JP2016000792A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】スチレンブタジエンゴムを60〜90質量%、天然ゴムを10〜40質量%含有するゴム成分と、フェノール系化合物(a)、テルペン系化合物(b)及び芳香族ビニル系化合物(c)を共重合して得られた樹脂とを含有するゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤ。
【選択図】なし
【解決手段】スチレンブタジエンゴムを60〜90質量%、天然ゴムを10〜40質量%含有するゴム成分と、フェノール系化合物(a)、テルペン系化合物(b)及び芳香族ビニル系化合物(c)を共重合して得られた樹脂とを含有するゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤ。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤ、特に高性能ドライタイヤのトレッド用ゴム組成物には、ドライグリップ性能、耐摩耗性能のバランス向上が強く要求されており、これらの性能を確保するため、従来から様々な工夫がなされている。その中で、ゴム成分として、スチレンブタジエンゴムを配合することによりドライグリップ性能を向上させる技術や、天然ゴムを配合することにより耐摩耗性能を向上させる技術が知られている。
しかし、特に真夏のような高温の使用条件下において、スチレンブタジエンゴムと天然ゴムとの相溶性の悪さから、両者を配合して作製したトレッド用ゴムのチャンキングが生じるという問題があり、さらに天然ゴムを配合することによる高温路面(例えば40〜50℃の路面)でのドライグリップ性能の低下という問題もある。
天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとを配合したゴム組成物から得られる空気入りタイヤのドライグリップ性能を向上させるためには、様々な手法があるが、特に高温路面でのグリップ性能については、樹脂(レジン)を添加することで改善できることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、例えばスチレンやα−メチルスチレンからなる樹脂では、添加量が多くなり過ぎると破壊性能が低下し、充分な耐チャンキング性が確保できなくなるという問題点がある。またテルペン系樹脂では、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとの相溶化剤としての役割を果たすことで、耐摩耗性能を改善したりチャンキングを防止したりする効果があるが、グリップ性能については、スチレンやα−メチルスチレンからなる樹脂程の効果がなく、不充分という問題点がある。
そこで、これらの樹脂をブレンドすることで、ドライグリップ性能−耐摩耗性能−耐チャンキング性のバランスを向上することが考えられるが、それぞれの樹脂のポリマーへの溶解性が異なるために、それぞれの樹脂が均一にポリマーに分散することが困難であり、単純なブレンドで充分に性能を向上させることはできていないのが現状である。
一方、これら樹脂を構成する単量体成分などを複数種共重合して得られた樹脂を含有するタイヤ用ゴム組成物が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。しかし、上記性能バランスをさらに優れたものとするうえで工夫の余地があった。
本発明は、前記課題を解決し、ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、スチレンブタジエンゴムを60〜90質量%、天然ゴムを10〜40質量%含有するゴム成分と、フェノール系化合物(a)、テルペン系化合物(b)及び芳香族ビニル系化合物(c)を共重合して得られた樹脂とを含有するゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤに関する。
上記フェノール系化合物(a)がフェノール及び/又はアルキルフェノールであり、上記テルペン系化合物(b)が水酸基を持たない環状不飽和炭化水素であり、上記芳香族ビニル系化合物(c)がスチレン及び/又はアルキル置換スチレンであることが好ましい。
上記テルペン系化合物(b)がα−ピネン、β−ピネン、3−カレン、D−リモネン、及び、ジペンテンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記樹脂の配合量が、ゴム成分100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましい。
上記樹脂の構成成分の比率が、フェノール系化合物(a)>テルペン系化合物(b)≧芳香族ビニル系化合物(c)で、フェノール系化合物(a)が40〜70質量%、テルペン系化合物(b)及び芳香族ビニル系化合物(c)がそれぞれ15〜30質量%であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物を1〜5質量部含有することが好ましい。
上記ゴム組成物は、カーボンブラック及び/又はシリカを含有することが好ましい。
上記トレッドは、キャップトレッドであることが好ましい。
上記トレッドの硬度が、100℃の雰囲気下で25〜40であることが好ましい。
本発明によれば、特定量のスチレンブタジエンゴム及び特定量の天然ゴムと、特定の化合物を共重合して得られた樹脂とを含有するゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤであるので、ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性がバランス良く改善され、特に耐摩耗性能、耐チャンキング性が顕著に改善されている。
本発明の空気入りタイヤは、スチレンブタジエンゴムを60〜90質量%、天然ゴムを10〜40質量%含有するゴム成分と、フェノール系化合物(a)、テルペン系化合物(b)及び芳香族ビニル系化合物(c)を共重合して得られた樹脂とを含有するゴム組成物で構成されるトレッドを備える。以下においては、上記ゴム組成物を本発明に係るゴム組成物ともいう。
本発明に係るゴム組成物は、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含有する。これにより、本発明の効果が好適に得られる。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性に優れることからE−SBRが好ましい。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性に優れることからE−SBRが好ましい。
SBRのスチレン含有量は、25質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましい。該スチレン含有量が25質量%未満であると、充分なドライグリップ性能が得られない傾向がある。また、該スチレン含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。該スチレン含有量が60質量%を超えると、耐摩耗性能が低下するだけでなく、温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなってしまう傾向がある。
なお、SBRのスチレン含有量は、1H−NMR測定により算出される。
なお、SBRのスチレン含有量は、1H−NMR測定により算出される。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、60質量%以上、好ましくは62質量%以上、より好ましくは65質量%以上である。該SBRの含有量が60質量%未満であると、充分なドライグリップ性能が得られない。また、該SBRの含有量は、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。該SBRの含有量が90質量%を超えると、SBRを天然ゴム(NR)とブレンドすることによる効果が得られず、本発明の効果が充分に得られない。SBRの含有量を上記範囲内とすることにより、本発明の効果が好適に得られる。ここで、ゴム成分の量、SBRの量は、それぞれの固形分の量を意味する。
本発明に係るゴム組成物は、NRを含有する。これにより、本発明の効果が好適に得られる。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。該NRの含有量が10質量%未満であると、ゴムをブレンドすることによる効果が得られず、耐摩耗性能が悪化する。また、該NRの含有量は、40質量%以下、好ましくは38質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。該NRの含有量が40質量%を超えると、充分なドライグリップ性能が得られない。NRの含有量を上記範囲内とすることにより、本発明の効果が好適に得られる。
本発明の効果を好適に得る目的からは、ゴム成分100質量%中のSBR及びNRの合計含有量が、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
SBR、NR以外に使用できる他のゴム成分としては限定されないが、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。他のゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、フェノール系化合物(a)、テルペン系化合物(b)及び芳香族ビニル系化合物(c)を共重合して得られた樹脂が使用される。該樹脂を、上述した特定量のスチレンブタジエンゴム及び特定量の天然ゴムと併用することで、ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性をバランス良く改善でき、特に耐摩耗性能、耐チャンキング性を顕著に改善できる。
上記フェノール系化合物(a)としては、フェノール性水酸基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を含有するハロゲン化フェノール、不飽和炭化水素基含有フェノール等の1価のフェノール類が挙げられる。なかでも、ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性をバランス良く改善できる点から、フェノール、アルキルフェノールが好ましく、p位がアルキル基で置換されたアルキルフェノールがより好ましい。
上記アルキルフェノールにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
アルキルフェノールの具体例としては、例えば、メチルフェノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ジノニルフェノールが挙げられ、なかでも、メチルフェノール、t−ブチルフェノールが好ましい。
アルキルフェノールの具体例としては、例えば、メチルフェノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ジノニルフェノールが挙げられ、なかでも、メチルフェノール、t−ブチルフェノールが好ましい。
上記アルコキシフェノールとしては、前述のアルキルフェノールのアルキル基に1つの酸素原子を付加したものに相当するアルコキシ基で置換されたフェノール(例えば、メトキシフェノール、t−ブトキシフェノール)等が挙げられる。なお、アルコキシ基の好ましい炭素原子数は上述したアルキル基の好ましい炭素原子数と同様である。
上記ハロゲン化フェノールとしては、例えば、クロロフェノール、ブロモフェノールが挙げられる。
上記ハロゲン化フェノールとしては、例えば、クロロフェノール、ブロモフェノールが挙げられる。
上記不飽和炭化水素基含有フェノールとしては、1分子中に少なくとも1個のヒドロキシフェニル基を含み、かつフェニル基の水素原子のうちの少なくとも1個が不飽和炭化水素基で置換された化合物が挙げられる。不飽和炭化水素基における不飽和結合としては、二重結合、三重結合が挙げられる。不飽和炭化水素基としては、炭素原子数2〜10のアルケニル基が挙げられる。不飽和置換基含有フェノールの具体例としては、イソプロペニルフェノール、ブテニルフェノール等が挙げられる。
これらのフェノール系化合物(a)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのフェノール系化合物(a)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記テルペン系化合物(b)としては、(C5H8)nの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体であれば特に限定されず、例えば、モノテルペン(C10H16)、セスキテルペン(C15H24)、ジテルペン(C20H32)等に分類されるテルペンを基本骨格とする化合物が挙げられる。テルペン系化合物(b)は、環状不飽和炭化水素が好ましく、水酸基を持たない環状不飽和炭化水素がより好ましい。
テルペン系化合物(b)の具体例としては、α−ピネン、β−ピネン、3−カレン(δ−3−カレン)、リモネン、ジペンテン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール等が挙げられる。なかでも、ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性をバランス良く改善できる点から、α−ピネン、β−ピネン、3−カレン(δ−3−カレン)、D−リモネン、ジペンテンが好ましく、α−ピネン、β−ピネン、3−カレンがより好ましく、α−ピネン、β−ピネンがさらに好ましい。
これらのテルペン系化合物(b)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのテルペン系化合物(b)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族ビニル系化合物(c)としては、芳香環とビニル基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、t−ブチルスチレン等のアルキル置換スチレン;1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン等のその他の芳香族ビニル系化合物が挙げられ、スチレン、アルキル置換スチレンが好ましく、スチレン、α−メチルスチレンがより好ましい。なかでも、耐チャンキング性を顕著に改善できる観点からは、スチレンがさらに好ましい。また、高温路面でのドライグリップ性能を顕著に改善できる観点からは、α−メチルスチレンがさらに好ましい。
これらの芳香族ビニル系化合物(c)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの芳香族ビニル系化合物(c)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂(100質量%)を構成する各共重合成分の配合比率(質量%)は、フェノール系化合物(a)>テルペン系化合物(b)≧芳香族ビニル系化合物(c)の関係を満足することが好ましい。フェノール系化合物量がテルペン系化合物量以下では、ドライグリップ性能が充分に発揮できない可能性があり、テルペン系化合物量が芳香族ビニル系化合物量未満では、耐摩耗性、耐チャンキング性が悪化する可能性がある。
上記樹脂(100質量%)におけるフェノール系化合物(a)の共重合割合は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、56質量%以上であることがさらに好ましく、58質量%以上であることが特に好ましい。なお、該フェノール系化合物(a)の共重合割合が40質量%未満であると、高温時のドライグリップ性能などが充分に発揮できない可能性がある。該フェノール系化合物(a)の共重合割合は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、62質量%以下がさらに好ましい。なお、該フェノール系化合物(a)の共重合割合が70質量%を超えると、耐チャンキング性が悪化する傾向がある。
上記テルペン系化合物(b)の共重合割合は、15質量%以上が好ましく、18質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。該テルペン系化合物(b)の共重合割合が15質量%未満であると、耐摩耗性能、耐チャンキング性の改善効果が得られにくくなる傾向がある。該テルペン系化合物(b)の共重合割合は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、24質量%以下がさらに好ましい。該テルペン系化合物(b)の共重合割合が30質量%を超えると、ドライグリップ性能、耐摩耗性能の向上効果が小さくなる傾向がある。
上記芳香族ビニル系化合物(c)の共重合割合は、15質量%以上が好ましく、16質量%以上がより好ましい。該芳香族ビニル系化合物(c)の共重合割合が15質量%未満では、耐チャンキング性が充分に発揮できなくなる傾向がある。該芳香族ビニル系化合物(c)の共重合割合は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、18質量%以下がさらに好ましい。該芳香族ビニル系化合物(c)の共重合割合が30質量%を超えると、耐摩耗性能の向上効果が小さくなる傾向がある。
上記樹脂の軟化点は特に限定されないが、30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましく、100℃以上が特に好ましい。また、上記樹脂の軟化点は、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、120℃以下がさらに好ましい。軟化点が30℃未満であれば、本発明の効果が好適に得られなくなる傾向があり、180℃を超えると、ポリマーに混ざりにくくなり、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。
なお、樹脂の軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
なお、樹脂の軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記樹脂の重量平均分子量Mwは特に限定されないが、300以上が好ましく、500以上がより好ましく、800以上がさらに好ましく、950以上が一層好ましく、1000以上であることが特に好ましい。Mwが300未満では、ドライグリップ性能、耐摩耗性能の向上効果が小さくなる傾向がある。また、該Mwは、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2000以下がさらに好ましく、1100以下が特に好ましい。Mwが5000を超えると、本発明の効果が好適に得られない傾向がある。
なお、本明細書において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を用い、標準ポリスチレンより換算した値である。
なお、本明細書において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を用い、標準ポリスチレンより換算した値である。
上記樹脂の分子量分布は、低燃費性を高めるために、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜2である。分子量分布は、GPC法により、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
上記樹脂は、(a)、(b)及び(c)を公知の方法で共重合することにより合成できる。例えば、トルエンなどの有機溶媒中に、BF3などの触媒存在下において、フェノール系化合物、テルペン系化合物及び芳香族ビニル系化合物を任意の順序で滴下し、所定の温度及び所定の時間反応させることにより調製できる。
樹脂の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましく、22質量部以上が特に好ましい。該樹脂の配合量が1質量部未満では、全ての物性の改善効果が小さくなる傾向がある。また、該樹脂の配合量は、100質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、28質量部以下が特に好ましい。該樹脂の配合量が100質量部を超えると、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。
本発明に係るゴム組成物は、脂肪酸及び/又はその誘導体を含有することが好ましい。これにより、本発明の効果をさらに好適に得ることができる。
上記脂肪酸及び/又はその誘導体としては、特に限定されないが、やし油、パーム核油、ツバキ油、オリーブ油、アーモンド油、カノーラ油、落花生油、米糖油、カカオ脂、パーム油、大豆油、綿実油、胡麻油、亜麻仁油、ひまし油、菜種油などの植物油由来の脂肪族カルボン酸、牛脂などの動物油由来の脂肪族カルボン酸、石油などから化学合成された脂肪族カルボン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。上記脂肪酸の誘導体としては、上記脂肪酸の金属塩などが挙げられる。金属塩としては、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。また、これらの脂肪酸を含んだ市販の各種加工助剤も好適に使用することができる。これらの中では、本発明の効果をさらに好適に得ることができることから、脂肪族カルボン酸の金属塩、特に脂肪族カルボン酸の亜鉛塩が好ましい。
脂肪酸及び/又はその誘導体の炭素数は4以上が好ましく、6以上がより好ましく、8以上がさらに好ましい。該炭素数が4未満では、分散性が悪化する傾向がある。該炭素数は22以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましく、14以下が特に好ましい。該炭素数が22を超えると、本発明の効果を好適に得ることができない傾向がある。
なお、脂肪酸及び/又はその誘導体中の脂肪族としては、アルキル基などの鎖状構造でも、シクロアルキル基などの環状構造でもよい。
本発明に係るゴム組成物が脂肪酸及び/又はその誘導体を含有する場合、脂肪酸及び/又はその誘導体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.2質量部以上である。該含有量が1質量部未満であると、ドライグリップ性能の改善効果などが得られにくい。該含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。該含有量が5質量部を超えると、粘度が不必要に下がって後述のように加工性が悪くなったり、脂肪酸及び/又はその誘導体がブルームしたりする傾向がある。なお、脂肪酸及び/又はその誘導体の含有量とは、脂肪酸及び脂肪酸の誘導体の合計含有量を意味する。
本発明に係るゴム組成物は、さらに芳香族カルボン酸及び/又はその誘導体を含むことが好ましい。脂肪酸及び/又はその誘導体と、芳香族カルボン酸及び/又はその誘導体とを併用することにより、本発明の効果がより好適に得られる。
上記芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、メリト酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、ジフェン酸、トルイル酸、ナフトエ酸などが挙げられる。上記芳香族カルボン酸の誘導体としては、上記芳香族カルボン酸の金属塩などが挙げられる。金属塩としては、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、マグネシウム金属塩などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られることから、芳香族カルボン酸の金属塩、特に亜鉛塩が好ましい。芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸又はナフトエ酸がより好ましい。
本発明に係るゴム組成物が芳香族カルボン酸及び/又はその誘導体を含有する場合、芳香族カルボン酸及び/又はその誘導体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上である。該含有量が0.1質量部未満であると、本発明の効果を好適に得ることができず、ドライグリップ性能の改善効果などが得られにくい。該含有量は、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。該含有量が2質量部を超えると、粘度が不必要に下がって加工性が悪くなったり、脂肪酸及び/又はその誘導体がブルームしたりする傾向がある。なお、芳香族カルボン酸及び/又はその誘導体の含有量とは、芳香族カルボン酸及びその誘導体の合計含有量を意味する。
上述したなかでも、本発明に係るゴム組成物が脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と、芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物を含むことにより、特に耐摩耗性能、耐チャンキング性、硬度などを好適に向上する効果が得られ、性能バランスを格別顕著に改善できる。上記ゴム組成物が該混合物を含む場合、該混合物中の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と、芳香族カルボン酸の亜鉛塩との含有比率〔モル比:(脂肪族カルボン酸の亜鉛塩)/(芳香族カルボン酸の亜鉛塩)、以下、含有比率とする〕は、1/20以上が好ましく、1/15以上がより好ましく、1/10以上がさらに好ましく、1/5以上が一層好ましく、1/2以上が特に好ましい。該含有比率が1/20未満であると、環境に配慮することも、将来の石油の供給量の減少に備えることもできないうえに、混合物の分散性及び安定性が悪化する傾向がある。また、該含有比率は20/1以下が好ましく、15/1以下がより好ましく、10/1以下がさらに好ましく、5/1以下が一層好ましく、2/1以下が特に好ましい。該含有比率が20/1を超えると、本発明の効果を好適に得ることができない傾向がある。
上記混合物を使用する場合、混合物中の金属含有率は3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、12質量%以上がさらに好ましい。該金属含有率が3質量%未満であると、性能バランスを格別顕著に改善できない傾向がある。また、該金属含有率は30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、22質量%以下がさらに好ましい。該金属含有率が30質量%を超えると、加工性が低下する傾向があるとともに、コストが不必要に上昇する。
本発明に係るゴム組成物が上記混合物を含有する場合、混合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.1質量部以上、さらに好ましくは1.2質量部以上、特に好ましくは1.3質量部以上である。該混合物の含有量が1質量部未満では、本発明の効果が好適に得られにくくなる傾向がある。該混合物の含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、特に好ましくは2質量部以下である。該混合物の含有量が5質量部を超えると、添加量に対しての効果の向上が小さくなり、不必要にコストが増大する傾向がある。
本発明では、補強用充填剤として、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルクなど、従来タイヤ用ゴム組成物において慣用されるもののなかから任意に選択して用いることができ、なかでも、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
本発明の効果を好適に得る目的からは、補強用充填剤100質量%中のカーボンブラックの含有量が、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
上記カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを挙げることができる。カーボンブラックとしては、EPC、MPC及びCCのようなチャンネルカーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスカーボンブラック;FT及びMTのようなサーマルカーボンブラック;アセチレンカーボンブラックが例示される。これらは1種以上用いることができる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、100m2/g以上が好ましく、120m2/g以上がより好ましく、130m2/g以上がさらに好ましい。該カーボンブラックのN2SAが100m2/g未満であると、ドライグリップ性能が低下する傾向がある。また、該カーボンブラックのN2SAは、500m2/g以下が好ましく、350m2/g以下がより好ましく、150m2/g以下がさらに好ましい。該カーボンブラックのN2SAが500m2/gを超えると、良好な分散が得られにくく、耐摩耗性能が低下する傾向がある。また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、50ml/100g以上が好ましく、100ml/100g以上がより好ましい。該DBP吸油量が50ml/100g未満であると、充分な補強性が得られず、充分な耐摩耗性能が得られないおそれがある。また、該DBP吸油量は、200ml/100g以下が好ましく、135ml/100g以下がより好ましい。該DBP吸油量が200ml/100gを超えると、加工性、耐摩耗性能が低下するおそれがある。該カーボンブラックのN2SAは、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。カーボンブラックの市販品としては、東海カーボン社製 商品名 シースト6、シースト7HM、シースト9、シーストKH、デグッサ社製 商品名 CK3、Special Black 4Aなどを用いることができる。
本発明に係るゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して50質量部以上が好ましく、65質量部以上がより好ましく、80質量部以上がさらに好ましい。該含有量が50質量部未満では、ドライグリップ性能が低下したり耐摩耗性能が低下したりするおそれがある。また、該含有量は、200質量部以下が好ましく、180質量部以下がより好ましく、120質量部以下がさらに好ましく、100質量部以下が特に好ましい。該含有量が200質量部を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
本発明に係るゴム組成物は、ドライグリップ性能などの観点から、軟化剤を含有することが好ましい。
軟化剤としては特に限定されないが、鉱物油などのオイルが挙げられる。オイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルが挙げられ、なかでもアロマ系プロセスオイルが好ましい。
軟化剤としては特に限定されないが、鉱物油などのオイルが挙げられる。オイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルが挙げられ、なかでもアロマ系プロセスオイルが好ましい。
本発明に係るゴム組成物がオイルを含有する場合、該オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上である。該オイルの含有量が1質量部未満であると、添加による効果が得られないおそれがある。また、該オイルの含有量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下である。該オイルの含有量が80質量部を超えると、本発明の効果が好適に得られないおそれがある。ここで、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
本発明に係るゴム組成物は、軟化剤の一部又は全部として液状ジエン系重合体を含有することが好ましい。これにより、耐久性(耐チャンキング性)とドライグリップ性能との性能バランスを向上することができる。なお、本発明において、液状ジエン系重合体とは、常温(25℃)で液体状態のジエン系重合体である。
上記液状ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×103〜2.0×105であることが好ましく、1.5×103〜6.0×104であることがより好ましく、2.0×103〜2.0×104であることがさらに好ましく、3.0×103〜1.5×104であることが特に好ましい。該Mwが1.0×103未満であると、破壊性能が低下し、充分な耐チャンキング性が確保できないおそれがあり、2.0×105を超えると、重合溶液の粘度が高くなり過ぎ生産性が悪化するおそれがある。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。なかでも、耐チャンキング性とドライグリップ性能がバランスよく得られるという理由から、液状SBRを使用することが好ましい。
上記液状SBRのビニル含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。該ビニル含有量が10質量%未満であると、充分なドライグリップ性能が得られないおそれがある。該ビニル含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。該ビニル含有量が90質量%を超えると、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。
なお、液状SBRのビニル含有量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
なお、液状SBRのビニル含有量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
液状SBRのスチレン含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上である。該スチレン含有量が10質量%未満であると、充分なドライグリップ性能が得られないおそれがある。該スチレン含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。該スチレン含有量が60質量%を超えると、軟化点が高くなり、ゴムが硬くなり、ドライグリップ性能が悪化するおそれがある。
なお、液状SBRのスチレン含有量は、1H−NMR測定により算出される。
なお、液状SBRのスチレン含有量は、1H−NMR測定により算出される。
本発明に係るゴム組成物が液状ジエン系重合体を含有する場合、液状ジエン系重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは40質量部以上である。該含有量が20質量部未満では、充分なドライグリップ性能が得られない傾向がある。また、該含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。該含有量が120質量部を超えると、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。
これらオイル、液状ジエン系重合体などの軟化剤は、1種以上用いることができる。
これらオイル、液状ジエン系重合体などの軟化剤は、1種以上用いることができる。
また、上記樹脂、オイル及び液状ジエン系重合体の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、さらに好ましくは70質量部以上、一層好ましくは80質量部以上、特に好ましくは90質量部以上である。該合計含有量が50質量部未満では、全ての物性の改善効果が小さくなる傾向がある。また、該合計含有量は、好ましくは180質量部以下、より好ましくは130質量部以下、さらに好ましくは110質量部以下である。該合計含有量が180質量部を超えると、耐摩耗性能が悪化する傾向がある。
本発明に係るゴム組成物には、上記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、酸化亜鉛、各種老化防止剤、粘着付与剤、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
上記硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄が挙げられる。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部、特に好ましくは1〜3質量部である。
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドがより好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜7質量部であり、より好ましくは0.5〜6質量部、さらに好ましくは1〜2質量部である。
本発明に係るゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで上記各成分を混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明に係るゴム組成物は、ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性がバランス良く得られ、特に耐摩耗性能、耐チャンキング性が顕著に優れる。
本発明に係るゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、タイヤのトレッドとして好適に用いられる。2層構造のトレッドの場合には、表面層(キャップトレッド)及び内面層(ベーストレッド)から構成され、本発明に係るゴム組成物は、キャップトレッド、ベーストレッドのどちらにも使用できるが、キャップトレッドとしてより好適に用いられる。
多層構造のトレッドは、シート状にしたものを、所定の形状に貼り合わせる方法や、2本以上の押出し機に装入して押出し機のヘッド出口で2層以上に形成する方法により作製することができる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、SBR、NR、上記樹脂、及び、必要に応じて上記各種配合剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、本発明の空気入りタイヤが得られる。
すなわち、SBR、NR、上記樹脂、及び、必要に応じて上記各種配合剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、本発明の空気入りタイヤが得られる。
本発明の空気入りタイヤにおけるトレッドの硬度(Hs)は、100℃の雰囲気下で25以上であることが好ましく、27以上がより好ましく、29以上がさらに好ましく、30以上が特に好ましい。また、該Hsは、40以下が好ましく、39以下がより好ましく、38以下がさらに好ましく、37以下が特に好ましい。該Hsが25未満であると、全ての物性の改善効果が小さくなる傾向があり、40を超えると、剛性が過大となるおそれがある。
トレッドの硬度は、JIS K 6253 デュロメータ タイプA(ショアA)にもとづいて100℃雰囲気下で測定される。
トレッドの硬度は、JIS K 6253 デュロメータ タイプA(ショアA)にもとづいて100℃雰囲気下で測定される。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤとして好適に用いられ、なかでも高性能タイヤ、特にドライ路面に使用される高性能ドライタイヤに好適に使用できる。なお、本明細書における高性能タイヤとは、グリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<製造例1〜4>
レジンの合成に使用した薬品を以下に示す。
トルエン:関東化学(株)製
α−ピネン:東京化成工業(株)製
3−カレン:東京化成工業(株)製
スチレン:東京化成工業(株)製
α−メチルスチレン:東京化成工業(株)製
p−t−ブチルフェノール:和光純薬工業(株)製
三フッ化ホウ素(BF3):東京化成工業(株)製
炭酸ナトリウム:東京化成工業(株)製
レジンの合成に使用した薬品を以下に示す。
トルエン:関東化学(株)製
α−ピネン:東京化成工業(株)製
3−カレン:東京化成工業(株)製
スチレン:東京化成工業(株)製
α−メチルスチレン:東京化成工業(株)製
p−t−ブチルフェノール:和光純薬工業(株)製
三フッ化ホウ素(BF3):東京化成工業(株)製
炭酸ナトリウム:東京化成工業(株)製
(合成方法)
温度計、撹拌装置、冷却器、Dean−Starkトラップを備えた三口フラスコを充分に窒素置換し、そこにトルエン200gを添加した。これにp−t−ブチルフェノールを40g添加し、撹拌、還流を2時間行った。触媒としてBF3ガスを1.2g添加し、α−ピネン170gを90分程度の時間で滴下し、その後スチレン40gを30分程度の時間で滴下し、40℃で60分間窒素下で撹拌しながら重合を行った。反応終了後、炭酸ナトリウム1.2gを100mlの水に溶解したものを添加して反応を停止させ、水洗を繰り返すことで触媒を除去した。減圧蒸留することでトルエン、未反応モノマーを除去し目的とするレジンAを得た。
またα−ピネンの代わりに3−カレンを、スチレンの代わりにα−メチルスチレンを用い、表1の添加量に変更する以外は、レジンAと同様の方法でレジンB〜Dを合成した。
合成したレジンの組成、軟化点、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を表1に示す。なお、軟化点は上述した方法で測定し、Mw、Mnは以下の方法で測定した。
温度計、撹拌装置、冷却器、Dean−Starkトラップを備えた三口フラスコを充分に窒素置換し、そこにトルエン200gを添加した。これにp−t−ブチルフェノールを40g添加し、撹拌、還流を2時間行った。触媒としてBF3ガスを1.2g添加し、α−ピネン170gを90分程度の時間で滴下し、その後スチレン40gを30分程度の時間で滴下し、40℃で60分間窒素下で撹拌しながら重合を行った。反応終了後、炭酸ナトリウム1.2gを100mlの水に溶解したものを添加して反応を停止させ、水洗を繰り返すことで触媒を除去した。減圧蒸留することでトルエン、未反応モノマーを除去し目的とするレジンAを得た。
またα−ピネンの代わりに3−カレンを、スチレンの代わりにα−メチルスチレンを用い、表1の添加量に変更する以外は、レジンAと同様の方法でレジンB〜Dを合成した。
合成したレジンの組成、軟化点、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を表1に示す。なお、軟化点は上述した方法で測定し、Mw、Mnは以下の方法で測定した。
(Mw、Mnの測定)
Mw、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。測定結果から、分子量分布Mw/Mnを算出した。
Mw、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。測定結果から、分子量分布Mw/Mnを算出した。
<実施例1〜7及び比較例1〜9>
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
スチレンブタジエンゴム(SBR):日本ゼオン(株)製のNipol9549(E−SBR、スチレン含有量:45質量%、SBR固形分100質量部に対するオイル含有量37.5質量部)
天然ゴム(NR):RSS♯3
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシースト9 SAF(N2SA:142m2/g、DBP:115ml/100g)
液状SBR:(株)クラレ製のL−SBR−820(液状SBR、Mw:1.0×104、スチレン含有量:45質量%)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24(アロマ系プロセスオイル)
レジンA〜D:製造例1〜4で合成
レジンE:イーストマンケミカル社製のクリスタレックス3085(α−メチルスチレン樹脂)
レジンF:アリゾナケミカル(株)製のTR7125(テルペン樹脂)
レジンG:BASF社製のコレシン(p−t−ブチルフェノールとアセチレンとを縮合させて得られる樹脂)
混合物1(脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物):ストラクトール社製のアクチベーター73A((i)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩(やし油由来の脂肪酸の亜鉛塩〔炭素数8〜12〕)と、(ii)芳香族カルボン酸の亜鉛塩(安息香酸亜鉛)との含有モル比率1/1、亜鉛含有率17質量%)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製のつばき
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
スチレンブタジエンゴム(SBR):日本ゼオン(株)製のNipol9549(E−SBR、スチレン含有量:45質量%、SBR固形分100質量部に対するオイル含有量37.5質量部)
天然ゴム(NR):RSS♯3
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシースト9 SAF(N2SA:142m2/g、DBP:115ml/100g)
液状SBR:(株)クラレ製のL−SBR−820(液状SBR、Mw:1.0×104、スチレン含有量:45質量%)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24(アロマ系プロセスオイル)
レジンA〜D:製造例1〜4で合成
レジンE:イーストマンケミカル社製のクリスタレックス3085(α−メチルスチレン樹脂)
レジンF:アリゾナケミカル(株)製のTR7125(テルペン樹脂)
レジンG:BASF社製のコレシン(p−t−ブチルフェノールとアセチレンとを縮合させて得られる樹脂)
混合物1(脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物):ストラクトール社製のアクチベーター73A((i)脂肪族カルボン酸の亜鉛塩(やし油由来の脂肪酸の亜鉛塩〔炭素数8〜12〕)と、(ii)芳香族カルボン酸の亜鉛塩(安息香酸亜鉛)との含有モル比率1/1、亜鉛含有率17質量%)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製のつばき
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)
<ゴム組成物の製造法>
表2に示す配合処方にしたがって、神戸製鋼(株)製1.7Lバンバリーミキサーを用いて硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練りして混練りゴムを得た。次に、得られた混練りゴムに硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分加硫することで加硫ゴム組成物を得た。
表2に示す配合処方にしたがって、神戸製鋼(株)製1.7Lバンバリーミキサーを用いて硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練りして混練りゴムを得た。次に、得られた混練りゴムに硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分加硫することで加硫ゴム組成物を得た。
<タイヤの製造法>
得られた未加硫ゴム組成物を使用して、トレッド形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせて加硫し、サイズ195/65R15の試験用タイヤ(高性能ドライタイヤ)を作製した。
得られた未加硫ゴム組成物を使用して、トレッド形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせて加硫し、サイズ195/65R15の試験用タイヤ(高性能ドライタイヤ)を作製した。
<評価方法>
(ドライグリップ性能)
得られた試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、路面温度が20〜30℃又は40〜50℃であるドライアスファルト路面のテストコースで、10周の実車走行を行なった。その際における、操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした。また、各温度領域でのドライグリップ性能指数の平均値を算出した。数値が大きいほどドライ路面におけるグリップ性能が高いことを示す。
(ドライグリップ性能)
得られた試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、路面温度が20〜30℃又は40〜50℃であるドライアスファルト路面のテストコースで、10周の実車走行を行なった。その際における、操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした。また、各温度領域でのドライグリップ性能指数の平均値を算出した。数値が大きいほどドライ路面におけるグリップ性能が高いことを示す。
(耐摩耗性能)
引張り特性について、JIS K 6251に基づいて、100℃雰囲気下、引張6号形ダンベル状試験片(加硫ゴム組成物)で物性試験を行い、モジュラス(M300)を測定し、下記計算式により、各配合(加硫物)のM300を指数表示した。なお、M300が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
(耐摩耗性能指数)=(各配合のM300/比較例1のM300)×100
引張り特性について、JIS K 6251に基づいて、100℃雰囲気下、引張6号形ダンベル状試験片(加硫ゴム組成物)で物性試験を行い、モジュラス(M300)を測定し、下記計算式により、各配合(加硫物)のM300を指数表示した。なお、M300が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
(耐摩耗性能指数)=(各配合のM300/比較例1のM300)×100
(耐チャンキング性)
ドライグリップ性能の評価が終了したタイヤのトレッド表面外観を観察して、15cm×15cmの範囲のうち、チャンキング(ゴムが飛んで無くなっている)面積(cm2)を測定した。この値が小さい程、耐チャンキング性が良好であることを示す。
ドライグリップ性能の評価が終了したタイヤのトレッド表面外観を観察して、15cm×15cmの範囲のうち、チャンキング(ゴムが飛んで無くなっている)面積(cm2)を測定した。この値が小さい程、耐チャンキング性が良好であることを示す。
(硬度)
JIS K 6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に従って、タイプAデュロメーターにより、各実施例及び比較例の加硫ゴム組成物の硬度(Hs)を測定した。測定は、100℃雰囲気下で行った。
JIS K 6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に従って、タイプAデュロメーターにより、各実施例及び比較例の加硫ゴム組成物の硬度(Hs)を測定した。測定は、100℃雰囲気下で行った。
表2に示すように、本発明における特定量のスチレンブタジエンゴム及び特定量の天然ゴムと、特定の樹脂とを併用することで、ドライグリップ性能、耐摩耗性能、耐チャンキング性の性能バランスを改善でき、特に耐摩耗性能、耐チャンキング性を顕著に改善できた。また、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物をさらに配合することにより、特に耐摩耗性能、耐チャンキング性、硬度などを好適に向上することができ、当該性能バランスを格別顕著に改善できた。
Claims (9)
- スチレンブタジエンゴムを60〜90質量%、天然ゴムを10〜40質量%含有するゴム成分と、フェノール系化合物(a)、テルペン系化合物(b)及び芳香族ビニル系化合物(c)を共重合して得られた樹脂とを含有するゴム組成物で構成されるトレッドを備える空気入りタイヤ。
- 前記フェノール系化合物(a)がフェノール及び/又はアルキルフェノールであり、前記テルペン系化合物(b)が水酸基を持たない環状不飽和炭化水素であり、前記芳香族ビニル系化合物(c)がスチレン及び/又はアルキル置換スチレンである請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記テルペン系化合物(b)がα−ピネン、β−ピネン、3−カレン、D−リモネン、及び、ジペンテンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
- 前記樹脂の配合量が、ゴム成分100質量部に対して1〜100質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記樹脂の構成成分の比率が、フェノール系化合物(a)>テルペン系化合物(b)≧芳香族ビニル系化合物(c)で、フェノール系化合物(a)が40〜70質量%、テルペン系化合物(b)及び芳香族ビニル系化合物(c)がそれぞれ15〜30質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との混合物を1〜5質量部含有する請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物は、カーボンブラック及び/又はシリカを含有する請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッドは、キャップトレッドである請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッドの硬度が、100℃の雰囲気下で25〜40である請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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JP (1) | JP2016000792A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019530793A (ja) * | 2016-09-21 | 2019-10-24 | クレイトン・ケミカル・エル・エル・シー | トレッド増強添加剤 |
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2014
- 2014-06-12 JP JP2014121575A patent/JP2016000792A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019530793A (ja) * | 2016-09-21 | 2019-10-24 | クレイトン・ケミカル・エル・エル・シー | トレッド増強添加剤 |
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