JP2016050335A - 熱延鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】延性と穴広げ性が改善された熱延鋼板を得る。【解決手段】所定の質量%で、C、Si、Mn、P、S、sol.Al、N、Si+sol.Alを含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する。鋼板表面から板厚の1/4深さ位置における鋼組織が、面積%で、ベイナイト:60%以上、ポリゴナルフェライト:5%以上30%未満、残留オーステナイト:3%未満、ベイナイト、残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを除く残部:10%以下であって、鋼板表面から100μm深さ位置のポリゴナルフェライト面積率と板厚の1/4深さ位置のポリゴナルフェライト面積率とが下記式(1)を満足する。Vαs>1.5Vαq (1)ここで、Vαsは鋼板表面から100μm深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率(%)、Vαqは鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率(%)、をそれぞれ表す。【選択図】なし

Description

本発明は、プレス加工等により様々な形状に成形して利用される熱延鋼板、特に伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板に関する。
近年、地球環境保護の観点から、多くの分野において炭酸ガス排出量の削減に取り組んでいる。自動車メーカーにおいても、低燃費化を目的とした車体軽量化の技術開発が盛んに行われている。しかし、乗員安全確保のために耐衝突特性の向上にも重点が置かれるため、車体軽量化は容易ではない。
そこで、車体軽量化と耐衝突特性とを両立させるべく、高強度鋼板を用いて部材を薄肉化することが検討されている。しかし、鋼板の高強度化は一般的に成形性の劣化を伴うため、高強度鋼板の開発においては、成型性を劣化させずに高強度化を図ることが重要となる。例えば、車体重量の約20%を占める構造部材や足廻り部材等の自動車部材に用いられる鋼板は、せん断加工、打ち抜き加工などによりブランキング、穴開けなどを行った後、伸びフランジ加工、バーリング加工などを主体としたプレス成形が施される。このような用途に適した成型性に優れる鋼板として、例えばTiやNb等の微細析出物により析出強化されたフェライトあるいはベイナイトが主体の鋼板とその製造方法が報告されている。
特許文献1では、C:0.01〜0.10%、Si:1.0%以下、Mn:2.5%以下、P:0.08%以下、S:0.005%以下、Al:0.015〜0.050%、Ti:0.10%〜0.30%を含有し、方位差15°以上で囲まれた粒の平均粒径が5μm以下のフェライトを主体とした伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板とその製造方法が開示されている。また特許文献2では、Cr、Ti、Nbを含有し平均粒径が4μm未満のベイナイトを主体とした加工性に優れた超高強度熱延鋼板とその製造方法が開示されている。
一方、残留オーステナイトを含有する鋼板は、変態誘起塑性(TRIP)現象により優れた延性を示すことから多くの検討がなされている。
例えば、特許文献3には、平均結晶粒径が10μm以下であるフェライト中に平均結晶粒径が5μm以下である残留オーステナイトを分散させた、耐衝突安全性および成形性に優れた自動車用高強度鋼板が開示されている。金属組織に残留オーステナイトを含む鋼板では、加工中にオーステナイトがマルテンサイト変態することで変態誘起塑性により大きな伸びを示すが、硬質なマルテンサイトの生成により穴広げ性が損なわれる。特許文献3において開示される熱延鋼板では、フェライトおよび残留オーステナイトを微細化することにより、延性および穴広げ性が向上するとされている。特許文献4には、結晶粒内に残留オーステナイトおよび/またはマルテンサイトからなる第二相を微細に分散させた、伸びおよび伸びフランジ性に優れた引張り強度が980MPa以上の高強度鋼板が開示されている。
特許文献5および特許文献6において、本発明者らは延性および伸びフランジ性に優れた高張力熱延鋼板とその製造方法を提案している。特許文献5では、860℃以上1050℃以下の温度域で熱間圧延を完了した後、1秒間以内に720℃以下の温度域まで冷却し、500℃超720℃以下の温度域に1秒間以上20秒間以下の滞在時間で滞在させた後、350℃以上500℃以下の温度域で巻き取ることにより、延性と伸びフランジ性が良好な高強度熱延鋼板の製造方法が開示されている。また特許文献6では、ベイナイトを主体とし、適量のポリゴナルフェライトと残留オーステナイトとを含有させるとともに、残留オースナイトを除く鋼組織において15°以上の結晶方位差を有する粒界で囲まれる粒の平均粒径が15μm以下である、延性と伸びフランジ性が良好な高強度熱延鋼板が開示されている。
特開2002−105595号公報 特開2000−282175号公報 特開平11−61326号公報 特開2005−179703号公報 特開2012−251200号公報 特開2012−251201号公報
自動車部材には様々な加工様式があるため、要求される成形性は適用される部材により異なるが、ロアアーム等の自動車足回り部材では延性と共に高い伸びフランジ性を有することが望まれている。さらに、近年では従来よりもさらに高い強度を有することが望まれているが、上述した従来の熱延鋼板およびその製造方法は以下に述べる難点を有するものであった。
特許文献1に記載された熱延鋼板では、微細粒化するために0.1%以上の多量のTi添加が必須であるためコストが嵩み、さらにその製法ではTiCの整合析出を回避するため500℃超〜600℃未満では巻き取り処理できないという問題を有している。
特許文献2に記載された熱延鋼板では、Ti、Nb、Crの複合添加が必要なため合金コストが嵩み、その製法では巻き取り温度が300〜500℃のいわゆる遷移沸騰領域であるため、巻き取り時の温度ムラによる材質変動が懸念される。
特許文献3に記載された鋼板は、フェライトおよび残留オーステナイトの微細化により延性および穴広げ性が向上するとされているが、穴広げ比は高々1.5であり十分な伸びフランジ性を備えるとは言い難い。また、加工硬化指数を高めて耐衝突安全性を改善するために、主相を軟質なフェライト相とする必要があり、高い引張強度を得ることが困難である。
特許文献4に記載された鋼板は、第二相をナノサイズにまで微細化し結晶粒内に分散させるために、CuやNi等の高価な元素を多量に含有させたり、高温で長時間の溶体化処理を行う必要があり、製造コストの上昇や生産性の低下が著しい。
特許文献5に記載された鋼板の製造方法では、数百℃/s以上の急速冷却を700℃近傍の温度まで続けるため板温の制御が困難である問題を有している。また巻き取り温度が300〜500℃のいわゆる遷移沸騰領域であるため、巻き取り時の温度ムラによる材質変動が懸念される。
特許文献6に記載された鋼板は、高強度であり、かつ延性と伸びフランジ性が良好でよあるものの、強度−伸びフランジ性バランス(TS×λ)が69000MPa・%以上おび強度−延性バランス(TS×EL)が16000MPa・%以上を満足せず、自動車足回り等の高い伸びフランジ性が要求される部材への適用のためには更なる改善が必要である。
本発明は、上述した従来技術に鑑みてなされたものであり、高い強度を有するとともに優れた伸びフランジ性とを有する熱延鋼板を提供することを目的とする。具体的には引張り強度780MPa以上、強度−伸びフランジ性バランス(TS×λ)が69000MPa・%以上および強度−延性バランス(TS×EL)が16000MPa・%以上の熱延鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の現状に鑑み、熱延鋼板の化学組成および鋼組織と機械特性との関係および製造方法について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得て本発明を完成させた。
(a)高い強度を得るには鋼組織は硬質であることが好ましく、優れた伸びフランジ性を得るには鋼組織は均質であることが好ましい。したがって、高い強度と優れた伸びフランジ性とを兼備させるには、硬質かつ均質な組織であるベイナイトが最も適しており、ベイナイトを主体とする鋼組織とすることが重要である。
(b)しかし、ベイナイトは延性に乏しい組織である。このため、単にベイナイトを主体とする鋼組織としたのでは延性を確保することが困難である。延性向上には適量のポリゴナルフェライト含有させることが効果的であるが、板厚全面にわたって均一な組織とするよりも、鋼板表層近傍のフェライト量を増し、内部をベイナイト主体の組織とした傾斜組織によって、伸びフランジ性を維持し、延性向上が図られる。
(c)軟質なフェライトを鋼板内部に比べて鋼板表層近傍に多く生成させることによって、鋼板表層近傍の均一伸びが向上するとともに、打ち抜き加工時の微小クラックの生成を抑制することが可能となる。そして鋼板内部をベイナイト主体の組織とすることにより、微小クラックの伝播を抑制することが可能となる。これにより鋼板内部に比して鋼板表層部の歪量が大きい伸びフランジ成形や曲げ成形等における成形性を向上させることができる。
(d)さらに伸びフランジ性を高めるためには、打ち抜き加工時にクラック発生起点となる粗大なパーライトやセメンタイトの生成を抑制する必要があり、これにはセメンタイトの析出を遅延させる作用をもつSiとAlを一定量以上添加することが有効である。しかしSiとAlを一定量以上添加させると、鋼板中に残留オーステナイトが生成しやすくなる。残留オーステナイトを含有する鋼板ではTRIP効果により高い延性が得られるが、加工誘起変態により硬質なマルテンサイトが形成されるため、伸びフランジ性が劣化する。高強度鋼板において高い伸びフランジ性を実現するためには、SiとAlを一定量以上添加して粗大なパーライトやセメンタイトの生成を抑制するとともに残留オーステナイトの生成を抑制する必要がある。
上記知見に基づいてなされた本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.03%超0.30%未満、Si:0.01%以上3.0%以下、Mn:1.0%以上4.0%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、sol.Al:0.01%以上3.0%以下、N:0.010%以下を含有し、かつSiとsol.Alの合計含有量(Si+sol.Al)が0.5%以上3.0%以下であり、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置における鋼組織が、面積%で、ベイナイト:60%以上、ポリゴナルフェライト:5%以上30%未満、残留オーステナイト:3%未満、ベイナイト、残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを除く残部:10%以下であって、鋼板表面から100μm深さ位置のポリゴナルフェライト面積率と板厚の1/4深さ位置のポリゴナルフェライト面積率とが下記式(1)を満足することを特徴とする熱延鋼板。
Vαs>1.5Vαq (1)
ここで、
Vαsは鋼板表面から100μm深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率(%)、
Vαqは鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率(%)、
をそれぞれ表す。
(2)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.20%以下、Nb:0.10%以下およびV:0.50%以下からなる群から選択された1種または2種以上を含有する、上記(1)に記載の熱延鋼板。
(3)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%未満、Mo:0.50%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.0050%以下からなる群から選択された1種または2種以上を含有する、上記(1)または上記(2)に記載の熱延鋼板。
(4)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.020%以下、Mg:0.020%以下、REM:0.020%以下からなる群から選択された1種または2種以上を含有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱延鋼板。
(5)前記化学組成が、Feの一部に代えて、Cu:1.0質量%以下を含有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱延鋼板。
(6)前記化学組成が、Feの一部に代えて、Bi:0.020質量%以下を含有する、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱延鋼板。
本発明により、自動車足回り部材に用いられる素材として好適な、高い強度を有するとともに優れた伸びフランジ性および延性とを有する熱延鋼板を得ることが可能となる。
本発明に係る熱延鋼板について、以下により具体的に説明する。以下の説明において、鋼の化学組成に関する%は、特に指定しない限りすべて質量%である。
1.化学組成
(1−1)C:0.03%超0.30%未満
Cは、ベイナイトの生成を促進する作用を有する。C含有量が0.03%以下では、目的とするベイナイト面積率を確保することが困難となる。したがって、C含有量は0.03%超とする。好ましくは0.06%以上、さらに好ましくは0.10%以上である。一方、C含有量が0.30%以上では、パーライトが優先的に生成してしまう。その結果、ベイナイトの生成が不十分となり、目的とするベイナイト面積率を確保することが困難となる。したがって、C含有量は0.30%未満とする。好ましくは0.25%以下である。
(1−2)Si:0.01%以上3.0%以下
Siは、固溶強化により鋼板の強度を高める作用と脱酸により鋼を健全化する作用を有する。さらにセメンタイト等の鉄系炭化物の析出を抑制することで伸びフランジ性の向上に寄与する。Si含有量が0.01%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、Si含有量は0.01%以上とする。後述するように、本発明ではSiおよびsol.Alの合計含有量(Si+sol.Al)が重要であるが、Siはsol.Alよりも固溶強化能が高いことから、より高い強度を求める場合には、Si含有量は0.5%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは0.8%以上、特に好ましくは1.0%以上である。しかし、Si含有量が3.0%超では鋼板の表面性状や化成処理性の劣化、延性や溶接性の劣化が著しくなる。またA変態点の著しい上昇を招き、安定した熱間圧延を困難にする場合がある。したがって、Si含有量は3.0%以下とする。好ましくは2.5%以下である。
(1−3)Mn:1.0%以上4.0%以下
Mnは、フェライト変態を抑制してベイナイトの生成を促進する作用を有する。Mn含有量が1.0%未満では、目的とするベイナイト面積率を確保することが困難である。したがって、Mn含有量は1.0%以上とする。好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは1.8%以上である。一方、Mn含有量が4.0%超では、フェライト変態が過度に抑制されてしまい、鋼板表層近傍で目的とするポリゴナルフェライト面積率を確保することが困難となる。したがって、Mn含有量は4.0%以下とする。好ましくは3.6%以下、さらに好ましくは3.2%以下である。
(1−4)P:0.10%以下
Pは、一般に不純物として含有される元素であるが、固溶強化により強度を高める作用を有する元素でもある。したがって、Pを積極的に含有させてもよい。しかし、Pは偏析し易い元素であり、その含有量が0.10%を超えると、粒界偏析に起因する成形性や靭性の低下が顕著となる。したがって、P含有量は0.10%以下とする。好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.030%以下、さらに好ましくは0.020%以下である。P含有量の下限は特に規定する必要はないが、精錬コストの観点からは0.001%以上とすることが好ましい。
(1−5)S:0.010%以下
Sは、不純物として含有される元素であり、鋼中に硫化物系介在物を形成して熱延鋼板の成形性を低下させる。S含有量が0.010%を超えると、成形性の低下が著しくなる。したがって、S含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.0050%以下、さらに好ましくは0.0030%以下、最も好ましくは0.0010%以下である。S含有量の下限は特に規定する必要はないが、精錬コストの上昇を抑制する観点からは0.0001%以上とすることが好ましい。
(1−6)sol.Al:0.01%以上3.0%以下
Alは、Siと同様に、鋼を脱酸して鋼板を健全化する作用を有する。さらにセメンタイト等の鉄系炭化物の析出を抑制することで伸びフランジ性の向上に寄与する。sol.Al含有量が0.01%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、sol.Al含有量は0.01%以上とする。好ましくは0.03%以上である。一方、sol.Al含有量が3.0%超では、A変態点の著しい上昇を招いて、安定した熱間圧延を困難にする場合がある。したがって、sol.Al含有量は3.0%以下とする。好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下である。
(1−7)N:0.010%以下
Nは、不純物として含有される元素であり、鋼板の成形性を低下させる作用を有する。N含有量が0.010%超では成形性の低下が著しくなる。したがって、N含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.0080%以下、さらに好ましくは0.0070%以下である。N含有量の下限は特に規定する必要はないが、後述するようにTi、NbおよびVの1種または2種以上を含有させて鋼組織の微細化を図る場合を考慮すると、炭窒化物の析出を促進させるためにN含有量は、0.0010%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは0.0020%以上である。
(1−8)Siとsol.Alの合計含有量(Si+sol.Al):0.5%以上3.0%以下
上述したように、SiおよびAlはともにセメンタイト等の鉄系炭化物の析出を抑制する作用を有し伸びフランジ性を向上させることから、本発明ではSiとsol.Alの合計含有量(Si+sol.Al)を規定する。合計含有量(Si+sol.Al)が0.5%未満では、上記作用が不十分なために粗大なパーライトやセメンタイトが生成し、伸びフランジ性が劣化する場合がある。したがって、合計含有量(Si+sol.Al)は0.5%以上とし、好ましくは1.0%以上であり、さらに好ましくは1.2%以上である。一方、合計含有量(Si+sol.Al)が3.0%超では、A変態点の著しい上昇を招いて、安定した熱間圧延を困難にする場合がある。したがって、合計含有量(Si+sol.Al)は、3.0%以下とし、好ましくは2.5%以下であり、さらに好ましくは2.2%以下である。
本発明に係る鋼板の製造方法では、以下に列記する元素を任意元素として含有してもよい。
(1−9)Ti:0.20%以下、Nb:0.10%以下、およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種以上
Ti、NbおよびVは、鋼中に炭化物または窒化物として析出し、そのピン止め効果によって鋼組織を微細化する作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、過剰に含有させても、上記作用による効果が飽和して不経済となる。したがって、Ti含有量は0.20%以下、Nb含有量は0.10%以下、V含有量は0.50%以下とする。これらの元素の上記作用による効果をより確実に得るには、Ti:0.005%以上、Nb:0.002%以上、およびV:0.005%以上のいずれかを満足させることが好ましい。
(1−10)Cr:1.0%未満、Mo:0.50%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.0050%以下からなる群から選択される1種または2種以上
Cr、Mo、NiおよびBは、焼入性を高める作用を有する。またMoは鋼中に炭化物を析出して強度を高める作用を有する。また、Niは、後述するようにCuを含有させる場合においては、Cuに起因するスラブの粒界割れを効果的に抑制する作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。
しかし、Cr含有量が1.0%以上では、化成処理性の低下が著しくなる。したがって、Cr含有量は1.0%未満とする。上記作用による効果をより確実に得るには、Cr含有量を0.05%以上とすることが好ましい。Mo含有量を0.50%超としても上記作用による効果は飽和してコスト的に不利となる。したがって、Mo含有量は0.50%以下とする。好ましくは0.20%以下である。上記作用による効果をより確実に得るにはMo含有量を0.02%以上とすることが好ましい。Niは高価な元素であるため、多量の含有はコスト的に不利となる。したがって、Ni含有量は1.0%以下とする。上記作用による効果をより確実に得るには、Ni含有量を0.05%以上とすることが好ましい。B含有量が0.0050%超では成形性の低下が著しくなる。したがって、B含有量は0.0050%以下とする。上記作用による効果をより確実に得るには、B含有量を0.0002%以上とすることが好ましい。
(1−11)Ca:0.020%以下、Mg:0.020%以下およびREM:0.020%以下からなる群から選択される1種または2種以上
Ca、MgおよびREMは、介在物の形状を調整することにより、成形性を高める作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、これらの元素の含有量が上記上限値を超えると、鋼中の介在物が過剰となり、却って成形性を低下させる場合がある。したがって、各々の元素の含有量は上記のとおりとする。それぞれの元素は、好ましくは0.010%以下、さらに好ましくは0.005%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには上記元素のいずれかを0.0005%以上含有させることが好ましい。ここで、REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、REMの含有量は、これらの元素の合計含有量を指す。ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加される。
(1−12)Cu:1.0%以下
Cuは、低温で析出して強度を高める作用を有するので、鋼中に含有させてもよい。しかし、Cu含有量が1.0%超では、スラブの粒界割れが生じる場合がある。したがって、Cu含有量は1.0%以下とする。好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.3%未満である。上記作用による効果をより確実に得るにはCu含有量は0.05%以上とすることが好ましい。
(1−13)Bi:0.020%以下
Biは、凝固組織を微細化することにより成形性を高める作用を有するので、鋼中に含有させてもよい。しかし、Bi含有量を0.020%超としても、上記作用による効果は飽和してしまい、コスト的に不利となる。したがって、Bi含有量は0.020%以下とする。好ましくは0.010%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには、Bi含有量を0.0005%以上とすることが好ましい。
2.鋼組織
(2−1)鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのベイナイト面積率:60%以上
ベイナイトは硬質かつ均質な組織であり、高い強度と優れた伸びフランジ性とを兼備させるのに最も適した組織であることから、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのベイナイト面積率は60%以上とする。60%未満の場合、所望の強度と伸びフランジ性を得ることが困難となる。好ましくは70%以上である。
(2−2)鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのポリゴナルフェライト面積率:5%以上30%未満
軟質なポリゴナルフェライトを含有させることにより延性を向上させるため、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのポリゴナルフェライト面積率は5%以上30%未満とする。5%未満の場合は延性向上の効果が得られず、一方、30%以上含有させると伸びフランジ性が低下するばかりでなく、所望の強度確保が困難となる。ポリゴナルフェライト面積率は好ましくは8%以上25%以下、より好ましくは8%以上20%以下である。
ポリゴナルフェライトの平均粒径は、細粒化強化によりベイナイトとの硬度差を軽減し伸びフランジ性を向上させる観点から5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。なおポリゴナルフェライトの平均粒径は、SEM観察像およびEBSP解析結果を用いた画像解析により求めた円相当径である。またポリゴナルフェライトの平均アスペクト比は、異方性を軽減し伸びフランジ性を向上させる観点から3以下が好ましく、2.5以下がさらに好ましい。なおポリゴナルフェライトの平均アスペクト比は、SEM観察像およびEBSP解析結果を用いた画像解析から楕円近似し求めた(長軸長さ)/(短軸長さ)である。
(2−3)鋼板表面から板厚の1/4深さ位置での残留オーステナイト面積率:3%未満
残留オーステナイトは、変態誘起塑性(TRIP)により延性を高める作用を有する一方、変態により生成する硬質なマルテンサイトが伸びフランジ性を低下させる。高い伸びフランジ性を得るため、残留オーステナイトの面積率は3%未満に限定する。
(2−4)鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのベイナイト、残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを除く残部の面積率:10%以下
成形性の観点から、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのベイナイト、残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを除く残部の面積率は10%以下とする。10%を超える場合、伸びフランジ性が低下することがある。より好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下である。
(2−5)鋼板表面から100μm深さ位置と鋼板表面から板厚の1/4深さ位置とにおけるフェライトの面積率の関係
伸びフランジ成形や曲げ成形等のように、鋼板内部に比して鋼板表層部における歪量が大きい成形法では、鋼板表層部における変形能を高めるとともに、打ち抜き加工時の微小クラックの生成を抑制することが重要である。そのため本発明に係る熱延鋼板の鋼板表面から100μm深さ位置での鋼組織と板厚の1/4深さ位置での鋼組織との関係は以下を満足する。
Vαs>1.5Vαq (1)
ここで、
Vαsは鋼板表面から100μm深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率(%)、
Vαqは鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率(%)、
をそれぞれ表す。
なお表面から数十μm深さまでの表層は、酸化スケールや冷却の影響によって組織が乱れる可能性があるので、そのような乱れを避けるために、表面から100μm深さ位置での組織によって鋼板表層近傍の組織を判断する。
鋼板表面から100μm深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率が鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率の1.5倍以下である場合、鋼板表層近傍の変形能が小さく、打ち抜き加工時に微小クラックが多量に生成し、プレス加工時にそれらの微小クラックが早期に連結して伸びフランジ性が低下する。さらには耐疲労性を低下させる場合もある。したがって、鋼板表面から100μm深さ位置と鋼板表面から板厚の1/4深さ位置とにおけるフェライトの面積率の関係は上記式(1)を満足することとする。
なお金属組織の同定および面積率の算出は以下の方法で行う。まず、鋼板の圧延方向垂直断面を鏡面研磨後、ナイタール腐食し、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた組織観察から金属組織を同定する。次に鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのベイナイトとマルテンサイトの合計面積率およびポリゴナルフェライトの面積率をEBSP解析から算出する。
具体的には鋼板表面から板厚の1/4深さ位置の圧延方向垂直断面について圧延方向200μm×圧延面法線方向50μmの領域をEBSP解析し、方位差5°以上の境界で囲まれた粒内平均方位差0.5°以上の領域をベイナイトおよびマルテンサイトとし、方位差5°以上の境界で囲まれた粒内平均方位差0.5°未満の領域をポリゴナルフェライトとして、それぞれの面積率をEBSP解析装置に付属のソフトウェア「OIM AnalysisTM」を用いて求める。
また圧延面法線方向から板厚の1/4深さまで面削した試料を用い、X線回折測定により残留オーステナイト面積率を求める。さらにレペラ腐食した試料を用い、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置の圧延方向垂直断面について圧延方向200μm×圧延面法線方向50μm領域を撮影し、市販の画像処理ソフトウェア「Image−Pro」を用いた二値化処理により残留オーステナイトとマルテンサイトの合計面積率を算出する。EBSP解析により算出したベイナイトとマルテンサイトの合計面積率とX線回折測定で求めた残留オーステナイト面積率の和から、レペラ腐食で求めた残留オーステナイトとマルテンサイトの合計面積率を差し引いた値をベイナイト面積率とする。
そして、上記で求めたベイナイト、ポリゴナルフェライトおよび残留オーステナイトの面積率の合計を、100%から差し引いた値を残部組織の面積率とする。また、鋼板表面から100μm深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率も、前述と同様にEBSP解析結果から求める。
(2−6)めっき層
上述した化学組成及び鋼組織を有する本発明に係る熱延鋼板の表面には、耐食性の向上等を目的としてめっき層を備えさせて表面処理鋼板としてもよい。めっき層は、電気めっき層であってもよく溶融めっき層であってもよい。電気めっき層としては、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。溶融めっき層としては、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。めっき付着量は特に制限されず、従来と同様でよい。また、めっき後に適当な化成処理(例えば、シリケート系のクロムフリー化成処理液の塗布と乾燥)を施して、耐食性をさらに高めることも可能である。
3.好ましい製造条件
高い強度を有するとともに優れた延性と伸びフランジ性とを兼備する熱延鋼板を得るには、上記化学組成を有するスラブに多パスの熱間圧延を施して熱延鋼板を製造するに際して、熱間圧延により導入されるせん断歪みを利用して鋼板表層近傍と鋼板内部とで蓄積歪みに差を生じさせ、上記歪みの差による変態駆動力の差を効率的に利用して鋼板表面から100μm深さ位置でのフェライト変態を鋼板内部よりも促進させることが重要である。
具体的には、熱間圧延において、最終圧延パス、最終圧延パスの1つ前の圧延パスおよび最終圧延パスの2つ前の圧延パスにおける圧下率をそれぞれ25%以上60%以下とし、860℃以上1050℃以下の温度域で多パス熱間圧延を施し、圧延完了後0.3秒以内に冷却を開始して、200℃/秒以上の平均冷却速度にて850℃未満Ar点以上の温度域まで冷却し、該温度域で1秒以上3秒未満の時間滞留させた後に、20℃/秒以上の平均冷却速度にて750℃未満600℃以上の温度域まで冷却し、該温度域で1秒以上15秒未満の時間滞留させた後に、500℃超600℃未満の温度域で巻き取りを開始し、その後450℃までの平均冷却速度が0.007℃/秒以上1.0℃/秒以下とすることで熱延鋼板を得ることが好ましい。
さらに下記式(1)を満足する多パス熱間圧延を施すことで、パス間でのオーステナイト粒の再結晶を促進するとともに、そのオーステナイト粒の成長を抑制することができる。
0.002/exp(−6080/(T+273))≦t≦2.0 (1)
ここで、各記号の意味は次の通りである。
t:最終圧延パスの1つ前の圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間(秒)
T:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了温度(℃)
以下に製造方法についてより詳しく説明する。
(3−1)スラブ、熱間圧延に供する際のスラブ温度、熱間圧延態様
熱間圧延に供するスラブは、上述の化学組成を有する。熱間圧延に供するスラブは、連続鋳造により得られたスラブや鋳造・分塊により得られたスラブなどを用いることができ、必要によってはそれらに熱間加工または冷間加工を加えたものを用いることができる。
熱間圧延に供するスラブの温度は、熱間圧延をオーステナイト域で行うためにオーステナイト単相域となる温度に加熱すればよく、特に限定する必要はないが、後述する好適な圧延完了温度を確保する観点からは1050℃以上とすることが好ましく、スケールロスを抑制する観点からは1350℃以下とすることが好ましい。なお、熱間圧延に供するスラブが連続鋳造により得られたスラブや分塊圧延により得られたスラブであって高温状態にある場合には、加熱することなしに熱間圧延に供してもよい。
熱間圧延は、多パス圧延としてレバースミルまたはタンデムミルを用いるのが好ましい。特に工業的生産性の観点から、少なくとも最終の数段はタンデムミルを用いた圧延とすることがより好ましい。
(3−2)最終圧延パス、最終圧延パスの1つ前の圧延パスおよび最終圧延パスの2つ前の圧延パスにおける圧下率:25%以上60%以下
最終圧延パスと1つ前の圧延パスおよび2つ前の圧延パスにおける圧下率は25%以上60%以下とすることが好ましい。最終圧延パスと1つ前の圧延パスおよび2つ前の圧延パスにおける圧下率をそれぞれ25%以上とすることにより、主に再結晶オーステナイト粒の微細化が図られるとともに、鋼板の表層近傍に導入されるせん断歪みの効果によって鋼板の表層近傍の再結晶オーステナイト粒が鋼板の内部に比べて一層微細化される。さらに、最終圧延パスの圧下率を25%以上とすることにより、後述する熱間圧延後の冷却条件と相俟って、導入される歪みを変態駆動力および変態核生成サイトとして、鋼板の内部に比べて鋼板の表層近傍のフェライト変態を促進することが可能となる。各圧延パスでの圧下率が25%未満では鋼板の表層近傍に導入されるせん断歪み量が不十分となり、延性と伸びフランジ性とを兼備する熱延鋼板が得られない場合がある。したがって、最終圧延パスと1つ前の圧延パスおよび2つ前の圧延パスにおける圧下率は25%以上とすることが好ましい。より好ましくは30%以上であり、40%以上とすることがさらに好ましい。
一方、鋼板の平坦性や導入した歪みの加工発熱による解放を抑制する観点から、各圧延パスでの圧下率は60%以下とすることが好ましい。より好ましくは50%以下である。
(3−3)圧延完了温度:860℃以上1050℃以下
圧延完了温度は860℃以上1050℃以下とすることが好ましい。これにより圧延により導入した歪の解放が抑制され、後続する冷却処理を適切に施すことにより、延性と伸びフランジ性とを兼備する熱延鋼板が得られる。
圧延完了温度が860℃未満では、パス間でのオーステナイト粒の再結晶が促進されにくいため熱延鋼板の異方性が強くなり、伸びフランジ性が劣化する。また圧延時の変形抵抗が大きくなり、上記の圧下率で圧延を行うことが困難となる場合がある。したがって、圧延完了温度は860℃以上とすることが好ましい。より好ましくは880℃以上、さらに好ましくは900℃以上である。
一方、圧延完了温度が1050℃超では、圧延により導入した歪の解放が進行してしまい、延性と伸びフランジ性とを兼備する熱延鋼板が得られない場合がある。したがって、圧延完了温度は1050℃以下とすることが好ましい。より好ましくは1030℃以下、さらに好ましくは1000℃以下、特に好ましくは980℃以下である。なお、これらの温度は鋼材の表面温度であり、放射温度計等により測定することができる。また、圧延により導入した歪の解放をより確実に抑制するため、最終圧延パスの1つ前の圧延パスおよび最終圧延パスの2つ前の圧延パスにおける圧延完了温度も同様の範囲であることが好ましい。
(3−4)最終圧延パスの1つ前の圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間が式(1)を満足
0.002/exp(−6080/(T+273))≦t≦2.0 (1)
ここで、各記号の意味は、t:最終圧延パスの1つ前の圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間(秒)、T:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了温度(℃))である。
上記式(1)を満足することにより、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間において、オーステナイトの再結晶が促進されるとともにオーステナイトの粒成長が抑制されるため、圧延中の再結晶オーステナイト粒の微細化が図られ、これにより延性および伸びフランジ性に好適な鋼組織を得ることが一層容易となる。
(3−5)圧延完了後の一次冷却:圧延完了後0.3秒以内に冷却を開始し、200℃/秒以上の平均冷却速度にて850℃未満Ar点以上の温度域まで冷却
圧延により導入した歪による駆動力を効率的に活用して変態させるため、圧延完了後の一次冷却は0.3秒以内に冷却を開始して、200℃/秒以上の平均冷却速度で850℃未満Ar点以上の温度域まで冷却することが好ましい。この温度域に冷却し、後述する滞留時間と相俟って、鋼板表層近傍でのフェライト変態駆動力を残したまま、鋼板内部の蓄積歪みを解放させることが可能となる。これにより鋼板表層近傍でのフェライト量が内部に比べて多いという延性および伸びフランジ性に好適な鋼組織を得ることができる。
圧延完了後、冷却開始までの時間が0.3秒を超える場合や平均冷却速度が200℃/秒未満では鋼板表層近傍に導入された歪みが解放してしまい、このような鋼組織が得られない場合がある。また一次冷却の停止温度が850℃以上では、鋼板表層近傍の蓄積歪みの解放が顕著となり所望の鋼組織が得られない場合がある。一方、一次冷却の停止温度がAr点を下回ると鋼板内部でのフェライト変態が顕著となり、ベイナイト主体の組織とならない場合がある。したがって、圧延完了後の一次冷却は0.3秒以内に冷却を開始して、200℃/秒以上の平均冷却速度で850℃未満Ar点以上の温度域まで冷却することが好ましい。圧延完了から冷却開始までの時間はより好ましくは0.2秒以内、さらに好ましくは0.15秒以内である。また平均冷却速度はより好ましくは300℃/秒、さらに好ましくは400℃/秒である。
(3−6)850℃未満Ar点以上の温度域での滞留時間:1秒以上、3秒未満
850℃未満Ar点以上の温度域での滞留時間は1秒以上、3秒未満とすることが好ましい。これによって鋼板表層近傍でのフェライト変態駆動力を残したまま、鋼板内部の蓄積歪みを解放することが可能となる。これにより鋼板表層近傍でのフェライト量が内部に比べて多いという延性および伸びフランジ性に好適な鋼組織を得ることができる。1秒未満では鋼板内部の歪み解放が不十分なため鋼板内部でのフェライト生成量が増し、伸びフランジ性が低下する場合がある。一方、3秒以上では鋼板表層近傍に導入された歪みが解放してしまい、フェライト生成量が減少し延性が低下する場合がある。したがって850℃未満Ar点以上の温度域での滞留時間は1秒以上、3秒未満とすることが好ましい。
(3−7)600℃以上750℃未満の温度域への平均冷却速度と該温度域での滞在時間:20℃/秒以上で冷却し、1秒間以上15秒間以内滞在
上述した鋼板表層近傍におけるフェライト面積率を確保するには、フェライト変態が活発となる600℃以上750℃未満の温度域まで20℃/秒以上の平均冷却速度で冷却し、該温度域にて1秒以上15秒未満の時間滞在させることが好ましい。平均冷却速度が20℃/秒未満の場合、鋼板内部で冷却中にフェライト変態が生じベイナイト主体の組織と成り難い。したがって該温度域への平均冷却速度は20℃/秒以上とすることが好ましい。より好ましくは40℃/秒、さらに好ましくは60℃/秒、特に好ましくは80℃/秒である。上記温度域に滞在させる時間が1秒未満では、鋼板表層近傍のフェライト変態が十分に進行せず、延性が低下する場合がある。一方、上記温度域に滞在させる時間が15秒以上の場合、鋼板内部のフェライト変態が進行して伸びフランジ性が低下する場合がある。さらにセメンタイトやパーライトの生成が顕著となり、伸びフランジ性や延性が低下してしまう場合がある。したがって、上記温度域に滞在させる時間は1秒以上15秒未満とすることが好ましい。
(3−8)巻き取り工程:500℃超600℃未満の温度域で巻き取りを開始し、その後450℃までの平均冷却速度が0.007℃/秒以上1.0℃/秒以下
高強度鋼板において高い伸びフランジ性を得るため、本発明では粗大なパーライトやセメンタイトの生成と残留オーステナイトの生成をそれぞれ抑制する必要がある。このために巻き取り工程は500℃超600℃未満の温度域で開始し、その後450℃までの平均冷却速度を0.007℃/秒以上1.0℃/秒以下とすることが好ましい。上記化学組成を有する鋼板の巻き取りを500℃以下で開始した場合や500℃超600℃未満で巻き取った後、450℃まで1.0℃/秒超の平均冷却速度で冷却した場合は、鋼板中に残留オーステナイトが生成し伸びフランジ性が劣化する場合がある。また巻き取り開始温度が500℃以下の遷移沸騰領域では鋼板長手や幅方向で温度ムラが生じやすく特性変動が起こり易い。一方、巻き取りを600℃以上で開始した場合は鋼板内部でフェライト変態が進行し、ベイナイト主体の組織と成り難い。さらに600℃以上で開始した場合や500℃超600℃未満で巻き取った後、450℃まで0.007℃/秒未満の平均冷却速度で冷却した場合は、粗大なパーライトやセメンタイトの生成が顕著となり伸びフランジ性が劣化する場合がある。巻き取り開始温度のより好ましい範囲は520℃以上580℃以下である。また巻き取り開始から450℃までのより好ましい平均冷却速度は0.008℃/秒以上0.3℃/秒以下である。
(3−9)熱延鋼板の板厚:1.2mm超6mm以下
熱延鋼板の板厚が1.2mm以下では、圧延完了温度の確保が困難になるとともに圧延荷重が過大となって、熱間圧延が困難となる場合がある。したがって、本発明の熱延鋼板の板厚は1.2mm超とすることが好ましい。より好ましくは1.4mm以上である。一方、熱延鋼板の板厚が6mm超では、鋼組織の微細化が困難となり、上述した鋼組織を確保することが困難となる場合がある。また、上述した傾斜組織を得ることも困難となる場合がある。したがって、板厚は6mm以下とすることが好ましい。より好ましくは5mm以下である。
表1に示す化学組成を有する180kgの鋼塊を高周波真空溶解炉にて溶製し、熱間鍛造により30mm厚さの鋼片にした。この鋼片を次いで1250℃の温度に加熱し、試験用小型タンデムミルにて表2に示す条件で熱間圧延を実施して板厚1.6〜3.4mmの鋼板に仕上げた。圧延完了後、850℃未満Ar点以上の温度域まで水冷却した後、所定の時間滞留し、その後、600℃以上750℃未満の温度域まで水冷却した後、所定の時間滞留し、さらに所定の巻き取り温度まで冷却した後、該巻き取り温度に設定した炉に装入し、所定の平均冷却速度にて450℃まで冷却した。その後、炉冷して、熱延鋼板を得た。これらの条件を表2に併せて示す。なお表2において、熱間圧延最終3パス圧延条件のパス1、2および3はそれぞれ最終パスの2つ前、最終パスの1つ前、最終パスを意味する。最終圧延パス間時間は、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間のことである。
なお、表2の「冷却速度」は本発明の「平均冷却速度」のことを表す。平均冷却速度は、直接測定できないため、板厚、表面温度、冷却条件から伝熱計算によって算出した。
得られた熱延鋼板について、鋼板の圧延方向と直交する板厚断面を鏡面研磨し、ナイタール腐食液またはレペラ腐食液で腐食したのち、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて組織観察を行った。さらに、鏡面研磨後に電解研磨で調製した試料を用いて、EBSP法による結晶方位の測定および解析を行なった。
Figure 2016050335
Figure 2016050335
機械特性として、引張特性および伸びフランジ性を評価した。引張特性は、JIS Z2201およびJIS Z 2241に準拠して引張試験を行ない、引張強度(TS)と全伸び(El)を測定した。伸びフランジ性は、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001に準拠して穴広げ試験を行ない、穴広げ率(λ)を求めた。
得られた鋼板の鋼組織および機械特性を表3にまとめて示す。
Figure 2016050335
発明例である試験番号1〜3、6、7、10〜14、18〜20、24、25、29、30、32、33、35、36、38、39は、高い引張強度(TS)を有するとともに、優れた強度−延性バランス(TS×El)と優れた強度−伸びフランジバランス(TS×λ)とを有している。一方、本発明で定める範囲を外れる比較例は、TS×ElあるいはTS×λ、または双方の特性が劣っている。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.03%超0.30%未満、Si:0.01%以上3.0%以下、Mn:1.0%以上4.0%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、sol.Al:0.01%以上3.0%以下、N:0.010%以下を含有し、かつSiとsol.Alの合計含有量(Si+sol.Al)が0.5%以上3.0%以下であり、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置における鋼組織が、面積%で、ベイナイト:60%以上、ポリゴナルフェライト:5%以上30%未満、残留オーステナイト:3%未満、ベイナイト、残留オーステナイトおよびポリゴナルフェライトを除く残部:10%以下であって、鋼板表面から100μm深さ位置のポリゴナルフェライト面積率と板厚の1/4深さ位置のポリゴナルフェライト面積率とが下記式(1)を満足することを特徴とする熱延鋼板。
    Vαs>1.5Vαq (1)
    ここで、
    Vαsは鋼板表面から100μm深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率(%)、
    Vαqは鋼板表面から板厚の1/4深さ位置でのポリゴナルフェライトの面積率(%)、
    をそれぞれ表す。
  2. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.20%以下、Nb:0.10%以下およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有する請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%未満、Mo:0.50%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.0050%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有する請求項1または請求項2に記載の熱延鋼板。
  4. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.020%以下、Mg:0.020%以下およびREM:0.020%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の熱延鋼板。
  5. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Cu:1.0質量%以下を含有する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱延鋼板。
  6. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Bi:0.020質量%以下を含有する請求項1〜請求項5のいずれかに記載の熱延鋼板。
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