JP2016023304A - 内装用塗料組成物 - Google Patents

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有美 阿久根
正彦 石井
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正彦 石井
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Hirobumi Yamashita
博文 山下
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Abstract

【課題】本発明は、カーボンブラックの含有量を低下させた塗料組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、水性ウレタン樹脂(A)、水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂(B)、水性ポリオレフィン系樹脂(C)、樹脂粒子(D)及び着色顔料(E)を含み、乾燥塗膜質量に対して1質量%以下のカーボンブラック及び5質量%以上30質量%未満のカーボンブラック以外の着色顔料を含み、塗料組成物から形成される塗膜の明度L*が20〜30であり、白黒隠蔽試験紙における隠蔽力が10μm〜20μmであることを特徴とする内装用塗料組成物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は内装用塗料組成物に関する。
インストルメントパネル、センターコンソール、ドアトリム等の自動車内装部品は、通常、付着性等の観点からポリオレフィン系樹脂と着色顔料とを含む1液型の塗料が塗装されており、黒色や灰色系の塗料では、一般に、カーボンブラックが黒色顔料として用いられている。
カーボンブラックを着色顔料として含む黒色塗料組成物として、例えば、特許文献1には、950℃での揮発分組成中の酸素化合物から算出した全酸素が10mg/g以上であるカーボンブラックにアミン化合物を添着してなる改質カーボンブラックを使用することを特徴とする黒色塗料組成物が記載されている。
また、特許文献2には、光輝材を配合した非晶性樹脂に、カーボンブラック及び有機黒色着色剤を併用添加することにより、明度(L)値を60未満とした黒色メタリック色調成形樹脂組成物が記載されている。
しかし、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は50〜150ml/100gと高く、親油性が高いため、塗料中のカーボンブラック含有量が高いと塗膜の耐油脂性が低下する。
また、カーボンブラックは表面官能基が少ないため、表面エネルギーが低く、分散し難い。そのため、カーボンブラックを含有する塗料では、塗膜中の顔料濃度(PWC)を高くすることが難しく、カーボンブラックのPWCは、通常、3〜5%程度であり、塗膜中の樹脂成分の割合が大きい。PWCが低い黒色塗料は、塗膜の内部歪みが大きくなるため、被塗物への塗膜の付着性が低下する。また、カーボンブラックを分散させるために顔料分散剤を多量に使用すると、塗膜の耐湿性等の物性が低下する。
さらに、カーボンブラックは太陽光からの赤外線吸収能が大きいため、カーボンブラックを含有する塗料では、吸収された赤外線が振動熱に変換されることにより、塗膜及び被塗物の温度が上昇し、塗膜の酸化劣化や耐加水分解劣化が促進される。
特開平3−244672号公報 特開2012−162695号公報
前記のように、カーボンブラックを含有する塗料組成物には様々な不利な点が存在する。それ故、本発明は、カーボンブラックの含有量を低下させた塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、塗料組成物に含まれる着色顔料の含有量、並びに樹脂材料の種類及び含有量を特定することにより、塗料組成物中のカーボンブラックの含有量を低下させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)水性ウレタン樹脂(A)、水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂(B)、水性ポリオレフィン系樹脂(C)、樹脂粒子(D)及び着色顔料(E)を含む内装用塗料組成物であって、樹脂(A)、(B)及び(C)の合計質量に対する樹脂(C)の量が15質量%〜50質量%であり、樹脂(A)及び(B)の固形分質量比[(A)/(B)]が90/10〜50/50であり、樹脂(A)の20℃における伸び率が100%以上であり、樹脂(B)の塩素化ポリオレフィン変性量が5質量%〜40質量%であり、樹脂(C)が塩素化されていない水性ポリプロピレン系樹脂であり、結晶化度が35%〜50%であり、かつ、質量平均分子量が50000〜200000であり、着色顔料(E)のカーボンブラック含有量が乾燥塗膜質量に対して1質量%以下であり、カーボンブラック以外の着色顔料の含有量が乾燥塗膜質量に対して5質量%以上30質量%未満であり、塗料組成物から形成される塗膜の明度Lが20〜30であり、白黒隠蔽試験紙における隠蔽力が10μm〜20μmであることを特徴とする内装用塗料組成物。
本発明により、カーボンブラックの含有量を低下させた塗料組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の内装用塗料組成物は、水性ウレタン樹脂(A)、水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂(B)、水性ポリオレフィン系樹脂(C)、樹脂粒子(D)及び着色顔料(E)を含む。
本発明の内装用塗料組成物に用いられる水性ウレタン樹脂(A)は、塗膜のマトリックスを形成する成分であり、熱によって溶融させることができる。水性ウレタン樹脂(A)の配合量は、上記樹脂(A)、(B)及び(C)の合計質量を100質量%とした場合、25質量%〜75質量%であることが好ましい。水性ウレタン樹脂(A)の配合量がこの範囲内であると、得られる塗膜と基材との十分な付着性を確保することができる。
水性ウレタン樹脂(A)は、20℃における伸び率が100%以上である。上記伸び率が上記範囲内にあると、得られる塗膜が十分なソフト感を有する。上記伸び率は、200%以上であることがより好ましく、上限は、好ましくは1000%以下である。
水性ウレタン樹脂(A)としては、多官能イソシアネート化合物、一分子中に2個以上の水酸基を有するポリオール、及びジメチロールプロパン酸又はジメチロールブタン酸等の水酸基とカルボン酸基を共に有する親水化剤をジブチル錫ジラウレート等の触媒の存在下、イソシアネート基過剰の状態で反応させて得られたウレタンプレポリマーに、アミン類等の有機塩基又は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基によりカルボン酸を中和し、イオン交換水を加えて水性化した後、更に鎖伸長剤により高分子量化したウレタンディスパージョン;カルボン酸を含有しないウレタンプレポリマーを合成した後、カルボン酸、スルホン酸、エチレングリコール等の親水基を有したジオール又はジアミンを用いて鎖伸長した後、上記塩基性物質で中和して水性化し、必要により更に鎖伸長剤を用いて高分子量化したウレタンディスパージョン;必要により乳化剤も併用して得られたウレタンディスパージョンを挙げることができる。
上記多官能イソシアネート化合物としては1,6−ヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物及びこれらのアダクト体、ビュウレット体、イソシアヌレート体等の多官能イソシアネート化合物等を挙げることができる。
また、上記ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。
上記鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、フランジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の低分子量ジオール化合物及びこれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を付加重合させたポリエーテルジオール化合物;上記低分子量ジオール化合物と(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)フタル酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物から得られる末端に水酸基を有するポリエステルジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン化合物;水、アンモニア、ヒドラジン、二塩基酸ヒドラジド等を挙げることができる。
水性ウレタン樹脂(A)は、市販のウレタンディスパージョンを使用することもできる。上記市販のウレタンディスパージョンとしては特に限定されず、例えば、アデカボンタイターHUX561、アデカボンタイターHUX210、アデカボンタイターHUX980(以上、ADEKA社製)、バイヒドロールVP LS2952(住化バイエルウレタン社製)、VONDIC 2260、VONDIC 2220、ハイドランWLS210、ハイドランWLS213(以上、大日本インキ化学工業社製)、NeoRez R9603(アビシア社製)等を挙げることができる。
本発明の内装用塗料組成物に用いられる水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂(B)は、塗膜のマトリックスを形成する成分であり、熱によって溶融させることができる。本発明の内装用塗料組成物は、上記樹脂(B)を含有することにより、形成される塗膜に優れた耐擦傷性及び基材との間の付着性を付与することができる。
上記樹脂(B)の配合量は、上記樹脂(A)、(B)及び(C)の合計質量を100質量%とした場合、5質量%〜42質量%であることが好ましい。上記樹脂(B)の配合量がこの範囲内であると、得られる塗膜が十分な耐擦傷性及び基材との付着性を有する。
上記水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂(B)の製造に使用するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリブテン、スチレン−ブタジエン−イソプレン等の共重合体の塩素化物が挙げられる。
上記水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂(B)におけるアクリル系重合鎖部分は、ポリオレフィン部分にグラフトしている重合鎖、又はポリオレフィン末端についているブロック重合鎖である。上記アクリル系重合鎖部分のガラス転移温度(Tg)は、得られる塗膜の耐擦傷性と耐油脂性、造膜性及び耐水性の観点から、50℃〜120℃であることが好ましく、70℃〜100℃であることがより好ましい。
上記アクリル系重合鎖部分は、アクリル系モノマーに由来する構造単位を必須成分とするが、適宜、その他のモノマーに由来する構造単位を更に含んだ共重合体部分であってもよい。上記アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸及び(メタ)アクリルモノマー等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを挙げることができる。上記その他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニル系モノマー等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、炭素原子数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられ、また、炭素原子数6〜12のアリ−ル基又はアリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマ−、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」の表現は「アクリル又はメタクリル」の意味である。
更に、ヘテロ原子を含有する炭素原子数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイドの付加物等、フッ素原子を含有する炭素原子数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パ−フルオロエチルエチル等、(メタ)アクリルアミド系モノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド等が挙げられる。
上記水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂(B)の製造方法は、例えば、塩素化ポリオレフィンを溶剤中に溶解させておいて、過酸化物の存在下、その溶液中で(メタ)アクリル酸等の酸含有アクリル系モノマーをその他のアクリル系モノマーと共重合させて塩素化ポリオレフィンにグラフト共重合させ、アミンで中和した後イオン交換水を加えて水性化する方法や、上記塩素化ポリオレフィンとアクリルモノマーを乳化剤を用いて予め乳化し、その後、重合開始剤を用いて重合させる乳化重合法や微細懸濁重合法等が挙げられる。
上記樹脂(B)は、上記樹脂(B)中の塩素化ポリオレフィン変性量が5質量%〜40質量%の範囲である。上記樹脂(B)中の塩素化ポリオレフィン変性量が5質量%以上であると、ウレタン樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(C)との相溶性が低下せず、付着性低下や耐擦り傷性低下のおそれもない。上記樹脂(B)中の塩素化ポリオレフィン変性量が40質量%以下であると十分な耐油脂性を有する。上記変性量は、配合量から算出することができる。
本発明の内装用塗料組成物において、上記樹脂(A)及び(B)の固形分質量比[(A)/(B)]は、90/10〜50/50であり、80/20〜60/40であることが好ましい。上記(A)/(B)が上記範囲内であると、得られる塗膜と基材との付着性が十分であり、また、得られる塗膜が十分な耐油脂性を有する。
本発明の内装用塗料組成物に用いられる水性ポリオレフィン系樹脂(C)は、塗膜のマトリックスを形成する成分であり、熱によって溶融させることができる。上記樹脂(C)の量は、上記樹脂(A)、(B)及び(C)の合計質量を100質量%とした場合、15質量%〜50質量%であり、20質量%〜40質量%であることが好ましい。上記樹脂(C)の量が15質量%以上であると、得られる塗膜と基材との付着性、塗膜の耐湿性、耐油脂性及び耐光性が十分であり、50質量%以下であると、塗膜の耐油脂性が十分であるためである。
上記樹脂(C)は、塩素化されていない水性ポリプロピレン系樹脂である。塩素化されていない水性ポリプロピレン系樹脂を塗料組成物に用いることによって、得られる塗膜と基材との低温焼付け乾燥での付着性を高めることができる。上記塩素化されていない水性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレンと共重合可能な塩素不含のモノマー(エチレン等)との共重合体が挙げられるが、プロピレンの単独重合体及びプロピレンとエチレンの共重合体が好ましい。
上記樹脂(C)は、塗膜の耐油脂性の観点から、構成モノマーの90質量%以上がプロピレンであるポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂において、プロピレン以外の構成モノマーとしては、例えば、炭素原子数2又は4〜20のモノ又はジオレフィン類、例えば、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、スチレン及びこれらの誘導体が挙げられる。本明細書において、樹脂を構成するモノマー含有量は、樹脂の製造に用いる各モノマー量により求めることができる。
上記樹脂(C)は、メタロセン触媒を用いて得られるものであることが好ましい。これは一般にメタロセン触媒が、リガンドのデザインによりミクロタクティシティーを制御できること、すなわち得られたポリプロピレン主鎖が、アタクチックポリプロピレンとは異なり、結晶化可能な連鎖長のアイソタクチックブロックを含有することを意味し、アイソタクチックブロックが存在するということは、言い換えれば、立体特異性が乱れたシークエンスからなるブロックも同時に主鎖に存在することを意味する。即ち、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン主鎖中には、結晶性を有するブロックと非晶性のブロックとが共存し、かつ結晶性を有するブロックが、比較的長い平均連鎖長を有するアイソタクチックブロックから形成され、アイソタクチック性に富む構造になっているという特異な構造となったものである。このような特長から、メタロセン触媒を用いて重合されたポリオレフィンを用いた塗料は、低温であっても得られる塗膜の耐油脂性、付着性、伸び率制御等によるソフト感を並立することが可能となる。
上記メタロセン触媒としては、従来公知のものを使用することができ、例えば特開2004−115712号公報([0021]〜[0052])記載のもの等が挙げられる。
上記樹脂(C)は、不飽和有機酸又はその酸無水物によって変性されたもの(以下、変性ポリプロピレン系樹脂ということがある。)であることが好ましい。上記不飽和有機酸又はその酸無水物によって変性されたものとしては、例えば、上記ポリプロピレン系樹脂の主鎖に、炭素原子数3〜25の不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト反応させて変性したものを挙げることができる。このグラフト反応は常法によりラジカル発生剤を用いて行うことができる。
グラフトさせる不飽和カルボン酸又はその酸無水物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、シトラコン酸、クロトン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、アコニット酸、及びこれらの無水物等が挙げられ、なかでも、マレイン酸、及びこの無水物等が好ましい。
本発明に用いることができる変性ポリプロピレン系樹脂の不飽和カルボン酸又はその酸無水物の付加率(変性ポリプロピレン系樹脂中の不飽和カルボン酸又はその酸無水物の含有割合)は、通常、0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.1質量%〜5質量%である。付加率が0.01質量%以上であると、得られる塗料組成物の分散安定性が良好であり、20質量%以下であると、塗膜の耐水性が悪化しない。この付加率は、赤外分光スペクトル分析法により、カルボニル基の吸収強度を、付加率(含有量)既知のサンプルに基づいて作成した検量線と対比することにより測定できる。
不飽和カルボン酸又はその酸無水物を付加する方法としては、ラジカル発生剤の存在下で、ラジカル発生剤の分解条件に付すことによりグラフト反応させる方法が一般的であり、例えば、ポリプロピレン主鎖を有機溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸又はその酸無水物とラジカル発生剤を添加し、撹拌下で加熱することにより付加を行う方法、各成分を押出機に供給して加熱混練しながら付加を行う方法等が挙げられる。
使用されるラジカル発生剤と不飽和カルボン酸又はその酸無水物とのモル比(ラジカル発生剤と不飽和カルボン酸又はその酸無水物との比率)は、通常1/100〜3/5、好ましくは1/20〜1/2であり、反応温度は、特に制限はないが、通常50℃以上である。反応時間は、通常2時間〜10時間である。
グラフト反応に用いられるラジカル発生剤としては、通常のラジカル発生剤から適宜選択して使用することができ、例えば有機過酸化物等が挙げられる。有機過酸化物としては、ジイソプロピルパーオキシド、ジ(t−ブチル)パーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クミルヒドロパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ジ(t−ブチル)パーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートが好ましい。
グラフト反応を溶解又は含浸状態で行う場合に用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらの中でも芳香族系炭化水素及びハロゲン化炭化水素が好ましく、特にトルエン、キシレン、クロロベンゼンが好ましい。
また、不飽和ジカルボン酸モノエステルを変性成分として有する変性ポリプロピレン系樹脂を製造する場合は、不飽和ジカルボン酸モノエステルをポリプロピレン主鎖に上記のようにグラフト反応させる方法の他、不飽和ジカルボン酸又はその無水物を、ポリプロピレン主鎖にグラフト反応させた後、脂肪族アルコールを用いてカルボキシル基の1つをエステル化したり、酸無水物基をモノエステル化したりする方法によって製造することもできる。
上記樹脂(C)は、結晶化度が35%〜50%である。上記結晶化度が35%以上であると塗膜の耐油脂性が低下せず、50%以下であると得られる塗膜と基材との付着性が十分であるためである。
本明細書において、上記結晶化度の測定方法は、以下のとおりである:
(結晶化度)
ポリプロピレンの立体規則性[mmmm]は、NMR装置(日本電子(株)製、400MHz)にて13C−NMRスペクトル測定法により測定した。試料350〜500mgを、10mmφのNMR用サンプル管中で、約2.2mlのオルトジクロロベンゼンを用いて完全に溶解させた。次いで、ロック溶媒として約0.2mlの重水素化ベンゼンを加え、均一化させた後、130℃でプロトン完全デカップリング法により測定を行った。測定条件は、フリップアングル90°、パルス間隔5T以上(Tは、メチル基のスピン格子緩和時間のうち最長の値)とした。プロピレン系重合体において、メチレン基及びメチン基のスピン格子緩和時間はメチル基のそれよりも短いので、この測定条件では、すべての炭素の磁化の回復は99%以上である。20時間以上の積算を行い測定した。
ケミカルシフトは、頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部の10種類のペンタッド(mmmm,mmmr,rmmr,mmrr,mmrm,rmrr,rmrm,rrrr,rrrm,mrrm)のうち、メチル分岐の絶対配置がすべて同一である、すなわち、mmmmで表されるプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基にもとづくピークのケミカルシフトを21.8ppmとして設定し、これを基準として他の炭素ピークのケミカルシフトを決定する。この基準では、例えば、その他のプロピレン単位5連鎖の場合、第3単位目のメチル基にもとづくピークのケミカルシフトはおおむね次のようになる。すなわち、mmmr:21.5〜21.7ppm、rmmr:21.3〜21.5ppm、mmrr:21.0〜21.1ppm、mmrm及びrmrr:20.8〜21.0ppm、rmrm:20.6〜20.8ppm、rrrr:20.3〜20.5ppm、rrrm:20.1〜20.3ppm、mrrm:19.9〜20.1ppmである。
このポリプロピレン主鎖は、上記mmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークのピークトップのケミカルシフトを21.8ppmとした際に、19.8ppmから22.2ppmの範囲に現れる上記のペンタッド、すなわち、mmmm、mmmr、rmmr、mmrr、mmrm、rmrr、rmrm、rrrr、rrrm、mrrmのすべてのペンタッドに属するピークの総面積Sに対する、21.8ppmをピークトップとするピークの面積Sの比率(S/S)を結晶化度と定義した。
なお、本明細書では上記で述べた方法で結晶化度を測定するため、プロピレンと他のモノマーとの共重合体の結晶化度は、樹脂中のポリプロピレン部分の結晶化度を意味する。
上記樹脂(C)の質量平均分子量は50000〜200000である。質量平均分子量が50000以上であると、塗膜の付着性及び耐油脂性が低下せず、質量平均分子量が200000以下であると、水性樹脂製造に支障をきたさないためである。
本明細書において、上記質量平均分子量の測定方法は、以下のとおりである:
(質量平均分子量)
はじめに試料20mgを30mlのバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHTを0.04質量%含有するオルトジクロロベンゼン20gを添加した。135℃に加熱したオイルバスを用いて試料を溶解させた後、孔径3μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて熱濾過を行い、ポリマー濃度0.1質量%の試料溶液を調製した。次に、カラムとしてTSKgel GMH−HT(30cm×4本)及びRI検出器を装着したウォーターズ(Waters)社製GPC150CVを使用し、GPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液のインジェクション量:500μl、カラム温度:135℃、溶媒:オルトジクロロベンゼン、流量:1.0ml/分を採用した。分子量の算出に際しては、標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料に換算した分子量とした。
上記樹脂(C)は、得られる塗膜の耐油脂性及び基材との付着性の観点から、融点が50℃〜90℃であることが好ましく、55℃〜75℃であることがより好ましい。
本明細書において、上記樹脂(C)の融点(℃)は、示差走査熱量計(DSC)(熱分析装置SSC5200(セイコー電子製))にて測定した。
上記樹脂(C)は、20℃における伸び率が400%以上であることが好ましい。上記伸び率が上記範囲内にあると、得られる塗膜のソフト感(特にしっとり感)を向上させることができる。上記伸び率は、500%以上であることがより好ましく、上記範囲内であれば、1000%以下であってもよい。
本明細書において、樹脂の伸び率(%)の測定方法は、以下のとおりである:
乾燥膜厚25μmになるようにスプレーガンでポリプロピレン板に塗装し、60℃で20分間焼付けを行い、得られたポリプロピレン板から幅10mm、長さ50mmの試験片を切り出し、温度20℃、引っ張り速度50mm/分にて伸び率を測定する。測定には、島津製作所(株)製の島津オートグラフAG−IS MSを用いる。
上記樹脂(C)の水性化方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上記で製造された酸無水物変性ポリプロピレンにトルエンを加えて約100℃で溶かした樹脂溶液とし、その後界面活性剤を加えて、約50℃〜75℃の状態で強制攪拌しながら、約50℃のイオン交換水を滴下して転相乳化し、トルエンをその後減圧除去する方法が挙げられる。また、テトラヒドロフラン等の溶剤で約60℃で上記酸無水物変性ポリプロピレン樹脂を加熱して溶解し、上記樹脂のカルボキシル基を過剰のアミンで中和した後、約60℃のイオン交換水を、強制攪拌しながらこの樹脂溶液に滴下し、相転移して乳化し、その後、減圧にて溶剤を除去する方法が挙げられる。更に、上記溶解溶液に乳化剤及びアミンを併用して混合し、約60℃のイオン交換水を強制攪拌しながら滴下して乳化し、その後溶媒を減圧除去する方法もある。上記手順とは逆に、アミン等の中和剤及び/又は界面活性剤等が溶解した温水中に上記加熱溶媒で溶かした酸無水物変性ポリオレフィン溶液を水中で強制攪拌しながら滴下し乳化後、溶媒を減圧除去する方法等も挙げられる。
本発明の内装用塗料組成物に用いられる樹脂粒子(D)は、得られる塗膜の艶を調整するために用いられる。
上記樹脂粒子(D)は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン)及びナイロン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アクリル樹脂及び/又はウレタン樹脂がより好ましい。また、樹脂粒子(D)は、目的とする意匠にあわせて、着色、無色、透明、不透明を問わず、これらの任意のものを使用することができる。樹脂粒子として、市販のものを使用することができる。
上記樹脂粒子(D)の数平均粒子径は、得られる塗膜の質感の観点から、2μm〜40μmが好ましく、4μm〜20μmがより好ましい。上記樹脂粒子(D)の数平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置を使用して測定することができる。
本発明の内装用塗料組成物において、得られる塗膜の質感の観点から、樹脂粒子(D)と、樹脂(A)、(B)及び(C)の合計質量との固形分質量比[(D)/((A)+(B)+(C))]は、好ましくは20/100〜100/100である。
本発明の内装用塗料組成物に用いられる着色顔料(E)は、該塗料組成物から得られる塗膜を黒色に着色するために用いられる。本発明の内装用塗料組成物は、乾燥塗膜質量に対して1質量%以下のカーボンブラック及び乾燥塗膜質量に対して5質量%以上30質量%未満のカーボンブラック以外の着色顔料を含む。本発明の内装用塗料組成物において、カーボンブラック以外の着色顔料を組み合わせて用いることにより、減法混色法により黒色着色剤が得られる。本発明において、減法混色法とは、色材を混色して特定の色を表すことをいう。
本発明の内装用塗料組成物に用いることができるカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等を挙げることができ、例えば、ラーベン(Raven)7000、ラーベン5750、ラーベン5250、ラーベン5000、ラーベン5000ウルトラ(ULTRA)II、ラーベン3500、ラーベン2500ウルトラ、ラーベン2000、ラーベン1500、ラーベン1255、ラーベン1250、ラーベン1200、ラーベン1190ウルトラII、ラーベン1170、ラーベン1080ウルトラ、ラーベン1060ウルトラ、ラーベン790ウルトラ、ラーベン780ウルトラ、ラーベン760ウルトラ(以上、コロンビア社製)、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モーグル(Mogul)L、モナーク(Monarch)700、モナーク(Monarch)800、モナーク880、モナーク900、モナーク1000、モナーク1100、モナーク1300、モナーク1400(以上、キャボット社製)、カラーブラックFW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラック18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.45、No.45L、No.47、No.52、No.900、No.960、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等の市販品を用いることができる。カーボンブラックは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、カーボンブラックのDBP吸油量は、例えば50ml/cm〜150ml/cmである。
本発明の内装用塗料組成物において、カーボンブラックの乾燥塗膜質量に対する含有量(PWC)は1質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは、塗料組成物はカーボンブラックを含まない。これによって、本発明の内装用塗料組成物から得られる塗膜が十分な色相及び隠蔽力を有し、かつ、耐油脂性、耐光性及び付着性においても優れる。
本発明の内装用塗料組成物に用いることができるカーボンブラック以外の着色顔料は、塗料組成物から得られる塗膜の明度L値が20〜30であり、白黒隠蔽試験紙における隠蔽力が10μm〜20μmとなるように選択される。本発明において、白黒隠蔽試験紙における隠蔽力とは、JIS K5600−4−1に規定の隠蔽率試験試に、膜厚を変えて塗料組成物を塗装、焼き付け後に測定した、目視で白黒境界が判別できなくなる膜厚を意味する。カーボンブラック以外の着色顔料としては、例えば、紫色顔料、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、白色顔料、青色顔料及びカーボンブラック以外の黒色顔料を挙げることができる。カーボンブラック以外の着色顔料は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができ、好ましくは4種以上を組み合わせて用いる。
紫色顔料としては、特に限定されずに、例えば、コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレットを挙げることができる。
赤色顔料としては、特に限定されずに、例えば、酸化鉄レッド、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等を挙げることができるが、酸化鉄レッド及びジケトピロロピロールが好ましい。
黄色顔料としては、特に限定されずに、例えば、酸化鉄イエロー、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等を挙げることができるが、酸化鉄イエローが好ましい。
緑色顔料としては、特に限定されずに、例えば、フタロシアニングリーン等を挙げることができる。
白色顔料としては、特に限定されずに、例えば、二酸化チタン等を挙げることができる。
青色顔料としては、特に限定されずに、例えば、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルー等を挙げることができる。
カーボンブラック以外の黒色顔料としては、特に限定されずに、例えば、酸化鉄ブラック、アニリンブラック等を挙げることができる。
カーボンブラック以外の着色顔料の好ましい組み合わせは、紫色顔料、赤色顔料、黄色顔料及び緑色顔料の組み合わせ、紫色顔料、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料及び白色顔料の組み合わせ、並びに紫色顔料、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、白色顔料及び青色顔料の組み合わせである。
カーボンブラック以外の着色顔料は、例えば、紫色顔料、赤色顔料、黄色顔料及び緑色顔料の組み合わせを用いる場合、紫色顔料:赤色顔料:黄色顔料:緑色顔料=5〜15:5〜15:5〜15:55〜85の質量比で用いられ、紫色顔料、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料及び白色顔料の組み合わせを用いる場合、紫色顔料:赤色顔料:黄色顔料:緑色顔料:白色顔料=5〜10:5〜10:5〜10:40〜50:25〜35の質量比で用いられ、紫色顔料、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、白色顔料及び青色顔料の組み合わせを用いる場合、紫色顔料:赤色顔料:黄色顔料:緑色顔料:白色顔料:青色顔料=5〜10:5〜10:5〜10:30〜60:10〜40:3〜15の質量比で用いられる。
本発明の内装用塗料組成物において、カーボンブラック以外の着色顔料の乾燥塗膜質量に対する含有量(PWC)は、5質量%以上30質量%未満であり、好ましくは5質量%〜15質量%である。カーボンブラック以外の着色顔料のPWCがこの範囲内であると、得られる塗膜が耐油性、耐光性及び基材に対する付着性に優れる。
本発明の内装用塗料組成物において、着色顔料(E)の乾燥塗膜質量に対する含有量(PWC)は、例えば、5質量%以上であり、得られる塗膜が十分な黒色の色相を呈するという観点から、好ましくは10質量%以上である。
本発明の一つの実施形態において、カーボンブラック以外の着色顔料が、赤色顔料、黄色顔料及び白色顔料の組み合わせを含む場合、赤色顔料が酸化鉄レッドであり、黄色顔料が酸化鉄イエローであり、白色顔料が酸化チタンであり、かつ、赤色顔料、黄色顔料及び白色顔料の合計質量が、着色顔料の合計質量に対して20質量%以上であることが好ましい。
本発明の内装用塗料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を必要に応じて含有するものであってもよい。含有することができる成分としては特に限定されずに、例えば、上記(A)〜(C)以外の樹脂、表面調整剤、沈降防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ワックス、造膜助剤、架橋剤、増粘剤、消泡剤等を挙げることができる。
本発明の内装用塗料組成物は、上記樹脂(A)、(B)及び(C)と、上記樹脂粒子(D)と、上記着色顔料(E)と、必要に応じて他の成分とを順に攪拌混合することによって得ることもできるし、上記(A)〜(C)を混合した水性分散液に、上記樹脂粒子(D)及び/又は上記着色顔料(E)とを必要に応じて他の成分で分散した分散液を添加して得ることもできる。
上記樹脂粒子(D)及び/又は上記着色顔料(E)は、例えば、水溶性アクリル樹脂等の樹脂に分散させて用いることができる。上記樹脂粒子(D)及び/又は上記着色顔料(E)を分散させるために用いられる水溶性アクリル樹脂は、アクリル系モノマーに由来する構造単位を必須成分とするものであれば特に制限されない。上記アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸及び(メタ)アクリルモノマー等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを挙げることができる。
本発明の内装用塗料組成物から形成される塗膜は、乾燥塗膜の明度L値が20〜30である。明度L値は、例えば、色彩色差計(コニカミノルタ社製:CR−400)によって測定することができる。
本発明の内装用塗料組成物から形成される塗膜は、白黒隠蔽試験紙における隠蔽力が10μm〜20μmである。
上記の明度L値及び白黒隠蔽試験紙における隠蔽力を有する、本発明の内装用塗料組成物から形成される塗膜は、乾燥塗膜質量に対して1質量%超のカーボンブラックを含有する塗料組成物から得られる塗膜と同等の黒色の色相を呈することができる。
本発明の内装用塗料組成物は、種々のプラスチック基材及びこれらの成形品等に用いることができるが、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ABS樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック基材及びこれらの成形品に好適に用いることができ、ポリプロピレン等のポリオレフィン系基材及びその成形品に特に好適に用いることができる。
本発明の塗料組成物による塗装を行う際に、塗装前に基材にプライマーを塗装する必要はなく、通常アルコール等で基材を拭き取った後、基材上に直接本発明の塗料組成物を塗装し、焼付け乾燥することができる。なお、プライマーを塗装した上に本発明の塗料組成物による塗装を行うことも可能である。
本発明の内装用塗料組成物を上記基材に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スプレー塗装、ロールコーター法、ベル塗装、ディスク塗装、カーテンコート、シャワーコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができ、通常、乾燥膜厚10μm〜50μmの範囲内で塗装することができる。上記塗装と上記焼付け乾燥との間に、常温(室温)で適当な時間静置してセッティングしてもよい。
上記焼付け乾燥は、加熱によって行うことが好ましい。また、上記加熱によって焼付け乾燥を行う場合であっても、硬化反応を生じさせる必要はなく樹脂の表面が溶融して基材に付着すれば充分であるため、低温での加熱により行うことができる。上記加熱は、例えば、50℃以上であればよく、5分〜60分等の条件で行うことができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
1.顔料ペーストの調製
製造例1:顔料ペースト用水溶性アクリル樹脂の合成
撹拌羽根、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管及び冷却管を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル55部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、撹拌下120℃まで昇温した。
次に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、メタクリル酸9部、イソブチルメタクリレート35部、n−ブチルアクリレート44部からなるモノマー溶液と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート1部とプロピレングリコールモノメチルエーテル4部からなる溶液を、2時間かけて反応容器に滴下した。
滴下終了後、撹拌しながら120℃で2時間熟成した後、内部温度を70℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノール9.5部を滴下し、さらに30分撹拌した。
内部温度を70℃に保持しながら、イオン交換水167部を徐々に滴下し、25℃まで冷却し、水溶性アクリル樹脂溶液を得た。得られた水溶性アクリル樹脂溶液は、固形分30%、pH8.1であり、アクリル樹脂の質量平均分子量は42000であった。
製造例2:黒色顔料ペーストの調製
攪拌機を備えたステンレス容器に上記製造例1の水溶性アクリル樹脂35部を仕込み、攪拌しながら脱イオン水36部、カーボンブラック(ラーベン5000;商品名、コロンビア社製)10.5部、顔料分散剤(EFKA4550;商品名、エフカ社製)18部、消泡剤(BYK−011;商品名、ビッグケミー社製)0.5部を順次仕込み、混合物が均一になるまで30分間充分に攪拌し、ミルベースを作成した後、サンドグラインドミルで黒色顔料を分散し、黒色顔料ペーストを製造した(不揮発分30%、顔料濃度(PWC)35%)。
製造例3:白色顔料ペーストの調製
攪拌機を備えたステンレス容器に上記製造例1の水溶性アクリル樹脂10.9部、脱イオン水15.3部を仕込み、攪拌しながら二酸化チタン(CR−97;商品名、石原産業社製)65.6部、分散剤(DUSPERBYK 190;商品名、ビッグケミー社製、固形分40質量%)8.2部を仕込み、30分間均一になるまで攪拌を更に継続して、ミルベースを得た。次いで、上記ミルベースを上記製造例2で用いたものと同じ分散機(サンドグラインドミル)で白色顔料を分散し、白色顔料ペーストを得た(不揮発分72質量%、PWC91%)。
製造例4:緑色顔料ペーストの調製
攪拌機を備えたステンレス容器に上記製造例1の水溶性アクリル樹脂56.87部、脱イオン水25.76部を仕込み、攪拌しながらリオノールグリーン6YKP−N17.07部(東洋インキ製造社製)、消泡剤(BYK 011;商品名、ビッグケミー社製、固形分40質量%)0.30部を仕込み、30分間均一になるまで攪拌を更に継続して、ミルベースを得た。次いで、上記ミルベースを上記製造例2で用いたものと同じ分散機(サンドグラインドミル)で緑色顔料を分散し、緑色顔料ペーストを得た(不揮発分34質量%、PWC50%)。
製造例5:黄色顔料ペーストの調製
攪拌機を備えたステンレス容器に上記製造例1の水溶性アクリル樹脂58.17部、脱イオン水15.65部を仕込み、攪拌しながら酸化鉄イエロー(タロックスLL−XLO;商品名、チタン工業製社製)26.18部を仕込み、30分間均一になるまで攪拌を更に継続して、ミルベースを得た。次いで、上記ミルベースを上記製造例2で用いたものと同じ分散機(サンドグラインドミル)で黄色顔料を分散し、黄色顔料ペーストを得た(不揮発分44質量%、PWC60%)。
製造例6:赤色顔料ペースト1の調製
攪拌機を備えたステンレス容器に上記製造例1の水溶性アクリル樹脂27.10部、脱イオン水42.23部を仕込み、攪拌しながら、IrgazinDPP RUBINE TR(BASF社製)19.00部、消泡剤(BYK−011;商品名、ビッグケミー社製)0.30部、顔料分散剤(EFKA4550;商品名、エフカ社製)11.39部を仕込み、30分間均一になるまで攪拌を更に継続して、ミルベースを得た。次いで、上記ミルベースを上記製造例2で用いたものと同じ分散機(サンドグラインドミル)で赤色顔料を分散し、赤色顔料ペーストを得た(不揮発分33質量%、PWC58%)。
製造例7:赤色顔料ペースト2の調製
攪拌機を備えたステンレス容器に上記製造例1の水溶性アクリル樹脂18.81部、脱イオン水62.00部を仕込み、攪拌しながら酸化鉄レッド(バイフェロックス120FS;商品名、バイエル・ジャパン社製)19.00部、消泡剤(BYK−011;商品名、ビッグケミー社製)0.19部を仕込み、30分間均一になるまで攪拌を更に継続してミルベースを得た。次いで、上記ミルベースを上記製造例2で用いたものと同じ分散機(サンドグラインドミル)で赤色顔料を分散し、赤色顔料ペーストを得た(不揮発分24.70質量%、PWC77%)。
製造例8:青色顔料ペーストの調製
攪拌機を備えたステンレス容器に上記製造例1の水溶性アクリル樹脂20.65部、脱イオン水15.24部を仕込み、攪拌しながらシアニンブルーG−314(山陽色素社製)54.94部、顔料分散剤(EFKA4550;商品名、エフカ社製)8.67部、消泡剤(BYK−011;商品名、ビッグケミー社製)0.50部を仕込み、30分間均一になるまで攪拌を更に継続して、ミルベースを得た。次いで、上記ミルベースを上記製造例2で用いたものと同じ分散機(サンドグラインドミル)で青色顔料を分散し、青色顔料ペーストを得た(不揮発分61質量%、PWC90%)。
製造例9:紫色顔料ペーストの調製
攪拌機を備えたステンレス容器に上記製造例1の水溶性アクリル樹脂15.24部、脱イオン水15.24部を仕込み、攪拌しながらホスターパームバイオレットBL−W(クラリアント社製)16.00部、消泡剤(BYK−011;商品名、ビッグケミー社製)0.16部を仕込み、30分間均一になるまで攪拌を更に継続して、ミルベースを得た。次いで、上記ミルベースを上記製造例2で用いたものと同じ分散機(サンドグラインドミル)で紫色顔料を分散し、紫色顔料ペーストを得た(不揮発分23質量%、PWC68%)。
2.水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂B−1〜B−3の製造
製造例1:水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂B−1の製造
撹拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置及び冷却管をつけた反応装置に、ポリオレフィン樹脂ハードレン14LWP(東洋化成工業(株)製、固形分100%、塩素含有量27%、重量平均分子量60000)25部、メチルメタクリレート13.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.5部、イソブチルメタクリレート72.0部、エマルゲン920(花王(株)製、ノニオン界面活性剤、固形分100%)20部及びトルエン30部を順に仕込み、徐々に100℃まで昇温し30分間攪拌して均一溶液とした。次に内部液温度を50℃に冷却後、アゾビスブチロニトリル1.5部をメチルメタクリレート10部に溶解して反応容器に攪拌しながら滴下した。続いて内部を1000rpmで攪拌しながらイオン交換水350部を30分間かけて滴下して乳化液を作成した。この乳化液を150rpmで攪拌しながら85℃まで昇温し、3時間反応させた。
次いで、冷却後、減圧下で脱トルエン操作を行い、若干のイオン交換水添加等で調整した後、固形分30%、平均粒径0.28μmの水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂B−1を得た。
製造例2:水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂B−2及びB−3の製造
上記水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂B−1の製造と同様に、表1に示す配合でもって、水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂B−2及びB−3を得た。それぞれの樹脂の特性を表1に示した。
Figure 2016023304
3.水性無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂C−1〜C−4の製造
3−1.ポリプロピレン系樹脂PO−1〜PO−4の製造
製造例1:ポリプロピレン系樹脂PO−1の製造
1000ml丸底フラスコに、脱イオン水110ml、硫酸マグネシウム・7水和物22.2g及び硫酸18.2gを採取し、攪拌下に溶解させた。この溶液に、市販の造粒モンモリロナイト16.7gを分散させ、100℃まで昇温し、2時間攪拌を行った。その後、室温まで冷却し、得られたスラリーを濾過してウェットケーキを回収した。回収したケーキを1000ml丸底フラスコにて、脱塩水500mlにて再度スラリー化し、濾過を行った。この操作を2回繰り返した。最終的に得られたケーキを、窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥し、化学処理モンモリロナイト13.3gを得た。
得られた化学処理モンモリロナイト4.4gに、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.4mmol/ml)20mlを加え、室温で1時間攪拌した。この懸濁液にトルエン80mlを加え、攪拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返した後、トルエンを加えて、粘土スラリー(スラリー濃度=99mg粘土/ml)を得た。
別のフラスコに、トリイソブチルアルミニウム0.2mmolを採取し、ここで得られた粘土スラリー19ml及びジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム131mg(57μmol)のトルエン希釈液を加え、室温で10分間撹拌し、触媒スラリーを得た。
次いで、内容積24リットルの誘導攪拌式オートクレーブ内に、トルエン11L、トリイソブチルアルミニウム3.5mmol、液体プロピレン2.48L及び液体エチレン0.16Lを導入した。室温で、上記触媒スラリーを全量導入し、50℃まで昇温し重合時の全圧を0.5MPa、水素濃度を400ppmで一定に保持しながら、同温度で2時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパージして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を全量回収し、溶媒並びに粘土残渣を除去したところ18質量%のエチレン−プロピレン共重合体(PO−1)のトルエン溶液を11kg(1.98kgエチレン−プロピレン共重合体)得た。得られたポリプロピレン系樹脂PO−1の重量平均分子量Mwは300000(ポリスチレン換算値)、ポリプロピレン(PP)部の結晶化度は40%であった。
製造例2:ポリプロピレン系樹脂PO−2〜PO−4の製造
重合条件を表2に示したように変更した以外は、上記製造例1のPO−1と同様にしてポリプロピレン系樹脂PO−2〜〜PO−4を製造した。それぞれの樹脂の特性を表2に示した。
Figure 2016023304
3−2.無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂POM−1〜POM−4の製造
製造例1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂POM−1の製造
還流冷却管、温度計、攪拌機の付いたガラスフラスコ中に、上記のポリプロピレン系樹脂PO−1 400gとトルエン600gとを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、110℃に昇温した。昇温後無水マレイン酸100gを加え、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日本油脂社製、パーブチルI(PBI))30gを加え、7時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。更に、アセトンで沈殿・濾別を繰り返し、最終的に得られたポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することにより、白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂POM−1が得られた。この変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基の含量(グラフト率)は、3.6質量%(0.36mmol/g)であった。また重量平均分子量Mwは100000であった。
製造例2:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂POM−2〜POM−4の製造
使用するポリプロピレン系樹脂、配合を表3に示したように変更した以外は、上記製造例1のPOM−1の製造例と同様にして無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂POM−2〜POM−4を製造した。それぞれの樹脂の特性を表3に示した。
Figure 2016023304
3−3.水性無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂C−1〜C−4の製造
製造例1:水性無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂C−1の製造
攪拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置及び冷却管を付けた反応装置に、上記3−2の製造例1で作製したPOM−1 100g、トルエン200gを加え、100℃に昇温して溶解し、70℃まで冷却した。その後ノニオン系界面活性剤エマルゲン220(花王製、HLB=14.2、固形分100%)15g及びノニオン性界面活性剤エマルゲン147(花王製、HLB=16.3、固形分100%)15gを加えて溶解し、50℃まで冷却した。温度を50℃に保ったまま、イオン交換水520gを少しずつ加え転相乳化した。
その後、室温まで冷却して2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを加えてpH=8に調製した後、減圧下で脱トルエン操作を行い、若干のイオン交換水で調製し、固形分20%のPOM−1の水分散体を得た。この水分散体の平均粒径は0.32μmであった。
製造例2:水性無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂C−2〜C−4の製造
配合量を表4に示したように変更した以外は、上記製造例1のC−1と同様にして水性無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂C−2〜C−4を製造した。それぞれの樹脂の特性を表4に示した。
Figure 2016023304
(実施例1)
アデカボンタイターHUX561(ADEKA社製)63.6g(固形分40%)、水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂B−1 33.9g(固形分30%)、水性無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂C−1 76.3g(固形分20%)を攪拌しながら順次容器に仕込み均一に攪拌した。次にポリフローKL245(共栄社化学(株)製)2.5g(固形分100%)、ブチルセロソルブ10.0gを加え攪拌した。
更に、アートパールC800透明(根上工業(株)製)30.0gを少量ずつ加えた後、攪拌し均一に分散した。
続いて、先に製造した、白色顔料ペースト5.8g、緑色顔料ペースト32.0g、紫色顔料ペースト6.1g、赤色顔料ペースト2 4.5g、黄色顔料ペースト3.5gを加え、撹拌し均一に分散した後、プライマルASE60(ロームアンドハース社製)1.8g(固形分28.0%)、イオン交換水10.0gを加えて塗料組成物を得た。塗料の固形分は37%であった。
(実施例2−11及び比較例1−10)
配合量を表5及び表6に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を得た。ただし、実施例6、実施例9、比較例8については、水性無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂C−1を、それぞれC−3(実施例6)、C−2(実施例9)、C−4(比較例8)に変更し、実施例10及び実施例11については、水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂B−1を、それぞれ、B−2(実施例10)及びB−3(実施例11)に変更した。
Figure 2016023304
Figure 2016023304
〔試験片の作製〕
<塗装方法>
実施例1−11及び比較例1−10で得られた塗料組成物を、それぞれ、大きさ150mm×70mm×3mmのポリプロピレン基材にスプレー塗装し、室温にて5分放置し、60℃で20分焼き付けて、乾燥膜厚25μmの試験片を得た。得られた試験片を下記規準に基づいて評価した。
<L値測定>
CR400(コニカミノルタ社製)により測定した。
<隠蔽力>
白黒隠蔽試験紙を用いて測定した。詳細には、JIS K5600−4−1に規定の隠蔽率試験試(白黒隠蔽試験)に、膜厚を変えて塗装、焼き付け後、目視で白黒境界が判別できなくなる膜厚を測定した。白黒境界が判別できるなくなる膜厚が10μm〜20μmであるものを○とし、20μmよりも大きいものを×とした。
<初期付着性>
カッターナイフで、塗膜上に2mm幅の縦・横カットを入れ、100枡目を形成し、その上に粘着テープを密着させ、テープの一方の端を持ち上げて上方に剥がす。この剥離動作を同一箇所で5回実施し、1枡目内で塗膜が面積比50%以上剥がれた正方枡目の個数で示す。0個を合格(○)とし、1個以上を不合格(×)とした。
<耐湿性>
温度50±2℃、湿度98±2%の雰囲気中に試験片を240時間放置し、1時間以内に塗膜表面の観察及び碁盤目付着性試験を行う。碁盤目付着性試験はカッターナイフで、塗膜上に2mm幅の縦・横カットを入れ、100枡目を形成し、その上に粘着テープを密着させ、テープの一方の端を持ち上げて上方に剥がす。この剥離動作を同一箇所で5回実施し、1枡目内で塗膜が面積比50%以上剥がれたものを剥離とした:
○:塗膜表面に異常が認められない、且つ碁盤目密着試験で剥離が認められない
×:塗膜表面に異常が認められる、若しくは碁盤目密着試験で剥離が認められる。
<耐油脂性>
試験片の表面に、4g/100cmの牛脂を均一に塗り広げる。試験片にやや小さめな布をのせ、これを80℃の雰囲気に設定した強制対流のない電気炉に1週間放置する。規定時間後に取り出し、接着テープが十分に付着するように水洗する。
クロスカットによる付着性試験を行い、「全く剥がれなし」を(○)、「剥がれあり」を(×)、「クロスカットの線に沿って僅かに剥がれあり」を(△)とした。
<耐光性>
キセノン耐光性、フェードメーターで試験前後の色差ΔEと、塗膜の外観を評価する:
○:色差ΔEが2以下、塗面に著しい外観異常なし
×:色差ΔEが2以上、又は塗面に著しい外観異常あり。
結果を表6に示す。
Figure 2016023304
Figure 2016023304
表6より、実施例1−11の塗料組成物を用いると、付着性、耐油脂性及び耐擦傷性に優れた塗膜を得ることができたが、比較例1−10の塗料組成物を用いた場合は、全ての性能が優れたものは得られなかった。
本発明の内装用塗料組成物は、種々のプラスチック基材及びこれらの成形品等に好適に用いることができる。

Claims (1)

  1. 水性ウレタン樹脂(A)、水性塩素化ポリオレフィン変性アクリル樹脂(B)、水性ポリオレフィン系樹脂(C)、樹脂粒子(D)及び着色顔料(E)を含む内装用塗料組成物であって、
    樹脂(A)、(B)及び(C)の合計質量に対する樹脂(C)の量が15質量%〜50質量%であり、
    樹脂(A)及び(B)の固形分質量比[(A)/(B)]が90/10〜50/50であり、
    樹脂(A)の20℃における伸び率が100%以上であり、
    樹脂(B)の塩素化ポリオレフィン変性量が5質量%〜40質量%であり、
    樹脂(C)が塩素化されていない水性ポリプロピレン系樹脂であり、結晶化度が35%〜50%であり、かつ、質量平均分子量が50000〜200000であり、
    着色顔料(E)のカーボンブラック含有量が乾燥塗膜質量に対して1質量%以下であり、カーボンブラック以外の着色顔料の含有量が乾燥塗膜質量に対して5質量%以上30質量%未満であり、
    塗料組成物から形成される塗膜の明度Lが20〜30であり、白黒隠蔽試験紙における隠蔽力が10μm〜20μmであることを特徴とする内装用塗料組成物。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021132246A1 (ja) * 2019-12-27 2021-07-01 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 塗料組成物、それを用いた塗膜及び複層塗膜の形成方法
WO2023176941A1 (ja) * 2022-03-17 2023-09-21 日本製紙株式会社 樹脂組成物
JP7520509B2 (ja) 2019-12-27 2024-07-23 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 塗料組成物、それを用いた塗膜及び複層塗膜の形成方法

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