JP2016008463A - 支承設置方法、及び支承構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】本願発明の課題は、従来の問題を解決することであり、すなわち、設置後の支承の高さ調整が容易であり、使用部材の発錆の懸念がなく、しかもモルタル等がクリープしても支承に大きな影響を与えることのない、支承設置方法、及び支承構造を提供することである。
【解決手段】本願発明の支承設置方法は、少なくとも支承設置工程と、高さ調整工程、注入工程、ボルト抜き取り工程を備えた方法である。支承設置工程では、支承を支持する下部基礎のうち、支承を設置する位置に設けられた箱抜き部に、高さ調整ボルトの下端を載せることで、支承の設置が行われる。高さ調整工程では、高さ調整ボルトを回転させることで支承の設置高さの調整が行われる。注入工程では、箱抜き部に充填材が注入され、ボルト抜き取り工程では、充填材が所定強度に達するまで待ったうえで高さ調整ボルトが抜き取られる。
【選択図】図3
【解決手段】本願発明の支承設置方法は、少なくとも支承設置工程と、高さ調整工程、注入工程、ボルト抜き取り工程を備えた方法である。支承設置工程では、支承を支持する下部基礎のうち、支承を設置する位置に設けられた箱抜き部に、高さ調整ボルトの下端を載せることで、支承の設置が行われる。高さ調整工程では、高さ調整ボルトを回転させることで支承の設置高さの調整が行われる。注入工程では、箱抜き部に充填材が注入され、ボルト抜き取り工程では、充填材が所定強度に達するまで待ったうえで高さ調整ボルトが抜き取られる。
【選択図】図3
Description
本願発明は、支承に関する技術であり、より具体的には、設置高さの調整が容易であって、しかも設置後に充填モルタル等のクリープによる影響を受けにくい支承設置方法、及び支承構造に関する技術である。
支承は、橋梁の上部工と下部工の間に設置され、上部工からの活荷重や死荷重を下部工に伝達するもので、いわば上部工の支点となるものである。この支承は、上部工の水平移動や回転を拘束する固定支承と、水平移動や回転を自由にする可動支承に大別され、さらに可動支承は、水平移動を自由にするローラー支承や、回転を自由にするピン支承などに分けられる。
また支承には、地震時における上部工の振動を減衰する機能を有するものもあり、このような支承は免震支承と呼ばれる。例えば免震ゴム支承は、ゴムのせん断剛性を利用することで上部工の固有周期を長くし、これによって上部工の振動を減衰することができる。
図7は、一般的なゴム支承Aを橋台上に設置した状態を示す断面図である。この図に示すように、ゴム支承Aは、上沓A1と下沓A2、これらの間に配置された積層体A3によって主に構成されている。このうち積層体A3は、鋼板とゴムを交互に積層して加硫接着したもので、鉛直方向には高い剛性を発揮し、水平方向には柔軟に変形するという特徴を備えている。
図7にも示すように、ゴム支承Aが設置される箇所には、他よりも窪んだ空間(以下、「箱抜き部」という。)が設けられる。また、一般的なゴム支承AはアンカーA4を備えており、そのため箱抜き部にはアンカー埋設用の空間(以下、「アンカー孔」という。)も設けられる。橋台上にゴム支承Aが設置されると、箱抜き部にはモルタルが充填され、このモルタルが硬化することでゴム支承Aは橋台上に固定される。つまり、ゴム支承Aの下方にはモルタルを充填するための空間が必要であり、したがってゴム支承Aは、箱抜き部内に配置された台座(例えば、鋼製ライナーB)の上に設置されることになる。
図8は、橋台上にゴム支承Aを設置する際の一般的な手順を示すモデル図である。この図の(a)に示すように、橋台の所定位置には箱抜き部が設けられている。手順としては、まず箱抜き部の所定位置に鋼製ライナーBを配置し(図8(b))、この鋼製ライナーBの上にゴム支承Aを設置する(図8(c))。次に、アンカー孔を含む箱抜き部にモルタルを充填し(図8(d))、このモルタルが所定の強度を発揮するまで養生する。モルタルが硬化するのを待って、ゴム支承Aの上に橋桁Cを固定する(図8(e))。
ところで、既に述べたとおり支承は上部工を載せるものであり、すなわち支承の設置精度がそのまま上部工の設置精度に直結することとなる。例えば、支承が計画高さよりも低い位置で設置されると、その上に据えられる上部工の高さも同じように計画より低くなるわけである。いうまでもなく橋梁は重要構造物であり、供用後の安全性を考えると当然に計画どおり設置されるべきであり、そのため支承の設置作業は極めて慎重に行われる。
一方、モルタルを充填するため、例えば図7のようにゴム支承Aは鋼製ライナーBの上に設置される。この場合、鋼製ライナーBの製造精度や設置精度が、ゴム支承Aの設置精度、ひいては上部工の設置精度に影響することとなる。ところが、鋼製ライナーBあるいはゴム支承Aを設置した後に、計画した設置高さと相違することが判明したとしても、その高さを調整することは容易ではない。計画高さよりも低い位置で設置したときは、高さ調整用のプレートを敷き重ねるなどの手段を講じることはできるが、計画高さよりも高い位置で設置したときは、鋼製ライナーBを薄くするなどして調整しなければならない。また、ゴム支承Aの水平姿勢を調整するため、ある鋼製ライナーBは高くし、ある鋼製ライナーBは低くするといった場合は、さらに複雑となる。
このような問題を解消するため、特許文献1では支承を設置した後でも高さ調整が可能な手法を提案している。具体的には、支承を載置するためのベースプレート高さを調整するもので、ベースプレートには雌ネジが切られており、さらにこの雌ネジに高さ調整ボルトが挿通され、このボルトを回転させることでベースプレートの上下移動を可能としている。
図7に示すように、ゴム支承Aの下方にモルタルを充填するため、台座としての鋼製ライナーBが設置されるのは既に述べたとおりであるが、この鋼製ライナーBを設置することによって生じる問題がある。通常、モルタルを充填する箱抜き部はそれほど深いものではなく、したがって設置された鋼製ライナーBはモルタルのかぶりが浅くなり、そのため発錆しやすいという短所がある。鋼製ライナーBが錆びると、その上に載置された支承や上部工にまで影響することとなり、橋梁全体の耐久性が劣化するおそれがある。
また、硬化したモルタルは、時間の経過とともにクリープすることが知られている。つまり、図7に示すようにモルタルがクリープした場合、鋼製ライナーBのみでゴム支承Aを支えることとなる。その結果、点で支持された上沓A1はたわみ変形を生じるおそれがある上、鋼製ライナーBは過度の過重負担を強いられることとなる。鋼製ライナーBに錆が生じている場合には、過度の荷重に耐えられないことも考えられる。
上記のとおり、鋼製ライナーBを設置する従来手法は、設置後のゴム支承Aの高さ調整が難しいという問題や、鋼製ライナーBが発錆しやすいという問題、モルタルがクリープすることによる問題を抱えている。なお特許文献1は、高さ調整の問題を解消することはできるが、鋼製ライナーBの代わりとなる高さ調整ボルトが発錆しやすい問題や、モルタルがクリープする問題を解消することはできない。
本願発明の課題は、従来の問題を解決することであり、すなわち、設置後の支承の高さ調整が容易であり、使用部材の発錆の懸念がなく、しかもモルタル等がクリープしても支承に大きな影響を与えることのない、支承設置方法、及び支承構造を提供することである。
本願発明は、支承の設置高さを調整するためにボルトを利用するとともに、高さ調整後にそのボルトを回収する、というこれまでにない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の支承設置方法は、2以上のボルト挿通孔及びこれらボルト挿通孔に挿通された高さ調整ボルトを具備する支承の設置方法であり、少なくとも支承設置工程と、高さ調整工程、注入工程、ボルト抜き取り工程を備えた方法である。支承設置工程では、支承を支持する下部基礎のうち、支承を設置する位置に設けられた箱抜き部に、高さ調整ボルトの下端を載せることで、支承の設置が行われる。高さ調整工程では、高さ調整ボルトを回転させることで支承の設置高さの調整が行われる。注入工程では、箱抜き部に充填材が注入され、ボルト抜き取り工程では、充填材が所定強度に達するまで待ったうえで高さ調整ボルトが抜き取られる。
本願発明の支承設置方法は、支承設置工程の後に上部工を支承に設置し、その状態で高さ調整工程を行う方法とすることもできる。
本願発明の支承設置方法は、ボルト支持体を設置する支持体設置工程をさらに備えた方法とすることもできる。この場合の支承設置工程では、高さ調整ボルトの下端がボルト支持体の上に載せされる。なお、支承が上下に略平行に配置された上沓及び下沓を具備し、さらに箱抜き部の箱抜き深さが沓配置間隔(上沓と下沓との間隔)のよりも大きいときは、支承設置工程では、箱抜き深さと沓配置間隔との寸法差よりも厚いボルト支持体を設置するとよい。
本願発明の支承設置方法は、さらに型枠設置工程を備えた方法とすることもできる。この型枠設置工程は支承設置工程前に行われ、具体的にはボルト養生型枠が設置される。この場合の支承設置工程では、ボルト養生型枠内に高さ調整ボルトが配置され、その後の注入工程で注入された充填材とボルト養生型枠によってボルト養生空間が形成される。
本願発明の支承構造は、下沓を含む支承と、この支承を支持する下部基礎、下部基礎のうち支承を設置する位置に設けられた箱抜き部、箱抜き部内に注入された充填材が硬化した硬化体を備えた構造である。下沓には、上下方向を軸とするアンカー体が固定されており、さらに2以上のボルト挿通孔が設けられ、これらボルト挿通孔には高さ調整ボルトが挿通されている。なお、アンカー体及び高さ調整ボルトは、箱抜き部内に収められる。箱抜き部に支承を設置した後、高さ調整ボルトを回転させることによって、支承の設置高さの調整が可能であり、充填材が所定強度に達した後、高さ調整ボルトは抜き取り可能である。高さ調整ボルトを抜き取った後の空間には充填材が注入される。
本願発明の支承設置方法、及び支承構造には、次のような効果がある。
(1)支承を設置した後に、計画した設置高さと相違することが判明したとしても、高さ調整ボルトを回転させるだけで容易に高さ調整することができる。
(2)高さ調整ボルトや、従来用いられていた鋼製ライナーといった金属製部材を残置しないため、発錆に伴う耐久性劣化のおそれが軽減される。
(3)充填材がクリープ変形を生じたとしても、高さ調整ボルトは抜き取られているため支承もクリープ変形に追随し、したがって支承の設置姿勢(水平姿勢)の変化や支承のたわみ変形といったおそれがない。
(1)支承を設置した後に、計画した設置高さと相違することが判明したとしても、高さ調整ボルトを回転させるだけで容易に高さ調整することができる。
(2)高さ調整ボルトや、従来用いられていた鋼製ライナーといった金属製部材を残置しないため、発錆に伴う耐久性劣化のおそれが軽減される。
(3)充填材がクリープ変形を生じたとしても、高さ調整ボルトは抜き取られているため支承もクリープ変形に追随し、したがって支承の設置姿勢(水平姿勢)の変化や支承のたわみ変形といったおそれがない。
本願発明の支承設置方法、及び支承構造の一例を、図に基づいて説明する。
1.支承
はじめに図1に基づいて、本願発明で使用する支承100の一例を説明する。この図に示すように支承100は、上部に水平配置された上沓101と、下部に水平配置された下沓102を備えている。そして、上沓101と下沓102の間には、鋼板とゴムを交互に積層して加硫接着した積層体103が配置され、下沓102には鉛直方向を軸とするアンカー104が固定されている。上沓101と下沓102は平面視すると矩形や円形などの形状で、これらよりやや面積の小さい積層体103も同様に平面視で矩形や円形などの形状となっている。また、ひとつの支承100に複数のアンカー104が固定されることが多く、図1では4本のアンカー104を備えている。なお、上沓101、下沓102、積層体103、及びアンカー104からなる構成は従来のゴム支承と同様であり、すなわち市場に流通しているゴム支承を本願に利用することができる。
はじめに図1に基づいて、本願発明で使用する支承100の一例を説明する。この図に示すように支承100は、上部に水平配置された上沓101と、下部に水平配置された下沓102を備えている。そして、上沓101と下沓102の間には、鋼板とゴムを交互に積層して加硫接着した積層体103が配置され、下沓102には鉛直方向を軸とするアンカー104が固定されている。上沓101と下沓102は平面視すると矩形や円形などの形状で、これらよりやや面積の小さい積層体103も同様に平面視で矩形や円形などの形状となっている。また、ひとつの支承100に複数のアンカー104が固定されることが多く、図1では4本のアンカー104を備えている。なお、上沓101、下沓102、積層体103、及びアンカー104からなる構成は従来のゴム支承と同様であり、すなわち市場に流通しているゴム支承を本願に利用することができる。
本願発明に使用する支承100には、複数の高さ調整ボルト105が取り付けられている。後述するように、この高さ調整ボルト105は一時的に支承100を支えることとなるため、ひとつの支承100に対して複数の(望ましくは3本以上の)高さ調整ボルト105を取り付けるとよい。図1の支承100には、4本の高さ調整ボルト105が取り付けられている。
高さ調整ボルト105は、下沓102に設けられたボルト挿通孔に挿通されている。このボルト挿通孔にはネジが切られており、高さ調整ボルト105を回転させると下沓102に対して相対的に上下方向に移動することができる。あるいは、下沓102に設けたボルト挿通孔にはネジを切らず、ナットを利用して高さ調整ボルト105を回転させることもできる。この場合、下沓102の上面かつボルト挿通孔の上面に、高さ調整ボルト105のサイズに適合するナット(図示しない)を溶接で取り付け、このナットに高さ調整ボルト105を挿通して高さ調整を行う。なお、支承100設置後、高さ調整ボルト105は取り外すことになるので、高さ調整ボルト105の全長は、上沓101と下沓102との距離である沓間隔H1(すなわち積層体103の高さ)より短くする必要がある。
2.支承の設置
次に図2と図3を参考に、支承の設置方法について説明する。図2は本願発明の主な工程の流れを示すフロー図であり、図3はそのステップ図である。図2のフロー図に示すように、まずは橋台や橋脚といった下部基礎が構築される(Step10)。このとき、図3(a)に示すように、支承100が設置される位置には、下部基礎の天端面よりも一段低い面(箱抜き上面201)を有する箱抜き部200が形成される。この箱抜き部200には、アンカー104を埋設するためのアンカー孔202も設けられている。
次に図2と図3を参考に、支承の設置方法について説明する。図2は本願発明の主な工程の流れを示すフロー図であり、図3はそのステップ図である。図2のフロー図に示すように、まずは橋台や橋脚といった下部基礎が構築される(Step10)。このとき、図3(a)に示すように、支承100が設置される位置には、下部基礎の天端面よりも一段低い面(箱抜き上面201)を有する箱抜き部200が形成される。この箱抜き部200には、アンカー104を埋設するためのアンカー孔202も設けられている。
下部基礎に箱抜き部200が形成されると、所定位置に支承100を設置する(Step30)。このとき支承100の設置は、高さ調整ボルト105を箱抜き上面201に載置させることで行われる。つまりこの時点では、複数の(この場合は4本の)高さ調整ボルト105によって支承100は支持されるわけである。
なお、通常、下部基礎はコンクリート構造であり、すなわち高さ調整ボルト105はコンクリート上に載置されることになる。この高さ調整ボルト105は支承100の自重を受け、その結果コンクリートには相当の支圧応力が作用するが、コンクリートの許容応力度によっては損傷することも考えられる。この場合は、高さ調整ボルト105が載置される位置に、合成樹脂板や鋼板あるいは高強度モルタルなどボルト支持体300を設置するとよい。比較的大きな面積の支持体300に自重を伝えることで、コンクリートに生ずる応力を軽減することができる。また、コンクリートに比べ、合成樹脂板や鋼板あるいは高強度モルタルの表面は滑らかであり、後に高さ調整ボルト105を回転させる際にも便宜となる。
ボルト支持体300は、高さ調整ボルト105を抜き取り可能とするために設置する場合もある。図4は、沓間隔H1と箱抜き深さH2の寸法を示すとともに、これら寸法に応じたボルト支持体300を設置した状態を示すモデル図である。なおここで箱抜き深さH2とは、下部基礎の天端面と箱抜き上面201との高低差である。図4に示すように、箱抜き深さH2が沓間隔H1よりも大きい(H2>H1)と、下沓102を下部基礎の天端面より上に(あるいは同じ高さに)配置するためには、高さ調整ボルト105を沓間隔H1よりも長くしなければならない。その結果、支承100設置後に高さ調整ボルト105を抜き取ることが難しくなる。そこで、箱抜き深さH2と沓間隔H1との寸法差よりも大きな厚さt(つまり、t>H2−H1)のボルト支持体300を設置する。これにより、高さ調整ボルト105は沓間隔H1より短くすることができ、支承100設置後、容易に抜き取ることができるわけである。
箱抜き上面201あるいはボルト支持体300に高さ調整ボルト105を載せ、支承100の設置(Step30)が完了すると、支承100の設置高さを検査する。このとき、実際に設置された支承100の高さが計画設置高さと相違する場合、計画高さとなるまで高さ調整を行う(Step40)。また、支承100の設置姿勢が傾いている場合も、水平姿勢となるよう部分的に高さ調整を行う。このときの高さ調整は、高さ調整ボルト105を回転させることによって行われる。つまり、支承100の設置高さを現状よりも高くしたいときは、高さ調整ボルト105が下沓102よりも下方に伸びるように回転させ、支承100の設置高さを現状よりも低くしたいときは、その逆に回転させる。
高さ調整ボルト105が、計画高さで、そして水平姿勢で設置されたことが確認されると、図3(c)に示すように箱抜き部200内には充填材400が注入される(Step50)。この充填材400としては、従来からも多用されているモルタルを使用することができるが、これに限らずコンクリートを使用することもできるし、合成樹脂などを使用することもできる。
充填材400を注入した後、この充填材400が所定の強度となるまで養生を行う(Step60)。なおここでいう所定の強度とは、必ずしも充填材400が完全に硬化したときに発揮する強度(いわば最終強度)に限らず、支承100の自重をあずけ得る程度の強度とすることもできる。
充填材400が所定の強度となるまで養生されると、図3(d)に示すように高さ調整ボルト105が抜き取られる(Step70)。このとき、充填材400が完全に硬化していない状態(所定強度の状態)とすれば、比較的容易に高さ調整ボルト105を回転させることができる。充填材400注入前にあらかじめ高さ調整ボルト105に剥離剤を塗布しておくと、さらに容易に回転させることができて好適である。
また、高さ調整ボルト105の抜き取りを容易にする目的で、高さ調整ボルト105が充填材400に接触しないよう、あらかじめ養生型枠500を設置することもできる(Step21)。この養生型枠500としては、筒状のものが良く、ボイド管などを例示することができる。図5は、養生型枠500としてボイド管を箱抜き上面201に設置し、その状態で支承100を設置する様子を示すモデル図である。この図に示すように、支承100を設置する際、高さ調整ボルト105は養生型枠500内に配置される。養生型枠500が設置された状態で充填材400は注入されるため、この養生型枠500内には充填材400が流入することはなく、結果的に充填材400に囲まれた空間(以下、「ボルト養生空間」という。)が形成される。そして、高さ調整ボルト105はボルト養生空間内に配置されているので、充填材400の影響を受けることがなく、容易に抜き取ることができるわけである。なお、ボルト養生空間が形成された後には、養生型枠500は取り外す(Step71)ことが望ましく、また高さ調整ボルト105を抜き取った後には、ボルト養生空間内にはモルタルなどを充填しておくことが望ましい。このときのモルタル充填は、ボルト挿通孔を利用して行うとよい。
高さ調整ボルト105の抜き取り後、引き続き充填材400の養生を行い(図3(e))、図3(f)に示すように橋桁などの上部工を設置していく(Step80)。なお現場状況によっては、図6に示すように、支承の設置を行った(Step30)後、その後続工程として上部工の設置を行い(Step80)、上部工が支承に設置された状態で支承の高さ調整を行う(Step40)こともできる。
本願発明の支承設置方法、及び支承構造は、道路橋、鉄道橋、管路橋といったあらゆる用途の橋梁に利用でき、河川橋、跨道橋、跨線橋など種々のものを越える橋梁に利用することができる。また、オフィスビルや工場施設など建築物の免震構造としても採用することができる。本願発明が、橋梁の施工品質を高め、また高品質の免震構造を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
100 支承
101 上沓
102 下沓
103 積層体
104 アンカー
105 高さ調整ボルト
200 箱抜き部
201 箱抜き上面
202 アンカー孔
300 ボルト支持体
400 充填材
500 養生型枠
A ゴム支承
B 鋼製ライナー
C 橋桁
101 上沓
102 下沓
103 積層体
104 アンカー
105 高さ調整ボルト
200 箱抜き部
201 箱抜き上面
202 アンカー孔
300 ボルト支持体
400 充填材
500 養生型枠
A ゴム支承
B 鋼製ライナー
C 橋桁
Claims (6)
- 設置高さの調整が可能な支承設置方法において、
前記支承は、2以上のボルト挿通孔、及び該ボルト挿通孔に挿通された高さ調整ボルトを備え、
前記支承を支持する下部基礎のうち、該支承を設置する位置に設けられた箱抜き部に、前記高さ調整ボルトの下端を載せることによって、前記支承を設置する支承設置工程と、
前記高さ調整ボルトを回転させることによって、前記支承の設置高さを調整する高さ調整工程と、
前記箱抜き部に充填材を注入する注入工程と、
前記充填材が所定強度に達した後に、前記高さ調整ボルトを抜き取るボルト抜き取り工程と、
を備えたことを特徴とする支承設置方法。 - 前記支承設置工程の後に、上部工を前記支承に設置するとともに、該上部工を設置した状態で前記高さ調整工程を行う、ことを特徴とする請求項1記載の支承設置方法。
- 前記支承設置工程前に、ボルト支持体を設置する支持体設置工程と、をさらに備え、
前記支承設置工程では、前記高さ調整ボルトの下端を前記ボルト支持体の上に載せることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の支承設置方法。 - 前記支承が、上下に略平行に配置された上沓及び下沓を具備し、
前記箱抜き部の箱抜き深さが、前記上沓と前記下沓の沓配置間隔よりも大きいときは、前記支承設置工程では、該箱抜き深さと該沓配置間隔との寸法差よりも厚い前記ボルト支持体を設置することを特徴とする請求項3記載の支承設置方法。 - 前記支承設置工程前に、ボルト養生型枠を設置する型枠設置工程と、をさらに備え、
前記注入工程で注入された前記充填材、及び前記ボルト養生型枠によって、ボルト養生空間が形成され、
前記支承設置工程では、前記高さ調整ボルトを前記ボルト養生型枠内に配置することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の支承設置方法。 - 設置高さの調整が可能な支承構造において、
下沓を含む支承と、該支承を支持する下部基礎と、該下部基礎のうち支承を設置する位置に設けられた箱抜き部と、該箱抜き部内に注入された充填材が硬化した硬化体と、を備え、
前記下沓は、上下方向を軸とするアンカー体が固定され、
さらに前記下沓は、2以上のボルト挿通孔が設けられるとともに、該ボルト挿通孔に挿通された高さ調整ボルトを具備し、
前記アンカー体及び前記高さ調整ボルトは、前記箱抜き部内に収められ、
前記箱抜き部に前記支承を設置した後、前記高さ調整ボルトを回転させることによって、前記支承の設置高さの調整が可能であり、
前記充填材が所定強度に達した後、前記高さ調整ボルトは抜き取り可能であって、該高さ調整ボルト抜き取り後の空間に充填材が注入された、ことを特徴とする支承構造。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110158480A (zh) * | 2019-06-17 | 2019-08-23 | 南京博瑞吉工程技术有限公司 | 一种桥梁支座处梁体的标高调整方法 |
CN112627055A (zh) * | 2021-02-02 | 2021-04-09 | 中铁十五局集团第三工程有限公司 | 一种桥梁盖梁模板支撑调节装置及桥梁盖梁施工方法 |
KR102572989B1 (ko) * | 2022-12-27 | 2023-08-31 | 명진기술 주식회사 | 높이조절장치가 설치된 교량받침장치 및 이를 이용한 높이조절방법 |
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2014
- 2014-06-26 JP JP2014131084A patent/JP2016008463A/ja active Pending
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