JP2016007610A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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堤 康一
Koichi Tsutsumi
康一 堤
鍋島 誠司
Seiji Nabeshima
誠司 鍋島
悠吾 竹田
Yugo Takeda
悠吾 竹田
智晴 木下
Tomoharu Kinoshita
智晴 木下
亮 上山
Makoto Ueyama
亮 上山
三木 祐司
Yuji Miki
祐司 三木
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Abstract

【課題】 溶鋼中へのモールドパウダーの巻き込みが少なく、且つ、鋳型と凝固シェルとの潤滑性を損なうことなく、アルミニウムを0.81質量%以上含有する高アルミニウム含有鋼を連続鋳造する。
【解決手段】 本発明の鋼の連続鋳造方法は、炭素を0.01質量%以下、珪素を1.0〜3.5質量%、マンガンを0.1〜0.3質量%、アルミニウムを0.81〜1.50質量%、チタンを0.01〜0.1質量%含有する溶鋼を連続鋳造するにあたり、組成としてNa2Oを10質量%未満含有し、組成のCaO/SiO2が質量比で0.51〜0.69で、1300℃における粘度が0.41〜0.70Pa・s、凝固温度が950〜1050℃、スラグ化率が60〜80質量%であるモールドパウダーを使用して前記溶鋼を連続鋳造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鋼の連続鋳造方法に関し、詳しくは、モールドパウダーの巻き込みを抑制し、且つ、鋳型と凝固シェルとの潤滑性を損なうことなく、アルミニウムを0.81質量%以上含有する高アルミニウム含有鋼を連続鋳造する方法に関する。
アルミニウム(Al)を0.1質量%以上含有する高アルミニウム含有鋼の連続鋳造では、溶鋼中に溶存するアルミニウムの濃度が高いことから、鋳型内において、溶鋼中のアルミニウムと鋳型内溶鋼湯面上に添加したモールドパウダー中のSiO2とが、下記の(1)式に示す化学反応式に則って反応する。つまり、モールドパウダー中のSiO2が溶鋼中の溶存アルミニウムで還元される化学反応が起こる。
4Al+3SiO2 →2Al23+3Si・・・(1)
この化学反応により、鋳型内溶鋼湯面上のモールドパウダーのSiO2が減少し、逆に、モールドパウダー中のAl23が増加する。Al23含有量が上昇することで、モールドパウダーのAl23吸収能が低下し、溶鋼中に懸濁するAl23をモールドパウダーが吸収できなくなり、鋳片を圧延した後の鋼板の表面に、鋳片中に残留したAl23に起因する欠陥が生じるという問題が発生する。尚、溶鋼中に懸濁するAl23はアルミニウム脱酸による脱酸生成物である。
また、モールドパウダー中のSiO2が減少することからモールドパウダーの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が高くなり、これにより、モールドパウダーの凝固温度が上昇する。モールドパウダーの凝固温度が上昇することで、鋳型内壁面の鋳型内溶鋼湯面と接触する部位でスラグリム(「スラグベアー」とも呼ぶ)が形成されやすくなり、スラグリムの生成により、鋳型内壁面と凝固シェルとの間隙への、溶融したモールドパウダーの流れ込みが阻害される。その結果、鋳型と凝固シェルとの潤滑性が損なわれ、鋳型と凝固シェルとが焼き付き、ブレークアウトが起こるという問題も発生する。尚、スラグリムは、一般に、溶融したモールドパウダーが冷却され凝固して形成された部分と、溶融状態のモールドパウダーまたは未溶融のモールドパウダーが焼結した層が粒状に固まって形成された部分とから構成される。
このように、(1)式の化学反応によって引き起こされるモールドパウダーの組成変化は、鋳片の表面品質を悪化させ、また、連続鋳造操業に重大な鋳造トラブルをもたらしていた。そこで、ブレークアウトを起こすことなく、Al23系介在物の少ない、高アルミニウム含有鋼鋳片を連続鋳造によって製造するべく、幾つかの提案がなされている。
例えば、特許文献1には、上記(1)式の反応を抑制してモールドパウダーの組成変化を防ぐことを目的として、0.10質量%以上のアルミニウムを含有する溶鋼を連続鋳造するためのモールドパウダーとして、SiO2含有量が3.0質量%以下、Al23含有量が10〜40質量%、CaO含有量が30〜50質量%であり、1300℃における粘度が0.07〜0.11Pa・s(=0.7〜1.1ポアズ)である、SiO2含有量の極めて少ないモールドパウダーが提案されている。
特許文献2には、チタン(Ti)を0.08〜3.0質量%、アルミニウムを0.02〜0.8質量%含有する溶鋼を連続鋳造するためのモールドパウダーとして、CaO含有量が25〜40質量%、SiO2含有量が25〜40質量%、Na2O含有量が10〜20質量%、Al23含有量が10質量%以下であり、塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が0.7〜1.8、1300℃における粘度が0.1〜0.4Pa・s、凝固温度が900〜1300℃であるモールドパウダーが提案されている。
また、特許文献3には、珪素(Si)を2質量%以上、アルミニウムを0.5質量%以上含有する溶鋼を連続鋳造するためのモールドパウダーとして、MgO含有量が5〜15質量%、Na2O含有量が10質量%以上、Al23含有量が5質量%以下であり、モールドパウダーのT.CaO/SiO2が質量比で0.5以下、1300℃における粘度が1Pa・s未満、凝固温度が1050℃以下であるモールドパウダーが提案されている。ここで、「T.CaO」は、含有するカルシウム(Ca)分がすべてCaOであるとして算出した値である。
特開平9−85404号公報 特開2003−94150号公報 特開2009−39745号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1は、SiO2の含有量を低下させ、モールドパウダーの組成変動を小さくすることを狙っているが、SiO2の含有量が少ないと、モールドパウダーの溶融特性に問題が生じ、上述したように、ブレークアウトの発生する可能性が高い。これを防止するためには、高価なアルカリ酸化物などを添加してモールドパウダーの凝固温度を下げることが必要であり、モールドパウダーの製造コストを押し上げるという問題がある。
特許文献2のモールドパウダーは、1300℃における粘度が0.1〜0.4Pa・sであり、粘度の低いモールドパウダーは巻き込まれやすく、したがって、モールドパウダーの巻き込み防止の観点からは、粘度が低すぎて、モールドパウダーの巻き込みを防止できない可能性がある。また、特許文献2の対象とする鋼は、アルミニウム含有量が0.8質量%以下であり、鋼のアルミニウム含有量が少なく、鋼板段階で所望する電磁特性を発現できない可能性がある。
特許文献3は、1300℃における粘度を1Pa・s未満、凝固温度を1050℃以下に規定しているが、1Pa・s近傍の粘度では、粘性が高すぎて、鋳型と凝固シェルとの潤滑不足が生じ、ブレークアウトが発生する可能性があり、一方、0.1Pa・s程度の粘度では、特許文献2と同様に、粘度が低すぎて、モールドパウダーの巻き込みを防止できない可能性がある。つまり、引用文献3で提案するモールドパウダーは粘度の範囲が広すぎて、操業の安定性と鋳片の品質向上の双方を達成することはできない。
また、特許文献3のモールドパウダーは、Na2Oを10質量%以上含有していることから、溶鋼とモールドパウダーとの界面張力が下がり、粘度のみ制御してもモールドパウダーが巻き込まれやすくなり、モールドパウダーの巻き込みを防止できないことが懸念される。即ち、Na2Oを過剰にモールドパウダーに添加することは好ましくない。これは、特許文献2も同様である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、モールドパウダー中のSiO2が溶鋼中の溶存アルミニウムによって還元される条件下において、溶鋼中へのモールドパウダーの巻き込みが少なく、且つ、鋳型と凝固シェルとの潤滑性を損なうことなく、アルミニウムを0.81質量%以上含有する高アルミニウム含有鋼を連続鋳造する方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]炭素を0.01質量%以下、珪素を1.0〜3.5質量%、マンガンを0.1〜0.3質量%、アルミニウムを0.81〜1.50質量%、チタンを0.01〜0.1質量%含有する溶鋼を連続鋳造するにあたり、
組成としてNa2Oを10質量%未満含有し、CaO/SiO2が質量比で0.51〜0.69で、1300℃における粘度が0.41〜0.70Pa・s、凝固温度が950〜1050℃、スラグ化率が60〜80質量%であるモールドパウダーを使用して前記溶鋼を連続鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
尚、本発明におけるモールドパウダー組成のCaO/SiO2のCaOとは、モールドパウダーには蛍石(CaF2)など、種々の形態でカルシウム(Ca)が含まれていることが多く、モールドパウダーに含まれるカルシウム分をすべてCaOとして換算したものである。
本発明における粘度は、例えば、モールドパウダーとは反応しない白金ルツボまたは黒鉛ルツボで約150gのモールドパウダーを溶解し、1300℃の一定温度に保持し、回転円筒法でモールドパウダーでのトルクを測定し、予め標準試料で測定したトルクと粘度との校正曲線に基づいて、測定したトルクを換算して求めることができる。
本発明におけるモールドパウダーの凝固温度とは、粘度測定で用いる上記回転円筒法で粘度を測定しながら徐々に温度を下げていき、粘度が急激に1011Pa・s以上のレベルへ上昇する温度を凝固温度と定義したものである。
また、本発明におけるスラグ化率とは、溶融特性を表す一つの指標であり、約150gのモールドパウダー試料を鉄製ボックス型容器に入れ、1300℃に加熱したマッフル炉にて5分間加熱し、その後、鉄製ボックス型容器をモールドパウダーごと取り出し、その後、ローラーボールミルを使用して溶融モールドパウダーと未溶融モールドパウダーとに分け、全モールドパウダー試料の質量に対する溶融モールドパウダーの質量の比率として求められる数値である。
本発明によれば、炭素を0.01質量%以下、珪素を1.0〜3.5質量%、マンガンを0.1〜0.3質量%、アルミニウムを0.81〜1.50質量%、チタンを0.01〜0.1質量%含有する溶鋼を、Na2Oを10質量%未満含有し、CaO/SiO2が質量比で0.51〜0.69、1300℃における粘度が0.41〜0.70Pa・s、凝固温度が950〜1050℃、スラグ化率が60〜80質量%であるモールドパウダーを使用して連続鋳造するので、モールドパウダーの溶鋼中への巻き込みを低減することができ、且つ、モールドパウダーの消費量が確保され、鋳型と凝固シェルとの潤滑不良による鋳造トラブルも防止でき、表面欠陥の少ない鋼板を低コストで製造することが実現される。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、鋳型内溶鋼湯面上に添加したモールドパウダー中のSiO2が、(1)式に示す化学反応式に基づいて溶鋼中の溶存アルミニウムによって還元される条件下の連続鋳造操業において、モールドパウダーの組成及び特性値を特定の範囲に規定することで、モールドパウダーの組成変化を抑制し、且つ、鋳型と凝固シェルとの潤滑性を確保するとともに、鋳型内における溶鋼中へのモールドパウダーの巻き込みを防止する。
以下、鋳造対象とする鋼種の化学成分を規定した理由、並びに、使用するモールドパウダーの化学成分及び特性値を規定した理由を説明する。先ず、鋳造対象とする鋼種の化学成分から説明する。
炭素(C):0.01質量%以下
炭素含有量が多いと、高アルミニウム含有鋼の場合、鉄損が上昇してしまうために、エネルギー損失が大きく、時効劣化が避けられなくなる。この理由から0.01質量%以下とする必要がある。鋼の特性からは炭素含有量の下限は規定する必要がないが、工業的に溶製可能な0.0003質量%程度を下限値とすればよい。
珪素(Si):1.0質量%以上3.5質量%以下
鋼板の固有抵抗を高め、且つ、鉄損を下げて、電磁特性を向上させるためには、珪素を1.0質量%以上含有させる必要がある。一方、珪素含有量が3.5質量%を超えると、脆くなって鋼板の成形性が劣化する。この理由から、珪素含有量を1.0質量%以上3.5質量%以下とする。
マンガン(Mn):0.1質量%以上0.3質量%以下
マンガンは、鋼板の強度を増加するために0.1質量%以上含有させる必要があるが、0.3質量%を超えると、被削性及び鍛造性を劣化する可能性がある。したがって、マンガン含有量は0.1質量%以上0.3質量%以下とする必要がある。
アルミニウム(Al):0.81質量%以上1.50質量%以下
アルミニウムは、鋼の脱酸剤として作用する他、珪素と同様に固有抵抗を高め、鉄損を下げ、電磁特性を向上させる役割がある。更に、鋼板の硬度上昇を抑えることが可能な元素である。そのためには0.81質量%以上含有させる必要があるが、1.50質量%を超えると、被削性及び疲労強度を劣化させる可能性があるので、上限値を1.50質量%とする。
チタン(Ti):0.01質量%以上0.1質量%以下
チタンは、溶鋼中に溶存する窒素(N)をTiNとしてピンニングする機能を有しており、窒素をTiNとしてピンニングするためには、0.01質量%以上を含有させる必要がある。一方、チタン含有量が0.1質量%を超えると、結晶粒の成長を阻害することや耐疲労強度を劣化する可能性がある。したがって、チタン含有量は0.01質量%以上0.1質量%以下とする必要がある。
次いで、モールドパウダーの化学成分及び特性値について説明する。
モールドパウダーのNa2O含有量:10質量%未満
Na2Oは、モールドパウダーの凝固温度や粘度を調整するための重要な添加成分の一つである。但し、Na2Oの含有量が10質量%以上になると、モールドパウダーの粘度が低下するだけでなく、溶鋼と溶融モールドパウダーとの界面張力が減少し、モールドパウダーが溶鋼中に巻き込まれやすくなる。したがって、Na2Oの含有量は10質量%未満とする必要がある。但し、Na2Oの含有量が少なくなると、モールドパウダーの凝固温度や粘度の調整が困難になるので、5.0質量%以上のNa2Oを含有させることが好ましい。
モールドパウダーのCaO/SiO2:質量比で0.51以上0.69以下
モールドパウダーのCaO/SiO2を質量比で0.69超えにすると、モールドパウダーの凝固温度が上昇し、モールドパウダーの溶融特性が悪化してしまう懸念がある。一方、CaO/SiO2を質量比で0.51未満にすると、溶鋼中に溶存するアルミニウムと反応するSiO2が多くなり、その結果、溶鋼中のアルミニウム濃度が減じてしまうという問題が起こる。したがって、モールドパウダーのCaO/SiO2を質量比で0.51以上0.69以下とする。尚、前述したように、本発明におけるモールドパウダーのCaO/SiO2のCaOとは、モールドパウダーに含まれるカルシウム分をすべてCaOとして換算したものである。
モールドパウダーの1300℃における粘度:0.41Pa・s以上0.70Pa・s以下
モールドパウダーの1300℃における粘度が0.70Pa・s超えの高粘性になると、モールドパウダーの巻き込みは防止されるが、モールドパウダーの消費量(=モールドパウダーの流れ込み量)が少なくなり、鋳型と凝固シェルとの潤滑が不足し、鋳型と凝固シェルとの焼き付きによる、重大鋳造トラブルのブレークアウトの発生する可能性が高くなる。一方、1300℃における粘度が0.41Pa・s未満では、粘度が低すぎて、モールドパウダーの巻き込みそのものを防止することが不可能となる。したがって、モールドパウダーの1300℃における粘度は0.41Pa・s以上0.70Pa・s以下とする必要がある。
モールドパウダーの凝固温度:950℃以上1050℃以下
モールドパウダーの凝固温度が1050℃を超えると、連続鋳造中の鋳型内溶鋼湯面上に添付したモールドパウダーが溶融不良を起こし、ブレークアウトの発生する危険性が高まることから、モールドパウダーの凝固温度は1050℃以下にする必要がある。一方、モールドパウダーの凝固温度を950℃未満にするためには、10質量%以上のNa2Oを含有させることが必要となる。したがって、モールドパウダーの凝固温度は950℃以上1050℃以下とする。
モールドパウダーのスラグ化率:60質量%以上80質量%以下
モールドパウダーのスラグ化率が60質量%未満では溶融不良が生じ、鋳型と凝固シェルとの潤滑不良が生じ、ブレークアウトが発生する。逆に、スラグ化率が80質量%を超えると、鋳型内溶鋼湯面の保温性がなくなり、鋳型内溶鋼湯面が凝固して所謂「皮張り」が発生し、鋳片品質が劣化するのみならず、ブレークアウトなどの鋳造トラブルが誘発される。したがって、モールドパウダーのスラグ化率は60質量%以上80質量%以下とする必要がある。
鋼の連続鋳造で使用されるモールドパウダーは、通常、CaO、SiO2、Al23、MgO、MnOなどの酸化物を基材とし、これら基材に、基材の物性を調整するためのNa2O、K2O、CaF2、MgF2、Li2CO3、Li2O、氷晶石などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物や弗化物または炭酸化物と、基材の主成分であるCaO、SiO2の成分調整材である炭酸カルシウムや珪藻土と、溶融速度調整材であるカーボンブラック、人造黒鉛などの炭素物質と、が添加されて構成されている。基材としては、高炉滓、ガラス粉末、ポルトランドセメントや、天然の玄武岩やシラス、また、電気炉、キュポラなどで溶解されて製造される珪酸カルシウムなどが使用されている。
本発明で使用するモールドパウダーも上記の構成と同等であるが、Na2Oの含有量を10質量%未満とし、且つ、モールドパウダーのCaO/SiO2を質量比で0.51〜0.69の範囲内として、モールドパウダーの特性値(粘度、凝固温度、スラグ化率)が上記の範囲となるように、適宜、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物や弗化物または炭酸化物の配合量を調整する。
本発明によれば、炭素を0.01質量%以下、珪素を1.0〜3.5質量%、マンガンを0.1〜0.3質量%、アルミニウムを0.81〜1.50質量%、チタンを0.01〜0.1質量%含有する溶鋼を、Na2Oを10質量%未満含有し、CaO/SiO2が質量比で0.51〜0.69、1300℃における粘度が0.41〜0.70Pa・s、凝固温度が950〜1050℃、スラグ化率が60〜80質量%であるモールドパウダーを使用して連続鋳造するので、モールドパウダーの溶鋼中への巻き込みを低減することができ、且つ、モールドパウダーの消費量が確保され、鋳型と凝固シェルとの潤滑不良による鋳造トラブルも防止でき、表面欠陥の少ない鋼板を低コストで製造することが実現される。
炭素を0.005質量%、珪素を2.9質量%、マンガンを0.2質量%、アルミニウムを1.2質量%、チタンを0.02質量%含有し、残部が鉄(Fe)及び不可避的不純物からなる、1チャージ250トンの高アルミニウム含有鋼を、湾曲型スラブ連続鋳造機を用い、組成及び特性値の異なる8種類のモールドパウダーを使用して、1.0m/minの鋳造速度で、厚み215mm、幅1250mmのスラブ鋳片に鋳造する試験を実施した。高アルミニウム含有鋼の溶鋼成分の代表例を表1に示す。
Figure 2016007610
使用したモールドパウダーの組成及び特性値を表2に示す。また、モールドパウダーの消費量、鋳造トラブルの有無、モールドパウダー巻き込み指数、及び、総合評価を表2に示す。表2において、モールドパウダーの組成及び特性値が本発明で規定した範囲内のモールドパウダーを使用した試験は、「本発明例」と表示し、それ以外は、「比較例」と表示している。
Figure 2016007610
表2に示すモールドパウダーの消費量は、定常鋳造状態において、20kgのモールドパウダーを鋳型内溶鋼湯面に撒布完了するまでの鋳造長を測定し、投入したモールドパウダーの質量(20kg)を、20kgのモールドパウダーの撒布開始から終了までに鋳造した鋳片の表面積(m2)で除算して求めたものである。
鋳造トラブルの有無は、ブレークアウトの発生や鋳型内溶鋼湯面での皮張りの発生の有無である。
また、モールドパウダー巻き込み指数は、鋳片から鋼板への製造過程における冷間圧延後の中間焼鈍ラインに設置した光学式表面欠陥計により検出した鋼板表面欠陥の個数をカウントし、鋼板の1000m長さあたりの欠陥個数に換算し、比較例1における表面欠陥発生個数を基準(=1.00)とし、比較例1に対する比で示したものである。
表2に示すように、本発明例1〜3では、モールドパウダー巻き込み指数は比較例1と比較して30〜46%減と大幅に減少した。また、本発明例1〜3では、モールドパウダーの粘度は比較例1よりも高いが、鋳型と凝固シェルとの潤滑の指標であるモールドパウダーの消費量は、目安(モールドパウダーによる潤滑不良に起因するブレークアウトなどの鋳造トラブルが生じない下限値)である0.20kg/m2を確保しており、鋳造トラブルの発生もなかった。
一方、比較例1〜4では、表面欠陥部の介在物をSEM(走査型電子顕微鏡)で位置特定し、その位置の組成をSEMに付属のEDX(エネルギー分散型X線分光法)装置で分析した結果、モールドパウダーの成分の一つであるナトリウム(Na)のピークが存在したことから、モールドパウダーの巻き込みが発生していたと判定できた。
比較例2、3においては、モールドパウダーの粘度が低いのみならず、Na2Oの含有量が10質量%を超えており、溶鋼と溶融モールドパウダーとの界面張力が下がり、モールドパウダーの巻き込みが増加したと推察される。
比較例4では、モールドパウダーのNa2O含有量を8.1質量%まで減少させ、粘度を比較例1と同等の0.30Pa・sにしたものの、モールドパウダーの巻き込みは減少しなかった。
比較例5では、モールドパウダーのNa2O含有量を2.8質量%まで大幅に減少させ、粘度を0.80Pa・sに高めた結果、懸念されたとおり、鋳型と凝固シェルとの潤滑が不足し、更に、スラグ化率も60質量%以下となってモールドパウダーの溶融不足も重なり、ブレークアウトが発生した。そのために、鋼板の評価は実施できなかった。
表2に示す総合評価は、モールドパウダーの消費量が0.20kg/m2を確保し、鋳造トラブルがなく、且つ、モールドパウダー巻き込み指数が1.00未満の試験鋳造を「○(=良好)」とし、それ以外を「×(=不良)」として表示したものである。

Claims (1)

  1. 炭素を0.01質量%以下、珪素を1.0〜3.5質量%、マンガンを0.1〜0.3質量%、アルミニウムを0.81〜1.50質量%、チタンを0.01〜0.1質量%含有する溶鋼を連続鋳造するにあたり、
    組成としてNa2Oを10質量%未満含有し、CaO/SiO2が質量比で0.51〜0.69で、1300℃における粘度が0.41〜0.70Pa・s、凝固温度が950〜1050℃、スラグ化率が60〜80質量%であるモールドパウダーを使用して前記溶鋼を連続鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
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