JP2016036327A - プロテアーゼ含有洗浄組成物及びプロテアーゼの安定化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放線菌由来の新規プロテアーゼの失活を抑制する安定化剤を見出し、前記プロテアーゼ及び安定化剤を含む新規酵素組成物、該酵素組成物を含有する新規プロテアーゼ含有洗浄組成物、これらの組成物を用いる新規洗浄方法、及び前記プロテアーゼの安定化方法を提供する
【解決手段】プロテアーゼ安定化剤として、スキムミルク又はカルシウムイオンを使用する。
【選択図】なし
【解決手段】プロテアーゼ安定化剤として、スキムミルク又はカルシウムイオンを使用する。
【選択図】なし
Description
本発明は、プロテアーゼ含有洗浄組成物、及びプロテアーゼの安定化方法に関する。
従来、医療器具の洗浄剤として、非イオン界面活性剤、プロテアーゼ、金属イオン封鎖剤及びベンゾトリアゾール等からなる洗浄剤組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、プロテアーゼ、ノニオン界面活性剤、酵素安定剤を含有する洗浄剤組成物も知られている(例えば、特許文献2参照)。
現状ではアルカリ洗浄剤が最も広く用いられているが、以下のような問題点が指摘されている。
1.アルミ製品を腐食し、また、ステンレス製品も黒色に変色してしまう。
2.洗浄過程で洗浄器を痛める可能性があり、また、配管を腐食する可能性がある。
3.人体や環境に対して危険である。
1.アルミ製品を腐食し、また、ステンレス製品も黒色に変色してしまう。
2.洗浄過程で洗浄器を痛める可能性があり、また、配管を腐食する可能性がある。
3.人体や環境に対して危険である。
このような問題点を解決するために、タンパク質を分解する能力が強く、特に血液等のタンパク質汚れに対して高い洗浄力を有する新規プロテアーゼ、該プロテアーゼ含有する洗浄剤、及びその製造方法が、既に特許出願されている(PCT/JP2013/000724)。本プロテアーゼは、高温域(50〜95℃)に活性を示し、通常の器具除染用洗浄器(washer disinfector; WD)等の殺菌・消毒工程の実施温度である93℃でも利用が可能である。
しかしながら、タンパク質であるプロテアーゼは、高温域では失活が早く、また、プロテアーゼであるため、酵素自体が自己消化を起こし、更に失活が促進される問題がある。
しかしながら、タンパク質であるプロテアーゼは、高温域では失活が早く、また、プロテアーゼであるため、酵素自体が自己消化を起こし、更に失活が促進される問題がある。
従って、本発明の課題は、前記プロテアーゼの失活を抑制する安定化剤を見出し、前記プロテアーゼ及び安定化剤を含む新規酵素組成物、該酵素組成物を含有する新規プロテアーゼ含有洗浄組成物、これらの組成物を用いる新規洗浄方法、及び前記プロテアーゼの安定化方法を提供することにある。
本発明は、
[1]下記ポリペプチド(a)〜(d):
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、並びに
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド
からなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼと、
スキムミルク及びカルシウムイオンからなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼ安定化剤と
を含む、酵素組成物、
[2]前記プロテアーゼが、
放線菌のアクチノマジュラ・エスピー(Actinomadura sp.)RD001933株(受託番号NITE BP−1467)を培養して得られたプロテアーゼ、
放線菌のアクチノマジュラ・マイアオリエンシス(Actinomadura miaoliensis)RD000920株(受託番号NITE BP−1468)を培養して得られたプロテアーゼ、並びに
放線菌のアクチノマジュラ・エスピー(Actinomadura sp.)RD001933株及び放線菌のアクチノマジュラ・マイアオリエンシス(Actinomadura miaoliensis)RD000920株を混合培養して得られたプロテアーゼ
からなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼである、[1]の酵素組成物、
[3]更に界面活性剤を含む、[2]又は[3]の酵素組成物、
[4][1]〜[3]のいずれかの酵素組成物を含む、プロテアーゼ含有洗浄組成物、
[5][1]〜[3]のいずれかの酵素組成物、又は、[4]のプロテアーゼ含有洗浄組成物を用いる、洗浄方法、
[6]下記ポリペプチド(a)〜(d):
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、並びに
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド
からなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼに、
スキムミルク及びカルシウムイオンからなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼ安定化剤を共存させる、前記プロテアーゼを安定化する方法
に関する。
[1]下記ポリペプチド(a)〜(d):
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、並びに
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド
からなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼと、
スキムミルク及びカルシウムイオンからなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼ安定化剤と
を含む、酵素組成物、
[2]前記プロテアーゼが、
放線菌のアクチノマジュラ・エスピー(Actinomadura sp.)RD001933株(受託番号NITE BP−1467)を培養して得られたプロテアーゼ、
放線菌のアクチノマジュラ・マイアオリエンシス(Actinomadura miaoliensis)RD000920株(受託番号NITE BP−1468)を培養して得られたプロテアーゼ、並びに
放線菌のアクチノマジュラ・エスピー(Actinomadura sp.)RD001933株及び放線菌のアクチノマジュラ・マイアオリエンシス(Actinomadura miaoliensis)RD000920株を混合培養して得られたプロテアーゼ
からなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼである、[1]の酵素組成物、
[3]更に界面活性剤を含む、[2]又は[3]の酵素組成物、
[4][1]〜[3]のいずれかの酵素組成物を含む、プロテアーゼ含有洗浄組成物、
[5][1]〜[3]のいずれかの酵素組成物、又は、[4]のプロテアーゼ含有洗浄組成物を用いる、洗浄方法、
[6]下記ポリペプチド(a)〜(d):
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、並びに
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド
からなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼに、
スキムミルク及びカルシウムイオンからなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼ安定化剤を共存させる、前記プロテアーゼを安定化する方法
に関する。
本発明によれば、血液等のタンパク質汚れに対して高い洗浄力を有する新規プロテアーゼの失活を抑制することができる。より具体的には、例えば、酵素組成物の保管時および洗浄組成物として保管した場合のプロテアーゼ活性の維持、洗浄時の反応温度(特に高温域)におけるプロテアーゼ分解抑制およびプロテアーゼ活性維持を行うことにより、前記プロテアーゼの安定化を達成することができる。
本発明では、プロテアーゼとして、例えば、
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)、
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する)
を用いることができる。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)、
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する)
を用いることができる。
配列番号2で表されるアミノ酸配列は、例えば、配列番号1で表される塩基配列(1161bp)によってコードされる配列であり、386残基のアミノ酸からなるプロテアーゼをコードする。配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1位〜26位のアミノ酸配列はシグナル配列であり、27位〜110位のアミノ酸配列はプロ配列であり、111位〜386位のアミノ酸配列は成熟型(活性型)の配列である。
配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチドとしては、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号2で表されるアミノ酸配列の27位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチドを挙げることができ、更には、配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、プロテアーゼ活性を低下させることのない配列、例えば、シグナル配列、検出用マーカー、精製用タグ配列(6残基からなるヒスチジン、GSTなどのポリペプチド)を付加したポリペプチドを挙げることができる。
プロテアーゼ活性は、タンパク質を分解する酵素活性を意味する。前記プロテアーゼ活性は、例えば、以下に示すアゾカゼイン法、又はカゼイン法により確認することができる。
アゾカゼイン法では、まず、トリス−塩酸緩衝液(pH7.5、終濃度80mM)198μLに3%アゾカゼイン(終濃度0.6%)50μLを混合させる。そして、酵素活性を確認する試料2μLを添加し、65℃で5分間又は10分間反応させる。酵素反応後、20%トリクロロ酢酸50μLを加えて反応を停止させる。反応停止後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定する。酵素量1U(ユニット)は、1μmol相当のアゾ色素を1分間に生成する量とする。
アゾカゼイン法では、まず、トリス−塩酸緩衝液(pH7.5、終濃度80mM)198μLに3%アゾカゼイン(終濃度0.6%)50μLを混合させる。そして、酵素活性を確認する試料2μLを添加し、65℃で5分間又は10分間反応させる。酵素反応後、20%トリクロロ酢酸50μLを加えて反応を停止させる。反応停止後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定する。酵素量1U(ユニット)は、1μmol相当のアゾ色素を1分間に生成する量とする。
カゼイン法では、トリス−塩酸緩衝液45μLに、酵素活性を確認する試料5μL、2%カゼイン溶液50μLを添加する。65℃で5分間反応させ、酵素反応後、35%トリクロロ酢酸25μLを加えて反応を停止させる。反応停止後、反応液を遠心分離して、上清20μLを取り、0.1N NaOH180μLを加えて、280nmの吸光度を測定する。
「相同ポリペプチド」は、「配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、プロテアーゼ活性を有するポリペプチド」であるが、該同一性が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上であるアミノ酸配列を含むポリペプチドが好ましい。
なお、本明細書における前記「同一性」とは、NEEDLE program(J Mol Biol 1970; 48: 443-453)検索によりデフォルトで用意されているパラメータを用いて得られた値Identityを意味する。前記のパラメータは以下のとおりである。
Gap penalty = 10
Extend penalty = 0.5
Matrix = EBLOSUM62
Gap penalty = 10
Extend penalty = 0.5
Matrix = EBLOSUM62
「機能的等価改変体」において置換、欠失、及び/又は挿入可能なアミノ酸数は、1〜数個であるが、好ましくは1〜10個、更に好ましくは1〜7個、最も好ましくは1〜5個である。
本発明において、ペプチドの機能を維持するために置換されるアミノ酸は、置換前のアミノ酸と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。例えば、以下に示すような各グループに属するアミノ酸は、そのグループ内で互いに似た性質を有するアミノ酸である。これらのアミノ酸をグループ内の他のアミノ酸に置換しても、タンパク質の本質的な機能は損なわれないことが多い。このようなアミノ酸の置換は、保存的置換と呼ばれ、ポリペプチドの機能を保持しつつアミノ酸配列を変換するための手法として公知である。
非極性アミノ酸:Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、及びTrp
中性アミノ酸:Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、及びGln
酸性アミノ酸:Asp及びGlu
塩基性アミノ酸:Lys、Arg、及びHis
非極性アミノ酸:Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、及びTrp
中性アミノ酸:Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、及びGln
酸性アミノ酸:Asp及びGlu
塩基性アミノ酸:Lys、Arg、及びHis
本発明で用いることのできる、配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチドは、例えば、放線菌のアクチノマジュラ・エスピー(Actinomadura sp.)RD001933株(受託番号NITE BP−1467)、アクチノマジュラ・マイアオリエンシス(Actinomadura miaoliensis)RD000920株(受託番号NITE BP−1468)を培養することにより調製することができる。これらの微生物は、それぞれ、単独で培養することもできるし、あるいは、混合培養することもできる。
また、本発明で用いることのできるポリペプチド、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、あるいは、配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、遺伝子組み換え技術を利用して調製することもできる。例えば、配列番号1で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドを適当な発現ベクターに組み込み、この発明ベクターを用いて適当な宿主を形質転換し、得られた形質転換体を培養することにより、所望のポリペプチドを調製することができる。
本発明では、これらの培養で得られた培養液から菌体を除去した培養上清を、そのままプロテアーゼ含有画分として用いることもできるし、あるいは、前記培養上清を出発材料として、各種のタンパク質精製方法により得られる粗精製画分または精製酵素を、プロテアーゼとして用いることもできる。
本発明では、プロテアーゼ安定化剤として、スキムミルク又はカルシウムイオン(Ca2+)を使用する。これらのプロテアーゼ安定化剤は、いずれか一方を単独で、あるいは、両方を併用することができる。
本発明では、前記安定化剤を添加することにより、例えば、酵素組成物の保管時および洗浄組成物として保管した場合のプロテアーゼ活性の維持、洗浄時の反応温度(特に高温域)におけるプロテアーゼ分解抑制およびプロテアーゼ活性維持を達成することができる。
本発明では、前記安定化剤を添加することにより、例えば、酵素組成物の保管時および洗浄組成物として保管した場合のプロテアーゼ活性の維持、洗浄時の反応温度(特に高温域)におけるプロテアーゼ分解抑制およびプロテアーゼ活性維持を達成することができる。
プロテアーゼ安定化剤としてスキムミルクを使用する場合、反応系での最終濃度として、例えば、0.04〜4%(W/V)、好ましくは0.04〜1.2%(W/V)、更に好ましくは0.5〜1.2%(W/V)で添加することができる。また、酵素組成物または洗浄組成物として、例えば、0.04〜5%(W/V)、好ましくは0.04〜4%(W/V)、更に好ましくは0.5〜3%(W/V)の濃度で含有することができる。
プロテアーゼ安定化剤としてカルシウムイオンを使用する場合、反応系での最終濃度として、例えば、0.01〜5mM、好ましくは0.05〜1mM、更に好ましくは0.1〜0.3mMで添加することができる。また、酵素組成物または洗浄組成物として、例えば、0.01〜200mM、好ましくは0.05〜50mM、更に好ましくは0.1〜30mMの濃度で含有することができる。
本発明では、前記安定化剤に加え、通常の洗浄組成物に添加することのできる任意の添加剤を含有させることができる。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、緩衝剤、防腐剤、防錆剤、色素、キレート化剤、泡調整剤、香料、脱塩素剤、抗菌剤、粘度調整剤を挙げることができる。
前記界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤を用いることができる。
非イオン界面活性剤として、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル[例えば、ポリエチレングリコール モノ−パラ−イソ−オクチルフェニルエステル(Triton X−100)]、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル[例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート(Tween20)]、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、又はアルキルアルカノールアミド等を挙げることができる。
陰イオン性界面活性剤として、具体的には、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩[例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)]、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、又はアルキルスルホコハク酸塩等を挙げることができる。
陽イオン性界面活性剤として、具体的には、例えば、アルキルアミン塩、又は第4級アンモニウム塩[例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)]等を挙げることができる。
両性界面活性剤として、具体的には、例えば、アルキルベタイン、アミンオキサイド、又はジメチルアンモニオプロパンスルホン酸等を挙げることができる。
前記添加剤として界面活性剤を添加する場合には、例えば、Triton X−100、Tween20、SDS、CTABを用いることが好ましい。これらの界面活性剤は、本来の洗浄効果を有するだけでなく、本発明で用いるプロテアーゼの酵素活性を上昇させる効果を有することを確認している。
また、キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いることができ、EDTAも、本発明で用いるプロテアーゼの酵素活性を上昇させる効果を有することを確認している。
また、キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いることができ、EDTAも、本発明で用いるプロテアーゼの酵素活性を上昇させる効果を有することを確認している。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:プロテアーゼ(RD001933株)の精製、酵素学的性質の評価、及び配列決定》
(1)微生物(RD001933株)の単独培養
菌体として、放線菌のアクチノマジュラ(Actinomadura sp.)属に属するRD001933株(受託番号:NITE BP−1467)を使用した。
まず、ISP2培地(酵母エキス0.6%、麦芽エキス1.4%、グルコース0.6%)490mLを調製し、500mL容三角フラスコに70mLずつ分注した。これにスプリングコイルを1個入れ、121℃で20分間蒸気殺菌を行った。さらに別滅菌した2.5%スキムミルク30mLを添加して終濃度を0.75%とした。
そして、グリセロールストックの菌体を50μLとり、ISP2培地5mLを入れたφ18試験管(18×180mm)に植菌し、45℃で良好な生育が得られるまで振とう培養した。この培養液を先の滅菌した培地100mLに1mLずつ植菌し、45℃で96時間程度振とう培養した。遠心分離機を用いて、この培養液から上清を回収した。
(1)微生物(RD001933株)の単独培養
菌体として、放線菌のアクチノマジュラ(Actinomadura sp.)属に属するRD001933株(受託番号:NITE BP−1467)を使用した。
まず、ISP2培地(酵母エキス0.6%、麦芽エキス1.4%、グルコース0.6%)490mLを調製し、500mL容三角フラスコに70mLずつ分注した。これにスプリングコイルを1個入れ、121℃で20分間蒸気殺菌を行った。さらに別滅菌した2.5%スキムミルク30mLを添加して終濃度を0.75%とした。
そして、グリセロールストックの菌体を50μLとり、ISP2培地5mLを入れたφ18試験管(18×180mm)に植菌し、45℃で良好な生育が得られるまで振とう培養した。この培養液を先の滅菌した培地100mLに1mLずつ植菌し、45℃で96時間程度振とう培養した。遠心分離機を用いて、この培養液から上清を回収した。
(2)プロテアーゼの精製
(a)アセトン沈殿及び硫安分画
上記(1)で回収した培養上清に、60%(v/v)以上となるようにアセトンを添加し、生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を、終濃度1Mの硫酸アンモニウムを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)15mLで溶解し、粗酵素液を得た。
(a)アセトン沈殿及び硫安分画
上記(1)で回収した培養上清に、60%(v/v)以上となるようにアセトンを添加し、生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を、終濃度1Mの硫酸アンモニウムを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)15mLで溶解し、粗酵素液を得た。
(b)Toyopearl Phenyl−650Mカラムクロマトグラフィー
上記(a)で得られた粗酵素液を、1M硫酸アンモニウムを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)であらかじめ平衡化したToyopearl Phenyl−650Mカラム(内径26mm、高さ38mm、東ソー株式会社製)にアプライした。同緩衝液でカラムを洗浄した後、硫酸アンモニウム(1Mから0Mまで)のリニアグラジェントにより、タンパク質を溶出させた。
上記(a)で得られた粗酵素液を、1M硫酸アンモニウムを含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)であらかじめ平衡化したToyopearl Phenyl−650Mカラム(内径26mm、高さ38mm、東ソー株式会社製)にアプライした。同緩衝液でカラムを洗浄した後、硫酸アンモニウム(1Mから0Mまで)のリニアグラジェントにより、タンパク質を溶出させた。
(c)HiTrap Q HPカラムクロマトグラフィー
上記(b)で得られた活性画分を集め、20mM トリス−塩酸緩衝液(pH9.0)を用いて透析を行うことによって脱塩した。20mM トリス−塩酸緩衝液(pH9.0)であらかじめ平衡化したHiTrap Q HP(5mL)カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)にアプライし、同緩衝液でカラムを洗浄した後、塩化ナトリウム(0Mから1Mまで)のリニアグラジェントにより、タンパク質を溶出させた。
上記(b)で得られた活性画分を集め、20mM トリス−塩酸緩衝液(pH9.0)を用いて透析を行うことによって脱塩した。20mM トリス−塩酸緩衝液(pH9.0)であらかじめ平衡化したHiTrap Q HP(5mL)カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)にアプライし、同緩衝液でカラムを洗浄した後、塩化ナトリウム(0Mから1Mまで)のリニアグラジェントにより、タンパク質を溶出させた。
(d)HiTrap SP HPカラムクロマトグラフィー
上記(c)で得られた活性画分を集め、20mM MES−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.5)を用いて透析を行うことによって脱塩した。これを20mM MES−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.5)であらかじめ平衡化したHiTrap SP(1mL)カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)にアプライし、同緩衝液でカラムを洗浄した後、塩化ナトリウム(0Mから1Mまで)のリニアグラジェントにより、タンパク質を溶出させた。
上記(c)で得られた活性画分を集め、20mM MES−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.5)を用いて透析を行うことによって脱塩した。これを20mM MES−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.5)であらかじめ平衡化したHiTrap SP(1mL)カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)にアプライし、同緩衝液でカラムを洗浄した後、塩化ナトリウム(0Mから1Mまで)のリニアグラジェントにより、タンパク質を溶出させた。
以上のようにして、放線菌のアクチノマジュラ(Actinomadura sp.)属に属するRD001933株より、精製酵素を得た。
なお、プロテアーゼの酵素活性は、次のようにして測定した。まず表1に示す反応液を65℃、pH7.5で5分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定した。酵素量1U(ユニット)は、1μmol相当のアゾ色素を1分間に生成する量とした。以下、アゾカゼインを用いた活性測定をアゾカゼイン法と称することがある。
なお、プロテアーゼの酵素活性は、次のようにして測定した。まず表1に示す反応液を65℃、pH7.5で5分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定した。酵素量1U(ユニット)は、1μmol相当のアゾ色素を1分間に生成する量とした。以下、アゾカゼインを用いた活性測定をアゾカゼイン法と称することがある。
上記(d)で溶出した活性画分を集めてSDS−PAGE(12%(w/v)ポリアクリルアミドゲル)により分子量を解析した。活性画分において、単一のバンドが観察され、精製酵素(ポリペプチド)の分子量は約31kDaであった。
(3)精製プロテアーゼの酵素学的性質の検討
RD001933株由来プロテアーゼ(精製酵素)の酵素学的性質について検討した。
RD001933株由来プロテアーゼ(精製酵素)の酵素学的性質について検討した。
(a)作用温度
表1に示す反応液を各温度、pH7.5で5分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定することによって酵素活性を求めた。
図1は、種々の反応温度での酵素活性を、比活性で示したグラフである。図1のグラフに示されるように、RD001933株由来プロテアーゼ(精製酵素)は、50〜90℃で活性を発揮し、そして反応の至適温度は60〜80℃の範囲内であり、好ましくは70〜75℃付近であった。
表1に示す反応液を各温度、pH7.5で5分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定することによって酵素活性を求めた。
図1は、種々の反応温度での酵素活性を、比活性で示したグラフである。図1のグラフに示されるように、RD001933株由来プロテアーゼ(精製酵素)は、50〜90℃で活性を発揮し、そして反応の至適温度は60〜80℃の範囲内であり、好ましくは70〜75℃付近であった。
(b)作用pH
表2に示す反応液を各pH、75℃で5分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定することによって酵素活性を求めた。
使用した緩衝液は次のとおりである。
MES−水酸化ナトリウム緩衝液:pH5.5、pH6
Bis−Tris緩衝液:pH6、pH6.5、pH7.2
Tris−HCl緩衝液:pH7.2、pH8、pH8.8
Glycine−NaOH緩衝液:pH9、pH9.5
表2に示す反応液を各pH、75℃で5分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定することによって酵素活性を求めた。
使用した緩衝液は次のとおりである。
MES−水酸化ナトリウム緩衝液:pH5.5、pH6
Bis−Tris緩衝液:pH6、pH6.5、pH7.2
Tris−HCl緩衝液:pH7.2、pH8、pH8.8
Glycine−NaOH緩衝液:pH9、pH9.5
図2は、種々の反応pHでの酵素活性を、比活性で示したグラフである。図2のグラフから分かるように、RD001933株由来プロテアーゼ(精製酵素)は、pH5.5〜9.0という広い範囲で活性を発揮し、そして、反応の至適pHは7.2付近(例えばpH6.0〜8.8)であった。
(4)プロテアーゼ遺伝子の塩基配列決定
上記のRD001933株由来プロテアーゼ(精製酵素)について、N末端アミノ酸配列解析、及びトリプシン消化により得られたペプチドサンプルの内部アミノ酸配列解析を行い、それらの情報に基づいて、PCR法で遺伝子をクローニングし、塩基配列決定を行ったところ、配列番号1で表される塩基配列(1161bp)を取得した。配列番号2で表されるアミノ酸配列は、この配列(配列番号1)のコドンに対応するアミノ酸配列である。
配列解析の結果から、RD001933株由来プロテアーゼをコードする遺伝子は1161bpのヌクレオチドからなり、386残基のアミノ酸をコードしていることが明らかとなった。配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1位〜26位のアミノ酸配列はシグナル配列であり、27位〜110位のアミノ酸配列はプロ配列であり、111位〜386位のアミノ酸配列は成熟型(活性型)の配列である。
上記のRD001933株由来プロテアーゼ(精製酵素)について、N末端アミノ酸配列解析、及びトリプシン消化により得られたペプチドサンプルの内部アミノ酸配列解析を行い、それらの情報に基づいて、PCR法で遺伝子をクローニングし、塩基配列決定を行ったところ、配列番号1で表される塩基配列(1161bp)を取得した。配列番号2で表されるアミノ酸配列は、この配列(配列番号1)のコドンに対応するアミノ酸配列である。
配列解析の結果から、RD001933株由来プロテアーゼをコードする遺伝子は1161bpのヌクレオチドからなり、386残基のアミノ酸をコードしていることが明らかとなった。配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1位〜26位のアミノ酸配列はシグナル配列であり、27位〜110位のアミノ酸配列はプロ配列であり、111位〜386位のアミノ酸配列は成熟型(活性型)の配列である。
《実施例2:プロテアーゼ(RD000920株)の精製、酵素学的性質の評価、及び配列決定》
(1)微生物の培養とプロテアーゼの精製
菌体として、放線菌のアクチノマジュラ(Actinomadura miaoliensis)属に属するRD000920株(受託番号:NITE BP−1468)を使用したこと以外は、実施例1(1)及び実施例1(2)に記載の手順を繰り返し、RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)を得た。
(1)微生物の培養とプロテアーゼの精製
菌体として、放線菌のアクチノマジュラ(Actinomadura miaoliensis)属に属するRD000920株(受託番号:NITE BP−1468)を使用したこと以外は、実施例1(1)及び実施例1(2)に記載の手順を繰り返し、RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)を得た。
SDS−PAGE(12%(w/v)ポリアクリルアミドゲル)により分子量を解析したところ、活性画分において、単一のバンドが観察され、精製酵素(ポリペプチド)の分子量は約31kDaであった。
また、実施例1(4)と同様の方法で、塩基配列を決定したところ、配列番号1で表される塩基配列とほぼ100%一致し、また、配列番号2で表されるアミノ酸配列とは100%一致した。
また、実施例1(4)と同様の方法で、塩基配列を決定したところ、配列番号1で表される塩基配列とほぼ100%一致し、また、配列番号2で表されるアミノ酸配列とは100%一致した。
(2)精製プロテアーゼの酵素学的性質の検討
実施例1(3)に記載の手順により、RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)の酵素学的性質について検討した。
作用温度および作用pHに関する結果を、図1及び図2に示す。
実施例1(3)に記載の手順により、RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)の酵素学的性質について検討した。
作用温度および作用pHに関する結果を、図1及び図2に示す。
(a)作用温度
RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)は、50〜90℃で活性を発揮し、そして反応の至適温度は60〜80℃の範囲内であり、好ましくは70〜75℃付近であった。
RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)は、50〜90℃で活性を発揮し、そして反応の至適温度は60〜80℃の範囲内であり、好ましくは70〜75℃付近であった。
(b)作用pH
RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)は、pH5.5〜9.0という広い範囲で活性を発揮し、そして、反応の至適pHは7.2付近(例えばpH6.0〜8.8)であった。
RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)は、pH5.5〜9.0という広い範囲で活性を発揮し、そして、反応の至適pHは7.2付近(例えばpH6.0〜8.8)であった。
《実施例3:プロテアーゼ(二株の混合培養)の精製および酵素学的性質の評価》
(1)微生物(RD001933株及びRD000920株)の混合培養
菌体として、放線菌のアクチノマジュラ(Actinomadura sp.)属に属するRD001933株(受託番号:NITE BP−1467)及び放線菌のアクチノマジュラ(Actinomadura miaoliensis)属に属するRD000920株(受託番号:NITE BP−1468)を使用した。
まず、ISP2培地(酵母エキス0.6%、麦芽エキス1.4%、グルコース0.6%)4.2Lを調製し、10L容卓上型培養装置(丸菱バイオエンジ製)に入れ、121℃で20分間蒸気殺菌を行った。さらに別滅菌した2.5%スキムミルク1.8Lを添加して終濃度を0.75%とした。
そして、グリセロールストックの菌体2種類を500μLとり、ISP2培地50mLを入れた500mL容三角フラスコにそれぞれ植菌し、45℃で良好な生育が得られるまで振とう培養した。先の滅菌した培地6Lにこの2種類の培養液を30mLずつ植菌し、45℃、500rpm、1vvmで1〜7日間培養した。培養開始時において2種類の培養液の比率は1:1であることが好ましいが、別段の定めはない。また、培養期間は、1〜7日間が好ましく、3〜5日間がさらに好ましい。遠心分離機を用いて、この培養液から上清を回収した。
(1)微生物(RD001933株及びRD000920株)の混合培養
菌体として、放線菌のアクチノマジュラ(Actinomadura sp.)属に属するRD001933株(受託番号:NITE BP−1467)及び放線菌のアクチノマジュラ(Actinomadura miaoliensis)属に属するRD000920株(受託番号:NITE BP−1468)を使用した。
まず、ISP2培地(酵母エキス0.6%、麦芽エキス1.4%、グルコース0.6%)4.2Lを調製し、10L容卓上型培養装置(丸菱バイオエンジ製)に入れ、121℃で20分間蒸気殺菌を行った。さらに別滅菌した2.5%スキムミルク1.8Lを添加して終濃度を0.75%とした。
そして、グリセロールストックの菌体2種類を500μLとり、ISP2培地50mLを入れた500mL容三角フラスコにそれぞれ植菌し、45℃で良好な生育が得られるまで振とう培養した。先の滅菌した培地6Lにこの2種類の培養液を30mLずつ植菌し、45℃、500rpm、1vvmで1〜7日間培養した。培養開始時において2種類の培養液の比率は1:1であることが好ましいが、別段の定めはない。また、培養期間は、1〜7日間が好ましく、3〜5日間がさらに好ましい。遠心分離機を用いて、この培養液から上清を回収した。
(2)プロテアーゼの精製
(a)アセトン沈殿
上記(1)で回収した培養上清に、40%、50%、60%、70%、80%(v/v)となるように−20℃アセトンを添加し、各濃度で生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)50mLで溶解し、粗酵素液を得た。表3に酵素の回収率を示す。
(a)アセトン沈殿
上記(1)で回収した培養上清に、40%、50%、60%、70%、80%(v/v)となるように−20℃アセトンを添加し、各濃度で生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)50mLで溶解し、粗酵素液を得た。表3に酵素の回収率を示す。
(b)エタノール沈殿
上記(1)で回収した培養上清に、40%、50%、60%、70%、80%(v/v)となるようにエタノールを添加し、各濃度で生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)50mLで溶解し、粗酵素液を得た。表3に酵素の回収率を示す。
上記(1)で回収した培養上清に、40%、50%、60%、70%、80%(v/v)となるようにエタノールを添加し、各濃度で生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)50mLで溶解し、粗酵素液を得た。表3に酵素の回収率を示す。
(c)硫安沈殿
上記(1)で回収した培養上清に、40%、50%、60%、70%、80%飽和量となるように硫酸アンモニウム粉末を添加し、各濃度で生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)50mLで溶解し、粗酵素液を得た。表3に酵素の回収率を示す。
上記(1)で回収した培養上清に、40%、50%、60%、70%、80%飽和量となるように硫酸アンモニウム粉末を添加し、各濃度で生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)50mLで溶解し、粗酵素液を得た。表3に酵素の回収率を示す。
(2)粗酵素液の酵素学的性質の検討
RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)の酵素学的性質について検討した。
RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)の酵素学的性質について検討した。
(a)作用温度
表2に示す反応液(酵素液は80%飽和硫安沈殿により得たもの)を各温度、pH7.5で10分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定することによって酵素活性を求めた。
表2に示す反応液(酵素液は80%飽和硫安沈殿により得たもの)を各温度、pH7.5で10分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定することによって酵素活性を求めた。
図3は、種々の反応温度での酵素活性を、反応温度が70℃である場合の活性を基準(100%)とする相対活性として示したグラフである。図3のグラフに示されるように、RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)は、55〜85℃で活性を発揮し、そして反応の至適温度は65〜80℃の範囲内であり、好ましくは70℃付近であった。
(b)作用pH
表3に示す反応液(酵素液は80%飽和硫安沈殿により得たもの)を各pH、65℃で10分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定することによって酵素活性を求めた。
使用した緩衝液は次のとおりである。
酢酸−酢酸Na緩衝液:pH5
Bis−Tris緩衝液:pH6
Tris−HCl緩衝液:pH7.2、pH8
Glycine−NaOH緩衝液:pH9
図4は、種々の反応pHでの酵素活性を、反応pHが8.0である場合の酵素活性を基準(100%)とする相対活性として示したグラフである。図4のグラフから分かるように、RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)は、pH5.0〜9.0という広い範囲で活性を発揮し、そして、反応の至適pHは7.5付近(例えばpH7.0〜8.0)であった。
表3に示す反応液(酵素液は80%飽和硫安沈殿により得たもの)を各pH、65℃で10分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定することによって酵素活性を求めた。
使用した緩衝液は次のとおりである。
酢酸−酢酸Na緩衝液:pH5
Bis−Tris緩衝液:pH6
Tris−HCl緩衝液:pH7.2、pH8
Glycine−NaOH緩衝液:pH9
図4は、種々の反応pHでの酵素活性を、反応pHが8.0である場合の酵素活性を基準(100%)とする相対活性として示したグラフである。図4のグラフから分かるように、RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)は、pH5.0〜9.0という広い範囲で活性を発揮し、そして、反応の至適pHは7.5付近(例えばpH7.0〜8.0)であった。
《実施例4:洗浄試験》
(1)滴下試験
プロテアーゼ含有洗浄剤として、RD001933株由来プロテアーゼ(精製酵素)、RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)、RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)をそれぞれ、疑似血液で汚染された試験片(洗浄評価インジケーター「TOSI−Gold」、(株)ニチオン)上に滴下し、所定時間ごとに疑似血液を拭き取って洗浄を行った。この洗浄は、65℃で各酵素量を5μL(濃度:約5U/mL)に調製して行った。試験片の洗浄結果は、次の基準で目視により判定した。その結果を表4に示す。
「◎」:完全に洗浄された状態
「○」:ほとんど洗浄されている状態
「△」:ごくわずかな残留物(疑似血液汚れ)がある状態
「×」:残留物(疑似血液汚れ)が残っている状態
(1)滴下試験
プロテアーゼ含有洗浄剤として、RD001933株由来プロテアーゼ(精製酵素)、RD000920株由来プロテアーゼ(精製酵素)、RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)をそれぞれ、疑似血液で汚染された試験片(洗浄評価インジケーター「TOSI−Gold」、(株)ニチオン)上に滴下し、所定時間ごとに疑似血液を拭き取って洗浄を行った。この洗浄は、65℃で各酵素量を5μL(濃度:約5U/mL)に調製して行った。試験片の洗浄結果は、次の基準で目視により判定した。その結果を表4に示す。
「◎」:完全に洗浄された状態
「○」:ほとんど洗浄されている状態
「△」:ごくわずかな残留物(疑似血液汚れ)がある状態
「×」:残留物(疑似血液汚れ)が残っている状態
(2)フラスコ試験
洗浄剤として、RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)、市販酵素ナットウキナーゼ(和光純薬工業(株)「147−08801」)、市販ストレプトキナーゼ(和光純薬工業(株)「593−20581」)、市販酵素ウロキナーゼ(田辺三菱製薬(株)「873954」)、市販衣類洗剤(花王(株)「アタックNeo」)、市販酵素サーモリシン(シグマ−アルドリッチ「P1512−1G」)を用いた。
上記の洗浄剤をそれぞれ200mL容フラスコに30mLずつ入れ、さらに試験片(N洗浄評価インジケーター「TOSI−Gold」、(株)ニチオン)を入れて浸漬させた。そして、表5に示す温度及び時間の条件で攪拌子により上記のフラスコ内を攪拌した。その後、上記の試験片を取り出して軽く水洗した後、上記と同じ基準で洗浄結果を判定した。その結果を表5に示す。
洗浄剤として、RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)、市販酵素ナットウキナーゼ(和光純薬工業(株)「147−08801」)、市販ストレプトキナーゼ(和光純薬工業(株)「593−20581」)、市販酵素ウロキナーゼ(田辺三菱製薬(株)「873954」)、市販衣類洗剤(花王(株)「アタックNeo」)、市販酵素サーモリシン(シグマ−アルドリッチ「P1512−1G」)を用いた。
上記の洗浄剤をそれぞれ200mL容フラスコに30mLずつ入れ、さらに試験片(N洗浄評価インジケーター「TOSI−Gold」、(株)ニチオン)を入れて浸漬させた。そして、表5に示す温度及び時間の条件で攪拌子により上記のフラスコ内を攪拌した。その後、上記の試験片を取り出して軽く水洗した後、上記と同じ基準で洗浄結果を判定した。その結果を表5に示す。
表5から明らかなように、RD001933株及びRD000920株由来プロテアーゼ(粗酵素)は最も洗浄効果が高いと考えられ、次いで市販酵素サーモリシンの洗浄効果が高いことが確認された。
《実施例5:スキムミルクの安定化効果の評価》
(1)粗酵素液として保管した場合の保存安定性
プロテアーゼを溶液として保管した場合のスキムミルクの添加効果を評価した。
実施例3(1)で培養液から回収した上清に、60%飽和量となるように硫酸アンモニウムを添加し、生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)で90倍に濃縮されるよう溶解し、粗酵素液を得た。得られた粗酵素液に、スキムミルクを0.04%(W/V)の濃度になるように添加した。保管は40℃で行い、スキムミルクの有無による保存安定性を評価した。なお、前記温度は、酵素の保存性試験における加速試験で用いられる温度であり、およそ6倍加速の指標となっている。また、スキムミルクを添加しないものについては、一般的な冷蔵温度である4℃での保管も行った。
(1)粗酵素液として保管した場合の保存安定性
プロテアーゼを溶液として保管した場合のスキムミルクの添加効果を評価した。
実施例3(1)で培養液から回収した上清に、60%飽和量となるように硫酸アンモニウムを添加し、生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)で90倍に濃縮されるよう溶解し、粗酵素液を得た。得られた粗酵素液に、スキムミルクを0.04%(W/V)の濃度になるように添加した。保管は40℃で行い、スキムミルクの有無による保存安定性を評価した。なお、前記温度は、酵素の保存性試験における加速試験で用いられる温度であり、およそ6倍加速の指標となっている。また、スキムミルクを添加しないものについては、一般的な冷蔵温度である4℃での保管も行った。
所定日数経過した後、各粗酵素の酵素活性を次のようにして測定した。まず表1に示す反応液(粗酵素液は水道水により200倍に希釈したもの)を65℃で10分間静置して反応させた後、20%トリクロロ酢酸を50μL加えて反応を停止させた。その後、反応液を遠心分離して上清の340nmの吸光度を測定した。初日の活性を基準(100%)とした。
結果を図5に示す。横軸は、保存性試験開始からの経過日数であり、縦軸は、試験開始時のプロテアーゼ活性(アゾカゼイン法による)を基準(100%)とする相対活性である。
スキムミルクを添加することにより、溶液での保存性が大幅に向上することが確認された。
結果を図5に示す。横軸は、保存性試験開始からの経過日数であり、縦軸は、試験開始時のプロテアーゼ活性(アゾカゼイン法による)を基準(100%)とする相対活性である。
スキムミルクを添加することにより、溶液での保存性が大幅に向上することが確認された。
(2)酵素反応の反応温度における安定性
本発明で用いるプロテアーゼは至適反応温度が高温域にあり、高温での洗浄が可能である。酵素反応の反応温度(温度:80℃)におけるスキムミルクの添加効果を評価した。
プロテアーゼ溶液として実施例5(2)と同様の方法で粗酵素液を得、20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で0.2mg/mLとなるように希釈し、スキムミルクを0.04%(W/V)の濃度になるように添加した。この所定濃度に希釈した粗酵素液(50μL)を80℃まで加温した後、所定時間(3分、5分、13分、20分)経過後に、以下の手順でプロテアーゼ活性を測定した。各試料(50μL)を65℃で3分間インキュベートした後、2%カゼイン溶液50μLを添加し、65℃で5分間インキュベートした。酵素反応後、35%トリクロロ酢酸25μLを加えて反応を停止させた後、反応液を遠心分離して、上清20μLを取り、0.1N NaOH180μLを加えて、280nmの吸光度を測定した(以下、カゼイン法と称することがある)。
本発明で用いるプロテアーゼは至適反応温度が高温域にあり、高温での洗浄が可能である。酵素反応の反応温度(温度:80℃)におけるスキムミルクの添加効果を評価した。
プロテアーゼ溶液として実施例5(2)と同様の方法で粗酵素液を得、20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で0.2mg/mLとなるように希釈し、スキムミルクを0.04%(W/V)の濃度になるように添加した。この所定濃度に希釈した粗酵素液(50μL)を80℃まで加温した後、所定時間(3分、5分、13分、20分)経過後に、以下の手順でプロテアーゼ活性を測定した。各試料(50μL)を65℃で3分間インキュベートした後、2%カゼイン溶液50μLを添加し、65℃で5分間インキュベートした。酵素反応後、35%トリクロロ酢酸25μLを加えて反応を停止させた後、反応液を遠心分離して、上清20μLを取り、0.1N NaOH180μLを加えて、280nmの吸光度を測定した(以下、カゼイン法と称することがある)。
結果を図6に示す。横軸は、80℃での放置時間であり、縦軸は、波長280nmの吸光度で示すプロテアーゼ活性(残存活性)である。
スキムミルクを添加することにより、スキムミルク無添加と比較して、酵素溶液としての活性が向上しており、高温での酵素安定性が向上することが確認された。
スキムミルクを添加することにより、スキムミルク無添加と比較して、酵素溶液としての活性が向上しており、高温での酵素安定性が向上することが確認された。
《実施例6:カルシウムイオンの安定化効果の評価》
(1)酵素反応の反応温度における安定性
添加剤としてカルシウムイオンを用いること、80℃の放置を5分、10分、20分、30分としたこと以外は、実施例5(2)の手順を繰り返した。なお、カルシウムイオンの添加濃度は2mMとした。
結果を図7に示す。横軸は、80℃での放置時間であり、縦軸は、試験開始時のプロテアーゼ活性(カゼイン法による)を基準(100%)とする相対活性である。
カルシウムイオンを添加することにより、カルシウムイオン無添加と比較して、酵素溶液としての活性が向上しており、高温での酵素安定性が向上することが確認された。
(1)酵素反応の反応温度における安定性
添加剤としてカルシウムイオンを用いること、80℃の放置を5分、10分、20分、30分としたこと以外は、実施例5(2)の手順を繰り返した。なお、カルシウムイオンの添加濃度は2mMとした。
結果を図7に示す。横軸は、80℃での放置時間であり、縦軸は、試験開始時のプロテアーゼ活性(カゼイン法による)を基準(100%)とする相対活性である。
カルシウムイオンを添加することにより、カルシウムイオン無添加と比較して、酵素溶液としての活性が向上しており、高温での酵素安定性が向上することが確認された。
(2)酵素反応の反応温度における安定性(カルシウムイオンの濃度の影響)
酵素安定化効果に対して、カルシウムイオンの濃度が与える影響を検討するために、80℃での放置時間を15分間とし、カルシウムイオンの濃度を変えて、実施例6(1)の手順を繰り返した。
結果を図8に示す。横軸は、カルシウムイオンの濃度であり、縦軸は、波長280nmの吸光度で示すプロテアーゼ活性(カゼイン法による)である。
カルシウムイオンは、低濃度でも、高い安定化効果を示すことが確認された。
酵素安定化効果に対して、カルシウムイオンの濃度が与える影響を検討するために、80℃での放置時間を15分間とし、カルシウムイオンの濃度を変えて、実施例6(1)の手順を繰り返した。
結果を図8に示す。横軸は、カルシウムイオンの濃度であり、縦軸は、波長280nmの吸光度で示すプロテアーゼ活性(カゼイン法による)である。
カルシウムイオンは、低濃度でも、高い安定化効果を示すことが確認された。
(3)酵素反応の反応温度における安定性(高温域での効果)
酵素安定化効果に関して、高温域での効果を検討するために、カルシウムイオンの添加濃度を2mMとし、所定温度(70℃、80℃、85℃、90℃、100℃)での放置時間を5分間又は15分間として、実施例6(1)の手順を繰り返した。
結果を図9に示す。横軸は、5分間又は15分間の放置を行うインキュベーション温度であり、縦軸は、所定温度にて放置する前のプロテアーゼ活性(カゼイン法による)を基準(100%)とする相対活性である。
図9に示すように、カルシウムイオンを添加しない場合、80℃15分間でも活性はほぼ消失し、90℃では5分間で活性がほぼ消失した。一方、カルシウムイオンを添加した場合、90℃5分間では、ほぼ100%の活性を保持しており、90℃15分間で35%程度まで消失することが確認された。特に100℃でも、5分間であればまだ30%の活性を保持することが確認された。
通常、器具除染用洗浄器(washer disinfector; WD)等の殺菌・消毒工程は93℃10分で行われることが多いが、本発明で用いるプロテアーゼにカルシウムイオンを添加することで、洗浄と殺菌・消毒とを同時に行うことができる。
酵素安定化効果に関して、高温域での効果を検討するために、カルシウムイオンの添加濃度を2mMとし、所定温度(70℃、80℃、85℃、90℃、100℃)での放置時間を5分間又は15分間として、実施例6(1)の手順を繰り返した。
結果を図9に示す。横軸は、5分間又は15分間の放置を行うインキュベーション温度であり、縦軸は、所定温度にて放置する前のプロテアーゼ活性(カゼイン法による)を基準(100%)とする相対活性である。
図9に示すように、カルシウムイオンを添加しない場合、80℃15分間でも活性はほぼ消失し、90℃では5分間で活性がほぼ消失した。一方、カルシウムイオンを添加した場合、90℃5分間では、ほぼ100%の活性を保持しており、90℃15分間で35%程度まで消失することが確認された。特に100℃でも、5分間であればまだ30%の活性を保持することが確認された。
通常、器具除染用洗浄器(washer disinfector; WD)等の殺菌・消毒工程は93℃10分で行われることが多いが、本発明で用いるプロテアーゼにカルシウムイオンを添加することで、洗浄と殺菌・消毒とを同時に行うことができる。
本発明は、洗浄剤、特に医療器具の洗浄剤として利用することができる。
放線菌アクチノマジュラ・エスピー(Actinomadura sp.)RD001933株は、2012年11月22日に独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に受託番号NITE P−1467として寄託され、2013年4月19日に国際寄託(受託番号NITE BP−1467)へ移管されている。
放線菌アクチノマジュラ・マイアオリエンシス(Actinomadura miaoliensis)RD000920株は、2012年11月22日に独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に受託番号NITE P−1468として寄託され、2013年4月19日に国際寄託(受託番号NITE BP−1468)へ移管されている。
放線菌アクチノマジュラ・マイアオリエンシス(Actinomadura miaoliensis)RD000920株は、2012年11月22日に独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に受託番号NITE P−1468として寄託され、2013年4月19日に国際寄託(受託番号NITE BP−1468)へ移管されている。
Claims (6)
- 下記ポリペプチド(a)〜(d):
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、並びに
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド
からなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼと、
スキムミルク及びカルシウムイオンからなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼ安定化剤と
を含む、酵素組成物。 - 前記プロテアーゼが、
放線菌のアクチノマジュラ・エスピー(Actinomadura sp.)RD001933株(受託番号NITE BP−1467)を培養して得られたプロテアーゼ、
放線菌のアクチノマジュラ・マイアオリエンシス(Actinomadura miaoliensis)RD000920株(受託番号NITE BP−1468)を培養して得られたプロテアーゼ、並びに
放線菌のアクチノマジュラ・エスピー(Actinomadura sp.)RD001933株及び放線菌のアクチノマジュラ・マイアオリエンシス(Actinomadura miaoliensis)RD000920株を混合培養して得られたプロテアーゼ
からなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼである、請求項1に記載の酵素組成物。 - 更に界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の酵素組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵素組成物を含む、プロテアーゼ含有洗浄組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵素組成物、又は、請求項4に記載のプロテアーゼ含有洗浄組成物を用いる、洗浄方法。
- 下記ポリペプチド(a)〜(d):
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド、並びに
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列の111位〜386位のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかもプロテアーゼ活性を有するポリペプチド
からなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼに、
スキムミルク及びカルシウムイオンからなる群から選んだ、少なくとも1つのプロテアーゼ安定化剤を共存させる、前記プロテアーゼを安定化する方法。
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---|---|---|---|---|
WO2019122308A1 (en) * | 2017-12-21 | 2019-06-27 | Carbios | Novel proteases and uses thereof |
CN112105730A (zh) * | 2018-03-07 | 2020-12-18 | 北极酶 As 公司 | 热不稳定蛋白酶 |
-
2014
- 2014-08-11 JP JP2014163916A patent/JP2016036327A/ja active Pending
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WO2019122308A1 (en) * | 2017-12-21 | 2019-06-27 | Carbios | Novel proteases and uses thereof |
CN111542603A (zh) * | 2017-12-21 | 2020-08-14 | 卡比奥斯公司 | 新型蛋白酶及其用途 |
JP2021508455A (ja) * | 2017-12-21 | 2021-03-11 | キャルビオスCarbios | 新規プロテアーゼ及びその使用 |
US11549105B2 (en) | 2017-12-21 | 2023-01-10 | Carbios | Proteases and uses thereof |
JP2023103426A (ja) * | 2017-12-21 | 2023-07-26 | キャルビオス | 新規プロテアーゼ及びその使用 |
CN111542603B (zh) * | 2017-12-21 | 2024-04-02 | 卡比奥斯公司 | 新型蛋白酶及其用途 |
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CN112105730A (zh) * | 2018-03-07 | 2020-12-18 | 北极酶 As 公司 | 热不稳定蛋白酶 |
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