JP2016001201A - 反射防止性を有するガラスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンチグレア性と反射防止性をともに有するガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】反射防止性を有するガラスの製造方法であって、(a)アンチグレア性を有する表面を有するガラス基板を準備するステップと、(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の前記表面に、フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップと、を有することを特徴とする製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】反射防止性を有するガラスの製造方法であって、(a)アンチグレア性を有する表面を有するガラス基板を準備するステップと、(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の前記表面に、フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップと、を有することを特徴とする製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、反射防止性を有するガラスの製造方法に関する。
例えば、建材用ガラス、ディスプレイパネル用ガラス、光学素子、太陽電池パネル用ガラス、ショーウィンドウガラス、光学ガラス、およびメガネレンズなど、各種ガラス製品において、高い光透過性が要求される場合がある。このような場合、反射防止性を有するガラス基板が使用される。
そのような反射防止性を有するガラス基板は、例えば、浸漬法により、ガラス基板の表面に低屈折率材料をコーティングしたり、蒸着法またはスパッタ法等の乾式法により、ガラス基板の表面に多層膜を形成したりすることにより、構成することができる。
前述のように、高い光透過性が要求されるガラス製品を製造する場合、各種方法で表面に反射防止膜を形成したガラス基板が使用される。
一方、例えば、前述のようなガラス製品に対して、反射によるぎらつきを抑制するため、アンチグレア性が要求される場合がある。この場合、ガラス基板の表面を意図的に粗くし、表面にμmオーダの凹凸を形成する処理を行うことが必要となる。
しかしながら、表面にそのような凹凸を有するガラス基板に対して、適正に反射防止膜を形成することは、極めて難しいという問題がある。また、形成された反射防止膜の膜厚が所定の範囲からずれていたり、膜厚の均一性が悪かったりすると、ガラス基板に対して、所望の反射防止性を発現させることができなくなってしまう。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、本発明では、アンチグレア性と反射防止性をともに有するガラスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、反射防止性を有するガラスの製造方法であって、
(a)アンチグレア性を有する表面を有するガラス基板を準備するステップと、
(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の前記表面に、フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップと、
を有することを特徴とする反射防止性を有するガラスの製造方法が提供される。
(a)アンチグレア性を有する表面を有するガラス基板を準備するステップと、
(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の前記表面に、フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップと、
を有することを特徴とする反射防止性を有するガラスの製造方法が提供される。
ここで、本発明による製造方法において、前記フッ素化合物は、フッ化水素および/またはトリフロロ酢酸を含んでも良い。
また、本発明による製造方法において、前記処理ガス中のフッ化水素ガスの濃度は、0.1vol%〜10vol%の範囲であっても良い。
また、本発明による製造方法において、前記処理ガスは、さらに、窒素および/またはアルゴンを含んでも良い。
また、本発明による製造方法において、前記(b)のステップの後のガラス基板の前記表面の算術平均粗さRaは、10nm以上であり、最大高さ粗さRzは、0.3μm以上であっても良い。
また、本発明による製造方法では、前記(b)のステップにおいて、前記ガラス基板は、搬送された状態で前記処理ガスに接触しても良い。
また、本発明による製造方法において、前記ガラス基板の上部には、インジェクタが配置され、
前記処理ガスは、前記インジェクタから、前記ガラス基板に向かって放出されても良い。
前記処理ガスは、前記インジェクタから、前記ガラス基板に向かって放出されても良い。
また、本発明による製造方法において、インジェクタの配置は、前記ガラス基板の上部に限定されず下部に配置されても良い。また、前記ガラス基板が前記インジェクタの下を通過する時間は、1秒〜120秒の間であっても良い。
また、本発明による製造方法において、前記(b)のステップ後の前記ガラス基板の全光線透過率と、前記(a)のステップ後前記(b)のステップ前の前記ガラス基板の全光線透過率との差ΔTtは、1%以上であっても良い。
また、本発明による製造方法において、前記(a)のステップは、ガラス基板に対して、ブラスト処理、湿式処理、および型押し処理からなる群から選定された少なくとも一つを実施するステップを有しても良い。複数の処理を組み合わせて良い。
また、本発明による製造方法において、前記(b)のステップ後の前記ガラス基板の前記表面における光沢度は、70%以下であっても良い。
また、本発明による製造方法において、前記ガラスは、太陽電池用のパネルまたはディスプレイ用のパネルであっても良い。
本発明では、アンチグレア性と反射防止性をともに有するガラスの製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明について詳しく説明する。
本発明では、反射防止性を有するガラスの製造方法であって、
(a)アンチグレア性を有する表面を有するガラス基板を準備するステップと、
(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の前記表面に、気体状フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップと、
を有することを特徴とする製造方法が提供される。
(a)アンチグレア性を有する表面を有するガラス基板を準備するステップと、
(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の前記表面に、気体状フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップと、
を有することを特徴とする製造方法が提供される。
前述のように、高い光透過性が要求されるガラス製品を製造する場合、各種方法で表面に反射防止膜を形成したガラス基板が使用される。
一方、例えば、前述のようなガラス製品に対して、反射によるぎらつきを抑制するため、アンチグレア性が要求される場合がある。この場合、ガラス基板の表面を意図的に粗くし、表面に凹凸を形成する処理を行うことが必要となる。
しかしながら、表面にそのような凹凸を有するガラス基板に対して、適正に反射防止膜を形成することは、極めて難しいという問題がある。また、形成された反射防止膜の膜厚が所定の範囲からずれていたり、膜厚の均一性が悪いと、ガラス基板に対して、所望の反射防止性を発現させることができなくなってしまう。
これに対して、本発明によるガラスの製造方法は、ガスを用いたエッチングにより、反射防止性を発現させる。そのため、従来の積層法のような反射防止性を発現させる手法において必須となる、ガラス基板の表面における精密な屈折率制御、膜厚制御が本発明では必要ではない。
本発明によるガラスの製造方法は、(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の表面に、気体状フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップを有するという特徴を有する。
このステップでは、凹凸を有するガラス基板の表面を、例えば、1nm〜200nmのオーダでエッチング処理することができる。なお、本願発明者らによれば、この程度の微細なエッチング処理によっても、ガラス基板に対して、反射防止性を発現させることができることが確認されている。
このように、本発明による製造方法では、微細なエッチング処理により、ガラス基板に反射防止性を発現させる。このため、本発明による製造方法では、ガラス基板の表面に予め形成されている凹凸形状に左右されることなく、ガラス基板の表面に均一な厚さで略直交する(深さ)方向に微細な凹凸をさらに形成し、ガラス基板に対して、反射防止性を付与する処理を適正に実施することができる。従って、本発明による製造方法では、アンチグレア性を有するガラス基板、例えば表面にμmオーダの凹凸を有するガラス基板に対しても、反射防止性を付与する処理を適正に実施することができる。
このような効果により、本発明では、アンチグレア性と反射防止性をともに有するガラスの製造方法を提供することができる。
(本発明の一実施例による製造方法について)
次に、図面を参照して、本発明の一実施例による反射防止性ガラスの製造方法について、詳しく説明する。
次に、図面を参照して、本発明の一実施例による反射防止性ガラスの製造方法について、詳しく説明する。
図1には、本発明の一実施例によるガラスの製造方法のフローを概略的に示す。
図1に示すように、本発明の一実施例によるガラスの製造方法は、
(a)アンチグレア性を有する表面を有するガラス基板を準備するステップ(ステップS110)と、
(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の前記表面に、フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップ(ステップS120)と、
を有する。
(a)アンチグレア性を有する表面を有するガラス基板を準備するステップ(ステップS110)と、
(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の前記表面に、フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップ(ステップS120)と、
を有する。
以下、各ステップについて説明する。
(ステップS110)
まず、ガラス基板が準備される。
まず、ガラス基板が準備される。
ガラス基板の種類は、特に限られない。ガラス基板には、例えば、ソーダライムガラス、ソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、およびその他の各種ガラスからなる透明ガラス基板を用いることができる。
特に、ガラス基板は、ソーダライムシリケートガラスまたはアルミノシリケートガラスのような、アルカリ元素、アルカリ土類元索、および/またはアルミニウムが含まれることが好ましい。
特に、ガラス基板は、ソーダライムシリケートガラスまたはアルミノシリケートガラスのような、アルカリ元素、アルカリ土類元索、および/またはアルミニウムが含まれることが好ましい。
ガラス基板に、アルカリ元素、アルカリ土類元素、および/またはアルミニウムが含まれる場合、以降のステップS120でのエッチング処理の際に、ガラス基板の表面にフッ素化合物が残留しやすくなる。
このような残留フッ素化合物は、ガラス基板の光透過率の向上に寄与する。すなわち、残留フッ素化合物の屈折率(n1)は、通常、ガラス基板の屈折率(n2)と、空気の屈折率(n0)の間の屈折率を有する。このため、ガラス基板、フッ素化合物、および空気がこの順に配置されることにより、全体としての反射率が低下し、結果的に、ガラス基板の光透過率が向上する。
ガラス基板は、350nm〜800nmの波長領城に高い透過率、例えぱ80%以上の透過率を有することが好ましい。また、ガラス基板は、十分な絶縁性を有し、化学的物理的耐久性が高いことが望ましい。
ガラス基板の製造方法は、特に限られない。ガラス基板は、例えばフロート法で製造しても良い。
ガラス基板の製造方法は、特に限られない。ガラス基板は、例えばフロート法で製造しても良い。
ガラス基板の厚さは、特に限られないが、例えば、0.1mm〜12mmの範囲であっても良い。
なお、ガラス基板は、必ずしも平面状である必要はなく、ガラス基板は、曲面状であっても、異型状であっても良く、例えば、表面にガラス成形時の成形ローラー表面模様が形成された、「型板」と呼ばれるガラスであっても良い。
次に、ガラス基板に対して、アンチグレア性を付与する処理(以下、「アンチグレア処理」と称する)が実施される。
次に、ガラス基板に対して、アンチグレア性を付与する処理(以下、「アンチグレア処理」と称する)が実施される。
アンチグレア処理は、例えば、ガラス基板の表面を粗くし、表面に凹凸を形成することにより実施される。
このような表面に凹凸を形成する処理は、例えば、ブラスト処理、湿式処理、または型押し処理によって実施されても良い。
このうち、ブラスト処理は、ガラス基板の表面にアルミナ等のメディアを衝突させて表面を粗くする処理(例えば、サンドブラスト処理、ウオータブラスト処理、およびドライアイスブラスト処理等)の総称を意味する。また、湿式処理は、ガラス基板を各種溶液中に浸漬させて、表面を粗くする処理の総称を意味する。さらに、型押し処理は、型板ガラスのようにガラス基板の表面に凹凸パターンを有する型を押し付けて、ガラス基板にパターンを転写させる処理の総称を意味する。
なお、上記例では、ガラス基板の表面を不均一に「除去」することにより、ガラス基板の表面を粗くし、アンチグレア性を付与する処理について説明した。しかしながら、「アンチグレア処理」は、このような態様に限られない。例えば、ガラス基板の表面に、部分的にガラス基板を構成する材料と同種の材料または別の材料を不均一に「付与」するコーティング処理により、(例えば、シリカコーティング)ガラス基板の表面に凹凸を形成しても良い。
以上のようなアンチグレア処理により、ガラス基板の表面には、例えば、μmオーダ以上のオーダの凹凸が形成される。ガラス基板の「アンチグレア性」は、JIS B 0601 2001に準拠する測定方法によって得られるガラス基板の最大高さ粗さRzで表され、例えば、0.3μm〜10μmの範囲であっても良い。
アンチグレア処理後のガラス基板の光沢度は、例えば、70%以下であり、65%以下であることが好ましく、60%以下であることがさらに好ましい。
なお、本願において、ガラス基板の「光沢度」は、JIS Z 8741に準拠する測定方法によって得られた値を意味する。
光沢度は、反射率を反映する数値であるため、基板表面の形状は同等であっても反射防止性能が向上することによって、光沢度は低下する。
以上の処理により、アンチグレア性を有するガラス基板を得ることができる。
(ステップS120)
次に、前述のステップS110で準備されたガラス基板がフッ素化合物を含む処理ガスに晒され、ガラス基板のエッチング処理が実施される。この処理は、ガラス基板のステップS110においてアンチグレア処理された表面に対して実施される。また、エッチング処理は、常圧の大気雰囲気下で実施される。
次に、前述のステップS110で準備されたガラス基板がフッ素化合物を含む処理ガスに晒され、ガラス基板のエッチング処理が実施される。この処理は、ガラス基板のステップS110においてアンチグレア処理された表面に対して実施される。また、エッチング処理は、常圧の大気雰囲気下で実施される。
この工程は、ガラス基板の表面に、例えば1nm〜200nmのオーダの微細な凹凸を形成するために実施される。これらの微細な凹凸の存在により、ガラス基板に対して、反射防止性が付与される。
前述のように、この処理によってエッチングされるガラス基板のエッチング量は、nmオーダであり、極めて微細である。このため、エッチング処理は、ステップS110においてガラス基板に発現させたアンチグレア性に対しては、ほとんど影響を及ぼさないことに留意する必要がある。
エッチング処理は、250℃〜650℃の範囲で実施される。処理温度は、275℃〜600℃の範囲であることが好ましく、300℃〜600℃の範囲であることがより好ましい。
エッチング処理に使用されるフッ素化合物の種類は、ガラス表面でのエッチングの際にフッ化水素を含むガスであれば、特に限られない。フッ素化合物を含む処理ガスの原料としては、例えば、フッ化水素、および/またはトリフロロ酢酸であっても良い。フッ化水素およびトリフルオロ酢酸は、非爆発性のため、安全性の観点から好ましい。トリフルオロ酢酸は、ガラス表面の温度により熱分解しフッ化水素を発生する。
処理ガスは、気体状フッ素化合物の他、キャリアガスを含んでも良い。キャリアガスとしては、これに限られるものではないが、例えば、窒素および/またはアルゴン等が使用される。
処理ガス中のフッ素化合物の濃度は、ガラス基板の表面が適正にエッチング処理される限り、特に限られない。処理ガス中のフッ素化合物の濃度は、例えば、0.1vol%〜10vol%の範囲であり、0.3vol%〜8vol%の範囲であることが好ましく、0.5vol%〜5vol%の範囲であることがより好ましい。
ガラス基板のエッチング処理は、ガラス基板を搬送させた状態で実施しても良い。この場合、より迅速な処理が可能となる。
図2には、ガラス基板180を搬送させた状態で、ガラス基板のエッチング処理を実施するための処理装置の一構成例を示す。なお、以下の記載では、一例として、気体状フッ素化合物がフッ化水素ガスである場合を例に説明する。
図2に示すように、この処理装置100は、インジェクタ110と、搬送手段150とを備える。
搬送手段150は、上部に置載されたガラス基板180を、矢印F201に示すように、水平方向(X方向)に搬送することができる。
インジェクタ110は、搬送手段150およびガラス基板180の上方に配置される。
インジェクタ110は、処理ガスの流通路となる複数のスリット115、120、および125を有する。すなわち、インジェクタ110は、中央部分に鉛直方向(Z方向)に沿って設けられた第1のスリット115と、該第1のスリットを取り囲むように、鉛直方向(Z方向)に沿って設けられた第2のスリット120と、該第2のスリット120を取り囲むように、鉛直方向(Z方向)に沿って設けられた第3のスリット125とを備える。
第1のスリット115の一端(上部)は、フッ化水素ガス源(図示されていない)に接続されており、第1のスリット115の他端(下部)は、ガラス基板180の方に配向される。同様に、第2のスリット120の一端(上部)は、キャリアガス源(図示されていない)に接続されており、第2のスリット120の他端(下部)は、ガラス基板180の方に配向される。第3のスリット125の一端(上部)は、排気系(図示されていない)に接続されており、第3のスリット125の他端(下部)は、ガラス基板180の方に配向される。
処理装置100を使用して、ガラス基板180のエッチング処理を実施する場合、まず、フッ化水素ガス源(図示されていない)から、第1のスリット115を介して、矢印F205の方向に、フッ化水素ガスが供給される。また、キャリアガス源(図示されていない)から、第2のスリット120を介して、矢印F210の方向に、窒素等のキャリアガスが供給される。これらのガスは、矢印F215に沿って水平方向(X方向)に移動した後、排気系により第3のスリット125を介して、処理装置100の外部に排出される。
なお、第1のスリット115には、フッ化水素ガスに加えて、キャリアガスを同時に供給しても良い。
ガラス基板180は、搬送手段150により、矢印F201の方向に搬送される。
ガラス基板180は、インジェクタ110の下側を通過する際に、第1のスリット115および第2のスリット120から供給された処理ガス(フッ化水素ガス+キャリアガス)に接触する。これにより、ガラス基板180の表面がエッチング処理される。
なお、ガラス基板180の表面に供給された処理ガスは、矢印F215のように移動してエッチング処理に使用された後、矢印F220のように移動して、排気系に接続された第3のスリット125を介して、処理装置100の外部に排出される。
処理装置100を使用することにより、ガラス基板を搬送しながら、処理ガスによる表面のエッチング処理を実施することができる。この場合、反応容器を使用して、エッチング処理を実施する方法に比べて、処理効率を向上させることができる。また、処理装置100を使用した場合、大型のガラス基板に対してもエッチング処理を適用することができる。
ここで、ガラス基板180への処理ガスの供給速度は、特に限られない。処理ガスの供給速度は、例えば、5SLM〜1000SLM(標準状態の気体における毎分当たりの体積(リットル))の範囲であっても良い。
また、ガラス基板180の搬送速度は、例えば、1m/分〜20m/分である。
また、ガラス基板180のインジェクタ110の通過時間は、1秒〜120秒の範囲であり、5秒〜60秒の範囲であることが好ましく、5秒〜30秒の範囲であることがより好ましい。ガラス基板180のインジェクタ110の通過時間を120秒以下とすることにより、迅速なエッチング処理を実施することができる。
ここで、「インジェクタ110の通過時間」とは、ガラス基板180のある決められた領域が図2の距離Sを通過する時間を意味するものとする。なお、距離Sは、ガラス基板180の搬送方向に対して、インジェクタ110の最上流側のスリット(図2の例ではスリット125)の上流端から最下流側のスリット(図2の例ではスリット125)の下流端の間の距離で定められる。
このように、処理装置100を使用することにより、搬送状態のガラス基板に対して、エッチング処理を実施することができる。
なお、図2に示した処理装置100は、単なる一例に過ぎず、その他の装置を使用して、フッ化水素ガスを含む処理ガスによるガラス基板のエッチング処理を実施しても良い。例えば、図2の処理装置100では、静止しているインジェクタ110に対して、ガラス基板180が相対的に移動する。しかしながら、これとは逆に、静止しているガラス基板に対して、インジェクタを水平方向に移動させても良い。あるいは、ガラス基板とインジェクタの両者を、相互に反対方向に移動させても良い。
また、図2の処理装置100では、インジェクタ110は、合計3つのスリット115、120、125を有する。しかしながら、スリットの数は、特に限られない。例えば、スリットの数は、2つであっても良い。この場合、一つのスリットが処理ガス(キャリアガスとフッ化水素ガスの混合ガス)供給用に利用され、別のスリットが排気用に利用されても良い。
さらに、図2の処理装置100では、インジェクタ110の第2のスリット120は、第1のスリット115を取り囲むように配置され、第3のスリット125は、第1のスリット115および第2のスリット120を取り囲むように設けられている。しかしながら、この代わりに、第1のスリット、第2のスリット、および第3のスリットを、水平方向(X方向)に沿って一列に配列しても良い。この場合、処理ガスは、ガラス基板の表面を、一方向に沿って移動し、その後、第3のスリットを介して排気される。
以上の(ステップS110)および(ステップS120)の工程により、アンチグレア性と反射防止性をともに有するガラスを製造することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
以下の方法により、アンチグレア性を有する反射防止性ガラスを製造し、その特性を評価した。
以下の方法により、アンチグレア性を有する反射防止性ガラスを製造し、その特性を評価した。
(アンチグレア処理)
まず、厚さ3mmのガラス基板(ソーダライムガラス)の一方の表面に対して、アンチグレア処理を実施した。
まず、厚さ3mmのガラス基板(ソーダライムガラス)の一方の表面に対して、アンチグレア処理を実施した。
アンチグレア処理は、湿式処理により実施した。具体的には、アンチグレア処理は、ガラス基板の一方の表面を、室温のフッ酸溶液中に30分間浸漬することにより実施した。これにより、「実施例1に係るアンチグレア基板」が得られた。
実施例1に係るアンチグレア基板の表面の光沢度を測定した。光沢度の測定には、グロスチェッカーIG−331、堀場製作所製)を使用し、JIS Z8741に基づいて、60゜光沢度を測定した。測定の結果、実施例1に係るアンチグレア基板の60゜光沢度は、56%であり、有意なアンチグレア性が得られていることが確認された。
(エッチング処理)
次に、前述のように処理された実施例1に係るアンチグレア基板を用いて、HFガスによるエッチング処理を実施した。エッチング処理には、前述の図2に示した処理装置100を使用した。
次に、前述のように処理された実施例1に係るアンチグレア基板を用いて、HFガスによるエッチング処理を実施した。エッチング処理には、前述の図2に示した処理装置100を使用した。
処理装置100において、第1のスリット115には、フッ化水素ガスと窒素ガスの混合ガスを、34cm/秒の流速で供給した。フッ化水素ガスの供給量は、1.0SLM(標準状態の気体における毎分当たりの体積(リットル))とし、窒素ガスの供給量は、31.0SLM(標準状態の気体における毎分当たりの体積(リットル))とした。なお、混合ガスは、150℃に加熱した状態で供給した。
また、第2のスリット120には、34cm/秒の流速で窒素ガスを供給した。窒素ガスの温度は、150℃とし、窒素ガスの供給量は、10SLMとした。
全供給ガスに対するフッ化水素ガスの濃度は、2.4vol%である。
第3のスリット125からの排気量は、供給ガスの供給量の2倍とした。
実施例1に係るアンチグレア基板の搬送速度は、2m/分とし、実施例1に係るアンチグレア基板は、580℃に加熱した状態で搬送した。なお、実施例1に係るアンチグレア基板の温度は、処理ガスを供給する直前に、放射温度計を用いて測定した値である。
エッチング処理時間(図2において、ガラス基板が距離Sを通過する時間)は、約10秒とした。
この処理後に、実施例1に係るアンチグレア基板のエッチング処理表面には、多数のnmオーダの凹凸が形成された。以下、得られた実施例1に係るアンチグレア基板を「実施例1に係るガラス」と称する。
(評価)
実施例1に係るガラスを用いて、反射防止性の評価を行った。
実施例1に係るガラスを用いて、反射防止性の評価を行った。
ガラスの反射防止性は、全光線透過率を測定することにより評価した。全光線透過率は、ヘーズメータHZ−2(スガ試験機)を使用して、JIS K7361−1に基づいて実施した。光源は、C光源とした。
測定の結果、実施例1に係るガラスの全光線透過率Ttは、94.9%であった。
なお、アンチグレア処理およびエッチング処理のいずれも実施する前のガラス基板に対して、同様の測定を行ったところ、全光線透過率Ttは、91.7%であった。また、実施例1に係るアンチグレア基板に対して、同様の測定を行ったところ、全光線透過率Ttは、92.4%であった。この結果から、未処理ガラス基板に対する実施例1に係るガラスの透過率上昇値は、3.2%である。また、実施例1に係るアンチグレア基板に対する実施例1に係るガラスの透過率上昇値ΔTtは、2.5%である。
このように、実施例1に係るガラスでは、未処理ガラス基板および実施例1に係るアンチグレア基板に比べて、有意に高い反射防止性が得られることがわかった。
次に、前述の方法で、実施例1に係るガラスの60゜光沢度を測定した。測定の結果、実施例1に係るガラスの60゜光沢度は、30%であった。
次に、実施例1に係るガラスの処理表面の粗さを、JIS B0601:2001に基づいて測定した。走査型プローブ顕微鏡(SPI3800N:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いた測定の結果、実施例1に係るガラスの表面の算術平均粗さRaは、70nmであった。また、実施例1に係るガラスの表面の最大高さ粗さRzは、0.486μmであった。なお、これらの測定は、サンプルの2μm×2μmの領域で、取得データ数1024×1024として、実施した。
このように、実施例1に係るガラスでは、アンチグレア性を有するとともに、有意な低反射性を有することが確認された。
(実施例2)
以下の方法により、アンチグレア性を有する反射防止性ガラスを製造し、その特性を評価した。
以下の方法により、アンチグレア性を有する反射防止性ガラスを製造し、その特性を評価した。
(アンチグレア処理)
まず、厚さ3mmのガラス基板(ソーダライムガラス)の一方の表面に対して、アンチグレア処理を実施した。
まず、厚さ3mmのガラス基板(ソーダライムガラス)の一方の表面に対して、アンチグレア処理を実施した。
アンチグレア処理は、ガラス基板の一方の表面をサンドブラスト処理することにより実施した。これにより、「実施例2に係るアンチグレア基板」が得られた。
前述の方法により、実施例2に係るアンチグレア基板の表面の光沢度を測定した。測定の結果、60゜光沢度は、32%であり、有意なアンチグレア性が得られていることが確認された。
(エッチング処理)
次に、実施例2に係るアンチグレア基板を用いて、前述の実施例1と同様の方法で、HFガスによるエッチング処理を実施した。ただし、この実施例2では、実施例2に係るアンチグレア基板の温度は、530℃とした。その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
次に、実施例2に係るアンチグレア基板を用いて、前述の実施例1と同様の方法で、HFガスによるエッチング処理を実施した。ただし、この実施例2では、実施例2に係るアンチグレア基板の温度は、530℃とした。その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
このエッチング処理後に、実施例2に係るアンチグレア基板の処理表面には、多数のnmオーダの凹凸が形成された。以下、得られたガラス基板を「実施例2に係るガラス」と称する。
(評価)
実施例2に係るガラスを用いて、前述の方法により、全光線透過率Ttの測定を行った。測定の結果、実施例2に係るガラスの全光線透過率Ttは、92.7%であった。
実施例2に係るガラスを用いて、前述の方法により、全光線透過率Ttの測定を行った。測定の結果、実施例2に係るガラスの全光線透過率Ttは、92.7%であった。
なお、アンチグレア処理およびエッチング処理のいずれも実施する前のガラス基板に対して、同様の測定を行ったところ、全光線透過率Ttは、91.7%であった。また、実施例2に係るアンチグレア基板に対して、同様の測定を行ったところ、全光線透過率Ttは、91.5%であった。この結果から、未処理ガラス基板に対する実施例2に係るガラスの透過率上昇値ΔTtは、1.0%である。また、実施例2に係るアンチグレア基板に対する実施例2に係るガラスの透過率上昇値ΔTtは、1.2%である。
このように、実施例2に係るガラスでは、未処理ガラス基板および実施例2に係るアンチグレア基板に比べて、有意に高い反射防止性が得られることがわかった。
次に、前述の方法で、実施例2に係るガラスの60゜光沢度を測定した。測定の結果、実施例2に係るガラスの60゜光沢度は、21%であった。
次に、前述の方法により、実施例2に係るガラスの処理表面の粗さを測定した。測定の結果、実施例2に係るガラスの表面の算術平均粗さRaは、99nmであった。また、実施例2に係るガラスの表面の最大高さ粗さRzは、0.679μmであった。
このように、実施例2に係るガラスでは、アンチグレア性を有するとともに、有意な低反射性を有することが確認された。
(実施例3)
実施例1と同様の方法により、アンチグレア性を有する反射防止性ガラスを製造し、その特性を評価した。
実施例1と同様の方法により、アンチグレア性を有する反射防止性ガラスを製造し、その特性を評価した。
ただし、この実施例3では、以下の条件で、エッチング処理を実施した。
(エッチング処理)
実施例1と同様の方法でアンチグレア処理されたガラス基板(以下、「実施例3に係るアンチグレア基板」と称する)を用いて、HFガスによるエッチング処理を実施した。エッチング処理には、前述の図2に示した処理装置100を使用した。
実施例1と同様の方法でアンチグレア処理されたガラス基板(以下、「実施例3に係るアンチグレア基板」と称する)を用いて、HFガスによるエッチング処理を実施した。エッチング処理には、前述の図2に示した処理装置100を使用した。
処理装置100において、第1のスリット115には、フッ化水素ガスと窒素ガスの混合ガスを、34cm/秒の流速で供給した。フッ化水素ガスの供給量は、1.5SLM(標準状態の気体における毎分当たりの体積(リットル))とし、窒素ガスの供給量は、30.5SLM(標準状態の気体における毎分当たりの体積(リットル))とした。なお、混合ガスは、150℃に加熱した状態で供給した。
また、第2のスリット120には、34cm/秒の流速で窒素ガスを供給した。窒素ガスの温度は、150℃とし、窒素ガスの供給量は、10SLMとした。
全供給ガスに対するフッ化水素ガスの濃度は、3.6vol%である。
第3のスリット125からの排気量は、供給ガスの供給量の2倍とした。
実施例3に係るアンチグレア基板の搬送速度は、2m/分とし、実施例3に係るアンチグレア基板は、350℃に加熱した状態で搬送した。
エッチング処理時間(図2において、ガラス基板が距離Sを通過する時間)は、約10秒とした。
この処理後に、実施例3に係るアンチグレア基板の処理表面には、多数のnmオーダの凹凸が形成された。以下、得られた実施例3に係るアンチグレア基板を「実施例3に係るガラス」と称する。
(評価)
実施例3に係るガラスを用いて、前述の方法により、全光線透過率Ttの測定を行った。測定の結果、実施例3に係るガラスの全光線透過率Ttは、94.2%であった。
実施例3に係るガラスを用いて、前述の方法により、全光線透過率Ttの測定を行った。測定の結果、実施例3に係るガラスの全光線透過率Ttは、94.2%であった。
なお、アンチグレア処理およびエッチング処理のいずれも実施する前のガラス基板に対して、同様の測定を行ったところ、全光線透過率Ttは、91.7%であった。また、実施例3に係るアンチグレア基板に対して、同様の測定を行ったところ、全光線透過率Ttは、92.4%であった。この結果から、未処理ガラス基板に対する実施例3に係るガラスの透過率上昇値は、2.5%である。また、実施例3に係るアンチグレア基板に対する実施例3に係るガラスの透過率上昇値ΔTtは、1.8%である。
このように、実施例3に係るガラスでは、未処理ガラス基板および実施例3に係るアンチグレア基板に比べて、有意に高い反射防止性が得られることがわかった。
次に、前述の方法で、実施例3に係るガラスの60゜光沢度を測定した。測定の結果、実施例3に係るガラスの60゜光沢度は、49%であった。
次に、前述の方法により、実施例3に係るガラスの処理表面の粗さを測定した。測定の結果、実施例3に係るガラスの表面の算術平均粗さRaは、78nmであった。また、実施例3に係るガラスの表面の最大高さ粗さRzは、0.475μmであった。
このように、実施例3に係るガラスでは、アンチグレア性を有するとともに、有意な低反射性を有することが確認された。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、アンチグレア性を有する反射防止性ガラスを製造し、その特性を評価した。
実施例1と同様の方法により、アンチグレア性を有する反射防止性ガラスを製造し、その特性を評価した。
ただし、この比較例1では、以下の条件で、エッチング処理を実施した。
(エッチング処理)
実施例1と同様の方法でアンチグレア処理されたガラス基板(以下、「比較例1に係るアンチグレア基板」と称する)を用いて、HFガスによるエッチング処理を実施した。エッチング処理には、前述の図2に示した処理装置100を使用した。
実施例1と同様の方法でアンチグレア処理されたガラス基板(以下、「比較例1に係るアンチグレア基板」と称する)を用いて、HFガスによるエッチング処理を実施した。エッチング処理には、前述の図2に示した処理装置100を使用した。
処理装置100において、第1のスリット115には、フッ化水素ガスと窒素ガスの混合ガスを、34cm/秒の流速で供給した。フッ化水素ガスの供給量は、1.5SLM(標準状態の気体における毎分当たりの体積(リットル))とし、窒素ガスの供給量は、30.5SLM(標準状態の気体における毎分当たりの体積(リットル))とした。なお、混合ガスは、150℃に加熱した状態で供給した。
また、第2のスリット120には、34cm/秒の流速で窒素ガスを供給した。窒素ガスの温度は、150℃とし、窒素ガスの供給量は、10SLMとした。
全供給ガスに対するフッ化水素ガスの濃度は、3.6vol%である。
第3のスリット125からの排気量は、供給ガスの供給量の2倍とした。
比較例1に係るアンチグレア基板の搬送速度は、2m/分とし、比較例1に係るアンチグレア基板は、200℃に加熱した状態で搬送した。
エッチング処理時間(図2において、ガラス基板が距離Sを通過する時間)は、約10秒とした。
以下、得られた比較例1に係るアンチグレア基板を「比較例1に係るガラス」と称する。
(評価)
比較例1に係るガラスを用いて、前述の方法により、全光線透過率Ttの測定を行った。測定の結果、実施例3に係るガラスの全光線透過率Ttは、92.4%であった。
比較例1に係るガラスを用いて、前述の方法により、全光線透過率Ttの測定を行った。測定の結果、実施例3に係るガラスの全光線透過率Ttは、92.4%であった。
なお、アンチグレア処理およびエッチング処理のいずれも実施する前のガラス基板に対して、同様の測定を行ったところ、全光線透過率Ttは、91.7%であった。また、比較例1に係るアンチグレア基板に対して、同様の測定を行ったところ、全光線透過率Ttは、92.4%であった。この結果から、未処理ガラス基板に対する比較例1に係るガラスの透過率上昇値は、0.7%である。また、比較例1に係るアンチグレア基板に対する比較例1に係るガラスの透過率上昇値ΔTtは、0.0%である。
このように、比較例1に係るガラスでは、未処理ガラス基板および比較例1に係るアンチグレア基板に比べて透過率上昇幅は1%未満と不十分であった。
次に、前述の方法で、比較例1に係るガラスの60゜光沢度を測定した。測定の結果、比較例1に係るガラスの60゜光沢度は、54%であった。
次に、前述の方法により、比較例1に係るガラスの処理表面の粗さを測定した。測定の結果、比較例1に係るガラスの表面の算術平均粗さRaは、66nmであった。また、比較例1に係るガラスの表面の最大高さ粗さRzは0.449μmであった。
このように、比較例1に係るガラスでは、アンチグレア性は有するが、低反射性は不十分であることが確認された。
なお、反射防止性を有しない、通常のソーダライムガラスを用いて実施例3と同様の条件でエッチング処理を行い、その前後で同様の測定を行ったところ、エッチング処理前の全光線透過率Ttは、91.7%であり、エッチング処理後の全光線透過率Ttは、94.2%であり、透過率上昇値は、2.5%であった。よって、本願の実施例におけるガラスは、アンチグレア性を有するとともに、有意な低反射性を有することが確認された。
以下の表1には、実施例1〜実施例3および比較例1におけるガラスの製造条件、および評価結果をまとめて示した。
本発明は、例えば、高い光透過性を有するガラス製品、例えば、建材用ガラス、自動車用ガラス、ディスプレイ用ガラス、光学素子、太陽電池用ガラス、ショーウィンドウガラス、光学ガラス、およびメガネレンズ等に利用することができる。
100 処理装置
110 インジェクタ
115 第1のスリット
120 第2のスリット
125 第3のスリット
150 搬送手段
180 ガラス基板
110 インジェクタ
115 第1のスリット
120 第2のスリット
125 第3のスリット
150 搬送手段
180 ガラス基板
Claims (12)
- 反射防止性を有するガラスの製造方法であって、
(a)アンチグレア性を有する表面を有するガラス基板を準備するステップと、
(b)常圧、大気雰囲気下、250℃〜650℃の温度範囲において、前記ガラス基板の前記表面に、フッ素化合物を含む処理ガスを接触させるステップと、
を有することを特徴とする反射防止性を有するガラスの製造方法。 - 前記処理ガスの原料として、フッ化水素および/またはトリフロロ酢酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
- 前記処理ガス中のフッ化水素ガスの濃度は、0.1vol%〜10vol%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
- 前記処理ガスは、さらに、窒素および/またはアルゴンを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
- 前記(b)のステップの後のガラス基板の前記表面の算術平均粗さRaは、10nm以上であり、最大高さ粗さRzは、0.3μm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
- 前記(b)のステップにおいて、前記ガラス基板は、搬送された状態で前記処理ガスに接触することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
- 前記ガラス基板の上部または下部には、インジェクタが配置され、
前記処理ガスは、前記インジェクタから、前記ガラス基板に向かって放出されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。 - 前記ガラス基板が、前記インジェクタの下を通過する時間は、1秒〜120秒の間であることを特徴とする請求項7に記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
- 前記(b)のステップ後の前記ガラス基板の全光線透過率と、前記(a)のステップ後前記(b)のステップ前の前記ガラス基板の全光線透過率との差ΔTtは、1%以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
- 前記(a)のステップは、ガラス基板に対して、ブラスト処理、湿式処理、コーティング処理、および型押し処理からなる群から選定された少なくとも一つを実施するステップを有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
- 前記(b)のステップ後の前記ガラス基板の前記表面における光沢度は、70%以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
- 前記ガラスは、太陽電池用のパネルまたはディスプレイ用のパネルであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載の反射防止性を有するガラスの製造方法。
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