JP2016022684A - 積層体 - Google Patents

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Hiroyuki Mizouchi
博行 溝内
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Abstract

【課題】耐傷付性、透明性、耐加熱着色性、耐熱性、耐折曲性、耐屈曲性、耐干渉縞に優れる積層体の提供。
【解決手段】透明な基材層2と、基材層2の少なくとも一方の面に積層されるコート層3とを備える積層体1であって、基材層2が芳香族ポリエーテルを含む樹脂組成物により形成されており、コート層3が、有機粒子、無機粒子又はこれらの組み合わせを含有する硬化性組成物により形成されることを特徴とする積層体1。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体に関する。
近年、フィルム等の透明な基材層の傷付き防止や汚染防止のために、硬化性樹脂組成物の塗工により基材層の表面にコート層を設けたハードコートフィルム等の積層体が広く使用されている。このような積層体は、タッチパネル等の表示装置、メンブレンスイッチ、キーパッド等の表面材料、液晶表示素子を構成する液晶セルの電極基板、位相差フィルム、光学フィルター、レンズ、タッチパネル用透明電極付フィルムや、LED、有機EL等の照明の光学フィルム、太陽電池、トランジスタ等の電子デバイスのコーティング材料として用いられている。
上記積層体には、耐傷付性、透明性、耐加熱着色性、耐熱性、耐折曲性、耐屈曲性、耐干渉縞等の種々の性能が要求される。これらの性能の中でも、耐屈曲性が低いと、取り扱い時に折れ曲がったり、割れが生じたりして、製品価値を損なう場合も生じる。折れ曲がりや割れの発生を回避するために、他の保護フィルムを貼合することも提案されているが、この場合生産コストが上昇するという不都合がある。
このような中、ハードコートフィルム等の積層体に求められる種々の性能を高める技術として、屈折率1.50以上の金属酸化物粒子と特定のウレタン(メタ)アクリレート化合物とを含有する硬化性組成物(特開2006−182826号公報参照)、紫外線硬化樹脂と高分子量ポリエステル樹脂の粒子とを含有するハードコートフィルム(特許2974576号公報参照)が提案されている。しかし、上記いずれの技術を用いた積層体も、上述した性能を十分に満足できるものではない。
特開2006−182826号公報 特許2974576号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、耐傷付性、透明性、耐加熱着色性、耐熱性、耐折曲性、耐屈曲性、耐干渉縞に優れる積層体の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明は、
透明な基材層と、この基材層の少なくとも一方の面に積層されるコート層とを備える積層体であって、上記基材層が、下記式(0)で表される構造単位を有する芳香族ポリエーテルを含む樹脂組成物により形成されており、上記コート層が、有機粒子、無機粒子又はこれらの組み合わせを含有する硬化性組成物により形成されることを特徴とする。
Figure 2016022684
(式(0)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立して、2価の芳香族炭化水素基又は2価のヘテロ芳香族基である。但し、上記芳香族炭化水素基及びヘテロ芳香族基が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。Rは、単結合又は炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。但し、上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基は、エステル基、エーテル基又はカルボニル基を構造中に有していてもよい。Yは、カルボニル基又はスルホニル基である。mは、0又は1である。nは、0又は1である。)
以上説明したように、本発明の積層体は、耐傷付性、透明性、耐加熱着色性、耐熱性、耐折曲性、耐屈曲性、耐干渉縞に優れる。従って、本発明の積層体はタッチパネル等の材料として好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る積層体を示す模式的断面図
以下、適宜図面を参照にしつつ、本発明の積層体及び硬化性組成物の実施の形態を詳説する。
[積層体]
図1の積層体1は、透明な基材層2と、この基材層2の少なくとも一方の面(表面側)に積層されるコート層3とを備える。
(耐屈曲性)
当該積層体1は、円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験においてクラックが生じるマンドレルの直径が2mm以下である。当該積層体1は、このように高い耐屈曲性を有する。
ここで、「円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験」とは、JIS−K5600−5−1:1999塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)に準拠し、タイプ1の試験装置を用いて測定した値をいう。また、クラックは、コート層そのものの剥離、コート層/基材層の界面の剥離等により生じ、目視にて視認される白色線とする。なお、直径2mmのマンドレルを用いてクラックが生じなかった場合、クラックが生じるマンドレルの直径は2mm以下といえる。
このように積層体1においてクラックが生じるマンドレルの直径を2mm以下とする手段としては、後述するような基材層2及びコート層3の厚みや用いる材料を調製する方法が挙げられる。
当該積層体1は、上記耐屈曲性試験においてクラックが生じないことから耐屈曲性が高い。
(硬度)
当該積層体1のコート層3の表面の鉛筆硬度としては3B以上が好ましく、2B又はBがより好ましい。このような範囲の鉛筆硬度とすることで、上述の高い耐屈曲性を維持しつつ、高い硬度を付与することができる。
ここで、「鉛筆硬度」とは、JIS−K5600−5−4のひっかき硬度(鉛筆法)に準拠して測定される値をいう。
(透明性)
当該積層体1の全光線透過率は85%以上が好ましく、86%以上がより好ましい。加えて、当該積層体1のヘーズ値は1%以下が好ましく、0.01%以上0.5%以下がより好ましい。全光線透過率及びヘーズ値を上記範囲とすることで、透明性等を高め、タッチパネル等により好適に用いることができる。
ここで、「全光線透過率」及び「ヘーズ値」とは、JIS−K7105に準拠して測定される値をいう。
また、当該積層体1の全光線透過率と、基材層2のみの全光線透過率との差が1%以内であり、かつ、当該積層体1のヘーズ値と、基材層2のみのヘーズ値との差が1%以内であることが好ましい。このような場合、コート層3が特に高い透明性を有するため、タッチパネル等にさらに好適に用いることができる。
(密着性)
JIS−K5600−5−6:1999に準拠したクロスカット法による密着性試験において、上記基材層2と上記コート層3との間の密着性が分類0又は1であることが好ましい。このような範囲の密着性とすることで、当該積層体1の機械的強度を向上させることができる。
波長589.3nmにおける上記基材層2と上記コート層3との屈折率差としては、0.05以下が好ましい。上記基材層2と上記コート層3との屈折率差をこのように小さなものとすることで、当該積層体1における干渉縞の発生をより抑制することができる。
JIS−Z8729:2004に準拠して測定されるCIELABのL表色系でのbが、1.5以下であり、かつ200℃、30分加熱後のbの変化量Δbが0.5以下であることが好ましい。当該積層体1のCIELABのL表色系でのbを上記特定範囲のものとすることで、当該積層体1の耐加熱着色性及び透明性をより高めることができる。
(基材層2)
基材層2は透明であり、無色透明が好ましい。基材層2は、下記式(0)で表される構造単位(以下、「構造単位(0)」ともいう)を有する芳香族ポリエーテルを含む樹脂組成物により形成されている。このような樹脂組成物を用いることで、高い耐熱性、透明性、耐加熱着色性、耐折曲性及び耐屈曲性を発揮させることができる。
Figure 2016022684
上記式(0)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立して、2価の芳香族炭化水素基又は2価のヘテロ芳香族基である。但し、上記芳香族炭化水素基及びヘテロ芳香族基が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。Rは、単結合又は炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。但し、上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基は、エステル基、エーテル基又はカルボニル基を構造中に有していてもよい。Yは、カルボニル基又はスルホニル基である。mは、0又は1である。nは、0又は1である。
上記Ar、Ar、Ar及びArで表される2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基が好ましく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基等が挙げられる。
上記Ar、Ar、Ar及びArで表される2価のヘテロ芳香族基としては、炭素数3〜20の2価のヘテロ芳香族基が好ましく、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、ホスホール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、インドール、キノリン、アクリジン等の複素芳香族化合物から2個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
上記2価の芳香族炭化水素基及び2価のヘテロ芳香族基に置換してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基又は1価の有機基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記1価の有機基としては、例えば、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−NR−、−CS−、−S−、−SO−及び−SO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と炭素数3〜20の1価の芳香族基とを組み合わせた1価の基、炭素数3〜20の1価の芳香族基等が挙げられ、さらにこれらの基が有する水素原子が置換基により置換されたものが挙げられる。上記Rは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基である。また、上記置換基としては、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、エチニル基等が挙げられる。
上記炭素数3〜20の1価の芳香族基としては、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の1価のヘテロ芳香族基が好ましい。炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。また、炭素数3〜20の1価のヘテロ芳香族基としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、ホスホール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、インドール、キノリン、アクリジン等の複素芳香族化合物から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
上記−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−NR−、−CS−、−S−、−SO−及び−SO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と炭素数3〜20の1価の芳香族基とを組み合わせた1価の基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントラニルオキシ基、アニリノ基等が挙げられる。
上記芳香族ポリエーテルが、上記式(0)で表される構造単位として、下記式(1)で表される構造単位(以下、「構造単位(1)」ともいう)、下記式(2)で表される構造単位(以下、「構造単位(2)」ともいう)又はこれらの組み合わせ(以下、「構造単位(i)」ともいう)を有することが好ましい。このような芳香族ポリエーテルを含有する樹脂組成物を用いることで、より高い耐熱性、透明性、耐加熱着色性、耐折曲性及び耐屈曲性を発揮させることができる。
Figure 2016022684
上記式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜12の1価の有機基である。a1〜d1は、それぞれ独立して0〜4の整数である。
Figure 2016022684
上記式(2)中、R1’〜R4’は、それぞれ独立して、炭素数1〜12の1価の有機基である。a2〜d2は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。Yは、単結合、−SO−又は−CO−である。R及びRは、それぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基又はニトロ基である。g1及びh1は、それぞれ独立して0〜4の整数である。m1は、0又は1である。但し、m1が0の場合、Rはシアノ基ではない。
上記R〜Rで表される炭素数1〜12の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜12の1価の炭化水素基、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の1価の有機基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状の炭化水素基がより好ましい。
上記炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基及びn−ヘプチル基が好ましい。
上記炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3又は4の脂環式炭化水素基がより好ましい。
上記炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等のシクロアルキル基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基が挙げられる。この脂環式炭化水素基の結合部位は、脂環上のいずれの炭素でもよい。
上記炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。この芳香族炭化水素基の結合部位は、芳香族環上のいずれの炭素でもよい。
上記酸素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、例えば水素原子、炭素原子及び酸素原子からなる有機基等が挙げられる。これらの中でも、エーテル結合、カルボニル基又はエステル結合と炭化水素基とからなる総炭素数1〜12の有機基が好ましい。
上記エーテル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、例えば炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシアルキル基等が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、プロペニルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシメチル基、アルキル置換フェノキシ基(アルキル基の炭素数は1〜4であり、アルキル基の数は1〜5である。)、フェニル置換フェノキシ基(フェニル基の数は1又は2である。)等が挙げられる。
上記カルボニル基を有する総炭素数1〜12の有機基としては、例えば炭素数2〜12のアシル基等が挙げられ、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
上記エステル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、例えば炭素数2〜12のアシルオキシ基等が挙げられ、具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
上記窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、例えば水素原子、炭素原子及び窒素原子からなる有機基等が挙げられ、具体的には、シアノ基、イミダゾール基、トリアゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンズトリアゾール基等が挙げられる。
上記酸素原子及び窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、例えば水素原子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズオキサジアゾール基等が挙げられる。
上記式(1)におけるR〜Rとしては炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
上記式(1)において、a1及び/又はb1が1であるとき、RやRのベンゼン環への結合位置としては、それぞれのベンゼン環に結合する主鎖結合(エーテル結合)のベンゼン環への結合位置に対して、オルト位が、構造単位(1)を有する重合体を容易に得ることができる点から好ましい。また、この場合、RやRとしては、メチル基、フェニル基等の立体的にバルキーな基であることが好ましい。なお、以下、式(2)におけるR1’〜R4’、a2〜d2の例示や好ましい基、好ましい数値、結合位置は、それぞれ式(1)におけるR〜R、a1〜d1と同様である。例えば、R及びRの好ましい結合位置及び基は、構造単位(2)のR1’及びR2’においても同様である。
m1としては、0が好ましい。
上記式(2)において、g1及び/又はh1が1であるとき、RやRのベンゼン環への結合位置としては、それぞれのベンゼン環に結合する主鎖結合のベンゼン環への結合位置に対して、オルト位が構造単位(2)を有する重合体を容易に得ることができる点から好ましい。なお、m1が1であり、g1が1である場合には、Rのベンゼン環への結合位置は、エーテル結合のベンゼン環への結合位置に対して、オルト位であることが好ましい。また、この場合、RやRとしては、メチル基、フェニル基のように立体的にバルキーな基が好ましい。なお、後述の式(4)におけるR7’、R8’、g2、h2の例示、好ましい基、結合部位もそれぞれ式(2)におけるR、R、g1、h1と同様である。
上記Yとしては、単結合が好ましい。
上記R及びRで表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原等が挙げられる。これらのうち、塩素原子、フッ素原子が好ましい。
上記R及びRで表される炭素数1〜12の1価の有機基としては、例えば上記式(1)においてR〜Rとして例示した炭素数1〜12の1価の有機基と同様の基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
上記芳香族ポリエーテルは、下記式(3)で表される構造単位(以下、「構造単位(3)」ともいう)及び下記式(4)で表される構造単位(以下、「構造単位(4)」ともいう)からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、「構造単位(ii)」ともいう)をさらに有することが好ましい。上記芳香族ポリエーテルが構造単位(ii)をさらに有することで、得られる基材層の力学的特性を向上させることができる。
Figure 2016022684
上記式(3)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜12の1価の有機基である。Zは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−COO−又は炭素数1〜12の2価の有機基である。e1及びf1は、それぞれ独立して0〜4の整数である。n1は、0又は1である。
Figure 2016022684
上記式(4)中、R5’及びR6’は、それぞれ独立して炭素数1〜12の1価の有機基である。Zは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−COO−又は炭素数1〜12の2価の有機基である。e2及びf2は、それぞれ独立して0〜4の整数である。n2は、0又は1である。R7’及びR8’は、それぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基又はニトロ基である。Yは、単結合、−SO−又は−CO−である。m2は、0又は1である。但し、m2が0の場合、R7’はシアノ基ではない。g2及びh2は、それぞれ独立して0〜4の整数である。
上記R及びRで表される炭素数1〜12の1価の有機基としては、上記(1)における炭素数1〜12の1価の有機基と同様の基等が挙げられる。
上記Zで表される炭素数1〜12の2価の有機基としては、例えば炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基、並びに酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基等を挙げることができる。
上記炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基、炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等が挙げられる。
上記炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基;シクロ
ブテニレン基、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基等が挙げられる。この脂環式炭化水素基の結合部位は、脂環上のいずれの炭素でもよい。
上記炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等が挙げられる。この芳香族炭化水素基の結合部位は、芳香族環上のい
ずれの炭素でもよい。
上記炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基、炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の2価のハロゲン化炭化水素基としては、ジフロオロメチレン基、ジクロロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、テトラクロロエチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、ヘキサクロロトリメチレン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ヘキサクロロイソプロピリデン基等が挙げられる。
上記炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基としては、例えば上記炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
上記炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、例えば上記炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
上記酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、例えば水素原子及び炭素原子と、酸素原子及び/又は窒素原子とからなる有機基等が挙げられ、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合又はアミド結合と炭化水素基とを有する総炭素数1〜12の2価の有機基等が挙げられる。
上記酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基としては、具体的には、酸素原子及び窒素原子からな
る群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基において例
示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原
子で置換された基等が挙げられる。
上記式(3)において、e1及び/又はf1が1であるとき、RやRのベンゼン環への結合位置としては、それぞれのベンゼン環に結合するエーテル結合のベンゼン環への結合位置に対して、オルト位が構造単位(3)を有する重合体を容易に得ることができる点から好ましい。また、この場合、RやRとしては、メチル基、フェニル基のような立体的にバルキーな基であることが好ましい。
上記式(3)におけるZとしては、単結合、−O−、−SO−、−CO−又は炭素
数1〜12の2価の有機基が好ましく、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基がより好ましい。
上記式(4)におけるR5’及びR6’の例示、好ましい基は、それぞれ上記式(3)におけるR及びRと同様である。
上記式(4)におけるe2及びf2の好ましい数値は、上記式(3)におけるe1及びf1と同様である。
上記式(4)におけるZの例示、好ましい基は、それぞれ上記式(3)におけるZと同様である。
上記n2としては、1が好ましい。
上記式(4)におけるR7’及びR8’の例示、好ましい基は、上記式(2)におけるR及びRとそれぞれ同様である。
上記式(4)におけるYの例示、好ましい基は、上記式(2)におけるYと同様である。
上記式(4)におけるm2としては、0が好ましい。
上記式(4)におけるg2及びh2の好ましい範囲は、上記式(2)におけるg1及びh1とそれぞれ同様である。
上記炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基、炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基が好ましい。
上記芳香族ポリエーテルは、上記構造単位(i)と上記構造単位(ii)とのモル比(但し、両者(構造単位(i)+構造単位(ii))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性及び力学的特性の観点から構造単位(i):構造単位(ii)=50:50〜100:0であることが好ましく、構造単位(i):構造単位(ii)=70:30〜100:0であることがより好ましく、構造単位(i):構造単位(ii)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。また、芳香族ポリエーテルは、さらに主鎖に下記式(8−1)又は下記式(8−2)で表される構造を共重合させてもよい。このような構造とすることで、低複屈折率が得られる。
Figure 2016022684
上記式(8−1)及び上記式(8−2)中、sは、1〜4の整数である。
上記芳香族ポリエーテルは、光学特性、耐熱性及び力学的特性の観点から上記構造単位(i)及び上記構造単位(ii)を全構造単位中70モル%以上含むことが好ましく、全構造単位中95モル%以上含むことがより好ましい。
上記樹脂組成物は、その他添加剤として、例えば紫外線吸収剤、可塑剤、安定剤等を含有していてもよい。
上記基材層2の平均厚みとしては、特に限定されないが、10μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上200μm以下がより好ましい。基材層2を上記範囲の平均厚みとすることで、耐屈曲性や強度等をよりバランスよく高めることができる。
上記基材層2の製造方法としては、特に限定されないが、上記樹脂等を主成分とする材料を製膜すること等により製造することができる。かかる製膜方法としては、特に限定されないが、例えば溶剤キャスト法、溶融押出法、カレンダー法等の公知の成膜方法が挙げられる。なお、成膜後、基材層2には延伸処理が施されていてもよい。
(コート層3)
上記コート層3は、通常、硬化性組成物の塗布により形成される。この硬化性組成物の好ましい組成等は後に詳述する。
上記コート層3の平均厚みとしては、0.05μm以上10μm以下が好ましく、0.1μm以上5μm以下がより好ましい。コート層3の平均厚みを上記範囲とすることで、耐屈曲性及び耐ブロッキング性を維持しつつ、透明性等を高めることができる。
(硬化性組成物)
上記硬化性組成物は、有機粒子、無機粒子又はこれらの組み合わせを含有する。上記硬化性組成物は、さらにウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)を含有することが好ましく、その他、他の(メタ)アクリレート化合物(C)等を含有することができる。また、上記硬化性組成物は、シランカップリング剤、各種無機粒子の分散剤等を含有していてもよい。
(有機粒子)
上記有機粒子としては、アクリル系微粒子等の固体状のものが好適に用いられる。アクリル系微粒子としては、例えばメタクリル酸メチル重合体、メタクリル酸とアルキル化合物の共重合体等が挙げられる。有機粒子の市販品としては、例えばゼフィアックF−320、F−301、F−340、F−325、F−351(以上、ガンツ化成社製)、アクリル系微粒子MP−300(綜研化学社製)等が挙げられる。
(無機粒子(A1))
上記無機粒子(A1)としては、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ハフニウム、ガリウム、ニオブ、ランタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セリウムの酸化物粒子、硫化物粒子、炭化物粒子、窒化物粒子又はこれらの組み合わせが好ましく、チタン、ジルコニウム、カリウム、スズ、ケイ素の酸化物粒子がより好ましい。このような無機粒子(A1)は高屈折粒子であるため、屈折率の比較的高いコート層を得ることができ、その結果、基材層との屈折率差を小さくできるので、得られる積層体の耐干渉縞性を向上させることができる。
上記酸化物の粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。これら中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン及び酸化アンチモンの粒子が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸化物粒子は、粉体状又は分散ゾルとして用いるのが好ましい。分散ゾルとして用いる場合、他の成分との分散性等の観点から、分散媒は有機分散媒が好ましい。このような有機分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。これらの中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
なお、この粒子の分散性を改良するために各種カップリング剤、界面活性剤、分散剤を用いてもよい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられ、例えば、信越化学工業社のKBE−1003、KBM−1003、KBM−303、KBM−403、KBM−402、KBE−403、KBE−402、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−9659等のシランカップリング剤、マツモトファインケミカル社、オルガチックスTC−100、同TC401、同TC−710、同TC−1040、同TC−201、同TC−750等のチタンカップリング剤等が挙げられる。また、界面活性剤、分散剤としては、例えばビックケミージャパン社のDisperBYK111、同171、同180、同2022、2152、BYK4510、Cray Valley社のSMA1000P、同SMA EF−30、東亞合成社のアルフォンUC−3900、同US−6110等が挙げられる。
ケイ素酸化物粒子(例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業社のメタノ−ルシリカゾル、IPA−ST−S、IPA−ST−ZL、IPA−ST−L、IPA−ST−UP、MEK−ST、MEK−ST−L、MEK−ST−UP、MEK−ST−ZL、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル社のアエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子社のシルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業社のE220A、E220、富士シリシア社のSYLYSIA470、日本板硝子社のSGフレ−ク等を挙げることができる。
アルミナ粒子の水分散品としては、日産化学工業社のアルミナゾル−100、−200、−520;アルミナ粒子のイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント社のAS−150I;アルミナ粒子のトルエン分散品としては、住友大阪セメント社のAS−150T;ジルコニア粒子のトルエン分散品としては、住友大阪セメント社のHXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業社のセルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶媒分散品としては、シーアイ化成社のナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業社のSN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル社の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学社のニードラール等を挙げることができる。
酸化チタン粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液としては、例えば堺化学工業社の「SRD−PGME」、日揮触媒化成社の「OPTOLAKE−2120Z」等が挙げられる。
ジルコニア粒子の市販品としては、第一稀元素化学工業社の商品名:EP、UEP、RC、日本電工社の商品名:N−PC、PCS、東ソー社の TZ−3Y−E、TZ−4YS、TZ−6YS、TZ−8YS、TZ−10YS、TZ−0等を挙げることができる。酸化ジルコニウム系粒子のメチルエチルケトン分散液としては、例えば堺化学工業社の「SZR−K」、日産化学工業社の「ナノユースOZ−S30K」等が挙げられる。
上記酸化物粒子の形状は、特に限定されず、球状、中空状、多孔質状、環状、棒状、板状、繊維状、鎖状、不定形状等のものを用いることができるが、球状が好ましい。酸化物粒子の平均粒径としては、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下がさらに好ましい。
上記平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、HORIBA LB−550)を用いてバッチ式測定法により測定された散乱光データからMie理論により粒度分布を自動計算させることによって得たメジアン径を意味する。メジアン径は頻度分布が累積50%に相当する粒子径である。
(反応性粒子)
上記反応性粒子は、無機粒子(A1)と、特定の反応性基を有する有機化合物(A2)とを結合させて得ることができる。
(有機化合物(A2))
上記有機化合物(A2)は、反応性基として重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有する有機化合物である。
上記重合性不飽和基としては、特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエ−ト基、アクリルアミド基等を挙げることができる。この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする基である。
上記加水分解性シリル基とは、シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基である。シラノール基を生成する基としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した基を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した基、すなわち、アルコキシシリル基又はアリールオキシシリル基を含有する有機化合物が好ましい。ここでアルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、アリールオキシ基としては、炭素数6〜18のアリールオキシ基が好ましい。この加水分解性シリル基(シラノール基又はシラノール基を生成する基)は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、無機粒子(A1)と結合する基である。
上記有機化合物(A2)として、例えば、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等から選択される、少なくとも1種のシラン化合物が挙げられる。
これらの中でも、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランから選択される少なくとも1種のシラン化合物が、無機粒子(A1)との反応性が優れる点から好ましい。
有機化合物(A2)は、重合性不飽和基及び加水分解性シリル基に加えて、さらに、下記式(5)で表される基を有することが好ましい。
Figure 2016022684
式(5)中、Xは、NH、O又はSである。Yは、O又はSである。
上記式(5)で表される基は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、単独又は2種以上有していてもよい。これらの中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基に加えて、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを有することが好ましい。上記式(5)で表される基は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材層との密着性及び耐熱性、柔軟性等の特性を付与することができる。
有機化合物(A2)としては、下記式(6)で表される化合物が好ましい。
Figure 2016022684
上記式(6)中、R、R及びRのうち少なくとも一つは、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基であり、残余は、水素原子、アルキル基又はアリール基である。Rは、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基である。Rは、2価の有機基である。Rは、(q+1)価の有機基である。Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を有する1価の有機基である。qは、1〜20の整数である。
上記式(6)中、R、R及びRで表されるアルコキシ基及びアルキル基としては炭素数1〜8のものが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等が好ましい。また、アリールオキシ基及びアリール基としては炭素数6〜18のものが挙げられ、フェノキシ基、キシリルオキシ基、フェニル基、キシリル基等が好ましい。R(R)(R)Si−で表される基(加水分解性シリル基)としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
は、その構造中に鎖状、分岐状又は環状構造を含んでいてもよい。このような構造として、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、メチルプロピレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基等の炭素数1〜12の脂肪族基;シクロヘキシレン基等の炭素数3〜12の脂環式基;フェニレン基、2−メチルフェニレン基、3−メチルフェニレン基、ビフェニレン基等の炭素数6〜12の芳香族基等を挙げることができる。これらの中で好ましい例はメチレン基、プロピレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基等である。
としては、分子量(基を構成する原子の合計原子量)14〜1万、特に分子量76〜500の2価の有機基が好ましい。これらの有機基としては、脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基が挙げられ、その構造として鎖状、分岐状又は環状構造を含んでいてもよい。そのような構造単位として、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基、1−(メチルカルボキシル)−ペンタメチレン基等の鎖状構造の骨格を有する2価の有機基;イソフォロン、シクロヘキシルメタン、メチレンビス(4−シクロヘキサン)、水添ジエニルメタン、水添キシレン、水添トルエン等の脂環式構造の骨格を有する2価の有機基;及びベンゼン、トルエン、キシレン、パラフェニレン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ナフタレン等の芳香環構造の骨格を有する2価の有機基から選ぶことができる。
としては、(q+1)価の直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基若しくは不飽和炭化水素基が挙げられる。より具体的には、上述したRの2価の有機基の他、2−エチル−2−メチレンプロピレン等の3価の有機基、イソシアヌル骨格を有する3価の有機基、2,2−ジメチレンプロピレン等の置換アルキレン等の4価の有機基、ジペンタエリスリトール由来のアルキレン等の6価の有機基が挙げられる。これらのうち、エチレン、2−エチル−2−メチレンプロピレン、イソシアヌル骨格を有する3価の有機基、2,2−ジメチレンプロピレン等の置換アルキレン、ジペンタエリスリトール由来のアルキレンが好ましい。
Zとしては、例えばアクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタンジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基等を例示することができる。これらのうち、アクリロキシ基、メタクリロキシ基及びビニル基がより好ましい。
qは、1〜20の整数であるが、1〜10の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましい。
これらの有機化合物(A2)は、例えば、特開平9−100111号公報に記載の方法により製造することができる。
無機粒子(A1)と有機化合物(A2)とを結合させる方法としては、特に限定されないが、
無機粒子(A1)と有機化合物(A2)とを、水を含む有機溶媒に混合し、加水分解・縮合反応を一度に行う方法、
予め有機化合物(A2)を水を含む有機溶媒の存在下で加水分解処理した後、無機粒子(A1)と縮合反応させる方法、
無機粒子(A1)と有機化合物(A2)とを水、有機溶媒、及び他の成分、例えば、分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物、ラジカル重合開始剤等と混合し、加水分解・縮合反応を一度に行う方法
等が挙げられる。
これらの方法により無機粒子(A1)表面のケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、有機化合物(A2)分子中のケイ素原子が酸素原子を介して結合することにより、無機粒子(A1)と有機化合物(A2)とが化学的に結合した反応性粒子が得られる。
なお、無機粒子(A1)がシリカ粒子であり、有機化合物(A2)がシラノール基又シラノール基を生成する基を有する有機化合物(A2)である場合等には、これらを水又は水を含む有機溶媒に混合後、水又は有機溶媒を減圧又は常圧下で留去することにより、シリカ粒子と有機化合物(A2)とがシリルオキシ基を介して結合してなる重合反応性シリカ粒子を製造することができる。この反応は、例えば特開平9−100111号公報の記載に基づいて行うことができる。
複数の無機粒子(A1)を用いる場合は、それぞれの無機粒子(A1)を別々に有機化合物(A2)と加水分解・縮合反応を行ってもよいし、複数の無機粒子(A1)を事前に混合したのち、有機化合物(A2)と加水分解・縮合反応を行ってもよい。なお、球状及び鎖状の無機粒子(A1)を同時に有機化合物(A2)と反応させることにより、耐ブロッキング性に優れた硬化物が得られるため好ましく用いられる。
有機化合物(A2)の結合量は、反応性粒子(無機粒子(A1)及び有機化合物(A2)の合計)を100質量%として、好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上40質量部以下である。結合した有機化合物(A2)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性粒子の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐ブロッキング等が十分でなくなる場合がある。
上記硬化性組成物における反応性粒子の含有量は、全固形分中、30質量%以上85質量%以下が好ましく、35質量%以上80質量%以下がさらに好ましい。30質量%未満であると、硬化物としたときに十分な硬度が得られない場合がある。逆に、90質量%を超えると、成膜性が不十分となり、また基材層との密着性が低下する等の不都合がある。なお、反応性粒子の含有量は、固形分を意味し、反応性粒子が分散媒分散ゾルの形態で用いられるときは、その含有量には分散媒の量を含まない。
(ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B))
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)は、得られる硬化物の耐屈曲性等を高める機能を有する。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましく、2個以上15個以下の(メタ)アクリロイル基を有することがさらに好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における、ポリスチレン換算数平均分子量が500〜50000であるウレタン(メタ)アクリレートが好適に使用される。ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)のGPCパターンは、HLC−8020型高速液体クロマトグラフ(東ソー株式会社製)を用い、GPC用カラムとしてスチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用いて測定する。ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)としては、分子量を(メタ)アクリロイル基の数で除した値が1,000を超えることが好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)としては、(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有する化合物であれば特に制限されるものではなく、その市販品としては、例えば、H−7、UN−5500、アートレジンUN−333、KY−111、UN−2600、UN−2700、H−34、UN−3320HA、UN−3320HS、UN−904M、UN−905(以上、根上工業社)、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL4858、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL9270(以上、ダイセル・オルネクス社)、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、UA−1100H、UA−200PA、UA−4200、UA−122P、UA−53H、NKエステルABE−300、A9300、A−LEN−10、NKエステルAMP−10G、A−TMM−3LM−N、A−DPH、A−TMMT(以上、新中村化学工業社)、KAYRAD−R604(日本化薬社)、ファンクルFA−BZA(日立化成工業社)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)としては、ベンゼン環、トリアジン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環などの環状構造を有するものが好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)の含有量は、全固形分中、通常、10質量%以上60質量%以下であり、20質量%以上60質量%以下が好ましい。このような範囲とすることで、得られる積層体の耐屈曲性等を効果的に高めることができる。
また、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)の含有量は、上記組成物中の(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分中、15質量%以上85質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましい。このような含有量とすることで、コート層に良好な柔軟性が効果的に付与されるとともに、表面硬度とのより高いバランスが図れる。ここで、(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分とは、不溶性の粒子である(A)成分を除いた全可溶性成分中に含まれる(メタ)アクリレート成分((メタ)アクリロイル基を有する化合物)をいう。具体的には、(B)成分と、後に詳述する(C)成分の合計量を意味する。
(他の(メタ)アクリレート化合物(C))
他の(メタ)アクリレート化合物(C)は、コート層3と基材層2との密着性を上げ、硬度を調節するために好適に用いられる。(メタ)アクリレート化合物(C)は、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリルエステル類等を挙げることができる。
(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタテニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類、及びこれらの水酸基へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
これらの中でも、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
このような(メタ)アクリレート化合物(C)の市販品としては、例えば、東亞合成社のアロニックスM−400、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬社のKAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学社のライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A、日立化成工業社のFA−511AS、FA−512AS、新中村化学工業社のNKエステルA−TMM−3LM−N等を挙げることができる。
上記他の(メタ)アクリレート化合物(C)の含有量は、全固形分中、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましい。1質量%未満の場合は、この(C)成分の機能が十分に発揮されない場合があり、40質量%を超えると耐屈曲性等が低下するおそれがある。
(ラジカル重合開始剤(D))
上記硬化性組成物は、さらにラジカル重合開始剤(D)を含有していてもよい。上記ラジカル重合開始剤(D)としては、例えば、放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物(放射線(光)重合開始剤)、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物(熱重合開始剤)等を挙げることができる。なお、必要に応じて放射線(光)重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社の 商品名:イルガキュア184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア1116、1173、BASF社製 商品名:ルシリンTPO、UCB社製商品名:ユベクリルP36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物及びアゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
上記ラジカル重合開始剤(D)の含有量としては、全固形分中、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。0.01質量%未満であると硬度が不十分となることがあり、10質量%を超えると内部(基材層2側)まで十分に硬化しないことがある。
(その他の重合性化合物)
上記硬化性組成物は、その他の重合性化合物を含有していてもよい。この重合性化合物としては、ビニル化合物類を挙げることができる。
このビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。
(他の添加剤)
上記硬化性組成物は、さらに他の添加剤を含有していてもよい。上記添加剤としては、例えばアンチブロッキング材、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、染料、充頃剤、分散剤、可塑剤、界面活性剤、チキソトロビー化剤、スリップ剤、防汚剤、帯電防止剤、抗菌剤、耐候剤、ブルーイング剤等が挙げられる。
上記硬化性組成物は、アンチブロッキング材を含有することで、耐ブロッキング性を向上させることができる。上記硬化性組成物に添加するアンチブロッキング材としては、コート層の厚み10に対して好ましくは9以上12以下の粒径を有する粒子が好ましい。粒子の材質としては、有機の材質も無機の材質も挙げられ、特に限定されないが、好ましくは、有機の材質であり、例えば綜研化学社のケミスノーSX−130H、同MX−150、同MX−80H3WT、積水化学品工業社のデュオマスターXS−10、同XS−50、日本触媒社のエポスターS12、堺化学工業社のMC−1N等の有機粒子、根上工業社のアートパールMM−110SMA、同MM−110SPA等の有機粒子の有機溶媒分散液が挙げられる。アンチブロッキング材の添加量としては、上記硬化性組成物100質量部に対して、通常0.01質量部以上であり、0.005質量部以上0.1質量部未満が好ましい。
上記レベリング剤としては、シリコーン系又はフッ素系のレベリング剤を適宜選択して使用するのが好ましい。シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリル基を有するポリシロキサン等を挙げることができる。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系の各紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系の各酸化防止剤を挙げることができる。
上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等を挙げることができる。
これらの各添加剤は、単独で使用されてもよいし、2種類以上併用されてもよい。また、これらの他の添加剤の含有量としては、全固形分中、10質量%以下が好ましく、3質量部以下が好ましい。
(溶媒)
上記硬化性組成物は、通常、粘度(塗工性)や塗膜の厚さを調整することと等のため、溶媒で希釈して用いられる。上記硬化性組成物の粘度としては、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃、好ましくは0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
上記溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンシクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼン等の芳香族炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等があげられる。これら溶媒は1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
上記溶液の含有量は、70質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以上60質量%以下である。
上記硬化性組成物の塗布方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えばディッピングコート、スプレーコ−ト、フローコ−ト、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。
上記硬化性組成物の塗布後、好ましくは0〜200℃で溶媒(揮発成分)を乾燥させた後、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことによりコート層3を形成することができる。
熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。
放射線(光)による場合、その線源としては、組成物を塗布後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、Co60等の核***物質を用いることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
上記放射線としては、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加速電圧は10〜300kV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。
当該積層体1は、上述のように透明性、耐熱性、耐屈曲性、耐ブロッキング性、及び硬度が高く、ハンドリング性(ロール状への巻き取り及び巻き出しの際の作業性等)に優れる。従って、当該積層体1は、タッチパネル等の表示装置、メンブレンスイッチ、キーパッド等の表面材料として好適に用いられる。なお、タッチパネル等に用いられる場合、当該積層体1のコート層3の表面側に透明電極膜(ITO等)が積層される。
上記硬化性組成物によりコート層を形成することで、耐屈曲性と耐ブロッキング性により優れる積層体を得ることができる。当該硬化性組成物は、コート層の形成材料として上述したものと同じであるので詳細な説明を省略する。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<基材層(I)の作製>
[基材層I−1の作製]
(重合体合成)
3Lの4つ口フラスコに(A)成分:2,6−ジフルオロベンゾニトリル(以下、「DFBN」ともいう。)35.12g(0.253mol)、(B)成分:9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下、「BPFL」ともいう。)70.08g(0.200mol)、レゾルシノール(以下、「RES」ともいう。)5.51g(0.050mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管および冷却管を取り付けた。
次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。
室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(重合体)を得た(収量95.67g、収率95%)。
得られた重合体の物性を表1に示す。得られた重合体の構造分析及び重量平均分子量の測定を行った。結果は、赤外吸収スペクトルの特性吸収が、3035(C−H伸縮)、2229cm−1(CN)、1574cm−1、1499cm−1(芳香環骨格吸収)、1240cm−1(−O−)であり、重量平均分子量が130,000であった。
(フィルム作製)
次いで、得られた重合体をDMAcに再溶解し、重合体濃度20質量%の組成物を得た。上記組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)からなる基材上にドクターブレードを用いて塗布し、70℃で30分乾燥させ、ついで100℃で30分乾燥してフィルムとした後、PET基材より剥離した。その後、フィルムを金枠に固定し、さらに230℃、2時間乾燥して、膜厚30μmの評価用フィルムを得た。得られた評価用フィルム(基材層I−1)は、ヘーズ=0.1%、全光線透過率=90.1%、b*=0.9、D線波長の屈折率が1.66であった。
[基材層I−2の作製]
RES5.51gの代わりに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン11.41g(0.050mol)を使用した以外は、基材層I−1の作製と同様に行った。得られたフィルム(基材層I−2)は、ヘーズ=0.2%、全光線透過率=90.2%、b*=0.8、D線波長の屈折率が1.66であった。
[基材層I−3(比較例用)]
厚みが50μmの東レ社のポリエステルフィルム「ルミラー、グレード:U34」を用いた。基材層I−3は、ヘーズ=0.2%、全光線透過率=93.0%、b*=0.2、D線波長の屈折率が1.65であった。
(ウレタン(メタ)アクリレート化合物(B))
実施例及び比較例で使用したウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)成分を以下に示す。
(B−1):日立化成工業社のベンジルアクリレート、品名「ファンクルFA−BZA」分子量162、官能基数1
(B−2):新中村化学工業社のエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、品名「NKエステルABE300」、分子量466、官能基数2
(B−3):新中村化学工業社のε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロイルキシエチル)イソシアヌレート、品名「NKエステルA9300」、分子量、官能基数3
(B−4):新中村化学工業社のエトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート、品名「NKエステルA−LEN−10」、分子量268、官能基数1
(B−5):新中村化学工業社のフェノキシエチレングリコールアクリレート、品名「NKエステルAMP−10G」、分子量192、官能基数1
(B−6):日本化薬社のジオキサングリコールジアクリレート、品名「カヤラッドR604」、分子量326、官能基数2
(B−7):根上工業社のトリアジン環含むウレタンアクリレート、品名「アートレジンH−7」、分子量25729、官能基数4
(B−8):根上工業社のカーボネート系ウレタンアクリレート、品名「アートレジンUN−5500」、分子量50000、官能基数2
(B−9):新中村化学工業社のテトラメチロールメタントリ/テトラアクリレート、品名「NKエステルA−TMM−3LM−N」、分子量298、官能基数3〜4
(B−10):新中村化学工業社のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、品名「NKエステルA−DPH」、分子量578、官能基数6
(B−11):根上工業社のトリアジン環含むウレタンアクリレート、品名「アートレジンH−34」、分子量34100、官能基数4
(B−12):新中村化学工業社のジペンタエリスリトールテトラアクリレート、品名「NKエステルA−TMMT」、分子量352、官能基数4
(B−13):新中村化学工業社のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、品名「NKエステルA−DPH」、分子量578、官能基数6
(B−14):ダイセルオルネクス社の脂肪族ウレタンアクリレート、品名「EBECRYL270」、分子量1500、官能基数2
(無機粒子成分)
A1−1:堺化学工業社の酸化チタン粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液、品名「SRD−PGME」、平均粒径20nm、固形分量20質量%
A1−2:堺化学工業社の酸化ジルコニウム系粒子のメチルエチルケトン分散液、品名「SZR−K」、平均粒径6nm、固形分量30質量%
A1−3:日揮触媒化成社の酸化チタン系粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液、品名「OPTOLAKE−2120Z」、平均粒径13nm、固形分量20質量%
A1−4:日産化学工業社の酸化ジルコニウム系粒子のメチルエチルケトン分散液、品名「ナノユースOZ−S30K」、平均粒径20nm、固形分量30質量%
A1−5:日産化学工業社のシリカ粒子のメチルエチルケトン分散液、品名「MEK−ST」、平均粒径20nm、固形分量30質量%
A1−6:日産化学工業社のシリカ粒子のメチルエチルケトン分散液、品名「MEK−ST−L」、平均粒径45nm、固形分量30質量%
上記使用したウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)のB−1〜B−14及び無機粒子成分A1−1〜A1−6の組成について、下記表1に示す。なお、表1中の化合物量の比率は質量比を示す。
Figure 2016022684
(硬化性組成物の調製)
硬化性組成物は、30mL遮光性スクリュー管瓶に、表2並びに表3中のコート層IIに記載の固形分配合比で、硬化性樹脂組成物成分、無機粒子成分、光重合開始剤を順次、メチルエチルケトンと混合し、その後ミックスローターにて、回転数40rpmの条件で、1時間撹拌した。これにより、固形分量20質量%の硬化性組成物のメチルエチルケトン希釈液20gを調製した。
[実施例1]
(積層体の作製)
安田精機製作所社のオートアプリケーター(安田精機製作所社のNo542−AB−H)にA4サイズの基材フィルムを設置し、1/2インチ径、番手2のバーコーターを用い、硬化性組成物のメチルエチルケトン希釈液を2mL計量し、基材フィルム上に50mm/秒の速度にて、塗工を行なった。続いて、送風定温乾燥器(ヤマト科学社、型式:DKS402)を用い、100℃、3分間、溶媒を乾燥させ、窒素下にて、露光機(アイグラフィックス社のコンベア式紫外線露光機US2)を用い、水銀ランプにて、窒素下、UV積算光量600mJ/cmの条件下にて硬化樹脂組成物を硬化させ、積層体を得た。
[評価]
得られた各基材層(I)、各コート層(II)、各積層体に対して、以下の各評価を行った。評価結果を表2及び表3に示す。
(1)屈折率
大塚電子社の反射分光膜厚計FE−3000を用いて、波長589nmの屈折率を測定した。基材層とコート層との屈折率差が、0.05以下の場合はA、屈折率差が0.05を超える場合Bとした。
(2)全光線透過率
村上色彩技術研究所社のヘーズ・透過率計HM−150を用い、JIS−K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠し全光線透過率の測定を行った。全光線透過率が85%以上の場合をA、全光線透過率85%未満の場合をBとした。
(3)ヘーズ(%)
村上色彩技術研究所社のヘーズ・透過率計HM−150を用い、JIS−K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠し測定を行った。ヘーズが1%以下の場合をA、ヘーズが1%を超える場合をBとした。
(4)b*
日立ハイテクノロジーズ社の分光光度計U−4100を用い、波長範囲380〜780nmにて測定を行い、JIS−Z8729「色の表示方法─L*a*b*表色系及びL*u*v*表色系」に準拠し、b*を算出した。評価は、b*が1.5以下の場合Aと、b*が1.5を超える場合Bとした。
(5)Δb*
ヤマト科学社の送風定温乾燥機DKS402をもちい、200℃、30分、加熱した後のb*を測定し、加熱前のb*との差を算出し、Δb*とした。評価は、Δb*が0.5以下の場合をA、Δb*が0.5を超える場合をBとした。
(6)密着性
JIS−K5600−5−6「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し、測定、評価を行った。評価は、JIS−K5600−5−6表1に記載の分類0、すなわちコート層の剥離がない場合をAと、上記分類0以外、すなわちコート層の剥離ある場合をBとした。
(7)耐折曲性
積層体を180度折り曲げた後、積層体を平滑に戻し、割れを確認した。評価は、積層体の任意の10カ所で行い、10カ所全て割れが無い場合をA、10カ所中1カ所以上割れが有る場合をBとした。
(8)耐屈曲性
コーテック社のTQC円筒がたマンドレル屈曲試験器を用い、直径2mmのマンドレルを使用し、JIS−K5600−5−1に準拠し、測定した。評価は、クラックの発生が無い場合をA、クラックの発生がある場合をBとした。
(9)鉛筆硬度
東洋精機製作所社の鉛筆引掻塗膜硬さ試験機を用い、750g荷重、速度1.0mm/secの条件にて、JIS−K5600−5−4「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠し、測定を行った。評価は、3B以上の場合をA、3B未満の場合をBとした。
(10)耐傷付性
新東科学社のトライボステーションTYPE32を用い、日本スチールウール社のボンスター品番No.0000のスチールウールを評価サンプルに接触させ、荷重100g/cm2、速度6m/min、ストローク10cm、摺動回数10往復したのちの、傷の有無を目視評価した。評価は、傷の発生が無い場合をA、傷の発生が有る場合をBとした。
(11)耐干渉縞
パナソニック社のHf蛍光灯、品番FHF32EXNHを光源として、積層体に光をあて、斜め45度から目視で、干渉縞の発生の有無を判断した。評価は、干渉縞の発生が無い場合をA、干渉縞の発生が有る場合をBとした。
Figure 2016022684
Figure 2016022684
本発明の積層体は、耐傷付性、透明性、耐加熱着色性、耐熱性、耐折曲性、耐屈曲性、耐干渉縞に優れる。従って、本発明の積層体はタッチパネル等の材料として好適に用いることができる。
1 積層体
2 基材層
3 コート層

Claims (12)

  1. 透明な基材層と、この基材層の少なくとも一方の面に積層されるコート層とを備える積層体であって、
    上記基材層が、下記式(0)で表される構造単位を有する芳香族ポリエーテルを含む樹脂組成物により形成されており、
    上記コート層が、有機粒子、無機粒子又はこれらの組み合わせを含有する硬化性組成物により形成されることを特徴とする積層体。
    Figure 2016022684
    (式(0)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立して、2価の芳香族炭化水素基又は2価のヘテロ芳香族基である。但し、上記芳香族炭化水素基及びヘテロ芳香族基が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。Rは、単結合又は炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。但し、上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基は、エステル基、エーテル基又はカルボニル基を構造中に有していてもよい。Yは、カルボニル基又はスルホニル基である。mは、0又は1である。nは、0又は1である。)
  2. 上記芳香族ポリエーテルが、上記式(0)で表される構造単位として、下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位又はこれらの組み合わせを有する請求項1に記載の積層体。
    Figure 2016022684
    (式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜12の1価の有機基である。a1〜d1は、それぞれ独立して0〜4の整数である。)
    Figure 2016022684
    (式(2)中、R1’〜R4’は、それぞれ独立して炭素数1〜12の1価の有機基である。a2〜d2は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。Yは、単結合、−SO−又は−CO−である。R及びRは、それぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基又はニトロ基である。g1及びh1は、それぞれ独立して0〜4の整数である。m1は、0又は1である。但し、m1が0の場合、Rはシアノ基ではない。)
  3. 上記芳香族ポリエーテルが、下記式(3)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位又はこれらの組み合わせをさらに有する請求項1又は請求項2に記載の積層体。
    Figure 2016022684
    (式(3)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜12の1価の有機基である。Zは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−COO−又は炭素数1〜12の2価の有機基である。e1及びf1は、それぞれ独立して0〜4の整数である。n1は、0又は1である。)
    Figure 2016022684
    (式(4)中、R5’及びR6’は、それぞれ独立して炭素数1〜12の1価の有機基である。Zは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−COO−又は炭素数1〜12の2価の有機基である。e2及びf2は、それぞれ独立して0〜4の整数である。n2は、0又は1である。R7’及びR8’は、それぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基又はニトロ基である。Yは、単結合、−SO−又は−CO−である。m2は、0又は1である。但し、m2が0の場合、R7’はシアノ基ではない。g2及びh2は、それぞれ独立して0〜4の整数である。)
  4. 上記コート層の平均厚みが0.05μm以上10μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の積層体。
  5. 上記無機粒子が、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ハフニウム、ガリウム、ニオブ、ランタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セリウムの酸化物粒子、硫化物粒子、炭化物粒子、窒化物粒子又はこれらの組み合わせを含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 上記硬化性組成物が紫外線硬化性組成物である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. JIS−K5600−5−6:1999に準拠したクロスカット法による密着性試験において、上記基材層と上記コート層との間の密着性が分類0又は1である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. JIS−K5600−5−1:1999に準拠した円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験において、クラックが生じるマンドレルの直径が2mm以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. JIS−K5600−5−4:1999に準拠して測定される上記コート層の表面の鉛筆硬度が3B以上である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 波長589.3nmにおける上記基材層と上記コート層との屈折率差が、0.05以下である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. JIS−K7105に準拠して測定される全光線透過率が85%以上であり、ヘーズ値が1%以下である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. JIS−Z8729:2004に準拠して測定されるCIELABのL表色系でのbが、1.5以下であり、かつ200℃、30分加熱後のbの変化量Δbが0.5以下である請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の積層体。
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