JP2016058705A - 形状シミュレーション装置、形状シミュレーション方法、および形状シミュレーションプログラム - Google Patents

形状シミュレーション装置、形状シミュレーション方法、および形状シミュレーションプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】物質の形状の変化を適切に計算することを可能とする。
【解決手段】一の実施形態によれば、形状シミュレーション装置は、物質の形状の計算領域を複数のセルに分割し、物質の形状を、所定量の物質で充填された充填セルと、所定量の物質で充填されていない空間セルとにより表現する分割部と、計算領域内の対象セルの充填速度を、対象セルに隣接する複数の隣接セルの加工速度に基づいて計算する計算部とを備える。さらに、計算部は、複数の隣接セルの加工速度に基づいて、対象セルの充填速度に寄与する各隣接セルの寄与速度を計算する寄与速度計算部と、複数の隣接セルの寄与速度に基づいて、対象セルの充填速度を計算する充填速度計算部とを備える。さらに、対象セルの各隣接セルの寄与速度は、対象セルの他の隣接セルが、物質の充填率が第1範囲に属する第1セルであるか、物質の充填率が第1範囲と異なる第2範囲に属する第2セルであるかに依存する。
【選択図】図8

Description

本発明の実施形態は、形状シミュレーション装置、形状シミュレーション方法、および形状シミュレーションプログラムに関する。
CVD(Chemical Vapor Deposition)やRIE(Reactive Ion Etching)等により物質を加工する場合、加工に伴う物質の形状の変化を計算する形状シミュレーションを事前に行うことが多い。形状シミュレーションにおいては例えば、物質の形状の計算領域を複数のセルに分割し、物質の形状を、所定量の物質で充填された充填セルと、所定量の物質で充填されていない空間セルにより表現し、充填セルと空間セルの分布の変化を計算することで、物質の形状の変化を計算する(これを「セル法」と呼ぶ)。しかしながら、セル法においては、計算精度の向上だけでなく計算時間の短縮も求められることが一般的であるため、セルサイズの縮小や時間ステップの短縮による計算精度の向上には限界がある。そのため、物質の形状を充填セルと空間セルで表現すると、物質の形状によっては、物質の形状の変化を正確に計算できない可能性がある。よって、実際の半導体製造工程での物質の形状の変化と整合しないシミュレーション結果が得られる可能性がある。
特開2005−34843号公報
物質の形状の変化を適切に計算することが可能が形状シミュレーション装置、形状シミュレーション方法、および形状シミュレーションプログラムを提供する。
一の実施形態によれば、形状シミュレーション装置は、物質の形状の計算領域を複数のセルに分割し、前記物質の形状を、所定量の前記物質で充填された充填セルと、前記所定量の前記物質で充填されていない空間セルとにより表現する分割部を備える。さらに、前記装置は、前記計算領域内の対象セルの充填速度を、前記対象セルに隣接する複数の隣接セルの加工速度に基づいて計算する計算部を備える。さらに、前記計算部は、前記複数の隣接セルの加工速度に基づいて、前記対象セルの充填速度に寄与する各隣接セルの寄与速度を計算する寄与速度計算部を備える。さらに、前記計算部は、前記複数の隣接セルの寄与速度に基づいて、前記対象セルの充填速度を計算する充填速度計算部を備える。さらに、前記対象セルの各隣接セルの寄与速度は、前記対象セルの他の隣接セルが、前記物質の充填率が第1範囲に属する第1セルであるか、前記物質の充填率が前記第1範囲と異なる第2範囲に属する第2セルであるかに依存する。
第1実施形態の形状シミュレーション方法の計算領域について説明するための図である。 第1実施形態の形状シミュレーション方法の手順を説明するための図である。 第1実施形態の比較例の形状シミュレーション方法の第1の問題点を説明するための図である。 第1実施形態の比較例の形状シミュレーション方法の第2の問題点を説明するための図である。 第1実施形態の形状シミュレーション方法における各対象セルの隣接セルの標準的なタイプを説明するための図(1/2)である。 第1実施形態の形状シミュレーション方法における各対象セルの隣接セルの標準的なタイプを説明するための図(2/2)である。 第1実施形態の形状シミュレーション方法における各対象セルの隣接セルの変則的なタイプを説明するための図である。 第1実施形態の形状シミュレーション方法の手順を示したフローチャート図である。 図8のステップS4の詳細を示したフローチャート図である。 第2実施形態の形状シミュレーション方法の計算領域について説明するための図である。 第2実施形態の形状シミュレーション方法の手順を説明するための図(1/4)である。 第2実施形態の形状シミュレーション方法の手順を説明するための図(2/4)である。 第2実施形態の形状シミュレーション方法の手順を説明するための図(3/4)である。 第2実施形態の形状シミュレーション方法の手順を説明するための図(4/4)である。 第2実施形態の形状シミュレーション方法の第1の利点を説明するための平面図である。 第2実施形態の形状シミュレーション方法の第2の利点を説明するための平面図である。 第3実施形態の形状シミュレーション装置の構成を示す外観図である。 図17の制御部の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の形状シミュレーション方法の計算領域について説明するための図である。本実施形態の形状シミュレーション方法は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどの情報処理装置により実行される。
本実施形態においては、図1(a)に示すように、物質の形状の計算領域1を複数のセル2に分割し、物質の形状を、所定量の物質で充填された充填セル2aと、所定量の物質で充填されていない空間セル2bとにより表現する。そして、本実施形態においては、充填セル2aと空間セル2bの分布の変化を計算することで、物質の形状の変化を計算する。このように、本実施形態の形状シミュレーション方法は、セル法により行われる。
本実施形態の計算領域1は、2次元領域である。本実施形態の計算領域1は例えば、素子領域、素子分離領域、ゲート導電体、ワード線、ビット線などのように、帯状の平面形状を有する構造物の加工をシミュレートする場合に使用される。
本実施形態の各セル2の形状は、正方形である。符号Wは、各セル2の縦幅および横幅を示す。なお、各セル2の形状は、正方形以外でもよい。
図1(a)は、16(4×4)個のセル2を示している。これらは、計算領域1内の一部のセル2に相当する。計算領域1内のセル2の個数は、形状シミュレーションの計算精度と計算時間とを考慮して任意に設定可能である。
本実施形態の形状シミュレーション方法は、堆積やエッチングなど、物質の種々の加工をシミュレートすることができる。以下、本実施形態の形状シミュレーション方法を堆積処理に適用する場合について説明する。
各充填セル2aは、変数として堆積速度Rを有する。堆積速度Rは、単位時間あたりに既存の物質領域の単位表面に新たに堆積される物質の量を表す。本実施形態の堆積速度Rは、形状シミュレーションの時間ステップΔtあたりに各充填セル2a上に堆積される物質の量に設定される。なお、後述するように、各セル2に物質が充填される速度(充填速度)は、各セル2に隣接する隣接セル2の堆積速度Rに依存する。
本実施形態の堆積速度Rは、加工速度の例である。本実施形態の形状シミュレーション方法をエッチング処理に適用する場合には、加工速度として堆積速度Rの代わりにエッチング速度が使用される。本実施形態においては、堆積速度Rを正の値に設定し、エッチング速度を負の値に設定する。なお、本実施形態の形状シミュレーション方法は、加工速度として堆積速度Rとエッチング速度との和を使用することで、堆積とエッチングとが同時に進行する処理にも適用可能である。
各空間セル2bは、変数として、各空間セル2b内の物質の充填率Pを有する。充填率Pは、各空間セル2bの容積に占める物質の容積の割合を示す。本実施形態の各空間セル2bの充填率Pは、0以上1未満の値を取り得る(0≦P<1)。充填率Pが0の空間セル2bは、物質をまったく含んでいない。また、充填率Pが0.5の空間セル2bは、その容積の半分が物質で占められている。
空間セル2b内の物質が堆積処理により増加すると、この空間セル2bの充填率Pが増加する。そして、この空間セル2bの充填率Pが1に到達すると、この空間セル2bは充填セル2aに変化する。このように、充填セル2aは充填率Pが1のセル2であり、空間セル2bは充填率Pが1未満のセル2である。別言すると、充填セル2aは、充填率Pが1となる量の物質で充填されたセル2であり、空間セル2bは、充填率Pが1となる量の物質で充填されていないセル2である。
なお、空間セル2b内の物質がエッチング処理により減少した場合、この空間セル2bの充填率Pは減少する。また、充填セル2a内の物質がエッチング処理により減少した場合、この充填セル2aは、1未満の充填率Pを有する空間セル2bに変化する。
充填セル2aと空間セル2bの充填率Pの閾値は、1未満の値でもよい。例えば、充填率Pの閾値は0.5としてもよい。この場合、充填率Pが0以上0.5未満のセル2は、空間セル2bとなり(0≦P<0.5)、充填率Pが0.5のセル2は、充填セル2aとなる(P=0.5)。この場合、充填セル2aは、充填率Pが0.5となる量の物質で充填されたセル2であり、空間セル2bは、充填率Pが0.5となる量の物質で充填されていないセル2である。
また、この場合には、充填率Pの変域を「0≦P≦0.5」に制限してもよいし、充填率Pの変域を「0≦P≦1」に設定してもよい。後者の場合、充填セル2aも変数として充填率Pを有することにすれば、充填セル2aは、充填率Pが0.5以上1以下のセル2となる(0.5≦P≦1)。この場合、あるセル2の充填率Pが0.5に到達してこのセル2が空間セル2bから充填セル2aに変化した場合には、このセル2の充填率Pはその後も1に到達するまで上昇を続ける。
図1(a)の左側の計算領域1は、図1(a)の右側の構造物を表している。この構造物は、基板3と、基板3上に形成された堆積膜4とを備えている。図1(a)の左側の符号Laは、充填セル2aと空間セル2bとの境界を示す。図1(a)の右側の符号Saは、堆積膜4の表面を示す。境界Laは直線であり、これは表面Saが平坦面であることを表している。
図1(b)は、本実施形態の計算領域1の別の例を示す。図1(b)の境界Lbは、凸型の曲線である。これは、図1(b)の表面Sbが凸面であることを表している。符号4aは、堆積膜4に設けられた凸部を示す。
図1(c)は、本実施形態の計算領域1の別の例を示す。図1(c)の境界Lcは、凹型の曲線である。これは、図1(c)の表面Scが凹面であることを表している。符号4bは、堆積膜4に設けられた凹部を示す。
図1(a)〜図1(c)は、基板3の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板3の表面に垂直なZ方向を示している。図1(b)の凸部4aや図1(c)の凹部4bは、Y方向に延びる帯状の平面形状を有している。本明細書においては、+Z方向を上方向として取り扱い、−Z方向を下方向として取り扱う。例えば、基板3と堆積膜4との位置関係は、基板3が堆積膜4の下方に位置していると表現される。なお、−Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。
図2は、第1実施形態の形状シミュレーション方法の手順を説明するための図である。
図2(a)は、時間t0における計算領域1を示している。図2(a)の1段目の4つのセル2は、堆積速度Rが0.7の充填セル2aである。図2(a)の2段目の4つのセル2は、充填率Pが0.4の空間セル2bである。符号L1は、充填セル2aと空間セル2bとの境界を示す。符号S1は、境界L1に対応する堆積膜4の表面を示す。図2(a)では、1段目の充填セル2aに物質が堆積されることで、2段目の空間セル2bに物質が充填され、2段目の空間セル2bの充填率Pが増加する。
ここで、各空間セル2bの充填速度ΔPについて説明する。充填速度ΔPは、単位時間あたりに各空間セル2bに充填される物質の量を表す。本実施形態の充填速度ΔPは、形状シミュレーションの時間ステップΔtあたりに各空間セル2bに充填される物質の量に設定される。
本実施形態においては、単位時間あたりにある空間セル2bの充填率Pが0から1に変化する場合、この空間セル2bの充填速度ΔPを1に設定する。これは、1つの空間セル2bの充填率Pが0から1に変化する物質の量を1に設定することに相当する。すなわちこれは、1つの充填セル2a内の物質の量を1に設定することに相当する。
よって、ある空間セル2bの充填率Pが、時間t0と時間t0+Δtとの間にP(t0)からP(t0+Δt)に変化する場合、この空間セル2bの充填速度ΔPは、次の式(1)で与えられる。
ΔP=P(t0+Δt)−P(t0) ・・・(1)
本実施形態においては、各空間セル2bの充填速度ΔPが、各空間セル2bに隣接する充填セル2aの堆積速度Rにより決定される。例えば、図2(a)の空間セルC2の充填速度ΔPは、充填セルC1の堆積速度Rにより決定される。具体的には、充填セルC1の堆積速度Rが0.7であるため、空間セルC2の充填速度ΔPが0.7に決定される。これは、充填セルC1の表面に堆積量0.7の物質が堆積され、空間セルC2内にこの堆積量0.7の物質が入り込んできたことに相当する。
よって、図2(a)の2段目の各空間セル2bの充填速度ΔPは、0.7となる。しかしながら、2段目の各空間セル2bの充填率Pは0.4であるため、2段目の各空間セル2bの充填率Pは0.6だけ増加し、2段目の各空間セル2bの充填率Pは1に変化する(図2(b))。その結果、2段目の各空間セル2bは、時間t0と時間t0+Δtとの間に充填セル2aに変化する(図2(c))。図2(c)は、境界L1が境界L2に変化し、堆積膜4の表面S1が表面S2に変化した様子を示している。図2(c)はさらに、2段目の各充填セル2aの堆積速度Rが新たに0.5に設定された様子を示している。
なお、本実施形態の堆積速度Rは、充填速度ΔPと同じ規則により設定される。具体的には、1つの充填セル2aが単位時間あたりに1つの空間セル2bの充填率Pを0から1に変化させる場合、この充填セル2aの堆積速度Rを1に設定する。よって、上述の図2(a)の説明において、充填セルC1の堆積速度Rが0.7であると、空間セルC2の充填速度ΔPも0.7に設定される。
また、本実施形態は堆積処理に適用されるため、各空間セル2bの充填率Pは時間経過と共に増加し、各空間セル2bの充填速度ΔPは正の値となる。一方、本実施形態をエッチング処理に適用する場合には、各空間セル2bの充填率Pは時間経過と共に減少し、各空間セル2bの充填速度ΔPは負の値となる。
なお、充填セル2aと空間セル2bの分布が図2(a)の分布よりも複雑な場合、本実施形態の充填速度ΔPの計算方法はより複雑になる。本実施形態の充填速度ΔPの計算方法の詳細については、後述する。
(1)第1実施形態の比較例の形状シミュレーション方法の問題点
図3は、第1実施形態の比較例の形状シミュレーション方法の第1の問題点を説明するための図である。
図3(a)は、時間t0における計算領域1を示しており、計算領域1内の9個のセル2を示している。これらのセル2は、充填セル2aである2個のセルC5、C8と、空間セル2bである7個のセルC1〜C4、C6、C7、C9を含んでいる。セルC5、C8の堆積速度Rは1である。セルC1〜C4、C6、C7、C9の充填率Pは0である。図3(a)の左側の計算領域1は、図3(a)の右側のように凸部4aを有する堆積膜4を表している。
図3(a)の計算領域1は、時間ステップΔtの間に図3(b)のように変化する。図3(b)は、時間t0+Δtにおける計算領域1を示している。図3(b)では、5個のセルC2、C4、C6、C7、C9が空間セル2bから充填セル2aへと変化している。図3(b)の左側の計算領域1は、図3(b)の右側に示すような凸部4aを表している。符号E1、E2はそれぞれ、空間セル2bであるセルC1、C3に対応する領域を示している。セルC1、C3の充填率Pは0である。
しかしながら、実際の半導体製造工程においては、図3(a)の凸部4aは、時間ステップΔtの間に図3(c)のように変化すると考えられる。図3(c)の領域E1、E2は、堆積膜4を部分的に含んでいる。
このように領域E1、E2が堆積膜4を部分的に含む構造物は、計算領域1上では表現できない。しかしながら、堆積膜4を部分的に含む領域E1、E2は、0よりも大きい充填率Pを有するセルC1、C3に対応すると解釈すると、図3(c)の右側の凸部4aは、図3(c)の左側の計算領域1に対応すると考えられる。図3(c)では、領域E1、E2内の堆積膜4の断面形状が円の1/4であるため、セルC1、C3の充填率Pはπ/4となっている。
図3(a)の計算領域1は、時間ステップΔtの間に図3(c)のように変化することが望ましい。しかしながら、比較例の形状シミュレーション方法によれば、図3(a)の計算領域1は図3(b)のように変化してしまう。このように、比較例の形状シミュレーション方法においては、凸部4aを有する堆積膜4の変化が過少評価されてしまう。理由は、領域E1、E2への堆積量が過少であるからである。
図4は、第1実施形態の比較例の形状シミュレーション方法の第2の問題点を説明するための図である。
図4(a)は、時間t0における計算領域1を示しており、計算領域1内の9個のセル2を示している。これらのセル2は、充填セル2aである7個のセルC1、C3、C4、C6〜C9と、空間セル2bである2個のセルC2、C5を含んでいる。セルC1、C3、C4、C6、C8の堆積速度Rは1/3である。セルC2、C5の充填率Pは0である。図4(a)の左側の計算領域1は、図4(a)の右側のように凹部4bを有する堆積膜4を表している。
図4(a)の計算領域1は、時間ステップΔtの間に図4(b)のように変化する。図4(b)は、時間t0+Δtにおける計算領域1を示している。図4(b)では、セルC5の充填速度ΔPがセルC4、C6、C8の充填速度Rの和となり、セルC5の充填率Pが0から1に変化した結果、セルC5が空間セル2bから充填セル2aに変化している。符号E3、E4はそれぞれ、空間セル2bであるセルC2に対応する領域と、充填セル2aであるセルC5に対応する領域とを示している。セルC2の充填率Pは2/3である。
図4(b)の左側の計算領域1は、図4(b)の右側に示すような凹部4bを表している。ただし、0よりも大きい充填率Pを有するセルC2は、堆積膜4を部分的に含む領域E3を表すと解釈している。符号D1、D2はそれぞれ、時間ステップΔtの間に凹部4bの側面および底面に新たに堆積された堆積膜4の膜厚を示す。図4(b)では、膜厚D2は膜厚D1よりも厚い(D2>D1)。
しかしながら、実際の半導体製造工程においては、図4(a)の凹部4bは、時間ステップΔtの間に図4(c)のように変化すると考えられる。図4(c)では、膜厚D2は膜厚D1に等しい(D2=D1)。よって、図4(c)の領域E4は、堆積膜4を部分的に含んでおり、図4(c)のセルC5は、充填率Pが7/9の空間セル2bである。
図4(a)の計算領域1は、時間ステップΔtの間に図4(c)のように変化することが望ましい。しかしながら、比較例の形状シミュレーション方法によれば、図4(a)の計算領域1は図4(b)のように変化してしまう。このように、比較例の形状シミュレーション方法においては、凹部4bを有する堆積膜4の変化が過大評価されてしまう。理由は、領域E4への堆積量が過大であるからである。
なお、本実施形態の形状シミュレーション方法をエッチングに適用する場合にも同様の問題が生じる。例えば、本実施形態を凸部4aのエッチングに適用すると、凸部4aを形成する堆積膜4の減少量が過大となってしまう。具体的には、凸部4aの角部のエッチング量が過大となってしまう。一方、本実施形態を凹部4bのエッチングに適用すると、凹部4bを形成する堆積膜4の減少量が過少となってしまう。具体的には、凹部4bの角部のエッチング量が過少となってしまう。
(2)第1実施形態の形状シミュレーション方法の詳細
図5および図6は、第1実施形態の形状シミュレーション方法における各対象セルの隣接セルの標準的なタイプを説明するための図である。
図5(a)〜図6(b)の各々は、充填速度ΔPを計算する対象のセル2である1つの対象セルと、対象セルに隣接するセル2である8つの隣接セルとを示している。対象セルは、符号Cで示されている。本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPは、これらの隣接セルの堆積速度Rに依存する。よって、本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPは、これらの隣接セルの堆積速度Rに基づいて計算される。
対象セルCの隣接セルは、対象セルCと辺を共有する4つの第1隣接セルと、対象セルCと角を共有する4つの第2隣接セルとを含んでいる。図5(a)〜図6(b)は、これらの第1隣接セルを符号C1〜C4で示している。図6(a)は、これらの第2隣接セルの1つを符号C5で示している。各第1隣接セルは、対象セルCと第1距離Wで隣接している。各第2隣接セルは、対象セルCと第2距離21/2×Wで隣接している。ただし、21/2は2の平方根を示す。第1および第2距離は、セル2同士の中心間の距離を示す。
なお、図3(a)〜図4(c)の比較例の形状シミュレーション方法においては、対象セルCの充填速度ΔPは、4つの第1隣接セルの堆積速度Rに基づいて計算されている。一方、本実施形態においては、対象セルCの充填速度ΔPは、8つの第1および第2隣接セルの堆積速度Rに基づいて計算される。
また、図3(a)〜図4(c)の比較例の形状シミュレーション方法においては、各隣接セルの堆積速度Rの100%が、対象セルCの充填速度ΔPに寄与する。例えば、図4(a)に示すセルC5の充填速度ΔPは1であり、これはセルC4の堆積速度R(=1/3)の100%と、セルC6の堆積速度R(=1/3)の100%と、セルC8の堆積速度R(=1/3)の100%との和である。
一方、本実施形態においては、各隣接セルの堆積速度Rの100%が対象セルCの充填速度ΔPに寄与するとは限らない。例えば、2つの隣接セルの堆積速度Rの大きい方が充填速度ΔPに寄与し、2つの隣接セルの堆積速度Rの小さい方が充填速度ΔPに寄与しない場合がある。この場合、前者の隣接セルの堆積速度Rの100%と、後者の隣接セルの堆積速度Rの0%が、対象セルCの充填速度ΔPに寄与している。
そこで、本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPを計算する際には、対象セルCの隣接セルの堆積速度Rに基づいて、対象セルCの充填速度ΔPに寄与する各隣接セルの寄与速度を計算し、これらの隣接セルの寄与速度に基づいて、対象セルCの充填速度ΔPを計算する。各隣接セルの寄与速度は、堆積速度Rの100%となる場合もあるし、堆積速度Rの0%となる場合もある。本実施形態の対象セルCの各隣接セルの寄与速度は、図5(a)〜図6(b)を参照して説明するように、対象セルCの他の隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存する。
充填セル2aは、充填率Pが第1範囲に属する第1セルの例である。本実施形態の第1範囲は、P=1である。空間セル2bは、充填率Pが第1範囲と異なる第2範囲に属する第2セルの例である。本実施形態の第2範囲は、0≦P<1である。
なお、第1隣接セルの寄与速度については、適宜「第1寄与速度」と呼ぶ。また、第2隣接セルの寄与速度については、適宜「第2寄与速度」と呼ぶ。本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPは、第1および第2寄与速度に基づいて計算される。
図5(a)は、TYPE1の隣接セルを示す。図5(a)においては、セルC1が充填セル2aであり、セルC1に隣接するセルC2、C3が空間セル2bである。セルC1に対向するセルC4は、充填セル2aでも空間セル2bでもよい。4つの第2隣接セルも、充填セル2aでも空間セル2bでもよい。この場合、対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(2)で与えられる。
ΔP=R1 ・・・(2)
ただし、R1はセルC1の堆積速度を表す。式(2)は、セルC1の寄与速度が、セルC1の堆積速度R1の100%であることを意味する。なお、図5(a)の充填速度ΔPは、セルC4やこれに隣接する2つの第2隣接セルにも依存する。これについては、図7(a)および図7(b)を参照して後述する。
図5(b)は、TYPE2の隣接セルを示す。図5(b)においては、互いに隣接するセルC1、C2が充填セル2aであり、セルC3、C4が空間セル2bである。4つの第2隣接セルは、充填セル2aでも空間セル2bでもよい。この場合、対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(3)で与えられる。
ΔP=max[R1,R2] ・・・(3)
ただし、R2はセルC2の堆積速度を表す。図5(b)の充填速度ΔPは、堆積速度R1、R2の大きい方に一致する。これは、例えばR1がR2よりも大きい場合、セルC1の寄与速度が堆積速度R1の100%であり、セルC2の寄与速度が堆積速度R2の0%であることを意味する。別言すると、これは、セルC1、C2の合計寄与速度が、堆積速度R1、R2の和とはならず、堆積速度R1、R2の大きい方となることを意味する。なお、図5(b)の充填速度ΔPは、セルC3、C4に隣接する1つの第2隣接セルにも依存する。これについては、図7(a)および図7(b)を参照して後述する。
図5(c)は、TYPE3の隣接セルを示す。図5(c)においては、セルC1が充填セル2aであり、セルC1に隣接するセルC2、C3も充填セル2aである。セルC1に対向するセルC4は、空間セル2bである。4つの第2隣接セルは、充填セル2aでも空間セル2bでもよい。この場合、対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(4)で与えられる。
ΔP=max[R1,R2+R3] ・・・(4)
ただし、R3はセルC3の堆積速度を表す。図5(c)の充填速度ΔPは、R1とR2+R3との大きい方に一致する。これは、R1がR2+R3よりも大きい場合には、セルC1の寄与速度が堆積速度R1の100%であり、セルC2、C3の寄与速度がそれぞれ堆積速度R2、R3の0%であることを意味する。一方、R1がR2+R3よりも小さい場合には、セルC1の寄与速度が堆積速度R1の0%であり、セルC2、C3の寄与速度がそれぞれ堆積速度R2、R3の100%であることを意味する。別言すると、これは、セルC1、C2、C3の合計寄与速度が、堆積速度R1、R2、R3の和とはならず、R1とR2+R3との大きい方となることを意味する。
本実施形態においては、TYPE2、3の計算方法を使用することで、図4(a)〜図4(c)の凹部4bの加工をシミュレートする場合における充填速度ΔPの計算精度を向上させることができる。例えば、TYPE2の充填速度ΔPは、堆積速度R1、R2の和ではなく堆積速度R1、R2の大きい方となるため、凹部4bを有する堆積膜4の変化の過大評価を改善することが可能となる。
図6(a)は、TYPE4の隣接セルを示す。図6(a)においては、互いに隣接するセルC1、C2が空間セル2bであり、セルC1、C2に隣接するセルC5(第2隣接セル)が充填セル2aである。その他の隣接セルは、充填セル2aでも空間セル2bでもよい。この場合、対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(5)で与えられる。
ΔP=R5×π/4 ・・・(5)
ただし、R5はセルC5の堆積速度を表す。係数π/4は、1よりも小さい正の定数の例である。π/4の近似値は、0.785である。よって、式(5)は、セルC5の寄与速度が、セルC5の堆積速度R5の78.5%であることを意味する。なお、図6(a)の充填速度ΔPは、セルC1、C2、C5以外の隣接セルにも依存する。これについては、図7(a)および図7(b)を参照して後述する。
本実施形態においては、TYPE4の計算方法を使用することで、図3(a)〜図3(c)の凸部4aの加工をシミュレートする場合における充填速度ΔPの計算精度を向上させることができる。例えば、TYPE4の充填速度ΔPは、0ではなくR5×π/4となるため、凸部4aを有する堆積膜4の変化の過少評価を改善することが可能となる。
なお、TYPE4の対象セルCは、図3(c)のセルC1やセルC3に対応している。本実施形態においては、TYPE4の充填速度ΔPを、R5ではなくR5×π/4に設定する。これにより、図3(c)のように堆積膜4を部分的に含む領域E1、E2が形成される過程を、より正確にシミュレートすることが可能となる。また、式(5)の係数π/4は、1よりも小さい別の正の定数に置き換えてもよい。
図6(b)は、セルC1〜C4がすべて充填セル2aである場合を示す。4つの第2隣接セルは、充填セル2aでも空間セル2bでもよい。この場合、対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(6)で与えられる。
ΔP=0 ・・・(6)
式(6)は、セルC1〜C4の寄与速度がそれぞれ、セルC1〜C4の堆積速度R1〜R4の0%であることを意味する。別言すると、これは、セルC1〜C4の合計寄与速度が、堆積速度R1〜R4の和とはならず、0となることを意味する。これは、対象セルCが4つの充填セル2aで囲まれているため、対象セルCに物質が到達せず、対象セルCの充填率Pが増加しないことを表している。
以上のように、本実施形態の対象セルCの各隣接セルの寄与速度は、対象セルCの他の隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。
具体的には、各第1隣接セルの寄与速度は、対象セルCの他の第1隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。例えば、セルC1の寄与速度は、セルC2、C3が空間セル2bである場合には、堆積速度R1の100%となる(図5(a))。また、セルC1の寄与速度は、セルC2、C3が充填セル2aであり、セルC4が空間セル2bである場合には、堆積速度R1の100%または0%となる(図5(c))。また、セルC1の寄与速度は、セルC2〜C4が充填セル2aである場合には、堆積速度R1の0%となる(図6(b))。
一方、各第2隣接セルの寄与速度は、各第2隣接セルに隣接する第1隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。例えば、セルC5(第2隣接セル)の寄与速度は、セルC5に隣接するセルC1、C2(第1隣接セル)が空間セル2bである場合には、堆積速度R5の78.5%となる(図6(a))。また、セルC5の寄与速度は、セルC1、C2の少なくとも一方が充填セル2aである場合には、堆積速度R5の0%となる(図5(a)〜図5(c)、図6(b))。なお、本実施形態の各第2隣接セルの寄与速度は、対象セルCの他の第2隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかには依存しない。
図7は、第1実施形態の形状シミュレーション方法における各対象セルの隣接セルの変則的なタイプを説明するための図である。
図7(a)は、対象セルCと、対象セルCの第1隣接セルであり、互いに隣接するセルC1、C2とを示している。セルC1、C2はそれぞれ、堆積速度R1、R2を有する充填セル2aである。一方、対象セルCのその他の第1隣接セルは、空間セル2bである。
この場合、対象セルCの充填速度ΔPは、図7(a)の計算領域1を2つのTYPE1の合成であるとみなして計算される。よって、対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(7)で与えられる。
ΔP=R1+R2 ・・・(7)
式(7)は、セルC1、C2の寄与速度がそれぞれ、セルC1、C2の堆積速度R1、R2の100%であることを意味する。別言すると、これは、セルC1、C2の合計寄与速度が、堆積速度R1、R2の和となることを意味する。
図7(b)は、対象セルCと、対象セルCの第1隣接セルであるセルC1と、対象セルCの第2隣接セルであり、セルC1と隣接しないセルC2とを示している。セルC1、C2はそれぞれ、堆積速度R1、R2を有する充填セル2aである。一方、対象セルCのその他の第1隣接セルは、空間セル2bである。
この場合、対象セルCの充填速度ΔPは、図7(b)の計算領域1がTYPE1およびTYPE4の合成であるとみなして計算される。よって、対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(8)で与えられる。
ΔP=R1+R2×π/4 ・・・(8)
式(8)は、セルC1の寄与速度が堆積速度R1の100%であり、セルC2の寄与速度が堆積速度R2の78.5%であることを意味する。
なお、本実施形態の形状シミュレーション方法を堆積処理に適用する場合には、対象セルCは、充填率Pが0以上かつ1よりも小さいセル2となる(0≦P<1)。よって、本実施形態を堆積処理に適用する場合には、対象セルCは空間セル2bである。一方、本実施形態の形状シミュレーション方法をエッチング処理に適用する場合には、対象セルCは、充填率Pが0よりも大きくかつ1以下のセル2となる(0<P≦1)。よって、本実施形態をエッチング処理に適用する場合には、対象セルCは、充填セル2aまたは充填率Pが0以外の空間セル2bである。
また、本実施形態をエッチング処理に適用する場合には、充填率Pが0の空間セル2bが、変数としてエッチング速度を有する。さらに、図5AのセルC1、図5BのセルC1、C2、図5CのセルC1〜C3、図6AのセルC5、図6BのセルC1〜C4は、充填率Pが0の空間セル2bに置き換わる。さらに、図5AのセルC2、C3、図5BのセルC3、C4、図5CのセルC4、図6AのセルC1、C2は、充填セル2aまたは充填率Pが0以外の空間セル2bに置き換わる。
本実施形態をエッチング処理に適用する場合、充填率Pが0の空間セル2bは、充填率Pが第1範囲に属する第1セルの例である。この場合の第1範囲は、P=0である。さらに、充填セル2aまたは充填率Pが0以外の空間セル2bは、充填率Pが第1範囲と異なる第2範囲に属する第2セルの例である。この場合の第2範囲は、0<P≦1である。
なお、第1セル、第2セル、第1範囲、第2範囲は、上述の堆積処理やエッチング処理の場合とは異なる条件で設定してもよい。
(3)第1実施形態の形状シミュレーション方法の手順
図8は、第1実施形態の形状シミュレーション方法の手順を示したフローチャート図である。
本実施形態の形状シミュレーション方法ではまず、物質の初期形状を情報処理装置に入力する(ステップS1)。本実施形態の情報処理装置は、例えば図2(a)に示すように、物質の形状の計算領域1を複数のセル2に分割し、物質の初期形状を、物質で充填された充填セル2aと、物質で充填されていない空間セル2bとにより表現する。ステップS1の処理を行うブロックは、分割部の例である。
ステップS1においては、各空間セル2bの充填率Pも設定される。各空間セル2bの充填率Pは、ユーザが情報処理装置に入力してもよいし、物質の初期形状などに基づいて情報処理装置が自動的に設定してもよい。
次に、各セル2に到達する反応種のフラックスを計算する(ステップS2)。反応種の例は、イオンや分子である。本実施形態の形状シミュレーション方法は堆積処理に適用されるため、反応種は堆積種である。一方、本実施形態の形状シミュレーション方法をエッチング処理に適用する場合には、反応種はエッチング種である。
次に、反応種のフラックスに基づいて、各充填セル2aの堆積速度Rを計算する(ステップS3)。各充填セル2aの堆積速度Rは、例えば図2(a)のように計算される。本実施形態の形状シミュレーション方法をエッチング処理に適用する場合には、堆積速度Rの代わりにエッチング速度が計算される。
次に、物質の形状、すなわち、充填セル2aと空間セル2bの分布を変化させる形状変化処理を実行する(ステップS4)。具体的には、時間t0における充填セル2aの堆積速度Rに基づいて、時間t0における各空間セル2bの充填速度ΔPを計算し、時間t0における各空間セル2bの充填速度ΔPに基づいて、時間t0+Δtにおける各空間セル2bの充填率Pを計算する。この際、充填率Pが1に到達した空間セル2bは、図2(c)のように充填セル2aに変更される。ステップS4の処理を行うブロックは、計算部の例である。
次に、予め設定したプロセス時間が経過したか否かを判定する(ステップS5)。プロセス時間が終了した場合には、物質の最終形状を出力し(ステップS6)、シミュレーションが終了する。プロセス時間が終了していない場合には、ステップS2に戻る。
図9は、図8のステップS4の詳細を示したフローチャート図である。図9の説明中においては、図5(a)〜図7(b)に示す符号を適宜使用する。
まず、1つの対象セルCを選択する(ステップS11)。次に、対象セルCの4つの第1隣接セルに含まれる空間セル2bの個数Npvを算出する(ステップS12)。以下、この個数Npvを第1空間セル数と呼ぶ。
第1空間セル数Npvが0である場合(ステップS13)、対象セルCの隣接セルは、図6(b)に示す分布を有する。よって、この場合の対象セルCの充填速度ΔPは0である。
一方、第1空間セル数Npvが4である場合(ステップS14)、対象セルCの隣接セルは、図6(a)に示す分布を有する可能性がある。この場合には、対象セルCの4つの第2隣接セルに含まれる空間セル2bの個数Ncvを算出する(ステップS15)。以下、この個数Ncvを第2空間セル数と呼ぶ。
第1空間セル数Npvが4である場合に、第2空間セル数Ncvが4である場合には(ステップS16)、対象セルCの隣接セルは、すべて空間セル2bである。よって、この場合の対象セルCの充填速度ΔPは0である。
一方、第1空間セル数Npvが4である場合に、第2空間セル数Ncvが4未満である場合には(ステップS16)、対象セルCの隣接セルは、TYPE4の分布を有する(ステップS21)。具体的には、第2空間セル数Ncvが4−Kの場合には(Kは1〜4の整数)、対象セルCは、K個のTYPE4を合成した分布となる。よって、この場合の対象セルCの充填速度ΔPは、K個の第2隣接セルの寄与速度の和となる。
第1空間セル数Npvが3である場合には(ステップS17)、対象セルCの隣接セルは、TYPE1の分布を有する(ステップS22)。よって、この場合の対象セルCの充填速度ΔPは、図5(a)の符号により表現すると、R1となる。
第1空間セル数Npvが2である場合には(ステップS18)、対象セルCの4つの第1隣接セルは、2つの充填セル2aを含んでいる。
これらの充填セル2aが互いに隣接する場合には(ステップS19)、対象セルCの隣接セルは、TYPE2の分布を有する(ステップS23)。よって、この場合の対象セルCの充填速度ΔPは、図5(b)の符号により表現すると、max[R1,R2]となる。
一方、これらの充填セル2aが互いに対向する場合には(ステップS19)、対象セルCの隣接セルは、2つのTYPE1を合成した分布となる(ステップS24)。よって、この場合の対象セルCの充填速度ΔPは、図7(a)の符号により表現すると、R1+R2となる。
第1空間セル数Npvが1である場合には(ステップS17)、対象セルCの隣接セルは、TYPE3の分布を有する(ステップS25)。よって、この場合の対象セルCの充填速度ΔPは、図5(c)の符号により表現すると、max[R1,R2+R3]となる。
なお、TYPE1は、1個または2個のTYPE4と合成される可能性がある(図7(b)を参照)。また、TYPE2は、1個のTYPE4と合成される可能性がある。よって、本実施形態においては、ステップS22、S23の後に、ステップS21と同様の処理を実行する。
ステップS21〜S25が終了すると、対象セルCを充填する(ステップS31)。すなわち、対象セルCの充填速度ΔPに基づいて、対象セルCの充填率Pを変更する。
ステップS11〜S26の処理は、計算領域1内のすべてのセル2(堆積処理を取り扱う場合には、すべての空間セル2b)について実行される(ステップS31)。最後に、充填率Pが1に到達した対象セルCは、空間セル2bから充填セル2aに変更される(ステップS32)。
ステップS21〜S25の処理を行うブロックは、寄与速度計算部および充填速度計算部の例である。例えば、図7(b)の計算領域1において、セルC1の寄与速度R1やセルC2の寄与速度R2×π/4は、寄与速度計算部により計算される。この場合、対象セルCの充填速度ΔPは、充填速度計算部によりΔP=R1+R2×π/4と計算される。
また、図5(b)の計算領域1において、セルC1、C2の寄与速度は、max[R1,R2]の式で寄与速度計算部により計算される。例えば、R1がR2よりも大きい場合、セルC1の寄与速度R1とセルC2の寄与速度0が、寄与速度計算部により計算される。この場合、対象セルCの充填速度ΔPは、充填速度計算部によりΔP=R1と計算される。
以上のように、本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPを計算する際には、対象セルCの隣接セルの堆積速度Rに基づいて、対象セルCの充填速度ΔPに寄与する各隣接セルの寄与速度を計算し、これらの隣接セルの寄与速度に基づいて、対象セルCの充填速度ΔPを計算する。また、本実施形態の対象セルCの各隣接セルの寄与速度は、対象セルCの他の隣接セルが充填セル2a(第1セル)であるか空間セル2b(第2セル)であるかに依存するように設定される。
よって、本実施形態によれば、物質が凸部や凹部などの計算精度を低下させる形状を含む場合にも、物質の形状の変化を適切に計算することが可能となる。例えば、本実施形態によれば、凸部の変化の過少評価や凹部の変化の過大評価を改善することが可能となる。
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態の形状シミュレーション方法の計算領域について説明するための図である。
図10(a)は、複数のセル2を有する計算領域1を示している。本実施形態の計算領域1は、3次元領域であり、本実施形態の各セル2の形状は、立方体である。符号Wは、各セル2の1辺の長さを示す。なお、各セル2の形状は、立方体以外でもよい。
図10(a)は、27(3×3×3)個のセル2を示している。これらは、計算領域1内の一部のセル2に相当する。計算領域1内のセル2の個数は、形状シミュレーションの計算精度と計算時間とを考慮して任意に設定可能である。
本実施形態の形状シミュレーション方法は、第1実施形態と同様に、セル法により行われる。本実施形態の形状シミュレーション方法は、堆積やエッチングなど、物質の種々の加工をシミュレートすることができる。以下、本実施形態の形状シミュレーション方法を堆積処理に適用する場合について説明する。
本実施形態のセル2は、第1実施形態と同様に、充填セル2aと空間セル2bとを含んでいる。各充填セル2aは、変数として堆積速度Rを有する。各空間セル2bは、変数として充填率Pを有する。
図10(a)は、1個の対象セルCと、対象セルCに隣接する26個の隣接セルとを示している。本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPは、これらの隣接セルの堆積速度Rに依存する。よって、本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPは、これらの隣接セルの堆積速度Rに基づいて計算される。
対象セルCの隣接セルは、対象セルCと面を共有する6個の第1隣接セルと、対象セルCと辺を共有する12個の第2隣接セルと、対象セルCと角を共有する8個の第3隣接セルとを含んでいる。各第1隣接セルは、対象セルCと第1距離Wで隣接している。各第2隣接セルは、対象セルCと第2距離21/2×Wで隣接している。各第3隣接セルは、対象セルCと第3距離31/2×Wで隣接している。ただし、31/2は3の平方根を示す。第1から第3距離は、セル2同士の中心間の距離を示す。
また、本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPを計算する際には、第1実施形態と同様に、対象セルCの隣接セルの堆積速度Rに基づいて、対象セルCの充填速度ΔPに寄与する各隣接セルの寄与速度を計算し、これらの隣接セルの寄与速度に基づいて、対象セルCの充填速度ΔPを計算する。本実施形態の対象セルCの各隣接セルの寄与速度は、対象セルCの他の隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存する。
なお、第1隣接セルの寄与速度については、適宜「第1寄与速度」と呼ぶ。また、第2隣接セルの寄与速度については、適宜「第2寄与速度」と呼び、第3隣接セルの寄与速度については、適宜「第3寄与速度」と呼ぶ。本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPは、第1、第2、および第3寄与速度に基づいて計算される。
図10(b)は、本実施形態における対象セルCの充填速度ΔPの計算方法を示す。対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(9)で与えられる。
ΔP=max[Rt1+Rt2,Rt3+Rt4,Rt5+Rt6] ・・・(9)
符号Rt1は、対象セルCの下面に隣接する第1隣接セルの有効堆積速度を表す。有効堆積速度Rt1は、この第1隣接セルの堆積速度Rそのものではなく、この第1隣接セルの堆積速度Rと、この第1隣接セルを取り囲む8個の第2および第3隣接セルの堆積速度Rとを考慮に入れた有効堆積速度である。同様に、符号Rt2は、対象セルCの上面に隣接する第1隣接セルの有効堆積速度を表す。その他の有効隣接速度Rt3〜Rt6についても、同様に規定される。
式(9)は、第1実施形態のTYPE1〜4と同様の規則により規定されている。例えば、有効堆積速度Rt1と有効堆積速度Rt2との関係は、図7(a)の2つのTYPE1の合成に対応している。また、有効堆積速度Rt1と有効堆積速度Rt3〜Rt6との関係は、図5(b)のTYPE2や図5(c)のTYPE3に対応している。
例えば、Rt1+Rt2がRt3+Rt4やRt5+Rt6より大きい場合、Rt1+Rt2は充填速度ΔPに寄与し、Rt1+Rt2の100%が寄与速度となる。一方、Rt3+Rt4は充填速度ΔPに寄与せず、Rt3+Rt4の0%が寄与速度となる。同様に、Rt5+Rt6は充填速度ΔPに寄与せず、Rt5+Rt6の0%が寄与速度となる。
以下、図11(a)〜図14(b)を参照し、有効堆積速度Rt1の計算方法を説明する。以下の説明は、その他の有効堆積速度Rt2〜Rt6にも同様に適用される。
(1)第2実施形態の形状シミュレーション方法の手順
図11〜図14は、第2実施形態の形状シミュレーション方法の手順を説明するための図である。この手順は、図8のステップS4の処理に相当する。
図11(a)は、上述の対象セルCと、対象セルCの下方に位置する9個の隣接セルとを示している。有効堆積速度Rt1は、これらの隣接セルの堆積速度Rに依存する。
図11(b)は、これら9個の隣接セルを示している。図11(b)は、第1隣接セルであるセルCn1と、第2隣接セルであるセルCs1〜Cs4と、第3隣接セルであるセルCc1〜Cc4とを示している。図11(b)はさらに、セルCn1の堆積速度Rn1と、セルCs1〜Cs4の堆積速度Rs1〜Rs4と、セルCc1〜Cc4の堆積速度Rc1〜Rc4とを示している。
本実施形態の形状シミュレーション方法ではまず、セルCn1が充填セル2aであるか空間セル2bであるかを判定する(図11(b))。セルCn1が充填セル2aである場合には、有効堆積速度Rt1は、次の式(10)で計算される。
t1=Rn1 ・・・(10)
セルCn1が充填セル2aである場合、有効堆積速度Rt1は、このようにセルCn1の堆積速度Rn1のみにより決定される。一方、セルCn1が空間セル2bである場合には、有効堆積速度Rt1は、以下のように堆積速度Rs1〜Rs4、Rc1〜Rc4を考慮に入れて計算される。
まず、堆積速度Rs1〜Rs4について説明する(図12(a))。図12(b)は、対象セルCと、セルCs1と、これらのセルC、Cs1と面を共有するセルCn1、Cn2とを示している。符号Rn2は、セルCn2の堆積速度Rを示す。図12(b)は、セルCs1の有効堆積速度Rs1’の計算方法を示している。セルC、Cn1、Cn2がいずれも空間セル2bである場合には、有効堆積速度Rs1’は、次の式(11)で計算される。
s1’=Rs1×π/4 ・・・(11)
係数π/4は、半径1の円の1/4の面積に相当する。π/4の近似値は、0.785である。係数π/4は、1よりも小さい正の第1定数の例である。一方、セルC、Cn1、Cn2のうちの少なくとも1つが充填セル2aである場合には、有効堆積速度Rs1’は0である(Rs1’=0)。同様に、有効堆積速度Rs2’〜Rs4’も規定される。
次に、堆積速度Rc1〜Rc4について説明する(図13(a))。図13(b)は、対象セルCと、セルCc1と、これらのセルC、Cc1と面または辺を共有するセルCn1、Cn2、Cn3、Cs1、Cs3、Cs5とを示している。符号Rn3、Rs5はそれぞれ、セルCn3、Cs5の堆積速度Rを示す。図13(b)は、セルCc1の有効堆積速度Rc1’の計算方法を示している。セルC、Cn1、Cn2、Cn3、Cs1、Cs3、Cs5がいずれも空間セル2bである場合には、有効堆積速度Rc1’は、次の式(12)で計算される。
c1’=Rc1×π/6 ・・・(12)
係数π/6は、半径1の球の1/8の体積に相当する。π/6の近似値は、0.524である。係数π/6は、第1定数よりも小さい正の第2定数の例である。一方、セルC、Cn1、Cn2、Cn3、Cs1、Cs3、Cs5のうちの少なくとも1つが充填セル2aである場合には、有効堆積速度Rc1’は0である(Rc1’=0)。同様に、有効堆積速度Rc2’〜Rc4’も規定される。
次に、セルCn1が空間セル2bである場合の有効堆積速度Rt1が、図14(a)に示すように、次の式(13)で計算される。
t1=max[(Rs1’+Rs2’),(Rs3’+Rs4’)]
+(Rc1’+Rc1’+Rc1’+Rc1’) ・・・(13)
次に、有効堆積速度Rt1〜Rt6が式(9)に代入される。その結果、図14(b)に示すように、対象セルCの充填速度ΔPが計算される。
例えば、セルCs1が充填セル2aであり、その他の25個の隣接セルが空間セル2bである場合、対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(14)で与えられる。
ΔP=Rt1=Rs1’=Rs1×π/4 ・・・(14)
これは、セルCs1(第2隣接セル)の寄与速度が、堆積速度Rs1の78.5%であることを意味する。なお、本実施形態の第1定数π/4は、1よりも小さい別の正の値に置き換えてもよい。
また、セルCc1が充填セル2aであり、その他の25個の隣接セルが空間セル2bである場合、対象セルCの充填速度ΔPは、次の式(15)で与えられる。
ΔP=Rt1=Rc1’=Rc1×π/6 ・・・(15)
これは、セルCc1(第3隣接セル)の寄与速度が、堆積速度Rc1の52.4%であることを意味する。なお、本実施形態の第2定数π/6は、第1定数よりも小さい別の正の値に置き換えてもよい。
以上のように、本実施形態の対象セルCの各隣接セルの寄与速度は、対象セルCの他の隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。
具体的には、各第1隣接セルの寄与速度は、対象セルCの他の第1隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。例えば、セルCn1(第1隣接セル)の寄与速度は、式(9)から理解されるように、セルCn2〜Cn6が充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。
また、各第2隣接セルの寄与速度は、各第2隣接セルに隣接する第1隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。例えば、セルCs1(第2隣接セル)の寄与速度は、図12(b)から理解されるように、Cn1、Cn2が充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。なお、セルCs1の寄与速度は、式(13)から理解されるように、他の第2隣接セルであるCs3、Cs4が充填セル2aであるか空間セル2bであるかにも依存している。
また、各第3隣接セルの寄与速度は、各第3隣接セルに隣接する第1および第2隣接セルが充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。例えば、セルCc1(第3隣接セル)の寄与速度は、図13(b)から理解されるように、セルCn1、Cn2、Cn3、Cs1、Cs3、Cs5が充填セル2aであるか空間セル2bであるかに依存している。
なお、式(9)や式(13)は、これらの式を簡潔に記載するために、堆積速度Rが設定されていないはずの空間セル2bの堆積速度Rも含んでいる。式(9)や式(13)において、空間セル2bの堆積速度Rは0であると想定されている。
図15は、第2実施形態の形状シミュレーション方法の第1の利点を説明するための平面図である。
図15(a)は、計算領域1に対応する堆積膜4の平面形状を示す。堆積膜4は、円柱形の凸部4aを有している。実際の半導体製造工程では、図15(a)の凸部4aの形状は、図15(d)に示すように、円柱形を保ちながら変化していくと考えられる。しかしながら、比較例の形状シミュレーション方法によれば、凸部4aの変化の計算精度が悪いため、円柱形が多角形に変化してしまう(図15(b)および図15(c))。
一方、本実施形態においては、例えば、対象セルCの充填速度ΔPの計算に、第1隣接セルの堆積速度Rだけでなく、第2および第3隣接セルの堆積速度Rも使用している。また、本実施形態においては、第2隣接セルの寄与速度の計算に第1係数π/4を使用し、第3隣接セルの寄与速度の計算に第2係数π/6を使用している。よって、本実施形態によれば、凸部4aの変化の計算精度を向上させ、図15(d)に近い凸部4aの形状変化を計算することが可能となる。
図16は、第2実施形態の形状シミュレーション方法の第2の利点を説明するための平面図である。
図16(a)は、計算領域1に対応する堆積膜4の平面形状を示す。堆積膜4は、円柱形の凹部4bを有している。実際の半導体製造工程では、図16(a)の凹部4bの形状は、図16(d)に示すように、円柱形を保ちながら変化していくと考えられる。しかしながら、比較例の形状シミュレーション方法によれば、凹部4bの変化の計算精度が悪いため、円柱形が多角形に変化してしまう(図16(b)および図16(c))。
一方、本実施形態においては、例えば、対象セルCの充填速度ΔPの計算に、第1隣接セルの堆積速度Rだけでなく、第2および第3隣接セルの堆積速度Rも使用している。また、本実施形態においては、複数のセル2の合計寄与速度を計算する際に、これらのセル2の堆積速度Rを単純に合計するだけでなく、充填速度ΔPに寄与しないと考えられるセル2の堆積速度Rを除外している(式(9)や式(13)を参照)。よって、本実施形態によれば、凹部4bの変化の計算精度を向上させ、図16(d)に近い凹部4bの形状変化を計算することが可能となる。
以上のように、本実施形態の対象セルCの充填速度ΔPを計算する際には、第1実施形態と同様に、対象セルCの隣接セルの堆積速度Rに基づいて、対象セルCの充填速度ΔPに寄与する各隣接セルの寄与速度を計算し、これらの隣接セルの寄与速度に基づいて、対象セルCの充填速度ΔPを計算する。また、本実施形態の対象セルCの各隣接セルの寄与速度は、対象セルCの他の隣接セルが充填セル2a(第1セル)であるか空間セル2b(第2セル)であるかに依存するように設定される。
よって、本実施形態によれば、物質が凸部や凹部などの計算精度を低下させる形状を含む場合にも、物質の形状の変化を適切に計算することが可能となる。
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態の形状シミュレーション装置の構成を示す外観図である。
図17の形状シミュレーション装置は、制御部11と、表示部12と、入力部13とを備えている。
制御部11は、形状シミュレーション装置の動作を制御するモジュールである。制御部11は例えば、第1または第2実施形態の形状シミュレーション方法を実行する。制御部11の詳細については後述する。
表示部12は、液晶モニタなどの表示デバイスを有している。表示部12は例えば、形状シミュレーション用の設定情報の入力画面や、形状シミュレーションの計算結果などを表示する。
入力部13は、キーボード13aやマウス13bなどの入力デバイスを有している。入力部13は例えば、形状シミュレーション用の設定情報の入力用に使用される。設定情報の例としては、計算式に関する情報、実験値や予測値に関する情報、物質の形状に関する情報、フラックスに関する情報、形状シミュレーションの条件や手順に関する情報などが挙げられる。
図18は、図17の制御部11の構成を示すブロック図である。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、HDD(Hard Disk Drive)24と、CD(Compact Disc)ドライブやDVD(Digital Versatile Disk)ドライブなどのメモリドライブ25と、メモリポートやメモリスロットなどのメモリI/F(interface)26とを備えている。
本実施形態においては、第1または第2実施形態の形状シミュレーション方法用のプログラムである形状シミュレーションプログラムが、ROM22またはHDD24内に格納されている。入力部13から所定の指示情報が入力されると、CPU21は、ROM22またはHDD24から形状シミュレーションプログラムを読み出し、読み出したプログラムをRAM23に展開し、このプログラムにより形状シミュレーションを実行する。この処理の際に生じる各種データは、RAM23内に保持される。
なお、本実施形態においては、形状シミュレーションプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を用意し、この記録媒体からROM22やHDD24内に形状シミュレーションプログラムをインストールしてもよい。このような記録媒体の例としては、CD−ROMやDVD−ROMなどが挙げられる。
また、本実施形態においては、形状シミュレーションプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由でダウンロードすることにより、ROM22やHDD24内にインストールしてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、第1または第2実施形態の形状シミュレーション方法を実行するための形状シミュレーション装置や形状シミュレーションプログラムを提供することが可能となる。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置、方法、およびプログラムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置、方法、およびプログラムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
1:計算領域、2:セル、2a:充填セル、2b:空間セル、
3:基板、4:堆積膜、4a:凸部、4b:凹部

Claims (5)

  1. 物質の形状の計算領域を複数のセルに分割し、前記物質の形状を、所定量の前記物質で充填された充填セルと、前記所定量の前記物質で充填されていない空間セルとにより表現する分割部と、
    前記計算領域内の対象セルの充填速度を、前記対象セルに隣接する複数の隣接セルの加工速度に基づいて計算する計算部とを備え、
    前記計算部は、
    前記複数の隣接セルの加工速度に基づいて、前記対象セルの充填速度に寄与する各隣接セルの寄与速度を計算する寄与速度計算部と、
    前記複数の隣接セルの寄与速度に基づいて、前記対象セルの充填速度を計算する充填速度計算部とを備え、
    前記対象セルの各隣接セルの寄与速度は、前記対象セルの他の隣接セルが、前記物質の充填率が第1範囲に属する第1セルであるか、前記物質の充填率が前記第1範囲と異なる第2範囲に属する第2セルであるかに依存する、
    形状シミュレーション装置。
  2. 前記寄与速度計算部は、
    前記対象セルと第1距離で隣接する複数の第1隣接セルに関し、各第1隣接セルの第1寄与速度を計算する第1速度計算部と、
    前記対象セルと前記第1距離より長い第2距離で隣接する複数の第2隣接セルに関し、各第2隣接セルの第2寄与速度を計算する第2速度計算部とを備え、
    前記充填速度計算部は、前記第1および第2寄与速度に基づいて、前記対象セルの充填速度を計算する、請求項1に記載の形状シミュレーション装置。
  3. 前記寄与速度計算部はさらに、
    前記対象セルと前記第2距離より長い第3距離で隣接する複数の第3隣接セルに関し、各第3隣接セルの第3寄与速度を計算する第3速度計算部を備え、
    前記充填速度計算部は、前記第1、第2、および第3寄与速度に基づいて、前記対象セルの充填速度を計算する、請求項2に記載の形状シミュレーション装置。
  4. 物質の形状の計算領域を複数のセルに分割し、前記物質の形状を、所定量の前記物質で充填された充填セルと、前記所定量の前記物質で充填されていない空間セルとにより表現し、
    前記計算領域内の対象セルの充填速度を、前記対象セルに隣接する複数の隣接セルの加工速度に基づいて計算する、
    ことを含み、
    前記対象セルの充填速度の計算は、
    前記複数の隣接セルの加工速度に基づいて、前記対象セルの充填速度に寄与する各隣接セルの寄与速度を計算し、
    前記複数の隣接セルの寄与速度に基づいて、前記対象セルの充填速度を計算する、
    ことを含み、
    前記対象セルの各隣接セルの寄与速度は、前記対象セルの他の隣接セルが、前記物質の充填率が第1範囲に属する第1セルであるか、前記物質の充填率が前記第1範囲と異なる第2範囲に属する第2セルであるかに依存する、
    形状シミュレーション方法。
  5. 形状シミュレーション方法をコンピュータに実行させる形状シミュレーションプログラムであって、
    前記形状シミュレーション方法は、
    物質の形状の計算領域を複数のセルに分割し、前記物質の形状を、所定量の前記物質で充填された充填セルと、前記所定量の前記物質で充填されていない空間セルとにより表現し、
    前記計算領域内の対象セルの充填速度を、前記対象セルに隣接する複数の隣接セルの加工速度に基づいて計算する、
    ことを含み、
    前記対象セルの充填速度の計算は、
    前記複数の隣接セルの加工速度に基づいて、前記対象セルの充填速度に寄与する各隣接セルの寄与速度を計算し、
    前記複数の隣接セルの寄与速度に基づいて、前記対象セルの充填速度を計算する、
    ことを含み、
    前記対象セルの各隣接セルの寄与速度は、前記対象セルの他の隣接セルが、前記物質の充填率が第1範囲に属する第1セルであるか、前記物質の充填率が前記第1範囲と異なる第2範囲に属する第2セルであるかに依存する、
    形状シミュレーションプログラム。
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