JP2016089747A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2016089747A
JP2016089747A JP2014226239A JP2014226239A JP2016089747A JP 2016089747 A JP2016089747 A JP 2016089747A JP 2014226239 A JP2014226239 A JP 2014226239A JP 2014226239 A JP2014226239 A JP 2014226239A JP 2016089747 A JP2016089747 A JP 2016089747A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ignition
injection
fuel
combustion
timing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014226239A
Other languages
English (en)
Inventor
幸司 熊谷
Koji Kumagai
幸司 熊谷
雄大 越智
Takehiro Ochi
雄大 越智
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2014226239A priority Critical patent/JP2016089747A/ja
Publication of JP2016089747A publication Critical patent/JP2016089747A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、ガソリンのように自着火温度が比較的高い燃料を用いてディーゼル燃焼を行う内燃機関において、ディーゼル燃焼の安定性を向上させることを目的とする。【解決手段】圧縮行程中の第1噴射時期に第1噴射を実行するとともに第1点火装置によって燃料噴霧に点火することでプレ燃焼を生じさせ、第1点火装置による点火後且つ圧縮行程上死点前の時期であって、プレ燃焼によって生じた火炎を起点として噴射燃料の燃焼が開始される時期として設定された第2噴射時期に第2噴射の実行を開始することで、燃料の自着火および拡散燃焼を生じさせる内燃機関において、第1点火装置を起点としてスワール流の回転方向において180度未満の角度で規定される所定領域内に第2点火装置を設置する。そして、プレ燃焼を生じさせる際に、第1点火装置による点火後であって第2噴射時期よりも前に、第2点火装置による点火を実行する。【選択図】図7

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
燃焼室内の圧縮空気に対して燃料を直接噴射して該燃料を自着火させ拡散燃焼させる燃焼形態である、いわゆるディーゼル燃焼は、火花点火による燃焼と比べて熱効率が高い。近年、このようなディーゼル燃焼の利点をガソリンエンジンにおいても享受すべく、ガソリンの自着火および拡散燃焼による燃焼を成立させるための技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、自着火温度が比較的高い天然ガス等を燃料としてディーゼル燃焼を実現させるための技術が開示されている。この特許文献2に開示の技術では、先ず、燃焼室内の所定の火花点火領域において圧縮行程の初期又は中期に燃料噴射を行うことで火花点火可能な混合気を形成する。そして、この火花点火領域に形成された混合気に対して圧縮行程上死点直前の時期に点火することで火花点火燃焼を行う。これによって、燃焼室内が天然ガスの自着火が可能な高温且つ高圧の状態となる。その後、高温高圧状態の燃焼室内に直接燃料を噴射して該燃料をディーゼル燃焼させる。
また、特許文献2には、所定の運転領域において気筒内の予混合気を自己着火により燃焼させるガソリンエンジンに、主点火プラグおよび補助点火プラグを設置した構成が開示されている。この特許文献2には、エンジンが予混合気を自己着火させる運転領域外にあるときにノッキングの発生が検出された場合、主点火プラグによる予混合気への点火よりも進角側で補助点火プラグにより補助点火を行わせる技術も開示されている。
特開2003−254105号公報 特開2004−285925号公報
本発明は、ガソリンのように自着火温度が比較的高い燃料を用いてディーゼル燃焼を行う内燃機関において、ディーゼル燃焼の安定性を向上させることを目的とする。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、燃焼室内に気筒中心軸周りの旋回流であるスワール流が発生する内燃機関の制御装置であって、複数の噴孔を有し、燃焼室内において気筒中心軸付近から気筒壁面側に向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁から噴射された噴霧が点火可能領域を通過し該噴霧に直接に点火可能となるように、前記燃料噴射弁に対する相対位置が決定された第1点火装置と、圧縮行程中の第1噴射時期に前記燃料噴射弁による第1噴射を実行するとともに該第1噴射によって形成されるプレ噴霧に対し前記第1点火装置によって点火を行うことで該第1噴射によって噴射された燃料の一部を燃焼させるプレ燃焼を行うプレ燃焼部と、前記第1点火装置による前記プレ噴霧への点火後であり且つ圧縮行程上死点前の時期であって、前記第1噴射時期とのインターバルが、前記プレ燃焼によって生じた火炎を起点として噴射燃料の燃焼が開始されるように設定された所定の噴射インターバルとなる第2噴射時期に前記燃料噴射弁による第2噴射の実行を開始することで、燃料の自着火を発生させるとともに少なくとも該第2噴射によって噴射された燃料の一部を拡散燃焼させるメイン燃焼を行うメイン燃焼部と、を備える内
燃機関の制御装置において、前記第1点火装置を起点としてスワール流の回転方向において180度未満の角度で規定される所定領域内であり、且つ、燃焼室内における前記燃料噴射弁の燃料噴射位置からの距離が前記第1点火装置よりも大きい位置に設置された第2点火装置をさらに備え、前記プレ燃焼部が、前記プレ燃焼を行う際に、前記第1点火装置での点火時期である第1点火時期より後であって前記第2噴射時期よりも前の所定の第2点火時期に、前記第2点火装置による点火を実行する。
本発明によれば、プレ燃焼を行う際のプレ噴霧の着火性を向上させることができる。その結果、ディーゼル燃焼の安定性を向上させることができる。
本発明の実施例が適用される内燃機関と、その吸気系及び排気系との概略構成を示す図である。 図1に示す内燃機関における第1点火プラグ及び第2点火プラグの配置を示す第1の図である。 図1に示す内燃機関における第1点火プラグ及び第2点火プラグの配置を示す第2の図である。 本発明の実施例において実行される基本燃焼制御を説明するための図である。 本発明の実施例に係る基本燃焼制御が行われたときの燃焼室での熱発生率の推移を示す図である。 本発明の実施例に係る基本燃焼制御において第1噴射燃料量と第2噴射燃料量との比率を変更した場合における燃焼室内での熱発生率の推移の変化を示す図である。 本発明の実施例に係る低負荷燃焼制御に関する第1噴射と第2噴射、および点火の時間的相関を示す図である。 本発明の実施例に係る燃焼制御のフローを示すフローチャートである。 本発明の参考例に係る、プレ燃焼を行う際の、内燃機関1の機関負荷と、第1点火プラグおよび第2点火プラグによる点火時期、第1噴射燃料量、第1噴射燃料の燃え残り率との相関を示す図である。
[実施例]
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明を適用する内燃機関およびその吸排気系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、複数の気筒を備えた4ストローク・サイクルの火花点火式内燃機関(ガソリンエンジン)である。また、内燃機関1は、各気筒2の燃焼室内において、気筒2の中心軸周りの旋回流であるスワール流が発生するように構成されている。ただし、気筒2の中心軸とスワール流の中心軸とが厳密に一致している必要はない。なお、図1では、複数の気筒のうち1気筒のみが示されている。
内燃機関1の各気筒2には、ピストン3が摺動自在に内装されている。ピストン3は、コネクティングロッド4を介して図示しない出力軸(クランクシャフト)と連結されている。また、気筒2の内部は、吸気ポート7及び排気ポート8と連通している。気筒2内における吸気ポート7の開口端は、吸気弁9により開閉される。気筒2内における排気ポート8の開口端は、排気弁10により開閉される。吸気弁9と排気弁10は、図示しない吸気カムと排気カムとにより各々開閉駆動される。
また、各気筒2には、筒内に燃料を噴射するための燃料噴射弁6が、気筒2内に形成される燃焼室の中央頂部付近に設置されている。さらに、各気筒2には、燃料噴射弁6から噴射された燃料に対して点火可能な第1点火プラグ51および第2点火プラグ52が設置されている。図2および3は、本実施例に係る第1点火プラグ51および第2点火プラグ52の設置位置を示す図である。図2に示すように、第1点火プラグ51は、吸気ポート7の開口部と排気ポート8の開口部との間に設けられている。第2点火プラグ52は、第1点火プラグ51を起点としてスワール流の回転方向(図2では右回りの方向)において180度未満の角度で規定される領域α(図2において斜線で示す領域)内に設けられている。具体的には、第2点火プラグ52は、二つの排気ポート8の開口部の間に配置されている。また、燃料噴射弁6の燃料噴射位置から第1点火プラグ51までの距離L1よりも、燃料噴射弁6の燃料噴射位置から第2点火プラグ52までの距離L2の方が大きくなっている。
図3は、燃料噴射弁6から噴射された燃料噴霧と二つの点火プラグ51,52との位置関係を示している。燃料噴射弁6は、図3に示すように燃焼室の中心軸付近から気筒壁面側に向かって概ね放射状に16方向に燃料を噴射可能となるように噴孔6aを有している。そして、第1点火プラグ51のおよび第2点火プラグ52の点火可能領域であるそれぞれの電極間の領域51a,52aに対して、噴孔6aから噴射された燃料噴霧の少なくとも一つが通過するように、燃料噴射弁6に対する第1点火プラグ51および第2点火プラグ52の相対位置が決定されている。これにより、領域51aを通過した噴霧に対しては、第1点火プラグ51の電極間で生じる火花によって直接点火できるようになっている。また、領域52aを通過した噴霧に対しては、第2点火プラグ52の電極間で生じる火花によって直接点火できるようになっている。
なお、本発明に係る第1点火装置の設置位置は、吸気ポートの開口部と排気ポートの開口部との間に限られるものではない。また、本発明に係る第2点火装置の設置位置は、二つの排気ポートの開口部の間に限られるものではない。また、本発明においては、第2点火プラグは、第1点火プラグを起点としてスワール流の回転方向において180度未満の角度で規定される領域内に設けられる必要があるが、燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧が第2点火プラグの点火可能領域を通過することは必ずしも必要ではない。
上記のように構成された第1点火プラグ51および第2点火プラグ52と燃料噴射弁6とは、スプレーガイド燃焼を実現可能とする。すなわち、燃料噴射弁6からの噴射燃料に対して直接点火できるように配置される第1点火プラグ51および第2点火プラグ52と、該燃料噴射弁6は、内燃機関1の吸気弁9の開弁時期やピストン3の位置にかかわらず任意の時期に、領域51aまたは52aを通過する噴射燃料に対する点火を可能とする。なお、燃料噴射弁からの噴射燃料に対して点火プラグにより直接点火する他の燃焼方式として、従来、エアガイド燃焼やウォールガイド燃焼が知られている。エアガイド燃焼では、燃料噴射弁からの噴射燃料を、吸気弁の開弁により燃焼室内に流れ込んだ空気流に乗せて点火プラグ近傍に運び、該点火プラグによって点火する。ウォールガイド燃焼では、ピストンの頂部に形成されたキャビティの形状を利用して点火プラグ近傍に噴射燃料を運び、該点火プラグによって点火する。ただし、これらのエアガイド燃焼やウォールガイド燃焼では、吸気弁の開弁時期やピストン位置が所定の状態とならなければ燃料噴射や点火を行うことが困難となる。そのため、本実施例に係るスプレーガイド燃焼は、これらのエアガイド燃焼やウォールガイド燃焼と比べて、非常に自由度の高い燃料噴射及び点火時期制御が可能となる。
ここで図1に戻ると、吸気ポート7は、吸気通路70と連通している。吸気通路70には、スロットル弁71が配置されている。スロットル弁71より上流の吸気通路70には
、エアフローメータ72が配置されている。一方で、排気ポート8は、排気通路80と連通している。排気通路80には、内燃機関1から排出される排気を浄化するための排気浄化触媒81が配置されている。なお、後述するように、内燃機関1から排出される排気の空燃比は、ストイキ空燃比よりも高いリーン空燃比である。そのため、排気浄化触媒81としては、リーン空燃比の排気中のNOx浄化が可能な選択還元型のNOx触媒や排気中の粒子状物質(PM)を捕集可能なフィルタを採用することができる。
そして、内燃機関1には電子制御ユニット(ECU)20が併設されている。このECU20は内燃機関1の運転状態や排気浄化装置等を制御するユニットである。ECU20には、上述したエアフローメータ72や、クランクポジションセンサ21及びアクセルポジションセンサ22が電気的に接続され、各センサの検出値がECU20に入力される。したがって、ECU20は、エアフローメータ72によって検出される吸入空気量、クランクポジションセンサ21の検出値に基づいて算出される機関回転速度、およびアクセルポジションセンサ22の検出値に基づく機関負荷等の内燃機関1の運転状態を把握可能である。また、ECU20には、燃料噴射弁6、第1点火プラグ51、第2点火プラグ52およびスロットル弁71等が電気的に接続され、これらの各要素がECU20によって制御される。
<基本燃焼制御>
上記のように構成される内燃機関1において実行される基本的な燃焼制御である基本燃焼制御について、図4に基づいて説明する。図4は、図の左側から右側に進む時系列において、内燃機関1で行われる燃焼制御に関する燃料噴射及び点火の流れ(図4(a)の上段を参照)と、その燃料噴射及び点火により燃焼室で生じると想定される燃焼に関する事象の変遷(図4(a)の下段を参照)を模式的に示したものである。また、図4(b)には、図4(a)に示す燃料噴射である第1噴射と第2噴射、および点火の時間的相関が示されている。なお、図4に示す形態は、あくまでも本実施例に係る基本燃焼制御を説明するために模式的に示したものであり、本発明をこの形態に限定して解釈すべきではない。ではない。
本実施例に係る基本燃焼制御では、1燃焼サイクルにおいて、燃料噴射弁6によって第1噴射と第2噴射とが実行される。第1噴射は圧縮行程中に実行される燃料噴射である。第2噴射は、第1噴射よりも後の時期であって圧縮行程上死点(TDC)より前の時期に実行が開始される燃料噴射である。なお、第2噴射は、TDCより前の時期に実行が開始されるが、TDC以降までその実行が継続されてもよい。そして、図4(b)に示すように、第1噴射の噴射開始時期(以下、単に「第1噴射時期」と称する)をTpとし、第2噴射の噴射開始時期(以下、単に「第2噴射時期」と称する)をTmとする。また、第1噴射時期と第2噴射時期との間隔(Tm−Tp)を第1噴射インターバルDi1と定義する。また、第1噴射による燃焼は上述したスプレーガイド燃焼として実行される。基本燃焼制御における第1噴射におけるスプレーガイド燃焼は、第1点火プラグ51による点火によって行われる。つまり、第1噴射によって噴射された燃料(以下、「第1噴射燃料」と称する)によって形成されるプレ噴霧に対して第1点火プラグ51による点火が行われる。この基本燃焼制御における第1点火プラグ51の点火時期を「第1点火時期」と称する。この第1点火時期を、図3(b)に示すようにTs1とし、第1噴射の実行が開始されてから第1点火時期までの間隔(Ts1−Tp)を第1点火インターバルDs1と定義する。
次に、本発明に係る基本燃焼制御の流れについて説明する。
(1)第1噴射
基本燃焼制御では、一燃焼サイクル中において、先ず、圧縮行程中の第1噴射時期Tpに第1噴射が行われる。なお、第1噴射時期Tpは、後述する第2噴射時期Tmとの相関
に基づいて決定される。第1噴射が実行されることで、図3に示すように、燃料噴射弁6から噴射された第1噴射燃料のプレ噴霧は、燃焼室内において第1点火プラグ51の点火可能領域51aを通過する。このように第1噴射の実行が開始された直後においては、第1噴射燃料のプレ噴霧は燃焼室内に広く拡散はせずに、該噴霧の貫徹力によりその先端部において周囲の空気を巻き込みながら燃焼室内を進んでいく。そのため、第1噴射燃料のプレ噴霧によって燃焼室内において成層混合気が形成される。
(2)第1噴射燃料への点火
そして、上記のように成層化された第1噴射燃料のプレ噴霧に対して、第1噴射時期から所定の第1点火インターバルDs1が経過した第1点火時期Ts1に、第1点火プラグ51による点火が行われる。上記の通り、第1噴射燃料は成層化されているため、該第1噴射燃料量が少量であっても第1点火プラグ51周囲の局所的な空燃比は、当該点火による燃焼が可能な空燃比となっている。この点火により、第1噴射燃料によるスプレーガイド燃焼が行われることになる。換言すれば、スプレーガイド燃焼が可能となるように第1点火インターバルDs1が設定されている。そして、ピストン3の圧縮作用による圧力上昇に加えて、このスプレーガイド燃焼が行われることで、燃焼室内の更なる温度上昇が得られることになる。ただし、第1噴射燃料のうち、このスプレーガイド燃焼によって燃焼する燃料は一部であり、そのうちの多くは第1点火プラグ51の点火による燃焼には供されずに該点火以後も「燃え残り燃料」として燃焼室内に存在することになる。これは、第1噴射燃料によって形成された成層混合気における第1点火プラグ51の電極間から比較的離れた部分においては、その空燃比が高いために火炎が伝播できなくなるためである。ただし、当該燃え残り燃料は、燃焼室内で第1噴射燃料の一部が燃焼することで高温雰囲気に晒されることになる。そのため、燃え残り燃料の少なくとも一部は燃焼には至らない状況下での低温酸化反応により燃焼性が高められた物性に改質された状態となることが期待される。
(3)第2噴射
次に、第1噴射時期から所定の第1噴射インターバルDi1が経過した圧縮行程上死点前の第2噴射時期Tm(第1点火プラグ51による第1点火時期Ts1からDi−Ds1の時間が経過した時期Tm)に、燃料噴射弁6による第2噴射の実行が開始される。なお、内燃機関1においては、後述するように第2噴射燃料は自着火および拡散燃焼に供され、機関出力に寄与することになる。そのため、第2噴射時期Tmは、機関負荷等によって決定される量の第2噴射燃料の燃焼によって得られる機関出力が概ね最大となる時期(以下、「適正噴射時期」という)に設定される。ただし、第2噴射燃料の燃焼は、第1噴射燃料のプレ噴霧に対する点火によって生じた火炎を火種として開始される。つまり、第2噴射時期Tmが適正噴射時期に設定されるとともに、プレ噴霧への点火によって生じた火炎を起点として第2噴射燃料の燃焼が開始されるように第1噴射インターバルDi1が設定されている。第2噴射時期Tmと第1噴射インターバルDi1とがこのように設定されることで、第1噴射時期Tpは必然的に決まることになる。そして、第2噴射燃料の燃焼が開始されると燃焼室内の温度が更に上昇する。その結果、第1噴射燃料の燃え残りと第2噴射燃料とがその温度上昇場において自着火し、さらにはこれらの燃料が拡散燃焼に供されることになる。このとき、上記のように第1噴射燃料の燃え残りの燃焼性が高められている場合には、第2噴射の実行開始後の燃料の自着火がより促進されることが期待される。
このように、本実施例に係る基本燃焼制御では、第1噴射、点火、および第2噴射によって上述のような一連の燃焼が行われることになる。なお、本明細書において、このように第1噴射燃料のプレ噴霧への点火によって生じる火炎を起点とした第2噴射燃料の燃焼開始と、それに続く第1噴射燃料のうちの燃え残り燃料と第2噴射燃料との自着火および拡散燃焼とが可能となる第1噴射と第2噴射との相関を、「第1−第2噴射相関」と称す
る。つまり、本実施例に係る基本燃焼制御では、第1噴射および第1噴射燃料に対する点火に対して第1−第2噴射相関を有する第2噴射が行われる。
ここで、図5に本実施例に係る基本燃焼制御が行われたときの燃焼室での熱発生率の推移を示す。なお、図5においては、内燃機関1の機関回転速度が2000rpmであるときの、4つの異なる制御形態L1〜L4に対応する熱発生率の推移が示されている。これらの制御形態L1〜L4においては、第1噴射時期Tp、第1噴射燃料量(すなわち、第1噴射の実行期間)、第2噴射時期Tm、点火時期Tsは同一となっているが、第2噴射燃料量(すなわち、第2噴射の実行期間)が制御形態ごとに異なっている。すなわち、第2噴射燃料量は、L1>L2>L3>L4となっている。つまり、図4には、同一の第1−第2噴射相関が成立していることを前提条件としたときの第2噴射燃料量の増減に応じた熱発生率の推移の変化が示されていることになる。
ここで、図5中、点線で囲まれたZ1の部分で、熱発生率の一次ピークが表れている。この一次ピークは、第1噴射燃料が点火によって燃焼することで発生した熱(つまり、スプレーガイド燃焼によって発生した熱)を示している。この熱発生率の一次ピークが表れる時期においては、第2噴射はまだ行われておらず、燃焼室内には第1噴射燃料に対する点火によって生じた火炎と、該点火では燃焼していない第1噴射燃料である燃え残り燃料が存在していることになる。
そして、熱発生率の一次ピークが生じる時期よりも後であって圧縮行程上死点前の時期Tmにおいて第2噴射の実行が開始される。このとき、第2噴射燃料は、上述したように、先ずは、第1噴射燃料のプレ噴霧に対する点火によって生じた火炎を火種として燃焼し始め、その後、第1噴射燃料の燃え残りとともに自着火し、さらに拡散燃焼に供される。その結果、圧縮行程上死点を過ぎた時期に熱発生率の最大ピークである二次ピークが発生する。ここで、図5では、第2噴射燃料量の増加にしたがって(すなわち、第2噴射期間が長くなるのにしたがって)、熱発生率の二次ピークの値が大きくなるとともに、二次ピークの発生時期が遅くなっている。このことは、第2噴射燃料量の増加にしたがって第2噴射燃料の燃焼期間が長くなっていることを意味する。このことから、第2噴射燃料および第1噴射燃料の燃え残りは、拡散燃焼もしくは実質的に拡散燃焼に同一視できる燃焼に供されているものと推察することができる。
更に、図6に基づいて、本実施例に係る基本燃焼制御において発生する燃料の自着火について説明する。図6は、本実施例に係る基本燃焼制御において、一燃焼サイクル中の合計噴射量(第1噴射燃料量と第2噴射燃料量との合計)を一定としたまま第1噴射燃料量と第2噴射燃料量との比率を変更した2つの形態L8,L9それぞれの、燃焼室内での熱発生比率の推移を示している。なお、図6においては、内燃機関1の機関回転速度が2000rpmとされる。また、L9の形態の方がL8の形態に比べて第1噴射燃料量の比率が高くなっている。すなわち、L9の形態の方がL8の形態に比べて、第1噴射燃料量が多く、その結果、第1噴射燃料の燃え残り量も多くなっている。この場合、図6に示すように、L9の形態では、L8の形態に比べて、圧縮行程上死点後の熱発生率の二次ピーク値が大きくなっている。さらに、L9の形態では、L8の形態に比べて、熱発生率の二次ピーク値からの立ち下り速度(二次ピーク以後のグラフの傾き)が大きくなっている。これらは、第2噴射開始後の第1噴射燃料の燃え残りおよび第2噴射燃料の燃焼において、L9の形態では、L8の形態に比べて、自着火による燃焼がより促進されている(すなわち、自着火によって燃焼する燃料の割合が高くなり、拡散燃焼によって燃焼する燃料の割合が低くなっている)ことを意味するものと推察される。このことから、第1噴射燃料の燃え残りが第2噴射後の燃料の自着火の促進に寄与していると考えられる。
以上説明したように、本実施例に係る基本燃焼制御では、第1噴射と第1点火プラグ5
1での点火とによるスプレーガイド燃焼ののちに第2噴射が実行されることで燃料の自着火および拡散燃焼を生じさせる。そのため、当該基本燃焼制御による燃焼はいわゆるディーゼル燃焼に類似し、又は実質的に同一視できると考えられる。したがって、燃焼室内の混合気の空燃比を極めて高いリーン空燃比(20〜70程度)とすることができる。また、このようなリーン空燃比での燃焼を実現するため、本実施例に係る燃焼制御では、従来のガソリンエンジンの燃焼制御(均質ストイキ制御)に比べてスロットル弁71の開度が大きくされる。そのため、内燃機関1でのポンプ損失を小さくすることができる。さらに、機関出力に寄与する燃焼が自着火および拡散燃焼により行われることで内燃機関1での冷却損失も従来の均質ストイキ制御時と比べて小さくすることができる。したがって、本実施例に係る基本燃焼制御によれば、従来のガソリンエンジンの燃焼制御では実現され得ない高い熱効率を達成することができる。
また、上記のように、第2噴射時期は内燃機関1の機関出力が概ね最大となる適正噴射時期に設定されている。そのため、第2噴射燃料量を増量することによって機関負荷の上昇にある程度までは対応することができる。しかしながら、第2噴射は、圧縮行程上死点近傍の燃焼室内の圧力が非常に高い時に行われるため、燃料噴射弁6から噴射された燃料噴霧のペネトレーションが小さくなる。つまり、第2噴射によって噴射された燃料噴霧は広範囲に拡散し難い。そのため、第2噴射燃料量があまりに増量されると、第2噴射燃料の噴霧の周囲に存在する酸素、即ち、第2噴射燃料の燃焼に供される酸素の量が燃料に対して不足した状態となり、その結果、スモークの発生量が増加する虞がある。また、本実施例に係る基本燃焼制御では、第2噴射後に燃料の自着火を生じさせる必要があるが、第2噴射燃料量が過剰に多くなると、該第2噴射燃料の気化潜熱によって燃焼室内の温度が低下し、燃焼が不安定となる虞もある。
一方、第1噴射は圧縮行程中の第1噴射時期Tpに行われる。そのため、第1噴射燃料が第1点火プラグ51による点火によって燃焼すると内燃機関1の機関出力を妨げるように作用するとも考えられる。しかしながら、第1噴射燃料のプレ噴霧への点火による燃焼では、第2噴射燃料の燃焼のための火種となる火炎が形成されればよい。そのため、上記のように、第1噴射燃料において、点火による燃焼に供されるのは、そのうちの一部である。そのため、当該第1噴射燃料のスプレーガイド燃焼による機関出力を妨げるような作用は小さい。そして、スプレーガイド燃焼には供されない第1噴射燃料の燃え残りは第2噴射後において第2噴射燃料とともに自着火および拡散燃焼に供されるため機関出力に寄与することになる。そのため、第1噴射燃料量を増量するとともにその燃え残り率を上昇させることでも、機関負荷の上昇に対応することができる。
また、第2噴射時期において、第1噴射燃料の燃え残りは燃焼室内で第2噴射燃料の燃料噴霧よりも広範囲に拡散している。そのため、第1噴射燃料の燃え残りが自着火および拡散燃焼に供される際には十分な酸素を確保し易い状態となっている。したがって、第1噴射燃料の増量およびその燃え残り率の上昇により機関負荷の上昇に対応した場合、第2噴射燃料量を増量した場合に比べてスモークの発生量を抑制することができる。
<低負荷燃焼制御>
次に、本実施例において、内燃機関1の機関負荷が所定負荷以下の運転領域である低負荷領域において実行される低負荷燃焼制御について、図7に基づいて説明する。図7は、図の左側から右側に進む時系列において、内燃機関1で行われる低負荷燃焼制御に関する第1噴射、第2噴射、第1点火、および第2点火の時間的相関を示す図である。
低負荷領域においては、一燃焼サイクル中における総燃料噴射量が相対的に少ない量となるため、必然的に第1噴射燃料量も少なくなる。そのため、第1噴射を実行した際に、第1点火プラグ51の点火可能領域51aを通過する燃料が少なくなる。その結果、第1
点火プラグ51による点火を行った時にプレ噴霧の着火が生じ難くなる。つまり、低負荷領域においても、内燃機関1の機関負荷が所定負荷より高い運転領域である高負荷領域と同様に上記のような基本燃焼制御を実行すると、プレ噴霧の着火性が低下する虞がある。そして、プレ噴霧の着火が生じないと、第2噴射燃料を燃焼させるための火種が形成されないことになる。したがって、プレ噴霧の着火性が低下すると、ディーゼル燃焼の安定性が低下することになる。
そこで、本実施例では、低負荷領域において、プレ燃焼を行う際に、第1点火プラグ51によるプレ噴霧への点火(以下、「第1点火」と称する場合もある)に加えて第2点火プラグ52による第2点火を実行する低負荷燃焼制御が行われる。図7においては、第2点火の点火時期である「第2点火時期」をTs2とする。図7に示すように、第2点火時期Ts2は、第1点火時期Ts1より後であって第2噴射時期Tmより前の所定の時期に定められている。
ここで、本実施例に係る内燃機関1では、上述したように、燃焼室内においてスワール流が発生している。そのため、第1点火プラグ51の点火可能領域51aを通過したが、第1点火プラグ51による点火では着火しなかったプレ噴霧(以下、「点火後プレ噴霧」と称する)は、スワール流の流れ方向(図2における右回りの方向)に流れていく。また、燃料噴射弁6から噴射されたプレ噴霧自体が有する運動エネルギーは、気筒中心軸側から気筒壁面側に向かう方向に作用している。したがって、点火後プレ噴霧は、スワール流の流れ方向に流れつつ、気筒壁面の方向(すなわち、燃料噴射弁6の燃料噴射位置から離れる方向)に移動することになる。一方で、第2点火プラグ52は、上述したように、第1点火プラグ51を起点としてスワール流の回転方向において180度未満の角度で規定される領域α内の位置である二つの排気ポート8の開口部の間に配置されている。さらに、燃料噴射弁6の燃料噴射位置から第1点火プラグ51までの距離L1よりも、燃料噴射弁6の燃料噴射位置から第2点火プラグ52までの距離L2の方が大きくなっている。つまり、第2点火プラグ52は点火後プレ噴霧の進行方向に位置している。そして、点火後プレ噴霧は、第1点火プラグ51による点火によって、着火はしなくとも、その温度が、第1点火以前のプレ噴霧の温度よりも高くなっている。つまり、点火後プレ噴霧は、第1点火以前のプレ噴霧よりも点火によって着火し易い状態となっている。したがって、第2点火時期Ts2において第2点火プラグ52により第2点火が行われると、点火後プレ噴霧が着火する可能性が高い。そのため、第1点火に加えて第2点火を行うことで、プレ燃焼における着火性を向上させることができる。その結果、第2噴射燃料を燃焼させるための火種がより高い確率で形成されることになるため、ディーゼル燃焼の安定性を向上させることができる。
なお、第2点火プラグ52による第2点火によって点火後プレ噴霧を着火させるためには、点火後プレ噴霧が第2点火プラグ52の点火可能領域52aに位置するタイミングで第2点火を行うことが好ましい。そのため、本実施例に係る低負荷燃焼制御では、第1点火時期Ts1と第2点火時期Ts2との間隔(Ts2−Ts1)が、点火後プレ噴霧が第1点火プラグ51の点火可能領域51aから第2点火プラグ52の点火可能領域52aに到達するまでの期間である所定の第2点火インターバルDs2となるように、第2点火時期Ts2が決定される。ここで、クランクアングルで規定される第2点火インターバルDs2は、スワール流の回転方向において第1点火プラグ51の点火可能領域51aと第2点火プラグ52の点火可能領域52aとがなす角度、および、気筒2の燃焼室内に発生するスワール流のスワール比に基づいて定めることができる。つまり、第2点火インターバルDs2は、内燃機関1の機関負荷および機関回転速度によらず一定値となる。
<燃焼制御フロー>
ここで、本実施例に係る燃焼制御の制御フローについて図8に基づいて説明する。図8
は、本実施例に係る燃焼制御の制御フローを示すフローチャートである。この制御フローは、ECU20に予め記憶されており、内燃機関1が稼働している間、ECU20に格納された制御プログラムが実行されることで、所定の間隔で繰り返し実行される。
本フローでは、先ず、S101において、アクセルポジションセンサ22の検出値に基づいて、内燃機関1の機関負荷Qeが算出される。次に、S102において、S101で算出された機関負荷Qeが所定負荷Qe0より高いか否かが判別される。所定負荷Qe0は、低負荷領域と高負荷領域とを区分けする閾値である。所定負荷Qe0は、実験等に基づいて予め定められており、ECU20に記憶されている。S102において肯定判定された場合、すなわち、内燃機関1の機関負荷が高負荷領域に属する場合、次にS103の処理が実行される。
S103においては、基本燃焼制御を実現するための第1噴射燃料量Sp、第2噴射燃料量Sm、第1噴射時期Tp、第2噴射時期Tm、および点火時期Tsが、S101で算出された機関負荷Qeに基づいて決定される。第1噴射燃料量Sp、第2噴射燃料量Sm、第1噴射時期Tp、第2噴射時期Tm、および点火時期Tsと、機関負荷Qeとの関係は、上述した第1−第2噴射相関が成立可能な関係として、実験等に基づいて予め定められている。そして、これらの関係がマップとしてECU20に記憶されている。当該マップにおいては、機関負荷Qeの増加に伴い第1噴射燃料量Spを増加させる場合、その増加量に応じて第1噴射時期Tpおよび点火時期Tsが進角されている。第1噴射時期Tpが進角されると、気筒2内の圧力がより低い状態で第1噴射が実行されることになる。つまり、第1噴射時期Tpが進角されるほど、第1噴射燃料のプレ噴霧のペネトレーションが相対的に大きくなる。そのため、第1点火プラグ51による点火によって生じた火炎が伝播せずに燃え残る燃料が増加する。したがって、第1噴射燃料量Spを増加させる場合に、その増加量に応じて第1噴射時期Tpおよび点火時期Tsを進角させることで、第1噴射燃料の燃え残り率を高めることができる。S103では、当該マップを用いて第1噴射燃料量Sp、第2噴射燃料量Sm、第1噴射時期Tp、第2噴射時期Tm、および点火時期Tsが決定される。
次に、S104において、S103で決定された第1噴射燃料量Sp、第2噴射燃料量Sm、第1噴射時期Tp、第2噴射時期Tm、および点火時期Tsに従って、燃料噴射弁6による第1噴射および第2噴射、第1点火プラグ51による点火が実行される。これにより、本実施例に係る基本燃焼制御が実現される。
一方、S102において否定判定された場合、すなわち、内燃機関1の機関負荷が低負荷領域に属する場合、次にS105の処理が実行される。S105においては、低負荷燃焼制御を実現するための第1噴射燃料量Sp、第2噴射燃料量Sm、第1噴射時期Tp、第2噴射時期Tm、第1点火時期Ts1、および第2点火時期Ts2が、S101で算出された機関負荷Qeに基づいて決定される。ここで、第1噴射燃料量Sp、第2噴射燃料量Sm、第1噴射時期Tp、第2噴射時期Tm、および第1点火時期Ts1と、機関負荷Qeとの関係は、基本燃焼制御の場合と同様、上述した第1−第2噴射相関が成立可能な関係として、実験等に基づいて予め定められている。そして、第2点火時期Ts2は、第1点火時期Ts1との間隔が上述した第2点火インターバルDs2となるように予め定められている。このような低負荷燃焼制御における第1噴射燃料量Sp、第2噴射燃料量Sm、第1噴射時期Tp、第2噴射時期Tm、第1点火時期Ts1、および第2点火時期Ts2と、機関負荷Qeとの関係もマップとしてECU20に記憶されている。そして、S105では、当該マップを用いて第1噴射燃料量Sp、第2噴射燃料量Sm、第1噴射時期Tp、第2噴射時期Tm、第1点火時期Ts1、および第2点火時期Ts2が決定される。
次に、S106において、S105で決定された第1噴射燃料量Sp、第2噴射燃料量Sm、第1噴射時期Tp、第2噴射時期Tm、第1点火時期Ts1、および第2点火時期Ts2に従って、燃料噴射弁6による第1噴射および第2噴射、第1点火プラグ51による第1点火、第2点火プラグ52による第2点火が実行される。これにより、本実施例に係る低負荷燃焼制御が実現される。
<変形例>
なお、プレ燃焼を行う際に、第1点火プラグ51による第1点火に加えて第2点火プラグ52による第2点火を実行する内燃機関1の運転領域を、必ずしも低負荷領域に限る必要はない。つまり、内燃機関1の機関負荷が高負荷領域に属するときにおいても、プレ燃焼を行う際に、第1点火プラグ51による第1点火に加えて第2点火プラグ52による第2点火を実行してもよい。この場合、高負荷領域においても、プレ噴霧の着火性を向上させることができるため、ディーゼル燃焼の安定性を向上させることができる。
また、内燃機関1が、排気の一部をEGRガスとして吸気系に導入する、所謂EGR装置を備えている場合、EGRガスは不活性ガスであるため、吸気のEGR率が高いほど、プレ噴霧の着火性が低下する。そこで、この場合は、吸気のEGR率が所定値より高いときに、上述した低負荷燃焼制御と同様に、第1点火プラグ51による第1点火に加えて第2点火プラグ52による第2点火を実行してもよい。これによれば、吸気のEGR率が高いときにおけるプレ噴霧の着火性を向上させることができる。
また、内燃機関1が、機関回転速度または気筒2内の圧力等に基づいて該内燃機関1における失火の発生を検知する手段を備えている場合、当該手段によって失火が検知された場合に、第1点火プラグ51による第1点火に加えて第2点火プラグ52による第2点火を実行してもよい。
[参考例]
本参考例に係る内燃機関の構成は上記実施例と同様である。また、本参考例においても、上記実施例と同様、第1噴射燃料によって形成されるプレ噴霧に対し点火プラグによって点火することでプレ燃焼が行われるとともに、該プレ燃焼によって生じた火炎を起点として第2噴射燃料および第1噴射燃料の燃え残りを自着火燃焼または拡散燃焼させるメイン燃焼が行われる。ただし、本参考例では、プレ燃焼を行う際の点火プラグによる点火形態が上記実施例とは異なっている。
図9は、本参考例に係る、プレ燃焼を行う際の、内燃機関1の機関負荷と、第1点火プラグ51および第2点火プラグ52による点火時期、第1噴射燃料量、第1噴射燃料の燃え残り率との相関を示す図である。図9に示すように、本参考例においては、内燃機関1の機関負荷の上昇に応じて第1噴射燃料量が増加する。そして、機関負荷が所定負荷Qe1以下である低負荷領域では、プレ燃焼時に第1点火プラグ51および第2点火プラグ52によって点火が行われる。ここで、内燃機関1の機関負荷が低負荷領域における最低負荷Qemin(例えば、アイドリング時の機関負荷)の場合、上述した実施例の基本燃焼制御における第1点火プラグ51による点火時期(すなわち、第1噴射時期との間隔が、スプレーガイド燃焼が可能となる第1点火インターバルとなる時期。以下、この時期を「基本点火時期」と称する。)と同一の時期に、第1点火プラグ51と第2点火プラグ52との両方の点火が同時に実行される。そして、機関負荷の上昇に応じて第1噴射燃料量が増加するために第1噴射時期が進角するのに伴い、第1点火プラグ51による点火時期(第1点火時期)および第2点火プラグ52による点火時期(第2点火時期)も進角される。ただし、このときに、第1点火時期が基本点火時期に維持されるように進角される一方で、第2点火時期は、第1点火時期との間隔である第2点火インターバルが、第1噴射燃料量が増加するほど大きくなるように進角される。つまり、第1噴射燃料量の増加量に対
する進角量が、第1噴射時期よりも第2噴射時期の方が小さくなっている。また、機関負荷が所定負荷Qe1より高い高負荷領域では、プレ燃焼時に第2点火プラグ52のみによって点火が行われる。このとき、第2点火時期が基本点火時期となるように制御される。
図3に示したように、内燃機関1においては、第1点火プラグ51のみならず第2点火プラグ52も、燃料噴射弁6の噴孔6aから噴射された燃料噴霧がその点火可能領域52aを通過するような位置、すなわち、第2点火プラグ52による点火によってもスプレーガイド燃焼が可能な位置に設置されている。そのため、基本点火時期に第1点火プラグ51に加えて第2点火プラグ52によっても点火が行われることで、スプレーガイド燃焼によって燃焼する第1燃料噴射量が最も多くなる。そこで、本参考例では、上記のように、機関負荷が最低負荷Qeminのとき、すなわち、第1噴射燃料量が最も少ないときは、基本点火時期に第1点火プラグ51および第2点火プラグ52の両方によって同時に点火を行う。これにより、本参考例では、機関負荷が最低負荷Qeminのときに第1噴射燃料の燃え残り率が最も小さくなる。
そして、低負荷領域では、機関負荷の上昇に伴い第1噴射燃料量が増加すると、第1点火時期を基本点火時期に維持しつつ、基本点火時期に対して第2点火時期を遅角させる。基本点火時期に対する第2点火時期の遅角量(すなわち、第2点火インターバル)が大きくなるほど、第1噴射時期において燃料噴射弁6から燃料が噴射された際に第2点火プラグ52の点火可能領域52aを通過した燃料噴霧が該点火可能領域52aからよりずれたタイミングで第2点火が実行されることになる。そのため、第2点火プラグ52による点火によって燃焼する第1噴射燃料が減少する。したがって、第1噴射燃料の燃え残り率が増加することになる。
そして、低負荷領域よりも第1噴射燃料が増加する高負荷領域においては、第2点火プラグ52による点火のみによってスプレーガイド燃焼が行われる。この場合、第1点火プラグ51および第2点火プラグ52の両方の点火が行われる場合に比べて第1噴射燃料の燃え残り率が増加することになる。したがって、高負荷領域では低負荷領域に比べて第1噴射燃料の燃え残り率が高くなる。なお、高負荷領域においては低負荷領域に比べて第1噴射燃料量が増加するためプレ噴霧のペネトレーションが大きくなっている。したがって、燃料噴射弁6の燃料噴射位置からの距離がより大きい第2点火プラグ52(図2においてL1<L2)の方が、スプレーガイド燃焼を行うべくプレ噴霧に点火する点火プラグとしては、第1点火プラグ51よりも適している。そのため、一つの点火プラグによってスプレーガイド燃焼を行う高負荷領域においては、基本点火時期に第2点火プラグ52による点火を実行する。
プレ燃焼を行う際に第1点火プラグ51および第2点火プラグ52を上記のように制御することで、図9に示すように、機関負荷の増加に伴って第1噴射燃料量が増加するほど第1噴射燃料の燃え残り率を高めることができる。これにより、第1噴射燃料量の増加に伴うスモークの増加を抑制することが可能となる。
1・・・内燃機関
2・・・気筒
3・・・ピストン
51・・第1点火プラグ
52・・第2点火プラグ
6・・・燃料噴射弁
7・・・吸気ポート
8・・・排気ポート
9・・・吸気弁
10・・排気弁
20・・ECU
21・・クランクポジションセンサ
22・・アクセルポジションセンサ
71・・スロットル弁
72・・エアフローメータ

Claims (1)

  1. 燃焼室内に気筒中心軸周りの旋回流であるスワール流が発生する内燃機関の制御装置であって、
    複数の噴孔を有し、燃焼室内において気筒中心軸付近から気筒壁面側に向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁から噴射された噴霧が点火可能領域を通過し該噴霧に直接に点火可能となるように、前記燃料噴射弁に対する相対位置が決定された第1点火装置と、
    圧縮行程中の第1噴射時期に前記燃料噴射弁による第1噴射を実行するとともに該第1噴射によって形成されるプレ噴霧に対し前記第1点火装置によって点火を行うことで該第1噴射によって噴射された燃料の一部を燃焼させるプレ燃焼を行うプレ燃焼部と、
    前記第1点火装置による前記プレ噴霧への点火後であり且つ圧縮行程上死点前の時期であって、前記第1噴射時期とのインターバルが、前記プレ燃焼によって生じた火炎を起点として噴射燃料の燃焼が開始されるように設定された所定の噴射インターバルとなる第2噴射時期に前記燃料噴射弁による第2噴射の実行を開始することで、燃料の自着火を発生させるとともに少なくとも該第2噴射によって噴射された燃料の一部を拡散燃焼させるメイン燃焼を行うメイン燃焼部と、を備える内燃機関の制御装置において、
    前記第1点火装置を起点としてスワール流の回転方向において180度未満の角度で規定される所定領域内であり、且つ、燃焼室内における前記燃料噴射弁の燃料噴射位置からの距離が前記第1点火装置よりも大きい位置に設置された第2点火装置をさらに備え、
    前記プレ燃焼部が、前記プレ燃焼を行う際に、前記第1点火装置での点火時期である第1点火時期より後であって前記第2噴射時期よりも前の所定の第2点火時期に、前記第2点火装置による点火を実行する内燃機関の制御装置。
JP2014226239A 2014-11-06 2014-11-06 内燃機関の制御装置 Pending JP2016089747A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014226239A JP2016089747A (ja) 2014-11-06 2014-11-06 内燃機関の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014226239A JP2016089747A (ja) 2014-11-06 2014-11-06 内燃機関の制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016089747A true JP2016089747A (ja) 2016-05-23

Family

ID=56019314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014226239A Pending JP2016089747A (ja) 2014-11-06 2014-11-06 内燃機関の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016089747A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109424459A (zh) * 2017-08-25 2019-03-05 马自达汽车株式会社 发动机的控制装置
CN109424460A (zh) * 2017-08-25 2019-03-05 马自达汽车株式会社 压缩着火式发动机的控制装置
JP2019039360A (ja) * 2017-08-25 2019-03-14 マツダ株式会社 エンジンの制御装置
JP2019039356A (ja) * 2017-08-24 2019-03-14 マツダ株式会社 圧縮着火式エンジンの制御装置
WO2019125430A1 (en) * 2017-12-20 2019-06-27 Cummins Inc. Apparatus and system for dual ignition sources for a vehicle
WO2019151082A1 (ja) 2018-01-30 2019-08-08 マツダ株式会社 エンジンの制御方法及びエンジンの制御装置
JP2019183771A (ja) * 2018-04-12 2019-10-24 マツダ株式会社 エンジンの制御装置及び制御方法
US11834983B2 (en) 2019-07-15 2023-12-05 The Research Foundation For The State University Of New York Method for control of advanced combustion through split direct injection of high heat of vaporization fuel or water fuel mixtures

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019039356A (ja) * 2017-08-24 2019-03-14 マツダ株式会社 圧縮着火式エンジンの制御装置
US10711708B2 (en) 2017-08-25 2020-07-14 Mazda Motor Corporation Control device for engine
CN109424460A (zh) * 2017-08-25 2019-03-05 马自达汽车株式会社 压缩着火式发动机的控制装置
JP2019039360A (ja) * 2017-08-25 2019-03-14 マツダ株式会社 エンジンの制御装置
CN109424460B (zh) * 2017-08-25 2021-10-12 马自达汽车株式会社 压缩着火式发动机的控制装置
CN109424459A (zh) * 2017-08-25 2019-03-05 马自达汽车株式会社 发动机的控制装置
CN111771051A (zh) * 2017-12-20 2020-10-13 卡明斯公司 用于车辆的双点火源的设备和***
GB2585504A (en) * 2017-12-20 2021-01-13 Cummins Inc Apparatus and system for dual ignition sources for a vehicle
US11118555B2 (en) 2017-12-20 2021-09-14 Cummins Inc. Apparatus and system for dual ignition sources for a vehicle
WO2019125430A1 (en) * 2017-12-20 2019-06-27 Cummins Inc. Apparatus and system for dual ignition sources for a vehicle
CN111771051B (zh) * 2017-12-20 2022-05-03 卡明斯公司 用于车辆的双点火源的设备和***
GB2585504B (en) * 2017-12-20 2022-07-13 Cummins Inc Apparatus and system for dual ignition sources for a vehicle
WO2019151082A1 (ja) 2018-01-30 2019-08-08 マツダ株式会社 エンジンの制御方法及びエンジンの制御装置
US11242812B2 (en) 2018-01-30 2022-02-08 Mazda Motor Corporation Engine control method and engine control device
JP2019183771A (ja) * 2018-04-12 2019-10-24 マツダ株式会社 エンジンの制御装置及び制御方法
US11834983B2 (en) 2019-07-15 2023-12-05 The Research Foundation For The State University Of New York Method for control of advanced combustion through split direct injection of high heat of vaporization fuel or water fuel mixtures

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6225938B2 (ja) 内燃機関の制御装置
CN107587930B (zh) 用于起动内燃机的方法
JP4412290B2 (ja) ガス燃料内燃機関
JP2016089747A (ja) 内燃機関の制御装置
US8181626B2 (en) Fuel injection control apparatus for internal combustion engine
JP6269410B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP6056776B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP6229598B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP6206364B2 (ja) 内燃機関
JP6056775B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP5765819B2 (ja) 2サイクルガスエンジン
JP2016000969A5 (ja)
JP2007170377A (ja) 内燃機関
JP2009299490A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP3952710B2 (ja) 圧縮自己着火式内燃機関
JP2005232988A (ja) 副室式エンジン
JP2007278257A (ja) 筒内直接噴射式火花点火内燃機関
JP3695011B2 (ja) 副室式エンジン
JP2016200080A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2016006325A (ja) 2サイクルガスエンジン及び2サイクルガスエンジン用の燃料ガス噴射システム
JP2016098794A (ja) 内燃機関の制御装置
JP6304183B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP6292249B2 (ja) 予混合圧縮着火式エンジン
JP2009287510A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2019070329A (ja) 内燃機関の制御装置