JP2016026241A - 粘着シート - Google Patents

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【課題】トルエン放散量およびTVOC量が低減され、かつ粘着特性に優れた粘着シートを提供する。【解決手段】少なくとも第1面にシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有する剥離ライナー31と、その剥離層上に設けられた粘着剤層21と、を備える粘着シート1。粘着剤層21は、水性溶媒または酢酸エチル中で合成された粘着成分を含み、前記剥離層は、日東電工株式会社製片面粘着テープ品番「No.31B」に対するシリコーン移行量が、蛍光X線分析によるシリコンのX線強度として、直径30mmの円に相当する面積当たり10kcps以下である粘着シート1。【選択図】図1

Description

本発明は、環境への負荷が少なく、かつ粘着特性に優れた粘着シートに関する。
一般に粘着シートは、粘着剤層が、該粘着剤層から剥離可能なライナー(剥離ライナー)によって保護された態様をなす。かかる剥離ライナーの粘着剤層に接する面は、通常、剥離剤からなる層(剥離層)が付与された剥離面となっている。例えば、取扱性や耐熱性等に優れた剥離剤として、シリコーン系剥離剤が挙げられる。特許文献1〜3には、シリコーン系剥離剤またはかかる剥離剤を用いて形成された剥離ライナーに関する技術が記載されている。
特開平10−237393号公報 特開平6−297645号公報 特開2006−291121号公報
近年、環境への配慮や作業環境の改善等の観点から、粘着シートから放散されるトルエン等の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds;VOCs)の量を低減することが望まれている。そのため、粘着シートの粘着剤層を形成する際、水性溶媒もしくは酢酸エチル等の非トルエン系有機溶媒(以下、水性溶媒および非トルエン系有機溶媒をあわせて「非トルエン系溶媒」ということもある。)中で合成されたポリマーをベースとする粘着剤組成物の使用が好まれる傾向にある。しかし、このような非トルエン系の粘着剤組成物を用いて形成された粘着シートは、トルエン中で合成されたポリマーをベースとする粘着剤組成物を用いてなる従来の粘着シートに比べて、粘着性能(例えば曲面接着性)が低くなりがちであった。
本発明は、非トルエン系の粘着剤組成物を用いることでVOCs放散量を低減しつつ、かつ粘着特性に優れた粘着シートを提供することを一つの目的とする。
本発明者は、シリコーン系剥離剤を用いた剥離ライナーを備える粘着シートにおいて、所定の方法で評価される剥離層から粘着剤層へのシリコーン移行量を所定値以下に制限することにより、非トルエン系の粘着剤組成物を用いてなる粘着シートであっても良好な粘着特性(例えば曲面接着性)を実現し得ることを見出して、本発明を完成した。
本発明によると、少なくとも第1面にシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有する剥離ライナーと、その剥離層上に設けられた粘着剤層と、を備えた粘着シートが提供される。ここで、上記剥離層は、日東電工株式会社製片面粘着テープ品番「No.31B」に対するシリコーン移行量が、蛍光X線分析によるシリコン(Si)のX線強度として、直径30mmの円に相当する面積当たり10kcps以下である。上記粘着剤層は、水性溶媒または酢酸エチル中で合成された粘着成分を含む。
かかる構成の粘着シートによると、トルエン放散量および総VOCs放散量(Total VOCs量;TVOC量ともいう。)が低減され得るため、環境衛生上好ましい。また、粘着剤層として、水性溶媒または非トルエン系有機溶媒中で合成された粘着成分を含むものを用いるので、粘着シートの製造時において自然環境への負荷が少なく作業環境上も好ましいという利点がある。更には、上記方法により評価(把握)されるシリコーン移行量が少ないので、剥離層から粘着剤層へのシリコーンの移行が粘着性能に及ぼす影響が低く抑えられることにより、優れた粘着特性が実現され得る。
上記剥離層の直径30mmの円に相当する面積当たりのシリコーン移行量は、次のシリコーン移行量測定方法に従って定量した値を採用するものとする。
[シリコーン移行量測定方法]
日東電工株式会社製片面粘着テープ品番「No.31B」の粘着面を測定対象の剥離ライナーの剥離面(剥離層)に貼り合わせて試験片を作製する。この試験片を、70℃の乾燥器中で5kgの荷重を付与して24時間、次いで該荷重を取り除いて該乾燥器から取り出し、更に23℃で2時間保持する。この試験片から、上記剥離ライナーを剥がし、露出した上記粘着面の直径30mmの円に相当する面積当たりに存在するSi量F(kcps)を、蛍光X線分析によって測定する。ブランクとして、上記粘着テープの粘着面の直径30mmの円に相当する面積当たりに存在するSi量I(kcps)を、蛍光X線分析により測定する。上記剥離層のシリコーン移行量は、FからIを差し引いた値とする。
ここに開示される粘着シートにとり好ましいシリコーン系剥離剤の一例として、無溶剤型シリコーンが挙げられる。他の好ましい一例として熱硬化性シリコーンが挙げられる。
ここに開示される粘着シートの好ましい一態様では、上記粘着シートを80℃で30分間保持したとき、該シートから放散されるトルエン総量が該粘着シート1g当たり20μg以下であり、かつ該シートから放散される揮発性有機化合物類の総量が粘着シート1g当たり300μg以下である。このようにトルエン放散量およびTVOCが低減された粘着シートは、自動車や住宅の内装材等のように閉空間で使用される製品、高温での作業を要する製品、また使用時に高温になり得る製品等の部材を接合または固定する用途等に好適に使用され得る。
他の好ましい一態様では、上記粘着剤層が、一般式:CH=C(R)COORで表されるアクリル系モノマーを含むモノマー原料を重合させてなるアクリル系重合体を含む粘着剤組成物から形成される。ここで、Rは水素またはメチル基であり、Rは炭素数2〜14のアルキル基である。かかる粘着剤組成物によると、より優れた粘着特性が実現された粘着シートが提供され得る。
更に他の好ましい一態様では、上記粘着シートが、両面接着性の粘着シートとして構成されている。すなわち、上記剥離層上の上記粘着剤層に、両面が非剥離性の基材が積層され、該基材上に更に粘着剤層が積層された態様をなす。ここに開示される粘着シートは、上述のとおり、トルエン放散量およびTVOC量が低減され、かつ優れた粘着特性を示し得るため、かかる構成によると、環境衛生上好ましく、かつ接着性に優れた各種部品接合手段として好適に使用され得る。
本発明に係る粘着シートの一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 曲面接着性評価において、被着体に貼り付けられた試験片の初期状態を示す模式図である。 曲面接着性評価において、被着体に貼り付けられた試験片の端部が、該被着体から浮き上がった状態を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の説明において、同様の作用を奏する部材または部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
本発明により提供される粘着シートは、少なくとも第1面にシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有する剥離ライナーと、非トルエン系の粘着剤組成物から形成され上記剥離層上に設けられた粘着剤層と、を備える。この粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。なお、上記粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、かかる態様に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的なあるいはランダムなパターンに形成されてもよい。また、ここに開示される粘着シートは、ロール状、枚葉状他、種々の形状に加工され得る。
ここに開示される粘着シートは、例えば、図1〜図6に模式的に示される断面構造を有するものであり得る。このうち図1,図2は、両面粘着タイプの基材付き粘着シートの構成例である。図1に示す粘着シート1は、基材10の両面(いずれも非剥離性)に粘着剤層21,22が設けられ、それらの粘着剤層が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている(すなわち、該粘着剤層側に図示しない剥離層が付与された;以下同じ)剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有している。図2に示す粘着シート2は、基材10の両面(いずれも非剥離性)に粘着剤層21,22が設けられ、それらのうち一方の粘着剤層21が、両面が剥離面となっている剥離ライナー31の第1面により保護された構成を有している。粘着シート2は、該粘着シートを巻回して粘着剤層22を剥離ライナーの第2面に当接させることにより、粘着剤層22もまた剥離ライナー31によって保護された構成とすることができる。
図3,図4は、基材レスの両面粘着シートの構成例である。図3に示す粘着シート3は、基材レスの粘着剤層21の両面21A,21Bが、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有する。図4に示す粘着シート4は、基材レスの粘着剤層21の一面21Aが、両面が剥離面となっている剥離ライナー31の第1面により保護された構成を有し、これを巻回すると、粘着剤層21の他面21Bが剥離ライナーの第2面に当接することにより、他面21Bもまた剥離ライナー31で保護された構成とできるようになっている。
図5,図6は、片面粘着タイプの基材付き粘着シートの構成例である。図5に示す粘着シート5は、基材10の一面10A(非剥離性)に粘着剤層21が設けられ、その粘着剤層21の表面(接着面)21Aが、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー31で保護された構成を有する。図6に示す粘着シート6は、基材10の第1面10A(非剥離性)に粘着剤層21が設けられた構成を有する。基材10の第2面10Bは剥離面となっており、粘着シート6を巻回すると基材の第2面10Bに粘着剤層21が当接して、該粘着剤層の表面(接着面)が保護されるようになっている。
ここに開示される粘着シートの剥離ライナーは、基材と、その少なくとも第1面に付与された剥離層(剥離性被膜)と、を含む。ここで、上記剥離層は、シリコーン系剥離剤を用いて、上述の方法で測定されるシリコーン移行量が10kcps以下となるように形成される。上記シリコーン移行量を実現し得るシリコーン系剥離剤としては、塗布後に熱または電離性放射線(紫外線、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等)を付与することによって硬化する、熱硬化性シリコーン系剥離剤、電離性放射線硬化性シリコーン系剥離剤等が挙げられる。これらシリコーン系剥離剤は、一種を単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。経済性、塗布に要する装置の簡便さ等の観点からは、熱硬化性シリコーン系剥離剤が好ましく使用される。
また、これら剥離剤は、溶剤を含まない無溶剤型、有機溶剤に溶解あるいは分散した溶剤型のいずれであってもよい。また、無溶剤型剥離剤に、表面張力の比較的低い溶剤を適量混ぜ合わせ、付与(典型的には塗布)しやすいように粘度を調節したものを用いてもよい。剥離層形成時の環境衛生やTVOC量をより低減する観点からは、実質的に有機溶剤を含まず、そのままの状態で塗布可能な無溶剤型シリコーン系剥離剤の使用が好ましい。
上記熱硬化性シリコーン系剥離剤は、通常、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとを含み、無溶剤型および溶剤型のいずれであってもよい。特に好ましくは、熱付加反応による架橋が起こって硬化する熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤が使用される。
かかる熱付加反応硬化性シリコーン剥離剤としては、例えば、分子中にケイ素原子(Si)に結合した水素原子(H)を有するポリシロキサン(Si−H基含有ポリシロキサン)と、分子中にSi−H結合(SiとHとの共有結合)に対して反応性を有する官能基(Si−H基反応性官能基)を含むポリシロキサン(Si−H基反応性ポリシロキサン)と、を含む剥離剤を使用することができる。かかる剥離剤は、Si−H基とSi−H基反応性官能基とが付加反応して架橋することにより硬化する。
上記Si−H基含有ポリシロキサンにおいて、Hが結合したSiは、主鎖中のSiおよび側鎖中のSiのいずれであってもよい。分子中にSi−H基を二個以上含むポリシロキサンが好ましい。二個以上のSi−H基を含有するポリシロキサンとして、ポリ(ジメチルシロキサン―メチルシロキサン)等のジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーが挙げられる。
一方、上記Si−H基反応性ポリシロキサンとしては、Si−H基反応性官能基またはかかる官能基を含む側鎖が、シロキサン系ポリマーの主鎖(骨格)を形成するSi(例えば、主鎖末端のSi、主鎖内部のSi)に結合した態様のポリシロキサンを使用することができる。中でも、Si−H基反応性官能基が主鎖中のSiに直接結合した態様のポリシロキサンが好ましい。また、分子中にSi−H基反応性官能基を二個以上含むポリシロキサンが好ましい。Si−H基反応性官能基としては、例えば、ビニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。
上記主鎖部分を形成するシロキサン系ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサン(2つのアルキル基は同じでも、異なってもよい。);ポリアルキルアリールシロキサン;ポリ(ジメチルシロキサン―メチルシロキサン)等、複数のSi含有モノマーを重合してなるポリマー;等が挙げられる。特に好適な主鎖ポリマーとして、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
特に好ましくは、分子中にSi−H基を二個以上含むポリシロキサンと、分子中にSi−H基反応性官能基を二個以上含むポリシロキサンと、を含有する熱付加反応硬化性シリコーン剥離剤が使用される。
上記剥離剤に含まれるSi−H基含有ポリシロキサンとSi−H基反応性ポリシロキサンとの混合比は、該剥離剤が十分に硬化して上述のシリコーン移行量が実現され得る範囲であれば特に制限されないが、Si−H基のSiのモル数XとSi−H基反応性官能基のモル数Yとが、X≧Yとなるように選択されることが好ましく、通常、X:Yが、1:1〜2:1(より好ましくは、1.2:1〜1.6:1)程度とすることが好ましい。
また、上述のような熱硬化性シリコーン系剥離剤には、架橋反応を速めるための触媒を添加してもよい。かかる触媒としては、例えば、白金微粒子、塩化白金酸およびその誘導体等の白金系触媒が挙げられる。触媒の添加量は特に制限されないが、例えば、Si−H基反応性ポリシロキサンに対して、好ましくは0.1〜1000ppm(より好ましくは1〜100ppm)の範囲から選択される。
熱硬化性シリコーン系剥離剤としては、上述のような成分を適宜調製または入手して混合したもの、あるいは上述のような成分を含む市販品を使用することができる。また、上述のような成分以外に、必要に応じて、例えば充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色料(染料、顔料等)等、他の公知慣用の添加剤を適宜添加してもよい。
一方、上記電離性放射線硬化性シリコーン剥離剤についても、無溶剤型および溶剤型のいずれも使用することができる。特に好ましくは、紫外線(UV)照射により架橋反応が起こって硬化するUV硬化性シリコーン系剥離剤が使用される。
かかるUV硬化性シリコーン系剥離剤としては、UV照射によって例えばカチオン重合、ラジカル重合、ラジカル付加重合、ヒドロシリル化反応等の化学反応が起こって硬化する剥離剤を使用することができる。特に好ましくは、カチオン重合により硬化するUV硬化性シリコーン系剥離剤が使用される。
かかるカチオン重合型のUV硬化性シリコーン系剥離剤としては、少なくとも二個のエポキシ基が、シロキサン系ポリマーの主鎖(骨格)を形成するSi(例えば、主鎖末端のSi、主鎖内部のSi)および/または側鎖に含まれるSiに、それぞれ直接または2価の基(メチレン基、エチレン基等のアルキレン基;エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等のアルキレンオキシ基等)を介して結合した態様のエポキシ基含有ポリシロキサンを含む剥離剤を使用することができる。これら少なくとも二個のエポキシ基のSiへの結合態様は、同じでも異なってもよい。換言すれば、一種または二種以上のエポキシ基含有側鎖を二個以上含むポリシロキサンが使用される。エポキシ基含有側鎖としては、グリシジル基、グリシドキシ基(グリシジルオキシ基)、3,4−エポキシシクロヘキシル基、2,3−エポキシシクロペンチル基等が挙げられる。エポキシ基含有ポリシロキサンは、直鎖状、分岐鎖状、またはそれらの混合物のいずれであってもよい。
かかるUV硬化性シリコーン系剥離剤は、従来公知の方法に従って上述のようなエポキシ基含有ポリシロキサンを適宜調製したもの、あるいはかかるエポキシ基含有ポリシロキサンを含む市販品を使用することができる。エポキシ基含有ポリシロキサンを調製する一合成方法として、例えば、ベースポリマーとしてのポリメチルハイドロジェンシロキサンに、4−ビニルシクロヘキセンオキシド、アリルグリシジルエーテル、7−エポキシ−1−オクテン等のオレフィン系エポキシモノマーを、白金系触媒を用いて付加反応させることができる。
また、上述のようなカチオン重合型UV硬化性シリコーン系剥離剤は、上述のようなポリシロキサンに加え、UV開裂型開始剤(光重合開始剤)として、オニウム塩系UV開裂型開始剤(オニウム塩系光重合開始剤)の一種または二種以上を含む組成とすることができる。オニウム塩系UV開裂型開始剤としては、例えば、特開平6−32873号公報、特開2000−281965号公報、特開平11−228702号公報、特公平8−26120号公報に記載されているものを使用することができる。具体例としては、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、テトラアリールホスホニウム塩、アリールジアゾニウム塩等が挙げられる。中でも、ジアリールヨードニウム塩が好適に使用される。
ジアリールヨードニウム塩としては、例えば、一般式[YI]で表される塩が挙げられる。同様に、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、テトラアリールホスホニウム塩、アリールジアゾニウム塩としては、例えば、それぞれ一般式[YS]、[YSe]、[YP]、[YNで表される塩が挙げられる。ここで、Yは置換基を有してもよいアリール基、Iはヨウ素原子、Xは非求核性かつ非塩基性のアニオンである。また、S、Se、P、Nは、それぞれ硫黄原子、セレン原子、リン原子、窒素原子を表す。
上記アニオン(X)の具体例としては、例えば、SbF 、SbCl 、BF 、[B(C、[B(CCF、[(C)2BF、[CBF、[B(C、AsF 、PF 、HSO ,ClO 等が挙げられる。中でも、アンチモン元素(Sb)を含むアニオンおよびホウ素元素(B)を含むアニオンが好ましい。特に好ましいオニウム塩として、Sb含有ジアリールヨードニウム塩およびB含有ジアリールヨードニウム塩が挙げられる。
上記カチオン重合型UV硬化性シリコーン系剥離剤に含まれるUV開裂型開始剤の量は、該開始剤が触媒として機能し得る範囲であれば特に制限はないが、例えば、エポキシ基含有ポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜8質量部(より好ましくは0.3〜5質量部、更に好ましくは0.5〜3質量部)程度とすることが好ましい。
UV硬化性シリコーン系剥離剤としては、上述のような成分を適宜調製または入手して混合したもの、あるいは上述のような成分を含む市販品を使用することができる。また、上述のような成分以外に、必要に応じて、例えば充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、着色料(染料、顔料等)等、他の公知慣用の添加剤を適宜添加してもよい。
上述のようなシリコーン系剥離剤からなる剥離層を保持する基材(剥離ライナー用基材)の素材は特に制限されない。例えば、プラスチック類、紙類、各種繊維類等から形成された単層体、あるいは積層体を使用することができる。
上記プラスチック基材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリアミド(いわゆるナイロン);セルロース(いわゆるセロハン);等からなるフィルム状の基材を使用することができる。プラスチックフィルム類は、無延伸タイプであってもよく、延伸タイプ(一軸延伸タイプまたは二軸延伸タイプ)であってもよい。
上記紙基材としては、例えば、和紙、洋紙、上質紙、グラシン紙、クラフト紙、フルパック紙、クレープ紙、クレーコート紙、トップコート紙、合成紙等を使用することができる。紙基材の坪量は特に限定されないが、通常は50〜100g/m程度のものを用いることが適当である。
各種繊維基材としては、各種の繊維状物質(天然繊維、半合成繊維または合成繊維のいずれでもよい。例えば、綿繊維、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等)の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。
他の素材からなる基材としては、天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート類;発泡ポリウレタン、発泡ポリクロロプレンゴム等の発泡体からなる発泡体シート類;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体;等が挙げられる。
ここに開示される技術における剥離ライナーとしては、紙(上質紙、グラシン紙等が好適である。)の少なくとも前面(粘着剤層側の面)にポリエチレンがラミネートされ、その表面にシリコーン系剥離剤による剥離処理(シリコーン処理)が施されたものを好ましく使用し得る。
これら剥離ライナー用基材には、必要に応じて、剥離層を設ける表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、下塗り剤の塗布等の各種表面改質処理やエンボス加工等の各種表面加工を施してもよい。また、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
剥離ライナーの厚さは、好ましくは50μm〜200μm(より好ましくは60μm〜160μm)程度である。
かかる剥離ライナー上に剥離層を付与する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、各種コーターを用いて、基材に上述のようなシリコーン系剥離剤を塗布乾燥して剥離層を形成することができる。上記コーターとしては、例えば、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコータ−、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター等から適宜選択することができる。
剥離層の厚さは特に制限されないが、例えば、塗布厚を0.03μm〜5μm(好ましくは0.05μm〜3μm)程度とすることができる。上記範囲よりも薄すぎると、十分な剥離性が得られないことがある。上記範囲より厚すぎると、未硬化物の残留によりシリコーン移行量が増加傾向となる場合があり得る。
剥離剤の塗布量としては、用いられる粘着剤の種類、ライナー基材の種類、剥離剤の種類等に応じて適宜選択することができるが、例えば、固形分換算で0.01〜10g/m(好ましくは0.05〜5g/m、より好ましくは0.5〜5g/m、更に好ましくは0.5〜4g/m)程度とすることができる。
剥離層は、基材に付与した後乾燥させる。乾燥条件としては特に制限されず、使用する剥離剤に適した乾燥条件を適宜選択することができる。典型的には、温度80〜150℃程度で乾燥させる。熱硬化性剥離剤を使用した場合、例えば、加熱しながら乾燥させることにより、乾燥工程と硬化工程とを同時に行うこともできる。また、自然乾燥させた後、加熱して硬化させてもよい。また、電離性放射線硬化性シリコーン剥離剤を使用した場合も、加熱と放射線照射を同時に行うことにより、乾燥工程および硬化工程を同時進行させることができる。また、乾燥工程を行った後に、硬化工程を行うこともできる。これらの工程は、使用する剥離剤に適した乾燥方法および硬化方法を、従来公知の方法から適宜選択して採用することができる。剥離層の形成に係る各条件は、目的とするシリコーン移行量が実現されるように適宜設定できる。
したがって、この明細書により開示される事項には、剥離ライナー基材の少なくとも第1面にシリコーン系剥離剤からなる剥離層を形成すること、ここで該剥離層は、日東電工株式会社製片面粘着テープ品番「No.31B」に対する直径30mmの円に相当する面積当たりのシリコーン移行量が、蛍光X線分析によるシリコンのX線強度として10kcps以下となるように形成される;および、
前記剥離層上に、水性溶媒または酢酸エチル中で合成された粘着成分を含む粘着剤層を設けること;
を包含する粘着シート製造方法が含まれる。
ここに開示される技術におけるシリコーン移行量は、上述の方法に従い、蛍光X線分析により測定することができる。蛍光X線分析は、XRF装置を用いて行うことができる。XRF装置としては、市販のものを好ましく使用することができる。分光結晶は適宜選択して使用することができるが、例えば、Si−Kα等を好ましく使用し得る。また、出力設定等については、使用する装置に応じて適宜選択することができるが、例えば、通常は50kV、70mA程度の出力で十分な感度を得ることができる。
上記剥離層上に積層される粘着剤層は、水性溶媒または酢酸エチル等の非トルエン系有機溶媒(すなわち非トルエン系溶媒、典型的にはトルエンを実質的に含有しない溶媒)中に、粘着成分が分散または溶解した態様の粘着剤組成物から形成される。ここで、水性溶媒とは、水および水を主成分とする混合溶媒を包含する用語である。水性溶媒中に粘着成分を含む組成物を、水性粘着剤組成物という。そのうち、粘着成分が水性溶媒に分散した態様のものを、水分散型(エマルション型)粘着剤組成物という。粘着成分が水性溶媒に溶解した態様のものを、水溶液型粘着剤組成物という。また、酢酸エチル中に粘着成分を含む組成物を、酢酸エチル溶剤型粘着剤組成物という。酢酸エチル溶剤型粘着剤組成物において粘着成分は、典型的には、その酢酸エチル中に溶解している。これら水性粘着剤組成物および酢酸エチル溶剤型粘着剤組成物は、本発明における「非トルエン系粘着剤組成物」の典型例であり、本明細書において、かかる粘着剤組成物を用いて形成された粘着シートを「低TVOC粘着シート」ともいう。
上記粘着成分は、粘着剤を構成し得るアクリル系、ゴム系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系等の公知の各種ポリマーをベースポリマーとするものであり得る。ここでベースポリマーとは、粘着剤の基本成分をなすポリマーをいい、典型的には、該粘着剤に含まれるポリマー成分のなかの主成分である。ここに開示される技術における粘着剤組成物の好適例として、粘着剤に含まれるポリマー成分のなかの主成分がアクリル系重合体である非トルエン系粘着剤組成物が挙げられる。なかでも、アクリル系重合体が水に分散したエマルション型の組成物(水分散型アクリル系粘着剤組成物)およびアクリル系重合体が酢酸エチルに溶解した組成物(酢酸エチル溶剤型アクリル系粘着剤組成物)が好適である。
上記水分散型アクリル系粘着剤組成物は、アクリル系重合体の水分散液(水分散型アクリル系重合体)を含む。また、上記酢酸エチル溶剤型アクリル系粘着剤組成物は、アクリル系重合体の酢酸エチル溶液を含む。ここに開示される技術において、上記アクリル系重合体は、粘着剤層を構成する粘着剤のベースポリマー(粘着剤の基本成分)として用いられる。例えば、該粘着剤の50質量%以上が上記アクリル系重合体であることが好ましい。かかるアクリル系重合体としては、アルキル(メタ)アクリレートを主構成単量体成分(モノマー主成分、すなわちアクリル系重合体を構成するモノマーの総量のうち50質量%以上を占める成分)とするものを好ましく採用し得る。
なお、本明細書中において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイルおよびメタクリロイルを、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
CH=C(R)COOR (1)
ここで、上記式(1)中のRは水素原子またはメチル基である。また、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基である。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等のアルキル基が挙げられる。粘着剤の貯蔵弾性率等の観点から、これらのうちRが炭素原子数2〜14(以下、このような炭素原子数の範囲を「C2−14」と表すことがある。)のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、RがC2−10のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記C2−14」のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に好ましいアルキル(メタ)アクリレートとして、ブチルアクリレート(BA)および2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)が例示される。
好ましい一つの態様では、アクリル系重合体の合成に使用するアルキル(メタ)アクリレートの総量のうち凡そ50質量%以上(より好ましくは70質量%以上、例えば凡そ90質量%以上)が、上記式(1)におけるRがC2−14(好ましくはC2−10、より好ましくはC4−8)のアルキル(メタ)アクリレートである。このようなモノマー組成によると、常温付近における貯蔵弾性率が粘着剤として好適な範囲となるアクリル系重合体が得られやすい。使用するアルキル(メタ)アクリレートの実質的に全部がC2−14アルキル(メタ)アクリレートであってもよい。
ここに開示される技術におけるアクリル系重合体を構成するアルキル(メタ)アクリレートは、BA単独であってもよく、2EHA単独であってもよく、BAと2EHAとの二種であってもよい。アルキル(メタ)アクリレートとしてBAおよび2EHAを組み合わせて用いる場合、それらの使用比率は特に制限されない。例えば、BAと2EHAとの合計量のうち概ね10質量%以上(例えば凡そ10〜40質量%)が2EHAである比率を好ましく採用し得る。
アクリル系重合体を構成するモノマー成分としては、アルキル(メタ)アクリレートが主成分となる範囲で、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他のモノマー(「共重合性モノマー成分」と称する場合がある。)が用いられていてもよい。アクリル系重合体を構成するモノマー成分の総量に対するアルキル(メタ)アクリレートの割合は、凡そ80質量%以上(典型的には80〜99.8質量%)とすることができ、好ましくは85質量%以上(例えば85〜99.5質量%)である。アルキル(メタ)アクリレートの割合が90質量以上(例えば90〜99質量%)であってもよい。
上記共重合性モノマー成分は、アクリル系重合体に架橋点を導入したり、アクリル系重合体の凝集力を高めたりするために役立ち得る。かかる共重合性モノマーは、単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
より具体的には、アクリル系重合体に架橋点を導入するための共重合性モノマー成分として、各種の官能基含有モノマー成分(典型的には、熱により架橋する架橋点をアクリル系重合体に導入するための、熱架橋性官能基含有モノマー成分)を用いることができる。かかる官能基含有モノマー成分を用いることにより、被着体に対する接着力を向上させ得る。このような官能基含有モノマー成分は、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能であり、且つ架橋点となる官能基を提供し得るモノマー成分であればよく、特に制限されない。例えば、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基を有するモノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、等の官能基含有モノマー成分を、単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の、エチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の、エチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無水物(無水マレイン酸、無水イコタン酸等)が挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の、不飽和アルコール類が挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
ケト基含有モノマーとしては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート等が挙げられる。
窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
アルコキシシリル基含有モノマーとしては、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
このような官能基含有モノマー成分のうち、カルボキシル基含有モノマーまたはその酸無水物から選択される一種または二種以上を好ましく用いることができる。官能基含有モノマー成分の実質的に全部がカルボキシル基含有モノマーであってもよい。なかでも好ましいカルボキシル基含有モノマーとして、アクリル酸およびメタクリル酸が例示される。これらの一方を単独で用いてもよく、アクリル酸とメタクリル酸とを任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
上記官能基含有モノマー成分は、例えば、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対して凡そ10質量部以下(例えば凡そ0.1〜10質量部、好ましくは凡そ1〜5質量部)の範囲で用いることが好ましい。官能基含有モノマー成分の使用量が多すぎると、凝集力が高くなりすぎて粘着特性(例えば接着力)が低下傾向となることがあり得る。
また、アクリル系重合体の凝集力を高めるために、上述した官能基含有モノマー以外の他の共重合成分を用いることができる。かかる共重合成分としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の、ビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の、芳香族ビニル化合物;シクロアルキル(メタ)アクリレート[シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチルジ(メタ)アクリレート等]、イソボルニル(メタ)アクリレート等の、非芳香族性環含有(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート[例えばフェニル(メタ)アクリレート]、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート[例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート]、アリールアルキル(メタ)アクリレート[例えばベンジル(メタ)アクリレート]等の、芳香族性環含有(メタ)アクリレート;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等の、オレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等の、イソシアネート基含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等の、アルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等の、ビニルエーテル系モノマー;等が挙げられる。
共重合性モノマー成分の他の例として、一分子内に複数の官能基を有するモノマーが挙げられる。かかる多官能モノマーの例として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
このようなモノマーを重合させてアクリル系重合体を得る方法としては、公知乃至慣用の重合方法を採用することができる。例えば、モノマー原料を水媒体中に分散させてエマルション重合を行うことにより、アクリル系重合体の水分散液を好ましく調製することができる。同様に、モノマー原料を酢酸エチルに溶解させて重合を行うことにより、アクリル系重合体の酢酸エチル溶液を好ましく調製することができる。
重合時に用いる重合開始剤としては、重合方法の種類に応じて、公知乃至慣用の重合開始剤から適宜選択することができる。例えば、エマルション重合法において、アゾ系重合開始剤を好ましく使用し得る。アゾ系重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
重合開始剤の他の例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、過酸化水素等の、過酸化物系開始剤;フェニル置換エタン等の、置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;等が挙げられる。重合開始剤のさらに他の例として、過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤が挙げられる。かかるレドックス系開始剤の例としては、過酸化物とアスコルビン酸との組み合わせ(過酸化水素水とアスコルビン酸との組み合わせ等)、過酸化物と鉄(II)塩との組み合わせ(過酸化水素水と鉄(II)塩との組み合わせ等)、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ、等が挙げられる。
このような重合開始剤は、単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100質量部に対して0.005〜1質量部(典型的には0.01〜1質量部)程度の範囲から選択することができる。重合開始剤の使用量が多すぎるか或いは少なすぎると、所望の粘着性能が得られ難くなる場合があり得る。
重合の際には、必要に応じて連鎖移動剤(分子量調節剤あるいは重合度調節剤としても把握され得る。)を使用することができる。連鎖移動剤としては、公知または慣用の連鎖移動剤を用いることができ、例えば、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール等のメルカプタン類の他、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。このような連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使用量は、通常と同程度の使用量であればよく、例えば、モノマー原料100質量部に対して凡そ0.001〜0.5質量部程度の範囲から選択することができる。
ここに開示される技術においてモノマー原料を重合させる好ましい一態様では、重合開始剤を有する反応容器に上記モノマー原料を分散媒または溶媒とともに供給して系を常温よりも高い重合温度(好ましくは凡そ40℃〜80℃、例えば凡そ50℃〜80℃)に維持することにより、該モノマー原料の重合反応を行う。その後、反応容器の内容物(反応液)を典型的には常温まで冷却する。例えば、重合開始剤の全量が仕込まれた反応容器にモノマー原料の全量を、一括供給してもよく、所定時間に亘って連続的に供給してもよく(連続供給)、あるいは少量ずつに分割して所定時間(例えば凡そ5分〜60分)毎に供給してもよい(分割供給)。水分散液中でエマルション重合を行う場合、典型的には、モノマーの一部または全部(典型的には全部)をあらかじめ水(典型的には、後述するような乳化剤の適当量を水とともに使用する。)と混合して乳化した乳化液(モノマーエマルション)を反応液に連続供給する。酢酸エチル溶液中で重合を行う場合も、モノマー原料をそのまま、あるいは適当な溶媒(典型的には酢酸エチル)で希釈して、一括供給、連続供給、または分割供給することができる。
上記モノマー原料の連続供給を行う場合、該供給を行う時間は、通常は凡そ1時間〜8時間程度とすることが適当であり、好ましくは凡そ2時間〜6時間程度(例えば凡そ3時間〜5時間程度)である。また、上記モノマー原料の分割供給を行う場合には、最初のモノマー原料画分が供給されてから最後のモノマー原料画分が供給されるまでの時間を通常は凡そ1時間〜8時間程度とすることが適当であり、好ましくは凡そ2時間〜6時間程度(例えば凡そ3時間〜5時間程度)である。
あるいは、重合開始剤の一部が仕込まれた反応容器にモノマー原料の少なくとも一部を供給して該モノマー原料の重合を開始させ、残りの重合開始剤は所定時間に亘って連続的に、あるいはいくつかに分割して所定時間毎に供給してもよい。
重合時間(モノマー原料の重合反応を行う時間をいい、該重合反応を開始させてから系を重合温度に保つ時間として把握され得る。)は、使用する重合開始剤の種類、重合温度、重合開始剤およびモノマー原料の供給態様等に応じて適宜設定することができる。例えば、重合時間を凡そ2時間〜12時間程度とすることができ、生産性等の観点から通常は凡そ4時間〜8時間程度とすることが好ましい。また、モノマー原料の全量を反応容器に供給し終えてから所定時間は反応容器の内容物(反応液)を重合温度に保持する(いわゆる熟成を行う)ことが好ましい。かかる熟成を行うことによって、反応液中に残存するモノマーの量を減らし、よりTVOC量の少ない粘着剤層を形成可能なアクリル系ポリマーを得ることができる。この熟成期間は例えば凡そ30分〜4時間程度とすることができ、生産性等の観点から通常は凡そ1時間〜3時間程度とすることが好ましい。なお、ここでいう重合時間は上記熟成期間を含む。したがって、例えば重合開始剤の全量が仕込まれた反応容器を重合温度に保持してここにモノマー原料の全量を4時間かけて連続的に供給し、該モノマー原料の供給を終えてから2時間に亘り系を引き続き該重合温度に保持して反応液の熟成を行った場合の重合時間は6時間となる。重合温度は重合時間の全期間に亘って一定でもよく、一部の期間と他の期間とで異なってもよい。例えば、所定の重合温度でモノマー原料を供給した後、より高い重合温度で熟成を行ってもよい。
モノマー原料をエマルション重合させる場合の好ましい一態様では、モノマー原料を反応容器に供給し終えてから間隔をあけて、該反応容器の内容物(反応液)に追加の重合開始剤を供給する。このように追加の重合開始剤(以下「追加開始剤」ともいう。)を供給することにより、反応液中に残存するモノマーの量を効果的に減少させる(典型的には、該残存モノマーの重合を促進する)ことができる。このことによって、よりTVOC量の少ない粘着剤層を形成可能なアクリル系ポリマーを得ることができる。使用する追加開始剤は、先にモノマー原料の重合反応に使用された重合開始剤(すなわち、モノマー原料の供給終了前に反応容器に導入された重合開始剤。以下「主開始剤」ともいう。)と同一であってもよく異なってもよい。残存モノマー量の減少を効率よく行い得る追加開始剤として、主開始剤(例えば、アゾ系重合開始剤、過硫酸塩、過酸化物系重合開始剤等から選択される開始剤)よりも半減期温度の低い重合開始剤(例えば、アゾ系重合開始剤、過硫酸塩、過酸化物系重合開始剤等から選択される開始剤)を好ましく用いることができる。また、追加開始剤としてレドックス系重合開始剤を用いることも好ましい。例えば、過酸化物(過酸化水素等)とアスコルビン酸との組み合わせ、過酸化物(過酸化水素等)と鉄(II)塩との組み合わせ、過硫酸塩(過硫酸アンモニウム等)と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ等によるレドックス系重合開始剤を好ましく採用することができる。なかでも、レドックス反応後に余分な残留物を生じないことから、過酸化水素(典型的には、濃度1〜35%程度の過酸化水素水の形態で用いられる。)とアスコルビン酸との組み合わせが好適である。追加開始剤の使用量は特に限定されず、例えばモノマー原料100質量部に対して凡そ0.005〜1質量部程度の範囲から選択することができる。
かかる追加開始剤を反応液に供給(添加)する好適なタイミングは、該追加開始剤の種類によっても異なり得る。モノマー原料を反応容器に供給し終えてから間隔をあけて(典型的には凡そ10分〜4時間、例えば凡そ1時間〜3時間程度経過後に)、且つ反応液の冷却を終える前に行うことが好ましい。例えば、熱により分解してラジカルを発生することで残存モノマーを減少させるタイプの追加開始剤(アゾ系重合開始剤、過硫酸塩、過酸化物系重合開始剤等)では、上記熟成期間の途中で(例えば、該熟成期間の凡そ30〜95%が経過した時点で)追加開始剤を添加することが好ましい。また、レドックス系の追加開始剤を使用する場合には、熟成期間の終了前後(例えば、追加開始剤の投入とほぼ同時に冷却を開始する態様)または反応液を冷却する途中で追加開始剤を添加する態様を好ましく採用することができる。このことによって、生産性への影響を抑えつつ残存モノマー量を効果的に減少させることができる。なお、追加開始剤の添加は一度に行ってもよく、連続的にまたは分割して行ってもよい。操作が簡便であることから、追加開始剤を一度に添加する態様を好ましく採用することができる。
なお、上記エマルション重合においては、上記追加開始剤の使用により残存モノマー量を効率よく減少させ得ることから、重合時間を極端に長くしなくても(例えば、重合時間を凡そ8時間以下としても)、残存モノマー量が十分に低減されたアクリル系ポリマーのエマルションを得ることができる。かかるアクリル系ポリマーエマルションに粘着付与樹脂を配合してなる粘着剤組成物によると、トルエン放散量およびTVOC量が高度に低減された粘着剤層が形成され得る。このように極端に長い重合時間を必要とすることなく粘着剤の低VOC化を実現し得ることは、粘着剤組成物および該組成物を用いて製造される粘着シートの生産性向上の観点から好ましい。
かかるエマルション重合により、アクリル系重合体が水に分散したエマルション形態の重合液(アクリル系重合体エマルション)が得られる。ここに開示される技術における水分散型アクリル系重合体としては、上記重合液または該重合液に適当な後処理を施したものを好ましく用いることができる。あるいは、エマルション重合方法以外の重合方法(例えば、溶液重合、光重合、バルク重合等)によりアクリル系重合体を合成し、該重合体を水に分散させて調製された水分散型アクリル系重合体を用いてもよい。
水分散型アクリル系重合体の調製に当たっては、必要に応じて乳化剤を用いることができる。乳化剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系のいずれも使用可能である。通常は、アニオン系またはノニオン系の乳化剤の使用が好ましい。このような乳化剤は、例えば、モノマー成分をエマルション重合させる際や、他の方法で得られたアクリル系重合体を水に分散させる際等に好ましく使用することができる。乳化剤の使用量は、アクリル系ポリマーをエマルジョンの形態に調製することが可能な使用量であればよく、特に制限されない。例えば、アクリル系共重合体100質量部当たり、固形分基準で例えば凡そ0.2〜10質量部(好ましくは凡そ0.5〜5質量部)程度の範囲から選択することが適当である。
ここに開示される技術における粘着剤組成物は、上記アクリル系重合体に加えて、さらに粘着付与樹脂を含有し得る。粘着付与樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ロジン系、テルペン系、炭化水素系、エポキシ系、ポリアミド系、エラストマー系、フェノール系、ケトン系等、の各種粘着付与樹脂を用いることができる。このような粘着付与樹脂は、単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
具体的には、ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);その他の各種ロジン誘導体;等が挙げられる。上記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、ロジンのエステル化物)、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)をアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、変性ロジンのエステル化物)等のロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)、不飽和脂肪酸変性ロジン類または不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩;ロジン類(未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂;等が挙げられる。
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂;これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン系樹脂;等が挙げられる。上記変性テルペン樹脂としては、テルペン−フェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂等が例示される。
炭化水素系粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン−オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。脂肪族系炭化水素樹脂としては、炭素数4〜5程度のオレフィンおよびジエンから選択される一種または二種以上の脂肪族炭化水素の重合体等が例示される。上記オレフィンの例としては、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン等が挙げられる。上記ジエンの例としては、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等が挙げられる。芳香族系炭化水素樹脂としては、炭素数8〜10程度のビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン、メチルインデン等)の重合体等が例示される。脂肪族系環状炭化水素樹脂としては、いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」を環化二量体化した後に重合させた脂環式炭化水素系樹脂;環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン等)の重合体またはその水素添加物;芳香族系炭化水素樹脂または脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂;等が例示される。
このような粘着付与樹脂は、アクリル系重合体の水分散液に加える場合、該樹脂が水に分散したエマルション(粘着付与樹脂エマルション)の形態で好ましく用いることができる。また、アクリル系重合体の酢酸エチル溶液に加える場合、該樹脂をそのままの形態で、あるいは該樹脂が酢酸エチルまたは酢酸エチルと相溶性の有機溶剤に溶解した溶液の形態で好ましく用いることができる。粘着付与樹脂を加える際に分散媒または溶媒を用いる場合、その分散媒または溶媒が、少なくとも芳香族炭化水素系溶剤を実質的に含有しない(より好ましくは、芳香族炭化水素系溶剤その他の有機溶剤を実質的に含有しない)ことが好ましい。このことによって、よりトルエン放散量の少ない粘着剤層が提供され得る。
上記粘着付与樹脂エマルションは、必要に応じて乳化剤を用いて調製されたものであり得る。乳化剤としては、アクリル系重合体エマルションの調製に使用し得る乳化剤と同様のものから、一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。乳化剤の使用量は、粘着付与樹脂をエマルションの形態に調製可能な量であれば特に制限されず、例えば、粘着付与樹脂100質量部(固形分基準)に対して0.2〜10質量部(好ましくは0.5〜5質量部)程度の範囲から選択することができる。
ここに開示される技術において、アクリル系ポリマーに配合される粘着付与樹脂の量は特に制限されず、目的とする粘着性能(粗面接着性、ポリオレフィン等の低極性材料に対する接着性等)に応じて適宜設定することができる。アクリル系ポリマー100質量部に対して粘着付与樹脂(固形分基準)を凡そ5〜100質量部(好ましくは凡そ10〜80質量部、より好ましくは凡そ15〜60質量部、例えば凡そ20〜40部)の割合で使用することができる。粘着付与樹脂の使用量が少なすぎると、該粘着樹脂の添加による接着性(例えば、粗面やポリオレフィン製部材のように難接着性の被着体に対する接着性)向上効果が十分に発揮され難くなる場合がある。また、粘着付与樹脂の使用量が多すぎると、アクリル系ポリマーとの相溶性が不足しやすく、また低温特性が低下しがちとなることがある。また、粘着剤層(ひいては粘着シート)のトルエン放散量やTVOC量を高度に低減するためにも、粘着付与樹脂の過剰な使用は避けることが望ましい。
上記粘着剤組成物には、必要に応じて架橋剤が配合されていてもよい。架橋剤の種類は特に制限されず、公知または慣用の架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミン系架橋剤等)から適宜選択して用いることができる。油溶性架橋剤、水溶性架橋剤のいずれも使用可能である。架橋剤は単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は特に制限されず、例えば、アクリル系ポリマー100質量部に対して凡そ20質量部以下(例えば凡そ0.005〜20質量部、好ましくは凡そ0.01〜10質量部)程度の範囲から選択することができる。なお、このような架橋剤を用いる代わりに、あるいは該架橋剤の使用に加えて、電子線や紫外線の活性エネルギー線を照射することによって粘着剤を架橋させてもよい。
上記粘着剤組成物は、必要に応じて、pH調整等の目的で使用される酸または塩基(アンモニア水等)を含有するものであり得る。該組成物に含有され得る他の任意成分としては、粘度調整剤(増粘剤等)、レベリング剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、界面活性剤、帯電防止剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の、水性粘着剤組成物の分野において一般的な各種の添加剤が例示される。
ここに開示される技術における粘着剤層は、種々の方法で作製され得る。例えば、両面接着性の基材付き両面粘着シートの場合、非剥離性基材の第1および第2の表面それぞれに、粘着剤組成物を直接付与して乾燥または硬化させることで粘着剤層(粘着剤膜)を形成する方法(直接法);および、剥離ライナーの剥離面上に形成した粘着剤層を基材に貼り合わせ、該粘着剤膜を基材に転写する方法(転写法);から選択されるいずれかの方法を適用して、該基材の各表面上に粘着剤層を形成することができる。また、上両面接着性の基材レス両面粘着シートの場合、例えば剥離ライナーの剥離面に粘着剤組成物を直接付与して乾燥または硬化させることにより、該剥離面上に粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層が非剥離性基材の非剥離面に設けられた態様の片面接着性の粘着シートの場合、該粘着剤層の形成方法として、上記直接法、上記転写法のいずれも好ましく採用することができる。
粘着剤組成物の付与(典型的には塗布)に際しては、慣用のコーター(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等)を用いることができる。粘着剤層の厚みは特に限定されず、例えば凡そ2μm〜200μm(好ましくは凡そ5μm〜100μm)程度であり得る。
ここに開示される粘着シートにおいて、粘着剤層を支持する非剥離性基材としては、上述の剥離ライナー用基材と同様のものを、剥離層が付与されていない状態で使用することができる。好適例として、紙類および布類(不織布等)が挙げられる。表面改質加工、添加剤配合等は、必要に応じて、剥離ライナーと同様に行うことができる。非剥離性基材の厚みは特に制限されないが、一般的には、例えば10μm〜500μm程度とすることが適当である。
ここに開示される粘着シートは、該シートを80℃で30分間加熱したときのトルエン放散量(以下、単に「トルエン放散量」ということもある。)が、粘着剤層1g当たり20μg以下(以下、これを「20μg/g」等と表記することもある。)であることが好ましい。トルエン放散量の下限は特に限定されないが、粘着特性や生産効率等を考慮して、通常は0.5μg/g以上であり、典型的には1μg/g以上である。なお、トルエン放散量としては、下記のトルエン放散量測定方法により得られた値を採用するものとする。
[トルエン放散量測定方法]
所定サイズ(例えば、面積5cm)の粘着剤層を含む試料をバイアル瓶に入れて密栓する。そのバイアル瓶を80℃で30分間加熱し、ヘッドスペースオートサンプラーを用いて、加熱状態のガス1.0mLをガスクロマトグラフ測定装置(GC測定装置)に注入してトルエンの量を測定する。その測定結果から、上記試料に含まれる粘着剤層1g当たりのトルエン発生量(放散量)[μg/g]を算出する。
なお、粘着剤層1g当たりのトルエン放散量を算出する基準となる粘着剤層の質量としては、剥離ライナーを除く粘着シートの質量から、試料面積当たりの基材の質量を差し引いた値を採用することができる。
ここに開示される粘着シートの好ましい一態様では、該シートを80℃で30分間加熱したときのTVOC量(以下、単に「TVOC量」ということもある。)が、粘着剤層1g当たり凡そ300μg以下である。TVOC量の下限は特に限定されないが、粘着特性や生産効率等を考慮して、通常は5μg/g以上、典型的には10μg/g以上である。なお、TVOC量としては、下記のTVOC量測定方法により得られた値を採用するものとする。
[TVOC量測定方法]
上記トルエン放散量測定方法と同様の試料を入れたバイアル瓶を80℃で30分間加熱し、ヘッドスペースオートサンプラーを用いて、加熱状態のガス1.0mLをGC測定装置に注入する。得られたガスクロマトグラムに基づいて、粘着剤層の作製に使用した材料から予測される揮発物質(アクリル系ポリマーの合成に用いたモノマー、後述する粘着付与樹脂エマルションの製造に用いた溶剤等)については標準物質によりピークの帰属および定量を行い、その他の(帰属困難な)ピークについてはトルエン換算として定量することにより、上記試料に含まれる粘着剤層1g当たりのTVOC量[μg/g]を求める。
なお、粘着剤層1g当たりのTVOC量を算出する基準となる粘着剤層の質量としては、トルエン放散量の測定と同様にして算出した値を採用することができる。
上記トルエン放散量測定方法およびTVOC量測定方法のいずれについても、ガスクロマトグラフの測定条件は次の通りとする。
・カラム:DB−FFAP 1.0μm(0.535mmφ×30m)
・キャリアガス:He 5.0mL/min
・カラムヘッド圧:23kPa(40℃)
・注入口:スプリット(スプリット比12:1、温度250℃)
・カラム温度:40℃(0min)−<+10℃/min>−250(9min)[40℃より、昇温速度10℃/minで250℃まで昇温させた後、250℃で9分間保持させる]
・検出器:FID(温度250℃)
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、および窒素導入管を備えた反応容器に、イオン交換水35部を投入し、窒素ガスを導入しながら60℃で1時間以上攪拌した。これに、重合開始剤として2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬工業株式会社製、商品名「VA−057」)0.1部を加えた。
モノマー原料として、n−ブチルアクリレート(BA)90部、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)10部、アクリル酸(AA)4部、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)2部、ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.05部を、イオン交換水40部に加えて乳化したものを用意した。
60℃に保った上記反応液に、このモノマー原料乳化液を4時間かけて徐々に滴下して乳化重合させた。モノマー原料の滴下終了後、さらに60℃で2時間攪拌し、加熱を停止した。次いで、モノマー100部に対して、アスコルビン酸0.1部および35%過酸化水素水0.1部(追加の重合開始剤)を加えてレドックス処理を行った。これを室温まで冷却した後、10%アンモニア水を添加してpH7に調整し、アクリル系重合体エマルション(水分散型アクリル系重合体)を得た。
上記アクリル系重合体エマルションに対し、該エマルションに含まれるアクリル系重合体100部当たり、固形分換算で30部の粘着付与樹脂のエマルションを加え、水分散型粘着剤組成物を得た。なお、上記粘着付与樹脂としては、ハリマ化成株式会社製の商品名「SK−253NS」(軟化点145℃の重合ロジン系樹脂の水性エマルションで、実質的に有機溶剤を全く用いずに製造されたもの)を使用した。
上質紙(坪量100g/m)の片面に厚さ25μmのPE層がラミネートされた剥離ライナー基材を用意した。この基材のPE層上に、非移行性の熱硬化性無溶剤型シリコーン系剥離剤および硬化触媒を混合したものを、塗布量が1.1g/mとなるように塗布した。これを、120℃で1分間保持して、乾燥および硬化させ、剥離ライナーAを得た。
得られた剥離ライナーAの剥離層上に、上記水分散型粘着剤組成物を、厚さが70μmとなるように塗布して粘着剤層を形成した。これを二枚用意して、不織布基材(大福製紙株式会社製、商品名「SP原紙−14」;坪量14g/m、厚さ42μm、嵩密度0.33g/cmのパルプ系不織布)の各面にそれぞれ転写して、両面粘着シートを得た。
<例2>
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器にBA70部、2−EHA27部、AA3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、および酢酸エチルを入れ、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して容器内を窒素置換した。この反応液を70℃に加熱し、AIBN(重合開始剤)0.2部を加えた。系を70℃に保ちつつ重合反応を8時間行い、重量平均分子量70×10のアクリル系重合体の酢酸エチル溶液を得た。
この溶液に対し、該溶液に含まれるアクリル系重合体100部当たり、粘着付与樹脂(理化タック社製、商品名「リカタックPCJ」;軟化点128℃の重合ロジンエステル樹脂)20部と、架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」;イソシアネート系架橋剤)2部と、を加えて均一に攪拌混合することにより、酢酸エチルを溶媒とする非トルエン溶剤型粘着剤組成物を得た。
得られた非トルエン溶剤型粘着剤組成物を用いたこと以外は例1と同様にして、二枚の剥離ライナーAによって両粘着面が保護された両面粘着シートを得た。
<例3>
例1と同様にして得た基材のPE層上に、例1の剥離剤および触媒の混合物に代えて、UV硬化性無溶剤型シリコーン系剥離剤を塗布した。該剥離剤の塗布量は、1.3g/mとした。該剥離剤の塗布後、高圧水銀灯を光源とし、照度2W/cmおよびライン速度70m/分の条件で紫外線を照射して剥離剤を硬化させ、剥離ライナーBを得た。
剥離ライナーAの代わりに剥離ライナーBを用いた以外は例1と同様にして、水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた両面粘着シートを得た。
<例4>
剥離ライナーAの代わりに剥離ライナーBを用いた以外は例2と同様にして、非トルエン溶剤型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた両面粘着シートを得た。
<例5>
例1の剥離剤および硬化触媒に代えて、汎用の熱硬化性無溶剤型シリコーン系剥離剤および硬化触媒を用い、該剥離剤の塗布量を1.5g/mとしたこと以外は例1と同様にして、剥離ライナーCを得た。
剥離ライナーAの代わりに剥離ライナーCを用いた以外は例1と同様にして、水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた両面粘着シートを得た。
<例6>
剥離ライナーAの代わりに剥離ライナーCを用いた以外は例2と同様にして、非トルエン溶剤型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた両面粘着シートを得た。
剥離ライナーA〜Cおよび例1〜6の両面粘着シートについて、以下の測定および評価を行った。それらの結果を、使用した粘着剤組成物の種類とともに表1に示す。
[トルエン放散量の測定]
例1〜6で得られた各両面粘着シートについて、粘着剤層1g当たりのトルエン放散量を、上述の方法に従って測定した。
[TVOC量の測定]
例1〜6の各両面粘着シートについて、粘着剤層1g当たりのTVOC量を、上述の方法に従って測定した。試験片としては、トルエン放散量の測定と同様のものを使用した。
なお、ここで、上記トルエン放散量およびTVOC量の算出には、各両面粘着シート1gに含まれる粘着剤層の質量が約0.91gであったことを利用した。
[剥離強度の測定]
各剥離ライナーA、B、Cにつき、剥離強度を測定した。すなわち、粘着テープ(日東電工株式会社製、品番「No.502」;幅50mmのアクリル系両面粘着テープ)を長さ約20cm分用意し、黄色の剥離紙を剥がして露出した粘着面に、剥離ライナーを、温度23℃、RH50%の環境下ハンドローラーを用いて貼り合わせて試験片を作製した。この試験片を、100℃の環境下1kgの荷重を付与して1時間、次いで23℃、RH50%の環境下1時間保持した。これを、引張試験機を用いて、23℃、RH50%の環境下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で、剥離ライナーを50mm引き剥がしたときの応力を測定し、その最高値を剥離強度(N/50mm)とした。なお、剥離強度の測定には、補助板を使用した。
[シリコーン移行量の測定]
各剥離ライナーA、B、Cにつき、上述の方法に従って、XRF装置としてリガク社製の型式「ZSX−100e」を用いて、下記条件にて、シリコーン移行量を測定した。
X線源:縦型Rh管
分析範囲:直径30mmの円内
分光結晶:Si−Kα
出力:50kv、70mA
[対SUS180°引き剥がし粘着力測定]
各両面粘着シートから第1の剥離ライナーを剥がし、厚さ25μmのPETフィルムを貼り合わせて裏打ちした。この裏打ちされた粘着シートを20mm×200mmの方形状にカットして試験片を作製した。この試験片から第2の剥離ライナーを剥がし、露出した粘着面を、被着体としてのステンレス鋼(SUS:B304)板に、2kgのローラーを一往復させて貼り付けた。これを23℃、RH50%の環境下に30分間保持した後、引張試験機(島津製作所社製、商品名「テンシロン」)を用い、JIS Z 0237に準拠して、23℃、RH50%の環境下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件にて、対SUS180°引き剥がし粘着力を測定した。
[対PP板180°引き剥がし粘着力測定]
被着体としてSUS板の代わりにPP板を用いた以外は上記対SUS180°引き剥がし粘着力測定と同様にして、対PP板180°引き剥がし粘着力を測定した。
[曲面接着性評価]
各両面粘着シートを幅20mm、長さ180mmのサイズにカットし、第1の剥離ライナーを剥がして露出した第1粘着面に同じサイズにカットした厚さ0.4mmのアルミニウム板を貼り付けて裏打ちして試験片を作製した。この試験片を、23℃、RH50%の環境下、ラミネータを用いて、30mm×200mmサイズにカットした厚さ2mmのPP板に圧着した後、同環境下で24時間保持した。次いで、図7に示されるように、弦長190mmの円弧状に反らせた。これを、70℃の雰囲気下で72時間保持し、該試験片端部がPP板表面から浮きあがった距離h(mm)を測定した(図8)。なお、図7〜8中、符号100、200、300は、第1および第2の剥離ライナーを除いた両面粘着シート、アルミニウム板、PP板をそれぞれ示す。
Figure 2016026241
表1に示されるように、熱硬化性無溶剤型またはUV硬化性無溶剤型のシリコーンからなる剥離層を有する例1〜4の粘着シートは、汎用熱硬化性無溶剤型シリコーンからなる剥離層を有する例5〜6の粘着シートと比べ、剥離層からのシリコーン移行量が半分以下と低減され、非トルエン系粘着剤層を備えながら、対SUS粘着力、対PP粘着力、曲面接着性のいずれについても、より優れた結果を示した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1,2,3,4,5,6:粘着シート
10:基材
21,22:粘着剤層
31,32:剥離ライナー

Claims (6)

  1. 少なくとも第1面にシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有する剥離ライナーと、その剥離層上に設けられた粘着剤層と、を備えた粘着シートであって、以下の条件:
    前記剥離層は、日東電工株式会社製片面粘着テープ品番「No.31B」に対するシリコーン移行量が、蛍光X線分析によるシリコンのX線強度として、直径30mmの円に相当する面積当たり10kcps以下である;および、
    前記粘着剤層は、水性溶媒または酢酸エチル中で合成された粘着成分を含む;
    のいずれも満たす、粘着シート。
  2. 前記シリコーン系剥離剤が、無溶剤型シリコーンである、請求項1記載の粘着シート。
  3. 前記シリコーン系剥離剤が、熱硬化性シリコーンである、請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記粘着シートを80℃で30分間保持したとき、該シートから放散されるトルエン総量が前記粘着剤層1g当たり20μg以下であり、かつ該シートから放散される揮発性有機化合物類の総量が前記粘着剤層1g当たり300μg以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 前記粘着剤層が、一般式:CH=C(R)COOR(ここで、Rは水素またはメチル基であり、Rは炭素数2〜14のアルキル基である。)で表されるアクリル系モノマーを含むモノマー原料を重合させてなるアクリル系重合体を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の粘着シート。
  6. 前記剥離層上の前記粘着剤層に、両面が非剥離性の基材が積層され、該基材上に更に粘着剤層が積層された、両面接着性の粘着シートとして構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の粘着シート。
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