JP2016020887A - センシング素子、及び、センシング方法 - Google Patents

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田鶴子 北澤
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田鶴子 北澤
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Takanobu Sato
隆信 佐藤
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Abstract

【課題】高い検出感度、及び、速い検出速度で検出することを可能とする。【解決手段】センシング素子は、少なくもと一つの金属微細構造体(103)が、基体(101)上、又は、下地層(102)が形成された基体(101)上に形成され、キャップ層(104)が金属微細構造体(103)と接するように形成される。少なくとも一つの金属微細構造体(103)は、基体(101)、下地層(102)、キャップ層(104)から露出した露出領域(105)を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、気体や液体の成分、又は、これらに含有される成分を検出するためのセンシング素子、及び、センシング方法に関する。
気体や液体、又は、これらに含有される様々な含有成分を検出対象として検出するため、各種のセンシング素子が開発されている。また、これらの検出対象を特に高感度に検出する手法として、検出部に金属材料からなる微細構造体を適用し、局在プラズモン共鳴を用いて検出部に対する検出対象の吸着や反応を検出するセンシング素子が開発されている。
例えば、特許文献1には、基板の表面に膜状に固定された金属微粒子を有し、金属微粒子近傍の媒質の屈折率を検出する局在プラズモン共鳴センサが開示されている。
また、特許文献2には、検出対象物を捕捉する多孔質光透過性吸着材を持ち、検出対象物が多孔質光透過性吸着材に吸着されたことにより生じる局在表面プラズモン共鳴を検出する局在表面プラズモン共鳴センサが開示されている。
特開2000−356587号公報(2000年12月26日公開) 特開2010−256126号公報(2010年11月11日公開)
特許文献1に記載のセンサにおいては、金属微粒子に対する検出対象の接触や反応や、センサの加熱に伴って、金属微粒子の変形や移動が生じ、特に金属微粒子が高密度に形成されている場合には、隣接する金属微粒子同士の接触や多数の金属微粒子同士の凝集が生じる虞が存在する。これにより、金属微粒子の表面積や、局在プラズモン共鳴の発生条件に変化が起こるため、検出感度やベースラインの変化が生じてしまうという課題が存在する。
また、特許文献1では、金の微粒子にPMMA薄膜が堆積した場合について開示されている(段落〔0048〕〜〔0049〕、及び、図6参照)。しかしながら、この事例は、金の微粒子へのPMMA薄膜の堆積の検出、更には、堆積したPMMA薄膜の厚さの検出を目的としており、PMMAの分解温度が150℃程度と低いため、上記の金属微粒子の変形や移動を十分に抑制可能できるものではない。むしろ、この事例では、PMMAの変形・移動により、検出対象との反応性や、検出感度や、ベースラインに変化を生じてしまうという課題が存在する。
特許文献2においては、金属からなる非光透過性物質上に、検出対象物を捕捉する多孔質光透過性吸着材が形成された構成が開示されている。しかしながら、このような構成では、局在表面プラズモン共鳴がその発生箇所からの距離に対して大きく減衰する特性を持つ。このため、上記の多孔質光透過性吸収材を適用すると、検出対象物が局在表面プラズモン共鳴を生じる非光透過性物質の近傍、例えば非光透過性物質の100nm以下の距離に到達するまでに時間を要することになる。したがって、検出時間が長くなる課題を生じるとともに、局在表面プラズモン共鳴を生じている箇所から離れた部分でも多孔質光透過性吸着材に検出対象物が吸着されてしまい、非光透過性物質の極近傍まで到達する検出対象物の量が減少するために、検出感度が低下するという課題が存在する。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、高い検出感度、及び、速い検出速度で検出することが可能なセンシング素子、及び、センシング方法の提供を目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るセンシング素子は、基体と、前記基体上に形成された少なくとも一つの金属微細構造体と、前記金属微細構造体の一部を覆い、かつ接するように形成されたキャップ層とを備え、少なくとも一つの前記金属微細構造体が、前記基体、及び、前記キャップ層から露出した露出領域を有していることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、高い検出感度、及び、速い検出速度で検出することが可能なセンシング素子、及び、センシング方法を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係るセンシング素子の概略構成を示す断面図である。 (a)は上記センシング素子における検出部の金属微細構造体の一つ分の構成について拡大して示す概略図であり、(b)は上記検出部の上記金属微細構造体の一つ分の構成について拡大して示す平面図である。 (a)は上記センシング素子における検出部の金属微細構造体の一つ分の他の構成について拡大して示す概略図であり、(b)は上記検出部の上記金属微細構造体の一つ分の他の構成について拡大して示す平面図である。 (a)〜(e)は上記検出部における上記金属微細構造体、及び、キャップ層についての構成例を示す断面図である。 (a)は上記センシング素子の使用例を示す断面図であり、(b)は上記センシング素子の他の使用例を示す断面図である。 (a)は本発明の実施形態2に係る検出部の概略構成を示す断面図であり、(b)は実施形態2に係る他の検出部の概略構成を示す断面面である。 (a)は本発明の実施形態3に係る検出部の概略構成を示す斜視図であり、(b)は実施形態3に係る他の検出部の概略構成を示す斜視面である。 実施形態1に係る実施例1で作製した上記検出部における金属微細構造体の表面のAFM像である。 実施例1に係る上記検出部について基体の表面と垂直な方向から光を入射して測定した、可視光領域の透過率スペクトルを示すグラフである。 実施例1、2及び4の比較例に係るセンシング素子の概略構成を示す断面図である。 実施例1の比較例に係る上記検出部について基体の表面と垂直な方向から光を入射して測定した、可視光領域の透過率スペクトルを示すグラフである。 実施形態1に係る実施例2で作製した上記検出部について基体の表面と垂直な方向から光を入射して測定した、可視光領域の透過率スペクトルを示すグラフである。 実施例2の比較例に係る上記検出部について基体の表面と垂直な方向から光を入射して測定した、可視光領域の透過率スペクトルを示すグラフである。 実施形態1に係る実施例3で作製した上記検出部について基体の表面と垂直な方向から光を入射して測定した、可視光領域の透過率スペクトルを示すグラフである。 実施形態1に係る実施例4で作製した上記検出部について基体の表面と垂直な方向から光を入射して測定した、可視光領域の透過率スペクトルを示すグラフである。 実施例4の比較例に係る上記検出部について基体の表面と垂直な方向から光を入射して測定した、可視光領域の透過率スペクトルを示すグラフである。 実施形態1に係る実施例5で作製した上記検出部の構造解析結果を示す断面図であって、(a)は高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡(HAADF−STEM)像であり、(b)は電子エネルギー損失分光(EELS)像である。
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について、図1を用いて説明すれば以下の通りである。
本発明の実施形態1のセンシング素子に適用する検出部10の概略について、断面構造を図1に示す。図1に示すように、本実施形態のセンシング素子は、検出部10を備えている。センシング素子は、検出部10そのものであっても良いが、検出部10以外の付属物を備えていても良い。付属物としては、例えば、検出部10に光照射を行う光源、検出部10からの光を検出する光検出器、検出部10の電気抵抗や静電容量を検出する電極、検出対象以外の異物、粉塵、気体や液体が検出部10に到達することを防ぐためのフィルタ、検出部10を衝撃や光を含む電磁波等の外乱から保護するための保護部材が挙げられる。センシング素子は、これらの付属物を全て備える必要は無く、適宜必要なものを備えていれば良い。検出部10は、基体101と、下地層102と、複数の金属微細構造体103と、複数のキャップ層104とを備えている。
基体101上には、表面が平坦な下地層102が形成され、下地層102上に複数の金属微細構造体103が形成されている。金属微細構造体103には、金属微細構造体103が下地層102と接する面とは異なる領域に、金属微細構造体103と接するようにキャップ層104が形成されている。更に、金属微細構造体103には、下地層102及びキャップ層104の何れとも接しない、すなわち上記下地層102及びキャップ層104から露出した露出領域105が存在する。この露出領域105は、検出対象を検出する部分となる。
なお、検出部10が下地層102を含まない構成である場合、露出領域105は、基体101及びキャップ層104の何れとも接しない、すなわち基体101及びキャップ層104の何れも介在しない領域として形成される。
基体101は、その上に形成される、下地層102、金属微細構造体103、及び、キャップ層104を安定に保持出来れば良く、基体101を形成する材料を特に限定するものではない。例えば、基体101は、金属材料、半導体材料、酸化物材料、窒化物材料、樹脂材料、有機物材料から形成されるものである。基体101を形成する材料が、酸化物材料、窒化物材料、樹脂材料等に代表される誘電体材料、又は、半導体材料である場合には、基体101が下地層102の役割を果たすことが可能であるため、必ずしも下地層102は形成されなくても構わない。
下地層102は、基体101上に形成されることによって、金属微細構造体103の形状を所望に制御するように、金属微細構造体103が形成される表面の濡れ性を調整するとともに、金属微細構造体103で生じる光吸収の波長、光吸収強度等の光学定数を下地層102の屈折率によって制御する目的で形成される。下地層102を形成する材料としては、例えば、Mg,Al,Si,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Ce,Hf,Ta,Wから選ばれる一つ、又は、これらの元素の内の複数の元素を母体とする酸化物材料や窒化物材料を用いることができる。その他、下地層102を形成する材料としては、例えば、Si,Ge,GaAs,GaP,GaNに代表される半導体材料、又は、樹脂材料を用いることができる。
本実施形態のセンシング素子を用いるに当たって、検出部10に光を照射して検出部10の光学特性変化を測定する場合には、下地層102は、検出部10に光を照射する光源の波長において透明な材料を適用することが特に望ましい。下地層102は、図1に示すように、基体101の表面全面を覆うように形成されたものであってもよく、部分的に基体101が表面に現れるように形成されたものや、メイズ状、又は、島状に形成されたものであっても構わない。
金属微細構造体103は、その高さや幅が、ナノメートルオーダーからミクロンオーダーのサイズ、より詳しくは、1nmから2μmまでのサイズで形成された構造体であって、特に望ましくは、1nmから100nmまでのサイズで形成されたものである。金属微細構造体103は、粒子状であることが好ましい。金属微細構造体103は、例えば、コロイド状の金属微粒子や、スパッタリング法や蒸着法に代表される薄膜形成法を用いて島状に成長させた金属微粒子や、フォトリソグラフィに代表される手法を用いてパターニングされた金属膜を適用することができる。図1では、金属微細構造体103に金属微粒子を適用した場合について示している。パターニングされた金属膜を適用する場合については、後述の実施形態3で説明する。
金属微細構造体103は、下地層102上に複数形成され、互いに1nmから2μm、特に望ましくは1nmから100nmの間隔をおいて形成されることが望ましい。金属微細構造体103は周期性を持って配置されるものであってもよく、配置に周期性を持たないものであっても構わない。金属微細構造体103に適用される金属材料は必ずしも限定するものでは無いが、好ましくはプラズモン共鳴吸収を示す金属材料であって、Au、Ag、Al、Pt、Pd、Cuの各材料が、単体、若しくは、これらの複数で適用されるか、又は、単体、若しくは、これらの複数を他の金属元素と組み合わせて適用されることが望ましい。金属微細構造体103は、それぞれのサイズが必ずしも均一である必要はない。また、隣接する金属微細構造体103同士が互いに接触や連結した状態となったものを含んでいても構わない。
キャップ層104は、下地層102と同一の材料、又は、下地層102に適用可能な材料であって下地層102とは異なる材料を用いて形成されるものである。金属微細構造体103による検出対象の吸着、検出対象に対する金属微細構造体103の反応、検出部10の加熱に伴って生じる金属微細構造体103の変形や移動を抑制する観点から、キャップ層104に適用される材料は、金属微細構造体103よりも高い融点、又は、分解温度を示す材料が好ましい。また、キャップ層104は、金属微細構造体103と接するように形成されるとともに、金属微細構造体103が下地層102及びキャップ層104の何れとも接触しない露出領域105が存在するように形成されるものである。
キャップ層104は、望ましくは、一つの金属微細構造体103に着目した際に、次のように形成される。下地層102上に金属微細構造体103が形成された状態で、下地層102と金属微細構造体103とが接する領域の外周線よりも、金属微細構造体103上にキャップ層104が形成された状態での下地層102及びキャップ層104と金属微細構造体103とが接する2つの領域のそれぞれの外周線の和の方が大きくなる。
これについて、図2の(a)及び(b)と、図3の(a)及び(b)とを用いて説明する。図2は、一つの金属微細構造体103についてキャップ層104が形成されていない状態を示しており、(a)は縦断面図であり、(b)は平面図である。図3は、本実施形態の検出部10における一つの金属微細構造体103についてキャップ層104が形成された状態を示しており、(a)は縦断面図であり、(b)は平面図である。
図2の(a)に破線にて示す領域で、下地層102と金属微細構造体103とが接している。また、図2の(b)に示すように、下地層102と金属微細構造体103とが接する領域の外周部分を成す外周線OL1は、金属微細構造体103の最も大きい外周部分を成す外周線よりもやや小さいものであっても良い。あるいは、上記外周線OL1は、図示はしないが、金属微細構造体103の最も大きい外周部分を成す外周線が下地層102と接する領域の外周線(OL1)であっても良い。
一方、図3の(a)に示すように、キャップ層104が形成されたことにより、上方の破線にて示す領域で金属微細構造体103がキャップ層104に接している。これにより、図3の(b)に示すように、下地層102と金属微細構造体103とが接する領域の外周線OL1以外に、キャップ層104と金属微細構造体103とが接する領域の外周部分を成す外周線OL2も存在する。図3の(b)に示す外周線OL1,OL2の長さの和は、図2の(b)に示す外周線OL1の長さの概ね2倍となっている。
このように、キャップ層104が形成されることで、下地層102又はキャップ層104と、金属微細構造体103と、検出対象との3者が接する円周線(外周線OL1又は外周線OL2)上で生じる化学反応、具体的に例えば、金ナノ粒子触媒で生じるような反応現象を、より大きな領域で生じさせることが可能となる。このため、検出対象の検出感度を高め、検出信号の変化量を大きくすることができる。
また、キャップ層104について、望ましくは、キャップ層104の少なくとも一部が金属微細構造体103の上面に形成される。ここで言う上面とは、金属微細構造体103が球体や半球体のように曲率を持つ場合には、下地層102における金属微細構造体103の形成面(以降、「表面」と称する)に対する傾斜角が45度以下の領域を言う。上記のようにキャップ層104を形成することで、キャップ層104の存在によって、金属微細構造体103による検出対象の検出時や、必要に応じて加熱を伴う検出後のリフレッシュ(初期化)時に、金属微細構造体103に変形や移動を生じることを特に効果的に抑制することが可能となる。
なお、外周線OL1,OL2の長さの和が大きくなる構成と、上記のキャップ層104の少なくとも一部が金属微細構造体103の上面に形成される構成とは、必ずしも双方が実現されたものである必要はなく、何れか一方が適用されたものであっても構わない。
キャップ層104の厚み(下地層102の表面に垂直な方向の幅)は、金属微細構造体103の厚み以下であることが特に望ましい。このようにキャップ層104の厚みを設定することで、キャップ層104を金属微細構造体103の上方(図1における紙面上方)から形成する際に、金属微細構造体103を露出部分が無くなるまでに覆ってしまわないように(露出領域105が存在するように)形成することが容易になる。また、検出部10を用いてセンシングを行う際に、検出対象が露出領域105に到達するまでにキャップ層104によって検出に寄与しない吸着や反応が生じることを抑え、効率良く露出領域105に到達するようにすることができる。これによって、検出感度を高め、検出時間を短縮する効果が得られる。
キャップ層104を下地層102と同一の材料で形成した場合には、キャップ層104を形成しない場合の外周線OL1に比べて、図3の(b)に示したように、金属微細構造体103が下地層102と接する領域の外周線OL1の長さと、金属微細構造体103がキャップ層104と接する領域の外周線OL2の長さとの和が長くなる。これにより、下地層102又はキャップ層104、金属微細構造体103、検出対象の3者が接する円周線(外周線OL1又は外周線OL2)上で生じる化学反応を検出に利用する際に、検出対象との反応が特に活性な領域が大きくなり、検出感度が向上する効果が得られる。
また、キャップ層104を、下地層102と異なる材料で形成した場合には、検出対象が接触する下地層102と金属微細構造体103との境界部、及び、キャップ層104と金属微細構造体103との境界部のそれぞれで、検出対象に対する反応の活性度や反応する対象が異なる状態を実現することが可能となる。これにより、複数の検出対象を同時に検出可能となる効果が得られる。
このような、金属微細構造体103が下地層102及びキャップ層104と接するそれぞれの領域の外周線OL1,OL2の部分で特に高い反応活性を示す材料の組み合わせとして、次の例が挙げられる。例えば、金属微細構造体103がAuを含んでおれば良く(好ましくは金属微細構造体103がAuを主成分として含み)、下地層102及び/又はキャップ層104に金属酸化物材料を適用することができる。検出部10が下地層102を含まない構成である場合、基体101の表面が金属酸化物材料から成ることが好ましい。また、下地層102及びキャップ層104は、少なくとも金属微細構造体103と接する表面が金属酸化物材料から成っていれば良い。
なお、キャップ層104は下地層102とは部分的に接していても良く、接していなくても構わない。
本実施形態の検出部10における金属微細構造体103及びキャップ層104についての幾つかの構成例を図4の(a)から(e)に示す。
図4の(a)に示す構成例は、一部の金属微細構造体103が互いに連結したものを含んでいる。
図4の(b)に示す構成例は、キャップ層104が幾つかの異なる状態で形成されている。具体的には、図4の(b)に示したように、キャップ層104は、金属微細構造体103上に単独ではなく複数形成されていても良く、下地層102と一部で接触していても良く、金属微細構造体103の頂部をカバーするものでなくても良い。検出部10が下地層102を含まない構成である場合、キャップ層104は、基体101と一部で接触していても良い。また、このように異なる状態で形成されたキャップ層104が一つの検出部10に複数種含まれていても構わない。
図4の(c)に示したように、下地層102の表面における金属微細構造体103の間に、金属微細構造体103と接しないようにして、キャップ層104の材料が形成されていても良い。検出部10が下地層102を含まない構成である場合、キャップ層104は、基体101の表面における金属微細構造体103の間に、金属微細構造体103と接しないように形成される。キャップ層104が、このように形成されることにより、検出対象の吸着や反応、又は、検出部10の加熱に伴う金属微細構造体103の変形や移動を抑制することが可能となる。特に、キャップ層104に適用される材料は、前述のように、金属微細構造体103よりも高い融点を示すので、キャップ層104は、金属微細構造体103の融点に達する温度に加熱されても、金属微細構造体103の変形や移動を抑制するように安定して形状を保つことができる。
図4の(d)に示したように、複数の金属微細構造体103にまたがってキャップ層104が形成され、またがってキャップ層104が形成された金属微細構造体103にも露出領域105が存在するものであっても構わない。
図4の(e)に示したように、キャップ層104は、金属微細構造体103上に連続膜に近い状態で形成されている。ただし、露出領域105は、キャップ層104の一部が欠損することによって形成されたものであっても構わない。このような露出領域105を設けるために、例えば、金属微細構造体103上におけるキャップ層104の厚みを、キャップ層104が完全な連続膜とならない膜厚とすること、より具体的にはキャップ層104を金属微細構造体103上面で3nm未満の膜厚を有するように形成することが可能である。
また、図4の(e)に併せて示したように、下地層102上の、隣接する金属微細構造体103の間には、***層107が、金属微細構造体103に接した(挟まれた)状態で***するように形成されていても良い。換言すれば、隣接する2つの金属微細構造体103の間に存在する***層107の頂部が、検出部10の断面において、これらの金属微細構造体103の基体101側の底部を結んだ線に対し、基体101から遠ざかる側に存在していても構わない。このように***層107を形成することで、検出対象の吸着や反応、又は、検出部10の加熱に伴う金属微細構造体103の変形や移動を、図4の(c)に示した構成と比べて、より効果的に抑制することが可能となる。このような効果を発現させる観点から、***層107は、キャップ層104を構成する材料で形成、すなわちキャップ層104の位置として形成されても構わない。あるいは、***層107は、下地層102、又は、基体101を構成する材料で形成、すなわち下地層102の一部、又は、基体101の一部としてされても構わない。
なお、上記の***層107も、図4の(e)に示した、金属微細構造体103の間に形成されたキャップ層104と同様、金属微細構造体103と接していなくても構わない。
また、検出部10においては、個々の金属微細構造体103の全てについて露出領域105が存在する必要はなく、露出領域105を有する金属微細構造体103が少なくとも一つ含まれていれば良い。
また、図4の(a)〜(e)に示した構成について、これらの何れか1つが検出部10の全面に渡って形成されたものである必要はなく、これらが組み合わされたものであっても構わない。
検出部10は、レーザ素子やLED(Light emitting diode)に代表される光源の光出射面に形成されるものであっても構わない。このような構成では、上記光源が基体101となり、その上に下地層102が形成される。この構成では、基体101の上に直接下地層102が形成される必要は無く、基体101と下地層102との間に他の層が介在していても構わない。このような層としては、光源の光学的な特性を調整するための誘電体膜や、基体101と下地層102との密着性を高めるための金属膜や誘電体膜が挙げられる。すなわち、基体101は、下地層102、金属微細構造体103、及び、キャップ層104を支持可能なものであれば特に限定されるものではない。また、上記光源の出射面の材料が下地層102の役割を果たすものである場合には、必ずしも下地層102が形成されていなくても良い。
本実施形態のセンシング方法を実現するためのセンシング素子の使用例を図5の(a)及び(b)に示す。
本実施形態のセンシング素子を用いれば、図5の(a)に示すように、検出部10に対して光を照射して、その光の透過、反射、吸収の少なくとも一つを測定することにより、検出対象の存在の有無や濃度(あるいは量)を検出するセンシングシステムを構成することが可能である。光を用いて検出を行う場合には、検出部10の上面、すなわちキャップ層104側から光を入射しても良く、図5の(a)に示すように、基体101の下地層102が形成される面と反対側の面から光を入射しても良い。また、光を検出部10に対して斜めから入射させても良い。検出部10に光照射を行う光源の波長は、300nmから600μm、特に望ましくは、400nmから1μmを適用可能である。また、光の透過、反射、吸収の測定は、図示しない光検出器、光検出器の検出値に基づく演算処理を行う演算部等を用いて行うことができる。
一方、図5の(b)に示すように、検出部10が、基体101上における下地層102の外周部分に形成された電極106を有し、電極106を介して検出部10の電気抵抗、又は、静電容量を測定することにより、検出部10、より詳しくは、金属微細構造体103周囲の誘電率の変化を検出し、検出対象の存在や濃度(あるいは量)を検出するセンシングシステムを構成することが可能である。また、電極106を用いて電気抵抗、又は、静電容量を測定する構成では、電極106は、図5の(b)に示したように、基体101上に形成されていても良く、これとは異なって下地層102上に形成されていても良い。これ以外にも、電極106は、検出部10の電気抵抗、又は、静電容量を測定可能な配置であれば適用することが可能である。また、電極106を用いた電気抵抗、又は、静電容量の測定は、図示しない抵抗検出部、抵抗検出部の検出値に基づく演算処理を行う演算部等を用いて行うことができる。
本実施形態で示したように、金属微細構造体103を金属微粒子で形成する場合には、リソグラフィが不要となる。このため、検出部10の作製工程が簡略化できるとともに、金属微細構造体103上にキャップ層104を図1における上方から形成する場合に、金属微粒子の形状を利用してキャップ層104が形成されにくい領域を得ることが可能となる。これにより、金属微細構造体103の間に露出領域105を容易に形成することが可能となる。
本実施形態において、金属微細構造体103を互いに近接した状態で形成すると、検出対象の吸着や反応を生じる領域が増えるため、センシング素子の高感度化の観点から望ましい。一方で、検出対象の吸着や反応と、検出部10の加熱とに伴って金属微細構造体103の変形や移動が生じた場合、隣接する金属微細構造体103同士の接触や凝集によって、個々の金属微細構造体103の単純な変形や移動のみが生じた場合よりも大きな光学特性変化、又は、電気抵抗変化や静電容量変化を生じるとともに、検出対象への感度にもより大きな変化を生じることが考えられる。本実施形態では、このような接触や凝集を抑制する観点からもキャップ層104が形成されている。したがって、このような金属微細構造体103が互いに近接して形成された状態、より具体的に例えば、隣接する金属微細構造体103の間隔が1nmから100nmのものを含むように形成されている検出部10において特に高い効果を発揮する。
なお、キャップ層104は必ずしも全ての金属微細構造体103に形成されていなくても良い。検出部10の全体で、上記の効果がある程度得られるようであれば、一部の金属微細構造体103にキャップ層104が形成されていなくても構わない。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図6を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態において、実施形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
図6の(a)は本発明の実施形態2に係る検出部の概略構成を示す断面図であり、図6の(b)は実施形態2に係る他の検出部の概略構成を示す断面である。
図6の(a)に示すように、検出部11aは、基体101と、下地層112aと、複数の金属微細構造体103と、複数のキャップ層104とを備えている。基体101上には、下地層112aが形成され、下地層112a上に複数の金属微細構造体103が形成されている。下地層112aは、実施形態1における検出部10の下地層102と異なり、その表面に複数の矩形状の凸部(突起)が間隔をおいて設けられることにより、凹凸構造が形成されている。金属微細構造体103は、それぞれ下地層112aの凸部上に形成されており、金属微細構造体103が凸部と接する面とは異なる領域に、金属微細構造体103と接するようにキャップ層104が形成されている。
一方、図6の(b)に示すように、検出部11bは、基体101と、下地層112bと、複数の金属微細構造体103と、複数のキャップ層104とを備えている。基体101上には、下地層112bが形成され、下地層112b上に複数の金属微細構造体103が形成されている。下地層112bは、実施形態1における検出部10の下地層102と異なり、その表面に複数の三角形状の凸部(突起)が連続して設けられることにより、山谷状の凹凸構造が形成されている。金属微細構造体103は、それぞれ下地層112bの凸部上に形成されており、金属微細構造体103が凸部と接する面とは異なる領域に、金属微細構造体103と接するようにキャップ層104が形成されている。
このような凹凸構造を備える下地層112a,112bを用いることにより、金属微細構造体103が基体101及びキャップ層104から露出する面積、すなわち検出対象と接触する面積を大きくすることができ、検出信号の強度を大きくすることが可能となる。また、図6の(a)又は(b)における上方からキャップ層104を金属微細構造体103上に形成する際、凸部上に形成された金属微細構造体103の下部には、キャップ層104を下方に投影した領域における露出部分(下地層112a,112bにおける底部(突起部間の低い部分)の近傍の部分)がより多く存在することになる。これにより、凹凸構造を有しない下地層102を適用する場合に比べて、金属微細構造体103の表面全体が厚く形成されたキャップ層104によって覆われてしまうことを防ぐことが可能となる。したがって、本実施形態のセンシング素子の製造に際しての再現性を高めることが可能であり、高感度かつ安定な検出を実現可能にするセンシング素子を簡易に製造することが可能となる。
このような凹凸構造は、必ずしも、図6の(a)又は(b)に記載した形状に限定されるものではなく、検出対象との接触面積を大きくできるものや、キャップ層104の形成に際して金属微細構造体103が完全に覆われないような構造であれば適用することが可能である。
凹凸構造は必ずしも周期的に形成されている必要は無い。また、全ての金属微細構造体103が凹凸構造の凸部上に形成されている必要は無く、少なくとも一部の金属微細構造体103が凸部上に形成されていれば良い。また、下地層112a,112bに凹凸構造が形成されず、基体101に凹凸構造が形成されることにより、下地層112a,112bに凹凸構造が現れるものであっても構わない。
また、実施形態1と同様に、基体101が下地層112a,112bの役割を果たすことが可能である場合には、検出部11a,11bのそれぞれには、必ずしも下地層112a,112bが形成されなくても構わない。このような構成では、基体101に対して凹凸形状が形成されていればよい。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態2について、図7を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態において、実施形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
図7の(a)は本発明の実施形態3に係る検出部の概略構成を示す斜視図であり、図7の(b)は実施形態3に係る他の検出部の概略構成を示す斜視面である。
図7の(a)に示すように、検出部12aは、基体101と、下地層122と、複数の金属微細構造体123と、複数のキャップ層124とを備えている。基体101上には、表面が平坦な下地層122が形成され、下地層122上に複数の直方体形状を成す金属微細構造体123がマトリクス状に間隔をおいて形成されている。各金属微細構造体123の上面には、金属微細構造体123の平面形状(例えば正方形)と同じ平面形状を有するキャップ層124が形成されている。金属微細構造体123の間には、下地層122及びキャップ層124の何れとも接しない、すなわち下地層122及びキャップ層124の何れも介在しない露出領域125が存在する。
一方、図7の(b)に示すように、検出部12bは、上記検出部12aと同様、基体101と、下地層122と、複数の金属微細構造体123と、複数のキャップ層124とを備えている。検出部12bは、上記検出部12aと異なり、金属微細構造体123が市松模様状に配置されている。この構成では、金属微細構造体123の側面に露出領域125が存在する。
ここで、金属微細構造体123は、実施形態1における金属微細構造体103と同様の材料で形成されている。また、実施形態1と同様、下地層122及び/又はキャップ層124に金属酸化物材料を適用することができる。検出部12a,12bが下地層122を含まない構成である場合、基体101の表面が金属酸化物材料から成ることが好ましい。また、下地層122及びキャップ層124は、少なくとも金属微細構造体123と接する表面が金属酸化物材料から成っていれば良い。
検出部12a,12bの作製においては、まず、基体101上に下地層122を形成し、その上に、金属微細構造体123及びキャップ層124を形成するための膜をそれぞれ形成しておく。次いで、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、集光イオンビームリソグラフィ等に代表されるリソグラフィ法によって、上記膜をパターニングする。このようなパターニングに際しては公知のパターニング手法を適用することが可能である。このパターニングによって、金属微細構造体123及びキャップ層124の積層体が形成される。なお、本実施形態1と同様に、基体101が誘電体、又は、半導体から成る場合には、下地層122は必ずしも形成される必要は無い。
パターニング手法を用いて金属微細構造体123及びキャップ層124の積層体を形成する場合において、図7の(a)に示した検出部12aのように、個々の金属微細構造体123及びキャップ層124から成る積層体が互いに離間し、パターニングによって現れた金属微細構造体123の側面が露出領域125を形成する。また、図7の(b)に示した検出部12bのように、金属微細構造体123及びキャップ層124の積層体が、隣接する積層体と部分的に接しており、パターニングによって現れた金属微細構造体123の側面が露出領域125を形成する。図7の(a)及び(b)に示した構造が、それぞれ検出部12a,12bの全面に渡って周期的に形成されている必要は無く、これらが混在したものであっても構わない。また、個々の積層体の形状は図7の(a)や(b)に示したような四角柱形状である必要は無く、三角柱、円柱、錘状等の形状であっても構わない。更に、金属微細構造体123のみがパターニングによって形成され、キャップ層124が、パターニングされた金属微細構造体123上に薄膜形成法を用いて形成されるものであっても構わない。
本実施形態に示した構造においても、実施形態1及び2と同様に、金属微細構造体123が下地層122とキャップ層124と接するように形成され、これら何れとも接しない露出領域125を備えることにより、金属微細構造体123の変形や移動が抑制される。これにより、検出感度と検出速度とを向上させる効果を得ることが可能となる。
また、本実施形態の構成を用いれば、金属微細構造体123及びキャップ層124の大きさを、特に均一に制御して形成することが可能になる。それゆえ、個々の金属微細構造体123における検出対象に対する反応性を均一化することが可能となる。したがって、検出部12a,12bから出力される検出信号の強度を高めることができる。また、キャップ層124の大きさが均一化されることにより、金属微細構造体123の変形や移動に対する抑制についても均一化することができる。
本実施形態におけるキャップ層124の厚み(下地層122の表面に垂直な方向の幅)は、実施形態1と同様に、金属微細構造体123の厚みと同じかそれ以下とすることが特に望ましい。このようにすることで、検出部10を用いてセンシングを行う際に、検出対象が露出領域125に到達するまでにキャップ層124によって検出に寄与しない吸着や反応が生じることを抑え、効率良く露出領域125に到達するようにすることができる。これによって、検出感度を高め、検出時間を短縮する効果が得られる。
本実施形態の検出部12a,12bについても、実施形態1の検出部10について図5に示したように、検出部12a,12bの光学特性、電気抵抗、静電容量を測定することにより、検出対象の検出が可能である。
また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、金属微細構造体123を互いに近接した状態で形成した際に懸念される金属微細構造体123同士の接触や凝集を抑制する観点でも、キャップ層124が形成されている。このような金属微細構造体123が互いに近接して形成された状態、より具体的には例えば、隣接する金属微細構造体123の間隔(検出部12bにおいて金属微細構造体123の間で対向する、露出領域125を有する面の間隔)が1nmから100nmとなる構成を含むように形成されている検出部12a,12bにおいて特に高い効果を発揮する。
本実施形態において、図7の(a)及び(b)に示したように金属微細構造体123及びキャップ層124のみがパターニングされた構造であっても良いが、このような構造には限定されない。例えば、下地層122や基体101についても金属微細構造体123やキャップ層124と合わせてパターニングされた構造であっても構わない。
また、実施形態1及び2と同様に、基体101が下地層122の役割を果たすことが可能である場合には、必ずしも下地層122は形成されなくても構わない。
また、実施形態1では、図4の(c)に示したように、下地層102の表面における金属微細構造体103の間に、キャップ層104の材料が形成されたり、図4の(e)に示したように、下地層102上の、隣接する金属微細構造体103の間には、***層107が形成されたりしているが、本実施形態でも同様の構造を適用できる。具体的には、図示はしないが、下地層122の表面における金属微細構造体123の間に、金属微細構造体123と接しないようにして、キャップ層124の材料が形成されていても良い。また、下地層122上の、隣接する金属微細構造体123の間には、***層107と同様の***層が、金属微細構造体123に接した(挟まれた)状態で***するように形成されていても良い。上記のような、キャップ層124の材料や***層は、金属微細構造体123及びキャップ層124のパターニングの後に行われる別のプロセスで形成することができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るセンシング素子は、基体101と、前記基体101上に形成された少なくとも一つの金属微細構造体103,123と、前記金属微細構造体103,123の一部を覆い、かつ接するように形成されたキャップ層104,124とを備え、少なくとも一つの前記金属微細構造体103,123が、前記基体101、及び、前記キャップ層104,124から露出した露出領域105,125を有している。
上記の構成では、金属微細構造体103を互いに近接した状態で形成すると、検出対象の吸着や反応を生じる領域が増えるため、センシング素子の高感度化の観点から望ましい。一方で、検出対象の吸着や反応と、センシング素子の加熱とに伴って金属微細構造体103の変形や移動が生じた場合、隣接する金属微細構造体103同士の接触や凝集によって、個々の金属微細構造体103の単純な変形や移動のみが生じた場合よりも大きな光学特性変化、又は、電気抵抗変化や静電容量変化を生じるとともに、検出対象への感度にもより大きな変化を生じることが考えられる。このような接触や凝集を抑制する観点からも金属微細構造体103にはキャップ層104,124が形成されている。また、センシング素子を用いてセンシングを行う際に、検出対象が露出領域105に到達するまでにキャップ層104,124によって検出に寄与しない吸着や反応が生じることを抑え、効率良く露出領域105,125に到達するようにすることができる。これによって、検出感度を高め、検出時間を短縮する効果が得られる。
本発明の態様2に係るセンシング素子は、上記態様1において、前記キャップ層104,124を構成する材料の融点、又は、分解温度が、前記金属微細構造体103,123を構成する材料の融点、又は、分解温度よりも高いことが好ましい。
これにより、検出対象との反応や加熱に伴う金属微細構造体103,123の変形や移動を抑制して、センシング素子の安定性、及び、耐久性を高めることができる。
本発明の態様3に係るセンシング素子は、上記態様1又は2において、前記金属微細構造体103が粒子状であることが好ましい。
これにより、金属微細構造体103を形成するためにリソグラフィが不要となる。このため、センシング素子の作製工程が簡略化できるとともに、金属微細構造体103上にキャップ層104を上方から形成する場合に、金属微粒子の形状を利用してキャップ層104が形成されにくい領域を得ることが可能となる。これにより、金属微細構造体103の間に露出領域105を容易に形成することが可能となる。
本発明の態様4に係るセンシング素子は、上記態様1から3の何れかにおいて、前記金属微細構造体103,123が形成される前記基体101の表面における前記金属微細構造体103,123の間に***するように形成されている***層107をさらに備えていることが好ましい。
***層107が、金属微細構造体103の間に形成されることにより、検出対象の吸着や反応、又は、検出部10の加熱に伴う金属微細構造体103の変形や移動を抑制することができる。また、***層107を金属微細構造体103と接するように形成することで、検出対象の吸着や反応、又は、検出部10の加熱に伴う金属微細構造体103の変形や移動を、キャップ部104が、金属微細構造体103の間に形成される構成と比べて、より効果的に抑制することが可能となる。
本発明の態様5に係るセンシング素子は、上記態様1から3の何れかにおいて、少なくとも一部の前記キャップ層104,124が、前記金属微細構造体103,123が形成される前記基体101の表面における前記金属微細構造体103,123の間に形成されていても構わない。
キャップ部104が、金属微細構造体103の間に形成されることにより、検出対象の吸着や反応、又は、検出部10の加熱に伴う金属微細構造体103の変形や移動を抑制することができる。
本発明の態様6に係るセンシング素子は、上記態様1から5の何れかにおいて、前記キャップ層104,124の厚みが前記金属微細構造体103,123の厚み以下であることが好ましい。
これにより、キャップ層104,124を金属微細構造体103,123の上方から形成する際に、金属微細構造体103,123を露出部分が無くなるまでに覆ってしまわないように、すなわち露出領域105,125が存在するように形成することが容易になる。
本発明の態様7に係るセンシング素子は、上記態様1から6の何れかにおいて、前記金属微細構造体103,123がAuを含み、前記基体101、及び、前記キャップ層104,124を含む層における少なくとも金属微細構造体103,123に接する表面が金属酸化物から成ることが好ましい。
このように、金属微細構造体103,123の材料と、金属微細構造体103,123と接する層の表面の材料とを選定することにより、検出対象との反応活性を示すので、検出感度を向上させることができる。
本発明の態様8に係るセンシング素子は、上記態様1、2、4、5、6又は7において、前記金属微細構造体123、及び、前記キャップ層124が、パターニングされた構造であることが好ましい。
上記の構成によれば、金属微細構造体123及びキャップ層124の大きさを、特に均一に制御して形成することが可能なる。これにより、個々の金属微細構造体123における検出対象に対する反応性を均一化することが可能となる。また、キャップ層124の大きさが均一化されることにより、金属微細構造体123の変形や移動に対する抑制についても均一化することができる。
本発明の態様9に係るセンシング素子は、上記態様1から8の何れかにおいて、前記基体101上に形成され、前記金属微細構造体103,123を形成するための下地となる下地層102,122をさらに備え、前記露出領域105,125が前記下地層102,122からも露出していることが好ましい。
下地層102は、基体101上に形成されることによって、金属微細構造体103の形状を所望に制御するように、金属微細構造体103が形成される表面の濡れ性を調整することができる。また、下地層102は、金属微細構造体103で生じる光吸収の波長、光吸収強度等の光学定数を下地層102の屈折率によって制御することができる。
本発明の態様10に係るセンシング素子は、上記態様9において、前記下地層102,122における前記金属微細構造体103,123が形成される表面に凸部が形成され、前記金属微細構造体103,123が前記凸部上に形成されていることが好ましい。
これにより、凸部により形成される凹凸構造を有しない下地層102を適用する場合に比べて、金属微細構造体103の表面全体が厚く形成されたキャップ層104によって覆われてしまうことを防ぐことができる。したがって、センシング素子の製造に際しての再現性を高めることが可能であり、高感度かつ安定な検出を実現可能にするセンシング素子を簡易に製造することが可能となる。
本発明の態様11に係るセンシング素子は、上記態様1から10の何れかにおいて、前記基体101、及び、前記キャップ層104,124のいずれか一方、又は、双方が、誘電体、又は、半導体から成ることが好ましい。
本発明の一態様に係るセンシング方法は、上記態様1から11の何れかのセンシング素子を用い、前記センシング素子の光学特性、電気抵抗、静電容量の何れかを測定することにより、検出対象の存在、又は、検出対象の量を検出する。
これによれば、検出感度、及び、検出速度の向上を図ることが可能である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
実施形態1に記載のセンシング素子に関する実施例1として、ガラス基板から成る基体101上に、下地層102及びキャップ層104として酸化ケイ素を用い、金属微細構造体103としてAuから成る金属微粒子を適用した検出部10の構成について説明する。
本実施例に係る検出部10の作製に当たっては、可視光領域で光透過性を有するガラス基板を基体101とし、反応性スパッタリングを用いて、酸化ケイ素から成る下地層102を基体101上に膜厚10nmで形成した。続いて、スパッタリング法を用いてAuの薄膜を下地層102上に形成した。このとき、Auの成膜レートを予め別の基板上に形成した膜厚100nm程度のAu薄膜を用いて算出しておき、この算出したレートに基づいて、薄膜を2nmの膜厚に形成するのに要する時間で下地層102上にAu成膜を行った。上記下地層102上に成膜されたAuは、成膜時に下地層102上で島状に成長し、金属微粒子(金属微細構造体103)として下地層102上に形成された。本実施例では、更に、金属微粒子(金属微細構造体103)の凝集を促進するために、下地層102及び金属微細構造体103が形成された状態の基体101を250℃の大気中で20分間加熱した。
図8には、上記加熱処理後に測定した金属微細構造体103表面のAFM(Atomic Force Microscope)像を示す。AFM観察に用いた探針の曲率半径が10nmであったことから、図8に示した像では、像面に平行な方向に概ね10nm前後、実態よりも大きな粒子として観察されていると考えられる。これを踏まえて、本実施例における金属微粒子は、基体101の表面と平行な方向に2nmから30nm程度の範囲のサイズで形成された。また、金属微粒子は、基体101の表面に対して垂直な方向に1nmから20nm程度の範囲で形成された。
このようにして形成した金属微細構造体103上に、下地層102に適用した材料と同じ材料を用いて、反応性スパッタリングにより、キャップ層104を膜厚1nmに相当する成膜時間で成膜した。ここでの成膜時間についても、上記Auの成膜と同様に、予め100nm程度の膜厚で酸化ケイ素膜の成膜レートを算出しておき、この算出結果から導出したものである。
このようにして作製した検出部10について、図9には、基体101の表面と垂直な方向から光を入射して測定した、可視光領域の透過率スペクトルを示した。具体的には、図9には、初期状態で大気中にて測定した検出部10の透過率スペクトルを示した。また、図9には、併せて、検出部10の検出動作を示すための一例として、検出部10を、濃度1ppm程度に相当する量のホルムアルデヒドを揮発させた密閉性ボックス内に15分間放置した後、大気中に取り出して測定した透過率スペクトルについても示した。
図9に実線にて示すように、初期状態(曝露前)において、検出部10では金属微細構造体103の存在に起因するプラズモン共鳴吸収が生じている様子が見られ、548nmの位置に透過率が極小となるピーク波長が存在している。これに対し、図9に破線にて示すように、ホルムアルデヒドを揮発させた雰囲気に曝した後に測定した透過率スペクトルにおいては(曝露後)、透過率が極小となるピーク波長が上記の548nmから561nmへと13nm長波長側にシフトし、上記ピーク位置の透過率が69.8%から67.8%に2%低下した。このように、本実施例のセンシング素子における検出部10は、下地層102、金属微細構造体103、及び、キャップ層104を備えることにより、検出部10の表面で吸着や化学反応を生じる検出対象に対して接触することで、可視光領域での光学特性を変化させる。これにより、ピークシフト量や、ある波長での透過率、反射率、又は、吸収率を測定することで、高い感度で検出対象の存在や濃度(あるいは量)を検出可能なセンシング素子を構成することができる。
また、本実施例に示した光学特性の変化は、検出部10、より詳しくは金属微細構造体103周囲の誘電率変化に起因するものである。したがって、光での検出以外に、検出部10の電気抵抗や静電容量を測定することによっても、検出対象の存在や濃度(あるいは量)を検出可能なセンシング素子を構成することができる。
なお、本実施例も含めた以下の実施例において、検出部10が検出対象を検出した際、ピークシフト及びピーク深さの少なくとも何れか一方が変化すれば良い。また、ピークシフトについて、長波長側へのシフトであっても短波長側へのシフトであっても構わない。
実施例1の比較例として、図10に示すように、実施例1において、キャップ層104を形成しないこと以外は実施例1で示した検出部10と同じ構成の比較検出部10Aを作製し、実施例1と同様の測定を行った結果について示す。具体的には、本比較例において、比較検出部10Aは、基体101、下地層102、及び、金属微細構造体103について、実施例1と同じ材料及び製法で形成し、これに続く、キャップ層104のみを形成しなかったものである。
図11には、このようにして作製した比較検出部10Aの可視光領域の透過率スペクトルを示す。また、図11には、実施例1と同様に、比較検出部10Aを、濃度1ppm程度に相当する量のホルムアルデヒドを揮発させたボックス内に15分間放置した後に大気中に取り出して測定した透過率スペクトルについても併せて示した。
図11に実線にて示すように、比較検出部10Aでは、初期状態(曝露前)における透過率が極小となる波長のピーク位置が533nmであり、図11に破線にて示すように、ホルムアルデヒドを揮発させた雰囲気に曝した後(曝露後)の波長のピーク位置が535nmであった。これらのピーク位置のシフト量は2nmであり、実施例1(図9)のシフト量と比べて小さな値であった。また、ピーク位置での透過率も74.8%から74.0%までの0.8%の変化であり、実施例1の透過率の変化と比べて小さな値であった。
このように、本比較例の比較検出部10Aでは、キャップ層104が形成されていないため、検出対象との接触に伴う光学的な変化が実施例1よりも小さかった。このことから、実施例1においてキャップ層104の形成が検出信号の増加に寄与するものであることが確認できた。
実施形態1に記載の検出部10に関する実施例2として、実施例1において金属微細構造体103としてのAuを成膜した後に行った加熱処理を行わない事例について説明する。具体的に、本実施例の検出部10の作製手順は実施例1と同じであるが、実施例1においてAu成膜後に行った250℃の大気中における20分間の加熱処理を行わなかった点のみが異なる。
図12には、本実施例の検出部10について、実施例1と同様に、初期状態の透過率スペクトルと、検出部10をホルムアルデヒド雰囲気中に15分間放置した後に大気中に取り出して測定した後の状態との結果をそれぞれ示した。
図12に実線にて示すように、本実施例の検出部10について、初期状態(曝露前)では、透過率が極小となるピーク波長が、実施例1での初期状態に比べて100nm長波長側にある648nmであった。また、初期状態でのピーク波長における透過率は、実施例1の初期状態に比べて約10%小さな59.7%であった。これらの結果は、本実施例の検出部10ではAu成膜後の加熱処理を行っていないため、実施例1の検出部10に比べて金属微粒子(金属微細構造体103)の偏平率が大きいことを示している。言い換えれば、実施例1の検出部10に対する本実施例の検出部10について、金属微粒子における基体101の表面に平行な方向のサイズ比率が、金属微粒子における基体101の表面に垂直な方向のサイズ比率に比べて大きくなり、これによってプラズモン共鳴吸収波長が長波長側に現れたとともに、下地層102がAuによって被覆される面積比が大きくなったことにより、透過率が小さな値となったと考えられる。
また、密閉性ボックス内に濃度1ppm程度に相当する量のホルムアルデヒドを揮発させ、検出部10をボックス内に15分間放置した後、大気中に取り出して透過率スペクトルを測定した。この結果、図12に破線にて示すように(曝露後)、ピーク波長が上記の648nmから672nmへと24nm長波長側へシフトし、ピーク波長での透過率が上記の59.7%から58.2%へと1.5%減少した。例えば、光源が発する光の波長を700nmから850nmの範囲内に設定すれば、3%近いピーク波長での透過率の変化を得ることが可能である。また、初期の透過率が実施例1よりも小さいために、透過率の変化量が同じであっても、検出信号の変化率としては、より大きな値が得られる。
このように、本実施例では、金属微細構造体103の形状を実施例1に対して変化させた場合であっても、実施例1と同様に高い検出感度が得られること、及び、金属微細構造体103の形状を変えることによって、検出に際して光学特性が大きく変化する波長範囲やその絶対値を調整することが可能であることが明らかである。
実施例2の比較例として、実施例2において、図10における左側に二点鎖線にて示すように、キャップ層104の最も厚い部分の膜厚(金属微細構造体103の頂部上の膜厚)1nmから3nmに厚くした比較検出部10Bを形成し、実施例2と同様の測定を行った結果について示す。本比較例では、実施例2の検出部10と同じ材料、及び、製法を適用して比較検出部10Bを作製しており、キャップ層104の膜厚を厚くしたことのみが実施例2の検出部10と異なる。キャップ層104の膜厚が実施例2よりも厚いために、比較検出部10Bでは、図10に二点鎖線にて示すように(便宜上、一つの金属微細構造体103についてのみ記載する)、金属微細構造体103の表面全体をキャップ層104が覆った状態となっている。
図13には、比較検出部10Bの可視光透過率スペクトルについて、実施例2と同様に、初期状態と、検出部10をホルムアルデヒド雰囲気中に15分間放置した後に大気中に取り出して測定した後の状態との結果をそれぞれ示した。
図13に実線にて示すように、本比較例の比較検出部10Bでは、初期状態(曝露前)とホルムアルデヒドを揮発させた雰囲気に曝した後(曝露後)とで、ピーク波長と透過率との何れについてもほとんど変化が見られなかった。これは、本比較例においては、キャップ層104の膜厚が実施例2よりも厚いために、金属微細構造体103の表面全体をキャップ層104が覆ったことにより、露出領域105が存在しなくなった結果、光学特性の変化が得られなかったと考えられる。
このことから、本発明のセンシング素子においては、キャップ層104が金属微細構造体103の表面を覆ってしまわないように、換言すれば、金属微細構造体103が検出対象と接することができる露出領域105を備えるようにキャップ層104を形成することが望ましい。
なお、比較検出部10Bにおけるキャップ層104の膜厚は3nmであったが、各実施形態1〜3におけるキャップ層104の膜厚の上限は3nmに限定されるものではない。キャップ層104の膜厚は、金属微細構造体103の形状、又は、サイズや、基体101や下地層102表面の凹凸状態によっても異なるので、露出領域105が形成される膜厚であれば適用可能である。
ただし、キャップ層104の膜厚を3nm未満とすることは、金属微細構造103上でキャップ層104が完全な連続膜でない状態、すなわち、少なくとも一部が欠損した状態をより簡易に作り出せる。したがって、キャップ層104の3nm未満の膜厚は、上記の金属微細構造体103の形状、及び、サイズや、金属微細構造体103の凹凸状態に起因して得られる露出領域105の存在と相まって、検出部10全体での検出領域を増やすことで、検出感度を高められる観点で特に望ましい範囲である。
実施形態1に記載の検出部10に関する実施例3として、下地層102及びキャップ層104を、実施例1及び2で適用した酸化ケイ素に代えて、これよりも大きな屈折率を有する酸化チタンを適用して形成した構成について説明する。
本実施例の検出部10の作製手順は、実施例1の検出部10の作製手順のうち、下地層102及びキャップ層104の形成工程において、実施例1で用いた酸化ケイ素に代えて、酸化チタンを反応性スパッタリングにより成膜した点が異なる。下地層102の膜厚は実施例1と同じ10nmであり、キャップ層104の膜厚も実施例1と同じ1nmである。また、金属微細構造体103について、実施例1及び2では、薄膜を2nmの膜厚に形成するのに要する時間で形成したのに対し、本実施例では、薄膜を1.5nmの膜厚に形成するのに要する時間で形成した点が異なる。
また、実施例1では、金属微細構造体103としてのAuをスパッタリング法で形成した後に、250℃の大気中で20分間の加熱処理を行ったが、本実施例では、加熱処理手法を変更している。具体的には、本実施例では、Auを形成した後に、一旦オゾンガスに曝してから、170℃で加熱処理した。
このようにして作製した、本実施例の検出部10について、実施例1及び2と同様に、初期状態と、ホルムアルデヒド雰囲気中に検出部10を15分間放置した後に大気中に取り出して測定した後の状態との結果をそれぞれ図14に示した。
図14に実線にて示すように、本実施例の検出部10について、初期状態(曝露前)では、ピーク波長が726nmであり、ピーク波長での透過率が59.1%であった。これに対し、図14に破線にて示すように、ホルムアルデヒドを揮発させた雰囲気に曝した後では(曝露後)、ピーク波長が上記の726nmから720nmへと6nmシフトし、ピーク波長での透過率が上記の59.1%から58.2%へと0.9%変化した。
本実施例においては、実施例1の検出部10と比較して、ピーク波長のシフト量と透過率の変化量とが小さな値となっている。これは、金属微細構造体103として適用したAuの膜厚(金属微粒子の体積)が実施例1よりも小さいために、プラズモン共鳴吸収の透過率変化への寄与が小さかったためと考えられる。一方で、屈折率の高い酸化チタンを下地層102とキャップ層104とに適用したことにより、透過率が極小となるピーク波長が、実施例1及び2よりも長波長側に移動している。このことから、下地層102及びキャップ層104の何れか一方、又は、両方の屈折率を変化させることにより、ピーク波長やピーク深さだけでなく、検出対象の検出に際して光学特性が大きく変化する波長位置を制御することが可能であることが分かる。
このようにして、本実施形態では、実施例2で示したような金属微細構造体103の偏平率の制御と併せて、所望の波長で検出に際しての大きな信号変化が得られるように調整することができる。これにより、LEDや半導体レーザに代表される出射される光の波長が略単一の光源を適用する場合にも、当該波長における変化率を大きくできる効果が得られる。
また、検出に際して、金属微粒子と接する金属酸化物材料の種類によって、検出対象に対する活性が異なる反応を利用する場合には、下地層102やキャップ層104の材料を変更することで、検出感度や検出可能な対象種を調整できるという効果を奏する。このような効果を奏するものの一例として、金ナノ粒子触媒に代表されるように、金属微細構造体103にAuが適用され、下地層102及びキャップ層104に金属酸化物が適用された構造が挙げられる。
実施形態1に記載の検出部10に関する実施例4として、実施例3に示した検出部10において、検出対象を検出した後のリフレッシュ(初期化)特性について説明する。
図15には、実施例3の検出部10の透過率スペクトルについて、初期状態と、検出部10を、濃度1ppm程度に相当する量のホルムアルデヒドを揮発させた密閉性ボックス内に15分間放置した後に170℃の大気中で1時間加熱した後の状態とを併せて示した。
実施例3の検出部10においては、ホルムアルデヒドを揮発させた雰囲気に曝すことで一旦透過率スペクトルに変化が生じたが、図15に示すように、170℃で1時間加熱することで、透過率スペクトルが初期状態に戻ることが確認できた。
各実施形態1〜3のセンシング素子において、検出部10,12a,12bの金属微細構造体103,123上に、金属微細構造体103,123よりも融点、又は、分解温度が高いキャップ層104,124が形成されることにより、検出対象との反応や加熱に伴う金属微細構造体103,123の変形や移動を抑制している。図15に示す結果は、このような金属微細構造体103,123の変形や移動の抑制によって、検出対象を検出する前の状態に安定的に戻す(初期化する)ことができることを示している。
実施例4の比較例として、図10に示すように、実施例3及び4で示した検出部10において、キャップ層104を形成しない構成の比較検出部10Cを作製した。また、実施例4と同様に、初期状態の透過率スペクトルと、比較検出部10Cをホルムアルデヒド雰囲気中に15分間放置した後に大気中で加熱した状態との透過率スペクトルとを測定した。図16に、このようにして測定した透過率スペクトルを示す。
図16に破線(曝露後)にて示すように、比較検出部10Cでは、ホルムアルデヒドを揮発させた雰囲気に曝した後における170℃の加熱処理に伴って透過率スペクトルが初期状態(曝露前)から変化し、透過率が極小となるピーク波長が僅かに短波長側にシフトする様子が見られた。このことは、金属微細構造体103として適用したAuから成る金属微粒子が変形や移動を生じたことを示しており、例えば、偏平率が小さくなった可能性を示唆している。また、この結果は、キャップ層104を有さない構成では、検出対象と接触、又は、化学反応することで、比較検出部10Cを作製するプロセス中に与えた温度と同じ温度であっても、金属微細構造体103が変形や移動を生じることが有り得ることを示している。この観点から、実施例4に示したように、検出部10において、金属微細構造体103上に、金属微細構造体103よりも融点、又は、分解温度が高いキャップ層104を形成することが、センシング素子の安定性、及び、耐久性を高めることができるという効果を示すことがわかる。
本実施例では、実施例3及び4に適用した検出部10について、断面の構造解析を行った結果を図17(a)及び(b)に示す。このうち、図17の(a)は高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡(HAADF−STEM)像を示し、図17の(b)はTiについての電子エネルギー損失分光(EELS)像(面分析結果)を示している。なお、図17の(a)及び(b)は、試料断面の同一視野について観察を行った結果である。図17の(a)において明るく示された領域は、金属微細構造体103として適用したAuの存在を示し、図17の(b)において明るく示された領域は、下地層102及びキャップ層104として適用した酸化チタンの存在を示している。
図17の(a)及び(b)に示した結果から、金属微細構造体103として用いたAu粒子の上面には、キャップ層104が概ね1nmの膜厚で形成されていることが確認できる。また、図17の(a)及び(b)に示した3つの金属微粒子103のうち右端の金属微粒子103については、その左側壁部分において、図17の(b)でTiの存在が見られない領域が存在している。すなわち、この領域においては、キャップ層104が金属微粒子103上に存在せず、露出領域105となっている。
加えて、図17の(a)及び(b)に示した3つの金属微細構造体103の何れにおいても、金属微細構造体103上に形成されたキャップ層104に、場所によるコントラストの違いが見られる。この違いは、キャップ層104において、図17の(a)及び(b)の奥行き方向に含まれるTi量が異なっていることとして分かる。このことは、形成されたキャップ層104が1nmと非常に薄いことにより、コントラストの低い箇所(像が暗い箇所)では、部分的にキャップ層104の存在しない露出領域105が形成されていると考えられる。このようなコントラストの違いとして現れる露出領域105は、キャップ層104が完全な連続膜として金属微細構造103を覆ってしまわないような、3nm未満の非常に薄い膜厚範囲とすることによって形成可能である。
更に、図17の(b)では、キャップ層104の一部が、隣接する金属微細構造体103の間に挟まれるようにして***層107として存在している。換言すれば、隣接する2つの金属微細構造体103の間に存在する***層107の頂部が、検出部10の断面において、これらの金属微細構造体103の基体101側の底部を結んだ線に対し、基体101から遠ざかる側に存在している。このように***層107を形成することで、検出対象の吸着や反応、又は、検出部10の加熱に伴う金属微細構造体103の変形や移動を、特に効果的に抑制することが可能となる。
なお、本実施例のように下地層102とキャップ層104とが同一の材料で形成される場合には、図17の(b)に示した分析結果から、下地層102とキャップ層104との境界を明確にすることはできない。しかしながら、上記の効果を発現させる観点からは、***層107を構成する材料は、キャップ層104を構成する材料に限定されず、下地層102や基体101を構成する材料であっても構わない。すなわち、***層107を構成する材料は、金属微細構造体103よりも融点、又は、分解温度が高い材料であればよい。
本実施例では、実施形態2に記載の検出部11a,11bについて、下地層112a,112bの凹凸構造の形成例について説明する。
実施形態2の実施例として、実施例1から5と同様に、基体101としてガラス基板を用い、ガラス基板上に下地層112a,112bとなる酸化ケイ素膜を形成した。続いて、酸化ケイ素膜上に、多数の微小な膜を点在するように形成し、これらの膜をマスク材として反応性イオンエッチングや薬液エッチング等の公知のエッチング手法で凹凸構造を形成することにより、下地層112a,112bを得た。上記の微小な膜としては、レジスト材料をフォトリソグラフィや電子ビームリソグラフィでパターニングしたものや島状に形成した金属微粒子、コロイド粒子、ブロックコポリマー、ポリスチレン等の自己組織化可能な有機物質等の材料から成る膜が挙げられる。
なお、集光イオンビームのようにマスク材を必要としない加工方法により、下地層112a,112bとなる酸化ケイ素膜に、凹凸構造を直接形成しても構わない。また、下地層112a,112bが結晶性材料から成る場合には、マスク材を設けずに結晶の異方性を利用したエッチング手法を用いて凹凸構造を形成しても構わない。
このように形成した下地層112a,112b上に、実施例1から4で用いた手法と同様の手法を用いて、金属微細構造体103及びキャップ層104を形成し、検出部11a,11bを作製した。
なお、凹凸構造の高さ(基体101の表面に対して垂直な方向の頂点と底部との距離)を凹凸構造のピッチ(基体101の表面に平行な方向の周期)の0.5倍以上とした。これにより、金属微細構造体103の形成に際して蒸着法やスパッタリング法に代表される薄膜形成法を用いる場合に、隣接する凸部によるシャドーイングの効果を得ることができ、凸部以外の領域に比べ、凸部上に、より厚い膜厚で金属微細構造体103を形成することが可能である。この結果、凸部への金属微細構造体103の形成を容易に行うことができるとともに、実施形態2で説明したように、金属微細構造体103の下部に、キャップ層104を下方に投影した領域における露出部分がより多く存在することになる。したがって、凹凸構造を有しない下地層102を適用する場合に比べて、キャップ層104が厚くても、金属微細構造体103の表面全体をキャップ層104が覆ってしまうことを防ぐことが可能となる。
本実施例では、実施形態3に記載の検出部12a,12bについての形成例について説明する。
実施形態3の実施例として、実施例1から5と、同様に基体101としてガラス基板を用い、ガラス基板上に下地層122としての酸化ケイ素、金属微細構造体123となるAu、キャップ層124となる酸化ケイ素をそれぞれ薄膜状に形成した。各層の膜厚の一例として、下地層122としての酸化ケイ素を膜厚10nmで形成し、金属微細構造体123となるAu及びキャップ層124となる酸化ケイ素をそれぞれ膜厚5nmで形成した。このようにして形成された薄膜積層体上に、多数の微小な膜を点在するように形成し、これらの膜をマスク材として反応性イオンエッチングや薬液エッチング等の公知のエッチング手法でキャップ層124と金属微細構造体123とをエッチングし、検出部12a,12bを得た。上記の微小な膜としては、レジスト材料をフォトリソグラフィや電子ビームリソグラフィでパターニングしたものや島状形成した金属微粒子、コロイド粒子、ブロックコポリマーやポリスチレン等の自己組織化可能な有機物質等の材料から成る膜が挙げられる。また、集光イオンビームのようにマスク材を必要としない加工方法で直接キャップ層124と金属微細構造体123とを加工しても構わない。
本実施例のように、予め薄膜を積層した状態から金属微細構造体123及びキャップ層124を加工によって切り出すことにより、金属微細構造体123及びキャップ層124の大きさを、特に均一に制御して形成することが可能になる。これにより、個々の金属微細構造体123における検出対象に対する反応性が均一化されるので、検出部12a,12bから出力される検出信号の強度を高めることが可能となる。また、キャップ層124の大きさが均一化されていることにより、金属微細構造体123の変形や移動に対する抑制についても均一化することができる。
本発明は、気体、液体、又は、これらに含まれる含有成分を検出するためのセンシングに利用することができる。
10、11a、11b、12a、12b 検出部
101 基体
102、112a、112b、122 下地層
103、123 金属微細構造体
104、124 キャップ層
105、125 露出領域
106 電極
107 ***層

Claims (11)

  1. 基体と、
    前記基体上に形成された少なくとも一つの金属微細構造体と、
    前記金属微細構造体の一部を覆い、かつ接するように形成されたキャップ層とを備え、
    少なくとも一つの前記金属微細構造体が、前記基体、及び、前記キャップ層から露出した露出領域を有していることを特徴とするセンシング素子。
  2. 前記キャップ層を構成する材料の融点、又は、分解温度が、前記金属微細構造体を構成する材料の融点、又は、分解温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載のセンシング素子。
  3. 前記キャップ層の厚みが前記金属微細構造体の厚み以下であることを特徴とする請求項1または2の何れか一項に記載のセンシング素子。
  4. 前記金属微細構造体が形成される前記基体の表面における前記金属微細構造体の間に***するように形成されている***層をさらに備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のセンシング素子。
  5. 少なくとも一部の前記キャップ層が、前記金属微細構造体が形成される前記基体の表面における前記金属微細構造体の間に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のセンシング素子。
  6. 前記金属微細構造体がAuを含み、前記基体、及び、前記キャップ層を含む層における少なくとも金属微細構造体に接する表面が金属酸化物から成ることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のセンシング素子。
  7. 前記金属微細構造体、及び、前記キャップ層が、パターニングされた構造であることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のセンシング素子。
  8. 前記基体上に形成され、前記金属微細構造体を形成するための下地となる下地層をさらに備え、
    前記露出領域が前記下地層からも露出していることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のセンシング素子。
  9. 前記下地層における前記金属微細構造体が形成される表面に凸部が形成され、
    前記金属微細構造体が前記凸部上に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のセンシング素子。
  10. 前記基体、及び、前記キャップ層のいずれか一方、又は、双方が、誘電体、又は、半導体から成ることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載のセンシング素子。
  11. 請求項1から10の何れか一項に記載のセンシング素子を用い、前記センシング素子の光学特性、電気抵抗、静電容量の何れかを測定することにより、検出対象の存在、又は、検出対象の量を検出することを特徴とするセンシング方法。
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