JP2016081740A - 非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法 - Google Patents

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Haruki Okada
春樹 岡田
石垣 憲一
Kenichi Ishigaki
憲一 石垣
陽 百瀬
Hikaru Momose
陽 百瀬
綾子 下中
Ayako Shimonaka
綾子 下中
松本 晃和
Akikazu Matsumoto
晃和 松本
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Abstract

【課題】安定した結着性を維持できる非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法の提供。【解決手段】下記一般式(1)で表される構造単位(A)と、下記一般式(2)で表される構造単位(B)とを有する重合体を含有する非水二次電池電極用バインダ樹脂の水溶液を保管する方法であって、25℃で測定したときの前記水溶液のpHが10〜14となるようにpH調整して保管する、非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法。[化1]【選択図】なし

Description

本発明は、非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法に関する。
二次電池は、ノート型パソコンや携帯電話等の弱電の民生機器用途、ハイブリッド車や電気自動車等の蓄電池として使用されている。二次電池の中では、リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう。)が多用されている。
一般に、リチウムイオン二次電池用の電極としては、集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備えるものが用いられており、合剤層には活物質などがバインダ樹脂によって保持されている。かかる電極は、通常、以下のようにして製造される。
すなわち、バインダ樹脂、活物質、溶媒、および必要に応じて導電助剤等を混練して、非水二次電池電極用スラリー組成物(以下、「電極用スラリー」ともいう。)を調製する。この電極用スラリーを転写ロール等で集電体の片面又は両面に塗工し、溶媒を乾燥除去して合剤層を形成し、その後、必要に応じてロールプレス機等で圧縮成形して電極を得る。溶媒としては、活物質や導電助剤等を分散し、バインダ樹脂を溶解するものが用いられる。
従来、電極用のバインダ樹脂には、例えば正極用としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂が用いられている。しかし、電極を作製するに際しては、PVDF等のバインダ樹脂をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶媒に溶解して用いるため、乾燥持の溶剤回収コストがかかる、環境に対して負荷が高いなどの問題が顕在化している。
そのため最近では、有機溶媒を水へ置き換える流れがあり、水に溶解可能な負極用のバインダ樹脂として、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)などが用いられている。
しかし、CMCは天然物由来なため、供給ロット毎の品質が安定しにくく、その結果、得られる電極の品質も安定しにくい等の問題がある。
そのため、安定品質で供給可能な非天然物で水溶性のバインダ樹脂が望まれる。
加えて、バインダ樹脂には、電池に高い電池性能を付与できる性能を併せ持つことも要求される。
こうした問題に対し、バインダ樹脂としてN−ビニルアセトアミド単位を有する重合体が報告されている。
例えば特許文献1には、バインダ樹脂として、ポリN−ビニルアセトアミドと、エチレンオキサイド(EO)およびプロピレンオキサイド(PO)の重合体とを含む樹脂成分を含む電極が開示されている。特許文献1によれば、このバインダ樹脂を用いることで、結着性、低温から室温環境下での電池特性、リチウムイオンの伝導性に優れるとしている。
しかし、特許文献1に記載のバインダ樹脂は、EO鎖あるいはPO鎖が電解液組成に類似した分子構造のため、EOおよびPOの重合体が電解液へ溶出する場合があり、電池性能へ悪影響を及ぼすことが懸念されていた。
特許文献2には、アミド構造を有する繰り返し構造単位を含む重合体として、ポリN−ビニルアセトアミドを含む非水電池用正極ペーストが開示されている。特許文献2によれば、ポリN−ビニルアセトアミドは、ペースト安定性、結着性、電気化学的安定性など、二次電池(特に非水二次電池)における要求性能を改善できるとしている。加えて、電解液への溶出も起こりにくい。
しかし、特許文献2に記載のように、アミド構造を有する繰り返し構造単位のみで構成されたポリN−ビニルアセトアミドは、必ずしも結着性を十分に満足できるものではなかった。さらに、ポリN−ビニルアセトアミドを用いて電極用スラリーを調製した際に、電極用スラリー中で電極材料(活物質や導電助剤等)が十分に分散しないことがあった。電極材料が十分に分散していない電極用スラリーを用いて電極を作製した場合、電極表面(合剤層表面)で電極材料が凝集しやすく、電池性能の低下の原因となる。また、ポリN−ビニルアセトアミドをバインダ樹脂として用いた電極は、柔軟性に劣るものであった。
特許文献3には、バインダ樹脂としてアミド構造とアミン構造を構造単位として含む重合体が開示されている。特許文献3によれば、このバインダ樹脂を用いることで、結着性、分散性、および電極の柔軟性を改善できるとしている。
特開2002−117860号公報 特開2002−251999号公報 国際公開第2013/081152号
ところで、アミド構造を有する重合体は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの公知の方法で得られる。これらの方法で得られた重合体は、水に溶解または分散した状態のまま電極の製造に用いることができる。
しかしながら、特許文献3に記載のバインダ樹脂を水溶液の状態で保管した場合、保管後のバインダ樹脂の結着性にばらつきが生じることがあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、安定した結着性を維持できる非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、アミド構造とアミン構造を構造単位として含む重合体の水溶液を保管するに際して、特定のpHとなるように水溶液をpH調整することで、保管後もバインダ樹脂として優れた結着性を維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記一般式(1)で表される構造単位(A)と、下記一般式(2)で表される構造単位(B)とを有する重合体を含有する非水二次電池電極用バインダ樹脂の水溶液を保管する方法であって、25℃で測定したときの前記水溶液のpHが10〜14となるようにpH調整して保管する、非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法。
Figure 2016081740
式(1)中、R、Rは独立して、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。
Figure 2016081740
式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。
[2] 前記水溶液を0〜60℃で保管する、[1]に記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法。
本発明によれば、安定した結着性を維持できる非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「水溶性」とは、バインダ樹脂が水に溶解することを意味し、バインダ樹脂の全てが水に溶解することはもちろんのこと、一部が水に溶解する場合でも、水溶性とみなす。
また、本明細書において「水溶液」とは、バインダ樹脂が水に溶解している状態はもちろんのこと、バインダ樹脂が水に分散している場合も含む。
また、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称であり、「(メタ)アリル」は、アリルとメタリルの総称である。
[非水二次電池電極用バインダ樹脂]
本発明において保管の対象となる非水二次電池電極用バインダ樹脂(以下、単に「バインダ樹脂」ともいう。)は、後述する構造単位(A)と、構造単位(B)とを少なくとも有する重合体(以下、「重合体(I)」という。)を含有する。
<重合体(I)>
(構造単位(A))
構造単位(A)は下記一般式(1)で表される構造単位である。
Figure 2016081740
上記一般式(1)中、R、Rは独立して、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。
炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基 、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基などが挙げられる。炭化水素基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
得られる重合体(I)の水溶性を高める観点から、RおよびRが炭化水素基である場合は炭素数が少ない方が好ましく、RおよびRとしてはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。重合体(I)の水溶性がより高まる点で、RおよびRがそれぞれ水素原子であるものが特に好ましい。
重合体(I)を構成する全ての単位の合計を100mol%としたときに、構造単位(A)の含有率は20〜99.8mol%であることが好ましく、25〜99mol%であることがより好ましく、30〜99mol%であることがさらに好ましい。構造単位(A)の含有率が上記範囲内であれば、高い水溶性を示し、かつ電極に用いたときに電解液に対して膨潤しにくく、電池に良好なサイクル特性などの特性を付与できるバインダ樹脂が得られる。
構造単位(A)の由来源となる単量体(以下、「単量体(a)」という。)としては、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどが挙げられる。単量体(a)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(構造単位(B))
構造単位(B)は下記一般式(2)で表される構造単位である。
Figure 2016081740
上記一般式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。
炭化水素基としては、構造単位(A)の説明において先に例示した炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
得られる重合体(I)の水溶性を高める観点から、Rが炭化水素基である場合は炭素数が少ない方が好ましく、Rとしては水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。重合体(I)の水溶性がより高まる点で、Rが水素原子であるものが特に好ましい。
重合体(I)を構成する全ての単位の合計を100mol%としたときに、構造単位(B)の含有率は0.2〜80mol%であることが好ましく、1〜75mol%であることがより好ましく、1〜70mol%であることがさらに好ましい。構造単位(B)の含有率が0.2mol%以上であれば、結着性により優れたバインダ樹脂が得られる。よって、合剤層と集電体との密着性により優れた電極が得られる。一方、構造単位(B)の含有率が80mol%以下であれば、電池性能を良好に維持できる。
構造単位(B)の由来源となる単量体(以下、「単量体(b)」という。)としては、例えばビニルアミン、メチルビニルアミンなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。単量体(b)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、詳しくは後述するが、構造単位(B)は、単量体(a)を単独で重合した後、または単量体と下記の任意単量体とを重合した後に、得られた重合体を加水分解することでも形成できる。
(任意単位)
重合体(I)は、必要に応じて、構造単位(A)および構造単位(B)以外の単位(以下、「任意単位」という。)を含んでいてもよい。
任意単位の由来源となる単量体(以下、「任意単量体」という。)としては、少なくとも単量体(a)と共重合可能であれば特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸およびその塩類;メチルビニルケトン、イソプロピルメチルケトン等のビニルケトン類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリルエチル等のシアン化ビニル単量体;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体およびその塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル単量体およびその塩;リン酸基を含有ビニル単量体およびその塩;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
また、重合体(I)は、任意単位として下記一般式(3)で表される構造単位を含んでいてもよい。
Figure 2016081740
上記一般式(3)中、Rは−(RO)−で表される構造を含む一価の置換基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは二価の置換基である。
二価の置換基としては、直鎖状あるいは分岐状の二価の炭化水素基や、芳香環、脂環の任意の炭素原子から水素を2つ除いた二価の置換基などが挙げられ、それらは単一でも他の置換基と結合していてもよく、その骨格あるいは置換基にヘテロ原子を含んでもよい。具体的にはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の直鎖状あるいは分岐状の二価の炭化水素基や、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環等の芳香環、シクロヘキサン等の脂環の任意の炭素原子から水素を2つ除いた二価の置換基が挙げられる。
−(RO)−で表される構造としては炭素数2〜4のアルキレンオキサイド単位が好ましく、具体的にはエチレンオキサイド単位、プロピレンオキサイド単位が好ましいが、任意の炭化水素基を有するアルキレンオキサイド単位であれば特に限定されない。
上記一般式(3)で表される構造単位の由来源となる単量体としては、例えば下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016081740
上記一般式(4)中、Rは上記一般式(3)中のRと同じである。
は水素原子または一価の置換基である。一価の置換基としては、直鎖状あるいは分岐状の一価の炭化水素基や、芳香環、脂環の任意の炭素原子から水素を1つ除いた一価の置換基などが挙げられ、それらは単一でも他の置換基と結合していてもよく、その骨格あるいは置換基にヘテロ原子を含んでもよい。具体的には炭素数1〜20のアルキル基等の直鎖状あるいは分岐状の一価の炭化水素基や、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環等の芳香環、シクロヘキサン等の脂環の任意の炭素原子から水素を1つ除いた一価の置換基が挙げられる。
は−(RO)−で表される構造を含む二価の置換基である。具体的には、ポリアルキレングリコールの繰り返し単位、ポリエステルジオールの繰り返し単位、およびポリカーボネートジオールの繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む二価の置換基である。中でも、ポリアルキレングリコールの繰り返し単位を有するものが好ましい。
の形態としては、単独構造単位の繰返しでもよいし、2つ以上の構造単位の繰返しでもよい。また、Xの形態が2つ以上の構造単位の繰返しの場合、構造単位の並び方は特に限定されず、各構造単位がランダムに存在していてもよいし、各構造単位がブロックで存在していてもよいし、各構造単位が交互に存在していてもよい。
上記一般式(4)で表される化合物としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
がメチル基、Rが水素原子、Xがエチレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマーE(エチレングリコールの繰り返し単位が1)、ブレンマーPEシリーズ(例えば、エチレングリコールの繰り返し単位が約2〜8)。
がメチル基、Rが水素原子、Xがプロピレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマーP(繰り返し単位が1)、ブレンマーPPシリーズ(例えば、繰り返し単位が約4〜13)。
がメチル基、Rが水素原子、Xがエチレングリコールおよびプロピレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマー50PEP−300(エチレングリコールの繰り返し単位が約3.5、プロピレングリコールの繰り返し単位が約2.5)、ブレンマー70PEP−350B(エチレングリコールの繰り返し単位が約5、プロピレングリコールの繰り返し単位が約2)。
がメチル基、Rが水素原子、Xがエチレングリコールおよびブチレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマー55PET−800(エチレングリコールの繰り返し単位が約10、ブチレングリコールの繰り返し単位が約5)。
が水素原子、Rが水素原子、Xがエチレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマーAEシリーズ(例えば、エチレングリコールの繰り返し単位が約2〜10)。
が水素原子、Rが水素原子、Xがプロピレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマーAPシリーズ(例えば、プロピレングリコールの繰り返し単位が約3〜9)。
がメチル基、Rがメチル基、Xがエチレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマーPMEシリーズ(例えば、エチレングリコールの繰り返し単位が約2〜90)。
が水素原子、Rがメチル基、Xがエチレングリコールの繰り返し単位である、AM−130G(例えば、エチレングリコールの繰り返し単位が約13)。
がメチル基、RがCHCH(C)C、Xがエチレングリコールおよびプロピレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマー50POEP−800B(エチレングリコールの繰り返し単位が約8、プロピレングリコールの繰り返し単位が約6)。
がメチル基、Rがオクタデシル基、Xがエチレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマーPSE−1300(エチレングリコールの繰り返し単位が約30)。
がメチル基、Rがフェニル基、Xがエチレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマーPAEシリーズ(例えば、エチレングリコールの繰り返し単位が1あるいは2)。
が水素原子、Rがフェニル基の水素原子の1つをノニル基で置換したもの、Xがプロピレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマーANP−300(プロピレングリコールの繰り返し単位が約5)。
が水素原子、Rがフェニル基、Xがエチレングリコールの繰り返し単位である、ブレンマーAAEシリーズ(例えば、エチレングリコールの繰り返し単位が約1〜5.5)。
が水素原子、Rがリン酸基、Xがエチレングリコールの繰り返し単位である、メタクリロイルオキシエチルフォスフェート(エチレングリコールの繰り返し単位が1)。
これらの化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら任意単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合体(I)を構成する全ての単位の合計を100mol%としたときに、任意単位の含有率は0〜50mol%であることが好ましく、0〜30mol%であることがより好ましい。任意単位の含有率が上記範囲内であれば、電池性能を良好に維持できる。
(製造方法)
重合体(I)は、単量体(a)、単量体(b)、および必要に応じて任意単量体を重合することで得られる。
重合方法としては従来公知の重合方法を使用でき、使用する単量体の種類や生成する重合体の溶解性等に応じて、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等から選択される。例えば、各単量体が水に可溶であり、かつ生成する重合体の水への親和性が高い場合には、水溶液重合を選択できる。水溶液重合は、単量体および水溶性重合開始剤を水に溶解し、加熱して重合体を得るものである。
なお、各単量体の水への溶解度が小さいときは、懸濁重合、乳化重合等を選択できる。
水溶性重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の水溶性過酸化物;2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]等の水溶性アゾ化合物などが挙げられる。
重合を行うに際しては、分子量調節等の目的で、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えばメルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー、次亜燐酸塩などが挙げられる。
なお、重合体(I)は、単量体(a)を単独で、または必要に応じて任意単量体を共存させて重合した後に、得られた重合体(以下、「重合体(I’)」という。)を加水分解することによって構造単位(B)を生成させることで製造することもできる。この方法によれば、構造単位(B)の由来源となる単量体(b)を用いることなく重合体(I)を製造することができる。よって、単量体(b)の沸点が低かったり、取り扱い性が悪かったり、毒性が高かったりする場合に単量体(b)の使用を回避できるなど、優位である。
重合体(I’)を加水分解することで、構造単位(A)の一部が構造単位(B)となり、構造単位(A)と構造単位(B)とを少なくとも有する重合体(I)が得られる。
加水分解の方法としては、酸による加水分解、アルカリによる加水分解、熱を加えることによる加水分解が挙げられるが、これらの中でもアルカリによる加水分解が好ましい。
アルカリによる加水分解に用いるアルカリ(塩基)としては、周期律表の第1および第2主族の金属の金属水酸化物が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
また、アルカリとしては、アンモニアおよびアンモニアのアルキル誘導体、例えばアルキルアミン、アリルアミン等のアミン類も好適である。斯かるアミン類としては、例えばトリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アニリンなどが挙げられる。
これらの中でもアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムが好ましい。
重合体(I’)を加水分解して重合体(I)を製造する場合、重合体(I)中の構造単位(A)および構造単位(B)の含有率は、加水分解の進行度合いを制御することで調整できる。加水分解の進行度合いは、上述したアルカリの添加量により制御できる。
このようにして得られる重合体(I)のピークトップ分子量(Mp)は30万〜1000万であることが好ましく、30万〜500万であることがより好ましい。ピークトップ分子量が上記下限値以上であると電解液中におけるバインダ樹脂の溶出、膨潤に対する安定性がより高まり、上記上限値以下であると水溶性がより良好となる。
ここで、ピークトップ分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて分子量分布曲線を求め、得られた分子量分布曲線のピーク(頂点)の分子量のことである。ピークトップ分子量は、例えばテトラヒドロフランや水等の溶媒を溶離液とし、ポリスチレンや多糖類高分子(プルラン)を内部標準サンプルとして用いて換算分子量として求めることができる。
<他の成分>
バインダ樹脂は、重合体(I)のみからなるものでもよいが、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、重合体(I)以外の他の重合体を含んでいてもよい。
他の重合体としては、例えばポリアクリル酸およびその塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダ樹脂100質量%中の重合体(I)の含有量は50〜100質量%以上であることが好ましく、他の重合体の含有量は0〜50質量%であることが好ましい。
<形態>
バインダ樹脂の形態としては、水等の溶媒に溶解または分散したドープ状などが挙げられる。
[非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法]
バインダ樹脂に含まれる重合体(I)は、上述したように、単量体(a)、単量体(b)、および必要に応じて任意単量体を重合したり、重合体(I’)を加水分解したりすることで得られる。このような方法により得られる重合体(I)は、水に溶解または分散可能な状態(水溶液)である。各種重合反応により得られる反応液や、重合体(I’)の加水分解により得られる反応液は、そのまま非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液(以下、単に「バインダ樹脂水溶液」ともいう。)として電極の製造に用いることができる。よって、重合体(I)を含有するバインダ樹脂をバインダ樹脂水溶液から取り出すことなく保管できれば、電極の製造時に再度バインダ樹脂を水に溶解または分散させる必要がなく、手間を省ける。
なお、バインダ樹脂が重合体(I)以外の他の重合体を含有する場合は、前記反応液に他の重合体を添加した状態で保管してもよいし、反応液のみを保管しておき、保管された反応液を電極の製造に使用する前に他の重合体を反応液に添加してもよい。
バインダ樹脂水溶液を保管する際は、25℃で測定したならばバインダ樹脂水溶液のpHが10〜14となるようにpH調整して保管する。バインダ樹脂水溶液のpHが上記範囲内であれば、バインダ樹脂水溶液を保存した後に電極の製造に用いても、安定した結着性を維持できる。バインダ樹脂水溶液のpHが上記範囲外となると、保存後のバインダ樹脂の結着性が低下するなど、バインダ樹脂の性状や性能に悪影響を及ぼす。
取り扱い性を考慮すると、pHが10.5〜13となるようにpH調整することが好ましい。
pH調整には、酸やアルカリのpH調整剤を用いればよい。
酸としては、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸等の無機酸;スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基などを有する有機酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、プロピオン酸等)などが挙げられる。これらの中でも酸としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸が好ましい。
アルカリとしては、アルカリによる加水分解の説明において先時例示したアルカリ(塩基)などが挙げられる。これらの中でもアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムが好ましい。
なお、重合体(I’)をアルカリにより加水分解して重合体(I)を製造する場合、得られる反応液のpHはアルカリ性となる。加水分解の進行度合い考慮しつつ、反応液の25℃でのpHが10〜14となるように加水分解時のアルカリの添加量を調節すれば、バインダ樹脂水溶液の保管時に改めてpH調整する手間を省くことができる。
一方、重合体(I’)を酸により加水分解して重合体(I)を製造する場合、得られる反応液のpHは酸性となる。よって、このような場合は、反応液のpHが10〜14となるようにアルカリのpH調整剤を加えてpH調整して、バインダ樹脂水溶液を保管する。
バインダ樹脂水溶液の保管温度は0〜60℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。保管温度が上記範囲内であれば、バインダ樹脂水溶液を長期間保存しても、安定した結着性を維持できる。
<作用効果>
本発明において保管の対象となるバインダ樹脂は、アミド構造単位である構造単位(A)に加え、構造単位(B)を有する重合体(I)を含有する。該重合体(I)は水溶性である。しかも、構造単位(B)を有するので結着性に優れるため、該電極用スラリーを用いて製造した電極を備えた電池は電池性能に優れる。
本発明のバインダ樹脂水溶液の保管方法によれば、25℃で測定したときのpHが10〜14となるように水溶液のpHを調整するので、保管後もバインダ樹脂として優れた結着性を維持できる。かかる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
製造直後のバインダ樹脂を用いて作製した電極は、集電体に対する合剤層の結着性に優れるが、バインダ樹脂水溶液を中性または酸性下で保管すると、構造単位(A)と構造単位(B)との間での反応や、構造単位(B)の窒素上へのプロトン付加が起こる可能性がある。また、微小量でも分子間での架橋反応によるスラリー性状の変化や、密着性を高める構造単位(B)への阻害が起こりやすくなる。その結果、保管後のバインダ樹脂水溶液を用いて電極を作製すると、集電体に対する合剤層の結着性が低下する。
しかし、pHが10〜14となるようにpH調整してバインダ樹脂水溶液を保管すれば、上記反応が抑制され、構造単位(B)が保持される可能性が高い。よって、保管後のバインダ樹脂水溶液を用いて電極を作製しても、集電体に対する合剤層の結着性は低下しにくい。
本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液は、そのまま電極用スラリーに用いてもよいし、非水二次電池電極用バインダ樹脂組成物として用いてもよい。以下、非水二次電池電極用バインダ樹脂組成物の一例について説明する。
[非水二次電池電極用バインダ樹脂組成物]
非水二次電池電極用バインダ樹脂組成物(以下、単に「バインダ樹脂組成物」ともいう。)は、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液を含有する。
バインダ樹脂組成物中のバインダ樹脂水溶液の含有量は固形分換算で、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。上記下限値以上であれば、上述したバインダ樹脂の効果が顕著に発揮される。
バインダ樹脂組成物は、電池性能に影響が出ない量であれば、必要に応じて本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液以外のバインダ樹脂(他のバインダ樹脂)や、粘度調整剤、結着性向上剤、分散剤等の添加剤を含有してもよい。
他のバインダ樹脂としては、例えば酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アクリルゴム系ラテックスが挙げられる。
粘度調整剤は、バインダ樹脂の塗工性を向上させるものである。粘度調整剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系重合体およびこれらのアンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸またはアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸が挙げられる。
粘度調整剤等の添加剤は、最終的には電極に残留するので、なるべく加えないことが望ましいが、加える場合には電気化学的安定性を有する添加剤を用いることが好ましい。
バインダ樹脂組成物が粘度調整剤等の添加剤を含有する場合、その含有量は、バインダ樹脂組成物を100質量%としたときに、50質量%以下が好ましい。ただし、電池性能をより高める観点から、添加剤の含有量は少ないほど好ましい。
バインダ樹脂組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液と、必要に応じて粉末状の他のバインダ樹脂や添加剤とを混合したり、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液と、必要に応じて溶液状の他のバインダ樹脂や添加剤とを溶媒に分散したりすることで得られる。
以上説明したバインダ樹脂組成物は、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液を含有するので水溶性であり、結着性に優れ、かつ電極材料の分散性が良好な電極用スラリーが得られる。
[非水二次電池電極用スラリー組成物]
非水二次電池電極用スラリー組成物(以下、単に「電極用スラリー」ともいう。)は、上述した本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液または該バインダ樹脂水溶液を含有するバインダ樹脂組成物と、活物質と、溶媒とを含有するものである。
電極用スラリー中のバインダ樹脂水溶液の含有量は固形分換算で、電極用スラリーの総固形分(溶媒を除く全成分)中、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。0.01質量%以上であれば、電極用スラリーを用いて形成される合剤層と集電体との密着性(結着性)がより高まる。10質量%以下であれば、活物質や必要に応じて添加される導電助剤等を充分に含有できるため、電池性能が向上する。
電極用スラリーに用いる活物質は特に限定されず、当該電極用スラリーを用いて製造する電極がどのような非水二次電池用であるかに応じて公知のものが使用できる。
例えばリチウムイオン二次電池の場合、正極の活物質(正極活物質)としては、負極の活物質(負極活物質)より高電位であり、充放電時にリチウムイオンを吸脱できる物質が用いられる。
正極活物質の具体例としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる少なくとも1種類以上の金属と、リチウムとを含有するリチウム含有金属複合酸化物などが挙げられる。これら正極活物質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;前記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物等が挙げられる。これら負極活物質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
リチウムイオン二次電池においては、正極活物質としてリチウム含有金属複合酸化物を用い、負極活物質として黒鉛を用いることが好ましい。このような組み合わせとすることで、リチウムイオン二次電池の電圧を例えば4V以上に高められる。
電極用スラリー中の活物質の含有量は、特に限定されないが、電極用スラリーの総固形分(溶媒を除く全成分)中、80〜99.9質量%が好ましく、85〜99質量%がより好ましい。99.9質量%以下であれば、合剤層と集電体との密着性が良好であり、80質量%以上であれば合剤層としての機能が充分に発揮される。
電極用スラリーは、導電助剤を含有してもよい。特に、電極用スラリーを用いて正極電極を作製する場合、電極用スラリーは導電助剤を含有することが好ましい。導電助剤を含有することで、活物質同士や活物質と金属微粒子との電気的接触を向上させることができ、非水二次電池の放電レート特性等の電池性能をより高めることができる。
導電助剤としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。これらの導電助剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
電極用スラリー中の導電助剤の含有量は、特に限定されないが、電極用スラリーの総固形分(溶媒を除く全成分)中、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。0.01質量%以上であれば、電池性能がより高められる。10質量%以下であれば、合剤層と集電体との密着性が良好である。
電極用スラリーに含まれる溶媒としては、水、水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。
有機溶媒としては、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液または該バインダ樹脂水溶液を含有するバインダ樹脂組成物を均一に溶解または分散できる溶媒であれば特に制限されないが、例えばNMP、NMPとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)の混合溶液、NMPとグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶液などが挙げられる。これら有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ただし、有機溶媒は環境への負荷が高いことから、溶媒としては水を単独で用いることが好ましい。
本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液に含まれるバインダ樹脂は水溶性であるため、バインダ樹脂水溶液や該バインダ樹脂水溶液を含有するバインダ樹脂組成物は水に容易に溶解または分散できる。
電極用スラリー100質量%中の溶媒の含有量は、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液または該バインダ樹脂水溶液を含有するバインダ樹脂組成物が常温で溶解または分散した状態を保てる必要最低限の量であればよい。ただし、後述するスラリー調製工程では、通常、溶媒を加えながら電極用スラリーの粘度調節を行なうため、必要以上に希釈し過ぎない任意の量とすることが好ましい。具体的には、10〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。なお、この溶媒の含有量には、バインダ樹脂水溶液中の水の量も含まれる。
電極用スラリー組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、増粘剤等の任意成分を含有してもよい。
電極用スラリーは、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液または該バインダ樹脂水溶液を含有するバインダ樹脂組成物と、活物質と、溶媒と、必要に応じて導電助剤や任意成分とを混練することにより製造できる。混練は公知の方法により実施できる。
以上説明した電極用スラリーは、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液または該バインダ樹脂水溶液を含有するバインダ樹脂組成物を含むので、集電体との結着性に優れた合剤層を形成できる。
[非水二次電池用電極]
非水二次電池用電極(以下、単に「電極」ともいう。)は、集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備え、前記合剤層が、上述した電極用スラリーを集電体に塗工し、乾燥させて得られるものである。すなわち、合剤層は、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液に含まれるバインダ樹脂と、活物質とを含有するものである。
集電体は、導電性を有する物質であればよく、材料としては金属を使用できる。具体的には、アルミニウム、銅、ニッケルなどが使用できる。
集電体の形状としては、目的とする電池の形態に応じて決定でき、例えば薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。これらの中でも、薄膜状が好ましい。
集電体の厚みは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
電極は公知の方法を用いて製造することができ、例えば、上述した電極用スラリーを調製し(スラリー調製工程)、該電極用スラリーを集電体に塗工し(塗工工程)、次いで乾燥させて溶媒を除去し(乾燥工程)、必要に応じて圧延して(圧延工程)、集電体表面に合剤層を形成することにより製造することができる。
なお、得られた電極を任意の寸法に切断してもよい。
スラリー調製工程では、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液または該バインダ樹脂水溶液を含有するバインダ樹脂組成物と、活物質と、必要に応じて導電助剤などの添加剤とを溶媒に分散させ、電極用スラリーを調製する。
塗工工程では、電極用スラリーを集電体に塗工する。塗工方法としては、集電体に電極用スラリーを任意の厚みで塗工できる方法であれば特に制限されず、例えばドクターブレードやコンマコーター等を用いて行なうことができる。塗工量は、形成しようとする合剤層の厚みに応じて適宜設定できる。
乾燥工程では、溶媒を除去する。乾燥方法としては、溶媒を除去できればよく、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線等の照射による乾燥法などが挙げられる。
圧延工程では、形成された合剤層を圧延する。圧延方法としては、合剤層を任意の厚みに圧延できればよく、例えば金型プレスやロールプレス等の方法が挙げられる。
合剤層の厚みは、20〜200μmが好ましく、30〜120μmがより好ましい。
なお、正極用の電極(正極電極)は負極用の電極(負極電極)と比べ活物質の容量が小さいため、正極電極の合剤層は、負極電極の合剤層より厚くされることが好ましい。
以上説明した電極は、本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液に含まれるバインダ樹脂を含有する合剤層が集電体上に形成されているので、合剤層の集電体に対する結着性が高い。
上述した電極は、非水二次電池の正極電極、負極電極のいずれにも使用でき、特にリチウムイオン二次電池用の電極として好適である。
[非水二次電池]
非水二次電池は、上述した電極を備えるものである。
「非水二次電池」は、電解液として水を含まない非水系電解液を用いたものであり、例えばリチウムイオン二次電池等が挙げられる。非水二次電池は、通常、電極(正極電極および負極電極)と、非水系電解液と、セパレータとを備える。非水二次電池としては、正極電極と負極電極とを透過性のセパレータ(例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン製の多孔性フィルム)を間に介して配置し、これに非水系電解液を含浸させた非水二次電池;集電体の両面に合剤層が形成された負極電極/セパレータ/集電体の両面に合剤層が形成された正極電極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に捲回した捲回体が、非水系電解液と共に電池缶(有底の金属ケーシング)に収容された筒状の非水二次電池などが挙げられる。
非水系電解液は、有機溶媒に電解質を溶解した溶液である。
有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類などが挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
電解質としては、例えばLiClO、LiBF、LiI、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON、Li[(COBなどが挙げられる。
非水系電解液としては、カーボネート類にLiPFを溶解した溶液が好ましく、該溶液はリチウムイオン二次電池の電解液として特に好適である。
非水二次電池は、正極電極および負極電極のいずれか一方または両方に、上述した電極が用いられる。
正極電極および負極電極のいずれか一方が上述した電極である場合、他方の電極としては、公知のものが利用できる。
セパレータとしては、公知のものを使用することができる。例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して使用することができる。この他、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用できるが、これらに限定されることはない。
非水二次電池は、公知の方法を用いて製造することがでる。以下にリチウムイオン二次電池の製造方法の一例を説明する。
まず、正極電極と負極電極とをセパレータを介してスパイラル状に捲回して捲回体とする。得られた捲回体を電池缶に挿入し、予め負極電極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。
次いで、電池缶に非水系電解液を注入し、さらに予め正極電極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉して、リチウムイオン二次電池とする。
非水二次電池の形状は、コイン型、円筒型、角形、扁平型など何れであってもよい。
以上説明した非水二次電池は、上述した電極を備えているので、電池性能に優れる。電池性能に優れるのは、電極材料の分散性が良好であり、かつ合剤層が本発明により保管されたバインダ樹脂水溶液に含まれるバインダ樹脂を含有するため、合剤層の集電体に対する結着性が高く、加えてバインダ樹脂が電解液に溶出しにくいので、高い電池性能を維持できるためである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
<バインダ樹脂の製造・保管>
温度計を取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水100質量部を入れ、室温にて1時間窒素曝気を行った。続いて70℃に昇温後、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](和光純薬工業株式会社製、「VA−057」)1500ppm(対単量体)を5質量%水溶液として添加した。さらに単量体(a)としてN−ビニルホルムアミド10.0質量部を20分間窒素爆気した後に1時間かけて滴下した。2時間経過した後に2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]1500ppm(対単量体)を5質量%水溶液として添加し、さらに2時間経過した後に2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]1500ppm(対単量体)を5質量%水溶液として添加し、さらに2時間加熱撹拌した。
次いで、水を添加して反応液を4質量%水溶液とした状態で内温を75℃まで昇温して、水酸化リチウム一水和物1.2質量部を10質量%水溶液として添加し、5時間加熱して加水分解反応を行った。加水分解反応後の反応液を冷却し、重合体を含む水溶液(固形分濃度4質量%)を得た。これをバインダ樹脂水溶液1とした。
得られたバインダ樹脂水溶液1について、以下の方法によりpH、重合体中の構造単位の含有率、および分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られたバインダ樹脂水溶液1を25℃で1週間保管した。
(pHの測定)
pH計(株式会社堀場製作所製、「F−52」)を用い、25℃の条件にてバインダ樹脂水溶液のpHを測定した。
(構造単位の含有率の測定)
まず、加水分解前の重合体中の構造単位(A)の含有率を単量体(a)の配合量から求めた。
次に、加水分解前の重合体中の構造単位(A)の含有率から、加水分解後の重合体中の構造単位(A)および構造単位(B)の含有率を、以下に示すコロイド滴定法により測定した。
バインダ樹脂水溶液を精秤し、メスフラスコに採取し、これに脱塩水を加えた。このメスフラスコから水溶液をホールピペットで採取したものに脱塩水を加えた後、pH計で確認しながら1N−塩酸溶液によりpHが2.5となるように調整し、これを試験液とした。
得られた試験液にトルイジンブルーを加え、N/400−ポリビニル硫酸カリウム溶液(和光純薬工業株式会社製、「PVSK」)で滴定した。試験液が青色から紫色に変色した点を終点とした。滴定結果から、構造単位(A)および構造単位(B)の含有率の含有率を求めた。
(分子量の測定)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、プルランを内部標準サンプルとして使用して、バインダ樹脂水溶液中の重合体のピークトップ分子量(Mp)を測定した。カラムはShodexSB−807HQ(昭和電工株式会社製)を2本直列になるように接続して使用した。キャリアは10mMリン酸緩衝液(pH6.8)に100mMとなるように塩化ナトリウムを添加し、流速0.5mL/Minで使用した。検出器は示差屈折率検出器を使用した。
<電極用スラリーの調製>
保管後のバインダ樹脂水溶液1を2.5gと天然黒鉛系負極活物質(三菱化学株式会社製、「MPGC16」)5gを、自公転ミキサー(Thinky社製、「泡とり練太郎」)を用い、自転1000rpm、公転2000rpmの条件にて混練した。その後、塗工可能な粘度まで水で調整することにより、電極用スラリーを得た。
<負極電極の作製>
得られた電極用スラリーを集電体(銅箔、厚み20μm)上にドクターブレード法により均一に塗工し、室温にて1時間乾燥した。さらに真空乾燥機にて0.6kPa、60℃で12時間減圧乾燥し、合剤層(負極層)が集電体(銅箔)上に形成された負極電極を得た。
得られた負極電極について、以下の方法により結着性の評価を行った。結果を表1に示す。
(結着性の評価)
負極電極を幅30mm角になるように切り出し、試験片とした。試験片について、幅1mmのボラゾン切刃(すくい角20°、にげ角10°、刃角60°)を用い、初期押圧荷重0.5N、バランス荷重0.3→0.2N、水平速度1μm/sec、垂直速度0.2μm/sec、初期接触荷重0.08〜1Nの条件で、ボラゾン切刃が合剤層と銅箔との界面を移動する際の最大応力値を3点記録した。この最大応力値の平均値を合剤層と集電体の剥離強度とした。この値が大きいほど、合剤層が集電体に強固に結着していることを示す。
「実施例2」
<バインダ樹脂の製造・保管>
脱イオン水23質量部に対し、単量体(a)としてN−ビニルホルムアミド10質量部を混合し、リン酸によりpH=6.3となるよう調節して単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行った。その後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製、V−50)1500質量ppm(対単量体)を10質量%水溶液として添加した。次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド200質量ppm(対単量体)を10質量%水溶液として添加し、さらに亜硫酸水素ナトリウム200質量ppm(対単量体)を10質量%水溶液として添加して重合した。内温が重合発熱のピーク温度を超えた後、さらに1時間熟成し、ゲルを取り出した。
取り出したゲルに、水を添加して反応液を4質量%水溶液とした状態で内温を75℃まで昇温して、水酸化リチウム一水和物0.6質量部を10質量%水溶液として添加し、5時間加熱して加水分解反応を行った。加水分解反応後の反応液を冷却し、重合体を含む水溶液を得た(固形分濃度4質量%)。これをバインダ樹脂水溶液2とした。
得られたバインダ樹脂水溶液2について、実施例1と同様にしてpH、重合体中の構造単位の含有率、および分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られたバインダ樹脂水溶液2を25℃で1週間保管した。
<電極用スラリーの調製、および負極電極の作製>
保管後のバインダ樹脂水溶液2を用いた以外は、実施例1と同様にして電極用スラリーを調製し、負極電極を作製し、結着性を評価した。結果を表1に示す。
「実施例3」
<バインダ樹脂の製造・保管>
単量体調節液を断熱反応容器に入れた後で、次亜燐酸ナトリウム一水和物を50質量ppm(対単量体)添加した以外は、実施例2と同様の操作を行い、重合体を含む水溶液を得た。これをバインダ樹脂水溶液3とした。
得られたバインダ樹脂水溶液3について、実施例1と同様にしてpH、重合体中の構造単位の含有率、および分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られたバインダ樹脂水溶液3を25℃で1週間保管した。
<電極用スラリーの調製、および負極電極の作製>
保管後のバインダ樹脂水溶液3を用いた以外は、実施例1と同様にして電極用スラリーを調製し、負極電極を作製し、結着性を評価した。結果を表1に示す。
「実施例4」
<バインダ樹脂の製造・保管>
単量体調節液を断熱反応容器に入れた後で、次亜燐酸ナトリウム一水和物を250質量ppm(対単量体)添加した以外は、実施例2と同様の操作を行い、重合体を含む水溶液を得た。これをバインダ樹脂水溶液4とした。
得られたバインダ樹脂水溶液4について、実施例1と同様にしてpH、重合体中の構造単位の含有率、および分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られたバインダ樹脂水溶液4を25℃で1週間保管した。
<電極用スラリーの調製、および負極電極の作製>
保管後のバインダ樹脂水溶液4を用いた以外は、実施例1と同様にして電極用スラリーを調製し、負極電極を作製し、結着性を評価した。結果を表1に示す。
「比較例1」
<バインダ樹脂の製造・保管>
実施例1で得られたバインダ樹脂水溶液1に、希塩酸(2N)を添加してpH7.5としたものをバインダ樹脂水溶液5とした。なお、pH測定は、実施例1と同様にして行った。
また、得られたバインダ樹脂水溶液5を70℃で5時間保管した。
<電極用スラリーの調製、および負極電極の作製>
各条件で保管した後のバインダ樹脂水溶液5を用いた以外は、実施例1と同様にして電極用スラリーを調製し、負極電極を作製し、結着性を評価した。結果を表1に示す。
「比較例2」
<バインダ樹脂の製造・保管>
実施例2で得られたバインダ樹脂水溶液2に、希塩酸(2N)を添加してpH6.0としたものをバインダ樹脂水溶液6とした。なお、pH測定は、実施例1と同様にして行った。
また、得られたバインダ樹脂水溶液6を70℃で5時間保管した。
<電極用スラリーの調製、および負極電極の作製>
各条件で保管した後のバインダ樹脂水溶液6を用いた以外は、実施例1と同様にして電極用スラリーを調製し、負極電極を作製し、結着性を評価した。結果を表1に示す。
「比較例3」
<バインダ樹脂の製造・保管>
実施例3で得られたバインダ樹脂水溶液3に、希塩酸(2N)を添加してpH6.0としたものをバインダ樹脂水溶液7とした。なお、pH測定は、実施例1と同様にして行った。
また、得られたバインダ樹脂水溶液7を70℃で5時間保管した。
<電極用スラリーの調製、および負極電極の作製>
各条件で保管した後のバインダ樹脂水溶液7を用いた以外は、実施例1と同様にして電極用スラリーを調製し、負極電極を作製し、結着性を評価した。結果を表1に示す。
「比較例4」
<バインダ樹脂の製造・保管>
実施例4で得られたバインダ樹脂水溶液4に、希塩酸(2N)を添加してpH6.0としたものをバインダ樹脂水溶液8とした。なお、pH測定は、実施例1と同様にして行った。
また、得られたバインダ樹脂水溶液8を70℃で5時間保管した。
<電極用スラリーの調製、および負極電極の作製>
各条件で保管した後のバインダ樹脂水溶液8を用いた以外は、実施例1と同様にして電極用スラリーを調製し、負極電極を作製し、結着性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2016081740
表1の結果に示す通り、pH10〜14の状態で保管したバインダ樹脂水溶液を用いて作製した各実施例の負極電極は、剥離強度が高かった。すなわち、本発明の保管方法により保管したバインダ樹脂水溶液は、結着性に優れることが示された。
一方、pH7.5以下の状態で保管したバインダ樹脂水溶液を用いて作製した各比較例の負極電極は、剥離強度が低かった。
これらの結果より、安定した結着性を維持するためには、pH10〜14でバインダ樹脂水溶液を保管することが重要であることが分かった。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位(A)と、下記一般式(2)で表される構造単位(B)とを有する重合体を含有する非水二次電池電極用バインダ樹脂の水溶液を保管する方法であって、
    25℃で測定したときの前記水溶液のpHが10〜14となるようにpH調整して保管する、非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法。
    Figure 2016081740
    式(1)中、R、Rは独立して、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。
    Figure 2016081740
    式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。
  2. 前記水溶液を0〜60℃で保管する、請求項1に記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂水溶液の保管方法。
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