本発明の技術的思想は、あらゆる作業車両に適用することが可能である。以下では、代表的な作業車両であるトラクタを用いて説明する。
<トラクタ>
図1は、トラクタ1を示している。図2は、図1の矢印Xから見た図であり、図3は、図1の矢印Yから見た図である。また、図4は、図1の矢印Zから見た図である。なお、図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
トラクタ1は、主に、フレーム11と、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、リヤアクスル15と、で構成されている。また、トラクタ1は、キャビン16を備えている。キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162やシフトレバー163などが配置されている(図5参照)。
フレーム11は、トラクタ1の前部における骨格をなす。フレーム11は、トランスミッション13やリヤアクスル15とともにトラクタ1のシャシを構成する。以下に説明するエンジン12は、フレーム11によって支持される。
エンジン12は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。つまり、エンジン12は、燃料を燃やすことによって回転動力を生み出す。なお、エンジン12には、エンジン制御装置が接続されている(図示せず)。エンジン制御装置は、オペレータがアクセルペダル162(図5参照)を操作すると、その操作に応じてエンジン12の運転状態を変更する。また、エンジン12には、排気浄化装置12Eが備えられている。排気浄化装置12Eは、排気に含まれる微粒子や一酸化炭素、炭化水素などを酸化させる。
トランスミッション13は、エンジン12の回転動力をフロントアクスル14やリヤアクスル15に伝達する。トランスミッション13には、連結機構を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、トランスミッション13には、無段変速装置(HST若しくはHMT、図示せず)が備えられている。無段変速装置は、オペレータがシフトレバー163(図5参照)を操作すると、その操作に応じてトランスミッション13の作動状態を変更する。
フロントアクスル14は、エンジン12の回転動力をフロントタイヤ141に伝達する。フロントアクスル14には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル14には、操舵装置が並設されている(図示せず)。操舵装置は、オペレータがハンドル164(図5参照)を操作すると、その操作に応じてフロントタイヤ141の舵角を変更する。
リヤアクスル15は、エンジン12の回転動力をリヤタイヤ151に伝達する。リヤアクスル15には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、リヤアクスル15には、PTO出力装置(図示せず)が設けられている。PTO出力装置は、オペレータがPTOスイッチ165(図5参照)を操作すると、その操作に応じて牽引する作業機に回転動力を伝達する。
次に、トラクタ1の操縦室について説明する。
図5は、運転座席161とその周囲を示している。また、図6は、オペレータの視界を示している。
上述したように、キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162やシフトレバー163などが配置されている。また、運転座席161の周囲には、ブレーキペダル166やクラッチペダル167、リバーサレバー168、スピードダイヤル169、インストルメントパネル170、コントロールパネル171などが配置されている。オペレータは、運転座席161に座った状態でアクセルペダル162やシフトレバー163などを操作し、トラクタ1を操縦することができる。
更に、本トラクタ1においては、運転座席161の近傍にディスプレイ2を具備している。ディスプレイ2は、オペレータが右手で操作できるよう、運転座席161の右前側に配置されている。以下に、トラクタ1の情報ネットワークについて簡単に説明するとともに、ディスプレイ2及び該ディスプレイ2を含む制御システムについて詳しく説明する。
図7は、トラクタ1の情報ネットワークを示している。図8は、ディスプレイ2を示している。図9は、本トラクタ1の制御システムを示している。
本トラクタ1は、最大限の性能を発揮できるよう、各所に情報ネットワークが張り巡らされている。具体的には、エンジン12のほか、トランスミッション13、インストルメントパネル170、コントロールパネル171、ディスプレイ2が互いに情報を共有できるコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)を構成している。
本トラクタ1において、ディスプレイ2は、サイドコンソールの上に配置されている(図5、図6参照)。ディスプレイ2は、液晶パネル(表示部)21と、エンコーダダイヤル(操作部)22と、エンターボタン(操作部)23と、5つのコマンドボタン(操作部)24〜28とが一体に設けられて構成される。
液晶パネル21は、ディスプレイ2の前面中央に設けられている。液晶パネル21は、トラクタ制御装置3からの指示に基づいて所定の画面を表示できる。例えば、液晶パネル21は、トラクタ制御装置3からの指示に基づいてオープニング画面S1を表示できる(図13参照)。また、液晶パネル21は、トラクタ制御装置3からの指示に基づいてその他の画面を表示できる(図14から図20参照)。なお、表示部は液晶パネル21に限定されることはなく、有機EL(electroluminescence)又は無機ELを用いたELパネル等の薄型表示パネルなどを用いることもできる。
エンコーダダイヤル22は、ディスプレイ2の上面右側に設けられている。エンコーダダイヤル22は、ロータリエンコーダを内蔵し、液晶パネル21に表示された要素(項目)の選択に際して、タブをスクロールさせる若しくはハイライト表示をトラバースさせる旨のオペレータの意思(選択操作)をトラクタ制御装置3へ伝達できる。例えば、エンコーダダイヤル22は、表示された数字や英文字の選択に際して、タブをスクロール(図14参照)させる旨のオペレータの意思をトラクタ制御装置3へ伝達できる。また、エンコーダダイヤル22は、表示されたアイコンの選択に際して、ハイライト表示をトラバースさせる旨のオペレータの意思をトラクタ制御装置3へ伝達できる(図15から図20参照)。
エンターボタン23は、エンコーダダイヤル22と一体的に設けられている。エンターボタン23は、エンコーダダイヤル22の上下動に対応した操作ボタンであり、エンコーダダイヤル22の上面が押されることによって操作される。なお、エンターボタン23は、エンコーダダイヤル22の上端面に設けた押しボタンであってもよい。
エンターボタン23は、液晶パネル21に表示された要素(項目)のうち、一の要素を決定した旨のオペレータの意思(決定操作)をトラクタ制御装置3へ伝達できる。例えば、エンターボタン23は、表示された数字や英文字のうち、一の数字若しくは英文字を決定した旨のオペレータの意思をトラクタ制御装置3へ伝達できる(図14参照)。また、エンターボタン23は、表示されたアイコンのうち、一のアイコンを決定した旨のオペレータの意思をトラクタ制御装置3へ伝達できる(図15から図20参照)。
5つのコマンドボタン24〜28は、画面上端に表示されたアイコンを決定操作する操作ボタンである。各コマンドボタン24〜28はディスプレイ2の前面上部に横並びで設けられ、各コマンドボタン24〜28は液晶パネル21に表示された直下のアイコンに対応している。コマンドボタン24〜28は、直下のアイコンを決定した旨のオペレータの意思をトラクタ制御装置3へ伝達できる。コマンドボタン24〜28の何れかが押されると、トラクタ制御装置3はそのアイコンに対応したコマンドを実行する。各コマンドボタン24〜28に割り当てられるアイコン及びコマンドは画面毎に異なり、各画面で必要となるアイコン及びコマンドが割り当てられる。
コマンドとしては、第1ホーム画面S3への切り替えを指示するコマンド(アイコンは「HOME」)、ショートカット画面(オペレータが任意に設定した画面)への切り替えを指示するコマンド(アイコンは「フリー1」又は「フリー2」)、エンターボタン23と同様に一の要素の決定を指示するコマンド(アイコンは「決定」)、一つ前の画面への切り替えを指示するコマンド(アイコンは「戻る」)、タブをスクロールさせる方向若しくはハイライト表示をトラバースさせる方向を指示するコマンド(アイコンは方向を示す矢印)などがある。
なお、操作部として液晶パネル21にタッチパネルを設けてもよい。この場合、エンコーダダイヤル22、エンターボタン23、コマンドボタン24〜28は適宜省略することができる。
トラクタ制御装置3は、ディスプレイ2、遠隔監視端末装置4及びトラクタ1の他の電気系統の制御を行う。例えば、トラクタ制御装置3は、遠隔監視端末装置4からの指示に応じてディスプレイ2を制御したり、ディスプレイ2からの操作指示を遠隔監視端末装置4へ出力したりする。
遠隔監視端末装置4については、以下で遠隔監視システムの概要を説明した後に説明する。なお、トラクタ制御装置3及び遠隔監視端末装置4はディスプレイ2に含まれる構成であってもよい。
<遠隔監視システム>
以下、遠隔監視システムをトラクタ1に適用した例について説明する。
図10は、トラクタ1を遠隔監視する遠隔監視システムの概略構成を示すブロック図である。遠隔監視システム10は、遠隔監視装置(管理サーバ)5と、遠隔監視装置5にネットワーク7を介して接続される1以上の利用者端末装置6と、1以上のトラクタ1のそれぞれに設けられ、遠隔監視装置5に通信網8を介して接続される遠隔監視端末装置4とを備えている。
遠隔監視装置5は、トラクタ1とは遠く離れた場所にある遠隔監視センターに設置されており、トラクタ1の稼働状態や作業日報に関する情報を格納(蓄積)するようになっている。遠隔監視装置5はLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを介してパーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯端末機等の利用者端末装置6に接続される。遠隔監視装置5に格納されている情報は、遠隔監視端末装置4で読み出されてオペレータによって利用され、また利用者端末装置6で読み出されてトラクタ1の所有者やディーラ等の利用者によって利用されるようになっている。
遠隔監視端末装置4及び遠隔監視装置5は、通信網8を介して互いの通信部で接続されることで、遠隔監視端末装置4と遠隔監視装置5との間で情報の送受信を行うことが可能とされている。これにより、遠隔監視センターでトラクタ1を遠隔監視したり、トラクタ1で遠隔監視装置5に格納されている情報を読み出してオペレータが確認したりすることができる。
通信網8は有線通信網であってもよいし、無線通信網であってもよく、有線通信網及び無線通信網を組み合わせたものであってもよい。通信網8としては、代表的には、電気通信事業者が適用する公衆回線網であって、固定電話機や携帯電話機等の端末機どうしを通信させる公衆回線網を挙げることができる。
<遠隔監視端末装置>
図9に示すように、遠隔監視端末装置4は、通信部41と、GPS(Global Positioning System)センサ42と、位置検出部43と、位置情報記憶部44と、制御部45とを備えている。
通信部41は、遠隔監視センターにおける遠隔監視装置5の通信部と同一の通信プロトコル(通信規約)で通信可能とされている。通信時に送受信される情報は、通信プロトコルに従うように通信部41で変換される。そして、通信部41は、制御部45にて取得したトラクタ1の稼働状態に関する情報(稼働情報)や作業日報に関する情報を遠隔監視装置5へ送信する。
GPSセンサ42は、GPS衛星からの電波を受信するセンサである。位置検出部43は、GPSセンサ42にて受信した電波に基づいてトラクタ1の位置情報を検出するものである。また、位置検出部43は、トラクタ1の速度情報や方位情報も検出する。つまり、位置情報はトラクタ1の経度、緯度、速度及び方位の情報を含んでいる。位置情報記憶部44は、RAM(Random Access Memory)等の揮発メモリからなり、位置検出部43にて検出した位置情報を一時的に格納する。位置情報記憶部44の情報は稼働情報として扱われ、遠隔監視装置5へ送信される。
制御部45は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータからなる処理部451と、ROM(Read Only Memory)、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部452とを有している。制御部45は、処理部451が記憶部452のROMに予め格納された制御プログラムを記憶部452のRAM上に読み出して実行することにより、各種構成要素の作動制御を行う。具体的には、通信時における情報の送受信、各種の入出力制御及び演算処理の制御等を行う。
また、記憶部452は、作業日報に関する情報も記憶する。作業日報に関する情報には、オペレータ情報及び作業機情報が含まれる。オペレータ情報とは、オペレータを識別するための情報であり、例えば、オペレータ名、オペレータ毎の番号、オペレータ毎の記号などの識別子を用いることができる。記憶部452には、複数のオペレータのそれぞれのオペレータ情報が記憶され、直近にオペレータによって決定されたオペレータ情報が識別可能に記憶される。
作業機情報とは、作業機を識別するための情報であり、例えば、作業機名、作業機毎の番号、作業機毎の記号などの識別子を用いることができる。記憶部452には、複数の作業機のそれぞれの作業機情報が記憶され、直近にオペレータによって決定された作業機情報が識別可能に記憶される。
処理部451は、記憶部452に格納された複数のオペレータ情報を一覧にして一のオペレータ情報を選択可能及び編集可能にしたオペレータ選択画像を生成する。また、処理部451は、記憶部452に格納された複数の作業機情報を一覧にして一の作業機情報を選択可能及び編集可能にした作業機選択画像を生成する。
そして、制御部45の出力制御により、オペレータ選択画像がトラクタ制御装置3を介して液晶パネル21に表示される(図18参照)。また、制御部45の出力制御により、作業機選択画像がトラクタ制御装置3を介して液晶パネル21に表示される(図20参照)。
一方、制御部45の入力制御により、トラクタ制御装置3を介して操作部(エンコーダダイヤル22、エンターボタン23、コマンドボタン24〜28)による入力(指示)が受け付けられる。これにより、オペレータは自身のオペレータ情報や今回使用する作業機情報を選択、決定操作することができる。このようにオペレータは予め登録された情報から選択、決定操作するだけなので、簡単に操作することができる。
決定されたオペレータ情報や作業機情報は、制御部45の出力制御により通信部41へ出力され、通信部41から遠隔監視装置5へ送信される。また、オペレータはオペレータ情報又は作業機情報の追加・変更等の編集操作をすることができる。例えば、変更したいオペレータ情報を選択した状態でエンターボタン23を長押しすることで編集することができる。
決定されたオペレータ情報や作業機情報は、稼働情報とともに遠隔監視装置5へ送信することができる。つまり、稼働情報に付加して送信することができる。これにより、オペレータ情報や作業機情報を稼働情報の送信とは別のタイミングで送信する場合よりも送信回数を減らすことができ、通信負荷や通信料金を軽減できる。
また、決定されたオペレータ情報や作業機情報は、液晶パネル21に表示されるオープニング画面S1及び/又は作業中の画面(図示せず)に表示できる。これにより、オペレータ情報や作業機情報の選択、決定操作時以外にも、オペレータはオペレータ情報や作業機情報が正しく設定されているかを確認できる。よって、オペレータはオペレータ情報や作業機情報に間違いがある場合に気づきやすい。
<遠隔監視装置>
図11は、遠隔監視装置5の概略構成を示すブロック図である。遠隔監視装置5は、例えばデスクトップ型パーソナルコンピュータであり、通信部51と、制御部52とを備えている。また、遠隔監視装置5には、液晶パネル等の表示部53及びキーボード等の操作部54が外部接続されている。なお、表示部53及び操作部54は遠隔監視装置5に含まれる構成(例えば、ノート型パーソナルコンピュータ)であってもよい。
通信部51は、第1通信部511及び第2通信部512を有している。第1通信部511は、遠隔監視端末装置4の通信部41と同一の通信プロトコルで通信可能とされている。通信時に送受信される情報は、通信プロトコルに従うように第1通信部511で変換される。そして、第1通信部511は、遠隔監視端末装置4からトラクタ1の稼働情報や作業日報に関する情報(オペレータ情報及び作業機情報)を受信したり、遠隔監視端末装置4へオペレータ情報及び作業機情報の更新情報やトラクタ1の制御に関する更新情報を送信したりする。
第2通信部512は、利用者端末装置6の通信部61と同一の通信プロトコルで通信可能とされている。通信時に送受信される情報は、通信プロトコルに従うように第2通信部512で変換される。そして、第2通信部512は、利用者端末装置6からオペレータ情報及び作業機情報の更新情報を受信したり、利用者端末装置6へトラクタ1の作業日報を送信したりする。
制御部52は、CPU等のマイクロコンピュータからなる処理部521と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部522とを有している。制御部52は、処理部521が記憶部522のROMに予め格納された制御プログラムを記憶部522のRAM上に読み出して実行することにより、各種構成要素の作動制御を行う。具体的には、通信時における情報の送受信、各種の入出力制御及び演算処理の制御等を行う。
処理部521は、遠隔監視端末装置4から受信したトラクタ1の稼働情報や作業日報に関する情報に基づいて作業日報を生成し、記憶部522に格納する。作業日報には、作業日、作業場所、オペレータ名、作業機名、作業内容、地図上でのトラクタ1の稼働軌跡などが記される。
また、処理部521は、記憶部522に格納された複数のオペレータ情報を一覧にして各オペレータ情報を編集可能にしたオペレータ編集画像を生成する。また、処理部521は、記憶部522に格納された複数の作業機情報を一覧にして各作業機情報を編集可能にした作業機編集画像を生成する。
そして、制御部52の出力制御により、記憶部522に格納された作業日報が表示部53に表示される。一方、制御部52の入力制御により、操作部54による入力(指示)が受け付けられる。これにより、遠隔監視センターのオペレータはトラクタ1のコンディションを把握しながら最適なメンテナンス計画を提案することができる。
また、制御部52の出力制御により、記憶部522に格納された作業日報が利用者端末装置6へ送信される。なお、作業日報は遠隔監視端末装置4へも送信されるようにしてもよい。作業日報は利用者端末装置6又は遠隔監視端末装置4から要求があった場合に送信される。例えば、利用者端末装置6又は遠隔監視端末装置4において、ウェブ上で作業日報を見ることができる。
また、制御部52の出力制御により、オペレータ編集画像及び作業機編集画像が利用者端末装置6へ送信される。オペレータ編集画像及び作業機編集画像は利用者端末装置6から要求があった場合に送信される。例えば、利用者端末装置6において、オペレータ情報又は作業機情報として用いるオペレータ名や作業機名の追加・変更等の編集をウェブ上で行うことができる。なお、制御部52の出力制御により、オペレータ編集画像及び作業機編集画像を遠隔監視端末装置4へ送信し、トラクタ1側でオペレータ名や作業機名の追加・変更等の編集を行えるようにしてもよい。
<利用者端末装置>
図12は、利用者端末装置6の概略構成を示すブロック図である。利用者端末装置6は、例えばデスクトップ型パーソナルコンピュータであり、通信部61と、制御部62とを備えている。また、利用者端末装置6には、液晶パネル等の表示部63及びキーボード等の操作部64が外部接続されている。なお、表示部63及び操作部64は利用者端末装置6に含まれる構成(例えば、ノート型パーソナルコンピュータ)であってもよい。
通信部61は、遠隔監視装置5の通信部51と同一の通信プロトコルで通信可能とされている。通信時に送受信される情報は、通信プロトコルに従うように通信部で変換される。そして、通信部61は、遠隔監視装置5からトラクタ1の作業日報、オペレータ編集画像、作業機編集画像を受信したり、遠隔監視装置5へオペレータ情報及び作業機情報の更新情報を送信したりする。
制御部62は、CPU等のマイクロコンピュータからなる処理部621と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部622とを有している。制御部62は、処理部621が記憶部622のROMに予め格納された制御プログラムを記憶部622のRAM上に読み出して実行することにより、各種構成要素の作動制御を行う。具体的には、通信時における情報の送受信、各種の入出力制御及び演算処理の制御等を行う。
制御部62の出力制御により、遠隔監視装置5から受信したトラクタ1の作業日報が表示部63に表示される。また、制御部62の入力制御により、操作部64から作業日報の備考欄等への入力(編集)を受け付ける。これにより、利用者(圃場の管理者)は、遠隔監視装置5へアクセスして作業日報を確認し、編集することができる。
また、制御部62の出力制御により、遠隔監視装置5から受信したオペレータ編集画像又は作業機編集画像が表示部63に表示される。また、制御部62の入力制御により、操作部64からオペレータ情報又は作業機情報の追加・変更等の編集操作を受け付ける。これにより、利用者は、トラクタ1を担当するオペレータやトラクタ1に装着可能な作業機に追加・変更が生じた場合に、遠隔監視装置5へアクセスしてオペレータ情報又は作業機情報として記憶されているオペレータ名や作業機名を編集することができる。
このように、遠隔監視システムを用いて、オペレータがトラクタ1でオペレータ情報や作業機情報を決定操作できるようにすることで、オペレータ等が後から手動で作業日報にオペレータ名や作業機名を入力する必要がなくなる。よって、オペレータ等の手間や入力し忘れをなくし、利便性を向上させることができる。
<画面及び操作方法>
以下に、オペレータ情報及び作業機情報に関連してディスプレイ2に表示される画面及びディスプレイ2の操作方法について説明する。
図13から図20は、ディスプレイ2に表示される画面を示している。但し、各図は、本実施形態の説明に必要な部分のみを簡略的に表している。
まず、ディスプレイ2には、オープニング画面S1が表示される(図13参照)。オープニング画面S1では、中央付近にシンボルマークSmが表示される。シンボルマークSmは、サプライヤメーカを象徴する意匠である。シンボルマークSmは、黒色の背景画像に浮き上がり、オペレータに強い印象を与える。
次に、ディスプレイ2には、ロック解除画面S2が表示される(図14参照)。ロック解除画面S2では、横一列に暗証番号を入力するための4つのスクロールボックスSb1〜Sb4が表示される。スクロールボックスSb1〜Sb4は、選択されているいずれか1つがハイライト表示される(図中のH部参照)。スクロールボックスSb1〜Sb4は、0から9までの数字若しくはAからFまでの英文字を上下方向にスクロールできる。
また、ロック解除画面S2では、上端にコマンドボタン25〜28に対応したアイコン251・261・271・281が表示される。また、ロック解除画面S2では、オペレータ名が記されたダイアログボックスDb1と、作業機名が記されたダイアログボックスDb2とが表示される。オペレータは、これらのダイアログボックスDb1・Db2でオペレータ名及び作業機名が正しく設定されているかを確認できる。ダイアログボックスDb1・Db2の記載内容が間違っている場合は、後述するオペレータ選択画面S6又は作業機選択画面S8・S9によって変更できる。
オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって数字若しくは英文字をスクロールさせて選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。また、ロック解除画面S2においては、コマンドボタン25・26を押すことによって数字若しくは英文字をスクロールさせて選択し、コマンドボタン27を押すことによって決定することもできる。また、コマンドボタン28を押すことによって決定を取り消すこともできる。暗証番号を間違ったときは、その旨のメッセージが表示される。
次に、ディスプレイ2には、第1ホーム画面S3が表示される(図15参照)。第1ホーム画面S3では、メニュー又はページを選択するためのアイコンIa1〜Ia10が表示される。アイコンIa1〜Ia10は、選択されているいずれか1つがハイライト表示される(図中のH部参照)。そして、ハイライト表示は、エンコーダダイヤル22の回転に応じてトラバースされる。選択できないアイコンについては、グレーアウトされる(図中のG部参照)。また、第1ホーム画面S3では、上端にコマンドボタン24〜28に対応したアイコン242・252・262・272・282が表示される。
「フリー1」のアイコン242又は「フリー2」のアイコン252への登録方法を「フリー1」への登録を例に簡単に説明する。まず、「フリー1」のアイコン242に対応したコマンドボタン24を長押し(例えば3秒)すると、登録画面(不図示)に遷移する。そして、登録画面でエンコーダダイヤル22を操作して所望のアイコン(例えば「OFF」のアイコン)を選択し、エンターボタン23を押すと、そのアイコンが「フリー1」のアイコン242に登録され、「フリー1」の表示に替えてそのアイコンが表示される。
第1ホーム画面S3においてオペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコンIa1〜Ia10を選択し、エンターボタン23又はコマンドボタン27を押すことによって決定できる。ここでは、「次ページ」と記されたアイコンIa10を選択して決定する。
次に、ディスプレイ2には、第2ホーム画面S4が表示される(図16参照)。第2ホーム画面S4では、メニュー又はページを選択するためのアイコンIb1〜Ib10が表示される。アイコンIb1〜Ib10は、選択されているいずれか1つがハイライト表示される(図中のH部参照)。そして、ハイライト表示は、エンコーダダイヤル22の回転に応じてトラバースされる。また、第2ホーム画面S4では、上端にコマンドボタン24〜28に対応したアイコン243・253・263・273・283が表示される。
第2ホーム画面S4においてオペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコンIb1〜Ib10を選択し、エンターボタン23又はコマンドボタン27を押すことによって決定できる。ここでは、「ユーザー」と記されたアイコンIb8又は「作業」と記されたアイコンIb9を選択して決定する。
「ユーザー」と記されたアイコンIb8が決定操作された場合、ディスプレイ2には、オペレータ表示画面S5が表示される(図17参照)。オペレータ表示画面S5では、選択可能なアイコンIc1・Ic2が表示される。
エンターボタン23を押してアイコンIc1にチェックの印が表示された状態にしておくと、ロック解除画面S2にオペレータ名が記されたダイアログボックスDb1が表示される設定となる。また、アイコンIc2には現在設定されているオペレータ名(図17ではMURATA)が記されている。アイコンIc2の左には現在設定されているオペレータ名に対応する番号(図17ではNo1)が表示され、アイコンIc2の下方には操作案内が表示される。また、オペレータ表示画面S5では、上端にコマンドボタン24〜28に対応したアイコン244・254・264・274・284が表示される。
オペレータ表示画面S5においてオペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコンIc1・Ic2を選択し、エンターボタン23又はコマンドボタン27を押すことによって決定できる。ここでは、アイコンIc2を選択して決定する。
次に、ディスプレイ2には、オペレータ選択画面S6が表示される(図18参照)。オペレータ選択画面S6では、オペレータ名(オペレータ情報)を選択するためのアイコンId1〜Id8からなるオペレータ選択画像が表示される。図18ではアイコンId1〜Id3にオペレータ名が登録されており、アイコンId4〜Id8は未登録である。アイコンId1〜Id8は、選択されているいずれか1つがハイライト表示される(図中のH部参照)。そして、ハイライト表示は、エンコーダダイヤル22の回転に応じてトラバースされる。
アイコンId1〜Id8のそれぞれ左側には各アイコンId1〜Id8に対応する番号が表示され、アイコンId1〜Id8の下方には操作案内が表示される。また、オペレータ選択画面S6では、上端にコマンドボタン24〜28に対応したアイコン245・255・265・275・285が表示される。
オペレータ選択画面S6においてオペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコンId1〜Id8を選択し、エンターボタン23又はコマンドボタン27を短押し(例えば3秒未満)することによって決定できる。決定されたアイコンId1〜Id8のオペレータ情報は記憶部452に記憶され、遠隔監視装置5に送信されて作業日報等に反映される。
また、オペレータ選択画面S6においてオペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコンId1〜Id8を選択し、エンターボタン23又はコマンドボタン27を長押し(例えば3秒以上)することによって編集可能な状態にできる。オペレータ名を編集した後、エンターボタン23又はコマンドボタン27を短押しすることによって編集したオペレータ名をオペレータ情報として記憶させることができる。
一方、第2ホーム画面S4において「作業」と記されたアイコンIb9が決定操作された場合、ディスプレイ2には、作業機表示画面S7が表示される(図19参照)。作業機表示画面S7では、選択可能なアイコンIe1・Ie2が表示される。
エンターボタン23を押してアイコンIe1にチェックの印が表示された状態にしておくと、ロック解除画面S2に作業機名が記されたダイアログボックスDb2が表示される設定となる。また、アイコンIe2には現在設定されている作業機名(図19ではロータリ)が記されている。アイコンIe2の左には現在設定されている作業機名に対応する番号(図19ではNo1)が表示され、アイコンIe2の下方には操作案内が表示される。また、作業機表示画面S7では、上端にコマンドボタン24〜28に対応したアイコン246・256・266・276・286が表示される。
作業機表示画面S7においてオペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコンIe1・Ie2を選択し、エンターボタン23又はコマンドボタン27を押すことによって決定できる。ここでは、アイコンIe2を選択して決定する。
次に、ディスプレイ2には、作業機選択画面S8が表示される(図20参照)。作業機選択画面S8では、作業機名(作業機情報)を選択するためのアイコンIf1〜If8からなる作業機選択画像が表示される。アイコンIf1〜If8は、選択されているいずれか1つがハイライト表示される(図中のH部参照)。そして、ハイライト表示は、エンコーダダイヤル22の回転に応じてトラバースされる。
アイコンIf1〜If8のそれぞれ左側には各アイコンIf1〜If8に対応する番号が表示され、アイコンIf1〜If8の下方には操作案内が表示される。また、作業機選択画面S8では、上端にコマンドボタン24〜28に対応したアイコン247・257・267・277・287が表示される。
作業機選択画面S8においてオペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコンIf1〜If8を選択し、エンターボタン23又はコマンドボタン27を短押しすることによって決定できる。決定されたアイコンIf1〜If8の作業機情報は記憶部452に記憶され、遠隔監視装置5に送信されて作業日報等に反映される。
また、作業機選択画面S8においてオペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコンIf1〜If8を選択し、エンターボタン23又はコマンドボタン27を長押し(例えば3秒以上)することによって編集可能な状態にできる。作業機名を編集した後、エンターボタン23又はコマンドボタン27を短押しすることによって編集した作業機名を作業機情報として記憶させることができる。
<その他>
上述したオペレータ選択画像に用いるオペレータ情報、作業機選択画像に用いる作業機情報は、遠隔監視装置5に記憶され、情報の更新があった場合に、遠隔監視端末装置4へ送信されるようにしてもよい。これにより、遠隔監視端末装置4は常に最新の情報を利用することができる。
上述したオペレータ選択画像に用いるオペレータ情報、作業機選択画像に用いる作業機情報は、トラクタ1側(遠隔監視端末装置4等)に記憶されず、遠隔監視装置5に記憶され、オペレータ選択画面S6又は作業機選択画面S8・S9の表示時などに適宜、遠隔監視端末装置4が遠隔監視装置5から取得するようにしてもよい。これにより、遠隔監視端末装置4は常に最新の情報を利用することができる。
上述したオペレータ情報又は作業機情報を送信する際には、各オペレータ名、各作業機名に対応する番号のみを送信するようにしてもよい。これにより、オペレータ名や作業機名といったテキストデータを送受信する必要がないので、通信の情報量を削減できる。なお、テキストデータに変更があった場合には適宜変更内容を送受信すればよい。
オペレータの好みに応じたトラクタ1の各種設定をオペレータ情報毎にトラクタ制御装置3や遠隔監視装置5等に保存できるようにし、トラクタ1において何れかのオペレータ情報が選択、決定された場合、これに連動して、トラクタ1は決定されたオペレータ情報に対応した設定を読み出して適用してもよい。これにより、オペレータは毎回トラクタ1の使用開始時に自分の好みの設定に設定しなおす必要がなく、すぐに作業に取り掛かることができる。また、オペレータの好みに応じた設定の代わりに、オペレータ情報毎に前回使用時の設定を自動的に保存しておき、次回使用時に前回使用時の設定を読み出して適用するようにしてもよい。
上記の実施形態ではオペレータ情報及び作業機情報の利用形態として作業日報を例に説明したが、これに限定されることはなく、例えば、作業週報、作業月報などに利用することもできる。