JP2016000016A - 食中毒菌の検出方法、及び食中毒菌用pcr反応液 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同一の培養培地で同時に培養し、PCR法により各増幅対象領域を同時に増幅して検出する場合において、黄色ブドウ球菌の増幅対象領域を良好に増幅させ、各食中毒菌を同時に特異的に検出することを可能とする。【解決手段】 上記4菌種を培養可能な培地で同時に増菌する増菌工程、増菌して得られた培地から4菌種のゲノムDNAを抽出する工程、大腸菌のpyrH、サルモネラ属菌のinvA、黄色ブドウ球菌のdnaJ、ビブリオ・パラヘモリティカスのtoxRを各々含むDNA断片をPCRにより同時に増幅する工程、得られた増幅産物を電気泳動又はDNAチップにより同時に検出する工程を有し、増幅工程におけるPCR反応液中の、dnaJを増幅するためのプライマーセットの各プライマーの濃度を、pyrH、invA、toxRを増幅するためのプライマーセットの各プライマーの濃度の1.25倍以上とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、食中毒菌などの微生物を検出するための技術に関し、特に大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に検出する食中毒菌の検出方法、及び食中毒菌用PCR反応液に関する。
近年、食品や環境などの公衆衛生の分野における衛生水準の向上により、食中毒の発生には減少傾向が見られるものの、現在でもなお日本国内で毎年2万人以上が食中毒に罹患している。この中には、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、ビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種を原因とするものが少なからず含まれている。このため、このような食中毒の発生を防止するべく、食中毒菌の検査によって、食品や環境中におけるこれらの菌の存否を精度高く迅速に検出することが重要になっている。
これらの食中毒菌を検出する方法としては、例えば特許文献1に記載のように、所定のプライマーを用いて、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法により増幅対象領域(増幅対象遺伝子領域、標的遺伝子領域)のDNA断片を増幅し、その増幅産物のサイズを電気泳動法で分析することによって行う方法がある。
また、本出願人による特許文献2に記載の発明では、上記4菌種を含む7種類の食中毒菌における8種類の増幅対象領域について、所定のプライマーを用いてDNA断片をマルチプレックスPCRにより同時に増幅し、その増幅産物のサイズを電気泳動法で分析することによって検出することを可能にしている。
特表2008−538075号公報 国際公開第2011/129091号公報
しかしながら、このような従来の方法では、黄色ブドウ球菌の検出精度が、低くなる場合があるという問題があった。すなわち、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの中では、黄色ブドウ球菌が他の菌と比較して増殖速度が遅いという特徴がある。このため、これらの食中毒菌を同一の培養培地で同時に培養すると、大腸菌とサルモネラ属菌が先に大量に増殖する結果、特に黄色ブドウ球菌の生育が抑制されて十分に増殖できず、黄色ブドウ球菌の検出感度が不十分になる場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同一の培養培地で同時に培養し、PCR法により各増幅対象領域を同時に増幅して検出する場合において、黄色ブドウ球菌の増幅対象領域を良好に増幅させ、各食中毒菌を同時に特異的に検出することが可能な食中毒菌の検出方法、及び食中毒菌用PCR反応液の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の食中毒菌の検出方法は、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種を同時に検出する食中毒菌の検出方法であって、前記4菌種を培養可能な培地で同時に増菌する増菌工程、増菌して得られた培地から前記4菌種のゲノムDNAを抽出する抽出工程、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片と、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片と、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片と、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片とをPCRにより同時に増幅する増幅工程、及び、得られた増幅産物を電気泳動又はDNAチップにより同時に検出する検出工程を有し、前記増幅工程におけるPCR反応液中の、dnaJを含むDNA断片を増幅するためのdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が、pyrHを含むDNA断片を増幅するためのpyrHプライマーセット、invAを含むDNA断片を増幅するためのinvAプライマーセット、及びtoxRを含むDNA断片を増幅するためのtoxRプライマーセットの各プライマーの濃度の1.25倍以上である方法としてある。
また、本発明の食中毒菌用PCR反応液は、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスをPCRにより同時に増幅するための食中毒菌用PCR反応液であって、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片を増幅するための配列番号1に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号2に示す塩基配列からなるプライマーからなるpyrHプライマーセットと、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片を増幅するための配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーからなるinvAプライマーセットと、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片を増幅するための配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマーからなるdnaJプライマーセットと、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片を増幅するための配列番号7に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号8に示す塩基配列からなるプライマーからなるtoxRプライマーセットと、を含み、前記dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が125nM以上であり、かつ、前記pyrHプライマーセット、前記invAプライマーセット、及び前記toxRプライマーセットの各プライマーの濃度が、50〜100nMである構成としてある。
本発明によれば、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同一の培養培地で同時に培養し、PCR法により各増幅対象領域を同時に増幅して検出する場合において、黄色ブドウ球菌の増幅対象領域を良好に増幅させることができ、各食中毒菌を同時に特異的に検出することが可能となる。
本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法及び食中毒菌用PCR反応液において用いられる菌種毎のプライマーセットの塩基配列(プライマー配列)を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法において、培地にぎょうざを添加して4菌種を培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を固定し、残り3菌種のプライマー濃度を変化させてマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法において、培地にカット野菜を添加して4菌種を培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を固定し、残り3菌種のプライマー濃度を変化させてマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法において、培地に生ハムを添加して4菌種を培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を固定し、残り3菌種のプライマー濃度を変化させてマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法において、培地に魚肉ソーセージを添加して4菌種を培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を固定し、残り3菌種のプライマー濃度を変化させてマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法において、培地にぎょうざを添加して4菌種を培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を変化させ、残り3菌種のプライマー濃度を固定してマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法において、培地にカット野菜を添加して4菌種を培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を変化させ、残り3菌種のプライマー濃度を固定してマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法において、培地に生ハムを添加して4菌種を培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を変化させ、残り3菌種のプライマー濃度を固定してマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法において、培地に魚肉ソーセージを添加して4菌種を培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を変化させ、残り3菌種のプライマー濃度を固定してマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法及び食中毒菌用PCR反応液の効果の検証に用いた菌種毎のプローブの塩基配列(プローブ配列)を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法及び食中毒菌用PCR反応液による食中毒菌の検出結果(蛍光強度)を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る食中毒菌の検出方法、及び食中毒菌用PCR反応液について、詳細に説明する。
本実施形態に係る食中毒菌の検出方法は、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種を同時に検出する食中毒菌の検出方法であって、4菌種を培養可能な培地で同時に増菌する増菌工程、増菌して得られた培地から4菌種のゲノムDNAを抽出する抽出工程、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片と、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片と、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片と、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片とをPCRにより同時に増幅する増幅工程、及び、得られた増幅産物を電気泳動又はDNAチップにより同時に検出する検出工程を有し、増幅工程におけるPCR反応液中の、dnaJを含むDNA断片を増幅するためのdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が、pyrHを含むDNA断片を増幅するためのpyrHプライマーセット、invAを含むDNA断片を増幅するためのinvAプライマーセット、及びtoxRを含むDNA断片を増幅するためのtoxRプライマーセットの各プライマーの濃度の1.25倍以上であることを特徴とする。
[検出対象菌]
(大腸菌)
大腸菌(Escherichia coli)は、グラム陰性で通性嫌気性の桿菌である。腸内細菌の一種であり、多くのものは病原性を持っておらず、ヒトに対して無害であるが、腹痛や下痢等を引き起こすものが存在し、これらを一般的に病原性大腸菌と呼ぶ。
本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、大腸菌のゲノムDNAに共通して保有されるウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を増幅対象領域としてPCR法により増幅し、その増幅産物を検出することによって、試料中における大腸菌の有無を検出可能にしている。
(サルモネラ属菌)
サルモネラ属菌(Salmonella)は、グラム陰性で通性嫌気性の桿菌であり、腸内細菌の一種であるが、一部に感染型食中毒を起こすものが存在する。本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、サルモネラ属菌のゲノムDNAに共通して保有される侵入性因子関連遺伝子(invA)を増幅対象領域としてPCR法により増幅し、その増幅産物を検出することによって、試料中におけるサルモネラ属菌の有無を検出可能にしている。
(黄色ブドウ球菌)
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、ブドウ球菌の一種であり、グラム陽性で通性嫌気性の球菌である。人体の皮膚や鼻腔、腸内に常在し、健常者に対しても病気を起こし得るが、菌が少なければ通常その毒性は弱い。食中毒を引き起こすほか、表皮感染症、肺炎、髄膜炎などの各種感染症の起因菌でもある。本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、黄色ブドウ球菌のゲノムDNAに共通して保有されるヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を増幅対象領域としてPCR法により増幅し、その増幅産物を検出することによって、試料中における黄色ブドウ球菌の有無を検出可能にしている。
(ビブリオ・パラヘモリティカス)
ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)は、グラム陰性で好塩性の桿菌である。主として海水中に生息し、ヒトに感染すると、食中毒を発症させる病原性ビブリオ・パラヘモリティカス(腸炎ビブリオ)が存在する。一方、非病原性ビブリオ・パラヘモリティカスも存在している。本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、ビブリオ・パラヘモリティカスのゲノムDNAに共通して保有される病原性発現調節遺伝子(toxR)を増幅対象領域としてPCR法により増幅し、その増幅産物を検出することによって、試料中におけるビブリオ・パラヘモリティカスの有無を検出可能にしている。
なお、病原性を持たない大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスについても、その検出は衛生学的指標の観点から重要であり、これらも含めて便宜上、食中毒菌と総称している。
[培養培地]
本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、上記の4種類の食中毒菌を培養可能な培養培地(培養液)として、ペプトン、酵母エキス、硫酸マグネシウム、及び塩化ナトリウムを含有するものを用いることが好ましい。
上記の4種類の食中毒菌のうち、黄色ブドウ球菌が他の菌と比較して増殖速度が遅いため、これらを同一の培養培地で同時に培養することは難しく、黄色ブドウ球菌を十分に増殖できない場合があるが、このような培地を用いることで、4菌種同時培養における黄色ブドウ球菌の増殖を促進させることができる。
また、本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、黄色ブドウ球菌の検出精度を向上させるために、後述するように、黄色ブドウ球菌のゲノムDNAにおける増幅対象領域を増幅するためのプライマーセットの各プライマーの濃度と、その他の菌種のゲノムDNAにおける増幅対象領域を増幅するためのプライマーセットの各プライマーの濃度とを適切に調製している。これにより、これら4菌種についての増幅対象領域をバランス良く同時に増幅させて、それぞれの増幅産物が検出可能に得られるようにしている。
本実施形態の食中毒菌の検出方法において、培養培地のその他の成分として、リン酸塩(0.35w/v%リン酸水素二ナトリウム+0.15w/v%リン酸二水素カリウム)を含有させることが好ましく、さらにその他の成分を含有させても良い。
また、本実施形態の食中毒菌の検出方法において、培養培地のpHを6.5〜7.5にすることが好ましい。培養培地のpHがこの範囲であれば、大腸菌、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを好適に同時に増殖可能であるが、pHがこの範囲より小さい場合やより大きい場合には、黄色ブドウ球菌の増殖が不十分となるからである。
このような培養培地は、例えば、ペプトン、酵母エキス、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素カリウムを混合し、この混合物をpH7.0に調製して、121℃で15分間オートクレーブ滅菌することにより製造することができる。
[食中毒菌の検出方法]
本実施形態に係る食中毒菌の検出方法は、食中毒菌を増菌する増菌工程、食中毒菌からゲノムDNAを抽出する抽出工程、ゲノムDNAにおける増幅対象領域のDNA断片を増幅する増幅工程、及び、増幅産物を検出する検出工程を有することが好ましい。
具体的には、増菌工程において、上記の4菌種を培養可能な培養培地で同時に増菌する。すなわち、培養培地を用いて、検体試料中の大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの増幅対象領域をPCR法を用いて増幅するために適切な菌数(例えば、10cfu/ml以上)にまで増殖させる。検体としては、食品、臨床検体(糞便、嘔吐物)などが挙げられる。食品を検体とする場合には、例えば、培養培地225mLに食品25gを加えて、37℃で20時間程度培養することによって、それぞれの食中毒菌を適切な菌数にまで増殖させることができる。
次に、抽出工程において、増菌工程により得られた増菌した培養培地から、上記の4菌種のゲノムDNAを抽出する。その方法としては、特に限定されないが、例えば、この培養培地を回収して遠心分離を行い、次いで上清を廃棄し、得られた沈殿にグラム陽性菌の溶菌に適するリゾチーム溶液を加えて溶菌処理を行うことができる。そして、タンパク質分解とカラム精製を行うことによりDNA抽出液を得て、このDNA抽出液をPCR法による増幅のための試料とすることができる。
さらに、増幅工程において、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片と、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片と、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片と、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片とを、マルチプレックスPCRにより同時に増幅する。
ここで、PCR反応液として、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片を増幅するための配列番号1に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号2に示す塩基配列からなるプライマーからなるpyrHプライマーセットと、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片を増幅するための配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーからなるinvAプライマーセットと、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片を増幅するための配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマーからなるdnaJプライマーセットと、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片を増幅するための配列番号7に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号8に示す塩基配列からなるプライマーからなるtoxRプライマーセットとを含むものを用いることが好ましい。
また、それ以外の成分には、一般的なものを用いることができる。具体的には、緩衝液、核酸合成基質、Ex Taq等の核酸合成酵素、Cy5等の標識成分、試料のDNA、及び水を含むものなどを用いることができる。
そして、このようなPCR反応液を用いてサーマルサイクラーなどの核酸増幅装置により、試料中のゲノムDNAの一部を増幅する。すなわち、このようなプライマーセットを含有するPCR反応液を用いることで、これらのプライマーセットの増幅対象領域を有するゲノムDNAが試料中に存在している場合に、それぞれの増幅対象領域を同時に特異的に増幅することが可能である。
また、このようなPCR反応液中において、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片を増幅するdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片を増幅するためのpyrHプライマーセット、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片を増幅するためのinvAプライマーセット、及びビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片を増幅するためのtoxRプライマーセットの各プライマーの濃度の1.25倍以上であることが好ましく、1.25〜3.5倍であることがより好ましく、1.5〜3倍であることがさらに好ましい。
また、このようなPCR反応液中において、dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が125nM以上であり、かつ、pyrHプライマーセット、invAプライマーセット、及びtoxRプライマーセットの各プライマーの濃度が、50〜100nMであることが好ましく、dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が125nM〜175nMであり、かつ、pyrHプライマーセット、invAプライマーセット、及びtoxRプライマーセットの各プライマーの濃度が、50〜100nMであることがより好ましく、dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が150nMであり、かつ、pyrHプライマーセット、invAプライマーセット、及びtoxRプライマーセットの各プライマーの濃度が、50〜100nMであることがさらに好ましい。
本実施形態に係る食中毒菌用PCR反応液において、dnaJプライマーセットの各プライマーと、上記その他のプライマーセットの各プライマーを、このような割合で含有させることで、黄色ブドウ球菌の増幅対象領域を、その他の3種類の食中毒菌の増幅対象領域と共に、同時に好適に増殖させることが可能になる。
そして、検出工程において、増幅工程により得られた各増幅産物を、電気泳動又はDNAチップにより同時に検出する。
すなわち、PCR法により得られた増幅産物(PCR増幅産物)を用いて、例えば電気泳動を行うことにより、本実施形態における上記各プライマーセットによる増幅産物が得られているか否かを確認して、試料中における各食中毒菌の有無を検出することが好ましい。電気泳動は、アガロースゲル電気泳動やポリアクリルアミドゲル電気泳動、マイクロチップ電気泳動など一般的な方法により行うことができる。
本実施形態に係る食中毒菌の検出方法において用いるプライマーは、上記の塩基配列に限定されるものではなく、それぞれの塩基配列において1又は数個の塩基が欠損、置換又は付加されたものを用いることができる。また、それぞれの塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる核酸断片からなるものを用いることもできる。
ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、配列番号1〜8で表される配列からなるDNAに対し高い相同性(相同性が90%以上、好ましくは95%以上)を有するDNAが、配列番号1〜8で表される配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ハイブリダイズする条件が挙げられる。通常、完全ハイブリッドの溶解温度(Tm)より約5℃〜約30℃、好ましくは約10℃〜約25℃低い温度でハイブリダイゼーションが起こる場合をいう。ストリンジェントな条件については、J.Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Mannual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、特に11.45節「Conditions for Hybridization of Oligonucleotide Probes」に記載されている条件等を使用することができる。
また、PCR増幅産物を、本実施形態に係る食中毒菌用PCR反応液における各プライマーセットに相補的に結合するプローブが固定されたDNAチップに滴下して、各プローブにハイブリダイズした増幅産物の標識を検出することにより、試料中における食中毒菌の有無を検出することも好ましい。
標識の検出は、蛍光スキャニング装置など一般的な標識検出装置を用いて行うことができ、例えば東洋鋼鈑株式会社のBIOSHOT(R)を用いて、増幅産物の蛍光強度を測定することにより行うことができる。また、測定結果として、蛍光強度の他に、S/N比値(Signal to Noise ratio,(メディアン蛍光強度値−バックグラウンド値)÷バックグラウンド値)を算出することも好ましい。S/N比値にもとづいて、測定結果が陽性であるか陰性であるかを、精度高く判定することができるためであり、一般にS/N比値が3以上の場合、陽性と判定することができる。なお、標識は、蛍光に限定されず、その他のものを用いてもよい。
本実施形態に係る食中毒菌の検出方法において用いるDNAチップは、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)領域から選択されたプローブ(pyrHプローブ)として、配列番号9〜11に示す塩基配列からなる少なくともいずれかを固定化したものとすることが好ましい。また、特異性の観点から、配列番号10又は11に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることがより好ましく、配列番号9〜11に示す塩基配列からなる少なくとも二以上のプローブを固定化したものとすることがさらに好ましい。このように、特異性に優れたプローブを組み合わせることによって、偽陽性の判定がなされる可能性を低減させることが可能となる。
また、このDNAチップは、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)領域から選択されたプローブ(invAプローブ)として、配列番号12〜16に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
また、このDNAチップは、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)領域から選択されたプローブ(dnaJプローブ)として、配列番号17〜19に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
さらに、このDNAチップは、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)領域から選択されたプローブ(toxRプローブ)として、配列番号20〜23に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
このようなDNAチップにおいて用いるプローブも、上記の塩基配列に限定されるものではなく、それぞれの塩基配列において1又は数個の塩基が欠損、置換又は付加されたものを用いることができる。また、それぞれの塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる核酸断片からなるものを用いることもできる。さらに、これらのようなプローブに対して相補的な塩基配列を有するプローブを用いることもできる。
このようなDNAチップを用いて、PCR増幅産物に所定の緩衝液を混合し、当該DNAチップに滴下する。次に、当該DNAチップを45℃で1時間静置し、その後、所定の緩衝液によりハイブリダイズしなかったPCR増幅産物等を当該DNAチップから洗い流す。そして、当該DNAチップを標識検出装置にかけて標識の検出を行うことにより、試料中に4種類の食中毒菌が存在するか否かを同時に検出することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る食中毒菌の検出方法、及び食中毒菌用PCR反応液によれば、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同一の培養培地で同時に培養し、マルチプレックスPCRにより同時に増幅して、各食中毒菌を同時に特異的に検出することが可能になっている。
<試験1:4菌種の増幅対象領域を同時に増幅させるために最適なプライマー濃度の検証(1)>
大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4種類の食中毒菌の増幅対象領域を同時に増殖させるための最適なプライマー濃度を検証するために、PCR反応液における黄色ブドウ球菌のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度を150nMに固定し、その他の3菌種のプライマーセットの各プライマーの濃度を50nM、75nM、100nM、150nMとして、それぞれPCRを行った。具体的には、以下の通りである。
まず、本実施形態に係る食中毒菌の検出方法において用いる培養培地を作製するために、ペプトン、酵母エキス、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素カリウムを、以下の組成で混合して蒸留水に溶解し、pHを7.0に調製した。そして、得られた培地を121℃で、15分間オートクレーブにより滅菌した。
(1Lあたり)
ペプトン :30g
酵母エキス :5g
硫酸マグネシウム七水和物:0.5g
塩化ナトリウム :15g
リン酸水素二ナトリウム :3.5g
リン酸二水素カリウム :1.5g
次いで、この培養培地225mLに対して、細断した食品を25g添加し、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの菌株を約10〜50cfuずつ接種して、ストマッカーで30秒間混和した。これを37℃で20時間培養した。食品には、ぎょうざ、カット野菜、生ハム、魚肉ソーセージの4種類を使用し、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスは、それぞれ以下の菌株を使用した。
・大腸菌(Escherichia coli) NCTC1292株
・サルモネラ属菌(Salmonella enterica subsp. Enterica serovar Abony) ACM5080株
・黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) NCTC10788株
・ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus) RIMD2210050株
これらの食中毒菌の菌株は、次の分譲機関由来のものである。
・NCTC National Collection of Type Culture(イギリス)
・ACM Australian Collection of Microorganisms(オーストラリア)
・RIMD 大阪大学微生物病研究所
次に、培養液を1mL回収し、5000×gで、10分間の遠心分離を行った。そして、上清を廃棄し、得られた沈殿に、20mg/mL濃度のリゾチーム溶液(20mM Tris−HCl,pH8.0/2mM EDTA,1.2%TritonX−100)を加えて、37℃で30分間溶菌処理を行った。さらに、DNeasy Blood&Tissue Kit(株式会社キアゲン製)を用いて、カラム精製を行うことにより、DNA抽出液を得た。このDNA抽出液をPCRにおいて使用する試料とした。
そして、これらの食中毒菌のゲノムDNAにおける増幅対象領域を特異的に増幅させるための図1に記載の4種類のプライマーセットを用いて、それぞれの増幅対象領域をマルチプレックスPCRにより同時に増幅し、得られた増幅産物を検出できるか否かを検証した。具体的には、以下のように行った。
PCR反応液は、以下の組成で調製した。プライマーはシグマアルドリッチジャパン合同会社に合成委託し、それ以外の試薬はタカラバイオ株式会社製のものを使用した。そして、黄色ブドウ球菌のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度を150nMに固定し、その他の3菌種検出用のプライマーセットの各プライマーの濃度を50nM、75nM、100nM、150nMとして、マルチプレックスPCRを行った。なお、以降の組成においては、ビブリオ・パラヘモリティカスをビブリオと略称している。
・緩衝液(10×Ex Taq buffer) (2.0μl)
・核酸合成基質(dNTP Mixture) (1.6μl)
・大腸菌pyrH用Fプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.1、0.15、0.2、0.3μl)
・大腸菌pyrH用Rプライマー 同上
・サルモネラ属菌invA用Fプライマー (0.1、0.15、0.2、0.3μl)
・サルモネラ属菌invA用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) 同上
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Fプライマー (0.3μl)
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) 同上
・ビブリオtoxR用Fプライマー (0.1、0.15、0.2、0.3μl)
・ビブリオtoxR用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) 同上
・TaKaRa Ex Taq Hot Start Version (0.2μl)
・試料のDNA (1.0μl)
・滅菌水 (反応液全量が20μlなるように添加)
(全量 20μl)
PCRによる遺伝子の増幅には、サーマルサイクラーepグラジエント(エッペンドルフ株式会社)を使用した。反応条件は、以下の通りである。
(1)95℃ 2分
(2)95℃ 10秒(DNA鎖の乖離工程)
(3)68℃ 30秒(アニーリング工程)
(4)72℃ 30秒(DNA合成工程)
(5)72℃ 2分
(2)〜(4)を40サイクル
次に、PCR反応液をマイクロチップ電気泳動装置MultiNA(株式会社島津製作所)に供してマルチプレックスPCRを行い、得られた増幅産物量を測定した。その結果を図2〜図5に示す。
黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のプライマーセットの各プライマーの濃度を高くするにつれて、これらに対応する増幅対象領域(pyrH、invA、toxR)の増幅産物量は、増加した。これに対して、黄色ブドウ球菌のdnaJ領域の増幅産物量は減少していた。これは、黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のプライマーセットの各プライマーの濃度を高くすることによって、pyrH、invA、toxR領域の増幅効率が高くなった結果、dnaJ領域の増幅が競合的に阻害されたことによるものと考えられる。
また、試験に供した食品サンプル4種類のうち、カット野菜(図3)と魚肉ソーセージ(図5)において、黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のプライマーセットの各プライマーの濃度が150nMのとき、dnaJ領域の増幅産物は、検出することができなかった。
以上のことから、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同一の培養培地を用いて増菌し、PCR法により増幅対象領域を増幅して、その増幅産物を検出する場合において、dnaJ領域を含むこれら4菌種の増幅対象領域を同時に安定的に増幅させるためには、黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のプライマーセットの各プライマーの濃度を、100nM以下とすることが好ましく、50mM以上100nM以下とすることがより好ましいと考えられる。
<試験2:4菌種の増幅対象領域を同時に増幅させるために最適なプライマー濃度の検証(2)>
大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4種類の食中毒菌の増幅対象領域を同時に増殖させるための最適なプライマー濃度を検証するために、PCR反応液における黄色ブドウ球菌以外の3菌種のプライマーセットの各プライマーの濃度を100nMに固定し、黄色ブドウ球菌のプライマーセットの各プライマーの濃度を50nM、75nM、100nM、125nM、150nMとして、その他の点は試験1と同様にして試験を行った。PCR反応液の組成は、以下の通りである。
・緩衝液(10×Ex Taq buffer) (2.0μl)
・核酸合成基質(dNTP Mixture) (1.6μl)
・大腸菌pyrH用Fプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.2μl)
・大腸菌pyrH用Rプライマー 同上
・サルモネラ属菌invA用Fプライマー (0.2μl)
・サルモネラ属菌invA用Rプライマー(5’末端Cy5修飾)同上
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Fプライマー (0.1、0.15、0.2、0.25、0.3μl)
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Rプライマー(5’末端Cy5修飾)同上
・ビブリオtoxR用Fプライマー (0.2μl)
・ビブリオtoxR用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) 同上
・TaKaRa Ex Taq Hot Start Version (0.2μl)
・試料のDNA (1.0μl)
・滅菌水 (反応液全量が20μlなるように添加)
(全量 20μl)
そして、PCR反応液をマイクロチップ電気泳動装置MultiNA(株式会社島津製作所)に供してマルチプレックスPCRを行い、得られた増幅産物量を測定した。その結果を図6〜図9に示す。
黄色ブドウ球菌のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度を高くするにつれて、dnaJ領域の増幅産物には増加する傾向が見られた。一方、黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のpyrH、invA、toxR領域の増幅産物は、dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度に拘わらず、ほぼ一定であった。このことから、pyrH、invA、toxR領域の増幅は、dnaJ領域の増幅の影響を受けていないものと考えられる。
また、試験に供した食品サンプル4種類のうち、カット野菜(図7)と魚肉ソーセージ(図9)において、黄色ブドウ球菌のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が50nMのとき、dnaJ領域の増幅産物は、検出することができなかった。また、カット野菜では全体的に増副産物量が少ないものの、その他の食品サンプルについては、同プライマーの濃度が125nM以上のときに、比較的良好な増幅産物量が得られていることがわかる。
以上のことから、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同一の培養培地を用いて増菌し、PCR法により増幅対象領域を増幅して、増幅産物を検出する場合において、dnaJ領域を含むこれら4菌種の増幅対象領域を同時に安定的に増幅させるためには、黄色ブドウ球菌検出用のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度を75nM以上とすることができ、125nM以上とすることが好ましく、150nM以上とすることがより好ましいと考えられる。
<試験3:DNAチップによる同時検出の検証>
本実施形態に係る食中毒菌の検出方法及び食中毒菌用PCR反応液によって得られたPCR増幅産物を、PCR反応液における各プライマーセットに相補的に結合するプローブが固定されたDNAチップに滴下して、各プローブにハイブリダイズした増幅産物の標識を検出することにより、対象とする4種類の食中毒菌を検出できるかを検証した。
培養培地としては、試験1と同様のものを作製し、この培養培地に、以下に示す大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの菌株を約10〜50cfuずつ接種して、37℃で同時に20時間培養し、その培養液からDNAを抽出した。
・大腸菌(Escherichia coli) RIMD05091053株
・サルモネラ属菌(Salmonella enterica subsp. Enterica serovar Abony) ACM5080株
・黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) NCTC10788株
・ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus) RIMD2210050株
これらの食中毒菌の菌株は、次の分譲機関由来のものである。
・RIMD 大阪大学微生物病研究所
・ACM Australian Collection of Microorganisms(オーストラリア)
・NCTC National Collection of Type Culture(イギリス)
具体的には、培養液を1mL回収し、5000×gで、10分間の遠心分離を行った。次に、上清を廃棄し、得られた沈殿に、20mg/mL濃度のリゾチーム溶液(20mM Tris−HCl,pH8.0/2mM EDTA,1.2%TritonX−100)を加えて、37℃で30分間溶菌処理を行った。さらに、DNeasy Blood&Tissue Kit(株式会社キアゲン製)を用いて、カラム精製を行うことにより、DNA抽出液を得た。このDNA抽出液をPCRにおいて使用する試料とした。
また、プライマーセットとしては、図1に示す4種類のプライマーセットを用い、黄色ブドウ球菌のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度を150nMとし、その他の3菌種のプライマーセットの各プライマーの濃度を75nMとして、その他の点は、試験1と同様にして、PCRを行った。このとき、PCR反応液(全量20μl)における黄色ブドウ球菌dnaJプライマーセットにおける各プライマーの配合量は0.30μlであり、その他の3菌種のプライマーセットにおける各プライマーの配合量は0.15μlであった。なお、本試験では、PCR反応液にその他のプライマーセットの各プライマー(大腸菌のvtx1、vtx2遺伝子用、及びビブリオ・パラヘモリティカスのtdh、trh遺伝子用)をそれぞれ75nM(0.15μl)ずつ含んでいたが、これについては説明を省略する。
また、DNAチップとしては、図10に示す配列番号9〜23の塩基配列からなる各プローブを固定化したDNAチップを作製した。
そして、得られたPCR反応液4μLと、ハイブリダイゼーション用の緩衝液2μL(3×SSC/0.3%SDS クエン酸−生理食塩水−ドデシル硫酸ナトリウム)を混合したものを、上記DNAチップに滴下して、45℃で1時間反応させた。
反応後、DNAチップを室温下で洗浄液(2×SSC/0.2%SDS溶液、2×SSC溶液の順に)に浸して洗浄を行い、カバーガラスを載せて蛍光検出器Bioshot(東洋鋼鈑株式会社製)により各プローブのスポット領域の蛍光を検出した。その結果を図11に示す。
同図に示すように、配列番号9〜23の各プローブにおいて、高い蛍光強度が得られていた。
したがって、本実施形態に係る食中毒菌の検出方法によれば、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同一の培養培地を用いて増菌し、PCR法により増幅対象領域を増幅して、その増幅産物を検出する場合において、黄色ブドウ球菌の増幅対象領域を良好に増幅でき、DNAチップを用いて、これらの食中毒菌を同時に特異的に検出できることが明らかとなった。
本発明は、以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能である。例えば、本実施形態に係る食中毒菌の検出方法において、PCR反応液に他の増幅対象領域を増幅させるためのプライマーセットなどその他の成分を含有させたり、あるいは本実施形態で用いたDNAチップ上に、上記以外のプローブをさらに追加して固定化したりするなど適宜変更することが可能である。
本発明は、食品検査、疫学的環境検査、環境検査、臨床試験、及び家畜衛生等において、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に特異的に検出する場合に好適に利用することが可能である。

Claims (5)

  1. 大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種を同時に検出する食中毒菌の検出方法であって、
    前記4菌種を培養可能な培地で同時に増菌する増菌工程、
    増菌して得られた培地から前記4菌種のゲノムDNAを抽出する抽出工程、
    大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片と、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片と、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片と、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片とをPCRにより同時に増幅する増幅工程、及び、
    得られた増幅産物を電気泳動又はDNAチップにより同時に検出する検出工程を有し、
    前記増幅工程におけるPCR反応液中の、dnaJを含むDNA断片を増幅するためのdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が、pyrHを含むDNA断片を増幅するためのpyrHプライマーセット、invAを含むDNA断片を増幅するためのinvAプライマーセット、及びtoxRを含むDNA断片を増幅するためのtoxRプライマーセットの各プライマーの濃度の1.25倍以上である
    ことを特徴とする食中毒菌の検出方法。
  2. 前記dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が125nM以上であり、かつ、前記pyrHプライマーセット、前記invAプライマーセット、及び前記toxRプライマーセットの各プライマーの濃度が、50〜100nMである
    ことを特徴とする請求項1記載の食中毒菌の検出方法。
  3. 前記4菌種を培養可能な培地が、ペプトン、酵母エキス、硫酸マグネシウム、及び塩化ナトリウムを含有する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の食中毒菌の検出方法。
  4. 前記pyrHプライマーセットが、配列番号1に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号2に示す塩基配列からなるプライマーからなり、
    前記invAプライマーセットが、配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーからなり、
    前記dnaJプライマーセットが、配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマーからなり、
    前記toxRプライマーセットが、配列番号7に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号8に示す塩基配列からなるプライマーからなる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の食中毒菌の検出方法。
  5. 大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスをPCRにより同時に増幅するための食中毒菌用PCR反応液であって、
    大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片を増幅するための配列番号1に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号2に示す塩基配列からなるプライマーからなるpyrHプライマーセットと、
    サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片を増幅するための配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーからなるinvAプライマーセットと、
    黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片を増幅するための配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマーからなるdnaJプライマーセットと、
    ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片を増幅するための配列番号7に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号8に示す塩基配列からなるプライマーからなるtoxRプライマーセットと、を含み、
    前記dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が125nM以上であり、かつ、前記pyrHプライマーセット、前記invAプライマーセット、及び前記toxRプライマーセットの各プライマーの濃度が、50〜100nMである
    ことを特徴とする食中毒菌用PCR反応液。
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