JP2016027354A - 偏光板用積層体、これを含む偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリマーフィルムと、スルホニル基含有化合物を含む層と、を含み、かつ芳香族二級アミンを、前記ポリマーフィルムおよびスルホニル基含有化合物を含む層の少なくとも一方に含む偏光板用積層体。偏光板。液晶表示装置。
【選択図】なし
Description
ポリマーフィルムと、
スルホニル基含有化合物を含む層と、
を含み、かつ
芳香族二級アミンを、上記ポリマーフィルムおよびスルホニル基含有化合物を含む層の少なくとも一方に含む偏光板用積層体、
を見出すに至った。以下、この点について更に説明する。ただし、以下は本発明者による推察であって、本発明を何ら限定するものではない。
しかし、スルホニル基含有化合物は、熱や湿度により経時とともに極微量ながら強酸を発生する。ここで発生した強酸が、ポリマーフィルムを変質(加水分解等)させることが、前述のヘイズ発生(透過率低下)の原因と考えられる。
一方、本発明者が、上記現象を解消するために、塩基性化合物により強酸を中和することを試みたところ、ポリマーフィルムの変質を防ぐことは可能となったが、偏光子が変質する場合があることが判明した。偏光子の変質は偏光性能を劣化させるため、回避すべきである。
そこで本発明者は更なる検討を重ねた結果、強酸を中和するための塩基性化合物として、芳香族二級アミンを用いることにより、ポリマーフィルムの透過率低下と偏光板の帯電をともに防ぎ、さらに偏光子の変質を抑制することが可能になることを見出すに至った。芳香族二級アミンが、帯電防止剤として機能するスルホニル基含有化合物由来の強酸によるポリマーフィルムの変質を防ぐことができることによるものであると、本発明者は推察している。
上記偏光板用積層体は、以上の知見に基づき完成された。
上述の偏光板用積層体と、
偏光子と、
を含む偏光板、
に関する。
上述の偏光板と、
液晶セルと、
を含む液晶表示装置、
に関する。
本発明の一態様は、ポリマーフィルムと、スルホニル基含有化合物を含む層と、を含み、かつ芳香族二級アミンを、上記ポリマーフィルムおよびスルホニル基含有化合物を含む層の少なくとも一方に含む偏光板用積層体に関する。
以下、本発明の偏光板用積層体(以下、単に「積層体」ともいう。)について、更に詳細に説明する。なお、本発明において、ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。また、本発明において、「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
上記スルホニル基含有化合物は、スルホニル基(−SO2−)を少なくとも1つ含む化合物であって、帯電防止剤として機能することができる。スルホニル基は、スルホニルイミドアニオン[(−SO2−N−SO2−)-]として含まれていてもよい。また、スルホニル基含有化合物には、先に記載したスチレンスルホン酸の重合体のように、スルホ基(−SO3H)またはその塩の形態で、スルホニル基を含む化合物も包含される。
本発明の偏光板用積層体は、偏光子と組み合わせて偏光板を作製するために用いることができる。こうして得られる偏光板の具体的態様を、図1および図2に示す。なお、これら図面は層構成を例示するために示すものであって、各層の厚さは、図面に示す態様に何ら限定されるものではない。
先に説明したように、前述のスルホニル基含有化合物が経時変化し発生する強酸がポリマーフィルムの変質の原因と考えられるため、強酸の影響により最も変質しやすい部分は、スルホニル基含有化合物を含む層と直接接するポリマーフィルムである。したがって、かかるポリマーフィルム(図1中のポリマーフィルム12b、図2中のポリマーフィルム22b)に、芳香族二級アミンを添加することが好ましい。またはスルホニル基含有化合物を含む層に芳香族二級アミンを添加することにより、スルホニル基含有化合物由来の強酸をこの層内で中和することで、強酸がポリマーフィルムに移行しポリマーフィルムを変質させることを防ぐことができる。なお以下において、二層が直接接する層として存在することを、「隣接」と記載する。上記した理由から、スルホニル基含有化合物を含む層に、またはこの層に隣接するポリマーフィルムに、芳香族二級アミンが含まれることが好ましい。ただし、強酸が経時とともに層内および層間を移動し、隣接していないポリマーフィルムに達することもある。この点から、スルホニル基含有化合物を含む層に隣接しないポリマーフィルム(図1中のポリマーフィルム12a、図2中のポリマーフィルム22a)や任意に設けられる他の層(図示せず)に、芳香族二級アミンを添加することも好ましい。
また、前述のスルホニル基含有導電性ポリマーを使用する態様においては、導電性ポリマーのみで層を形成してもよく、他の樹脂(バインダ樹脂)を含んでもよい。バインダ樹脂を含む場合は、良好な帯電防止効果を得る観点から、バインダ樹脂の割合は、固形分換算で、導電性ポリマー100質量部に対して、例えば3000質量部以下、好ましくは1000質量部以下、さらに好ましくは500質量部以下とすることができる。
次に、本発明の積層体に含まれる芳香族二級アミンについて説明する。
本発明の偏光板は、前述の偏光板用積層体と、偏光子と、を含む。本発明の偏光板の層構成の具体的態様は、例えば図1、図2に示す態様である。ただし本発明の偏光板は、図1、図2に示す態様に限定されるものではなく、例えば図示されていない層を任意の位置に含む態様も、本発明に包含される。
以下、本発明の偏光板に含まれる各部材について説明する。
ポリマーフィルムは、単層フィルムまたは二層以上のポリマーフィルムが積層された積層フィルムであることができる。芳香族二級アミンが積層フィルムであるポリマーフィルムに含まれる場合には、積層フィルムを構成する少なくとも一層のフィルムに、芳香族二級アミンが含まれればよい。
偏光子は特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光膜、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系の偏光膜等を利用することができる。これらの中でも前者が一般的に使用されている。偏光子は、通常、延伸したポリビニルアルコールのホウ酸などの酸により架橋され、配向が固定されている。先に記載したように、塩基性化合物として、脂肪族二級アミンや一級アミンを用いると、この酸架橋が崩壊することが、これらアミンの使用により、偏光性能が劣化する原因と考えられる。これに対し、本発明では、塩基性化合物として芳香族二級アミンを用いるため、偏光性能の劣化を招くことなく、前述の強酸によりポリマーフィルムが変質することを防ぐことができる。
偏光子の厚みについては特に制限はないが、偏光板全体の厚みは薄いほうが好ましい。この点から、偏光子の厚みは5〜40μm程度であることが好ましい。
図1、図2を参照し説明した通り、スルホニル基含有化合物を含む層は、粘着剤層であってもよい。この場合、粘着剤層が帯電防止層として機能し得る。一方、スルホニル基含有化合物を含む層は、粘着剤層とは別の層として、粘着剤層とポリマーフィルムとの間に位置する層(中間層)であってもよい。この中間層は、帯電防止層として機能し得るものである。
上記剥離性フィルムを剥離する際に生じる帯電は、前述のように、偏光板が組み込まれた液晶表示装置の表示不良の原因となる。また、帯電によるゴミの付着も表示不良の原因になる。特に液晶セルとの貼り合わせ面に帯電によりゴミが付着すると、その後に除去することは困難である。このような帯電を防止するうえで、図1、図2に示すように、剥離性フィルムとポリマーフィルムの間に上記スルホニル基含有化合物を含む層を設けることは、有効である。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板と、液晶セルと、を含む。本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を、液晶セルの視認側(フロント側)およびバックライト側(リア側)の少なくとも一方に有することができ、両方に有することもできる。視認側の偏光板において発生する帯電は、液晶表示装置の表示性能等に大きく影響する。この点からは、帯電防止剤として機能し得るスルホニル基含有化合物を含む本発明の偏光板を、液晶セルの少なくとも視認側に配置することが好ましい。
以下の説明において、共流延による製膜において、主流から形成される層がコア層であり、支持体面側の層が支持体層、支持体層とは反対側の層がエア層である。
(1)コア層用ドープ1の調製
下記組成のコア層用ドープ1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープ1の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・セルロースアシレート(アシル置換度2.88 数平均分子量72000)
100質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 320質量部
・メタノール(第2溶媒) 83質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 3質量部
・添加剤T 10質量部
・添加剤UV1 1質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
攪拌羽根を有する4000Lのステンレス性溶解タンクに、上記混合溶媒をよく攪拌・分散しつつ、セルロースアセテート粉体(フレーク)、添加剤T、UV1を徐々に添加し、全体が2000kgになるように調製した。なお、溶媒は、すべてその含水率が0.5質量%以下のものを使用した。まず、セルロースアセテートの粉末は、分散タンクに粉体を投入して、攪拌剪断速度を最初は5m/sec(剪断応力5×104kgf/m/sec2)の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸および、中心軸にアンカー翼を有して周速1m/sec(剪断応力1×104kgf/m/sec2)で攪拌する条件下で30分間分散した。分散の開始温度は25℃であり、最終到達温度は48℃となった。分散終了後、高速攪拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secとしてさらに100分間攪拌し、セルロースアセテートフレークを膨潤させた。
次に36℃まで温度を下げ、公称孔径8μmの濾材を通過させドープを得た。
マット剤(二酸化ケイ素(粒径20nm))と上記コア層用ドープ1を、静止型混合器を介して混合させて支持体層用ドープ2を調製した。添加量は、全固形分濃度が20.2質量%、マット剤濃度が0.033質量%となるように行った。
マット剤(二酸化ケイ素(粒径20nm))を静止型混合器を介して上記コア層用ドープ1に混合させて、エア層用ドープ3を調製した。添加量は、全固形分濃度が20.2質量%、マット剤濃度が0.033質量%となるように行った。
流延ダイとして、共流延用に調整したフィードブロックを装備して、主流のほかに両面にそれぞれ積層して3層構造のフィルムを成形できるようにした装置を用いた。なお、ドープの送液流路は、コア層用、支持体層用、エア層用の3流路を用いた。
コア層用ドープ1、支持体層用ドープ2、エア層用ドープ3に添加する添加剤の種類、添加量およびフィルム厚みの1つ以上を表4に示すように変更した点以外、フィルム1の作製と同様の方法により、フィルム2〜12、18を得た。フィルム1とはフィルム厚みの異なるフィルムは、フィルム厚み(全膜厚)に対するエア層、コア層、支持体層の厚みの割合が、フィルム1と同じになるように設定して作製した。なおフィルム6〜12、18には、コア層、支持体層およびエア層の全層に表4に示すアミンを、全層に含まれる樹脂に対する全層のアミン添加量の合計が表4に示す値となるように添加した。
(1)ドープ調製
<1−1> セルロースアシレート溶液
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液
――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート(アシル置換度:表4に記載 数平均分子量76000)
100.0質量部
ジクロロメタン 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
次に上記方法で作製したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
ジクロロメタン 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記方法で作製したセルロースアシレート溶液をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、表に記載の各添加剤を添加して、添加剤溶液を調製した。フィルム15〜17については、表4に示すアミンを、樹脂に対する添加量が表4に示す値となるよう添加した。
なお、表4に示すオリゴマーA〜Eは下記表3に示した組成を有する。
上述の製膜用ドープを、金属製のバンド流延機で流延した。バンドの裏面および表面の双方から給気温度80℃〜130℃(排気温度は75℃〜120℃)乾燥風を吹き当てて乾燥させた後、残留揮発分が30%のときにバンドから剥ぎ取った。
フィルム13〜17、20、21については、上記のバンドからの剥ぎ取り後、残留溶媒濃度10%のときに、テンターゾーンにおいて延伸温度160℃でフィルム幅方向に30%延伸し、セルロースアシレートフィルムを製造した。
位相差フィルム19の支持体フィルムについては、残留溶剤0%のときに、テンターゾーンにおいて延伸温度190℃でフィルム幅方向に70%延伸し、セルロースアシレートフィルムを製造した。
(1)鹸化処理
上記で作製した支持体フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(液温55℃)に3分間浸漬した。その後、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、支持体フィルムの表面の鹸化処理を行った。
アクリル系混合物(下記ACR1:下記ACR2=67:33質量比)100質量部、光重合開始剤(BASF製イルガキュア(登録商標)127)4質量部、およびMIBK(メチルイソブチルケトン)/酢酸メチル(=30:70質量比)溶剤を混合し、20質量%になるようにアクリル系樹脂含有層形成用組成物を調製した。調製した組成物を、上記支持体フィルム表面に#1.6のワイヤーバーコーターで塗布した、60℃で0.5分乾燥後、アクリル系混合物の架橋のために、120W/cmの高圧水銀灯を用いて、30℃30秒間紫外線照射した。形成されたアクリル系樹脂含有層の膜厚は0.5μmであった。
上記で形成したアクリル系樹脂含有層表面に、混合液晶(下記B01:下記B02=90:10質量比)1.8g、光重合開始剤(BASF製イルガキュア907)0.06g、増感剤(日本化薬(株)製カヤキュアー(登録商標)DETX)0.02g、垂直配向剤 (下記S01)10.002gを9.2gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン(=86/14(質量比))に溶解した溶液を、#3.2のワイヤーバーコーターで塗布し塗布層を形成した。こうしてアクリル系樹脂含有層表面に塗布層を形成した支持体フィルムを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向(ホメオトロピック配向)させた。次に、50℃に冷却した後に、窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度190mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させた。その後、室温まで放冷した。
こうして、支持体フィルム(セルロースアシレートフィルム)上にアクリル系樹脂含有層を介して位相差層を有する位相差フィルム(IPS用位相差フィルム)19を得た。
波長380nmにおける屈折率が1.545、波長780nmにおける屈折率が1.521で、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、2.5倍に一軸延伸し、ヨウ素0.2g/L及びヨウ化カリウム60g/Lを含む30℃の水溶液中に240秒間浸漬し、次いでホウ酸70g/Lおよびヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液に浸漬すると同時に6.0倍に一軸延伸して5分間保持した。最後に、室温で24時間乾燥し、平均厚さ30μmで、偏光度99.95%の偏光子Pを得た。
上記1.で作製したセルロースアシレートフィルム1〜18、20、21、または上記2.で作製した位相差フィルム19を用いて、視認側偏光板として用いる際の表示面側と液晶セル側のフィルム配置が表5のとおりになるように下記工程1〜5に従って偏光板を作製した。
工程1:45℃、1.5mol%の水酸化カリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、セルロースアシレートフィルムの表面を鹸化した。
工程2:上記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を除き、これを工程1で処理した2枚のフィルムで挟持させて配置した。
工程4:工程3で積層したセルロースアシレートフィルムの裏面側(セルロースアシレートフィルム側)を圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:工程4で作製した偏光子とセルロースアシレートフィルムとを貼り合わせた試料を80℃の乾燥機中にて5分間乾燥させ、偏光板を作製した。セルロースアシレートフィルム1〜12、18については、貼り合わせは、セルロースアシレートフィルムの流延時に支持体(ドラム)側とは反対の空気面側となっていた面が偏光子Pと接するように行い、セルロースアシレートフィルム13〜17、20、21については、貼り合わせは、セルロースアシレートフィルムの流延時に支持体(バンド)側となっていた面が偏光子Pと接するように行った。
位相差フィルム19については、支持体フィルムの位相差層を形成した面とは反対の表面が、偏光子Pと接するように貼り合わせを行った。
粘着剤組成物用主剤であるアクリル系樹脂溶液(商品名「SKダイン(登録商標)2147」、綜研化学社製)100質量部、硬化剤(商品名「TD−75」、綜研化学社製)0.05質量部、カップリング剤(商品名「A−50」、綜研化学社製)0.05質量部、および帯電防止剤 リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI、ワコーケミカル社製)0.5質量部を混合し、樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液を170μmの厚みで、離型シート(ポリエチレンテレフタレート(PET)の片面にシリコーン離型処理を施したシート)上に塗工し、90℃3分乾燥させたのち上記の偏光板の片面に貼合し、さらに25℃相対湿度60%環境下で3日放置しエージングすることで偏光板の片面に粘着剤層Aを作製した。
帯電防止剤 リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI、ワコーケミカル社製)の添加量を0.3質量部にした点以外は粘着剤層Aと同様にして粘着剤層Bを作製した。
粘着剤組成物用主剤であるアクリル系樹脂溶液(商品名「SKダイン2147」、綜研化学社製)100質量部、硬化剤(商品名「TD−75」、綜研化学社製)0.05質量部、カップリング剤(商品名「A−50」、綜研化学社製)0.05質量部、および帯電防止剤 リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI、ワコーケミカル社製)0.5質量部を混合し、さらにアミンA2を0.1質量部添加することで樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液を170μmの厚みで、離型シート(PETの片面にシリコーン離型処理を施したシート)上に塗工し、90℃3分乾燥させたのち上記の偏光板の片面に貼合し、さらに25℃相対湿度60%環境下で3日放置しエージングすることで偏光板の片面に粘着剤層Cを作製した。
セルロースアシレートフィルムのセル側にくる面にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸錯体(PEDOT/PSS)2.8質量%水溶液(Aldrich社製)を塗布し、80℃の温風乾燥機で2分間乾燥し、帯電防止層D(厚さ0.5μm)を形成した。
一方で、粘着剤組成物用主剤であるアクリル系樹脂溶液(商品名「SKダイン2147」,綜研化学社製)100質量部、硬化剤(商品名「TD−75」、綜研化学社製)0.05質量部、およびカップリング剤(商品名「A−50」、綜研化学社製)0.05質量部を混合し樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液を170μmの厚みで、離型シート(PETの片面にシリコーン離型処理を施したシート)上に塗工し、90℃3分乾燥させ、粘着剤層aを得た。さらに粘着剤層aを帯電防止層Dに積層し、さらに25℃相対湿度60%環境下で3日放置しエージングすることでセルロースアシレートフィルムの片面に上記帯電防止層Dと粘着剤層aとがこの順に積層された積層体を得た。
帯電防止層にポリスチレンスルホン酸水溶液を用いた点以外は上記8.と同様にして、セルロースアシレートフィルムの片面に帯電防止層Eと粘着剤層aとをこの順に積層した。
<粘着剤組成物(S)>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器および滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)200質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)8質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4質量部、および酢酸エチル312質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行うことにより、固形分濃度40質量%のアクリル系ポリマー(P1)溶液を調製した。上記アクリル系ポリマー(P1)溶液に酢酸エチルを加えて固形分濃度20質量%に希釈した溶液100質量部(20部のアクリル系ポリマー(P1)を含有する。)に対し、帯電防止剤リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI、ワコーケミカル社製)0.8質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネート(登録商標)HX」)0.3質量部、架橋触媒としてのジラウリン酸ジブチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)0.4質量部を加え、25℃で約1分間攪拌混合した。このようにして、アクリル系ポリマー(P1)100質量部当たり、帯電防止剤4質量部を含むアクリル系粘着剤組成物(S)を調製した。
一方の面(第一面)にコロナ処理が施された厚さ38μmの透明なPETフィルムのコロナ処理面の上に、粘着剤組成物(S)を塗布し、130℃で2分間加熱して乾燥させることにより、厚さ15μmの粘着剤層Fを形成した。この粘着剤層Fに、片面にシリコーン系剥離処理剤による剥離処理が施された厚さ25μmのPETフィルム(剥離ライナー)の剥離処理面を貼り合わせて、剥離性フィルムDE1を作製した。
粘着剤組成物(S)にリチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI、ワコーケミカル社製)を添加しなかった点以外は上記10.と同様にして、帯電防止剤を含まない粘着剤層bを有する視認側剥離性フィルムDE2を作製した。
参考例の偏光板は、粘着剤層Aを帯電防止剤を含まない粘着剤層aに変更した点以外、比較例1と同様に作製した。
各偏光板を、作製後25℃相対湿度60%で2週間放置したのちに下記評価を行った。下記の評価中、表示不良評価を除いて評価は剥離性フィルム(DE1〜DE2)を剥がして実施した。
(1)表面抵抗(帯電防止効果)の評価
下記評価基準に基づく表面抵抗の評価結果が2または3であれば、液晶セルに偏光板を貼合する際に、偏光板から偏光板保護フィルムを剥離することで発生する静電気による液晶表示パネルの不具合発生が格段に低減する。実施例1〜14、16〜19、比較例1〜9に関しては、偏光板の液晶セル側に貼合する面の粘着剤層の表面抵抗を、実施例15と比較例10に関しては、剥離性フィルムの表面抵抗を計測し、表に記した。
[評価基準]
3: 表面抵抗<10×1012Ω/□
2: 10×1012Ω/□≦表面抵抗<10×1013Ω/□
1: 10×1013Ω/□≦表面抵抗
[測定方法]
25℃、相対湿度60%条件下に試料を2時間置いた後に、ハイ・レジスタンス・メータ(アジレント・テクノロジー(株)製、Agilent 4339B)にレジスティビティ・セル(アジレント・テクノロジー(株)製、Agilent 16008B)を接続して用い、温度25℃・相対湿度60%の条件下で表面抵抗を測定した。
(2)60℃相対湿度90%1000時間保存による410nm直交透過率変化量
[評価基準]
3:0.4%以下
2:0.4%超0.7%以下
1:0.7%超
[測定方法]
日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて直交透過率を測定した。測定は、波長410nmにおいて行った。
一般に、直交透過率は、
(A)偏光板を二枚用いて、偏光子の吸収軸を直交に配置して測定する測定方法と、
(B)偏光板を一枚用いて、装置付属のグランテーラプリズムの吸収軸と一枚の偏光板の偏光子吸収軸とを直交に配置して測定する測定方法と
の2種類の測定方法により測定することができる。ここでは、上記(A)および(B)の測定方法のうち、(B)の測定方法を採用した。(B)の測定方法による直交透過率測定は、具体的には、次のように行った。ガラスの上に偏光板を、表5中液晶セル側のフィルムがガラス側になるように貼り付けたサンプル(5cm×5cm)を2つ作製する。直交透過率は、このサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を直交透過率とする。
各サンプルについて、保存前直交透過率は、25℃相対湿度60%の環境下に24時間放置した後の測定値とする。その後60℃相対湿度90%の環境下で1000時間保存後、さらに25℃相対湿度60%の環境下で24時間放置後の測定値を、保存後直交透過率値する。
(保存後直交透過率−保存前直交透過率)として、保存による直交透過率変化量を算出した。
上記評価基準による評価結果が2または3であれば、実用上問題ないレベルで使用することができる。
(3)60℃相対湿度90%1000時間保存後の偏光板ヘイズの増加量
[評価基準]
3:0.5未満
2:0.5〜1.0
1:1.0超
[測定方法]
各偏光板について、60℃相対湿度90%の環境下での1000時間保存前後の全ヘイズを測定し、(保存後全ヘイズ−保存前全ヘイズ)として、ヘイズの増加量を算出した。全ヘイズの測定は、偏光板試料をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態で、25℃、相対湿度60%の条件下でヘイズメーターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いJIS K−6714に従って行った。
上記評価基準による評価結果が2または3であれば、実用上問題ないレベルで使用することができる。
(4)表示不良の有無
SAMSUNG社の液晶テレビ(UN40EH6030F)を分解し、偏光板を剥がして液晶セルを得た。作製した各偏光板を液晶セルの視認側に貼合した。この液晶パネルの貼り合わせ面を上にしてバックライト上に置いた。次いで、偏光板の剥離性フィルムを180°方向に、5m/分の一定速度で剥離して、液晶層の乱れを確認した。評価は下記の段階で行った。下記評価基準による評価結果が2または3であれば、実用上問題ないレベルで使用することができる。
[評価基準]
3:表示の乱れの程度が無い、または小さく実用上の害がないもの
2:表示の乱れはあるが、1分以内に元の状態に戻るもの
1:表示の乱れの程度が大きく、元の状態に戻るまでに1分以上の時間を要するもの
表5に示す参考例と実施例、比較例との対比から、スルホニル基含有化合物を含む帯電防止層を有する偏光板では、表面抵抗が低下していることが確認できる。また、これにより液晶表示装置の表示不良の発生を防ぐことができることもわかる。
しかし、上記帯電防止層を有するものの、芳香族二級アミンを含むフィルムも層も有さない比較例の偏光板では、高温高湿下保存後の透過率低下やヘイズの増大が確認された。
これに対し実施例の偏光板は、高温高湿下保存後の透過率低下は少なく、またヘイズの大きな上昇もなかったことから、芳香族二級アミンを含むフィルムや層を設けることにより、経時的な品質低下を抑制できることがわかる。また、上記の効果は、芳香族二級アミンとして複素芳香族環を含むアミンA2、A3、A5を用いた実施例において、顕著であることも、実施例の対比により確認できる。
以上の結果から、本発明によれば、表示性能に優れ、しかも偏光板の経時的な劣化の少ない液晶表示装置を提供可能であることが実証された。
11、21 偏光子
12a、12b、22a、22b ポリマーフィルム
23 帯電防止層
14a、14b、24a、24b 粘着剤層
15a、15b、25a、25b 剥離性フィルム
Claims (13)
- ポリマーフィルムと、
スルホニル基含有化合物を含む層と、
を含み、かつ
芳香族二級アミンを、前記ポリマーフィルムおよびスルホニル基含有化合物を含む層の少なくとも一方に含む偏光板用積層体。 - 前記芳香族二級アミンは、複素芳香環を含む請求項1に記載の偏光板用積層体。
- 前記スルホニル基含有化合物は、スルホニルイミドアニオンと金属カチオンとの金属塩である請求項1または2に記載の偏光板用積層体。
- 前記スルホニル基含有化合物は、フルオロスルホニルイミドアニオンと金属カチオンとの金属塩である請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板用積層体。
- 前記スルホニル基含有化合物は、スルホニルイミドアニオンとアルカリ金属カチオンとの金属塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板用積層体。
- 前記スルホニル基含有化合物は、スルホ基またはその塩としてスルホニル基を含む化合物である請求項1または2に記載の偏光板用積層体。
- 前記スルホニル基含有化合物は、スチレンスルホン酸の重合体またはその塩である請求項6に記載の偏光板用積層体。
- 前記スルホニル基含有化合物を含む層は、粘着剤層または粘着剤層と前記ポリマーフィルムとの間に位置する中間層である請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板用積層体。
- 前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤を含む請求項8に記載の偏光板用積層体。
- 前記ポリマーフィルムは、セルロースアシレートフィルムである請求項1〜9のいずれか1項に記載の偏光板用積層体。
- 前記スルホニル基含有化合物を含む層を、前記ポリマーフィルムと直接接する層として含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の偏光板用積層体。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の偏光板用積層体と、
偏光子と、
を含む偏光板。 - 請求項12に記載の偏光板と、
液晶セルと、
を含む液晶表示装置。
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