JP2016043298A - アルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物、アルミニウム酸化物膜を有する物品の製造方法、及びアルミニウム酸化物膜を有する物品 - Google Patents

アルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物、アルミニウム酸化物膜を有する物品の製造方法、及びアルミニウム酸化物膜を有する物品 Download PDF

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Abstract

【課題】有機アルミニウム化合物を部分的に加水分解して得られたアルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物を用いた塗布成膜において、基材への密着性に優れ、酸化物の形成状態が良好なアルミニウム酸化物膜の製造方法を提供する。
【解決手段】
一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、前記有機アルミニウム化合物に対するモル比が0.40〜1.30の範囲で水を添加して部分的に加水分解して得られる部分加水分解物を含有した組成物を、不活性ガス雰囲気下で基材表面に塗布し、得られた塗布物を400℃以下で加熱するアルミニウム酸化物膜の製造方法。

(式中、R1は水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、R2 、R3 は独立に、水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、アシルオキシ基、またはアセチルアセトナート基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物、アルミニウム酸化物膜を有する物品の製造方法、及びアルミニウム酸化物膜を有する物品に関する。本発明のアルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物は、基材への密着性が優れたアルミニウム酸化物膜を形成することができる組成物である。
アルミニウム酸化物は、強度、高耐熱性、高熱伝導度、低熱膨張率、絶縁性、緻密性などにおいて優れた特性を有することから、工業製品の各種用途に幅広く使用されている。
アルミニウム酸化物は、ナノ粒子、粉体、フィラー、板状、棒状等の形状を有するものとして、研磨材料、耐火材料、耐熱材料、絶縁物、放熱材料に供されている。さらに、前述の特性を持つ膜としても利用され、電子材料用アルミナシート、アルミニウム酸化物膜の作製、触媒担体の作成、耐熱性付与、空気、水分に対するバリア性付与、反射防止効果付与、帯電防止効果付与、防曇効果付与、耐摩耗性等の付与、セラミック製造用バインダー等の用途に供されておいる。具体的には、機械部品や切削工具の保護膜、半導体、磁性体、太陽電池等の絶縁膜、誘電体膜、反射防止膜、表面デバイス、磁気ヘッド、赤外線等のセンサー素子、食品、薬品、医療器材等の包装材料における空気・水分等へのバリア膜、各種粉体、フィルム、ガラスやプラスチックを素材としたフィルムや成形体等の基材へのコーティング膜およびこれらを用いた耐熱材料や高硬度フィルム、光学部材等への応用がある。
アルミニウム酸化物の製造方法としては、種々の方法が知られている。例えば、ボーキサイトを出発原料にした、いわゆるバイヤー法や、アルミニウムアルコキシドの加水分解を経た製造方法が知られている。また、一般的なアルミニウム酸化物膜の製造方法として、例えば、真空装置を用いる成膜手法である、スパッタリング法、化学気相成長(MOCVD)法、蒸着などの物理気相成長(PVD)法がよく知られている。
アルミニウム酸化物膜の形成においては、塗布法での成膜が知られている。この塗布法は、装置が簡便で膜形成速度が速いため生産性が高く製造コストが低い、真空装置を用いる必要がなく真空容器による制約がないため、大きな酸化物膜の作成も可能である等の利点がある。アルミニウム酸化物膜形成のための塗布法として、ディップコート法(特許文献1,2)、スプレー熱分解法(特許文献3)、ミストCVD法(非特許文献1)、スピンコート法(特許文献4〜6)等が知られている。
特許文献3に記載のスプレー熱分解法は、原料としてアルミニウムアセチルアセトナト錯体の溶液を用いてスプレー塗布と同時に溶媒乾燥し、次いで基材温度を500℃ 以上に加熱することでアルミニウム酸化物膜塗膜を得る方法である。
非特許文献1に記載のミストCVD法は、原料としてアルミニウムアセチルアセトナト錯体の溶液を用いて、これをミスト状として塗布すると同時に溶媒乾燥し、次いで基材温度を300℃以上に加熱することでアルミニウム酸化物膜塗膜を得る方法である。
種々の組成物が、塗布法によるアルミニウム酸化物膜形成用組成物として提案されている。例えば、特許文献4〜6には、アミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体を用いるアルミニウム酸化物膜形成用組成物が記載されている。特許文献5〜7には、有機アルミニウム化合物としてアルキルアルミニウムの有機溶媒溶液を用いることが記載されている。
これらアミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体やアルキルアルミニウムの有機溶媒溶液は、通常、スピンコート法およびディップコート法による塗布成膜に用いられる。スピンコートまたはディップコート後に溶媒を乾燥し、次いで、酸素源である水分と接触させながら処理することによりアルミニウム酸化物を形成することができる。
また、アルミニウム酸化物膜形成用組成物として、有機アルミニウム化合物の部分加水分解物を用いることも知られている(特許文献1、2、5,6)。
有機アルミニウム化合物の部分加水分解物も、通常、スピンコート法およびディップコート法による塗布成膜に用いられる。一般的な処方としては、スピンコートまたはディップコート後に溶媒を乾燥し、次いで基材温度を450℃以上に加熱することでアルミニウム酸化物膜が得られる(特許文献1、2)。
特開昭58−95611号公報 特開昭58−91030号公報 特開2007−270335号公報 特開2007−287821号公報 WO2012/053433A1 WO2012/053436A1 特開平4−139005号公報
"Growth and electrical properties of AlOx grown by mist chemical vapor deposition" Toshiyuki Kawaharamura, Takayuki Uchida, Masaru Sanada, Mamoru Furuta AIP Advances, Vol.3 (2013) 032135.
有機アルミニウム化合物、特に、アミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体やアルキルアルミニウムの有機溶媒溶液を用いてスピンコート法およびディップコート法等によるアルミニウム酸化物膜の塗布成膜を行う場合がある。例えば、特許文献4記載のアミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体を用いる場合、膜厚が薄い(150nm程度)アルミニウム酸化物膜の成膜においては酸素/窒素の混合物を用いた大気圧ガス雰囲気下での処理でアルミニウム酸化物膜を形成することが記載されている。一方、特許文献5,6記載の実施例によると、膜厚が厚い(200nm程度以上)アルミニウム酸化物膜を得るためには、スピンコートまたはディップコート後に溶媒を乾燥した後に、酸素源である水分と5MPa以上での加圧下で接触させながら、140℃で3時間処理する必要がある。この方法では、長時間の加圧下での加熱処理が必要であり、酸素/窒素の混合物を用いた大気圧ガス雰囲気下での250℃での処理では、金属アルミニウムが形成してしまうことが記載されている。
さらに、特許文献5において、有機アルミニウム化合物として炭素数12のアルキル基を有するトリドデシルアルキルアルミニウムの有機溶媒溶液を用いた場合においても、酸素/窒素の混合物等を用いた大気圧ガス雰囲気下での処理では、金属アルミニウムが形成してしまうことが記載されている。
このように、有機アルミニウム化合物として、アミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体やアルキルアルミニウムの有機溶媒溶液を用いたアルミニウム酸化物膜形成用組成物を用いる場合、250℃以下における大気圧下では、アルミニウム酸化物膜を得ることができないという問題がある。
ところで、近年、フィルム等の樹脂製基材への酸化物の成膜技術が求められている。その際、1)成膜温度の低温化、2)基材への密着性、3)酸化物の形成状態(例えば、酸化物膜の透明性や均質性など)が重要な要素となっている。そのため、樹脂製基材へのアルミニウム酸化物膜の成膜も、通常は、真空を用いた蒸着法等により成膜が行われている。
特に、ポリエチレン、ポリプロピレンといった表面エネルギーの小さい樹脂への成膜においては、2)基材への密着性が課題である。酸化物膜の基材への密着性を向上させる目的で、樹脂表面に対してアンダーコート処理、プライマー処理、コロナ処理、UV照射、塩素化等が行われている。
これまで、アルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物を用いるアルミニウム酸化物膜の塗布成膜においては、上記1)〜3)の性能を兼ね備えた組成物は知られていない。
一方、アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を部分的に加水分解して得られたアルミニウム酸化物膜形成用組成物を用いたアルミニウム酸化物膜の塗布成膜については、検討がほとんどなされておらず、検討されている内容については課題が多い。例えば、特許文献1には、Alに結合している置換基としてイソプロポキシ基を有する有機アルミニウム化合物を用い、450℃で行うアルミニウム酸化物膜の塗布成膜が開示されている。しかし、この成膜においては、分子量の大きいイソシアン酸ブチルのような添加物を添加しないと薄膜に亀裂が入ることが記載されている。また、特許文献2において、Alに結合している置換基としてエトキシ基やイソプロポキシ基を有する有機アルミニウム化合物を用いたアルミニウム酸化物膜の塗布成膜の開示がある。しかし、500℃の成膜においてはひび割れが生じたり、アルミニウム酸化物膜が基材に密着しないなどの課題があった。
このように、スピンコート法やディップコート法などの塗布法を用い、基材表面に塗布液を直接塗布するアルミニウム酸化物膜の塗布成膜においては、アルミニウム酸化物膜の基材への密着性不良や成膜時にアルミニウム酸化物の膜が形成されない(膜状にならない)など、アルミニウム酸化物膜の形成が困難であるという課題がある。
そこで本発明の目的は、トリエチルアルミニウムのような炭素数1〜4のアルキル基を置換基に有す有機アルミニウム化合物の部分加水分解物を含む組成物を用いる塗布成膜、特に、基材表面に塗布液を直接塗布する塗布成膜における課題を解決し、比較的低温での成膜において、樹脂製基材を含む基材への密着性に優れ、酸化物の形成状態(例えば、酸化物膜の透明性や均質性など)が良好なアルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物の提供、並びにこの組成物を用いたアルミニウム酸化物膜の形成方法、及びアルミニウム酸化物膜を有する物品の製造方法を提供することである。
さらに本発明は、本発明の製造方法を用いて作製した、酸化物の形成状態(例えば、酸化物膜の透明性や均質性など)が良好なアルミニウム酸化物膜、及び基材上にこのアルミニウム酸化物膜を密着性良好な状態で有する物品を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、以下のとおりである。
[1]
(A)下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を有機溶媒中で部分的に加水分解して、前記有機アルミニウム化合物の部分加水分解物を含有する組成物を得る工程、但し、前記部分加水分解は、前記有機アルミニウム化合物に対するモル比が0.4〜1.3の範囲で水を用いて行う、
(B)前記部分加水分解物含有組成物を不活性ガス雰囲気下で基材の少なくとも一部の表面に塗布して塗布膜を形成する工程、
(C)前記塗布膜を形成した基材を不活性ガス雰囲気下、400℃以下の温度で加熱して、アルミニウム酸化物膜を形成する工程
を含むアルミニウム酸化物膜を有する物品の製造方法。
(式中、R1は水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、R2、R3は独立に、水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、アシルオキシ基、またはアセチルアセトナート基を表す。)
[2]
前記工程(B)および(C)で用いる不活性ガス雰囲気は、実質的に水分を含有しない、[1]に記載の製造方法。
[3]
前記工程(B)における前記部分加水分解物含有組成物の塗布を20〜350℃の範囲の温度で行う、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]
前記工程(C)おける加熱温度は、40〜400℃の範囲である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]
前記工程(B)で得られた塗布基材を不活性ガス雰囲気下、20〜200℃の温度で加熱して、塗布膜中の少なくとも一部の有機溶媒を除去した後に、工程(C)に供してアルミニウム酸化物膜を形成する、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
前記工程(A)において、前記有機アルミニウム化合物と水を混合した後に、混合物を30〜80℃の温度で加熱して部分加水分解物を含有する組成物を得る、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
前記工程(A)で調製した部分加水分解物含有組成物をろ過して不溶物を除去した後に、工程(B)に用いる、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
スプレー塗布法、ディップコート法、スピンコート法、スリットコート法、スロットコート法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法による方法で、組成物を基材に塗布する[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]
前記部分加水分解物調製に用いる有機溶媒が、炭化水素化合物および/または電子供与性溶媒を含有する有機溶媒である[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]
前記工程(A)で調製した部分加水分解物含有組成物中の部分加水分解物の濃度が0.1〜30質量%の範囲である[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]
前記工程(A)で用いる前記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物は、式中のR1がメチル基またはエチル基である、[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]
前記工程(A)で用いる前記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物がトリエチルアルミニウムまたはトリエチルアルミニウムを含有する有機アルミニウム化合物の混合物である、[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13]
前記工程(B)で用いる前記基板がガラス製基板または樹脂製基板である、[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14]
下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を有機溶媒中で部分的に加水分解して得られた、前記有機アルミニウム化合物の部分加水分解物を含有する組成物であって、
(a)前記部分加水分解は、前記有機アルミニウム化合物に対するモル比が0.4〜1.3の範囲で水を用いて行われ、かつ
(b)前記組成物は、膜塗布形成が不活性ガス雰囲気下で行われるアルミニウム酸化物膜の形成に用いるための物である、前記組成物。
(式中、R1は水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、R2、R3は独立に、水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、アシルオキシ基、またはアセチルアセトナート基を表す。)
[15]
前記不活性ガス雰囲気下で行われる膜塗布形成は、(b1)前記部分加水分解物含有組成物を不活性ガス雰囲気下で基材の少なくとも一部の表面に塗布して塗布膜を形成する工程、および
(b2)前記塗布膜を形成した基材を不活性ガス雰囲気下、400℃以下の温度で加熱して、アルミニウム酸化物膜を形成する工程、を含む、[14]に記載の組成物。
[16]
細孔径が3μm以下であるフィルターを用いてろ過した、不溶物を実質的に含有しない、[14]または15に記載の組成物。
[17]
基材に密着した透明なアルミニウム酸化物膜を形成するための[14]〜[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]
請求項1〜13のいずれかに記載の方法、または[14]〜[17]のいずれかに記載の組成物を用いて不活性ガス雰囲気下で製造した、アルミニウム酸化物膜を有する物品。
[19]
前記物品がアルミニウム酸化物膜を基材に付着した複合体またはアルミニウム酸化物膜とアルミニウム酸化物膜以外の層とを有する複合膜を基材に付着した複合体である[18]に記載のアルミニウム酸化物膜を有する物品。
本発明によれば、比較的低温での成膜において、樹脂製基材を含む基材への密着性に優れ、酸化物の形成状態(例えば、酸化物膜の透明性や均質性など)が良好なアルミニウム酸化物膜を塗布成膜によって提供できるアルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物を提供することができる。この組成物を用いることで、基材表面に本発明の組成物である塗布液を直接塗布し、比較的低温で加熱する塗布成膜においても樹脂製基材を含む基材への密着性に優れ、酸化物の形成状態(例えば、酸化物膜の透明性や均質性など)が良好なアルミニウム酸化物膜を基材表面に直接形成することができる。さらに本発明によれば、上記本発明の組成物を用いるアルミニウム酸化物膜の形成方法及びアルミニウム酸化物膜を表面に有する基材からなる物品の製造方法を提供することができ。
スプレー成膜装置を示す図である。 実施例1で得られた組成物Aの真空乾燥後の1H−NMRスペクトル 実施例1で130℃の加熱による成膜でガラス基板上に得られたアルミニウム酸化物膜のATR−IRスペクトル 実施例1で130℃の加熱による成膜において使用したガラス基板のATR−IRスペクトル 実施例3で得られた組成物Bの真空乾燥後の1H−NMRスペクトル 実施例5で得られた組成物Cの真空乾燥後の1H−NMRスペクトル 実施例15で得られた組成物Kの真空乾燥後の1H−NMRスペクトル 実施例15で得られた組成物Kの真空乾燥後の27Al−NMRスペクトル 実施例20で得られた組成物Nの真空乾燥後の1H−NMRスペクトル 実施例21で得られた組成物Oの真空乾燥後の1H−NMRスペクトル 実施例21で得られた組成物Oの真空乾燥後の27Al−NMRスペクトル 実施例23で窒素雰囲気中50℃の加熱による成膜で多孔質ポリプロピレン(PP)フィルム上に得られたアルミニウム酸化物膜のATR−IRスペクトル 実施例23で空気雰囲気中50℃の加熱による成膜で多孔質ポリプロピレン(PP)フィルム上に得られたアルミニウム酸化物膜のATR−IRスペクトル 実施例23で空気または窒素雰囲気中50℃の加熱による成膜において使用した多孔質ポリプロピレン(PP)フィルムのATR−IRスペクトル 実施例24で窒素雰囲気下50℃で加熱による成膜でガラス基板に上に得られたアルミニウム酸化物膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜断面) 実施例24で窒素雰囲気下50℃で加熱による成膜でガラス基板に上に得られたアルミニウム酸化物膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜表面) 実施例38で組成物Hを用いて窒素雰囲気中100℃の加熱による成膜でポリプロピレン(PP)フィルム上に得られたアルミニウム酸化物膜のATR−IRスペクトル(剥がし試験前) 実施例38で組成物Hを用いて窒素雰囲気中100℃の加熱による成膜でポリプロピレン(PP)フィルム上に得られたアルミニウム酸化物膜を剥がし試験を行った後のATR−IRスペクトル 比較例6で組成物3を用いて窒素雰囲気中100℃の加熱による成膜でポリプロピレン(PP)フィルム上に得られたアルミニウム酸化物膜のATR−IRスペクトル(剥がし試験前) 比較例6で組成物3を用いて窒素雰囲気中100℃の加熱による成膜でポリプロピレン(PP)フィルム上に得られたアルミニウム酸化物膜を剥がし試験を行った後のATR−IRスペクトル 実施例40で得られた紙に成膜したアルミニウム酸化物膜の走査型電子顕微鏡写真(薄膜表面)
本発明のアルミニウム酸化物膜を有する物品の製造方法は、下記(A)、(B)および(C)の工程を含む。
(A)下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を有機溶媒中で部分的に加水分解して、前記有機アルミニウム化合物の部分加水分解物を含有する組成物を得る工程、但し、前記部分加水分解は、前記有機アルミニウム化合物に対するモル比が0.4〜1.3の範囲で水を用いて行う、
(B)前記部分加水分解物含有組成物を不活性ガス雰囲気下で基材の少なくとも一部の表面に塗布して塗布膜を形成する工程、
(C)前記塗布膜を形成した基材を不活性ガス雰囲気下、400℃以下の温度で加熱して、アルミニウム酸化物膜を形成する工程
(式中、R1は水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、R2、R3は独立に、水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、アシルオキシ基、またはアセチルアセトナート基を表す。)
工程(A)
工程(A)では、一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を有機溶媒中で部分的に加水分解して、前記有機アルミニウム化合物の部分加水分解物を含有する組成物を得る。
一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物におけるR1として表される炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。一般式(1)で表される化合物は、R1は炭素数1、2、3または4の化合物であることが好ましい。一般式(1)で表される化合物は、特にR1が炭素数2である、エチル基であることが好ましい。R2、R3として表される炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基も上記R1と同様である。
一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物におけるR2およびR3として表される炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基、メトキシエトキシ基等を上げることが出来る。アシルオキシ基の具体例としてはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基等を挙げることが出来る。
一般式(1)で表される化合物は、価格が安く入手が容易であるという点から、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウムが好ましく、特に、安価で重合助触媒としての使用量も多く入手が容易なことから、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリイソブチルアルミニウムが好ましく、これらの中でも特に重合助触媒用途として使用量が最も多く、安価で入手が容易であるトリエチルアルミニウムが好ましい。
これら化合物は一般的に市販品として入手可能なものとして、R1、R2およびR3とは異なる炭素数のアルキル基や、水素が有機アルミニウム化合物中に微量または少量含まれていることが知られている。例えば、本発明で好適なトリエチルアルミニウムは、R1、R2 およびR3においてアルキル基の大部分であるエチル基に加えて、n−ブチル基や水素等が含まれているが、本発明においては、これらを問題なく使用することが出来る。
前記部分加水分解は、前記有機アルミニウム化合物に対するモル比が0.4〜1.3の範囲で、水を用いて行う。有機アルミニウム化合物に対する水のモル比が0.4未満では、実質的に水分や酸素などの酸素源を含有しない不活性ガス雰囲気下で行う塗布工程(B)および加熱工程(C)において、良好な品質(透明でかつ基材に対する密着性が良好)なアルミニウム酸化物膜塗布形成が困難である。有機アルミニウム化合物に対する水のモル比が1.3を超えると有機溶媒に不溶なゲル状の物質が析出し、均質なアルミニウム酸化物膜の形成の妨げとなる。
有機アルミニウム化合物に対する水のモル比は、好ましくは、0.4〜1.25の範囲である。この水の添加量の範囲で有機アルミニウム化合物を加水分解することによって得られたアルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物は、不活性ガス雰囲気下での塗布及び加熱によって、良好な品質(透明でかつ基材に対する密着性が良好)なアルミニウム酸化物膜を形成することができる。ここで、不活性ガス雰囲気は、水分や酸素などの酸素源を実質的に含有しない不活性ガスからなる雰囲気であり、例えば、水分及び酸素についてはそれぞれ1000ppm以下、好ましくは400ppm以下である雰囲気を意味する。不活性ガス雰囲気中の水分量は露点温度により制御することができ、は400ppm以下であれば、例えば、5ppm(露点温度−66℃)〜375ppm(露点温度−30℃)の範囲で制御できる。さらに、操作の容易性を考慮すると、100ppm(露点温度−42℃)〜375ppm(露点温度−30℃)の範囲となるように制御することもできる。不活性ガスの種類については、特に限定はないが、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素等を挙げることができる。これらの中でも、特にコストの面で窒素が望ましい。
前記部分加水分解物調製に用いる有機溶媒は、一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物に対して溶解性を有するものであればよく、例えば、電子供与性有機溶媒や炭化水素化合物を挙げることができる。また、有機溶媒は、水に対して溶解性を有するものを用いることもでき、水に対して溶解性を有する有機溶媒と水に対する溶解性が低いものを併用することもできる。有機溶媒は、電子供与性有機溶媒、炭化水素化合物またはそれらの混合物であることができる。
電子供与性有機溶媒の例としては、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキエタンやジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、ジグライム、トリグライム、アニソール、メトキシトルエン等のエーテル系溶媒、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等のアミン系溶媒等を挙げることができる。電子供与性を有する有機溶媒としては、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンが好ましい。
前記炭化水素化合物としては、炭素数5〜20のより好ましくは炭素数6〜12の直鎖、分岐炭化水素化合物または環状炭化水素化合物、炭素数6〜20の、より好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素化合物およびそれらの混合物を例示することが出来る。
これら炭化水素化合物の具体的な例として、ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、イソヘキサン、メチルペンタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、n−デカン、n−ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2−メチルオクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン、石油エーテル等の炭化水素系溶媒を挙げることが出来る。
工程(A)で得られる部分加水分解物含有組成物において、水による部分加水分解後に前記組成物中に残存しているR1、R2、R3が水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基を含まない場合においては、組成物に共存が可能な溶媒として、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルノール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコールの使用が可能である。
前記部分加水分解は、一般式(1)で表される化合物を前記有機溶媒に溶解した溶液に水を添加するか、または一般式(1)で表される化合物の有機溶媒溶液と水を混合することが行う。前記溶液中の一般式(1)で表される化合物の濃度は、有機溶媒への溶解性及び得られる部分加水分解物組成物中の部分加水分解物の濃度等を考慮して適宜決定されるが、例えば、0.1〜50質量%の範囲とすることが適当であり、0.1〜35質量%の範囲が好ましい。
水の添加又は混合は、水を他の溶媒と混合することなく行うことも、水を他の溶媒と混合した後に行うこともできる。水の添加又は混合は、反応の規模にもよるが、例えば、60秒〜10時間の間の時間をかけて行うことができる。部分加水分解物の収率が良好であるという観点から、原料である一般式(1)の有機アルミニウム化合物に水を滴下することにより添加することが好ましい。水の添加は、例えば、一般式(1)で表される化合物と電子供与性有機溶媒との溶液を攪拌せずに(静置した状態で)または攪拌しながら実施することができる。添加時の温度は、−90〜150℃の間の任意の温度を選択できる。−15〜30℃であることが水と有機アルミニウム化合物の反応性という観点から好ましい。
水の添加後に、水と一般式(1)で表される化合物との加水分解反応をさらに進行させるために、例えば、1分から48時間、攪拌せずに(静置した状態で)置くか、または攪拌することができる。反応温度については、−90〜150℃の間の任意の温度で反応させることができる。−15〜80℃であることが部分加水分解物を高収率で得るという観点から好ましい。加水分解反応における圧力は制限されない。通常は、常圧(大気圧)で実施できる。水と一般式(1)で表される化合物との加水分解反応の進行は、必要により、反応混合物をサンプリングし、サンプルをNMRあるいはIR等で分析、もしくは、発生するガスをサンプリングすることによりモニタリングすることができる。
前記の有機溶媒、原料である前記一般式(1)の有機アルミニウム化合物、そして水はあらゆる慣用の方法に従って反応容器に導入することができ、有機アルミニウム化合物及び水はそれぞれ有機溶媒との混合物としても導入することができる。加水分解反応工程は回分操作式、半回分操作式、連続操作式のいずれでもよく、特に制限はないが、回分操作式が望ましい。
上記加水分解反応により、一般式(1)の有機アルミニウム化合物は、水により部分的に加水分解されて、部分加水分解物を含む生成物が得られる。一般式(1)の有機アルミニウム化合物がトリメチルアルミニウムやトリエチルアルミニウム等である場合、加水分解物についての解析は古くから行われている。しかし、報告により結果が異なり、生成物の組成が明確に特定されている訳ではない。また、水の添加モル比や反応時間等によっても、生成物の組成は変化し得る。本発明の方法における生成物の主成分は部分加水分解物であり、部分加水分解物は下記一般式(2)で表される構造単位を含む化合物の混合物であると推定される。
(式中、Qは一般式(1)におけるR1、R2、R3のいずれかと同じであり、mは1〜200の整数である。)
加水分解反応終了後、例えば、ろ過、濃縮、抽出、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、上記生成物の一部または全部を回収及び/又は精製することができる。一般式(1)の有機アルミニウム化合物に対する水のモル比が比較的高い条件においては、不溶物を生じる場合があり、この場合には、細孔径が例えば、3μm以下であるフィルターを用いてろ過し、不溶物を実質的に含有しない、部分加水分解物含有組成物を得ることが好ましい。
上記方法で有機溶媒から分離して回収した部分加水分解物(固形分)は、反応に使用した有機溶媒と異なる、膜塗布形成用有機溶媒に溶解して塗布用の組成物とすることもできる。但し、有機溶媒から分離することなく反応生成混合物である部分加水分解物含有組成物をそのまま、あるいは適宜濃度を調整して塗布用の組成物とすることもできる。
膜塗布形成用有機溶媒として用いることが出来る有機溶媒の例としては、炭素数5〜20のより好ましくは炭素数6〜12の直鎖、分岐炭化水素化合物または環状炭化水素化合物、炭素数6〜20の、より好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素化合物およびそれらの混合物を例示することが出来る。
これら炭化水素化合物の具体的な例として、ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、イソヘキサン、メチルペンタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、n−デカン、n−ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2−メチルオクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン、石油エーテル等の炭化水素系溶媒を上げることが出来る。
また膜塗布形成用有機溶媒として用いることが出来る有機溶媒のその他の例としては、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキエタンやジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、ジグライム、トリグライム、アニソール、メトキシトルエン等のエーテル系溶媒、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等のアミン系溶媒等を挙げることができる。
また、これらの有機有機は単独で使用するのみならず、2 種類以上を混合して用いることも可能である。
また、アルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物において、加水分解後に前記組成物中に残存しているR1、R2、R3がアルコキシド基の場合においては、組成物に共存が可能な溶媒として、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルノール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコールも膜塗布形成用有機溶媒として使用が可能である。
工程(A)で得られる部分加水分解物含有組成物の部分加水分解物の固形分濃度は、例えば、0.1〜30質量%の範囲であることができる。濃度が高ければ高いほど少ない塗布回数で膜を製造できるが、有機アルミニウム化合物の部分加水分解物を含む反応生成物の溶解度、例えば、アルミニウム酸化物膜の形成の容易さを考慮すると、好ましくは0.1〜25質量%、さらに好ましくは0.1〜15質量%とすることが出来る。
上記工程(A)で得られる部分加水分解物含有組成物は、本発明のアルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物に相当する。本発明のアルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物は、膜塗布形成を不活性ガス雰囲気下で行うことで、良好な品質(透明でかつ基材に対する密着性が良好)なアルミニウム酸化物膜を基材上に形成することができる。この製造方法は、工程(B)及び(C)を含む。工程(B)及び(C)については、以下に説明する。
工程(B)
工程(A)で得られた部分加水分解物含有組成物を不活性ガス雰囲気下で基材の少なくとも一部の表面に塗布して塗布膜を形成する。
基材表面への塗布法は、特に制限はなく、例えば、スプレー塗布法、ディップコート法、スピンコート法、スリットコート法、スロットコート法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、スプレー熱分解法、静電塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法等の慣用方法を採用できる。
スプレー熱分解法や静電塗布法は、基材を加熱しながら塗布と成膜を同時にできる方法である。そのため、塗布と並行して溶媒を乾燥させることができ、条件によっては、溶媒乾燥のための加熱が不要である場合もある。さらに、条件によっては、乾燥に加えて、部分加水分解物のアルミニウム酸化物への反応も少なくとも一部、進行する場合もある。そのため、後工程である工程(C)における加熱によるアルミニウム酸化物膜形成をより容易に行える場合もある。スプレー熱分解法における塗布および成膜の際の基材の加熱温度は、例えば、20〜400℃、好ましくは50〜400℃の範囲であることができる。特に基材に樹脂などの耐熱性の低い基材を用いる場合には、20〜350℃、更に耐熱性の低いものでは20〜250℃の範囲で行うことが出来る。
組成物の基材表面への塗布は、窒素等の不活性ガス雰囲気下で実施する。本発明において部分加水分解物含有組成物の塗布は、不活性ガス雰囲気下で行うことで、1)成膜温度の低温化、2)基材への密着性、3)酸化物の形成状態(例えば、酸化物膜の透明性や均質性など)を全て満足する、アルミニウム酸化物の成膜が可能となる。不活性ガス雰囲気は、水分や酸素などの酸素源を実質的に含有しない不活性ガスからなる雰囲気であり、例えば、水分及び酸素についてはそれぞれ1000ppm以下、好ましくは400ppm以下である雰囲気を意味する。不活性ガス雰囲気中の水分量は露点温度により制御することができ、は400ppm以下であれば、例えば、5ppm(露点温度−66℃)〜375ppm(露点温度−30℃)の範囲で制御できる。さらに、操作の容易性を考慮すると、100ppm(露点温度−42℃)〜375ppm(露点温度−30℃)の範囲となるように制御することもできる。
一方、水分や酸素が完全にない場合には、一般式(2)に示される部分加水分解物の構造において、Al−Qの部位が未反応となり膜に残存する場合があるため、得られた膜の均質性等、所望の物性が損なわれない範囲での水分及び酸素の共存は許容される。具体的には、不活性ガス雰囲気中の水分及び酸素として、それぞれ1000ppm以下、好ましくは400ppm以下とすることができる。
この塗布やその後の溶媒乾燥の際に、特に溶媒が残存している状況において、不活性ガス雰囲気中の水分や酸素が前述の数値よりも大きい場合、部分加水分解物と水分および酸素との反応が過剰に進行し、膜形成の前に付着物が粉状化したり、膜の透明性が損なわれるなど、得らえたアルミニウム酸化物膜の均質性や密着性が悪くなるため好ましくない。
不活性ガスについては、特に限定はないが、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、等を挙げることができる。これらの中でも、特にコストの面で窒素が望ましい。また、塗布の際の圧力については、大気圧下、加圧下、減圧下のいずれでも実施できるが、通常、大気圧で実施するのが装置上も簡便であり、コストもかからず好ましい。
図1に、本発明で用いることができる噴霧塗布による成膜装置の例として、スプレー成膜装置を示す。図中、1は塗布液を充填したスプレーボトル、2は基材ホルダ、3はスプレーノズル、4はコンプレッサ、5は基材を示す。スプレー塗布は、基材を基材ホルダ2に設置し、必要によりヒーターを用いて所定の温度まで加熱し、その後、不活性ガス雰囲気で、基材の上方に配置したスプレーノズル3から圧縮した不活性ガスと塗布液を同時供給し、塗布液を霧化、噴霧させ、基材上に本発明の部分加水分解物含有組成物を塗布する(工程(B))。
塗布液のスプレー塗布は、基材への付着性、溶媒の蒸発の容易性等を考慮すると、塗布液をスプレーノズルより液滴の大きさが30μm以下の範囲になるように吐出することが好ましい。また、スプレーノズルから基材に到達するまでに溶媒が幾分蒸発し液滴の大きさが減少すること等を考慮するとスプレーノズルと基材との距離を50cm以内として行うことが、部分加水分解物含有組成物の塗布膜を形成することができるという観点から好ましい。
さらに、基材および雰囲気温度を加熱することなく、基材の上方に配置したスプレーノズル3 から圧縮した不活性ガスと塗布液を同時供給し、塗布液を霧化、噴霧させることだけでも基材上に部分加水分解物含有組成物の塗布膜を形成することができる。尚、本発明の方法におけるいずれの塗布は、加圧下や減圧下でも実施できるが、大気圧で実施するのが装置上も簡便であり、コストもかからず好ましい。
上記製造方法においてアルミニウム酸化物膜を形成するための基材は、材質、形状、寸法等には制限はない。材質としては、例えば、ガラス、金属、セラミックス等の無機物、プラスチック等の樹脂製基材や紙、木材等の有機物およびこれらの複合物がある。
これらの基材は、アルミニウム酸化物膜を形成に支障がなければ特に制限はないが、例えば、ガラスとしては石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、無アルカリ、鉛ガラス等のガラスやサファイヤ等の酸化物等が挙げられる。また、金属としては、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、アルミニウム、鉄、銅、チタン、シリコン、ニッケル、金、銀およびこれらを含む合金等が挙げられる。セラミックスとしては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア等の酸化物、ホウ素化窒素、窒化アルミ、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ガリウム等の窒化物、炭化ケイ素等の炭素化合物やこれらを含む複合物等が挙げられる。さらに、プラスチックを形成する高分子には、ポリエステル( 例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(COP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリウレタン、トリアセテート、トリアセチルセルロース(TAC)、セロファンフッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等)およびこれらを含む複合樹脂等を例示することができる。これらの中でも、EVA、COP、PP、PE、PET、PPS,PEN、PC、PMMA、PES、ポリイミド、ポリアミド、アラミド、PVC、PVAが好ましい。
また、これら基材の形状としては、例えば、フィルム状、板状や三次元の任意の形状を有する立体構造物のものおよびこれらの複合物が使用可能である。
さらに、これら機材は透明、半透明、不透明のいずれでもよい。
例えば、透明基材としてフィルム状のものは、薄板ガラス等の無機物や高分子基材としてプラスチックフィルム等の有機物を例示することができる。
基材がプラスチックフィルムの場合には、ポリマーの種類によって無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。例えば、ポリエステルフィルム例えばPETフィルムは、通常、二軸延伸フィルムであり、またPCフィルム、トリアセテートフィルム、セロファンフィルム等は、通常、無延伸フィルムである。
不透明な機材として、金属や金属の酸化物、窒化物、炭素化合物のウエハーやシート等やポリイミド、ポリアミド、アラミド、炭素繊維、PP、PE、PETシートや不織布等の高分子基材でも使用することが出来る。
さらに、これらの基材以外にも、金属、酸化物、窒化物、炭素化合物等の無機物や低分子、ポリマーなどの有機物および前述の無機物および有機物の複合物から形成される、電極、半導体、絶縁物等の電子デバイス膜等の機能性材料に対しても塗布成膜が可能である。
工程(C)
工程(C)では、前記塗布膜を形成した基材を不活性ガス雰囲気下、400℃以下の温度で加熱して、アルミニウム酸化物膜を形成する。
基材表面へ塗布液を塗布した後、基材を所定の温度とし、溶媒を乾燥した後、または乾燥と同時に、所定の温度で加熱することによりアルミニウム酸化物膜を形成させる。但し、溶媒の乾燥は、工程(B)においても実質的には既に一部進行している。特に、工程(B)の塗布を比較的高温で行う場合には、工程(B)において溶媒の乾燥がほぼ完了している場合もある。
溶媒を乾燥する条件は、共存する有機溶媒の種類や沸点(蒸気圧)に応じて適時設定することができる。溶媒を乾燥する温度として、例えば、20〜350℃の範囲であることができ、溶媒の沸点が200℃以下である場合は、20〜250℃、溶媒の沸点が150℃以下である場合は、あるいは20〜200℃とすることができる、その乾燥時間は、通常、0.2〜300分とすることができ、好ましくは0.5〜120分である。これらの条件は、工程(B)において、溶媒の乾燥を少なくとも部分的に行う場合にも考慮することができる。溶媒乾燥温度とその後のアルミニウム酸化物膜形成の為の加熱温度を同一にし、溶媒乾燥とアルミニウム酸化物膜形成を同時に行うことも可能であり、その際の温度は、アルミニウム酸化物膜形成のための加熱温度に通常設定される。
本発明においては、溶媒乾燥後のアルミニウム酸化物膜形成の為の加熱温度は、例えば、20〜400℃、さらに好ましくは20〜350℃の範囲であり、この温度での処理は少なくとも1回行うことができる。この加熱温度における加熱時間は、通常、0.2〜300分であり、好ましくは0.5〜120分である。加熱時間は、加熱によるアルミニウム酸化物膜の形成状態を考慮して適宜決定できる。
特に、本発明においては、溶媒の乾燥やその後の加熱処理において、350℃以下での低温での熱処理を用いることが出来る、短時間での処理可能なことから、基材に樹脂などの耐熱性の低い基材を用いる場合の成膜や、金属、酸化物、窒化物、炭素化合物等の無機物や低分子、ポリマーなどの有機物および前述の無機物および有機物の複合物から形成される、電極、半導体、絶縁物等の電子デバイス膜等の機能性材料に対して熱や高エネルギーを与える処理で問題がある場合への成膜が可能となる。
この工程(C)においても、不活性ガス雰囲気下で行う。工程(C)において加熱を、不活性ガス雰囲気下で行うことで、1)成膜温度の低温化、2)基材への密着性、3)酸化物の形成状態(例えば、酸化物膜の透明性や均質性など)を全て満足する、アルミニウム酸化物の成膜が可能となる。不活性ガス雰囲気は、水分や酸素などの酸素源を実質的に含有しない不活性ガスからなる雰囲気であり、例えば、水分及び酸素についてはそれぞれ1000ppm以下、好ましくは400ppm以下である雰囲気を意味する。不活性ガス雰囲気中の水分量は露点温度により制御することができ、は400ppm以下であれば、例えば、5ppm(露点温度−66℃)〜375ppm(露点温度−30℃)の範囲で制御できる。さらに、操作の容易性を考慮すると、100ppm(露点温度−42℃)〜375ppm(露点温度−30℃)の範囲となるように制御することもできる。
工程(B)と同様、工程(C)においても、水分や酸素が完全にない場合には、一般式(2)に示される部分加水分解物の構造において、Al−Qの部位が未反応となり膜に残存する場合があるため、得られた膜の均質性等、所望の物性が損なわれない範囲での水分及び酸素の共存は許容される。具体的には、不活性ガス雰囲気中の水分及び酸素として、それぞれ1000ppm以下、好ましくは400ppm以下とすることができる。
工程(C)においても、加熱の際に溶媒が残存している状況において、不活性ガス雰囲気中の水分や酸素が前述の数値よりも大きい場合、部分加水分解物と水分および酸素との反応が過剰に進行し、膜形成の前に付着物が粉状化したり、膜の透明性が損なわれるなど、得らえたアルミニウム酸化物膜の均質性や密着性が悪くなるため好ましくない。
工程(C)における400℃以下の加熱によって基材表面上に密着したアルミニウム酸化物膜が形成される。アルミニウム酸化物膜の膜厚には特に制限はないが、実用的には0.001〜5μm、通常0.01〜5μmの範囲とすることが出来る。本発明の製造方法によれば、上記塗布(乾燥)加熱を1回以上繰り返すことで、上記範囲の膜厚の膜を適宜製造することができる。また、原理的には、塗布回数を繰り返す、及び/又は塗布時間を長くすることで、5μm以上の膜形成も可能である。
尚、本発明で用いることのできるいずれの方法における溶媒乾燥や加熱は、加圧下や減圧下でも実施できるが、大気圧で実施するのが装置上も簡便であり、コストもかからず好ましい。
本発明の製造方法で得られる「アルミニウム酸化物」は、アルミニウム元素と酸素元素とを含有する化合物であり、これら2つの元素がアルミニウム酸化物に占める割合が90%以上のものをいう。アルミニウムと酸素以外には水素や炭素を含有する場合があり得る。また、本発明の工程(C)において400℃以下の温度で加熱することで製造された「アルミニウム酸化膜」は、通常、X線回折分析で明瞭なピークが観測されず、アモルファス状態である。
工程(C)で形成するアモルファスアルミニウム酸化物膜は、400℃を超える温度に別途または引き続き加熱することで、結晶性を向上させることができる。例えば、一般的知られている1000℃以上でのアルミニウム酸化物が結晶性のアルミナ等に結晶化するような加熱温度・処理雰囲気での熱処理によって結晶化を行うこともできる。
また、工程(C)で得られたアルミニウム酸化物膜は、必要に応じて、さらに、水分、酸素、オゾン等の酸化ガス雰囲気下、水素等の還元ガス雰囲気下、水素、アルゴン、酸素等のプラズマ雰囲気下で、結晶性を向上させることも可能である。
本発明の製造方法の工程(A)で得られる部分加水分解物含有組成物は、(a)部分加水分解が、前記有機アルミニウム化合物に対するモル比が0.4〜1.3の範囲で水を用いて行われたものであり、(b)この組成物を、膜の塗布形成が不活性ガス雰囲気下で行われるアルミニウム酸化物膜の形成に用いることができる。不活性ガス雰囲気下での塗布及び加熱による成膜(工程(B)及び工程(C)に相当する)を行なえば、塗布および加熱を行うだけで成膜温度が低温でも、基材への密着性に優れ、酸化物の形成状態が良好なアルミニウム酸化物膜を形成することができる。基材への密着性は本発明のアルミニウム酸化物膜塗布形成用組成物を用いて得られたアルミニウム酸化物膜それ自身も高く、通常、酸化物の直接成膜が困難な基材においても良好な密着性が得られる。但し、必要に応じてアンダーコート処理、プライマー処理、コロナ処理、UV照射、塩素化等等の一般的に知られている基材に成膜した酸化物の密着性を高めるような方法を用いて塗布成膜することも可能である。
[アルミニウム酸化物膜]
本発明のアルミニウム酸化物膜膜塗布形成用組成物を用いれば、前述の不活性ガス雰囲気で塗布および加熱を行うだけで成膜温度が低温でも、基材への密着性に優れ、酸化物の形成状態が良好なアルミニウム酸化物膜を形成することができる。
製造されたアルミニウム酸化物膜は、本発明における「アルミニウム酸化物」は、アルミニウム元素と酸素元素とを含有する化合物であり、これら2つの元素がアルミニウム酸化物に占める割合が90%以上のものをいう。また、本発明において400℃以下で製造された「アルミニウム酸化膜」は、通常、X線回折分析で明瞭なピークが観測されず、アモルファス状態である。
これらアルミニウム酸化物膜は基板等の耐熱温度が許容されれば、成膜後の後処理によって一般的に知られている1000℃以上での高い温度での加熱等の手法により結晶化させることも可能である。
また、必要に応じて、アルミニウム酸化物膜が形成された後に、さらに、酸素等の酸化ガス雰囲気下、アルゴン、酸素等のプラズマ雰囲気下で、上記加熱を行うことによりアルミニウム酸化物の形成を促進、または、結晶性を向上させることも可能である。さらに、本発明で得られたアルミニウム酸化物膜中の残存有機物等の炭素成分の除去やアルミニウム酸化物膜の膜質の向上等を目的として一般的に用いられている紫外線等の光照射やマイクロ波等での処理を行ってもよい。
このアルミニウム酸化物膜は、前記アルミニウム酸化物膜製造用組成物が含有する有機アルキルアルミニウム化合物の部分加水分解物において、有機アルミニウム化合物に対して部分加水分解物が得らえるように添加する水のモル比や前記部分加水分解物の濃度あるいは共存する有機溶媒、成膜条件・方法等によって、その性状が異なるが、本発明で用いる塗布成膜手法においては、透過率が高い透明なものから半透明・不透明なものを得ることができ、アルミニウム酸化物膜の膜厚は特に制限はないものの、実用的には0.001〜10μm、通常0.01〜5μm の範囲のものが得られ、ガラスや樹脂などへの基材への密着性の高い膜を得ることが出来る。
本発明の製造方法では、不活性ガス雰囲気下、基材表面に上記組成物を塗布する工程(B)及び得られた塗布物を加熱する工程(C)を1回または2回以上行うことを含む。塗布および得られた塗布物の加熱操作は、絶縁性や耐熱性など所望の物性を得るために必要な回数を適宜行なうことができるが、好ましくは1回〜50回、より好ましくは、1回〜30回さらに好ましくは1回〜10回等の範囲で適宜実施できる。
[アルミニウム酸化物を含む機能膜]
製造されたアルミニウム酸化物膜は基材への密着性に優れ、酸化物の形成状態が良好である。そのため、アルミニウム酸化物膜を基材に付着した複合体(物品)や、アルミニウム酸化物膜とアルミニウム酸化物膜以外の層とを有する複合膜を基材に付着した複合体(物品)とすることができる。複合膜は、アルミニウム酸化物を含む機能膜として用いることが出来る。例えば、電子材料用アルミナシート、アルミニウム酸化物膜の作製、触媒担体の作製、耐熱性付与、空気、水分に対するバリア性付与、反射防止効果付与、帯電防止効果付与、防曇効果付与、耐摩耗性等の付与、セラミック製造用バインダー等の用途に供することが出来る。具体的には、機械部品や切削工具の保護膜、半導体、磁性体、太陽電池等の絶縁膜、誘電体膜、反射防止膜、表面デバイス、磁気ヘッド、赤外線等のセンサー素子、食品、薬品、医療器材等の包装材料における空気・水分等へのバリア膜、各種粉体、フィルム、ガラスやプラスチックを素材としたフィルムや成形体等の基材へのコーティング膜およびこれらを用いた耐熱材料や高硬度フィルム、光学部材、セラミック製造用バインダー等の用途に使用されるアルミニウム酸化物膜などの、基材に対して種々の機能性を付与することができる機能膜の一部又は全部として適用することができる。
[アルミニウム酸化物膜を有する基材およびアルミニウム酸化物を含む機能膜を有する基材]
さらにこれらのアルミニウム酸化物膜やアルミニウム酸化物を含む機能膜を有する基材は、耐熱フィルム等の耐熱材料、絶縁材料、水分や酸素等へのバリアフィルム等の材料、反射防止フィルム、ガラス等の反射防止材料、高硬度フィルムや材料として利用が可能である。
以下に本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
全ての有機アルミニウム化合物を含む溶液の調製およびそれを用いた成膜は窒素ガス雰囲気下で行い、溶媒は全て脱水および脱気して使用した。
トリエチルアルミニウムのモル数は以下の式より算出した。
トリエチルアルミニウムのモル数=トリエチルアルミニウムのモル数=〔使用したトリエチルアルミニウム(市販品)の重量(g)〕/〔トリエチルアルミニウムの分子量(114.16)〕
アルミニウム酸化物膜に成膜時における水は、必要に応じて加熱した水に窒素をバブリングさせることによって窒素中に水を飽和させた状態のものとして成膜雰囲気に供給した。
実施例および比較例における各成膜における基材上におけるアルミニウム酸化物およびその膜の形成は、ATR−IR(全反射(attenuated total reflection,:ATR)法による赤外分光法)、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer:電子線マイクロアナライザ)、XRD(X‐ray diffraction:X線回折)による解析で確認した。
−可視光等の透過率は、分光光度計を用いて測定した。
−アルミニウム酸化物膜の膜厚は、触針式表面形状測定器による測定または薄膜断面のSEM測定により行った。
−成膜したアルミニウム酸化物膜の基材への密着性は、、JIS K 5600−5−6「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」またはスコッチテープR(3M社製)、セロハンテープ等の粘着テープを用いた基材に塗布製膜したアルミニウム酸化物膜へのテープ貼り・剥がしによる剥離試験により確認した。
−薬液の反応性は、温度(20℃)および湿度(50%)が一定な無風大気中において濾紙に薬液を滴下し、濾紙上での反応性を目視で確認した。
−窒素雰囲気中の水分値は、露点測定を行い、体積%に換算した値とした。
−成膜時の塗布および溶媒乾燥や加熱における窒素雰囲気は、特に断りのない場合以外は、窒素ガス中の水分が100ppm(露点温度−42℃)〜375ppm(露点温度−30℃)の範囲となるように制御した。なお、設定を調整することで、5ppm(露点温度−66℃)〜375ppm(露点温度−30℃)の範囲内に調整とすることも可能である。
[実施例1]
テトラヒドロフラン(THF)73.2gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)11.35g を室温で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、20℃前後となるように反応による発熱を除熱しながら、水1.08gを含有したTHF溶液36.6gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.6になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物A)を得た。また、組成物Aの一部を真空乾燥により溶媒等を除去した後のトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を主成分とする残存物について、1H-NMR(THF−d8,ppm)測定を行い、図2のスペクトルを得た。
この組成物Aをスピンコート法により18mm角(厚さ0.7mm)のガラス基板(コーニング社製、EagleXG(R))表面上に塗布した。窒素雰囲気下、室温において、前記溶液50μlを前記ガラス基板に滴下し、回転数1000rpmで20秒間基板を回転させて溶液をガラス基板全体に塗布し、室温で乾燥の後、基板を所定の各温度で2分加熱することで溶媒を乾燥させると同時に膜を形成させた。
この膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、いずれの温度の加熱で得られた膜においても、組成物A中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。図3に130℃の加熱によって得られた膜、図4にガラス基板のみのそれぞれのATR−IR分析結果をそれぞれ示した。得らえた膜はいずれも透過率が高く透明であり、各温度における加熱で得られた膜の550nmにおける垂直透過率は表1の値を得た。
[実施例2]
実施例1において、塗布成膜の操作を3回繰り返し、300℃において同様に膜を得た。300℃において加熱して得られたアルミニウム酸化物膜の550nmにおける垂直透過率は94%であった。
[実施例3]
テトラヒドロフラン(THF)74.18gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)27.94gを室温で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、20℃前後となるように反応による発熱を除熱しながら、水4.41gを含有したTHF溶液38.04gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物B)を得た。また、組成物Bの一部を真空乾燥により溶媒等を除去した後のトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を主成分とする残存物について、1H-NMR(THF−d8,ppm) 測定を行い、図5のスペクトルを得た。
この組成物Bを用いて、実施例1と同様の手法でガラス基板に塗布成膜を行った。塗布および溶媒の乾燥後の加熱は、50、100、130、200、250、300、350、400℃の各温度で各々について2分間行った。各温度で得られた膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物B中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得らえた膜はいずれも透過率が高く透明であり、各温度における加熱で得られた膜の550nmにおける垂直透過率は表2の値を得た。
[比較例1]
実施例1において、塗布後の加熱温度を450℃又は500℃で行って得られたアルミニウム酸化物膜の550nmにおける垂直透過率は、それぞれ、79および78%の値を得た。塗布膜の加熱温度は400℃以下が好ましいことが明らかになった。
[実施例4]
実施例3において、塗布成膜の操作を3回繰り返し、350℃において同様に膜を得た。350℃において加熱して得られたアルミニウム酸化物膜の550nmにおける垂直透過率は84%の値を得た。
[比較例2]
テトラヒドロフラン(THF)150gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)15.0gを室温で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液(組成物1)を得た。
アルミニウム酸化物膜を成膜する基材として、ポリプロピレン(PP)フィルム(30mm角(厚さ0.2mm))を用い、TEAL/THF溶液(組成物1)を用いて、組成物1の量を200μl、回転数を500rpmとして実施例1と同様の塗布操作を行い、乾燥の後、このフィルムを130℃で2分加熱して、スピンコート成膜により、アルミニウム酸化物膜の成膜を行った。基板上に形成された膜の同様の分析を行ったが、酸化物の基板への付着はほとんどなく、本溶液を用いた成膜方法により、130℃の低温におけるポリプロピレン(PP)フィルムへのアルミニウム酸化物膜の形成は確認できなかった。さらに、基材をポリプロピレン(PP)フィルムから18mm角(厚さ0.7mm)のガラス基板(コーニング社製、EagleXGR))に代えて同様の操作を行ったが、アルミニウム酸化物膜の形成は確認されなかった。
成膜方法をディップコート法に代え、窒素雰囲気下、ポリプロピレン(PP)フィルム(15mm角(厚さ30μm)を組成物Xに1秒間浸漬し、フィルムを引き上げた後、フィルムに溜まった液を切り落とした。溶媒を室温乾燥後、さらに室温で10分間放置または50℃で10分間加熱し、ポリプロピレン(PP)フィルムに膜を成膜した。基板上に形成された膜の同様の分析を行ったが、酸化物の基板への付着はほとんどなく、本溶液を用いた成膜方法により、50℃の低温におけるポリプロピレン(PP)フィルムへのアルミニウム酸化物膜の形成は確認できなかった。
[比較例3]
実施例3において、水4.41gを加えないこと以外は、実施例3と同様にして、TEALの部分加水分解を行っていないTEAL/THF溶液(組成物2)を得た。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙に焦げが見られ、部分加水分解を行っていないTEAL/THF溶液は、高いAl濃度の溶液の取扱いが困難であることが判明した。
[比較例4]
実施例2において、テトラヒドロフラン(THF)の使用量を70.0g、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)27.94gの代わりにアルミニウムトリイソプロポキシド32.9g、および水4.41gを含有したTHF溶液38.04gの代わりに水2.9gを含有したTHF溶液11.6gを、水のアルミニウムトリイソプロポキシドが含有するAlに対するモル比(水/Al)が1になるように滴下すること以外は、実施例2と同様の手法を用いてアルミニウムトリイソプロポキシドを部分加水分解した溶液を得ることを試みたが、大量の白色の不溶物が析出し、均一な塗布溶液として十分なAl濃度を含有しているものを得ることが出来なかった。
[比較例5]
実施例2において、テトラヒドロフラン(THF)74.18gの代わりにトルエン70.0g、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)27.94g の代わりにアルミニウムトリイソプロポキシド32.3g、水4.41gを含有したTHF溶液38.04gの代わりに水2.84gを含有したTHF溶液11.4gを、水のアルミニウムトリイソプロポキシドに対するモル比が1になるように滴下すること以外は、実施例2と同様の手法を用いてアルミニウムトリイソプロポキシドを部分加水分解した溶液を得ることを試みた。得られた反応生成物からは、大量の白色の不溶物が析出し、均一な塗布溶液として十分なAl濃度を含有しているものを得ることが出来なかった。
[実施例5]
テトラヒドロフラン(THF)73.21gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)11.35gを室温で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、20〜26℃の温度の範囲で反応による発熱を除熱しながら、水2.09gを含有したTHF溶液36.60gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.17になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物C)を得た。また、組成物Cの一部を真空乾燥により溶媒等を除去して得られたトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を主成分とする残存物について、1H-NMR(THF−d8,ppm) 測定を行い、図6のスペクトルを得た。
この組成物Cを用いて、実施例1と同様の手法でガラス基板に塗布成膜を行い、各温度で得られた膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物C中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得らえた膜はいずれも透過率が高く透明であり、各温度における加熱で得られた膜の550nmにおける垂直透過率は表5の値を得た。
[実施例6]
実施例5において、塗布成膜の操作を3回繰り返し、300℃において同様に膜を得た。300℃において加熱して得られたアルミニウム酸化物膜の550nmにおける垂直透過率は98%であった。
[実施例7]
トルエン166.7gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)23.5g を室温で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、16〜27℃で発熱を除熱により制御しながら、水3.92gを含有したTHF溶液19.54gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.06になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物D)を得た。
この組成物Dを用いて、ディップコート法によりポリプロピレン(PP)板(50mm角(厚さ3mm))に塗布を行った。窒素雰囲気下、ポリプロピレン板を組成物Dに1秒間浸漬し、フィルムを引き上げた後、フィルムに溜まった液を切り落とした。溶媒を室温乾燥後、50または100℃で10分間加熱し、ポリプロピレン(PP)板に膜を成膜した。
各温度で得られた膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物D中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得らえた膜はいずれも透明であった。
得られた膜の密着性について、JIS K 5600−5−6「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に基づき、密着性試験を行った。膜に付着させたスコッチテープ(R)2364(3M社製)を引き剥がした後を目視で確認したところ「分類1:カットの交点における塗膜の小さな剥がれ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を下回ることはない」であり、膜の基板への密着性が良好であることを確認した。、さらに、ATR−IRおよびSEM測定で膜の状況を確認したところ、強い膜の剥がれは確認されず、本組成物によって成膜した膜の密着性が高いことを確認した。
[実施例8]
実施例7において、ポリプロピレン(PP)フィルム板の代わりに、アクリル板を用いて、加熱温度を50℃として、実施例3と同様の手法でアクリル板に膜を成膜した。得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物D中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得られた膜の密着性について、実施例7と同様の試験で確認したところ、クロスカット法による試験からは「分類1」であり、強い膜の剥がれは確認されず、本組成物によって成膜した膜の密着性が高いことを確認した。
[実施例9]
実施例1において、テトラヒドロフラン(THF)の使用量を108.45g、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)の使用量を15.13g、水1.08gを含有したTHF溶液36.6gの代わりに水0.95gを含有したTHF溶液48.8gとし、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.4になるように滴下すること以外は、実施例1と同様の手法を用いて反応を行い、無色透明溶液を得た。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物E)を得た。
[実施例10]
実施例9において、水0.95gの代わりに水1.44gとし、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.6になるように滴下すること以外は、実施例9と同様の手法を用いて、無色透明溶液を得た。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物F)を得た。
[実施例11]
実施例9において、水0.95gの代わりに水1.91gとし、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.8になるように滴下すること以外は、実施例9と同様の手法を用いて、無色透明溶液を得た。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物G)を得た。
[実施例12]
実施例9において、水0.95gの代わりに水2.79gとし、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.17になるように滴下すること以外は、実施例9と同様の手法を用いて、無色透明溶液を得た。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物H)を得た。
[実施例13]
実施例9において、水0.95gの代わりに水2.98gとし、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.25になるように滴下すること以外は、実施例9と同様の手法を用いて、無色透明溶液を得た。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物I)を得た。
実施例9、10、11、12および13においてそれぞれ調製した各組成物についての水/TEALモル比と反応生成物外観、ゲルの発生状況および組成物の反応性等について表4に示す。
[実施例14]
テトラヒドロフラン(THF)79.92gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)11.35gを室温で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、20℃前後となるように反応による発熱を除熱しながら、水1.79gを含有したTHF溶液36.60gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物J)を得た。
[実施例15]
テトラヒドロフラン(THF)67.5gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)24.07g を室温で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、20〜27℃において反応による発熱を除熱しながら、イソプロパノール12.67gを撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、18℃まで冷却し、20℃前後となるように反応による発熱を除熱しながら、水3.8gを含有したTHF溶液30.05gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応後の生成物は無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。また、得られた溶液の一部を真空乾燥により溶媒等を除去した後の残存物について、1H-NMR(図7)および27Al−NMR(図8)(いずれもBenzene−d6,ppm)により分析し、生成物の構造中にイソプロポキシ基が存在していることを確認した。
このようにして、構造中にイソプロポキシ基を有したトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物K)を得た。
この組成物Kを用いて、実施例1と同様の手法でガラス基板に塗布成膜を行った。塗布および溶媒の乾燥後の加熱は、250、300、350、400℃の各温度で2分間行った。各温度で得らえた膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物B中に含まれる溶媒や構造中にイソプロポキシ基を有したトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基やイソプロポキシ基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得らえた膜はいずれも透過率が高く透明であり、各温度における加熱で得られた膜の550nmにおける垂直透過率は表5の値を得た。
[実施例16]
このイソプロポキシ基を有したトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物K)5g分取し、イソプロパノール5gを加えて十分に混合したが均一溶液のままであった。このように構造中にイソプロポキシ基を有したトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物K)はイソプロパノールのようなアルコールを溶媒とすることができる。
[実施例17]
実施例15で得られた構造中にイソプロポキシ基を有したトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物K)を2.14g分取し、これからTHFを除去し、0.943gまで溶液を濃縮した。得られた濃縮物は透明のゲル状固形物であった。この濃縮物に0.25gトルエンを加えて混合したところ、固形物は溶解して均一溶液となった。このように、アルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物K)に含まれるイソプロポキシ基を有したトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物は、有機溶媒に不溶なアルミニウム酸化物や水酸化物等の無機物質を含んでいない。
[実施例18]
実施例2で得らえたトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物B)を5g分取し、これに撹拌しながら室温(20℃)でイソプロパノール5gを添加し、反応で生成するエタンが発生しなくなるまで反応を行った。得られた溶液は均一であり、また、得られた溶液の一部を真空乾燥により溶媒等を除去した後の1H-NMR(Benzene−d6,ppm)を分析し、生成物の構造中にイソプロポキシ基が存在していることを確認した。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物とイソプロパノールとの反応により得た生成物であり構造中にイソプロポキシ基を有したアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物L)を得ることができ、この生成物はイソプロパノールが共存していても均一溶液のままである。このようにトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を経て得らえた構造中にイソプロポキシ基を有したアルミニウム酸化物膜製造用溶液(組成物L)はイソプロパノールのようなアルコールを溶媒とすることができる。
[実施例19]
1,2−ジエトキシエタン74.1gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)27.91gを室温で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、20℃前後となるように反応による発熱を除熱しながら、水4.41gを含有したTHF溶液38gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は薄い黄色の透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物M)を得た。
[実施例20]
テトラヒドロフラン(THF)74.1gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)27.91g を室温で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、20〜27℃において反応による発熱を除熱しながら、水4.41gを含有したTHF溶液38gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、反応混合物を18℃まで冷却し、18〜20℃で反応による発熱を除熱しながら、イソプロパノール14.69gを撹拌しながら滴下した。その後、65℃まで加熱して65℃で2.5時間反応させた。反応後の生成物は無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、構造中にイソプロポキシ基を有したトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物N)を得た。また、組成物Nの一部を真空乾燥により溶媒等を除去した後の残存物について1H-NMR(Benzene−d6,ppm) 測定を行い、図9のスペクトルを得た。この組成物Nは構造中にイソプロポキシ基を有したトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物である組成物Kとほぼ同様のピークパターンを与えており、組成物Kと同様、アルミニウム酸化物膜の塗布成膜に使用することができる。
[実施例21]
トルエン10.0gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)1.31g を室温(25℃)で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、発熱に注意しながら、水0.21gを含有したTHF溶液1.03gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、25℃で18時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。た、得られた溶液の一部を真空乾燥により溶媒等を除去して得られたトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を主成分とする残存物について、1H-NMRおよび27Al−NMR(いずれもBenzene−d6,ppm)により分析し、図10(1H-NMR)および図11(27Al−NMR)の各スペクトルを得た。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物O)を得た。
この組成物Oを用いて、ディップコート法によりポリプロピレン(PP)フィルム(15mm角(厚さ30μm)に塗布を行った。窒素雰囲気下、室温でポリプロピレン(PP)フィルム(15mm角(厚さ30μm)を組成物Oに1秒間浸漬し、フィルムを引き上げた後、フィルムに溜まった液を切り落とした。溶媒を室温乾燥後、さらに室温で10分間放置または50℃で10分間加熱し、ポリプロピレン(PP)フィルムに膜を成膜した。
各温度で得られた膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物O中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得らえた膜はいずれも透明であった。
得られた膜の密着性について、12mm幅のセロファンテープを用いて、剥がし試験により確認を行った。アルミニウム酸化物膜を成膜した前記ポリプロピレン(PP)フィルムの成膜面にセロファンテープを押し付けて貼り、斜め45°に引き剥がした。引き剥がした後を目視、ATR−IRおよびSEM測定で確認したところ、強い膜の剥がれは確認されず、本組成物によって成膜した膜の密着性が高いことを確認した。
[実施例22]
実施例21において、50℃で10分間加熱する雰囲気を窒素雰囲気から空気中で行ったこと以外は実施例22と同様の手法でポリプロピレン(PP)フィルムに膜を成膜した。
得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物O中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得らえた膜は透明であった。
得られた膜の密着性について、実施例21と同様の試験で確認したところ、強い膜の剥がれは確認されず、本組成物によって成膜した膜の密着性が高いことを確認した。
[実施例23]
実施例21において、ポリプロピレン(PP)フィルム(15mm角(厚さ30μm)の代わりに、多孔質ポリプロピレン(PP)フィルム(2次電池セパレータ用:15mm角(厚さ20μm))を用いて、実施例21および22と同様の手法で多孔質ポリプロピレン(PP)フィルムに膜を成膜した。
得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物O中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。図12に窒素雰囲気中において50℃の加熱によって得られた膜、図13に空気雰囲気中において50℃の加熱によって得られた膜、図14に膜を成膜していない多孔質ポリプロピレン(PP)フィルムのみのそれぞれのATR−IR分析結果をそれぞれ示した。表面をEPMAで分析したところ、AlおよびO(酸素)の存在を確認した。
得られた膜の密着性について、実施例21と同様の試験で確認したところ、強い膜の剥がれは確認されず、本組成物によって成膜した膜の密着性が高いことを確認した。
[実施例24]
実施例21において、ポリプロピレン(PP)フィルム(15mm角(厚さ30μm)の代わりに、18mm角(厚さ0.7mm)のガラス基板(コーニング社製、EagleXG(R))を用いて、実施例21および22と同様の手法でガラス基板に膜を成膜した。塗布後の加熱温度は、室温(加熱なし)、50、100、200、300、400、500℃の各温度で行った。
得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物O中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。また、窒素雰囲気下50℃で加熱した膜を空気中に取り出し、膜厚をSEM分析で測定したところ、図15が得られ、これより算出された膜厚は470nmであった。併せて膜の表面についてSEM分析を行い、図16の結果を得た。
得られた膜の密着性について、実施例21と同様の試験で確認したところ、強い膜の剥がれは確認されず、本組成物によって成膜した膜の密着性が高いことを確認した。
[実施例25]
実施例21において、ポリプロピレン(PP)フィルム(15mm角(厚さ30μm)の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(15mm角(厚さ25μm)および30mm角(188μm))を用いて、実施例21および22と同様の手法でPETフィルムに膜を成膜した。塗布・乾燥後の加熱は、室温(加熱なし)、50、100、130℃の各温度で各々について2分間行った。
得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物O中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。
100℃および130℃で得られた膜の密着性について、実施例21と同様の試験で確認したところ、強い膜の剥がれは確認されず、本組成物によって成膜した膜の密着性が高いことを確認した。
[実施例26]
実施例21で調製した組成物Oを窒素雰囲気下で3.43g秤取し、トルエン2.29gを加えて撹拌して均一な溶液を得た。この均一溶液をトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物P)とした。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
[実施例27]
トルエン10.0gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)3.13g を室温(25℃)で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、発熱に注意しながら、水0.49gを含有したTHF溶液2.46gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、25℃で18時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物Q)を得た。
[実施例28]
トルエン10.0gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)5.83g を室温(25℃)で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、発熱に注意しながら、水0.91gを含有したTHF溶液4.55gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、25℃で18時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は白色の不溶物を含む無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる白色の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物R)を得た。
[実施例29]
トルエン10.0gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)12.3g を室温(25℃)で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、発熱に注意しながら、水1.63gを含有したTHF溶液8.13gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、25℃で18時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は白色の不溶物を含む無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる白色の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物S)を得た。
[実施例30]
テトラヒドロフラン(THF)10.0gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)1.31g を室温(25℃)で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、発熱に注意しながら、水0.21gを含有したTHF溶液1.03gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、25℃で18時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は白色の不溶物を含む無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる白色の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物T)を得た。
[実施例31]
テトラヒドロフラン(THF)10.0gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)5.83gを室温(25℃)で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、発熱に注意しながら、水0.92gを含有したTHF溶液4.58gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0になるように撹拌しながら滴下した。その後、25℃で18時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は白色の不溶物を含む無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる白色の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物U)を得た。
[実施例32]
テトラヒドロフラン(THF)20.0gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)2.22g を室温(25℃)で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、発熱に注意しながら、水0.42gを含有したTHF溶液3.50gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.2になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃に昇温し、65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は微量のゲル状の不溶物を含む無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物V)を得た。
この組成物Vをスピンコート法により18mm角(厚さ0.7mm)のガラス基板(コーニング社製、EagleXGR)表面上に塗布した。窒素雰囲気下、室温において、前記溶液50μlを前記ガラス基板に滴下し、回転数1000rpmで20秒間基板を回転させて溶液をガラス基板全体に塗布し、室温で乾燥の後、基板を所定の各温度で2分加熱することで溶媒を乾燥させると同時に膜を形成させた。
この膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、アルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得らえた膜はいずれも透過率が高く透明であり、各温度における加熱で得られた膜の550nmにおける垂直透過率は表6の値を得た。また、130℃で加熱した膜の膜厚を触針式表面形状測定器で測定したところ、178nmであった。
[実施例33]
実施例32において、塗布成膜の操作を3回繰り返し、300℃において同様に膜を得た。300℃において加熱して得られたアルミニウム酸化物膜の550nmにおける垂直透過率は85%の値を得た。
[実施例34]
テトラヒドロフラン(THF)20.0gに、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)1.05g を室温(25℃)で加えた。十分攪拌して得られたTEAL/THF溶液に、発熱に注意しながら、水0.20gを含有したTHF溶液1.66gを、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.2になるように撹拌しながら滴下した。その後、65℃に昇温し、65℃で2.5時間反応させた。反応終了後、放冷して反応生成物を回収した。反応後の生成物は微量のゲル状の不溶物を含む無色透明溶液であった。この生成物中に含まれる微量のゲル状の不溶物をフィルター(細孔:3μm以下)でろ過を行い、無色透明溶液を回収した。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物W)を得た。
この組成物Wを用いて、実施例33と同様の手法でガラス基板に塗布成膜を行い、表7の結果を得た。また、130℃で加熱した膜の膜厚を触針式表面形状測定器で測定したところ、146nmであった。
[実施例35]
実施例34において、塗布成膜の操作を3回繰り返し、300℃において同様に膜を得た。300℃において加熱して得られたアルミニウム酸化物膜の550nmにおける垂直透過率は92%の値を得た。
[実施例36]
実施例7で得られた、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.06になるようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物D)を用いて、アルミニウム酸化物膜を成膜する基材として、ポリプロピレン(PP)フィルム(30mm角(厚さ0.2mm))を用い、窒素雰囲気下、室温で前記溶液200μlを前記フィルムに滴下し、回転数500rpmで20秒間基板を回転させて溶液をフィルム全体に塗布し、溶媒の乾燥の後、基板を50、100および130℃の各温度で2分加熱することで溶媒を乾燥させると同時に膜を形成させた。
これらの膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物D中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。各温度において得らえた膜はいずれも透明であった。
各温度での加熱で得られた膜の密着性について、12mm幅のセロファンテープを用いて、剥がし試験により確認を行った。アルミニウム酸化物膜を成膜した前記ポリプロピレン(PP)フィルムの成膜面にセロファンテープを押し付けて貼り、斜め45°に引き剥がした。引き剥がした後を目視、ATR−IRおよびSEM測定で確認したところ、いずれも強い膜の剥がれは確認されず、130℃以下といった低温での熱処理においても、本組成物によって成膜した膜の密着性が高いことを確認した。これらの中でも特に130℃で成膜したものの膜の密着性は良好であった。
[実施例37]
実施例21で得られた組成物O、実施例26で得られた組成物P、実施例27で得られた組成物Q、実施例28で得られた組成物R、実施例30で得られた組成物T、実施例31で得られた組成物U(組成物O、P、Q、R、TおよびUは、いずれも水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.0)の各トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物をそれぞれ用いて、実施例36と同様の手法でスピンコートにより膜を塗布成膜し、溶媒の乾燥の後、50、100、130℃の各温度で2分間加熱して、ポリプロピレン(PP)フィルム(30mm角(厚さ0.2mm))上に膜を形成した。
これらの膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、各組成物中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。
[実施例38]
実施例7で得られた組成物D(水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.06)、実施例9で得られた組成物E(同(水/TEAL)が0.4)、実施例10で得られた組成物F(同(水/TEAL)が0.6)、実施例11で得られた組成物G(同(水/TEAL)が0.8)、実施例12で得られた組成物H(同(水/TEAL)が1.17)、実施例13で得られた組成物I(同(水/TEAL)が1.25)の各トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物をそれぞれ用いて、実施例36と同様の手法でスピンコートにより膜を塗布成膜し、溶媒の乾燥の後、50、100、130℃の各温度で2分間加熱して、ポリプロピレン(PP)フィルム(30mm角(厚さ0.2mm))上に膜を形成した。
これらの膜のついたポリプロピレン(PP)フィルムを大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、各組成物中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。各温度において得らえた膜はいずれも透明であった。
さらに、得られた膜の密着性について、実施例7のクロスカット試験で使用したスコッチテープ(R)2364(3M社製)を用いて、剥がし試験により確認を行った。アルミニウム酸化物膜を成膜した前記ポリプロピレン(PP)フィルムの成膜面にテープを押し付けて貼り、斜め45°に引き剥がした。引き剥がした後を目視、ATR−IRおよびSEM測定で確認したところ、強い膜の剥がれは確認されず、本組成物によって成膜した膜の密着性が高いことを確認した。これら得られた膜において組成物D(水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.06)、組成物G(同(水/TEAL)が0.8)、組成物H(同(水/TEAL)が1.17)、組成物I(同(水/TEAL)が1.25)を用いて塗布を行い、100℃以上での加熱により得られた膜がポリプロピレン(PP)フィルムへの密着性が良好であった。組成物H(同(水/TEAL)が1.17)を用いて100℃でPPフィルム上に成膜したアルミニウム酸化物膜について剥がし試験を行った前後のアルミニウム酸化物膜のそれぞれのATR−IRスペクトルを図17、18に示す(図17:剥がし試験実施前、図18:同実施後)。
[比較例6]
実施例1において、テトラヒドロフラン(THF)の使用量を108.45g、トリエチルアルミニウム(TEAL:東ソー・ファインケム株式会社製)の使用量を15.13g、水1.08gを含有したTHF溶液36.6gの代わりに水0.48gを含有したTHF溶液48.8gとし、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.2になるように滴下すること以外は、実施例1と同様の手法を用いて反応を行い、無色透明溶液を得た。薬液の反応性について、濾紙上での反応性を目視で確認したところ、濾紙の焦げ等は確認されなかった。
このようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物3)を得た。
この、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.2になるようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物3)を用い、アルミニウム酸化物膜を成膜する基材として、ポリプロピレン(PP)フィルム(30mm角(厚さ0.2mm))を用いて、実施例1と同様の操作を行い、スピンコート成膜により、アルミニウム酸化物膜の成膜を行った。このとき組成物3の塗布および溶媒の乾燥後、フィルムは130℃の各温度で2分間加熱した。これらの各温度で加熱して得られた膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、図19のスペクトルを得た。図19より明らかなように、実施例38の図17と比較して、アルミニウム酸化物のピークに対してPP基板由来のピークが大きく、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.2になるようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物3)を用いた成膜で得られるアルミニウム酸化物の膜は、本発明の組成物を用いた成膜で得られる膜に比べて薄くなることが確認された。
さらに、得られた膜の密着性について、実施例7のクロスカット試験で使用したスコッチテープ(R)2364(3M社製)を用いて、剥がし試験を行い、ATR−IRおよびSEM測定で分析した。組成物3を用いて100℃でPPフィルム上に成膜したアルミニウム酸化物膜について剥がし試験を行った後のアルミニウム酸化物膜のATR−IRスペクトルを図20に示す。図20のスペクトルはアルミミウム酸化物のピークが減少していることから、成膜時の酸化物の付着が少ないだけでなく、膜も剥がれ易いことを確認した。
このように、本比較例で使用した水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.2になるようにトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物は、実施例38で使用した水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.4〜1.25で得られた組成物に比べて、膜の成膜性・密着性が劣っていることを確認した。
[比較例7]
アルミニウムトリイソプロポキシド18.38gにイソプロパノール90mlを加え、水1.62gを用いてアルミニウムトリイソプロポキシドに対するモル比が1になるように撹拌しながら室温で滴下した。その後、80℃に昇温し、80℃で3時間反応させた。反応終了後、冷却して内容物を回収したが、アルミニウムトリイソプロポキシドのほとんどが未反応物として回収された。
[比較例8]
水109.25gを72℃に加熱し、アルミニウムトリイソプロポキシド41.8gを撹拌しながら加えた。85℃で4時間加熱し、その後、室温まで放冷した。溶液はゲル状であり、撹拌が困難であった。さらに60重量%硝酸を1.89g加えたところ白っぽいゲル状の物質を得た。この溶液を91℃で3時間加熱した。その後、室温まで放冷しゲル状の物質を得た。このゲル状物質の液中の分散が悪いため、水200gを加えて希釈し、乳白色に濁った半透明の液体とし、これを回収した(組成物4)。
アルミニウム酸化物膜を成膜する基材として、ポリプロピレン(PP)フィルム(30mm角(厚さ0.2mm))を用い、組成物4を用いて、実施例1と同様の操作を行い、スピンコート成膜により、アルミニウム酸化物膜の成膜を行った。このとき組成物4の塗布および溶媒の乾燥後、フィルムは130℃で2分間加熱した。組成物4はフィルム表面にほとんど残らず、膜の形成が出来なかった。ディップコートによる成膜も同様に試みたが、スピンコートと同様に膜の形成が出来なかった。さらに、組成物4をポリプロピレン(PP)フィルム上に出来るだけ広げた後、60℃で加熱してアルミニウム酸化物膜の形成を試みたが、透明の膜状物質が断片的に形成されたものの、すべてフィルムから剥がれてしまった。
実施例38、比較例2および6で得た各組成物を用いて、PPフィルムへスピンコート成膜して得られたの膜の密着性評価について表8および表9に結果を示す。
[実施例39]
実施例13において、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.27または1.29とになるように水/THF溶液を追加滴下したところ白色の不溶物が発生した(溶液中に占める固形物の体積で10%以下)。溶液を室温(20〜25℃)で3日放置後の組成物の外観を観察したところ、水/THF溶液を追加添加した際に発生した白色の不溶物の増加はほとんどなく、これらの不溶物を除去することでトリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含む均一な溶液としてアルミニウム酸化物膜製造用組成物を得ることが出来た(組成物X(水/TEAL=1.27)および組成物Y(水/TEAL=1.29)。これらの組成物は、本発明の実施例記載のスピンコート成膜やディップコート成膜により、ガラスや樹脂などの基材に塗布し、さらに加熱を行うことでアルミニウム酸化物膜を形成出来た。実施例9〜13で得た、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が0.4〜1.25でそれぞれ、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物についても、溶液を室温(20〜25℃)で3日放置後の組成物の外観を目視で観察したところ、溶液に変化は見られなかった。
[比較例9]
実施例13において、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.31、1.33または1.35とになるように水/THF溶液を追加滴下したところ、白色の不溶物が大量に発生した(溶液中に占める体積で15%以上)。溶液を3日放置後の組成物の外観を観察したところ、溶液全体がゲル状化し、均一溶液部分がほとんどなく、溶液としての流動性がほとんどなくなった。このように水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が多い場合には、均一な溶液として組成物を得ることが出来なくなり、塗布剤としての使用が困難となった。
実施例39および比較例9において各水/TEAL(モル比)でのTEALの部分加水分解で得た反応生成物の外観と不溶物であるゲルの発生状況(調製直後および3日放置後)について表10および表11に結果を示す。
[実施例40]
実施例7で得られた、水のTEALに対するモル比(水/TEAL)が1.06になるようにして、トリエチルアルミニウムを部分的に加水分解した生成物を含むアルミニウム酸化物膜製造用組成物(組成物D)を用いて、アルミニウム酸化物膜を成膜する基材として紙(薬包紙:(20mm角(厚さ31μm))を用いて、ディップコート法によって塗布を行った。窒素雰囲気下、紙を組成物Dに1秒間浸漬し紙を引き上げた後、紙に溜まった液を切り落とした。溶媒を室温乾燥後、200℃で2分間加熱し、紙に膜を成膜した。
得られた膜のついた紙を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物D中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得らえた膜をSEM分析を行ったところ、図21が得られ、紙の繊維の表面をアルミニウム酸化物がコートされていることが確認された。
[実施例41]
実施例40において、アルミニウム酸化物膜を成膜する基材として紙(薬包紙:(20mm角(厚さ31μm))の代わりにを18mm角(厚さ0.7mm)のガラス基板(コーニング社製、EagleXG(R))を用いて、ディップコート法によって塗布を行った。窒素雰囲気下、ガラス基板を組成物Dに1秒間浸漬し、ガラス基板を引き上げた後、基板に溜まった液を切り落とした。溶媒を室温乾燥後、130℃で2分間加熱し、基板に膜を成膜した。この塗布・溶媒乾燥・加熱の一連の成膜操作時における窒素ガス雰囲気において、水分含有率は246〜304ppm(露点温度−32〜34℃)であった。
得られた膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物D中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認した。得らえたアルミニウム酸化物膜の外観は透明で均質であった。
[比較例10]
実施例41において、塗布・溶媒乾燥・加熱の一連の成膜操作時における窒素ガス雰囲気において、水分含有率を9312モルppm〜9778ppm(約1%)(露点温度−6〜−7℃)で行ったこと以外は実施例41と同様にして、ガラス基板に膜を成膜した。
得られた膜のついた基板を大気中に取り出して、得らえた膜をATR−IRにより分析を行い、組成物D中に含まれる溶媒やトリエチルアルミニウムの部分加水分解物に含まれるエチル基等の有機物由来のピークが確認されないことおよびアルミニウム酸化物膜の形成を確認したが、得らえたアルミニウム酸化物膜の一部が粉状となり、均質な膜として得ることが出来なかった。
[実施例42]
実施例1、2、3、4、5、15、32、33、34において得られたアルミニウム酸化物膜のついたいずれの基材も、550nmでの垂直透過率が80%以上と高く、光学材料として利用が可能である。また、ガラス基板に成膜したアルミニウム酸化物膜は、成膜後にさらに500℃で加熱を行っても変質が見られず、耐熱材料としての利用が可能である。これらの膜の表面抵抗値を測定したところ、抵抗値が得られず導電性がないことから、絶縁材料としての利用が可能である。実施例24のアルミニウム酸化物膜のついた基材は成膜で得らえた膜表面に微小な凹凸を有することが確認され、反射防止効果、触媒担体としての利用が可能である。実施例7、8、21、22、23、24、25、36、37、38、40において、本発明の組成物で成膜したアルミニウム酸化物膜はガラスや樹脂および紙等の基材への密着性が高いことから、各種基材の保護膜や塗装や積層膜の下地等、アンダーコート膜、基材に積層可能な電子デバイス用膜等の利用が可能である。このように、本発明のアルミニウム酸化物膜のついた基材は、アルミニウム酸化物機能膜としての利用が可能である。
[実施例43]
実施例1、2、3、4、5、6、15、24、32、33、34、35および39に記載のアルミニウム酸化物膜を有するガラス基板や、実施例7、8、21、22、23、25、36、37、38、39および40において得られたアルミニウム酸化物膜を有するポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリルといった樹脂の板およびフィルムや紙は、いずれも実施例42記載の機能を有するアルミニウム酸化物機能膜を有する基材として利用が可能である。
本発明は、アルミニウム酸化物膜の製造分野に有用である。
1・・・スプレーボトル、
2・・・基材ホルダ(ヒーター付)、
3・・・スプレーノズル、
4・・・コンプレッサ−、
5・・・基材、

Claims (19)

  1. (A)下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を有機溶媒中で部分的に加水分解して、前記有機アルミニウム化合物の部分加水分解物を含有する組成物を得る工程、但し、前記部分加水分解は、前記有機アルミニウム化合物に対するモル比が0.4〜1.3の範囲で水を用いて行う、
    (B)前記部分加水分解物含有組成物を不活性ガス雰囲気下で基材の少なくとも一部の表面に塗布して塗布膜を形成する工程、
    (C)前記塗布膜を形成した基材を不活性ガス雰囲気下、400℃以下の温度で加熱して、アルミニウム酸化物膜を形成する工程
    を含むアルミニウム酸化物膜を有する物品の製造方法。
    (式中、R1は水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、R2、R3は独立に、水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、アシルオキシ基、またはアセチルアセトナート基を表す。)
  2. 前記工程(B)および(C)で用いる不活性ガス雰囲気は、実質的に水分を含有しない、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(B)における前記部分加水分解物含有組成物の塗布を20〜350℃の範囲の温度で行う、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記工程(C)おける加熱温度は、40〜400℃の範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記工程(B)で得られた塗布基材を不活性ガス雰囲気下、20〜200℃の温度で加熱して、塗布膜中の少なくとも一部の有機溶媒を除去した後に、工程(C)に供してアルミニウム酸化物膜を形成する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記工程(A)において、前記有機アルミニウム化合物と水を混合した後に、混合物を30〜80℃の温度で加熱して部分加水分解物を含有する組成物を得る、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記工程(A)で調製した部分加水分解物含有組成物をろ過して不溶物を除去した後に、工程(B)に用いる、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記工程(B)での塗布膜形成は、スプレー塗布法、ディップコート法、スピンコート法、スリットコート法、スロットコート法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗布法、インクジェット法、またはスクリーン印刷法により実施する請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記工程(A)において部分加水分解物調製に用いる有機溶媒が、炭化水素化合物および/または電子供与性溶媒を含有する有機溶媒である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記工程(A)で調製した部分加水分解物含有組成物中の部分加水分解物の濃度が0.1〜30質量%の範囲である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記工程(A)で用いる前記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物は、式中のR1がメチル基またはエチル基である、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記工程(A)で用いる前記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物がトリエチルアルミニウムまたはトリエチルアルミニウムを含有する有機アルミニウム化合物の混合物である、請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記工程(B)で用いる前記基板がガラス製基板または樹脂製基板である、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物を有機溶媒中で部分的に加水分解して得られた、前記有機アルミニウム化合物の部分加水分解物を含有する組成物であって、
    (a)前記部分加水分解は、前記有機アルミニウム化合物に対するモル比が0.4〜1.3の範囲で水を用いて行われ、かつ
    (b)前記組成物は、膜塗布形成が不活性ガス雰囲気下で行われるアルミニウム酸化物膜の形成に用いるための物である、前記組成物。
    (式中、R1は水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、R2、R3は独立に、水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐したアルコキシル基、アシルオキシ基、またはアセチルアセトナート基を表す。)
  15. 前記不活性ガス雰囲気下で行われる膜塗布形成は、(b1)前記部分加水分解物含有組成物を不活性ガス雰囲気下で基材の少なくとも一部の表面に塗布して塗布膜を形成する工程、および
    (b2)前記塗布膜を形成した基材を不活性ガス雰囲気下、400℃以下の温度で加熱して、アルミニウム酸化物膜を形成する工程、を含む、請求項14に記載の組成物。
  16. 細孔径が3μm以下であるフィルターを用いてろ過した、不溶物を実質的に含有しない、請求項14または15に記載の組成物。
  17. 基材に密着した透明なアルミニウム酸化物膜を形成するための請求項14〜16のいずれかに記載の組成物。
  18. 請求項1〜13のいずれかに記載の方法、または請求項14〜17のいずれかに記載の組成物を用いて不活性ガス雰囲気下で製造した、アルミニウム酸化物膜を有する物品。
  19. 前記物品がアルミニウム酸化物膜を基材に付着した複合体またはアルミニウム酸化物膜とアルミニウム酸化物膜以外の層とを有する複合膜を基材に付着した複合体である請求項18に記載のアルミニウム酸化物膜を有する物品。
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