JP2016000015A - 食中毒菌検出用担体、及び食中毒菌検出用キット - Google Patents

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和輝 中島
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隆明 山崎
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聡史 古川
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Abstract

【課題】 病原性を持たないものを含む大腸菌及びビブリオ・パラヘモリティカスと、病原性大腸菌及び病原性ビブリオ・パラヘモリティカスを同時かつ高い特異性で検出でき、かつ試料中における大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種を同時に特異的に検出することを可能とする。
【解決手段】 大腸菌のpyrH、vtx1、及びvtx2からそれぞれ選択された三以上のプローブと、サルモネラ属菌のinvAから選択された一又は二以上のプローブと、黄色ブドウ球菌のdnaJから選択された一又は二以上のプローブと、ビブリオ・パラヘモリティカスのtoxR、tdh、trh1、及びtrh2からそれぞれ選択された四以上のプローブとを固定化した食中毒菌検出用担体により上記4菌種を検出する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食中毒菌などの微生物を検出するための技術に関し、特に大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に検出する食中毒菌検出用担体、及び食中毒菌検出用キットに関する。
近年、食品や環境などの公衆衛生の分野における衛生水準の向上により、食中毒の発生には減少傾向が見られるものの、現在でもなお日本国内で毎年2万人以上が食中毒に罹患している。この中には、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、ビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種を原因とするものが少なからず含まれている。このため、このような食中毒の発生を防止するべく、食中毒菌の検査によって、食品や環境中におけるこれらの菌の存否を精度高く迅速に検出することが重要になっている。
これらの食中毒菌を検出する方法としては、例えば特許文献1に記載のように、所定のプライマーを用いて、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法により増幅対象領域(増幅対象遺伝子領域、標的遺伝子領域)のDNA断片を増幅し、その増幅産物のサイズを電気泳動法で分析することによって行う方法がある。
また、本出願人による特許文献2に記載の発明では、上記4菌種を含む7種類の食中毒菌における8種類の増幅対象領域について、所定のプライマーを用いてDNA断片をマルチプレックスPCRにより同時に増幅し、その増幅産物のサイズを電気泳動法で分析することによって検出することを可能にしている。
特表2008−538075号公報 国際公開第2011/129091号公報
ところで、公衆衛生の分野においては、食中毒の原因となる腸管出血性大腸菌などの病原性の大腸菌や病原性ビブリオ・パラヘモリティカス(腸炎ビブリオ)の有無の検査のみならず、衛生学的指標として、病原性に拘わらず、これらの菌の有無を同時に検査できることが望ましい。しかしながら、上述した従来の技術では、病原性を持たないものを含む大腸菌やビブリオ・パラヘモリティカスを、腸管出血性大腸菌や病原性ビブリオ・パラヘモリティカスと同時に検出することはできなかった。
また、食中毒菌検査を行う実際の現場においては、検査試料に食物の遺伝子など様々なDNAが混入することから、より特異性に優れた検出精度が求められていた。
また、従来の検出方法では、黄色ブドウ球菌の検出精度が、低くなる場合があるという問題があった。すなわち、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの中では、黄色ブドウ球菌が他の菌と比較して増殖速度が遅いという特徴がある。このため、これらの食中毒菌を同一の培養培地で同時に培養すると、大腸菌とサルモネラ属菌が先に大量に増殖する結果、特に黄色ブドウ球菌の生育が抑制されて十分に増殖できず、黄色ブドウ球菌の検出感度が不十分になる場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの増幅対象領域をマルチプレックスPCRにより同時に増幅して、その増幅産物と相補的に結合するプローブを固定化したDNAチップを用いて検出する場合において、病原性を持たないものを含む大腸菌及びビブリオ・パラヘモリティカスと、病原性大腸菌及び病原性ビブリオ・パラヘモリティカスを同時かつ高い特異性で検出でき、かつ試料中における大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種を同時に特異的に検出することが可能な食中毒菌検出用担体、及び食中毒菌検出用キットの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の食中毒菌検出用担体は、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に検出するための食中毒菌検出用担体であって、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)、ベロ毒素1型遺伝子(vtx1)、及びベロ毒素2型遺伝子(vtx2)からそれぞれ選択された三以上のプローブと、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)から選択された一又は二以上のプローブと、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)から選択された一又は二以上のプローブと、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)、耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)、耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子(trh1)、及び耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子(trh2)からそれぞれ選択された四以上のプローブとを固定化した構成としてある。
また、本発明の食中毒菌検出用キットは、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に検出するための食中毒菌検出用キットであって、前記食中毒菌検出用担体、及び、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片を増幅するための配列番号1に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号2に示す塩基配列からなるプライマーからなるpyrHプライマーセットと、大腸菌のベロ毒素1型遺伝子(vtx1)を含むDNA断片を増幅するための配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーからなるvtx1プライマーセットと、大腸菌のベロ毒素2型遺伝子(vtx2)を含むDNA断片を増幅するための配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマーからなるvtx2プライマーセットと、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片を増幅するための配列番号7に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号8に示す塩基配列からなるプライマーからなるinvAプライマーセットと、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片を増幅するための配列番号9に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号10に示す塩基配列からなるプライマーからなるdnaJプライマーセットと、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片を増幅するための配列番号11に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号12に示す塩基配列からなるプライマーからなるtoxRプライマーセットと、ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)を含むDNA断片を増幅するための配列番号13に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号14に示す塩基配列からなるプライマーからなるtdhプライマーセットと、ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)を含むDNA断片を増幅するための配列番号15に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号16に示す塩基配列からなるプライマーからなるtrhプライマーセットと、を備えたPCR反応液を有し、前記PCR反応液における前記dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が、前記その他の増幅対象の遺伝子を含むDNA断片を増幅するためのプライマーセットの各プライマーの濃度の1.25倍以上である構成としてある。
本発明によれば、病原性を持たないものを含む大腸菌及びビブリオ・パラヘモリティカスと、病原性大腸菌及び病原性ビブリオ・パラヘモリティカスを同時かつ高い特異性で検出でき、かつ試料中における大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種を同時に特異的に検出することが可能となる。
本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットの試験1,2で用いた菌株の毒素遺伝子保有状況を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌についての8種類の増幅対象領域のプライマーセットの塩基配列(プライマー配列)を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌についての8種類の増幅対象領域のプライマーセットを用いた場合のマルチプレックスPCRによる増幅産物の電気泳動の結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおけるプローブの塩基配列(プローブ配列)(大腸菌,サルモネラ属菌)を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおけるプローブの塩基配列(プローブ配列)(黄色ブドウ球菌、ビブリオ・パラヘモリティカス)を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットによる食中毒菌の検出結果(蛍光強度)(大腸菌,サルモネラ属菌)を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットによる食中毒菌の検出結果(蛍光強度)(黄色ブドウ球菌、ビブリオ・パラヘモリティカス)を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用キットにおけるウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子領域を増幅するためのプライマーセット(pyrHプライマーセット)を用いて、検証菌種を電気泳動した結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体におけるウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子領域から選択された複数のプローブ(pyrHプローブ)毎の検出結果(蛍光強度,S/N比値)を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットの試験4で用いたビブリオ・パラヘモリティカスの菌株の毒素遺伝子保有状況を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用キットにおける耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)領域を増幅するためのプライマーセット(trhプライマーセット)と、本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体における耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)領域における耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子(trh1)から選択されたプローブ(trh1プローブ)及び耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子(trh2)から選択されたプローブ(trh2プローブ)を用いた検出結果(蛍光強度)を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌を、ぎょうざを添加した培養培地を用いて同時に培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を固定し、残り3菌種のプライマー濃度を変化させてマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌を、カット野菜を添加した培養培地を用いて同時に培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を固定し、残り3菌種のプライマー濃度を変化させてマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌を、生ハムを添加した培養培地を用いて同時に培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を固定し、残り3菌種のプライマー濃度を変化させてマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌を、魚肉ソーセージを添加した培養培地を用いて同時に培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を固定し、残り3菌種のプライマー濃度を変化させてマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌を、ぎょうざを添加した培養培地を用いて同時に培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を変化させ、残り3菌種のプライマー濃度を固定してマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌を、カット野菜を添加した培養培地を用いて同時に培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を変化させ、残り3菌種のプライマー濃度を固定してマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌を、生ハムを添加した培養培地を用いて同時に培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を変化させ、残り3菌種のプライマー濃度を固定してマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。 本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌を、魚肉ソーセージを添加した培養培地を用いて同時に培養し、黄色ブドウ球菌用のプライマー濃度を変化させ、残り3菌種のプライマー濃度を固定してマルチプレックスPCRを行った場合の菌種毎の増幅産物量を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体、及び食中毒菌検出用キットについて、詳細に説明する。
本実施形態に係る食中毒菌検出用担体は、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に検出するための食中毒菌検出用担体であって、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)、ベロ毒素1型遺伝子(vtx1)、及びベロ毒素2型遺伝子(vtx2)からそれぞれ選択された三以上のプローブと、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)から選択された一又は二以上のプローブと、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)から選択された一又は二以上のプローブと、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)、耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)、耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子(trh1)、及び耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子(trh2)からそれぞれ選択された四以上のプローブとを固定化したことを特徴とする。
[検出対象菌]
(大腸菌)
大腸菌(Escherichia coli)は、グラム陰性で通性嫌気性の桿菌である。腸内細菌の一種であり、多くのものは病原性を持っておらず、ヒトに対して無害である。しかしながら、公衆衛生の分野においては、糞便汚染などの衛生学的指標として、このような病原性の有無に拘わらず、大腸菌を幅広く検出可能にすることが好ましい。
そこで、本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、大腸菌のゲノムDNAに共通して保有されるウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を増幅対象領域としてPCR法により増幅し、その増幅産物を検出することによって、試料中における、病原性のあるものとないものとを含む大腸菌の有無を検出可能にしている。
また、大腸菌には、腹痛や下痢等を引き起こすものが存在し、これらを一般的に病原性大腸菌と呼ぶ。特に、O157などで有名な腸管出血性大腸菌(EHEC,enterohemorrhagic E.coli)には、毒素を産生する遺伝子として、ベロ毒素1型遺伝子(vtx1)及び/又はベロ毒素2型遺伝子(vtx2)を有するものが存在する。
具体的には、例えば図1に示すように、ベロ毒素遺伝子の保有状況が分っている菌株が存在している。後述する実施例では、これらの菌株を使用して、pyrH、vtx1、及びvtx2の3つの遺伝子を同時に検出している。
(サルモネラ属菌)
サルモネラ属菌(Salmonella)は、グラム陰性で通性嫌気性の桿菌であり、腸内細菌の一種であるが、一部に感染型食中毒を起こすものが存在する。本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、サルモネラ属菌のゲノムDNAに共通して保有される侵入性因子関連遺伝子(invA)を増幅対象領域としてPCR法により増幅し、その増幅産物を検出することによって、試料中における、サルモネラ属菌の有無を検出可能にしている。
(黄色ブドウ球菌)
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、ブドウ球菌の一種であり、グラム陽性で通性嫌気性の球菌である。人体の皮膚や鼻腔、腸内に常在し、健常者に対しても病気を起こし得るが、菌が少なければ通常その毒性は弱い。食中毒を引き起こすほか、表皮感染症、肺炎、髄膜炎などの各種感染症の起因菌でもある。本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、黄色ブドウ球菌のゲノムDNAに共通して保有されるヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を増幅対象領域としてPCR法により増幅し、その増幅産物を検出することによって、試料中における、黄色ブドウ球菌の有無を検出可能にしている。
(ビブリオ・パラヘモリティカス)
ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)は、グラム陰性で好塩性の桿菌である。主として海水中に生息し、ヒトに感染すると、食中毒を発症させる病原性ビブリオ・パラヘモリティカス(腸炎ビブリオ)が存在する。一方、非病原性ビブリオ・パラヘモリティカスも存在している。しかしながら、公衆衛生の分野においては、衛生学的指標として、このような病原性の有無に拘わらず、ビブリオ・パラヘモリティカスを幅広く検出可能にすることが好ましい。
そこで、本実施形態に係る食中毒菌の検出方法では、ビブリオ・パラヘモリティカスのゲノムDNAに共通して保有される病原性発現調節遺伝子(toxR)を増幅対象領域としてPCR法により増幅し、その増幅産物を検出することによって、試料中における、病原性のあるものとないものとを含むビブリオ・パラヘモリティカスの有無を検出可能にしている。
また、病原性ビブリオ・パラヘモリティカスには、毒素を産生する遺伝子として、耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)及び/又は耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)を有するものが存在する。
具体的には、例えば図1に示すように、これらの毒素遺伝子の保有状況が分っている菌株が存在している。さらに、耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)は、耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子(trh1)と耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子(trh2)に区別される。後述する実施例では、これらの菌株を使用して、toxR、tdh、及びtrhの3つの遺伝子を同時に検出すると共に、さらにtrh1とtrh2とを識別可能にしている。
なお、病原性を持たない大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスについても、その検出は衛生学的指標の観点から重要であり、これらも含めて便宜上、食中毒菌と総称している。
[培養培地]
本発明の実施形態に係る食中毒菌検出用担体及び食中毒菌検出用キットにおいて用いられる4種類の食中毒菌を同時に培養するための培地としては、ペプトン、酵母エキス、硫酸マグネシウム、及び塩化ナトリウムを含有するものを用いることが好ましい。
大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4種類の食中毒菌のうち、黄色ブドウ球菌が他の菌と比較して増殖速度が遅いため、これらを同一の培養培地で同時に培養することは難しく、黄色ブドウ球菌を十分に増殖できない場合があるが、このような培地を用いることで、黄色ブドウ球菌の増殖を促進させることができる。
また、本実施形態に係る食中毒菌検出用キットでは、黄色ブドウ球菌の検出精度を向上させるために、後述するように、黄色ブドウ球菌のゲノムDNAの増幅対象領域を増幅するためのプライマーセットの各プライマーの濃度と、その他の菌種のゲノムDNAの増幅対象領域を増幅するためのプライマーセットの各プライマーの濃度とを適切に調製している。これにより、これら4菌種についての増幅対象領域をバランス良く同時に増幅させて、それぞれの増幅産物が検出可能に得られるようにしている。
また、培養培地におけるその他の成分として、リン酸塩(0.35w/v%リン酸水素二ナトリウム+0.15w/v%リン酸二水素カリウム)を含有させることが好ましく、さらにその他の成分を含有させても良い。
また、培養培地のpHを、6.5〜7.5にすることが好ましい。培養培地のpHがこの範囲であれば、大腸菌、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを好適に同時に増殖可能であるが、pHがこの範囲より小さい場合やより大きい場合には、黄色ブドウ球菌の増殖が不十分となるからである。
このような培養培地は、例えば、ペプトン、酵母エキス、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素カリウムを混合し、この混合物をpH7.0に調製して、121℃で15分間オートクレーブ滅菌することにより製造することができる。
[食中毒菌検出用担体]
本実施形態に係る食中毒菌検出用担体(DNAチップ)は、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)領域から選択されたプローブ(pyrHプローブ)として、配列番号17〜19に示す塩基配列からなる少なくともいずれかを固定化したものとすることが好ましい。また、特異性の観点から、配列番号18又は19に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることがより好ましく、配列番号17〜19に示す塩基配列からなる少なくとも二以上のプローブを固定化したものとすることがさらに好ましい。このように、特異性に優れたプローブを組み合わせることによって、偽陽性の判定がなされる可能性を低減させることが可能となる。
また、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体は、腸管出血性大腸菌のベロ毒素1型遺伝子(vtx1)領域から選択されたプローブ(vtx1プローブ)として、配列番号20〜27に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましく、腸管出血性大腸菌のベロ毒素2型遺伝子(vtx2)領域から選択されたプローブ(vtx2プローブ)として、配列番号28〜32に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
本実施形態に係る食中毒菌検出用担体に、pyrHプローブのみならず、このようなvtx1プローブとvtx2プローブを固定化することによって、大腸菌(腸管出血性大腸菌を含む)と共に、ベロ毒素1型遺伝子及び/又はベロ毒素2型遺伝子を有する腸管出血性大腸菌を同時に特異的に検出することが可能になる。
また、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体は、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)領域から選択されたプローブ(invAプローブ)として、配列番号33〜37に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
また、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体は、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)領域から選択されたプローブ(dnaJプローブ)として、配列番号38〜40に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
本実施形態に係る食中毒菌検出用担体は、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)領域から選択されたプローブ(toxRプローブ)として、配列番号41〜44に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
また、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体は、病原性ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)領域から選択されたプローブ(tdhプローブ)として、配列番号45〜49に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
さらに、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体は、病原性ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)領域における耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子から選択されたプローブ(trh1プローブ)として、配列番号50〜53に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましく、同遺伝子(trh)領域における耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子から選択されたプローブ(trh2プローブ)として、配列番号54又は55に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
本実施形態に係る食中毒菌検出用担体をこのように構成することによって、ビブリオ・パラヘモリティカス(病原性ビブリオ・パラヘモリティカスを含む)と共に、病原性ビブリオ・パラヘモリティカスを同時に特異的に検出することが可能になる。また、病原性ビブリオ・パラヘモリティカスとして、耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)と耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)を有するか否かを識別して検出することも可能となる。さらに、耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)として、耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子と耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子を識別して検出することも可能となる。
このように、耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子と耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子とを、それぞれ専用のプライマーを用いて増幅産物のサイズで識別するのではなく、同一のプライマーを用いて増幅産物を得た後に、それぞれ専用の特異性の高いプローブを用いて識別可能にすることによって、マルチプレックスPCRにおけるプライマー数を減らすことができ、精度の向上とコストの低減を実現することが可能になっている。
本実施形態に係る食中毒菌検出用担体において用いるプローブは、上記の塩基配列に限定されるものではなく、それぞれの塩基配列において1又は数個の塩基が欠損、置換又は付加されたものを用いることができる。また、それぞれの塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる核酸断片からなるものを用いることもできる。さらに、これらのようなプローブに対して相補的な塩基配列を有するプローブを用いることもできる。
ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、配列番号17〜55で表される配列からなるDNAに対し高い相同性(相同性が90%以上、好ましくは95%以上)を有するDNAが、配列番号17〜55で表される配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ハイブリダイズする条件が挙げられる。通常、完全ハイブリッドの溶解温度(Tm)より約5℃〜約30℃、好ましくは約10℃〜約25℃低い温度でハイブリダイゼーションが起こる場合をいう。ストリンジェントな条件については、J.Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Mannual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、特に11.45節「Conditions for Hybridization of Oligonucleotide Probes」に記載されている条件等を使用することができる。
[食中毒菌の検出方法]
本実施形態に係る食中毒菌検出用担体を用いた食中毒菌の検出方法としては、食中毒菌を増菌する増菌工程、食中毒菌からゲノムDNAを抽出する抽出工程、ゲノムDNAにおける増幅対象領域のDNA断片を増幅する増幅工程、及び、増幅産物を検出する検出工程を有することが好ましい。
具体的には、増菌工程において、上記の4菌種を培養可能な培養培地で同時に増菌する。すなわち、培養培地を用いて、検体試料中の大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを、PCR法を用いて増幅するために適切な菌数(例えば、10cfu/ml以上)にまで増殖させる。検体としては、食品、臨床検体(糞便、嘔吐物)などが挙げられる。食品を検体とする場合には、例えば、培養培地225mLに食品25gを加えて、37℃で20時間程度培養することによって、それぞれの食中毒菌を適切な菌数にまで増殖させることが可能である。
次に、抽出工程において、増菌工程により得られた増菌した培養培地から、上記の4菌種のゲノムDNAを抽出する。その方法としては、特に限定されないが、例えば、この培養培地を回収して遠心分離を行い、次いで上清を廃棄し、得られた沈殿にグラム陽性菌の溶菌に適するリゾチーム溶液を加えて溶菌処理を行うことができる。そして、タンパク質分解とカラム精製を行うことによりDNA抽出液を得て、このDNA抽出液をPCR法による増幅のための試料とすることができる。
さらに、増幅工程において、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片と、大腸菌のベロ毒素1型遺伝子(vtx1)を含むDNA断片と、大腸菌のベロ毒素2型遺伝子(vtx2)を含むDNA断片と、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片と、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片と、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片と、ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)を含むDNA断片と、ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)を含むDNA断片を、マルチプレックスPCRにより同時に増幅する。
そして、検出工程において、増幅工程で得られた増幅産物を、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体を用いて同時に検出する。
本実施形態に係る食中毒菌検出用担体を用いた食中毒菌の検出方法における増幅工程と検出工程については、食中毒菌検出用キットの説明において、さらに詳述する。
[食中毒菌検出用キット]
本実施形態に係る食中毒菌検出用キットは、上述した食中毒菌検出用担体と、PCR反応液とからなっている。
このPCR反応液としては、大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片を増幅するための配列番号1に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号2に示す塩基配列からなるプライマーからなるpyrHプライマーセットと、大腸菌のベロ毒素1型遺伝子(vtx1)を含むDNA断片を増幅するための配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーからなるvtx1プライマーセットと、大腸菌のベロ毒素2型遺伝子(vtx2)を含むDNA断片を増幅するための配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマーからなるvtx2プライマーセットと、サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片を増幅するための配列番号7に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号8に示す塩基配列からなるプライマーからなるinvAプライマーセットと、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片を増幅するための配列番号9に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号10に示す塩基配列からなるプライマーからなるdnaJプライマーセットと、ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片を増幅するための配列番号11に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号12に示す塩基配列からなるプライマーからなるtoxRプライマーセットと、ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)を含むDNA断片を増幅するための配列番号13に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号14に示す塩基配列からなるプライマーからなるtdhプライマーセットと、ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)を含むDNA断片を増幅するための配列番号15に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号16に示す塩基配列からなるプライマーからなるtrhプライマーセットとを含むものを用いることが好ましい。
このようなPCR反応液における各プライマーは、上述したプローブと同様に、上記の塩基配列に限定されるものではなく、それぞれの塩基配列において1又は数個の塩基が欠損、置換又は付加されたものを用いることができる。また、それぞれの塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる核酸断片からなるものを用いることもできる。
また、PCR反応液におけるそれ以外の成分としては、一般的なものを用いることができる。具体的には、緩衝液、核酸合成基質、Ex Taq等の核酸合成酵素、Cy5等の標識成分、試料のDNA、及び水を含むものなどを用いることができる。
そして、このようなPCR反応液を用いてサーマルサイクラーなどの核酸増幅装置により、試料中のゲノムDNAの一部を増幅する。すなわち、このようなプライマーセットを含有するPCR反応液を用いることで、これらのプライマーセットの増幅対象領域を有するゲノムDNAが試料中に存在している場合に、それぞれの増幅対象領域を同時に特異的に増幅することが可能である。
また、このようなPCR反応液中において、黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片を増幅するためのdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が、上記その他のプライマーセットの各プライマーの濃度の1.25倍以上であることが好ましく、1.25〜3.5倍であることがより好ましく、1.5〜3倍であることがさらに好ましい。
また、このようなPCR反応液中において、dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が125nM以上であり、かつ、上記その他のプライマーセットの各プライマーの濃度が、50〜100nMであることが好ましく、dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が125nM〜175nMであり、かつ、上記その他のプライマーセットの各プライマーの濃度が、50〜100nMであることがより好ましく、dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が150nMであり、かつ、上記その他のプライマーセットの各プライマーの濃度が、50〜100nMであることがさらに好ましい。
本実施形態に係る食中毒菌用PCR反応液において、dnaJプライマーセットの各プライマーと、上記その他のプライマーセットの各プライマーを、このような割合で含有させることで、黄色ブドウ球菌の増幅対象領域を、その他の3種類の食中毒菌の増幅対象領域と共に、同時に好適に増殖させることが可能になる。
そして、PCR法により得られた増幅産物(PCR増幅産物)を、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体に滴下して、各プローブにハイブリダイズした増幅産物の標識を検出することにより、試料中における食中毒菌の有無を検出することができる。
具体的には、PCR増幅産物に所定の緩衝液を混合し、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体に滴下する。次に、当該担体を45℃で1時間静置し、その後、所定の緩衝液によりハイブリダイズしなかったPCR増幅産物等を当該担体から洗い流す。そして、当該担体を標識検出装置にかけて標識の検出を行う。
標識の検出は、蛍光スキャニング装置など一般的な標識検出装置を用いて行うことができ、例えば東洋鋼鈑株式会社のBIOSHOT(R)を用いて、増幅産物の蛍光強度を測定することにより行うことができる。また、測定結果として、蛍光強度の他に、S/N比値(Signal to Noise ratio,(メディアン蛍光強度値−バックグラウンド値)÷バックグラウンド値)を算出することも好ましい。S/N比値にもとづいて、測定結果が陽性であるか陰性であるかを、精度高く判定することができるためであり、一般にS/N比値が3以上の場合、陽性と判定することができる。なお、標識は、蛍光に限定されず、その他のものを用いてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体、及び食中毒菌検出用キットによれば、病原性を持たないものを含む大腸菌及びビブリオ・パラヘモリティカスと、病原性大腸菌及び病原性ビブリオ・パラヘモリティカスを同時かつ高い特異性で検出でき、かつ黄色ブドウ球菌の標的遺伝子を良好に増幅させ、試料中における大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に特異的に検出することが可能になっている。
また、病原性ビブリオ・パラヘモリティカスが耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)と耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)の両方又はいずれを有するかを識別して検出でき、耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)として、耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子(trh1)と耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子(trh2)とを識別して検出することも可能となっている。
<試験1:PCRで同時増幅した8種類の増幅産物の電気泳動による同定の検証>
まず、本試験で用いる培養培地として、ペプトン、酵母エキス、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素カリウムを、それぞれ以下の組成で混合して蒸留水に溶解し、pHを7.0に調製した。そして、得られた培地を121℃で、15分間オートクレーブにより滅菌した。
(1Lあたり)
ペプトン :30g
酵母エキス :5g
硫酸マグネシウム七水和物:0.5g
塩化ナトリウム :15g
リン酸水素二ナトリウム :3.5g
リン酸二水素カリウム :1.5g
次に、この培養培地に、図1に示す大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの菌株を約10〜50cfuずつ接種して、37℃で同時に20時間培養し、その培養液からDNAを抽出した。
これらの食中毒菌の菌株は、次の分譲機関由来のものである。
・RIMD 大阪大学微生物病研究所
・ACM Australian Collection of Microorganisms(オーストラリア)
・NCTC National Collection of Type Culture(イギリス)
そして、図2に示す8種類のプライマーセットを用いて、それぞれの増幅対象領域をマルチプレックスPCRにより同時に増殖させ、得られた増幅産物を同定できるか否かを検証した。具体的には、以下のように行った。
培養液を1mL回収し、5000×gで、10分間の遠心分離を行った。次に、上清を廃棄し、得られた沈殿に、20mg/mL濃度のリゾチーム溶液(20mM Tris−HCl,pH8.0/2mM EDTA,1.2%TritonX−100)を加えて、37℃で30分間溶菌処理を行った。さらに、DNeasy Blood&Tissue Kit(株式会社キアゲン製)を用いて、カラム精製を行うことにより、DNA抽出液を得た。このDNA抽出液をPCRにおいて使用する試料とした。
次に、PCR反応液を以下の組成で調製した。プライマーはシグマアルドリッチジャパン合同会社に合成委託し、それ以外の試薬はタカラバイオ株式会社製のものを使用した。なお、以降の組成においては、ビブリオ・パラヘモリティカスをビブリオと略称している。
・緩衝液(10×Ex Taq buffer) (2.0μl)
・核酸合成基質(dNTP Mixture) (1.6μl)
・大腸菌pyrH増幅用Fプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.15μl)
・大腸菌pyrH増幅用Rプライマー (0.15μl)
・大腸菌vtx1増幅用Fプライマー (0.15μl)
・大腸菌vtx1増幅用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.15μl)
・大腸菌vtx2増幅用Fプライマー (0.15μl)
・大腸菌vtx2増幅用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.15μl)
・サルモネラ属菌invA用Fプライマー (0.15μl)
・サルモネラ属菌invA用Rプライマー(5’末端Cy5修飾)(0.15μl)
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Fプライマー (0.3μl)
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Rプライマー(5’末端Cy5修飾)(0.3μl)
・ビブリオtoxR増幅用Fプライマー (0.15μl)
・ビブリオtoxR増幅用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.15μl)
・ビブリオtdh増幅用Fプライマー (0.15μl)
・ビブリオtdh増幅用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.15μl)
・ビブリオtrh増幅用Fプライマー (0.15μl)
・ビブリオtrh増幅用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.15μl)
・TaKaRa Ex Taq Hot Start Version (0.2μl)
・試料のDNA (1.0μl)
・滅菌水 (12.5μl)
(全量 20μl)
PCRによる遺伝子の増幅には、サーマルサイクラーepグラジエント(エッペンドルフ株式会社)を使用した。反応条件は、以下の通りである。
(1)95℃ 2分
(2)95℃ 10秒(DNA鎖の乖離工程)
(3)68℃ 30秒(アニーリング工程)
(4)72℃ 30秒(DNA合成工程)
(5)72℃ 2分
(2)〜(4)を40サイクル
次に、PCR反応液をマイクロチップ電気泳動装置MultiNA(株式会社島津製作所)に供し、PCR増幅産物のサイズ分析を行った。その結果を図3に示す。
同図において、推定塩基長153〜307の区間に、8本のピークが検出されており、標的遺伝子における増幅対象領域が増幅されたと考えられる。しかしながら、泳動距離から求められた増幅産物の推定塩基長は、実際に想定される各増幅対象領域の増幅産物の塩基長とは異なっていた。これは、塩基長の近似している増幅産物の種類が多いために、電気泳動による分離が十分に行われていないことが原因であると推測される。
したがって、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスについて、図2に示す8種類のプライマーセットがそれぞれ対象とする標的遺伝子の増副産物を、電気泳動によって同定する場合、ピークの本数は識別できたとしても、実用上、各ピークがどの標的遺伝子の増幅産物であるかを同定することは難しいと考えられた。
そこで、以下の試験では、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体を用いて、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種における8領域の同時検出が可能かどうかを検証した。
<試験2:PCRで同時増幅した8種類の増幅産物のDNAチップによる同定の検証>
まず、予め、図4及び図5に示す配列番号17〜55の塩基配列からなる各プローブを固定化したDNAチップを作製した。
そして、試験1で得られたPCR反応液4μLとハイブリダイゼーション用の緩衝液2μL(3×SSC/0.3%SDS クエン酸−生理食塩水−ドデシル硫酸ナトリウム)を混合したものを、上記DNAチップに滴下して、45℃で1時間反応させた。
反応後、DNAチップを室温下で洗浄液(2×SSC/0.2%SDS溶液、2×SSC溶液の順に)に浸して洗浄を行い、カバーガラスを載せて蛍光検出器Bioshot(東洋鋼鈑株式会社製)により各プローブのスポット領域の蛍光を検出した。
具体的には、プローブにハイブリダイズした増幅産物の標識成分(Cy5)をレーザー光により励起して発光させ、その光量を検出器内に取り付けたCCDカメラにより検出した。また、光量を電気信号に置換して数値化し、蛍光強度を得た。この蛍光強度は、当該装置での強度指標であり、単位はなく、バックグラウンドの数値が0になるように補正して算出した。その結果を図6,7に示す。
これらの図に示される通り、pyrH、vtx1、vtx2、invA、dnaJ、toxR、tdh、trh1の遺伝子領域から選択された各プローブにおいて、それぞれ強い蛍光が検出されている。したがって、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体によれば、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4菌種における上記8種類の標的遺伝子の増幅産物を同時に特異的に同定し得ることが明らかになった。
<試験3:大腸菌のpyrHプローブの検証>
大腸菌のpyrH領域を増幅するためのプライマーセット(配列番号1,2)を用いてPCRを行う場合において、試料中に大腸菌の類縁種であるエンテロバクター(Enterobacter)属菌やサイトロバクター(Citrobacter)属菌の一部の菌種が含まれている場合、図8に示すように、その菌種のゲノムDNAにもとづく増幅産物が得られることがわかった。
このような場合、大腸菌と腸管出血性大腸菌の有無の判定を電気泳動によって行うと、これらの類縁種との区別がつかずに、偽陽性の判定が行われる可能性がある。
そこで、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体を用いることにより、大腸菌とこれらの類縁種とを識別できるかを検証した。具体的には以下のように行った。
図8に示す検証菌種の菌株を、それぞれトリプティックソイブロス(日本BD製)に接種して、37℃で一晩培養を行ったのち、培養液をそれぞれ1mLずつ回収し、5000×gで、10分間の遠心分離を行った。
次に、上清を廃棄し、得られた沈殿に、20mg/mL濃度のリゾチーム溶液(20mM Tris−HCl,pH8.0/2mM EDTA,1.2%TritonX−100)を加えて、37℃で30分間溶菌処理を行った。さらに、DNeasy Blood&Tissue Kit(株式会社キアゲン製)を用いて、カラム精製を行うことにより、DNA抽出液を得た。このDNA抽出液をPCRにおいて使用する試料とした。
本試験では、PCR反応液を以下の組成で調製し、その他の点については、試験1と同様にして、菌株毎にPCRを行い、PCR増幅産物を含むPCR反応液を得た。
・緩衝液(10×Ex Taq buffer) (2.0μl)
・核酸合成基質(dNTP Mixture) (1.6μl)
・大腸菌pyrH増幅用Fプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.2μl)
・大腸菌pyrH増幅用Rプライマー (0.2μl)
・TaKaRa Ex Taq Hot Start Version (0.2μl)
・試料のDNA (1.0μl)
・滅菌水 (14.8μl)
(全量 20μl)
また、予め、図4に示す配列番号17〜19の塩基配列からなる各プローブを固定化したDNAチップを作製した。そして、菌株毎に、PCR反応液4μLとハイブリダイゼーション用の緩衝液2μL(3×SSC/0.3%SDS クエン酸−生理食塩水−ドデシル硫酸ナトリウム)を混合したものを、上記DNAチップに滴下して、45℃で1時間反応させた。
反応後、DNAチップを試験2と同様に処理して、各プローブのスポット領域の蛍光強度を得た。また、S/N比値を算出した。その結果を図9に示す。
同図に示すように、配列番号17の塩基配列からなるプローブは、検出対象菌であるEscherichia coliについて高い蛍光強度を示し、非対象菌のEnterobacter kobei、及びCitrobacter freundiiについても比較的高い蛍光強度を示している。特に、Citrobacter freundiiについては、S/N比値が3以上であり、偽陽性反応が生じている。
また、配列番号18の塩基配列からなるプローブは、検出対象菌であるEscherichia coliについて高い蛍光強度を示し、非対象菌であるCitrobacter spについても比較的高い蛍光強度を示しているが、S/N比値は3未満であり、偽陽性反応は生じていない。
また、配列番号19の塩基配列からなるプローブは、検出対象菌であるEscherichia coliについて高い蛍光強度を示し、非対象菌であるEnterobacter kobeiについても比較的高い蛍光強度を示しているが、S/N比値は3未満であり、偽陽性反応は生じていない。
したがって、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体は、配列番号18又は19に示す塩基配列からなる少なくともいずれかのプローブを固定化したものとすることが好ましい。
また、配列番号17〜19の塩基配列からなるプローブは、それぞれ異なる菌について高い蛍光強度を示していることから、これらを組み合わせることによって、偽陽性の判定を抑制する効果を得ることが可能となる。このため、本実施形態に係る大腸菌検出用担体は、配列番号17〜19に示す塩基配列からなる少なくとも二以上のプローブを固定化したものとすることがより好ましく、配列番号17〜19に示す塩基配列からなるプローブを全て固定化したものとすることがさらに好ましい。
<試験4:耐熱性溶血毒類似毒素1型及び2型遺伝子(trh1,trh2)の識別の検証>
図10に示す毒素遺伝子の保有状況が既知の3種類のビブリオ・パラヘモリティカスの菌株を用いて、これらのビブリオ・パラヘモリティカスから常法によりDNAを抽出した。これらは、いずれも大阪大学微生物病研究所から分譲を受けたものである。
次いで、図2に示すtrhプライマーセットを用いて、その増幅対象領域をマルチプレックスPCRにより同時に増幅し、得られた増幅産物を、耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子検出用のプローブ(trh1プローブ)と、耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子検出用のプローブ(trh2プローブ)を固定化したDNAチップに滴下して、これらの遺伝子を識別して検出できるか否かを検証した。具体的には、以下のように行った。
上記3種類のビブリオ・パラヘモリティカスの菌株を、それぞれ1%塩化ナトリウム添加トリプティックソイブロス(日本BD製)に接種して、37℃で一晩培養を行ったのち、培養液をそれぞれ1mLずつ回収して混合し、5000×gで、10分間の遠心分離を行った。
次に、上清を廃棄し、得られた沈殿に、20mg/mL濃度のリゾチーム溶液(20mM Tris−HCl,pH8.0/2mM EDTA,1.2%TritonX−100)を加えて、37℃で30分間溶菌処理を行った。さらに、DNeasy Blood&Tissue Kit(株式会社キアゲン製)を用いて、カラム精製を行うことにより、DNA抽出液を得た。このDNA抽出液をPCRにおいて使用する試料とした。
このようにして得られた菌株(1)、(2)、(3)のDNA抽出液10ng/μlとtrhプライマーセットを用いて、菌株毎に、PCRによりtrh遺伝子領域の増幅を行った。PCR反応液は以下の組成で調製した。プライマーはシグマアルドリッチジャパン合同会社に合成委託し、それ以外の試薬はタカラバイオ株式会社製のものを使用した。
・緩衝液(10×Ex Taq buffer) (2.0μl)
・核酸合成基質(dNTP Mixture) (1.6μl)
・ビブリオtrh増幅用Fプライマー (0.2μl)
・ビブリオtrh増幅用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.2μl)
・TaKaRa Ex Taq Hot Start Version (0.2μl)
・試料のDNA (1.0μl)
・滅菌水 (14.8μl)
(全量 20μl)
また、予め、図5に示す配列番号50〜53の塩基配列からなる耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子検出用のプローブ(trh1プローブ)と、配列番号54〜55の塩基配列からなる耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子検出用のプローブ(trh2プローブ)を固定化したDNAチップを作製した。そして、菌株毎に、PCR反応液4μLとハイブリダイゼーション用の緩衝液2μL(3×SSC/0.3%SDS クエン酸−生理食塩水−ドデシル硫酸ナトリウム)を混合したものを、上記DNAチップに滴下して、45℃で1時間反応させた。
反応後、DNAチップを試験2と同様に処理して、各プローブのスポット領域の蛍光強度を得た。その結果を図11に示す。
同図に示すように、菌株(1)、菌株(2)については、trh1検出用プローブでは高い蛍光強度が得られ、trh2検出用プローブでは低い蛍光強度しか得られなかった。このことから、菌株(1)、菌株(2)は、病原性ビブリオ・パラヘモリティカスのtrh遺伝子保有菌のうち、trh1遺伝子保有菌であることがわかる。
一方、菌株(3)については、trh2検出用プローブでは高い蛍光強度が得られ、trh1検出用プローブでは比較的低い蛍光強度しか得られなかった。このことから、菌株(3)は、病原性ビブリオ・パラヘモリティカスのtrh遺伝子保有菌のうち、trh2遺伝子保有菌であることがわかる。
以上のことから、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体によれば、trh1検出用プローブとtrh2検出用プローブを併用することで、病原性ビブリオ・パラヘモリティカスのtrh遺伝子保有菌が検出対象の試料に含まれている場合に、trh1遺伝子保有菌とtrh2遺伝子保有菌を識別できると共に、trh遺伝子についての偽陰性の判定を回避できることがわかった。
<試験5:4菌種の増幅対象領域を同時に増幅させるために最適なプライマー濃度の検証(1)>
大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4種類の食中毒菌の増幅対象領域を同時に増殖させるための最適なプライマー濃度を検証するために、PCR反応液における黄色ブドウ球菌のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度を150nMに固定し、その他の3菌種のプライマーセットの各プライマーの濃度を50nM、75nM、100nM、150nMとして、それぞれPCRを行った。具体的には、以下の通りである。
まず、本実施形態に係る食中毒菌の検出方法において用いる培養培地を作製するために、ペプトン、酵母エキス、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素カリウムを、以下の組成で混合して蒸留水に溶解し、pHを7.0に調製した。そして、得られた培地を121℃で、15分間オートクレーブにより滅菌した。
(1Lあたり)
ペプトン :30g
酵母エキス :5g
硫酸マグネシウム七水和物:0.5g
塩化ナトリウム :15g
リン酸水素二ナトリウム :3.5g
リン酸二水素カリウム :1.5g
次いで、この培養培地225mLに対して、細断した食品を25g添加し、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの菌株を約10〜50cfuずつ接種して、ストマッカーで30秒間混和した。これを37℃で20時間培養した。食品には、ぎょうざ、カット野菜、生ハム、魚肉ソーセージの4種類を使用し、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスは、それぞれ以下の菌株を使用した。
・大腸菌(Escherichia coli) NCTC1292株
・サルモネラ属菌(Salmonella enterica subsp. Enterica serovar Abony) ACM5080株
・黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) NCTC10788株
・ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus) RIMD2210050株
これらの食中毒菌の菌株は、次の分譲機関由来のものである。
・NCTC National Collection of Type Culture(イギリス)
・ACM Australian Collection of Microorganisms(オーストラリア)
・RIMD 大阪大学微生物病研究所
次に、培養液を1mL回収し、5000×gで、10分間の遠心分離を行った。そして、上清を廃棄し、得られた沈殿に、20mg/mL濃度のリゾチーム溶液(20mM Tris−HCl,pH8.0/2mM EDTA,1.2%TritonX−100)を加えて、37℃で30分間溶菌処理を行った。さらに、DNeasy Blood&Tissue Kit(株式会社キアゲン製)を用いて、カラム精製を行うことにより、DNA抽出液を得た。このDNA抽出液をPCRにおいて使用する試料とした。
そして、これらの食中毒菌のゲノムDNAの増幅対象領域を特異的に増幅させるための図2に記載の4種類のプライマーセットを用いて、それぞれの増幅対象領域をマルチプレックスPCRにより同時に増幅し、得られた増幅産物を検出できるか否かを検証した。具体的には、以下のように行った。
PCR反応液は、以下の組成で調製した。プライマーはシグマアルドリッチジャパン合同会社に合成委託し、それ以外の試薬はタカラバイオ株式会社製のものを使用した。そして、黄色ブドウ球菌のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度を150nMに固定し、その他の3菌種検出用のプライマーセットの各プライマーの濃度を50nM、75nM、100nM、150nMとして、マルチプレックスPCRを行った。
・緩衝液(10×Ex Taq buffer) (2.0μl)
・核酸合成基質(dNTP Mixture) (1.6μl)
・大腸菌pyrH用Fプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.1、0.15、0.2、0.3μl)
・大腸菌pyrH用Rプライマー 同上
・サルモネラ属菌invA用Fプライマー (0.1、0.15、0.2、0.3μl)
・サルモネラ属菌invA用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) 同上
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Fプライマー (0.3μl)
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) 同上
・ビブリオtoxR用Fプライマー (0.1、0.15、0.2、0.3μl)
・ビブリオtoxR用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) 同上
・TaKaRa Ex Taq Hot Start Version (0.2μl)
・試料のDNA (1.0μl)
・滅菌水 (反応液全量が20μlなるように添加)
(全量 20μl)
PCRによる遺伝子の増幅には、サーマルサイクラーepグラジエント(エッペンドルフ株式会社)を使用した。反応条件は、以下の通りである。
(1)95℃ 2分
(2)95℃ 10秒(DNA鎖の乖離工程)
(3)68℃ 30秒(アニーリング工程)
(4)72℃ 30秒(DNA合成工程)
(5)72℃ 2分
(2)〜(4)を40サイクル
次に、PCR反応液をマイクロチップ電気泳動装置MultiNA(株式会社島津製作所)に供してマルチプレックスPCRを行い、得られた増幅産物量を測定した。その結果を図12〜図15に示す。
黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のプライマーセットの各プライマーの濃度を高くするにつれて、これらに対応する増幅対象領域(pyrH、invA、toxR)の増幅産物量は、増加した。これに対して、黄色ブドウ球菌のdnaJ領域の増幅産物量は減少していた。これは、黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のプライマーセットの各プライマーの濃度を高くしたことによって、pyrH、invA、toxR領域の増幅効率が高くなった結果、dnaJ領域の増幅が競合的に阻害されたことによるものと考えられる。
また、試験に供した食品サンプル4種のうち、カット野菜(図13)と魚肉ソーセージ(図15)において、黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のプライマーセットの各プライマーの濃度が150nMのとき、dnaJ領域の増幅産物量は、検出することができなかった。
以上のことから、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同一の培養培地を用いて増菌し、PCR法により増幅対象領域を増幅して、その増幅産物を検出する場合において、dnaJ領域を含むこれら4菌種の増幅対象領域を同時に安定的に増幅させるためには、黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のプライマーセットの各プライマーの濃度を、100nM以下とすることが好ましく、50mM以上100nM以下とすることがより好ましいと考えられる。
<試験6:4菌種の増幅対象領域を同時に増幅させるために最適なプライマー濃度の検証(2)>
大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスの4種類の食中毒菌の増幅対象領域を同時に増殖させるための最適なプライマー濃度を検証するために、PCR反応液における黄色ブドウ球菌以外の3菌種のプライマーセットの各プライマーの濃度を100nMに固定し、黄色ブドウ球菌のプライマーセットの各プライマーの濃度を50nM、75nM、100nM、125nM、150nMとして、その他の点は試験5と同様にして試験を行った。PCR反応液の組成は、以下の通りである。
・緩衝液(10×Ex Taq buffer) (2.0μl)
・核酸合成基質(dNTP Mixture) (1.6μl)
・大腸菌pyrH用Fプライマー(5’末端Cy5修飾) (0.2μl)
・大腸菌pyrH用Rプライマー 同上
・サルモネラ属菌invA用Fプライマー (0.2μl)
・サルモネラ属菌invA用Rプライマー(5’末端Cy5修飾)同上
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Fプライマー (0.1、0.15、0.2、0.25、0.3μl)
・黄色ブドウ球菌dnaJ用Rプライマー(5’末端Cy5修飾)同上
・ビブリオtoxR用Fプライマー (0.2μl)
・ビブリオtoxR用Rプライマー(5’末端Cy5修飾) 同上
・TaKaRa Ex Taq Hot Start Version (0.2μl)
・試料のDNA (1.0μl)
・滅菌水 (反応液全量が20μlなるように添加)
(全量 20μl)
そして、PCR反応液をマイクロチップ電気泳動装置MultiNA(株式会社島津製作所)に供してマルチプレックスPCRを行い、得られた増幅産物量を測定した。その結果を図16〜図19に示す。
黄色ブドウ球菌のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度を高くするにつれて、dnaJ領域の増幅産物には増加する傾向が見られた。一方、黄色ブドウ球菌以外の3種類の食中毒菌のpyrH、invA、toxR領域の増幅産物は、dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度に拘わらず、ほぼ一定であった。このことから、pyrH、invA、toxR領域の増幅は、dnaJ領域の増幅の影響を受けていないものと考えられる。
また、試験に供した食品サンプル4種類のうち、カット野菜(図17)と魚肉ソーセージ(図19)において、黄色ブドウ球菌のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が50nMのとき、dnaJ領域の増幅産物は、検出することができなかった。また、カット野菜では全体的に増副産物量が少ないものの、その他の食品サンプルについては、同プライマーの濃度が125nM以上のときに、比較的良好な増幅産物量が得られていることがわかる。
以上のことから、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同一の培養培地を用いて増菌し、PCR法により増幅対象領域を増幅して、増幅産物を検出する場合において、dnaJ領域を含むこれら4菌種の増幅対象領域を同時に安定的に増幅させるためには、黄色ブドウ球菌検出用のdnaJプライマーセットの各プライマーの濃度を75nM以上とすることができ、125nM以上とすることが好ましく、150nM以上とすることがより好ましいと考えられる。
本発明は、以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能である。例えば、本実施形態に係る食中毒菌検出用担体に、上記以外のプローブをさらに追加して固定化したり、あるいは本実施形態に係る食中毒菌検出用キットにおいて、PCR反応液にその他の成分を含有させたりするなど適宜変更することが可能である。
本発明は、食品検査、疫学的環境検査、環境検査、臨床試験、及び家畜衛生等において、大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に特異的に検出する場合に好適に利用することが可能である。

Claims (5)

  1. 大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に検出するための食中毒菌検出用担体であって、
    大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)、ベロ毒素1型遺伝子(vtx1)、及びベロ毒素2型遺伝子(vtx2)からそれぞれ選択された三以上のプローブと、
    サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)から選択された一又は二以上のプローブと、
    黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)から選択された一又は二以上のプローブと、
    ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)、耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)、耐熱性溶血毒類似毒素1型遺伝子(trh1)、及び耐熱性溶血毒類似毒素2型遺伝子(trh2)からそれぞれ選択された四以上のプローブと、を固定化したことを特徴とする食中毒菌検出用担体。
  2. 前記pyrHから選択されたプローブが、配列番号17〜19のいずれかに示す塩基配列からなり、
    前記vtx1から選択されたプローブが、配列番号20〜27のいずれかに示す塩基配列からなり、
    前記vtx2から選択されたプローブが、配列番号28〜32のいずれかに示す塩基配列からなり、
    前記invAから選択されたプローブが、配列番号33〜37のいずれかに示す塩基配列からなり、
    前記dnaJから選択されたプローブが、配列番号38〜40のいずれかに示す塩基配列からなり、
    前記toxRから選択されたプローブが、配列番号41〜44のいずれかに示す塩基配列からなり、
    前記tdhから選択されたプローブが、配列番号45〜49のいずれかに示す塩基配列からなり、
    前記trh1から選択されたプローブが、配列番号50〜53のいずれかに示す塩基配列からなり、
    前記trh2から選択されたプローブが、配列番号54又は55に示す塩基配列からなることを特徴とする請求項1記載の食中毒菌検出用担体。
  3. 前記各遺伝子から選択された少なくともいずれかのプローブが、以下の(1)〜(3)のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の食中毒菌検出用担体。
    (1)配列番号に示す塩基配列において、1又は数個の塩基が欠損、置換又は付加されたプローブ。
    (2)配列番号に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるプローブ。
    (3)(1)又は(2)のプローブに対して相補的な塩基配列を有するプローブ。
  4. 大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、及びビブリオ・パラヘモリティカスを同時に検出するための食中毒菌検出用キットであって、
    請求項1〜3のいずれかに記載の食中毒菌検出用担体、及び、
    大腸菌のウリジンモノリン酸キナーゼ遺伝子(pyrH)を含むDNA断片を増幅するための配列番号1に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号2に示す塩基配列からなるプライマーからなるpyrHプライマーセットと、
    大腸菌のベロ毒素1型遺伝子(vtx1)を含むDNA断片を増幅するための配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマーからなるvtx1プライマーセットと、
    大腸菌のベロ毒素2型遺伝子(vtx2)を含むDNA断片を増幅するための配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマーからなるvtx2プライマーセットと、
    サルモネラ属菌の侵入性因子関連遺伝子(invA)を含むDNA断片を増幅するための配列番号7に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号8に示す塩基配列からなるプライマーからなるinvAプライマーセットと、
    黄色ブドウ球菌のヒートショックタンパク遺伝子(dnaJ)を含むDNA断片を増幅するための配列番号9に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号10に示す塩基配列からなるプライマーからなるdnaJプライマーセットと、
    ビブリオ・パラヘモリティカスの病原性発現調節遺伝子(toxR)を含むDNA断片を増幅するための配列番号11に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号12に示す塩基配列からなるプライマーからなるtoxRプライマーセットと、
    ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)を含むDNA断片を増幅するための配列番号13に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号14に示す塩基配列からなるプライマーからなるtdhプライマーセットと、
    ビブリオ・パラヘモリティカスの耐熱性溶血毒類似毒素遺伝子(trh)を含むDNA断片を増幅するための配列番号15に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号16に示す塩基配列からなるプライマーからなるtrhプライマーセットと、を備えたPCR反応液を有し、
    前記PCR反応液における前記dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が、前記その他の増幅対象の遺伝子を含むDNA断片を増幅するためのプライマーセットの各プライマーの濃度の1.25倍以上である
    ことを特徴とする食中毒菌検出用キット。
  5. 前記dnaJプライマーセットの各プライマーの濃度が125nM以上であり、かつ、前記その他の増幅対象の遺伝子領域を含むDNA断片を増幅するためのプライマーセットの各プライマーの濃度が、それぞれ50〜100nMである
    ことを特徴とする請求項4記載の食中毒菌検出用キット。
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