JP2016093892A - 積層体 - Google Patents

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北川 雅之
Masayuki Kitagawa
雅之 北川
行弘 前田
Yukihiro Maeda
行弘 前田
武田 昌信
Masanobu Takeda
昌信 武田
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Abstract

【課題】日射遮蔽性および断熱性を高いレベルで発現させるべく保護層を薄膜化した場合であっても、優れた耐傷付性と優れた耐候性を有する窓貼り用途に好適な積層体を提供せんとするものである。【解決手段】基材の片面に、少なくとも熱線反射層およびハードコート層が基材側からこの順に積層され、前記熱線反射層が金属薄膜と金属酸化物薄膜とを有し、前記ハードコート層がリン酸基、スルホン酸基およびアミド基からなる群から選ばれる1種以上の極性基を有する架橋樹脂(A)および無機粒子(B)を含み、かつ、前記無機粒子(B)の含有量が、ハードコート層に含まれる全成分100質量%対し40〜60質量%であることを特徴とする積層体。【選択図】 なし

Description

本発明は、積層体に関する。
従来、住宅・ビルなどの開口部、例えば窓のガラスに金属薄膜/金属酸化物薄膜を交互に積層した熱線反射層、保護層を順に形成した積層体が使用されている。これら積層体は金属薄膜の赤外線反射機能により、室外から室内への日射熱(近赤外線)の流入、ならびに室内から室外への暖房熱(遠赤外腺)の流出を抑制することが可能であり、年間を通じて省エネ効果を得ることができる。さらに、高屈折率の金属酸化物薄膜を積層することにより透明性を向上させ外観視認性を確保し、保護層を積層することにより金属薄膜、金属酸化物薄膜を保護し、耐傷付性ならびに耐候性を発現させている。
上述した積層体として、例えば透明高分子フィルム上に金、銀、銅等の金属薄膜と金属酸化物膜を交互に積層した後、さらに保護層として酸化ケイ素またはアクリル樹脂を積層した熱線遮蔽性能を有する透明積層体が提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−135888号公報
上記特許文献1に記載の透明積層体においては、高い日射遮蔽性と高い断熱性を両立した窓貼りに好適な透明積層体を得るため、保護層に酸化ケイ素またはアクリル樹脂を含む材料を使用し、同保護層の厚みを薄膜化することにより保護層の修正放射率(赤外線の吸収率)を低下させている。しかし、本発明者は、保護層に使用している酸化ケイ素またはアクリル樹脂では、修正放射率を低減するため薄膜化した場合に窓貼り用途に充分なレベルでの耐傷付性、耐候性を発現することができないとの課題を見出した。すなわち、上記の保護層を薄膜化すると、修正放射率が低く日射遮蔽性と断熱性に優れた透明積層体を得られる一方で、耐傷付性と耐候性が低下してしまうとの課題を見出したのである。
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、日射遮蔽性および断熱性を高いレベルで発現させるべく保護層を薄膜化した場合であっても、優れた耐傷付性と優れた耐候性を有する窓貼り用途に好適な積層体を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(1)基材の片面に、少なくとも熱線反射層およびハードコート層が基材側からこの順に積層され、前記熱線反射層が金属薄膜と金属酸化物薄膜とを有し、前記ハードコート層がリン酸基、スルホン酸基およびアミド基からなる群から選ばれる1種以上の極性基を有する架橋樹脂(A)および無機粒子(B)を含み、かつ、前記無機粒子(B)の含有量が、ハードコート層に含まれる全成分100質量%対し40〜60質量%であることを特徴とする積層体、
(2)前記架橋樹脂(A)がリン酸基を含有する架橋樹脂であることを特徴とする(1)の積層体、
(3)前記無機粒子(B)がシリカであることを特徴とする(1)または(2)の積層体、
(4)前記シリカが疎水処理されていないことを特徴とする(3)の積層体、
(5)前記ハードコート層の厚みが0.5〜1.5μmであり、かつ、波長5.5〜15μmの赤外線反射率が50%以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの積層体。
本発明によれば、日射遮蔽性および断熱性を高いレベル発現させるべく保護層を薄膜化した場合であっても、優れた耐傷付性と優れた耐候性を有する窓貼り用途に好適な積層体を得ることができる。
本発明の積層体は、基材の片面に、少なくとも熱線反射層、ハードコート層が基材側からこの順に積層された積層体において、前記熱線反射層が金属薄膜と金属酸化物薄膜とを有し、前記ハードコート層がリン酸基、スルホン酸基およびアミド基からなる群から選ばれる1種以上の極性基を有する架橋樹脂(A)および無機粒子(B)を含み、かつ、前記無機粒子(B)の含有量が、ハードコート層に含まれる全成分100質量%に対し40〜60質量%である。
本発明で用いる基材は、可視光透過性能、耐候性に優れたものであれば特に限定されることはないが、窓貼り用途に使用する場合、可撓性を有し取り扱い性に優れる観点から合成樹脂を含むものであることが好ましい。ここで、合成樹脂とは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、ナイロンなどが好ましく、金属薄膜と金属酸化物薄膜からなる熱線反射層(以下、熱線反射層とする)を形成する際に必要となる耐熱性、コストなどを考慮するとポリエチレンテレフタレートがより好ましい。また、基材と熱線反射層との層間の密着性を向上させる観点から、熱線反射層を積層する基材の面に易接着層を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化などの表面処理を施すことが好ましい。ここで、易接着層に用いる樹脂は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。本基材の厚みについては、特に制限はないが機械的強度、耐熱性、窓貼り用途に用いた場合の取り扱い性を考慮すると10〜150μmであることが好ましい。厚みを10μm以上とすることで、基材の表面処理工程や、金属層、金属酸化物層の形成工程で熱収縮による皺の発生を抑制することができるとともに、窓の破損の防止性能および防犯性能等を付与することができる。一方、厚みを150μm以下とすることで、必要となる材料の量を低減することができ環境負荷低減に繋がるとともに、積層体を窓などに施工する際の施工性をより良好なものとすることができる。
次に熱線反射層は、金属薄膜と金属酸化物薄膜を基材上に積層したものであり、
最も単純な構成として、金属薄膜の上下いずれかの片面に金属酸化物薄膜を積層した構成を挙げることができる。また、金属薄膜と金属酸化物薄膜を交互に積層し、金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜とした3層構成としても良い。
本構成を採用することで、金属薄膜とハードコート層、若しくは、金属薄膜と基材との可視光線の界面反射を抑制することができ、可視光透過性能を向上させることが可能となる。さらに、熱線反射層を(I)金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜とした5層構成、または(II)金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜/金属薄膜/金属酸化物薄膜とした7層構成とすることで可視光透過性能の向上に加え、赤外線反射性能を向上させることが可能となる。一般的に層の数を増やすほど可視光透過性能、赤外線反射性能に優れた積層体を得られる傾向にあるが、性能の向上と積層体の取り扱い性のバランスの観点から、本発明の積層体が有する層の数は、上限としては7層以下であることが好ましい。
本発明で用いる金属薄膜については、赤外線反射性能に優れたものであれば特に限定されることはないが、例えば、銀、金、白金、銅、アルミニウムなどが好ましく、中でも赤外線反射性能に特に優れる銀を主成分とすることが好ましい。ここで、上記の主成分とは、金属薄膜に含まれる銀の含有量が、金属薄膜の全成分を100質量%とした場合に50質量%をこえることをいい、銀の含有量としては90質量%以上であることが好ましい。さらに、銀の耐腐食性を向上させる目的で上述した金属に加え、パラジウム、ビスマス、ニッケル、ニオブ、マグネシウム、亜鉛などを1種以上添加した合金とすることも好ましいことである。これら金属のうち、赤外線反射性能と耐腐食性を両立させる観点から、金および/またはパラジウムを含有することが特に好ましい。また、金および/またはパラジウムの含有量に特に制限はないが、耐腐食性とコストの観点から、金属薄膜の全成分を100質量%とした場合に、金原子およびパラジウム原子を合計で2〜5質量%含むことが好ましい。少ないと銀の腐食を抑制する効果が得られない。また、多すぎると、コストが上がるだけでコストアップに見合う改善効果を得ることができない。金属薄膜の厚みについては、特に制限はないが、必要とする赤外線反射性能と可視光透過性能を考慮し、5〜20nmの範囲で適宜選択することが好ましい。厚みが薄いと可視光透過性能に優れるが、赤外線反射性能が低下してしまう。逆に厚すぎると可視光透過性能が低下し、金属の使用量が増加し経済的にも好ましくない。
次に、本発明で用いる金属酸化物薄膜には、500nmの波長における屈折率が高い金属酸化物を用いることが可視光線の界面反射を低減し、可視光透過性能を向上させる点で好ましい。具体的にはチタン、ニオブ、亜鉛、錫、インジウム、ジルコニウムなどの酸化物を挙げることができ、これら金属酸化物を1種以上選択して用いることが好ましい。金属酸化物薄膜の厚みについては、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。一方、上限は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましい。金属酸化物薄膜の厚みを10nm以上とすることで、可視光線の反射を抑制でき可視光透過性能に優れた積層体を得ることができる。一方、金属酸化物薄膜の厚みを100nmを越えて積層しても、材料費が上がるばかりではなく、可視光透過性能をさらに向上させることができない。
また、金属酸化物薄膜は、可視光透過性を向上させる観点や、金属薄膜と金属酸化物薄膜との密着力を向上させ積層体の耐久性を向上させる観点から、充分に酸素を含有するものであることが好ましい。しかし、金属酸化物薄膜を十分に酸素を含有するものとすべく、金属酸化物薄膜を酸素が多く含有される雰囲気下で成膜すると、金属酸化物薄膜の下地である金属薄膜が酸化されることとなり、積層体の赤外線反射性能が低下する傾向がある。よって、十分に酸素を含有する金属酸化物層の形成の際に、その下地の金属薄膜の酸化を抑制すべく、金属薄膜と金属酸化物薄膜との間にバリア層が形成されていることが好ましい。ここで、バリア層とは、金属酸化物薄膜より酸素の含有量が少ない層であり、バリア層を成膜する際の雰囲気における体積ベースの流量率(以下、流量率とする。)を2%以上5%以下とすることで得ることができる。なお、金属酸化物薄膜を成膜する際の雰囲気における流量率は5%超15%以下であることが好ましく、金属酸化物薄膜に含まれる酸素をより十分なものとする観点から、下限は、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。
また、バリア層の厚みについては、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましい。バリア層の厚みを、1nm以上とすることで金属酸化物薄膜を形成する際に金属薄膜の酸化が抑制され、赤外線反射性能により優れる積層体を得ることができる。バリア層の厚みを、2nm以上とすることで上記の効果はより顕著なものとなる。一方、上限は、10nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましく、6nm以下であることが更に好ましく、4nm以下であることが特に好ましい。バリア層の厚みを、10nm以下とすることで、可視光透過性能により優れた積層体を得ることができる。この傾向は、バリア層の厚みが薄くなるほど顕著なものとなる。なお、金属薄膜、金属酸化物薄膜、バリア層の厚みについては、透過型電子顕微鏡(TEM)、または光学膜厚計などの公知の方法を適宜用いることで分析することができる。これら金属薄膜、金属酸化物薄膜およびバリア層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの気相成長法で成膜することができるが、成膜できる材料の種類が多岐にわたり、高品位な膜が得られるスパッタリング法を用いることが好ましい。
次に、本発明で用いるハードコート層は金属薄膜および金属酸化物薄膜を保護する機能を有するもの、すなわち保護層であり、リン酸基、スルホン酸基およびアミド基からなる群から選ばれる1種以上の極性基を有する架橋樹脂(A)を含むことが必須である。前記架橋樹脂(A)は、単官能、2官能、多官能いずれかのアクリレート、メタアクリレート、ウレタンアクリレートまたはエポキシアクリレートなどの架橋樹脂にリン酸基、スルホン酸基およびアミド基からなる群から選ばれる1種以上の極性基を導入したものである。架橋樹脂に極性基を導入し架橋樹脂(A)を得る方法としては、架橋樹脂にリン酸、アミド、スルホン酸などの極性基を有するアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体を混合し、紫外線、電子線などの電磁波を照射する方法が挙げられる。上述したアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体としては、リン酸基を有するものが好ましく、例えば、リン酸水素=ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]、リン酸2−[メタクリロイルオキシ]エチルなどを挙げることができる。ハードコート層に、リン酸基、スルホン酸基およびアミド基からなる群から選ばれる1種以上の極性基を有する架橋樹脂(A)を含むことにより、ハードコート層の下地である金属酸化物薄膜との密着性を向上させることが可能となり、耐傷付性、耐候性を向上させることができる。ここで、上述した効果をより顕著に得る観点から、架橋樹脂(A)はリン酸基を含有する架橋樹脂であることが好ましい。
また、本発明で用いる架橋樹脂は、窓貼りフィルムとして必要となる耐擦過性、可撓性をより向上させる観点から高硬度で伸長性に優れる多官能ウレタンアクリレートを主成分とし、架橋時の硬化収縮を低減しカールを抑制する観点から2官能のアクリレート、メタアクリレート、ウレタンアクリレートおよびエポキシアクリレートからなる群から選ばれる1種以上を併用することが好ましい。ここで、上記の主成分とは、ハードコート層に含まれる多官能ウレタンアクリレートの含有量が、架橋樹脂(A)の全質量を100質量%とした場合に50質量%をこえることをいう。
また、本発明のハードコート層は、ハードコート層に含まれる全成分を100質量%とした場合に無機粒子(B)を40〜60質量%含むことが必須である。
窓貼りフィルムは、昼間の日射熱、昼夜の寒暖差などの影響により熱膨張・熱収縮を繰り返すため、ハードコート層と下地である金属酸化物薄膜等との熱膨張係数が大きく異なると金属酸化物薄膜とハードコート層間の密着性が経時的に低下し、ハードコート層に亀裂や剥離が発生するといった問題が生じ、耐候性に劣る積層体となってしまう。よって、有機物である架橋樹脂(A)に無機粒子(B)を添加し、ハードコート層の熱膨張係数を無機物である金属酸化物薄膜に近づける必要がある。無機粒子(B)の添加量が40質量%を下回るとハードコート層の熱膨張係数が大きくなり上述した効果を得ることができない。一方、60質量%を上回るとハードコート層中の架橋樹脂(A)が少なくなり、ハードコート層の硬度が低下し、耐傷付性が低下してしまう。無機粒子(B)の添加量下限については45質量%以上であることがより好ましく、上限については55質量%以下であることがより好ましい。無機粒子(B)の添加量を上述した範囲とすることで、耐傷付性、耐候性のバランスにより優れた積層体を得ることができる。
本発明で用いる無機粒子(B)としては、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムのうち少なくとも一つの元素を含む酸化物の粒子であることが好ましい。上述した粒子の酸化物として、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化セリウムなどが挙げられる。これら粒子の酸化物を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これら酸化物粒子のうち、ケイ素の酸化物を用いることが好ましく、より好ましくはシリカを用いることが積層体としての耐久性を発現させる上で好ましい。
さらに、これら無機粒子(B)は表面処理されていないものを用いることが、ハードコート層と下地である金属酸化物薄膜との密着性を向上させ、耐傷付性、耐候性を向上させる上で好ましい。なお、ここで言う表面処理とはシランカップリング剤等で疎水処理することなどをいう。疎水処理されていない無機粒子を用いることにより、架橋樹脂(A)と無機粒子(B)の密着性が向上し、耐候性がより向上する。
また、ハードコート層は単層構成でも良いが、異なる2種類以上の層から形成されていても良い。例えば、極性基を含まない架橋樹脂と無機粒子(B)からなる層と極性基を含む架橋樹脂(A)と無機粒子(B)からなる2層構成であっても良い。但し、この場合は金属酸化物薄膜と接する層に極性基を含む架橋樹脂(A)と無機粒子(B)の層を形成することが、密着性を向上させる点で好ましい。
ハードコート層の厚みについては0.5〜1.5μmであることが好ましい。ハードコート層の厚みを0.5μm以上とすることで、積層体の耐傷付性をより向上させることができ、ハードコート層の厚みを1.5μm以下とすることでハードコート層の赤外線吸収量をより低減させることができ、積層体の赤外線反射性能をより向上させることができる。さらに、積層体の赤外線反射率を向上させるためには、架橋樹脂(A)に使用する架橋樹脂の種類を適宜選択し、架橋樹脂の赤外線吸収ピークである波長5.5〜15μmの赤外線反射率を50%以上とすることが積層体としての赤外線反射率を高めるうえで好ましい。ここで、耐傷付性に優れ、赤外線反射率の高い積層体を得る観点から、ハードコート層は、その厚みが0.5〜1.5μmであり、かつ波長5.5〜15μmの赤外線反射率が50%以上であることがより好ましい。
また、ハードコート層は樹脂の溶液を、グラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法などの方法で塗布し乾燥した後、紫外線、電子線などを照射し架橋させることで形成することができる。
次に基材と熱線反射層との間にアンダーコート層を形成しても良い。アンダーコート層を形成することにより、基材と熱線反射層との層間の密着性が向上し、金属薄膜の腐食を抑制することができるため好ましい。アンダーコート層を形成するものとしては、樹脂が好ましく、さらに高透明で耐久性があるものが好ましい。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂などを単独、またはそれらの混合物を使用することができる。これらアンダーコート層は、樹脂を含む溶液を、グラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法などの公知の技術で塗布し、乾燥した後、必要に応じて紫外線、電子線などを照射し硬化させることにより形成することができる。アンダーコート層の厚みについては、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。一方、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。アンダーコート層の厚みを0.5μm以上とすることで基材表面をより均一に被覆することができ、耐傷付性を十分に向上させることができる。一方、アンダーコート層の厚みを5μm以下とすることで、取扱い性をより向上させることができる。
なお、本発明の積層体は、基材の熱戦反射層およびハードコート層が積層されている面の反対側の面に粘着層を設けることで、窓ガラスなどに貼り付けることが可能となる。
以下に本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。実施例中に示す特性値の測定に供する評価用試験体の作製方法ならびに特性値の測定・算出方法は次のとおりである。
A.評価用試験体の作製
(1)積層体を50mm角正方形にカットする。
(2)前記(1)項でカットしたフィルムのハードコート層を形成した面と反対面に粘着層を形成する。
(3)次に、(2)項で形成した粘着層を介して、3mm厚のフロートガラスに貼合する。
B.耐傷付性
(1)測定方法:
i)学振型摩擦試験機(例えば、株式会社大栄科学精器製作所製 RT−200)を用い試験体の表面をスチールウール(日本スチールウール株式会社製 ボンスター#0000)にて50往復する。なお、摩擦子:30mm×10mm、荷重:500gとする。ii)評価後試験体の表面を目視にて確認する。
(2)判定基準
「◎」:傷の発生が5本以下/10mm)、「○」:傷の発生が10本以下/10mm、「×」:傷の発生が11本以上/10mm
C.耐候性
(1)規格:JIS A5759−2008に準拠
(2)測定方法:
i)サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)を用い、試験体のガラス面側から紫外線を照射する。なお、照射条件はJIS A5759の表10記載のとおりとし(ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、放射強度255W/m、120分照射中に18分間散水)、照射時間は1000時間、2000時間とする。
(3)判定基準:
「◎」:2000時間試験終了後において、ハードコート層の剥離およびクラック無し、「○」:1000時間試験終了後において、ハードコート層の剥離およびクラック無し、「×」:1000時間以下でハードコート層の剥離またはクラック有り。
D.遠赤外線反射率(断熱性)
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「IR Prestige−21(株式会社島津製作所製)」、正反射測定ユニット「SRM−8000A(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長5〜25μmの分光反射率を測定する。なお、標準板にはAl蒸着鏡を用いる。
ii)前記分光反射率からJIS本文付表3に記載の番号λ1(波長5.5μm)〜λ30(波長50μm)の選定波長における分光反射率を抽出する。なお、λ25(波長25.2μm)〜λ30(波長50μm)の反射率はλ24(波長23.3μm)の値を用いる。
iii)抽出した分光反射率にそれぞれJIS本文付表3に記載のAl蒸着鏡の標準反射率を乗じ、λ1〜λ30の選定波長における評価試験体の反射率とする。
iV)前記反射率の平均値を遠赤外線反射率とする。
(3)測定条件:波長範囲「5〜25μm」アボダイス係数「Happ−Genzel」、積算回数「20回」、分解能「4.0cm−1」。
E.日射熱取得率(日射遮蔽性)
(1)規格:JIS R3106−1998に準拠
(2)測定方法:
i)分光測光器「UV−3150(株式会社島津製作所製)」を用い、評価用試験体の波長300〜2500nmの分光透過率と分光反射率を1nm間隔で測定する。ii)前記透過率・反射率にJIS本文付表2に記載の重価係数を乗じた後、合計値を算出し、日射透過率・日射反射率(%)とする。iii)JIS本文8.4項の算出式を用い日射熱取得率を算出する。
(3)測定条件:スキャンスピード「高速」、分解能力「10nm」。
[実施例1]
50μm厚のPETフィルムの片面にアクリル系ハードコート剤「”レイクイーン”(登録商標。以下同じ)RQ−5105(三菱レイヨン株式会社製)」を塗布し、乾燥した後にUV照射して厚さ3μm厚のアンダーコート層を形成し、積層体の基材とした。次に当該基材のアンダーコート層上に、金属組成が錫:亜鉛=65質量%:35質量%のスパッタリングターゲット材を用いて厚さ40nmの第1層目の金属酸化物薄膜を製膜した(スパッタガスはアルゴン:酸素=90%:10%(流量比))。続いて、第1層目の金属酸化物薄膜上に、銀中に金を3質量%含有するスパッタリングターゲット材を用いて厚さ16nmの金属薄膜を製膜した(スパッタリングガスはアルゴン=100%)。さらに、第1層目の金属酸化物薄膜と同一のスパッタリングターゲット材を用いて厚さ2nmのバリア層を成膜し(スパッタガスはアルゴン:酸素=98%:2%(流量比))、金属薄膜をマスキングした。次に、バリア層上に第1層目の金属酸化物薄膜と同一のスパッタリングターゲット材を用いて厚さ50nmの第2層目の金属酸化物薄膜を成膜し(スパッタリングガスはアルゴン:酸素=90%:10%(流量比))、PETフィルム上に第1金属酸化物薄膜/金属薄膜/バリア層/第2金属酸化物薄膜からなる熱線反射を形成した。
次に、当該熱線反射層上にアクリル系ハードコート剤を塗布し、乾燥した後にUV照射し、厚み約0.7μmのハードコート層形成し、積層体を得た。
なお、ハードコート層であるアクリル系ハードコート剤については、6官能ウレタンアクリレート:2官能アクリレート=80質量%:20質量%からなる架橋樹脂50質量%、リン酸基を有するメタクリル酸誘導体2質量%、シリカ(疎水処理有り)40質量%および重合開始剤8質量%を等量の溶剤で希釈したものを使用した。
[実施例2]ハードコート剤の組成を架橋樹脂40質量%、リン酸基を有するメタクリル酸誘導体2質量%、シリカ(疎水処理有り)50質量%および重合開始剤8質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[実施例3]ハードコート剤の組成を架橋樹脂30質量%、リン酸基を有するメタクリル酸誘導体2質量%、シリカ(疎水処理有り)60質量%および重合開始剤8質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[実施例4]ハードコート剤に使用するシリカを「疎水処理無し」に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[実施例5]ハードコート剤に使用するシリカを「疎水処理無し」に変更したことを除き、実施例3と同様の方法で積層体を得た。
[比較例1]ハードコート剤の組成を架橋樹脂52質量%、シリカ(疎水処理有り)40質量%および重合開始剤8質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例2]ハードコート剤の組成を架橋樹脂20質量%、メタクリル酸誘導体2質量%、シリカ(疎水処理有り)70質量%および重合開始剤8質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例3]ハードコート剤の組成を架橋樹脂60質量%、メタクリル酸誘導体2質量%、シリカ(疎水処理有り)30質量%および重合開始財8質量%に変更したことを除き、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
実施例1〜5および比較例1、2の各試験体について、上述した測定方法を用い、耐傷付性、耐候性、遠赤外腺反射率、日射熱取得率を測定した結果を表1および表2に示す。
ハードコート層にリン酸基を有する架橋樹脂(A)を用い、無機粒子(B)としてシリカを40、50、60質量%添加した実施例1、2、3はいずれも耐傷付性、耐候性に優れ、判定は「○」以上であった。また、疎水処理していないシリカを用いた実施例4、5はさらに耐傷付性、耐候性が向上することを確認した。さらに全ての試験体で断熱性の指標である遠赤外線反射率、日射遮蔽性の指標である日射取得率はいずれも良好な値であった。
一方、ハードコート層にリン酸基を有しない架橋樹脂を用いた比較例1は、下地との密着性に劣り、耐傷付性、耐候性ともに判定は「×」であった。また、無機粒子(B)としてシリカを70質量%添加した比較例2は、耐候性の判定は「○」であったが、ハードコート層の硬度が低く耐傷付性が「×」であった。さらに、無機粒子(B)としてシリカを30質量%添加した比較例3は、耐傷付性に優れる一方で、ハードコート層と下地との熱膨張係数の差が大きいため、耐候性試験によりハードコート層の剥離・クラックが発生し、判定は「×」であった。
Figure 2016093892
Figure 2016093892
本発明の積層体は、日射遮蔽性および断熱性を高いレベルで備え、かつ耐傷付性と耐候性に優れているので、住宅・ビル等の窓ガラスに好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 基材の片面に、少なくとも熱線反射層およびハードコート層が基材側からこの順に積層され、
    前記熱線反射層が金属薄膜と金属酸化物薄膜とを有し、
    前記ハードコート層がリン酸基、スルホン酸基およびアミド基からなる群から選ばれる1種以上の極性基を有する架橋樹脂(A)および無機粒子(B)を含み、かつ、
    前記無機粒子(B)の含有量が、ハードコート層に含まれる全成分100質量%対し40〜60質量%であることを特徴とする積層体。
  2. 前記架橋樹脂(A)がリン酸基を含有する架橋樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記無機粒子(B)がシリカであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記シリカが疎水処理されていないことを特徴とする請求項3に記載の積層体。
  5. 前記ハードコート層の厚みが0.5〜1.5μmであり、かつ、
    波長5.5〜15μmの赤外線反射率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
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