JP2016092924A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノイズフィルタを用いることなくノイズの放射を抑制することができる電力変換装置を提供すること。
【解決手段】金属製ハウジング11に収納されて直流電源2からの電力を変換するパワーモジュール13と、直流電源2の正極側をパワーモジュール13に接続するPバスバー121と、直流電源2の負極側をパワーモジュール13に接続するNバスバー122と、Pバスバー121と容量結合する導電体123の第1電極部123αと、Nバスバー122と容量結合する導電体123の第2電極部123βと、導電体123をハウジング11に電気的に接続する接続回路124と、を備えている。そして、Pバスバー121と第1電極部123αの間の結合容量値Caと、Nバスバー122と第2電極部123βの間の結合容量値Cbを同じ値に設定し、第1電極部123αと第2電極部123βを同電位に設定する構成とした。
【選択図】図4

Description

本発明は、電源から出力された電力を直流−交流間で変換する電力変換装置に関する発明である。
複数のスイッチング素子を高速動作させるインバータ等を有する電力変換装置では、スイッチング素子の動作によってコモンモードノイズが放射される。従来、このノイズによる影響を防止するため、ノイズの発生源である電力変換回路に接続されている電源線にノイズフィルタを設置した電力変換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000-315929号公報
しかしながら、従来の電力変換装置にあっては、ノイズフィルタを用いて電源線に接続された機器に対するノイズの影響を防止しているため、ノイズフィルタを構成するコンデンサ等の素子を設置する必要があった。そのため、装置全体が大型化したり、コストアップが生じたりするという問題が生じていた。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ノイズフィルタを用いることなくノイズの放射を抑制することができる電力変換装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電力変換装置は、ハウジングと、パワーモジュールと、第1電源線と、第2電源線と、第1導電体と、第2導電体と、第1接続回路と、第2接続回路と、を備えている。
前記ハウジングは、車体に接地された金属製の筐体である。
前記パワーモジュールは、電気的に絶縁した状態で前記ハウジングに収納され、電源から出力される電力を変換する。
前記第1電源線は、前記パワーモジュールを前記電源の正極側に接続する。
前記第2電源線は、前記パワーモジュールを前記電源の負極側に接続する。
前記第1導電体は、前記第1電源線と容量結合する。
前記第2導電体は、前記第2電源線と容量結合する。
前記第1接続回路は、前記第1導電体を前記ハウジングに電気的に接続する。
前記第2接続回路は、前記第2導電体を前記ハウジングに電気的に接続する。
そして、前記第1電源線と前記第1導電体との間の結合容量値と、前記第2電源線と前記第2導電体との間の結合容量値を同じ値に設定し、さらに、前記第1導電体と前記第2導電体を同電位に設定する。
よって、本発明の電力変換装置では、例えばパワーモジュールを電源の正極側に接続する第1電源線に共振周波数等による高周波ノイズ電流が発生すると、この高周波ノイズ電流は、第1導電体との間の結合容量を介して、ハウジングに電気的に接続された第1導電体へと漏れ出る。ここで、第1導電体は、第2導電体と同電位であり、インピーダンスは低くなっている。また、第2導電体と、パワーモジュールを電源の負極側に接続する第2電源線との間の結合容量値は、第1電源線と第1導電体との間の結合容量値と同じ値に設定されている。そのため、第1導電体に漏れ出た高周波ノイズ電流は、第2導電体から、第2導電体と第2電源線との間の結合容量を介して、第2電源線へと帰還する。この第1導電体及び第2導電体を介して第2電源線に帰還する高周波ノイズ電流のループは非常に小さく、磁界を発生しにくい。
一方、第1電源線に発生した高周波ノイズ電流は、この第1電源線から金属製のハウジングへも漏れ出る。しかし、第1電源線とハウジングとの間の結合容量値は、一般的に第1電源線と第1導電体との間の結合容量値よりも小さく、ハウジングのインピーダンスは比較的高くなっている。そのため、ハウジングへと漏れ出て車体等を迷走するループの大きい電流を抑制することができる。この結果、ノイズフィルタを用いることなくノイズの放射を抑制することができる。
実施例1の電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 実施例1の電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの等価回路の回路図である。 図1におけるA−A断面を示す断面図である。 実施例2の電力変換装置における給電ラインの要部を示す断面図である。 実施例3の電力変換装置における給電ラインの要部を示す断面図である。 実施例4の電力変換装置における給電ラインを示す概要斜視図である。 実施例4の導電体の他の例を示す斜視図である。
以下、本発明の電力変換装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜実施例4に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、構成を説明する。
実施例1における電力変換装置の構成を、「電力変換装置を適用した駆動システムの全体構成」、「給電ラインの詳細構成」に分けて説明する。
[電力変換装置を適用した駆動システムの全体構成]
図1は、実施例1の電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図であり、図2は、図1に示す電気自動車の駆動システムの等価回路の回路図である。
以下、図1及び図2に基づき、実施例1の電力変換装置を適用した駆動システムの全体構成を説明する。
実施例1の電力変換装置10は、三相交流電力モータ等の電動機3を走行駆動源として走行する電気自動車の駆動システム1に適用される。ここで、電動機3は、電気自動車の車軸に結合される。以下、電気自動車を例に説明するが、本発明は、ハイブリッド自動車(HEV)にも適用することができ、また車両以外の装置に搭載される電力変換装置にも適用可能である。
本例の電力変換装置10を含む駆動システム1は、図1に示すように、直流電源2と、電動機3と、電力変換装置10と、第1シールド線4と、第2シールド線5と、を備えている。
前記直流電源2は、ここでは電気自動車の駆動用高電圧バッテリであり、複数の二次電池を直列又は並列に接続した電池(不図示)と、当該電池の正極端子2a及び負極端子2bにより構成されている。この直流電源2は、第1シールド線4により電力変換装置10に接続されている。
前記電動機3は、例えば、ロータに永久磁石を埋設し、ステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータである。電動機3は、電力変換装置10から出力される三相交流電流により、電磁気的な作用で動作して回転力を発生する。
前記第1シールド線4は、一対のシールド線41,42で構成され、一方のシールド線41は、直流電源2の正極端子2aと電力変換装置10の後述するPバスバー121とを接続し、他方のシールド線42は、直流電源2の負極端子2bと電力変換装置10の後述するNバスバー122とを接続する。各シールド線41,42は、それぞれ線状の金属線4aの外周を樹脂によって形成された樹脂部4bで被覆することで構成される電線である。
前記第2シールド線5は、3本のシールド線51,52,53で構成され、それぞれ電動機3のU相、V相、W相と対応して、電動機3と電力変換装置10の後述する送電ライン15とを接続する。各シールド線51,52,53は、それぞれ第1シールド線4と同様に構成された電線である。
前記電力変換装置10は、直流電源2と電動機3との間に接続され、直流電源2から供給される直流電力を、モータ回転数に応じた周波数で目標トルクに応じた電流にすると共に、PWM信号により半導体スイッチング素子がスイッチすることにより交流電力に変換して電動機3に供給する。この電力変換装置10は、ハウジング11と、給電ライン12と、パワーモジュール13と、コンデンサ14と、送電ライン15と、を備えている。
前記ハウジング11は、電力変換装置10の外装部材であって、内部に給電ライン12と、パワーモジュール13と、コンデンサ14と、送電ライン15と、を収納する。このハウジング11は、導電性を有する金属によって形成され、配線11aを介して車体(不図示)に接地されている。
前記給電ライン12は、直流電源2とパワーモジュール13とを接続し、直流電源2から出力される電力をパワーモジュール13に給電する。詳細な構成については後述する。
前記パワーモジュール13は、いわゆるインバータであり、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)等のモジュール化された複数の半導体スイッチング素子からなるスイッチ群を基板上に複数有し、電気的に絶縁した状態でハウジング11に収納されている。そして、図示しないコントローラからの制御信号に基づき、当該半導体スイッチング素子をオン及びオフさせることで直流電源2からの直流電力を変換して、送電ライン15を介して電動機3に交流電力を出力する。
なお、コントローラでは、相電流を検出する電流センサからの検出値に基づいて、目標に合うようにフィードバック制御をおこなう。
このパワーモジュール13のインバータ回路は、図2に示すように、U相インバータ部131と、V相インバータ部132と、W相インバータ部133と、を有している。各インバータ部131〜133は、それぞれ上アーム側スイッチング素子131a,132a,133aと、下アーム側スイッチング素子131b,132b,133bと、上アーム側還流ダイオード131c,132c,133cと、下アーム側還流ダイオード131d,132d,133dと、を有している。
そして、上アーム側スイッチング素子131a,132a,133aに対して、それぞれ上アーム側還流ダイオード131c,132c,133cが逆並列に接続されている。また、下アーム側スイッチング素子131b,132b,133bに対して、それぞれ下アーム側還流ダイオード131d,132d,133dが逆並列に接続されている。さらに、上アーム側スイッチング素子131aと上アーム側還流ダイオード131cの並列回路と、下アーム側スイッチング素子131bと下アーム側還流ダイオード131dの並列回路が、給電ライン12のPバスバー121とNバスバー122の間に直列に接続されている。なお、他のスイッチング素子132a,133a,132b,133b及び還流ダイオード132c,133c,132d,133dについても、同様にPバスバー121とNバスバー122の間に直列に接続されている。これにより、パワーモジュール13は、三相ブリッジ回路を形成している。
前記コンデンサ14は、パワーモジュール13のインバータ回路の平滑コンデンサであり、給電ライン12のPバスバー121とNバスバー122の間に接続されている。このコンデンサ14により、直流電源2から入力される電圧の変動が吸収される。
前記送電ライン15は、平板状の導電材により形成されたU相バスバー151と、V相バスバー152と、W相バスバー153と、を有している。U相バスバー151は、パワーモジュール13のU相インバータ部131とシールド線51を接続する。V相バスバー152は、パワーモジュール13のV相インバータ部132とシールド線52を接続する。W相バスバー153は、パワーモジュール13のW相インバータ部133とシールド線53を接続する。
なお、各バスバー151,152,153の先端部分には、電力変換装置10の端子(タブ)が形成され、第2シールド線5に接続されている。
[給電ラインの詳細構成]
図3は、図1におけるA−A断面を示す断面図である。以下、図1及び図3に基づき、実施例1の電力変換装置の給電ラインの詳細構成を説明する。
前記給電ライン12は、図1及び図3に示すように、Pバスバー121と、Nバスバー122と、導電体123と、接続回路124と、被覆樹脂125と、を備えている。
前記Pバスバー121は、直流電源2の正極側(正極端子2a)をパワーモジュール13に接続する第1電源線であり、平板面121aを主面にした平板状の導電材により形成されている。ここで、「平板面」とは、長手方向に沿う面のうち、最も幅の広い面である。そして、このPバスバー121の一端部分には、電力変換装置10の端子(タブ)が形成され、第1シールド線4の一方のシールド線41に接続されている。さらに、Pバスバー121の中間部には、パワーモジュール13のU相インバータ部131等に接続する端子(タブ)や、コンデンサ14に接続する端子(タブ)が複数形成されている。
前記Nバスバー122は、直流電源2の負極側(負極端子2b)をパワーモジュール13に接続する第2電源線であり、平板面122aを主面した平板状の導電材により形成されている。そして、このNバスバー122の一端部分には、電力変換装置10の端子(タブ)が形成され、第1シールド線4の他方のシールド線42に接続されている。さらに、Nバスバー122の中間部には、パワーモジュール13のU相インバータ部131等に接続する端子(タブ)や、コンデンサ14に接続する端子(タブ)が複数形成されている。
そして、Pバスバー121とNバスバー122は、互いの主面である平板面121a,122aを、隙間を開けて対向させて平行に配置されている。なお、Pバスバー121とNバスバー122は、同一形状を呈している。
前記導電体123は、Pバスバー121の平板面121aに対向する第1平板面123aと、Nバスバー122の平板面122aに対向する第2平板面123bとをそれぞれ主面にした平板状の導電材により形成されている。この導電体123は、Pバスバー121とNバスバー122の間に配置され、Pバスバー121及びNバスバー122のそれぞれに対して、隙間を開けて平行に配置されている。
そして、この導電体123は、第1平板面123aに対応してPバスバー121と容量結合する第1電極部123αと、第2平板面123bに対応してNバスバー122と容量結合する第2電極部123βと、を有している。すなわち、この導電体123は、Pバスバー121と容量結合する第1導電体と、Nバスバー122と容量結合する第2導電体に相当し、この第1導電体と第2導電体を一体化した導電材により形成したものである。そのため、Pバスバー121と容量結合した第1電極部123α(第1導電体に相当)と、Nバスバー122と容量結合した第2電極部123β(第2導電体に相当)は、必然的に同電位となる。
なお、この導電体123は、長手方向の長さを、Pバスバー121及びNバスバー122よりも短くなるように設定され、厚み寸法を、Pバスバー121及びNバスバー122よりも厚くなるように設定されている(図1参照)。
さらに、Pバスバー121と導電体123との容量結合部分、つまり平板面121aと第1平板面123aの間(以下、「第1容量結合部Cα」という)における結合容量値(以下、「第1容量値Ca」という)と、Nバスバー122と導電体123との容量結合部分、つまり、平板面122aと第2平板面123bの間(以下、「第2容量結合部Cβ」という)における結合容量値(以下、「第2容量値Cb」という)とを、同じ値に設定している。なお、この「同じ値」とは、完全に一致した値だけでなく、所定の範囲(幅)を持って一致していることも含む。つまり「ほぼ一致した値」である。
ここで、一般的に結合容量値Cは、下記[数1]により求められる。
ただし、「ε0」は真空の誘電率を示し、「εr」は比誘電率を示し、「S」は容量結合する部材同士の対向面積を示し、「d」は容量結合する部材間の距離を示す。そして、容量結合する部材間の誘電率εは、ε=ε0・εrで示される。
そのため、ここでは、Pバスバー121と導電体123とが対向する面積と、Nバスバー122と導電体123とが対向する面積とが等しくなるように設定され、また、このPバスバー121と導電体123の間の距離と、Nバスバー122と導電体123の間の距離とが等しくなるように設定されている。
また、Pバスバー121とNバスバー122は、ハウジング11との間の浮遊容量により、ハウジング11に対してそれぞれ容量結合してしまうことがある。そのため、実施例1では、第1容量値Ca及び第2容量値Cbを、このハウジング11との間の浮遊容量の大きさも含めて同じ値に設定する。
つまり、Pバスバー121とハウジング11の結合容量値と、Pバスバー121と導電体123の結合容量値を合成した値と、Nバスバー122とハウジング11の結合容量値と、Nバスバー122と導電体123の結合容量値を合成した値を、同じ値に設定する。
前記接続回路124は、導電体123を金属製のハウジング11に電気的に接続する回路である。すなわち、この接続回路124は、Pバスバー121と容量結合する第1導電体をハウジング11に電気的に接続する第1接続回路、及び、Nバスバー122と容量結合する第2導電体をハウジング11に電気的に接続する第2接続回路に相当し、この第1接続回路と第2接続回路と一つの回路により形成したものである。
そして、この接続回路124は、ここでは電気抵抗体等を介することなく、導電体123とハウジング11を直接接続している。これにより、導電体123は、ハウジング11と同電位になる。
前記被覆樹脂125は、Pバスバー121と、Nバスバー122と、導電体123と、を一体化する樹脂材料である。この被覆樹脂125は、Pバスバー121及びNバスバー122の外側を覆うと共に、Pバスバー121と導電体123の間、及び、Nバスバー122と導電体123の間、にそれぞれ充填される。
なお、Pバスバー121及びNバスバー122に形成された複数の端子(タブ)は、被覆樹脂125から突出する。
次に、作用を説明する。
まず、「コモンモードノイズの発生原理」を説明し、続いて実施例1の電力変換装置における「ノイズ電流ループの縮小作用」を説明する。
[コモンモードノイズの発生原理]
例えば、図1に示す電気自動車の駆動システム1のようなモータ駆動のための交流電流に変換される前の直流電流が流れる回路を「主回路」と呼ぶ。この主回路では、直流電源2からの給電ラインであるPバスバー121とNバスバー122の結合容量とインダクタンスにより、インピーダンスが形成され、電気的な共振周波数を持つ。そして、この共振周波数において、直列共振回路ではインピーダンスが低く、共振電流が増えることが分かっている。
これに対し、給電ラインであるPバスバー121は、浮遊容量成分により金属製のハウジング11に容量結合すると、共振電流がハウジング11へと漏れ出ることになる。この漏れ出た電流がNバスバー122へと帰還できず、ハウジング11や、さらにこのハウジング11が接地された車体等を迷走すると、この共振電流の流れる電流ループが大きくなりコモンモードの磁界を発生させる。そして、この磁界からコモンモードノイズが放射される。
ここで、放射されるコモンモードノイズの大きさは、共振電流が流れる電流ループが大きいほど大きくなるコモンモードの磁界に依存する。つまり、電流ループを小さくして小さなコモンモードの磁界とすれば、放射されるコモンモードノイズを抑制することができる。
なお、主回路にコモンモードノイズフィルタを挿入し、主回路から漏れ出る共振電流(ノイズ電流)をノイズフィルタに流すことで、共振電流(ノイズ電流)を減衰させることができる。
しかし、この場合では、主回路の電力損失やノイズフィルタの発熱、ノイズフィルタを設置するためのスペース確保に伴う装置の大型化等の問題が発生してしまう。
[ノイズ電流ループの縮小作用]
モータ駆動のための交流電流に変換される前の直流電流が流れる駆動システム1の主回路において、直流電源2からの正極側の給電ラインであるPバスバー121に主回路給電ラインの共振周波数等による高周波ノイズ電流が発生した場合を考える。
ここで、実施例1の電力変換装置10では、給電ライン12のPバスバー121とNバスバー122の間に導電体123を配置し、この導電体123とPバスバー121及びNバスバー122をそれぞれ容量結合している。また、導電体123は、車体に接地されたハウジング11に対して接続回路124を介して電気的に接続されている。
そのため、Pバスバー121に発生した高周波ノイズ電流は、このPバスバー121と導電体123との間の第1容量結合部Cαを介して導電体123へと漏れ出る。このとき、導電体123は、Nバスバー122とも容量結合すると共に、第1容量値Caと第2容量値Cbとは、同じ値に設定されている。さらに、導電体123は一枚の平板材であり、この導電体123においてPバスバー121に容量結合する部位(第1容量結合部Cα)と、Nバスバー122に容量結合する部位(第2容量結合部Cβ)は、必然的に同電位になる。
これにより、導電体123へ漏れ出た高周波ノイズ電流は、ハウジング11へと流れていくことなく、第2容量結合部Cβを介してNバスバー122へと帰還する。そして、このPバスバー121→第1容量結合部Cα→導電体123→第2容量結合部Cβ→Nバスバー122へと流れる高周波ノイズ電流の電流ループは、電力変換装置10のハウジング11内に収まり、非常に小さくなる。そのため、コモンモードの磁界が小さくなり、この電流ループを流れる高周波ノイズ電流によるコモンモードノイズの放射を抑えることができる。
一方、給電ライン12がハウジング11に収納されていることで、この給電ライン12のPバスバー121がハウジング11と容量結合してしまう。そのため、Pバスバー121に発生した高周波ノイズ電流は、Pバスバー121とハウジング11との容量結合部分を介してハウジング11へと漏れ出てしまう。
このとき、Pバスバー121に発生した高周波ノイズ電流の大部分は、上述のPバスバー121→第1容量結合部Cα→導電体123→第2容量結合部Cβ→Nバスバー122へと繋がる電流ループによって帰還される。
そのため、Pバスバー121とハウジング11との間の結合容量値は比較的小さくなり、インピーダンスが高くなる。そのため、高周波ノイズ電流は、Pバスバー121とハウジング11との容量結合部分を介してハウジング11へと漏れ出にくくなっている。
この結果、ハウジング11へと漏れ出て、このハウジング11や、ハウジング11が接地された車体等を迷走するループの大きな電流を抑制することができ、コモンモードノイズの放射を抑えることができる。また、ノイズフィルタを用いることなくノイズ放射を抑制するので、装置の大型化やコストの増加といった問題が生じることもない。
そして、この実施例1では、Pバスバー121の平板面121aとNバスバー122の平板面122aを対向させて平行に配置し、導電体123をこのPバスバー121とNバスバー122の間、つまり平板面121aと平板面122aの間に配置している。
これにより、Pバスバー121とNバスバー122の間に、第1容量結合部Cαと第2容量結合部Cβのみを存在させることができ、この第1容量結合部Cαと第2容量結合部Cβによる電流のループを短くして、コモンモードノイズの放射を抑制することができる。
また、実施例1では、第1容量値Ca及び第2容量値Cbを、Pバスバー121とハウジング11の間の浮遊容量と、Nバスバー122とハウジング11の間の浮遊容量とを考慮し、これらの浮遊容量の大きさも含めて同じ値に設定している。
そのため、給電ライン12がハウジング11に近接し、Pバスバー121とハウジング11の間の浮遊容量や、Nバスバー122とハウジング11との間の浮遊容量が大きくても、Pバスバー121からハウジング11へとノイズ電流が漏れ出にくくすることができ、コモンモードノイズの放射を抑制することができる。
さらに、この実施例1では、導電体123が有する第1電極部123αと第2電極部123βが、Pバスバー121と容量結合する第1導電体と、Nバスバー122と容量結合する第2導電体に相当し、この第1導電体と第2導電体を一体化した導電材により形成したものとなっている。そのため、第1電極部123αと第2電極部123βを確実に同電位とすることができる。また、第1電極部123αと第2電極部123βとの間の電力損失を防止することができて、コモンモードノイズの放射を効果的に抑制することができる。
そして、実施例1では、被覆樹脂125により、Pバスバー121と、Nバスバー122と、導電体123と、を一体化している。そのため、電力変換装置10を製造する際、給電ライン12のハウジング11への組み付けが行いやすくなり、製造性の向上を図ることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の電力変換装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 車体に接地された金属製のハウジング11と、
電気的に絶縁した状態で前記ハウジング11に収納され、電源(直流電源2)から出力される電力を変換するパワーモジュール13と、
前記電源(直流電源2)の正極(正極端子2a)側を前記パワーモジュール13に接続する第1電源線(Pバスバー121)と、
前記電源(直流電源2)の負極(負極端子2b)側を前記パワーモジュール13に接続する第2電源線(Nバスバー122)と、
前記第1電源線(Pバスバー121)と容量結合する第1導電体(導電体123の第1電極部123α)と、
前記第2電源線(Nバスバー122)と容量結合する第2導電体(導電体123の第2電極部123β)と、
前記第1導電体(導電体123の第1電極部123α)を前記ハウジング11に電気的に接続する第1接続回路(接続回路124)と、
前記第2導電体(導電体123の第2電極部123β)を前記ハウジング11に電気的に接続する第2接続回路(接続回路124)と、
を備え、
前記第1電源線(Pバスバー121)と前記第1導電体(導電体123の第1電極部123α)との間の結合容量値(第1容量値Ca)と、前記第2電源線(Nバスバー122)と前記第2導電体(導電体123の第2電極部123β)との間の結合容量値(第2容量値Cb)を同じ値に設定すると共に、前記第1導電体(導電体123の第1電極部123α)と前記第2導電体(導電体123の第2電極部123β)を同電位に設定する構成とした。
これにより、ノイズフィルタを用いることなくコモンモードノイズの放射を抑制することができる。
(2) 前記第1電源線(Pバスバー121)と前記第2電源線(Nバスバー122)を、それぞれ平板面121a,122aを主面にした平板状の導電材により形成すると共に、前記第1電源線(Pバスバー121)の主面(平板面121a)と前記第2電源線(Nバスバー122)の主面(平板面122a)を対向させて平行に配置し、
前記第1導電体(導電体123の第1電極部123α)及び前記第2導電体(導電体123の第2電極部123β)を、前記第1電源線(Pバスバー121)と前記第2電源線(Nバスバー122)の間に配置する構成とした。
これにより、(1)の効果に加え、第1容量結合部Cαと第2容量結合部Cβによる電流のループを短くして、コモンモードノイズの放射を抑制することができる。
(3) 前記ハウジング11と前記第1電源線(Pバスバー121)との間の浮遊容量と、前記ハウジング11と前記第2電源線(Nバスバー122)との間の浮遊容量とを含めて、前記第1電源線(Pバスバー121)と前記第1導電体(導電体123の第1電極部123α)との間の結合容量値(第1容量値Ca)と、前記第2電源線(Nバスバー122)と前記第2導電体(導電体123の第2電極部123β)との間の結合容量値(第2容量値Cb)を同じ値に設定する構成とした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、Pバスバー121とハウジング11の間の浮遊容量や、Nバスバー122とハウジング11との間の浮遊容量が大きくても、コモンモードノイズの放射を抑制することができる。
(4) 前記第1電源線(Pバスバー121)と、前記第2電源線(Nバスバー122)と、前記第1導電体(導電体123の第1電極部123α)と、前記第2導電体(導電体123の第2電極部123β)と、を樹脂材料(被覆樹脂125)により一体化する構成とした。
これにより、(1)から(3)のいずれかの効果に加え、電力変換装置10を製造する際、給電ライン12のハウジング11への組み付けが行いやすくなり、製造性の向上を図ることができる。
(5) 前記第1導電体(導電体123の第1電極部123α)と前記第2導電体(導電体123の第2電極部123β)を、一体化した導電材(導電体123)により形成する構成とした。
これにより、(1)から(4)のいずれかの効果に加え、第1電極部123αと第2電極部123βを確実に同電位にして、コモンモードノイズの放射を効果的に抑制することができる。
(実施例2)
実施例2は、第1,第2電源線に対する第1,第2導電体の配置を、実施例1と異ならせた例である。
図4は、実施例2の電力変換装置における給電ラインの要部を示す断面図である。以下、図4に基づき、実施例2の電力変換装置の構成について説明する。なお、実施例1と同等の部位については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
実施例2の電力変換装置における給電ライン12Aは、図4に示すように、Pバスバー121と、Nバスバー122と、導電体126と、被覆樹脂125と、ここでは図示しない接続回路と、を有している。
前記Pバスバー121は、平板面121aを主面にした平板状の導電材により形成されている。また、前記Nバスバー122は、平板面122aを主面にした平板状の導電材により形成されている。
そして、Pバスバー121とNバスバー122は、それぞれ主面である平板面121aと平板面122aを同一方向(図4では下方向)に向け、この平板面121aと平板面122aが同一面上に並ぶように所定の隙間を開けて並列に配置している。
なお、このPバスバー121とNバスバー122の間の隙間は、各バスバー121,122の長手方向に沿って一定になっている。
前記導電体126は、Pバスバー121の平板面121aに対向する第1平板面部126aと、Nバスバー122の平板面122aに対向する第2平板面部126bとを有する平面部126cを主面にした平板状の導電材により形成されている。そして、この導電体126は、Pバスバー121及びNバスバー122のそれぞれに対して、平板面121a及び平板面122aが臨む一方側に、隙間を開けて平行に配置されている。
さらに、この導電体126は、第1平板面部126aに対応してPバスバー121と容量結合する第1電極部126αと、第2平板面部126bに対応してNバスバー122と容量結合する第2電極部126βと、第1電極部126αと第2電極部126βを連結する連結部126γと、を有している。
すなわち、この導電体126は、Pバスバー121と容量結合する第1導電体と、Nバスバー122と容量結合する第2導電体に相当し、この第1導電体と第2導電体を一体化した導電材により形成したものである。
なお、連結部126γは、Pバスバー121とNバスバー122の間に設けられた隙間に対向する。
さらに、この実施例2においても、Pバスバー121と導電体126との容量結合部分である第1容量結合部Cαにおける第1容量値Caと、Nバスバー122と導電体126との容量結合部分である第2容量結合部Cβにおける第2容量値Cbとを、同じ値に設定している。
このように、実施例2の給電ライン12Aでは、Pバスバー121の平板面121aとNバスバー122の平板面122aを同一方向に向けると共に、この平板面121aと平板面122aが同一面上に並ぶように所定の隙間を開けてPバスバー121とNバスバー122を並列に配置している。
そして、並列配置されたPバスバー121及びNバスバー122に対し、平板面121a及び平板面122aが臨む一方側に、隙間を開けて平板状の導電体126を平行に配置している。
そのため、Pバスバー121とNバスバー122の互いの主面が対向することがないので、実施例1の給電ライン12と比較して、実施例2では給電ライン12Aの厚みを薄くすることができる。
また、この実施例2の給電ライン12Aにおいても、Pバスバー121に発生した高周波ノイズ電流は、このPバスバー121と導電体126との間の第1容量結合部Cαを介して導電体126の第1電極部126αへと漏れ出る。そして、第1電極部126αへ漏れ出た高周波ノイズ電流は、ハウジング11へと流れていくことなく、連結部126γから第2電極部126βへと流れ、第2容量結合部Cβを介してNバスバー122へと帰還する。これにより、高周波ノイズ電流の電流ループを小さく収めることができ、コモンモードノイズの放射を抑えることができる。
すなわち、実施例2の電力変換装置にあっては、以下に挙げる効果を得ることができる。
(6) 前記第1電源線(Pバスバー121)と前記第2電源線(Nバスバー122)を、それぞれ平板面121a,122aを主面にした平板状の導電材により形成すると共に、前記第1電源線(Pバスバー121)の主面(平板面121a)と前記第2電源線(Nバスバー122)の主面(平板面122a)を同一方向に向けて並列に配置し、
前記第1導電体(導電体126の第1電極部126α)及び前記第2導電体(導電体126の第2電極部126β)を、前記第1電源線(Pバスバー121)の主面(平板面121a)と前記第2電源線(Nバスバー122)の主面(平板面122a)が臨む一方側に配置する構成とした。
これにより、給電ライン12Aの厚みを抑えて、薄くすることができる。
(実施例3)
実施例3は、第1,第2電源線に対する第1,第2導電体の配置を、実施例1及び実施例2と異ならせた例である。
図5は、実施例3の電力変換装置における給電ラインの要部を示す断面図である。以下、図5に基づき、実施例3の電力変換装置の構成について説明する。なお、実施例1と同等の部位については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
実施例3の電力変換装置における給電ライン12Bは、図5に示すように、Pバスバー121と、Nバスバー122と、導電体127と、被覆樹脂125と、ここでは図示しない接続回路と、を有している。
前記Pバスバー121は、平板面121aを主面にした平板状の導電材により形成されている。また、前記Nバスバー122は、平板面122aを主面にした平板状の導電材により形成されている。
そして、Pバスバー121とNバスバー122は、それぞれ主面である平板面121aと平板面122aを互いに対向させ、所定の隙間を開けて平行に配置している。
前記導電体127は、平行に配置されたPバスバー121及びNバスバー122の外側を取り囲む断面コ字状に形成された導電材により形成されている。この導電体127は、Pバスバー121と容量結合する第1電極部127αと、Nバスバー122と容量結合する第2電極部127βと、第1電極部127αと第2電極部127βを連結する連結部127γと、を有している。
前記第1電極部127αは、Pバスバー121の平板面121aとは反対側の外側面121b、つまりNバスバー122と反対側に臨む面に対向する第1平板面127aを有している。
前記第2電極部127βは、Nバスバー122の平板面122aとは反対側の外側面122b、つまりPバスバー121と反対側に臨む面に対向する第2平板面127bを有している。
前記連結部127γは、第1電極部127αの端部と第2電極部127βの端部を連結し、この第1電極部127αと第2電極部127βを同電位に一体化させる部分である。
すなわち、この導電体127は、Pバスバー121と容量結合する第1導電体と、Nバスバー122と容量結合する第2導電体に相当し、この第1導電体と第2導電体を一体化した導電材により形成したものである。
さらに、この実施例3においても、Pバスバー121と導電体127との容量結合部分である第1容量結合部Cαにおける第1容量値Caと、Nバスバー122と導電体127との容量結合部分である第2容量結合部Cβにおける第2容量値Cbとを、同じ値に設定している。
このように、実施例3の給電ライン12Bでは、Pバスバー121の平板面121aとNバスバー122の平板面122aを対向させた状態で平行に配置すると共に、このPバスバー121とNバスバー122の外側に導電体127を配置している。
そのため、Pバスバー121の主面である平板面121aとNバスバー122の主面である平板面122aの間には、所定の隙間を設けるだけであるため、このPバスバー121とNバスバー122の平行距離を最小値に設定することが可能である。これにより、給電ライン12Bのインダクタンスを下げることができる。
また、この実施例3の給電ライン12Bにおいても、Pバスバー121に発生した高周波ノイズ電流は、このPバスバー121と導電体127との間の第1容量結合部Cαを介して導電体127の第1電極部127αへと漏れ出る。そして、第1電極部127αへ漏れ出た高周波ノイズ電流は、ハウジング11へと流れていくことなく、連結部127γから第2電極部127βへと流れ、第2容量結合部Cβを介してNバスバー122へと帰還する。これにより、高周波ノイズ電流の電流ループを小さく収めることができ、コモンモードノイズの放射を抑えることができる。
すなわち、実施例3の電力変換装置にあっては、以下に挙げる効果を得ることができる。
(7) 前記第1電源線(Pバスバー121)と前記第2電源線(Nバスバー122)を、それぞれ平板面121a,122aを主面にした平板状の導電材により形成すると共に、前記第1電源線(Pバスバー121)の主面(平板面121a)と前記第2電源線(Nバスバー122)の主面(平板面122a)を対向させて平行に配置し、
前記第1導電体(導電体127の第1電極部127α)及び前記第2導電体(導電体127の第2電極部127β)を、前記第1電源線(Pバスバー121)と前記第2電源線(Nバスバー122)の外側に配置する構成とした。
これにより、第1電源線(Pバスバー121)と第2電源線(Nバスバー122)の平行距離を最小にして、給電ライン12Bのインダクタンスを下げることができる。
(実施例4)
実施例4は、第1電源線と第1導電体との結合容量値と、第2電源線と第2導電体との結合容量値を、部分的に異ならせた例である。
図6は、実施例4の電力変換装置における給電ラインを示す概略斜視図である。以下、図6に基づき、実施例4の電力変換装置の構成について説明する。なお、実施例1と同等の部位については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
実施例4の電力変換装置における給電ライン12Cは、図6に示すように、Pバスバー121と、Nバスバー122と、導電体128と、被覆樹脂125と、ここでは図示しない接続回路と、を有している。
前記Pバスバー121は、平板面121aを主面にした平板状の導電材により形成されている。また、前記Nバスバー122は、平板面122aを主面にした平板状の導電材により形成されている。
そして、Pバスバー121とNバスバー122は、それぞれ主面である平板面121aと平板面122aを互いに対向させ、所定の隙間を開けて平行に配置している。
前記導電体128は、平行に配置されたPバスバー121とNバスバー122の間に配置された平板状の導電材により形成され、Pバスバー121の平板面121aに対向する第1平板面128aと、Nバスバー122の平板面122aに対向する第2平板面128bと、を有している。
そして、この導電体128は、第1平板面128aに対応してPバスバー121と容量結合する第1電極部128αと、第2平板面128bに対応してNバスバー122と容量結合する第2電極部128βと、を有している。すなわち、この導電体128は、Pバスバー121と容量結合する第1導電体と、Nバスバー122と容量結合する第2導電体に相当し、この第1導電体と第2導電体を一体化した導電材により形成したものである。
また、実施例1等と同様、Pバスバー121と第1電極部128αとの間の結合容量値(第1容量値Ca)と、Nバスバー122と第2電極部128βとの間の結合容量値(第2容量値Cb)は、同じ値に設定されている。
さらに、この実施例4の導電体128は、長手方向の途中位置で高さ寸法が低くなるように設定されている。これにより、導電体128の長手方向の一端部(図6では右側)とPバスバー121又はNバスバー122との対向面積と、導電体128の長手方向の他端部(図6では左側)とPバスバー121又はNバスバー122との対向面積が異なっている。
ここで、結合容量値は、容量結合する二つの電極の対向面積に比例し、対向距離に反比例する。
そのため、導電体128が、長手方向で高さ寸法を異ならせたことで、第1電極部128αは、導電体128の一端部(図6では右側)における結合容量値と、導電体128の他端部(図6では左側)における結合容量値が異なることとなる。また、第2電極部128βも、導電体128の一端部(図6では右側)における結合容量値と、導電体128の他端部(図6では左側)における結合容量値が異なることとなる。
ここで、ハウジング11や導電体128を含めた給電ライン12Cは、それぞれ結合容量による閉回路を形成しており、その電気的な共振も存在する。そのため、車両のラジオ等で使用される周波数帯で共振してしまうと、その周波数の高周波ノイズ電流を抑制しきれないおそれがあった。
これに対し、Pバスバー121の部位により、Pバスバー121と導電体128との容量結合における結合容量値を異ならせ、Nバスバー122の部位により、Nバスバー122と導電体128との容量結合における結合容量値を異ならせることで、Pバスバー121とNバスバー122間のインピーダンスを、これらのバスバー121,122の部位によって異ならせることができる。つまり、導電体128のハウジング11に対する結合容量や浮遊容量、及び、Pバスバー121やNバスバー122、ハウジング11のインダクタンスによる閉回路の電気共振周波数特性が、給電ライン12Cの全域で一定にならず、バスバー121,122の部位によって変化する。
そのため、容量結合によるLC共振の周波数を変更することができ、例えば車両のラジオ等で使用される周波数帯に、ハウジング11に対する結合容量、浮遊容量による共振周波数を持つことを防止することができる。
すなわち、実施例4の電力変換装置にあっては、以下に挙げる効果を得ることができる。
(8) 前記第1電源線(Pバスバー121)と前記第1導電体(導電体128の第1電極部128α)との間の結合容量値(第1容量値Ca)を、前記第1電源線(Pバスバー121)により異ならせ、前記第2電源線(Nバスバー122)と前記第2導電体(導電体128の第2電極部128β)との間の結合容量値(第2容量値Cb)を、前記第2電源線(Nバスバー122)により異ならせる構成とした。
これにより、容量結合によるLC共振の周波数を変更でき、車両で感度のある周波数帯内にハウジング11に対する結合容量、浮遊容量による共振周波数を持つことを防止することができる。
以上、本発明の電力変換装置を実施例1から実施例4に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
上述の実施例1〜実施例4では、いずれにおいても第1導電体と第2導電体を一体化した導電材により形成する例を示している。しかしながら、これに限らず、第1導電体と第2導電体が同電位であれば、別部材であってもよい。つまり、電位が等しくなる状態で二つの導電体を電気的に接続したものであってもよい。
また、実施例1では、導電体123が接続回路124を介してハウジング11に直接電気的に接続されている例を示したが、これに限らない。例えば、接続回路124の中間部に抵抗等を介装してもよい。
さらに、実施例4では、導電体128が長手方向の途中位置で高さ寸法が変化する例を示したが、これに限らない。例えば、図7に示すように、導電体140の長手方向の高さ寸法を、長手方向の一端部から他端部に向けて徐々に変化させてもよい。この場合では、結合容量変化をなだらかにすることができる。
また、この実施例4では、Pバスバー121の部位やNバスバーの部位によって結合容量値を異ならせるために、導電体128の形状を変化させる例を示したが、これに限らない。例えば、各バスバー121,122と導電体128との間の隙間寸法を部位によって異ならせたり、各バスバー121,122と導電体128との間に介装した物質(ここでは、被覆樹脂125)の材質を部位によって異ならせたりするものであってもよい。
そして、実施例1では、本発明の構成を電力変換装置10の給電ライン12に適用した例を示したが、これに限らない。例えば、パワーモジュール13内の給電ラインや、コンデンサ14内の給電ラインであっても適用することが可能である。これにより、コモンモードフィルタを使用することなく、コモンモードノイズを抑制することができる。
1 駆動システム
2 直流電源
3 電動機
10 電力変換装置
11 ハウジング
12 給電ライン
121 Pバスバー(第1電源線)
121a 平板面
122 Nバスバー(第2電源線)
122a 平板面
123 導電体(第1導電体、第2導電体)
123a 第1平板面
123b 第2平板面
123α 第1電極部(第1導電体)
123β 第2電極部(第2導電体)
124 接続回路(第1接続回路、第2接続回路)
125 被覆樹脂
13 パワーモジュール
14 コンデンサ
15 送電ライン

Claims (8)

  1. 車体に接地された金属製のハウジングと、
    電気的に絶縁した状態で前記ハウジングに収納され、電源から出力される電力を変換するパワーモジュールと、
    前記電源の正極側を前記パワーモジュールに接続する第1電源線と、
    前記電源の負極側を前記パワーモジュールに接続する第2電源線と、
    前記第1電源線と容量結合する第1導電体と、
    前記第2電源線と容量結合する第2導電体と、
    前記第1導電体を前記ハウジングに電気的に接続する第1接続回路と、
    前記第2導電体を前記ハウジングに電気的に接続する第2接続回路と、
    を備え、
    前記第1電源線と前記第1導電体との間の結合容量値と、前記第2電源線と前記第2導電体との間の結合容量値を同じ値に設定すると共に、前記第1導電体と前記第2導電体を同電位に設定する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1に記載された電力変換装置において、
    前記第1電源線と前記第2電源線を、それぞれ平板面を主面にした平板状の導電材により形成すると共に、前記第1電源線の主面と前記第2電源線の主面を対向させて平行に配置し、
    前記第1導電体及び前記第2導電体を、前記第1電源線と前記第2電源線の間に配置した
    ことを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1に記載された電力変換装置において、
    前記第1電源線と前記第2電源線を、それぞれ平板面を主面にした平板状の導電材により形成すると共に、前記第1電源線の主面と前記第2電源線の主面を同一方向に向けて並列に配置し、
    前記第1導電体及び前記第2導電体を、前記第1電源線の主面と前記第2電源線の主面が臨む一方側に配置した
    ことを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1に記載された電力変換装置において、
    前記第1電源線と前記第2電源線を、それぞれ平板面を主面にした平板状の導電材により形成すると共に、前記第1電源線の主面と前記第2電源線の主面を対向させて平行に配置し、
    前記第1導電体及び前記第2導電体を、前記第1電源線と前記第2電源線の外側に配置した
    ことを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された電力変換装置において、
    前記ハウジングと前記第1電源線との間の浮遊容量と、前記ハウジングと前記第2電源線との間の浮遊容量とを含めて、前記第1電源線と前記第1導電体との間の結合容量値と、前記第2電源線と前記第2導電体との間の結合容量値を、同じ値に設定する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された電力変換装置において、
    前記第1電源線と前記第1導電体との間の結合容量値を、前記第1電源線の部位により異ならせ、前記第2電源線と前記第2導電体との間の結合容量値を、前記第2電源線の部位により異ならせる
    ことを特徴とする電力変換装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された電力変換装置において、
    前記第1電源線と、前記第2電源線と、前記第1導電体と、前記第2導電体と、を樹脂材料により一体化した
    ことを特徴とする電力変換装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載された電力変換装置において、
    前記第1導電体と前記第2導電体を、一体化した導電材により形成する
    ことを特徴とする電力変換装置。
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