧120kPa、−20℃雰囲気下で、4.8kNの荷重を掛けて、金属ドラム上を30000km走行させた。走行後、面ファスナーを観察し、クラック等の欠陥が発生したものを「×」で示し、クラック等の欠陥が僅かに発生したものを「△」で示し、面ファスナーの欠陥が認められない場合を「○」で示した。なお、比較例3〜4のタイヤでは加硫後において係合素子が潰れていたため疲労耐久性の評価からは除外した。
Figure 2016094029
表1中、
Br−IPMS:エクソンモービル・ケミカル社製 臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体ゴム ExxproMDX89−4
タフマーMH7010:三井化学株式会社製 マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体 タフマーMH7010
タフマーMP0610:三井化学株式会社製 マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体 タフマーMP0610
ExxelorVA1803:エクソンモービル・ケミカル社製 マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体 ExxelorVA1803
タフテックM1911:旭化成ケミカルズ株式会社製 酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマー タフテックM1911
Lotader4720:アルケマ社製 マレイン酸変性エチレン−アクリル酸エチル共重合体 Lotader4720
ナイロン6:宇部興産株式会社製 ナイロン6 UBEナイロン1022B
低粘度ナイロン6:宇部興産株式会社製 ナイロン6 UBEナイロン1011FB
ナイロン66:東レ株式会社製 ナイロン66 アミランCM3007
ナイロン11:アルケマ社製 ナイロン11 Rilsan B BESN TL
ナイロン610:東レ株式会社製 ナイロン610 アミランCM2001
ナイロンMXD6:三菱ガス化学株式会社製 ナイロンMXD6 S6007
ナイロン6/12共重合体:宇部興産株式会社製 UBEナイロン7024B
ナイロン6/66共重合体:宇部興産株式会社製 UBEナイロン5033B
ポリエチレン:日本ポリエチレン株式会社製 ポリエチレン ノバテックLD YF30
ポリプロピレン:株式会社プライムポリマー製 ポリプロピレン プライムポリプロE−333GV
酸化亜鉛:正同化学工業株式会社製 酸化亜鉛3種
ステアリン酸カルシウム:堺化学工業株式会社 ステアリン酸カルシウム SC−PG
ステアリン酸:日油株式会社製 ビーズステアリン酸
表1に示すように、比較例1のナイロン6からなる面ファスナーは、耐熱性及び係合力が良好であるものの、柔軟性に欠けるため疲労耐久性の評価においてクラックの発生が認められた。比較例2の熱可塑性エラストマー組成物からなる面ファスナーは、ゴム配合量が70%と非常に多いため係合素子の剛性が極端に低下し、面ファスナーとしての係合力が十分に得られなかった。比較例3のポリエチレンからなる面ファスナー及び比較例4のポリプロピレンからなる面ファスナーは、いずれも耐熱性が不十分であるためタイヤ加硫時に係合素子が潰れてしまい、係合力は測定不能であり、疲労耐久性の評価も実施不能であった。
これに対して、実施例1〜9の熱可塑性エラストマー組成物からなる面ファスナーは押出成形が可能で加工が容易であり、耐熱性が高く、タイヤの加硫に耐えることが出来た。特に、ゴム配合量が10重量%〜40重量%である場合(実施例1,2,4,5,7〜9)、十分な係合力を示し、疲労耐久性も高く良好な結果であった。ゴム配合量が5重量%である場合(実施例3)、耐久性評価において若干のクラックが確認されたが、これは許容範囲であった。ゴム配合量が50重量%である場合(実施例6)、係合素子の剛性が低下するため係合力がやや弱くなっていたが、これは許容範囲であった。
以上の結果から、シート状の基材部と該基材部の少なくとも一方の面に形成された複数本の係合素子とを備えた成形体からなる面ファスナーにおいて、その成形体を熱可塑性樹脂中にゴム粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物から構成し、そのゴム粒子の量を熱可塑性エラストマー組成物の総量の5重量%〜50重量%とすることにより、押出成形が可能で、耐熱性があり、係合力も高く、耐久性も併せ持つ面ファスナーを得ることが出来る。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 インナーライナー層
7 ベルト層
10 面ファスナー
11 基材部
12 係合素子
14 アンカー素子
S タイヤ内面

Claims (11)

  1. 空気入りタイヤの内面に設置される面ファスナーであって、シート状の基材部と該基材部の一方の面に形成された複数本の係合素子とを備えた成形体をなし、該成形体は熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマー粒子が分散した熱可塑性エラストマー組成物からなり、前記エラストマー粒子の量が前記熱可塑性エラストマー組成物の総量の5重量%〜50重量%であることを特徴とするタイヤ用面ファスナー。
  2. 前記係合素子の高さが0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用面ファスナー。
  3. 前記成形体が前記基材部の他方の面に形成された複数本のアンカー素子を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ用面ファスナー。
  4. 前記アンカー素子の高さが0.3mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ用面ファスナー。
  5. 前記熱可塑性樹脂がナイロンを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用面ファスナー。
  6. 前記ナイロンがナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66、ナイロン6/66/12、ナイロン6/66/610、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T、ナイロン9T及び芳香族ナイロンからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載のタイヤ用面ファスナー。
  7. 前記ナイロンの総量が前記熱可塑性エラストマー組成物に含まれる前記熱可塑性樹脂の総量の50重量%以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載のタイヤ用面ファスナー。
  8. 前記エラストマー粒子がハロゲン化ブチルゴム及び酸変性エラストマーの少なくとも一方から構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用面ファスナー。
  9. 前記ハロゲン化ブチルゴムが臭素化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体であり、前記酸変性エラストマーが酸変性エチレン−αオレフィン共重合体、酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、酸変性スチレン−ブタジエン共重合体及び酸変性水添スチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載のタイヤ用面ファスナー。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のタイヤ用面ファスナーを備えた空気入りタイヤであって、前記タイヤ用面ファスナーを前記係合素子がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面に設置したことを特徴とする空気入りタイヤ。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のタイヤ用面ファスナーを用いた空気入りタイヤの製造方法であって、前記タイヤ用面ファスナーを前記係合素子がタイヤ内腔側に位置するようにタイヤ内面に設置した未加硫の空気入りタイヤを成形し、該面ファスナーを備えた未加硫の空気入りタイヤを金型内に投入し、該空気入りタイヤをブラダーによりタイヤ内側から加圧しながら加硫を行うことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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