JP2016015891A - 細胞培養容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】培養容器の注入口から培養液がこぼれた場合であっても、培養液が電極端子に付着し難いとともに、細胞を容器から取り出す際に電極端子が邪魔にならない構造形態を備えた細胞培養容器を提供する。
【解決手段】培養液注入口22を周縁の一部に有する容器本体21と、1又は2以上の電極基板11,12とを搭載した細胞培養容器20であって、その電極基板11,12から延びる電極端子13,14が、培養液注入口22が設けられた部位31とは異なる方向の部位から取り出されているように構成して上記課題を解決した。異なる方向の部位は、部位31に対向する方向の第1部位32、部位31から第1部位32に向かう方向に対して右方向に直交する第2部位33及び左方向に直交する第3部位34、又は第1部位32と第2部位33若しくは第3部位34との間の部位から選ばれる1又は2以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞培養容器に関し、さらに詳しくは、細胞培養用基板から延びる電極端子を、培養液注入口と同じ側に配置しない細胞培養容器に関する。
現在、様々な動物や植物の細胞培養が行われており、また、新たな細胞培養法が開発されている。細胞培養の技術は、細胞の生化学的現象や性質の解明、有用な物質の生産等の目的で利用されている。さらに、培養した細胞を用いて、人工的に合成された薬剤の生理活性や毒性を調べる試みがなされている。
(1)一部の細胞(特に多くの動物細胞)は、何かに接着して生育する接着依存性を有しており、生体外の浮遊状態では長期間生存することができない。このような接着依存性を有した細胞の培養には、細胞が接着するための担体が必要であり、一般的には、コラーゲンやフィブロネクチン等の細胞接着性タンパク質を均一に塗布したプラスチック製の培養皿が用いられている。これらの細胞接着性タンパク質は、培養した細胞に作用し、細胞の接着を容易にし、細胞の形態に影響を与えることが知られている。
一方、細胞の遊走は、免疫応答、受精後の胚形態形成、組織修復及び再生等の様々な段階に関与している。また、癌、アテローム動脈硬化症、関節炎等の疾患の進行においても極めて重要な役割を持つことも知られている。具体的には、血管内皮を通しての細胞の遊走は、炎症、アテローム性動脈硬化症、癌の転移といった状態の病態生理における重要な現象である。そのため、インビトロでの細胞遊走を測定する方法は、長年に渡って開発されてきている。細胞遊走アッセイに関する装置としては、古典的なボイデンチャンバ、細胞培養インサート、FluoroBlock(登録商標)(BD Biosciences)、Cell Motility HitKit(登録商標)(Cellomics)がある。しかし、こうした装置では、接着した細胞の遊走方向を制御して、定量的に細胞遊走をアッセイすることは困難である。
細胞の接着及び非接着を制御する技術として、パターニングされていない全面が導電性の基板上で、電圧を印加して制御する技術が知られている。しかし、この基板を用いた制御技術では、電圧の印加により基板上の全面の性質が変化してしまうため、基板上に細胞を接着させた後、特定の領域のみを細胞接着性に改変させて、その領域にのみ細胞を制御して遊走させることはできないという難点があった。
また、細胞の接着及び非接着を制御する他の技術として、特定の領域に細胞を遊走させて観測するための基板についても知られている。この基板を用いた制御技術は、ウェル内に細胞を播種し、コンフルエントに培養した後、ピンで細胞を引っ掻くことにより創傷パターンを作製し、その創傷パターンへ向かって周りから細胞が遊走する過程を観測するものである(スクラッチアッセイ)。このような基板を用いるスクラッチアッセイは、ピンで創傷パターンを形成することから、傷のサイズ(幅)に物理的制約があり、せいぜいミリオーダー程度までしか小さくすることができない。また、傷のエッヂが汚く、ウェル間での傷形状のばらつきが大きいという問題がある。また、創傷時、ピンと細胞との物理的接触により細胞が浮遊したり、細胞内容物が漏出するといった欠点もある。さらに、綺麗な傷を形成するには実験者の習熟を要する等の問題もある。
こうした問題に対し、特許文献1では、導電性領域と絶縁性領域とを有する基材、並びにその導電性領域上に形成された細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とを備え、導電性領域上において細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とが隣り合っている細胞培養用基板が提案されている。この技術では、細胞培養用基板に細胞を播種し、細胞接着性領域に細胞を接着させ、導電性領域に電圧を印加して導電性領域上の細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させることにより、細胞接着性領域に接着している細胞の、細胞接着性に変化した領域への遊走を観察することができるとされている。この細胞培養用基板は、複数の櫛部と各櫛部を支持する基部とからなる櫛形にパターニングされた導電性領域を備えている。そして、その櫛部の幅や櫛部間の間隔は、細胞の接着し易さ、細胞遊走のし易さ、電流の流れ易さ等に関係することが検討されている。
(2)また、細胞培養技術においては、温度の制御は極めて重要であり、種々の技術開発がなされている。特許文献2では、より精緻な培養環境を提供できる培養容器が提案されている。この培養容器は、透明導電膜材料の各特性を活かした抵抗体及び導電膜を形成し、試料へ直接加熱が行えるようにして温度制御を可能とする透明導電膜からなるヒーターと、その同一膜を利用したセンサーとを容器の上面と底面に対向配置するように構成されている。
また、特許文献3では、細胞等の培養及び観察に利用可能な細胞培養リアクタが提案されている。この細胞培養リアクタは、内部に細胞を培養するための収容部と、収容部内の細胞接触面の少なくとも一部を構成する透明プレートの細胞接触面側に、その収容部の内側から外側に連続して設けられるセンサー部、電気刺激部又はヒーター部を構成する第1の透明導電膜と、その第1の透明導電膜設置面の逆側に、それぞれヒーター部又はセンサー部を構成する第2の透明導電膜及び第3の透明導電膜のうち少なくとも1層とを有するように構成されている。
特開2011−101638号公報 特開2009−201509号公報 特開2012−80869号公報
ところで、例えば図9に示す形態の細胞培養用基板10Cは、櫛歯電極構造を構成する2つの隣接する櫛形電極11A,12A上にポリエチレングリコール膜をパターン形成し、その一方の櫛形電極11Aを正電極として電圧を印加し、正電極上にパターン形成された細胞接着阻害性領域であるポリエチレングリコール膜を剥離して剥離箇所を細胞接着性領域に変化させることができる。また、その後にもう一方の櫛形電極12Aを正電極として電圧を印加し、その正電極上にパターン形成された細胞接着阻害性領域であるポリエチレングリコール膜を剥離して剥離箇所を細胞接着性領域に変化させることができる。細胞接着阻害性領域から細胞接着性領域への変化によって、播種された細胞が予め接着していた細胞接着性領域から、新しく形成された細胞接着性領域への細胞の遊走を観察する細胞遊走試験を行うことができる。
こうした櫛形電極においては、図9(A)(B)に示すように、各櫛形電極11A,12Aから延びる電極端子13,14が、培養液注入口22と同じ側に設けられている。そのため、培養液がその注入口22からこぼれた場合、培養液が電極端子13,14に付着し、電極端子13,14を腐食するおそれがあるとともに、細胞をその注入口22から取り出す際に電極端子13,14が邪魔になるという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、培養容器の注入口から培養液がこぼれた場合であっても、培養液が電極端子に付着し難いとともに、細胞を容器から取り出す際に電極端子が邪魔にならない構造形態を備えた細胞培養容器を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る細胞培養容器は、培養液注入口を周縁の一部に有する容器本体と、1又は2以上の電極基板とを搭載した細胞培養容器であって、前記電極基板から延びる電極端子が、前記容器本体において前記培養液注入口が設けられた部位とは異なる方向の部位から取り出されていることを特徴とする。
本発明に係る細胞培養容器において、前記異なる方向の部位は、前記培養液注入口が設けられた部位に対向する方向の第1部位、前記培養液注入口が設けられた部位から前記第1部位に向かう方向に対して右方向に直交する第2部位及び左方向に直交する第3部位、及び、前記第1部位と前記第2部位若しくは第3部位との間の部位、から選ばれる1又は2以上であるように構成できる。
本発明に係る細胞培養容器が上面と底面を備える細胞培養容器において、前記電極端子は、前記第1部位、前記第2部位、前記第3部位、及び前記第1部位と前記第2部位若しくは第3部位との間の部位、から選ばれる1又は2以上の部位から取り出され、取り出された電極端子は、前記上面側又は底面側に引き回されているように構成できる。
本発明に係る細胞培養容器において、前記電極基板が、隣接する2つの櫛形電極で櫛歯電極構造を構成する平面電極基板であるように構成できる。
本発明に係る細胞培養容器において、前記電極基板が、対向する2以上の平面電極基板であるように構成できる。
本発明に係る細胞培養容器によれば、培養容器の注入口から培養液がこぼれた場合であっても、培養液が電極端子に付着し難いとともに、細胞を容器から取り出す際に電極端子が邪魔にならない構造形態を備えた細胞培養容器を提供することができる。
本発明に係る細胞培養容器の一例を示す模式図であり、(A)は平面図であり、(B)は左側面図である。 本発明に係る細胞培養容器の他の一例を示す模式図であり、(A)は平面図であり、(B)は左側面図であり、電極端子が第1部位から取り出されている形態である。 本発明に係る細胞培養容器のさらに他の例を示す模式平面図であり、(A)は電極端子が第1部位から取り出され、(B)は電極端子が第2部位から取り出され、(C)は電極端子が第3部位から取り出されている形態である。 本発明に係る細胞培養容器のさらに他の一例を示す模式図であり、(A)は右側面図であり、(B)は(A)の容器を起こした形態を示す右側面図である。 電極基板の設置態様が異なる例を示す模式図であり、(A)は電極基板が容器本体内に設けられた態様の右側面図であり、(B)は第1平面電極が容器本体内に設けられた態様の右側面図である。 本発明に係る細胞培養用基板の層構成の一例を示す断面図である。 細胞培養用基板の作製工程を示す模式図である。 細胞培養用基板への細胞播種と、細胞遊走試験についての説明図である。 電極端子が培養液注入口の設置部位と同じ側に設けられた態様の細胞培養容器の例である。
以下、本発明に係る細胞培養容器について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の実施形態のみに限定されず、本発明の要旨を含む範囲を包含する。
[細胞培養容器]
本発明に係る細胞培養容器20(20A〜20H)は、図1〜図5に示すように、培養液注入口22を周縁の一部に有する容器本体21と、1又は2以上の電極基板11,12とを搭載した容器である。そして、その電極基板11,12から延びる電極端子13,14が、容器本体21において培養液注入口22が設けられた部位31とは異なる方向の部位から取り出されている。
異なる方向の部位とは、図1に示すように、培養液注入口22が設けられた部位31に対向する方向A(対向方向A)の第1部位32、培養液注入口22が設けられた部位31から第1部位32に向かう方向Aに対して右方向B1に直交する第2部位33及び左方向B2に直交する第3部位34、及び、第1部位32と第2部位33若しくは第3部位34との間の部位、から選ばれる1又は2以上である。
その電極端子13,14は、第1部位32、第2部位33、第3部位34、及び第1部位32と第2部位33若しくは第3部位34との間の部位、から選ばれる1又は2以上の部位から取り出され、取り出された電極端子13,14は、上面25と底面24を備える細胞培養容器20において、上面25側又は底面24側に引き回されている。
こうした細胞培養容器20において、電極端子13,14は、培養液注入口22が設けられた部位31と異なる方向(A,B1,B2)の部位(第1部位32,第2部位33,第3部位34)から取り出されていることにより、培養液をこぼした場合であっても、その培養液が電極端子13,14に付着して、電極を腐食するおそれを抑制することができる。また、培養液注入口22付近に電極端子13,14が設けられていないため、培養液注入時、細胞投入時、細胞取り出し時に電極端子13,14が邪魔にならず、スムーズに作業を実施することができる。
以下、細胞培養容器の構成について詳しく説明する。
(容器本体)
容器本体21の形状は特に限定されず、図1〜図5に例示するようなフラスコ型の容器であってもよいし、ディッシュ型の容器(図示しない)であってもよいし、ウェル型の容器(図示しない)であってもよい。すなわち、容器本体21は、図1等のような矩形形態であっても、円形又は球形態(図示しない)であってもよく、特に限定されない。容器本体21は、培養液を注入するための培養液注入口22と、電極基板11,12を装着するための開口部23とを少なくとも有している。なお、図1等に示す細胞培養容器20の例では、培養液注入口22には蓋26が装着され、開口部23には電極基板11,12が装着される。
開口部23は、図1に示すように、容器本体21の底面24に設けられている。電極基板は、その開口部23を覆うように接着剤等で貼り合わせられる。そのため、開口部の大きさは、電極基板の大きさに合わせて設計されている。図1等の例では、直方体の容器の底面24に、四角形の開口部23が設けられ、その開口部23に四角形の電極基板が装着されている。なお、本発明は、上記した特徴を有していれば、こうした容器形状や開口部形状に限定されない。
なお、開口部23は、電極基板の用途と種類によっては、図2及び図5(B)に示すように、容器本体21の上面25にも設けられていてもよい。上面25に設けられた開口部23に対しても、電極基板12Bを接着剤等で貼り合わせる等して装着することができる。
(電極基板)
電極基板11,12は、容器本体21に装着される。電極基板11,12の容器本体21への装着は、電極基板11,12の種類によって底面24だけに設けられるか、底面24と上面25の両方に設けられるかが選択される。電極基板としては、第1形態の例として、図1に示すように、隣接した2つの櫛形電極11A,12Aで櫛歯電極構造をなす細胞培養用基板10を挙げることができ、第2形態の例として、図2に示すように、底面24の開口部23と上面25の開口部23にそれぞれ装着される2つの平面電極基板11B,12Bを挙げることができる。
これら第1形態と第2形態を例にした電極基板は、電極端子13,14が容器本体21の外側に取り出される。本発明では、容器本体21の外側に取り出される電極端子13,14が、図1〜図4等に示すように、培養液注入口22が設けられた部位31と異なる方向の部位から取り出されている点に特徴がある。こうすることにより、培養液をこぼした場合であっても、その培養液が電極端子13,14に付着して、電極を腐食するおそれを抑制することができ、また、培養液注入口22付近に電極端子13,14が設けられていないため、培養液注入時、細胞投入時、細胞取り出し時に電極端子13,14が邪魔にならず、スムーズに作業を実施することができる。なお、電極基板は、この第1形態と第2形態の例に限定されず、電極端子13,14が容器本体21の外側に取り出される態様であれば、他の形態の電極基板であってもよい。
(1)第1形態の櫛歯電極構造を持つ電極基板について説明する。この電極基板は、第1櫛形電極11Aと第2櫛形電極12Aとで構成されている。それらの櫛形電極11A,12Aは、スリット部17を挟んで、相互に隣接する1層型の櫛歯電極構造として設けられている。こうした構造の電極基板は、細胞培養用基板10として好ましく用いられている。
この細胞培養用基板10は、櫛歯電極構造を構成する2つの対向する櫛形電極11A,12A上にポリエチレングリコール膜をパターン形成し、その一方の櫛形電極を正電極として電圧を印加し、正電極上にパターン形成された細胞接着阻害性領域であるポリエチレングリコール膜を剥離して剥離箇所を細胞接着性領域に変化させることができる。また、その後にもう一方の櫛形電極を正電極として電圧を印加し、その正電極上にパターン形成された細胞接着阻害性領域であるポリエチレングリコール膜を剥離して剥離箇所を細胞接着性領域に変化させることができる。細胞接着阻害性領域から細胞接着性領域への変化によって、図8に示すように、播種された細胞30が予め接着していた細胞接着性領域から、新しく形成された細胞接着性領域への細胞30の遊走を観察する細胞遊走試験を行うことができるというものである。
この細胞培養用基板10では、第1櫛形電極11Aと第2櫛形電極12Aとがそれぞれ電極端子13,14を有し、その電極端子13,14は、容器本体21の外側に延びている。図1の例では、電極端子13,14は、培養液注入口22が設けられた部位31とは異なる方向の部位から取り出されている。具体的には、電極端子13,14は、図3(A)に示すように、培養液注入口22が設けられた部位31に対向する方向(A方向)の第1部位32から取り出されている。
電極端子13,14の取り出し部位は、こうした第1部位32以外であってもよく、図3(B)に示すように、培養液注入口22が設けられた部位31から対向部位(第1部位32)に向かう方向Aに対して右方向B1に直交する第2部位33であってもよいし、図3(C)に示すように、培養液注入口22が設けられた部位31から対向部位(第1部位32)に向かう方向Aに対して左方向B2に直交する第3部位34であってもよい。また、電極端子13,14の取り出し部位は、図示しないが、第1部位32と第2部位33との間に位置する部位や、第1部位32と第3部位34との間に位置する部位であってもよい。すなわち、図1や図3に示す四角形状の容器本体21の例で言えば、第1部位32の両サイドのコーナー部であってもよいし、第2部位33若しくは第3部位34のコーナー部であってもよい。
ここで、方向Aとは、培養液注入口22が設けられた部位31に対向する第1部位32の方向であり、右方向B1とは、培養液注入口22が設けられた部位31から第1部位32に向かう方向Aに対して右方向に直交する方向であり、左方向B2とは、培養液注入口22が設けられた部位31から第1部位32に向かう方向Aに対して左方向に直交する方向である。方向Cは、第1部位32から見て、培養液注入口31が設けられた方向である。「直交」とは、90°の意味で用いている。
また、電極端子13,14の取り出し部位は、図1(A)に示すように、第1部位32の両側からそれぞれ取り出し、その取り出し部位をそのまま外部電源等との接続部位としてもよいし、図3(A)に示すように、容器本体21から取り出した後の電極端子13,14を引き回して両者を近づけて接続部位としてもよい。特に図1や図3に示す細胞培養用基板10は櫛歯電極構造であるので、電極端子13,14が第1櫛形電極11Aと第2櫛形電極12Aとで離れていることから、引き回さない場合は離れたままの位置が接続部位となる。なお、図3(B)(C)の例でも、容器本体21から取り出した後の電極端子(13又は14)を引き回して両者を近づけて接続部位としている。なお、その接続部位の位置も、図3(A)のような片側寄りであっても、図3(B)(C)のような中央寄りであってもよく、その位置は、第1部位32、第2部位33、第3部位34、及び第1部位32と第2部位33若しくは第3部位34との間の部位、から選ばれる1又は2以上の部位であればよい。
(2)第2形態の電極基板について説明する。この電極基板は、図2に示すように、対向する2以上の平面電極基板である。詳しくは、第1平面電極基板11Bと第2平面電極基板12Bとで構成されている。第1平面電極基板11Bは、第1形態の細胞培養用基板10と同様、図2(B)に示すように、容器本体21の底面24の開口部23に接着剤等によって設けられている。一方、第2平面電極基板12Bは、図2(B)に示すように、容器本体21の上面25の開口部23に接着剤等によって設けられている。こうした形態の平面電極基板は、例えば特許文献2,3に示したようなヒーターやセンサーとして用いられる導電性電極基板として利用されたり、上記第1形態と同様、細胞接着性領域5と細胞接着阻害性領域6とがパターン形成された細胞遊走試験用の細胞培養用基板として利用されたりする。
第1平面電極基板11B及び第2平面電極基板12Bにおいても、第1形態の細胞培養用基板10と同様、それぞれ電極端子13,14を有し、その電極端子13,14は、容器本体21の外側に延びている。図2の例においても、電極端子13,14は、培養液注入口22が設けられた部位31とは異なる方向の部位から取り出されている。具体的には、電極端子13,14は、培養液注入口22が設けられた部位31に対向する部位である第1部位32から取り出されている。電極端子13,14の取り出し部位は、第1部位32以外であってもよく、上記した第1形態の例で説明したのと同様、培養液注入口22が設けられた部位31から第1部位32に向かう方向Aに対して右方向B1に直交する第2部位33であってもよいし、培養液注入口22が設けられた部位31から第1部位32に向かう方向Aに対して左方向に直交する第3部位34であってもよいし、第1部位32と第2部位33との間の部位であってもよいし、第1部位32と第3部位34との間の部位であってもよい。
また、電極端子13,14の取り出し部位は、図2(A)に示すように、第1部位32の任意の部位(平面視で近い部位)からそれぞれ取り出し、その取り出し部位をそのまま外部電源等との接続部位としてもよいし、図示しないが、第1部位32の離れた部位(平面視で離れた部位)からそれぞれ取り出し、その離れた箇所をそれぞれの電極端子13,14の接続部位としてもよい。特に図2に示す電極基板はいずれも平面電極基板であるので、電極端子13,14を任意の部位から取り出すことができる。
なお、第2形態の電極基板では、第1平面電極基板11Bを上面25の開口部23に設け、第2平面電極基板12Bを底面24の開口部23に設けるので、図2(B)に示すように、電極端子13,14は、上面25側と底面24側とで離れている。これらは、そのままの部位で、外部との接続部位として用いられてもよいし、いずれかの電極端子を引き回して、もう一方の電極端子に近づけてもよい。底面24側を外部との接続部位にする場合は、上面25側の電極端子を引き回して底面24側の電極端子に近づける。また、上面25側を外部との接続部位にする場合は、底面24側の電極端子を引き回して上面25側の電極端子に近づける。こうした引き回し態様は特に限定されない。
(3)上記(1)(2)で説明した第1形態と第2形態の電極基板において、電極端子13,14の取り出し部位は、前記した第1部位32、第2部位33、第3部位34、及び第1部位32と第2部位33若しくは第3部位34との間の部位、から選ばれる1又は2以上の部位であり、その部位から取り出された電極端子は、上面25側又は底面24側に引き回されているようにしてもよい。具体的には、図1、図2及び図5の場合には、底面24側を外部との接続部位とするように引き回すが、図4に示すように、上面25側を外部との接続部位とするように、底面24側が取り出された電極端子13,14を上面25側に引き回してもよい。
なお、図4に示すフラスコ型の細胞培養容器20Fは、培養液の注入量を目視確認する場合に、その細胞培養容器20Fを立てて確認する。その場合、電極端子13,14が、培養液注入口22が設けられた部位31に対向する第1部位32から突出する形態で取り出されていると、その突出した電極端子が細胞培養容器20Fを立てる際に邪魔になって立てることができなくなることがある。そのため、電極端子13,14を、細胞培養容器20Fを立てたときの底の平坦性に影響しないように、上面25側(図4参照)又は底面24側(図示しない)を外部との接続部位とするように、容器の底に沿って引き回すことが好ましい。こうすることにより、細胞培養容器を立てることができ、培養液量を確認することができる。
(4)電極基板の容器本体21内での設置形態も特に限定されない。例えば図1及び図2等に示すように、容器本体21の外側から貼り合わせるようにしてもよいし、図5(A)に示すように、容器本体21内に入れた後に、容器本体21の内面に貼り合わせるようにしてもよい。また、図5(B)に示すように、底面24の開口部23には、第1平面電極基板11Bを内面から貼り合わせるようにし、上面25の開口部23には、第2平面電極基板12Bを外面から貼り合わせるようにしてもよい。こうした貼り合わせは、接着剤等を用いて行われる。
(第1形態の細胞培養用基板)
以下では、第1形態の細胞培養用基板についての説明を補足する。細胞培養用基板10は、図1、図6及び図7に示すように、細胞接着性領域5と細胞接着阻害性領域6とがパターン形成された櫛形電極を有する1層型の櫛歯電極構造を有している。その櫛歯電極構造は、基部15と、その基部15から延びた櫛部16とを有する第1櫛形電極11Aと第2櫛形電極12Aとが、2方向からそれぞれ噛み合わされた構造形態になっている。
図6及び図7に示す細胞接着性領域5と細胞接着阻害性領域6は、細胞培養用基板10が有する櫛形電極11A,12Aの上にパターン形成されている。櫛歯電極構造は、第1櫛形電極11Aと第2櫛形電極12Aとで構成されている。それらの各櫛形電極は、スリット部17を挟んで、相互に隣接して設けられている。ここでの細胞接着性とは、細胞が接着すること、又は細胞が接着しやすいことを意味し、細胞接着阻害性とは、細胞が接着しにくいこと又は細胞が接着しないことを意味している。そのため、細胞接着性領域5と細胞接着阻害性領域6とが所定のパターンで形成された細胞培養用基板10上に細胞を播くと、図7及び図8に示すように、細胞接着性領域5には細胞が接着するが、細胞接着阻害性領域6には細胞が接着しない。その結果、細胞培養用基板10の表面には、細胞が細胞接着性領域5と同じパターンで配列されることになる。
なお、細胞接着性は、接着しようとする細胞30によって異なる場合もあるため、細胞接着性とは、ある種の細胞30に対して細胞接着性であることを意味する。したがって、細胞培養用基板10上には、複数種の細胞に対する複数の細胞接着性領域5が存在する場合(すなわち細胞接着性が異なる細胞接着性領域5が2水準以上存在する場合)もある。
(基材)
基材1は、図6に示すように、その上に導電膜2を形成できる絶縁材料であれば特に限定されない。また、その表面に炭素酸素結合を有する有機化合物膜4を形成することができる材料で形成されたものであることが好ましい。具体的には、ガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、感光性ガラス、酸化アルミニウム、サファイア、セラミクス、フォルステライト、シリコン、エラストマー、プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料等を挙げることができる。
基材1の形状も、容器本体21に配置可能な平板形状であれば特に限定されない。例えば、板、シート、フィルム、膜、多孔質膜等の平板形状であればよい。また、基材1の表面に凹凸が形成されたものであってもよい。フィルムを基材1として使用する場合、その厚さは特に制限されないが、通常0.1μm以上、1000μm以下の範囲内、好ましくは1μm以上、500μm以下の範囲内、より好ましくは10μm以上、200μm以下の範囲内である。
特に、細胞の大きさよりも小さい1nm以上、10μm以下程度の範囲内の微細な凹凸が表面に付加された基材1を用い、細胞接着性領域5や細胞接着阻害性領域6上の細胞接着性の領域も同様の凹凸形状にした場合には、接着した細胞の形状や挙動を制御して、試験を効果的に行うことができる。ここでの微細な凹凸とは、例えば、ラインパターンの場合、深さが1nm以上、10μm以下の範囲内、ライン凸部の幅が1nm以上、10μm以下の範囲内、ライン凹部の幅が1nm以上、10μm以下の範囲内のことを指す。
(導電膜)
導電膜2は、基材1上に櫛歯構造で設けられている。この櫛歯構造は、第1櫛形電極11Aと第2櫛形電極12Aとが、櫛形電極間のスリット部17を挟んで櫛歯状に配置された構造である。
導電膜2としては、金属膜、金属酸化物膜、金属微粒子や金属ナノファイバーが絶縁体に分散された膜、導電性の有機材料からなる膜等を挙げることができる。金属としては、金、白金等を挙げることができ、金属酸化物としては、ITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等を挙げることができ、金属微粒子としては、銀、金、銅等の微粒子等を挙げることができ、金属ナノファイバーとしては、カーボンナノチューブ等を挙げることができ、導電性の有機材料としては、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等を挙げることができる。
導電膜2は、透明な膜であることが細胞30の観察において好ましく、例えば、ITO膜、IZO膜、導電性高分子のポリエチレンジオキシチオフェン膜等を挙げることができる。また、電圧印加後も透明な膜であることが好ましい。本発明においては、ITO膜をスパッタリング法により成膜して、その後パターニングすることにより、スリット部17を介した2つの櫛形電極(第1櫛形電極11Aと第2櫛形電極12A)を形成でき、その後に有機化合物膜4を設けた箇所は細胞接着阻害性領域6となり、有機化合物膜4を設けない箇所は細胞接着性領域5となる。なお、細胞は、倒立顕微鏡で観察することができる。
導電膜2は、各種の方法で成膜することができる。例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical vapor deposit)法、ECRCVD(Electric cyclotron resonance chemical vapor deposit)法、ICP(Inductive coupled plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric cyclotron resonance)、スパッタリング法、イオン化蒸着法、アーク式蒸着法、レーザー蒸着法、EB(Electron beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法等を挙げることができる。成膜は、塗布により実施してもよく、スピンコートや各種の印刷方式も使用できる。
導電膜2の厚さは、通常、単分子膜の厚さ以上、100μm以下の範囲内であり、好ましくは2nm以上、1μm以下の範囲内、より好ましくは5nm以上、500nm以下の範囲内である。
櫛形電極11A,12Aは、パターニング技術やレーザー加工技術を利用して形成できる。パターニング技術としては、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法及びコンタクトプリンティング法等の各種印刷法による方法、各種リソグラフィ法を用いる方法、ならびにインクジェット法による方法、他に微細な溝を彫刻等する立体整形の手法等を挙げることができる。具体的には、例えばガラス基材に、例えば金属膜又は金属酸化物膜を成膜し、これをフォトリソグラフィー技術等の公知の技術を用いてパターニングすることにより、第1櫛形電極11Aと第2櫛形電極12Aを形成することができる。また、レーザー加工技術としては、例えばガラス基材に、例えば金属膜又は金属酸化物膜を成膜し、その膜上からレーザーを照射して膜をカットすることにより、第1櫛形電極11Aと第2櫛形電極12Aを形成することができる。
櫛形電極11A,12A間のスリット部17の幅は特に限定されず、1μm以上、500μm以上の範囲内を挙げることができる。例えばレーザー加工の場合、スリット部17の幅は、通常100μm以上150μm以下の程度で行う場合が多いが、その幅は、レーザーのスポット径により変わり、例えばスポット径が100μmであればスリット幅も約100μmになる。
(有機化合物膜)
有機化合物膜4は、図6及び図7に示すように、各櫛形電極11A,12A上にパターン形成されて、細胞接着阻害性領域6を構成するように作用する。そうした有機化合物膜4は、炭素酸素結合を有する有機化合物により形成される親水性膜である。この有機化合物膜4は、水溶性や水膨潤性を有する膜であり、炭素酸素結合を有する有機化合物を主原料とする膜である。そして、酸化又は分解される前の有機化合物膜4は、細胞接着阻害性を有し、酸化及び/又は分解された後は、細胞接着性を有しているものであれば特に限定されない。
具体的には、有機化合物膜4は、正電圧を印加して酸化又は分解する前は高い細胞接着阻害性を有し、正電圧を印加して酸化又は分解した後は、それ自身が細胞接着性を示すものでもよいし、有機化合物膜4が除去されて露出した導電膜2が細胞接着性を示すものでもよい。例えば、ポリエチレングリコール膜を有機化合物膜4とした場合は、正電圧を印加することにより、ポリエチレングリコール膜は分解剥離して、その箇所には、細胞接着性の導電膜2が現れて細胞接着性領域5となる。
なお、ここでの炭素酸素結合は、炭素と酸素との間に形成される結合を意味し、単結合に限らず二重結合であってもよい。炭素酸素結合としては、C−O結合、C(=O)−O結合、C=O結合を挙げることができる。
有機化合物膜4を構成する主原料としては、水溶性高分子、水溶性オリゴマー、水溶性有機化合物、界面活性物質、両親媒性物質等を挙げることができ、これらが相互に物理的又は化学的に架橋し、基材と物理的又は化学的に結合することにより親水性の有機化合物膜4となる。
有機化合物膜4の平均厚さは、0.8nm以上、500μm以下の範囲内が好ましく、0.8nm以上、100μm以下の範囲内がより好ましい。平均厚さが0.8nm以上であれば、タンパク質の吸着や細胞の接着において、基板表面の有機化合物膜4で覆われていない領域の影響を受けにくいため好ましい。また、平均厚さが500μm以下であればコーティングが比較的容易である。
有機化合物膜4の形成方法としては、導電膜2に有機化合物を直接吸着させる方法、導電膜2上へ有機化合物を直接コーティングする方法、導電膜2上へ有機化合物をコーティングした後に架橋処理を施す方法、導電膜2への密着性を高めるために多段階式に有機化合物膜4を形成させる方法、導電膜2との密着性を高めるために導電膜2上に下地膜を形成し、次いで有機化合物をコーティングする方法、導電膜2表面に重合開始点を形成し、次いで親水性ポリマーブラシを重合する方法等を挙げることができる。
上記成膜方法のうち特に好ましい方法としては、多段階式に有機化合物膜4を形成させる方法、ならびに、導電膜2との密着性を高めるために導電膜2上に下地膜を形成し、次いで有機化合物をコーティングする方法を挙げることができる。これらの方法を用いることにより、有機化合物の導電膜2への密着性を高めることができる。
導電膜2上に形成された有機化合物膜4は、図6及び図7に示すように、所定のパターンになるようにパターニングされる。そのパターンの形状は特に限定されない。有機化合物膜4のパターニングは、一般的なリソグラフィ法等の各種のパターニング手段で行うことができる。例えば、図7(A)に示すように、基材1上に導電膜2を成膜し、その後に、図7(B)に示すように、その導電膜2上に下地膜3と有機化合物膜4を順に設け、その後に、図7(C)に示すように、細胞接着阻害性領域6となる所定パターンの有機化合物膜4を残し、細胞接着性領域5となる所定パターンの有機化合物膜4を除去するようにリソグラフィ法等でパターニングする。こうして、細胞30を播種する前の細胞培養用基板10を形成することができる。
(下地膜)
なお、下地膜3は、必要に応じて設けられ、図6及び図7に示すように、有機化合物膜4と導電膜2との間に設けられて、有機化合物膜4の導電膜2への密着性を向上させるように作用する。下地膜3は、結合部分(リンカー)を有する材料を含む膜であることが好ましい。リンカーとリンカーに結合させる材料の末端の官能基との組み合わせとしては、エポキシ基と水酸基、フタル酸無水物と水酸基、カルボキシル基とN−ハイドロキシスクシイミド、カルボキシル基とカルボジイミド、アミノ基とグルタルアルデヒド等を挙げることができる。それぞれの組み合わせにおいて、いずれがリンカーであってもよい。これらの方法においては、有機化合物膜4を形成する前に、導電膜2上にリンカーを有する材料により下地膜3を形成する。好ましくは、エポキシ基を末端に有するシランカップリング剤(エポキシシラン)を挙げることができる。
下地膜3の厚さは特に限定されないが、例えば、3nm以上、500μm以下の範囲内とすることができる。下地膜3は、下地膜用形成材料を有する塗布液を調整し、その塗布液を塗布して形成することができる。
(細胞遊走実験)
細胞培養用基板10は、図7(C)に示すように、有機化合物膜4がパターン形成された箇所が細胞接着阻害性領域6になり、有機化合物膜4が形成されていない箇所が細胞接着性領域5になっている。こうして形成された細胞培養用基板10に細胞30を播種すると、図8(A)に示すように、細胞30は、細胞接着性領域5に接着し、細胞接着阻害性領域6には接着しない。
その後に、図8(B)に示すように、一方の櫛形電極に正電圧を印加すると、印加した櫛形電極上にパターン形成された有機化合物膜4(細胞接着阻害性領域6)が剥離する。その結果、細胞接着阻害性領域6が細胞接着性領域5に変化する。そうすると、図8(C)に示すように、細胞30は、細胞接着性領域5から、新たに細胞接着性領域5に変化した領域(剥離した箇所)に遊走する。こうして細胞遊走実験を行うことができる。
細胞の移動の観察には、細胞が移動する速度の計測、ならびに遊走方向、遊走時の細胞形態、及び周囲の細胞同士のコネクション等の観察が含まれる。細胞が移動する速度の計測は、パターン、例えば櫛部のような線状のパターンにおいて、細胞が浸潤していく面積や距離を測定することにより、実施できる。
(細胞)
細胞30は、細胞培養用基板10に播種する細胞として容器内に投入される。そうした細胞30としては、血球系細胞やリンパ系細胞等の浮遊細胞でもよいし、接着性細胞でもよいが、本発明においては、細胞培養用基板10を構成する細胞接着性領域5に接着性を有する細胞であることが好ましい。また、遊走する性質を有する細胞に対して好適に使用される。
そのような細胞としては、例えば、肝がん細胞、グリオーマ細胞、結腸癌細胞、腎がん細胞、膵がん細胞、前立腺がん細胞、大腸がん細胞、乳癌細胞、肺がん細胞、卵巣がん細胞等のがん細胞、肝臓の実質細胞である肝細胞、クッパー細胞、血管内皮細胞や角膜内皮細胞等の内皮細胞、繊維芽細胞、骨芽細胞、砕骨細胞、歯根膜由来細胞、表皮角化細胞等の表皮細胞、気管上皮細胞、消化管上皮細胞、子宮頸部上皮細胞、角膜上皮細胞等の上皮細胞、乳腺細胞、ペリサイト、平滑筋細胞や心筋細胞等の筋細胞、腎細胞、膵ランゲルハンス島細胞、末梢神経細胞や視神経細胞等の神経細胞、軟骨細胞、骨細胞等を挙げることができる。これらの細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、あるいは、それらを何代か継代させたものでもよい。さらにこれら細胞は、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞、単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞、分化が終了した細胞の何れであってもよい。また、細胞は単一種を培養してもよいし二種以上の細胞を共培養してもよい。
目的の細胞を含む培養試料は、予め、生体組織を細かくして液体中に分散させる分散処理や、生体組織中の目的の細胞以外の細胞その他細胞破片等の不純物質を除去する分離処理等を行っておくことが好ましい。なお、細胞培養用基板への細胞の播種に先だって、目的とする細胞を含む培養試料を、予め、各種の培養方法で予備培養して、目的とする細胞を増やすことが好ましい。
1 基材
2 導電膜
3 下地膜(シランカップリング膜)
4 有機化合物膜(ポリエチレングリコール膜)
5 細胞接着性領域
6 細胞接着阻害性領域
10 細胞培養用基板
11 電極基板
11A 第1櫛形電極
11B 第1平面電極基板
12 電極基板
12A 第2櫛形電極
12B 第2平面電極基板
13 電極端子
14 電極端子
15 基部(櫛形電極の基部)
16 櫛部(櫛形電極の櫛部)
17 櫛形電極間のスリット部
20,20A〜20H 細胞培養容器
21 容器本体
22 培養液注入口
23 開口部(細胞培養用基板装着部)
24 底面
25 上面
26 蓋
29 液量確認目盛り
30 細胞
31 培養液注入口が設けられた部位
32 培養液注入口が設けられた部位に対向する方向の部位(第1部位)
33 培養液注入口が設けられた部位から第1部位に向かう方向に対して右方向に直交する方向の部位(第2部位)
34 培養液注入口が設けられた部位から第1部位に向かう方向に対して左方向に直交する方向の部位(第3部位)
A 培養液注入口が設けられた部位に対向する部位(第1部位)の方向
B1 培養液注入口が設けられた部位から第1部位(第1部位)に向かう方向に対して右方向に直交する方向
B2 培養液注入口が設けられた部位から第1部位(第1部位)に向かう方向に対して左方向に直交する方向
C 培養液注入口が設けられた方向

Claims (5)

  1. 培養液注入口を周縁の一部に有する容器本体と、1又は2以上の電極基板とを搭載した細胞培養容器であって、
    前記電極基板から延びる電極端子が、前記容器本体において前記培養液注入口が設けられた部位とは異なる方向の部位から取り出されていることを特徴とする細胞培養容器。
  2. 前記異なる方向の部位は、前記培養液注入口が設けられた部位に対向する方向の第1部位、前記培養液注入口が設けられた部位から前記第1部位に向かう方向に対して右方向に直交する第2部位及び左方向に直交する第3部位、及び、前記第1部位と前記第2部位若しくは第3部位との間に位置する部位、から選ばれる1又は2以上である、請求項1に記載の細胞培養容器。
  3. 上面と底面を備える細胞培養容器において、前記電極端子は、前記第1部位、前記第2部位、前記第3部位、及び前記第1部位と前記第2部位若しくは第3部位との間の部位、から選ばれる1又は2以上の部位から取り出され、取り出された電極端子は、前記上面側又は底面側に引き回されている、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  4. 前記電極基板が、隣接する2つの櫛形電極で櫛歯電極構造を構成する平面電極基板である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養容器。
  5. 前記電極基板が、対向する2以上の平面電極基板である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞培養容器。
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