JP2016088863A - Ret阻害薬耐性癌に対する治療剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、RET(Rearranged during transfection)遺伝子異常を有する癌患者に対する分子標的薬の技術分野に属する。本発明は、RET遺伝子異常を有する腫瘍であって、RET阻害薬が無効又はRET阻害薬に耐性の腫瘍に対する新規な治療剤又は予防剤に関するものである。詳しくは、本発明は、下記式(II)で表されるアレクチニブ(Alectinib、商品名:アレセンサ)などを有効成分として含有する、RET遺伝子異常を有する腫瘍であって、アレクチニブ等以外のRET阻害薬が無効又はRET阻害薬に耐性の腫瘍に対する新規な治療剤又は予防剤に関するものである。
上記アレクチニブの化学名は、9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリル、又は9−エチル−6,6−ジメチル−8−[4−(モルホリン−4−イル)ピペリジン−1−イル]−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリルである。
アレクチニブは、インスリン受容体ファミリーに属する受容体型チロシンキナーゼALK(未分化リンパ腫キナーゼ:Anaplastic Lymphoma Kinase)融合遺伝子を有する非小細胞肺癌の治療に有効として承認された治療剤である。かかるアレクチニブに関する発明は、例えば特許公献1〜3などに製造方法も含め開示されている。
また、アレクチニブは、RETを含む多数のキナーゼを阻害することが報告されている(非特許文献1参照)。RETの遺伝子異常(点変異、染色体転座、染色体逆位、遺伝子増幅)は、癌化に関与することが知られており、肺腺癌の約1〜2%、甲状腺癌の約10%がRET融合遺伝子を有する癌と言われている。RETは癌原遺伝子の一つである。
従って、RETチロシンキナーゼの阻害作用を有する化合物は癌の予防や治療に極めて有用であることから、アレクチニブは、RET遺伝子異常における癌の予防剤又は治療剤になりうるものと考えられる。実際、アレクチニブは、RET阻害剤ないしRETチロシンキナーゼ阻害剤、RETに変異を有する癌、癌転移を含む疾患の予防又は治療剤として有用であることが報告されている(特許文献4参照)。
従って、RETチロシンキナーゼの阻害作用を有する化合物は癌の予防や治療に極めて有用であることから、アレクチニブは、RET遺伝子異常における癌の予防剤又は治療剤になりうるものと考えられる。実際、アレクチニブは、RET阻害剤ないしRETチロシンキナーゼ阻害剤、RETに変異を有する癌、癌転移を含む疾患の予防又は治療剤として有用であることが報告されている(特許文献4参照)。
その他のRETチロシンキナーゼ阻害物質としては、例えば、ソラフェニブ(Sorafenib)、スニチニブ(Sunitinib)、カボザンチニブ(Cabozantinib、XL184)、バンデタニブ(Vandetanib)、ポナチニブ(Ponatinib)といったマルチキナーゼインヒビターがKIF5B−RETを発現する細胞株に対して細胞増殖阻害作用を示すことが報告されている(非特許文献2参照)。また、マルチキナーゼインヒビターであるカボザンチニブ(Cabozantinib)がRET融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者2人に対して部分奏功を示したことが報告されている(非特許文献3参照)。
しかしながら、RET阻害薬であっても、RET遺伝子異常を有する腫瘍に対して無効又は一旦奏効しても耐性となり再燃するおそれがある。
しかしながら、RET阻害薬であっても、RET遺伝子異常を有する腫瘍に対して無効又は一旦奏効しても耐性となり再燃するおそれがある。
Cancer cell,19(5),p.679−690,2011,Supplemental Information
J Clin Oncol 30, 2012, suppl; Abstract no: 7510
Cancer Discov,3(6),Jun 2013,p.630−5
本発明は、主として、RET遺伝子異常、特にRET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子に二次的変異を有する腫瘍であって、アレクチニブ等以外のRET阻害薬が無効又はかかるRET阻害薬に耐性の腫瘍に対する新規な癌治療剤又は予防剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アレクチニブが、他のRET阻害薬が無効又は他のRET阻害薬に耐性である、RET遺伝子異常を有する肺癌細胞や甲状腺癌細胞等に対しても有効に抗腫瘍効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明として、例えば、下記のものを挙げることができる。
[1]式(I)で表される化合物(以下、「前記化合物」という。)若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する治療剤又は予防剤であって、RET遺伝子異常を有する腫瘍であり、前記化合物を除いたRET阻害薬が無効若しくはかかるRET阻害薬に耐性を有する腫瘍、又は前記腫瘍の転移に対する治療剤又は予防剤。
(式中、R1は、炭素数1〜6のアルキルを表す。)
[1]式(I)で表される化合物(以下、「前記化合物」という。)若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有する治療剤又は予防剤であって、RET遺伝子異常を有する腫瘍であり、前記化合物を除いたRET阻害薬が無効若しくはかかるRET阻害薬に耐性を有する腫瘍、又は前記腫瘍の転移に対する治療剤又は予防剤。
[2]前記腫瘍がRET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子及び/又はRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質を有する腫瘍である、上記[1]に記載の治療剤又は予防剤。
[3]前記腫瘍が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、ホジキン リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、神経膠腫、甲状腺癌、骨髄異形成症候群、頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、中皮腫、膵臓癌、肝臓癌、胆嚢癌、皮膚癌、悪性黒色腫、腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、前立腺癌、および該腫瘍から転移した腫瘍からなる群より選択される、上記[1]又は[2]に記載の治療剤又は予防剤。
[4]前記腫瘍が甲状腺癌、肺癌、又は中皮腫である、上記[1]〜[3]のいずれか一に記載の治療剤又は予防剤。
[4]前記腫瘍が甲状腺癌、肺癌、又は中皮腫である、上記[1]〜[3]のいずれか一に記載の治療剤又は予防剤。
[5]前記化合物を除いたRET阻害薬が、バンデタニブ(Vandetanib)、レンバチニブ(Lenvatinib)、スニチニブ(Sunitinib)、ソラフェニブ(Sorafenib)である、上記[1]〜[4]のいずれか一に記載の治療剤又は予防剤。
本発明によれば、RET遺伝子異常、特にRET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子に二次的変異を有する腫瘍であって、アレクチニブ等の前記化合物以外のRET阻害薬が無効又はかかるRET阻害薬に耐性の腫瘍細胞の増殖を抑制することができる。具体的な当該腫瘍として、例えば、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病など)、悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫など)、脳腫瘍、神経芽細胞腫、神経膠腫、甲状腺癌、骨髄異形成症候群、頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、 結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、中皮腫、膵臓癌、肝臓癌、胆嚢癌、皮膚癌、悪性黒色腫、腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、前立腺癌のような種々の癌を挙げることができる。さらに、上記のような固形癌の浸潤・転移を抑制することもできる。
以下、本発明を詳述する。
I.用語の説明
本発明において、R1に係る「炭素数1〜6のアルキル」とは、炭素数1〜6の直鎖状および分枝鎖状のアルキルをいい、具体的には、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2,3−ジメチルプロピル、ヘキシル、2,3−ジメチルヘキシル、1,1−ジメチルペンチル、ヘプチル、オクチルを挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4のアルキルであり、より好ましくはエチルである。R1がエチルに相当するものがアレクチニブである。
I.用語の説明
本発明において、R1に係る「炭素数1〜6のアルキル」とは、炭素数1〜6の直鎖状および分枝鎖状のアルキルをいい、具体的には、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2,3−ジメチルプロピル、ヘキシル、2,3−ジメチルヘキシル、1,1−ジメチルペンチル、ヘプチル、オクチルを挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4のアルキルであり、より好ましくはエチルである。R1がエチルに相当するものがアレクチニブである。
前記化合物の塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、サリチル酸塩などのカルボン酸塩、又は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などのアンモニウム塩などが含まれる。好ましくは塩酸塩、メタンスルホン酸塩が挙げられ、より好ましくは塩酸塩である。
これらの塩は、前記化合物と、医薬品の製造に使用可能である酸又は塩基とを接触させることにより製造することができる。
これらの塩は、前記化合物と、医薬品の製造に使用可能である酸又は塩基とを接触させることにより製造することができる。
前記化合物又はその塩は、無水物であってもよく、水和物などの溶媒和物を形成していてもよい。ここでいう「溶媒和」とは、溶液中で溶質分子あるいはイオンがそれに隣接している溶媒分子を強く引き付け、一つの分子集団をつくる現象をいい、例えば溶媒が水であれば水和という。溶媒和物は水和物、非水和物のいずれであってもよい。非水和物としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール)、ジメチルホルムアミドなどを使用することができる。
また前記化合物及びその塩には、いくつかの互変異性形態、例えばエノール及びイミン形態、ケト及びエナミン形態、並びにそれらの混合物で存在することができる。互変異性体は、溶液中で、互変異性セットの混合物として存在する。固体の形態では、通常、一方の互変異性体が優勢である。一方の互変異性体を記載することがあるが、本発明には、前記化合物の全ての互変異性体が含まれる。
本発明には、前記化合物の全ての立体異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー(シス及びトランス幾何異性体を含む。))、前記異性体のラセミ体、及びその他の混合物が含まれる。例えば、前記化合物は1以上の不斉点を有していてもよく、本発明には、そのような化合物のラセミ混合物、ジアステ レオマー混合物、及びエナンチオマーが含まれる。
本発明には、前記化合物の全ての立体異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー(シス及びトランス幾何異性体を含む。))、前記異性体のラセミ体、及びその他の混合物が含まれる。例えば、前記化合物は1以上の不斉点を有していてもよく、本発明には、そのような化合物のラセミ混合物、ジアステ レオマー混合物、及びエナンチオマーが含まれる。
前記化合物がフリー体として得られる場合、前記化合物が形成していてもよい塩又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の状態に、常法に従って変換することができる。
また、前記化合物が、前記化合物の塩、水和物、又は溶媒和物として得られる場合、化合物のフリー体に常法に従って変換することができる。
また、前記化合物が、前記化合物の塩、水和物、又は溶媒和物として得られる場合、化合物のフリー体に常法に従って変換することができる。
また、本発明に用いられる物質には、前記化合物のプロドラッグも含まれる。ここで、「プロドラッグ」とは、投与後に、生理条件下、酵素的又は非酵素的分解によって、前記化合物又は製薬上許容されうるそれらの塩に変換される、前記化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、患者に投与されたときには不活性であってもよいが、生体内では活性のある前記化合物に変換されて存在するものである。
例えば、プロドラッグは、特定のpHになった時、あるいは酵素の作用によって所望の薬物形態に転化する。
例えば、プロドラッグは、特定のpHになった時、あるいは酵素の作用によって所望の薬物形態に転化する。
本発明において、「RET遺伝子」は、RET(Rearranged during transfenction)チロシンキナーゼをコードする遺伝子を意味する。本発明に係るRET遺伝子は、如何なる由来のRET遺伝子を意味する。
本発明において、「RETタンパク質」は、RETチロシンキナーゼを構成するアミノ酸からなるタンパク質を意味する。本発明のRETタンパク質は、如何なる由来のRETタンパク質を意味する。RETチロシンキナーゼには、カルボキシル末端のスプライシングの違いによりRET9、RET43、RET51の3種類のタンパク質が存在することが知られている(TRENDS in Genetics,2006年,22巻,p.627−636)が、これら3種類のタンパク質を構成するアミノ酸からなるポリペプチドも、「RETタンパク質」に含まれる。
本発明において、「RET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子」とは、RET遺伝子の全部又は一部と他の遺伝子(例えば、KIF5B(kinesin family protein 5B)遺伝子、CCDC6(coiled−coildomain containing 6)遺伝子、NCOA4(nuclear receptor coactivator 4)遺伝子、TRIM33(tripartite motif−containing 33)遺伝子)の全部又は一部とが融合した遺伝子のことをいう。具体的には、例えば、RET遺伝子の全部又は一部とKIF5B遺伝子の全部又は一部とが融合した遺伝子(KIF5B−RET融合遺伝子)、RET遺伝子の全部又は一部とCCDC6遺伝子の全部又は一部とが融合した遺伝子(CCDC6−RET融合遺伝子)、RET遺伝子の全部又は一部とNCOA4遺伝子の全部又は一部とが融合した遺伝子(NCOA4−RET融合遺伝子)、RET遺伝子の全部又は一部とTRIM33遺伝子の全部又は一部とが融合した遺伝子(TRIM33−RET融合遺伝子)を挙げることができる。
本発明において、「RETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質」とは、RETタンパク質の全部又は一部と他のタンパク質(例えば、KIF5Bタンパク質、CCDC6タンパク質、NCOA4タンパク質、TRIM33タンパク質)の全部又は一部とが融合したタンパク質のことをいう。具体的には、例えば、RETタンパク質の全部又は一部とKIF5Bタンパク質の全部又は一部とが融合したタンパク質(KIF5B−RET融合タンパク質)、RETタンパク質の全部又は一部とCCDC6タンパク質の全部又は一部とが融合した遺伝子(CCDC6−RET融合タンパク質)、RETタンパク質の全部又は一部とNCOA4タンパク質の全部又は一部とが融合したタンパク質(NCOA4−RET融合タンパク質)、RETタンパク質の全部又は一部とTRIM33タンパク質の全部又は一部とが融合したタンパク質(TRIM33−RET融合タンパク質)を挙げることができる。
本発明において、「融合遺伝子に点変異を有する」とは、当該融合遺伝子における一ヌクレオチド塩基が、別のヌクレオチド塩基に置き換わってしまった変異をいい、「融合タンパク質に点変異を有する」とは、当該融合タンパク質における一アミノ酸が、別のアミノ酸に置き換わってしまった変異をいう。これには抗癌剤投与により獲得された耐性を有する二次的変異も含まれる。具体的には、RETタンパク質の変異の例として、RETのアミノ酸配列におけるC634W、C634Y、E768D、V804M、V804L、M918Tの変異が挙げらされる。ここで、「C634W」、「C634Y」、「E768D」、「V804M」、「V804L」、「M918T」は、特定の位置を表す数字の前後に変異前と変異後のアミノ酸の一文字記号を並べた、アミノ酸の変異を表す表現である。例えば、「C634W」は、特定のアミノ酸配列のN末端から634番目のアミノ酸がCysからTrpへ置換されていることを意味する。すなわち、数字は特定のアミノ酸配列のN末端から数えたアミノ酸の位置を表し、その前に記載されるアミノ酸の一文字記号は置換前のアミノ酸、そのあとに記載されるアミノ酸の一文字記号は置換後のアミノ酸を表す。
前記化合物以外の「RET阻害薬」としては、RETキナーゼの活性を阻害する薬物ないしRETキナーゼに結合し、当該活性を阻害する作用を有する薬物であれば特に制限なく挙げられるが、具体的には、例えば、ソラフェニブ(Sorafenib)、スニチニブ(Sunitinib)、カボザンチニブ(Cabozantinib、XL184)、バンデタニブ(Vandetanib)、ポナチニブ(Ponatinib)、レンバチニブ(Lenvatinib)を挙げることができる。
RET阻害薬が「無効」か否か、またRET阻害薬に「耐性」か否かは、例えば、固形がんの治療効果判定のための、いわゆるRECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)ガイドラインに基づき評価することができる。また、当業者であれば、常法による実験データに基づき適切に評価することもできる。
「治療剤」とは、対象疾患、症状ないしその付随する症候に対し、直接的又は間接的に改善、緩和、治癒する、あるいは悪化を防止する薬剤を意味する。具体的には、腫瘍組織の増殖抑制、縮小効果、転移の抑制、腫瘍マーカーの減少、患者の全身症状の改善、生存期間の延長等に用いられる薬剤を意味する。
「予防剤」とは、対象疾患に罹患する、又はその症状を呈する、あるいはそれに付随する症候を発症する可能性のある患者に、そうならないよう、又はそれを遅延するよう、あるいはそのリスクを低減するために予め処置するために用いられる薬剤を意味する。
「当該腫瘍の転移」とは、当該原発腫瘍が他の組織に転移することを意味する。「当該腫瘍の転移」の治療剤とは、当該腫瘍の転移を阻害・抑制する薬剤、又は転移により再発した腫瘍の増殖を抑制、縮小する薬剤を意味する。「当該腫瘍の転移」の予防剤とは、当該腫瘍が転移あるいは転移して再発しないように予め処置するために用いられる薬剤を意味する。
「予防剤」とは、対象疾患に罹患する、又はその症状を呈する、あるいはそれに付随する症候を発症する可能性のある患者に、そうならないよう、又はそれを遅延するよう、あるいはそのリスクを低減するために予め処置するために用いられる薬剤を意味する。
「当該腫瘍の転移」とは、当該原発腫瘍が他の組織に転移することを意味する。「当該腫瘍の転移」の治療剤とは、当該腫瘍の転移を阻害・抑制する薬剤、又は転移により再発した腫瘍の増殖を抑制、縮小する薬剤を意味する。「当該腫瘍の転移」の予防剤とは、当該腫瘍が転移あるいは転移して再発しないように予め処置するために用いられる薬剤を意味する。
II.前記化合物の製造方法
本発明の治療剤又は予防剤の有効成分である前記化合物は、国際公開WO2010/143664号パンフレットに記載の方法に従って製造することができるが、前記化合物の製造方法はこれらに限定されるものではない。
本発明の治療剤又は予防剤の有効成分である前記化合物は、国際公開WO2010/143664号パンフレットに記載の方法に従って製造することができるが、前記化合物の製造方法はこれらに限定されるものではない。
III.本発明の治療剤・予防剤
本発明に係る「治療剤」ないし「予防剤」は、治療、予防、又は治療及び予防のために用いられる薬剤を指し、具体的には前記対象疾患の治療、予防、病態の進展抑制(悪化防止や現状維持)等のために用いられる薬剤である。
本発明の治療剤・予防剤は、本発明のために有用な選択された化合物に加えて、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物として用いることができる。
本発明に係る「治療剤」ないし「予防剤」は、治療、予防、又は治療及び予防のために用いられる薬剤を指し、具体的には前記対象疾患の治療、予防、病態の進展抑制(悪化防止や現状維持)等のために用いられる薬剤である。
本発明の治療剤・予防剤は、本発明のために有用な選択された化合物に加えて、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物として用いることができる。
本明細書において、「薬学的に許容される担体」という用語は、一種以上の適合性の固体または液体の賦形希釈剤またはカプセル化材料であって、哺乳類への投与に適したものを意味する。本明細書において、「許容される」という用語は、通常の使用条件下で組成物の医薬的な有効性を実質的に減少させるような反応をお互いに起こすことがないような方法で、組成物中の成分と対象化合物とが混合されうることを意味する。薬学的に許容される担体は、当然、処置されようとする、好ましくは動物、より好ましくは哺乳類への投与に適するように、十分に高い純度と十分に低い毒性を有していなければならない。
薬学的に許容される担体として用いられうる材料の例としては、乳糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖類;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンなどのデンプン類;セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロースなどの誘導体;トラガカントガム粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸やステアリン酸マグネシウムなどの固形潤滑剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、カカオ油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどの多価アルコール;アルギン酸;TWEENのよ うな乳化剤;レシチンのような湿潤剤;着色剤;香料;錠剤化剤(tabletingagent);安定化剤;抗酸化剤;防腐剤;パイロジェンフリー水;等 張塩水溶液;及びリン酸緩衝液などがあげられる。
本発明の治療剤ないし予防剤の投与方法は、経口的、直腸的、非経口的(静脈内的、筋肉内的、皮下的)、槽内的、膣内的、腹腔内的、膀胱内的、局所的(点滴、散剤、軟膏、ゲルまたはクリーム)投与および吸入(口腔内または鼻スプレー)などが挙げられる。その投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの固形製剤、水性および非水性の経口用溶液および懸濁液、および個々の投与量に小分けするのに適応した容器に充填した非経口用溶液などの液剤、用時溶解して用いることができる凍結乾燥性剤などが挙げられる。また投与形態は、皮下移植のような調節された放出処方物を包含する種々の投与方法に適応させることもできる。
上記の製剤は、賦形剤、滑沢剤(コーティング剤)、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤などの添加剤を用いて周知の方法で製造される。
例えば、賦形剤としては、デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等のデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。
コーティング剤としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、パラフィン等を挙げることができる。
結合剤としては、例えばポリビニルピロリドン、マクロゴール及び前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。
崩壊剤としては、例えば前記賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
安定剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。
矯味矯臭剤としては、例えば通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。
また、液剤を製造するための溶媒としては、エタノール、フェノール、クロロクレゾール、精製水、蒸留水等を使用することができる。
界面活性剤又は乳化剤としては、例えば、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。
例えば、賦形剤としては、デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等のデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。
コーティング剤としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、パラフィン等を挙げることができる。
結合剤としては、例えばポリビニルピロリドン、マクロゴール及び前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。
崩壊剤としては、例えば前記賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
安定剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。
矯味矯臭剤としては、例えば通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。
また、液剤を製造するための溶媒としては、エタノール、フェノール、クロロクレゾール、精製水、蒸留水等を使用することができる。
界面活性剤又は乳化剤としては、例えば、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。
本発明の治療剤ないし予防剤の使用量は、症状、年齢、体重、相対的健康状態、他の投薬の存在、投与方法等により異なる。例えば、患者(温血動物、特に人間)に対して、一般に有効な量は、有効成分(前記化合物又はその塩など)として、経口剤の場合、一日につき体重1kg当たり好ましくは 0.001〜3000mg、さらに好ましくは体重1kg当たり0.01〜300mgの範囲内であり、一日当たりの使用量は、普通の体重の成人患者に対しては、好ましくは1〜1200mgの範囲内である。非経口剤の場合、一日につき体重1kg当たり好ましくは0.001〜1000mgの範囲内、さらに好ましくは体重1kg当たり0.01〜300mgの範囲内である。これを1日1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
本発明の治療剤ないし予防剤は、国際公開WO2012/023597パンフレットに記載の方法により製剤化することもできる。
本発明の治療剤ないし予防剤は、国際公開WO2012/023597パンフレットに記載の方法により製剤化することもできる。
また、本発明の治療剤ないし予防剤は、他の化学療法剤、ホルモン療法剤、免疫療法剤または分子標的薬などから選ばれる1種以上の薬剤(以下、併用薬剤と略記することがある)と組み合わせて用いてもよい。これらの活性成分(薬剤)は、低分子化合物であってもよく、また高分子の蛋白、ポリペプチド、抗体であるか、あるいはワクチン等であってもよい。また、活性成分(薬剤)は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
例えば、該「化学療法剤」としては、例えばアルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗癌性抗生物質、植物由来抗癌剤など抗癌剤が挙げられる。「アルキル化剤」としては、例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチ ンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシンなどが挙げられる。「白金製剤」としては、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチンなどが挙げられる。「代謝拮抗剤」としては、例えば、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5−FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、 UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフールなど)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチンなどが挙げられる。トポイソメラーゼI阻害薬(例、イリノテカン、トポテカンなど)、トポイソメラーゼII阻害薬(例えば、ソブゾキサンなど)、「抗癌性抗生物質」としては、例えば、アントラサイクリン系抗癌薬(塩酸ドキソルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシンなど)、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシンなどが挙げられる。「植物由来抗癌剤」としては、例えば、ビンカアルカロイド系抗癌薬(硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシンなど)、タキサン系抗癌薬(パクリタキセル、ドセタキセルなど)、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、ビノレルビンなどが挙げられる。
該「ホルモン療法剤」としては、例えば、副腎皮質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロンなど)が挙げられ、なかでもプレドニゾロンが好ましい。
該「免疫療法剤(BRM)」としては、例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾールなどが挙げられる。
該「分子標的薬」は「細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤」等を含み、「細胞増殖因子」としては、細胞の増殖を促進する物質であればどのようなものでもよく、通常、分子量が20,000以下のペプチドで、受容体との結合により低濃度で作用が発揮される因子が挙げられ、具体的には、(1)EGF(epidermal growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、EGF、ハレグリン(HER2リガンド)など〕、(2)インシュリンまたはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、インシュリン、IGF(insulin-like growth factor)−1、IGF−2など〕、(3)FGF(fibroblast growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、酸性FGF、塩基性FGF、KGF(keratinocyte growth factor)、FGF-10など〕、(4)VEGF(vascular endothelial growth factor)、(5)その他の細胞増殖因子〔例、CSF(colony stimulating factor)、EPO(erythropoietin)、IL−2(interleukin-2)、NGF(nerve growth factor)、PDGF(platelet-derived growth factor)、TGFβ(transforming growth factorβ)、HGF(hepatocyte growth factor)、など〕などがあげられる。
該「細胞増殖因子の受容体」としては、上記の細胞増殖因子と結合能を有する受容体であればいかなるものであってもよく、具体的には、EGF受容体、ハレグリン受容体(HER2)、インシュリン受容体、IGF受容体、FGF受容体−1またはFGF受容体−2、HGF受容体(c−met)、VEGF受容体、SCF受容体(c−kit)などがあげられる。該「細胞増殖因子の作用を阻害する薬剤」としては、ハーセプチン(HER2抗体)、GLEEVEC(c−kit、abl阻害薬)、Tarceva(EGF受容体阻害薬)などがあげられる。
また、一つの薬剤で複数の細胞増殖因子の作用を阻害する薬剤や、細胞増殖因子よって発せられる細胞内の情報を遮断する薬剤も含まれる。
また、一つの薬剤で複数の細胞増殖因子の作用を阻害する薬剤や、細胞増殖因子よって発せられる細胞内の情報を遮断する薬剤も含まれる。
前記の薬剤の他に、L−アスパラギナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカルバジン、プロトポルフィリン・コバルト錯塩、水銀ヘマトポルフィリン・ナトリウム、分化誘導剤(例、レチノイド、ビタミンD類など)、血管新生阻害薬、α−ブロッカー(例、塩酸タムスロシンなど)なども用いることができる。
上記した中でも、併用薬としては、白金錯体(例、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンなど)、代謝拮抗剤(例、ゲムシタビン、ペメトレキセドなど)、トポイソメラーゼI阻害薬(例、イリノテカン、トポテカンなど)、植物由来抗癌剤(タキサン系薬剤(例、パクリタキセル、ドセタキセル)、ビノレルビン)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシンC)等、さらに、ホルモン療法剤(例、プレドニゾロン)、免疫療法剤(例、ピシバニール、クレスチンなど)、分子標的薬(例、ベバシズマブ等抗VEGF抗体、エルロチニブ等EGFR阻害剤、スニチニブ等VEGFR阻害剤)などが好ましい。さらに、シスプラチン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ベバシズマブなどが好ましい。また、これら薬剤の併用療法と併用して用いることもできる。例えば、シスプラチンとビンブラスチンとマイトマイシンC、シスプラチンとビノレルビン、シスプラチンとパクリタキセル、シスプラチンとゲムシタビン、カルボプラチンとパクリタキセル、ペメトレキセドとシスプラチン、ベバシズマブとシスプラチンとペメトレキセド等の併用療法に組み合わせた併用が挙げられる。
上記した中でも、併用薬としては、白金錯体(例、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンなど)、代謝拮抗剤(例、ゲムシタビン、ペメトレキセドなど)、トポイソメラーゼI阻害薬(例、イリノテカン、トポテカンなど)、植物由来抗癌剤(タキサン系薬剤(例、パクリタキセル、ドセタキセル)、ビノレルビン)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシンC)等、さらに、ホルモン療法剤(例、プレドニゾロン)、免疫療法剤(例、ピシバニール、クレスチンなど)、分子標的薬(例、ベバシズマブ等抗VEGF抗体、エルロチニブ等EGFR阻害剤、スニチニブ等VEGFR阻害剤)などが好ましい。さらに、シスプラチン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ベバシズマブなどが好ましい。また、これら薬剤の併用療法と併用して用いることもできる。例えば、シスプラチンとビンブラスチンとマイトマイシンC、シスプラチンとビノレルビン、シスプラチンとパクリタキセル、シスプラチンとゲムシタビン、カルボプラチンとパクリタキセル、ペメトレキセドとシスプラチン、ベバシズマブとシスプラチンとペメトレキセド等の併用療法に組み合わせた併用が挙げられる。
本発明において、本発明の有効成分および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明の有効成分および併用薬剤を、これらを含む単一の製剤として投与対象に投与してもよい。例えば、3〜6ヵ月にわたり、複数の薬を組み合わせて点滴注射する多剤併用療法や、約2年間にわたって経口剤を服用する方法などがある。
また、既に拡散している腫瘍(癌)細胞を抑え、転移による再発を防ぐためや、手術範囲を小さくする目的で、手術施行前に「化学療法」などの術前補助療法を行うこともある。
さらには、手術や放射線などの局所的治療により除去されなかった腫瘍(癌)細胞の発育を抑え、転移による再発を防ぐために、「化学療法」などの術後補助療法が行われることもある。
さらには、併用する抗癌剤は、癌細胞と同時に正常な細胞にも作用し、それが副作用となって現れる場合がある。代表的な副作用には、消化器粘膜の障害による吐き気、嘔吐、食欲不振、口内炎、下痢あるいは便秘、味覚異常、骨髄の障害による白血球・赤血球・血小板の減少・脱毛、免疫力の低下などがあり、これらを抑制するための副作用軽減薬を併用することもできる。例えば、吐き気を効果的に抑える制吐剤(例、グラニセトロン塩酸塩)や、骨髄障害の回復を早める薬 (例えば、エリスロポイエチン、G−CSF、GM−CSF)等が挙げられる。
また、既に拡散している腫瘍(癌)細胞を抑え、転移による再発を防ぐためや、手術範囲を小さくする目的で、手術施行前に「化学療法」などの術前補助療法を行うこともある。
さらには、手術や放射線などの局所的治療により除去されなかった腫瘍(癌)細胞の発育を抑え、転移による再発を防ぐために、「化学療法」などの術後補助療法が行われることもある。
さらには、併用する抗癌剤は、癌細胞と同時に正常な細胞にも作用し、それが副作用となって現れる場合がある。代表的な副作用には、消化器粘膜の障害による吐き気、嘔吐、食欲不振、口内炎、下痢あるいは便秘、味覚異常、骨髄の障害による白血球・赤血球・血小板の減少・脱毛、免疫力の低下などがあり、これらを抑制するための副作用軽減薬を併用することもできる。例えば、吐き気を効果的に抑える制吐剤(例、グラニセトロン塩酸塩)や、骨髄障害の回復を早める薬 (例えば、エリスロポイエチン、G−CSF、GM−CSF)等が挙げられる。
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の有効成分と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の有効成分を含む製剤100重量部に対し、併用薬剤を0.01ないし100重量部用いればよい。
以下、実施例及び参考例を掲げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
各実施例で用いられているアレクチニブ(Alectinib)は塩酸塩である。
各実施例で用いられているアレクチニブ(Alectinib)は塩酸塩である。
[参考例1]KIF5B−RET発現細胞に対する細胞増殖阻害活性の評価
(1)KIF5B−RET発現細胞の樹立
KIF5B−RET variant 1(KIF5BのCDSのN末端からExon15とRETのCDSのExon12からC末端までが融合した遺伝子)を組み込んだレンチウィルスベクターpLenti6(Invitrogen社製)を用いてレンチウィルスを作成し、マウスリンパ球細胞Ba/F3(RIKEN Cell Bank社製)に感染させることにより遺伝子導入した。遺伝子導入後、10%FBS(Corning社製)及び1ng/mL recombinant mouse IL−3(Invitrogen社製)を含むDMEM Medium(Sigma−Aldrich社製)で24時間培養した。その後、培地に7μg/mL Blastcidineを添加し遺伝子導入細胞を選択した。約1週間後に培養液を、10%FBSを含むDMEM Mediumに交換しIL−3を除去した。約2週間後にウエスタンブロッティング法により、IL−3非存在下で成育した細胞におけるリン酸化RETの発現を検出し、これを指標にKIF5B−RETを安定的に発現する細胞株Ba/F3 KIF5B−RET(WT)を樹立した。
(1)KIF5B−RET発現細胞の樹立
KIF5B−RET variant 1(KIF5BのCDSのN末端からExon15とRETのCDSのExon12からC末端までが融合した遺伝子)を組み込んだレンチウィルスベクターpLenti6(Invitrogen社製)を用いてレンチウィルスを作成し、マウスリンパ球細胞Ba/F3(RIKEN Cell Bank社製)に感染させることにより遺伝子導入した。遺伝子導入後、10%FBS(Corning社製)及び1ng/mL recombinant mouse IL−3(Invitrogen社製)を含むDMEM Medium(Sigma−Aldrich社製)で24時間培養した。その後、培地に7μg/mL Blastcidineを添加し遺伝子導入細胞を選択した。約1週間後に培養液を、10%FBSを含むDMEM Mediumに交換しIL−3を除去した。約2週間後にウエスタンブロッティング法により、IL−3非存在下で成育した細胞におけるリン酸化RETの発現を検出し、これを指標にKIF5B−RETを安定的に発現する細胞株Ba/F3 KIF5B−RET(WT)を樹立した。
(2)当細胞を用いた細胞増殖阻害活性の評価
96ウェルプレートに、Ba/F3 KIF5B−RET(WT)細胞を1ウェル当り2,000細胞となるように10%FBSを含むDMEM培地で播種した。対照として遺伝子導入していないBa/F3細胞(parent)をIL−3存在下に同様に播種した。ジメチルスルホキシドに10mMに希釈したVandetanibを、10%FBSを含むDMEM培地で最終濃度が1nMから10μMとなるよう希釈し、96ウェルプレートに添加した。陰性対照として10%FBSを含むDMEM培地を添加した。
96ウェルプレートに、Ba/F3 KIF5B−RET(WT)細胞を1ウェル当り2,000細胞となるように10%FBSを含むDMEM培地で播種した。対照として遺伝子導入していないBa/F3細胞(parent)をIL−3存在下に同様に播種した。ジメチルスルホキシドに10mMに希釈したVandetanibを、10%FBSを含むDMEM培地で最終濃度が1nMから10μMとなるよう希釈し、96ウェルプレートに添加した。陰性対照として10%FBSを含むDMEM培地を添加した。
37℃、5%CO2存在下で3日間培養後、細胞数測定試薬CellTiter−Glo(R) Luminescent Cell Viability Assay(Promega Corporation社製)を添加し撹拌後、発光測定装置TriStar LB 941(Berthold社製)を用いて、発光強度を測定した。陰性対照のウェルでの測定値を生存率0%、10%FBSを含むDMEM培地を添加したウェルでの測定値を生存率100%として化合物の各濃度におけるBa/F3 KIF5B−RET細胞の生存率を算出した。その結果を図1に示す。また、これらの値からロジスティック回帰法によりIC50値を求めた。
その結果、VandetanibはBa/F3 KIF5B−RET(WT)細胞およびBa/F3 parent細胞に対してそれぞれIC50値56nM(図中、黒三角)および2600nM(図中、白丸)の細胞増殖阻害活性を示した。
以上の結果から、Vandetanibは、KIF5B−RETを発現する細胞株に対して細胞増殖を阻害できることが示された。
以上の結果から、Vandetanibは、KIF5B−RETを発現する細胞株に対して細胞増殖を阻害できることが示された。
[実施例1]Vandetanib耐性変異を有するKIF5B−RET発現細胞に対する細胞増殖阻害活性の評価
(1)Vandetanib耐性変異を有するKIF5B−RET発現細胞の樹立
Vandetanib耐性変異(RET遺伝子のV804L、Y806C、M918T)を有するKIF5B−RETを組み込んだレンチウィルスベクターpLenti6(Invitrogen社製)を用いてレンチウィルスを作成し、マウスリンパ球細胞Ba/F3(RIKEN Cell Bank社製)に感染させることにより遺伝子導入した。遺伝子導入後、10%FBS(Corning社製)及び1ng/mL recombinant mouse IL−3(Invitrogen社製)を含むDMEM Medium(Sigma−Aldrich社製)で24時間培養した。その後、培地に7μg/mL Blastcidineを添加し遺伝子導入細胞を選択した。約1週間後に培養液を、10%FBSを含むDMEM Mediumに交換しIL−3を除去した。約2週間後にウエスタンブロッティング法により、IL−3非存在下で成育した細胞におけるリン酸化RETの発現を検出し、これを指標にVandetanib耐性変異(二次的変異)を有するKIF5B−RETを安定的に発現する細胞株(Ba/F3 KIF5B−RET V804L、Ba/F3 KIF5B−RET Y806C、Ba/F3 KIF5B−RET M918T)を樹立した。
(1)Vandetanib耐性変異を有するKIF5B−RET発現細胞の樹立
Vandetanib耐性変異(RET遺伝子のV804L、Y806C、M918T)を有するKIF5B−RETを組み込んだレンチウィルスベクターpLenti6(Invitrogen社製)を用いてレンチウィルスを作成し、マウスリンパ球細胞Ba/F3(RIKEN Cell Bank社製)に感染させることにより遺伝子導入した。遺伝子導入後、10%FBS(Corning社製)及び1ng/mL recombinant mouse IL−3(Invitrogen社製)を含むDMEM Medium(Sigma−Aldrich社製)で24時間培養した。その後、培地に7μg/mL Blastcidineを添加し遺伝子導入細胞を選択した。約1週間後に培養液を、10%FBSを含むDMEM Mediumに交換しIL−3を除去した。約2週間後にウエスタンブロッティング法により、IL−3非存在下で成育した細胞におけるリン酸化RETの発現を検出し、これを指標にVandetanib耐性変異(二次的変異)を有するKIF5B−RETを安定的に発現する細胞株(Ba/F3 KIF5B−RET V804L、Ba/F3 KIF5B−RET Y806C、Ba/F3 KIF5B−RET M918T)を樹立した。
(2)当細胞を用いた細胞増殖阻害活性の評価
96ウェルプレートに、Ba/F3 KIF5B−RET V804L、Ba/F3 KIF5B−RET Y806C、Ba/F3 KIF5B−RET M918Tを1ウェル当り2,000細胞となるように10%FBSを含むDMEM培地で播種した。対照としてBa/F3 KIF5B−RET(WT)細胞を同様に播種した。ジメチルスルホキシドに10mMに希釈したVandetanibまたはAlectinibを、10%FBSを含むDMEM培地で最終濃度が1nMから10μMとなるよう希釈し、96ウェルプレートに添加した。陰性対照として10%FBSを含むDMEM培地を添加した。
96ウェルプレートに、Ba/F3 KIF5B−RET V804L、Ba/F3 KIF5B−RET Y806C、Ba/F3 KIF5B−RET M918Tを1ウェル当り2,000細胞となるように10%FBSを含むDMEM培地で播種した。対照としてBa/F3 KIF5B−RET(WT)細胞を同様に播種した。ジメチルスルホキシドに10mMに希釈したVandetanibまたはAlectinibを、10%FBSを含むDMEM培地で最終濃度が1nMから10μMとなるよう希釈し、96ウェルプレートに添加した。陰性対照として10%FBSを含むDMEM培地を添加した。
37℃、5%CO2存在下で3日間培養後、細胞数測定試薬CellTiter−Glo(R) Luminescent Cell Viability Assay(Promega Corporation社製)を添加し撹拌後、発光測定装置TriStar LB 941(Berthold社製)を用いて、発光強度を測定した。培地のみのウェルでの測定値を生存率0%、陰性対照のウェルでの測定値を生存率100%として化合物の各濃度におけるBa/F3 KIF5B−RET細胞の生存率を算出した。その結果を図2に示す。
図2(A)で示される通り、Ba/F3 KIF5B−RET V804L(図中、白四角)、Ba/F3 KIF5B−RET Y806C(図中、白三角)、Ba/F3 KIF5B−RET M918T(図中、白菱形)は、Ba/F3 KIF5B−RET(WT)(図中、黒丸)と比較し、Vandetanibに対し耐性を示したが、一方、図2(B)で示される通り、Alectinibに対しては耐性を示さなかった。
以上の結果から、AlectinibはVandetanib耐性変異(二次的変異)を有するKIF5B−RETを発現する細胞株に対して細胞増殖を阻害することが明らかである。
以上の結果から、AlectinibはVandetanib耐性変異(二次的変異)を有するKIF5B−RETを発現する細胞株に対して細胞増殖を阻害することが明らかである。
[実施例2]Vandetanib耐性を有するヒト肺がん細胞株に対する細胞増殖阻害活性の評価
(1)Vandetanib耐性を有するヒト肺がん細胞株の樹立
CCDC6−RETを有するヒト肺がん細胞株LC2/ad(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターから入手)を10cmプラスチックディッシュ当り100,000細胞となるように15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地で播種した。Vandetanibを最終濃度30nMとなるように添加し、約2週間培養した。15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地を交換し、徐々に高濃度のVandetanibを添加し培養することで、最終的に1μMのVandetanib存在下で増殖できるVandetanib耐性株LC2/ad VRAを得た。その後、限界希釈法により96ウェルプレートに播種し、Vandetanib(1μM)および15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地で培養し、V804L変異を有しVandetanib存在下でも増殖するクローンLC2/ad VRA−2を樹立した。サンガーシーケンス法にてCCDC6−RET遺伝子の配列を確認したところ、LC2/ad VRA−2細胞ではVandetanib耐性変異(V804L、二次的変異)が見つかった。
(1)Vandetanib耐性を有するヒト肺がん細胞株の樹立
CCDC6−RETを有するヒト肺がん細胞株LC2/ad(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターから入手)を10cmプラスチックディッシュ当り100,000細胞となるように15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地で播種した。Vandetanibを最終濃度30nMとなるように添加し、約2週間培養した。15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地を交換し、徐々に高濃度のVandetanibを添加し培養することで、最終的に1μMのVandetanib存在下で増殖できるVandetanib耐性株LC2/ad VRAを得た。その後、限界希釈法により96ウェルプレートに播種し、Vandetanib(1μM)および15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地で培養し、V804L変異を有しVandetanib存在下でも増殖するクローンLC2/ad VRA−2を樹立した。サンガーシーケンス法にてCCDC6−RET遺伝子の配列を確認したところ、LC2/ad VRA−2細胞ではVandetanib耐性変異(V804L、二次的変異)が見つかった。
(2)当細胞を用いた細胞増殖阻害活性の評価
96ウェルプレートに、LC2/ad VRA−2を1ウェル当り3,000細胞となるように15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地で播種した。対照としてLC2/ad細胞を同様に播種した。ジメチルスルホキシドに10mMに希釈したVandetanibまたはAlectinibを、10%FBSを含むDMEM培地で最終濃度が1nMから10μMとなるよう希釈し、96ウェルプレートに添加した。陰性対照として15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地を添加した。
96ウェルプレートに、LC2/ad VRA−2を1ウェル当り3,000細胞となるように15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地で播種した。対照としてLC2/ad細胞を同様に播種した。ジメチルスルホキシドに10mMに希釈したVandetanibまたはAlectinibを、10%FBSを含むDMEM培地で最終濃度が1nMから10μMとなるよう希釈し、96ウェルプレートに添加した。陰性対照として15%FBSを含むRPMI−1640/F−12培地を添加した。
37℃、5%CO2存在下で3日間培養後、細胞数測定試薬CellTiter−Glo(R) Luminescent Cell Viability Assay(Promega Corporation社製)を添加し撹拌後、発光測定装置TriStar LB 941(Berthold社製)を用いて、発光強度を測定した。培地のみのウェルでの測定値を生存率0%、陰性対照のウェルでの測定値を生存率100%として化合物の各濃度における細胞の生存率を算出した。その結果を図3に示す。
図3(A)で示される通り、LC2/ad VRA−2(図中、白三角)は、LC/ad2(図中、黒丸)と比較し、Vandetanibに対し耐性を示し、ロジスティック回帰法によりIC50値はそれぞれ3μM以上および232nMであった。一方、図3(B)で示される通り、LC2/ad VRA−2は、Alectinibに対しては感受性を示し(図中、黒菱形)、IC50値は295nMであった。
以上の結果から、AlectinibはVandetanib耐性変異(二次的変異)を有するCCDC6−RETを発現するヒト肺がん細胞株に対しても細胞増殖を阻害することが明らかである。
以上の結果から、AlectinibはVandetanib耐性変異(二次的変異)を有するCCDC6−RETを発現するヒト肺がん細胞株に対しても細胞増殖を阻害することが明らかである。
[実施例3]腫瘍細胞増殖抑制効果
(1)NCOA4−RETを有するヒト中皮腫細胞株に対するin vitroでの増殖抑制効果
96ウェルプレートに,NCOA4−RETを有するヒト中皮腫細胞株EHMES−10(愛媛大学第2内科から入手)を1ウェル当り2,000細胞となるように10%FBSを含むRPMI−1640培地で播種した。Vandetanib、Alectinib、またはLenvatinibをジメチルスルホキシドにより最終濃度が1nMから10μMとなるよう希釈し、96ウェルプレートに添加した。陰性対照としてジメチルスルホキシドを添加した。
(1)NCOA4−RETを有するヒト中皮腫細胞株に対するin vitroでの増殖抑制効果
96ウェルプレートに,NCOA4−RETを有するヒト中皮腫細胞株EHMES−10(愛媛大学第2内科から入手)を1ウェル当り2,000細胞となるように10%FBSを含むRPMI−1640培地で播種した。Vandetanib、Alectinib、またはLenvatinibをジメチルスルホキシドにより最終濃度が1nMから10μMとなるよう希釈し、96ウェルプレートに添加した。陰性対照としてジメチルスルホキシドを添加した。
37℃、5%CO2存在下で3日間培養後、細胞数測定試薬MTT[3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyl tetrazolium](Sigma社製)を添加し撹拌後、吸光度測定装置iMarkプレートリーダー(BIO−RAD社製)を用いて、吸光強度を測定した。培地のみのウェルでの測定値を生存率0%、ジメチルスルホキシド添加ウェルでの測定値を生存率100%として化合物の各濃度における細胞の生存率を算出した。その結果を図4に示す。
図4から明らかな通り、EHMES−10は、Vandetanib(図中、白丸)、Alectinib(図中、黒丸)、Lenvatinib(図中、白三角)のいずれにも感受性を示した。
(2)NCOA4−RETを有するヒト中皮腫細胞株に対するin vivoでの増殖抑制効果
6週例オスのSHO−scidマウス(日本クレア社製)の右胸腔内に、100μLのPBS(Gibco社製)に懸濁したEHMES−10細胞(1,000,000個)を移植した。15日目からPBSあるいはAlectinibを1日1回、連日経口投与を14日間おこなった。化合物を溶解するための溶媒(最終濃度)は、0.02N HCl、10%ジメチルスルホキシド、10%Cremophor EL、15%PEG400、及び15%HPCD(2−hydroxypropyl−β−cyclodextrin)を用いた。マウスを堵殺後、胸腔内の胸水を1mLシリンジ(マイジェクター、テルモ社製)で回収し、シリンジの目盛により胸水量を測定した。また、胸腔内の腫瘍を回収し腫瘍重量を分析用電子天秤(HR−202i、AND社製)で測定した。その結果を表1に示す。
6週例オスのSHO−scidマウス(日本クレア社製)の右胸腔内に、100μLのPBS(Gibco社製)に懸濁したEHMES−10細胞(1,000,000個)を移植した。15日目からPBSあるいはAlectinibを1日1回、連日経口投与を14日間おこなった。化合物を溶解するための溶媒(最終濃度)は、0.02N HCl、10%ジメチルスルホキシド、10%Cremophor EL、15%PEG400、及び15%HPCD(2−hydroxypropyl−β−cyclodextrin)を用いた。マウスを堵殺後、胸腔内の胸水を1mLシリンジ(マイジェクター、テルモ社製)で回収し、シリンジの目盛により胸水量を測定した。また、胸腔内の腫瘍を回収し腫瘍重量を分析用電子天秤(HR−202i、AND社製)で測定した。その結果を表1に示す。
表1で示される通り、Alectinibは用量依存的にEHMES−10による胸水量および腫瘍重量を抑制した。
以上の結果から、胸膜中皮腫が本来存在する胸腔内においてもAlectinibはRET融合遺伝子を有する腫瘍の進展を阻害することが明らかである。
以上の結果から、胸膜中皮腫が本来存在する胸腔内においてもAlectinibはRET融合遺伝子を有する腫瘍の進展を阻害することが明らかである。
本発明は、RET遺伝子異常、特にRET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子に二次的変異を有する腫瘍であって、アレクチニブ等の前記化合物以外のRET阻害薬が無効又はかかるRET阻害薬に耐性の腫瘍に対する治療剤又は予防剤として有用である。具体的な当該腫瘍として、例えば、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病など)、悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫など)、脳腫瘍、神経芽細胞腫、神経膠腫、甲状腺癌、骨髄異形成症候群、頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、 結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、中皮腫、膵臓癌、肝臓癌、胆嚢癌、皮膚癌、悪性黒色腫、腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、前立腺癌のような癌を挙げることができ、本発明は、これら癌の治療剤又は予防剤として有用である。
Claims (5)
- 前記腫瘍がRET遺伝子と他の遺伝子との融合遺伝子及び/又はRETタンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質を有する腫瘍である、請求項1に記載の治療剤又は予防剤。
- 前記腫瘍が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、ホジキン リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、神経膠腫、甲状腺癌、骨髄異形成症候群、頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、中皮腫、膵臓癌、肝臓癌、胆嚢癌、皮膚癌、悪性黒色腫、腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、前立腺癌、および該腫瘍から転移した腫瘍からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の治療剤又は予防剤。
- 前記腫瘍が甲状腺癌、肺癌、又は中皮腫である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の治療剤又は予防剤。
- 前記化合物を除いたRET阻害薬が、バンデタニブ(Vandetanib)、レンバチニブ(Lenvatinib)、スニチニブ(Sunitinib)、ソラフェニブ(Sorafenib)である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の治療剤又は予防剤。
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CN113388680A (zh) * | 2020-03-14 | 2021-09-14 | 复旦大学附属妇产科医院 | 上皮性卵巢癌靶点ret及其在诊断和治疗中的作用 |
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2014
- 2014-10-31 JP JP2014222847A patent/JP2016088863A/ja active Pending
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CN113388680A (zh) * | 2020-03-14 | 2021-09-14 | 复旦大学附属妇产科医院 | 上皮性卵巢癌靶点ret及其在诊断和治疗中的作用 |
CN113388680B (zh) * | 2020-03-14 | 2023-07-04 | 复旦大学附属妇产科医院 | 上皮性卵巢癌靶点ret及其在诊断和治疗中的作用 |
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