JP2016058473A - 太陽電池用封止シートおよび太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用封止シートおよび太陽電池モジュール Download PDF

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正昭 大土井
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Abstract

【課題】PID耐性に優れ、ガラス面との接着強度にも優れた、エチレン・極性モノマー共重合体をベースとする太陽電池用封止シートを提供する。
【解決手段】エチレン・極性モノマー共重合体を100重量部と、エポキシ基含有シラン化合物(A)を0.1重量部を超えて0.5重量部以下と、エチレン性不飽和シラン化合物(B)を0.1重量部を超えて0.5重量部以下を含むことを特徴とする太陽電池用封止シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池用封止シートおよび太陽電池モジュールに関する。
地球環境問題、化石資源ベースのエネルギーの問題が深刻さを増す中、クリーンかつ枯渇の恐れの無いエネルギー生成手段として太陽電池が注目されている。太陽電池を建物の屋根部分などの屋外で使用する場合、太陽電池モジュールの形で使用することが一般的である。
太陽電池モジュールは、一般には以下の手順によって製造される。まず、多結晶シリコン、単結晶形シリコンなどにより形成される結晶型太陽電池素子、あるいはアモルファスシリコンや結晶シリコンなどをガラスなどの基板の上に数μmの非常に薄い膜を形成して得られる薄膜型太陽電池素子(以下、結晶型太陽電池素子および薄膜型太陽電池素子をまとめて、単に「太陽電池素子」あるいは「セル」と表記する場合がある。)を製造する。次いで、これら太陽電池素子を内蔵した太陽電池モジュールを得るには、例えば、受光面側保護シート/受光面側封止シート/太陽電池素子/裏面側封止シート/裏面側保護シートの順に積層する。その後、この積層シートを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法などを利用することにより、太陽電池モジュールを製造することができる。
太陽電池用封止シートとしては、従来からエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)シートが、透明性、柔軟性、および接着性などに優れていることから、広く用いられてきた。例えば、特許文献1では、架橋剤およびトリメリット酸エステルを含むEVA組成物からなる、接着性と製膜性の双方に優れた封止膜が開示され、また特許文献2にはエチレン・酢酸ビニル共重合体とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーと有機過酸化物を含有し、高温高湿条件下で長期間に亘って使用した場合であっても、腐食による太陽電池素子の劣化が少なく、太陽電池素子の発電性能の低下が生じない太陽電池用封止シートが開示されている。さらには、封止シートと受光面側保護シートあるいは裏面側保護シートとの接着強度改善のために、ビニルトリメトキシシランの如きエチレン性不飽和シラン化合物により変性されたEVAを封止シートとして用いる方法も提案されている(特許文献3)。
一方で、最近になり比較的高温・高湿の条件下においてEVA膜を用いた太陽電池モジュールの出力が大幅に低下する現象が相次いで報告され問題になってきている(非特許文献1)。この現象は、PID(Potential Induced Degradation)現象と名づけられているがPIDによる劣化現象の詳細なメカニズムは未だ完全に解明されていないのが実情である。一説によれば、高電圧下で受光面側保護材であるガラス基材からナトリウムイオンが封止材中に拡散して、シリコンセルの表面、あるいはセル内部に侵入することがPID現象の主原因であるとされている。このPID問題解決の手段の一つとして、太陽電池用封止シートの母材をエチレン・α−オレフィン共重合体として体積固有抵抗を改良する方法なども提案されている(特許文献4)。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1や特許文献2に記載された太陽電池用封止シートは、EVAが固有に有する性質を保ったままPID現象を抑制できるほどには体積固有抵抗値を上げることができないことを確認している。さらに、特許文献3に開示されたエチレン性不飽和シラン化合物による変性体を用いた場合には確かにガラス面と接着力は向上するもののPID耐性は逆に悪化する傾向を示すことも確認している。
このような背景下で、PID起因の出力低下を効率的に防ぐ方法の開発が産業界から切望されているのである。
特開2010−53298号公報 特開2010−59259号公報 特開2002−9309号公報 特開2010−258439号公報
37th IEEE Photovoltaic Specialists Conference, Conference Paper NREL/CP-5200-50716, July 2011.
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の課題とするところはPID耐性に優れ、ガラス面との接着力にも優れた、エチレン・極性モノマー共重合体をベースとする太陽電池用封止シートを提供することである。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、太陽電池用封止シート用の一般的な材料として長い実績を持つ、透明性、柔軟性、加工性、耐久性に優れるエチレン‐酢酸ビニル共重合(以下の説明では、EVAと略記する場合がある)等のエチレン・極性モノマー共重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物のみならずエポキシ基含有シラン化合物を共に含有させることにより、加熱処理後の封止シートの体積固有抵抗を上昇させることに成功した。これにより、PID耐性を損なうことなく、高温高湿下での封止シート‐ガラス面間の接着強度低下を抑制できる、長期信頼性が格段に向上した太陽電池用封止シートを製造することが出来ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば以下の太陽電池用封止シートと、それからなる太陽電池モジュールが提供される。
[1]エチレン・極性モノマー共重合体を100重量部と、エポキシ基含有シラン化合物(A)を0.1重量部を超えて0.5重量部以下と、エチレン性不飽和シラン化合物(B)を0.1重量部を超えて0.5重量部以下と、を含むことを特徴とする太陽電池用封止シート。
[2]150℃、250Paで3分間加熱減圧した後、150℃、100kPaで10分間加熱加圧処理した際に、JIS K6911に準拠し、温度25℃、印加電圧1000Vで測定される体積固有抵抗が、1×1015〜1×1017Ω・cmであることを特徴とする[1]に記載の太陽電池用封止シート。
[3]前記エチレン・極性モノマー共重合体を構成する極性モノマー由来の基が、カルボキシル基およびエステル基から選択される1種以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の太陽電池用封止シート。
[4]前記エチレン・極性モノマー共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一つに記載の太陽電池用封止シート。
[5]前記エポキシ基含有シラン化合物(A)が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一つに記載の太陽電池用封止シート。
[6]前記エチレン性不飽和シラン化合物(B)が、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一つに記載の太陽電池用封止シート。
[7]太陽電池素子の太陽光の入射面側に配置される受光面側封止シートおよび、前記太陽電池素子の裏面側に配置される裏面側封止シートとして使用され、前記受光面側封止シートに含まれる前記エポキシ基含有シラン化合物(A)濃度が、前記裏面側封止シート中の濃度に比べて大きいことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一つに記載の太陽電池用封止シート。
[8]太陽電池素子が、[1]〜[7]のいずれか一つに記載の太陽電池用封止シートによって封止された、太陽電池モジュール。
本発明によれば、透明性、柔軟性、加工性、耐久性に優れるエチレン‐酢酸ビニル共重合をベースにしたPID耐性に優れ、ガラス面との接着強度にも優れた太陽電池用封止シートが提供される。
本発明の太陽電池モジュールの代表的な実施形態を模式的に示した断面図である。
以下に本発明の実施形態について説明する。なお、「〜」はとくに断りがなければ、以上から以下を表す。
本実施形態の太陽電池用封止シートは、エチレン・極性モノマー共重合体を100重量部と、エポキシ基含有シラン化合物(A)を0.1重量部を超えて0.5重量部以下と、エチレン性不飽和シラン化合物(B)を0.1重量部を超えて0.5重量部以下を含有することを特徴とする。
太陽電池用封止シートを構成しているエチレン・極性モノマー共重合体としては、エチレン・極性モノマー共重合体を構成する極性モノマー由来の基が、カルボキシル基およびエステル基から選択される1種以上であることが好ましい。
具体的には、エチレン‐(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸-2−ヒドロキシエチル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸-2−ヒドロキシプロピル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等のエチレン‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体:エチレン‐(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン‐マレイン酸共重合体、エチレン‐フマル酸共重合体、エチレン‐クロトン酸共重合体等のエチレン‐エチレン性不飽和酸共重合体:エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン‐プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン‐酪酸ビニル共重合体、エチレン‐ステアリン酸ビニル共重合体等のエチレン‐ビニルエステル共重合体:エチレン‐スチレン共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、その入手容易性と性能とのバランスからエチレン‐ビニルエステル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく、特に、エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましい。
エチレン・酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル含有量が10〜47重量%、好ましくは13〜35重量%である。酢酸ビニルの含有量がこの範囲にあると、太陽電池用封止シートとした際に、接着性、耐候性、透明性、機械的性質に優れる。また、太陽電池封止用樹脂シートを成膜する際にも、成膜性が良好となる。酢酸ビニル含有量は、JIS K6924−2に準拠して測定可能である。具体的には、酢酸ビニル含有量は、水酸化カリウム溶液にてエチレン・酢酸ビニル共重合体を完全ケン化後、既知量の等量以上の硫酸を添加し、過剰の硫酸量を水酸化ナトリウム溶液にて滴下定量することによって測定可能である。
なお、エチレン・酢酸ビニル共重合体は、エチレン及び酢酸ビニルのみからなる二元共重合体が好ましいが、単量体の他に、例えばギ酸ビニル、グリコール酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、或いはこれらの塩もしくはアルキルエステルなどのアクリル系単重体を共重合成分として含んでもよい。上記エチレン及び酢酸ビニル以外の共重合成分を含む場合、エチレン・酢酸ビニル共重合体中の共重合成分の量を0.5〜5重量%とすることが好ましい。
ASTM D 1238による190℃、2160g荷重でのエチレン・酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートは、好ましくは5〜45g/10分、より好ましくは5〜40g/10分、更に好ましくは10〜30g/10分である。溶融混練をするために適した粘度であるからである。
本実施形態の太陽電池用封止シートは、エポキシ基含有シラン化合物(A)とエチレン性不飽和シラン化合物(B)を共に含有することを特徴としている。これらのシラン化合物は、太陽電池用封止シートのPID耐性とガラスとの接着強度維持のために必須の成分である。なお、本実施形態の太陽電池用封止シートは、太陽電池モジュールとしてさまざまな実施態様で用いられ得るが通常は、受光面側封止シートとして用いられる。この場合はモジュール構造を単純化してモジュール全体の生産コストを下げる目的から、裏面側封止シートについても受光面側と同一の封止シートを用いてもよい。ただし、その場合であっても、受光面側封止シートに含まれるエポキシ基含有シラン化合物(A)の添加量(濃度)は、裏面側封止シートに含まれるエポキシ基含有シラン化合物(A)の添加量(濃度)より多いことが好ましい。
エポキシ基含有シラン化合物(A)
本実施形態の太陽電池用封止シートは、分子内にアルコキシシランとグリシジル(エポキシ)基を有するエポキシ基含有シラン化合物(A)を含有している。エポキシ基含有シラン化合物(A)を含有させることによって、本実施形態の太陽電池用封止シートのもう一つの必須構成成分であるエチレン性不飽和シラン化合物(B)共存によるPID耐性の低下分を元通りに回復させることが可能となる。
本実施形態の太陽電池用封止シート中のエポキシ基含有シラン化合物(A)の含有量は、エチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対して、好ましくは0.1重量部を超えて0.5重量部以下であり、より好ましくは0.15重量部以上0.5重量部以下であり、とくに好ましくは0.15重量部以上0.3重量部以下である。エポキシ基含有シランカップリング剤(A)の含有量がこの範囲にあると、十分なPID耐性が得られる。また、エポキシ基含有シラン化合物(A)には、エチレン・極性モノマー共重合体の最も好ましい態様であるエチレン・酢酸ビニル共重合体の加水分解によって発生する酢酸を良好に捕捉して酢酸が太陽電池素子に接触して太陽電池素子が腐食するのを防止する効果も併せ持つ。酢酸は、エチレン・酢酸ビニル共重合体の加水分解触媒としても機能するので、エポキシ基含有シラン化合物(A)を共存させることによって酢酸を捕捉し、その結果としてエチレン・酢酸ビニル共重合体自体の加水分解も抑制して酢酸自体の発生も抑えるという好ましい正の連鎖を提供する。
エポキシ基含有シラン化合物(A)としては、従来公知のものが使用でき、とくに制限はない。具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの中では、安定入手容易性および取り扱いのし易さ等の視点から3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
エチレン性不飽和シラン化合物(B)
本実施形態の太陽電池用封止シートは、ビニル基、メタクリル基、アクリル基の群から選ばれる少なくとも一種の基を有するエチレン性不飽和シラン化合物(B)を含有する。なお、ビニル基、メタクリル基、アクリル基の群から選ばれる少なくとも一種の基を有するエチレン性不飽和シラン化合物(B)はエポキシ基を含有することはない。本実施形態の太陽電池用封止シートがエチレン性不飽和シラン化合物(B)を含有することによってガラス等の異種材料との接着強度を発現させることができる。
本実施形態の太陽電池用封止シート中のエチレン性不飽和シラン化合物(B)の含有量は、エチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対して、好ましくは0.1重量部を超えて0.5重量部以下であり、より好ましくは0.15重量部以上0.5重量部以下であり、とくに好ましくは0.15重量部以上0.3重量部以下である。エチレン性不飽和シラン化合物(B)の含有量がこの範囲にあると、高温高湿下であっても初期接着強度が維持された接着強度に優れた太陽電池用封止シートが得られる。
ビニル基、メタクリル基、アクリル基の群から選ばれる少なくとも一種の基を有するエチレン性不飽和シラン化合物(B)の含有量が0.1重量部を超えると、ガラス面との接着性が格段に向上する。一方、エチレン性不飽和シラン化合物(B)の含有量が0.5重量部以下であると、エチレン性不飽和シラン化合物(B)を太陽電池モジュールのラミネート時にエチレン・極性モノマー共重合体にグラフト反応させるための有機過酸化物の添加量を抑制できる。このため、例えば、封止シートを押出機でシート状にして得る際のゲル化を抑制でき、その結果、押出機のトルクを抑制できるため、押出シートの成形が容易となる。押出機内でゲル物を発生しないためシートの表面に凹凸がなく、シートの外観が良好である。エチレン性不飽和シラン化合物(B)が0.5重量部以下であると、エチレン性不飽和シラン化合物(B)自体の縮合反応による筋状の外観悪化を抑制できる点からも好ましい。
エチレン性不飽和シラン化合物(B)は、従来公知のものが使用でき、とくに制限はない。具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが使用できる。好ましくは、接着性が良好な3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが挙げられる。これらの中では、安定入手容易性および取り扱いのし易さ等の視点から3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本実施形態の太陽電池用封止シートは、通常は次に述べる、架橋剤(有機化過酸化物)、架橋助剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、耐熱安定剤を含み、さらに必要に応じて難燃剤等のその他添加剤を含んでなる。これらの添加剤の例と代表的な添加量を詳説する。
<架橋剤例>
本実施形態の太陽電池用封止シートは、架橋剤(有機過酸化物)を含有していることが好ましい。太陽電池用封止シートに有機過酸化物を含有させることによって、太陽電池用封止シートを架橋させて耐熱性及び耐候性に優れたものとすることができるからである。本実施形態の太陽電池用封止シートに好ましく用いられる有機過酸化物は、押出シート成形での生産性と太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋速度のバランスから、有機過酸化物の1分間半減期温度が100〜170℃であるものが好ましい。有機過酸化物の1分間半減期温度が100℃以上であると、シート成形を容易にし、かつ、シートの外観を良好にすることができる。また、絶縁破壊電圧の低下を防ぐことができ、透湿性の低下も防止でき、更に接着性も向上する。有機過酸化物の1分間半減期温度が170℃以下であると、太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋速度の低下を抑制できるため、太陽電池モジュールの生産性の低下を防ぐことができる。また、太陽電池用封止シートの耐熱性、接着性の低下を防ぐこともできる。架橋剤の含有量は、太陽電池用封止シートに含まれるエチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対して、通常0〜5重量部であり、0.1〜2重量部がより好ましい。
1分間半減期温度が100〜170℃の範囲にある有機過酸化物の好ましい具体例としては、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキサイド、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−アミル−パーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、などが挙げられる。好ましくは、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。
<架橋助剤例>
本実施形態の太陽電池用封止シートは、架橋助剤を含有してもよい。架橋助剤の含有量は、エチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対して、0.15〜5重量部であると、適度な架橋構造を有することができ、耐熱性、機械物性、接着性を向上できるため好ましい。
架橋助剤としては、分子内に二重結合を二個以上有する化合物を用いることができ、具体的には、t−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレートなどのモノアクリレート;t−ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、メトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートなどのモノメタクリレート;1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートなどのジアクリレート;1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどのテトラアクリレート;ジビニルベンゼン、ジ−i−プロペニルベンゼンなどのジビニル芳香族化合物;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどのシアヌレート;ジアリルフタレートなどのジアリル化合物;トリアリル化合物:p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム:フェニルマレイミドなどのマレイミドが挙げられる。これらの架橋助剤の中でより好ましいのは、ジアクリレート、ジメタクリレート、ジビニル芳香族化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどのテトラアクリレート;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどのシアヌレート;ジアリルフタレートなどのジアリル化合物;トリアリル化合物:p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム:フェニルマレイミドなどのマレイミドである。中でも、トリアリルイソシアヌレートが、太陽電池用封止シート中の気泡発生や架橋特性のバランスが優れるため、より好ましい。
<紫外線吸収剤、光安定化剤、耐熱安定剤>
本実施形態の太陽電池用封止シートには、紫外線吸収剤、光安定化剤、及び耐熱安定剤からなる群より選択される少なくとも一種の添加剤が含有されることが好ましく、少なくとも二種の添加剤を含有することがより好ましく、上記三種の全てが含有されていることが更に好ましい。
これら三種の添加剤の含有量は、太陽電池用封止シート中、エチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対して、それぞれ0.005〜5重量部であることが好ましい。この範囲とすることで、恒温恒湿への耐性、ヒートサイクルの耐性、耐候安定性、及び耐熱安定性を向上する効果を十分に確保し、かつ、シートの透明性や接着性の低下を防ぐことができる。
紫外線吸収剤としては、具体的には、2−ヒドロキシ−4−ノルマル−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系;フェニルサルチレート、p−オクチルフェニルサルチレートなどのサリチル酸エステル系;トリアジン系のものが用いられる。
光安定化剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などのヒンダードアミン系、ヒンダードピペリジン系化合物などのものが好ましく使用される。
耐熱安定剤としては、具体的には、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4'−ジイルビスホスフォナイト、及びビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのホスファイト系耐熱安定剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物などのラクトン系耐熱安定剤;3,3',3",5,5',5"−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a"−(メチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのヒンダードフェノール系耐熱安定剤;硫黄系耐熱安定剤;アミン系耐熱安定剤などを挙げることができる。また、これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。中でも、ホスファイト系耐熱安定剤、及びヒンダードフェノール系耐熱安定剤が好ましい。
<その他添加剤例>
本実施形態の太陽電池用封止シートを構成する樹脂組成物には、以上詳述した諸成分以外の各種成分を、本発明の目的を損なわない範囲において、適宜含有させることができる。例えば可塑剤、充填剤、顔料、染料、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、難燃剤、及び分散剤などから選ばれる一種以上の添加剤を適宜含有することができる。
<太陽電池モジュール>
図1に、本発明の太陽電池モジュールの断面図の一例を示す。
太陽電池モジュール10は、複数の太陽電池素子13と、太陽電池素子13を挟んで封止する一対の受光面側封止シート11と裏面側封止シート12、および受光面側保護シート14および裏面側保護シート(バックシート)15とを備える。
(太陽電池素子)
太陽電池素子13としては、p型とn型の半導体を接合した構造を有するpn接合型太陽電池素子が挙げられる。pn接合型太陽電池素子としては、シリコン系(単結晶シリコン系、多結晶シリコン系、アモルファスシリコン系等)、化合物系(GaAs系、CIS系、CdTe−CdS系)等が挙げられる。
太陽電池モジュール10においては、複数の太陽電池素子13は、導線および半田接合部を備えたインターコネクタ16を介して電気的に直列に接続されている。
(受光面側保護シート)
受光面側保護シート14としては、ガラス板、樹脂板等が挙げられる。ガラス板としては、光透過性の点から、表面に凹凸をつけた型板ガラスが好ましい。型板ガラスの材料としては、鉄分の少ない白板ガラス(高透過ガラス)が好ましい。
(裏面側保護シート)
裏面側保護シート(バックシート)15の材料としては、ポリフッ化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン等)、ガラス、金属(アルミニウム等)等が挙げられる。裏面側保護シート15は、単層であってもよく、複層であってもよい。
(太陽電池モジュールの製造方法)
太陽電池モジュールの製造方法としては、インターコネクタ16を用いて電気的に接続した複数の太陽電池素子13を一対の受光面側封止シート11と裏面側封止シート12で挟み、さらにこれら受光面側封止シート11と裏面側封止シート12を受光面側保護シート14と裏面側保護シート15とで挟んだ後、加熱して、受光面側封止シート11と裏面側封止シート12、受光面側封止シート11と受光面側保護シート14、裏面側封止シート12と裏面側保護シート15とを接着する方法が挙げられる。
<太陽電池用封止シートと太陽電池モジュールの製造方法>
まず、本実施形態の太陽電池用封止シートの製造方法について説明する。エチレン・極性モノマー共重合体、エポキシ基含有シラン化合物(A)およびエチレン性不飽和シラン化合物(B)と、必要に応じて有機過酸化物やその他の添加剤とを押出機に供給して必要に応じて有機過酸化物の一時間半減期温度よりも低い温度で溶融混練して、例えば押出機の先端に取り付けたTダイから押出して太陽電池用封止シートを製造する方法が挙げられる。なお、有機過酸化物が二種以上含有されている場合には、最も低い有機過酸化物の一時間半減期温度よりも低い温度にて溶融混練すればよい。
また、太陽電池モジュールの製造時において、太陽電池素子又は上下保護材と、太陽電池用封止シートとの間における脱気性を向上させるために、太陽電池用封止シートの表面にエンボス加工を施すことが好ましい。
太陽電池用封止シートの表面にエンボス加工を施す方法としては、特に限定されず、Tダイから押出された直後の溶融シートを、表面にエンボス模様が施されたエンボスロールと、このエンボスロールに対峙して配設されたゴムロールとの間に供給し、エンボスロールを溶融シートに押圧させて、太陽電池用封止シートの表面にエンボス加工を施す方法が挙げられる。なお、一旦製造された太陽電池用封止シートを再度、加熱して溶融状態とした上で上述の要領でエンボス加工を施してもよい。
そして、本実施形態の太陽電池用封止シートを用いた太陽電池モジュールの製造方法としては、太陽電池素子の上面に受光面側封止シートを介して受光面側保護シートを、下面に裏面側封止シートを介して裏面側保護シートを積層して積層体を製造し、この積層体を減圧下にて加熱することによって上下の太陽電池用封止シートを架橋させながら太陽電池素子を太陽電池用封止シートによって上下から封止すると共に太陽電池素子の上下面に太陽電池用封止シートを介して保護材を積層一体化させる太陽電池モジュールの製造方法が挙げられる。なお、積層体を加熱する際の条件としては、有機過酸化物の一分間半減期温度にて5〜10分間に亘って加熱すればよい。例えば、有機過酸化物の一分間半減期温度が160℃であれば、160℃にて5〜10分間に亘って積層体を加熱すればよい。
(体積固有抵抗)
本実施形態の太陽電池用封止シートは、JIS K6911に準拠し、温度100℃、印加電圧1000Vで測定される体積固有抵抗が1×1015〜1×1017Ω・cmであることが好ましい。太陽光が照射される時間帯には、従来の太陽電池モジュールではモジュール温度が例えば70℃以上になることがあるので、長期信頼性の観点から、従来報告されている常温(23℃)での体積固有抵抗より高温条件下での体積固有抵抗が求められており、温度100℃での体積固有抵抗が重要となる。
体積固有抵抗が上記下限値以上であると、PIDの発生を抑制することができる。
体積固有抵抗が、上記上限値以下であると、シートに静電気が帯びるのを抑制でき、その結果、シートにゴミが吸着することを抑制できる。そして、太陽電池モジュール内にゴミが混入し、発電効率や長期信頼性の低下を抑制できる。
体積固有抵抗は、太陽電池用封止シートを150℃、250Paで3分間加熱減圧し、次いで、150℃、100kPaで10分間加熱加圧処理した後に測定される。また、モジュール積層体中のシートは、他の層を除去して測定する。
<太陽電池用封止シートの作製方法>
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニル含有率28%、MFR 15g/10min)100重量部に対して、エポキシ基含有シラン化合物(A)として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、エチレン性不飽和シラン化合物(B)として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、架橋剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、添加剤として2−ヒドロキシ−4−ノルマル−オクチルオキシベンゾフェノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、並びにビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートおよびビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートから選ばれる少なくとも一種を、後掲する表1に記載された量添加し、さらにドライブレンドすることによってブレンド体を得た。
次いで、得られたブレンド体を、池貝社製単軸押出機(スクリュー径30mmφ)で溶融混練した後、コートハンガー式T型ダイスからダイス温度110℃の条件下で押出成形し、ロール温度25℃で冷却した後、巻き取り速度0.7m/minで成形した。これにより、エチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性された部分変性体を含有する封止シートを得た。シートの最大厚みtmaxは450μmであった。このようにして得られた封止シートを、受光面側および裏面側封止シートとして用いて次の体積固有抵抗、PID評価、接着強度評価(ダンプヒート試験)を行った。
<体積固有抵抗>
得られたシートを10cm×10cmのサイズに裁断した。次いで、150℃、250Paで3分間加熱減圧した後、150℃、100kPaで10分間加熱加圧処理して測定用のシートを作製した。作製したシートの体積固有抵抗(Ω・cm)を、JIS K6911に準拠し、温度100℃、印加電圧1000Vで測定した。
<PID評価>
上記方法で得られた封止シートを、受光面側保護シートと太陽電池素子との間、および太陽電池素子と裏面側保護シートの間にセットして、真空ラミネーターを用いて太陽電池モジュールを作製し、PID評価試験を実施した。評価用モジュールに用いた構成は、太陽電池素子として多結晶セルを用い、1セル小モジュールとした。受光面側保護シートには、24×21cmにカットした旭硝子ファブリテック社製の白板フロートガラス3.2mm厚みのエンボス付き熱処理ガラスを用いた。太陽電池素子は、受光面側のバスバー銀電極を中央にして5×3cmにカットしたセルを用いた。裏面側保護シートとしては、シリカ蒸着PETを含むPET系バックシートを用い、バックシートの一部にセルからの取り出し部位にカッタ−ナイフで約2cm切り込みを入れセルのプラス端子とマイナス端子を取り出し、真空ラミネーター(NPC社製:LM−110x160−S)を用いて熱盤温度150℃、真空時間3分、加圧時間10分にてラミネートした。その後、ガラスからはみ出した封止シート、バックシートをカットし、ガラスエッジには端面封止材を付与して、アルミフレームを取り付けた後、バックシートから取り出した端子部分の切れ込み部位はRTVシリコーンを付与して硬化させた。このミニモジュールのプラス端子とマイナス端子を短絡し、電源の高圧側ケーブルを接続した。また電源の低圧側のケーブルはアルミフレームに接続し、アルミフレームは接地した。このモジュールを85℃、85%相対湿度の恒温恒湿槽内にセットし、温度上昇を待った後、−1000Vを印加し、24時間電圧を印加したまま保持した。高圧電源には、松定プレシジョン社製HARb−3R10−LFを用い、恒温恒湿槽にはエタック社製FS−214C2を用いた。試験後、このモジュールをAM(エアマス)1.5クラスAの光強度分布を有するキセノン光源を用いIV特性を評価した。IV評価には日清紡メカトロニクス社製のPVS−116i−Sを用いた。
評価結果は、以下の通りに分類した。
試験後のIV特性の最大出力電力Pmaxが初期値と比べて
出力電力の低下が10%以下 :○
出力電力の低下が10%超過〜20%以下 :△
出力電力の低下が20%超過 :×
<接着強度評価>
作製した太陽電池用封止シートをガラス上に積層し、真空ラミネーター内の150℃に温調したホットプレート上に載せて、3分間真空減圧した後、10分間加熱した。これにより、ガラス/封止シートの積層体を作製した。この積層体上にある封止シートを10mm幅に切断し、被着体であるガラスに対する、180度ピールによる剥離強度を測定した。180度ピールによる剥離強度は、島津社製引張試験機を用いて、23℃、引張速度300mm/分で測定し、3回の測定の平均値を採用して、「接着強度」とした。
<耐久試験方法>
上記接着強度評価用の積層体を温度85℃、相対湿度85%に調整された恒温恒湿試験槽内に設置し、1000時間経過後の接着強度を測定した。
評価結果を表1に示した。
Figure 2016058473
実施例および比較例の結果を眺めながら本発明のポイントと効果を具体的に述べる。比較例4は、エポキシ基含有シラン化合物(A)もエチレン性不飽和シラン化合物(B)も共に用いることなくEVAのみを封止シートとして用いた例である。この場合は優れたPID耐性を示すものの、恒温恒湿試験(以下、DHと呼ぶ。)後の接着強度の低下が激しく実用的ではない。DH後の接着強度を発現させるため、エチレン性不飽和シラン化合物(B)を0.25重量部添加して封止シートを作成して評価すると比較例2の結果が得られた。表1から理解されるように、この場合のDH後接着強度は初期接着強度並みを維持しているものの、PID耐性が顕著に低下してしまうことが分かる。比較例3のようにエポキシ基含有シラン化合物(A)を添加した場合では、初期の接着強度こそ良好だがDH後接着強度は初期接着強度の約7割程度まで低下してしまう。一方で、比較例2の封止シートに、エポキシ基含有シラン化合物(A)を0.15または0.25重量部添加して得られた封止シート(実施例1、実施例4および実施例5)では、PID耐性を落とすことなくDH後のガラス接着強度に優れたモジュールを与えることが分かる。封止シート中への、その他の添加剤としての紫外線吸収剤、酸化防止剤の存否がPID耐性やDH後の接着強度に及ぼす影響は僅少であることも確認された(実施例1〜実施例3の対比)。
本発明の太陽電池用封止シートはPID耐性に優れ、ガラス面との接着強度にも優れる。
10 太陽電池モジュール
11 受光面側封止シート
12 裏面側封止シート
13 太陽電池素子
14 受光面側保護シート
15 裏面側保護シート
16 インターコネクタ

Claims (8)

  1. エチレン・極性モノマー共重合体を100重量部と、
    エポキシ基含有シラン化合物(A)を0.1重量部を超えて0.5重量部以下と、
    エチレン性不飽和シラン化合物(B)を0.1重量部を超えて0.5重量部以下と、
    を含むことを特徴とする太陽電池用封止シート。
  2. 150℃、250Paで3分間加熱減圧した後、150℃、100kPaで10分間加熱加圧処理した際に、JIS K6911に準拠し、温度100℃、印加電圧1000Vで測定される体積固有抵抗が、1×1015〜1×1017Ω・cmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用封止シート。
  3. 前記エチレン・極性モノマー共重合体を構成する極性モノマー由来の基が、カルボキシル基およびエステル基から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用封止シート。
  4. 前記エチレン・極性モノマー共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池用封止シート。
  5. 前記エポキシ基含有シラン化合物(A)が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池用封止シート。
  6. 前記エチレン性不飽和シラン化合物(B)が、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池用封止シート。
  7. 太陽電池素子の太陽光の入射面側に配置される受光面側封止シートおよび、前記太陽電池素子の裏面側に配置される裏面側封止シートとして使用され、
    前記受光面側封止シートに含まれる前記エポキシ基含有シラン化合物(A)濃度が、前記裏面側封止シート中の濃度に比べて大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の太陽電池用封止シート。
  8. 太陽電池素子が、請求項1〜7のいずれか一項に記載の太陽電池用封止シートによって封止された、太陽電池モジュール。
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