JP2016016641A - 機能性を有する積層体 - Google Patents

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大幹 芝田
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Abstract

【課題】表面に凹凸がある基材の表面にも、実用可能な機能性を有する積層体を提供する。
【解決手段】(A)基材上に、式(I)
SiX4−n (I)
(式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、及び、キレート化又は配位化された金属化合物、有機酸金属塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する有機無機複合薄膜を設け、さらに金属界面活性剤の加水分解縮合物である層を設けることにより、実用可能な機能性を有する積層体を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性を有する積層体、特に、基材上に下地膜を介して設けた金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層を有する積層体に関する。
従来より、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、繊維、紙、木材等の表面を撥水撥油化させる方法として、それらの基材表面に自己組織化膜を形成する方法が検討されてきた(特許文献1)。これらの膜は基材表面の水酸基やイミノ基あるいはカルボキシル基と反応して、−SiO−または−SiN<結合を介して基材表面に化学結合した状態で形成されるため、表面に水酸基などの官能基を有する基材を用いる場合は、基材上に自己組織化膜を形成することが容易であった。しかし、樹脂や酸化し難い金属のような基材上に自己組織化膜を形成することは困難であった。
また、基材上に、第1層、第2層の順に形成された薄層積層体において、第1層が、a)式(I)RSiX4−n(I)(式中、Rは、Siに炭素原子が直接結合した有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、b)熱硬化性化合物の硬化物を含有する有機無機複合膜であって、第2層が、金属界面活性剤の加水分解縮合物である自己組織化膜を含有する層である薄層積層体が知られている(特許文献2)。このような構造にすることにより、基材との密着性に優れ、硬度、耐溶剤性、潤滑性、すべり性、低摩擦性などの機能に優れた成形体を比較的簡易な構造で提供することができることが記載されている。
また、上記と同様の式(I)で表される有機ケイ素化合物の縮合物、b)金属キレート化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の350nm以下は波長の光に感応する光感応性化合物及び/又はそれから誘導される化合物、及びc)紫外線硬化性化合物の硬化物を含有する有機無機複合体が知られており、それら表面をシランカップリング剤にて表面処理して、表面を撥水撥油性に変えることできることが記載されている(特許文献3)。
特開平8−224536号公報 WO2014/010219号パンフレット WO2008/069217号パンフレット
しかし、上記したいずれの積層体も、例えば、表面に凹凸がある基材の表面に撥水撥油性の膜を形成するためのプライマー層として応用した場合に、必ずしも、満足のいく機能性が得られないという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、実用可能な機能性を有する積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に取り組み、鋭意研究した結果、有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物と、金属キレート化合物または配位化合物等、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する有機無機複合薄膜形成用溶液を用いて基材上に下地膜を形成することで、より緻密な自己組織化単分子膜を形成することができ、実用可能な性能を有する積層体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に、第1層、第2層の順に形成された積層体において、
第1層が、式(I)
SiX4−n・・・(I)
(式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物を主成分とし、キレート化又は配位化された金属化合物、有機酸金属塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、及び/又はそれから誘導される化合物を含有する有機無機複合薄膜であって、第2層が、金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層である積層体、及び、
(2)金属系界面活性剤が、式(II)
11 1111 t−s (II)
〔式中、R11は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基、又は連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基を表し、M11は、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属原子を表し、X11は、水酸基又は加水分解性基を表し、tはMの原子価を表す。sは、1から(t−1)のいずれかの正整数を表し、sが2以上の場合、R11は、互いに同一でも相異なっていてもよい。(t−s)が2以上の場合、X11は同一であっても、相異なっていてもよいが、X11のうち、少なくとも1個は加水分解性基である。〕で示される化合物である(1)に記載の積層体に関する。
また、本発明は、
(3)(A)基材上に、式(I)
SiX4−n (I)
(式中、Rは、Siに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、並びに、キレート化又は配位化された金属化合物、有機酸金属塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する固形分量が0.01〜20.0質量%である有機無機複合薄膜形成用組成物を塗布することにより有機無機複合薄膜を作製し、
(B)当該、有機無機複合薄膜にプラズマ処理又はUVオゾン処理を施した後、金属界面活性剤の加水分解縮合物である層を作製する積層体の製造方法に関する。
本発明の積層体を用いることで、表面に凹凸のある基材でも実用可能な機能を有する積層体を提供することが可能となった。
本発明の積層体は、基材の少なくとも片面に、以下のA)基材、B)第1層及びC)第2層の各層がA)、B)及びC)の順に積層された構成からなる積層体である。本発明の積層体は、さらに、本発明の効果を奏する限り、他の層を1又は2以上積層する場合を包含してもよい。
以下に、詳細に説明する。
A)基材
本発明の薄膜が形成可能な基材としては、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック等が挙げられる。
金属製基材としては、特に制限はないが、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル等を好ましく例示することができる。セラミック、紙、繊維等の表面に金属層または金属を主成分とする層を設けた基材でもよい。
プラスチック製基材としては、その素材が高分子である基材であれば、特に制限されず、具体的には、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルスルフォンが挙げられる。セラミック、紙、繊維、金属等の表面に高分子の層または高分子を主成分とする層を設けた基材でもよい。
ガラス製基材は、その素材が、酸化ケイ素を主とする成分の基材であれば、特に制限されず、プラスチック製基材と同様に、セラミック、紙、繊維等の表面に酸化ケイ素の層または酸化ケイ素を主成分とする層を設けた基材でもよい。
基材の大きさや形は特に制限されず、平板、立体物、フィルム等いずれも使用することができるが、特に表面に凹凸がある基材に本発明の積層体を適用した場合に、好適に用いることができる。
B)第1層:有機無機複合薄膜
本発明の第1層である有機無機複合薄膜は、少なくとも有機ケイ素化合物の縮合物を主成分として含有し、キレート化又は配位化された金属化合物、有機酸金属塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分として含有するが、その他の成分も副成分として含有してもよい。
1)有機ケイ素化合物の縮合物
本発明の有機ケイ素化合物は、以下の式(I)で表される。
SiX4−n (I)
式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。
ここで、Rで表される「Siに炭素原子が直接結合する有機基」としては、置換されていてもよい炭化水素基、ポリマー部分を含む炭化水素基等を挙げることができる。
上記「置換されていてもよい炭化水素基」の炭化水素基としては、通常、炭素数1〜30の炭化水素基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基等が挙げられる。
また、上記「炭化水素基」は、酸素原子、窒素原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい。
アルキル基として、炭素数1〜10の直鎖又は分岐したアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基等が挙げられ、さらに炭素数10を超える長鎖のアルキル基としては、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
シクロアルキル基として、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
アルケニル基として、炭素数2〜10の直鎖又は分岐したアルケニル基が好ましく、それは、いずれか1カ所以上に炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の直鎖又は分岐したアルケニル基を意味し、例えば、エテニル基、1−プロペン−1−イル基、2−プロぺン−1−イル基、1−プロペン−2−イル基、1−ブテン−1−イル基、2−ブテン−1−イル基、3−ブテン−1−イル基、1−ブテン−2−イル基、3−ブテン−2−イル基、1−ペンテン−1−イル基、4−ペンテン−1−イル基、1−ペンテン−2−イル基、4−ペンテン−2−イル基、3−メチル−1−ブテン−1−イル基、1−ヘキセン−1−イル基、5−ヘキセン−1−イル基、1−ヘプテン−1−イル基、6−ヘプテン−1−イル基、1−オクテン−1−イル基、7−オクテン−1−イル基、1,3−ブタジエン−1−イル基等が挙げられる。
シクロアルケニル基として、炭素数3〜8のシクロアルケニル基が好ましく、それは、いずれか1カ所以上に炭素−炭素二重結合を有しかつ環状部分を有する炭素数3〜8のアルケニル基を意味し、例えば、1−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロペンテン−1−イル基、1−シクロヘキセン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基、3−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、1−プロピン−1−イル基、2−プロピン−1−イル基、1−ブチン−1−イル基、3−ブチン−1−イル基、1−ペンチン−1−イル基、4−ペンチン−1−イル基、1−ヘキシン−1−イル基、5−ヘキシン−1−イル基、1−ヘプチン−1−イル基、1−オクチン−1−イル基、7−オクチン−1−イル基等が挙げられる。
シクロアルキルアルキル基としては、炭素数3〜10のシクロアルキル基と炭素数1〜10のアルキル基の結合した基が好ましく、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロへキシルエチル基、シクロヘプチルメチル基等が挙げられる。
アリール基としては、単環又は多環のアリール基を意味し、多環アリール基の場合は、完全不飽和に加え、部分飽和の基も包含し、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が例示することができ、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
アリールアルキル基としては、炭素数6〜10のアリール基と炭素数1〜10のアルキル基が結合した基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、8−フェニル−n−オクチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
アリールアルケニル基としては、炭素数6〜10のアリール基と炭素数2〜10のアルケニル基が結合した基が好ましく、例えば、スチリル基、3−フェニル−1−プロペン−1−イル基、3−フェニル−2−プロペン−1−イル基、4−フェニル−1−ブテン−1−イル基、4−フェニル−3−ブテン−1−イル基、5−フェニル−1−ペンテン−1−イル基、5−フェニル−4−ペンテン−1−イル基、8−フェニル−1−オクテン−1−イル基、8−フェニル−7−オクテン−1−イル基、ナフチルエテニル基等が挙げられる。
「酸素原子を有する炭化水素基」としては、アルコキシアルキル基、エポキシ基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基等のオキシラン環(エポキシ基)を有する基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシメチル基などが挙げられる。
ここで、アルコキシアルキル基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基と炭素数1〜6のアルキル基が結合した基が好ましく、例えば、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基等が挙げられる。
エポキシアルキル基としては、炭素数3〜10の直鎖又は分岐鎖のエポキシアルキル基が好ましく、例えばグリシジル基、グリシジルメチル基、2−グリシジルエチル基、3−グリシジルプロピル基、4−グリシジルブチル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、5,6−エポキシヘキシル基等の直鎖状のエポキシ基を含むアルキル基;β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、2−グリシジルプロピル基、2−グリシジルブチル基、3−グリシジルブチル基、2−メチル−3−グリシジルプロピル基、3−メチル−2−グリシジルプロピル基、3−メチル−3,4−エポキシブチル基、3−エチル−3,4−エポキシブチル基、4−メチル−4,5−エポキシペンチル基、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル基等の枝分かれ状のエポキシ基を含むアルキル基等が挙げられる。
グリシドキシアルキル基としては、グリシドキシメチル基、グリシドキシプロピル基等が挙げられる。
「窒素原子を有する炭化水素基」としては−NR’(式中、R’は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、各R’は互いに同一でも相異なっていてもよい。)を有する基、又は−N=CR’’(式中、R’’は水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、各R’’は互いに同一でも相異なっていてもよい。)を有する基が好ましく、アルキル基としては上記と同じものが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、アントラセン−1−イル基、フェナントレン−1−イル基等が挙げられる。
例えば、−NR’を有する基としては、−CHNH基、−CH(CH)NH基、−CHNHCH基等が挙げられる。−N=CR’’を有する基としては、−CHN=CHCH基、−CHN=C(CH基、−CHCHN=CHCH基、−CHN=CHPh基、−CHN=C(Ph)CH基等が挙げられる。
上記「置換されていてもよい」の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、メタクリロキシ基等を挙げることができる。アルキル基、アルケニル基、アリール基としては、Rにおけるものと同じものを例示することができる。
上記のうち、ビニル基、オキシラン環を有する基、−NR’を有する基、又は−N=CR’’を有する基は、有機無機複合体の表面の無機化の観点からは、好ましい基である。
また、式(I)中、nは、1又は2を表し、n=1のものが特に好ましい。nが2のとき、各Rは同一でも相異なっていてもよい。また、これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
式(I)において、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。式(I)の(4−n)が2以上のとき、各Xは同一でも相異なっていてもよい。加水分解性基とは、例えば、無触媒、過剰の水の共存下、25℃〜100℃で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基や、シロキサン縮合物を形成することができる基を意味し、具体的には、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基原子、イソシアネート基、無置換または置換アミノ基等を挙げることができ、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアシルオキシ基が好ましい。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、炭素数1〜6のアシルオキシ基(ただし、炭素数にはカルボニル基の炭素を含まない)としては、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
式(I)で表される化合物として、具体的には、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルジメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、4−オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリス[(メタ)アクリロキシ]シラン、メチルトリス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−アニリノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Rが、ポリマー部分を含む炭化水素基である有機ケイ素化合物とは、例えば、重合性官能基を有する有機ケイ素化合物を、必要に応じて他の重合性官能基を有する単量体と共重合させて得られるポリマーを表し、具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メタクリル酸等と共重合して得られるポリマーを例示することができる。また、ポリマー部分を含む炭化水素基である有機ケイ素化合物の別な例としては、高分子反応で、有機ケイ素部分を導入して得られるポリマーを示し、具体的には、ポリメタクリル酸に対して、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを反応させて、側鎖にアルコキシシラン部位を導入したポリマーを例示することができる。
重合性官能基を有する有機ケイ素化合物と重合可能な単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を例示することができる。
また、高分子反応により、有機ケイ素部位を導入することが可能なポリマーとして、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸、p−ヒドロキシスチレン、ポリブタジエン等を例示することができる。
なお、本発明の有機無機複合薄膜における主成分となる有機ケイ素化合物の縮合物は、これらの有機ケイ素化合物の縮合物及び/又は有機ケイ素化合物の縮合物のさらなる縮合物を意味する。
有機ケイ素化合物の縮合物の配合割合は、有機無機複合薄膜全体の固形分に対して2〜98質量%、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。
本発明において使用される有機ケイ素化合物の好ましい態様として、具体的には、下記a−1)、a−2)、及びa−3)の混合物を例示することができる。
a−1) 式(I−1)
SiX4−n・・・(I−1)
(式中、nは1又は2を表し、nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは有機基であって、Rのうち1以上はビニル基含有炭化水素基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物
a−2) 式(I−2)
SiX4−n・・・(I−2)
(式中、nは1又は2を表し、nが2のときRは同一であっても相異なってもよく、Rは式中のSiに炭素原子が直接結合した、ビニル基含有炭化水素基以外の有機基を表す。Xは水酸基又は加水分解性基を表し、互いに同一であっても相異なってもよい。)で表される化合物
a−3) 存在するならば、それらの加水分解縮合物
式(I−2)で表される化合物及びそれを単位として含有する加水分解縮合物は必ずしも存在しなくてもよい。加水分解縮合物とは、化合物同士が加水分解縮合してシロキサン結合を形成した2量体等であって、式(I)又は式(II)の化合物のみが加水分解縮合した物であってもよく、式(I)の化合物と式(II)の化合物とが加水分解縮合した物であってもよく、これらの2種以上が混在していてもよい。
{〔式(I−1)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I−1)の化合物〕+〔式(I−2)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I−2)の化合物由来の単位〕}×100は、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは30〜95モル%であり、
{〔式(I−2)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I−2)の化合物由来の単位〕}/{〔式(I−1)の化合物〕+〔式(I−2)の化合物〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I−1)の化合物由来の単位〕+〔存在するならば、加水分解縮合物中の式(I−2)の化合物由来の単位〕}×100は、好ましくは0〜70モル%であり、より好ましくは5〜70モル%である。
また、加水分解縮合物の平均粒子径は2nm〜100nmが好ましく、5nm〜30nmであることがより好ましい。平均粒子径が100nmより大きいと膜が白濁し、溶液が不安定となりゲル化し易くなる。平均粒子径が2nmより小さいと塗膜性に悪影響が出る場合がある。
上記R中の有機基及び加水分解性基は、式(I)における有機基及び加水分解性基と同じものを例示することができる。
上記R中のビニル基含有炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基等のアルケニル基(好ましくは、C2−8アルケニル基)、2−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基、4−シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基(好ましくは、C3−8シクロアルケニル基)等が挙げられる。
具体的に、式(I−1)で表される化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、2−シクロプロぺニルトリメトキシシラン、2−シクロペンテニルトリメトキシシラン、2−シクロヘキセニルトリメトキシシラン、ジビニルジアミノシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジアセトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジ3-ブテニルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、アリルメチルトリメトキシシラン、アリルエチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
式(I−2)で表される化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシラン、メチル[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シラン等を挙げることができる。
これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
有機ケイ素化合物を組み合わせて使用する場合、例えば、ビニルトリメトキシシランと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの組み合わせ、ビニルトリメトキシシランと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの組み合わせを好ましく例示できる。
また、式(I−1)で表される有機ケイ素化合物のうち、Rの炭素数が3以下であるものが、30モル%以上、好ましくは50〜100モル%であり、Rの炭素数が4以上であるものが、70モル%以下、好ましくは0〜50モル%である 。
2)キレート化又は配位化された金属化合物、有機酸金属塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
本発明の有機無機複合薄膜に使用される他の化合物は、キレート化又は配位化された金属化合物、有機酸金属塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、加水分解物及び/又は縮合物であることが好ましく、特に、キレート化又は配位化された金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物が好ましい。
これから誘導される化合物としては、例えば、キレート化又は配位化された金属化合物の縮合物等がさらに縮合されたもの等を挙げることができる。かかる光感応性化合物及び/又はその誘導体は、上述のように、有機ケイ素化合物と化学結合していてもよく、非結合状態で分散していてもよく、その混合状態のものであってもよい。
これら2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、キレート化又は配位化された金属化合物又は有機酸金属塩化合物における金属としては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉛等が挙げられ、これらの中でもチタン、ジルコニウム、アルミニウムが好ましく、特にチタン好ましい。これらは2種以上用いることもできる。
キレート化又は配位化された金属化合物としては、水酸基若しくは加水分解性基を有するキレート化又は配位された金属化合物であることが好ましく、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するキレート化又は配位された金属化合物であることがより好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。また、前記金属キレート化合物又は金属配位化合物としては、β−ケトカルボニル化合物、β−ケトエステル化合物、及びα−ヒドロキシエステル化合物がキレート又は配位した化合物を例示することができ、より具体的には、アセト酢酸メチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル等のβ−ケトエステル類;アセチルアセトン、へキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチル−へキサン−2,4−ジオン等のβ−ジケトン類;グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸;等が配位した化合物を例示することができる。
有機酸金属塩化合物としては、金属イオンと有機酸から得られる塩からなる化合物であり、有機酸としては、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸等のカルボン酸類;スルフォン酸、スルフィン酸、チオフェノール等の含硫黄有機酸;フェノール化合物;エノール化合物;オキシム化合物;イミド化合物;芳香族スルフォンアミド;等の酸性を呈する有機化合物が挙げられる。
また、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物は、上記キレート化又は配位化された金属化合物及び有機酸金属塩化合物を除くものであり、例えば、金属の水酸化物や、金属アルコラート等を挙げることができる。
2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、又はキレート化又は配位化された金属化合物における加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、イソシアネート基が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基が好ましい。なお、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有するとは、加水分解性基及び水酸基の合計が2以上であることを意味する。
2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いて加水分解したものであることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、キレート化又は配位化された金属化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、キレート化又は配位化された金属化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることがさらに好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
また、有機酸金属塩化合物の加水分解物及び/又は縮合物としては、有機酸金属塩化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いて加水分解したものであることがさらに好ましく、5〜20モルの水を用いて加水分解したものであることがより好ましい。
以上示したキレート化又は配位化された金属化合物等の含有量としては、その種類にもよるが、一般的に、有機ケイ素化合物中のSiに対して、金属化合物等中の金属原子が0.01〜0.5モル当量、好ましくは0.05〜0.2モル当量であることが好ましい。
3)その他の添加剤
また、本発明の有機無機複合体薄膜には、得られる塗膜の硬度向上を目的として4官能シランやコロイド状シリカを添加することもできる。4官能シランとしては、例えば、テトラアミノシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ(メタ)アクリロキシシラン、テトラキス[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、テトラキス(2−ビニロキシエトキシ)シラン、テトラグリシジロキシシラン、テトラキス(2−ビニロキシブトキシ)シラン、テトラキス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シランを挙げることができる。また、コロイド状シリカとしては、水分散コロイド状シリカ、メタノールもしくはイソプロピルアルコールなどの有機溶媒分散コロイド状シリカを挙げることができる。
また、本発明の有機無機複合体形成用組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化、下地への紫外線透過防止、防蝕性の付与、耐熱性などの諸特性を発現させるために、別途、充填材を添加・分散させることも可能である。この充填材としては、例えば有機顔料、無機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の粒子状、繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。この充填材の具体例としては、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーンブラック、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
なお、本発明の有機無機複合体形成用組成物には、その他、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤、各種界面活性剤、前記以外のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、分散剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を添加することもできる。
4)有機無機複合薄膜の製造法
4−1)有機無機複合薄膜形成用溶液の調製
本発明の有機無機複合薄膜形成用溶液は、溶媒中に式(I)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、及び、キレート化又は配位化された金属化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。さらに、必要に応じて、水、他の添加物を含有していても良い。
式(I)で表される有機ケイ素化合物としては、上述したものと同様であり、縮合物であることが好ましく、その平均粒径が、10nm以下であることが好ましく、4nm以下であることがより好ましい。また、キレート化又は配位化された金属化合物、金属有機酸塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「金属化合物」ともいう)としては、上述したものと同様であり、加水分解物及び/又は縮合物であることが好ましく、特に、金属キレート化合物の加水分解物及び/又は縮合物が好ましく、その平均粒径としては、10nm以下であることが好ましく、7nm以下であることがより好ましい。これにより、有機無機複合体(薄膜)の透明性を向上させることができる。これらの平均粒子径は、例えば、Malvern Instruments Ltd製 HPPSを用いて測定することができる。
用いる溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール誘導体類;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の有機無機複合薄膜形成用組成物中の固形分量(有機ケイ素成分及び金属化合物成分)としては、0.01〜20.0質量%であることが好ましく、0.01〜10.0質量%、0.01〜5.0質量%、0.01〜1.0質量%、0.01〜0.75質量%、0.01〜0.6質量であることがより好ましい。
有機ケイ素化合物に対する金属化合物の含有量は、有機無機複合薄膜中の含有量と同様である。
本発明の有機無機複合薄膜形成用組成物の調製方法としては、具体的には、金属化合物を溶媒に混合し、所定量の水を加え、(部分)加水分解を行い、続いて、有機ケイ素化合物を添加して(部分)加水分解する方法や、有機ケイ素化合物及び金属化合物を混合した後に、水を加えて(部分)加水分解する方法や、有機ケイ素化合物及び金属化合物を別々に(部分)加水分解したものを混合する方法を挙げることができる。水を加える必要は必ずしもないが、水を加えて(部分)加水分解物としておくことが好ましい。
水の量としては、金属化合物の種類にもよるが、例えば、金属化合物が2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物の場合、金属化合物1モルに対して、0.5モル以上の水を用いることが好ましく、0.5〜2モルの水を用いることがより好ましい。また、金属化合物がキレート化又は配位化された金属化合物又は金属有機酸塩化合物の場合、キレート化又は配位化された金属化合物又は金属有機酸塩化合物1モルに対して、5〜100モルの水を用いることが好ましく、5〜20モルの水を用いることがより好ましい。
4−2)有機無機複合薄膜の製造法
本発明の有機無機複合薄膜は、(a)上述した有機無機複合薄膜形成用溶液を基材上に塗布し、乾燥及び/又は加熱する工程、(b)プラズマ処理もしくはUVオゾン処理を施す工程を経ることにより製造できる。
有機無機複合薄膜形成用溶液の塗布方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、インクジェット法等を挙げることができる。また、形成する膜厚としては、特に制限されるものではなく、具体的には、0.1〜200μmの範囲を例示することができる。
有機無機複合薄膜形成用溶液を塗布して形成した膜の乾燥・加熱処理としては、例えば、40〜200℃で、0.5〜120分程度行うことが好ましく、60〜160℃で、1〜60分程度行うことがより好ましく、60〜120℃で1〜60分程度行うことが更に好ましい。
加熱後の薄膜をガラス基材に形成したときの、JIS K 5600−5−4鉛筆法に規定する鉛筆硬度は、1H〜4H程度であり、基材との密着性及び硬度の点から、2H〜4Hであることが好ましい。
本発明においてプラズマ処理とは、窒素ガス雰囲気でのコロナ放電処理、あるいはヘリウム、アルゴンなどの希ガス雰囲気でのグロープラズマ処理である。
より具体的には、電極対の少なくとも一方を誘電体で被覆した平行平板電極間に、高周波数の高電圧を印加することでプラズマを発生させ、該電極間に基材層を保持する方法、あるいは該電極間で該基材層を移動させる方法が挙げられる。プラズマ処理には、大気圧プラズマ処理と真空プラズマ処理があるが、大気圧プラズマ処理では真空プラズマ処理に比して活性種の密度が高いために、高速、高効率で電極表面の処理ができ、また処理時に真空にする必要がないために、少ない工程数で処理ができるといった利点がある。
大気圧プラズマ処理は、大気圧プラズマ発生装置(例えば、(株)魁半導体製の大気圧プラズマ装置S−5000、積水化学工業(株)製の常圧プラズマ表面処理装置RDシリーズ等)を用いて行うことができる。
本発明においてUVオゾン処理とは、薄膜にUV(紫外線)を照射し、空気中の酸素をオゾンに変化させ、このオゾン及び紫外線により当該薄膜を改質することを意味する。
UV光源は、UV照射により酸素をオゾンに変化させることができれば、特に制限されない。UV光源としては、低圧水銀ランプが挙げられる。低圧水銀ランプは185nmと254nmのUV光を発生し、185nm線が酸素をオゾンに変化させることができる。照射の際の照度は、用いる光源により異なるが、一般的に数十〜数百mW/cmのものが使用されている。また、集光や拡散することで照度を変更することができる。照射時間は、ランプの照度及び前記未処理層の種類により異なるが、通常、1分〜24時間である。処理温度は、通常、10〜200℃である。また、UVの照射量(即ち、紫外線量)は、通常1000mJ/cm以上であり、好ましくは1000〜100000mJ/cmであり、より好ましくは1000〜30000mJ/cmである。
C)第2層:金属界面活性剤の加水分解縮合物を含む層
また、本発明においては、上記有機無機複合薄膜の外側に、さらに金属界面活性剤の加水分解縮合物を含む層を設ける。当該層は、自己組織化膜であるのが好ましく、さらに、単分子膜であるのが好ましい。
金属界面活性剤の加水分解縮合物を含む層の製造方法は、特に限定されないが、具体的には、WO03/076064、WO2004/091810、WO2006/009292、WO2009/104424、WO2008/059840パンフレット等に記載されているように、「少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤」、「該金属系界面活性剤と相互作用し得る化合物」及び水を含む有機溶媒溶液に、前記有機無機複合薄膜が積層された基材を接触させる方法等を例示することができる。また、「少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤」、「該金属系界面活性剤と相互作用し得る化合物」及び水を含む有機溶媒溶液として、具体的には、日本曹達(株)製SAMLAY(登録商標)等を例示することができる。
「少なくとも1以上の水酸基又は加水分解性基を有する金属系界面活性剤」としては、少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な官能基と疎水性基とを同一分子内に有するものであれば、特に制限されないが、基材表面上の活性水素と反応して結合を形成することができる加水分解性基を有するものが好ましい。尚、水酸基、特に金属原子に直接結合している水酸基は、活性水素と反応して結合を形成することができる。
少なくとも1以上の水酸基又は加水分解性基を有する金属系界面活性剤として、具体的には、式(II)
11 1111 t−s (II)
〔式中、R11は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基、又は連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基を表し、M11は、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属原子を表し、X11は、水酸基又は加水分解性基を表し、tはMの原子価を表す。sは、1から(t−1)のいずれかの正整数を表し、sが2以上の場合、R11は、互いに同一でも相異なっていてもよい。(t−s)が2以上の場合、X11は同一であっても、相異なっていてもよいが、X11のうち、少なくとも1個は加水分解性基である。〕で示される金属系界面活性剤を好ましく例示することができる。
前記「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基」の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−へキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基等の炭素数1〜30のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等の炭素数2〜30のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
前記「置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基」のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜30のハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アリール基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。具体的には、上記例示した炭化水素基中の水素原子の1個以上がフッ素原子、塩素原子又は臭素原子等のハロゲン原子に置換された基が挙げられる。
これらの中でも、前記炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキル基中の水素原子の2個以上がハロゲン原子に置換された基が好ましく、炭素数1〜30のアルキル基中の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されたフッ素化アルキル基がより好ましい。また、フッ素化アルキル基が分岐構造を有する場合には、分岐部分は炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜2の短鎖であるのが好ましい。
フッ素化アルキル基としては、末端炭素原子にフッ素原子が1個以上結合した基が好ましく、末端炭素原子にフッ素原子が3個結合したCF基部分を有する基がより好ましい。末端が、フッ素原子が置換しない炭化水素基であり、内部の炭素鎖にフッ素原子が置換した炭素鎖であっても構わない。末端部分に、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル部分を有し、かつ後述する金属原子Mとの間に、−(CH−(式中、hは1〜6の整数を表し、好ましくは2〜4の整数である。)で表されるアルキレン基を有する基が特に好ましい。
フッ素化アルキル基中のフッ素原子数は、[(フッ素化アルキル基中のフッ素原子数)/(フッ素化アルキル基に対応する同一炭素数のアルキル基中に存在する水素原子数)×100]%で表現したときに、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
前記「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基」又は「置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基」の置換基としては、カルボキシル基;アミド基;イミド基;エステル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;または水酸基等が挙げられる。これらの置換基の数は0〜3であることが好ましい。
前記「連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基」の炭化水素基としては、具体的には、前記「置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基」の炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
また、「連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基」のハロゲン化炭化水素基としては、具体的には、前記「置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基」のハロゲン化炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記連結基は、炭化水素基若しくはハロゲン化炭化水素基の炭素−炭素結合間、又は炭化水素基の炭素と後述する金属原子Mとの間に存在するのが好ましい。
連結基の具体例としては、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−C(=O)O−又は−C(=O)NR51−(式中、R51は、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基を表す。)等が挙げられる。
これらの中でも、R11としては、撥水性、耐久性の観点から、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のフッ素化アルキル基、又は連結基を含むフッ素化アルキル基であるのが好ましい。
11のより好ましい具体例としては、CH−、CHCH−、(CHCH−、(CHC−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH10−、CH(CH11−、CH(CH12−、CH(CH13−、CH(CH14−、CH(CH15−、CH(CH16−、CH(CH17−、CH(CH18−、CH(CH19−、CH(CH20−、CH(CH21−、CH(CH22−、CH(CH23−、CH(CH24−、CH(CH25−、CF−、CFCF−、(CFCF−、(CFC−、CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CFO(CF(CH−、CF(CFO(CF(CH−、CF(CFO(CF(CH−、CF(CFCONH(CH−、CF(CFCONH(CH−、CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CH−、CH(CF(CH−、CH(CF(CH−、CH(CF(CH−、CH(CF10(CH−、CH(CF11(CH−、CH(CF12(CH−、CH(CF(CH−、CH(CF(CH−、CH(CF11(CH−、CHCH(CF(CH−、CHCH(CF(CH−、CHCH(CF10(CH−、CH(CFO(CF(CH−、CH(CF(CHO(CH−、CH(CF(CHO(CH−、CH(CF(CHO(CH−、CHCH(CF(CHO(CH−、CH(CFCONH(CH−、CH(CFCONH(CH−、CH(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CH−、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる1種の原子を表す。これらの中でも、原料の入手容易性、反応性等の観点からケイ素原子が特に好ましい。
11は、水酸基又は加水分解性基を表し、加水分解性基としては、水と反応して分解する基であれば特に制約されない。具体的には、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基;置換基を有していてもよい炭化水素オキシ基(ただし、アルコキシ基を除く);置換基を有していてもよいアシルオキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;イソシアネート基;シアノ基;アミノ基;又はアミド基等を例示することができる。
「炭素数1〜6のアルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基以外の「炭化水素オキシ基」としては、シクロプロピルオキシ基、シクロプロピルメチルオキシ、シクロヘキシル基等の脂環式炭化水素オキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基、ノルボニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;プロパルギルオキシ基等のアルキニルオキシ基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルキルオキシ基、
「アシルオキシ基」としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基;(メタ)アクリロイオキシ基等のアルケニルカルボニルオキシ基;ベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基等が挙げられる。
11中の「置換基を有しても良い」の置換基としては、カルボキシル基、アミド基、イミド基、エステル基、水酸基等が挙げられる。
11としては、特に、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、アシルオキシ基、又はイソシアネート基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基又はアシルオキシ基がより好ましい。
mは、金属原子Mの原子価を表す。
nは、1から(m−1)のいずれかの正の整数を表す。高密度の有機薄膜を製造する上では、nは1であるのが好ましい。nが2以上のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよい。また、(m−n)が2以上のとき、X11は同一であっても相異なっていてもよいが、Xのうち少なくとも1個は水酸基又は加水分解性基である。
式(II)で表される化合物中、好ましい態様の一つとして、式(III)
(R23)(R22)(R21)C[C(R31)(R32)](R1111 m−r−1 (III)
で表される化合物を例示することができる。
式中、M11、X11及びmは前記と同じ意味を表す。R21〜R23、R31及びR32は、それぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Rは、アルキレン基、ビニレン基、エチニレン基、アリーレン基、又はケイ素原子及び/若しくは酸素原子を含む2価の連結基を表す。Yは、アルキル基、アルコキシ基、含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基を表す。pは0又は自然数を表し、qは0又は1を表す。pが2以上のとき、式:C(R31)(R32)で表される基は同一であっても異なっていてもよい。rは0又は1から(m−2)のいずれかの正整数を表し、rが2以上のとき、Yは同一でも相異なっていてもよく、(m−r−1)が2以上のとき、X11は同一でも相異なっていてもよい。但し、Y及びX11のうち、少なくとも1個は水酸基又は加水分解性基である。
式(III)中、Rとして、具体的には、下記式に示す官能基を例示することができる。
Figure 2016016641
上記式中、a及びbは1以上の任意の自然数を表す。
Yは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−へキシル基、イソへキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等のアルコキシ基;アルキル基の一部又はすべての水素原子がフッ素原子に置換された含フッ素アルキル基;又はアルコキシ基の一部若しくはすべての水素原子がフッ素原子に置換された含フッ素アルコキシ基等を表す。
rは、0又は1から(m−2)のいずれかの正整数を表すが、高密度の吸着膜を製造するためには、rは0であることが好ましい。rが2以上の場合に、Yは、それぞれ同一でも相異なっていてもよい。(m−r−1)が2以上の場合に、Xは、それぞれ同一でも相異なっていてもよい。但し、Y及びXのうち、少なくとも1個は水酸基又は加水分解性基である。
式(II)で表される化合物の具体例としては、下記に示すものが挙げられる。なお、以下においては、金属原子Mがケイ素原子である化合物を代表例として示しているが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、加水分解性基についても、例示した官能基に限定されず他の加水分解性基が結合したものであってもよい。
CHCHO(CH15Si(OCH
CFCHO(CH15Si(OCH
CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH
CH(CHSi(CH(CHSi(OCH
CHCOO(CH15Si(OCH
CF(CF(CHSi(OCH
CF(CF−(CH=CH)−Si(OCH
CHCHO(CH15Si(OC
CH(CHSi(CH(CH15Si(OC
CH(CHSi(CH(CHSi(OC
CF(CHSi(CH(CHSi(OC
CHCOO(CH15Si(OC
CFCOO(CH15Si(OC
CFCOO(CH15Si(OCH
CF(CF(CHSi(OC
CF(CF(CHSi(OC
CF(CF(CHSi(OC
CF(CF(CH=CH)Si(OC
CF(CF(CHSi(OCH
CF(CF(CHSi(OCH
CF(CF(CHSi(CH)(OC
CF(CF(CHSi(CH)(OCH
CF(CF(CHSi(CH(OC
CF(CF(CHSi(CH(OCH
CF(CHSi(OCH
CF(CF(CHSi(OCH
CF(CF(CHSi(OCH
CF(CF(CHSi(OCH
CF(CF(CHSi(OCH
CF(CF(CHSi(OCH
CF(CF(CHSi(OCH
CF(CFO(CF(CHSi(OCH
CF(CFO(CF(CHSi(OCH
CF(CF(CHO(CHSi(OCH
CF(CFCONH(CHSi(OCH
CF(CFCONH(CHSi(OCH
CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)−
CONH(CHSi(OCH
CF(CF(CHSi(CH)(OCH
CF(CF(CHSi(CH)(OCH
CF(CHSi(CH)(OCH
CF(CF(CHSi(CH)(OCH
CF(CF(CHSi(CH)(OCH
CF(CF(CHSi(CH)(OCH
CF(CF(CF(CHSi(CH)(OCH
CF(CF(CF(CHSi(CH)(OCH
CF(CF(CHO(CHSi(CH)(OCH
CF(CFCONH(CHSi(CH)(OCH
CF(CFCONH(CHSi(CH)(OCH
CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)−
CONH(CHSi(CH)(OCH
CH(CHSi(OCH
CH(CF(CHSi(OCH
CH(CF(CHSi(CH)(OCH
CH(CF(CHSi(OCH
CH(CF(CHSi(NCO)
CH(CF(CHSi(OCH
CH(CF(CHSi(NCO)
CH(CF(CHSi(OCH
CH(CF(CHSi(NCO)
CHCH(CF(CHSi(OCH
CHCH(CF(CHSi(NCO)
CHCH(CF(CHSi(OCH
CHCH(CF(CHSi(NCO)
CHCH(CF10(CHSi(OCH
CH(CFO(CF(CHSi(OCH
CH(CF(CHO(CHSi(OCH
CH(CF(CHO(CHSi(OCH
CH(CF(CHO(CHSi(OCH
CHCH(CF(CHO(CHSi(OCH
CH(CFCONH(CHSi(OCH
CH(CFCONH(CHSi(OCH
CH(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)−
CONH(CHSi(OCH
CHCHO(CH15Si(OCH)(OH)
CFCHO(CH15Si(OCH)(OH)
CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH)(OH)
CH(CHSi(CH(CHSi(OCH)(OH)
CHCOO(CH15Si(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CH=CH)Si(OCH)(OH)
CHCHO(CH15Si(OC)(OH)
CH(CHSi(CH(CH15Si(OC)(OH)
CH(CHSi(CH(CHSi(OC)(OH)
CF(CHSi(CH(CHSi(OC)(OH)
CHCOO(CH15Si(OC)(OH)
CFCOO(CH15Si(OC)(OH)
CFCOO(CH15Si(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(OC)(OH)
CF(CF(CHSi(OC)(OH)
CF(CF(CHSi(OC)(OH)
CF(CF(CH=CH)Si(OC)(OH)
CF(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OH)
CHCHO(CH15Si(OCH(OH)
CFCHO(CH15Si(OCH(OH)
CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH(OH)
CH(CHSi(CH(CHSi(OCH(OH)
CHCOO(CH15Si(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(OCH(OH)
CHCHO(CH15Si(OC(OH)
CF(CF(CH=CH)Si(OCH(OH)
CH(CHSi(CH(CH15Si(OC(OH)
CH(CHSi(CH(CHSi(OC(OH)
CF(CHSi(CH(CHSi(OC(OH)
CHCOO(CH15Si(OC(OH)
CFCOO(CH15Si(OC(OH)
CFCOO(CH15Si(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(OC(OH)
CF(CF(CHSi(OC(OH)
CF(CF(CHSi(OC(OH)
CF(CF(CH=CH)Si(OC(OH)
CF(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OC)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CFO(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CFO(CF(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CHO(CHSi(OCH)(OH)
CF(CFCONH(CHSi(OCH)(OH)
CF(CFCONH(CHSi(OCH)(OH)
CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CHSi(OCH)(OH)
CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CFO(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CFO(CF(CHSi(OCH(OH)
CF(CF(CHO(CHSi(OCH(OH)
CF(CFCONH(CHSi(OCH(OH)
CF(CFCONH(CHSi(OCH(OH)
CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CHSi(OCH(OH)
CH(CHSi(OCH)(OH)
CH(CF(CHSi(OCH)(OH)
CH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CH(CF(CHSi(OCH)(OH)
CH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CH(CF(CHSi(OCH)(OH)
CH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CHCH(CF(CHSi(OCH)(OH)
CHCH(CF(CHSi(OCH)(OH)
CHCH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CHCH(CF(CHSi(OCH)(OH)
CHCH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CHCH(CF10(CHSi(OCH)(OH)
CH(CFO(CF(CHSi(OCH)(OH)
CH(CF(CHO(CHSi(OCH)(OH)
CH(CF(CHO(CHSi(OCH)(OH)
CH(CF(CHO(CHSi(OCH)(OH)
CHCH(CF(CHO(CHSi(OCH)(OH)
CH(CFCONH(CHSi(OCH)(OH)
CH(CFCONH(CHSi(OCH)(OH)
CH(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CHSi(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CF(CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CF(CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CF(CHO(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CFCONH(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CFCONH(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CH(CHSi(OCH(OH)
CH(CF(CHSi(OCH(OH)
CH(CF(CHSi(CH)(OCH)(OH)
CH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CH(CF(CHSi(OCH(OH)
CH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CH(CF(CHSi(OCH(OH)
CH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CHCH(CF(CHSi(OCH(OH)
CHCH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CHCH(CF(CHSi(OCH(OH)
CHCH(CF(CHSi(NCO)(OH)
CHCH(CF10(CHSi(OCH(OH)
CH(CFO(CF(CHSi(OCH(OH)
CH(CF(CHO(CHSi(OCH(OH)
CH(CF(CHO(CHSi(OCH(OH)
CH(CF(CHO(CHSi(OCH(OH)
CHCH(CF(CHO(CHSi(OCH(OH)
CH(CFCONH(CHSi(OCH(OH)
CH(CFCONH(CHSi(OCH(OH)
CH(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CHSi(OCH(OH)
CHCHO(CH15Si(OH)
CFCHO(CH15Si(OH)
CH(CHSi(CH(CH15Si(OH)
CH(CHSi(CH(CHSi(OH)
CHCOO(CH15Si(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CH=CH)Si(OH)
CHCHO(CH15Si(OH)
CH(CHSi(CH(CH15Si(OH)
CH(CHSi(CH(CHSi(OH)
CF(CHSi(CH(CHSi(OH)
CHCOO(CH15Si(OH)
CFCOO(CH15Si(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CH=CH)Si(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(CH(OH)
CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(OH)
CF(CFO(CF(CHSi(OH)
CF(CFO(CF(CHSi(OH)
CF(CF(CHO(CHSi(OH)
CF(CFCONH(CHSi(OH)
CF(CFCONH(CHSi(OH)
CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CHSi(OH)
CH(CHSi(OH)
CH(CF(CHSi(OH)
CH(CF(CHSi(OH)
CH(CF(CHSi(OH)
CHCH(CF(CHSi(OH)
CHCH(CF(CHSi(OH)
CHCH(CF10(CHSi(OH)
CH(CFO(CF(CHSi(OH)
CH(CF(CHO(CHSi(OH)
CH(CF(CHO(CHSi(OH)
CH(CF(CHO(CHSi(OH)
CHCH(CF(CHO(CHSi(OH)
CH(CFCONH(CHSi(OH)
CH(CFCONH(CHSi(OH)
CH(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CHSi(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OH)
CF(CHSi(CH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OH)
CF(CF(CHSi(CH)(OH)
CF(CF(CF(CHSi(CH)(OH)
CF(CF(CF(CHSi(CH)(OH)
CF(CF(CHO(CHSi(CH)(OH)
CF(CFCONH(CHSi(CH)(OH)
CF(CFCONH(CHSi(CH)(OH)
CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CONH(CHSi(CH)(OH)
CH(CF(CHSi(CH)(OH)
これらの化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
「金属系界面活性剤と相互作用し得る化合物」としては、金属酸化物;金属水酸化物;金属アルコキシド類;金属アルコキシド類部分加水分解生成物;金属アルコキシド類加水分解生成物;キレート化又は配位化された金属化合物;その他のシラノール縮合触媒から選ばれる少なくとも1種が使用される。
金属酸化物としては、具体的には、メタノールシリカゾル、IPA−ST、IPA−ST−UP、IPA−ST−ZL、NPC−ST−30、DMAC−ST、MEK−ST、MIBK−ST、XBA−ST、PMA−ST(以上、いずれも日産化学工業(株)社製オルガノシリカゾルの商品名を表す。)等を例示することができる。
金属水酸化物としては、金属の水酸化物であれば、どのような製造方法で得られたものであってもよい。金属水酸化物の製造方法としては、後述の金属アルコキシド類を加水分解する方法、金属塩を金属水酸化物と反応させる方法等が挙げられる。また、金属水酸化物として市販されているものを、所望により精製して使用することもできる。
金属アルコキシド類としては、Si(OCH、Si(OC、Si(OC−i)、Si(OC−t)等のケイ素アルコキシド;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC−i)、Ti(OC等のチタンアルコキシド;Ti[OSi(CH、Ti[OSi(C等のテトラキストリアルキルシロキシチタン;Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC等のジルコニウムアルコキシド;Al(OCH、Al(OC、Al(OC−i)、Al(OC等のアルミニウムアルコキシド;Ge(OC等のゲルマニウムアルコキシド;In(OCH、In(OC、In(OC−i)、In(OC等のインジウムアルコキシド;Sn(OCH、Sn(OC、Sn(OC−i)、Sn(OC等のスズアルコキシド;Ta(OCH、Ta(OC、Ta(OC−i)、Ta(OC等のタンタルアルコキシド;W(OCH、W(OC、W(OC−i)、W(OC等のタングステンアルコキシド;Zn(OC等の亜鉛アルコキシド;Pb(OC等の鉛アルコキシド;等が挙げられる。これらの金属アルコキシド類は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属アルコキシド類部分加水分解生成物は、金属アルコキシド類を完全に加水分解する前に得られるものであって、例えば、金属酸化物ゾルの前駆体、またはオリゴマーの状態で存在するもの等を挙げることができる。
金属アルコキシド類部分加水分解生成物としては、具体的には、有機溶媒中、酸、塩基及び分散安定化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の非存在下、凝集せずに安定に分散している性質を有する分散質を好ましく例示することができる。この場合、分散質とは、分散系中に分散している微細粒子のことをいい、具体的には、コロイド粒子等を例示することができる。ここで凝集せずに安定に分散している状態とは、有機溶媒中、酸、塩基及び/又は分散安定化剤の非存在下、加水分解生成物の分散質が、凝結して不均質に分離していない状態をいい、好ましくは透明で均質な状態をいう。また透明とは、可視光における透過率が高い状態をいい、具体的には、分散質の濃度を酸化物換算で0.5重量%とし、石英セルの光路長を1cmとし、対照試料を有機溶媒とし、光の波長を550nmとする条件で測定した分光透過率で表して、好ましくは80〜100%の透過率を表す状態をいう。加水分解生成物の分散質の粒子径は特に限定されないが、可視光における高い透過率を得るためには、1〜100nmの範囲であることが好ましく、1〜50nmの範囲であることがより好ましく、1〜10nmの範囲であることがさらに好ましい。
金属アルコキシド類の部分加水分解生成物の製造方法としては、有機溶媒中、酸、塩基、及び/又は分散安定化剤の非存在下、上記例示した金属アルコキシド類に対し0.5〜2.0倍モル未満の水を用い、−100℃から有機溶媒還流温度範囲で加水分解する方法を好ましく例示することができる。
本発明に用いられる金属アルコキシド加水分解生成物は、金属アルコキシド類の2倍当量以上の水で加水分解することによって得られる生成物である。該加水分解生成物は、金属アルコキシド類を該金属アルコキシド類の2倍当量以上の水で加水分解することによって得られたものであっても、金属アルコキシド類を該金属アルコキシド類の2倍当量未満の水で部分加水分解することによって、金属アルコキシド類の部分加水分解生成物を得た後、この部分加水分解生成物を、さらに所定量の水(先の部分加水分解に使用した水の量との合計で金属アルコキシド類の2倍当量以上となる量の水)で加水分解することによって得られたものであってもよい。
キレート化又は配位化された金属化合物は、金属化合物の溶液に、該金属化合物の金属と錯体を形成し得るキレート化剤又は配位子を添加することで、調製することができる。キレート化剤又は配位子としては、金属水酸化物、金属アルコキシド類、又は金属アルコキシド類を水で処理して得られた加水分解生成物の金属にキレート化又は配位して、錯体を形成し得るものであれば特に限定されない。
キレート化剤又は配位子としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族カルボン酸類;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アレイン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;安息香酸、トルイル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲノカルボン酸類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル等のβ−ケトエステル類;アセチルアセトン、へキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチル−へキサン−2,4−ジオン等のβ−ジケトン類;グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸;テトラヒドロフラン、フラン、フランカルボン酸、チオフェン、チオフェンカルボン酸、ピリジン、ニコチン酸、イソニコチン酸等の複素環化合物類;等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他のシラノール縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート、酸触媒等を例示することができる。
具体的には、酢酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレート、チタンテトラエトキサイド、チタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキサイド、チタンビス(アセチルアセトニル)ジプロポキサイド等を例示することができる。
また、上記酸触媒としては、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等の鉱酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、炭酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等を例示することができ、さらには、光照射によって酸を発生する光酸発生剤、具体的には、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等を例示することができる。
少なくとも1以上の加水分解性基を有する金属系界面活性剤、該金属系界面活性剤と相互作用し得る化合物及び水を含む有機溶媒溶液中における水の含有量は、10ppm〜2000ppmが好ましい。
有機無機複合薄膜を有する有機無機複合薄膜上に金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層を設けるには、上記有機溶媒溶液を、ディップ法、スピンコート法、スプレー法、ローラコート法、メイヤーバー法、スクリーン印刷、刷毛塗り法等の方法、好ましくはディップ法により、有機無機複合薄膜上の有機無機複合薄膜に接触させることにより行うことができる。
以下に本発明の実施例について記載するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されない。
実施例1
1.コーティング組成物の調製
ジイソポロポキシビスアセチルアセトナートチタン(T−50、日本曹達製)を、メチルイソブチルケトン77.76gとエタノール36.88gの混合溶媒に入れ、攪拌し溶解させた後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン26.51g、次にビニルトリメトキシシラン36.90gを加え攪拌し溶解させた。この溶液にイオン交換水12.82gを加え、2時間攪拌し加水分解縮合反応を行うことで、固形分の質量換算濃度20%の組成物[B−1]を作製した。
[B−1]7.0gをメチルエチルケトン693.0gに溶解させ、固形分の質量換算濃度0.2%のコーティング剤700.0g[X−4]を作製した。
2.下地処理基板の作製
予めアセトンで超音波洗浄した電解めっきニッケル基板(25mm×25mm)の表面を、10分間のUVオゾン洗浄(約12000mJ/cm)により処理した。このニッケル基板にコーティング組成物[X−4]にディップコートした後、100℃で10分間加熱乾燥することで下地処理基板[Y−2]を作製した。
3.自己組織化膜(SAM)処理基板の作製
[Y−2]を10分間のUVオゾン洗浄(約12000mJ/cm)により表面処理し、SAM形成溶液(SAMLAY(登録商標)、日本曹達製)に10分間浸漬し、その後、その表面を炭化水素系洗浄剤(NSクリーン100、JX日鉱日石エネルギー製)中で超音波洗浄することで、SAM処理基板[Z−4]を得た。
4.撥液性の評価
得られた[Z−4]の静的接触角を接触角測定器(Drop Master 700、協和界面科学製)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
実施例2
実施例1で作製したコーティング組成物[B−1]7.0gを、メチルエチルケトン623.7gと1−メトキシ−2−プロパノール69.3gを混合した溶媒で希釈することで得た固形分の質量換算濃度0.2%のコーティング組成物[X−5]を使用すること以外は実施例1同様に、SAM処理基板[Z−5]を得た。
実施例3
組成物[B−1]7.0gを、ジイソプロピルエーテル693.0gで希釈することで得た固形分の質量換算濃度0.2%のコーティング組成物[X−6]を使用すること以外は実施例1と同様に、SAM処理基板[Z−6]を得た。
比較例1
アセトンで超音波洗浄した電解めっきニッケル基板(25mm×25mm)の表面を、10分間のUVオゾン洗浄(約12000mJ/cm)により処理し、SAM形成溶液(SAMLAY(登録商標)、日本曹達製)に10分間浸漬し、その後、その表面を炭化水素系洗浄剤(NSクリーン100、JX日鉱日石エネルギー製)中で超音波洗浄することで、SAM処理基板[Z−0]を得た。
Figure 2016016641

Claims (3)

  1. 基材上に、第1層、第2層の順に形成された積層体において、
    第1層が、式(I)
    SiX4−n (I)
    (式中、Rは、式中のSiに炭素原子が直接結合するような有機基を表し、Xは、水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき、Rは同一であっても異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき、Xは同一であっても異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物の縮合物を主成分とし、キレート化又は配位化された金属化合物、有機酸金属塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、及び/又はそれから誘導される化合物を含有する有機無機複合薄膜であって、第2層が、金属界面活性剤の加水分解縮合物を含有する層である積層体。
  2. 金属系界面活性剤が、式(II)
    11 1111 t−s (II)
    〔式中、R11は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭素数1〜30の炭化水素基、又は連結基を含む炭素数1〜30のハロゲン化炭化水素基を表し、M11は、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属原子を表し、X11は、水酸基又は加水分解性基を表し、tはMの原子価を表す。sは、1から(t−1)のいずれかの正整数を表し、sが2以上の場合、R11は、互いに同一でも相異なっていてもよい。(t−s)が2以上の場合、X11は同一であっても、相異なっていてもよいが、X11のうち、少なくとも1個は加水分解性基である。〕で示される化合物である請求項1に記載の積層体。
  3. (A)基材上に、式(I)
    SiX4−n (I)
    (式中、RはSiに炭素原子が直接結合する有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表す。nは1又は2を表し、nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよく、(4−n)が2以上のとき各Xは同一でも異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその縮合物、並びに、キレート化又は配位化された金属化合物、有機酸金属塩化合物、2以上の水酸基若しくは加水分解性基を有する金属化合物、それらの加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する固形分量が0.01〜20.0質量%である有機無機複合薄膜形成用組成物を塗布することにより有機無機複合薄膜を作製し、
    (B)当該、有機無機複合薄膜にプラズマ処理又はUVオゾン処理を施した後、 金属界面活性剤の加水分解縮合物である層を作製する積層体の製造方法。

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