JP2016030708A - 炭酸カルシウム複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】球晶であるカルサイト型炭酸カルシウムと水酸アパタイトからなる複合体の提供。【解決手段】球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2と、カルサイト型炭酸カルシウムの外周に形成される水酸アパタイト層3と、からなる炭酸カルシウム複合体1。水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程と、前記炭酸化工程の後で得られる球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2のスラリー溶液に、リン酸あるいはリン酸塩溶液が滴下される滴下工程と、を備え、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2の外周に、水酸アパタイト層3が形成される炭酸カルシウム複合体1の製造方法。【効果】水酸アパタイト層が、球晶構造のカルサイト型炭酸カルシウムを覆っている形態の構成により、滑り性が高くなり、化粧品等に炭酸カルシウム複合体が添加される場合には、さらさら感としっとり感を生じさせ易くなる。【選択図】図1

Description

本発明は、炭酸カルシウムの中でも、カルサイト型炭酸カルシウムであって、球晶を有するカルサイト型炭酸カルシウムと水酸アパタイトからなる組成物に関する。
炭酸カルシウムは、ゴム、プラスチック、紙、塗料などの工業分野に幅広く利用される無機素材である。炭酸カルシウムには、石灰石を物理的に微粉砕してなる重質炭酸カルシウムと化学的に製造される軽質炭酸カルシウムとがあり、粒子径や粒子形状を制御できる軽質炭酸カルシウムが補強性、白色性、光輝性などの効果が期待できるため、幅広く工業的に利用されている。
例えば、炭酸カルシウムは、上述のように補強性、白色性、光輝性などの特徴を有しているので、ゴム、プラスチック、紙、塗料などへの添加剤として使用される。これら工業製品に添加剤として利用される場合には、工業製品の特性に悪影響を与えずに増量させたり、白色性を強くしたり、輝度を高めたりする役割を果たすことができる。
また、炭酸カルシウムは、上述の白色性などにより、化粧品の添加剤として使用される。基礎化粧品、応用化粧品など肌に使用される化粧品の輝度の向上(白色性の向上)を実現できるからである。
そうした中にあって、軽質炭酸カルシウムの形状として球状のものが、その流動性や光散乱性などから注目されている。球状の炭酸カルシウムは、通常バテライト型の結晶構造のものが主であり、水酸化カルシウムの水懸濁液にモノエタノールアミンを含有させ二酸化炭素ガスを導入する方法(例えば、特許文献1参照)や水溶性カルシウムにスルホン化ポリマーを添加する方法(例えば、特許文献2参照)、水溶性カルシウムに二価のカチオンを添加する方法(例えば、特許文献3参照)などに開示される製造方法によって、球状を有するようになることが提案されている。
しかし、バテライト型の炭酸カルシウムは水や熱の介在により容易にカルサイト型の結晶構造に変化し、球状形状も崩壊するという問題がある。
これに対して、上述の通り、カルサイト型炭酸カルシウムは、結晶型が安定であるので、結果として物性的にも耐久性としても安定である。この安定性においてカルサイト型炭酸カルシウムは、バテライト型炭酸カルシウムよりも優れているので、添加剤や増量剤などに最適に利用できる。一方で、一般的な製造方法を経て製造されると、カルサイト型炭酸カルシウムは立方状や紡錘状を有しやすくなる。結果として、球状を有するカルサイト型炭酸カルシウムを得ることは非常に難しい現状がある。
このような状況において、球状のカルサイト型炭酸カルシウムを実現する技術が提案されている(例えば、特許文献4、5、6参照)。
しかしながら、後述するように特許文献4,5,6の技術において得られるカルサイト型炭酸カルシウムでは、工業製品、化粧品、美容製品などへの使用における不具合を有している問題がある。
一方で、炭酸カルシウムは、中性ではなく弱アルカリ性であるので、皮膚や人体への刺激性があるという問題を有している。このため、上述のように炭酸カルシウムが、工業製品、化粧品、美容製品などの添加剤として使用される場合には、刺激性を回避するために適用用途が限られる問題を有している。あるいは、炭酸カルシウムは表面に官能基を有していないので、水素結合などの他物質との相互作用が期待できない。このため、吸着性能に劣り、生体活性に劣る問題も有している。
このような状況で、炭酸カルシウムの表面をアパタイトで被覆する複合体の技術が提案されている(例えば、特許文献7、8、9、10参照)
特開平1−301511号公報 特開昭62−91416号公報 特開昭57−92520号公報 特開昭61−168524号公報 特開平7−33433号公報 特開平11‐079740号公報 特開平07−118011号公報 特開平09−081514号公報 特開平09−183617号公報 特開2000−203815号公報
特許文献4は、水酸化カルシウムの水懸濁液にポリ燐酸塩を添加し二酸化炭素ガスを導入する方法や水酸化カルシウムの水懸濁液に二酸化炭素ガスを導入する製造方法により、球状のカルサイト型炭酸カルシウムを得る技術を開示する。
しかしながら、特許文献4によって得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、結果として得られる炭酸カルシウムの外形形状が球状であるに過ぎず、球状は、必ずしもその内部組織が球晶(所定の点(一点であることが好ましいが厳密に一点であることに限定されるものではない)から複数の結晶が複数方位(好ましくは放射状)に成長した多結晶体)を形成しているとは限らない。例えば、立方状や紡錘状の微小粒子が丸く凝集して見た目上球状に見えるだけの場合もある。このような球晶構造を有しない球状の場合には、球状粒子としての安定性が悪く、当然に耐久性や強度の弱さも生じる。耐久性や強度が弱ければ、添加剤や増量剤として混合される際に、変形したり破壊されたりして、触感や耐久性に悪影響を与える。
球晶ではない単なる見た目の球形であるにすぎない場合には、強度(特に、外圧に対応する強度)や耐久性に劣り、工業製品、化粧品、美容製品などに添加された場合でも、添加の工程(製造工程)で、球形の炭酸カルシウムが変形したり破壊されたりする。あるいは、使用の段階で(例えば化粧品であれば皮膚に塗布する)、球形の炭酸カルシウムが変形したり破壊されたりする。
このような変形や破壊が生じれば、使用感が悪くなったり、肌触りが悪くなったりする。もちろん、添加剤として添加されている炭酸カルシウムの白色性や発色性のレベルも低下して、添加する目的が十分に達せられない問題がある。
加えて、特許文献4に開示される技術は、中央から結晶成長することで球状になっているのではなく、外形上として球状になっているので、球状粒子としての強度が弱い問題を有している。また、同様の理由により、球状粒子の粒径を制御できず、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムの粒径がばらばらとなってしまう問題もある。
特許文献5は、反応途中の液にリンの酸素酸塩或いは不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体の塩を添加して炭酸化反応させたa液と水酸化カルシウムの水懸濁液に二酸化炭素ガスを導入した反応途中のb液を混合(a+b)し、さらに炭酸化反応させる製造方法で、球状のカルサイト型炭酸カルシウムを製造する技術を開示する。
特許文献5も特許文献4と同様に、粒子の強度が弱い、粒径の制御が困難でばらつきが多くなる、生産性が悪い、といった様々な問題を有している。
特許文献6は、水酸化カルシウムの水懸濁液に二酸化炭素ガスを導入する方法で得られた一次粒子の懸濁液を噴霧乾燥する製造方法で、球状のカルサイト型炭酸カルシウムを製造する技術を開示する。
特許文献6も、特許文献5と同様に、粒子の強度が弱い、粒径の制御が困難でばらつきが多くなる、工程数が多くなり生産性が悪い、といった様々な問題を有している。
生産性が悪いのは、特許文献5においては、その製造工程が煩雑であることが理由である。特許文献5では、製造工程における反応工程の手間や数が多いことなどにより、カルサイト型炭酸カルシウムの生産性が悪くなってしまっている。特許文献6においては、スプレードライヤーなどの噴霧装置といった大掛かりな装置を必要とすることにより、生産コストが高くなっている。
また、球状の粒子は、表面が球状面となるので、すべりが良く、添加剤や増量剤として使用する際に使い易いこともある。
以上のように、特許文献1〜6のいずれも、炭酸カルシウムやカルサイト型炭酸カルシウムの製造を開示しているが、球晶ではない外観上たんなる球形となりうる程度の炭酸カルシウムしか達成できていない。強度、粒径、均一性、生産性が悪い問題だけでなく、工業製品、化粧品、美容製品などへの添加剤としての目的を達成できない問題を有している。
加えて、これら炭酸カルシウム単体での添加剤の場合には、炭酸カルシウムが中性ではなく弱アルカリ性であるために、人体への刺激性などの問題から、適用用途が限られる問題がある。あるいは、添加剤としての添加量や添加方法が制限される問題がある。さらには、炭酸カルシウム単体は、表面に官能基を有していないので、水素結合など他物質との相互作用が期待できない。このため吸着性能に劣り生体活性に劣る問題がある。
特許文献7は、軽質炭酸カルシウムの表面をアパタイトで被覆した複合体を開示する。軽質炭酸カルシウムにリン酸水溶液を反応させることで、軽質炭酸カルシウムの表面をアパタイトで被覆して、pH低下を目的としている。
しかしながら、特許文献7で開示される複合体でのアパタイトで被覆される軽質炭酸カルシウムは、特許文献4〜6などと同じく外観上が球形というだけであり、球晶を有していない。球晶を有していないことで、アパタイトで被覆された複合体であっても、特許文献4〜6と同じく、強度、耐久性、粒径の均一化、生産性の悪さといった問題を有している。
強度や耐久性が低ければ、化粧品や美容製品に添加されても、製造工程もしくは使用段階で、複合体が変形したり破壊されたりして、白色性、高輝度などの目的が達成できない。破壊される場合には、表面のアパタイトから内部の軽質炭酸カルシウムが露出してしまい、弱アルカリ性などに起因する問題解決が図られないことにもつながってしまう。
また、特許文献7では、アパタイトの被覆を均一に形成するには、直径7μmの球形の軽質炭酸カルシウムに、80℃で24時間のリン酸水溶液を反応させる必要がある。非常に長時間の反応を行う必要があり、生産性が悪く、コストや歩留まりの信頼性などの問題も生じる。
特許文献8は、炭酸カルシウムとその外面を覆うリン酸カルシウム系化合物の板状もしくは針状結晶からなる複合体を開示する。直径が0.1μm〜100μmの炭酸カルシウムとリン酸水溶液をCa/P比率を1.5〜3.5で反応させることで、特許文献8は、当該複合体を得る。
しかしながら、特許文献8での複合体は、貝殻形状や重質炭酸カルシウムを前提としている。このため、形状は様々になり、形状の滑らかさがないことで、添加された工業製品、化粧品、美容製品などでの使用感が悪い問題がある。これらの結果、製造の手間、製造コストだけでなく、添加剤としての適用分野が制限されたりその効果が生じにくかったりする問題が残る。
特許文献9は、炭酸カルシウムとリン酸系化合物の反応物で、次の条件を満足する化粧品用多孔質炭酸カルシウム化合物を開示する。
(a) 0.5≦Dx≦20(μm) (b)1≦α≦3
(c) 0≦β≦3 (d)50≦Sw≦300(m/g)
(e) 50≦x≦300 (f)50≦y≦300
dx:SEMより測定した平均粒子径
α:分散係数 α=d50/dx
d50:粒度分布計による平均粒子径
β:(d90−d10)/d50
d90:粒度分布計測定の90%径 d10:粒度分布計測定の10%径
Sw:BET比表面積
x:吸油量 y:吸水量
Tm2:複合体の200℃ Tm2:担体の200℃
しかしながら、特許文献9もやはり特許文献7,8と同様に球晶ではない炭酸カルシウムを前提としている。このため、これらの条件でアパタイトによる被覆が生じても、特許文献7,8と同じ強度、形状、使用感などの問題を有している。化粧品に添加しても、使用感が悪く、使用感の悪さに加えて、白色性や輝度のメリットを十分に発揮できない。
特許文献10は、0.1μmの炭酸カルシウムスラリーをリン酸水溶液でリン酸カルシウム系担体を作成する。この担体に炭酸カルシウムスラリーとリン酸水溶液を別々で滴下して複合体を得る。
しかし、特許文献10も、他の文献と同様に被覆されている炭酸カルシウムは、球晶ではない。形状としては、球体であったり他の形状であったりで、一定した形状を維持できない。これらの結果、強度、耐久性、使用感などに劣る問題を有している。
また、特許文献10の複合体は、BET比表面積が小さい問題を有している。BET比表面積が小さければ、多孔質性が弱く、強度や耐久性にも劣る。加えて、白色度なども劣る結果になり、化粧品や美容製品に添加する目的の達成度が弱い。
以上のように、従来技術のアパタイトで被覆される複合体の炭酸カルシウムが、球晶でなく(あるいは、球体でなかったり、形状の均一性がなかったりする)ことで、強度、耐久性、生産性が悪い問題がある。これらの問題に起因して、工業製品、化粧品、美容製品などに添加しても、白色度、輝度、光沢などの向上を十分にはかることができない問題があった。あるいは、これらの製品への添加適用が難しい問題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、球晶であるカルサイト型炭酸カルシウムと水酸アパタイトからなる複合体を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の炭酸カルシウム複合体は、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムと、
カルサイト型炭酸カルシウムの外周に形成される水酸アパタイト層と、からなる。
本発明の複合体は、所定条件をそろえて製造することで、ある一点から多数の結晶が放射状に成長した多結晶体である球晶構造を有するので、外形的に球状あるいは球状に近似した形状を有しながらも、十分な強度を有する。もちろん、外形的には球状もしくは球状に近似した形状を有するので、光沢を抑えたい物品への添加剤や、増量したい素材の増量剤としても最適である。
特に、この球晶を有するカルサイト型炭酸カルシウムが、添加剤や増量剤に用いられることで、光沢抑制や増量といった目的を達成しつつも、添加される側の物品や素材の耐久性や強度に悪影響を与えることはない。
また、種々の製造工程の工夫により、製造される球晶のカルサイト型炭酸カルシウムの粒径を制御しやすくなり、粒径のばらつきを抑えることができる。
このような球晶であるカルサイト型炭酸カルシウムの外周が、水酸アパタイトの層を有することで、中性に近づけることが可能となり、生体への刺激性が弱くなり、化粧品や美容製品など、生体に直接使用する製品への添加適用も容易となる。
本発明の実施の形態1における炭酸カルシウム複合体の模式図である。 本発明の実施の形態1における炭酸カルシウム複合体1の基礎となるカルサイト型炭酸カルシウム2の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態1におけるカルサイト型炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 このようにして製造された炭酸カルシウム複合体を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態1における炭酸カルシウム複合体の製造工程を示す製造工程フロー図である。 図3に示される実施例1のカルサイト型炭酸カルシウムの偏光顕微鏡写真である。 実施例1で得られるカルサイト型炭酸カルシウムの破断面の電子顕微鏡写真である。 図7の偏光顕微鏡写真である。 表1に記載の比較例1の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 表1に記載の実施例2の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 表1に記載の実施例3の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 表1に記載の実施例4の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 表1に記載の実施例5の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 表1に記載の比較例2の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例6で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例7で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例8で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例9で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 比較例3で得られる電子顕微鏡写真である。 比較例4で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例10で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例11で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例12で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である 比較例5で得られる電子顕微鏡写真である。 比較例6で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例13で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例14で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 実施例15で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 水酸アパタイト層が形成されない(上記の製造条件その1〜その3を満たしていない)炭酸カルシウム複合体の電子顕微鏡写真である。 製造条件その2、その3を満たして製造された粒状の水酸アパタイト層を有する炭酸カルシウム複合体の電子顕微鏡写真である。 製造条件その1、その3を満たして鱗片状の水酸アパタイト層を有する炭酸カルシウム複合体の電子顕微鏡写真である。 炭酸カルシウム複合体の凝集体の電子顕微鏡写真である。
本発明の第1の発明に係る炭酸カルシウム複合体は、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムと、カルサイト型炭酸カルシウムの外周に形成される水酸アパタイト層と、からなる。
この構成により、球晶構造を有することで強度、耐久性が高いとカルサイト型炭酸カルシウムに、中性で刺激性の少ない水酸アパタイト層の外層を設けることの相乗効果が生じる。結果として、様々な組成物に添加剤として最適に使用できる。
本発明の第2の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第1の発明に加えて、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムは、水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程を一部に含む製造工程で製造され、複数の結晶のそれぞれが、単数又は複数の位置から複数方位に成長した多結晶体である。
この構成により、所定の位置から成長したカルサイト型炭酸カルシウムの多結晶体が得られる。
本発明の第3の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第2の発明に加えて、水酸化カルシウム水懸濁液に、二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程での工程管理温度が、18℃〜65℃である。
この構成により、得られるカルサイト型炭酸カルシウムが、球晶を有するようになる。
本発明の第4の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第2の発明に加えて、炭酸化工程において、水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%未満においては、工程管理温度が、20℃〜55℃であり、更に好ましくは25℃〜35℃である。
この構成により、得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を有し、外形や粒径のそろいが良くなる。
本発明の第5の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第3または第4の発明に加えて、炭酸化工程において、水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%以上においては、工程管理温度が、20℃〜60℃であり、更に好ましくは20℃〜40℃である。
この構成により、得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を有し、外形や粒径のそろいが良くなる。特に、外形が略球状になりやすくなる。
本発明の第6の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第3から第5のいずれかの発明に加えて、炭酸化工程において、炭酸化率が1〜5%までの反応速度を2mol%/min以下とし、炭酸化率が5〜10%における反応速度を0.16mol%/min〜0.24mol%/minとし、炭酸化率10%以降の反応速度を1.1mol/min以下とする。
この構成により、得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を有すると共に、外形や粒径のそろいが良くなり、平均粒径を任意に制御できるメリットを有する。
本発明の第7の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第2から第6のいずれかの発明に加えて、炭酸化工程の前、または最中の少なくともいずれかの時点で、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩を、水酸化カルシウム水懸濁液中の水酸化カルシウムに対して、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩に含まれる燐の含有量が0.03重量%から1.5重量%の範囲の範囲になるように、1回以上添加する工程を更に含んで製造される。
この構成により、得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を有すると共に、外形や粒径のそろいが良くなるメリットを有する。また、外形が略球状となりやすくなる。
本発明の第8の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第2から第7のいずれかの発明に加えて、複数の結晶のそれぞれが、一つの位置から放射状に略同一長に成長して球晶となり、外形上は略球状を有する。
この構成により、炭酸カルシウム複合体は、球晶となり外形が略球状となって種々の物品に混合しやすくなる。
本発明の第9の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、炭酸化工程の後で得られる球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムのスラリー溶液に、リン酸あるいはリン酸塩溶液が滴下される滴下工程で、水酸アパタイト層が形成される。
この構成により、球晶構造のカルサイト型炭酸カルシウムの外周に、水酸アパタイト層が形成される。
本発明の第10の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第9の発明に加えて、滴下工程において、スラリー溶液の溶液温度が、50℃〜80℃に管理される。
この構成により、形成される水酸アパタイト層が、鱗片状を有しやすくなる。鱗片状であることで、油分を含みやすく、化粧品に炭酸カルシウム複合体が添加される場合に、化粧崩れが少なくなる。
本発明の第11の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第9の発明に加えて、滴下工程において、スラリー溶液の溶液温度が、10℃〜50℃もしくは80℃〜100℃に管理される。
この構成により、形成される水酸アパタイト層が、粒状を有しやすくなる。粒状であることで、すべり性が高くなり、化粧品などに炭酸カルシウム複合体が添加される場合には、さらさら感がありながらしっとリ感が得られる。
本発明の第12の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第9から第11のいずれかの発明に加えて、カルサイト型炭酸カルシウムとリンとのモル比率であるCa/Pが、1.8〜100である。
この構成により、水酸アパタイト層が確実に形成される。
本発明の第13の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、水酸アパタイト層が、鱗片状を有する。
この構成により、鱗片状であることで、油分を含みやすく、化粧品に炭酸カルシウム複合体が添加される場合に、化粧崩れが少なくなる。
本発明の第14の発明に係る炭酸カルシウム複合体では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、水酸アパタイト層が、粒状を有する。
この構成により、粒状であることで、すべり性が高くなり、化粧品などに炭酸カルシウム複合体が添加される場合には、さらさら感としっとり感を生じさせやすくなる。
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。
(物質の全体概要)
まず、実施の形態1における炭酸カルシウム複合体の概要について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における炭酸カルシウム複合体の模式図である。構造が分かるように、内部が透視できる状態としている。
実施の形態1における炭酸カルシウム複合体1は、図1に示されるとおり、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2と、この球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2の外周に形成される水酸アパタイト層3と、からなる。図1に示されるように、水酸アパタイト層3が、球晶構造のカルサイト型炭酸カルシウム2を覆っている形態である。従来技術と異なり、水酸アパタイト層3が覆う対象物が、球晶構造を有している点および球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムである点が相違する。
(球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム)
ここで、球晶とは、「ある一点(厳密に一点であることに限定されるものではない)から多数の結晶が複数方位(特に放射状)に成長した多結晶体」として定義される。
実施の形態1における炭酸カルシウム複合体の基礎であるカルサイト型炭酸カルシウム2は、単数または複数の位置から複数方位に、複数の結晶のそれぞれが成長して得られる多結晶体で形成される。単数又は複数の位置から複数方位に、複数の結晶のそれぞれが成長する多結晶体(上述の通り球晶)であることで、強度および耐久性に優れた組織を有するようになる。
また、複数の結晶のそれぞれが、単数の位置(すなわちある一点)から複数方位に成長することで、成長する複数の結晶のそれぞれ(ここで、複数の結晶のそれぞれは、通常は単結晶である)が、一点から広がるように成長するので、バルク多結晶体が安定することに加えて得られるカルサイト型炭酸カルシウム2の外形が、一定の形状を示すようになる。
特に、複数の結晶のそれぞれが、ある一点から放射状に成長する場合には、カルサイト型炭酸カルシウム2は、球晶であることになる。特にこのとき、複数の結晶のそれぞれが、略同一長に成長することで、カルサイト型炭酸カルシウム2は、球晶を有しながら、外形が略球状となる。すなわち、外形が略球状であることで、充填剤として様々な素材に混合しやすくなると共に、球晶を有することで十分な強度と耐久性を有するようになる。
逆に、複数の結晶のそれぞれが、放射状以外の異なる複数方位に成長したり、非同一の長さで成長したりする場合には、カルサイト型炭酸カルシウム2は、外形が非球状となる。例えば、紡錘形状となったり、略方形となったりする。
なお、ここで複数の結晶のそれぞれは、基本的には単結晶であるが、厳密に単結晶であることに限定されるものではない。
実施の形態1の炭酸カルシウム複合体1のカルサイト型炭酸カルシウム2は、水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程を一部に含む製造工程で製造される。この炭酸化工程により、複数の結晶のそれぞれが、所定の位置から複数方位に成長して多結晶体を形成する。この多結晶体が、カルサイト型炭酸カルシウム2である。
また、多結晶体だけでなく、複合体となる場合も、実施の形態1におけるカルサイト型炭酸カルシウムの一例として含む。複合体とは、2つ以上の相が接触してバルクとなったものを言う。実施の形態1におけるカルサイト型炭酸カルシウム2は、水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程を含む製造工程で得られる。このため、原料となる水酸化カルシウム水懸濁液中において、多数のカルサイト型炭酸カルシウム2が生成される。
図2は、本発明の実施の形態1における炭酸カルシウム複合体1の基礎となるカルサイト型炭酸カルシウム2の電子顕微鏡写真である。図2の写真から明らかな通り、カルサイト型炭酸カルシウム2は、ある所定位置から複数の結晶のそれぞれが、複数方位に成長している。これらの複数方位に成長している複数の結晶の集まりによって得られる多結晶体もしくはその複合体が、上記炭酸化工程を一部に含む製造工程で製造されるカルサイト型炭酸カルシウム2である。
ここで、球晶とは球状と同義ではない。球状とは、多結晶体の内部組織に関係なく、外形が球状を有していればよい。例えば、1次粒子となる微小結晶が単に丸く集合していても球状となる。
このように、内部組織と関係なく、外形上(外観上)で球状であるだけの場合には、その強度や耐久性が弱く、得られた物質(炭酸カルシウムなど)が、他の物質に混合されて用いられる場合に、その球状を維持できない問題を発生させる。球状を維持できなければ、当然に種々の問題を発生させる。
これに対して、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2は、図2の写真のように、所定の位置から複数方向に複数の結晶のそれぞれが成長する。このとき、複数の結晶1の成長方向が放射状であれば、得られるカルサイト型炭酸カルシウムの外形は、略球状や略楕円球に近くなる。特に、放射状であってかつ複数の結晶のそれぞれが略同一の長さで成長すれば、球状の外形を有するようになる。
このとき、球状や楕円球の形状を有するとしても、これを形成する基礎は球晶である(複数の結晶のそれぞれが、所定位置から、複数方向に成長している)ので、バルクの密度が高く、強度および耐久性に優れている。このため、実施の形態1における炭酸カルシウム複合体1の基礎となるカルサイト型炭酸カルシウム2は、従来技術における外形上での単純な球状の炭酸カルシウムでの問題を解決している。
ここで、球晶については、「Journal of Crystal Growth 193(1998)374−381」、「Journal of Crystal Growth 193(1998)382−388」の文献に、カルサイト型炭酸カルシウムにおいて、球晶の意味合いが記載されている。当該文献には、既に記載したように、球晶とは、ある位置から、複数の結晶が複数方位に成長した多結晶体であることが開示されている。
また、球晶を有する物質は、偏光顕微鏡にて写真を撮影すると、独特の円形中に発光部分が生じる態様を示す(例えば、特開2010−151679の図7(b))。これに対して、単なる球状の物質を、偏光顕微鏡にて写真を撮影すると、このような態様を示さず、単なる円形のばらつきとしての態様しか示さない。このように、当該文献からも明らかな通り、単なる球状と球晶とは、異なる物性を有しているものである。
球晶となったカルサイト型炭酸カルシウムは、図3に示される形状を有する。図3は、本発明の実施の形態1におけるカルサイト型炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図2の写真と異なり、球晶としての外形上が球形となった全体を示している。球晶であるカルサイト型炭酸カルシウム2は、このような形状を有するようになる。
(水酸アパタイト層)
実施の形態1における炭酸カルシウム複合体1は、図1に示されるように、水酸アパタイト層3は、球晶であるカルサイト型炭酸カルシウム2の外周を覆う外層である。水酸アパタイト層3は、カルサイト型炭酸カルシウム2の外周を覆うことで、炭酸カルシウム複合体1は、中性を示すようになる。中性であることで、刺激性が少ない。
また、水酸アパタイト層3は、生体活性であり、この点でも、人体(表面や浸透内部)との親和性がよく、人体への適用において優れている。例えば、化粧品、肌クリーム、皮膚塗布剤などの様々な人体や生体へ塗布する可能性のある適用分野に、実施の形態1の炭酸カルシウム複合体1が混合される場合でも、人体への適用での悪影響が少ない。
加えて、水酸アパタイト層3は、その表面に水酸基の官能基を有しており、有機物の吸着能力が高い特性も有している。この特性により、人体に使用される場合であったり、他の用途に使用される場合であったりしても、有機物の吸着能力を高めることで、使用される対象物との親和性が高くなるメリットを有する。
水酸アパタイト層3は、球晶であるカルサイト型炭酸カルシウム2の外周を覆っている。このとき、全体を覆ってもよいし、一部に不足があってもよい。厳密かつ物理的に、全体を覆っていることを要求するものではなく、全体として覆っていると把握できる状態でよい。
水酸アパタイト層3は、球晶のカルサイト型炭酸カルシウム2を製造する工程である上述の炭酸化工程の後で得られる球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2のスラリー溶液に、リン酸あるいはリン酸塩溶液が滴下される滴下工程によって、形成される。この滴下工程によって、図1に示されるような球晶構造のカルサイト型炭酸カルシウム2の外周を水酸アパタイト層3が形成された炭酸カルシウム複合体が製造される。
図4は、このようにして製造された炭酸カルシウム複合体を示す電子顕微鏡写真である。図4の写真から分かるとおり、外周が水酸アパタイトで覆われた炭酸カルシウム複合体1が製造されている。
(炭酸カルシウム複合体の製造工程)
図5は、本発明の実施の形態1における炭酸カルシウム複合体の製造工程を示す製造工程フロー図である。説明に必要と考えられる部分を選択して表示している。
まず、採取された石灰石が用意される。当該石灰石は焼成されて生石灰となる。このとき、炭酸ガスが発生する。この焼成が焼成工程である。焼成工程を経て、生石灰が得られると、この生石灰に水が加えられて消化工程が実行される。この消化工程によって、生石灰は、いわゆる消石灰となる。この消石灰は、水酸化カルシウム水懸濁液である。
この水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程を実行する。炭酸化工程によって、水酸化カルシウム水懸濁液の内部で、図2、図3で示した球晶が成長して、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2が製造される。複合体となるには、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムがしっかりと生成された状態でのスラリーに、下記のようにリン酸あるいはリン酸塩溶液が滴下されて、反応される。この反応によって、カルサイト型炭酸カルシウムの表面から剥がれることのない、水酸アパタイト層が形成される。
すなわち、炭酸化工程の後では、スラリー溶液が生成されている。
このスラリー溶液に、リン酸あるいはリン酸塩溶液が滴下される滴下工程が実行される。この滴下工程によって、スラリー溶液中に生成されている球晶構造のカルサイト型炭酸カルシウム2の外周に、水酸アパタイト層3が形成される。この水酸アパタイト層の形成によって、目的とする炭酸カルシウム複合体1を製造できる。
このようにして製造された炭酸カルシウム複合体1は、上述の通り、中性を示しつつ刺激性が低いことや水酸基の官能基を有することでのメリットを有して、様々な物質に添加されて組成物が製造できる。例えば、添加されて製造される組成物は、顔料、化粧料、美容剤、歯磨き剤、塗料、研磨剤および研磨補助剤の少なくとも一つである。これらに添加される場合でも、人体等への刺激が少なかったり、適用対象物への親和性が高かったりする効果を奏する。
(実施の形態2)
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2では、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2の製造や、水酸アパタイト層3の形成における効率性について説明する。
まず、カルサイト型炭酸カルシウム2での実施例1の製造について説明する。
(実施例1)
実際の製作例である実施例1とその結果について説明する。実施例1は、本発明の範囲に含まれる実施例である。
実施例1では、生石灰120gが、ビーカー中の800mlの水道水に一気に加えられて消化された後、篩で残渣が取り除かれた水酸化カルシウム水懸濁液が得られる。次いで、この水酸化カルシウム水懸濁液の水酸化カルシウム濃度が、12重量%となるように調整されて、800mlの量が取り出される。更に、この800mlの水酸化カルシウム水懸濁液に、水酸化カルシウムに対して1重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム(リン量に換算すると0.3重量%)が、添加される。この添加された状態の水酸化カルシウム水懸濁液が、反応開始液とされる。
この反応開始液を30℃に保持した上で、20Vol%の二酸化炭素ガスが300ml/minの速度で吹き込まれて、攪拌されながら炭酸化工程が実施される。炭酸化率が10%の時点で、二酸化炭素ガスの吹き込み速度が1500ml/minへ増加される。この炭酸化工程での温度は、30℃±1℃以内で管理される。この処理による反応速度は、反応開始から炭酸化率10%までは、0.2mol%/minであり、炭酸化率10%以降は、0.8mol%/minである。
このような実施例1の製作手順で得られた反応済み液は、ろ別されてアルコール洗浄された後、120℃で16時間乾燥される。この結果、110gのカルサイト型炭酸カルシウムの粉体が得られる。
図3は、実施の形態1で説明したように、この実施例1のカルサイト型炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図3の写真から明らかな通り、得られた実施例1のカルサイト型炭酸カルシウムは、その外形が略球状である。また、その粒径は、平均として10μmであることが分かる。図6は、図3に示される実施例1のカルサイト型炭酸カルシウムの偏光顕微鏡写真である。図6の写真から明らかな通り、特開2010−151679の図7(b)に例示される、独特の円形中に発光部分が生じる態様を示す。
この偏光顕微鏡写真から明らかな通り、独特の円形の発光部分を有していることで、実施例1で得られたカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶であることが確認される。すなわち、本発明の実施の形態1のカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶である。また、実施例1で得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を構成する複数の結晶のそれぞれが、一つの位置から放射状に略同一長に成長している。この結果、外形は、略球状になっている。略球状であることで、様々な充填剤として使用するのに最適である。
図7は、実施例1で得られるカルサイト型炭酸カルシウムの破断面の電子顕微鏡写真である。図7は図3の内部を示している。図7の電子顕微鏡写真からも分かる通り、複数の結晶が、複数方位に成長している。また、複数方位であると同時に放射状にかつ略同一長に成長していることが分かる。図7の写真からも、実施例1で得られるカルサイト型炭酸カルシウムが球晶を有していることが確認される。図8は、図7の偏光顕微鏡写真である。図8は、独特の円形の発光部分を有している。この点からも、実施例1で得られるカルサイト型炭酸カルシウムが、球晶であることが分かる。
このように、実施例1の手順で製作されたカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶であり、外形が略球状である。
以上のように、水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程を一部に含む工程で得られる、カルサイト型炭酸カルシウム2は、単なる球状ではなく、球晶をであることが確認される。球晶であることのメリットは、既に述べたとおりであり、単なる球状よりも多くの優位性を有している。
この実施例1で説明された球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2は、図5の製造工程で製造されたものである。この製造工程のそれぞれにおいて、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムを製造するにあたって、それぞれの工程での工夫が、より確実かつ高い精度で球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2を製造することができる。以下に説明する。
(その1:炭酸化工程の工程管理温度)
炭酸化工程においては、炭酸化工程での温度が管理される。このとき、炭酸化工程での工程管理温度が、炭酸化工程全体に渡って18℃〜65℃であることが、好ましい。
表1は、炭酸化工程全体に渡っての工程管理温度を様々に変化させた場合の表である。
表1には、比較例1、2および実施例1〜5の結果が示されている。また、図9〜図14は、表1で示される実施例や比較例で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。なお、実施例については、カルサイト型炭酸カルシウムとして製作したものであるが、比較例は、球晶を生じさせていないカルサイト型炭酸カルシウムであったりカルサイト型となりきれなかった炭酸カルシウムであったりする。このため、図面の説明においては、単に炭酸カルシウムと記載することもあるが、カルサイト型炭酸カルシウムでないことを意図する記載ではない。
図9は、表1に記載の比較例1の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図10は、表1に記載の実施例2の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図11は、表1に記載の実施例3の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図12は、表1に記載の実施例4の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図13は、表1に記載の実施例5の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図14は、表1に記載の比較例2の炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。
比較例1,2および実施例1〜5の製作工程およびその結果について説明する。
(比較例1)
使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度を、15℃±1℃としたことのみが、実施例1と異なる。
比較例1は、表1および図9から明らかな通り、球晶を生じさせていない。すなわち、工程管理温度が18℃未満である15℃の場合には、球晶を有するカルサイト型炭酸カルシウムが得られないことが実験からも明らかである。言い換えれば、比較例1の炭酸カルシウムは、一次粒子の形状が立方状となってしまう。ここで、表1における1次粒子の形状と配列は、内部組織を示す。
(実施例2)
実施例2は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、18℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
実施例2は、表1および図10から明らかな通り、板状の複数の結晶が、放射状に成長している。板状ではあるが、球晶を示している状態である。すなわち、工程管理温度の下限が18℃であることが好適であることが分かる。
(実施例1)
実施例1は、実施例1において説明した通りであり、複数の結晶が複数方位(特に放射状)に成長した球晶を示している。加えて、外形も略球状を有しており、ある一つの位置から、複数の結晶が放射状に略同一長に成長した球晶でかつ略球状となることが分かる。
このため、工程管理温度が30℃であることは、球晶かつ略球状のカルサイト型炭酸カルシウムを得るのに適した温度であることが分かる。
(実施例3)
実施例3は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、40℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
表1および図11から明らかな通り、実施例3で得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を有する。加えて、外形も略球状を有する。このことから、工程管理温度が40℃であることは、球晶かつ略球状のカルサイト型炭酸カルシウムを得るのに適した温度であることが分かる。
(実施例4)
実施例4は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、50℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
表1および図12から明らかな通り、工程管理温度が50℃で得られるカルサイト型炭酸カルシウムの内部組織は、ある位置から複数の結晶が放射状に成長している。すなわち、実施例5のカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を有する。
(実施例5)
実施例5は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、60℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
実施例5のカルサイト型炭酸カルシウムは、表1および図13から明らかな通り、放射状多結晶体を示す。放射状多結晶体であるので、球晶の一部をその構造として有している。ただし、複数の結晶の成長の方位および長さに不均一があり、外形は紡錘形状を示している。
(比較例2)
比較例2は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。工程管理温度のみが、70℃±1℃とされたことのみが、実施例1と異なる。
比較例2の炭酸カルシウムでは、球晶を示さず、針状の結晶が析出している。加えて、工程管理温度が70℃で得られる炭酸カルシウムは、紡錘状の凝集物に加え、針状の結晶が無造作に成長している。この針状の結晶は、アラゴナイト相であることが確認された。
この点で、70℃の工程管理温度となると、得られる炭酸カルシウムは、放射状多結晶体を生じさせることができない。以上の表1の実験結果からわかる通り、放射状多結晶体を有するカルサイト型炭酸カルシウムを、炭酸化工程を含む製造工程で得るには、炭酸化工程の全体に渡っての工程管理温度が、18℃〜65℃であることが好ましい。
(その2:工程管理温度 : 炭酸化率によるその1)
炭酸化工程においては、炭酸化工程全体に渡っての温度範囲の規定だけでなく、炭酸化工程における水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率と、工程管理温度との関係を制御することが、球晶構造を有しつつ既述した平均粒径を有するカルサイト型炭酸カルシウムの製造に好適である。
まず、炭酸化工程において、水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%未満においては、工程管理温度が20℃〜55℃であり、更には、25℃〜35℃であることが好ましい。表2は、この炭酸化率が10%未満の場合における製造されるカルサイト型炭酸カルシウムの結果を示す表である。
表2は、この炭酸化率が10%未満での工程管理温度を様々に変えた場合の実施例6〜実施例9、比較例3の結果を示している。また、図15は、実施例6で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図16は、実施例7で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図17は、実施例8で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図18は、実施例9で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図19は、比較例3で得られる電子顕微鏡写真である。
表2に示される実施例6〜9および比較例3のそれぞれの製造工程と結果を説明する。
(実施例6)
実施例6は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例6では、炭酸化工程の開始温度を20℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
このようにして得られた実施例6のカルサイト型炭酸カルシウムは、表2および図15から明らかな通り板状の放射状となっている。板状の放射状であるので、球晶を示していることがわかる。この結果、10%未満の炭酸化率における工程管理温度は、20℃以上であればよいことが分かる。
(実施例7)
実施例7は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例7では、炭酸化工程の開始温度を25℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
表2および図16から明らかな通り、実施例7で得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を示している。加えて、外形も略球状である。この結果から、炭酸化率10%未満における工程管理温度は、更に好ましくは、25℃〜35℃であることが、実施例7の実験結果からも分かる。
(実施例8)
実施例8は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例8では、炭酸化工程の開始温度を40℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
表2および図17から明らかな通り、球晶を示している。外形も略球状に近いが、略楕円状も含まれており、略球状の外形の揃いが完全ではないが、球晶を示すカルサイト型炭酸カルシウムを得るために、炭酸化率10%未満での工程管理温度が20℃〜55℃、更には25℃〜35℃であることが好ましいことが分かる。
(実施例9)
実施例6は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例6では、炭酸化工程の開始温度を55℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
表2および図18から明らかな通り、実施例9のカルサイト型炭酸カルシウムは、球晶を生じさせている。また、外形も略球状もしくはこれに近い形状を示している。但し、粒径にばらつきはある。しかし、いずれにしても、炭酸化率10%未満での工程管理温度が、20℃〜55℃、更には25℃〜35℃であることが好ましいことが分かる。
(比較例3)
比較例3は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。比較例3では、炭酸化工程の開始温度を60℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を30℃±1℃にすることで、製造されるカルサイト型炭酸カルシウムである。
表2および図19から明らかな通り、比較例3で得られる炭酸カルシウムは、球晶となっていない。このことからも、炭酸化率10%未満においては、工程管理温度は、20℃〜55℃、更には25℃〜35℃であることが好ましいことが分かる。
特に、粒径の揃い方や外形が略球状を生じさせることまでを要求する場合には、実施例7と実施例8とで、その差が生じていることがそれぞれに対応する図16と図17の結果から分かる。この点で、工程管理温度の上限温度は、球晶であることのみを要求するのであれば55℃が適当であり、略球状の外形や粒径の揃いなども考慮すると、上限温度は35℃が適当である。
(工程管理温度 : 炭酸化率によるその2)
一方、炭酸化工程において、水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%以上においての工程管理温度が制御されることも好ましい。水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%以上においては、工程管理温度が20℃〜60℃であり、更には、20℃〜40℃であることが好ましい。表3は、この炭酸化率が10%以上の場合における製造されるカルサイト型炭酸カルシウムの結果を示す表である。
表3は、この炭酸化率が10%以降での工程管理温度を様々に変えた場合の実施例10〜実施例12、比較例4、5の結果を示している。また、図20は、比較例4で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図21は、実施例10で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図22は、実施例11で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図23は、実施例12で得られる炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図24は、比較例5で得られる電子顕微鏡写真である。
この実験では、それぞれの実施例および比較例での炭酸カルシウムを製作し、炭酸化率10%以降での工程管理温度の条件の最適値を確認した。
(比較例4)
比較例4は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。比較例4は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を18℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
比較例4で得られる炭酸カルシウムは、表3および図20から明らかな通り、板状の結晶の凝集物であり、板状の一次粒子の集合体でしかない。このため、比較例4での炭酸カルシウムは、球晶を有していない。このため、炭酸化率10%以上においての工程管理温度は、20℃未満では、球晶を有するカルサイト型炭酸カルシウムを得るには不十分である。
(実施例10)
実施例10は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例10は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を20℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
実施例10で得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、表3および図21から明らかな通り、球晶を示している。また、粒径にばらつきはあるものの、外形も略球状である。この結果、炭酸化率10%以降での工程管理温度が20℃以上であることは、球晶および略球状を有するカルサイト型炭酸カルシウムを得るのに適している。
(実施例11)
実施例11は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例11は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を40℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
実施例11で得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、表3および図22から明らかな通り、球晶を示している。また、外形も略球状を示しており、この工程管理温度が、球晶であり略球状であるカルサイト型炭酸カルシウムを得るには適切であることが分かる。
(実施例12)
実施例12は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。実施例12は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を60℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
実施例12で得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、表3および図23から明らかな通り、球晶を示している。また、外形も略球状を示しており、この工程管理温度が、球晶であり略球状であるカルサイト型炭酸カルシウムを得るには適切であることが分かる。ただし、粒径などにばらつきが生じる。このため、炭酸化率10%以上での工程管理温度は、60℃が上限であることが好ましいと考えられる。
(比較例5)
比較例5は、使用する水酸化カルシウム水懸濁液および炭酸化工程で使用する二酸化炭素ガスなどの量、反応速度は、実施例1で説明した場合と同じである。比較例5は、炭酸化工程の開始温度を30℃±1℃として、炭酸化率10%まではこの工程管理温度を維持し、炭酸化率10%を越えた後では、工程管理温度を65℃±1℃にすることで、製造される炭酸カルシウムである。
比較例5は、表3および図24から明らかな通り、紡錘状の凝集物となり、球晶を形成していない。すなわち、一次粒子の凝集物になってしまっている。このため、炭酸化率10%以降における工程管理温度が、60℃を超えると、球晶を有するカルサイト型炭酸カルシウムが得られない。
以上の実験結果から、炭酸化率10%以降における工程管理温度は、20℃〜60℃であり、更にこのましくは20℃〜40℃であることが分かる。
特に、図23、図24などから、外形の略球状を得ることも考慮すると、特に、20℃〜40℃であることが好ましい。
(その3:反応速度管理)
上記では、工程管理温度の制御について説明した。
球晶としての結晶構造を有しつつ外形が略球状に近く、加えて粒径も揃ったカルサイト型炭酸カルシウムを得るには、工程管理温度以外に、反応速度を管理することも好適である。
炭酸化工程において、炭酸化率が1%〜5%までの反応速度を2mol%/min以下とし、炭酸化率が5〜10%における反応速度を0.16mol%/min〜0.24mol%/minとし、炭酸化率10%以降の反応速度を1.1mol/min以下とすることが好適である。
ここで、カルサイト型炭酸カルシウムは、水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程を含む工程によって、まず、球晶の安定核の元となるエンブリオが形成される。ここで、エンブリオの数が制御されることが好ましい。次いで、炭酸化工程が進むと、エンブリオが安定核に成長する。更に炭酸化工程が進むと、安定核が更に成長する。このとき、安定核のみが成長するように制御されることが好ましい。
ここで、炭酸化率が1%〜5%、特に炭酸化率が2%〜3%において、エンブリオが形成される。このため、エンブリオの数が制御されるには、この炭酸化率の範囲における反応速度の制御が重要である。
炭酸化率が5%〜10%の範囲において、安定核が成長する。安定核を適切に成長させるには、この炭酸化率において、反応速度の制御が重要である。炭酸化率が10%以降においても新たな核形成が起こらないように、反応速度が制御されることが重要である。
このような結晶成長による球晶を有するカルサイト型炭酸カルシウムを得るために、炭酸化率の進行に合わせて反応速度を制御することが好ましい。一例として上述した次の手順での制御が好ましい。
(範囲1)炭酸化率が1%〜5%において
この範囲においては、反応速度が、2mol%/min以下に制御されることが好ましい。この反応速度によって、安定核の元となるエンブリオの数が制御されるからである。
(範囲2)炭酸化率が5%〜10%において
この範囲においては、反応速度が、0.16mol%/min〜0.24mol%/minに制御されることが好ましい。この反応速度によって、エンブリオを安定核に成長させつつ、安定核のみを成長させることができるからである。
(範囲3)炭酸化率が10%以上において
この範囲においては、反応速度が、1.1mol%/min以下に制御されることが好ましい。この反応速度によって、安定核のみを十分に成長させて球晶を得ることができるからである。
以上のように、炭酸化率によって、反応速度を制御することが、安定的な球晶であって、粒径が一定範囲に揃うカルサイト型炭酸カルシウムを製造できる。
ここで、上記の反応速度の制御が好適であることに関する実験結果を示す。発明者は、炭酸化率の違いによる反応速度をそれぞれ変化させることで、上記の反応速度の制御が適切であることを確認した。実験の結果は、表4に示される。
表4において、炭酸化率と反応速度とが対応するように、記載されている。炭酸化率のそれぞれの下の欄(格段において)に記載の数値は、反応速度(単位mol%/min)を示している。
表4は、この反応速度を様々にバリエーションさせた比較例6、実施例13〜15の結果を示している。また、図25は、比較例6で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図26は、実施例13で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図27は、実施例14で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。図28は、実施例15で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。
これら、比較例6、実施例13〜15での製作工程と結果を次に示す。
(比較例6)
比較例6は、反応開始から炭酸化率5%までの混合ガス吹き込み速さを3800ml/分、炭酸化率5%から炭酸化率10%までの混合ガス吹き込み速さを220ml/分、炭酸化率10%以降の混合ガス吹き込み速さを1950ml/分とした以外は実施例1と同じ製作工程で得られる炭酸カルシウムである。このような混合ガス吹き込み速さによって、比較例6は、炭酸化率が1%〜5%(範囲1)における反応速度は、2.5mol%/minであり、炭酸化率が5%〜10%(範囲2)における反応速度は、0.15mol%/minであり、炭酸化率が10%以上(範囲3)における反応速度は、1.15mol%/minで得られる炭酸カルシウムである。
表4および図25から明らかな通り、比較例6の炭酸カルシウムは、微小粒子凝集物となってしまい、球晶を示さない。このため、反応速度が、上述した範囲を外れていると、球晶を有するカルサイト型炭酸カルシウムが得られないことが分かる。
(実施例13)
実施例13は、反応開始から炭酸化率5%までの混合ガス吹き込み速さを3000ml/分、炭酸化率5%から炭酸化率10%までの混合ガス吹き込み速さを350ml/分、炭酸化率10%以降の混合ガス吹き込み速さを1800ml/分とした以外は実施例1と同じ工程で得られるカルサイト型炭酸カルシウムである。
このような吹き込み速度によって、炭酸化率が1%〜5%(範囲1)における反応速度2mol%/minであり、炭酸化率が5%〜10%(範囲2)における反応速度は、0.23mol%/minであり、炭酸化率が10%以上(範囲3)における反応速度は、1.1mol%/minである場合に、製造されたカルサイト型炭酸カルシウムの結果を示す。この条件は、範囲1〜範囲3のそれぞれにおいて、上述した最適値の範囲に収まっている。
実施例13で得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、表4および図26から明らかな通り、平均粒子径が5μmである球晶である。また、外形も略球状に近く、充填材などに理想的に使用できるカルサイト型炭酸カルシウムであることが分かる。
(実施例14)
実施例14は、反応開始から炭酸化率5%までの混合ガス吹き込み速さを15ml/分、炭酸化率5%から炭酸化率10%までの混合ガス吹き込み速さを240ml/分、炭酸化率10%以降の混合ガス吹き込み速さを1500ml/分とした以外は実施例1とした以外は、実施例1と同じ工程で得られるカルサイト型炭酸カルシウムである。
このような吹き込み速度によって、実施例14は、炭酸化率が1%〜5%(範囲1)における反応速度0.22mol%/minであり、炭酸化率が5%〜10%(範囲2)における反応速度は、0.2mol%/minであり、炭酸化率が10%以上(範囲3)における反応速度は、0.9mol%/minである場合に、製造されたカルサイト型炭酸カルシウムである。この条件は、範囲1〜範囲3のそれぞれにおいて、上述した最適値の範囲に収まっている。
実施例14で得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、表4および図27から明らかな通り、平均粒子径が10μmである球晶である。また、外形も略球状に近く、充填剤などに理想的に使用できるカルサイト型炭酸カルシウムであることが分かる。
(実施例15)
実施例15は、炭酸化率が1%〜5%(範囲1)における反応速度0.005mol%/minであり、炭酸化率が5%〜10%(範囲2)における反応速度は、0.16mol%/minであり、炭酸化率が10%以上(範囲3)における反応速度は、0.9mol%/minである場合に、製造されたカルサイト型炭酸カルシウムの結果を示す。この4段目の条件は、範囲1〜範囲3のそれぞれにおいて、上述した最適値の範囲に収まっている。
実施例15で得られるカルサイト型炭酸カルシウムは、表4および図28から明らかな通り、球晶であって外形が略球状である。このとき、平均粒径は40μmである。上述の範囲に収まる反応速度で処理することで、球晶であるカルサイト型炭酸カルシウムが得られる。
このように、反応速度を炭酸化率に合わせて制御することで、球晶であって外形が略球状となるカルサイト型炭酸カルシウムを得ることができる。特に、その粒径を調整することも可能となる。
(縮合燐酸の添加)
次に、球晶をより効率よく成長させるために、炭酸化工程の前、または最中の少なくともいずれかの時点で、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩を添加する工程を含む場合について説明する。炭酸化工程の前または最中のいずれかの時点で、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩を、仕込みの水酸化カルシウムに対して、0.03重量%から1.5重量%の範囲で1回以上添加する工程が、更に含まれて、カルサイト型炭酸カルシウムが製造される。
縮合燐酸もしくはそのアルカリ金属塩が添加される工程により、球晶の成長が促され、また粒径がそろいやすくなるメリットがある。ここで、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩は、炭酸化工程の前または最中の少なくともいずれかの時点で、添加されることが適当であるが、炭酸化率が25%未満の段階で、1回のみ添加されることが更に適当である。この段階で1回のみ添加されることで、球晶の成長において、複数の結晶のそれぞれが、放射状の複数方位において略同一に成長するようになり、外形がより略球状になりやすい。
(実施の形態3)
次に実施の形態3について説明する。
実施の形態3では、水酸アパタイト層3を形成する滴下工程の工夫について説明する。実施の形態1で説明した通り、滴下工程によって、球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウム2の外周を、水酸アパタイト層3で覆うことができる。
このとき、滴下工程でのスラリー溶液の溶液温度によって、水酸アパタイト層3の形成態様を変化させることができる。あるいは、カルサイト型炭酸カルシウム2と滴下工程で使用されるリン酸等のリンとのモル比率を制御することで、やはり水酸アパタイト層3の形成態様を変化させることができる。
これらの水酸アパタイト層3の形成態様の変化によって、炭酸カルシウム複合体1の用途への適性をさまざまに調整することができる。
(製造条件その1:滴下工程の溶液温度範囲1)
滴下工程が実行される際のスラリー溶液(図5での球晶構造のカルサイト型炭酸カルシウム2が含まれるスラリー溶液)の溶液温度が、50℃〜80℃に管理されることが好ましい。このスラリー溶液の溶液温度が、50℃〜80℃に管理されることで、球晶構造を有するカルサイト型カルシウム2の外周を覆う水酸アパタイト層3が、鱗片状の形態を有するようになる(なお、他のバリエーションと合せて、まとめて後述する)。
鱗片状の水酸アパタイト層3として形成されることで、水酸アパタイト層3全体の表面積が大きくなる。加えて、鱗片状であることで、水酸アパタイト層3が、鱗のような多数の形状で覆われるので、鱗片同士の重なりや隙間もたくさん生じうる。
このような鱗片状となる結果、水酸アパタイト層3は、油分を含みやすくなる。油分を含みやすくなることで、例えば炭酸カルシウム複合体1が、化粧料に用いられたり、皮膚クリームに用いられたりする場合には、皮膚へのなじみがよくなり、さらには皮膚への吸着性が高まり、化粧崩れがしにくいメリットが生じる。
もちろん、炭酸カルシウム複合体1が、顔料や塗料などに用いられる場合も、水酸アパタイト層3が、鱗片状であることで油分の含みがよくなり、塗布性能や塗布後の耐久性が高まるメリットがある。
(製造条件その2:滴下工程の溶液温度範囲2)
滴下工程が実行される際のスラリー溶液(図5での球晶構造のカルサイト型炭酸カルシウム2が含まれるスラリー溶液)の溶液温度が、10℃〜50℃もしくは80℃〜100℃に管理されることが好ましい。このスラリー溶液の溶液温度が、10℃〜50℃もしくは80℃〜100℃に管理されることで、球晶構造を有するカルサイト型カルシウム2の外周を覆う水酸アパタイト層3が、粒状を有するようになる。
粒状の水酸アパタイト層3であることで、水酸アパタイト層3の表面が滑らかになる。鱗片状と異なり、粒状であれば、それだけ水酸アパタイト層3の表面は、細かな要素に覆われることになる。結果として、当然に、水酸アパタイト層3の表面がより滑らかになるのに加えしっとり感が得られる。
このような表面が滑らかである粒状の水酸アパタイト層3の炭酸カルシウム複合体1の場合には、すべり性が高くなる。このため、この炭酸カルシウム複合体1が、化粧料や皮膚クリームなどに添加される場合には、すべり性が高くなり、さらさらかつしっとりとした感触を生じさせる。
あるいは、顔料や塗料に添加される場合にも、同様にさらさらと滑らかになる。結果として、全体として滑らかさやさらさら感が優先される組成物が実現できる。
(製造条件その3:カルシウムとリンとの比率の調整)
カルサイト型炭酸カルシウム2と、滴下工程で滴下されるリン酸等のリンとのモル比率であるCa/Pが1.8〜100であることが好ましい。
この比率の範囲である場合には、水酸アパタイト層3が、鱗片状となるかもしくは炭酸カルシウム複合体同士が凝集した炭酸カルシウム凝集体となるからである。いずれの場合にも、顔料、化粧料、美容剤、歯磨き剤、塗料、研磨剤および研磨補助剤などの組成物に添加するのに適している。
これに対して、上記範囲を外れる場合には、製造される炭酸カルシウム複合体は、水酸アパタイト層3が形成されなかったり本来生じてほしくない異なる異相が生じてしまったりすることがある。
これらの結果、目的とする水酸アパタイト層3が外周を覆った球晶構造を有する炭酸カルシウム複合体1が製造できない。このため、カルサイト型炭酸カルシウム2と、滴下工程で滴下されるリン酸等のリンとのモル比率であるCa/Pが1.8〜100であることが好ましい。
(実験結果)
以上の製造条件その1〜その3についての実験結果を説明する。表5は、実施の形態3で説明した実験の製造条件その1〜その3をまとめたものである。表5では、比較例10〜12、実施例20〜34を示している。比較例や実施例のそれぞれについては、代表的なものだけを写真として示している。
(比較例10)
比較例10は、Ca/Pが27であり、スラリー溶液の溶液温度(以下、(溶液温度という)が10℃±1℃であり、滴下工程における滴下時間(以下、「滴下時間」という)が30分である条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。
比較例10は、水酸アパタイト層が、粒状であり、炭酸カルシウム複合体として使用できるが滴下時間が短いことで、水酸アパタイト層の成長が不十分とみられる部分も生じた。比較例10は、10℃以下にするというエネルギー効率の悪さによって、適当な製作例ではない。
比較例10のように水酸アパタイト層が形成されない炭酸カルシウム複合体の写真を図29に示す。図29は、水酸アパタイト層が形成されない(上記の製造条件その1〜その3を満たしていない)炭酸カルシウム複合体の電子顕微鏡写真である。
(実施例20)
実施例20は、Ca/Pが27であり、溶液温度が15℃±1℃であり、滴下時間が120分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例20の製造条件のそれぞれは、上述した製造条件その2とその3とを満たすものである。
これらの結果、実施例20の炭酸カルシウム複合体は、粒状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が粒状であるので、実施例20の炭酸カルシウム複合体を添加した化粧品は、すべり性がよくさらさらかつしっとりとしているメリットがある。
(実施例21)
実施例21は、Ca/Pが27であり、溶液温度が20℃±1℃であり、滴下時間が120分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例20の製造条件のそれぞれは、上述した製造条件その2とその3とを満たすものである。
これらの結果、実施例21の炭酸カルシウム複合体は、粒状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が粒状であるので、実施例21の炭酸カルシウム複合体を添加した化粧品は、すべり性がよくさらさらかつしっとりとしているメリットがある。
実施例20や21などの粒状の水酸アパタイト層が形成されている炭酸カルシウム複合体を、図30に示す。図30は、製造条件その2、その3を満たして製造された粒状の水酸アパタイト層を有する炭酸カルシウム複合体の電子顕微鏡写真である。
(実施例22)
実施例22は、Ca/Pが27であり、溶液温度が30℃±1℃であり、滴下時間が120分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例20の製造条件のそれぞれは、上述した製造条件その2とその3とを満たすものである。
これらの結果、実施例22の炭酸カルシウム複合体は、粒状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が粒状であるので、実施例22の炭酸カルシウム複合体を添加した化粧品は、すべり性がよくさらさらとかつしっとりしているメリットがある。
(実施例23)
実施例23は、Ca/Pが27であり、溶液温度が50℃±1℃であり、滴下時間が120分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例23の製造条件のそれぞれは、上述した製造条件その2とその3とを満たすものである。
これらの結果、実施例23の炭酸カルシウム複合体は、鱗片状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が鱗片状であるので、実施例23の炭酸カルシウム複合体が添加された化粧品では、化粧崩れが起こりにくいメリットがある。
(実施例24)
実施例24は、Ca/Pが27であり、溶液温度が60℃±1℃であり、滴下時間が120分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例24の製造条件のそれぞれは、上述した製造条件その1と製造条件その3とを満たすものである。
これらの結果、実施例20の炭酸カルシウム複合体は、鱗片状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている特に、水酸アパタイト層が鱗片状であるので、実施例24の炭酸カルシウム複合体が添加された化粧品では、化粧崩れが起こりにくいメリットがある。
(実施例25)
実施例25は、Ca/Pが27であり、溶液温度が70℃±1℃であり、滴下時間が120分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例25の製造条件のそれぞれは、上述した製造条件その1と製造条件その3とを満たすものである。
これらの結果、実施例25の炭酸カルシウム複合体は、鱗片状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が鱗片状であるので、実施例25の炭酸カルシウム複合体が添加された化粧品では、化粧崩れが起こりにくいメリットがある。
実施例23〜25などで製造された鱗片状の水酸アパタイト層を有する炭酸カルシウム複合体を図31に示す。図31は、製造条件その1、その3を満たして鱗片状の水酸アパタイト層を有する炭酸カルシウム複合体の電子顕微鏡写真である。
(実施例26)
実施例26は、Ca/Pが27であり、溶液温度が80℃±1℃であり、滴下時間が120分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例26の製造条件のそれぞれは、上述した製造条件その2と製造条件その3とを満たすものである。
これらの結果、実施例26の炭酸カルシウム複合体は、粒状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が粒状であるので、実施例26の炭酸カルシウム複合体を添加した化粧品は、すべり性がよくさらさらかつしっとりとしているメリットがある。
(実施例27)
実施例27は、Ca/Pが27であり、溶液温度が90℃±1℃であり、滴下時間が120分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例26の製造条件のそれぞれは、上述した製造条件その2と製造条件その3とを満たすものである。
これらの結果、実施例27の炭酸カルシウム複合体は、粒状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が粒状であるので、実施例27の炭酸カルシウム複合体を添加した化粧品は、すべり性がよくさらさらかつしっとりとしているメリットがある。
(実施例28)
実施例28は、Ca/Pが27であり、溶液温度が95℃±1℃であり、滴下時間が120分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例28の製造条件のそれぞれは、上述した製造条件その2と製造条件その3とを満たすものである。
これらの結果、実施例28の炭酸カルシウム複合体は、粒状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が粒状であるので、実施例28の炭酸カルシウム複合体を添加した化粧品は、すべり性がよくさらさらかつしっとりとしているメリットがある。
(比較例11)
比較例11は、Ca/Pが150であり、溶液温度が70℃±1℃であり、滴下時間が30分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。上述した製造条件3を満たしていない。この結果、比較例11で得られる炭酸カルシウム複合体は、水酸アパタイト層を確認できなかった。
(実施例29)
実施例29は、Ca/Pが80であり、溶液温度が70℃±1℃であり、滴下時間が30分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例29の製造条件のそれぞれは、製造条件その1、その3を満たすものである。
これらの結果、実施例29の炭酸カルシウム複合体は、鱗片状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が鱗片状であるので、実施例29の炭酸カルシウム複合体が添加された化粧品では、化粧崩れが起こりにくいメリットがある。
(実施例30)
実施例30は、Ca/Pが50であり、溶液温度が70℃±1℃であり、滴下時間が30分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例30の製造条件のそれぞれは、製造条件その1、その3を満たすものである。
これらの結果、実施例30の炭酸カルシウム複合体は、鱗片状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が鱗片状であるので、実施例30の炭酸カルシウム複合体が添加された化粧品では、化粧崩れが起こりにくいメリットがある。
(実施例31)
実施例31は、Ca/Pが27であり、溶液温度が70℃±1℃であり、滴下時間が30分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例31の製造条件のそれぞれは、製造条件その1、その3を満たすものである。
これらの結果、実施例31の炭酸カルシウム複合体は、鱗片状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が鱗片状であるので、実施例31の炭酸カルシウム複合体が添加された化粧品では、化粧崩れが起こりにくいメリットがある。
(実施例32)
実施例32は、Ca/Pが13であり、溶液温度が70℃±1℃であり、滴下時間が30分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例32の製造条件のそれぞれは、製造条件その1、その3を満たすものである。
これらの結果、実施例32の炭酸カルシウム複合体は、鱗片状の水酸アパタイト層を有し、目的とする様々な組成物への添加剤として使用できる炭酸カルシウム複合体となっている。特に、水酸アパタイト層が鱗片状であるので、実施例32の炭酸カルシウム複合体が添加された化粧品では、化粧崩れが起こりにくいメリットがある。
(実施例33)
実施例33は、Ca/Pが2であり、溶液温度が70℃±1℃であり、滴下時間が30分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例33の製造条件のそれぞれは、製造条件その1を満たすものであるが製造条件その3の限界値に近い値である。
実施例33の炭酸カルシウム複合体は、単一の炭酸カルシウム複合体が複数になって相互に凝集した凝集体となる。すなわち、複数の炭酸カルシウム複合体が凝集した炭酸カルシウム凝集体となる。
炭酸カルシウム凝集体となることで、添加剤としての使用においてより単一の大きさが大きくなり、適した使われ方のバリエーションが広がる。
(実施例34)
実施例34は、Ca/Pが1.8であり、溶液温度が70℃±1℃であり、滴下時間が30分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。実施例34の製造条件のそれぞれは、製造条件その1を満たすものであるが製造条件その3の限界値である。
実施例34の炭酸カルシウム複合体は、単一の炭酸カルシウム複合体が複数になって相互に凝集した凝集体となる。すなわち、複数の炭酸カルシウム複合体が凝集した炭酸カルシウム凝集体となる。
炭酸カルシウム凝集体となることで、添加剤としての使用においてより単一の大きさが大きくなり、適した使われ方のバリエーションが広がる。
実施例33、34で得られる炭酸カルシウム凝集体を、図32に示す。図32は、炭酸カルシウム凝集体の電子顕微鏡写真である。
(比較例12)
比較例12は、Ca/Pが165であり、溶液温度が70℃±1℃であり、滴下時間が30分の条件で製造された炭酸カルシウム複合体である。製造条件のその3を満たさない。
この結果、比較例12は、異相を析出してしまい、目的とする炭酸カルシウム複合体とならなかった。
以上の表5の実験結果から、最適な水酸アパタイト層を形成するためには、製造条件その1〜その3が必要であることが確認された。
(実施の形態4)
次に実施の形態5について説明する。
実施の形態4では、実施の形態1〜3で得られる炭酸カルシウム複合体の利用について説明する。炭酸カルシウム複合体1は、光沢性をぼかすので、ソフトフォーカスを必要とする様々な物品に利用される。また、球晶であって、外形も略球状や略楕円球状になり、かつ粒径も小さいので、様々な物品に混合されやすい。混合されやすいだけでなく、混合工程や混合後において、炭酸カルシウム複合体1が破壊されたり損傷したりすることが少ない。このため、利用性が非常に高い。
このため、炭酸カルシウム複合体1は、様々な素材の充填材として利用される。言い換えれば、実施の形態1〜3で説明した炭酸カルシウム複合体1を充填材として含む、種々の素材は、それぞれの物性を向上させるメリットがある。
この光沢性(もちろん強度や耐久性も含めて)に基づいて、実施の形態1,2で得られる炭酸カルシウム複合体1は、顔料に混合されてもよい。あるいは、化粧料に混合されても良い。いずれの物品も光沢性を抑制することが、商品価値を上げるからである。
このように、実施の形態1〜3で得られる炭酸カルシウム複合体1を含む顔料や化粧料は、光沢性の抑制に優れたものとなる。
また、実施の形態1〜3で得られる炭酸カルシウム複合体1は、増量用の物質としての利用も好適である。炭酸カルシウム複合体1の基本原料である石灰は大量にあるので、実施の形態1〜3で説明した製造工程によって製造される炭酸カルシウム複合体1は、大量に製造することも可能となりうるからである。
例えば、充填剤などに利用できる。充填材は、例えば樹脂やゴムなどの素材の体積を、その特性を変質させずに増加させることができる。実施の形態1〜3で得られる炭酸カルシウム複合体1は、球晶を有しており、外形も略球状もしくは略楕円球状となるので、混合された後の素材の触感に悪影響を与えない。また、球晶であることで、混合工程や混合後に、炭酸カルシウム複合体1が破壊や損傷されることも無いので、利用性が高い。このように、実施の形態1〜3で得られる炭酸カルシウム複合体1を含む充填材は、高い利用性を有する。
以上のように、実施の形態1〜3で得られる炭酸カルシウム複合体1は、球晶でありつつ略球状などの特徴である耐久性と外形の利用性の両立と、光沢性と、を利用して、様々な物品に利用できる。加えて、実施の形態1で説明した通り、水酸アパタイト層3の存在により、人体への刺激性の低減や、適用対象への親和性などを向上させることができる。
以上、実施の形態1〜4で説明された炭酸カルシウム複合体は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
1 炭酸カルシウム複合体
2 カルサイト型炭酸カルシウム
3 水酸アパタイト層

Claims (18)

  1. 球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムと、
    前記カルサイト型炭酸カルシウムの外周に形成される水酸アパタイト層と、からなる、炭酸カルシウム複合体。
  2. 前記球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムは、
    水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程を一部に含む製造工程で製造され、
    複数の結晶のそれぞれが、単数又は複数の位置から複数方位に成長した多結晶体である、請求項1記載の炭酸カルシウム複合体。
  3. 前記水酸化カルシウム水懸濁液に、二酸化炭素ガスを添加する前記炭酸化工程での工程管理温度が、18℃〜65℃である、請求項2記載の炭酸カルシウム複合体。
  4. 前記炭酸化工程において、前記水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%未満においては、前記工程管理温度が、20℃〜55℃であり、更に好ましくは25℃〜35℃である、請求項3記載の炭酸カルシウム複合体。
  5. 前記炭酸化工程において、前記水酸化カルシウム水懸濁液の炭酸化率が10%以上においては、前記工程管理温度が、20℃〜60℃であり、更に好ましくは20℃〜40℃である、請求項3または4記載の炭酸カルシウム複合体。
  6. 前記炭酸化工程において、炭酸化率が1〜5%までの反応速度を2mol%/min以下とし、炭酸化率が5〜10%における反応速度を0.16mol%/min〜0.24mol%/minとし、炭酸化率10%以降の反応速度を1.1mol/min以下とする、請求項3から5のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。
  7. 前記炭酸化工程の前、または最中の少なくともいずれかの時点で、縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩を、前記水酸化カルシウム水懸濁液中の水酸化カルシウムに対して、前記縮合燐酸あるいはそのアルカリ金属塩に含まれる燐の含有量が0.03重量%から1.5重量%の範囲の範囲になるように、1回以上添加する工程を更に含んで製造される、請求項2から6のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。
  8. 前記複数の結晶のそれぞれが、一つの位置から放射状に略同一長に成長して球晶となり、外形上は略球状を有する、請求項2から7のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。
  9. 前記炭酸化工程の後で得られる球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムのスラリー溶液に、リン酸あるいはリン酸塩溶液が滴下される滴下工程で、前記水酸アパタイト層が形成される、請求項1から8のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。
  10. 前記滴下工程において、前記スラリー溶液の溶液温度が、50℃〜80℃に管理される、請求項9記載の炭酸カルシウム複合体。
  11. 前記滴下工程において、前記スラリー溶液の溶液温度が、10℃〜50℃もしくは80℃〜100℃に管理される、請求項9記載の炭酸カルシウム複合体。
  12. 前記カルサイト型炭酸カルシウムと前記リンとのモル比率であるCa/Pが、1.8〜100である、請求項9から11のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。
  13. 前記水酸アパタイト層が、鱗片状を有する、請求項1から12のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。
  14. 前記水酸アパタイト層が、粒状を有する、請求項1から12のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体。
  15. 請求項1から14のいずれか記載の複数の前記炭酸カルシウム複合体が、凝集結合した、炭酸カルシウム凝集体。
  16. 請求項1から14のいずれか記載の炭酸カルシウム複合体が添加された組成物。
  17. 前記組成物は、顔料、化粧料、美容剤、歯磨き剤、塗料、研磨剤および研磨助剤のいずれかである、請求項16記載の組成物。
  18. 水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素ガスを添加する炭酸化工程と、
    前記炭酸化工程の後で得られる球晶構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムのスラリー溶液に、リン酸あるいはリン酸塩溶液が滴下される滴下工程と、を備え、
    球晶構造を有する前記カルサイト型炭酸カルシウムの外周に、水酸アパタイト層が形成される炭酸カルシウム複合体の製造方法。
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