JP2016053568A - 基材の操作感を評価する方法および基材 - Google Patents

基材の操作感を評価する方法および基材 Download PDF

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Abstract

【課題】多くのユーザに受け入れられる操作感が得られる基材。【解決手段】第1の表面を有する基材を準備するステップと、前記基材の第1の表面に対して、触覚接触子を用いて、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から選定された少なくとも1種類の摩擦速度、ならびに0.098N〜1.960Nの範囲から選定された少なくとも2種類の荷重のそれぞれの組み合わせ条件下で、複数個の動摩擦係数μ(μ1,・・・,μN:ここでNは2以上の整数)を測定するステップと、得られた複数の動摩擦係数μの標準偏差σおよび前記動摩擦係数μの平均値μaveを求めるステップと、前記標準偏差σがσ<0.5を満たすかどうかを判定するステップ、または前記平均値μaveがμave<1.4を満たすかどうかの少なくとも一方を判定するステップと、を有することを特徴とする基材の操作感を評価する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、タッチパネルの保護カバー等に適用される基材に関する。
一般に、タッチパネルのような、ユーザが指で操作することが可能な電子装置は、透明基板で構成された保護カバーを有する。
保護カバーは、ユーザが直接指でタッチする部材であるため、保護カバーには、透明性および防眩性のような光学的特性に加えて、指でタッチする際の操作感が要求される場合がある。
この点に関し、特許文献1には、指でタッチする際の触感に優れたタッチパネル用のフィルムが提案されている。
特開2010−153298号公報
前述のように、保護カバーには、指でタッチする際の「操作感」が要求される場合がある。このため、最近は、特許文献1のように、指でタッチする際の触感を考慮した基材が提案されるようになってきた。
しかしながら、保護カバーを構成する基材の「操作感」は、ユーザによって印象が様々に変化する。従って、例えば、あるユーザにとっては適正な「操作感」が感じられる基材であっても、同じ基材の「操作感」が必ずしも他の人にも同様に受け入れられるとは言えない。
このため、より多くのユーザにとって満足な「操作感」が得られる基材に対しては、現在も依然として高い要望がある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、多くのユーザに受け入れられる「操作感」が得られる基材を提供することを目的とする。また、本発明では、基材の「操作感」を評価する方法を提供することを目的とする。
本発明では、基材の操作感を評価する方法であって、
(i)第1の表面を有する基材を準備するステップと、
(ii)前記基材の第1の表面に対して、触覚接触子を用いて、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から選定された少なくとも1種類の摩擦速度、ならびに0.098N〜1.960Nの範囲から選定された少なくとも2種類の荷重のそれぞれの組み合わせ条件下で、複数個の動摩擦係数μ(μ,・・・,μ:ここでNは2以上の整数)を測定するステップと、
(iii)得られた複数の動摩擦係数μの標準偏差σ、および前記動摩擦係数μの平均値μaveを求めるステップと、
(iv)前記標準偏差σがσ<0.5を満たすかどうか、または前記平均値μaveがμave<1.4を満たすかどうかの少なくとも一方を判定するステップと、
を有することを特徴とする基材の操作感を評価する方法が提供される。
また、本発明では、第1の表面を有する基材であって、
当該基材の第1の表面に対して、触覚接触子を用いて、1mm/秒、10mm/秒、および100mm/秒の3種類の摩擦速度、ならびに0.098N、0.196N、0.490N、0.980N、および1.960Nの5種類の荷重のそれぞれの組み合わせで、合計15個の動摩擦係数μ〜μ15を測定したとき、
得られる動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σが0.5未満であり、
前記動摩擦係数μ〜μ15の平均値μaveが1.4未満であることを特徴とする基材が提供される。
本発明では、多くのユーザに受け入れられる「操作感」が得られる基材を提供することができる。また、本発明では、基材の「操作感」を評価する方法を提供することができる。
本発明の一実施形態による基材の操作感を評価する第1の方法のフローを概略的に示した図である。 本発明の一実施形態による方法に使用され得るガラス板の一例を概略的に示した図である。 第1の方法における摩擦速度および荷重の条件と、測定される動摩擦係数μ〜μ15の関係を示した図である。 一定荷重Pを受けた接触子が、ある表面を一定の摩擦速度で移動する際の時間tと摩擦力Fの関係を模式的に示した図である。 本発明の一実施形態による基材を模式的に示した図である。 サンプルDの第1の表面で得られた時間tと摩擦力Fの関係を示したチャートである。 サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた動摩擦係数μの標準偏差σと、触り心地の評価結果との関係を示した図である。 サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた動摩擦係数μの標準偏差σと、滑りやすさの評価結果との関係を示した図である。 サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた動摩擦係数μの標準偏差σと、さらさら感の評価結果との関係を示した図である。 サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた動摩擦係数μの平均値μaveと、触り心地の評価結果との関係を示した図である。 サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた動摩擦係数μの平均値μaveと、滑りやすさの評価結果との関係を示した図である。 サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた動摩擦係数μの平均値μaveと、さらさら感の評価結果との関係を示した図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
前述のように、保護カバーとなる基材には、指でタッチする際の「操作感」が要求される場合がある。
しかしながら、基材の「操作感」は、主観的なものであり、ユーザによって感じ方が様々である。例えば、あるユーザにとっては適正な操作感が感じられる基材であっても、同じ基材の「操作感」が他のユーザにとっては、不満足に感じるものとなる場合も考えられる。
このように、基材の「操作感」にはユーザ間でのばらつきがあり、多数のユーザにとって満足な「操作感」が得られる基材を提供することは容易ではない。
本願発明者らは、このような「操作感」のばらつきの問題に対処するため、鋭意研究開発を行ってきた。その結果、基材上での指の移動速度、基材に加える荷重、および指の保湿性などがユーザ毎に大きく異なっており、これらに起因してユーザ間における「操作感」の感じ方にばらつきが生じることを見出した。
また、本願発明者らは、この結果に基づき、「操作感」につながる代表的な3つの主観的な触感指標(「触り心地」、「滑りやすさ」、および「さらさら感」)を、動摩擦係数の標準偏差σおよび平均値μaveという物理的パラメータと対応づけることにより、より多くのユーザにとって満足な「操作感」が得られる基材が提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明では、基材の操作感を評価する方法であって、
(i)第1の表面を有する基材を準備するステップと、
(ii)前記基材の第1の表面に対して、触覚接触子を用いて、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から選定された少なくとも1種類の摩擦速度、ならびに0.098N〜1.960Nの範囲から選定された少なくとも2種類の荷重のそれぞれの組み合わせ条件下で、複数個の動摩擦係数μ(μ,・・・,μ:ここでNは2以上の整数)を測定するステップと、
(iii)得られた複数の動摩擦係数μの標準偏差σ、前記動摩擦係数μの平均値μaveを求めるステップと、
(iv)前記標準偏差σがσ<0.5を満たすかどうか、または前記平均値μaveがμave<1.4を満たすかどうかの少なくとも一方を判定するステップと、
を有することを特徴とする方法が提供される。
本発明では、動摩擦係数μの測定の際の触覚接触子の摩擦速度条件は、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から選定される。本発明における摩擦速度とは、基板の触覚接触子に対する相対的な移動速度を表す。また、動摩擦係数μの測定の際の触覚接触子の荷重条件は、0.098N〜1.960Nの範囲から選定される。これらの範囲は、ユーザがタッチパネル等の保護カバーに対してタッチ操作する際の典型的な指の移動速度および指の荷重を網羅する。
なお、前述の3つの主観的な触感指標のうち、「触り心地」とは、基材上で指を操作する際に感じる気持ち良さ(好き/嫌い)を意味する。また、「滑りやすさ」とは、基材上で指を滑らせた際に感じる感覚であって、例えば、スムーズに移動する感触/引っかかる感触を意味する。さらに、「さらさら感」とは、基材上で指が受ける湿潤感覚であって、さらさら感/しっとり感/べたつき感などを意味する。
本願発明者らの実験によれば、これらの3つの触感指標は、前述のように測定される複数個の動摩擦係数μの標準偏差σおよび動摩擦係数μの平均値μaveと良い相関にあることが見出されている。特に、σ<0.5の場合、あるいはμave<1.4の場合、3つの触感指標がいずれも良好な基材、すなわち良好な「操作感」を有する基材を得ることができる。
このように、本発明では、ユーザの主観的な触感指標を、動摩擦係数の標準偏差σまたは平均値μaveという物理的パラメータと対応づけて整理することができる。また、このパラメータを、基材の「操作感」の判定指標に使用することにより、より多くのユーザに受け入れられる「操作感」に優れた基材を選定、提供することが可能となる。
(本発明の一実施形態による基材の操作感を評価する方法について)
次に図面を参照して、本発明の一実施形態による基材の操作感を評価する方法の一例について説明する。
図1には、本発明の一実施形態による基材の操作感を評価する方法(以下、「第1の方法」と称する)のフローを概略的に示す。
図1に示すように、この第1の方法は、
(i)第1の表面を有する基材を準備するステップ(ステップS110)と、
(ii)前記基材の第1の表面に対して、触覚接触子を用いて、1mm/秒、10mm/秒、および100m/秒の3種類の摩擦速度、ならびに0.098N、0.196N、0.490N、0.980N、および1.960Nの5種類の荷重のそれぞれの組み合わせ条件下で、合計15個の動摩擦係数μ〜μ15を測定するステップ(ステップS120)と、
(iii)得られた15個の動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σおよび平均値μaveを求めるステップ(ステップS130)と、
(iv)前記標準偏差σがσ<0.5を満たすかどうか、または前記平均値μaveがμave<1.4を満たすかどうかの少なくとも一方を判定するステップ(ステップS140)と、
を有する。
以下、図2〜図4も参照して、各ステップについて詳しく説明する。
なお、ここでは、一例として、基材がガラスで構成される場合を例に、各ステップについて説明する。ただし、以下の説明は、基材がガラス以外の材料、例えば樹脂またはプラスチック等で構成される場合も、そのまま、または一部を修正して、同様に適用できることは当業者には明らかである。また、パソコン等に搭載されているタッチパッド等の不透明な基板で構成される場合でも、そのまま、または一部を修正して、同様に適用できることは当業者には明らかである。
(ステップS110)
まず、ガラス板が準備される。
図2には、ガラス板110の一例を概略的に示す。
図2に示すように、ガラス板110は、第1の表面112と、該第1の表面112と対向する第2の表面114とを有する。
ガラス板110の組成は、特に限られない。ガラス板110は、例えば、ソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、および無アルカリガラス等で構成されても良い。
また、ガラス板110は、強化処理されていても良い。これにより、ガラス板110の強度を高めることができる。強化処理の手段としては、化学強化処理(法)、物理強化処理(法)の何れでも良い。
ここで、「化学強化処理(法)」とは、アルカリ金属を含む溶融塩中にガラス板を浸漬させ、ガラス板の最表面に存在する原子径の小さなアルカリ金属(イオン)を、溶融塩中に存在する原子径の大きなアルカリ金属(イオン)と置換する技術の総称を言う。「化学強化処理(法)」では、処理されたガラス板の表面には、処理前の元の原子よりも原子径の大きなアルカリ金属(イオン)が配置される。このため、ガラス板の表面に圧縮応力層を形成することができ、これによりガラス板の強度が向上する。
例えば、ガラス板110がナトリウム(Na)を含む場合、化学強化処理の際、このナトリウムは、溶融塩(例えば硝酸塩)中で、例えばカリウム(K)と置換される。あるいは、例えば、ガラス板110がリチウム(Li)を含む場合、化学強化処理の際、このリチウムは、溶融塩(例えば硝酸塩)中で、例えばナトリウム(Na)および/またはカリウム(K)と置換されても良い。
「物理強化処理(法)」とは、ガラス板を軟化点付近に加熱後、圧縮空気などを吹き付けてガラス板を急冷し表面圧縮応力を高める技術の総称である。
また、ガラス板110の少なくとも一方の表面(例えば第1の表面112)は、アンチグレア処理されても良い。
本願において、「アンチグレア処理」とは、ガラス板110の表面に凹凸を形成して、ガラス板110に外光からの映り込みを抑制する防眩機能を付与することを意味する。
アンチグレア処理は、例えば、ガラス板110の第1の表面112を、フッ化水素(HF)ガスを含む処理ガスでエッチングすることにより、実施されても良い。このようなエッチングにより、第1の表面112に、多数の微細な凹凸構造を形成することができる。
アンチグレア処理の方法は、フッ化水素ガスによるエッチング処理に限られるものではなく、例えば、フロスト処理、エッチング処理、サンドブラスト処理、ラッピング処理、またはシリカコート処理等により、実施されても良い。
また、ガラス板110の少なくとも一方の表面(例えば第1の表面112)に、反射防止層が形成されても良い。反射防止層としては既知の構成が利用でき、単層でも多層でも良い。単層反射防止層は、ガラス板110の屈折率(1.5程度)よりも低い屈折率材料、たとえば、MgFの成膜や中空シリカによるコート等により形成できる。また、多層反射防止層は、高屈折材料(TiO、Ta、Nb等)と低屈折材料(SiO、MgF等)を交互に、例えば2〜4層繰り返し積層したものを、蒸着、スパッタ、ウエットコート等の方法により形成できる。
上記のような反射防止層は、アンチグレア処理された上記ガラス板110の少なくとも一方の表面(例えば第1の表面112)上に形成されてもよい。
また、ガラス板110の少なくとも一方の表面(例えば第1の表面112)には、指紋付着防止層(以下、「AFP層」と称する)が形成されても良い。第1の表面112にAFP層を形成することにより、第1の表面112に、撥水性および撥油性などを発現させることが可能となる。また、これにより、ガラス板110の防汚性が向上する。
AFP層は、例えば、ガラス板110の第1の表面112上で、フッ素およびケイ素を含む化合物(含フッ素ケイ素化合物)を、加水分解縮合反応させることにより、形成しても良い。
そのような加水分解性の含フッ素ケイ素化合物としては、例えば、信越化学工業社製のKP−801(商品名)、KY−130(商品名)、KY−178(商品名)、KY−185(商品名)、X−71−186(商品名)、X−71−190(商品名)、およびダイキン工業社製のオプツ−ル(登録商標)DSX(商品名)等が挙げられる。
防眩、反射防止、防汚の各機能層は、ガラス板を加工して形成することに限定されず、コーティング、またはこれらのうち少なくとも1つの機能を付与したフィルムをガラス板に貼付して実現しても良い。
ガラス板110の寸法および形状は、特に限られない。ガラス板110は、例えば、0.3mm〜2.0mmの厚さを有しても良い。また、ガラス板110の形状は、略矩形状の他、略円形、略楕円形、異形状等であっても良い。また、ガラス板110の形状は、平板状に限定されず、3次元形状でも良い。
以下、以降のステップ120に供されるガラス板110(すなわち、化学強化処理されおよび/またはアンチグレア処理されおよび/またはAFP層が設置されたガラス板)を、特に「ガラス基板」と称する。
(ステップS120)
次に、ステップS110で準備したガラス基板を、摩擦速度および接触子への荷重を変更した各種条件下で、第1の表面112の動摩擦係数μを測定する。
より具体的には、図3に示すように、3種類の摩擦速度(1mm/秒、10mm/秒および100mm/秒)ならびに5種類の荷重(0.098N、0.196N、0.490N、0.980Nおよび1.960N)のそれぞれの組み合わせ条件下で、第1の表面112を接触子に対して相対的に移動させ、合計15個の動摩擦係数μ〜μ15を室温(例えば20℃)にて測定する。
なお、接触子には、指を模擬するため、触覚接触子を使用する。
ここで、図4を用いて、動摩擦係数μの測定方法について説明する。
図4には、一定荷重Pを受けた物体が、ある表面(以下、「移動表面」という)を一定の速度で移動する際の時間t(または移動距離)と摩擦力Fの関係を模式的に示す。
図4に示すように、一般に、物体が定常的に動き始めた以降(時間t=t以降)は、摩擦力F(動摩擦力F)と時間tの間には、直線的な関係が得られる。特に、この時間領域では、動摩擦力Fは、時間によらず比較的一定の値となる場合が多い。
また、一般に、動摩擦力F(N)と荷重P(N)の間には以下の関係が成り立つ:

=μ×P (1)式

この(1)式から、既知の荷重P(N)下で、時間に対して一定となった動摩擦力F(N)を測定することにより、その条件における動摩擦係数μを算出することができる。
なお、動摩擦力Fが時間tに対して一定の値を示さない場合(例えば、Fが時間tとともに単調増加する場合など)には、物体の移動距離が15mmに達した時点での動摩擦力の値を、その条件における動摩擦力Fとして採用し、前述の(1)式から動摩擦係数μを算定するものとする。
これにより、ガラス基板の第1の表面112における、各条件下での動摩擦係数μ〜μ15が得られる。
(ステップS130)
次に、ステップS120で得られた合計15個の動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σおよび平均値μaveが算定される。
標準偏差σは、以下の(2)式から求められる:
Figure 2016053568
ここで、Nはデータ数(すなわち第1の方法では15)であり、μaveは15個の動摩擦係数μ〜μ15の平均値である。
(ステップS140)
次に、ステップS130で得られた標準偏差σを用いて、該標準偏差σが

σ<0.5 (3)式

を満たすかどうか、または、ステップS130で得られた平均値μaveを用いて、該平均値μave

μave<1.4 (4)式

を満たすかどうかの少なくとも一方が判定される。
後に詳しく示すように、本願発明者らの実験結果では、「触り心地」、「滑りやすさ」および「さらさら感」の、3つの主観的な触感指標は、動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σおよび平均値μaveと良い相関にあることが見出されている。
すなわち、(3)式または(4)式を満たすような第1の表面112を有するガラス基板では、「触り心地」、「滑りやすさ」および「さらさら感」のいずれの触感指標においても、ユーザが満足する結果が得られることが示されている。
従って、標準偏差σが(3)式を満たすかどうか、あるいは平均値μaveが(4)式を満たすかどうか、を判定することにより、ガラス基板の「操作感」を評価することができる。換言すれば、(3)式および(4)式を満たすような表面を有するガラス基板を選定することにより、より多くのユーザに受け入れられる「操作感」を有するガラス基板を提供することができる。
以上、図1を参照して、本発明による基材の「操作性」の評価方法の一実施形態について説明した。しかしながら、本発明による基材の「操作性」の評価方法は、これに限られるものではないことは当業者には明らかである。
例えば、ステップS120において、触覚接触子の摩擦速度の値は、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から、自由に選定することができ、摩擦速度の条件数も、1以上の数から,自由に選択することができる。同様に、ステップS120において、触覚接触子の荷重の値は、0.098N〜1.960Nの範囲から、自由に選定することができ、その条件数も、2以上の範囲から、自由に選択することができる。
また、ステップS120において、触覚接触子の摩擦速度の値は、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から、自由に選定することができ、摩擦速度の条件数も、2以上の数から,自由に選択することができる。同様に、ステップS120において、触覚接触子の荷重の値は、0.098N〜1.960Nの範囲から、自由に選定することができ、その条件数も、1以上の範囲から、自由に選択することができる。
従って、ステップS120において測定される動摩擦係数μの数は、2以上である限り、特に限られず、例えば、2、3、4、5、6、8、9、10、12、および16等であっても良い。
特に、測定される動摩擦係数μの数が多いほど、標準偏差σおよび平均値μaveの確度が上昇する。従って、測定される動摩擦係数μの数は、6以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。
また、上記第1の方法では、ステップS140において、(3)式または(4)式のいずれかが、基材の「操作性」の判断指標として利用される。しかしながら、この代わりに、(3)式および(4)式の両方を、判断指標に使用しても良い。
(本発明の一実施形態による基材について)
次に、図5を参照して、本発明の一実施形態による基材について説明する。
図5には、本発明の一実施形態による基材500を模式的に示す。
図5に示すように、基材500は、第1の表面502および第2の表面504を有する。また、基材500は、第1の表面512および第2の表面514を有する透明板510を有する。透明板510は、第1の表面512がアンチグレア処理されている。
また、図5に示した例では、基材500は、透明板510の第1の表面512に、AFP層530を有する。ただし、AFP層530は、任意に設置される部材であり、必ずしも必要ではない。
ここで、基材500は、第1の表面502に対して、触覚接触子を用いて、1mm/秒、10mm/秒、および100m/秒の3種類の摩擦速度、ならびに0.098N、0.196N、0.490N、0.980N、および1.960Nの5種類の荷重のそれぞれの組み合わせで、合計15個の動摩擦係数μ〜μ15を測定したとき、得られる動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σが

σ<0.5 (3)式

を満たし、
前記動摩擦係数μ〜μ15の平均値μave

μave<1.4 (4)式

を満たすという特徴を有する。
前述のように、動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σおよび平均値μaveは、「触り心地」、「滑りやすさ」および「さらさら感」の、3つの主観的な触感指標と良い相関にあり、標準偏差σが(3)式を満たす場合、あるいは平均値μaveが(4)式を満たす場合、3つの触感指標に関して、多くのユーザが満足する結果が得られる。
従って、(3)式および(4)式を満たすような第1の表面502を有する基材500では、多くのユーザに受け入れられる「操作感」を提供することができる。
(基材500の詳細について)
以下、図5に示した基材500を構成する各部材について、より詳しく説明する。以下では基材500が透明な板状である場合についてその詳細を説明するが、基材500は、非透明の基材であってもよい。
(透明板510)
透明板510は、透明である限り、その材質は、特に限られない。透明板510は、例えば、ガラス、樹脂またはプラスチック等で構成されても良い。
透明板510がガラスで構成される場合、ガラスの組成は、特に限られず、ガラスは、例えば、ソーダライムガラスまたはアルミノシリケートガラスであっても良い。また、透明板510がガラスで構成される場合、透明板510は、化学強化処理されていても良い。
透明板510は、第1の表面512がアンチグレア処理されていても良い。アンチグレア処理の方法は、特に限られない。アンチグレア処理の方法は、例えば、フロスト処理、エッチング処理、サンドブラスト処理、ラッピング処理、およびシリカコート処理等から選定されても良い。
透明板510の第1の表面512は、例えば、算術平均粗さRaが10nm〜700nmの範囲であっても良く、30nm〜500nmがより好ましく、50nm〜300nmが最も好ましい。また、透明板510の第1の表面512は、例えば、粗さ曲線要素の平均長さRSmが10μm〜300μmの範囲であっても良く、15μm〜300μmがより好ましく、20μm〜300μmが最も好ましい。
(AFP層530)
透明板510の第1の表面512には、必要に応じて、AFP層530が設置される。
AFP層530を設置することにより、基材500の第1の表面502に、撥水性および撥油性などを発現させることが可能となる。また、これにより、基材500の防汚性が向上する。
AFP層530の種類は、特に限られない。AFP層530は、例えば、フッ素およびケイ素を含む化合物(含フッ素ケイ素化合物)で構成されても良い。
そのような含フッ素ケイ素化合物は、例えば、透明板510の第1の表面512上で、加水分解性含フッ素ケイ素化合物を加水分解縮合反応させることにより、形成しても良い。
そのような加水分解性含フッ素ケイ素化合物としては、例えば、信越化学工業社製のKP−801(商品名)、KY−130(商品名)、KY−178(商品名)、KY−185(商品名)、X−71−186(商品名)、X−71−190(商品名)、およびダイキン工業社製のオプツ−ル(登録商標)DSX(商品名)等が挙げられる。
AFP層530の厚さは、特に限られないが、例えば、単分子層の厚さから30nmまでの範囲である。AFP層530の厚さは、例えば、1nm以上であっても良く、3nm以上がより好ましい。AFP層530の厚さは、5nm〜20nmが最も好ましい。
(基材500)
基材500の寸法および形状は、特に限られない。例えば、基材500は、正方形状、矩形状、円形状、楕円形状または異形状等であっても良い。また、基材500の形状は、平板状に限らず、3次元形状でも良い。
なお、基材500をタッチパネルの保護カバーとして使用する場合、基材500の厚さは、薄いことが好ましい。例えば、基材500の厚さは、0.2mm〜3.0mmの範囲であっても良い。基材500の厚さは2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下が最も好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。
(ガラス基板の操作感の評価)
以下のように、第1の表面の状態が異なる6種類のガラス基板を準備し、各ガラス基板の第1の表面の操作感について評価した。
(ガラス基板の製造)
まず、第1の表面の状態が異なる6種類のガラス基板(以下、それぞれ、サンプルA〜サンプルFと称する)を製造した。
サンプルAは、以下に示す方法で製造した。すなわち、まず縦100mm×横80mm×厚さ1mmの寸法を有するガラス板(ドラゴントレイル(登録商標):旭硝子社製)を準備する。
次に、ガラス板の第1の表面(100mm×80mmの寸法を有する一方の表面)を、フッ化水素ガスでエッチング処理し、第1の表面に微細な凹凸構造を形成する。このエッチング処理条件を「HF処理条件1」と称する。これにより、第1の表面がアンチグレア処理される。
次に、ガラス板に対して化学強化処理を実施する。
次に、ガラス板の第1の表面に、AFP層(KY−178:信越化学工業株式会社製)を形成する。これにより第1の表面にAFP層を有するサンプルAが得られた。
同様の方法により、サンプルB〜サンプルEを製造した。
ただし、サンプルBでは、サンプルAの場合とは異なるエッチング条件(「HF処理条件2」と称する)で、第1の表面をエッチングした。また、サンプルCでは、サンプルAおよびサンプルBの場合とは異なるエッチング条件(「HF処理条件3」と称する)で第1の表面をエッチングするとともに、AFP層を形成しなかった。また、サンプルDでは、サンプルA〜サンプルCの場合とは異なるエッチング条件(「HF処理条件4」と称する)で第1の表面をエッチングするとともに、AFP層を形成しなかった。また、サンプルEでは、第1の表面のエッチング処理を実施せず、AFP層の形成のみを実施した。さらに、比較のため、エッチング処理およびAFP層形成等の処理を一切実施していないガラス板(ドラゴントレイル(登録商標:旭硝子社製)を、サンプルFとして準備した。
得られたサンプルA〜サンプルDに対して、レーザーマイクロスコープ(VK−9700:キーエンス社製)を用いて、第1の表面の表面粗さ(RaおよびRSm)を測定した。ここで、Raは、算術平均粗さを表し、RSmは、粗さ曲線要素の平均長さを表す。
以下の表1に、各サンプルの製造条件および表面粗さの測定結果をまとめて示した。
Figure 2016053568
(モニター評価)
次に、ランダムに選定したモニター29名に、サンプルA〜サンプルFのそれぞれの第1の表面で、指によるタッチ操作を実施してもらい、その結果を評価点として集計した。モニターの内訳は、成人男性21人および成人女性8人であった。
なお、調査は、以下のように実施した:
(1)各モニターは、サンプルA〜サンプルFのそれぞれの第1の表面で、スマートフォンでの操作をイメージして、指によるタッチ操作を実施する。
(2)各モニターは、タッチ操作の結果を、各サンプルの「触り心地」、「滑りやすさ」および「さらさら感」の3つの項目について、7点満点で点数付けする。
ここで、おおよその目安として、0点〜3点は、その特性が「受け入れ難い」場合に相当し、4点から7点は、その特性が「受け入れ易い」場合に相当し、3点〜4点前後は、その特性が受け入れ易い/難いの「どちらでもない」場合に相当する。また、0点は、その特性が「全く受け入れられない」場合に相当し、7点は、その特性が「極めて気に入った」場合に相当する。
(3)各サンプルA〜Fについて、それぞれの項目で得られた点数を平均化し、評価点とする。
各サンプルA〜Fについて得られた結果をまとめて、表2に示す。
Figure 2016053568
(摩擦挙動の評価)
次に、各サンプルA〜Fを用いて、第1の表面における動摩擦係数を評価した。測定には、動摩擦測定機(株式会社トリニティーラボ社製)を使用し、接触子としては、装置に付随の触覚接触子を使用した。
サンプルA〜Fのうちいずれか1つのサンプルを動摩擦測定機の移動ステージに取り付け、移動ステージの移動速度、すなわち摩擦速度、および接触子への荷重を後述の測定条件から各々1つずつ選択して設定し、第1の表面112における動摩擦係数μを測定した。移動ステージの移動距離、すなわち摩擦距離は30mmとした。
測定条件は、3種類の摩擦速度(100mm/秒、10mm/秒および1mm/秒)ならびに5種類の荷重(0.098N、0.196N、0.490N、0.980N、および1.960N)を組み合わせた合計15条件とした。各測定条件下で3回繰り返して測定を行い、その平均値を当該測定条件における動摩擦係数μ(i=1〜15のいずれか)として採用した。なお、測定は23℃40%RHの環境下で実施した。
各サンプルA〜Fに対して、それぞれの測定条件において、前述のように、時間tと摩擦力Fの関係を測定した。また、得られた関係から、前述の(1)式を用いて、動摩擦係数μを計算した。
これにより、各サンプルA〜Fにおいて、それぞれの測定条件に対応した、15個の動摩擦係数μ〜μ15が得られた(図3参照)。
図6には、一例として、サンプルDの第1の表面で得られた時間tと動摩擦力Fの関係を示す。この測定は、摩擦速度1mm/秒および荷重0.98Nの条件で得られたものである。
なお、煩雑化をさけるため省略するが、サンプルDのその他の条件、およびその他のサンプルA、B、C、E、Fにおいても、動摩擦力F値は異なるが、時間tと動摩擦力Fの関係は、ほぼ同様の挙動を示した。
図6からわかるように、移動ステージが移動を開始してからの摩擦力F(すなわち動摩擦力F)は、時間tに対して、ほぼ一定であるものの、小さな増減(振幅)を繰り返している。本実施例では、このような傾向が得られた場合、動摩擦力Fとして、摩擦力Fの振幅の中心の値(図6の破線参照)を採用した。
表3には、それぞれの条件において得られた、サンプルA〜サンプルFにおける動摩擦係数μ〜μ15の値がまとめて示されている。また、表3には、サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおける、動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σおよび動摩擦係数μ〜μ15の平均値μaveについても示されている。
Figure 2016053568
(動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σおよび平均値μaveについて)
図7には、サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σ(以下、単に「標準偏差σ」と称する)と、触り心地の評価結果との関係を示す。図7において、横軸は標準偏差σであり、縦軸は触り心地の評価点である。
同様に、図8には、サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた標準偏差σと、滑りやすさの評価結果との関係を示し、図9には、サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた標準偏差σと、さらさら感の評価結果との関係を示す。図8において、横軸は標準偏差σであり、縦軸は滑りやすさの評価点である。また、図9において、横軸は標準偏差σであり、縦軸はさらさら感の評価点である。
図7〜図9から、各サンプルにおいて得られた標準偏差σと、触り心地、滑りやすさおよびさらさら感の3指標の間には、良い相関があることがわかる。すなわち、標準偏差σが小さいほど、触り心地が良く、滑りやすく、さらさら感のある表面が得られる傾向にあることがわかる。
参考のため、図7〜図9には、それぞれ、標準偏差σと、3つの触感指標の評価点との間の近似的な相関直線(L1〜L3)を示した。
ここで、各サンプルA〜Fの触り心地の合否判定閾値として、満点(7点)の半分程度およびそれを中心とする若干の領域幅を含めた3.3点〜3.7点の範囲を仮定する。この場合、図7の相関直線L1から、触り心地が合格となる標準偏差σの範囲は、おおよそσ<0.5となる。
同様に、各サンプルA〜Fの滑りやすさの合否判定閾値として、3.3点〜3.7点の範囲を仮定する。この場合、図8の相関直線L2から、滑りやすさが合格となる標準偏差σの範囲は、おおよそσ<0.5となる。
さらに、触り心地および滑りやすさの合否判定閾値と同様に、各サンプルA〜Fのさらさら感の合否判定閾値として、3.3点〜3.7点の範囲を仮定する。この場合、図9の相関直線L3から、さらさら感が合格となる標準偏差σの範囲は、おおよそσ<0.5となる。
以上のことから、標準偏差σがσ<0.5を満たす場合、触り心地、滑りやすさおよびさらさら感のいずれの触感指標も、合否判定閾値を超えるようになることがわかる。従って、σ<0.5を満たす第1の表面を有する基材を選択することにより、多くのユーザにとって満足な「操作感」を有する基材を得ることができる。
なお、この判断指標(σ<0.5)に従えば、実験に使用した6種類のサンプルA〜Fの中では、触り心地の観点では、サンプルFは合格に至らず、サンプルEはボーダーラインにある。また、滑りやすさの観点では、サンプルFは合格に至らず、サンプルEはボーダーラインにあり、さらさら感の観点では、サンプルEおよびサンプルFは合格に至らないと言える。
図10には、サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた動摩擦係数μ〜μ15の平均値μave(以下、単に「平均値μave」とも称する)と、触り心地の評価結果との関係を示す。図10において、横軸は平均値μaveであり、縦軸は触り心地の評価点である。
同様に、図11には、サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた平均値μaveと、滑りやすさの評価結果との関係を示し、図12には、サンプルA〜サンプルFのそれぞれにおいて得られた平均値μaveと、さらさら感の評価結果との関係を示す。図11において、横軸は平均値μaveであり、縦軸は滑りやすさの評価点である。また、図12において、横軸は平均値μaveであり、縦軸はさらさら感の評価点である。
図10〜図12から、各サンプルにおいて得られた平均値μaveと、触り心地、滑りやすさおよびさらさら感の3指標の間には、良い相関があることがわかる。すなわち、平均値μaveが小さいほど、触り心地が良く、滑りやすく、さらさら感のある表面が得られる傾向にあることがわかる。
参考のため、図10〜図12には、それぞれ、標準偏差σと、3つの触感指標の評価点との間の近似的な相関直線(L4〜L6)を示した。
ここで、各サンプルA〜Fの触り心地の合否判定閾値として、前述の3.3点〜3.7点の範囲を仮定する。この場合、図10の相関直線L4から、触り心地が合格となる平均値μaveの範囲は、おおよそ平均値μave<1.4となる。
同様に、各サンプルA〜Fの滑りやすさの合否判定閾値として、3.3点〜3.7点の範囲を仮定すると、図11の相関直線L5から、滑りやすさが合格となる平均値μaveの範囲は、おおよそ平均値μave<1.4となる。
さらに、各サンプルA〜Fのさらさら感の合否判定閾値として、3.3点〜3.7点の範囲を仮定すると、図12の相関直線L6から、さらさら感が合格となる平均値μaveの範囲は、おおよそ平均値μave<1.4となる。
以上のことから、平均値μaveがμave<1.4を満たす場合、触り心地、滑りやすさおよびさらさら感のいずれの触感指標も、合否判定閾値を超えるようになることがわかる。従って、μave<1.4を満たす第1の表面を有する基材を選択することにより、多くのユーザにとって満足な「操作感」を有する基材を得ることができる。
なお、この判断指標(平均値μave<1.4)に従えば、今回の6種類のサンプルの中では、触り心地、滑りやすさ、およびさらさら感のいずれの観点においても、サンプルFは合格に至らないと言える。
また、サンプルE(AFP処理のみ)は、μave<1.4であるにも関わらず、3つの触感指標のうちの、さらさら感が若干合格値に至っていないが、他の2つの触感指標が合否判定閾値を満たしている。さらさら感が合格に至らない理由は、サンプルEは、エッチング処理を実施していないため、表面の凹凸構造がないことに起因しているものと考えられる。
このように、基材に対するユーザの主観的な3つの触感指標を、動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σおよび平均値μaveという物理的パラメータを用いて、定量的に評価することができることがわかった。換言すれば、動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σおよび/または平均値μaveを、基材の「操作感」の判定の指標に使用でき、この指標を使用することにより、より多くのユーザに受け入れられる「操作感」が得られる基材を選定、提供することができる。
なお、標準偏差σを判断指標にした場合と、平均値μaveを判断指標にした場合とでは、両者の間に、顕著な結果の差異は認められなかった。従って、実際に基材の「操作感」を評価する際には、標準偏差σと平均値μaveのうちの少なくとも一方を採用すれば良いと言える。
本発明は、例えば、LCD装置、OLED装置、およびタブレット型表示装置のような、各種表示装置の保護カバー等に適用される基材の特性評価に利用することができる。
110 ガラス板
112 第1の表面
114 第2の表面
500 基材
502 第1の表面
504 第2の表面
510 透明板
512 第1の表面
514 第2の表面
530 AFP層

Claims (15)

  1. 基材の操作感を評価する方法であって、
    (i)第1の表面を有する基材を準備するステップと、
    (ii)前記基材の第1の表面に対して、触覚接触子を用いて、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から選定された少なくとも1種類の摩擦速度、ならびに0.098N〜1.960Nの範囲から選定された少なくとも2種類の荷重のそれぞれの組み合わせ条件下で、複数個の動摩擦係数μ(μ,・・・,μ:ここでNは2以上の整数)を測定するステップと、
    (iii)得られた複数の動摩擦係数μの標準偏差σ、および前記動摩擦係数μの平均値μaveを求めるステップと、
    (iv)前記標準偏差σがσ<0.5を満たすかどうか、または前記平均値μaveがμave<1.4を満たすかどうかの少なくとも一方を判定するステップと、
    を有することを特徴とする方法。
  2. 前記(i)のステップは、前記第1の表面をアンチグレア処理するステップを有する、請求項1に記載の方法。
  3. 当該基材は、ガラスで構成される透明板を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ガラスは、ソーダライムガラスまたはアルミノシリケートガラスである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記透明板は、化学強化処理されている、請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記(i)のステップは、前記第1の表面に、指紋付着防止層を形成するステップを有する、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 前記(ii)のステップでは、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から選定された少なくとも2種類の摩擦速度、および0.098N〜1.960Nの範囲から選定された少なくとも3種類の荷重のそれぞれの組み合わせ条件下で、最低6個の動摩擦係数μが測定される、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の方法。
  8. 前記(ii)のステップでは、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から選定された少なくとも3種類の摩擦速度、および0.098N〜1.960Nの範囲から選定された少なくとも5種類の荷重のそれぞれの組み合わせ条件下で、最低15個の動摩擦係数μが測定される、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の方法。
  9. 第1の表面を有する基材であって、
    当該基材の第1の表面に対して、触覚接触子を用いて、1mm/秒、10mm/秒、および100mm/秒の3種類の摩擦速度、ならびに0.098N、0.196N、0.490N、0.980N、および1.960Nの5種類の荷重のそれぞれの組み合わせで、合計15個の動摩擦係数μ〜μ15を測定したとき、
    得られる動摩擦係数μ〜μ15の標準偏差σが0.5未満であり、
    前記動摩擦係数μ〜μ15の平均値μaveが1.4未満であることを特徴とする基材。
  10. 前記第1の表面は、指紋付着防止層を有する、請求項9に記載の基材。
  11. 前記第1の表面は、算術平均粗さRaが10nm〜700nmの範囲であり、および/または
    前記第1の表面は、粗さ曲線要素の平均長さRSmが10μm〜300μmの範囲である、請求項9または10に記載の基材。
  12. 当該基材は、ガラスで構成される透明板を含む、請求項9乃至11のいずれか一つに記載の基材。
  13. 前記ガラスは、ソーダライムガラスまたはアルミノシリケートガラスである、請求項12に記載の基材。
  14. 前記透明板は、化学強化処理されている、請求項12または13に記載の基材。
  15. 当該基材は、タッチパネルの保護カバーに適用される、請求項9乃至14のいずれか一つに記載の基材。
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