JP2016080848A - 表示体及び表示体付き物品 - Google Patents

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一成 三井
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Abstract

【課題】それを観察した際に、観察方向によって色が変化する画像表示体の提供を目的とした。
【解決手段】光透過層11の一方の主面上に、光透過層11に平行な平行部と光透過層11と90°以下の角度をなす斜面部とからなる複数の凹凸構造領域12が形成され、その上面に反射層13と接着層15がこの順に積層された表示体であって、凹凸構造領域12のピッチが人間の目の分解能以下で、回折光が認知できないことを特徴とする表示体であって、前記光透過層の垂直方向から見た凹凸構造12の平行部と斜面部の面積比率が、凹凸構造領域12ごとに異なることを特徴とする表示体である
【選択図】 図2

Description

本発明は、偽造防止等に用いる、観察条件によって見え方が変化する画像表示体に関する。
商品券や小切手等の有価証券類、クレジットカードやキャッシュカード、IDカード等のカード類、パスポートや免許証等の証明書類の偽造防止を目的として、通常の印刷物とは異なる視覚効果をもつ表示体を転写箔やステッカー等の形態にして、前記証券類やカードなどの証明書類の表面に貼付、圧着することが行われている。また、有価証券類や証明書類以外の物品においても偽造品の流通が社会問題化しており、そのような物品についても同様の偽造防止技術を適用する機会が多くなってきている。
偽造防止技術としては、マイクロ文字、特殊発光インキ、すかし、回折格子、ホログラムなどがある。この偽造防止技術は大きく二つに分けることができる。一つは、簡易な機器や測定装置などの検証機を使用して真偽を判別する偽造対策で、もう一つは、肉眼で容易に真偽判定が可能な偽造対策である。
偽造防止技術として、電子線描画装置(EB装置)で様々な微細構造を作製し、目視で類似技術と差別化できるセキュリティデバイスの開発が行われている。もっとも一般的なセキュリティデバイスとして、表面レリーフタイプの回折格子(例えば特許文献1)がある。回折格子は、一般の印刷物に比べて構造が複雑で、高い微細加工技術がないと作製が困難であった。
特許2003−295744号公報
しかしながら、最近は回折格子と類似の光学効果を呈するものが流通してきており、回折格子の偽造防止効果が薄れてきている。そこで、回折格子に代わる新しい光学特性を有する偽造防止性の優れたセキュリティデバイスの提供が望まれている。
そこで、本発明は、それを観察した際に、観察方向によって色が変化する画像表示体の提供を目的とした。
上記課題を達成するための請求項1に記載の発明は、光透過層の一方の主面上に、光透過層に平行な平行部と光透過層と90°以下の角度をなす斜面部とからなる複数の凹凸構造領域が形成され、その上面に反射層と接着層がこの順に積層された表示体であって、凹凸構造領域のピッチが人間の目の分解能以下で、回折光が認知できないことを特徴とする表示体としたものである。
また、請求項2に記載の発明は、光透過層の一方の主面上に、光透過層に平行な平行部と光透過層と90°以下の角度をなす斜面部と光透過層と直交する斜面部とからなる複数の凹凸構造領域が形成され、その上面に反射層と接着層がこの順に積層された表示体であって、凹凸構造領域のピッチが人間の目の分解能以下で、回折光が認知できないことを特徴とする表示体としたものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記光透過層の垂直方向から見た凹凸構造の平行部と斜面部の面積比率が、凹凸構造領域ごとに異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示体としたものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記面積比率は、予め用意した画像の濃淡に対応して設定することを特徴とする請求項3に記載の表示体としたものである。
また、請求項5に記載の発明は、前記凹凸構造の凸部又は凹部が光透過層と平行な面と4つの面で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示体としたものである。
また、請求項6に記載の発明は、前記反射層の膜厚が凹凸構造領域ごとに異なることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示体としたものである。
また、請求項7に記載の発明は、前記凹凸構造領域ごとに反射層の屈折率が異なることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示体としたものである。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示体が貼付されていることを特徴とする表示体付き物品としたものである。
請求項1に記載の発明によれば、
この表示体の凹凸構造は、光透過層と平行な平行部と光透過層と角度を有する斜面部で構成されている。よって、光透過層に対して垂線方向から光を入射させ同じ方向から観察すると、平行部と斜面部への光の入射角が異なるため、薄膜干渉により平行部と斜面部では異なる色が表示される。また、斜面部の角度を変化させることで斜面部に異なる色を表示させることができる。さらに、凹凸構造の中心間距離が人間の目の分解能以下であるため、平行部と斜面部で表示される色は、並置加法混色により混色が知覚される。また、斜面部に光透過層に対して垂線方向から光を入射させ斜面部方向から表示体を観察した場合には、斜面部からの干渉光のみ観察されるため色が変化する。
請求項2の発明によれば、
この表示体の凹凸構造は、光透過層と平行な平行部と光透過層と角度を有する斜面部及び光透過層と垂線方向の垂線部で構成されている。よって、斜面部に光透過層に対して垂線方向から光を入射させ、表示体を回転させた場合に、垂線部では反射光が確認できないのに対して、斜面部では反射光を確認できる。よって、異なる色を表現することができる。つまり、表示体を回転することで画像の切り替えを行うことが可能となる。
請求項3の発明によれば、
凹凸構造領域毎に凹凸構造の平行部、斜面部を光透過層の垂線方向から観察した際に面積比率が異なる。この面積比率によって色を制御することが可能である。
請求項4の発明によれば、
面積比率を予め用意した画像の濃淡に対応させて作成することで、デザイン性を向上することが可能である。
請求項5の発明によれば、
前記凹凸構造の凸部又は凹部が光透過層と平行な面と4つの面で構成されている。これにより、斜面部又は垂線部の数が限定されるため、表示体を回転させたときの画像切り替わ
りの判断を容易にすることが可能となる。
請求項6の発明によれば、
凹凸構造に設けられている反射層の膜厚が、凹凸構造領域毎に異なっている。これにより、干渉色が異なる。よって、表現できる干渉色を増やすことができる。
請求項7の発明によれば、
凹凸構造に設けられている反射層の屈折率が、凹凸構造領域毎に異なっている。これにより、干渉色が異なる。よって、表現できる干渉色を増やすことができる。
請求項8の発明によれば、
表示体を基材に接着層を介して貼付することにより、容易にセキュリティ性を向上させた物品の提供が可能である。
本発明になる表示体の概略構造を説明する上面視の図。 図1に示す表示体のI−Iの断面の構造を模式的に示す断面視の図である。 図2に示す表示体の凹凸構造領域Aの構造を模式的に示す拡大した断面視の図である。 図2に示す表示体の凹凸構造領域Bの構造を模式的に示す拡大した断面視の図である。 図1に示す表示体の凹凸構造領域に採用可能な構造の一例を拡大して示した斜視図である。 図1に示す表示体の凹凸構造領域に採用可能な構造の一例を拡大して示した斜視図である。 一般的な回折格子の凹凸構造をを示した斜視図である。 光透過層の垂線方向から凹凸構造に光を入射させた場合の反射光を示す。 凹凸構造の斜面部に光透過層の垂線方向から光を入射させた場合の反射光を示す。 図7の回折格子が回折光を射出する様子を概略的に示した断面視の図である。 薄膜干渉を示した断面図である。 凹凸構造の上面部面積を増加させた様子を模式的に示す上面視の図である。 凹凸構造の上面部面積を減少させた様子を模式的に示す上面視の図である。 表示体に照明光を入射させ観察した様子を示した斜視図である。 図14の表示体を90度回転させて表示体に照明光を入射させ観察した様子を示した斜視図である。 偽造防止用ストライプ転写箔を物品に支持させてなるカードの一例を概略的に示す上面視の図である。 図16の表示体40のII−II線に沿った断面図である。
(実施の形態)
以下、本発明の表示体について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の表示体の1実施例を示す上面視の平面図である。図2は、図1のI−I線に沿った断面図である。表示体10は、少なくとも光透過層11及び反射層13、接着層15を含んでいる。図2に示す例では、光透過層11側を前面側(観察者側)とし、接着層15側を背面側としている。
光透過層11と反射層13との界面は、複数の凹凸構造が設けられた第1凹凸構造領域12a,第2凹凸構造領域12b,第3凹凸構造領域12cと平坦領域12eとを備えてい
る。また、接着層15は、反射層13上に形成されている。
光透過層11は、表面の汚れや傷などから凹凸構造を保護し、これにより、表示体10の視覚効果を長期にわたって保つ効果を果たす。さらに、光透過層11は、凹凸構造を露出させないことにより、複製を困難にしている。
この光透過層11の構成材料としては、例えば、光透過性を有する樹脂を使用することができる。光透過性を有する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルスチレン共重合体、塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチルなどの熱可塑性樹脂やポリイミド、ポリアミド、ポリエステルウレタン、アクリルウレタン、エポキシウレタン、シリコーン、エポキシ、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂、及び紫外線又は電子線硬化性の、各種アクリルモノマー、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのオリゴマー、アクリル基やメタクリル基などを有するアクリルやエポキシ及びセルロース系樹脂などの反応性ポリマーが使用可能である。
光透過層11には、表面強度や凹凸構造の形成し易さなどを考慮して、2層以上の構成を採用しても良い。また、反射層13の構成材料として金属を使用した場合、それに由来する金属光沢色を異なる色に変えるために、この光透過層11に染料や顔料などを混ぜ、この染料や顔料に特定の波長の光を吸収させるようにすることも可能である。
反射層13は、凹凸構造が設けられた界面の反射率を高める役割を果たす。この反射層13の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銀、錫、クロム、ニッケル、銅、金及びそれらの合金などの金属材料を使用することができる。また、反射層13は、誘電体材料などの、光透過層11の構成材料とは屈折率が異なる材料からなるものであっても良い。反射層13は、単層に限られず、多層であってもよい。そして、この反射層13は金属及び酸化チタンや硫化亜鉛のような酸化物などを用い、真空製膜法を利用して形成することができる。真空製膜法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが適用できる。
反射層の膜厚としては、200nm以下とする。表示体10の反射層にはZnS(酸化亜鉛)が使用され、50nmの膜厚が設けられている。凹凸構造領域毎に異なる膜厚を成形する方法としては、凹凸構造にマスクを作製して蒸着することで行う。マスク位置を変化させて蒸着を繰り返すことで異なる膜厚を作製する事ができる。また、凹凸構造領域毎に屈折率が異なる反射層を成形する方法は、上記と同じである。
接着層15は、表示体10を偽造防止対策したい物品に取り付けるために設けられている。この接着層15は、表示体10と偽造対策を施したい物品との間の接着強度や物品の接着面の平滑性などを考慮して、2層以上の構成であってもよい。なお、図2は、光透過層11側から表示体10を観察する構成のものを描いているが、接着層15を図2の反対側に設けることにより反射層13側から表示体10を観察する構成を採用することもできる。
次に、光透過層11と反射層13との界面部に設けられている凹凸構造について説明する。界面部における第1凹凸構造領域12aと第2凹凸構造領域12bと第3凹凸構造領域12cは、構造の異なる凹凸構造を有している。具体的には、第1凹凸構造領域12aは1次元回折格子構造となっており、第2凹凸構造領域12bは回折光が認知できない1次元凹凸構造となっている。また、第3凹凸構造領域12cは、回折光が認知できない2次元凹凸構造となっている。それ以外の界面部は平坦な平坦領域12eを呈している。
図3は、図2の第2凹凸構造領域12bの領域Aの拡大図である。図3に示すように第2凹凸構造領域12bは、Y方向に凸部が延在する格子構造で、X方向に周期的に規則正しく配列してある。また図3では省略しているが凹凸構造には、反射層がほぼ均一な厚みで積層されている。また凹凸構造は、光透過層と平行な上面部14aと下面部14b及び、斜面部14cで構成されている。斜面部14cは、光透過層に対して45度±1度の傾斜角を持っている。
上記説明では傾斜角を概ね45度としているが、傾斜角の有効範囲は1〜90度である。それぞれの傾斜角で観察者側の光透過層に垂直な入射光に対する反射光の挙動が異なる。例として凹凸構造の高さが4μmで凹部の平坦部14bの距離が斜面部14cをX成分とZ成分に分解した場合のX成分と同等の距離とし、入射光が斜面中央に入射した場合の光の挙動を説明する。傾斜角が1〜40度の場合には、入射光は斜面で1度だけ反射し射出していく。傾斜角が41〜52度の場合には、斜面で2回反射して射出していく。傾斜角が45度のときは、再起反射の光挙動を示す。また、傾斜角が53〜89度の場合には、2回以上凹凸構造部内で反射して射出していく。傾斜角が90度の場合には、反射は起こらない。傾斜角とは、光透過層と斜面のなす角度をいう。
図4は、図2の第3凹凸構造領域12cの領域Bの拡大図である。図4に示すように第3凹凸構造領域12cには、複数の凸部が規則的に配列されている。図4に示す凹凸構造は、上面部15aと下面部15b及び、斜面部15cで構成されている。斜面部15cは、光透過層に対して概ね30度の傾斜を持っている。図4は凸部が規則的に配列されているが、図5のように凸部がランダムに配列されていてもよい。また、図6のように凹凸構造を構成する斜面部の一部が光透過層11に対して垂線方向になる垂線部16dで構成されていても良い。図3〜図6では、凸部と凸部の間に凹部平坦部14bがあるが凹部のみを残して凹部平坦部14bを設けなくても良い。図4〜図6では、省略しているが凹凸構造には、反射層がほぼ均一な厚みで積層されている。
次に、凹凸構造について詳細に説明する。
第1凹凸構造領域12aには、図7に示すように、複数の溝14aを配置してなる回折格子が設けられている。この溝14aの中心間距離(以下、ピッチとも記す。)は、例えば、500nm〜2000nmの範囲内にある。また、溝14aの深さは、例えば100nmm〜1000nmの範囲内にあり、典型的には100nm〜300nmの範囲内にある。
なお、用語「回折格子」は、自然光などの照明光を照射することにより回折波を生じる構造を意味し、複数の溝14aを平行且つ等間隔に配置する通常の回折格子に加え、ホログラムに記録された干渉縞も包含することとする。また、溝14a又は溝14aに挟まれた部分を「格子線」と呼ぶこととする。
第2凹凸構造領域12bには、図3に示すように、複数の凸部14が設けられている。これら凸部14は、前述した溝14aの中心間距離(ピッチ)と比較してより大きい中心間距離で配置されている。第2凹凸構造の凸部のピッチは、5μm〜145μmの範囲内にある。また凸部の高さは、0.1μm〜5μmである。ピッチが5μm〜145μmである理由は、観察者から500mm離してある位置の表示体を観察すると、一般的に、視力が1.0の人間の眼の分解能は1分であるため、眼の分解能の限界により、145μm以下の構造を視認できない。よって、ピッチを145μm以下とすると隣接配置した線同士を分離して視認することはできない。ゆえに、ピッチを145μm以下とすることによって、高品位な画像を表示する表示体を提供することが可能となる。また、5μm以下になると回折角が大きくなり各波長を識別できてしまうため、5μm以上とする。凸部の高さが0.1μm以下になると反射層に構造が埋まり所望の効果が得られない。また、高さが5μm以上になるとアスペクト比が1以上となり、成形が困難になる。よって高さを5μm以下とした。
第3凹凸構造領域12cは、前述したような凹凸構造が配列されている。凹凸構造の中心間距離や深さなどは前記数値と同じ範囲であるので省略する。第2凹凸構造領域12bと第3凹凸構造領域12cの違いは、凹凸構造が1次元配列か2次元配列かということである。
次に凹凸構造に光が入射した場合の光の挙動について示す。
図8は第2凹凸構造領域12bに、光透過層の垂線方向から光を入射させた場合の光の挙動を示している。上面部14a又は下面部14bでは、入射光が反射の法則にしたがって反射する。斜面部14cは、入射角45度で光が入射、反射し、さらに、隣接する斜面部に入射して反射する。図9は斜面部14cに入射して対向する斜面14cで再反射しない光の軌跡を示している。
次に、第1凹凸構造領域12aの凹凸構造に起因した視覚効果について説明する。図10は、第1凹凸構造領域が回折光を射出する様子を概略的に示す図である。図10において、軌跡31aは照明光を示し、軌跡32aは正反射光又は0次回折光を示し、軌跡33aは1次回折光を示している。
最も代表的な回折光は、1次回折光である。1次回折光の射出角βは、回折格子の格子線に垂直な面内で光が進行する場合、下記等式(1)から算出することができる。
d=λ/(sinα−sinβ) …(1)
この等式(1)において、dは回折格子の格子定数を表し、λは入射光及び回折光の波長を表している。また、αは、0次回折光、すなわち、透過光又は正反射光の射出角を表している。換言すれば、αの絶対値は、照明光の入射角と等しく、入射角とはZ軸に対して対称な関係である(反射型回折格子の場合)。なお、α、βは、Z軸から時計回りの方向を正方向とする。
等式(1)から明らかなように、1次回折光の射出角βは、波長λに応じて変化する。すなわち、回折格子は、分光器としての機能を有している。したがって、照明光が白色光である場合、回折格子の格子線に垂直な面内で観察角度を変化させると、観察者が知覚する色が変化する。
また、ある観察条件のもとで観察者が知覚する色は、格子定数dに応じて変化する。例えば、回折格子は、その法線方向に1次回折光を射出するとする。すなわち、1次回折光の射出角βは、0°であるとする。そして、観察者は、この1次回折光を知覚するとし、このときの0次回折光の射出角をαNとすると、等式(1)は、下記等式(2)へと簡略化することができる。
d=λ/sinαN …(2)
等式(2)から明らかなように、観察者に特定の色を知覚させるには、その色に対応した波長λと照明光の入射角|αN|と格子定数dとを、それらが等式(2)に示す関係を満足するように設定すればよい。例えば、波長が400nm乃至700nmの範囲内にある全ての光成分を含んだ白色光を照明光として使用し、照明光の入射角|αN|を45°とし、さらに、空間周波数(格子定数の逆数)が1000本/mm乃至1800本/mmの範囲内で分布している回折格子を使用するとする。この場合、回折格子をその法線方向から観察すると、空間周波数が約1600本/mmの部分は青く見え、空間周波数が約11
00本/mmの部分は赤く見える。
なお、回折格子は、空間周波数が小さいほうが形成し易い。そのため、通常の表示体では、回折格子の大多数は、空間周波数が500本/mm乃至1600本/mmの回折格子とする。
このように、或る観察条件のもとで観察者が知覚する色は、回折格子の格子定数d(又は空間周波数)で制御することができる。そして、先の観察条件から観察角度を変化させると、観察者が知覚する色は変化する。
次に、第2凹凸構造領域12b、第3凹凸構造領域12cの薄膜干渉について説明する。第2凹凸構造領域12b、第3凹凸構造領域12cは、図11に示す光学薄膜30による干渉膜に類似する作用を有し、反射や干渉を繰り返すことで特定の波長を強めたり弱めたりすることが可能である。図11は、光学薄膜30に角度θで入射する入射光304の一部が光学薄膜30の表面及び裏面で反射し、光源302がある側に反射していく様子と透過していく様子を示している。
光学薄膜30を反射していく光は、光学薄膜30の内部で反射を奇数回繰り返した後に光源側に射出していく光を重畳したものとなる。各光に位相差がないときに、最大の反射光が得られ、その際の光学距離の差は、波長の整数倍となり次式(3)が成立する。
mλ=2×TO×cosθ ・・・(3)
ここで、mは次数であり、TOは光学的距離である。TOは、物理的な距離に加え、光が伝搬する媒質の屈折率が考慮される。光学薄膜30の膜厚をD、屈折率をnとするとTO=nDが成り立つ。このとき、他の波長では打ち消し合う干渉が起こるため、特定の波長以外は認識できなくなる。これは、薄膜の光学的距離を制御することで光源側の面に反射する光の波長を制御することが可能となることを意味している。
図8に示したように、上面部又は下面部に光が入射した場合、つまり入射角0度の場合を考える。すると式(3)は式(4)のように強め合う干渉式を導ける。
mλ=2×TO ・・・ (4)
また、図9の斜面部14cに光が入射した場合、つまり入射角45度の場合を考える。すると式(3)は式(5)のように強め合う干渉式を導ける。
mλ=√2×TO ・・・ (5)
上記に示したように入射角が変わると強め合う波長が変わる。このことは、凹凸構造の傾斜を変化させることによって、反射する波長を制御できることを意味する。
また、式(3)からわかるように強め合う波長は、光学的距離TOによっても変化することがわかる。よって知覚される波長は、薄膜の屈折率n、又は光学薄膜30の膜厚Dを変化させることによっても制御することができる。
以上のことから、第2凹凸構造領域12bに入射した光は、上面部14a又は下面部14bと斜面部14cとで異なる色を観察することができる。また、この上面部、下面部、斜面部はいずれも人間の眼の分解能以下であるため、それぞれの色を知覚することはできず、並置加法混色によって上面部、下面部、斜面部の色の混合色として知覚する。
つまり、上面部14aと下面部14bを足し合せた面積と斜面部14cの面積との面積比率を変更することによって、知覚できる色を変えることができる。面積比率は、予め用
意した画像の濃淡に対応している。濃淡を256階調のグレースケールで表現し、凹凸構造領域の上面部と下面部の面積比率を1〜100%する。階調に面積比率が対応するように、階調数を画像上に配置することでデザインを行う。つまり、画像で階調数が1の場合には、上面部と下面部の面積比率が1%であり、階調数が50の場合には、上面部と下面部の面積割合が50%である。
図12は上面部16aの面積を大きくした場合を示している。図12の白塗り部は斜面部16bを現している。この場合には、上面部16aで強め合った波長が斜面部で強め合った波長よりも支配的となる。よって知覚される色は上面部で強め合った波長が強く観察される。
また、図13は上面部16aの面積を小さくした場合を示している。図13の白塗り部は斜面部16bを表している。この場合には、上面部で強め合った波長より、斜面部で強め合った波長が支配的となる。よって知覚される色は斜面部で強め合った波長が強く観察される。
図9のように斜面部で反射された光を観察すると斜面部で強め合った波長のみを観察することになる。つまり、光透過層の垂線方向から表示体を観察した場合と斜面部のみから反射された光を観察した場合とでは、知覚される色は異なる。よって、観察位置を変更することで知覚される色を変化することが可能でありセキュリティ性の高い表示体を作製する事ができる。
図14に表示体の光透過層の垂線方向から白色光源302を照射し、光透過層の垂線方向から観察した結果の示した図である。第1凹凸構造領域12aの回折光は観察できない。第2凹凸構造領域12b、12cでは薄膜干渉による干渉色を観察することができる。
図15に図14の表示体をXY平面で90度回転し、光透過層の垂線方向から白色光源302を入射させ、Y軸方向とZ軸方向の中間方向から表示体を観察した結果を示す。凹凸構造領域12aは、格子方向と平行な方向から観察しているため、回折光を観察することはできない。また、凹凸構造領域12bも格子方向と平行な方向から観察しているため、反射光を観察することはできない。凹凸構造領域12cは、図4に示したように、凹凸構造が2次元的に配列されているため、反射光を確認できる。よって、このような条件では、凹凸構造領域12cのみ干渉色を知覚することが可能である。
つまり、この表示体は回折光によって虹色に光る凹凸構造領域12a、XY平面で回転すると色が変化する凹凸構造領域12b、XY平面で回転しても色が変化しない凹凸構造領域12cで構成される。このような領域を組み合わせることによって、セキュリティ性の高い表示体を作製することが可能である。
図16は、偽造防止用ストライプ転写箔を物品に支持させてなるカード40の一例を概略的に示す平面図である。
このカード40は、プラスチック基材44を含んでおり、プラスチック基材44上には、印刷層41が形成されている。さらに、カード40には、表示体43が偽造防止用ストライプ転写箔として貼りつけられている。なお、この表示体43は、1次元のレリーフ型回折格子が形成されている領域46a、領域46aよりも粗い複数の溝で平均中心間距離が10μm、凹凸構造の深さが2μmで溝が1次元配列されている凹凸構造領域46b、平坦領域46cで構成されている。
図17は、図16に示す表示体のII−II線に沿った断面図である。この表示体43
は、表面保護層兼剥離層42及び光透過エンボス層49、反射層48、接着層45、プラスチック基材44が積層されてなる積層体である。図17に示す例では、表面保護層兼剥離層42側を前面側とし且つプラスチック基材44側を背面側としている。光透過エンボス層49と反射層48との界面は、前記凹凸構造領域46bと平坦領域46cとを含んでいる。反射層は、ZnSで膜厚が50nmで凹凸構造に均一に設けられている。
このカード40は、表示体43を含んでいる。それゆえ、カード40の垂線方向から白色光源を照射して、カード40の垂線方向付近から反射光を観察した場合、領域46bは青白い干渉色を確認することができる。また、観察位置をX軸方向に傾けていくことで視認できる色が白へと変化する。さらにこの観察位置のままカード40を90度回転すると、干渉色を視認できなくなる。印刷層41は、観察位置や光源位置を変更しても視認できる色の変化はない。
このように領域46bは、印刷層41とは異なり、観察する位置を変更することで色の変化をすることが可能である。よって、色変化で真偽判定することができるため偽造防止効果は高い。
10…表示体
11…光透過層
12…凹凸構造領域
13…反射層
15…接着層
41…印刷部
14…凹凸構造部
30…光学薄膜
302…光源
303…観察者
304…入射光
305…反射光
306…透過光

Claims (8)

  1. 光透過層の一方の主面上に、光透過層に平行な平行部と光透過層と90°以下の角度をなす斜面部とからなる複数の凹凸構造領域が形成され、その上面に反射層と接着層がこの順に積層された表示体であって、凹凸構造領域のピッチが人間の目の分解能以下で、回折光が認知できないことを特徴とする表示体。
  2. 光透過層の一方の主面上に、光透過層に平行な平行部と光透過層と90°以下の角度をなす斜面部と光透過層と直交する斜面部とからなる複数の凹凸構造領域が形成され、その上面に反射層と接着層がこの順に積層された表示体であって、凹凸構造領域のピッチが人間の目の分解能以下で、回折光が認知できないことを特徴とする表示体。
  3. 前記光透過層の垂直方向から見た凹凸構造の平行部と斜面部の面積比率が、凹凸構造領域ごとに異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示体。
  4. 前記面積比率は、予め用意した画像の濃淡に対応して設定することを特徴とする請求項3に記載の表示体。
  5. 前記凹凸構造の凸部又は凹部が光透過層と平行な面と4つの面で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示体。
  6. 前記反射層の膜厚が凹凸構造領域ごとに異なることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示体。
  7. 前記凹凸構造領域ごとに反射層の屈折率が異なることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の表示体。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示体が貼付されていることを特徴とする表示体付き物品。
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