JP2015516485A - 相溶化組成物、その形成方法およびそれを含む物品 - Google Patents
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Abstract
ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは、非極性ポリマーと極性充填剤とのブレンドの相溶化に使用される。得られる相溶化ブレンドの物性は、相溶化剤のないブレンドおよびポリ(ヒドロキシエーテル)を有するブレンドに対して向上する。【選択図】図3
Description
ポリマーブレンドにおいては、ポリ(ヒドロキシエーテル)(別名フェノキシ樹脂)は、脂肪族ポリエステル(例えば、J.E.Harris、S.H.Goh、D.R.PaulおよびJ.W.Barlow、Journal of Applied Polymer Science、27巻、839ページ(1982)参照)、芳香族ポリエステル(例えば、L.M.RobesonおよびA.B.Furtek、Journal of Applied Polymer Science、23巻、645ページ(1979);およびW.H.Christiansen、D.R.PaulおよびJ.W.Barlow、Journal of Applied Polymer Science、34巻、537ページ(1987)参照)、ポリエーテルおよびポリオキシド(例えば、L.M.Robeson、W.F.HaleおよびC.N.Merriam、Macromolecules、14巻、1644ページ(1981);およびJ.I.Iribarren、M.Iriarte、C.Uriarte、J.J.Iruin、Journal of Applied Polymer Science、37巻、3459ページ(1989)参照)、ポリスルホン(例えば、V.B.SinghおよびD.J.Walsh、Journal of Macromolecular Science、Part B:Phys.、B25巻、65ページ(1987)参照)およびポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)(例えば、J.I.Eguiazabal、J.J.Iruin、M.CortazarおよびG.M.Guzman、Makromolekulare Chemie、185巻、1761ページ(1984)参照)などの種々の極性ポリマーと混和性ブレンドを形成する。また、ポリ(ヒドロキシエーテル)は、ポリウレタン、ポリエステルおよびナイロン(例えば、C.Uriarte、J.I.Eguiazabal、M.Llanos、J.I.Iribarren、J.J.Iruin、Macromolecules、20巻、3038〜3042ページ(1987);H.E.Snodgrass、R.L.Lauchlanの1971年12月28日発行の米国特許第3,631,126号参照)のような種々の極性ポリマーのブレンドの相溶化に有用であった。
ポリ(ヒドロキシエーテル)は、他のポリマーおよび基質中の極性官能基と相互作用し得る第二級アルコール(ヒドロキシル)基を約6質量%含む。こうした相互作用の存在と極性ポリマーブレンドの混和性に及ぼすその影響は、フーリエ変換赤外分光法(例えば、E.J.MoskalaおよびM.M.Coleman、Polymer Communications、24巻、206ページ(1983);M.M.ColemanおよびE.J.Moskala、Polymer、24巻、251ページ(1983)参照)によって示されてきた。しかしながら、ポリ(ヒドロキシエーテル)は一般に、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)、およびアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化および水素化ブロックコポリマーなどの芳香族非極性ポリマーを含む非極性ポリマーとは非相溶性である。また、極性充填剤を表面処理剤と反応させてそれらの非極性ポリマーとの相溶性を向上させられるが、非極性ポリマーと極性充填剤との相溶性をさらに向上させなければならない。
従って、非極性ポリマーと無機充填剤の表面などの極性基材とのブレンドを相溶化できる材料が求められている。
2011年6月27日出願の同時係属米国特許出願第13/169,122号には、ポリ(ヒドロキシエーテル)セグメントとポリ(フェニレンエーテル)セグメントとを有するブロックコポリマーの合成が記載されている。2012年3月8日出願の同時係属米国特許出願第13/415,016号には、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを用いた極性ポリマーと非極性ポリマーのブレンドの相溶化が記載されている。本出願では、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを用いて、非極性ポリマーと極性表面を有する充填剤とのブレンドを相溶化する。
一実施形態は、組成物であって、特に明記されない限りその合計質量に対して、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、これらの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマーを30〜93質量%と;ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物、セラミック繊維およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された極性充填剤を5〜50質量%と;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、それらのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを2〜20質量%と、を含む組成物である。
別の実施形態は、組成物であって、特に明記されない限りその合計質量に対して、ポリ(アルケニル芳香族)を35〜90質量%と;ガラス繊維を5〜45質量%と;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、それらのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを5〜20質量%と、を含み、前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、Q5とQ6はそれぞれ独立に、メチル、ジ−n−ブチルアミノメチルまたはモルホリノメチルであり;aとbは、その合計が少なくとも2であることを条件として、それぞれ独立に0〜20である)を有し、前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、nは1〜60)を有する組成物である。
別の実施形態は、組成物であって、特に明記されない限りその合計質量に対して、ポリ(フェニレンエーテル)を35〜90質量%と;ガラス繊維を5〜45質量%と;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、それらのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを5〜20質量%と、を含み、前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、Q5とQ6はそれぞれ独立に、メチル、ジ−n−ブチルアミノメチルまたはモルホリノメチルであり;aとbは、その合計が少なくとも2であることを条件として、それぞれ独立に0〜20である)を有し、前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、nは1〜60)を有する組成物である。
別の実施形態は、請求項1に記載の組成物を含む物品である。
別の実施形態は、特に明記されない限り組成物の合計質量に対して、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、これらの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマーを30〜93質量%と、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物、セラミック繊維およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された極性充填剤を5〜50質量%と、少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、それらのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを2〜20質量%と、を混合して組成物を形成するステップを備える組成物の形成方法である。
これらおよびその他の実施形態について以下詳細に説明する。
本明細書で開示された範囲はすべて終点を含むものであり、該終点は互いに独立に組み合わせできる。本明細書で開示した範囲はそれぞれ、この開示範囲内の任意の点またはサブ範囲の開示を構成する。
本発明の記述文脈(特に以下の請求項の文脈)における単数表現は、本明細書で別途明示がある場合または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、単数および複数を含むものと解釈される。また、本明細書で用いられる、「第1の」「第2の」などの用語は、いかなる順序や量あるいは重要度を表すものではなく、ある成分と他の成分とを区別するために用いられるものである。量に関連して用いられる「約」は、記載された数値を含むものであり、文脈上決定される意味(例えば、特定の量の測定に関連した誤差の程度を含む)を有するものである。
本発明者は、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比が0.95:1〜1.00:1のポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは、非極性ポリマーと極性充填剤の有効な相溶化剤であることを見出した。非極性ポリマーと極性充填剤の相溶化は、相溶化剤を含まない対応する組成物あるいはポリ(ヒドロキシエーテル)相溶化剤を含む対応する組成物と比較して、得られる組成物の剛性、靭性および耐熱性が高いことで明示される。従って、一実施形態は、特に明記されない限り組成物の合計質量に対して、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、これらの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマーを30〜93質量%と;ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物、セラミック繊維およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された極性充填剤を5〜50質量%と;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、それらのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを2〜20質量%と、を含む組成物である。
該組成物は非極性ポリマーを含む。適切な非極性ポリマーとしては、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、これらの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)およびこれらの組み合わせが挙げられる。
非極性ポリマーは、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーであってもよい。簡略化のために、この成分を「未水素化ブロックコポリマー」と呼ぶ。未水素化ブロックコポリマーは、その質量に対して、10〜90質量%のポリ(アルケニル芳香族)と、10〜90質量%のポリ(共役ジエン)と、を含んでいてもよい。一部の実施形態では、未水素化ブロックコポリマーは、低ポリ(アルケニル芳香族)含有量未水素化ブロックコポリマーであり、その中でのポリ(アルケニル芳香族)含有量は、該低ポリ(アルケニル芳香族)含有量未水素化ブロックコポリマーの質量に対して、10〜40質量%未満であり、具体的には20〜35質量%であり、より具体的には25〜35質量%であり、さらにより具体的には30〜35質量%である。他の実施形態では、未水素化ブロックコポリマーは、高ポリ(アルケニル芳香族)含有量未水素化ブロックコポリマーであり、その中でのポリ(アルケニル芳香族)含有量は、該高ポリ(アルケニル芳香族)含有量未水素化ブロックコポリマーの質量に対して、40〜90質量%であり、具体的には50〜80質量%であり、より具体的には60〜70質量%である。
一部の実施形態では、未水素化ブロックコポリマーの質量平均分子量は40,000〜400,000原子質量単位である。数平均分子量と質量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィによって、またポリスチレン標準との比較に基づいて求められる。一部の実施形態では、該未水素化ブロックコポリマーの質量平均分子量は200,000〜400,000原子質量単位であり、具体的には220,000〜350,000原子質量単位である。他の実施形態では、該未水素化ブロックコポリマーの質量平均分子量は、40,000〜200,000原子質量単位あり、具体的には40,000〜180,000原子質量単位であり、より具体的には40,000〜150,000原子質量単位である。
未水素化ブロックコポリマーの調製に用いるアルケニル芳香族モノマーは下式の構造を有する:
式中、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、C1−C8アルキル基またはC2−C8アルケニル基を表し;R17およびR21はそれぞれ独立に、水素原子、C1−C8アルキル基、塩素原子または臭素原子を表し;R20、R21およびR20はそれぞれ独立に、水素原子、C1−C8アルキル基またはC2−C8アルケニル基を表し、あるいはR18およびR19は中央の芳香環と共にナフチル基を形成し、あるいはR19およびR20は中央の芳香環と共にナフチル基を形成する。具体的なアルケニル芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、p−クロロスチレンなどのクロロスチレン、α−メチルスチレンおよびp−メチルスチレンなどのメチルスチレン、および3−t−ブチルスチレンおよび4−t−ブチルスチレンなどのt−ブチルスチレンが挙げられる。一部の実施形態では、該アルケニル芳香族モノマーはスチレンである。
未水素化ブロックコポリマーの調製に用いる共役ジエンはC4−C20共役ジエンであってもよい。適切な共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、該共役ジエンは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンあるいはこれらの組み合わせである。一部の実施形態では、共役ジエンは1,3−ブタジエンから構成される。
未水素化ブロックコポリマーは、(A)アルケニル芳香族化合物から誘導された少なくとも1つのブロックと、(B)共役ジエンから誘導された少なくとも1つのブロックと、を含むコポリマーである。ブロック(A)と(B)の配置としては、リニア構造、グラフト構造、および分枝鎖の有無に拘わらないラジアルテレブロック構造がある。リニアブロックコポリマーには、傾斜型リニア構造および非傾斜型リニア構造がある。一部の実施形態では、該未水素化ブロックコポリマーは傾斜型リニア構造を有する。一部の実施形態では、該未水素化ブロックコポリマーは非傾斜型リニア構造を有する。一部の実施形態では、該未水素化ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族モノマーがランダムに取り込まれた(B)ブロックを含む。リニアブロックコポリマー構造には、ジブロック(A−Bブロック)構造、トリブロック(A−B−AブロックまたはB−A−Bブロック)構造、テトラブロック(A−B−A−Bブロック)構造、ペンタブロック(A−B−A−B−AブロックあるいはB−A−B−A−Bブロック)構造、および(A)および(B)を合計で6個以上含むリニア構造などがあり、ここで、各(A)ブロックの分子量は、他のAブロックのそれと同じであっても異なっていてもよく、各(B)ブロックの分子量は、他の(B)ブロックのそれと同じであっても異なっていてもよい。一部の実施形態では、該未水素化ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマーまたはこれらの組み合わせである。
一部の実施形態では、未水素化ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族化合物と共役ジエン以外のモノマーの残基を含まない。一部の実施形態では、未水素化ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとから誘導されたブロックからなる。未水素化ブロックコポリマーは、これらで形成されたグラフトあるいは他の任意のモノマーで形成されたグラフトを含まない。また、未水素化ブロックコポリマーは炭素原子と水素原子からなり、従って、ヘテロ原子を含まない。
一部の実施形態では、未水素化ブロックコポリマーは、無水マレイン酸などの1つまたは複数の酸官能化剤の残基を含む。
一部の実施形態では、未水素化ブロックコポリマーは、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロックコポリマーを含む。一部の実施形態では、未水素化ブロックコポリマーは、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロックコポリマーを含む。
未水素化ブロックコポリマーの調製方法は当分野で既知であり、また、未水素化ブロックコポリマーは市販されている。市販の未水素化ブロックコポリマーの具体的なものとしては、Kraton Performance Polymers社からD1101およびD1102の商品名で販売されているポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロックコポリマーと、Chevron Phillips Chemical社からK−RESIN KR01、KR03およびKR−05の商品名で販売されているスチレン‐ブタジエンラジアルテレブロックコポリマーと、が挙げられる。
非極性ポリマーは、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーであってもよい。簡略化のために、この成分を「水素化ブロックコポリマー」と呼ぶ。水素化ブロックコポリマーは、共役ジエンから誘導されたブロック(B)中の脂肪族不飽和基含有量が、水素化によって少なくとも部分的に低減されている点を除いて、未水素化ブロックコポリマーと同じである。一部の実施形態では、(B)ブロック中の脂肪族不飽和は、少なくとも50%、具体的には少なくとも70%、より具体的には少なくとも90%低減されている。
市販の水素化ブロックコポリマーの具体的なものとしては、Kraton Performance Polymers社からKRATON G1701およびG1702として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロックコポリマー;Kraton Performance Polymers社からKRATON G1641、G1650、G1651、G1654、G1657、G1726、G4609、G4610、GRP−6598、MD−6932M、MD−6933およびMD−6939として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;Kraton Performance Polymers社からKRATON G1730として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;Kraton Performance Polymers社からKRATON G1901、G1924およびMD−6684として販売されている無水マレイン酸−グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;Kraton Performance Polymers社からKRATON MD−6670として販売されている無水マレイン酸−グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成ケミカルズ(株)からTUFTEC H1043として販売されている、ポリスチレン含有量が67質量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成ケミカルズ(株)からTUFTEC H1051として販売されている、ポリスチレン含有量が42質量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;旭化成ケミカルズ(株)からTUFTEC P1000およびP2000として販売されているポリスチレン−ポリ(ブタジエン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;(株)クラレからSEPTON S8104として販売されている、ポリスチレン含有量が60質量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;(株)クラレからSEPTON S4044、S4055、S4077およびS4099として販売されているポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;および(株)クラレからSEPTON S2104として販売されている、ポリスチレン含有量が65質量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーなどが挙げられる。
非極性ポリマーは、ポリ(アルケニル芳香族)であってもよい。本明細書での「ポリ(アルケニル芳香族)」は、アルケニル芳香族モノマーのホモポリマー、2つ以上のアルケニル芳香族モノマーのコポリマー、これらのポリマーのいずれかのゴム変性誘導体、あるいはこれらの組み合わせを指す。アルケニル芳香族モノマーは、上記の未水素化ブロックコポリマーの文脈で説明している。代表的なポリ(アルケニル芳香族)としては、アタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレンおよびゴム変性ポリスチレンが挙げられる。一部の実施形態では、ポリ(アルケニル芳香族)はアタクチックポリスチレンを含む。一部の実施形態では、ポリ(アルケニル芳香族)はシンジオタクチックポリスチレンを含む。一部の実施形態では、ポリ(アルケニル芳香族)は、ゴム変性ポリスチレンの質量に対して、80〜96質量%の、具体的には88〜94質量%のポリスチレンと、4〜20質量%の、具体的には6〜12質量%のポリブタジエンと、を含むゴム変性ポリスチレンを含む。一部の実施形態では、ポリ(アルケニル芳香族)は、アタクチックポリスチレンとゴム変性ポリスチレンとを含む。市販のポリ(アルケニル芳香族)としては、Americas Styrenics社からEA3130−AMSTとして、およびSABIC Innovative Plastics社からESPREE CPS15GPとして販売されているアタクチックポリスチレン;PolyOne社からEDTEK QT−30GF/000Naturalとして販売されているシンジオタクチックポリスチレン;Americas Styrenics社からEB6400−AMSTとして、およびSABIC Innovative Plastics社からHIPS3190として販売されているゴム変性ポリスチレンが挙げられる。
非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)であってもよい。好適なポリ(フェニレンエーテル)としては、下式の繰り返し構造単位を含むものが挙げられる:
式中、Z1はそれぞれ独立に、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C1−C12ヒドロカルビル、C1−C12ヒドロカルビルチオ、C1−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC2−C12ハロヒドロカルビルオキシであり;Z2はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C1−C12ヒドロカルビル、C1−C12ヒドロカルビルチオ、C1−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC2−C12ハロヒドロカルビルオキシである。本明細書において、「ヒドロカルビル」は、単独であるいは別の用語の接頭辞、接尾辞またはフラグメントとして使用されたとしても、炭素と水素だけを含む残基を指す。該残基は、脂肪族または芳香族、直鎖、環式、二環式、分枝鎖、飽和または不飽和であり得る。それはまた、脂肪族、芳香族、直鎖、環式、二環式、分枝鎖、飽和および不飽和炭化水素部分の組み合わせも含み得る。しかしながら、ヒドロカルビル残基が置換であると記載された場合、それは任意に、該置換残基の炭素と水素員上にヘテロ原子を含んでいてもよい。従って、置換であると特定的に記載された場合、ヒドロカルビル残基は、1個または複数個のカルボニル基、アミノ基、水酸基なども含み得、あるいは、該ヒドロカルビル残基の骨格内にヘテロ原子を含み得る。一例として、Z1は、末端の3,5−ジメチル−1,4−フェニル基と酸化重合触媒のジ−n−ブチルアミン成分との反応で形成されたジ−n−ブチルアミノメチル基であってもよい。
一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)の固有粘度は、温度25℃のクロロホルム中で測定して、0.25〜1dL/gである。この範囲内で、ポリ(フェニレンエーテル)の固有粘度は0.3〜0.65dL/gであり得、より具体的には0.35〜0.5dL/gであり得、さらにより具体的には0.4〜0.5dL/gであり得る。
一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)は、組み込まれたジフェノキノン残基を本質的に含まない。この文脈において、「本質的に含まない」とは、ジフェノキノンの残基を含むポリ(フェニレンエーテル)分子が1質量%未満であることを意味する。Hayの米国特許第3,306,874号に記載されているように、一価フェノールの酸化重合によるポリ(フェニレンエーテル)の合成では、所望のポリ(フェニレンエーテル)だけでなく、ジフェノキノンも副生成物として生成される。例えば、一価フェノールが2,6−ジメチルフェノールの場合、3,3’,5,5’−テトラメチルジフェノキノンが生成される。ジフェノキノンは典型的には、前記重合反応混合物を加熱して末端または内部ジフェノキノン残基を含むポリ(フェニレンエーテル)を生成することによって、ポリ(フェニレンエーテル)内に「再平衡される」(すなわち、ジフェノキノンがポリ(フェニレンエーテル)構造内に取り込まれる)。例えば、ポリ(フェニレンエーテル)を2,6−ジメチルフェノールの酸化重合で調製してポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)と3,3’,5,5’−テトラメチルジフェノキノンを生成する場合、反応混合物の再平衡によって、取り込まれたジフェノキノンの末端および内部残基を有するポリ(フェニレンエーテル)が生成され得る。しかしながら、こうした再平衡によって、ポリ(フェニレンエーテル)の分子量が低減する。従って、より高分子量のポリ(フェニレンエーテル)が望ましい場合、該ジフェノキノンをポリ(フェニレンエーテル)鎖へ再平衡させずに、ポリ(フェニレンエーテル)から分離することが望ましいものであり得る。こうした分離は、例えば、ポリ(フェニレンエーテル)は不溶だがジフェノキノンが可溶の溶媒または溶媒混合物に、ポリ(フェニレンエーテル)を沈殿させることによって実現される。例えば、トルエン中の2,6−ジメチルフェノールの酸化重合によってポリ(フェニレンエーテル)を調製して、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)と3,3’,5,5’−テトラメチルジフェノキノンとを含むトルエン溶液を生成する場合、ジフェノキノンを本質的に含まないポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)は、該トルエン溶液1容積とメタノールまたはメタノール/水混合物約1〜約4容積とを混合することによって得られる。あるいは、酸化重合中に生成されるジフェノキノン副生成物の量は、(例えば、10質量%未満の一価フェノールの存在下で酸化重合を開始し、少なくとも50分の間に少なくとも95質量%の一価フェノールを添加することによって)最小化でき、およびまたは、ポリ(フェニレンエーテル)鎖へのジフェノキノンの再平衡は、(例えば、酸化重合終了後200分以内にポリ(フェニレンエーテル)を単離することによって)最小化できる。これらの方法は、Delsmanらの米国特許第8,025,158B2号に記載されている。トルエン中のジフェノキノンの温度依存性の溶解度を利用する代替方法では、ジフェノキノンとポリ(フェニレンエーテル)とを含むトルエン溶液の温度を、ジフェノキノンはほとんど不溶だがポリ(フェニレンエーテル)は可溶である約25℃に調整して、不溶のジフェノキノンを固液分離(例えばろ過)によって除去できる。
一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)は、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位あるいはこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.35〜0.5dL/gの、具体的には0.35〜0.46dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を含む。
ポリ(フェニレンエーテル)は、典型的にはヒドロキシ基に対してオルト位置に存在するアミノアルキル含有末端基(類)を有する分子を含んでいてもよい。また、テトラメチルジフェニルキノン(TMDQ)副生成物が存在する2,6−ジメチルフェノール含有反応混合物から典型的に得られるTMDQ末端基類も存在することが多い。ポリ(フェニレンエーテル)は、ホモポリマー、コポリマー、グラフトコポリマー、イオノマーあるいはブロックコポリマーの形態であり得る。
ポリ(フェニレンエーテル)は、1つまたは複数の一価フェノールの酸化重合によって調製できる。市販のポリ(フェニレンエーテル)としては、旭化成ケミカルズ(株)からXYRONの商品名で販売されているもの、およびSABIC Innovative Plastics社からPPOの商品名で販売されているものが挙げられる。
一部の実施形態では、非極性ポリマーは、ポリ(アルケニル芳香族)と;ポリ(アルケニル芳香族)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、これらの水素化ブロックコポリマーおよびポリ(フェニレンエーテル)の内の1つまたは複数と、の組み合わせと;から構成される群から選択される。ポリ(アルケニル芳香族)は、アタクチックホモポリスチレン、シンジオタクチックホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレンあるいはこれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、ポリ(アルケニル芳香族)は、アタクチックホモポリスチレンである。一部の実施形態では、ポリ(アルケニル芳香族)は、シンジオタクチックホモポリスチレンである。
一部の実施形態では、非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)と;ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、これらの水素化ブロックコポリマーおよびポリ(アルケニル芳香族)の内の1つまたは複数と、の組み合わせと;から構成される群から選択される。
一部の実施形態では、非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)とポリ(アルケニル芳香族)との組み合わせから、さらに任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーおよびこれらの水素化ブロックコポリマーの内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される。
一部の実施形態では、非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、の組み合わせから、さらに任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーおよびポリ(アルケニル芳香族)の内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される。
一部の実施形態では、非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーと、の組み合わせから、さらに任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーおよびポリ(アルケニル芳香族)の内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される。
組成物は、その合計質量に対して、30〜93質量%の量の非極性ポリマーを含む。この範囲内で、非極性ポリマーの量は、40〜86質量%、具体的には45〜74質量%、より具体的には50〜64質量%であり得る。
該組成物は、非極性ポリマーに加えて、極性充填剤を含む。本明細書での「極性充填剤」は、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとエネルギー的に好ましく相互作用できる表面を含む充填剤を指す。エネルギー的に好ましい相互作用は、例えば、水素結合、双極子−双極子相互作用およびロンドン分散力の1つまたは複数を含んでいてもよい。好適な極性充填剤としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ(中空ガラスビーズを含む)、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト(カルシウムマグネシウムカーボネート)、加工鉱物繊維(すなわち、粉炭やその他の鉱物の溶融紡糸で形成された人工ガラスシリケート繊維)、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、ブロンズ酸化物および酸化銅を含む)、金属水酸化物(水酸化アルミニウムを含む)、セラミック繊維(3M社からNEXTELセラミック繊維として販売されているものやUnifrax社からFIBERFRAX耐火セラミック繊維として販売されているものを含む)およびこれらの組み合わせが挙げられる。
一部の実施形態では、極性充填剤はガラス繊維を含む。こうして、極性充填剤は、ガラス繊維と;ガラス繊維と、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物およびセラミック繊維の内の1つまたは複数と、の組み合わせと、から構成される群から選択されてもよい。
一部の実施形態では、極性充填剤は、粘土、タルク、雲母あるいはこれらの組み合わせを含む。こうして、極性充填剤は、粘土、タルク、雲母およびこれらの組み合わせから、さらに任意に、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物およびセラミック繊維の内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択されてもよい。
一部の実施形態では、極性充填剤は表面処理極性充填剤である。表面処理極性充填剤は、極性充填剤を(非ポリマー性)表面処理剤で処理して非極性ポリマーとの相溶性を高めるステップを備えるプロセスの生産物である。表面処理剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン(γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含む)、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン(γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリエトキシシランおよびγ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシランを含む)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン(β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシロキサンおよびβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランを含む)およびこれらの組み合わせが挙げられる。極性充填剤に対する表面処理剤の量は極性充填剤のタイプに応じて変わるが、一般的には、極性充填剤の質量に対して0.05〜5質量%である。同様に、得られる表面処理極性充填剤は一般に、0.05〜5質量%の表面処理剤残基を含むであろう。
該組成物は、その合計質量に対して、5〜50質量%の量の極性充填剤を含む。この範囲内で、極性充填剤の量は、10〜40質量%、具体的には15〜30質量%であってもよい。
該組成物は、非極性ポリマーと極性充填剤に加えて、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを含む。ポリ(アリーレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは、少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、それらのモル比は0.95:1〜1.00:1である。
ポリ(アリーレンエーテル)ブロックは、末端フェノール性ヒドロキシ基を有するテレケリックポリ(フェニレンエーテル)から誘導される。「フェノール性ヒドロキシル基」は、置換または未置換ベンゼン環に結合したヒドロキシル基である。「テレケリック」は、ポリマー鎖の2つの末端基が同じ官能性を有する線状ポリマーを表す。一部の実施形態では、該ポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造を有する:
式中、Q1とQ2は、各フェニレンエーテル単位内で同一であり、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C1−C12ヒドロカルビル、C1−C12ヒドロカルビルチオ、C1−C12ヒドロカルビルオキシ、および少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC2−C12ハロヒドロカルビルオキシから構成される群から選択され;Q3とQ4はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C1−C12ヒドロカルビル、C1−C12ヒドロカルビルチオ、C1−C12ヒドロカルビルオキシ、および少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC2−C12ハロヒドロカルビルオキシから構成される群から選択され;xとyは独立に、その合計が少なくとも2、具体的には少なくとも3、より具体的には少なくとも4であることを条件に、0〜30、具体的には0〜20、より具体的には0〜15、さらにより具体的には0〜10、さらにより具体的には0〜8であり;Lは下式の構造
[式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C1−C12ヒドロカルビル、C1−C12ヒドロカルビルチオ、C1−C12ヒドロカルビルオキシ、および少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC2−C12ハロヒドロカルビルオキシから構成される群から選択され;zは0または1であり;Yは、下式の構造
(式中、R5はそれぞれ独立に、水素およびC1−C12ヒドロカルビルから構成される群から選択され、R6およびR7はそれぞれ独立に、水素、C1−C12ヒドロカルビルおよびC1−C6ヒドロカルビレンから構成される群から選択され、R6およびR7は共同でC4−C12アルキレン基を形成する)から構成される群から選択される]を有する。一部の実施形態では、Q1は、末端の3,5−ジメチル−1,4−フェニル基と酸化重合触媒のジ−n−ブチルアミン成分との反応で形成されたジ−n−ブチルアミノメチル基である。一部の実施形態では、Q1とQ2はそれぞれメチルであり、Q3はそれぞれ水素であり、Q4はそれぞれ水素またはメチルであり、xとyの合計は2〜15であり、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素またはメチルであり、Yは下式の構造
(式中、R6およびR7はそれぞれ独立に、水素、C1−C12ヒドロカルビルおよびC1−C6ヒドロカルビレンから構成される群から選択され、R6およびR7は共同でC4−C12アルキレン基を形成する)を有する。
上記の構造において、変数xとyは限定されているが、それらは、二官能性ポリ(フェニレンエーテル)分子中の2つの異なる場所におけるフェニエンエーテル繰り返し単位数に相当する。該構造では、xとyは独立に0〜30であり、具体的には0〜20であり、より具体的には0〜15であり、さらにより具体的には0〜10であり、さらにより具体的には0〜8である。xとyの合計は少なくとも2であり、具体的には少なくとも3であり、より具体的には少なくとも4である。特別な多官能性ポリ(フェニエンエーテル)樹脂では、プロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR)で分析して、樹脂全体でこれらの限定が平均で満たされているかを決定できる。具体的には、1H−NMRで、内部および末端フェニレンエーテル基に関連するプロトン共鳴と、多価フェノールの内部および末端残基およびその他の末端残基に関連するプロトン共鳴と、を識別できる。従って、1分子当たりのフェニレンエーテル繰り返し単位の平均数と、二価フェノール由来の内部および末端残基の相対存在量を求めることができる。
一部の実施形態では、少なくとも1つのポリ(フェニエンエーテル)ブロックは下式の構造を有する:
式中、Q5とQ6はそれぞれ独立に、メチル、ジ−n−ブチルアミノメチルまたはモルホリノメチルであり;aとbは、その合計が少なくとも2、具体的には少なくとも3、より具体的には少なくとも4であることを条件に、それぞれ独立に0〜20である。
少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造を有する:
式中、Aは原子価2のヒドロカルビル残基であり、Bは下式の構造
(式中、R8〜R10はそれぞれ独立に、水素またはC1−C12ヒドロカルビル)の残基であり;nは1〜60である。
一部の実施形態では、Aは、下式の構造
[式中、G1は、それぞれ独立にC6−C20芳香族ラジカルであり;Eはそれぞれ独立に、直接結合または下式の構造
(式中、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素またはC1−C12ヒドロカルビル)から選択された構造であり;sは0または1であり;tとuはそれぞれ独立に1〜10である]を有する残基であり:Bは下式の構造
(式中、R8〜R10はそれぞれ独立に、水素またはC1−C12ヒドロカルビル)の残基であり:nは1〜60である。
一部の実施形態では、少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造を有する:
式中、Rはそれぞれ独立に、水素またはメチルであり;Xはそれぞれ独立に、水素、クロロ、フルオロ、ブロモまたは、カルボキシ、カルボキサミド、ケトン、アルデヒド、アルコール、ハロゲンおよびニトリルから選択された一つまたは複数の員を任意にさらに含むC1−C18ヒドロカルビルであり;Bはそれぞれ独立に、炭素−炭素単結合、C1−C18ヒドロカルビル、C1−C12ヒドロカルビルオキシ、C1−C12ヒドロカルビルチオ、カルボニル、スルフィド、スルホニル、スルフィニル、ホスホリル、シランあるいは、カルボキシアルキル、カルボキサミド、ケトン、アルデヒド、アルコール、ハロゲンおよびニトリルから選択された一つまたは複数の員をさらに含むこうした基であり;pは独立に1〜約20である。
一部の実施形態では、少なくとも1つのポリ(フェニエンエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、Q5とQ6はそれぞれ独立に、メチル、ジ−n−ブチルアミノメチルまたはモルホリノメチルであり;aとbは、その合計が少なくとも2であることを条件として、それぞれ独立に0〜20である)を有し;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、nは1〜60)を有する。
一部の実施形態では、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックの残基Aは、ジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される。好適なジヒドロキシ芳香族化合物としては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2−(ジフェニルホスホリル)ヒドロキノン、ビス(2,6−ジメチルフェノール)2,2’−ビフェノール、4,4−ビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチルビフェノール、2,2’3,3’6,6’−ヘキサメチルビフェノール、3,3’,5,5’−テトラブロモ−2,2’6,6’−テトラメチルビフェノール、3,3’−ジブロモ−2,2’,6,6’−テトラメチルビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−3,3’,5−ジブロモビフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール)(テトラブロモビスフェノールA),4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)(テトラメチルビスフェノールA)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−アリルフェノール)、4,4’−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(ビスフェノールM)、4,4’−イソプロピリデンビス(3−フェニルフェノール)、4,4’−(1,4−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(ビスフェノールP)、4,4’−エチリデンジフェノール(ビスフェノールE)、4,4’−オキシジフェノール、4,4’−チオジフェノール、4,4’−チオビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−スルホニルビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−スルフィニルジフェノール、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノール(ビスフェノールAF)、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール(ビスフェノールAP)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジクロロエチレン(ビスフェノールC)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−(シクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’−(シクロヘキシリデン)ジフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−(シクロドデシリデン)ジフェノール、4,4’−(ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン)ジフェノール、4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジフェノール、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−オール、1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1,3,3,4,6−ペンタメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−オール、3,3,3’,3’−テトラメチル−2,2’,3,3’−テトラヒドロ−1,1’−スピロビ[インデン]−5,6’−ジオール(スピロビインダン)、ジヒドロキシベンゾフェノン(ビスフェノールK)、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィン酸化物、ジシクロペンタジエニルビス(2,6−ジメチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビス(2−メチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビスフェノールおよび4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベンなどが挙げられる。
一部の実施形態では、残基Aは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラクロロビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールACP)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(水素化ビスフェノールA)、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびこれらの組み合わせから構成される群から選択されたジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される。特定のジヒドロキシ芳香族化合物は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)である。
一部の実施形態では、ポリ(ヒドロキシルエーテル)ブロックの残基Aは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)プロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどから構成される群から選択されたジヒドロキシ化合物から誘導される。
一部の実施形態では、残基Bは、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、1,2−エポキシ−1−メチル−3−クロロプロパン、1,2−エポキシ−1−ブチル−3−クロロプロパン、1,2−エポキシ−2−メチル−3−フルオロプロパンおよびこれらの組み合わせから構成される群から選択されたエピハロヒドリンから誘導される。特定のエピハロヒドリンはエピクロロヒドリンである。
一部の実施形態では、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比は0.95:1〜1.00:1である。ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比の下限値は0.96:1であり得、具体的には0.97:1であり得、より具体的には0.98:1であり得、さらにより具体的には0.99:1であり得る。上記のモル比の上限値は0.99:1であり得、具体的には0.98:1であり得、より具体的には0.97:1であり得、さらにより具体的には0.96:1であり得る。ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比をこうした範囲に維持することによって、ブロックコポリマーの分子量は最大化され、エポキシ末端基は実質的に回避される。従って、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは溶融安定性を有する。
一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは、その質量に対して、1〜99質量%の量の、具体的には10〜90質量%の量の、より具体的には20〜80質量%の量の、さらにより具体的には30〜70質量%の量の、さらにより具体的には40〜60質量%の量の少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテルブロック)と;その質量に対して、1〜99質量%の量の、具体的には10〜90質量%の量の、より具体的には20〜80質量%の量の、さらにより具体的には30〜70質量%の量の、さらにより具体的には40〜60質量%の量の少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテルブロック)と、を含む。
一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの数平均分子量は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィ(GPC)で測定して、5,000〜50,000原子質量単位であり、具体的には5,500〜30,000原子質量単位であり、より具体的には5,000〜30,000原子質量単位であり、さらにより具体的には5,500〜20,000原子質量単位であり、さらにより具体的には5,500〜10,000原子質量単位である。
一部の実施形態では、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー中の末端エポキシ基の量(すなわち、末端グリシジル基の質量%)は、該コポリマーの質量に対して、0.09質量%未満であり、具体的には0.05質量%未満であり、より具体的には0.025質量%未満であり、さらにより具体的には0.01質量%未満であり、さらにより具体的には0.005質量%未満である。末端エポキシ基の量は、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)分光法で測定できる。末端エポキシ基含有量が0.09質量%未満の場合、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは熱安定性を有しており、押出、カレンダー成形、射出成形およびブロー成形などの熱成形プロセスに適している。
ポリ(アリーレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは、末端ヒドロキシル基を有するテレケリックポリ(フェニレンエーテル)と末端エポキシ基を有するテレケリックポリ(ヒドロキシエーテル)エポキシ樹脂とを、テレケリックポリ(ヒドロキシエーテル)とテレケリックポリ(フェニレンエーテル)とのモル比が0.95:1〜1.00:1の範囲で反応させるステップを備えた方法で調製できる。この反応は、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素および極性非プロトン性溶媒から選択された溶媒の存在下で行うことができる。好適な極性非プロトン性溶媒としては、ケトン、エステル、エーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホンおよびこれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、該溶媒はシクロヘキサノンである。一実施形態は、こうした方法で調製されたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーである。
該反応は、この反応条件下で不揮発性である第三アミン触媒の存在下で行える。好適な第三アミン触媒の例としては、トリエチルアミン、トリ−n記号−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、α−メチルベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、アルキルイミダゾールなど、およびこれらの混合物が挙げられる。特定の第三アミン触媒は、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)である。
一部の実施形態では、反応混合物中のエポキシ基に対してフェノール基が常に過剰になるように、テレケリックポリ(ヒドロキシエーテル)エポキシ樹脂をテレケリックポリ(フェニレンエーテル)に添加する。エポキシ樹脂は15〜300分かけて、具体的には30〜270分かけて、より具体的には45〜240分かけて、さらにより具体的には60〜210分かけて、さらにより具体的には90〜180分かけて、小分けして添加され得る。エポキシ樹脂のポリ(フェニレンエーテル)への添加終了後、混合物を該反応温度で1〜12時間撹拌してもよい。該反応は、温度約100〜200℃で、具体的には120〜180℃で、より具体的には130〜170℃で、さらにより具体的には140〜160℃で行われ得る。
反応が終了すると、反応混合物を冷却し、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素および極性非プロトン性溶媒から選択された共溶媒で希釈してもよい。一部の実施形態では、共溶媒は2−ブタノンである。反応混合物を共溶媒で希釈後、貧溶媒を添加してポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを沈殿させる。共溶媒はアルコールであり得る。好適なアルコールとしてはメタノールとイソプロパノールが挙げられる。沈殿後、生成物をろ過し、貧溶媒で洗浄し、減圧乾燥させるとポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーが得られる。
ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは、成形用組成物の成分として有用な好都合な物性を有する。これらの物性はフェノキシ樹脂より向上している。ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの密度は、ASTM D792−08に準拠し温度23℃で測定して1.1〜1.2g/cm3であり、一方、フェノキシ樹脂のそれは1.1774g/cm3であり;ガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−08に準拠し示差走査熱量法で測定して100〜170℃であり、一方、フェノキシ樹脂のそれは90℃であり;熱変形温度(HDT)は、ASTM D648−07方法Bに準拠し応力1.82MPaで測定して90〜14℃であり、一方、フェノキシ樹脂のそれは77℃であり;曲げ弾性率は、ASTM D790−10方法Aに準拠し温度23℃、速度6.4mm/minで測定して2900〜3300MPaであり、一方、フェノキシ樹脂のそれは2761MPaである。
上記のように、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーにおけるポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)とのモル比は0.95:1〜1.00:1である。これによって、末端エポキシ基が約0.09質量%未満のポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーが得られる。これは、該ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーが良好な溶融安定性を有するため、特に好都合な特長である。ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは溶解混合または溶融混錬でき、物品は、押出、カレンダー成形または型成形で該組成物から形成される。これは、末端エポキシ基が0.09質量%超のポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーと明らかに対照的である。これらのブロックコポリマーでは、融液のポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの末端エポキシ基とヒドロキシル基が架橋反応する。従って、これらのブロックコポリマーは、熱可塑性ではなく熱硬化性材料である。従って、末端エポキシ基が0.09質量%超のポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは溶融混合または溶融混錬できず、物品は、このコポリマーから押出、カレンダー成形または射出成形で形成できない。該組成物で形成できる物品の例としては、玩具、ディスプレイ、および家庭用電子機器と事務機器の筐体が挙げられる。非極性ポリマーがシンジオタクチックポリスチレンを含む場合、該組成物は非常に優れた耐熱性を有し、自動車ボンネット内部品、特に電子用途用として有用である。
該組成物は、その合計質量に対して、2〜20質量%の量のポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを含む。この範囲内で、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの量は、4〜12質量%であってもよく、具体的には6〜12質量%であってもよい。
該組成物は選択的に、熱可塑性分野で既知の添加剤を1つまたは複数さらに含んでいてもよい。例えば、この組成物は任意に、安定剤、離型剤、潤滑剤、加工助剤、防滴剤、成核剤、UVカット剤、染料、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、発泡剤、鉱油、金属不活性化剤、ブロッキング防止剤など、およびこれらの組み合わせから選択された添加剤をさらに含んでいてもよい。こうした添加剤が存在する場合、その量は、組成物の合計質量に対して、典型的には5質量%以下である。
該組成物は、本明細書で必要なものまたは任意なものとして記載されていないポリマーは任意に含まなくてもよい。例えば、この組成物は、ポリアミド、ポリエステルおよびポリオレフィンの内の1つまたは複数を含まなくてもよい。
非常に特定的な実施形態では、該組成物は、特に明記されない限り組成物の合計質量に対して、ポリ(アルケニル芳香族)を35〜90の質量%と;ガラス繊維を5〜45質量%と、少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、それらのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを4〜20質量%と、を含み、前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、Q5とQ6はそれぞれ独立に、メチル、ジ−n−ブチルアミノメチルまたはモルホリノメチルであり;aとbは、その合計が少なくとも2であることを条件として、それぞれ独立に0〜20である)を有し;前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、nは1〜60)を有する。35〜90質量%の範囲内で、ポリ(アルケニル芳香族)の量は50〜80質量%であってもよく、具体的には60〜75質量%であってもよい。5〜45質量%の範囲内で、ガラス繊維の量は10〜40質量%であってもよく、具体的には15〜30質量%であってもよい。4〜20質量%の範囲内で、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの量は、5〜15質量%であってもよく、具体的には6〜12質量%であってもよい。
別の非常に特定的な実施形態では、該組成物は、特に明記されない限り、その合計質量に対して、ポリ(フェニレンエーテル)を35〜90質量%と;ガラス繊維を5〜45質量%と;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、それらのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを4〜20質量%と、を含み、前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、Q5とQ6はそれぞれ独立に、メチル、ジ−n−ブチルアミノメチルまたはモルホリノメチルであり;aとbは、その合計が少なくとも2であることを条件として、それぞれ独立に0〜20である)を有し;前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、nは1〜60)を有する。35〜90質量%の範囲内で、ポリ(フェニレンエーテル)の量は50〜80質量%であってもよく、具体的には60〜75質量%であってもよい。5〜45質量%の範囲内で、ガラス繊維の量は10〜40質量%であってもよく、具体的には15〜30質量%であってもよい。4〜20質量%の範囲内で、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの量は、5〜15質量%であってもよく、具体的には6〜12質量%であってもよい。該組成物は任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンの未水素化ブロックコポリマー、これらの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された追加の非極性ポリマー5〜55質量%をさらに含んでいてもよい。この範囲内で、追加の非極性ポリマーの量は、10〜50質量%であってもよく、具体的には15〜45質量%であってもよく、より具体的には20〜40質量%であってもよい。
別の実施形態は、特に明記されない限り組成物の合計質量に対して、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、これらの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマーを30〜93質量%と;ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物、セラミック繊維およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された極性充填剤を5〜50質量%と;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、それらのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを2〜20質量%と、を混合して組成物を形成するステップを備える組成物の形成方法である。
本発明は少なくとも以下の実施形態を含む。
実施形態1:特に明記されない限り組成物の合計質量に対して、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマーを30〜93質量%と;ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物、セラミック繊維およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された極性充填剤を5〜50質量%と;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを2〜20質量%と、を含む組成物。
実施形態2:前記ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの数平均分子量は5,000〜50,000原子質量単位である実施形態1に記載の組成物。
実施形態3:前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
{式中、Q1とQ2は、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C1−C12ヒドロカルビル、C1−C12ヒドロカルビルチオ、C1−C12ヒドロカルビルオキシ、および少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC2−C12ハロヒドロカルビルオキシから構成される群から選択され;Q3とQ4はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C1−C12ヒドロカルビル、C1−C12ヒドロカルビルチオ、C1−C12ヒドロカルビルオキシ、および少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC2−C12ハロヒドロカルビルオキシから構成される群から選択され;xとyは、その合計が少なくとも2であることを条件に、独立に0〜30であり;Lは下式の構造
[式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基が第三級ヒドロカルビルではない未置換または置換C1−C12ヒドロカルビル、C1−C12ヒドロカルビルチオ、C1−C12ヒドロカルビルオキシ、および少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC2−C12ハロヒドロカルビルオキシから構成される群から選択され;zは0または1であり;Yは、下式の構造
(式中、R5はそれぞれ独立に、水素およびC1−C12ヒドロカルビルから構成される群から選択され、R6およびR7はそれぞれ独立に、水素、C1−C12ヒドロカルビルおよびC1−C6ヒドロカルビレンから構成される群から選択され、R6およびR7は共同でC4−C12アルキレン基を形成する)から構成される群から選択される]を有する}を有し;前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
{式中、Aは下式の構造
[式中、G1は、それぞれ独立にC6−C20芳香族ラジカルであり;Eはそれぞれ独立に、直接結合または下式の構造
(式中、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素またはC1−C12ヒドロカルビル)から構成される群から選択された構造であり;sは0または1であり;tとuはそれぞれ独立に1〜10である]を有する残基であり:Bは下式の構造
(式中、R8〜R10はそれぞれ独立に、水素またはC1−C12ヒドロカルビル)の残基であり:nは1〜60である}を有する実施形態1または実施形態2に記載の組成物。
実施形態4:前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、Q5とQ6はそれぞれ独立に、メチル、ジ−n−ブチルアミノメチルまたはモルホリノメチルであり;aとbは、aとbの合計が少なくとも2であることを条件として、それぞれ独立に0〜20である)を有し;前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、nは1〜60)を有する実施形態1乃至実施形態3のいずれかに記載の組成物。
実施形態5:前記非極性ポリマーは、ポリ(アルケニル芳香族)と;ポリ(アルケニル芳香族)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーおよびポリ(フェニレンエーテル)の内の1つまたは複数と、の組み合わせと;から構成される群から選択される実施形態1乃至実施形態4のいずれかに記載の組成物。
実施形態6:前記ポリ(アルケニル芳香族)は、アタクチックホモポリスチレン、シンジオタクチックホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレンおよびこれらの組み合わせから構成される群から選択される実施形態5に記載の組成物。
実施形態7:前記ポリ(アルケニル芳香族)は、アタクチックホモポリスチレンである実施形態5に記載の組成物。
実施形態8:前記ポリ(アルケニル芳香族)は、シンジオタクチックホモポリスチレンである実施形態5に記載の組成物。
実施形態9:前記非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)と;ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーおよびポリ(アルケニル芳香族)の内の1つまたは複数と、の組み合わせと;から構成される群から選択される実施形態1乃至実施形態4のいずれかに記載の組成物。
実施形態10:前記非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)とポリ(アルケニル芳香族)との組み合わせから、さらに任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーおよびアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーの内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される実施形態1乃至実施形態4のいずれかに記載の組成物。
実施形態11:前記非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、の組み合わせから、さらに任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーおよびポリ(アルケニル芳香族)の内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される実施形態1乃至実施形態4のいずれかに記載の組成物。
実施形態12:前記非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーと、の組み合わせから、さらに任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーおよびポリ(アルケニル芳香族)の内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される実施形態1乃至実施形態4のいずれかに記載の組成物。
実施形態13:前記極性充填剤は、ガラス繊維と;ガラス繊維と、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物およびセラミック繊維の内の1つまたは複数と、の組み合わせと;から構成される群から選択される実施形態1乃至実施形態12のいずれかに記載の組成物。
実施形態14:前記極性充填剤は、粘土、タルク、雲母およびこれらの組み合わせから、さらに任意に、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物およびセラミック繊維の内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される実施形態1乃至実施形態12のいずれかに記載の組成物。
実施形態15:前記極性充填剤は、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシロキサンおよびこれらの組み合わせから構成される群から選択された表面処理剤で極性充填剤を処理するステップを備えるプロセスで製造された表面処理極性充填剤である実施形態1乃至実施形態12のいずれかに記載の組成物。
実施形態16:組成物であって、特に明記されない限り、その合計質量に対して、ポリ(アルケニル芳香族)を35〜90質量%と;ガラス繊維を5〜45質量%と;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを5〜20質量%と、を含み、前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、Q5とQ6はそれぞれ独立に、メチル、ジ−n−ブチルアミノメチルまたはモルホリノメチルであり;aとbは、aとbの合計が少なくとも2であることを条件として、それぞれ独立に0〜20である)を有し;前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、nは1〜60)を有する組成物。
実施形態17:組成物であって、特に明記されない限り、その合計質量に対して、ポリ(フェニレンエーテル)を35〜90質量%と;ガラス繊維を5〜45質量%と;少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを5〜20質量%と、を含み、前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、Q5とQ6はそれぞれ独立に、メチル、ジ−n−ブチルアミノメチルまたはモルホリノメチルであり;aとbは、aとbの合計が少なくとも2であることを条件として、それぞれ独立に0〜20である)を有し;前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
(式中、nは1〜60)を有する組成物。
実施形態18:アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマー5〜55質量%をさらに含む実施形態17に記載の組成物。
実施形態19:実施形態1乃至実施形態18のいずれかに記載の組成物を含む物品。
実施形態20:特に明記されない限り組成物の合計質量に対して、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマーを30〜93質量%と、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物、セラミック繊維およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された極性充填剤を5〜50質量%と、少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを2〜20質量%と、を混合して組成物を形成するステップを備える組成物の形成方法。
以下の非限定的実施例によって、本発明をさらに例証する。
調製例1:24質量%のポリ(フェニレンエーテル)ブロックを有するポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー
機械的撹拌機、熱電対プローブ、パウダー漏斗およびマントルヒータを備えた2L三ツ口丸底フラスコに、シクロヘキサノン500mLを添加した。シクロヘキサノンを撹拌しながら150℃に加熱した。ポリ(フェニレンエーテル)を添加し溶解させた。その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)5.0g(0.0409モル)を添加し溶解させた。以下のように、DER 668−20ポリマーを90分かけて、小分けして添加した。
溶液を150℃で7時間撹拌した。反応混合物を80℃未満に冷却し、2−ブタノン400mLで希釈した。得られたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーをメタノール沈殿で単離し、ろ過、メタノール洗浄後、100℃の真空オーブン内で乾燥させた。収量は465g(93%)であった。
調製例2:30質量%のポリ(フェニレンエーテル)ブロックを有するポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー
機械的撹拌機、熱電対プローブ、パウダー漏斗およびマントルヒータを備えた2L三ツ口丸底フラスコに、シクロヘキサノン500mLを添加した。シクロヘキサノンを撹拌しながら150℃に加熱した。ポリ(フェニレンエーテル)を添加し溶解させた。その後、DMAP5.0g(0.0409モル)を添加し溶解させた。以下のように、EPON1007Fポリマーを90分かけ、小分けして添加した。
溶液を150℃で7時間撹拌した。反応混合物を80℃未満に冷却し、2−ブタノン400mLで希釈した。得られたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーをメタノール沈殿で単離し、ろ過、メタノール洗浄後、100℃の真空オーブン内で乾燥させた。収率は462g(92.4%)であった。
調製例3:36質量%のポリ(フェニレンエーテル)ブロックを有するポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー
機械的撹拌機、熱電対プローブ、パウダー漏斗およびマントルヒータを備えた2L三ツ口丸底フラスコに、シクロヘキサノン500mLを添加した。シクロヘキサノンを撹拌しながら150℃に加熱した。ポリ(フェニレンエーテル)を添加し溶解させた。その後、DMAP5.0g(0.0409モル)を添加し溶解させた。以下のように、DER6155ポリマーを90分かけて、小分けして添加した。
この溶液を150℃で7時間撹拌した。反応混合物を80℃未満に冷却し、2−ブタノン400mLで希釈した。得られたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーをメタノール沈殿で単離し、ろ過、メタノール洗浄後、100℃の真空オーブン内で乾燥させた。収率は455g(91%)であった。
調製例4:54質量%のポリ(フェニレンエーテル)ブロックを有するポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー
機械的撹拌機、熱電対プローブ、パウダー漏斗およびマントルヒータを備えた2L三ツ口丸底フラスコに、シクロヘキサノン500mLを添加した。シクロヘキサノンを撹拌しながら150℃に加熱した。ポリ(フェニレンエーテル)を添加し溶解させた。その後、DMAP5.0g(0.0409モル)を添加し溶解させた。以下のように、EPON1002Fポリマーを90分かけ、小分けして添加した。
この溶液を150℃で7時間撹拌した。反応混合物を80℃未満に冷却し、2−ブタノン400mLで希釈した。得られたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーをメタノール沈殿で単離し、ろ過、メタノール洗浄後、100℃の真空オーブン内で乾燥させた。収率は460g(92%)であった。
調製例5:60質量%のポリ(フェニレンエーテル)ブロックを有するポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー
機械的撹拌機、熱電対プローブ、パウダー漏斗およびマントルヒータを備えた2L三ツ口丸底フラスコに、シクロヘキサノン500mLを添加した。シクロヘキサノンを撹拌しながら150℃に加熱した。ポリ(フェニレンエーテル)を添加し溶解させた。その後、DMAP5.0g(0.0409モル)を添加し溶解させた。以下のように、EPON1001Fポリマーを90分かけ、小分けして添加した。
この溶液を150℃で7時間撹拌した。反応混合物を80℃未満に冷却し、2−ブタノン400mLで希釈した。得られたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーをメタノール沈殿で単離し、ろ過、メタノール洗浄後、100℃の真空オーブン内で乾燥させた。収率は471g(94.2%)であった。
調製例6:80質量%のポリ(フェニレンエーテル)ブロックを有するポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー
機械的撹拌機、熱電対プローブ、パウダー漏斗およびマントルヒータを備えた2L三ツ口丸底フラスコに、シクロヘキサノン500mLを添加した。シクロヘキサノンを撹拌しながら150℃に加熱した。ポリ(フェニレンエーテル)を添加し溶解させた。その後、DMAP5.0g(0.0409モル)を添加し溶解させた。以下のように、DER317ポリマーを90分かけて、小分けして添加した。
この溶液を150℃で7時間撹拌した。反応混合物を80℃未満に冷却し、2−ブタノン400mLで希釈した。得られたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーをメタノール沈殿で単離し、ろ過、メタノール洗浄後、100℃の真空オーブン内で乾燥させた。収率は466g(93.2%)であった。
調製例7:46.5質量%のポリ(フェニレンエーテル)ブロックを有するポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー
機械的撹拌機、熱電対プローブ、パウダー漏斗およびマントルヒータを備えた1L三ツ口丸底フラスコに、シクロヘキサノン250mLを添加した。シクロヘキサノンを撹拌しながら150℃に加熱した。ポリ(フェニレンエーテル)を添加し溶解させた。その後、DMAP2.5g(0.0205モル)を添加し溶解させた。以下のように、DER667−Eポリマーを120分かけて、小分けして添加した。
この溶液を150℃で7時間撹拌した。反応混合物を80℃未満に冷却し、2−ブタノン200mLで希釈した。得られたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーをメタノール沈殿で単離し、ろ過、メタノール洗浄後、100℃の真空オーブン内で乾燥させた。収率は237g(94.8%)であった。
調製例8:48.6質量%のポリ(フェニレンエーテル)ブロックを有するポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー
機械的撹拌機、熱電対プローブ、パウダー漏斗およびマントルヒータを備えた1L三ツ口丸底フラスコに、シクロヘキサノン250mLを添加した。シクロヘキサノンを撹拌しながら150℃に加熱した。ヒドロキシ−二官能性ポリ(フェニレンエーテル)を添加し溶解させた。その後、DMAP2.5g(0.0205モル)を添加し溶解させた。以下のように、EPON1002Fポリマーを120分かけ、小分けして添加した。
この溶液を150℃で7時間撹拌した。反応混合物を80℃未満に冷却し、2−ブタノン200mLで希釈した。得られたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーをメタノール沈殿で単離し、ろ過、メタノール洗浄後、100℃の真空オーブン内で乾燥させた。収率は226g(90.4%)であった。
調製例9:48質量%のポリ(フェニレンエーテル)ブロックを有するポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー
機械的撹拌機、熱電対プローブ、パウダー漏斗およびマントルヒータを備えた2L三ツ口丸底フラスコに、シクロヘキサノン500mLを添加した。シクロヘキサノンを撹拌しながら150℃に加熱した。ポリ(フェニレンエーテル)を添加し溶解させた。その後、DMAP5.0g(0.0409モル)を添加し溶解させた。以下のように、EPON1004Fポリマーを90分かけ、小分けして添加した。
この溶液を150℃で7時間撹拌した。反応混合物を80℃未満に冷却し、2−ブタノン400mLで希釈した。得られたポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーをメタノール沈殿で単離し、ろ過、メタノール洗浄後、100℃の真空オーブン内で乾燥させた。収率は471g(94%)であった。
ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーのキャラクタリゼーション
調製実施例1〜9のポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの諸特性を求めた。ガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−08に準拠し示差走査熱量測定法(DSC)で測定した。数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)および多分散度(Mw/Mn)は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィ(GPC)で求めた。密度は、ASTM D792−08に準拠し温度23℃で測定した。曲げ弾性率(MPa)および曲げ破断応力(MPa)は、ASTM D790−10方法Bに準拠し、厚み3.2mm×幅12.7mmのサンプルを用い、支点間距離10cm(3.937インチ)、クロスヘッド速度1.35mm/min(0.053インチ/min)で測定した。熱変形温度(℃)は、ASTM D648−07方法Bに準拠し、応力1.82MPa、幅3.20mm×高さ12.80mmの射出成形試料を用いて測定した。熱変形試験では、初期温度が30℃未満のシリコーン油にサンプルを浸漬した。試験前に、サンプルを23℃×24時間状態調節した。
調製実施例1〜9のポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの諸特性を求めた。ガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−08に準拠し示差走査熱量測定法(DSC)で測定した。数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)および多分散度(Mw/Mn)は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィ(GPC)で求めた。密度は、ASTM D792−08に準拠し温度23℃で測定した。曲げ弾性率(MPa)および曲げ破断応力(MPa)は、ASTM D790−10方法Bに準拠し、厚み3.2mm×幅12.7mmのサンプルを用い、支点間距離10cm(3.937インチ)、クロスヘッド速度1.35mm/min(0.053インチ/min)で測定した。熱変形温度(℃)は、ASTM D648−07方法Bに準拠し、応力1.82MPa、幅3.20mm×高さ12.80mmの射出成形試料を用いて測定した。熱変形試験では、初期温度が30℃未満のシリコーン油にサンプルを浸漬した。試験前に、サンプルを23℃×24時間状態調節した。
末端エポキシ基含量は、Varian Mercury Plus400Megahertz 1H−NMR Spectrometerを用いたプロトン核磁気共鳴(1H−NMR)分光法で求めた。末端エポキシ基量は、下式の構造中の「a」プロトンおよび「h」プロトンに対応するピークの高さと下式から算出した:
末端エポキシ基の質量%=h/(h+a)×100
末端エポキシ基の質量%=h/(h+a)×100
実施例1〜7、比較実施例1、2
これらの実施例では、非極性ポリマー(ポリスチレン)中の極性充填剤(ガラス繊維)に対する相溶化剤としてのポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの使用を例証する。混合実験で使用した材料を表13に示す。
これらの実施例では、非極性ポリマー(ポリスチレン)中の極性充填剤(ガラス繊維)に対する相溶化剤としてのポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの使用を例証する。混合実験で使用した材料を表13に示す。
Coperion ZSK18二軸スクリューラボ押出機(スクリュー外径18mm)を、スクリュー回転数:300rpm、トルク:45〜60%、ゾーン温度(供給口からダイまで):180℃、230℃、260℃、270℃、270℃、270℃、270℃で運転して組成物を混合した。Demag Plastic Group Model40−80射出成型機を表14に示す条件(表中、射出圧と背圧の単位はMPa)で運転して物性試験用の物品を射出成形した。
組成物と特性を表15に示す。曲げ弾性率(MPa)、曲げ降伏点応力(MPa)および曲げ破断応力(MPa)は、ASTM D790−07e1手順Aに準拠し、温度23℃、棒横断面寸法3.2mm×12.7mm、支点間距離50.8mm、試験速度1.27mm/min(0.05インチ/min)の条件で求めた。引張降伏点応力は、ASTM D638−08に準拠し、温度23℃、I形棒、ゲージ長50mm、試験速度50mm/minで求めた。引張降伏点応力は、試験用成形サンプルを用い、80℃温水中に50時間、100時間浸漬後に求めた。
特性結果から、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを含有する実施例1〜7は、相溶化剤を含まない比較実施例1およびポリ(ヒドロキシエーテル)を含む比較実施例2に比べて、剛性(曲げ特性により証明されている)、靭性(ノッチ付アイゾッド衝撃強度と引張降伏点応力によって証明されている)および耐熱性(熱変形温度によって証明されている)が高いことがわかる。また、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを含有する組成物は、比較実施例1、2に対する実施例1、3での80℃温水50時間浸漬後および100時間浸漬後に測定した引張降伏点応力で証明されているように、耐水性も高かった。ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーによって得られる利点は、非極性ポリマーとの相溶性を改善するためにカップリング剤で表面処理されたガラス繊維の使用で得られる利点を上回るものであることに注目することは重要である。
実施例1〜7で得られた高い物性から、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーは、ポリスチレン相とガラス繊維間の界面接着を有効的に向上させることが示唆される。従って、ポリスチレン−ガラス繊維界面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行った。
液体窒素中で走査型電子顕微鏡(SEM)用サンプルを凍結切片し、SEMスタブ上に載せた。その後、サンプルを金でコーティングした。Carl Zeiss AG−EVO(登録商標)40シリーズ走査型電子顕微鏡を用いてサンプルを観察した。観察条件は、SEMモード、プローブ電流40pA、HV(高真空)および加速電圧20kVとした。
図1は、相溶化剤のない比較実施例1の組成物から調製されたサンプルの電子顕微鏡写真である。ガラス繊維は露出しているように見え、ポリスチレンがガラス繊維に付着する兆候はない。ガラス繊維とポリスチレンとは分離している。
図2は、ポリ(ヒドロキシエーテル)相溶化剤を有する比較実施例2の組成物から調製されたサンプルの電子顕微鏡写真である。樹脂とガラス繊維との強い相互作用の兆候はない。ガラス繊維は、ポリスチレン/ポリ(ヒドロキシエーテル)マトリックスとは未接合である。ある樹脂(ポリ(ヒドロキシエーテル)であり得る)がわずかにガラス繊維に付着しているように見える。
図3は、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー相溶化剤を有する実施例3の組成物から調製されたサンプルの電子顕微鏡写真である。ポリスチレン/ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマー樹脂マトリックスおよびガラス繊維間は、良好に付着している。ガラス繊維と樹脂マトリックス間の分離の兆候はない。
従って、図1〜3の結果は、ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーが非極性ポリマーマトリックスと極性充填剤間の界面接着を促進することと一致している。
Claims (20)
- 特に明記されない限り組成物の合計質量に対して、
アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマーを30〜93質量%と;
ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物、セラミック繊維およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された極性充填剤を5〜50質量%と;
少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを2〜20質量%と、を含むことを特徴とする組成物。 - 前記ポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーの数平均分子量は5,000〜50,000原子質量単位である請求項1に記載の組成物。
- 前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
- 前記非極性ポリマーは、ポリ(アルケニル芳香族)と;ポリ(アルケニル芳香族)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーおよびポリ(フェニレンエーテル)の内の1つまたは複数と、の組み合わせと;から構成される群から選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記ポリ(アルケニル芳香族)は、アタクチックホモポリスチレン、シンジオタクチックホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレンおよびこれらの組み合わせから構成される群から選択される請求項5に記載の組成物。
- 前記ポリ(アルケニル芳香族)は、アタクチックホモポリスチレンである請求項5に記載の組成物。
- 前記ポリ(アルケニル芳香族)は、シンジオタクチックホモポリスチレンである請求項5に記載の組成物。
- 前記非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)と;ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーおよびポリ(アルケニル芳香族)の内の1つまたは複数と、の組み合わせと;から構成される群から選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)とポリ(アルケニル芳香族)との組み合わせから、さらに任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーおよびアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーの内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーと、の組み合わせから、さらに任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーおよびポリ(アルケニル芳香族)の内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記非極性ポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)と、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマーと、の組み合わせから、さらに任意に、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーおよびポリ(アルケニル芳香族)の内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記極性充填剤は、ガラス繊維と;ガラス繊維と、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物およびセラミック繊維の内の1つまたは複数と、の組み合わせと;から構成される群から選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記極性充填剤は、粘土、タルク、雲母およびこれらの組み合わせから、さらに任意に、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物およびセラミック繊維の内の1つまたは複数との組み合わせから構成される群から選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記極性充填剤は、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシロキサンおよびこれらの組み合わせから構成される群から選択された表面処理剤で極性充填剤を処理するステップを備えるプロセスで製造された表面処理極性充填剤である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
- 組成物であって、特に明記されない限り、その合計質量に対して、
ポリ(アルケニル芳香族)を35〜90質量%と;
ガラス繊維を5〜45質量%と;
少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを5〜20質量%と、を含み、
前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
- 組成物であって、特に明記されない限り、その合計質量に対して、
ポリ(フェニレンエーテル)を35〜90質量%と;
ガラス繊維を5〜45質量%と;
少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを5〜20質量%と、を含み、
前記少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックは下式の構造
前記少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックは下式の構造
- アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマー5〜55質量%をさらに含む請求項17に記載の組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物を含むことを特徴とする物品。
- 特に明記されない限り組成物の合計質量に対して、
アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの未水素化ブロックコポリマー、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー、ポリ(アルケニル芳香族)、ポリ(フェニレンエーテル)およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された非極性ポリマーを30〜93質量%と、
ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、粘土、タルク、雲母、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、珪灰石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ドロマイト、加工鉱物繊維、金属酸化物、金属水酸化物、セラミック繊維およびこれらの組み合わせから構成される群から選択された極性充填剤を5〜50質量%と、
少なくとも1つのポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックと少なくとも1つのポリ(フェニレンエーテル)ブロックとを含み、ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックとポリ(フェニレンエーテル)ブロックとのモル比が0.95:1〜1.00:1であるポリ(フェニレンエーテル)−ポリ(ヒドロキシエーテル)ブロックコポリマーを2〜20質量%と、を混合して組成物を形成するステップを備える組成物の形成方法。
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