JP2015527413A - 結合剤 - Google Patents

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Abstract

殺菌性および/または殺藻性を備える結合剤ならびにこの結合剤を含むコーティング配合物。

Description

本発明の対象は、重合体Aおよびホルムアルデヒド縮合樹脂の粒子(粒子B)を含む結合剤であって、
a)重合体Aが、−60℃以上70℃以下の範囲のガラス転移温度を有しており、および
b)粒子Bが、1μm以上100μm以下のフラウンホーファー回折法により測定される体積平均粒子径D90を有している、
前記結合剤である。
本発明は、さらに、前記結合剤の多種多様な適用範囲における使用、ならびに重合体Aおよび粒子Bを含むコーティング配合物を含んでいる。
結合剤、例えば、天然原料、例えば、ニトロセルロース、セルロースエステル、例えば、酢酸セルロースまたは酪酸セルロース、ロジン、シェラック、アマニ油およびキリ油、ならびに合成原料、例えば、アルキド樹脂、塩化ゴム、酢酸ポリビニル、ポリビニルアルコール、酪酸ポリビニル、アクリル樹脂およびアクリレート分散液、UV硬化樹脂、メラミン樹脂、飽和および不飽和ポリエステル、一成分および二成分ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アスファルト、ビツメン、水ガラス、アミド樹脂およびアミノ樹脂を基とする結合剤は、当業者によく知られており(これに関しては、例えば、”Unsere Zukunft,unser Lack”,Chapter4.1,24〜33ページ,Wien,4th Edition,2008,Berufsgruppe Lackindustrie参照)、特に、接着剤、シール材、合成樹脂プラスター(Kunstharzputzen)、紙用塗工材(Papierstreichmassen)、繊維不織布、可撓性のルーフコーティング(flexiblen Dachbeschichtungen)および塗料の製造で使用されるものである。ここで、前記結合剤は、有機溶媒中もしくは水中に溶解もしくは分散しているか、またはいわゆる100%系として、有機溶媒もしくは水なしで使用されてもよい。特に、結合剤を含む配合物で処理された基材、例えば、可撓性のルーフコーティング、または塗料で被覆された基材が、空気、光および湿分と、例えば、ウェットルーム内または屋外使用で接触する場合、しばらくすると菌類および藻類の増殖のため、見た目の悪い、それゆえ不所望な変色および付着物が生じる。
したがって、この不所望な変色および付着物を防止するために、前記コーティング配合物もしくは塗料に、可撓性のルーフコーティングまたは前記被覆された基材上での藻および菌類の形成を阻止する、または少なくとも低下させる、多種多様の殺生性(特に殺菌性および殺藻性)の配合物成分が混加される(これに関しては、特にUS−A5,304,567;M.Burghardtら,”Biozide in Gebaeudefassaden−oekotoxikologische Effekte,Auswaschungen und Belastungsabschaetzung fuer Gewaesser”,Umweltwissenschaften und Schadstoffforschung、Vol.21,1,2009,36〜47ページ、ならびにU.Schoknecht,”Auswaschbarkeit von Biozidwikstoffen aus Fassadenbeschichtungen”,Biozide und funktionale Baustoffoberflaechen,8.Dahlberg−Kolloquium 2008,Fraunhofer−IRB Verlage,110ページ以下参照)。
先行技術で挙げられるコーティング配合物の欠点は、製造にきわめて費用がかかり、したがって、きわめて高価な殺菌性および/または殺藻性の作用物質(例えば、殺菌剤のオクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン、ジンクピリチオン、カルベンダジム、チアベンダゾール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)またはベンゾイミダゾールカルバメート、もしくは殺藻剤の3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(例えば、Bayer AG社Diuron(登録商標))、2−tert−ブチルアミノ−4−エチルアミノ−6−メチルチオ−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン(例えば、BASF SE社Irgarol(登録商標))、ジクロロイソチアゾリノン、または2−メチルチオ−4−シクロプロピルアミノ−6−tert−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン)であって、たいてい、さらにアレルゲンおよび急性毒性特性も有している前記作用物質が使用されることである。前記殺菌性および/または殺藻性の作用物質が、天候の影響により、前記コーティングから洗い流され、前記コーティングそれ自体ならびに環境に悪影響を及ぼしうることも問題となりうる。
したがって、本発明の課題は、経済的であるにもかかわらず効果の高い結合剤、もしくはこの結合剤を含む殺菌性および/または殺藻性作用を有するコーティング配合物を提供することであった。
それに応じて、冒頭に記載の結合剤が見出された。
本発明の結合剤の主要成分は、−60℃以上70℃以下の範囲のガラス転移温度を有する重合体Aである。重合体Aとして、本発明の範囲では、前記範囲のガラス転移温度を有する、あらゆる天然由来の、および/または合成的に製造された重合体が考慮に入れられる。天然物質を基とする重合体Aの例は、ニトロセルロース、セルロースエステル、ロジン、シェラック、アマニ油および/またはキリ油が挙げられる。前記合成的に製造された重合体Aでは、例えば、重縮合生成物、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル、ポリアミド、シリコーン樹脂および/またはエポキシ樹脂ならびに重付加生成物、例えば、ポリウレタンが挙げられる。しかし、前記重付加生成物は、エチレン性不飽和化合物から重合導入された形態で形成されている重合体であるのが好ましい。この重付加化合物の製造は、一般に、当業者によく知られている、エチレン性不飽和化合物の金属錯体触媒による、アニオン性触媒による、カチオン触媒による、および特に好ましくはラジカル触媒による重合により行われる。
前記エチレン性不飽和化合物のラジカル触媒による重合は、当業者によく知られており、特に、ラジカル塊状重合、乳化重合、溶液重合、沈降重合または懸濁重合の方法により行われるが、しかし、ラジカル開始水性乳化重合が特に好ましい。
水性溶媒中でのエチレン性不飽和化合物(モノマー)のラジカル開始乳化重合の実施は、さまざまに記載されており、したがって、当業者に充分に公知である(これに関しては、Emulsionspolymerisation in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.8,659ページ以下(1987);D.C.Blackley,High Polymer Latices,Vol.1,35ページ以下(1966);H.Warson,The Application of Synthetic Resin Emulsions,Chapter 5,246ページ以下(1972);D.Diederich,Chemie in unserer Zeit 24,135〜142ページ(1990);Emulsion Polymerisation,Interscience Publishers,New York(1965);DE−A4003422およびDispersionen synthetischer Hochpolymerer,F.Hoelscher,Springer−Verlag,Berlin(1969)参照)。前記ラジカル開始水性乳化重合は、通常、モノマーを、一般に、分散助剤、例えば、乳化剤および/または保護コロイドを併用しながら、水性溶媒中に分散分布させ、少なくとも1種の水溶性ラジカル重合開始剤を用いて重合させて行われる。多くの場合、得られた水性重合体分散液では、未反応のモノマーの残留含有量は、当業者に同じく公知の化学的および/または物理的な方法(例えば、EP−A771328、DE−A19624299、DE−A19621027、DE−A19741184、DE−A19741187、DE−A19805122、DE―A19828183、DE−A19839199、DE−A19840586および19847115参照)により低下され、重合体固体含有量は、所望の値に希釈または濃縮することによって調整されるか、または前記水性重合体分散液に、さらなる通常の添加物、例えば、発泡変性または粘度変性の添加剤が添加される。重合体Aの水性分散液の製造は、モノマーが、種類および量に関して、形成された重合体Aが−60℃以上70℃以下の範囲のガラス転移温度を有するように選択されることだけが前記一般的な方法と異なる。ここで、重合体Aの製造のために、本願の範囲では、当業者によく知られているシード運転方式、段階運転方式、および勾配運転方式が含まれているのは自明である。
モノマーとして、特に簡単には、ラジカル重合性モノマー、例えば、エチレン、ビニル芳香族モノマー、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレンまたはビニルトルエン、ビニルハロゲン化物、例えば、塩化ビニルまたは塩化ビニリデン、ビニルアルコールおよび1〜18個の炭素原子を有するモノカルボン酸のエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニルおよびステアリン酸ビニル、好ましくは3〜6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸のエステル、例えば、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸、一般に1から12個、好ましくは1〜8個、特に1〜4個の炭素原子を有するアルカノール、例えば、特に、アクリル酸メチルエステルおよびメタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸n−ブチルエステル、メタクリル酸n−ブチルエステル、アクリル酸イソブチルエステル、メタクリル酸イソブチルエステル、アクリル酸ペンチルエステル、メタクリル酸ペンチルエステル、アクリル酸ヘキシルエステル、メタクリル酸ヘキシルエステル、アクリル酸ヘプチルエステル、メタクリル酸ヘプチルエステル、アクリル酸オクチルエステル、メタクリル酸オクチルエステル、アクリル酸ノニルエステル、メタクリル酸ノニルエステル、アクリル酸デシルエステル、メタクリル酸デシルエステル、およびアクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、フマル酸ジメチルエステルおよびマレイン酸ジメチルエステル、またはフマル酸ジ−n−ブチルエステル、マレイン酸ジ−n―ブチルエステル、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のニトリル、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマル酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル、ならびにC4〜C8共役ジエン、例えば、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが考慮に入れられる。前記モノマーは、一般に、重合体Aの製造に使用されるエチレン性不飽和化合物すべての量(モノマー総量)に対して、50質量%以上、好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上の含分を合する主要モノマーを形成する。一般に、前記モノマーは、水中で、標準条件(20℃、1atm(=1.013bar(絶対圧))で適度ないしわずかな可溶度を有しているにすぎない。
前記条件下に、高められた水溶性を有するモノマーは、少なくとも1つの酸性基、および/またはそれに相応するアニオンか、もしくは少なくとも1つのアミノ基、アミド基、ウレイド基もしくはN−複素環基および/または窒素でプロトン化した、もしくはアルキル化したそのアンモニウム誘導体を含んでいるモノマーである。例えば、α,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸およびそのアミド、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、さらにビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸およびその水溶性の塩、ならびにN−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,Nージエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−(3−N’,N’,ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび2−(1−イミダゾリン−2−オニル)エチルメタクリレートが挙げられる。通常の場合、前記モノマーは、変性モノマーとして、モノマー総量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下の量で含まれているに過ぎない。
通常、ポリマーマトリックスの被膜化の内部強度を高めるモノマーは、通常、少なくとも1つのエポキシ基、ヒドロキシ基、N−メチロール基もしくはカルボニル基、または少なくとも2つの非共役エチレン性不飽和二重結合を有している。その例は、2つのビニル基を有するモノマー、2つのビニリデン基を有するモノマー、ならびに2つのアルケニル基を有するモノマーである。ここで、α,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸を有する2価アルコールのジエステルが特に有利であり、その中でもアクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。このような2つの非共役エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの例は、アルキレングリコールジアクリレートおよびアルキレングリコールジメタクリレート、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ならびにジビニルベンゼン、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタジエニルアクリレート、トリアリルシアヌレートまたはトリアリルイソシアヌレートである。この関連において特に重要であるのは、メタクリル酸C1〜C8ヒドロキシアルキルエステルおよびアクリル酸C1〜C8ヒドロキシアルキルエステル、例えば、n−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ヒドロキシプロピルアクリレート、またはn−ヒドロキシブチルアクリレートおよびn−ヒドロキシブチルメタクリレート、ならびに、化合物、例えば、ジアセトンアクリルアミドおよびアセチルアセトキシエチルアクリレートもしくはアセチルアセトキシメタクリレートでもある。多くの場合、前記モノマーは、モノマー総量に対してそれぞれ5質量%以下の量、しかし好ましくは3質量%以下の量で使用される。
本発明によれば、水性重合体分散液であって、その重合体Aが
1〜12個の炭素原子を有するアルカノールおよび/もしくはスチレンを有するアクリル酸および/もしくはメタクリル酸のエステル50質量%以上99.9質量%以下、
または
スチレンおよび/もしくはブタジエン40質量%以上99.9質量%以下、
または
塩化ビニルおよび/もしくは塩化ビニリデン50質量%以上99.9質量%以下、
または
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび/もしくはエチレン40質量%以上99.9質量%以下
を重合導入された形態で含んでいる前記分散液が有利である。
本発明によれば、水性重合体分散液であって、その重合体Aが、
少なくとも1つの、3〜6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸および/もしくはジカルボン酸、および/もしくはそのアミド0.1質量%以上5質量%以下、ならびに
1〜12個の炭素原子を有するアルカノールおよび/もしくはスチレンを有するアクリル酸および/もしくはメタクリル酸の少なくとも1種のエステル50質量%以上99.9質量%以下、
または
少なくとも1つの、3〜6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸および/もしくはジカルボン酸、および/もしくはそのアミド0.1質量%以上5質量%以下、ならびに
スチレンおよび/もしくはブタジエン40質量%以上99.9質量%以下、
または
少なくとも1つの、3〜6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸および/もしくはジカルボン酸、および/もしくはそのアミド0.1質量%以上5質量%以下、ならびに
塩化ビニルおよび/もしくは塩化ビニリデン50質量%以上99.9質量%以下、
または
少なくとも1つの、3〜6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸および/もしくはジカルボン酸、および/もしくはそのアミド0.1質量%以上5質量%以下、ならびに
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび/もしくはエチレン40質量%以上99.9質量%以下
を重合導入された形態で含む前記分散液が特に有利である。
重合体Aの製造のためのラジカル開始水性乳化重合は、一般に、それぞれモノマー総量に対して0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜4質量%、特に0.1〜3質量%のラジカル重合開始剤(ラジカル開始剤)の存在下に実施される。ラジカル開始剤として、ラジカル水性乳化重合を引き起こすことができるあらゆるラジカル開始剤が考慮に入れられる。これは、根本的に、過酸化物でもアゾ化合物であってよい。当然、レドックス開始剤系も考慮に入れられる。過酸化物として、根本的に、無機過酸化物、例えば、過酸化水素もしくはペルオキソ二硫酸塩、例えば、ペロオキソ二硫酸のモノアルカリ金属塩もしくはジアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩、例えば、そのモノナトリウム塩およびジナトリウム塩、モノカリウム塩およびジカリウム塩、もしくはアンモニウム塩、または有機過酸化物、例えば、アルキルヒドロペルオキシド、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンチルヒドロペルオキシド、もしくはクミルヒドロペルオキシド、ならびにジアルキルペルオキシドもしくはジアリールペルオキシド、例えば、ジーtert−ブチルペルオキシドもしくはジクミルペルオキシドが使用されてよい。アゾ化合物として、実質的に、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2’−アゾビス(アミジノプロピル)ジヒドロクロリド(AIBA、Wako Chemicals社V−50に相当)が使用される。当然、いわゆるレドックス開始剤系がラジカル開始剤として使用されてもよい。レドックス開始剤系の酸化剤として、実質的に、上述の過酸化物が考慮に入れられる。相応の還元剤として、低酸化状態の硫黄化合物、例えば、アルカリ亜硫酸塩、例えば、亜硫酸カリウムおよび/または亜硫酸ナトリウム、アルカリ亜硫酸水素塩、例えば、亜硫酸水素カリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウム、アルカリピロ亜硫酸塩、例えば、ピロ亜硫酸カリウムおよび/またはピロ亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸塩、例えば、ホルムアルデヒドスルホキシル酸カリウムおよび/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、アルカリ金属塩、特にカリウム塩および/またはナトリウム塩、脂肪族スルフィン酸およびアルカリ金属硫化水素、例えば、硫化水素カリウムおよび/または硫化水素ナトリウム、多価金属塩、例えば、硫酸鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)、リン酸鉄(II)、エンジオール、例えば、ジヒドロキシマレイン酸、ベンゾインおよび/またはアスコルビン酸ならびに還元糖、例えば、ソルボース、グルコース、フラクトースおよび/またはジヒドロキシアセトンが使用されてよい。
通常、ラジカル開始水性乳化重合による重合体Aの製造では、モノマー液体粒子も重合体粒子も水相中に分散分布させ続け、このようにして、生成された重合体Aの水性分散液の安定性を保証する分散助剤が併用される。このような分散助剤として、ラジカル水性乳化重合の実施に通常使用される保護コロイドも、乳化剤も考慮に入れられる。
好適な保護コロイドは、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体またはビニルピロリドンを含む共重合体である。さらなる好適な保護コロイドは、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,Band XIV/1,Makromolekulare Stoffe,411〜420ページ,Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961に詳細に記載されている。当然、乳化剤および/または保護コロイドからの混合物が使用されてもよい。分散助剤として、その相対分子量が、保護コロイドとは異なり、通常、1000未満である乳化剤のみが使用されるのが好ましい。この乳化剤は、アニオン性、カチオン性、または非イオン性であってもよい。当然、界面活性物質の混合物を使用する場合、個々の成分は、互いに相溶性でなければならず、判別がつかない場合、いくつかの予備実験によって試験することができる。一般に、アニオン性乳化剤は、互いに相溶し、非イオン性乳化剤と相溶する。同じことがカチオン性乳化剤にも当てはまる一方、アニオン性乳化剤とカチオン性乳化剤とは、通常、相溶しない。慣用の乳化剤は、例えば、エトキシ化されたモノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール、およびトリアルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C4〜C12)、エトキシ化脂肪アルコール(EO度:3〜50、アルキル基:C8〜C36)、ならびにアルキル硫酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩(アルキル基:C8〜C12)、エトキシ化アルカノールの硫酸半エステル(EO度:4〜30、アルキル基:C12〜C18)およびエトキシ化アルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C4〜C12)、アルキルスルホン酸(アルキル基:C12〜C18)およびアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C9〜C18)である。さらなる好適な乳化剤は、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,Band XIV/1,Makromolekulare Stoffe,192〜208ページ、Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961に見られる。
界面活性物質として、一般式I
Figure 2015527413
[式中、R1およびR2は、水素原子またはC4〜C24アルキルを意味しており、同時に水素原子ではない、M1およびM2は、アルカリ金属イオンおよび/もしくはアンモニウムイオンであってよい]の化合物が好適であることがさらに判明した。一般式(I)では、R1およびR2は、6〜18個、特に6個、12個、および16個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または水素を意味しているのが好ましく、R1およびR2は、両方同時に水素原子ではない。M1およびM2は、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムであるのが好ましく、ナトリウムであるのが特に好ましい。M1およびM2がナトリウムであり、R1が12個の炭素原子を有する分岐鎖のアルキル基であり、R2が、水素原子またはR1である化合物(I)が特に有利である。多くの場合、モノアルキル化された生成物を50〜90質量%の割合で有する工業的混合物、例えば、Dowfax(登録商標)2A1(Dow Chemical Campany社)が使用される。化合物(I)は、一般に、例えば、US−A4269749から公知であり、市販されている。
ラジカル開始水性乳化重合による重合体Aの製造では、非イオン性および/またはアニオン性の分散助剤が使用されるのが有利である。しかし、カチオン性の分散助剤も使用されてよい。
一般に、使用される分散助剤の量は、それぞれモノマー総量に対して0.1〜5質量%、好ましくは1〜3質量%である。多くの場合、前記分散助剤の部分量または総量が、ラジカル重合の開始前に、前記水性反応溶媒に供給される場合が好都合である。さらに、前記分散助剤の部分量または総量が、前記水性反応溶媒に、有利には前記モノマーと一緒に、特に水性モノマーエマルションの形態で重合の間に供給されてもよい。
ラジカル連鎖移動性化合物は、通常、ラジカル開始水性乳化重合により得られる重合体Aの分子量を低下もしくは制御するために使用される。ここで、実質的に脂肪族および/または芳香脂肪族ハロゲン化合物、例えば、塩化n−ブチル、臭化n−ブチル、ヨウ化n−ブチル、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロホルム、ブロモホルム、ブロモトリクロロメタン、ジブロモジクロロメタン、テトラクロロメタン、テトラブロモメタン、塩化ベンジル、臭化ベンジル、有機チオ化合物、例えば、第一級脂肪族チオール、第二級脂肪族チオールまたは第三級脂肪族チオール、例えば、エタンチオール、n−プロパンチオール、2−プロパンチオール、n−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、n−ペンタンチオール、2−ペンタンチオール、3−ペンタンチオール、2−メチル−2−ブタンチオール、3―メチル−2−ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、3−ヘキサンチオール、2―メチル−2−ペンタンチオール、3−メチル−2−ペンタンチオール、4−メチル−2−ペンタンチオール、2−メチル−3−ペンタンチオール、3−メチル−3−ペンタンチオール、2−エチルブタンチオール、2−エチル−2−ブタンチオール、n−ヘプタンチオールおよびその異性体化合物、n−オクタンチオールおよびその異性体化合物、n−ノナンチオールおよびその異性体化合物、n−デカンチオールおよびその異性体化合物、n−ウンデカンチオールおよびその異性体化合物、n−ドデカンチオールおよびその異性体化合物、n−トリデカンチオールおよびその異性体化合物、置換チオール、例えば、2−ヒドロキシエタンチオール、芳香族チオール、例えば、ベンゾールチオール、オルト−メチルベンゾールチオール、メタ−メチルベンゾールチオール、またはパラ−メチルベンゾールチオール、ならびにPolymerhandbook 3rd edition,1989,J.Brandrup und E.H.Immergut,John Weley & Sons,section II,133〜141ページに記載されるあらゆるさらなる硫黄化合物、しかし、脂肪族アルデヒドおよび/または芳香族アルデヒド、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよび/またはベンゾアルデヒド、不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、非共役二重結合を有するジエン、例えば、ジビニルメタンまたはビニルシクロヘキサンまたは容易に引き抜き可能な水素原子を有する炭化水素、例えば、トルエンも使用される。しかし、妨害しない前記ラジカル連鎖移動性化合物の混合物を使用することも可能である。
ラジカル開始水性乳化重合による重合体Aの製造で任意に使用される、ラジカル連鎖移動性化合物の総量は、一般に、それぞれモノマー総量に対して5質量%未満、3質量%未満であるのが多く、たいてい1質量%未満である。
シードフリーの製造法の他に、重合体粒子径を調整するため、重合体Aを製造するための乳化重合は、シードラテックス法によって、またはin situで製造されたシードラテックスの存在下に行われてよい。そのための方法は、当業者に公知であり、先行技術から応用することができる(例えば、EP−B40419、EP−A567812、EP−A614922ならびに”Encyclopedia of Polymer Science and Technology”,Vol.5,847ページ,John Wiley & Sons Inc.,New York,1966参照)。例えば、先行技術は、半連続供給法では、定義された微細なシード重合体分散液を重合容器内に装入して、その後、モノマーをシードラテックスの存在下に重合することを推奨している。ここで、前記シード重合体粒子は、「重合核」として作用し、重合体粒子形成および重合粒子成長を分離する(entkoppeln)。乳化重合の間、さらなるシードラテックスは、直接重合反応に添加されてよい。これにより、重合体粒子の幅広い粒度分布が達成され、この幅広い粒度分布は、特に、固体含有量が多い重合体分散液の場合に望ましいことが多い(これに関しては、例えば、DE−A4213965参照)。記載されたシードラテックスを添加する代わりに、シードラテックスは、in situで生成されてもよい。そのためには、例えば、重合に使用されるモノマーおよびラジカル開始剤の部分量を、乳化剤の部分量または総量と一緒に装入して、反応温度に加熱し、ここで、比較的微細なポリマーシードが生じる。その後、同一の重合容器内で、本来の重合を、供給法により実施される(DE−A4213965も参照)。
ラジカル開始水性乳化重合による重合体Aの製造は、0〜170℃の範囲の反応温度で行われるのが有利であるが、70〜120℃、特に80〜100℃の温度が特に好ましい。ラジカル水性乳化重合は、1atm(絶対圧)未満、1atm(絶対圧)に等しい、または1atm(絶対圧)超の圧力で実施されてよい。易揮発性モノマー、例えば、エチレン、ブタジエンまたは塩化ビニルは、高められた圧力下に重合されるのが好ましい。ここで、圧力は、1.2、1.5、2、5、10、15barの圧力(超過圧力)またはさらに高い値であってよい。乳化重合が、低圧で実施される場合、950mbar、たいてい900mbar、850mbar(絶対圧)であることが多い圧力が調整される。前記ラジカル水性乳化重合が、1atm(大気圧)で、不活性ガス雰囲気下に、例えば、窒素またはアルゴン下に実施されるのが有利である。
前記ラジカル開始水性乳化重合では、前記水性反応溶媒は、根本的に、わずかな量(5質量%未満)で、水溶性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、しかし、アセトンなども含んでいてもよい。しかし、前記ラジカル開始水性乳化重合は、前記溶媒の非存在下に実施されるのが好ましい。
本発明により使用される重合体Aは、根本的に、−60℃以上70℃以下の範囲のガラス転移温度Tgを有していてよい。前記重合体Aは、−40℃以上50℃以下の範囲、有利には、−25℃以上40℃以下の範囲のガラス転移温度Tgを有しているのが有利である。ガラス転移温度Tgとは、本願の範囲において、示差熱分析(DSC)により求められる、ASTM D 3418−82に準拠する中間温度であると理解される(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,169ページ,Verlag Chemie,Weinheim,1992およびZosel in Farbe und Lack,82,125〜134ページ,1976も参照)。
Fox(T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.1956(Ser.II)1,123ページ、およびUllmann’s Encyclopaedie der technischen Chemie,Bd.19,18ページ、4th edition,Verlag Chemie,Weinheim,1980)によれば、わずかに弱く架橋された混合重合体のガラス転移温度は、以下の方程式
Figure 2015527413
[式中、X1、X2、・・・Xnは、モノマー1、2、・・・nの質量分率(Massenbrueche)を表し、Tg1、Tg2、・・・Tgnは、モノマー1、2、・・・nの1つからのみ形成されたホモ重合体それぞれのガラス転移温度をケルビン度で表す]による好ましい近似値で値が求められることがさらに重要である。たいていのエチレン性不飽和モノマーの前記ホモ重合体のガラス転移温度は、公知であり(もしくは、簡単に自体公知の方法で実験により求めることができ)、例えば、J.Brandrup,E.H.Immergut,Polymer Handbook 1st Ed.J.Wiley,New York,1966、2nd Ed.J.Wiley,New York,1975および3rd Ed.J.Wiley,New York,1989、ならびにUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,169ページ,Verlag Chemie,Weinheim,1992に記載されている。
乳化重合により得られる、水性分散液の形態の水性重合体A(水性重合体A分散液)は、通常、それぞれ前記水性重合体分散液に対して10質量%以上70質量%以下、たいてい20質量%以上65質量%以下、25質量%以上60質量%以下であることが多い重合体固体含有量を有している。
したがって、重合体Aは、10nm以上1000nm以下、有利には30nm以上600nm以下、特に有利には50nm以上400nm以下の準弾性光散乱法(ISO規格13321;cumulant z−average)により測定される平均粒子径を有する粒子の形態で存在しているのが特に有利である(粒子A)。
当然、水性重合体A分散液は、根本的に、いわゆる二次重合体分散液の形態で製造することもできる(二次重合体分散液の根本的な製造に関しては、例えば、Eckersleyら,Am.Chem.Soc.,Div.Polymer Chemistry,1977,38(2),630,631ページ、US−A3360599、US−A3238173、US−A3726824、US−A3734686またはUS−A6207756参照)。ここで、前記二次水性重合体A分散液の製造は、一般的に、塊状重合法または溶液重合法により製造された重合体Aが、好適な有機溶媒中で溶解して、水性溶媒に分散されて、水性ポリマー/溶媒(ミニ)エマルションが形成されるように行われる。それに続く溶媒分離は、相応の水性重合体A分散液を提供する。
それに応じて、本発明による結合剤は、平均粒子径10nm以上1000nm以下、有利には30nm以上600nm以下、特に有利には50nm以上400nm以下である重合体Aの水性分散液を含んでいるのが有利である。
さらに、前記水性重合体A分散液が、当業者によく知られている乾燥法、例えば、凍結乾燥または特に有利にはスプレー乾燥により相応の重合体A粉末に変わることができることが重要である。
好ましい実施態様では、前記重合体Aは、0nmより大100nm以下の超遠心分離分析法により求められる平均粒子径を有する微細無機固体をさらに含んでいる(これに関しては、S.E.Hardingら,Analytical Ultracentrifugation in Biochemistry and Polymer Science,Royal Society of Chemistry,Cambridge,Great Britain 1992,Chapter 10,Analysis of Polymer Dispersions with an Eight−Cell−AUC−Multiplexer:High Resolution Paricle Size Distribution and Density Gradient Techniques,W.Maechtle,147〜175ページ参照)。ここで、粒子径で表示される値は、いわゆるd50値に相当する。微細無機固体として、ケイ素含有化合物、例えば、特に、熱分解法シリカおよび/またはコロイドシリカ、二酸化ケイ素ゾルおよび/または層状ケイ酸塩であるのが好ましい。ここで、前記微細無機固体は、5nm以上50nm以下の平均粒子径を有しているのが有利である。有利な実施態様では、重合体Aの微細無機固体に対する質量比は、95:5〜40:60である。
特に好ましい実施態様では、前記微細無機固体を含む重合体Aは、水性溶媒中で分散している(水性複合粒子分散液)、粒子(複合粒子)の形態で存在している。
水性複合粒子分散液は、一般に公知のものである。これは、根本的に液体系であって、水性分散溶媒中の分散相として、複数の互いに絡み合った重合体の鎖である重合体の塊、いわゆるポリマーマトリックスと微細無機固体とから形成される粒子を分散分布中に含む前記系である。前記複合粒子の直径は、一般に、10nm以上1000nm以下の範囲にある。
複合粒子および水性複合粒子分散液の形態でのその製造方法、ならびにその使用は、当業者に公知であり、例えば、文献US−A3,544,500、US−A4,421,660、US−A4,608,401、US−A4,981,882、EP−A104498、EP−A505230、EP−A572128、GB−A2227739、WO0118081、WO0129106、WO03000760ならびにLongら,Tianjin Daxue Xeubao 1991,4,10〜15ページ、Bourgeat−Lamiら,Die Angewandte Makromolekulare Chemie 1996,242,105〜122ページ、Paulkeら,Synthesis Studies of Paramagnetic Polystyrene Latex Particles,Scientific and Clinical Applications of Magnetic Carriers,69〜76ページ,Plenum Press,New York,1997、Armesら,Advanced Materials 1999,11,No.5,408〜410ページに開示されている。本発明により使用される複合粒子およびその水性分散液は、根本的に、先行技術の公知の方法により製造することができるが、前記複合粒子の製造に使用されるモノマーは、種類および量に関して、−60℃以上70℃以下、有利には−40℃以上50℃以下、特に有利には−25℃以上40℃以下のガラス転移温度を有する重合体Aが形成され、0nmより大100nm以下、有利には5nm以上50nm以下の超遠心分離分析法により求められる平均粒子径を有する微細無機固体が使用されるように選択される。
微細無機固体を含む粒子Aの水性分散液は、WO03000760に開示される方法により製造されるのが有利であり、本願の範囲において明確に参照される。この方法は、少なくとも1種のモノマーを水性溶媒中に分散分布させ、少なくとも1種のラジカル重合開始剤を用いて、少なくとも1種の分散分布された微細無機固体および少なくとも1種の分散剤の存在下に、ラジカル水性乳化重合法により重合させることを特徴としており、ここで、
a)前記少なくとも1種の無機固体の安定した水性分散液であって、この分散液が、前記少なくとも1種の無機固体の水性分散液に対する初期固体濃度1質量%以上の場合に、その製造からさらに1時間後に、最初に分散された固体90質量%超を分散された形態で含んでいること、およびその分散された固体粒子が重量平均径100nm以下を有していることを特徴とする前記分散液が使用され、
b)標準塩化カリウム水溶液中の少なくとも1種の無機固体の分散された固体粒子が、前記分散剤の添加開始前の前記水性分散溶媒のpH値に相当するpH値で、ゼロとは異なる電気泳動移動度を示し、
c)前記水性固体粒子分散液を、前記少なくとも1種のモノマーの添加開始前に、少なくとも1種のアニオン性、カチオン性、および非イオン性の分散剤と混合し、
d)その後、前記少なくとも1種のモノマーの総量の0.01〜30質量%が、前記水性固体粒子分散液に添加されて、変換率が少なくとも90%になるまで重合され、
ならびに
e)それに続いて、前記少なくとも1種のモノマーの残量が、重合条件下に、使用量に応じて連続的に添加される。
微細無機固体を含む粒子Aの水性分散液が、WO10118961に開示される方法により製造されるのが同じく有利であり、本願の範囲において同じく明確に参照される。この方法は、少なくとも1種のモノマーが、水性溶媒中に分散分布されて、少なくとも1種のラジカル重合開始剤を用いて、少なくとも1種の分散分布された微細無機固体および少なくとも1種の分散助剤の存在下に、ラジカル水性乳化重合法により重合されることを特徴としており、ここで、
a)モノマーの総量(モノマー総量)に対して、平均粒径100nm以下の無機固体1〜1000質量%、およびラジカル重合開始剤0.05〜2質量%が使用され、
b)前記無機固体の少なくとも部分量が、水性重合溶媒中で水性固体分散液の形態で装入され、それに続いて、
c)得られた水性固体分散液に、モノマー総量の計0.01質量%以上20質量%以下、およびラジカル重合開始剤の総量の60質量%以上が計量供給されて、この計量供給されたモノマーが、重合条件下に、モノマー変換率80質量%以上になるまで重合され(重合段階1)、それに続いて、得られた重合混合物に、
d)前記無機固体物の場合により残りの残量、前記ラジカル重合開始剤の場合により残りの残量、および前記モノマーの残りの残量が、重合条件下に計量供給されて、モノマー変換率90質量%以上になるまで重合される(重合段階2)。
WO03000760に開示される方法の場合、あらゆる微細無機固体が好適であり、この固体は、安定した水性分散液を形成し、この分散液は、前記少なくとも1種の無機固体の水性分散液に対する初期固体濃度1質量%以上の場合に、その製造からさらに1時間後に、撹拌または振動させずに、最初に分散された固体90質量%超を分散された形態で含み、その分散された固体粒子が、100nm以下の直径を有しており、さらに、前記分散剤の添加開始前の前記水性反応溶媒のpH値に相当するpH値で、0とは異なる電気泳動移動性を示す。
初期固体濃度および1時間後の固体濃度の定量測定ならびに粒子径の算出は、超遠心分離分析法で行われる(これに関しては、S.E.Hardingら,Analytical Ultracentrifugation in Biochemistry and Polymer Science,Royal Society of Chemistry,Cambridge,Great Britain 1992,Chapter 10,Analysis of Polymer Dispersions with an Eight−Cell−AUC−Multiplexer:High Resolution Particle Size Distribution and Density Gradient Techniques,W.Maechtle,147〜175ページ参照)。粒子径で示される値は、いわゆるd50値に相当する。
電気泳動移動度の測定方法は、当業者に公知である(例えば、R.J.Hunter,Introduction to modern Colloid Science,Chapter 8.4,241〜248ページ,Oxford Unversity Press,Oxford 1993ならびにK.OkaおよびK.Furusawa,Electrical Phenomena at Interfaces,Surfactant Science Series,Vol.76,Chapter 8,151〜232ページ,Marcel Dekker,New York,1988参照)。水性反応溶媒中に分散された固体粒子の電気泳動移動度は、市販の電気泳動装置、例えば、Malvern Instruments Ltd.社Zetasizer3000を用いて、20℃および1bar(絶対圧)で測定される。そのために、前記水性固体粒子分散液は、pH中性の10ミリモル(mM)の塩化カリウム水溶液(標準塩化カリウム水溶液)で、固体粒子濃度が約50〜100mg/lになるまで希釈される。前記水性反応溶媒が分散剤の添加開始前に有するpH値への測定試料の調整は、慣用の無機酸、例えば、希釈塩酸または硝酸または塩基、例えば、希釈苛性ソーダ液またはアルカリ液を用いて行われる。分散された固体粒子の電場における移動は、いわゆる電気泳動光散乱法を用いて検出される(例えば、B.R.WareおよびW.H.Flygare,Chem.Phys.Lett.1971,12,81〜85ページ参照)。ここで、分散された固体粒子の移動方向による電気泳動移動の符号(Vorzeichen)が定義される、つまり、分散された固体粒子が陽極に移動する場合、その電気泳動移動は正であり、それとは逆に陰極に移動する場合、負である。
ある程度の範囲における分散された固体粒子の電気泳動移動に影響を及ぼす、または調整するための好適なパラメータは、前記水性反応溶媒のpH値である。分散された固体粒子のプロトン化もしくは脱プロトン化により、電気泳動移動は、酸性のpH範囲(pH値7未満)で正方向に、アルカリ性の範囲(pH値7より大)で負方向に変化する。WO03000760で開示される方法に好適なpH範囲は、ラジカル開始水性乳化重合が実施されうるpH範囲内にある。このpH範囲は、一般に、pH1〜12、たいていpH1.5〜11であり、pH2〜10であることが多い。
前記水性反応溶媒のpH値は、市販の酸、例えば、希釈塩酸、硝酸または硫酸または塩基、例えば、希釈苛性ソーダ液またはアルカリ液を用いて調整することができる。多くの場合、pH調整に使用される酸または塩基の量の部分量または総量が、少なくとも1種の微細無機固体の前に前記水性反応溶媒に添加される場合が有利である。
WO03000760により開示される方法に有利であるのは、前記分散された固体粒子が、前記pH条件下に、
・負符号の電気泳動移動を有する場合、前記少なくとも1種のモノマー100質量部あたり、少なくとも1種のカチオン性の分散剤0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部、少なくとも1種の非イオン性の分散剤および少なくとも1種のアニオン性の分散剤0.01〜100質量部、好ましくは0.05〜50質量部、特に好ましくは0.1〜20質量部が使用され、その量は、アニオン性の分散剤のカチオン性の分散剤に対する当量比が1超であるように決められる、または
・正符号の電気泳動移動度を有する場合、前記少なくとも1種のモノマー100質量部あたり、少なくとも1種のアニオン性の分散剤0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部、少なくとも1種の非イオン性の分散剤および少なくとも1種のカチオン性の分散剤0.01〜100質量部、好ましくは0.05〜50質量部、特に好ましくは0.1〜20質量部が使用され、その量は、カチオン性の分散剤のアニオン性の分散剤に対する当量比が1超であるように決められる、ことである。
アニオン性の分散剤のカチオン性の分散剤に対する当量比とは、アニオン性の分散剤1モルあたりに含まれるアニオン性基の数を乗じたアニオン性の分散剤の使用モル数を、カチオン性の分散剤1モルあたりに含まれるカチオン性基の数を乗じたカチオン性の分散剤の使用モル数で除した比であると理解される。カチオン性の分散剤のアニオン性の分散剤に対する当量比にも相応して当てはまる。
WO03000760により使用される少なくとも1種のアニオン性、カチオン性、および非イオン性の分散剤の総量は、水性固体分散液中に装入されていてよい。しかし、前記分散剤の部分量だけを、前記水性固体分散液中に装入して、残りの残量を、ラジカル乳化重合の間に連続的または不連続的に添加することも可能である。しかし、ラジカル開始乳化重合の前および間に、アニオン性の分散剤およびカチオン性の分散剤の前記当量比が、微細固体の電気泳動の符号に応じて維持されることが本方法にとって重要である。したがって、前記pH条件下に負符号の電気泳動移動度を有する無機固体粒子が使用される場合、乳化重合全体の間のアニオン性の分散剤のカチオン性の分散剤に対する当量比は1超でなければならない。相応の方法では、正符号の電気泳動移動度を有する無機固体粒子の場合、乳化重合全体の間のカチオン性の分散剤のアニオン性の分散剤に対する当量比は1超でなければならない。前記当量比が、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上または10以上である場合が好都合であり、前記当量比は、2〜5の範囲であるのが特に好都合である。
前記明確に開示された両方の方法、ならびに一般に複合粒子の製造に使用可能な微細無機固体には、金属、金属化合物、例えば、酸化金属および金属塩、しかし、また半金属化合物および非金属化合物が好適である。微細金属粉末として、貴金属コロイド、例えば、パラジウム、銀、ルテニウム、プラチナ、金およびロジウムならびにこれらを含む合金が使用されてよい。微細金属酸化物として、例えば、二酸化チタン(例えば、Sachtleben Chemie GmbH社Hombitec(登録商標)として市販されている)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化スズ(II)、酸化スズ(IV)(例えば、Nyacol Nano Technologies Inc.社Nyacol(登録商標)SNとして市販されている)。 酸化アルミニウム(例えば、Nyacol Nano Technologies Inc.社Nyacol(登録商標)ALとして市販されている)、酸化バリウム、酸化マグネシウム、種々の酸化鉄、例えば、酸化鉄(II)(ウスタイト)、酸化鉄(III)(ヘマタイト)および酸化鉄(II/III)(マグネタイト)、酸化クロム(III)、酸化アンチモン(III)、酸化ビスマス(III)、酸化亜鉛(例えば、Sachtleben Chemie GmbH社Sachtotec(登録商標)として市販されている)、酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(III)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、酸化銅(II)、酸化イットリウム(III)(例えば、Nyacol Nano Technologies Inc.社Nyacol(登録商標)YTTRIAとして市販されている)、酸化セリウム(IV)(例えば、Nyacol Nano Technologies Inc.社Nyacol(登録商標)CEO2として市販されている)、非晶質および/またはその異なる結晶変態ならびにそのオキシ水酸化物、例えば、オキシ水酸化チタン(IV)、オキシ水酸化ジルコニウム(IV)、オキシ水酸化アルミニウム(例えば、Sasol GmbH社Disperal(登録商標)として市販されている)、およびオキシ水酸化鉄(III)、非晶質および/またはその異なる結晶変態が挙げられる。以下の非晶質および/またはその異なる結晶構造中に存在する金属塩は、本発明による方法において根本的に使用可能である:硫化物、例えば、硫化鉄(II)、硫化鉄(III)、二硫化鉄(II)(パイライト)、硫化スズ(II)、硫化スズ(IV)、硫化水銀(II)、硫化カドミウム(II)、硫化亜鉛、硫化銅(II)、硫化銀、硫化ニッケル(II)、硫化コバルト(II)、硫化コバルト(III)、硫化マンガン(II)、硫化クロム(III)、硫化チタン(II)、硫化チタン(III)、硫化チタン(IV)、硫化ジルコン(IV)、硫化アンチモン(III)、硫化ビスマス(III)、水酸化物、例えば、水酸化スズ(II)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III)、硫酸塩、例えば、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸鉛(IV)、炭酸塩、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸ジルコニウム(IV)、炭酸鉄(II)、炭酸鉄(III)、オルトリン酸塩、例えば、オルトリン酸リチウム、オルトリン酸カルシウム、オルトリン酸亜鉛、オルトリン酸マグネシウム、オルトリン酸アルミニウム、オルトリン酸スズ(III)、オルトリン酸鉄(II)、オルトリン酸鉄(III)、メタリン酸塩、例えば、メタリン酸リチウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸アルミニウム、ピロリン酸塩、例えば、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸亜鉛、ピロリン酸鉄(III)、ピロリン酸スズ(II)、リン酸アンモニウム、例えば、リン酸マグネシウムアンモニウム、リン酸亜鉛アンモニウム、ヒドロキシアパタイト[Ca5{(PO43OH}]、オルトケイ酸塩、例えば、オルトケイ酸リチウム、オルトケイ酸カルシウム/オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸アルミニウム、オルトケイ酸鉄(II)、オルトケイ酸鉄(III)、オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸亜鉛、オルトケイ酸ジルコニウム(III)、オルトケイ酸ジルコニウム(IV)、メタケイ酸塩、例えば、メタケイ酸リチウム、メタケイ酸カルシウム/メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸カルシウム、メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸亜鉛、層状ケイ酸塩、例えば、特に、自発的に離層した形態のケイ酸ナトリウムアルミニウムおよびケイ酸ナトリウムマグネシウム、例えば、Optigel(登録商標)SH(Rockwood Specialties Inc.社)、Saponit(登録商標)SKS−20およびHektorit(登録商標)SKS21(Hoechst AG社)ならびにLaponite(登録商標)RDおよびLaponite(登録商標)GS(Rockwood Specialties Inc.社)、アルミン酸塩、例えば、アルミン酸リチウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸亜鉛、ホウ酸塩、例えば、メタホウ酸マグネシウム、オルトホウ酸マグネシウム、シュウ酸塩、例えば、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ジルコニウム(IV)、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸亜鉛、シュウ酸アルミニウム、酒石酸塩、例えば、酒石酸カルシウム、アセチルアセトン、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄(III)、サリチル酸塩、例えば、サリチル酸アルミニウム、クエン酸塩、例えば、クエン酸カルシウム、クエン酸鉄(II)、クエン酸亜鉛、パルミチン酸、例えば、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸塩、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸塩、ラウリン酸カルシウム、リノール酸塩、例えば、リノール酸カルシウム、オレイン酸塩、例えば、オレイン酸カルシウム、オレイン酸鉄(II)またはオレイン酸亜鉛。
実質的に使用可能な半金属化合物として、非晶質および/または異なる結晶構造で存在する二酸化ケイ素が挙げられる。相応して好適な二酸化ケイ素は、市販されており、例えば、Aerosil(登録商標)(Evonik Industries AG社)、Levasil(登録商標)(H.C.Starck GmbH社)、Ludox(登録商標)(DuPont社)、Nyacol(登録商標)(Nyacol Nano−Technologies Inc.社)、Bindzil(登録商標)(Akzo Nobel N.V.社)、Nalco(登録商標)(Nalco Chemical Company社)、およびSnowtex(登録商標)(Nissan Chemical Industries,Ltd.社)が挙げられる。好適な非金属化合物は、例えば、コロイド状で存在するグラファイトまたはダイアモンドである。
微細無機固体として、20℃および1bar(絶対圧)での水への溶解度が、1g/l以下、好ましくは0.1g/l以下、特に0.01g/l以下である前記固体が好適である。二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化スズ(IV)、酸化イットリウム(III)、酸化セリウム(IV)、酸化水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、オルトリン酸カルシウム、オルトリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、オルトケイ酸塩、例えば、オルトケイ酸リチウム、オルトケイ酸カルシウム、オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸アルミニウム、オルトケイ酸鉄(II)、オルトケイ酸鉄(III)、オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸ジルコン、オルトケイ酸ジルコニウム(III)、オルトケイ酸ジルコニウム(IV)、メタケイ酸塩、例えば、メタケイ酸リチウム、メタケイ酸カルシウム/メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸カルシウム、メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸亜鉛、層状ケイ酸塩、例えば、特に、自発的に離層した形態のケイ酸ナトリウムアルミニウムおよびケイ酸ナトリウムマグネシウム、例えば、Optigel(登録商標)SH、Saponit(登録商標)SKS−20およびHektorit(登録商標)SKS21、ならびにLaponite(登録商標)RDおよびLaponite(登録商標)GS、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化鉄(II/III)、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛および硫化亜鉛を含む群から選択される化合物が特に好ましい。ケイ素含有化合物、例えば、熱分解法シリカおよび/またはコロイドシリカ、二酸化ケイ素ゾルおよび/または層状ケイ酸塩が特に好ましい。これらのケイ素含有化合物は、たいてい負符号の電気泳動移動度を有している。
有利には、市販の化合物のAerosil(登録商標)、Levasil(登録商標)、Ludox(登録商標)、Nyacol(登録商標)およびBindzil(登録商標)(二酸化ケイ素)、Disperal(登録商標)(酸化水酸化アルミニウム)、Nyacol(登録商標)AL(酸化アルミニウム)、Hombitec(登録商標)(二酸化チタン)、Nyacol(登録商標)SN(酸化亜鉛(IV))、Nyacol(登録商標)YTTRIA(酸化イットリウム(III)、Nyacol(登録商標)CEO2(酸化セリウム(IV)、およびSachtotec(登録商標)(酸化亜鉛)が、前記方法ならびに一般に水性複合粒子分散液の製造に使用されてもよい。
複合粒子の製造に使用可能な微細無機固体は、水性反応溶媒中に分散された固体粒子が、100nm以下の粒子径を有するように作られる。分散された粒子が、0nmより大であるが、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下または10nm以下、およびその間のあらゆる値の粒子径を有しているような微細無機固体が使用されるのが効果的である。5nm以上50nm以下の粒子径を有する微細無機固体が使用されるのが有利である。粒子径の算出は、超遠心分離分析法により行われる。
微細固体の入手可能性は、当業者に根本的に公知であり、例えば、沈降反応または気相における化学的反応により行われる(これに関しては、E.Matijevic,Chem.Mater.1993,5,412〜426ページ;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A23,583〜660ページ、Verlag Chemie,Weinheim,1992;D.F.Evans,H.Wennerstroem,The Colloidal Domain,363〜405ページ,Verlag Chemie,Weinheim,1994およびR.J.Hunter,Foundations of Colloid Science,Vol.I,10〜17ページ,Clarendon Press,Oxford,1991参照)。
前記安定した固体分散液の製造は、たいてい水性溶媒中での前記微細無機固体の合成で直接的に、または代替的に、前記微細無機固体の水性溶媒への分散導入により行われる。前記微細無機固体の製造方法に応じて、直接的、例えば、沈降二酸化ケイ素もしくは熱分解法二酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの場合に行われるか、または好適な補助機器、例えば、分散装置もしくは超音波ホーン(Ultraschallsonotroden)を使用して行われる。
前記両方の明確に開示された方法による、前記水性複合粒子分散液の製造に有利なのは、前記水性固体分散液が、前記微細無機固体の水性分散液に対する初期固体濃度1質量%以上の場合に、その製造後さらに1時間、もしくは沈降固体の撹拌もしくは振動により、さらなる撹拌もしくは振動をせずに最初に分散された固体90質量%超を分散された形態で含んでおり、その分散された固体粒子が100nm以下の直径を有している微細無機固体が好適である。通常、初期固体濃度は、60質量%以下である。しかし、有利には、それぞれ前記微細無機固体の水性分散液に対する初期固体濃度55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、ならびに2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上または5質量%およびその間のすべての値が使用されてもよい。
前記モノマー100質量部に対して、水性複合粒子分散液の製造では、一般に、前記少なくとも1種の微細無機固体1〜1000質量部、有利には1〜300質量部、特に有利には5〜150質量部が使用される。相応して、重合体Aの、前記複合粒子A中の微細無機固体に対する質量比は、99:1〜9:91、有利には99:1〜25:75、特に有利には95:5〜40:60である。
前記両方の明確に開示された方法による、水性複合粒子分散液の製造では、前記微細無機固体粒子もモノマー液体粒子および形成された複合粒子も水相中に分散分布して維持し、このようにして、生成された水性複合粒子分散液の安定性を保証する分散剤が併用される。分散剤として、ラジカル水性乳化重合の実施に通常使用される保護コロイドも、乳化剤も考慮に入れられる(上述参照)。
ラジカル重合を引き起こすためには、ラジカル水性乳化重合を引き起こすことができるあらゆるラジカル重合開始剤(ラジカル開始剤)が考慮に入れられる。これは、根本的に、過酸化物であってもアゾ化合物であってもよい。当然、レドックス開始剤系も考慮に入れられる。過酸化物として、根本的に、無機過酸化物、例えば、過酸化水素またはペルオキソ二硫酸塩、例えば、ペルオキソ二硫酸のモノアルカリ金属塩またはジアルカリ金属塩、またはアンモニウム塩、例えば、そのモノナトリウム塩およびジナトリウム塩、モノカリウム塩、ジカリウム塩、またはモノアンモニウム塩、ジアンモニウム塩、または有機過酸化物、例えば、アルキルヒドロペルオキシド、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンチルヒドロペルオキシド、またはクミルヒドロペルオキシド、ならびにジアリールペルオキシドまたはジアリールペルオキシド、例えば、ジーtert−ブチルペルオキシドまたはジ−クミルペルオキシドが使用されてよい。アゾ化合物として、実質的に2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2’−アゾビス(アミジノプロピル)ジヒドロクロリド(AIBA、Wako Chemicals社V−50に相当)が使用される。レドックス開始系の酸化剤として、実質的に、上述の過酸化物が考慮に入れられる。相応の還元剤として、低酸化状態の硫黄化合物、例えば、アルカリ亜硫酸塩、例えば、亜硫酸カリウムおよび/または亜硫酸ナトリウム、アルカリ亜硫酸水素塩、例えば、亜硫酸水素カリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウム、アルカリピロ亜硫酸塩、例えば、ピロ亜硫酸カリウムおよび/またはピロ亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸塩、例えば、ホルムアルデヒドスルホキシル酸カリウムおよび/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、アルカリ金属塩、特にカリウム塩および/またはナトリウム塩、脂肪族スルフィン酸およびアルカリ金属硫化水素塩、例えば、硫化水素カリウムおよび/または硫化水素ナトリウム、多価金属塩、例えば、硫酸鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)、リン酸鉄(II)、エンジオール、例えば、ジヒドロキシマレイン酸、ベンゾインおよび/またはアスコルビン酸ならびに還元糖、例えば、ソルボース、グルコース、フラクトースおよび/またはジヒドロキシアセトンが使用されてよい。本発明によればレドックス開始剤系が使用される場合、たいてい、前記酸化剤および還元剤が同時並行に計量供給されるか、または好ましくは相応の酸化剤の総量が装入されて、還元剤のみが計量供給される。ラジカル開始剤の総量は、レドックス開始剤系の場合、酸化剤および還元剤の総量から形成される。しかし、ラジカル開始剤として、無機および有機過酸化物、特に無機過酸化物が使用され、たいてい、水性溶液の形態で使用されるのが好ましい。特に、ラジカル開始剤として、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素および/またはtert−ブチルヒドロペルオキシドであるのが好ましい。
WO10118961の教示によれば、総じて使用されるラジカル開始剤の量は、それぞれモノマー総量に対して0.05〜2質量%、有利には0.1〜1.5質量%、特に有利には0.3〜1.0質量%である。別の製造方法によれば、ラジカル開始剤の量は、モノマー総量に対して5質量%までであってよい。
WO10118961の教示による水性固体分散液に、工程段階c)において、モノマー総量の合計0.01質量%以上20質量%以下、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、ならびに90質量%以下または100質量%以下、ラジカル重合開始剤の総量の特に好ましくは75質量%以上85質量%以下が計量供給され、この計量供給されたエチレン性不飽和モノマーが、重合条件下に、モノマー変換率80質量%以上、好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上になるまで重合されることが本発明に必須である。
ここで、WO10118961の工程段階c)における前記ラジカル開始剤の水性重合溶媒への添加は、重合条件下に行われてよい。しかし、前記ラジカル開始剤の部分量または総量を、前記装入されたモノマーを含む水性重合溶媒に、重合反応を引き起こすのに好適ではない条件下、例えば、低温で添加して、その後水性重合混合物中で重合条件を調整することも可能である。
工程段階c)では、ラジカル開始剤またはその成分の添加は、不連続的に1回もしくは複数回に分けて、または連続的に一定もしくは変化する流量で行われてよい。
モノマー変換率の測定は、根本的に当業者によく知られており、例えば、反応熱量測定により行われる。
WO10118961の工程段階(c)で、使用されるモノマーの量を、変換率80質量%以上になるまで重合した後(重合段階1)、後続の工程段階d)、場合により残りの残量、つまり、前記無機固体の90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、有利には、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下または10質量%以下、場合により残りの残量、つまり、前記ラジカル重合開始剤の40質量%以下、30質量%以下、または好ましくは15質量%以上25質量%以下、ならびに、エチレン性不飽和モノマーの残りの残量、つまり、80質量%以上99.99質量%、好ましくは85質量%以上99質量%以下、特に好ましくは85質量%以上95質量%以下を、重合条件下に計量供給して、モノマー変換率90質量%以上になるまで重合する(重合段階2)。ここで、工程段階c)およびd)において、それぞれの成分の計量供給は、別個の単流として、または混合物として、不連続に1回もしくは複数回に分けて、または連続的に一定もしくは変化する流量で計量供給されてよい。当然、前記ラジカル開始剤またはエチレン性不飽和モノマーは、工程段階c)およびd)において異なっていることもありえる。
重合条件とは、本願の範囲においては、ここで一般的に、ラジカル開始された水性乳化重合を充分な重合速度で進行させる温度および圧力であると理解される。前記条件は、特に、使用されるラジカル開始剤によって異なる。工程段階c)およびd)におけるラジカル開始剤の種類および量、重合温度ならびに重合圧力は、使用されるラジカル開始剤が充分な半値時間を有しており、ここで、常に、重合反応を引き起こす、もしくは維持するために、充分に開始ラジカルが提供されるように選択される。
前記微細無機固体の存在下の、前記ラジカル水性重合反応の反応温度として、一般に、0〜170℃の範囲全体が考慮に入れられる。ここで、一般に、50℃以上120℃以下、たいてい60℃以上110℃以下であり、70℃以上100℃以下であることが多い温度が適用される。前記ラジカル水性乳化重合は、1atm(絶対圧)よりも小、1atm(絶対圧)と等しい、または1atm(絶対圧)より大の圧力で実施されてよく、重合温度は、100℃を超過して、170℃までであってよい。易揮発性のモノマー、例えば、エチレン、ブタジエンまたは塩化ビニルは、高められた圧力下に重合されるのが好ましい。ここで、圧力は、1.2、1.5、2、5、10、15bar、またはさらにより高い値であってよい。乳化重合が低圧で実施される場合、950mbar(絶対圧)、たいてい900mbar(絶対圧)、850mbar(絶対圧)であることが多い圧力が設定される。ラジカル水性重合は、1atm(絶対圧)で、不活性雰囲気下に、例えば、窒素またはアルゴン下に実施されるのが有利である。
本発明によれば、前記結合剤は、重合体Aの他にホルムアルデヒド縮合樹脂の粒子(粒子B)をさらに含んでおり、この粒子Bは、1μm以上100μm、有利には5μm以上70μm以下、特に有利には10μm以上50μm以下のそれぞれフラウンホーファー回折法により測定される体積平均粒子径D90を有している。フラウンホーファー回折法は、当業者によく知られている(これに関しては:ISO規格13320補遺;W.Batel,Einfuehrung in die Partikelmesstechnik,VEB Deutscher Verlag fuer Grundstoffindustrie,Leipzig 1979,Band 1;T.Allen,Particle size measurement,Chapman and Hall,London,1990参照)。本願の範囲において、粒子Bの体積平均粒径の測定は、Malvern Mastersizer S装置(Malvern Instruments GmbH社)を用いて、833nmレーザーを使用して行われた。
ホルムアルデヒド縮合樹脂とは、本願の範囲において、当業者によく知られている熱硬化性プラスチックと理解され、これは、NH基もしくはOH基を含む成分とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られるものである。ここで、NH基を含む成分として実質的に、尿素およびメラミンが、OH基を含む成分として、フェノールおよびフルフリルアルコールが使用される(例えば、Compr.Polym.Sci.5,611〜665ページ;Encycl.Polym.Sci.Eng.1,752〜784ページ;Houben−Weyl E20/3,1794〜1890ページ;Woebecken,Duroplaste,Kunststoffhandbuch,2nd Edition,Vol.10,6〜89ページ,Muenchen,Hanser 1988;Angew.Markromol.Chem.135,193ページ以下,1985;Kunststoffe 77,1264〜1267ページ,1987;Kunststoffe 80,510〜514ページ,1990;Kunststoffe 85,1635ページ,1995;Compr.Polym.Sci.5,611〜647ページ;Compr.Polym.Sci.Eng.11,45〜95ページ;Knop und Pilato,Phenolic Resins,Berlin,Springer 1985;Ullmann’s Encyclopedia of industrial chemistry,Amino Resins,2002,Wiley−VCH−Verlag)。当然、前記成分とホルムアルデヒドとの混合物を縮合して熱硬化性プラスチックにすることも可能であり、相応の混合されたホルムアルデヒド縮合樹脂、例えば、メラミンフェノールホルムアルデヒド樹脂またはメラミン含有尿素ホルムアルデヒド樹脂が生じる。前記熱硬化性反応生成物への縮合反応が、高められた温度で、および場合により当業者によく知られている通常の助剤、例えば、塩基触媒または酸触媒または硬化剤、例えば、少なくとも2つの第一級アミノ基を有する多価アルコールまたはポリアミンの存在下に、水分離しながら実施されることがさらに重要である。当然、前記ホルムアルデヒド縮合樹脂は、さらに、種類および量で通常、さらなる有機および/または無機の添加剤、例えば、塩、界面活性剤、加工助剤、酸化防止剤、UV安定剤、充填剤、染料ならびにホルムアルデヒド縮合樹脂の密度を低下させるための物理的および/または化学的作用の発泡剤を含んでいてよい。
本発明によれば、ホルムアルデヒド縮合樹脂として、当業者によく知られているメラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂および/またはメラミン含有尿素ホルムアルデヒド樹脂が使用されるのが有利である。相応の部分縮合された中間生成物は、市販されており、例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン含有尿素ホルムアルデヒド樹脂の場合、BASF SE社のKaurit(登録商標)、Dynea Erkner GmbH社のPrefere(登録商標)、Momentive Performance Materials Inc.社のCascamite(登録商標)、Casco−Resin(登録商標)もしくはPerkins(登録商標)、またはSadepan Chimica社のSazolene(登録商標)、ならびにメラミンホルムアルデヒド樹脂の場合、BASF SE社のKauramin(登録商標)またはIneos Melamines GmbH社のMomentive(登録商標)またはMadurit(登録商標)である。当業者によく知られている縮合反応により、前記部分縮合された中間生成物から、高められた温度で、および場合により通常の助剤、例えば、塩基触媒または酸触媒または硬化剤の存在下に、本発明により使用可能な熱硬化性ホルムアルデヒド縮合樹脂が得られる。すでに縮合された熱硬化性ホルムアルデヒド縮合樹脂も市販されており、例えば、BASF SE社のBasotect(登録商標)(発泡メラミンホルムアルデヒド樹脂)またはMomentive Performance Materials Inc.社のBakelite(登録商標)(ホルムアルデヒドフェノール樹脂)である。
本発明によれば、ホルムアルデヒド縮合樹脂であって、この樹脂を製造するため、メラミンおよびホルムアルデヒドが、1:1〜1:5、好ましくは1:1.5〜1:3.5、特に好ましくは1:2.5〜1:3.3のモル比で使用された前記樹脂が使用されるのが特に有利である。
好ましい実施態様では、前記ホルムアルデヒド縮合樹脂は、独立気泡または連続気泡のフォームの形態で使用され、連続気泡のメラミンホルムアルデヒド樹脂フォーム(特に、Basotect(登録商標)フォーム)が特に好ましい。このメラミンホルムアルデヒド樹脂フォームは、3〜40kg/m3、好ましくは4〜30kg/m3、特に好ましくは5〜20kg/m3の密度を有しているのが有利である。
連続気泡のメラミンホルムアルデヒド樹脂フォーム、ならびに熱風、水蒸気またはマイクロ波照射による加熱により、発泡剤を含む溶液またはメラミンホルムアルデヒド予備縮合物の分散液を発泡および架橋させて、それに乾燥工程およびアニール工程が続く前記フォームの製造方法は、当業者に公知であり、例えば、EP−A74593、EP−A17671、EP−A17672およびEP−A37470に記載されている。このようなメラミンホルムアルデヒド樹脂フォームは、一般に、優れた気体的特性、優れた防音性および断熱性、ならびに低い可燃性を有している。
粒子Bの製造は、当業者によく知られている、圧力、せん断力、または摩擦力を個別または組み合わせた、ホルムアルデヒド縮合樹脂の粗砕および粉砕、例えば、ロールミル、ロール粉砕機、回転衝撃式粉砕機またはジェットミルによる乾燥粉砕により、もしくは湿式回転ミル、スイングミル、ボールミルまたは撹拌ミルによる湿式粉砕により行われ、湿式粉砕では、水または不活性の有機溶媒が液体溶媒として使用される。前記粉砕により、粒子Bは、粉末状か、または水性もしくは有機(粉砕)溶媒中に懸濁して生じる。しかし、粒子Bが、特許請求の範囲に記載された粒径範囲にあることが重要である。湿式粉砕により水性または有機溶媒中に懸濁している粒子Bは、直接懸濁液としてさらに加工されるか、または前記水性もしくは有機溶媒を、通常の乾燥法(例えば、凍結乾燥またはスプレー乾燥)による分離後に粉末形態でさらに加工されてよい。
本発明によれば、重合体Aの粒子Bの総量に対する質量比は、99.9:0.1〜70:30の範囲、有利には95:5〜75:25の範囲、特に有利には90:10〜80:20の範囲にある。
本発明による結合剤は、粉末状で存在していてよく、粒子Bも重合体Aも粉末状で存在している。しかし、重合体Aが有機溶媒中に溶解しており、粒子Bがその中に分散していることも可能である。この場合、粒子Bは、粉末状か、または有機溶媒中に懸濁して使用される。
好ましいさらなる実施態様では、粒子Bも重合体Aも(微細無機固体を使用する、または使用しない)、粒子Aの形態で水性溶媒中に分散して存在している。それに応じて、重合体Aは、粒子Aの水性分散液の形態で使用されるのが好ましい。この場合、前記水性結合剤は、それぞれ粒子Aおよび粒子Bの総量の合計に対して10質量%以上70質量%以下、有利には30質量%以上65質量%以下、特に有利には40質量%以上60質量%以下の固体含有量を有している。ここで、本発明による水性結合剤の製造は、粒子Aが、水性分散液の形態で装入されて、粒子Bがこの水性分散液に混加されるように行われるのが有利である。粒子Bは、前記水性重合体A分散液に、粉末状で混合されても、水性溶媒中に懸濁して混加されてもよい。
本発明による結合剤は、接着剤、シール材、合成樹脂プラスター、紙用塗工材、繊維不織布、可撓性のルーフコーティングおよび塗料の製造ならびに砂固化(Sandverfestigung)における結合剤として、テキスタイル助剤または皮革助剤および耐衝撃性改質剤の製造における成分として、または無機結合剤およびプラスチックの変性のために使用されるのが有利である。
本発明による結合剤は、コーティング配合物、特に塗料配合物(Farbformulierungen)中で使用されるのが特に有利であり、この結合剤は、前記コーティング配合物の固体含有量に対して、
重合体A 2質量%以上99.9質量%以下
粒子B 0.1質量%以上30質量%以下
顔料 0質量%以上60質量%以下、および
充填剤 0質量%以上95質量%以下
を含んでいる。
前記コーティング配合物は、液体溶媒を含んでいることがないことが重要である。このような場合、このコーティング配合物は、粉末状であり、粒子Bも粒子Aの形態の重合体Aも、ならびに顔料および充填剤も、粉末状で存在している。さらなる本発明による実施態様では、有機溶媒が液体溶媒として使用される。ここで、有機溶媒は、重合体Aが完全にその中に溶解する一方、粒子B、例えば、顔料および充填剤もその中に分散して存在しているように選択されるのが有利である。さらなる本発明による有利な実施態様では、水性溶媒が液体溶媒として使用される。このような場合、粒子Aの形態の重合体Aも、粒子B、顔料および充填剤も、水性溶媒中に分散された形態で存在している。
さらに、コーティング配合物の製造のために、前記あらかじめ製造された結合剤を使用できることが重要である。しかし、本発明によれば、前記結合剤は、重合体Aおよび粒子Bを別個に添加することによって初めて、前記コーティング配合物中で形成されることも可能である。
顔料として、根本的に、当業者によく知られているあらゆる白色顔料もしくは有色顔料が使用されてよい。
重要な白色顔料として、屈折指数が高く、被覆力が優れていることから、種々の変性物の形の二酸化チタンが挙げられる。しかし、酸化亜鉛および硫酸亜鉛も白色顔料として使用される。ここで、この白色顔料は、表面被覆された(つまり、コーティングされた)形態、もしくは被覆されない(つまり、コーティングされない)形態で使用されてよい。しかし、その他に、有機白色顔料、例えば、スチレン基およびカルボキシル基の豊富な、粒径約300〜400nmの被膜化していない中空重合体粒子(いわゆる不透明粒子(Opakteilchen))も使用される。
白色顔料の他に、色を形成するために当業者によく知られている多種多様の有色顔料、例えば、多少安価な無機の酸化鉄、酸化カドミウム、酸化クロムおよび酸化鉛もしくは硫化鉛、モリブデン酸鉛、コバルトブルーまたはカーボンブラック、ならびに多少高価な有機顔料、例えば、フタロシアネン、アゾ顔料、キナクリドン、ペリレンまたはカルバゾールが使用されてよい。
充填剤として、実質的に、前記含量と比べて屈折指数の低い無機材料が使用される。ここで、粉末状の充填剤は、多くの場合、天然由来の材料、例えば、カルサイト、白亜、ドロマイト、カオリン、タルク、雲母、珪藻土(Diatomeenerde)、重晶石、石英またはタルク/クロライト連晶(Verwachsungen)、しかしまた、合成的に製造された無機化合物、例えば、沈降炭酸カルシウム、焼成カオリンまたは硫酸バリウムならびに熱分解法シリカである。充填剤として、結晶カルサイトまたは非晶質白亜の形態の炭酸カルシウムが使用されるのが好ましい。
さらに、本発明によるコーティング配合物は、当然、さらに、当業者に種類および量がよく知られている助剤、例えば、分散剤、増粘剤、塗膜形成助剤、中和剤、保存料、消泡剤などが通常の量で含まれていてもよいことが重要である。
特別な適用範囲のための水性コーティング配合物が、本発明によれば、このコーティング配合物の固体含有量に対して、特に、
粒子Aの形態の重合体A 70質量%以上99.9質量%以下
粒子B 0.1質量%以上30質量%以下
顔料 0質量%以上5質量%以下、および
充填剤 0質量%以上5質量%以下、
を含む水性クリアコート、
粒子Aの形態の重合体A 15質量%以上50質量%以下
粒子B 0.1質量%以上8質量%以下
顔料 20質量%以上50質量%以下、および
充填剤 25質量%以上60質量%以下
を含む屋外塗料配合物、
粒子Aの形態の重合体A 30質量%以上80質量%以下
粒子B 0.1質量%以上10質量%以下
顔料 5質量%以上60質量%以下、および
充填剤 0質量%以上30質量%以下
を含む光沢塗料またはワニス塗料、
粒子Aの形態の重合体A 5質量%以上25質量%以下
粒子B 0.1質量%以上8質量%以下
顔料 1質量%以上10質量%以下
充填剤 70質量%93.9質量%以下、
を含む合成樹脂プラスター
を含んでいることも特に重要である。
本発明による結合剤により、さらに高価もしくは毒性のある殺菌性もしくは殺藻性の作用物質を使用せずに、光、空気、および湿分が影響する場合に(菌類および藻類の形成により引き起こされる)不所望の変色または付着が全くない、または少なくとも大幅に軽減されるコーティングが得られる。しかし、本発明による結合剤に、もしくはこれを含むコーティング配合物に、(所望もしくは必要の場合)さらになおもよく知られている殺菌性および/または殺藻性の作用物質が通常の濃度で混加されてよいことが重要である。しかし、このような混加をしないで済ますことが好ましい。
本発明を、以下の、制限されない例により説明する。

I 水性重合体分散液の製造
a)重合体分散液A
アンカー型撹拌機、加熱装置および冷却装置ならびに異なる供給口を備えるガラス容器4l内に、20〜25℃(室温)および大気圧(1atmは1.013bar(絶対圧)と定義する)で、
脱イオン水400.0g、および
ポリスチレンシードラテックス13.0g(固体含有量33質量%;重量平均粒子径28nm)
を装入して、その後、撹拌しながら(140rpm)、内部温度90℃に加熱した。前記温度に達した後、開始剤溶液(Starterloesung)10質量%を少量に分けて添加して、得られた混合物を5分間撹拌した。その後、モノマーエマルションの総量を180分以内に、および前記開始剤溶液の残りの量を195分以内に、連続的および一定流量で空間的に分離された供給口から、同時に開始して計量供給した。
開始剤溶液:
ペルオキソ二硫酸ナトリウム8.4g
脱イオン水 111.6g。
モノマーエマルション:
脱イオン水 544.0g
脂肪アルコールポリグリコールエーテル硫酸塩の32質量%水溶液61.5g(BASF SE社Emulphor(登録商標)FAS30)
脂肪アルコールポリエトキシレートの20質量%水溶液140.0g(BASF SE社のLutensol(登録商標)AT18)
ラウリル硫酸ナトリウムの15質量%水溶液5.0g
スチレン572.0g
n−ブチルアクリレート786.5g
アクリル酸28.6g、および
アクリルアミドの50質量%水溶液57.2g。
その後、前記反応混合物をさらに15分、前記温度で後反応させて、次に、この混合物を85℃に冷却した。その後、前記反応混合物に、前記温度で、tert−ブチルヒドロペルオキシドの10質量%水溶液30g、およびアセトン重亜硫酸塩(アセトンと亜硫酸水素ナトリウム1:1の付加生成物)の13質量%水溶液34gを、120分の時間にわたり、空間的に分離された供給口から連続的に一定流量で、同時に開始して供給した。その後、前記反応混合物をさらに15分、前記温度で後反応させて、次にこの混合物を室温に冷却した。その後、得られた水性重合体分散液を、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH値7.5に調整した。得られた重合体分散液は、固体含有量56.8質量%、数平均粒子径130nm、およびガラス転移温度7℃を有していた。
固体含有量は、一般的に、前記水性重合体分散液(約0.8g)の定義された量を、Mettler Toledo社の水分計HR73を使用して、温度130℃で恒量まで乾燥させて(約2時間)測定した。それぞれ2回の測定を実施した。それぞれ表示された値は、この測定の平均値を表している。
前記重合体粒子の数平均粒子径は、一般的に、0.005〜0.01質量%の水性重合体分散液の動的光散乱により、23℃でMalvern Instruments社(England)のAutosizers IICを用いて求めた。測定された自己相関関数の累積評価(cumulant z average)の平均直径が示される(ISO規格13321)。
ガラス転移温度を測定するため、一般的に、前記水性重合体分散液を、層厚約1mmでテフロンシートに塗布して、得られた塗膜を、24時間、23℃および相対空気湿分(標準大気)50%で乾燥させた。ガラス転移温度は、一般的に、TA Instruments社の示差熱走査熱量測定器Q2000を用いて測定した。一般的に、得られた重合体塗膜から秤量約8.5mgを使用した。昇温速度は、1分当たり20Kであった。それぞれ第二の昇温曲線を検出して、ISO規格11357−2および11357−3の基準値により評価した。
b)複合粒子分散液B
還流冷却器、温度計、機械的撹拌機ならびに供給装置を備える四口フラスコ2l内に、室温および大気圧で、窒素雰囲気下で撹拌しながら(200rpm)、Nalco(登録商標)1144(平均粒子径14nmのコロイド二酸化ケイ素40質量%;Nalco Chemical Campany社)416.6gを、それに続いて、エチレンオキシド単位平均18のC16〜C18脂肪アルコールエトキシレートの20質量%水溶液10.8g(BASF SE社Lutensol(登録商標)AT18)、およびそれに続いて、脱イオン水315.0gを5分以内に添加した。その後、この装入混合物を70℃に加熱した。
同時に並行して、供給流1として、メチルメタクリレート12.6gおよびn−ブチルアクリレート18.8gからなるモノマー混合物、供給流2として、(3−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン2.9g、供給流3として、ペルオキソ二硫酸ナトリウム2.1g、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液5.4g、および脱イオン水193.0gからなる開始剤溶液、ならびに供給流4としてメチルメタクリレート87.3g、n−ブチルアクリレート130.9g、およびヒドロキシエチルメタクリレート2.5gからなるモノマー混合物を製造した。
その後、前記撹拌した装入混合物を、70℃で、90分以内に、別個の供給導管を経由して、供給流2 0.9gを、連続的に一定流量で添加した。ここで、前記反応混合物を、供給流2の開始45分後に、反応温度85℃に加熱した。供給流2の開始1時間後に、前記反応混合物に、120分の時間内に、2つの別個の供給導管を経由して、供給流1の総量および供給流3 158.8gを連続的に一定流量で、同時に開始して計量供給した。その後、前記反応混合物に、120分の時間内に、別個の供給導管を経由して、供給流4の総量および供給流2の残りの残量を、ならびに135分の時間内に、供給流3の残りの残量を連続的に一定流量で、同時に開始して計量供給した。その後、得られた水性複合粒子分散液をさらに1時間、反応温度で撹拌して、その後、室温に冷却した。
このようにして得られた水性複合粒子分散液は、半透明で、低粘度であり、水性複合粒子分散液の総質量に対して、固体含有量35.5質量%を有していた。前記複合粒子の数平均粒子径は117nm、ガラス転移温度は1℃が測定された。
超遠心分離分析法(これに関しては、S.E.Hardingら、Analytical Ultracentrifugation in Biochemistry and Polymer Science,Royal Society of Chemistry,Cambridge,Great Britain 1992,Chapter 10,Analysis of Polymer Dispersions with an Eight−Cell−AUC−Multiplexer:High Reslution Particle Size Distribution and Density Gradient Techniques,W.Maechtle,147〜175ページ参照)に準拠して、遊離した二酸化ケイ素粒子を検出することはできなかった。
II メラミンホルムアルデヒド樹脂粒子の製造
メラミンホルムアルデヒド樹脂として、BASF SE社Basotect(登録商標)V2011を使用した。
第一段階では、直径約10〜20cmの断片のBasotectフォームを、Pallmann社のカッティングミルPS3 1/2型に入れた。そこで、このBasotectフォームを、回転円周速度約10m/sで平均サイズ約3〜5mmにあらかじめ粉砕した。前記ミルは、5mmの正方形孔ふるいが設けられていた。材料密度(Stoffdichte)が低いため、前記粉砕された材料は、前記ミルから吸引されて、その後、後続のフィルター(フィルター面積5m2の、ポリエステルニードルフィルターをろ材とするバグフィルター)内で分離される。
こうして得られた粉砕物を、第二段階においてCEMTEC社のボールミルDM0607型に入れた。前記ミルを断続的に運転し、粉砕時間は、排出された粉砕物の体積平均粒子径D90が43μmになるように調整した(2.5時間)。直径20mmのVAスチールボールが使用された。
体積平均粒子径の測定
体積平均粒子径の測定は、脱イオン水850mlが装入されたMalvern Mastersizer S’’を用いて行った。この装入物に、前記粉砕されたBasotectフォームを、有意な結果(過剰に少ない散乱と多重散乱との間の最適条件)のための正しい濃度が達成されるまでゆっくり添加した。これは、機器により自動的に「シャドーイング」、つまり、前記試料によって遮られる(つまり、散乱される)レーザー光の割合の測定により表される。本発明の場合では、体積平均粒子径の算出は、シャドーイング値19%で実施した。その後、メラミンホルムアルデヒドフォーム粒子の形成された懸濁液を、層厚2mmの測定セルを通して圧送して、833nmレーザーを用いてフラウンホーファー回折の原理により分析した。体積平均粒子径D90は、43μmで測定された。
制御のため、メラミンホルムアルデヒドフォーム粒子の水性懸濁液を、5分間、超音波浴中で処理して、その後、体積平均粒子径を再び測定した。同じく、43μmの値が得られ、これにより、考えられうる粒子凝集は排除できた。
III 応用技術的試験
a)塗料配合物AおよびBの製造
以下の第1表に示される成分(量g)から、上から下に表示された順序で、室温にて、ディスク型撹拌機を使用して1000rpmで撹拌しながら、水性重合体分散液Aを基とする2つの塗料配合物を製造した。
Figure 2015527413
前記最後の成分の添加後、さらに15分引き続き撹拌して、その後、得られた塗料配合物AおよびVAを、さらに加工する前に1時間撹拌せずに放置した。
相応の方法では、以下の第2表に示された成分(量g)から、上から下に表示された順序で、室温にて、ディスク型撹拌機を使用して1000rpmで撹拌しながら、水性複合粒子分散液Bを基とする2つの塗料配合物を製造した。
Figure 2015527413
前記最後の成分の添加後、さらに15分引き続き撹拌して、その後、得られた塗料配合物BおよびVBを、さらに加工する前に1時間撹拌せずに放置した。
b)被覆された基材の製造
前記塗料配合物A、B、VAおよびVBを、基本重量(ウェット)がそれぞれ300g/m2であるように、塗料ローラーで、20×30cmの寸法の繊維セメント板に塗布した。その後、このようにして得られたコーティングを7日間、空調室で相対空気湿分50%および23℃で乾燥させた。
同じように、繊維セメント板を市販の塗料Sto AG社Maxicryl(登録商標)(比較塗料1)、Sto AG社Photosan(登録商標)(比較塗料2)およびSto AG社Lotusan(登録商標)(比較塗料3)で処理した。前記塗料配合物および前記比較塗料を使用して、5つの繊維セメント板それぞれを前記の通り被覆した。
c)耐候試験
繊維セメント板上のb)で得られたコーティングを、12ヶ月間、屋外曝露に供した。ここで、被覆された繊維セメント板を、このコーティングを上にして、垂直傾度が60°であるように配向した(0°は、地表に対して垂直を意味し、90°は水平を意味する)。前記コーティングはすべて北向きに配向した。屋外曝露の場合の置き場所として、生け垣に囲まれた草地を選択した。12ヶ月後、前記コーティングを、付着物すべて(藻類および菌類)について比較して評価した。評価のために等級0〜10を用い、ここで、等級0は藻類及び菌類の大量の発生を表し、等級10は全く発生していない場合を表す。以下の第3表に示された結果は、5回の評価それぞれの平均値を表している。
Figure 2015527413
前記結果から、本発明による結合剤を使用して製造された塗料配合物は、藻類および菌類の発生に対してきわめて優れた耐性を有していることが明らかに分かる。「藻類および/または菌類の発生に対して高められて適合された塗膜保護」が備えられた比較塗料3だけは多少より優れた結果であった。

Claims (17)

  1. 重合体Aおよびホルムアルデヒド縮合樹脂の粒子(粒子B)を含む結合剤であって、
    a)重合体Aが、−60℃以上70℃以下の範囲のガラス転移温度を有しており、および
    b)粒子Bが、1μm以上100μm以下のフラウンホーファー回折法により測定される体積平均粒子径D90を有している、
    前記結合剤。
  2. 重合体Aが、−40℃以上50℃以下の範囲のガラス転移温度を有している、請求項1に記載の結合剤。
  3. 重合体Aが、10nm以上1000nm以下の準弾性光散乱法により測定される平均粒子径を有する粒子の形態で存在する、請求項1または2に記載の結合剤。
  4. 重合体Aが、0nmより大100nm以下の超遠心分離分析法により求められる平均粒子径を有する微細無機固体をさらに含む(複合粒子)、請求項3に記載の結合剤。
  5. 前記微細無機固体がケイ素含有化合物である、請求項4に記載の結合剤。
  6. 前記微細無機固体が、熱分解法シリカおよび/またはコロイドシリカ、二酸化ケイ素ゾルおよび/または層状ケイ酸塩である、請求項4または5に記載の結合剤。
  7. 前記微細無機固体が、5nm以上50nm以下の平均粒子径を有する、請求項4から6までのいずれか1項に記載の結合剤。
  8. 重合体Aの前記微細無機固体に対する質量比が、95:5〜40:60である、請求項4から7までのいずれか1項に記載の結合剤。
  9. 前記ホルムアルデヒド縮合樹脂が、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂および/またはメラミン含有尿素ホルムアルデヒド樹脂である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の結合剤。
  10. 前記ホルムアルデヒド縮合樹脂が、メラミンホルムアルデヒド樹脂であって、該樹脂を製造するため、メラミンおよびホルムアルデヒドが1:1〜1:5のモル比で使用された樹脂である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の結合剤。
  11. 粒子Bが、5μm以上70μm以下の体積平均粒子径D90を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の結合剤。
  12. 重合体Aの粒子Bの総量に対する質量比が、99.9:0.1〜70:30である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の結合剤。
  13. 粒子Aが、水性分散液の形態で使用される、請求項3から12までのいずれか1項に記載の結合剤。
  14. 粒子Aおよび粒子Bの総量の合計に対する固体含有量が、10質量%以上70質量%以下である、請求項13に記載の結合剤。
  15. 請求項1から14までのいずれか1項に記載の結合剤の、接着剤、シール材、合成樹脂プラスター、紙用塗工材、繊維不織布、可撓性のルーフコーティングおよび塗料の製造ならびに砂固化における結合剤としての、テキスタイル助剤もしくは皮革助剤および耐衝撃性改質剤の製造における成分としての、または無機結合剤およびプラスチックを変性するための使用。
  16. 粒子Aが水性分散液の形態で装入され、粒子Bが該水性分散液に混加されることを特徴とする、請求項13および14のいずれか1項に記載の結合剤の製造方法。
  17. コーティング配合物であって、該コーティング配合物の固体含有量に対して、
    重合体A 2質量%以上99.9質量%以下
    粒子B 0.1質量%以上30質量%以下
    顔料 0質量%以上60質量%以下、および
    充填剤 0質量%以上95質量%以下、
    を含む前記配合物。
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