JP2016017809A - ステント検査方法、転写シート、転写キットおよびステント検査装置 - Google Patents

ステント検査方法、転写シート、転写キットおよびステント検査装置 Download PDF

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【課題】製造工程で得られた筒状のステントを検査する際に、ストラットの模様及び厚みを同時期に簡便に測定可能な検査方法、この検査方法に用いる転写シート、転写キット及び検査装置を提供する。【解決手段】ストラットにより模様が形成された筒状のステントを検査するステント検査方法にあって、ステントをその外表面側から転写シート10に接触させ、ステントの外表面側から把握されるストラットの模様と、その模様を形成するストラットの厚みとを転写シートに記録させ、その転写シートに対する解析でステントを検査する、ステント検査方法。【選択図】図5

Description

本発明は、ステント検査方法、この方法に用いる転写シート、この転写シートを含む転写キット、および、ステント検査装置に関する。
ステントは体内の血管や消化管など内腔を有する管に形成された狭窄部を拡張し、経路を確保するために広く使用されている。公知であるステントは2種類存在する。その1つは、従来のバルーンカテーテルのバルーンに折りたたまれて配置されたステントで、圧力流体によって拡張されたバルーンが、その拡張力によってステントを拡張するバルーン拡張型ステントである。もう1つは、ステント自体が形状記憶合金等によって形成された拡張能力を持つ自己拡張型ステントである。自己拡張型ステントの場合、そのほとんどが形状記憶合金から構成されることが多く、製造工程において拡張後の形状を記憶させ、デリバリーカテーテルのシース内に縮径された状態で配置される。このデリバリーカテーテルが体内に挿入され、所望の位置までくるとシースから放出され、体温により形状を記憶した外径までステントが拡張することで留置される。
狭窄などの治療すべき病変が生じている部位に留置されたステントには、ラジアルフォースと耐久疲労特性と呼ばれる重要な性能が必要である。ラジアルフォースは狭窄した管を内側から支える力のことを指し、この力が弱いと拡張後の管腔を維持できなくなり再狭窄となってしまう。一方、この力が強すぎると血管を内側から圧迫することになり過度な拡張によって炎症など発生し、再狭窄などが生じる危険性がある。また、耐久疲労特性はステントの破壊耐久性能を示し、特性が良いほど破壊しにくくなる。これは下肢など動きが活発な血管では、圧縮、伸展、ねじりなど様々な外力を受けるためステントには繰り返し応力による疲労破壊が課題となっている。耐久疲労特性が弱いと早い段階でステントのストラットが破断し、ステント形状を維持できなくなることから、ラジアルフォースの低下、破断部位付近の血管内炎症により再狭窄の原因となる。
これらの課題を解決するために各メーカーではステントを構成するストラットの模様及び厚み等を最適化させることで、適正なラジアルフォースの発現、耐疲労特性の向上を実施してきた。これらの特性を最適化する因子は、幾何学的なストラットの模様、およびその際のストラットの厚みなどの寸法形状である。
しかしながら、設計段階においてステントを構成するストラットの模様及び厚み等は最適化されても、製造工程の段階でその設計どおりに製造でき、仮に設計どおりでない不良品が製造された場合には、検査工程で適切に良否を判断し、不良品を除去できなければならない。
ステントの設計に関しては、設計思想とは異なる不均一な状態、つまりストラット同士の過度の延伸、または過度な圧縮状態、ねじれなど当初の設計とは意図しない状態の場合には、緻密に計算された構造ではなくなってしまうため最適なラジアルフォースを発揮できない。また、耐久疲労に関しても、ストラットの配置がくずれてしまうと意図しない箇所での応力集中となり破壊が早くなる可能性が高い。
また、ストラットの寸法に関しても設計した幅と厚みが異なる場合、期待しているラジアルフォースを発揮できないことも懸念点としてある。ストラットの幅と厚みが設計と異なることが生じるのは、例えば、所望のストラットの模様をレーザー加工等により形成した後、ストラットの表面を研磨処理等を行うため、幅や厚みが設計より小さくなる場合があるためである。
また、製造工程内でストラットに欠け、微小クラックのような欠陥が発生する場合にも、応力集中により破断の原因となる。
そのため製造工程においては、意図したステント構造に加工すること、必要な寸法まで加工することが重要な要素となっている。また検査工程においてはそれらの加工されたストラットの模様や厚み等が規格どおりかどうかを確認する方法が必要となる。
検査工程にて寸法を評価する方法は複数考えられる。一つにはノギスやダイヤルメーターといった評価対象物に直接接触することで寸法を計測する方法がある。また、非接触で計測する方法としては、実体顕微鏡などの顕微鏡で拡大した視野内でステージ上での目盛による計測や静止画を通じた処理によって寸法を計測する方法、照射したレーザーの反射により形状を計測する方法、照明の投影によって影絵を浮かび上がらせその影絵を計測する方法、カメラによる撮影で得られる画像をパソコン上で画像処理する方法などの計測があげられる。
しかしながら、これらの各方法は一長一短がある。ノギスやダイヤルメーターでは直接的に計測が行われるため真値を得やすい反面、接触部位を必要とするため微小なステント形状では計測し難い。また、ステントは形状も複雑なため、計測可能な部位が限られている。実体顕微鏡などの顕微鏡下での計測は拡大レンズにより拡大が可能なため微小な形状も把握できるが、ステントのような円筒形状の場合、焦点が合う範囲がせまく見たい部位に応じて焦点を合わせなければいけない手間が生じる。レーザーによる計測の場合も、レーザーによってより高精度な寸法計測が可能となるが、円筒で複雑な形状を有しているステントの計測の場合は、各部位で焦点を合わせるのが困難である。また、カメラによる画像処理の場合にはステントの外内表面を観察、計測するには有効であるが、厚みを計測するにはカメラを設置する位置や照明を高精度に調整する技術が必要となり計測には困難となる。これらの技術ではストラットの幅および厚みの計測には、任意に選択的な部分のみの計測となってしまい、特に厚みに関しては簡易的に連続的な変化を評価する技術は、発明者の知る限り、報告されていない。
現在知られているステント検査装置としては、例えば以下の先行文献1〜3に記載のものが開示されている。
先行文献1には、ステント内にマンドレルを通し、その軸方向に対して円周方向に回転させることで、カメラでステント外観画像を取得する装置が記載されている。この装置によると、ステントの軸方向部位をラインカメラで撮影し、画像処理により2次元のステント展開図を得ることができる。次にこの展開図と原図を見比べ、形状を比較する。またステント表面および側面を撮影することで外観の検査が実施可能である。しかしながら外観の欠陥を検査することと、原図とのズレを確認することは可能であるが、ステントの寸法計測に関してストラットの厚みに関して安定的に計測することは記載されていない。
先行文献2に記載の検査装置では、ステントをローラーの上に配置することで、ステントを軸方向に回転させ全周の外観を確認することが可能である。この手段によって得られたデータを画像処理することによりCADデータと比較することが記載されている。しかしながら、この文献においてもストラットの厚みを計測すること、安定的に計測する方法の記載はない。
先行文献3には、ステント表面のパターン幅を検査する装置が記載されている。この装置によれば、ステントを軸方向に対して円周方向に回転させながら、軸方向をCCDカメラで撮影する。得られた軸方向の画像とCAD図面から画像処理によりステントパターン幅を計測する。計測結果を自動的に合否判定することが記載されている。この技術に関しても厚みに関して計測する手段の記載はない。
特表2009−540298号公報 特表2009−506813号公報 特開2001−070455号公報
本発明が解決しようとする課題は、製造工程で得られた筒状のステントを検査する際に、ストラットの模様及び厚みを同時期に簡便に測定可能な検査方法、この検査方法に用いる転写シート、転写キット及び検査装置を提供することである。
上記課題に鑑みて、発明者らが鋭意検討を行ったところ、筒状のステントを形成するストラットを転写して、その外表面側から把握される模様と、その模様を形成するストラットの厚みとを記録可能な転写シートを用いることで、上記課題が解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ストラットにより模様が形成された筒状のステントを検査するステント検査方法にあって、
上記ステントをその外表面側から転写シートに接触させ、上記ステントの外表面側から把握されるストラットの模様と、その模様を形成するストラットの厚みを上記転写シートに記録させ、その転写シートに対する解析でステントを検査する、ステント検査方法。
(2)上記転写シートが、平面のシート面を有する上記(1)記載のステント検査方法。
(3)ストラットにより模様が形成された筒状のステントをその外表面側から接触させることにより、上記ステントの外表面側から把握されるストラットの模様及びその模様を形成するストラットの厚みを転写可能な転写シート。
(4)上記(3)に記載の転写シートと、この転写シートに対して上記ステントをその外表面側から押圧しながら回転進行させることが可能な転回押圧治具と、を含む転写キット。
(5)上記転回押圧治具は、上記転写シートに対して上記ステントを押圧する押圧力を調節する調節機構を有する上記(4)に記載の転写キット。
(6)上記(4)または(5)に記載の転写キットを含むステント検査装置。
(7)上記(3)に記載の転写シートの上記ステントの外表面側から把握されるストラットの模様及びその模様を形成するストラットの厚みが記録されたシート面を撮影する撮像部と、
上記撮像部にて取得した撮像データに基づき、上記転写シートに記録されたストラットの模様及びその模様を形成するストラットの厚みの3次元データを算出する算出部と、
上記算出部で算出された3次元データを、基準判別データと比較する比較部と、
上記比較部で比較した結果によりステントの良否を判定する判定部と、を含むステント検査装置。
(8)上記(4)または(5)に記載の転写キットを含む上記(7)に記載のステント検査装置。
本発明によれば、製造工程で得られた筒状のステントを検査する際に、ステントの外表面側から把握されるストラットの模様及びその模様を形成するストラットの厚みを同時期に簡便に測定可能な検査方法及び検査装置を提供することができる。
(a)本発明で使用可能なステントの実施形態の一例を模式的に示した側面図である。(b)図1(a)に示す領域I内の拡大斜視図である。 (a)本発明に係る転写シートの実施形態の一例を模式的に示した斜視図である。(b)本発明に係る転写シートの実施形態の他の例を模式的に示した斜視図である。 (a)図1(a)に示すステントにマンドレルが挿入された状態を模式的に示した側面図である。(b)ステントを転写シートに対して相対的に回転進行させる直前の状態を模式的に示した正面図である。(c)図3(b)に示す転写シートの平面図である。(d)ステントを転写シートに対して相対的に回転進行させた直後の状態を模式的に示した一部断面図である。(e)図3(d)に示す転写シートの平面図である。 本発明に係る転写キットの実施形態の一例及びその使用方法を模式的に示した斜視図群である。 本発明に係るステント検査装置の構成の一例を示した概念図である。 本発明に係るステント検査装置の構成の他の例の一部を模式的に示した斜視図である。
以下、本発明に係るステント検査方法、このステント検査方法に使用する転写シート、この転写シートを含む転写キット、そのステント検査方法を行うのに適したステント検査装置の実施形態を、図面を参照しつつ説明するが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得ることは勿論である。尚、便宜上、図面において符号を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、便宜上、見やすいように調整されていることもある。
<ステント検査方法>
本発明に係るステント検査方法は、ストラットにより模様が形成された筒状のステントをその外表面側から転写シートに接触させ、ステントの外表面側から把握されるストラットの模様と、その模様を形成するストラットの厚みを転写シートに記録させ、その転写シートに対する解析でステントを検査するものである。
このように、本発明に係るステント検査方法では、ステントの外表面側から把握される模様と、その模様を形成するストラットの厚みを転写シートに一旦転写し、記録することで、その転写シートから、筒状のステントのままでは困難であったステントの上記模様と厚みを同時期に簡便に測定することが可能になる。特に、転写シートが平板状である場合は勿論のこと、平面状に変形可能な場合も、筒状のステントの構造を、平板状に変換することが可能になるため、転写シートに記録された上記の模様と厚みを同時期に簡便に測定することが可能になる。また、その測定結果に基づく解析及び検査を容易に行うことができる。
尚、以下では、特に断らない限り、「ステントの外表面側から把握される模様」を単に「ステントの模様」と、「その模様を形成するストラットの厚み」を単に「ストラットの厚み」と称する。
(ステント)
本発明に係る検査方法に適用可能なステントは、バルーン拡張型でも自己拡張型でもどちらでもよい。ステントを構成する材料としては、一般的にステントに使用される材料であれば特に限定はしない。このような材料としては、金属材料や有機高分子材料等が挙げられる。金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、CoCr合金、NiTi合金が一般的であるが、それ以外の形状記憶合金や超弾性金属でもよい。また、有機高分子材料としては、本技術分野において一般的な高分子材料(例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。)、生分解性樹脂等が挙げられる。ステントの原材料の形状は、特に限定はなく、例えば、チューブ、シート、ワイヤーなどが挙げられる。原材料からのステントへの加工方法は、原材料の形状に合わせて加工メーカーが既存方法をとることが可能である。例えば、原材料が上記金属製のチューブの場合、レーザーによる加工を行って、所望のストラットによる模様を有するステントを作製することができる。また、レーザー加工により生じた金属片の突起等が生じた場合は、ストラットに研磨処理を施して、その突起等を除去するのが好ましい。
ステントの形状、構造は、ストラットにより模様が形成された筒状であれば、特に限定はない。図1(a)は、本発明に適用可能なステントの実施形態の一例を模式的に示した側面図であり、図1(b)は、図1(a)の領域Iの部分斜視図である。また、図1は拡径状態のステントを示したものである。本発明に係る検査方法に適用可能なステントは、拡径状態のものでも、縮径状態のものでもよい。本例のステント1は、軸方向の両端で開口する中空部を有する円筒状である。また、中空部を形成する側壁部分は、ストラット2と、中空部と外側とが連通する貫通孔3とで形成される。
本発明に係る検査方法では、ステントの外表面側から把握されるストラットの模様とその模様に対応する各所のストラットの厚みを転写シートに転写して記録する。転写シートに記録されるステントの外表面側から把握されるストラットの模様は、ストラットの構造によるが、例えば図1(a)で示すステント1の場合は、ストラット2の外表面4または外表面4とストラット2の側壁面5とで構成される。ストラット2の外表面4の幅が中空部側より広い場合は、実質的に外表面4のみで構成され、外表面4よりも中空部側の幅が広い部分がある場合は、外表面4と側壁面5の全部または一部で構成される。
ストラット2の厚みd(図1(b)参照)は、外表面4と図示しない内表面との間の距離で決定される。より詳細には、原則として、ステントの中心軸に直交する方向における外表面4と内表面との距離により決定される。
(転写シート)
本発明に係る検査方法では、ステントの外表面側から把握されるストラットの模様と厚みを転写シートに記録する。このような転写シートとしては、ステントを外表面側から接触させて、ストラットにより形成される模様とその厚みを記録可能であれば特に限定はない。
転写シートの形状、構造としては、特に限定はなく、例えば図2(a)の符号10に示すように、平滑で平面のシート面(表面)を有する平板又は膜としてもよいし、図2(b)に示すように、枠体11の上面側に開口する凹部12に転写シートとなる実質的に平滑で平面のシート面(表面)を有する転写部13を設けたものでもよい。また、図2(a)の転写シート10の場合は、これを円筒等の筒状に変形して転写した後、平板状に変形し、解析、検査に使用してもよい。この場合、転写シート10の転写面とは反対側の面に支持膜(図示せず)等を設けてもよい。
転写シートを構成する材料としては、ステントを外表面側から接触させた時、好ましくは、押圧力を負荷しつつ接触させた時に、その表面部分にストラットの形状に対応する凹部が形成され、その凹部の形状が固定され得るものであれば特に限定はない。このような材料としては、弾性率が極端に低く塑性変形がしやすいものが好適であり、例えば、粘土、低弾性率ポリウレタン、アルギン酸塩、シリコーン、石膏、一般的な型取り剤等が挙げられる。このような材料のうち、自律的に形状を保持可能な材料の場合は、図2(a)のような平板又は膜とすることができる。もっとも、図2(b)のような枠体11の凹部12に嵌め込んで用いることも可能である。
また、上記の材料以外にも、例えば、ストラットの外表面から把握可能な形状に対応する凹部を形成し固定することが可能な機能が付与された、砂やビーズのような微粒子を用いてもよい。このような機能を付与するものとしては、各種の結着剤などが挙げられる。また、微粒子の大きさは、ストラットの厚み等の測定の精度に影響しない程度の大きさであり、5μm程度が好ましい。このような微粒子を用いる場合は、図2(b)のような枠体11の凹部12に転写部13として微粒子を充填したものが好ましい。
転写シートの厚みは、厚みを確実に把握する観点から、ストラットの厚みより大きいのが好ましい。
(転写シートへの記録方法)
上述した転写シートに、ステントの外表面側から把握されるストラットの模様と厚みを記録させる方法としては、ステントの側壁部分の全周を転写して、記録可能な方法であれば特に限定はない。以下では、図3を参照しつつ、ステントとして図1に示すステント1、転写シートとして図2(a)に示す平板又は膜の形状を有する転写シート10を用いる場合を例にして説明する。
図3(a)に示すように、先ず、ステント1の中空部にマンドレル14を挿入する。マンドレル14の構造は、ステント1の中空部の構造に対応した構造が好ましく、本例では、外径が軸方向に一定の円柱又は円筒である。マンドレル14の外径は、ストラット2の厚みを正確に転写する観点から、ステント1の内径と同じか、内径より大きいことが好ましい。また、マンドレル14の外径は、ステント1を拡径し過ぎて塑性変形させるのは好ましくないため、ステント1の内径に対して1.2倍以下が好ましく、1.1倍以下がより好ましい。
マンドレル14の外径をこのようにすることで、ステント1の内表面とマンドレル14の外表面との隙間の発生を防止すると共に、ステント1をマンドレル14に簡便かつ適度に固定することができる。
マンドレル14を構成する材料としては、後述するように、マンドレル14を回転させることで、マンドレル14に装着されたステント1の全周の模様と厚みを転写シート10に転写する際に、マンドレル14が撓まない程度の強度を有するものであれば、特に限定はなく、金属材料でもよいし、樹脂材料でもよい。このような程度の撓みが生じないことで、ストラット2の模様と厚みを正確に転写することができる。
マンドレル14の表面硬度としては、ステント1をその外表面4側から転写シート10に接触させた時に、マンドレル14の外表面が全く又は殆ど変形することなく、ストラットの模様と厚みを転写シート10に転写可能な程度の表面硬度があるのが好ましい。このような表面硬度を有することで、ストラット2の模様と厚みを正確に転写することができる。
そして、図3(b)、(c)に示すように平滑で平面の表面を有する転写シート10を用意し、マンドレル14を挿入したステント1をその外表面4側から転写シート10に接触させ、この転写シート10の表面に沿ってマンドレル14を必要に応じて押圧しながら1回転させることで(図3(d))、ステント1の側壁部分の全周に亘るストラット2の模様と厚みを転写シート10の表面に凹部15として転写し、記録する(図3(e))。この時、ストラット2の模様と厚み、特に厚みを正確に転写する観点から、転写シート10の表面にマンドレル14の外表面がマンドレル14の軸方向において実質的に線接触する位置を保持しつつ回転させるのが好ましい(図3(d))。ストラットの厚みdが、凹部15の深さDに対応する。
このようにしてストラット2の模様と厚みが転写され、記録された転写シートが後述するようにして解析される。
(転写キットとその使用方法)
本発明に係る検査方法では、転写シートへのストラットの模様と厚みの転写をより正確かつ簡便に行う観点から、転写キットを用いることができる。この転写キットは、上述した転写シートと、この転写シートに対してステントをその外表面側から押圧しながら回転進行させることが可能な転回押圧治具と、を含む。転回押圧治具は、ステントの外表面側から転写シートに押圧しながら回転進行させることが可能な構成を有すれば、特に限定はない。以下では、図4を参照しつつ本発明に係る転写キットの実施形態の一例を説明する。
図4に示す実施形態に係る転写キット20は、転写シート10、ステント1の転写シート10を受け入れ可能な上面側に開口する凹部22を有する枠体21、ステント1の中空部に挿入可能なマンドレル14を含む。本実施形態では、転回押圧治具は、枠体21とマンドレル14とで構成される。また、図4に示す実施形態のように、より簡便に平滑で平面のシート面(表面)を有する転写シート10を準備するため、枠体21の凹部22に転写シート10の原料を充填するためのへら25を含んでもよい。
転写キット20の使用方法を説明する。図4(a)に示すように、先ず、枠体21を準備する。枠体21は、凹部22と枠部23とを有する。枠部23は、その上面24が同一平面上に存在するように形成され、上面24側で開口する凹部22を囲んでいる。枠体21を構成する材料は、マンドレル14を回転進行させるときに変形しない程度の硬度を有すれば、特に限定はなく、金属材料でも良いし、木材等の天然高分子系やオレフィン系等の合成高分子系の樹脂材料であってもよい。図4(b)に示すように、転写シート10を構成する原材料10aを枠体21の凹部22に適当量投入し、図4(c)に示すように、へら25を用いて、原材料10aを凹部22の全体にまんべんなく充填するとともに、へら25を枠体21の枠部23に沿って摺動させ、原材料10aの上面が枠部23の上面24と同一平面となるようにすり切り、余分な原材料10aを除去することで、図4(d)に示すように、枠体21の上面24と同一平面上にある平滑で均質な平面のシート面(表面)を有する転写シート10が形成される。へら25の構造は、平滑で平面のシート面を形成する観点から、同一平面上に存在する均し面部又は均し線部を有するのが好ましい。図4に示す例では、へら25は軸方向に一定形状の四角柱であるがこれに限定されない。この四角柱では、軸方向に延びる側面が均し面部、軸方向に延びる角部が均し線部となる。図4(c)に示すへら25以外にも、平滑面を有する回転ローラー等であってもよい。
転写シート10が準備できた後、図3(a)に示すように、マンドレル14をステント1の中空部に挿入し、マンドレル14の両端部の外表面が被覆されないようにマンドレル14の中央部付近にステント1を配置する。このようにステント1が設置されたマンドレル14を、図4(e)に示すように、マンドレル14の両端部が枠体21の枠部23の上面24に位置するとともに、ステント1が転写シート10の表面に位置するように配置する(図3(b)も参照のこと。)。そして、例えば、マンドレル14のステント1が配置されていない両端部分を手等で押圧して、マンドレル14の両端部と枠部23の上面24とを係合させ、マンドレル14をその軸方向を回転中心軸として回転させつつ上面24に沿って進行させると、図3(d)、(e)に示すように、転写シート10の表面に、ステント1のストラット2の模様と厚みが、簡便かつ正確に転写され、記録される。
図4に示す転写キット20では、上述したように、転写シート10の表面が枠部23の上面24と同一平面上にあり、マンドレル14が一定外径の円柱又は円筒で、このマンドレル14が枠部23の上面24と接して回転進行するため、マンドレル14の外表面は、転写シート10の表面と実質的に線接触した状態にある(例えば図3(d)参照)。その結果、転写シート10には、マンドレル14の外表面に設置されたステント1のストラット2の厚みと正確に対応する深さの凹部(例えば、図3(d)、(e)の符号15参照)が形成される。また、マンドレル14が転写シートに対して回転進行するため、ステント1の全周に亘りその外表面側から把握されるストラットの模様と正確に対応する模様の凹部(例えば、図3(d)、(e)の符号15参照)が形成される。この時、マンドレル14の両端部が枠体21の枠部23と係合するように押圧されるため、押圧力を枠体21で受け止めることができる。そのため、マンドレル14とその外表面に配置されているステント1が過度に転写シート10の表面に押し付けられることを防止することができ、ストラット2の模様と厚みを正確に転写し、記録することができる。
図4に示す転写キット20では、枠体21に対してマンドレル14を回転進行させる場合に、マンドレル14が枠体21の上面24上で空回りしないようにするため、必要に応じて、マンドレル14の両端部及び/又は枠体21の上面24に対して摩擦力を向上させる処理を行ってもよい。これにより、各部材を構成する材料にもよるが、ステント1全周に亘るストラット2の模様と厚みをより確実に転写シートに転写させることができる。
また、枠体21の上面24と転写シート10の上面が同一平面上に位置するようにしているが、転写シート10の表面と、ステント1が配置されている部分のマンドレル14の外表面とが、マンドレル14の軸方向で実質的に線接触を維持できるような構造を有しておればよい。例えば、このような線接触を維持しつつ、マンドレル14の進行方向に沿った部分の枠部23を転写シート10より高くし、マンドレル14の両端部分の外径をステント1が配置されている部分よりも小さくしてもよい(図示せず)。
さらに、転写シート10に対するマンドレル14の回転進行は、マンドレル14を手で押圧しつつ転がして進行させてもよいし、他の方法を用いてもよい。例えば、マンドレル14に歯車を設けるとともに枠体21の上面24等にそれと対応する凹凸を設け、必要に応じてマンドレル14に回転手段を設けることで、マンドレル14の回転に応じて進行させることもできる。
本発明に係る転写キットでは、転回押圧治具は、転写シートに対してステントを押圧する押圧力を調節する調節機構を有していてもよい。図4に示す転写キット20では、枠体21の枠部23が押圧力に抗しつつマンドレル14の両端部を受け止めていることから、枠部23とマンドレル14の両端部とが押圧力の調節機構に該当する。このような図4に示す調節機構以外にも、例えば、図6に示すステント検査装置に含まれる調節機構が挙げられるが、これらに限定されない。尚、この図6に示す調節機構の例については後述する。
(転写シートの解析とステントの検査)
転写シートの解析方法としては、特に限定はない。例えば、ストラットの模様と厚みが記録されたシート面を撮影し、撮像データを取得する撮像ステップと、撮像ステップで撮影した撮像データに基づき、転写シートに記録されたストラットの模様及び厚みの3次元データを算出する算出ステップと、算出ステップで算出された3次元データを基準判別データと比較する比較ステップと、比較ステップで比較した結果により、ステントの良否を判定する判定ステップを含む解析方法が挙げられる。このような解析方法により、製造工程で得られたステントを検査することができる。
本発明に係る転写シートを用いることで、筒状のステントのままでは困難であった、ストラットの模様及び厚みの3次元データを同時期に測定することができる。特に、転写シートが平面である場合は、撮像ステップにおいて、筒状のステントの全周に亘る模様と厚みをより簡便かつ正確に撮影することが可能になり、ステントの良否判定を精度よくかつ簡便に行うことができる。
以下では、上記各ステップを含む解析方法の実施形態の例を説明する。
上記撮像ステップでは、ストラットの模様と厚みが記録された上述の転写シートのシート面を撮影し、撮像データを取得する。
本発明における撮影には、光学レンズを用いる光学系の手法による撮影以外に、レーザー等の光源からの投光が転写シートの表面に反射して受光されるまでの時間を計測する手法(以下、「反射光時間計測法」と称する。)による撮影等を、単独で又は光学系手法等と組み合わせて3次元計測が可能な各種の手法による撮影が含まれる。光学レンズを用いる手法としては、1台のカメラ(単眼)で撮影する手法、ステレオカメラのように撮影角度の異なる複数のカメラで同時に撮影する手法等が挙げられる。光学レンズを用いる光学系の手法と、例えば反射光時間計測法とを組み合わせてもよい。
1台のカメラで撮影する手法の場合、転写シートの表面と記録した凹部の底との間で焦点を変えながら撮影することで、この時の撮像データに基づき算出ステップにおいて、ストラットの模様と厚みの3次元データを算出することができる。また、光切断法と呼ばれるステレオ方式による手法を採用することで、3次元データを算出することができる。
複数のカメラで撮影するステレオ方式による手法の場合、例えば、撮像角度の異なる2台のカメラで転写シートの表面から記録した凹部の底にピントを合わせて撮影することで、2台のカメラの視差情報からストラットの模様と厚みの3次元データを算出することができる。尚、2台のカメラでは情報が不足する場合は必要に応じて基準カメラによる撮影等を行ってもよい。
光学レンズを用いる光学系の手法と、例えば反射光時間計測法とを組み合わせる手法としては、例えば、1台のカメラ(単眼)で転写シートの表面から記録した凹部の底にピントを合わせて撮影するとともに、反射光時間計測法によって撮影する手法が挙げられる。これにより、光学的手法によりストラットの模様の撮像データを取得し、反射光時間計測法により凹部の深さ、即ち、ストラットの厚みの撮像データを取得することができ、これらの撮像データに基づき、ストラットの模様と厚みの3次元データを算出することができる。尚、反射光時間計測法では、転写シート表面に沿って投光と受光を行う走査式が好ましい。
また、反射光時間計測法による撮影としては、例えば、転写シートの表面と、記録した凹部の深さを測定し、後述する算出ステップにおいて、凹部の深さとその分布から、凹部の深さ即ちストラットの厚みデータと、凹部の形状即ちストラットの模様のデータとの3次元データを取得することができる。
上記算出ステップでは、取得した撮像データに基づき、転写シートに記録されたストラットの模様及び厚みの3次元データを算出する。
上述したように、撮影方法により得られる撮像データは異なるが、転写シートに凹部として記録された情報から、各撮影方法で得られた撮像データに基づいて、ストラットの模様と厚みのデータの3次元データとして復元、算出する。ステントの外表面側から把握されるストラットの模様のデータには、連続するストラットの形状のデータ、各所の幅寸法のデータが含まれる。
上記比較ステップでは、算出ステップで算出された3次元データを基準判別データと比較する。
基準判別データは、例えば、ステントの設計図(例えば、所謂CAD図面などの電子化された図面データ)に基づいて予め定められたストラットの模様と厚みのデータにより決定される。基準判別データは、ステントの用途等に応じて適宜決定することができる。
基準判別データと算出ステップで算出された3次元データとの比較は、例えば、ストラットの模様全体の相同性、ストラットの幅寸法の規格交差範囲に入るか否か、ストラットの厚み寸法の規格交差範囲に入るか否か、等を比較項目として個別に行われる。
上記判定ステップでは、比較ステップで比較した結果により、ステントの良否を判定する。
ステントの良否判定は、例えば、上記の比較項目について、各比較項目の合否判定の判定基準に基づいて、全ての項目が合格である場合を良品とし、それ以外は不良品とすることで、行うことができる。判定基準は、撮影手法による撮像データの特質、ステントの用途や構造に応じて、適宜設定することができる。
上記の撮像ステップ、算出ステップ、比較ステップ、判定ステップは、後述するように、例えば、パーソナルコンピュータを構成する制御部において行うことができる。また、撮像ステップにおいて撮影された撮像や、判定結果は、後述するように、表示部により確認することができる。
<ステント検査装置>
以下では、図面を参照しつつ上述した転写シートの解析とステントの検査を行うのに好適なステン検査装置の実施形態を説明する。
図5に示す第一実施形態に係るステント検査装置30は、撮像部31と、制御部40と、表示部33とを有する。
撮像部31は、カメラ部34と、カメラ部34を支持するアーム部35と、アーム部35を支持する支持部32と、支持部32を支持する台座部37と、上述した転写シート10を支持ずるステージ部36とを有する。転写シート10は、ストラットの模様と厚みが記録されたシート面がカメラ部34に対向するようにステージ部36の上面に配置される。ステージ部36とアーム部35とは、両者の距離を任意に調整できるように高さ(図5の上下方向)を調節可能になっているのが好ましい。また、ステージ部36は、高さ方向に対して直交する方向に位置調整可能になっているのが好ましい。撮像部31には図示しない光源を設け、転写シート10のシート面に投光できるようになっているのが好ましい。カメラ部34は、上述したように、光学系手法による撮影が可能な構成でも良いし、反射光時間計測法による撮影が可能な構成でも良いし、両者の撮影が可能な構成でもよい。光学系手法による場合、カメラ部34は、例えば、対物レンズと自動焦点調整が可能なレンズとを組み合わせたもの等で構成することができる。
制御部40は、例えば所定の演算処理を実行する中央演算処理装置と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、所定の制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やハードディスク等の記憶部と、これらの周辺回路等を備える(何れも図示せず。)。制御部40は、記憶部に記憶された制御プログラムを実行することにより、算出部41、比較部42、判定部43として機能する。また、制御部40は、撮像部31における転写シート10のシート面の撮影、撮影した撮像データの記憶等の処理を制御することができるように構成されている。この際、撮像データは制御部40の記憶部等に記憶されるのが好ましい。
算出部41では、撮像部31において取得された撮像データに基づき、転写シートに記録されたストラットの模様及びその模様を形成するストラットの厚みの3次元データを算出する。撮像データは、転写シートに凹部として記録された情報であることから、この凹部の形状から、これに対応した形状の3次元構造体をストラットの模様及び厚みの3次元データとして復元、算出する。算出された3次元データは制御部40の記憶部に記憶されるのが好ましい。
比較部42では、算出部41で算出された3次元データを、基準判別データと比較する。基準判別データは、例えばCADデータ等に基づいて予め定められ、制御部40の記憶部等に記憶させておくのが好ましい。比較部42では、算出部41で算出された3次元データと基準判別データとを対比して、例えば、ストラットの模様全体の相同性、ストラットの幅寸法の規格交差範囲に入るか否か、ストラットの厚み寸法の規格交差範囲に入るか否か等を比較項目としてそれぞれ算出し、比較する。
判定部43では、比較部42で比較した結果によりステントの良否を判定する。良否の判定基準は、比較部42における比較項目の合否判定基準を予め設定し、制御部40の記憶部等に記憶させておくのが好ましい。良否の判定は、例えば、比較部42における各比較項目の合否判定の判定基準に基づいて、全ての項目が合格である場合を良品とし、それ以外は不良品とすることで、行うことができる。判定基準は、撮影手法による撮像データの特質、ステントの用途や構造に応じて、適宜設定することができる。
表示部33は、撮像部31の撮影処理の設定条件、撮像部31のカメラ部34で撮影している撮像(図5の表示部33に表示されている符号10参照。)、算出部41での算出結果、比較部42での比較結果、判定部43での判定結果等を表示することができる。
次に本発明に係るステント検査装置の第二実施形態について説明する。
図6に示す第二実施形態に係るステント検査装置50は、撮像部51と、転写キット70とを有する。また、図示しないが、第一実施形態と同様に制御部と表示部を有するのが好ましい。
転写キット70は、転写シート10と、転回押圧治具71とを備える。転回押圧治具71は、マンドレル72と、枠体21と、マンドレル72に装着されたステント1を転写シート10に対して押圧する押圧力を調節する調節機構60とを有する。
調節機構60は、マンドレル72の軸方向が転写シート10の表面に対して平行になるようにマンドレル72を保持しつつ、マンドレル72の軸方向の中心軸を中心にして回転可能にマンドレル72を支持する支持部61と、転写シート10の表面に対して直交する方向に支持部61又はマンドレル72を移動させて、転写シート10の表面に対してステント1を押圧する時の押圧力を調整可能な荷重調整部62と、転写シート10の表面に対して直交する方向のマンドレル72の位置を調整可能なステージ部63と、転写シート10の所定方向に沿ってマンドレル72を進行させる際にステージ部63を移動させるためのレール66を備えた支持台65とを有する。
荷重調整部62は、例えば、内部に、支持部61又はマンドレル72と連結するばね(図示せず)を設けてばねの弾性力を調整することで、転写シート10に対してステント1を押圧する押圧力を調節することができる。押圧力を調節することで、図3(d)に示すように、ステント1が装着されている部分のマンドレル72の外表面が転写シート10の表面と実質的に線接触させることが可能になる。そのため、マンドレル72の形状は、図4(e)の場合と異なり、その両端部が枠体21の枠部23の上面24と当接しないように構成することができる。もっとも、マンドレル72のステント1は装着されていない部分が枠部23の上面24と当接するように構成してもよい。この場合でも、荷重調整部62によりマンドレル72の枠体21への過度な荷重負荷を防止することができる。尚、荷重調整時のステージ部63の位置は調節ねじ64により調節することができる。
支持部61には、マンドレル72の転写シート10に対する所定方向への進行に合わせてマンドレル72をその中心軸を中心に回転させるために、サーボモーター等の自動制御の回動手段を設けてもよいし、マンドレル72の進行により、転写シート10との接触による摩擦力によって回動させるように構成してもよい。
マンドレル72の転写シート10に対する所定方向への進行は、支持台65に設けられたレール66に沿って、ステージ部63を摺動させることにより行われる。この時、ステージ部63は、手動により移動させてもよいし、ステージ部63を自走させるための移動手段を設けてもよいし、支持台65にステージ部63を牽引するための移動手段を設けてもよい。尚、本例では、ステージ部63を移動させた構成を示したが、枠体21を移動させるように構成してもよい。
撮像部51は、カメラ部54と、カメラ部54を支持するアーム部55と、アーム部55を支持する支持部52と、支持部52を支持する台座部57と、転写シート10が配置された枠体21を支持するステージ部56とを有する。カメラ部54は第一実施形態と同様の構成を採用できる。転写シート10は、ストラットの模様と厚みが記録されたシート面がカメラ部54に対向するようにステージ部56の上面に配置される。第二実施形態では、アーム部55が支持部52に設けられたレール58に沿って移動し、ステージ部56とアーム部55の距離を任意に調整できるように高さ(図6の上下方向)を調節可能になっている。また、アーム部55は、レール58に直交する方向にカメラ部54が移動可能になるように構成してもよい(図示せず)。また、支持部52は、台座部57に設けられたレール59に沿って摺動可能に構成されている。カメラ部54と支持部52がこのように摺動可能な場合、撮影手段や撮影対象の大きさ等を考慮して必要に応じて、転写シート10に転写されたステント全体の模様と厚みを撮影することができる。このようにカメラ部54と支持部52を移動させる替わりに、ステージ部56を移動させるように構成してもよい。カメラ部54、アーム部55、支持部52、ステージ部56の移動は、手動で行ってもよいし、それぞれに移動手段を設けて自動で行ってもよい。
第二実施形態に係るステント検査装置50の使用方法を簡単に説明する。
ステント検査装置50では、転写シート10を凹部22に受け入れた枠体21をステージ部56の上面に載せて固定した後、マンドレル72に装着されたステント1を転写シート10に接触させて押圧する。この時、ステージ部63の高さを調整し、さらに荷重調整部62により転写シート10に対するステント1を押圧する押圧力が調節される。押圧力は、図3(d)に示すように、ステント1が装着されている部分のマンドレル72の外表面が転写シート10の表面と実質的に線接触する程度に調節される。そして、ステージ部63をレール66に沿って移動させ、ステント1を1回転させた後、押圧力を除去して、ステント1と転写シート10との接触を解除する。このようにして、転写シート10のシート面に筒状のステント1の外周全体のストラットの模様と厚みが凹部として転写され、記録される。その後、マンドレル72を撮像部51での撮影の邪魔にならない位置に移動させる。
そして、転写シート10に転写されたストラットの模様と厚みが凹部として記録されたシート面を撮像部51のカメラ部54で撮影し、第一実施形態の場合と同様に、ステント1の良否を判定することができる。転写シート10のシート面の撮影に際して、必要に応じて、支持部52とカメラ部54をシート面に対して水平方向に移動させる。
(実施例1)
NiTi合金製のチューブ(外径2.2mm、公称肉厚220μm、長さ1m)を原材料として用い、このチューブにレーザーによる加工を行い、縮径状態に対応するステントを作製し、研磨処理を行った。このステントを、内径8.0mmになるように拡径し、この拡径状態で加熱処理を行って、図1に示すような形状、構造を有し、内径8.0mm、全長40mm、肉厚が200μm程度の拡径状態のステント1を得た。
図4(a)に示すような構造の木製の枠体21の凹部22(幅:60mm、長さ:90mm、深さ:5mm)に転写シートの原材料である粘土を入れ、へら25を用いて、図4(d)に示すように、枠体21の枠部23の上面24と同一平面で、上面が平滑になるように凹部22全体に転写シート10を調製した。転写シート10の大きさは、枠体21の凹部22に対応する大きさとした。
ステント1の中空部にマンドレル14(SUS304製、外径:8.1mm)を挿入し、図4(e)に示すように、マンドレル14の両端部の外表面が露出するようにマンドレル14の中央部にステント1を配置した。そして、マンドレル14の両端部を枠体21の枠部23に接触するように押し当て、押圧することで、マンドレル14の外表面と転写シート10の表面が実質的に線接触状態になり、マンドレル14に配置されたステント1のストラット2がその厚みの分だけ、転写シート10の表面にめり込ませることができた。
その後、手動で、マンドレル14の両端部を押圧しつつ、マンドレル14の軸方向の中心軸を中心に回転させながら、枠部23に沿ってマンドレル14を進行させた。マンドレル14を1回転させたところ、ステント1の全周に亘るストラットの模様と厚みが、凹部として転写シート10の表面に転写され、記録されていることを確認した。
1.ステント
2.ストラット
3.貫通孔
4.外表面
5.側壁面
10.転写シート
10a.原材料
11、21.枠体
12、22.凹部
13.転写部
14.マンドレル
15.凹部
20、70.転写キット
23.枠部
24.上面
25.へら
30、50.ステント検査装置
31、51.撮像部
32、52.支持部
33.表示部
34、54.カメラ部
35、55.アーム部
36、56.ステージ部
37、57.台座部
40.制御部
41.算出部
42.比較部
43.判定部
58、59.レール
60.調節機構
61.支持部
62.荷重調整部
63.ステージ部
64.調節ねじ
65.支持台
66.レール
71.転回押圧治具
d.厚み
D.深さ

Claims (8)

  1. ストラットにより模様が形成された筒状のステントを検査するステント検査方法にあって、
    上記ステントをその外表面側から転写シートに接触させ、上記ステントの外表面側から把握されるストラットの模様と、その模様を形成するストラットの厚みとを上記転写シートに記録させ、その転写シートに対する解析でステントを検査する、ステント検査方法。
  2. 上記転写シートが、平面のシート面を有する請求項1記載のステント検査方法。
  3. ストラットにより模様が形成された筒状のステントをその外表面側から接触させることにより、上記ステントの外表面側から把握されるストラットの模様及びその模様を形成するストラットの厚みを転写可能な転写シート。
  4. 請求項3に記載の転写シートと、この転写シートに対して上記ステントをその外表面側から押圧しながら回転進行させることが可能な転回押圧治具と、を含む転写キット。
  5. 上記転回押圧治具は、上記転写シートに対して上記ステントを押圧する押圧力を調節する調節機構を有する請求項4に記載の転写キット。
  6. 請求項4または5に記載の転写キットを含むステント検査装置。
  7. 請求項3に記載の転写シートの上記ステントの外表面側から把握されるストラットの模様及びその模様を形成するストラットの厚みが記録されたシート面を撮影する撮像部と、
    上記撮像部にて取得した撮像データに基づき、上記転写シートに記録されたストラットの模様及びその模様を形成するストラットの厚みの3次元データを算出する算出部と、
    上記算出部で算出された3次元データを、基準判別データと比較する比較部と、
    上記比較部で比較した結果によりステントの良否を判定する判定部と、を含むステント検査装置。
  8. 請求項4または5に記載の転写キットを含む請求項7に記載のステント検査装置。

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