JP2016035860A - プラズマ用活性酸素確認試薬、及びプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法 - Google Patents

プラズマ用活性酸素確認試薬、及びプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマにより発生する活性酸素の影響範囲を可視化する試薬、及び確認方法を提供する。
【解決手段】プラズマ処理装置1が処理対象とする被処理物101をプラズマ用活性酸素確認試薬Sが収容されたシャーレ104とすれば、プラズマ用活性酸素確認試薬Sの表面にプラズマジェット5を照射することができる。プラズマジェット5が発する活性酸素は、ゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤で構成されたプラズマ用活性酸素確認試薬Sによるヨウ素−でんぷん反応によって無色透明であったプラズマ用活性酸素確認試薬Sを青紫色に変色させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマにより発生する活性酸素の影響範囲の可視化のための試薬と確認方法に関する。
従来より、プラズマは研究開発分野における分析装置や電子部品産業における製造装置、医療等の分野で幅広く活用されている。特に、プラズマをプラズマジェットとして被対象物に照射することで殺菌や消毒、洗浄や活性化といった被対象物の表面改質の手段としての利用方法が普及している。
また、プラズマジェットの照射による効果の影響範囲を確認する方法としては、シャーレ内の寒天培地に成長させた酵母菌等の死滅領域を確認したり、プラズマジェットを照射した被対象物表面の接触角を測定すること等によって行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−135286号公報
しかしながら、上述した特許文献1に係る確認方法では、被対象物に直接的に作用して効果が得られる範囲しか確認できず、プラズマが発する活性酸素による影響範囲を確認することができない。
従って、被対象物の中に活性酸素を嫌う部分が存在しても、活性酸素の影響範囲が不明なため、プラズマジェットの照射領域を狭めたり、照射時間を短時間としたり、該部分を活性酸素が影響しないと思われる離れた位置に配置する等して対応するしかなかった。
この発明は、プラズマにより発生する活性酸素の影響範囲を可視化する試薬、及び確認方法を提供することにある。
以上のような目的を達成するために、本発明は以下のようなものを提供する。
請求項1に係る発明では、大気圧下で発生させたプラズマが発する活性酸素の影響範囲を変色により確認する試薬であって、試薬はゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤で構成したことを特徴とするプラズマ用活性酸素確認試薬を提供せんとする。
請求項2に係る発明では、大気圧下で発生させたプラズマが発する活性酸素の影響範囲を変色により確認することができるゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤の使用を提供せんとする。
請求項3に係る発明では、請求項1に記載の前記プラズマ用活性酸素確認試薬を用いたプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法を提供せんとする。
請求項4に係る発明では、前記プラズマ用活性酸素確認試薬の表面と深さ方向の両方への影響を確認可能な請求項3に記載のプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法を提供せんとする。
請求項5に係る発明では、前記プラズマ用活性酸素確認試薬の変色範囲を分光光度計により測定する請求項3または4に記載のプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法を提供せんとする。
請求項1記載の発明によれば、試薬をゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤で構成したことで、プラズマが発する活性酸素と反応した該剤の所定の領域を変色させ可視化することができる。
また、試薬をゲル状とすることで取扱いが容易となり、変色領域を維持したまま長時間の保存ができる。
また、試薬であるヨウ化カリウムでんぷん剤は容易に作製でき、しかも材料費も安価であるためコスト面で有利である。
請求項2記載の発明によれば、ゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤をプラズマが発する活性酸素の影響範囲の確認用の試薬として使用することができる。
請求項3記載の発明によれば、試薬としてゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤を用いることで、プラズマが発する活性酸素と反応した該剤の変色領域を確認するだけで、その影響範囲を容易に把握できるように可視化することができる。
請求項4記載の発明によれば、試薬としてゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤を用いることで、プラズマが発する活性酸素と反応した該剤の変色領域を該剤の表面だけでなく深さ方向にも得られるため、三次元で活性酸素の影響範囲を容易に把握できるように可視化することができる。
請求項5記載の発明によれば、プラズマ用活性酸素確認試薬の変色範囲を分光光度計により測定することで、肉眼では判別し難い影響範囲を容易に確認することができる。
シート状プラズマ処理装置を示す模式図である。 シート状プラズマ処理装置の放電管等を示したものであり、(a)は断面図であり、(b)は正面図である。 実験例1の実験条件を示す表である。 実験例1の実験条件を示す表である。 円筒状プラズマ処理装置を示す模式図である。 円筒状プラズマ処理装置の放電管等を示したものであり、(a)は断面図であり、(b)は正面図である。 実験例2の実験条件を示す表である。 実験例2、3の実験条件を示す表である。 本実施形態に係るプラズマ用活性酸素確認試薬にプラズマを照射させた時系列の図である。 (a)はプラズマジェットの状態を示す図で、(b)は試薬の変色を示す図である。 (a)は試薬の上下方向の吸光度から変色状態を示すグラフで、(b)は左右方向のグラフである。 (a)はプラズマジェットの状態を示す図で、(b)は酵母菌の死滅状態を示す図である。 (a)はプラズマジェットの状態を示す図で、(b)は試薬の変色を示す図で、(c)は酵母菌の死滅状態を示す図である。 試薬の上下方向の吸光度から変色状態を示すグラフである。 (a)はプラズマジェットの状態を示す図で、(b)は試薬の変色を示す図である。 試薬の上下方向の吸光度から変色状態を示すグラフである。 (a)はプラズマジェットの状態を示す図で、(b)は試薬の変色を示す図である。 試薬の上下方向の吸光度から変色状態を示すグラフである。 (a)はプラズマジェットの状態を示す図で、(b)は試薬の変色を示す図である。 試薬の上下方向の吸光度から変色状態を示すグラフである。
本発明に係るプラズマ用活性酸素確認試薬の要旨は、大気圧下で発生させたプラズマが発する活性酸素の影響範囲を変色により確認する試薬であって、試薬はゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤で構成したことを特徴とする。すなわち、プラズマが発する活性酸素と反応した試薬の所定領域を変色させ可視化することができるプラズマ用活性酸素確認試薬、及びプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法の提供を図ろうとするものである。
以下、本発明に係るプラズマ用活性酸素確認試薬S、及びプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法の実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する。
[プラズマ用活性酸素確認試薬]
本実施形態に係るプラズマ用活性酸素確認試薬Sは、無色透明でゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤である。具体的には、ヨウ化カリウムを40wt%と可溶性でんぷんを60wt%として準備し、水とアガロースとを適量加えて攪拌しゲル状に構成する。
また、プラズマ用活性酸素確認試薬Sの硬度は、水とアガロースとの混合比を調整することで扱い易い任意の硬度とすることができる。
また、プラズマ用活性酸素確認試薬Sを収容する容器としては、プラズマを照射しやすく、しかも、全方向から該試薬Sの変色状況を確認しやすくするために、透明なシャーレ104を用いることが望ましい。
[プラズマ処理装置]
図1、図5に示すように、本実施形態で用いたプラズマ処理装置は、図1に示すシート状プラズマ処理装置1と図5に示す円筒状プラズマ処理装置50である。
シート状プラズマ処理装置1は、放電管2と電極部3と配管部4とで構成している。シート状プラズマ処理装置1が処理対象とする被処理物101は、放電管2と電極部3の第二電極11との間に設置される。シート状プラズマ処理装置1は、被処理物101の表面に対してプラズマジェット5を供給可能とするものである。
配管部4においては、供給ガスGを放電管2へと送出する。放電管2は、誘電体材料で形成され、内部に空間を有する両端開口の角パイプ状(シート状)としている。放電管2は、両端の開口側が上下を向くように配置される。放電管2の上開口部8から入った供給ガスGは矩形状の下開口部9へと送出するように構成している。また、電極部3は、第一電極10と第二電極11とを有する。第一電極10は、放電管2の下部において、一側の外壁面に貼設され、高周波電源12と接続されている。第二電極11は、被処理物101の下側に配設され接地されている。
従って、第一・第二電極10,11間に交流の高電圧を印加することで、供給ガスGがプラズマ化すると共に、供給ガスGの流量に応じたプラズマジェット5が、放電管2の下開口部9から所定の距離を隔てて設置された被処理物101の表面へと供給される。
円筒状プラズマ処理装置50は、図5に示すように、放電管2と電極部3と配管部4とで構成している。放電管2は、円筒状に形成され両端の開口側が上下を向くように配置される。放電管2の上開口部8から入った供給ガスGは円柱状の下開口部9へと送出するように構成している。また、電極部3は、第一電極10と第二電極11とを有する。第一電極10は、放電管2の下部において、外壁面を囲繞するように貼設され、高周波電源12と接続されている。第二電極11は、第一電極10の上方に所定距離をおいて外壁面を囲繞するように貼設され接地されている。
従って、第一・第二電極10,11間に交流の高電圧を印加することで、供給ガスGがプラズマ化すると共に、供給ガスGの流量に応じたプラズマジェット5が、放電管2の下開口部9から所定の距離を隔てて設置された被処理物101の表面へと供給される。なお、被処理物101は照射受台14の上に載置される。
以上のように、本実施形態で用いたシート状プラズマ処理装置1と円筒状プラズマ処理装置50は、誘電体バリア放電(Dielectric Barrier Discharge)によって大気圧下でプラズマを生成可能とするものである。また、生成されたプラズマをジェット状として被処理物101の表面に供給して殺菌、洗浄等の処理がなされるものである。
[プラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法]
従って、プラズマ処理装置1、50が処理対象とする被処理物101をプラズマ用活性酸素確認試薬Sが収容されたシャーレ104とすれば、プラズマ用活性酸素確認試薬Sの表面にプラズマジェット5を照射することができる。
そして、プラズマジェット5が発する活性酸素は、プラズマ用活性酸素確認試薬Sによるヨウ素−でんぷん反応によって無色透明であったプラズマ用活性酸素確認試薬Sを青紫色に変色させる。
すなわち、活性酸素が影響した領域は変色し、それ以外の領域は無色透明のままである。しかも、変色領域は強く影響を受けた部分が濃く、そうでない部分は薄い変色で留まるため、変色度合いの違いによる濃淡差により活性酸素の影響度合いを見ることができる。
このように、本実施形態に係るプラズマ用活性酸素確認試薬Sは、活性酸素と反応した部分を変色させることができるため、濃淡差も含め目視により容易にその影響範囲を確認することができる。
また、濃淡差を厳密に把握する際には分光光度計により吸光度を測定し濃淡差を数値化することで、より詳細に活性酸素の影響度合いを確認することができる。
しかも、本実施形態に係るプラズマ用活性酸素確認試薬Sは、深さ方向に対しても同様に変色するため、シャーレ104を真横から観察したり、プラズマ用活性酸素確認試薬Sをシャーレ104から取り出して観察する等、活性酸素の深さ方への影響度合いを容易に確認することができる。
より厳密に深さ方向への活性酸素の影響度合いを確認する際には、所定箇所を垂直方向に切断し、切断面を分光光度計で測定することで濃淡差を数値化し、活性酸素の詳細な影響度合いを確認することができる。
[実験例1(シート状プラズマ処理装置)]
次に、上述したシート状プラズマ処理装置1を用いた一実験例について説明する。
本実験例では、Heガス6を供給ガスGとし、Heガス6をプラズマ化してジェット状としてシャーレ104内のプラズマ用活性酸素確認試薬Sに供給するものである。なお、活性酸素による影響範囲と、本来のプラズマによる殺菌作用が及ぼす効果範囲との違いを参考的に示すため、別途シャーレ104内の寒天培地103に成長させた酵母菌102の死滅状態の観察も行った。
また、本実験例1では供給ガスGとしてHeガス6を用いているが、大気圧下でプラズマを発生させることができるガスであれば、例えばAr等他のガスを用いることができる。
図2(a)は、被処理物101をセットした状態のシート状プラズマ処理装置1の放電管2(第一電極10含む)と第二電極11の断面図を示しており、図2(b)は、図2(a)の正面図を示したものである。また、図3の表1には、図3(a)、(b)で示した各部の数値条件を示している。
放電管2の具体的な寸法は、放電管2のガラス厚aを1.2mm、ガラス幅b(略内部空間の幅)を12mm、ガラス長さcを76mm、放電管内部のガラス間隔dを1.2mmとして形成している。
第一電極10の具体的な寸法は、板厚eが0.1mmのアルミ板を使用し、横幅fを5mm、縦幅(長さ)gを13mmとして放電管2の下端部から上側hに2mmの位置に配設している。また、第二電極11は、板厚iが2mmで、縦j1、横j2共に120mmの正方形状の鉄板を用いており、第二電極11の略中央に所定の間隔を隔てて垂直に放電管2を配設している。
また、対象物であるプラズマ用活性酸素確認試薬S、及び寒天培地103表面に成長した酵母菌102は、直径90mmのシャーレ104内に収容され、第二電極11の略中央、すなわち放電管2の直下に配置しており、プラズマ用活性酸素確認試薬S等の上面と放電管2の下端部との距離Aを5mmとしている。
以上のように、本実験で使用されるシート状プラズマ処理装置1と被処理物101(S、103)は構成されている。
シート状プラズマ処理装置1を用いた実験条件のうち固定した条件は、図4の表2に示すように、供給ガスG(Heガス)6の流量を2L/minとし、高周波電源12の周波数を1kHzとして設定した。なお、印加電圧とプラズマジェット5の照射時間については、以下の説明中で記載の通り、実験内容に応じて適宜可変させた。
以上、説明したような実験装置と実験条件の下で行った実験結果を、図9〜図12に示しながら説明する。
[照射時間の影響確認実験]
図9(a)〜(e)は、シート状プラズマ処理装置1の第一電極10が左側に位置するように放電管2をガラス厚a方向から観察したものである。また、印加電圧を4.4kVとした状態で、照射時間を0sec(図9(a))、5sec(図9(b))、30sec(図9(c))、120sec(図9(d))、300sec(図9(e))としたときのプラズマ用活性酸素確認試薬Sの変色状態を示している。
プラズマから発する活性酸素により、プラズマ用活性酸素確認試薬Sのヨウ素−でんぷん反応として変色が確認されたのは図9(c)に示すように照射時間が30sec経ってからである。その後は、300secまで変色領域の広がりと濃淡差を確認することができた。
また、変色領域は深さ方向においても同様に観察することができた。
[活性酸素の影響範囲と殺菌作用の効果範囲との比較実験]
図10(a)はプラズマ用活性酸素確認試薬Sに対して印加電圧を7kVとし、照射時間を30secとし、放電管2をガラス幅b方向を左右方向としてプラズマを照射したものであり、図10(b)はそのときの変色状態を真上から観察した図である。図11(a)、(b)は図10(b)における前後方向(ガラス厚a方向)A−Bと左右方向(ガラス幅b方向)C−Dに対して分光光度計をスキャンさせた測定結果を示す図である。
なお、図11(a)、(b)に示す測定結果は、分光光度計により測定した吸光度の分布状態を示すものであり、吸光度を示す縦軸の高さが高いほど変色濃度が高いことを表している。また、横軸はスキャンさせて測定した各位置を示しており、照射中心Xはゼロの位置に略等しいものとなる。
これらの図より、全体として照射中心X近傍を最大値として半径略5mmの円の中に集中して濃く変色した領域を確認した。また、左右方向C−Dでは照射中心X近傍から左右にそれぞれ略8mm(全長略16mm)の範囲にまで濃い領域が確認され、前後方向A−Bでは照射中心X近傍から前後にそれぞれ略6mm(全長略12mm)の範囲に濃い領域が確認された。
すなわち、シート状プラズマ処理装置1のガラス幅bが12mmであることから、下開口部9の矩形状の開口形状に準じて外側に広がった濃い変色領域となっている。また、薄い変色領域は全体として照射中心X近傍から半径略20mmの範囲にまで確認されている。
ここで、被処理物として寒天培地103表面に成長した酵母菌102に対して印加電圧を8kVとし、照射時間を30secとし、放電管2をガラス幅b方向を左右方向としてプラズマを照射した図を図12(a)、(b)に示す。なお、図10(b)と図12(b)の倍率は同じであるため比較することができる。
図12(b)によれば、酵母菌102の死滅領域は左右方向の長さが略11mmでガラス幅bよりも短く、前後方向の長さが略2mmであり上述した図10(b)で示した濃い変色領域の中に全体が収まることになる。すなわち、プラズマにより酵母菌102を死滅させる殺菌作用が及ぶ範囲よりも、活性酸素が影響を及ぼす範囲の方が圧倒的に広範囲に及ぶことが確認できた。
このように、活性酸素が及ぼす影響範囲と酵母菌102等の死滅範囲との間で相関関係がない。従って、プラズマが発する活性酸素が被処理物101に対してどの範囲にまで影響を与えるのかを判断するためには、本発明に係るプラズマ用活性酸素確認試薬Sを用いることが非常に有効であることが分かる。
[実験例2(円筒状プラズマ処理装置)]
次に、上述した円筒状の放電管2を用いた円筒状プラズマ処理装置50を用いて行った一実験例について説明する。なお、上述したシート状プラズマ処理装置1と同様の構成については同一の符号を付すと共に、適宜説明を省略する。
本実験例では、Heガス6を供給ガスGとし、Heガス6をプラズマ化してジェット状としてシャーレ104内のプラズマ用活性酸素確認試薬Sに供給するものである。
また、本実験例2では供給ガスGとしてHeガス6を用いているが、大気圧下でプラズマを発生させることができるガスであれば、例えばAr等他のガスを用いることができる。
図6(a)は、被処理物101をセットした状態の円筒状プラズマ処理装置50の放電管2(第一電極10と第二電極11含む)の断面図を示しており、図6(b)は、図6(a)の正面図を示したものである。また、図7の表3には、図6(a)、(b)で示した各部の数値条件を示している。
放電管2の具体的な寸法は、放電管2の外径kを8mm、内径lを2.5mm、ガラス長さcを76mmとして形成している。
第一電極10の具体的な寸法は、板厚eが0.1mmのアルミ板を使用し、長さgを13mmとして放電管2の下端部から上側hに10mmの位置に放電管2の外壁面を囲繞するように配設している。また、第二電極11は、第一電極10と同様の構造と寸法で、第一電極10の上方から20mmの距離mを離して配設されている。
また、プラズマ用活性酸素確認試薬S等の上面と放電管2の下端部との距離Aは実験内容に応じて5〜10mmとしている。
以上のように、本実験で使用される円筒状プラズマ処理装置50は構成している。
本円筒状プラズマ処理装置50を用いた実験条件のうち固定した条件は、図8の表4に示すように、供給ガスG(Heガス6)の流量を3L/minとし、高周波電源12の周波数を3kHzとし、印加電圧を8kVとして設定した。なお、プラズマジェット5の照射時間については、以下の説明中で記載の通り、実験内容に応じて適宜可変させた。
以上、説明したような実験装置と実験条件の下で行った実験結果を、図13〜図16に示しながら説明する。
[活性酸素の影響範囲と殺菌作用の効果範囲との比較実験]
図13(a)はプラズマ用活性酸素確認試薬Sの表面と放電管2の下端部との距離Aを5mmとし、照射時間を10secとしてプラズマを照射したものであり、図13(b)はそのときの変色状態を真上から観察した図である。図14は図13(b)中における前後方向A−Bに対して分光光度計をスキャンさせた測定結果を示す図である。
これにより、全体として照射中心X近傍には変色が見られず、その周辺から外側にかけて濃い変色涼領域から薄い変色領域へと同心円状に拡散するように変色している。また、直径略16mm以上の外側には概ね変色が見られなかった。
すなわち、変色領域はドーナツ状に現れ、しかも中心に近い部分から外側に向かって変色が弱くなっている。
ここで、被処理物として寒天培地103表面に成長した酵母菌102に対して印加電圧を8kVとし、照射時間を30secとしてプラズマを照射した図を図13(c)に示す。
図13(c)によれば、酵母菌102の死滅領域は照射中心X近傍、及び同心円外側に所定距離をおいた同心円状(ドーナツ状)の領域であった。すなわち、照射中心X近傍の外側には酵母菌102が死滅していない領域がドーナツ状に見られ、その外側に再びドーナツ状の死滅領域が見られた。
倍率を同じとした図13(b)と図13(c)とを比較すると、主に酵母菌102が死滅していない領域において変色領域が見られるため、プラズマにより酵母菌102を死滅させる殺菌作用が及ばない部分的な領域に活性酸素が影響を及ぼす領域が存在することが確認できる。
このように、活性酸素が及ぼす影響範囲と酵母菌102等の死滅範囲との間で相関関係がない。従って、プラズマが発する活性酸素が被処理物101に対してどの範囲にまで影響を与えるのかを判断するためには、本発明に係るプラズマ用活性酸素確認試薬Sを用いることが非常に有効であることが分かる。
[活性酸素の水を介した影響確認実験]
図15(a)はプラズマ用活性酸素確認試薬Sの表面に水を5mmの高さだけ満たし、放電管2の下端部と水面との距離Aを10mmとし、照射時間を60minとしてプラズマを照射したものであり、図15(b)そのときの変色状態を真上から観察した図である。図16は図15(b)中における前後方向A−Bに対して分光光度計をスキャンさせた測定結果を示す図である。
これにより、上述した大気中での結果と同様に照射中心X近傍には変色が見られず、外側にドーナツ状の変色領域を確認した。照射時間を60minと長くしているにも関わらず、変色の濃さは満遍なく薄い状態である。
[実験例3(円筒状プラズマ処理装置)]
次に、円筒状プラズマ処理装置50を用いて行った実験例2に係る供給ガスGを混合ガスG´として同様の実験を行った一実験例について説明する。
本実験例における実験条件は装置条件としては実験例2と同じであるが、混合ガスG´の主ガスとしてHeガス6を使用し、添加ガスとして酸素(O)ガス51を使用した。
また、本実験例3では混合ガスG´としてHeガス6とOガスを混合して用いているが、大気圧下でプラズマを発生させることができる混合ガスであれば、例えばHeガス6に窒素(N)ガスを混合する等他の混合ガスを用いることができる。
また、プラズマ用活性酸素確認試薬S等の上面と放電管2の下端部との距離Aは実験内容に応じて5〜10mmとしている。
実験条件のうち固定した条件は、図8(b)の表5に示すように、混合ガスの流量を3L/minとし、Heガス6に対する添加ガスのOガス濃度を1vo1%とし、高周波電源12の周波数を3kHzとし、印加電圧を8kVとして設定した。なお、プラズマジェット5の照射時間については、以下の説明中で記載の通り、実験内容に応じて適宜可変させた。
以上、説明したような実験装置と実験条件の下で行った実験結果を、図17〜図20に示しながら説明する。
[活性酸素の影響範囲と殺菌作用の効果範囲との比較実験]
図17(a)はプラズマ用活性酸素確認試薬Sの表面と放電管2の下端部との距離Aを5mmとし、照射時間を10secとしてプラズマを照射したものであり、図17(b)はそのときの変色状態を真上から観察した図である。図18は図17(b)中における前後方向A−Bに対して分光光度計をスキャンさせた測定結果を示す図である。
これにより、照射中心X近傍の変色が最も濃く、その周辺から外側にかけて変色涼領域から徐々に薄い変色領域へと同心円状に拡散するように変色している。また、直径略35mm以上の外側には概ね変色が見られなかった。
すなわち、変色領域は最も濃い照射中心X近傍と、その外側に連続したドーナツ状の領域が中心に近い部分から外側に向かって変色が弱くなっている。
なお、厳密には図17(b)の照射中心Xである微小な領域は他の部分と比して薄い変色なっている。これは、図18を参照しても確認することができる。
[活性酸素の水を介した影響確認実験]
図19(a)はプラズマ用活性酸素確認試薬Sの表面に水を5mmの高さだけ満たし、放電管2の下端部と水面との距離Aを10mmとし、照射時間を60minとしてプラズマを照射したものであり、図19(b)そのときの変色状態を真上から観察した図である。図20は図19(b)中における前後方向A−Bに対して分光光度計をスキャンさせた測定結果を示す図である。
変色領域は、上述した実験例2における水を介した実験結果と近似しており、照射中心X近傍の変色は薄く、その外側に濃いドーナツ状の変色領域を確認した。変色領域の直径は略75mmと大きく、全体としてもHeガス6のみで行った実験例2に比して大きくしかも変色度合いが濃いものとなっている。
以上、説明したように本実施形態に係るプラズマ用活性酸素確認試薬Sは、試薬をゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤で構成したことで、プラズマが発する活性酸素と反応した該剤Sの所定の領域を変色させ可視化することができる。
また、試薬Sをゲル状とすることで取扱いが容易となり、変色領域を維持したまま長時間の保存ができる。
また、試薬Sであるヨウ化カリウムでんぷん剤は容易に作製でき、しかも材料費も安価であるためコスト面で有利である。
また、試薬Sとしてゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤を用いることで、プラズマが発する活性酸素と反応した該剤Sの変色領域を確認するだけで、その影響範囲を容易に把握できるように可視化することができる。
また、試薬Sとしてゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤を用いることで、プラズマが発する活性酸素と反応した該剤Sの変色領域を該剤Sの表面だけでなく深さ方向にも得られるため、三次元で活性酸素の影響範囲を容易に把握できるように可視化することができる。
また、プラズマ用活性酸素確認試薬Sの変色範囲を分光光度計により測定することで、肉眼では判別し難い影響範囲を容易に確認することができる。
更に、試薬Sは水中であっても反応するため、水中に存在する被対象物へのプラズマ照射時に活性酸素の影響範囲を事前に確認することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
S プラズマ用活性酸素確認試薬

Claims (5)

  1. 大気圧下で発生させたプラズマが発する活性酸素の影響範囲を変色により確認する試薬であって、
    試薬はゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤で構成したことを特徴とするプラズマ用活性酸素確認試薬。
  2. 大気圧下で発生させたプラズマが発する活性酸素の影響範囲を変色により確認することができるゲル状のヨウ化カリウムでんぷん剤の使用。
  3. 請求項1に記載の前記プラズマ用活性酸素確認試薬を用いたプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法。
  4. 前記プラズマ用活性酸素確認試薬の表面と深さ方向の両方への影響を確認可能な請求項3に記載のプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法。
  5. 前記プラズマ用活性酸素確認試薬の変色範囲を分光光度計により測定する請求項3または4に記載のプラズマが発する活性酸素の影響範囲確認方法。
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