JP2016003242A - 新規ホスホニウム化合物およびエポキシ樹脂用硬化促進剤 - Google Patents

新規ホスホニウム化合物およびエポキシ樹脂用硬化促進剤 Download PDF

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将範 大賀
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Abstract

【課題】硬化特性の高いエポキシ樹脂系組成物を与える安全性に優れる硬化促進剤の提供。【解決手段】式(1)で表されるベタイン型ホスホニウム塩を少なくとも含むエポキシ樹脂用硬化促進剤、並びに当該硬化促進剤とエポキシ樹脂、及び硬化剤からなるエポキシ樹脂系組成物の提供。[R1〜R3は同一又は異なって、C1〜16の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基]【選択図】図1

Description

本発明は、エポキシ樹脂系組成物を硬化させる際、急峻な熱時硬度上昇を示し、一方で安全性にも優れるエポキシ樹脂用硬化促進剤、およびこのような硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂系組成物に関する。
従来より、エポキシ樹脂系組成物を用いると、優れた機械的、化学的および電気的性質を有する成形体などが得られるため、エポキシ樹脂系組成物は、接着剤、塗料、注型材料の形態でコイル、コンデンサー、プリント基板などの各種の電気部品、あるいは半導体素子や集積回路の絶縁封止などの用途に広く使用されている。
上記した用途の中で、半導体素子の絶縁封止の分野では、半導体素子の高集積化への要求が高いため、半導体パッケージの構造も進歩し続けている。
このため、封止材料としてのエポキシ樹脂系組成物の性能も、より優れたものが要求されている。
例えば、封止用エポキシ樹脂系組成物を用いて半導体素子を封止する際には、低コスト化と省エネルギー化といった観点から、成形サイクルが短い樹脂組成物が求められている。そして、短時間成形を行うために、硬化初期の熱時硬度を向上させる研究が行われている(特許文献1参照)。
そのような状況下にあって、エポキシ樹脂用の硬化促進剤としては、リン系、あるいはイミダゾール系が知られているが、硬化力が高く、かつ電気的信頼性の高い硬化物を得ることが出来る硬化促進剤として一般的にリン系が知られている。
上記リン系硬化促進剤としてトリス(4−メチルフェニル)ホスフィン(非特許文献1参照)、ダイホスフィン類(特許文献2、特許文献3参照)、ホスホニウムチオシアネート類(特許文献4、5、非特許文献2、3参照)、ホスホニウムジシアナミド類(特許文献6、7、非特許文献4参照)や、下記式(a)で示されるベタイン型ホスホニウム塩(以下、TPP−MAとする場合がある)をフェノール樹脂系硬化剤に加熱混合して得られるマスターバッチ等が挙げられる(特許文献8参照)。
Figure 2016003242
特許第3543854号公報 特開昭61−053321号公報 特許第3876944号公報 特開2009−298960号公報 特開2010−209150号公報 特開2012−017414号公報 特開2012−017292号公報 特許第2765420号公報
「ネットワークポリマー」合成樹脂工業協会発行(2012年)、Vol.33、No.3、p123〜129 エポキシ樹脂の配合設計と高機能化、サイエンス&テクノロジー発行(2008年)、「第2章 第5節 リン系硬化促進剤の特性と使い方」 第59回ネットワークポリマー講演討論会、講演要旨集「リン系硬化促進剤の硬化特性 〜ホスホニウムチオシアネート〜」(2009年) 第60回ネットワークポリマー講演討論会、講演要旨集「リン系硬化促進剤の硬化特性 〜ホスホニウムジシアナミド〜」(2010年)
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものである。すなわち、エポキシ樹脂系組成物を硬化させる際、急峻な熱時硬度上昇を示し、一方で安全性にも優れるエポキシ樹脂用硬化促進剤、およびこのような硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂系組成物を提供することである。
このような状況に鑑み、本発明者らは鋭意検討した。その結果、下記一般式(1)で表されるベタイン型ホスホニウム塩とフェノール樹脂系硬化剤を当該フェノール樹脂の軟化点以上に加熱下混合して得られるマスターバッチを硬化促進剤として配合すれば、特に硬化性能の高いエポキシ樹脂系組成物が得られ、一方で本化合物は急性経口毒性の指標であるLD50が300mg/kgより大きいため安全性にも優れることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
Figure 2016003242
[式中、R〜Rは、同一又は異なって、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
すなわち、本発明は以下の内容をその要旨とするものである。
〔1〕上記一般式(1)で表されるベタイン型ホスホニウム塩。
〔2〕下記式(2)で表される、〔1〕に記載のベタイン型ホスホニウム塩。
Figure 2016003242
〔3〕〔1〕、〔2〕のいずれかに記載のベタイン型ホスホニウム塩を少なくとも含むことを特徴とするエポキシ樹脂用硬化促進剤。
〔4〕〔3〕に記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤とフェノール樹脂系硬化剤を当該フェノール樹脂の軟化点以上に加熱下混合して得られるマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化促進剤。
〔5〕〔3〕、〔4〕のいずれかに記載の硬化促進剤とエポキシ樹脂、および硬化剤からなるエポキシ樹脂系組成物。
〔6〕硬化剤がフェノール樹脂であることを特徴とする〔5〕に記載のエポキシ樹脂系組成物。
〔7〕さらに無機充填物を含むことを特徴とする〔5〕、〔6〕のいずれかに記載のエポキシ樹脂系組成物。
〔8〕〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂系硬化物。
本発明のエポキシ樹脂用硬化促進剤を成分として含有するエポキシ樹脂系組成物は、従来の硬化促進剤を用いた場合と比べ、特に高い硬化力を有し、また安全性にも優れるため、極めて有用である。
後述の一般式(2)で表されるベタイン型ホスホニウム塩(以下、TPTP−MAとする場合がある)のH−NMRスペクトル。 TPTP−MAの31P−NMRスペクトル。 TPTP−MAのIRスペクトル。 150℃における熱時硬度の測定結果を示す図。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、下記一般式(1)で表されるベタイン型ホスホニウム塩である。
Figure 2016003242
[式中、R〜Rは、同一又は異なって、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
本発明にかかるベタイン型ホスホニウム塩の合成方法としては、該当するトリアリールホスフィンと無水マレイン酸を混合し、攪拌することにより得られる。ここで、トリアリールホスフィンを予め溶媒に溶解させておくことが好ましく、溶媒として代表的なものとしては、テトラヒドロフラン等である。また、無水マレイン酸も、予め溶媒に溶解させておくことが好ましく、代表的な溶媒としては、トルエン等が挙げられる。このように、反応前に予め出発物質を溶媒に溶解させておくことが、反応環境や作業性の観点から好ましいといえる。反応は、攪拌装置や還流冷却管を備えたフラスコ中で行うことが好ましく、室温で3時間程度撹拌すれば、目的とする反応物が析出し、結晶として得られる。
なお、上記一般式(1)で表されるベタイン型ホスホニウム塩は新規化合物であり、かつ、エポキシ樹脂用硬化促進剤として有効であることは、これまで知られていなかった。
本発明にかかる上記一般式(1)で表されるベタイン型ホスホニウム塩において、式中のR〜Rの炭素鎖が長くなると、工業的に入手し難い欠点がある。よって、本発明にかかるベタイン型ホスホニウム塩は、下記式(2)で表されるベタイン型ホスホニウム塩であることが特に好ましい。
Figure 2016003242
本発明にかかるエポキシ樹脂用硬化促進剤は、上記ベタイン型ホスホニウム塩の他にも、適宜エポキシ樹脂の硬化を促進する化合物を含んでもよい。
本発明にかかるエポキシ樹脂系組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、上記ベタイン型ホスホニウム塩もしくは上記ベタイン型ホスホニウム塩から得られるマスターバッチを少なくとも含有するエポキシ樹脂系組成物である。
本発明においてエポキシ樹脂組成物とは、前記エポキシ樹脂、硬化剤、ベタイン型ホスホニウム塩もしくは上記ベタイン型ホスホニウム塩から得られるマスターバッチを均一に混ぜ合わせた混合物を指し、エポキシ樹脂硬化物とは、当該エポキシ樹脂組成物にある特定の条件下で熱をかけることによってエポキシ樹脂が流動性を失って、硬化した固形物を指す。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、汎用的なエポキシ樹脂を用いることが可能であり、エポキシ基を分子中に2個以上含有するものであれば、制限なく使用することができる。例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、および脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。また、有姿でそのまま使用してもよく、適宜溶剤や添加材等を添加して使用することもできる。
<硬化剤>
硬化剤としては、フェノール樹脂、酸無水物、アミン、チオール系硬化剤、ジシアンジアミドなどを挙げることができる。
フェノール樹脂系硬化剤としては、特に限定されず、一般に硬化剤として使用される1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する汎用的なフェノール樹脂を用いることが可能であり、例えば、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等から合成されるノボラック型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから合成される、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;トリフェニルメタン型フェノール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、有姿でそのまま硬化剤として使用してもよく、適宜溶剤や添加材等を添加し、硬化剤組成物として使用することもできる。
酸無水物系硬化剤としては、特に限定されず、汎用的な酸無水物を用いることが可能であり、例えば、ヘキサヒドロフタル酸無水物、3−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、1−メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、1−メチルナジック酸無水物、5−メチルナジック酸無水物、ナジック酸無水物、3−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、4−メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸、グルタル酸無水物などが挙げられる。
アミン系硬化剤としては、特に限定されず、汎用的な芳香族アミン、脂肪族アミンなどを用いることが可能であり、例えば、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサンなどの脂環式ポリアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなどのピペラジン型のポリアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリオキシテトラメチレンビス(p−アミノベンゾエート)などが挙げられる。
チオール系硬化剤としては、特に限定されず、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセタート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどが挙げられる。
これらの硬化剤は、有姿でそのまま使用してもよく、適宜溶剤や添加材等を添加し、硬化剤組成物として使用することもできる。
<マスターバッチ>
本発明のマスターバッチは、フェノール樹脂系硬化剤とエポキシ樹脂用硬化促進剤を加熱下溶融することにより調製できる。ここで、加熱温度を好ましくは100℃〜180℃とすれば、容易に混合できる。また、均一なマスターバッチを調製することを目的とし、各種溶媒を用いてもよい。
<エポキシ樹脂系組成物>
エポキシ樹脂系組成物は、線膨張率を小さくするために、公知の各種無機充填剤を含有することができる。無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化アルミニウムなどを挙げることができる。またそれらは、シランカップリング剤などのカップリング剤で表面処理してもよい。
その他、エポキシ樹脂系組成物に添加される公知の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、イオントラップ剤、離型剤、カーボンブラックなどの顔料などが挙げられる。また、エポキシ樹脂以外の樹脂を含むこともできる。
エポキシ樹脂系組成物のうち、本発明にかかるベタイン型ホスホニウム塩の含有量は、純量として、硬化性エポキシ樹脂100重量部に対して0.5重量部〜10重量部であることが好ましい。かかる含有量が0.5重量部より少ないと、硬化促進効果を十分に発揮することができない場合があり、また、10重量部より多いと、組成物の貯蔵安定性を損なうからである。硬化促進効果をより厳密に考慮すれば、かかる含有量を1重量部〜5重量部とすることが更に好ましい。
硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂中のエポキシ当量と、硬化剤の当量との当量比を考慮して決定される。一般的には、エポキシ当量と硬化剤の当量との当量比を1:1程度とするのが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂系組成物は、前記各成分を前記所定割合で混合することにより調製できる。好ましい調製方法として、硬化剤とエポキシ樹脂用硬化促進剤の混合物を加熱後、冷却し、続いてエポキシ樹脂と混合し、加熱後、冷却することが好ましい。
硬化剤とエポキシ樹脂用硬化促進剤の混合物を加熱するのは、硬化剤の粘度を低下させることで混合を容易とし、かかる硬化剤と硬化促進剤が均一となるように撹拌するためである。ここで、加熱温度を好ましくは40℃〜180℃とすれば、容易に混合できる。
エポキシ樹脂と混合する前に、上記混合物を予め冷却することが好ましいのは、上記したようにエポキシ当量と硬化剤の当量との当量比が1:1となるよう、上記混合物を正確に計量する必要があるためであり、その際の取り扱いを容易とするためである。
冷却された、硬化剤とエポキシ樹脂用硬化促進剤との混合物を、エポキシ樹脂と加熱混合することで、エポキシ樹脂系組成物となる。
また、硬化剤、エポキシ樹脂用硬化促進剤、および硬化性エポキシ樹脂の各成分は、各混合工程において1度に混合してもよく、または複数回に分けて少しずつ混合してもよい。また、上記溶剤や添加剤、無機充填剤等を混合する場合も、同様に、任意の時期に1度または複数回に分けて混合することができる。
なお、硬化剤とエポキシ樹脂用硬化促進剤との混合や、エポキシ樹脂との混合の際は、均一に攪拌、混合することを容易とするため、ロールやニーダーなどの混練機等を用いることが好ましい。
<エポキシ樹脂系硬化物>
エポキシ樹脂系硬化物は、上記説明した本発明のエポキシ樹脂系組成物を、硬化温度80〜250℃程度で硬化時間30秒〜15時間加熱することで得ることができる。
以下、実施例及び試験例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>
トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン100gをテトラヒドロフラン300gに溶解して得られる溶液に、無水マレイン酸33gをトルエン165gに溶解した溶液を添加した後、室温で3時間攪拌し、反応を進行させた。反応終了後、析出した結晶を濾取し、トルエンで洗浄後、乾燥させた。このようにして得られた褐色粉末の収量は95gであり、収率は72%であった。また、褐色粉末の融点は161〜163℃であった。
このようにして得られた褐色粉末を、H−NMR、31P−NMR,およびIR測定等を用いて分析を行い、合成例により得られた褐色粉末は、下記式(2)で表されるベタイン型ホスホニウム塩(以下、TPTP−MAとする)であることを確認した。
Figure 2016003242
各スペクトルデータを図1〜図3に示す。なお、各測定条件は以下の通りである。
H−NMR測定:粉末10mgを約0.5mlの重クロロホルムに溶かし、φ5mmの試料管に入れ、日本電子(株)製JNM−ECS400で測定した。シフト値は、テトラメチルシランを基準とした。
31P−NMR測定:粉末10mgを約0.5mlの重クロロホルムに溶かし、φ5mmの試料管に入れ、日本電子(株)製JNM−ECS400で測定した。シフト値は、リン酸を基準とした。
IR測定:(株)島津製作所製FTIR−8300を用い、拡散反射法で測定した。
Figure 2016003242
合成したTPTP−MAの化学式を上記式(4)に示した上で、各測定結果について説明する。
まず、図1には、H−NMRスペクトルを示している。図中のピークとしては、7.3ppm〜7.6ppm付近にベンゼン環(式(4)Aに相当)に起因するシグナルがみられ、2.4ppm付近にメチル基(式(4)Bに相当)に起因するシグナルが見られ、3.2ppm付近にメチレン基(式(4)Cに相当)に起因するシグナルが見られた。なお、0ppmのシグナルは、テトラメチルシランに起因するものであり、7.2ppm付近のシグナルは、重溶媒に含まれていたCHClに起因するものである。
次に、図2には、31P−NMRスペクトルを示している。図中の13.5ppm付近には、リンに起因するシグナルがみられた。なお、0ppmのシグナルは、リン酸に起因するものである。
そして、図3は、IRスペクトルを示している。図中のピークとしては、1700cm‐1付近にカルボニル基に起因するピークが見られ、1500cm‐1および1600cm‐1付近に4−メチルフェニル基に起因するピークが見られ、1100cm‐1付近にエーテルに起因するピークが見られる。
<製造例2>
フェノール樹脂系硬化剤のMEH−7851M(水酸基当量214、明和化成社製)80重量部に、製造例1で得たTPTP−MA20重量部を加え、150℃で2時間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しマスターバッチ1を得た。
<製造例3>
フェノール樹脂系硬化剤のMEH−7851M(水酸基当量214、明和化成社製)80重量部に、TPP−MA20重量部を加え、150℃で2時間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しマスターバッチ2を得た。
<実施例1>
フェノール樹脂系硬化剤のMEH−7851M(水酸基当量214、明和化成社製)190重量部に、マスターバッチ1を30.2重量部加え、140℃で2分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却した。これにエポキシ樹脂のNC−3000(エポキシ当量274、日本化薬社製)280重量部を加え、120℃で2分加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しエポキシ樹脂系組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は、1.0である。
<比較例1>
マスターバッチ1の30.2重量部に代えて、マスターバッチ2を27.2重量部使用し、MEH−7851Mの使用量を190重量部から193重量部に代えた以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物を得た。
<比較例2>
マスターバッチ1の30.2重量部に代えて、トリフェニルホスフィンを3.0重量部使用し、MEH−7851Mの使用量を190重量部から214重量部に代えた以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物を得た。
<比較例3>
マスターバッチ1の30.2重量部に代えて、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンを3.4重量部使用し、MEH−7851Mの使用量を190重量部から214重量部に代えた以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物を得た。
<比較例4>
マスターバッチ1の30.2重量部に代えて、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンを5.1重量部使用し、MEH−7851Mの使用量を190重量部から214重量部に代えた以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂系組成物を得た。
〔ゲルタイム測定〕
JIS K 6910記載のゲル化時間測定方法に準じ、鋼板温度を150℃として、実施例1および比較例1〜4で得られたエポキシ樹脂系組成物のゲルタイム(GT)を日新科学社製GT−Dを使用して測定した。
なお、各硬化促進剤を配合した実施例および比較例は、硬化促進剤の配合量を調整することで、ゲルタイムを一致させた。
〔熱時硬度測定〕
実施例1および比較例1〜4で得られたエポキシ樹脂系組成物の熱時硬度を、デュロメーターにより経時測定した。デュロメーターとしてはテクロック社製デュロメーターGS−720G(JIS K6253、JIS K7215準拠、タイプD)を使用し、エポキシ樹脂系組成物を150℃熱板上で測定した。
〔急性経口毒性試験〕
製造例1で合成した硬化促進剤の安全性試験は、マウスを用いてOECD TG423(毒性等級法)に準拠して実施した。
実施例1および比較例1〜4で得られたエポキシ樹脂系組成物の150℃におけるゲルタイム測定結果を表1に示し、硬化反応時の熱時硬度測定結果を図4に示す。
なお、表1中、「TPP」はトリフェニルホスフィンを示し、「TPTP」はトリス(4−メチルフェニル)ホスフィンを示し、「DPPB」は1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンを示す。
Figure 2016003242
表1に示すように、各硬化促進剤を配合した実施例および比較例は、硬化促進剤の配合量を調整することで、ゲルタイムを一致させた。その上で、図4に示す150℃における硬化反応時の熱時硬度測定結果を見ると、各例において熱時硬化の挙動に違いが認められた。具体的には、実施例1のエポキシ樹脂系組成物は、比較例1〜4と比較して、硬化反応時における熱時硬度の上昇が急峻となった。すなわち、本発明のTPTP−MAを用いれば、従来のリン系硬化促進剤を用いた場合と比べ、ゲルタイムが同じであっても、熱時硬度の観点から、優れた硬化特性を示すことは、明らかである。
また、製造例1で合成した硬化促進剤の急性経口毒性試験の結果は、>300(mg/Kg)となり、普通物相当であることが確認された。
本発明のエポキシ樹脂系組成物は、硬化特性に優れていることが明らかであり、また一方で安全性にも優れるため、例えば、各種の小型の電気・電子部品や半導体部品の樹脂封止において有用である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表されるベタイン型ホスホニウム塩。
    Figure 2016003242
    [式中、R〜Rは、同一又は異なって、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]
  2. 下記式(2)で表される、請求項1に記載のベタイン型ホスホニウム塩。
    Figure 2016003242
  3. 請求項1、2のいずれかに記載のベタイン型ホスホニウム塩を少なくとも含むことを特徴とするエポキシ樹脂用硬化促進剤。
  4. 請求項3に記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤とフェノール樹脂系硬化剤を当該フェノール樹脂の軟化点以上に加熱下混合して得られるマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化促進剤。
  5. 請求項3、4のいずれかに記載の硬化促進剤とエポキシ樹脂、および硬化剤からなるエポキシ樹脂系組成物。
  6. 硬化剤がフェノール樹脂であることを特徴とする請求項5に記載のエポキシ樹脂系組成物。
  7. さらに無機充填物を含むことを特徴とする請求項5、6のいずれかに記載のエポキシ樹脂系組成物。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂系硬化物。
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