JP2015500988A - 肺障害のバイオマーカーとしてのltbp2 - Google Patents
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Abstract
本出願は、肺障害に対する新規のバイオマーカーとしてのLTBP2、そのバイオマーカーの測定に基づいてその肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視する方法、ならびにそのバイオマーカーを測定する、かつ/またはその方法を行うキットまたは装置を開示する。
Description
本発明は、患者の疾患および病状、とりわけ、特に炎症に起因した肺障害および肺臓死を診断、予測、予後判定および/または監視するのに役立つタンパク質系および/またはペプチド系バイオマーカー、ならびに関連する方法、キット、および装置に関する。
多くの疾患および病状において、予防的および/または治療的な処置の良好な転帰は、疾患または病状を早期および/または正確に診断、予測、予後判定および/または監視と強く相関している。したがって、処置の選択に指針を与える早期および/または正確な診断、予測、予後判定および/または監視の、追加的で好ましくは改良された様式が、継続して必要とされている。
人の主な死因は、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)または肺炎などの肺疾患または肺合併症に代表され、これらは不可逆的な肺障害および肺臓死をもたらすことがある。肺炎症を患う患者は、しばしば咳、息切れ、または呼吸速度上昇のうち1つ以上の症状を呈して救急科(ED)を訪れる。不運なことに、これらの症状は高感度でも特異的でもなく、不安および過呼吸から、生命にかかわるような肺、心臓、または代謝が原因となるものまで、可能性のある潜在的な様々な病状に関連し、そのため早急および正確なトリアージおよびリスク階層化を妨げる。
ナトリウム利尿ペプチド(NP)は、心臓ストレスの増加を感じている患者を正確に識別できることで、呼吸困難患者の早期診断およびリスク階層化における心臓の血行力学的ストレスの量的なバイオマーカーとして認識されてきた。しかしながら、肺ストレスを識別し、最終的に死亡リスクを上昇させる肺合併症のリスクが最も高い患者を正確に見つけるバイオマーカーは、まだない。
本発明は、肺炎症のバイオマーカーを特定し、その使用法を提供することで、当該技術分野における上記ニーズに応えるものである。
発明者らは、実験および検査を鋭意行い、潜在型トランスフォーミング成長因子ベータ結合タンパク質2(LTBP2)レベルが、呼吸困難を呈する患者の死亡率を密接に表していることを見出した。特に、肺障害による死亡率は、患者の血液中のLTBP2レベルと高い相関を示す。LTBP2は、特に、299名の患者から得た臨床試料において、検査した肺障害に関するいくつかの臨床パラメータと有意な関係を示した。
さらに、肺機能障害によって死亡率が上昇する患者を識別するためのLTBP2の中間ROC曲線下面積(AUC)値(“ROC”とは受信者動作特性を意味する)は、関連性が高いことを示す0.95である。AUC値は、感度と特異性を合わせた基準であり、AUC値(すなわち、1に近い)が高くなるほど、一般に、その検査の性能が高いこと示す。
したがって、発明者らは、肺機能障害を評価するのに有利な新規のバイオマーカー、特に、好ましくない肺関連合併症および/または肺障害、特に、肺炎症および肺臓死による死亡率を予測する新規のバイオマーカーとしてLTBP2を特定した。
さらに、患者から得た試料中のLTBP2量を測定することを含む、患者の肺機能障害を診断または予測する方法が提供される。特に、患者から得た試料中のLTBP2量を測定することを含む、患者の肺機能障害を診断、予測、予後判定および/または監視する方法が提供される。本明細書を通して用いられるように、患者から得た試料中のLTBP2レベルおよび/または他のバイオマーカーレベルの測定は、特に、ある方法の検査段階が、患者から得た試料中のLTBP2量および/または他のバイオマーカー量の測定を含むことを意味する場合がある。疾患および病状を診断、予測、予後判定および/または監視する方法は、一般に、患者から、および/または患者についてのデータを集める検査段階を含んでいることが理解される。
一実施形態において、好ましくは炎症に起因する肺機能障害を診断、予測および/または予後判定するための方法は、(i)患者から得た試料中のLTBP2量を測定するステップと、(ii)LTBP2量の基準値であって、肺機能障害または通常の肺機能についての公知の診断、予測および/または予後判定を表している基準値と、(i)で測定されたLTBP2量とを比較するステップと、(iii)(i)で測定したLTBP2量が基準値からずれているかいないかを判定するステップと、(iv)ずれているかいないかの判定によって、患者の肺機能障害または通常の肺機能の特定の診断、予測および/または予後判定を得るステップとを含む。
好ましくは炎症に起因する肺機能障害を診断、予測および予後判定するための方法、特に、前段落で説明したようなステップ(i)から(iv)を含む方法は、2点以上の連続した時点において患者に対して行われてもよく、連続した時点における各結果は比較されてもよく、それによって、各時点における肺機能障害の診断、予測および/または予後判定の間の変化の有無が判断される。したがって、この方法によって、患者の肺機能障害の診断、予測および/または予後判定における変化を経時的に監視することができる。
一実施形態において、肺機能障害を監視するための方法は、(i)2点以上の時点で患者から得た試料中のLTBP2量を測定するステップと、(ii)(i)で測定された試料間でLTBP2量を比較するステップと、(iii)(ii)で比較した試料間におけるLTBP2量がずれているかいないかを判定するステップと、(iv)ずれているかいないかの判定によって、2点以上の連続した時点間における患者の肺機能または肺機能障害の変化を得るステップとを含む。したがって、この方法によって、患者の肺機能障害または肺機能を経時的に監視することができる。
本開示を通して、本明細書で教示されるいずれか1つの病状または疾患を監視するのに適した方法によって、とりわけ、病状または疾患の発生を予測するか、病状または疾患の進行、重篤化、緩和または再発、あるいは治療または他の外部・内部要因、状況もしくはストレス要因などに対する応答を監視することができる。有利には、本明細書で教示される監視方法は、患者の治療、好ましくはそのように監視される病状または疾患の緩和を目指す治療に適用されてもよい。そのような監視は、例えば、患者を退院させるかどうか、治療の変更が必要であるかどうか、またはさらなる入院もしくは治療が必要であるかどうかを決定することに含まれてもよい。
同様に、本開示を通して、本明細書で教示されるいずれか1つの病状または疾患を予後判定するのに適した方法によって、とりわけ、病状または疾患の発生を予後判定するか、病状または疾患の進行、重篤化、緩和または再発、あるいは治療または他の外部・内部要因、状況もしくはストレス要因などに対する応答を予後判定することができる。
実験の項に示すように、肺機能障害を表す臨床パラメータは、LTBP2レベルの上昇と関連する。特に、肺機能障害は、局所的な肺の炎症に起因するかまたは、例えば腎臓などの他の組織由来の炎症因子もしくは原因物質に起因する炎症によって起こり得る。したがって、肺機能障害の予測または診断、あるいは肺機能障害の予後不良は、特に、LTBP2レベルの上昇に関連する。
例えば、肺機能障害がない(すなわち、通常の肺機能である)という予測または診断を表す基準値、あるいは肺機能障害の予後良好を表す基準値とそれぞれ比較して、患者から得た試料中のLTBP2量(すなわちずれ)が増加していると、患者が肺機能障害を起こしている、または起こすおそれがあることを示し、あるいは、患者の予後不良を示している(例えば、肺機能障害患者の予後は、最後には肺臓死に至る、恒久的または不可逆的な肺線維症あるいは肺障害である)が、これに限るわけではない。
したがって、一態様において、本発明は、患者の肺機能障害、特に患者の死亡率の上昇をもたらす肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視するための、血液バイオマーカーとしての潜在型トランスフォーミング成長因子ベータ結合タンパク質2(LTBP2)またはその断片の使用を定義する。
前記肺機能障害または肺障害の程度は、
(i)障害なし、
(ii)治療せずに放置した場合、合併症をひき起こし得る可逆的な障害をともなう肺障害、または
(iii)潜在的で、不可逆的もしくは修復不可能な生理学的損傷、病的状態、または致死性を有する肺障害
として評価される。
(i)障害なし、
(ii)治療せずに放置した場合、合併症をひき起こし得る可逆的な障害をともなう肺障害、または
(iii)潜在的で、不可逆的もしくは修復不可能な生理学的損傷、病的状態、または致死性を有する肺障害
として評価される。
さらなる態様において、本発明は、重篤な慢性閉塞性肺疾患(COPD)肺炎、または肺臓死などの、重篤な肺合併症を発症するリスクを評価するための、血液バイオマーカーとしてのLTBP2またはその断片の使用を提供する。
好ましい実施形態において、LTBP2バイオマーカーは、クレアチニン、シスタチンC、NGAL、ベータトレースタンパク質、腎障害分子1、およびインターロイキン−18(IL−18)からなる群から選択される1つ以上の腎臓由来マーカー、および/または、炎症誘発性サイトカイン、インターフェロンガンマ、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−10(IL−10)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−ベータ)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−18(IL−18)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP−)−2、単球走化性タンパク質(MCP)−1、インターロイキン−1ベータ(IL−1ベータ)、インターロイキン−1アルファ(IL−1アルファ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−アルファ)、血清アミロイドA(SAA)、フラクタルカイン(CX3CL1)、C−反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)および白血球数からなる群から選択される1つ以上の他のバイオマーカーを組み合わせて用いられる。
あるいは、LTBP2バイオマーカーは、バイオマーカーとしてBNP、プロBNPおよびNTプロBNPから選択される1つ以上のナトリウム利尿ペプチド、またはプロカルシトニン、乳酸塩もしくはCRPなどの敗血症を示すマーカーと組み合わせて用いられてもよい。
さらに、LTBP2バイオマーカーは、病歴、健康診断、心電図、パルスオキシメトリー、血液検査、胸部X線、エコー心電図検査、肺機能検査、コンピュータ断層撮影(CT)−血管造影および/または胸郭インピーダンスを求めることと組み合わせて用いることができる。
前記患者の肺炎症が軽減したことを示すさらなるマーカーを、LTBP2バイオマーカーと組み合わせて用いることができる。
本明細書で教示されるように、LTBP2レベル、例えば血液、血清、血漿および/または尿中のLTBP2濃度は、特に肺の炎症に起因する肺障害の程度と関連する。
患者に肺機能障害を治療するための治療法が必要であるかないか(例えば、まだ必要か、最早必要でないか)を決定する方法も開示されており、その方法は、(i)患者から得た試料中のLTBP2量を測定することと、(ii)LTBP2量の基準値であって、肺機能障害または通常の肺機能についての公知の診断、予測および/または予後判定を表している基準値と、(i)で測定されたLTBP2量とを比較することと、(iii)(i)で測定したLTBP2量が基準値からずれているかいないかを判定することと、(iv)その判定によって、肺機能障害を治療する治療法の必要性の有無を推定することとを含む。ステップ(i)から(iii)によって、患者が肺機能障害を起こしている、または起こすおそれがある、あるいは肺機能障害が予後不良であるという結論が導かれる場合、例えば、これに限るわけではないが、患者から得た試料中のLTBP2量(すなわち、ずれ)が、肺機能障害がない(すなわち、通常の肺機能である)という予測または診断を表す基準値と比較して増加している場合に、特に、治療法が示され得る。医療施設に入院してきてすぐの、またはすでに入院中の肺機能障害患者は、肺機能障害の治療を開始するまたは継続する必要性があるかを、本明細書で教示されるように検査してもよく、そのような治療が最早必要でない、またはある限られた程度のみ必要である場合には退院してもよいが、これに限るわけではない。
肺機能障害の例示的な治療法は、人工呼吸、利尿または水分制限、肺血管拡張剤としてコルチコステロイドまたは一酸化窒素(NO)を用いる治療を含むが、これに限るわけではない。
実施例で説明されるように、LTBP2によって、(急性の)呼吸困難を発症している患者の集団において、肺合併症を起こすリスクのある患者を識別することができる。呼吸困難(呼吸窮迫または息切れ)は、例えば肺の炎症、肺炎、敗血症、肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、鬱血性または急性心不全、および腎機能障害などの様々な潜在的病状に関連する場合がある一般的で苦しい症状である。呼吸困難の症状が現れた患者を適切に治療するために、根元的な問題をはっきりさせておく必要がある。
したがって、本明細書で教示されるような、肺機能障害を診断、予測、予後判定、および/または監視する方法において、患者は、呼吸困難を発症し(呼吸困難の症状を示し)得る。呼吸困難は、好ましくは急性呼吸困難であってもよい。この方法によって、特に、肺機能障害にともなう、または肺機能障害が原因である呼吸困難(の患者)と、他の病状にともなう、または他の病状が原因である呼吸困難(の患者)とを区別し得る。
また、実施例に示されるように、発明者らは、急性呼吸困難の症状を呈する患者の入院時のLTBP2レベルは、入院後1年の時点で生存していた患者に比べて、入院後1年以内に死亡した患者で有意に高いことを見出した。この違いは、死因が肺機能障害に関連するかしないかに基づいて患者集団を分けると、さらに大きくなった。したがって、発明者らは、LTBP2が、特に、好ましくは肺炎症が原因である肺障害または肺機能障害に起因する呼吸困難、特に急性呼吸困難の患者の死亡率を予測または予後判定するのに有利な新規のバイオマーカーであることを見出した。この炎症は、肺で直接起こり得、または例えば腎臓などの他の臓器で産生された、あるいは脳または心臓の再灌流障害の場合において産生された炎症因子が原因で起こり得る。
したがって、特に呼吸困難および/または急性心不全および/または腎機能障害患者における肺の炎症に起因する肺障害が原因の患者の死亡率を予測する方法も提供され、この方法は、患者から得た試料中のLTBP2量を測定することを含む。また、特に呼吸困難および/または急性心不全および/または腎機能障害患者における肺の炎症に起因する肺機能障害によって、患者が死に至るという予後を判定する方法も提供され、この方法は、患者から得た試料中のLTBP2量を測定することを含む。呼吸困難は、好ましくは急性呼吸困難であってもよい。腎機能障害は、好ましくは慢性腎機能障害であり、特に慢性腎疾患であってもよい。呼吸困難は、AHFおよび/または腎機能障害にともなうか、またはAHFおよび/または腎機能障害が原因であってもよく、あるいは呼吸困難は、AHFおよび腎機能障害以外の病状にともなうか、またはAHFおよび腎機能障害以外の病状が原因であってもよく、あるいは患者は、呼吸困難の症状のないAHFおよび/または腎機能障害を発症していてもよいが、これに限るわけではない。
一実施形態において、患者の死亡率を予測するか、または肺機能障害によって患者が死に至るという予後を判定する方法は、(i)患者から得た試料中のLTBP2量を測定するステップと、(ii)LTBP2量の基準値であって、公知の死亡率の予測または予後判定を表している基準値と、(i)で測定したLTBP2量とを比較するステップと、(iii)(i)で測定したLTBP2量が基準値からずれているかいないかを判定するステップと、(iv)ずれているかいないかの判定によって、特定の死亡率の予測または患者における肺機能障害の予後判定を得るステップとを含む。
患者における死亡率を予測する、または肺機能障害によって患者が死に至ると予後判定する本方法は、患者が、急性呼吸困難、または急性心不全もしくは腎機能障害にともなう呼吸困難の症状を呈するまたはそう診断された、好ましくはこれらの疾患および病状を初めて(最初に)呈したまたはそう診断されたときに、患者に対して好ましく行われてもよい。
実験の項に示されるように、呼吸困難を患う患者、AHFを患う患者および/または腎機能障害を患う患者の集団において、肺機能障害に起因する、特に炎症性の事象に起因する死亡率の上昇は、LTBP2レベルの上昇に関連する。したがって、肺障害または肺機能障害に起因する患者の死亡率上昇(所定の期間内に死亡するリスクまたは見込みの増加)を予測すること、あるいは患者において肺機能障害の予後不良を予測することは、特に、LTBP2レベルの上昇に関連し得る。
例えば、これに限るわけではないが、患者から得た試料中のLTBP2量(すなわち、ずれ)が、肺機能障害の所与の死亡率または所与の予後の予測(すなわち、所定の期間内に死亡する所与の、例えば通常のリスクまたは見込み)を表す基準値と比較して増加していることは、患者がその期間内に死亡するリスクが比較的高いということを示している。
死亡率は、例えば予測方法または予後判定方法を行った時から数ヶ月または数年の期間内、例えば予測方法または予後判定方法を行った時から約30日、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月以内、または約1年以内、または約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年もしくは約10年以内に患者が死亡する見込みとして適切に表されてもよいが、これに限るわけではない。
例示的だがこれに限るわけではない実験において、生存するか死亡するかの状況を考察する期間を予測方法または予後判定方法を行った時から1年に設定すると、呼吸困難、AHF、または腎機能障害の症状を呈する患者において死亡率が通常であることと死亡率が増加することとが、LTBP2レベルによって十分区別された。したがって、実施形態において、死亡率は、予測方法または予後判定方法を行った時から6ヶ月から2年の間、好ましくは1年以内に患者が死亡する見込みとして適切に表されてもよい。
患者の死亡率の増加と判定することで、患者の疾患または病状を処置するための治療上の決定をなすことができる。これにより、専門家は、肺障害または肺臓死に起因する患者の死亡リスクを潜在的に激減させる治療を開始することができる。
したがって、患者における、特に肺炎症による肺機能障害、肺機能障害にともなうまたは原因がある呼吸困難、肺炎症、腎機能障害もしくは腎不全、急性心不全、左心室肥大、または心臓線維症、および/または特に肺炎症による肺機能障害に起因する死亡率の増加のうちのいずれか1つを診断、予測、予後判定および/または監視する方法が提供され、その方法は患者から得た試料中のLTBP2量を測定することを含む。
一実施形態において、特に炎症に起因する肺障害を診断、予測および/または予後判定する方法は、(i)患者から得た試料中のLTBP2量を測定するステップと、(ii)LTBP2量の基準値であって、特に炎症に起因する肺障害の公知の診断、予測および/または予後判定を表している基準値と、(i)で測定したLTBP2量とを比較するステップと、(iii)(i)で測定したLTBP2量が基準値からずれているかいないかを判定するステップと、(iv)ずれているかいないかの判定によって、患者において、特に炎症に起因する肺障害の特定の診断、予測および/または予後判定を得るステップとを含む。
特に炎症に起因する肺障害を診断、予測および予後判定する方法、特に、前段落で説明したようなステップ(i)から(iv)を含む方法は、2点以上の連続した時点において患者に対して行われてもよく、連続した時点における各結果は比較されてもよく、それによって、連続した時点における肺障害の診断、予測および/または予後判定の変化の有無が判断される。したがって、この方法によって、患者の、特に炎症に起因する肺障害の診断、予測および/または予後判定における変化を経時的に監視することができる。
一実施形態において、特に炎症に起因する肺障害を監視する方法は、(i)2点以上の時点で患者から得た試料中のLTBP2量を測定するステップと、(ii)(i)で測定された試料間でLTBP2量を比較するステップと、(iii)(ii)で比較した試料間においてLTBP2量がずれているかいないかを判定するステップと、(iv)ずれているかいないかを判定することによって、2点以上の連続した時点間における患者の肺障害の変化を得るステップとを含む。したがって、この方法によって、特に炎症に起因する肺障害の程度を評価し、患者の疾患の進行を経時的に監視することができる。
特に炎症に起因する肺障害、または特に炎症に起因する肺障害の予後不良のうちいずれか1つを予測または診断することは、特にLTBP2レベルの上昇に関連し得る。
例えば、肺障害がない(すなわち、健常である)という予測または診断を表す基準値、あるいは緩和の可能性があることまたは可逆的な肺障害の予後良好を表す基準値とそれぞれ比較して、患者から得た試料中のLTBP2量(すなわちずれ)が増加することは、患者が、特に炎症に起因する肺障害を起こしている、または起こすおそれがあることを示し、あるいは、患者における肺障害の予後不良、特に肺機能障害に起因する死亡率の増加を示しているが、これに限るわけではない。
また、患者の重篤なCOPD、肺炎または肺臓死などの、重篤な肺合併症を発症するリスクを評価または予測するための方法であって、前記方法の検査段階が、前記患者から得た血液試料中のLTBP2またはその断片の量を測定することを含む、方法が提供される。
また、患者に、特に炎症に起因する肺障害を治療するための治療法が必要であるかないか(例えば、まだ必要か、最早必要でないか)を決定する方法も開示されており、その方法は、(i)患者から得た試料中のLTBP2量を測定することと、(ii)LTBP2量の基準値であって、公知の診断、予測および/または予後判定を表している基準値と、(i)で測定されたLTBP2量とを比較することと、(iii)(i)で測定したLTBP2量が基準値からずれているかいないかを判定することと、(iv)その判定によって、特に炎症に起因する肺障害を治療する治療法の必要性の有無を推定することとを含む。
ステップ(i)から(iii)によって、患者が、特に炎症に起因する肺障害を起こしているか、または起こすおそれがあるか、あるいは肺臓死に至る可能性がある不可逆な障害を肺に受けるリスクが上昇するという結論が得られる場合、患者から得た試料中のLTBP2量(すなわち、ずれ)が、肺障害がない(すなわち、健常である)という予測または診断を表す基準値と比較して増加している場合に、特に、治療法が示されてもよい。医療施設に入院してきてすぐの、またはすでに入院中の肺機能障害、呼吸困難、または他の肺関連症候群および障害の患者は、肺障害の治療を開始するまたは継続する必要性があるかを、本明細書で教示されるように検査されてもよく、そのような治療が最早必要でない、またはある限られた程度のみ必要である場合には退院してもよいが、これに限るわけではない。
本明細書で教示される診断、予測、予後判定および/または監視のうちのいずれか1つは、好ましくは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または例えば85%以上もしくは90%以上、もしくは例えば約80%から100%、もしくは約85%から95%である95%以上である少なくとも80%の感度および/または特異性(好ましくは感度および特異性)を見込んでもよい。
本明細書を通して、「疾患および/または病状」への言及は、そのような列挙の内容に一致する範囲で本明細書に開示されたどんな疾患および病状、特に、特に肺炎症による肺機能障害に起因した疾患または病状、肺機能障害、肺炎症、腎機能障害もしくは腎不全、急性心不全、左心室肥大または心臓線維症にともなう、あるいは起因する呼吸困難、および/または肺機能障害もしくは肺不全に起因する死亡率の上昇を含むが、これに限るわけではない。
疾患または病状を診断、予測、予後判定および/または監視する本方法は、そのような疾患または病状を発症しているとまだ診断されていない(例えば、予防スクリーニング)、またはそのような疾患または病状を発症していると診断された、またはそのような疾患または病状を発症している疑いがある(例えば、特徴的な症状を1つ以上呈している)、またはそのような疾患または病状を発症するおそれがある(例えば、遺伝的素質がある、または、発生学的危険因子、環境的危険因子、もしくは行動学的危険因子が1つ以上存在するなど)個人に対して用いられてもよい。本方法は、また、疾患または病状の様々な進行段階または重篤さの段階を検出するのに用いられてもよい。本方法は、また、予防的処置もしくは治療処置、または他の介入に対する疾患または病状の応答を検出するのに用いられてもよい。さらに、本方法は、患者の疾患または病状が悪化しているか、現状維持であるか、部分的に回復しているか、または完全に回復しているかを医者が判断するのに用いることができ、その結果、さらに治療するか、観察するか、または患者を医療施設から退院させるかのいずれかが行われる。
本方法によって、医者は、例えば呼吸困難を呈している重篤患者の疾患の状態または病状を、患者から得た試料中のLTBP2レベルを測定することで監視することができる。例えば、以前のLTBP2レベル(例えば、EDに入院した時点)と比べてLTBP2レベルが低下していると、患者の疾患または病状は改善中であるまたは改善したことを示し、一方、以前のLTBP2レベル(例えば、EDに入院した時点)と比べてLTBP2レベルが上昇していると、患者の疾患または病状が悪化したまたは悪化中であることを示す。そのような悪化は、患者の死に至る可能性がある。
本開示を鑑みると、また、
−マーカー(バイオマーカー)としてのLTBP2の使用;
−本明細書で教示されるいずれか1つの疾患または病状に対するマーカー(バイオマーカー)としてのLTBP2の使用;
−診断、予想、予後判定および/または監視のためのLTBP2の使用;
−本明細書で教示されるいずれか1つの疾患または病状を診断、予想、予後判定および/または監視するためのLTBP2の使用;
が提供され、
特に、病状または疾患は、特に肺炎症による肺機能障害や、肺機能障害、肺炎症、腎機能障害もしくは腎不全、急性心不全、左心室肥大または心臓線維症にともなう、あるいは起因する呼吸困難、および/または特に肺炎症による肺機能障害に起因する死亡率の上昇から選ばれてもよい。
−マーカー(バイオマーカー)としてのLTBP2の使用;
−本明細書で教示されるいずれか1つの疾患または病状に対するマーカー(バイオマーカー)としてのLTBP2の使用;
−診断、予想、予後判定および/または監視のためのLTBP2の使用;
−本明細書で教示されるいずれか1つの疾患または病状を診断、予想、予後判定および/または監視するためのLTBP2の使用;
が提供され、
特に、病状または疾患は、特に肺炎症による肺機能障害や、肺機能障害、肺炎症、腎機能障害もしくは腎不全、急性心不全、左心室肥大または心臓線維症にともなう、あるいは起因する呼吸困難、および/または特に肺炎症による肺機能障害に起因する死亡率の上昇から選ばれてもよい。
この診断方法、予測方法、予後判定方法および/または監視方法において、LTPB2の測定は、また、疾患および病状それぞれに関連する1つ以上のさらなるバイオマーカーまたは臨床パラメータの評価と組み合わされてもよい。
したがって、方法の検査段階が、患者から得た試料におけるそのような1つ以上の他のマーカーの有無および/または量を測定することをさらに含む方法も、本明細書で開示される。この点において、任意の公知の、または未知の適切なマーカーが用いられてもよい。
本明細書を通して、「LTBP2以外の」バイオマーカー、または「他のバイオマーカー」に対する言及は、通常、本明細書で開示される疾患および病状を診断、予測、予後判定および/または監視するのに有用な他のバイオマーカーを含む。例えば、腎機能障害を評価するのに有用なバイオマーカーとしては、クレアチニン(すなわち、血清クレアチニンクリアランス)、シスタチンC、および好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、ベータトレースタンパク質、腎障害分子1(KIM−1)、インターロイキン−18(IL−18)などが挙げられるが、これに限るわけではない。本開示において有用なさらなるバイオマーカーとしては、特に、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、プロB型ナトリウム利尿ペプチド(プロBNP)、アミノ末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NTプロBNP)およびC反応性ペプチド、ならびにこれらのうちいずれか1つの断片または前駆体が挙げられる。
したがって、本明細書で教示される患者の疾患または病状を診断、予測および/または予後判定する方法が開示され、この方法は、(i)患者から得た試料中のLTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量を測定するステップと、(ii)(i)の測定値を用いて、LTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量についての患者プロファイルを確立するステップと、(iii)LTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルであって、本発明にかかる病状、症状および/またはパラメータ値の公知の診断、予測および/または予後判定を表している基準プロファイルと、(ii)の患者プロファイルとを比較するステップと、(iv)(ii)の患者プロファイルが基準プロファイルからずれているかいないかを判定するステップと、(v)ずれているかいないかの判定によって、患者の疾患または病状それぞれの特定の診断、予測および/または予後判定を得るステップとを含む。
この方法を2点以上の連続した時点に適用することで、所望の疾患または病状を監視することができる。
本方法では、以前に他のバイオマーカーに用いられた公知の手順にしたがって確立され得るLTBP2量の基準値が用いられてもよい。そのような基準値は、本明細書で定義された本発明の方法の範囲内(すなわち、本方法のステップを構成する)または範囲外(すなわち、本方法のステップを構成しない)のどちらで確立されてもよい。したがって、本明細書で教示される方法のいずれか1つは、LTBP2量の基準値を確立するステップを含み得、この基準値は、(a)本明細書で教示される疾患または病状を発症していないこと、またはその疾患または病状の予後良好を予測または診断すること、あるいは(b)本明細書で教示される疾患もしくは病状、またはその疾患もしくは病状の予後不良を予測または診断することのいずれかを表している。
さらなる態様は、LTBP2量の基準値を確立する方法を提供し、その基準値は、
(a)本明細書で教示される疾患または病状を発症しないことを予測または診断すること、あるいは
(b)本明細書で教示される疾患もしくは病状を予測もしくは診断すること、またはこの疾患もしくは障害を発症するリスクを予測もしくは診断すること
を表し、その方法は、
(i)(i a)それぞれの疾患もしくは病状を発症していない、またはそのような疾患もしくは病状を発症するリスクがない1人以上の患者から得た1つ以上の試料中のLTBP2量、あるいは
(i b)それぞれの疾患もしくは病状を発症している、またはそのような疾患もしくは病状を発症するリスクがある1人以上の患者から得た1つ以上の試料中のLTBP2量
を測定すること、および
(ii)(ii a)それぞれの疾患または病状を発症しないという予測または診断を表す基準値として(i a)で測定されたLTBP2量、あるいは
(ii b)それぞれの疾患または病状の予測または診断を表す基準値として(i b)で測定されたLTBP2量
を保存すること
を含む。
(a)本明細書で教示される疾患または病状を発症しないことを予測または診断すること、あるいは
(b)本明細書で教示される疾患もしくは病状を予測もしくは診断すること、またはこの疾患もしくは障害を発症するリスクを予測もしくは診断すること
を表し、その方法は、
(i)(i a)それぞれの疾患もしくは病状を発症していない、またはそのような疾患もしくは病状を発症するリスクがない1人以上の患者から得た1つ以上の試料中のLTBP2量、あるいは
(i b)それぞれの疾患もしくは病状を発症している、またはそのような疾患もしくは病状を発症するリスクがある1人以上の患者から得た1つ以上の試料中のLTBP2量
を測定すること、および
(ii)(ii a)それぞれの疾患または病状を発症しないという予測または診断を表す基準値として(i a)で測定されたLTBP2量、あるいは
(ii b)それぞれの疾患または病状の予測または診断を表す基準値として(i b)で測定されたLTBP2量
を保存すること
を含む。
本方法では、それ以外に、以前に他のバイオマーカーに用いられた公知の手順にしたがって確立されてもよいLTBP2量ならびに1つ以上のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルが用いられてもよい。そのような基準プロファイルは、本方法の範囲内(すなわち、本方法のステップを構成する)または範囲外(すなわち、本方法のステップを構成しない)のどちらで確立されてもよい。したがって、本明細書で教示される方法は、LTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルであって、(a)本明細書で教示される疾患または病状を発症していないと予測または診断すること、あるいは(b)本明細書で教示される疾患もしくは病状を予測または診断すること、のいずれかを表している基準プロファイルを確立するステップを含んでもよい。
さらなる態様は、LTBP2量ならびに本明細書で教示される疾患または病状を診断、予測、予後判定および/または監視するのに有用な1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルを確立する方法を提供し、その基準プロファイルは、
(a)疾患または病状を発症しないことを予測または診断すること、あるいは
(b)疾患もしくは病状を予測もしくは診断すること、またはこの疾患もしくは病状を発症するリスクを予測もしくは診断すること
を表し、その方法は、
(i)(i a)それぞれの疾患もしくは病状を発症していない、またはそのような疾患もしくは病状を発症するリスクがない1人以上の患者から得た1つ以上の試料、あるいは
(i b)それぞれの疾患もしくは病状を発症している、またはそのような疾患もしくは病状を発症するリスクがある1人以上の患者から得た1つ以上の試料
中のLTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量を測定すること、
(ii)(ii a)(i a)の測定値を用いて、LTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルを作成すること、または
(ii b)(i b)の測定値を用いて、LTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルを作成すること
(iii)(iii a)それぞれの疾患または病状を発症しないという予測または診断を表す基準プロファイルとして(ii a)のプロファイルを保存すること、あるいは
(iii b)それぞれの疾患または病状の予測または診断を表す基準プロファイルとして(ii a)のプロファイルを保存すること
とを含む。
(a)疾患または病状を発症しないことを予測または診断すること、あるいは
(b)疾患もしくは病状を予測もしくは診断すること、またはこの疾患もしくは病状を発症するリスクを予測もしくは診断すること
を表し、その方法は、
(i)(i a)それぞれの疾患もしくは病状を発症していない、またはそのような疾患もしくは病状を発症するリスクがない1人以上の患者から得た1つ以上の試料、あるいは
(i b)それぞれの疾患もしくは病状を発症している、またはそのような疾患もしくは病状を発症するリスクがある1人以上の患者から得た1つ以上の試料
中のLTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量を測定すること、
(ii)(ii a)(i a)の測定値を用いて、LTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルを作成すること、または
(ii b)(i b)の測定値を用いて、LTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルを作成すること
(iii)(iii a)それぞれの疾患または病状を発症しないという予測または診断を表す基準プロファイルとして(ii a)のプロファイルを保存すること、あるいは
(iii b)それぞれの疾患または病状の予測または診断を表す基準プロファイルとして(ii a)のプロファイルを保存すること
とを含む。
さらに、患者または患者集団のLTBP2のベースライン値または基準値を確立する方法であって、(i)本明細書で教示される疾患または病状を患っていない患者から得た、異なる時点の試料のLTBP2量を測定すること、および(ii)本明細書で教示される疾患または病状を患っていない患者のLTBP2のベースライン値または基準値となる、患者の範囲または平均値を算出すること、を含む方法が提供される。
好ましくは、本方法のいずれか1つで意図される患者はヒトである。
LTBP2量ならびに/あるいは1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量は、当該技術において公知である任意の適切な技術を用いて測定されてもよい。例えば、LTBP2量ならびに/あるいは1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量は、それぞれ、LTBP2および/またはその断片に特異的に結合することができる結合剤、ならびに1つ以上の他のバイオマーカーに特異的に結合することができる結合剤を用いて測定されてもよい。例えば、結合剤は、抗体、アプタマー、シュピーゲルマー、光アプタマー、タンパク質、ペプチド、ペプチド類似物質または小分子であってもよい。例えば、LTBP2量ならびに/あるいは1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量は、免疫アッセイ法、質量分析法、またはクロマトグラフィあるいはこれらの方法の組み合わせを用いて測定されてもよい。
本明細書で教示される、患者の疾患または病状を診断、予測、予後判定および/または監視するキットがさらに開示され、このキットは、(i)患者から得た試料中のLTBP2量を測定する手段と、場合によって、好ましくは、(ii)疾患または病状それぞれの公知の診断、予測および/または予後判定を表すLTBP2量の基準値、またはこの基準値を確立する手段と、を含む。このようなキットによって、手段(i)によって患者から得た試料中のLTBP2量を測定することができ、(i)で測定されたLTBP2量を(ii)の基準値または手段(ii)によって確立された基準値と比較することができ、手段(i)によって測定されたLTBP2量が(ii)の基準値からずれているかいないかを判定することができ、その結果、ずれているかいないかの判定によって、患者の疾患または病状それぞれの特定の診断、予測および/または予後判定を得ることができる。
さらなる実施形態により、本明細書で教示される患者の疾患または病状診断、予想、予後判定および/または監視するキットが提供され、このキットは、(i)患者から得た試料中のLTBP2量を測定する手段と、(ii)患者から得た試料において、1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量を測定する手段と、場合によって、好ましくは(iii)LTBP2量ならびに1つ以上のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルを確立する手段と、場合によって、好ましくは(iv)LTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルであって、本発明にかかる病状、症状および/またはパラメータ値の行為の診断、予測および/または予後判定を表している基準プロファイル、またはこの基準プロファイルを確立する手段と、を含む。したがって、そのようなキットによって、患者から得た試料中のLTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量を、それぞれ手段(i)および(ii)により測定することができ、この測定値に基づいてLTBP2量ならびに1つ以上他のバイオマーカーの有無および/または量についての患者プロファイルを確立することができ(例えば、キットに含まれる手段または適切な外部手段を用いる)、患者プロファイルを(iv)の基準プロファイルまたは手段(iv)によって確立された基準プロファイルと比較することができ、患者プロファイルが基準プロファイルからずれているかいないかを判定することができ、その結果、ずれているかいないかの判定によって、患者の疾患または病状それぞれの特定の診断、予測および/または予後判定を得ることができる。
本キットにおいてLTBP2量ならびに/あるいは1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量を測定する手段は、それぞれ、LTBP2および/またはその断片に特異的に結合することができる1つ以上の結合剤、ならびに1つ以上の他のバイオマーカーに特異的に結合することができる1つ以上の結合剤を含んでもよい。例えば、その1つ以上の結合剤のうちいずれか1つは、抗体、アプタマー、シュピーゲルマー、光アプタマー、タンパク質、ペプチド、ペプチド類似物質または小分子であってよい。例えば、その1つ以上の結合剤のうちいずれか1つは、固相または支持体に有利に固定化されてよい。本キットにおいてLTBP2量ならびに/あるいは1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量を測定する手段は、免疫アッセイ法、質量分析法、またはクロマトグラフィあるいはこれらの方法の組み合わせを用いてもよい。
したがって、本明細書で教示される疾患または病状を診断、予測、予後判定および/または監視するキットも開示され、このキットは、(a)LTBP2および/またはその断片と特異的に結合することができる1つ以上の結合剤と、(b)好ましくは、公知の量または濃度のLTBP2および/またはその断片(例えば、対照、基準および/または標準物質として用いる)と、(c)好ましくは、LTBP2量の基準値またはその基準値を確立する手段と、を含む。(a)および/または(c)の成分は、本明細書の他の箇所で教示されるように、適切にラベル化されてもよい。
本明細書で教示される疾患または病状を診断、予測および/または予後判定するキットも開示され、このキットは、(a)LTBP2および/またはその断片に特異的に結合することができる1つ以上の結合剤と、(b)1つ以上の他のバイオマーカーに特異的に結合することができる1つ以上の結合剤と、(c)好ましくは、公知の量または濃度のLTBP2および/またはその断片ならびに公知の量または濃度の1つ以上の他のバイオマーカー(例えば、対照、基準および/または標準物質として用いる)と、(d)好ましくは、LTBP2量ならびに1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルあるいはその基準プロファイルを確立する手段と、を含む。(a)、(b)および/または(c)の成分は、本明細書の他の箇所で教示されるように、適切にラベル化されてもよい。
さらに、本明細書で教示される疾患または病状を診断、予測、予後判定および/または監視する、本明細書で述べるようなキットの使用が開示される。
また、LTBP2および場合によっては本明細書に関係する1つ以上の他のバイオマーカーを測定するのに有用な試薬および器具も開示される。
したがって、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドアレイもしくはマイクロアレイが開示され、これは、(a)LTBP2および/またはその断片であって、好ましくは公知の量または濃度のLTBP2および/またはその断片と、(b)場合によって、好ましくは、1つ以上の他のバイオマーカーであって、好ましくは公知の量または濃度の1つ以上の他のバイオマーカーと、を含む。
また、結合剤アレイまたはマイクロアレイも開示され、これは、(a)LTBP2および/またはその断片に特異的に結合することができる1つ以上の結合剤であって、好ましくは公知の量または濃度の結合剤と、(b)場合によって、好ましくは、1つ以上の他のバイオマーカーに結合することができる1つ以上の結合剤であって、好ましくは公知の量または濃度の結合剤と、を含む。
また、例えば家庭または臨床の場で用いるベッドサイド装置などの携帯装置として構成された、これまで教示されたようなキットが開示される。
したがって、関連する態様は、患者から得た試料中のLTBP2量を測定することができる携帯検査装置を提供し、この装置は、(i)患者から試料を得る手段と、(ii)その試料中のLTBP2量を測定する手段と、(iii)測定された試料中のLTBP2量を視覚化する手段と、を含む。
一実施形態において、要素(ii)および(iii)の手段は同じであってもよく、したがって、患者から得た試料中のLTBP2量を測定することができる携帯検査装置が提供され、この装置は、(i)患者から試料を得る手段と、(ii)その試料中のLTBP2量を測定し、測定された試料中のLTBP2量を視覚化する手段と、を含む。
一実施形態において、視覚化手段は、試料中のLTBP2量がある閾値レベルより上であるか下であるか、および/または、試料中のLTBP2量が、LTBP2量の基準値であって、本明細書で教示される疾患または病状の公知の診断、予測および/または予後判定を表している基準値からはずれているかいないかを示すことができる。したがって、携帯検査装置は、基準値または基準値を確立する手段も、適切に含んでもよい。
一実施形態において、閾値レベルは、試料中のLTBP2量がその閾値レベルより上であると、患者がそれぞれの疾患または病状を発症している、もしくは発症するリスクがある、または患者のそのような疾患または病状が予後不良となることを示し、試料中のLTBP2量がその閾値レベル以下であると、患者が、本明細書で教示される疾患または病状を発症していない、もしくは発症するリスクがない、または患者のそのような疾患または病状が予後良好であることを示すように選択される。
一実施形態において、携帯検査装置は、本明細書で教示される疾患もしくは病状を発症しないという予測もしくは診断を表す、またはそのような疾患もしくは病状が予後良好であることを表す基準値、あるいはその基準値を確立する手段を含み、患者から得た試料中のLTBP2量が基準値と比較して増加することは、患者がそれぞれの疾患もしくは病状を発症しているまたは発症するリスクがあること、あるいは患者のそのような疾患または病状が予後不良であることを示す。別の実施形態において、携帯検査装置は、本明細書で教示される疾患もしくは病状の予測もしくは診断を表す、またはそのような疾患もしくは病状が予後不良であることを表す基準値、あるいはその基準値を確立する手段を含み、患者から得た試料中のLTBP2量が基準値に相当する量であることは、患者がそれぞれの疾患もしくは病状を発症しているまたは発症するリスクがあること、あるいは患者のそのような疾患または病状が予後不良であることを示す。
これらの態様、およびさらなる態様、ならびに好ましい実施形態については、以下の項および添付の特許請求の範囲において説明する。
本明細書で用いられるように、単数形の”a”、”an”および”the”は、その内容が明らかに別のことを指示しない限り、単数および複数の指示物の両方を含む。
本明細書で用いられる「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」および「からなる(comprised of)」は、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」または「含んでいる(containing)」、「含む(contains)」と同義であり、包括的または制限がなく、追加的な、再引用されていない部材、構成要素、または方法のステップを排除しない。
端点による数値範囲の列挙は、それぞれの範囲内に含まれるすべての数および端数、ならびに引用された端点を含む。
パラメータ、量、期間などの測定可能な値に言及する際に本明細書で用いられる「約」なる語は、特定の値の、および特定の値からの変動を含むことが意図され、このような変動が、開示された発明において適切である限りは、特に、特定の値の、および特定の値からの±10%以下、好ましくは±5%以下、より好ましくは±1%以下、さらに好ましくは±0.1%以下の変動を含むことが意図される。「約」という修飾語が言及する値自体も、明確に、好ましく開示されることは理解されるべきである。
本明細書で引用される文献はすべて、参考としてその全内容が本明細書に組み込まれる。
特に明記しない限り、本発明を開示する際に用いられる、技術用語および化学用語を含むすべての用語は、本発明が属する技術分野における当業者が通常理解するような意味である。本発明の教示をより良く理解するために、さらなる手引きによって、用語の定義が含まれてもよい。
「バイオマーカー」なる語は、当該技術分野において広く普及しており、患者におけるその質的および/または量的な評価が、患者の表現型および/または遺伝子型の1つ以上の特徴に対して、例えば所与の疾患または病状に関する患者の状態に対して、予測的であるまたは情報を与える(例えば、予測的である、診断に役立つ、および/または予後経過を示す)生体分子および/またはその検知可能な部分であることを意味してもよい。
本明細書における「本明細書で教示される疾患および/または病状」への言及または同様の言及は、そのような列挙の内容に一致する範囲で、本明細書で開示される疾患および病状、特に肺炎症を含む。
「肺機能障害」なる語は、肺機能が損なわれる、すなわち肺または肺組織の機能が不完全である疾患または障害を含む。その例としては、肺炎症、肺炎、気管支炎、呼吸困難、COPD、肺気腫などが挙げられるが、これに限るわけではない。いくつかの例を以下で説明するが、これに限るわけではない。
「肺炎症」または「肺の炎症」なる語は、本明細書において区別なく用いられる場合があり、通常、肺または肺組織の機能が炎症のために不完全となる状態、疾患および病状を含む。
肺炎症は、感染性の事象または無菌の事象によって起こる、あるいは急性腎障害または心臓の再灌流障害が起こった際に産生される炎症性物質などの別の臓器で産生された炎症性物質によって起こる場合がある。
肺炎症の兆候および症状は、咳、胸痛、熱、呼吸困難、チアノーゼまたは皮膚の蒼白化、鋭い胸痛、胸部圧迫感、悪寒、喀痰または鼻汁の産生、喘鳴、体重減少、食欲不振および倦怠感のうち1つ以上を含んでもよいが、これに限るわけではない。
呼吸困難(呼吸窮迫または息切れ)は、自体公知であり、「質的に異なる様々な激しさの感覚からなる不快な呼吸の主観的経験」と特に定義される場合がある、特に、患者が不快または嫌な呼吸感覚として感じる一般的で苦しい症状のことをいう場合がある。呼吸困難は、潜在的な病状に関係している場合がある。
感染性の事象によって引き起こされる肺炎症は、肺炎、気管支炎または慢性閉塞性肺疾患(COPD)のうちの1つ以上から選択されてもよい。
「肺炎」、「気管支炎」および「慢性閉塞性肺疾患」(COPD)なる語は、本明細書で用いられるように、当該技術分野で確立されたそれぞれの意味を持つ。さらなる手引きによると、「肺炎」なる語は、一般に、特に微小気嚢または肺胞に影響する肺の炎症状態のことをいう。肺炎は、細菌、ウイルス、真菌または寄生虫の感染によって引き起こされる場合があり、あるいは自己免疫疾患、化学物質または薬剤によって引き起こされる場合がある。肺炎は、感染性肺炎および非感染性肺炎、またはびまん性肺胞障害、器質化肺炎、非特異的間質性肺炎、リンパ球性間質性肺炎、剥離性間質性肺炎、呼吸細気管支性間質性肺疾患および通常間質性肺炎などの突発性間質性肺炎を含む。
「気管支炎」なる語は、一般に、気管支、または気管から肺まで空気の流れを運ぶ気道の粘膜の炎症のことをいう。気管支炎は、急性気管支炎および慢性気管支炎を含む。急性気管支炎は、気道から吐き出される(咳をして吐き出される)喀痰または粘液の有無にかかわらず、咳の発症で特徴付けられる。急性気管支炎は、普通の風邪またはインフルエンザなどの急性ウイルス性疾患の経過において、しばしば発症する。慢性気管支炎は、慢性閉塞性肺疾患の一種であり、少なくとも2年間、1年あたり3ヶ月以上続く湿性咳があることで特徴付けられる。慢性気管支炎は、タバコの煙または大気汚染などの刺激物を吸引することで引き起こされる気道の回帰性障害に起因して、もっともよく発症する。
「慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)」(COPD)なる語は、「慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive lung disease)」(COLD)、「慢性閉塞性気道疾患」(COAD)、「慢性気流制限」(CAL)または「慢性閉塞性呼吸器疾患」(CORD)としても知られており、慢性気管支炎および肺気腫とともに起こる。
肺気腫は、自体公知であり、特に、終末細気管支から遠位にある気室が、その器壁の破壊をともなって拡張されることをいう。気室壁の破壊によって、呼吸中に酸素および二酸化炭素を交換するのに有効な表面積が減少し、また肺自体の弾力性が減少して、その結果、肺に埋め込まれる気道の支持が失われる。この気道は、気流のさらなる制限により、よりつぶれやすくなる。
無菌の事象で引き起こされる肺炎症は、珪肺症、虚血、アナフィラキシーの発症または狼瘡のうちの1つ以上から選択されてもよい。
「珪肺症」なる語は、珪粉症としても知られており、結晶性シリカ粉末を吸引することで引き起こされる職業性肺疾患の一形態である。珪肺症は、肺上葉における炎症および結節性病変状の瘢痕によって典型的に特徴付けられる。
「虚血(ischemia)」、「虚血(ischaemia)」または「虚血性ストレス」なる語は、一般に、血液供給の制限、すなわち酸素、ブドウ糖および他の血行性栄養素の不足により組織の障害または機能障害が起こることによって特徴付けられる疾患または病状をいう。虚血は、腎虚血、心筋虚血、脳虚血、腸間膜虚血、虚血性大腸炎、虚血性脳卒中、下肢虚血または皮膚虚血であり得る。虚血は、慢性または急性であり得る。
「アナフィラキシーの発症」または「アナフィラキシー」なる語は、一般に、突然発症し死に至る場合がある重篤なアレルギー反応のことをいう。アナフィラキシーは、喉の腫脹、痒みをともなう発疹および低血圧を含む多くの症状を引き起こし得る。
「狼瘡」なる語は、「全身エリテマトーデス」(SLE)としても知られ、体のあらゆる箇所に影響する全身性自己免疫疾患(または、自己免疫結合組織疾患)である。狼瘡とは、抗体免疫複合体の形成によって起こるIII型の過敏症反応のことをいう場合がある。SLEにはある特定の原因はないが、多くの環境刺激および遺伝的感受性によって起こる場合がある。
肺炎症は、急性腎障害または心臓もしくは脳の再灌流障害が起こった際に産生される炎症性物質などの別の臓器で産生された炎症性物質によって起こる場合がある。
炎症性物質は、炎症誘発性サイトカインであってもよく、インターフェロンガンマ、IL−2、IL−10,顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、TGF−ベータ、IL8(CXCL1)、IL−6、IL−18、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP−)−2、単球走化性タンパク質(MCP)−1は腎虚血において増加し、また、IL−1ベータ、IL−1アルファ、TNF−アルファはシスプラチン誘導性AKIにおいて増加する。他のマーカーとしては、フラクタルカイン(CX3CL1)が挙げられる。
「急性腎障害」(AKI)、「急性腎不全(acute kidney failure)」または「急性腎不全(acute renal failure)」なる語は、区別なく用いられる場合がある。AKIは、以下に述べるような“RIFLE”(リスク、障害、機能不全、機能喪失、末期腎疾患)分類法を用いて、5つの別々のステージに段階付けされてもよい(分類され得る、類別され得る)(ラミエール(Lameire)ら、『ランセット(Lancet)』2005年;365巻:417〜430頁に基づく)。
「リスク」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
血清クレアチニンが1.5倍に増加
尿量基準
6時間で0.5 mL/kg/h未満
「障害」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
血清クレアチニンが2倍に増加
尿量基準
12時間で0.5 mL/kg/h未満
「機能不全」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
血清クレアチニンが3倍に増加、またはクレアチニンが急に上昇した場合(44 mM/L超)、355 mM/Lより多いクレアチニン量
尿量基準
24時間で0.3 mL/kg/h未満、または12時間無尿
「機能喪失」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
4週間より長く持続する急性腎不全
尿量基準
----------
「末期」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
3ヶ月より長く回復しない末期腎疾患
尿量基準
----------
「リスク」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
血清クレアチニンが1.5倍に増加
尿量基準
6時間で0.5 mL/kg/h未満
「障害」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
血清クレアチニンが2倍に増加
尿量基準
12時間で0.5 mL/kg/h未満
「機能不全」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
血清クレアチニンが3倍に増加、またはクレアチニンが急に上昇した場合(44 mM/L超)、355 mM/Lより多いクレアチニン量
尿量基準
24時間で0.3 mL/kg/h未満、または12時間無尿
「機能喪失」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
4週間より長く持続する急性腎不全
尿量基準
----------
「末期」
GFR(血清クレアチニンに基づく)基準(GFR=糸球体ろ過率)
3ヶ月より長く回復しない末期腎疾患
尿量基準
----------
急性腎障害は、以下に述べるような“AKIN”(急性腎障害ネットワーク)の基準を用いて段階付けされ得てもよい(バグショウ(Bagshaw)ら、『ネフロロジー・ダイアリシス・トランスプランテーション(Nephrol. Dial. Transplant.)』2008年;23巻(5):1569〜1574頁に基づく)。
ステージ1
血清クレアチニン基準
26.2 μmol/l超の血清クレアチニンの増加、またはベースラインから150〜199%以上(1.5〜1.9倍)
尿量基準
6時間以上0.5 mL/kg/h未満
ステージ2
血清クレアチニン基準
ベースラインから200〜299%以上(2〜2.99倍超)の血清クレアチニンの増加
尿量基準
12時間以上0.5 mL/kg/h未満
ステージ3
血清クレアチニン基準
ベースラインから300%以上(3倍以上)の血清クレアチニンの増加、またはクレアチニンの急な上昇(少なくとも44 μmol/l)をともなう、354 mM/L超のクレアチニン、またはRRTの開始
尿量基準
24時間以上0.3 mL/kg/h未満、または12時間以上無尿
ステージ1
血清クレアチニン基準
26.2 μmol/l超の血清クレアチニンの増加、またはベースラインから150〜199%以上(1.5〜1.9倍)
尿量基準
6時間以上0.5 mL/kg/h未満
ステージ2
血清クレアチニン基準
ベースラインから200〜299%以上(2〜2.99倍超)の血清クレアチニンの増加
尿量基準
12時間以上0.5 mL/kg/h未満
ステージ3
血清クレアチニン基準
ベースラインから300%以上(3倍以上)の血清クレアチニンの増加、またはクレアチニンの急な上昇(少なくとも44 μmol/l)をともなう、354 mM/L超のクレアチニン、またはRRTの開始
尿量基準
24時間以上0.3 mL/kg/h未満、または12時間以上無尿
腎不全の異なるステージが同様または類似の分類となる、腎不全を段階付ける他の方法が、本明細書で用いられる場合がある。
「再灌流障害」なる語は、一般に、虚血または酸素欠乏が起こった期間の後、組織への血液供給が再開した際に起こる組織障害のことをいう。
発明者らは、LTBP2またはその断片を、患者の肺炎症を診断、予測、予後判定および/または監視する血液バイオマーカーとして使用することを実現した。ここで、肺炎症を診断、予測、予後判定および/または監視することは、患者の肺炎症の程度を評価することを含む。
肺障害に関連する合併症は、肺梗塞、肺組織機能喪失、肺気腫、肺線維症、無気肺、胸膜炎、肺高血圧症を含み得る。
肺障害の程度は、次のように評価されてもよい:(i)障害なし、(ii)治療せずに放置した場合、合併症をひき起こし得る可逆的または修復可能な障害をともなう肺炎症、あるいは(iii)潜在的で、不可逆的または修復不可能な生理学的損傷、病的状態をともなう、または致命的である肺炎症。
「病的状態」なる語は、一般に、任意の原因による病気の状態、身体障害、または健康障害のことをいう。この語は、任意の形態の疾患の存在、または病状が患者に影響を与える程度について言及するのに用いられる場合がある。重篤患者においては、病的状態のレベルは、しばしばAPACHE II、SAPS IIおよびIII、グラスゴー・コーマ・スケール、PIM2、ならびにSOFAなどのICU評価システムによって測定される。
「致命的であること」なる語は、一般に、致命的である、または死亡しやすい状態または状況のことをいう。死亡率の上昇は、特に、本発明を鑑みると、肺合併症、とりわけ肺臓死に起因して死亡するリスクが高いことを示す。
腎臓由来のバイオマーカーは、クレアチニン(すなわち、血清クレアチニンクリアランス)、シスタチンC、および好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、ベータトレースタンパク質、腎障害分子1(KIM−1)、インターロイキン−18(IL−18)のうち1つ以上であってもよい。
炎症性バイオマーカーは、1つ以上の炎症誘発性サイトカインであってよく、インターフェロンガンマ、IL−2、IL−10,顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、TGF−ベータ、IL8(CXCL1)、IL−6、IL−18、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP−)−2、単球走化性タンパク質(MCP)−1は腎虚血において増加し、また、IL−1ベータ、IL−1アルファ、TNF−アルファはシスプラチン誘導性AKIにおいて増加する。他のマーカーとしては、フラクタルカイン(CX3CL1)、CRP、プロカルシトニン、白血球数が挙げられる。
「ナトリウム利尿ペプチド」なる語は、一般に、プロB型ナトリウム利尿ペプチド、アミノ末端プロB型利尿ペプチド、およびB型ナトリウム利尿ペプチドのうち1つ以上のことをいう。本明細書で用いられるように、「プロB型ナトリウム利尿ペプチド」(“プロBNP”とも省略される)、「アミノ末端プロB型利尿ペプチド」(“NTプロBNP”とも省略される)、および「B型ナトリウム利尿ペプチド」(“BNP”とも省略される)は、当該技術分野においてこれらの名称で一般に知られているペプチドのことをいう。さらに説明すると、インビボでプロBNP、NTプロBNPおよびBNPは、ナトリウム利尿ペプチド前駆体Bプレプロタンパク質(プレプロBNP)から得られるが、これに限るわけではない。特に、プロBNPペプチドは、プレプロBNPからN末端の分泌シグナル(リーダー)配列を除いた残りの部分に一致する。プロBNPの76番目のアミノ酸にC末端側から隣接する後半部が切断を受けた後のプロBNPペプチドのN末端部分にNTプロBNPが一致し、そのC末端部分にBNPが一致する。
「肺線維症(lung fibrosis)」または「肺線維症(pulmonary fibrosis)」なる語は、「肺の瘢痕」とも記され、一般に、肺において繊維性結合組織が過剰に形成または成長することをいう。
「予測する」または「予測」、「診断する」または「診断」および「予後判定する」または「予後判定」なる語は、一般的であって、医療行為および臨床診療において十分理解されている。所与の疾患または病状を「診断、予測および/または予後判定する方法」なる語句もまた、疾患または病状の「診断、予測および/または予後判定のための方法」、あるいは疾患または病状について「診断、予測および/または予後判定をする(または決定するもしくは確立する)方法」などと交換可能であることは理解されるべきである。
さらに説明すると、「予測する」または「予測」は、一般に、その疾患または病状を(まだ)発症していない患者において、疾患または病状を事前に告知する、指摘する、または予告することをいうが、これに限るわけではない。例えば、患者の疾患または病状の予測は、被検者が、例えばある期間内に、またはある年齢までに疾患または病状を発症する確率、可能性またはリスクを指摘することであってもよい。その確率、可能性またはリスクは、とりわけ、絶対値、範囲または統計データとして示される場合があり、あるいは適切な対照被検者または被検者集団と比較して(例えば、一般の、正常または健康な被検者または被検者集団と比較して)示されてもよい。したがって、患者が疾患または病状を発症する確率、可能性またはリスクは、適切な対照患者または患者集団に対して増加したまたは減少した、あるいは何倍増加したまたは減少したとして示されてもよい。本明細書で用いられるように、本明細書で教示される患者の疾患または病状の「予測」なる語は、また、特に、患者がそのような疾患または病状を「肯定的に」予測される、すなわち患者がそのような疾患または病状を発症するリスクがある(例えば、そのリスクは、対照患者または患者集団と比較して有意に上昇している)ということを意味する。本明細書で述べるように、本明細書で教示される患者の疾患または病状が「ないと予測する」なる語は、特に、患者がそのような疾患または病状を「否定的に」予測される、すなわち患者がそのような疾患または病状を発症するリスクは、対照患者または患者集団と比較して有意に上昇していないということを意味する。
「診断する」または「診断」なる語は、症状および兆候ならびに/または様々な診断手順の結果に基づき(例えば、診断される疾患または病状に特徴的な1つ以上のバイオマーカーの有無および/または量を知ることで)、疾患または病状について認識する、判断する、または結論を下すプロセスまたは行為をいう。本明細書で用いられるように、本明細書で教示される患者の疾患または病状の「診断」は、特に、患者がそのような疾患または病状を発症しており、それ故、そのような疾患または病状を発症していると診断されることを意味する。本明細書で教示される患者の疾患または病状を「ないと診断すること」は、特に、患者がそのような疾患または病状を発症しておらず、それ故、そのような疾患または病状を発症していないと診断されることを意味する。そのような疾患または病状を思わせる従来の症状または兆候を1つ以上呈しているにもかかわらず、患者はそのような疾患または病状を発症していないと診断される場合もある。
「予後判定する」または「予後判定」なる語は、一般に、疾患または病状の進行の予測および回復の見込み(例えば、確率、期間および/または程度)をいう。
本明細書で教示される疾患または病状が予後良好であるということは、一般に、疾患または病状から、好ましくは許容できる期間内に、部分的に十分回復するまたは完全に回復すると予測することを含んでもよい。そのような疾患または病状が予後良好であるということは、より一般的には、好ましくは所与の期間内に、そのような疾患または病状がさらに悪化しない、または重篤化しないと予測することを含んでもよい。
本明細書で教示される疾患または病状が予後不良であるということは、一般に、不十分な回復および/または不十分に遅い回復を予測すること、あるいはほぼ回復せず、またはそのような疾患または病状がさらに悪化し、特に、病気にかかった患者が死に至ると予測することを含む。
本明細書で用いられる「患者(subject)」または「患者(patient)」なる語は、ヒトを意味するが、ヒト以外の動物、好ましくは温血動物、さらに好ましくはヒト以外の霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタなどの哺乳類への言及を含んでもよい。
本明細書で用いられる「試料」または「生体試料」なる語は、被検体から得られた生物試料を含む。試料としては、全血、血漿、血清、赤血球、白血球(例えば、末梢血単核球細胞)、唾液、尿、糞便(すなわち、***物)、涙、汗、皮脂、乳頭吸引物、乳管洗浄物、腫瘍滲出物、関節液、脳脊髄液、リンパ、穿刺吸引物、羊水、その他の体液、細胞溶解物、細胞分泌物、炎症性液体、***および膣分泌液が挙げられるが、これに限るわけではない。好ましい試料としては、検出可能な量のLTBP2タンパク質を含む試料が挙げられる。好ましい実施形態において、試料は、全血、または血漿、血清、もしくは細胞ペレットなどのその部分的な成分であってもよい。好ましくは、試料は、最小限の侵襲で患者から分離または単離できる方法によって容易に得ることができる。試料には、また、組織試料および生検試料、組織のホモジェネートなどが含まれてもよい。好ましくは、LTBP2レベルを検出するのに用いる試料は、血漿である。また好ましくは、LTBP2レベルを検出するのに用いる試料は、尿である。
「血漿」なる語は、細胞を含まないが、血液細胞(赤血球、白血球、血小板など)が懸濁され、栄養素、糖、タンパク質、ミネラル、酵素などを含む、血液の無色の水状液と規定される。
試料中のその分子または検体、あるいは分子群または検体群の有無および/または量を、好ましくは他の分子および検体をほぼ除外して検出または決定する際に、試料中のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドなどの分子または検体、あるいは2つ以上のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドなどの2つ以上の分子または検体からなる群が「測定」される。
「量(quantity)」、「量(amount)」および「レベル」なる語は、同義であり、一般に当該技術分野において十分理解されている。本明細書で用いられるこれらの用語は、特に、試料中の分子または検体の絶対的定量、あるいは試料中の分子または検体の相対的定量、すなわち本明細書で教示される基準値またはバイオマーカーのベースライン発現量を示す値の範囲などの他の値に対する相対的定量のことをいってもよい。これらの値または範囲は、1人の患者または患者集団から得ることができる。
試料中の分子または検体の絶対量は、重量またはモル量、あるいはより一般的に、重量/体積濃度またはモル/体積濃度として有利に表されてもよい。
試料中の分子または検体の相対量は、本明細書で教示される基準値などの他の値に対する増加量または減少量、あるいは何倍の増加または何倍の減少として有利に表され得る。第1のパラメータと第2のパラメータ(例えば、第1の量および第2の量)とを相対的に比較して、初めに第1のパラメータおよび第2のパラメータの絶対値を決定してもよいが、その必要はない。例えば、ある測定方法では、第1のパラメータおよび第2のパラメータの定量化可能な測定値(例えば、シグナル強度)を得ることができ、ここでその測定値はパラメータの関数であり、初めに測定値をそれぞれのパラメータの絶対値に実際に変換することなく、測定値を直接比較して第1のパラメータ対第2のパラメータの相対値を得ることができる。
本明細書で用いられるように、「LTBP2」なる語は、潜在型トランスフォーミング成長因子ベータ結合タンパク質2(LTBP2)として一般的に知られている、またGLC3D、LTBP3、MSTP031、C14orf141、すなわち当該技術分野においてこれらの名称で一般的に知られているタンパク質またはポリペプチドとしても知られている、タンパク質に相当する。この用語は、これが見出されるあらゆる生物のタンパク質およびポリペプチドを含み、生物は特に動物であり、動物は好ましくは脊椎動物、さらに好ましくはヒトおよびヒト以外の哺乳類を含む哺乳類、さらに好ましくはヒトである。この用語は、特に、天然配列を有するタンパク質およびポリペプチド、すなわちその一次配列が天然で見られる、または天然由来のLTBP2の一次配列と同じであるタンパク質およびポリペプチドを含む。LTBP2の天然配列は、種間の遺伝的多様性のために、異なる種間では異なってもよいことを、当業者は理解する。また、LTBP2の天然配列は、所与の種内の正常な遺伝的多様性(変動)のために、同じ種の異なる個体間または個体内で異なってもよい。また、LTBP2の天然配列は、転写後修飾または翻訳後修飾のために、同じ種の異なる個体間または個体内で異なっていてもよい。したがって、天然で見られるまたは天然由来のLTBP2配列は、すべて「天然」であるとみなされる。この用語は、生体、臓器、組織または細胞の一部を形成する、また生体試料の一部を形成する、さらにそのような起源から少なくとも部分的に単離されるLTBP2タンパク質およびポリペプチドを含む。また、この用語は、組み換え手段または合成手段によって作成されたタンパク質およびポリペプチドも含む。
例示的なLTBP2は、図1(配列番号:1)に再現されたNCBI Genbank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)登録番号NP_000419(配列バージョン1)に注記されたようなアミノ酸の一次配列を有するヒトLTBP2を含むが、これに限るわけではない。当業者であれば、その配列はLTBP2前駆体の配列であり、成熟LTBP2からは除かれる部分を含み得ることもよく理解できるであろう。例えば、図1において、LTBP2シグナルペプチドは、アミノ酸配列中小文字で示されている。
一実施形態において、循環LTBP2、例えば血漿中を循環する分泌型は、細胞結合型または細胞内LTBP2タンパク質とは対照的に、検出されてもよい。
本明細書におけるLTBP2に対する言及は、LTBP2断片を含んでもよい。したがって、本明細書におけるLTBP2の測定に対する、またはLTBP2量の測定に対する言及は、例えばLTBP2の成熟型、活性型、および/または切断された可溶性/分泌型(例えば、血漿循環型)および/または1つ以上のその断片などの、LTBP2またはポリペプチドを測定することを含んでもよい。例えば、LTBP2および/または1つ以上のその断片は、まとめて測定した種の合計量に測定量が一致するように、まとめて測定されてもよい。別の例においては、LTBP2および/または1つ以上のその断片は、それぞれ個別に測定されてもよい。好ましくは、LTBP2の断片は、LTBP2の血漿循環型である。「LTBP2の血漿循環型」なる表現、または短縮して「循環型」なる表現は、血漿中を循環する、すなわち細胞結合型または膜結合型ではないLTBP2タンパク質またはその断片のすべてを含む。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、そのような循環型は、全長LTBP2タンパク質から天然の反応によって得ることができる、または試料中で起こる公知の分解プロセスによって得ることができる。ある状況においては、循環型は、全長LTBP2タンパク質であってもよく、血漿中を循環するのを見出される。したがって、「循環型」は、試料中を循環している、すなわち試料の細胞画分または膜画分に結合しない細胞LTBP2タンパク質、切断されたLTBP2の可溶型、またはそのいずれか1つの断片であってもよい。
内容から明らかでない限り、本明細書におけるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに対する言及は、これが見出されるあらゆる生物のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを含み、生物は特に好ましくは動物であり、動物は好ましくは脊椎動物、さらに好ましくはヒトおよびヒト以外の哺乳類を含む哺乳類、さらに好ましくはヒトである。
さらに、内容から明らかでない限り、本明細書におけるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド、およびそれらの断片に対する言及は、一般に、例えばリン酸化、グリコシル化、脂質化、メチル化、システイン化、スルホン化、グルタチオン化、アセチル化、メチオニンのメチオニンスルホキシドまたはメチオニンスルホンへの酸化などの発現後修飾を受けるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド、および断片を含んでもよい。
一実施形態において、LTBP2およびその断片、または本明細書で用いられる他のバイオマーカーおよびその断片は、ヒト由来であり、すなわちその一次配列は、ヒトの天然ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の、それが相当する一次配列と同じであるか、またはその一次配列が、ヒトの天然ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質内に存在する。したがって、この文脈における「ヒトの」なる修飾語は、その由来または起源よりもむしろ、それぞれのタンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたは断片の一次配列に関係する。例えば、そのようなタンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたは断片は、ヒトの患者の試料に存在し、またはその試料から単離されてもよく、あるいは他の手段(例えば、組み換え発現、無細胞翻訳、または非生物的ペプチド合成)によって得てもよい。
タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの「断片」なる語は、一般に、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのN末端側および/またはC末端側が欠失または切除された形態をいう。この用語は、例えば、タンパク質またはポリペプチドの選択的翻訳や、例えばインビボまたはインビトロにおける物理的、化学的、および/または酵素的タンパク質分解などによる、エキソ型および/またはエンド型タンパク質分解ならびに/あるいは分解などの、いかなる機構で生じた断片も含むが、これに限るわけではない。タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの断片は、そのタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのアミノ酸配列の少なくとも約5%、または例えば20%以上、30%以上、40%以上などである少なくとも約10%、例えば60%以上、70%以上、または80%以上などである50%以上、またさらには90%以上もしくは95%以上に相当してもよいが、これに限るわけではない。
例えば、断片は、対応する全長タンパク質の5つ以上の連続したアミノ酸、または10個以上の連続したアミノ酸、または20個以上の連続したアミノ酸、または例えば40個以上の連続したアミノ酸である30個以上のアミノ酸、例えば60個以上、70個以上、80個以上、90個以上、100個以上、200個以上、300個以上、400個以上、500個以上もしくは600個以上の連続したアミノ酸などの50個以上の連続したアミノ酸の配列を含んでもよい。
一実施形態において、断片は、対応する成熟型全長タンパク質、またはその可溶型もしくは血漿循環型と比較して、N末端側および/またはC末端側が1から約20アミノ酸、例えば1から約15アミノ酸、または1から約10アミノ酸、または1から約5アミノ酸、切除されていてもよい。
一実施形態において、所与のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの断片は、試料から有利に検出可能なペプチドを得るために、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのインビトロでのタンパク質分解によって実現されてもよい。例えば、そのようなタンパク質分解は、適切な物理的、化学的および/または、例えばプロテイナーゼ、好ましくはエンドプロテイナーゼ、すなわちタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド鎖の内部を切断するプロテアーゼなどの酵素的試薬によって行ってもよい。適切なエンドプロテイナーゼとしては、セリンプロテイナーゼ(EC 3.4.21)、スレオニンプロテイナーゼ(EC 3.4.25)、システインプロテイナーゼ(EC 3.4.22)、アスパラギン酸プロテイナーゼ(EC 3.4.23)、メタロプロテイナーゼ(EC 3.4.24)およびグルタミン酸プロテイナーゼが挙げられるが、これに限るわけではない。例示的なエンドプロテイナーゼとしては、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、Lysobacter enzymogenes由来エンドプロテイナーゼ Lys−C、Staphylococcus aureus由来エンドプロテイナーゼ Glu−C(エンドペプチダーゼ V8)またはClostridium histolyticum由来エンドプロテイナーゼ Arg−C(クロストリパイン)が挙げられるが、これに限るわけではない。さらに、公知の、またはまだ確認されていない酵素が用いられてもよい。当業者であれば、所望のペプチド形態を達成するために、切断特異性および切断頻度に基づいて、適切なプロテアーゼを選択することができるであろう。好ましくは、タンパク質分解は、好ましくはトリプシンであるトリプシン型エンドペプチダーゼ(EC 3.4.21.4)を用いて行われてもよく、その例としてはウシ膵臓、ヒト膵臓、ブタ膵臓から調製されたトリプシン、組み換え型トリプシン、リジンアセチル化トリプシン、溶液中のトリプシン、固相担体に固定されたトリプシンなどが挙げられるが、これに限るわけではない。トリプシンは、とりわけ高い特異性および切断効率のために、特に有用である。本発明では、トリプシン様プロテアーゼ、すなわちトリプシンと同様の特異性を有するプロテアーゼの使用も意図するものである。そうではなく、タンパク質分解に化学試薬を用いてもよい。例えば、CNBrはMetで切断することができ、BNPS−スカトールはTrpで切断することができる。治療のための条件、例えばタンパク質濃度、酵素または化学試薬の濃度、pH、緩衝液、温度、時間は、用いる酵素または化学試薬に応じて、当業者が決定することができる。
したがって、上記で定義されたような、単離されたLTBP2の断片も提供される。そのような断片は、生体試料中のLTBP2の存在および量について有用な情報を与える場合があり、そのため断片を検出することは興味深い。したがって、本明細書に開示されたLTBP2の断片は、有用なバイオマーカーである。好ましいLTBP2の断片は、配列番号2で説明されるような配列を含むか、本質的にその配列からなるか、またはその配列からなってよい。
特定の成分(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはそれらの断片)に対する「単離された」なる語は、一般に、そのような成分が、その天然における環境の1つ以上の他の成分から、例えば分離されまたは分離して調製されるなどして、離れて存在していることを意味する。例えば、単離されたヒトまたは動物のタンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたは断片は、それが天然状態で存在するヒトまたは動物の体からは、離れて存在している。
本明細書で用いられる「単離された」なる語は、好ましくは、「精製された」なる修飾語も含んでもよい。本明細書で用いられるように、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび/またはそれらの断片に対する「精製された」なる語は、完全な純度を必要としない。その代わり、そのようなタンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび/またはそれらの断片が、生体試料中にあるよりも、分離された環境中にある方が、他のタンパク質に対して量(便宜上、質量、重量または濃度に関して表す)が多いことを意味する。分離された環境とは、例えば単一の溶液、ゲル、沈殿物、凍結乾燥物などの単一の媒質を意味する。精製されたペプチド、ポリペプチドまたは断片は、例えば研究室での合成または組み換え合成、クロマトグラフィ、分取電気泳動、遠心分離、沈殿、アフィニティ精製などの公知の方法によって得られてもよい。
精製されたタンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび/または断片は、好ましくは、重量で表して、分離された環境のタンパク質含量の10%以上、より好ましくは60%以上などである50%以上、さらに好ましくは80%以上などである70%以上、さらにより好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または100%などである90%以上を構成してもよい。タンパク質含量は、例えばローリー法(ローリー(Lowry)ら、『ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J Biol Chem)』1951年;193巻:265頁)によって、また場合によっては1972年のハートレー(Hartree)による方法(『アナリティカル・バイオケミストリー(Anal Biochem)』48巻:422〜427頁)によって求められてもよい。また、ペプチドまたはポリペプチドの純度は、還元条件下または非還元条件下におけるSDS−PAGEによって、クマシーブルーまたは好ましくは銀染色を用いて求められてもよい。
さらに、検出可能なラベルを含む、本明細書で教示される単離LTBP2またはその断片が開示される。このことにより、そのような断片は容易に検出可能となる。本明細書を通して用いられる「ラベル」なる語は、検出可能で、好ましくは定量化可能な測定値または性質を与えるのに用いることができ、ペプチド、ポリペプチド、または特異的な結合剤などの目的物に付ける、またはその目的物の一部を形成することができるような原子、分子、部分または生体分子をいう。ラベルは、質量分析的手段、分光学的手段、光学的手段、比色的手段、磁気的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、または化学的手段によって適切に検出されてもよい。ラベルとしては、染料;32P、33P、35S、125I、131Iなどの放射性ラベル;高電子密度試薬;酵素(例えば、一般に免疫アッセイに用いられる西洋ワサビホスファターゼまたはアルカリホスファターゼ);ビオチン−ストレプトアビジンなどの結合部;ジゴキシゲニンなどのハプテン;発光性、燐光性または蛍光性部;質量タグ;および単独または蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)によって発光スペクトルを抑制または移動させる部分と組み合わせた蛍光色素が挙げられるが、これに限るわけではない。
例えば、ラベルは、質量を変更するラベルであってもよい。好ましくは、質量を変更するラベルは、対応する非ラベル化ペプチドと比べて、ペプチドの1つ以上のアミノ酸に、異なる安定なアイソトープを存在させてもよい。質量ラベル化されたペプチドは、陽性対照、基準および標準物質として、質量分析への適用に特に有用である。特に、1つ以上の異なるアイソトープを含むペプチドは、化学的に区別はなく、同じようにクロマトグラフィおよび電気泳動で分離し、また、同じようにイオン化および断片化する。しかしながら、適切な質量分析器においては、そのようなペプチド、および場合によっては選ばれたその断片化イオンは、区別可能なm/z比を示し、したがって区別可能である。区別可能な安定なアイソトープの組の例としては、HおよびD、12Cおよび13C、14Nおよび15N、または16Oおよび18Oが挙げられる。通常、本発明において分析される生体試料のペプチドおよびタンパク質は、実質的に、例えばH、12C、14Nおよび16Oなどの、天然において広く存在する一般的なアイソトープのみを含んでもよい。そのような場合、質量ラベル化されたペプチドは、例えばD、13C、15Nおよび/または18Oなどの、天然においてあまり存在しないまれなアイソトープ1つ以上でラベルされてもよい。生体試料のペプチドまたはタンパク質がまれなアイソトープを1つ以上含む場合、質量ラベル化されたペプチドは、一般的なアイソトープをそれぞれ含む場合があるとも考えられる。
とりわけ1つ以上の同位体ラベル化アミノ酸基質を用いてそのようなペプチドを合成または組み換えで生産することで、あるいは非ラベル化ペプチドを化学的または酵素的に修飾して1つ以上の異なるアイソトープを導入することで、同位体ラベル化された合成ペプチドを得てもよい。例として、市販の重水素化L−メチオニン CH3-S-CD2CD2-CH(NH2)-COOH、または重水素化アルギニン H2NC(=NH)-NH-(CD2)3-CD(NH2)-COOHの存在下で、Dラベル化ペプチドを合成、または組み替えで生産してもよいが、これに限るわけではない。重水素化、または15Nもしくは13Cを含む形態が存在するアミノ酸が、ラベル化ペプチドの合成または組み替えによる生産に用いられるとみなしてもよいことは、よく理解されるべきである。別の例としては、ペプチドは、H2 16OまたはH2 18O中でトリプシン処理され、ペプチドのCOOH末端の2つの酸素(それぞれ、16Oまたは18O)が組み込まれてもよいが、これに限るわけではない(例えば、米国特許公開番号第2006/105415号)。
したがって、LTBP2の質的または量的検出アッセイ(測定方法)、特に、肺機能障害、特に患者の肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視する方法において、場合によっては検出可能なラベルを含む、本明細書で教示されるLTBP2およびその単離された断片の、(陽性)対照、基準または標準物質としての使用も意図される。タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、とりわけ、沈殿物、真空乾燥物、凍結乾燥物、液体または凍結状態の溶液中、または、例えば固相クロマトグラフィ担体、ガラス、プラスチックまたは他の適切な表面(例えば、ペプチドアレイおよびマイクロアレイの一部として)などの固相に共有結合もしくは非共有結合で固定化された状態など、どんな形態で供給されてもよい。ペプチドは、例えば天然源から単離される、または組み替えもしくは合成で調製されるなど、容易に調製されてもよい。
さらに、本明細書で教示されるLTBP2の単離された1つ以上の断片に特異的に結合することができる結合剤が開示される。また、本明細書で教示されるLTBP2の単離された断片1つのみに特異的に結合することができる結合剤が開示される。本明細書を通して意図される結合剤は、とりわけ、抗体、アプタマー、シュピーゲルマー、光アプタマー、タンパク質、ペプチド、ペプチド類似物質または小分子を含んでよい。
結合剤は、LTBP2の血漿循環型および細胞結合型または細胞残留型と結合することができてもよい。好ましくは、結合剤は、LTBP2の血漿循環型と特異的に結合する、またはこれを特異的に検出することができてもよい。
本明細書を通して用いられる「特異的に結合する」なる語は、試薬(ここでは「特異的な結合剤」も意味する)が、例えば、無作為で無関係な他の分子を実質的に除外し、場合によっては構造的に近い他の分子を実質的に除外して1つ以上の目的のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドもしくはそれらの断片などの1つ以上の所望の分子または検体に結合することを意味する。「特異的に結合する」なる語は、試薬が、排他的にその意図する標的に結合することを必ずしも必要としない。例えば、結合条件下で、そのような意図する標的に対する試薬の親和性が、標的でない分子に対する親和性よりも少なくとも約2倍高い、好ましくは少なくとも約5倍高い、より好ましくは少なくとも約10倍高い、さらに好ましくは少なくとも約25倍高い、さらに好ましくは少なくとも50倍高い、さらに好ましくは少なくとも100倍以上高い場合に、試薬は、目的のタンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび/またはそれらの断片に特異的に結合すると言ってもよい。
好ましくは、試薬は、結合の親和定数(KA)がKA≧1×106M−1で、より好ましくはKA≧1×107M−1で、より好ましくはKA≧1×108M−1で、さらに好ましくはKA≧1×109M−1で、さらに好ましくはKA≧1×1010M−1またはKA≧1×1011M−1でその意図する標的に結合してもよく、ここで、KA=[SBA_T]/[SBA][T]であって、SBAは特異的な結合剤を、Tは意図する標的を意味する。KAは、当該技術分野において公知の方法、たとえば平衡透析およびスキャッチャードプロット解析を用いて求めることができる。
本明細書を通して用いられる特異的な結合剤としては、とりわけ、抗体、アプタマー、シュピーゲルマー、光アプタマー、タンパク質、ペプチド、ペプチド類似物質または小分子が挙げられる。
本明細書で用いられるように、「抗体」なる語は、広義に用いられ、一般に免疫学的結合剤のことをいう。この用語は、具体的に、完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗体からなる多価(例えば、2価、3価またはそれ以上)抗体および/または多重特異性抗体(例えば、二重特異的、またはそれ以上)、および、所望の生物学的活性(特に、目的の抗原に特異的に結合する能力)を呈する限りにおける抗体断片、ならびにそのような断片の多価および/または多重特異性の複合体を含む。「抗体」なる語は、免疫化を含む方法によって作製された抗体を含むのみならず、例えば、目的の抗原のエピトープに特異的に結合することができる相補性決定領域(CDR)を少なくとも1つ含むように作られ、組み替え発現されたポリペプチドなどのポリペプチドも含む。したがって、この用語は、インビトロまたはインビボのどちらで産生されたかにかかわらず、そのような分子に適用される。
抗体は、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMクラスのいずれであってもよく、好ましくはIgGクラス抗体である。抗体は、例えば抗血清またはそれから精製された(たとえば、アフィニティ精製された)免疫グロブリンなどのポリクローナル抗体であってもよい。抗体は、モノクローナル抗体またはモノクローナル抗体の混合物であってもよい。モノクローナル抗体は、より強い選択性および再現性で、特定の抗原または抗原の特定のエピトープを標的とすることができる。その例として、モノクローナル抗体は、1975年にコーラー(Kohler)らが初めて述べた(『ネイチャー(Nature)』256巻:495頁)ハイブリドーマ法、または組み換えDNA法(例えば、米国特許番号第4,816,567号)によって作成されてもよいが、これに限るものではない。モノクローナル抗体は、例えば、1991年にクラックソン(Clackson)ら(『ネイチャー(Nature)』352巻:624〜628頁)、および1991年にマークス(Marks)ら(『ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J Mol Biol)』222巻:581〜597頁)が述べた技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
抗体結合剤は、抗体断片であってもよい。「抗体断片」としては、抗原結合領域または可変領域を含む、完全な抗体の一部を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、FvおよびscFv断片;二重特異性抗体;直線状抗体;一本鎖抗体分子;および、抗体断片からなる二重特異性抗体、三重特異性抗体および多重特異性抗体などの多価抗体および/または多重特異性抗体が挙げられる。上記のFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFvなどの呼称は、当該技術分野で規定された意味を持つことが意図される。
「抗体」なる語は、好ましくは鳥類および哺乳類などを含む脊椎動物種である任意の動物種に由来する抗体、またはこれに由来する1つ以上の部分を含む抗体を含む。抗体は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、ホロホロチョウ、ウズラまたはキジ由来であってよいが、これに限るものではない。また、抗体は、ヒト、ネズミ(例えば、マウス、ラットなど)、ロバ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、モルモット、ラクダ(例えば、フタコブラクダおよびヒトコブラクダ)、ラマ(例えば、アルパカ、リャマまたはビクーニャ)またはウマ由来であってよいが、これに限るものではない。
抗体は、1つ以上のアミノ酸欠失、付加および/または置換(例えば、保存的な置換)を、このような変化が起こってもそれぞれの抗原への結合能が保存される限りにおいて含むことができるということを当業者は理解するであろう。抗体は、また、その構成アミノ酸残基の、1つ以上の天然または人工的修飾(例えば、グリコシル化など)を含んでもよい。
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、さらにはそれらの断片の作製方法は、組み替え抗体またはその断片の作成方法と同様、当該技術分野において周知されている(例えば、ハーロウ(Harlow)およびレイン(Lane)『アンチボディ:ラボラトリー・マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)』コールド・スプリング・ハーバー研究所、ニューヨーク;1988年、ハーロウ(Harlow)およびレイン(Lane)『ユージング・アンチボディ:ラボラトリー・マニュアル(Using Antibodies: A Laboratory Manual)』コールド・スプリング・ハーバー研究所、ニューヨーク;1999年;ISBN 0879695447;ゾラ(Zola)編『モノクローナル・アンチボディ:マニュアル・オブ・テクニクス(Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques)』CRCプレス;1987年;ISBN 0849364760)、ディーン(Dean)およびシェパード(Shepherd)編『モノクローナル・アンチボディ:プラクティカル・アプローチ(Monoclonal Antibodies: A Practical Approach)』オックスフォード・ユニバーシティ・プレス;2000年;ISBN 0199637229、ロー(Lo)編『メソッズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Methods in Molecular Biology)』248巻、「アンチボディ・エンジニアリング:メソッズ・アンド・プロトコール(Antibody Engineering: Methods and Protocols)」2004年;ヒューマナ・プレス;ISBN 1588290921などを参照のこと)。
「アプタマー」なる語は、ペプチドなどの標的分子に特異的に結合することができる、一本鎖または二本鎖のオリゴDNA、オリゴRNAまたはそれらの類似体のことを言う。有利には、アプタマーは、それらの標的に対してかなり高い特異性および親和性(例えば、1×109M−1オーダーのKA)を示す。アプタマーの作製については、特に、米国特許番号第5,270,163号、1990年のエリントン(Ellington)およびゾスタック(Szostak)(『ネイチャー(Nature)』346巻:818〜822頁)、1990年のツエルク(Tuerk)およびゴールド(Gold)(『サイエンス(Science)』249巻:505〜510頁)、またはクルスマン(Klussmann)編『アプタマー・ハンドブック:ファンクショナル・オリゴヌクレオチド・アンド・ゼア・アプリケーション(The Aptamer Handbook: Functional Oligonucleotides and Their Applications)』2006年;ワイリーVCH;ISBN 3527310592に記載されており、これらは参考のために本明細書に組み込まれる。「光アプタマー」なる語は、標的分子と共有結合または架橋することができる1つ以上の光反応性官能基を含むアプタマーのことをいう。「ペプチド類似物質」なる語は、対応するペプチドの位相幾何学的類似体である非ペプチド試薬のことをいう。ペプチドに対するペプチド類似物質を合理的に設計する方法は、当該技術分野において公知である。例えば、硫酸化された8merのペプチドCCK26−33に基づく3つのペプチド類似物質および11merのペプチドサブスタンスPに基づく2つのペプチド類似物質の合理的な設計、ならびに関連するペプチド類似物質の設計の原理は、1995年にホーウェル(Horwell)によって述べられている(『トレンズ・イン・バイオテクノロジー(Trends Biotechnol)』13巻:132〜134頁)。シュピーゲルマーは、D−ヌクレオチドの代わりにL−ヌクレオチドで構成されたアプタマーである。哺乳類は、L−オリゴヌクレオチドを分解するのに必要な機構を持たないので、シュピーゲルマーはより安定である。
「小分子」なる語は、医薬に一般的に用いられる有機分子と同等のサイズを有する、好ましくは有機化合物である化合物のことをいう。この用語は、生体高分子(例えば、タンパク質、核酸など)は含まない。好ましい有機小分子のサイズ範囲は、例えば約4000Da以下である約5000Da以下、好ましくは3000Da以下、より好ましくは2000Da以下、さらに好ましくは例えば約900Da、800Da、700Da、600Da以下または約500Da以下である約1000Da以下である。
したがって、場合によっては呈示性担体に付加された、本明細書で教示されるLTBP2の断片を用い(すなわち、免疫抗原として用い)、例えば実験動物または家畜などのヒト以外の動物を免疫する方法も開示される。免疫化および免疫血清からの抗体試薬の調製は、自体公知であり、本明細書の他の箇所で言及された文献に記載されている。免疫される動物には、好ましくは温血種、より好ましくは鳥類および哺乳類などを含む脊椎動物種である任意の動物種を含む。抗体は、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、ホロホロチョウ、ウズラまたはキジ由来であってよいが、これに限るものではない。また、抗体は、ヒト、ネズミ(例えば、マウス、ラットなど)、ロバ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、モルモット、ラクダ、ラマまたはウマ由来であってよいが、これに限るものではない。「呈示性担体」または「担体」なる語は、一般に、第2分子に結合した際に、通常は、追加的にT細胞エピトープを供給することで、第2分子に対する免疫応答を増大させる免疫性の分子のことをいう。呈示性担体は、(ポリ)ペプチド構造体または、例えば、特に、グリカン、ポリエチレングリコール、ペプチド模倣薬、合成ポリマーなどの非ペプチド構造体であってもよい。担体の例としては、ヒトB型肝炎ウイルスコアタンパク質、多重C3dドメイン、破傷風毒素フラグメントCまたは酵母Ty粒子が挙げられるが、これに限るわけではない。
本明細書で教示される免疫化によって得られる、または得ることができる免疫血清は、本明細書で開示される1つ以上のLTBP2断片に特異的に結合する抗体試薬を作製するのに特に有用であってもよい。
さらに、(a)本明細書で教示される1つ以上のLTBP2断片に(b)LTBP2および/またはそれの他の断片を実質的に除外して結合する特異的な結合剤を選択する方法が開示される。好都合なことに、そのような方法は、(b)の条件の望まないLTBP2分子に交差反応するまたは交差結合する結合剤を減じるまたは除去することに基づいて行い得る。アフィニティクロマトグラフィ、アフィニティ固相抽出、アフィニティ磁気抽出などの様々なアフィニティ分離方法により、当該技術分野において公知の通り、容易にそのように減じてもよい。
既存の利用可能な、または従来の分離、検出、および定量化の方法を、本明細書において、試料中のLTBP2および/またはその断片、ならびに場合によっては1つ以上の他のバイオマーカーまたはその断片(LTBP2およびその断片を含む、測定対象である試料中の目的の分子または検体は、本明細書において、以下まとめてバイオマーカーという場合がある)の有無(例えば、有りに対して無し、または検出可能な量に対して検出不可能な量を示す測定値)および/または量(例えば、絶対濃度または相対濃度などの絶対量または相対量を示す測定値)を測定するのに用いることができる。
例えば、そのような方法は、免疫アッセイ法、質量分析解析法またはクロマトグラフィ法、あるいはそれらの組み合わせを含んでもよい。
「免疫アッセイ」なる語は、一般に、試料中の目的の1つ以上の分子または検体を検出する方法として知られる方法のことをいい、ここで目的の分子または検体に対する免疫アッセイの特異性は、一般には抗体である特異的結合剤と、目的の分子または検体との間の特異的な結合によって与えられる。免疫アッセイ法としては、直接ELISA(酵素免疫アッセイ法)、間接ELISA、サンドウィッチELISA、競合ELISA、多重ELISA、放射免疫アッセイ(RIA)、ELISPOT法、および当該技術分野において公知の他の類似の技術が挙げられるが、これに限るわけではない。これらの免疫アッセイ法の原理は、例えばジョン R.クロウサー(John R. Crowther)『ELISAガイドブック(The ELISA Guidebook)』2000年;第1版;ヒューマナ・プレス;ISBN 0896037282など、当該技術分野において公知である。
さらに説明すると、直接ELISAは、ラベル化された一次抗体を用いて、マイクロウェルプレートなどの固相担体に固定された試料中の標的抗原に結合させ、それにより標的抗原を定量化するが、これに限るわけではない。間接ELISAは、標的抗原に結合する非ラベル化一次抗体、および抗原に結合した一次抗体を認識し、これを定量化させるラベル化された二次抗体を用いる。サンドウィッチELISAにおいては、抗原中の抗原部位の1つに結合する、固定化された「捕捉」抗体を用いて試料から標的抗原を捕捉し、結合しなかった検体を除いた後に、抗原中の別の抗原部位に結合する「検出」抗体を用いて捕捉された抗原を検出する。ここで、検出抗体は、上記のように、直接ラベル化されているか、間接的に検出可能であれば良い。競合ELISAは、一次抗体または標的抗原であってよいラベル化された「競合物質」を用いる。例えば、固定化された非ラベル化一次抗体を試料と共にインキュベートし、この反応を平衡化させ、その後ラベル化された標的抗原を加える。標的抗原は、試料中の非ラベル化標的抗原によってまだ占有されていない一次抗体の結合部位に結合する。このように、結合したラベル化抗原の検出量は、試料中の非ラベル化抗原の量に逆相関する。多重ELISAは、通常は複数のアレイ配列において、単一区画(例えば、マイクロプレートのウェル)内の2つ以上の検体を同時に検出できる(さらなる手引きのために、例えば、ニールセン(Nielsen)およびガイエルシュタンガー(Geierstanger)『ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッド(J Immunol Methods)』2004年;290巻:107〜120頁、リン(Ling)ら『エキスパート・レビュー・オブ・モレキュラー・ダイアグノシス(Expert Rev Mol Diagn)』2007年;7巻:87〜98頁を参照)。上記からわかるように、ELISA法におけるラベル化は、通常、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)との結合によるものであり、最終段階は、典型的に、比色定量、化学発光または蛍光、磁気、圧電、焦電およびその他である。
放射免疫アッセイ(RIA)は、競合をベースにした技術であり、既知量の放射性ラベル化された(例えば、125Iまたは131Iラベル化された)標的抗原を、この抗原に対する抗体と混合し、試料中の非ラベル化または「非放射性」抗原を加え、置き換わったラベル化抗原の量を測定することを含む(手引きのために、チャード T(Chard T)編『イントロダクション・トゥ・ラジオイムノアッセイ・アンド・リレイテッド・テクニクス(An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques)』1995年;エルゼビア・サイエンス;ISBN 0444821198を参照)。
一般に、ペプチドの質量について、また好ましくは断片化および/または選択されたペプチドのアミノ酸の(部分)配列(例えば、タンデム質量分析 MS/MSまたはポストソース分解 TOF−MSにおいて)についての正確な情報を得ることができる質量分析(MS)法は、本明細書において有用である。適切なペプチドMSおよびMS/MSの方法ならびにそのシステムは、それ自体公知であり(例えば、チャップマン(Chapman)編『メソッズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Methods in Molecular Biology)』2000年;146巻;ヒューマナ・プレス;ISBN 089603609xの「マス・スペクトロメトリー・オブ・プロテイン・アンド・ペプチド(Mass Spectrometry of Proteins and Peptides)」、ビーマン(Biemann)『メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods Enzymol)』1990年;193巻:455〜479頁、またはバーリンガム(Burlingame)編『メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)』2005年;402巻;アカデミック・プレス;ISBN 9780121828073の「バイオロジカル・マス・スペクトロメトリー(Biological Mass Spectrometry)」を参照)、本明細書で用いられる場合がある。バイオマーカーのペプチドの解析に適したMSの装置、機器およびシステムとしては、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)MS;MALDI−TOFポストソース分解(PSD);MALDI−TOF/TOF;表面増強レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(SELDI−TOF)MS;エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS);ESI−MS/MS;ESI−MS/(MS)n(nはゼロより大きい整数);ESI 3Dまたはリニア(2D)イオントラップMS;ESI三連四重極MS;ESI四重極直交TOF(Q−TOF);ESIフーリエ変換MSシステム;ケイ素上脱離イオン化(DIOS);二次イオン質量分析(SIMS);大気圧化学イオン化法質量分析(APCI−MS);APCI−MS/MS;APCI−(MS)n;大気圧光イオン化法質量分析(APPI−MS);APPI−MS/MSおよびAPPI−(MS)nが挙げられるが、これに限るわけではない。タンデムMS(MS/MS)装置におけるペプチドのイオン断片化は、例えば衝突誘起解離(CID)などの、当該技術分野において確立された方法を用いて行ってもよい。質量分析によるバイオマーカーの検出および定量化は、中でも2004年にクーン(Kuhn)らによって述べられた(『プロテオミクス(Proteomics)』4巻:1175〜1186頁)、多重反応モニタリング(MRM)を含んでもよい。MSペプチド解析法は、本明細書の以下で述べるクロマトグラフィおよび他の方法などの、ペプチドまたはタンパク質分離法あるいは分別法をその上流に有利に組み合わせてもよい。
バイオマーカーの測定には、クロマトグラフィを用いることもできる。本明細書で用いられるように、「クロマトグラフィ」なる語は、そのように呼ばれ、当該技術分野において非常に役立つ、化学物質を分離するための方法を含む。好ましい方法において、クロマトグラフィは、液体または気体の流れ(「移動相」)によって運ばれる化学物質(検体)の混合物が、固定相液体または固相(「固定相」)の周囲またはその上を流れながら、検体が移動相と固定相との間で特異的に分布する結果、成分が分離するプロセスのことをいう。固定相は、通常、細かく分割された固体、フィルター材のシート、または固体表面上の薄い液体の膜などであってよい。クロマトグラフィは、また、アミノ酸、タンパク質、タンパク質またはペプチドの断片などの、生物由来の化合物の分離にも広く適用できる。
本明細書で用いられるクロマトグラフィは、好ましくはカラムクロマトグラフィであり(すなわち、固定相がカラム内に充填されているかまたは詰められている)、好ましくは液体クロマトグラフィであり、より好ましくはHPLCである。クロマトグラフィの詳細は、当該技術分野において周知されているが、さらなる手引きのために、例えば、マイヤー M.(Meyer M.)による1998年のISBN:047198373Xおよびビドリングマイヤー B. A.(Bidlingmeyer, B. A.)『プラクティカル・HPLC・メソドロジー・アンド・アプリケーションズ(Practical HPLC Methodology and Applications)』1993年;ジョン・ワイリー&サンズ社を参照のこと。クロマトグラフィの種類の例としては、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、順相HPLC(NP−HPLC)、逆相HPLC(RP−HPLC)、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィなどのイオン交換クロマトグラフィ(IEC)、親水性相互作用クロマトグラフィ(HILIC)、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)、ゲルろ過クロマトグラフィまたはゲル浸透クロマトグラフィなどのサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、クロマト分画、免疫アフィニティクロマトグラフィなどのアフィニティクロマトグラフィ、固定化金属アフィニティクロマトグラフィなどが挙げられるが、これに限るわけではない。
一次元、二次元、または多次元クロマトグラフィを含むクロマトグラフィは、例えば、本明細書の他の箇所に記載された下流におかれた質量分析解析などの、さらなるペプチド解析法と連結して、ペプチド分別法として用いられてもよい。
さらに、ペプチドまたはポリペプチドの分離、同定または定量化の方法が、場合によっては、本開示のバイオマーカーを測定する上記の解析方法と連結して用いられてもよい。そのような方法としては、化学的抽出分離、キャピラリー等電点電気泳動(CIEF)、キャピラリー等速電気泳動(CITP)、キャピラリー電気クロマトグラフィ(CEC)などの等電点電気泳動(IEF)、一次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D−PAGE)、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)、ミセル導電クロマトグラフィ(MEKC)、無担体電気泳動(FFE)などが挙げられるが、これに限るわけではない。
本明細書で教示される様々な態様および実施形態は、さらに、試料中の測定されたLTBP2量を、LTBP2量の基準値と比較することを必要とし、ここで基準値は、本明細書で教示される疾患または病状の公知の予測、診断および/または予後判定を表す。
本明細書で教示される様々な態様および実施形態は、さらに、試料中の測定されたLTBP2量を、LTBP2量の基準値と比較することを必要とし、ここで基準値は、本明細書で教示される疾患または病状の公知の予測、診断および/または予後判定を表す。
例えば、別々の基準値は、本明細書で教示される所与の疾患または病状を発症するリスク(例えば、リスクが異常に上昇すること)を予測することか、その疾患または病状を発症するリスクがないか正常であると予測することを表してもよい。別の例では、別々の基準値は、そのような疾患または病状を発症するリスクの程度の違いを予測すること表してもよい。
さらなる例では、別々の基準値は、本明細書で教示される所与の疾患または病状を診断することか、そのような疾患または病状を発症していないと診断する(例えば、健康である、あるいはその疾患または病状から回復したと診断する)ことを表してもよい。別の例では、別々の基準値は、重大さが様々であるそのような疾患または病状の診断を表してもよい。
また別の例では、別々の基準値は、本明細書で教示される所与の疾患または病状が予後良好であるか、その疾患または病状が予後不良であるかを表してもよい。さらなる例では、別々の基準値は、そのような疾患または病状の、好ましいかまたは好ましくない様々な予後を表してもよい。
そのような比較は、一般に、比較される値またはプロファイルの間の少なくとも1つの違いの有無、および場合によってはそのような違いの大きさを求める手段を含んでもよい。比較は、目視検査、測定値の算術的比較または測定値の統計学的比較を含んでもよい。そのような統計学的比較は、ルールを適用することを含むが、これに限るわけではない。値またはバイオマーカーのプロファイルが少なくとも1つの標準を含む場合、バイオマーカーの測定値が内部標準の測定値と相関するように、値またはバイオマーカーのプロファイルの違いを求めるための比較が、これら標準の測定値を含んでもよい。
LTBP2量の基準値は、以前に他のバイオマーカーに用いられた公知の手順にしたがって確立され得る。
例えば、本明細書で教示される所与の疾患または病状の特定の診断、予測および/または予後判定のためのLTBP2量の基準値は、その疾患または病状の特定の診断、予測および/または予後判定で特徴付けられた(すなわち、肺炎症の診断、予測および/または予後判定があてはまる)個人またはその集団から得た試料中のLTBP2量を求めることによって確立され得る。そのような集団は、2人以上、10人以上、100人以上、または数百人以上の個人を含んでもよいが、これに限るわけではない。
したがって、説明的な例を挙げると、本明細書で教示される所与の疾患または病状の診断か、そのような疾患または病状を発症していないという診断のためのLTBP2量の基準値は、それぞれ、その疾患または病状を発症しているまたはしていないと診断された(例えば、臨床徴候および臨床症状、画像化、ECGなどの十分に確実な他の手段に基づいて)個人またはその集団から得た試料中のLTBP2量を求めることによって確立されてもよい。
一実施形態において、本明細書で意図される基準値は、LTBP2の絶対量を含んでいてもよい。別の実施形態において、検査を受けた患者から得た試料中のLTBP2量は、基準値に対して(例えば、増加したまたは減少した、あるいは何倍増加したまたは減少したという点で)直接求められてもよい。有利には、このことによって、それぞれのLTBP2の絶対量をまず求める必要なく、患者から得た試料中のLTBP2量を基準値と比較することができてもよい(換言すれば、患者から得た試料中のLTBP2の、基準値に対する相対量を測定することができてもよい)。
患者の試料中のバイオマーカーの発現レベルまたは存在は、時には、変動する、すなわち症状の変化(出現、悪化、または改善)なしに、かなり増加または減少することがあってもよい。そのような場合、マーカーの変化は、症状の変化より先に起こり、症状の変化よりも感度のいい基準となる。治療的介入は、早期に開始することができ、症状の悪化を待つよりも効果的であり得る。状態がよい早期に介入することは、家庭において安全に行われてもよく、救急処置室で深刻に悪化した患者を処置するよりも大幅に改善する。
したがって、異なる時点で同じ患者のLTBP2レベルを測定することにより、そのような場合に患者の状態を持続的に監視することが可能になり、本明細書で教示される所与の疾患または病状について、患者の病状が悪化するかまたは改善するかを予測してもよい。本明細書で示す家庭用または臨床用検査キットまたは装置は、この持続的な監視のために用いることができる。そのような検査のための、ある疾患の状態(例えば、肺炎症を患っているかいないか)に関連するLTBP2レベルの1つ以上の基準値または範囲は、例えば、その患者において、ある期間にわたる監視プロセスの開始前または監視プロセス中に求めることができる。あるいは、これらの基準値または範囲は、類似性が非常に高い疾患表現型を示す患者、例えば健康な患者または目的の疾患または病状を発症していない患者数人のデータセットによって確立することができる。LTBP2レベルの、基準値または範囲からの突発的な逸脱により、(しばしば、ひどい)症状を実際に感じるまたは観察することができる前に、患者の病状の悪化を(例えば、家庭または病院で)予測することができる。
したがって、ある疾患において、臨床状態における変化(悪化するかまたは改善するか)を示すLTBP2マーカーレベルの有意な変化を求める方法またはアルゴリズムも開示される。さらに、本発明により、本明細書で教示される所与の疾患または病状から、患者が回復しているかまたは回復したという診断を確立することができる。
一実施形態において、本方法は、そのような基準値を確立するステップを含んでもよい。一実施形態において、本キットおよび装置は、本明細書で教示される所与の疾患または病状の特定の診断、予測および/または予後判定のための、LTBP2量の基準値を確立する手段を含んでもよい。そのような手段は、例えば、疾患または病状のその特定の診断、予測および/または予後判定によって特徴付けられる1人以上の個人から得た1つ以上の試料(たとえば、別々の試料またはプールされた試料)を含んでもよい。
本明細書で教示される様々な態様および実施形態は、さらに、患者から得た試料中の測定されたLTBP2量と所与の基準値との間にずれがあるかないかを判定することをともなってもよい。
第1値の第2値からの「ずれ」は、一般に、変化の向き(例えば、増加:第1値>第2値、または減少:第1値<第2値)および変化の程度が任意であってもよい。
例えば、ずれは、比較が行われる第2値に対して、第1値が少なくとも約10%(約0.9倍以下)、または少なくとも約20%(約0.8倍以下)、または少なくとも約30%(約0.7倍以下)、または少なくとも約40%(約0.6倍以下)、または少なくとも約50%(約0.5倍以下)、または少なくとも約60%(約0.4倍以下)、または少なくとも約70%(約0.3倍以下)、または少なくとも約80%(約0.2倍以下)、または少なくとも約90%(約0.1倍以下)減少することを含んでもよいが、これに限るわけではない。
例えば、ずれは、比較が行われる第2値に対して、第1値が少なくとも約10%(約1.1倍以上)、または少なくとも約20%(約1.2倍以上)、または少なくとも約30%(約1.3倍以上)、または少なくとも約40%(約1.4倍以上)、または少なくとも約50%(約1.5倍以上)、または少なくとも約60%(約1.6倍以上)、または少なくとも約70%(約1.7倍以上)、または少なくとも約80%(約1.8倍以上)、または少なくとも約90%(約1.9倍以上)、または少なくとも約100%(約2倍以上)、または少なくとも約150%(約2.5倍以上)、または少なくとも約200%(約3倍以上)、または少なくとも約500%(約6倍以上)、または少なくとも約700%(約8倍以上)など、増加することを含んでもよいが、これに限るわけではない。実施例の項では、行った実験において、30日生存者と肺疾患非生存者との間では、LTBP2レベルは約6倍上昇し、すなわち4.5〜7倍の範囲内、好ましくは5.5〜6.5倍の範囲内であった。
1年生存スコアは、肺疾患非生存者におけるLTBP2レベルが、生存者に対して約5.2倍、すなわち約4〜6倍の上昇を示すことを示している。したがって、本質的に、本発明は、肺疾患非生存者におけるLTBP2値が、一般に、生存者に対して少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも4倍上昇することを示す。
好ましくは、ずれは、観察された、統計学的に有意な変化のことをいってもよい。例えば、ずれは、所与の集団において、基準値の許容誤差(例えば、±1×SD、±2×SD、±1×SE、±2×SEなど、標準偏差または標準誤差、あるいはそれらの所定の倍数で表される)から外れるような、観察された変化のことをいってもよい。ずれは、また、所与の集団における値によって規定された基準範囲から外れる(例えば、その集団における値の40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上、または80%以上、または85%以上、または90%以上、または95%以上、または100%以上からなる範囲から外れる)値のことをいってもよい。
さらなる実施形態において、観察された変化が所与の閾値または切り捨て値を越えた場合に、ずれであると結論づけてもよい。そのような閾値または切り捨て値は、当該技術分野において一般的に知られるように選択され、診断、予測および/または予後判定の方法の、選択された感度および/または特異性、例えば、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%の感度および/または特異性を規定してもよい。
例えば、一実施形態において、本明細書で教示される所与の疾患または病状を発症しないという予測または診断を表す基準値、またはその疾患または病状の予後良好を表す基準値と比較して、患者から得た試料中のLTBP2量が上昇すること(例えば約1.1倍から3倍または約1.5倍から2倍などの、好ましくは少なくとも約1.1倍または少なくとも約1.2倍、より好ましくは少なくとも約1.3倍、さらに好ましくは少なくとも約1.4倍、さらに好ましくは少なくとも約1.5倍上昇すること)は、患者がその疾患または病状を発症しているかまたは発症するリスクがあることを示すか、あるいは患者の疾患または病状が予後不良となることを示す。患者の試料中のLTBP2量が上昇することは、典型的に、肺病を患うかまたは発症するリスクが高まり、不可逆的な肺障害または肺機能障害となり、最悪の場合は肺臓死となる可能性があることを示す。
患者から得た試料中のLTBP2量と本明細書で教示される所与の疾患または病状のある診断、予測および/または予後判定を表す基準値との間にずれがあると判定されると、そのずれによって、患者の疾患または病状の診断、予測および/または予後判定が、基準値によって表されるそれと異なるという結論が示されるか、またはそのずれはこの結論に原因があるとされる。
患者から得た試料中のLTBP2量と本明細書で教示される所与の疾患または病状のある診断、予測および/または予後判定を表す基準値との間にずれがないと判定されると、そのようなずれがないことによって、患者の疾患または病状の診断、予測および/または予後判定が、基準値によって表されるそれと実質的に同じであるという結論が示されるか、またはずれがないことはこの結論に原因があるとされる。
上記の考察は、バイオマーカーのプロファイルにも同様に適用される。
患者において、2つ以上の異なるバイオマーカーが決定されると、それぞれの有無および/または量は、共にバイオマーカーのプロファイルとして表されてもよく、測定されたバイオマーカーそれぞれの値はプロファイルの一部をなす。本明細書で用いられるように、「プロファイル」なる語は、本明細書で教示される所与の疾患または病状の特定の診断、予測および/または予後判定などの目的の状態と関連する特有の特色または特徴を表すデータのセットを含む。一般に、この用語は、特に、例えば遺伝子型のプロファイル(目的の状態と関連する1つ以上の遺伝子の遺伝子型を表す遺伝子型データのセット)、遺伝子コピー数のプロファイル(目的の状態と関連する1つ以上の遺伝子の増幅または除去を表す遺伝子コピー数データのセット)、遺伝子発現のプロファイル(目的の状態と関連する1つ以上の遺伝子のmRNAレベルを表す遺伝子発現データのセット)、DNAメチル化のプロファイル(目的の状態と関連する1つ以上の遺伝子のDNAメチル化レベルを表すメチル化データのセット)などの核酸のプロファイルだけでなく、例えばタンパク質発現プロファイル(目的の状態と関連する1つ以上のタンパク質のレベルを表すタンパク質発現データのセット)、タンパク質活性化プロファイル(目的の状態と関連する1つ以上のタンパク質の活性化または不活性化を表すデータのセット)、タンパク質修飾プロファイル(目的の状態と関連する1つ以上のタンパク質の修飾を表すデータのセット)、タンパク質切断プロファイル(目的の状態と関連する1つ以上のタンパク質分解的切断を表すデータのセット)などのタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのプロファイル、さらにそれらの任意の組み合わせを含む。
バイオマーカーのプロファイルは、複数の方法で作成してもよく、比率などの方法またはより複雑な関連づけ方法もしくはアルゴリズム(例えば、ルールに基づく方法)を用いる、測定可能なバイオマーカーまたはバイオマーカーの態様の組み合わせであってもよい。バイオマーカーのプロファイルは、少なくとも2つの測定値を含み、その測定値は、同じバイオマーカーに対応していても異なるバイオマーカーに対応していてもよい。バイオマーカーのプロファイルは、また、少なくとも3つ、4つ、5つ、10個、20個、30個またはそれ以上の測定値を含んでもよい。一実施形態において、バイオマーカーのプロファイルは、数百または数千の測定値を含んでもよい。
したがって、例えば、別々の基準プロファイルは、所与の疾患または病状を発症するリスクの予測(例えば、リスクの異常な上昇)か、疾患または病状を発症するリスクがないまたは正常であるという予測を表してもよい。別の例においては、別々の基準プロファイルは、疾患または病状を発症するリスクの程度の違いの予測を表してもよい。
さらなる例において、別々の基準プロファイルは、本明細書で教示される所与の疾患または病状の診断か、そのような疾患または病状を発症していないという診断(例えば、健康であるという診断、疾患または病状から回復したという診断)を表す。別の例においては、別々の基準プロファイルは、重大さが様々である疾患または病状の診断を表してもよい。
また別の例では、別々の基準値は、本明細書で教示される疾患または病状が予後良好であるか、その疾患または病状が予後不良であるかを表してもよい。さらなる例では、別々の基準値は、そのような疾患または病状の、好ましい、または好ましくない様々な予後を表してもよい。
本明細書で用いられる基準プロファイルは、以前に他のバイオマーカーに用いられた公知の手順にしたがって確立されてもよい。
例えば、本明細書で教示される所与の疾患または病状の診断のための、LTBP2量および1つ以上の他のバイオマーカーの有無および/または量の基準プロファイルは、疾患または病状のその特定の診断、予測および/または予後判定によって特徴付けられる(すなわち、その疾患または病状の診断、予測および/または予後判定があてはまる)個人またはその集団から得た試料のプロファイルを求めることで確立されてもよい。そのような集団は、2人以上、10人以上、100人以上、または数百人以上の個人を含んでもよいが、これに限るわけではない。追加的なバイオマーカーについては、肺炎症、もしくは機能障害の病状である肺障害を示すように本文の別の箇所で定義されているか、またあるいは、腎臓もしくは心臓関連とすることもできる。
したがって、説明的な例を挙げると、本明細書で教示される所与の疾患または病状の診断か、そのような疾患または病状を発症していないという診断のための基準プロファイルは、それぞれ、その疾患または病状を発症しているまたはしていないと診断された個人またはその集団から得た試料中のバイオマーカーのプロファイルを求めることによって確立されてもよい。
一実施形態において、本方法は、そのような基準プロファイルを確立するステップを含んでもよい。一実施形態において、本キットおよび装置は、本明細書で教示される所与の疾患または病状の特定の診断、予測および/または予後判定のための、基準プロファイルを確立する手段を含んでもよい。そのような手段は、例えば、疾患または病状のその特定の診断、予測および/または予後判定によって特徴付けられる1人以上の個人から得た1つ以上の試料(たとえば、別々の試料またはプールされた試料)を含んでもよい。
さらに、当該技術分野において公知の多重パラメータ解析が、そこから生成される値およびプロファイルの群間(例えば、試料および基準バイオマーカープロファイル間)のずれを求めるために、変更すべきところは変更して用いられてもよい。
試料のプロファイルと本明細書で教示される所与の疾患または病状のある診断、予測および/または予後判定を表す基準プロファイルとの間にずれがあると判定されると、そのずれによって、患者の疾患または病状の診断、予測および/または予後判定が、基準プロファイルによって表されるそれと異なるという結論が示されるか、またはそのずれはこの結論に原因があるとされる。
試料のプロファイルと本明細書で教示される所与の疾患または病状のある診断、予測および/または予後判定を表す基準プロファイルとの間にずれがないと判定されると、そのようなずれがないことによって、患者の疾患または病状の診断、予測および/または予後判定が、基準プロファイルによって表されるそれと実質的に同じであるという結論が示されるか、またはずれがないことはこの結論に原因があるとされる。
本発明は、さらに、患者の試料中のLTBP2マーカーのレベルを求める手段を含む、本明細書で教示される疾患または病状のうち任意の1つを診断、予測、予後判定および/または監視するキットまたは装置を提供する。より好ましい実施形態においては、そのような本発明のキットの1つまたは複数のキットを、臨床の現場または家庭において用いることができる。その疾患または病状を診断するか、その疾患または病状を患う患者の治療の有効性を試薬を用いて監視するか、または患者がその疾患または病状を発症するかを予防スクリーニングするために、本発明にかかるキットを用いてもよい。
臨床の現場において、そのキットまたは装置は、ベッドサイド装置の形態、あるいは、緊急救助隊の現場においては、例えば、救急車もしくは他の移動中の緊急車両の設備の一部または救助隊の設備の一部、または救急キットの一部であってもよい。診断キットまたは装置は、医師、救急ヘルパーまたは看護師が、観察下の患者が急性心不全を発症した後適切な行動または治療を行うことができるかどうかを決定するのを援助してもよい。
家庭用検査キットによって、患者は、医者、救急ヘルパーまたは病院の救急科に知らせることができる測定値を得、その後適切な行動をとることができる。そのような家庭用検査装置は、本明細書で教示される疾患または病状のうち任意の1つの病歴があるかまたはそれを患うリスクがある、あるいは呼吸困難の病歴があるか、またはそれを患うリスクがある人にとって、特に興味深い。本明細書で教示される疾患または病状のリスクが高いかまたは呼吸困難の病歴がある患者は、本発明にかかる家庭用検査装置またはキットを家庭に持つことできっと恩恵を受けるであろう。それは特に、そのような患者が、肺炎症と呼吸困難が原因である別の事象とを容易に区別することができ、それによりその問題を解決するためにとるべき行動をより容易に決定する方法がもたらされるからである。
本発明にかかる典型的なキットまたは装置は、以下の要素を含む。
a)患者から試料を得る手段、および
b)その試料中のLTBP2マーカーの量を測定し、その試料中のLTBP2マーカーの量が、ある閾値レベルまたは閾値より下であるかまたはそれより上であるかを視覚化して、患者が本明細書で教示される所与の疾患または病状を患っているかいないかを示す、手段または装置。
a)患者から試料を得る手段、および
b)その試料中のLTBP2マーカーの量を測定し、その試料中のLTBP2マーカーの量が、ある閾値レベルまたは閾値より下であるかまたはそれより上であるかを視覚化して、患者が本明細書で教示される所与の疾患または病状を患っているかいないかを示す、手段または装置。
本発明の実施形態のいずれかにおいて、キットまたは装置は、c)医者、病院の救急科または救急職員と直接通信し、ある人がその疾患または病状を患っているかいないかを示す手段、を追加的に含んでもよい。
「閾値レベルまたは閾値」あるいは「基準値」なる語は、同義語として交換可能に、本明細書で定義されるように用いられる。それは、また、患者個人または疾患の病状の類似性が高い患者の集団において決定されるベースライン(例えば「乾燥重量」)値の範囲であってもよい。
本発明の実施形態のいずれかにおいて、本発明の装置またはキットの一つもしくは複数のキットは、患者の試料中の追加的なマーカーのレベルを決定する手段を追加的に含むことができる。例えば、追加的なマーカーとしては、クレアチニン(すなわち、血清クレアチニンクリアランス)、シスタチンC、および好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、ベータトレースタンパク質、腎障害分子1(KIM−1)、インターロイキン−18(IL−18)、または炎症誘発性サイトカイン、インターフェロンガンマ、IL−2、IL−10,顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、TGF−ベータ、IL8(CXCL1)、IL−6、IL−18、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP−)−2、単球走化性タンパク質(MCP)−1、IL−1ベータ、IL−1アルファ、TNF−アルファ、ならびにこれらのうちのいずれか1つの断片または前駆体が挙げられるであろう。他のマーカーとしては、フラクタルカイン(CX3CL1)、CRP、プロカルシトニン、白血球数、1つ以上のナトリウム利尿ペプチド、およびこれらのうちのいずれか1つの断片または前駆体が挙げられる。
本明細書で定義されるいずれかのキットは、患者自身または医者が用いるベッドサイド装置として用いられてもよい。
その例としては、当該技術分野において周知である側方流動ストリップまたは検査紙用の装置などの、固相に付けられた1つ以上のマーカーに対して特異的に結合する分子を含むシステムが挙げられるが、これに限るわけではない。生化学的アッセイを行う例の1つとして、膜の洗浄を必要としない組み合わせである検査ストリップおよびラベル化抗体を用いることが挙げられるが、これに限るわけではない。検査ストリップは、例えば、抗hCG抗体が担体上に存在し、視覚化を可能にする固定化二次抗体上に尿を流すことでhCGと複合体を形成する妊娠検査キットの分野で周知である。そのような家庭用検査装置、システムまたはキットの他の例は、例えば以下の米国特許に見出すことができるが、これに限るわけではない:米国特許番号第6,107,045号、第6,974,706号、第5,108,889号、第6,027,944号、第6,482,156号、第6,511,814号、第5,824,268号、第5,726,010号、第6,001,658号、または米国特許出願番号第2008/0090305号もしくは第2003/0109067号。好ましい実施形態において、本発明は、側方流動装置または検査紙を提供する。そのような検査紙は、試料を加えるストリップの一端から、試料中の検体の存在が測定されるそのようなストリップの他端へ、毛細管流動によって試料を移動させる検査ストリップを含む。別の実施形態において、本発明は、試薬ストリップを含む装置を提供する。そのような試薬ストリップは、試料で濡らしたときに、検体が存在すると色を変化させる、および/または試料中のタンパク質濃度を示す1つ以上の検査パッドを含む。
試料中の1つ以上のマーカーのうちいずれかのレベルが、ある所定の閾値レベルまたは閾値よりも高い場合にのみシグナルが形成される半定量的な検査ストリップを得るために、LTBP2に対する、所定量の固定された捕捉抗体またはその断片を検査ストリップ上に存在させることができる。このことにより、所定の閾値レベルまたは閾値に相当する量の、試料中のLTBP2またはその断片を捕捉することができる。(もしあれば)例えば共役結合分子またはラベル化結合分子が結合したLTBPまたはその断片の残りの量は、実質的に、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベルが、所定の閾値レベルまたは閾値よりも高い場合にのみシグナルを生じる検出領域に移動できる。
試料中のLTBP2タンパク質の量が、ある閾値レベルまたは閾値より下であるかまたはそれより上であるかを求める別の可能性は、試料中に存在するLTBP2タンパク質を全て捕捉する一次捕捉抗体を、固相に結合したときに、あるシグナルまたは色を発するラベル化二次抗体と組み合わせて用いることである。色またはシグナルの強度を、基準色、またはシグナル強度がシグナルの閾値より上であるときに検査が陽性である(すなわち、肺炎症が差し迫っている)ことを示すシグナル表と比較することができる。あるいは、色またはシグナルの量または強度を、例えば、吸光センサーまたは発光メーターを備える電子機器を用いて測定することができ、それによってシグナル強度または色吸収度が数値で表され、その数値が閾値より下の場合は結果が陰性であり、閾値より上の場合は結果が陽性であることを患者に示すことができる。この実施形態は、特に、ある期間にわたって患者のLTBP2レベルを監視することに関連する。
基準値または基準範囲は、例えば、患者が所与の疾患または病状を発症していない期間に家庭用装置を用いて求めることができ、患者にLTBP2レベルのベースラインの目安が与えられる。家庭用検査装置を定期的に用いることで、患者は、ベースラインレベルと比較してLTBP2レベルが急変したことに気付くことができ、それによって医者に連絡を取ることができる。
あるいは、本明細書で教示される所与の疾患または病状を煩う患者において、個人的なLTBP2の「リスクレベル」、すなわちその疾患または病状にさらされているか、またはすぐにさらされるようになるということを示すLTBP2のレベルを示す基準値を求めることができる。リスクレベルは、疾患の進行を監視するかまたは治療の効果を評価するという点で興味深い。リスクレベルと比較してLTBP2レベルが減少することは、患者の病状が改善していることを示す。
さらに、疾患の状態またはその表現型の類似性が高い患者(例えば、患者全員が、本明細書で教示される所与の疾患または病状を発症していないか、あるいはその疾患または病状を発症している)における測定結果を組み合わせることで、基準値または基準レベルを確立することができる。
当該技術分野において公知のそのような半定量的な検査の例は、その原理を本発明にかかる家庭用検査装置に用いることができるであろう検査であり、サニトーツ社が販売するHIV/AIDS検査または前立腺がん検査が挙げられるが、これに限るわけではない。家庭用前立腺がん検査は、全血中4 ng/mlよりも高いPSAの血中レベルを検出する、初期の半定量的検査として意図される簡易検査である。典型的な家庭用自己検査キットは、以下の構成要素、すなわち血液試料が与えられ、タンパク質レベルがある閾値レベル以上であるときにシグナルを発する検査装置と、例えば試料添加領域からシグナル検出領域まで検体(すなわち、目的のタンパク質)が移動するのを援助する、滴下ピペット中のある量の希釈剤と、場合によっては血液標本を集めるための空のピペットと、指を刺す装置と、場合によっては指を刺す場所をきれいにするための無菌のぬぐい液と、キットの使用説明書と、からなる。
同様の検査は、例えば乳癌の検出、または家庭での心臓病リスク検査の観点から、CRPタンパク質レベルの検出としても公知である。後者の検査は、検査結果を研究所に送ることを含み、そこでは技術者、または医療専門家によってその結果が解釈される。そのように患者の病状を電話またはインターネットに基づいて診断することは、もちろん、たいていのキットで可能で、また望ましい。なぜならば、検査結果を解釈することは、検査を行うことよりも、しばしば重要だからである。試料中のタンパク質レベルを数値で与える上記の電子機器を用いる場合、電話、携帯電話、衛星電話、Eメール、インターネットまたは他の通信手段によって、この値を当然容易に通信することができ、病院、医者または救急隊に、ある人が肺不全を患っているかまたはそのリスクがあるかもしれないことを通知する。そのようなシステムの例が、米国特許番号第6,482,156号に開示されるが、これに限るわけではない。
LTBP2結合分子が固定化されたチップを用いた表面プラズモン共鳴(SPR)、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、生物発光共鳴エネルギー転移(BRET)、蛍光消光、蛍光偏光測定または当該技術分野において公知の他の手段によって、試料中のLTBP2の存在および/または濃度を測定することができる。記載されている結合アッセイのいずれを用いても、試料中のLTBP2の存在および/または濃度を決定することができる。そうするために、LTBP2結合分子を試料と反応させ、LTBP2濃度が、用いる結合アッセイのために適宜測定される。アッセイを有効化し調整するために、異なる濃度の標準LTBP2および/またはLTBP2結合分子を用いた対照反応を行うことができる。固相アッセイが用いられる場合、インキュベーション後に、結合しなかったLTBP2を除くために洗浄ステップが行われる。結合すると、LTBP2は、所与のラベル(例えば、シンチレーション計測、蛍光、抗体色素など)に対して適宜測定される。定性的結果が望まれる場合、対照および異なる濃度は必要なくてもよい。もちろん、LTBP2およびLTBP2結合分子の役割は交換されてもよく、当業者は、LTBP2結合分子が様々な試料濃度の試料に対して加えられるように、その方法を変化させてもよい。
本発明にかかるLTBP2結合分子は、LTBP2に特異的に結合する物質である。本発明にかかる有用なLTBP2結合分子の例としては、抗体、ポリペプチド、ペプチド、脂質、炭化水素、核酸、ペプチド核酸、小分子、有機小分子または他の薬剤候補が挙げられるが、これに限るわけではない。LTBP2結合分子は、例えば、合成小分子、動物、植物、細菌または菌類細胞抽出物に含まれる化合物、さらにはそのような細胞の馴化培地などを含む天然化合物または合成化合物であり得る。あるいは、LTBP2結合分子は、LTBP2結合部位を有する改変タンパク質であり得る。本発明の一態様によると、LTBP2結合分子は、10−6M以上の親和性でLTBP2に特異的に結合する。適切なLTBP2結合分子は、LTBP2の標準試料との結合から決定され得る。LTBP2結合分子とLTBP2との結合を求める方法は、当該技術分野において公知である。本明細書で用いられるように、「抗体」なる語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化またはキメラ抗体、改変抗体、および抗体断片のタンパク質への結合が十分である生物学的な機能を持つ抗体断片(例えば、scFv、ナノボディ、Fvなど)を含むが、これに限るわけではない。そのような抗体は、例えばマウス抗体、ラット抗体、ヒト抗体またはヒト化モノクローナル抗体などの、LTBP2に対する市販の抗体であってもよい。
好ましい実施形態において、結合分子または結合剤は、成熟膜結合型、または細胞結合型LTBP2タンパク質または断片の両方に結合することができる。より好ましい実施形態において、結合剤または結合分子は、本明細書で定義されるように、LTBP2の可溶型、好ましくはLTBP2の血漿循環型に特異的に結合しているかまたはそれを検出している。
本発明の一態様によると、LTBP2結合分子は、他の試薬によって検出することができるタグ(例えば、プローブの結合相手)でラベル化される。そのようなタグは、例えば、ビオチン、ストレプトアビジン、hisタグ、mycタグ、マルトース、マルトース結合タンパク質または当該技術分野において公知の、結合相手を有する他のタグであり得る。プローブ:結合相手の組み合わせで用いることができる会合の例は、例えば、ビオチン:ストレプトアビジン、hisタグ:金属イオン(例えば、Ni2+)、マルトース:マルトース結合タンパク質のいずれであってもよく、これらを含んでもよい。
本キット中の特異的な結合剤、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、バイオマーカーなどは、例えば、凍結乾燥されているか、溶液中で遊離しているかまたは固相に固定化されているなど、様々な形態であってもよい。それらは、例えば、多ウェルプレート中で提供されるか、またはアレイもしくはマイクロアレイとして提供される、あるいは別々におよび/また個別に包装されてもよい。それらは、本明細書で教示されるように適切にラベル化されてもよい。キットは、例えば、免疫アッセイ、ELISAアッセイ、質量分析アッセイなどの、本発明のアッセイ方法を行うのに特に適していてもよい。
「調節する」なる語は、具体的には調節を受けるものの増加(例えば、活性化)または減少(例えば、阻害)の両方を含む質的または量的な変更、変化または変動を一般に意味する。この用語は、そのような調節の程度を含む。
例えば、調節によって、決定できるかまたは測定できる変数がもたらされる場合、調節は、調節を受けない基準状態と比較して、変数の値の、例えば少なくとも約20%である少なくとも約10%の増加、好ましくは例えば少なくとも約40%である少なくとも約30%の増加、より好ましくは例えば少なくとも約75%である少なくとも約50%の増加、さらに好ましくは例えば少なくとも約150%、200%、250%、300%、400%または少なくとも約500%である少なくとも約100%の増加を含んでもよく、あるいは調節は、調節を受けない基準状態と比較して、変数の値の、例えば少なくとも約20%である少なくとも約10%の減少または低下、例えば少なくとも約40%である少なくとも約30%の減少または低下、例えば少なくとも約60%である少なくとも約50%の減少または低下、例えば少なくとも約80%である少なくとも約70%の減少または低下、例えば、少なくとも約96%、97%、98%、99%または100%などである少なくとも約95%である少なくとも約90%の減少または低下を含んでもよい。
好ましくは、意図された標的(例えば、LTBP2遺伝子またはタンパク質)の活性および/またはレベルの調節は、特異的または選択的であってもよく、すなわち、意図された標的の活性および/またはレベルは、無作為で無関係な(意図されない、望まれない)標的の活性および/またはレベルを実質的に変化させることなく調節されてもよい。
LTBP2タンパク質などの標的の「活性」への言及は、一般に、標的の生物学的活性の1つ以上の態様を含んでよく、その例としては、例えば細胞、組織、臓器または有機体中における、その生化学的活性、酵素活性、シグナル伝達活性および/または構造活性のうち1つ以上の態様が挙げられるが、これに限るわけではない。
標的の治療的または予防的ターゲティングとの関連において、LTBP2遺伝子またはタンパク質などの標的の「レベル」への言及は、好ましくは、例えば細胞、組織、臓器または有機体中における標的の量および/または有効性(例えば、その生物学的活性を発揮する有効性)を含んでもよい。
例えば、標的のレベルは、標的の発現を調節すること、および/または発現された標的を調節することによって調節されてもよい。標的の発現の調節は、例えば、ヘテロ核RNA(hnRNA)、mRNA前駆体(プレmRNA)、mRNAまたは標的をコードするcDNAのレベルで行われるかまたは観察されてもよい。例として、例えば細胞、組織、臓器または有機体を、アンチセンスDNAもしくはRNAオリゴヌクレオチド、アンチセンス試薬をコードする構築体、またはsiRNAもしくはshRNAなどのRNA干渉試薬、またはリボザイムもしくはそのようなものをコードするベクターなどのアンチセンス試薬でトランスフェクトするか(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクションなどによって)または形質導入する(例えば、ウイルスベクターを用いて)ことなどの当該技術分野において公知の方法で、標的の発現の減少が達成されてもよいが、これに限るわけではない。例として、例えば細胞、組織、臓器または有機体における適切な発現レベルをもたらす調節配列の制御下において、標的をコードする組み換え核酸で細胞、組織、臓器または有機体をトランスフェクトするか(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクションなどによって)または形質導入する(例えば、ウイルスベクターを用いて)ことなどの当該技術分野において公知の方法で、標的の発現の増加が達成されてもよいが、これに限るわけではない。例として、標的の形態(例えば、フォールディングまたは複合体を形成させる相互作用)および/または安定性(例えば、複合体の成分が複合体へと結合するかまたは複合体から離れる傾向)、標的の分解または細胞局在などの変化によって、標的のレベルは調節されてもよいが、これに限るわけではない。
「アンチセンス」なる語は、一般に、遺伝子発現を阻害するように設計され、意図された標的核酸配列に特異的に結合することができる分子のことをいう。アンチセンス試薬は、典型的に、標的配列と特異的にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体を含み、かつ、典型的に、ゲノムDNA、hnRNA、mRNAまたはcDNA、好ましくは標的核酸に相当するmRNAまたはcDNAと相補的であるかまたは実質的に相補的である核酸配列を含むか、実質的にその核酸配列からなるか、またはその核酸配列からなっていてもよい。本明細書において適切なアンチセンス試薬は、典型的に、それぞれの標的に、高い厳密性でハイブリダイズすることができてもよく、また、生理的条件下で、特異的に標的にハイブリダイズしてもよい。
「リボザイム」なる語は、一般に、ポリヌクレオチドを酵素的に切断することができる核酸分子、好ましくはオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体のことをいう。好ましくは、「リボザイム」は、所与の標的タンパク質のmRNAを切断することができてもよく、それによってその翻訳を低下させる。本明細書で検討されるリボザイムの例としては、ハンマーヘッド型リボザイム、ヘアピン型のリボザイム、デルタ型リボザイムなどが挙げられるが、これに限るわけではない。リボザイムおよびその設計について教示するために、例えば米国特許第5,354,855号、米国特許5,591,610号、1998年ピアス(Pierce)ら(『ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Res)』26巻:5093〜5101頁)、1995年リーバー(Lieber)ら(『モレキュラー・セル・バイオロジー(Mol Cell Biol)』15巻:540〜551頁)、および1993年ベンゼラー(Benseler)ら(『ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J Am Chem Soc)』115巻:8483〜8484頁)などを参照のこと。
「RNA干渉」または「RNAi」技術は、当該技術分野において一般的なものであり、本明細書で意図される適切なRNAi試薬は、特に、当該技術分野において公知の低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二重鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)およびショートヘアピン型RNA(shRNA)分子を含んでもよい。RNAi分子およびその設計について教示するために、特に、2001年エルバシール(Elbashir)ら(『ネイチャー(Nature)』411巻:494〜501頁)、2004年レイノルズ(Reynolds)ら(『ネイチャー・バイオテクノロジー(Nat Biotechnol)』22巻:326〜330頁)、http://rnaidesigner.invitrogen.com/rnaiexpress、2004年ワンおよびムー(『バイオインフォマティクス(Bioinformatics)』20巻:1818〜1820頁)、2004年ユアン(Yuan)ら(『ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Res)』32巻(ウェブ・サーバー版):W130〜134頁)、2004年M ソハイル(M Sohail)著(『ジーン・サイレンシング・バイ・RNA・インターフェランス:テクノロジー・アンド・アプリケーション(Gene Silencing by RNA Interference: Technology and Application)第1版;CRC;ISBN 0849321417)、2005年U シェパーズ(U Schepers)著(『RNA・インターフェランス・イン・プラクティス:プリンシプルズ,ベーシックス,アンド・メソッズ・フォー・ジーン・サイレンシング・イン・C.elegans,Drosophila,アンド・マンマルズ(RNA Interference in Practice: Principles, Basics, and Methods for Gene Silencing in C.elegans, Drosophila, and Mammals)』第1版;ワイリーVCH;ISBN 3527310207)、および2005年D R エンゲルケ(D R Engelke)およびJ J ロッシ(J J Rossi)著(『メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology) 392巻:RNA・インターフェランス(RNA Interference)』第1版;アカデミック・プレス;ISBN 0121827976)を参照のこと。
本明細書で用いる「薬学的に許容される」なる語は、医薬組成物の他の成分と混合可能であり、その受け手にとって有害でない当該技術および手段に一致する。
本明細書で用いられるように、「担体」または「添加剤」は、溶媒、希釈剤、緩衝液(例えば、中性緩衝食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水)、可溶化剤、コロイド、分散溶媒、賦形剤、増量剤、キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、アミノ酸(例えば、グリシン)、タンパク質、崩壊剤、結合剤、潤沢剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香味料、芳香剤、増粘剤、デポー効果を発揮する試薬、コーティング、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、等張化制御剤、吸収遅延剤などのいずれか、および全てを含む。薬学的な活性物質のためのそのような媒質および試薬の使用は、当該技術分野において周知である。従来の媒質または試薬が、活性物質と混合可能でない範囲以外において、治療用成分においての使用が検討されてもよい。
本活性物質(試薬)は、単独で用いられても、本明細書で教示される疾患および病状の、当該技術分野において公知の治療法と組み合わせて(「組み合わせ治療法」)用いられてもよい。本明細書で検討される組み合わせ治療法は、本発明の活性物質の少なくとも1つまたは他の薬学的もしくは生物学的に活性のある他の成分の少なくとも1つを投与することを含んでもよい。本活性物質および薬学的または生物学的に活性のある成分は、同じまたは異なる医薬製剤中、同時にまたはどんな順番であれ順に投与されてもよい。
場合によっては投与される他の活性化合物のうち1つ以上と組み合わせて用いられる本活性物質(試薬)の投与量または量は、個々の状況次第であり、慣例であるように、最適な効果を発揮するための個々の状況に適応させることができる。したがって、その投与量または量は、治療する障害の特質および重症度次第であり、また性別、年齢、体重、全体的な健康、食事、投与のやり方および時間、治療されるヒトまたは動物の個々の反応性、投与の経路、効力、用いられる化合物の代謝安定性および作用の継続時間、治療法が急性か慢性かまたは予防的であるかどうか、あるいは他の活性化合物は本発明の試薬に加えて投与されるかどうかに依存する。
疾患の種類および重症度に応じて、典型的な1日の投与量は、体重1 kgあたり約1 μgから100 mg以上の範囲であり、上記の要因に依存するが、これに限るわけではない。数日またはそれ以上の期間にわたる繰り返し投与のために、状況に応じて、疾患の症状が望むように抑えられるまで治療が継続される。本発明の活性物質の好ましい投与量は、体重1 kgあたり約0.05 mgから約10 mgの範囲であってもよい。したがって、約0.5 mg/kg、2.0 mg/kg、4.0 mg/kg、または10 mg/kg(またはそれらの任意の組み合わせ)のうち1つ以上の投与量が、患者に対して投与されてもよい。そのような投与量は、断続的に、例えば毎週、または2週もしくは3週毎に、投与されてもよい。
本明細書で用いられるように、「治療が必要な患者」などの語句は、本明細書で教示される所与の疾患または病状の治療の恩恵を受けるであろう患者を含む。そのような患者は、その病状であると診断された患者、その病状に罹患するまたは発症する傾向のある患者、および/またはその病状が防がれている患者を含んでもよいが、これに限るわけではない。
「治療する」または「治療」なる語は、既に発症している疾患または病状に対する治療的処置、および予防的または防止的な手段の両方を含み、その目的は、本明細書で教示される疾患または病状の発症および進行を防止するなど、望まない苦痛の発生を防止するか減少することである。有益な、または所望の臨床結果は、1つ以上の症状または1つ以上の生物学的マーカーの軽減、疾患の程度の縮小、疾患の安定した(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延または減速、疾患の状態の改善または緩和などを含んでもよいが、これに限るわけではない。「治療」は、また、治療を受けない場合に期待されるよりも長く生存することを意味することができる。
「予防的に効果的な量」なる語は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医によって探索されたような、患者において障害の発症を阻害するかまたは遅らせる活性化合物または医薬品の量のことをいう。本明細書で用いられる「治療的に効果的な量」なる語は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医によって探索される、患者における生物学的または医薬的な応答を引き起こす活性化合物または医薬品の量のことをいい、特に治療される疾患または病状の症状の軽減を含んでもよい。治療的および予防的に効果的な本化合物の投与量を求める方法は、当該技術分野において公知である。
上記の態様および実施形態は、以下の実施例によってさらに支持されるが、実施例に限るわけではない。
(実施例1:LTBP2のためのMASSterclass標的タンパク質の定量)
MASSTERCLASS実験装置
MASSterclassアッセイは、最終段階のペプチド定量化システムとして、安定なアイソトープ希釈液を用いる標的タンデム質量分析(多重反応モニタリング(MRM)および単一反応モニタリング(SRM)とも呼ばれる)を用いる。標的ペプチドは、目的の特定タンパク質に特異的(すなわち、タンパク質典型的)であり、すなわち測定されるペプチドの量は、元の試料中のタンパク質量と直接関連する。複合的な試料におけるバイオマーカーの定量化に必要な特異性および感度に到達するために、最終段階の定量化ステップの前にペプチドの分別が行われる。
MASSTERCLASS実験装置
MASSterclassアッセイは、最終段階のペプチド定量化システムとして、安定なアイソトープ希釈液を用いる標的タンデム質量分析(多重反応モニタリング(MRM)および単一反応モニタリング(SRM)とも呼ばれる)を用いる。標的ペプチドは、目的の特定タンパク質に特異的(すなわち、タンパク質典型的)であり、すなわち測定されるペプチドの量は、元の試料中のタンパク質量と直接関連する。複合的な試料におけるバイオマーカーの定量化に必要な特異性および感度に到達するために、最終段階の定量化ステップの前にペプチドの分別が行われる。
適切なMASSTERCLASSアッセイは、以下のステップを含む。
− 血漿/血清試料
− ProteoPrepスピンカラム(シグマ・アルドリッチ)を用いた抗アルブミン抗体および抗IgG抗体による、アフィニティ捕捉を用いたヒトアルブミンおよびIgGの減少(タンパク質レベルの複雑さの減少)
− 公知の量の同位体ラベル化ペプチドの混合。このペプチドは、質量の違いを生むために組み込まれた同位体ラベル化アミノ酸を典型的に1つ含む目的のタンパク質典型的ペプチドと同じアミノ酸配列を有する。ラベル化ペプチドは、分子質量に基づく最終段階の定量化ステップの間を除いて、プロセス全体の間、内因性のペプチドと同一の化学的およびクロマトグラフ的挙動を示す。
− トリプシン消化。減少処理を行った血清/血漿試料中のタンパク質は、トリプシンを用いてペプチドに分解される。この酵素は、リシンまたはアルギニンのC末端側にプロリンが存在する場合を除き、リシンおよびアルギニンのC末端側でタンパク質を切断する。切断前に、タンパク質は、煮沸することで変性させ、タンパク質分子が37°Cで16時間のインキュベーション中にトリプシン活性を受けやすいようにする。
− ペプチドに基づいた第1分別:無担体電気泳動(FFE;BDダイアグノスティク)は、連続的な層流中を移動する荷電分子がその流れに直交する電界によって分離される、ゲルを用いない液体分離技術である。電界によって、荷電分子は、その等電点(pI)にしたがってpH勾配中で分離する。モニター中のペプチドを含む画分のみを、さらなる分別およびLC−MS/MS解析のために選択する。目的のペプチドは、それぞれ、FFE容器から、合成ペプチドホモログを用いたタンパク質アッセイの実行中に決定される特定の画分番号で溶出する。特定の画分または画分のプール(多重化)は、次の分別レベルへと進む。
− ペプチドに基づいた第2分別:フェニルHPLC(XBridgeフェニル;ウォーターズ)により、ペプチド配列中に存在するアミノ酸の疎水性および芳香族の性質にしたがって、ペプチドを分離する。バックエンドのC18分離との直交性は、pH値を上昇させて(pH10)カラム操作を行うことで、達成される。ギラー(Gilar)ら、『ジャーナル・オブ・セパレーション・サイエンス(J Sep Sci)』2005年;28巻(14号):1694〜1703頁で証明されているように、pHが、RP−HPLCにおいてペプチドの選択性をもっとも劇的に変化させるパラメータである。目的のペプチドはそれぞれ、合成ペプチドホモログを用いたタンパク質アッセイの実行中に決定される特定の保持時間でフェニルカラムから溶出する。1回の試料分離の前に9つの標準ペプチドの混合物が分離される外部対照システムを用いることで、保持時間のずれを補正するために、画分の回収が調節される。分別の程度は、試料中のタンパク質濃度およびその試料の複雑さに依存する。
− 逆相(C18)ナノLC(PepMap C18;ダイオネックス)を用いたさらなる分離およびMS/MSを含む、LC−MS/MSに基づく定量化:MRM(4000 QTRAP;ABI)/SRM (Vantage TSQ;サーモ・サイエンティフィック)モードを用いたタンデム質量分析。LCカラムは、質量分析計のソースヘッドに接続されたエレクトロスプレーニードルに接続されている。物質がカラムから溶出するにつれ、分子がイオン化されて、気相で質量分析計に入る。モニターされるペプチドは、その質量電荷比(m/z)に基づいて、特異的に選択されて第1四重極(Q1)を通過する。選択されたペプチドは、次に、衝突セルとして用いられる第2四重極(Q2)で断片化される。得られた断片は、次に、第3四重極(Q3)に入る。装置の設定(アッセイを行う段階で決定される)に応じて、特定のペプチド断片が1つのみまたは複数の特異的なペプチド断片(あるいは、いわゆる遷移)が、検出のために選択される。
− モニターされるペプチドのm/zおよびこのペプチドのモニターされる断片のm/zの組み合わせは、遷移と呼ばれる。このプロセスは、1回の実験中に、複数の遷移のために行うことができる。内因性のペプチド(検体)およびそれが対応する同位体ラベル化合成ペプチド(内部対照)の両方が、同じ保持時間で溶出し、同じLC−MS/MS実験で測定される。
− MASSterclassの測定値は、検体に特異的なピーク下の面積と、合成同位体ラベル化類似体(内部対照)に特異的なピーク下の面積との比で定義される。MASSterclassの測定値は、試料中のタンパク質の初めの濃度に直接関連する。したがって、MASSterclassの測定値は、異なる試料間、および試料群間で比較することができる。
− 血漿/血清試料
− ProteoPrepスピンカラム(シグマ・アルドリッチ)を用いた抗アルブミン抗体および抗IgG抗体による、アフィニティ捕捉を用いたヒトアルブミンおよびIgGの減少(タンパク質レベルの複雑さの減少)
− 公知の量の同位体ラベル化ペプチドの混合。このペプチドは、質量の違いを生むために組み込まれた同位体ラベル化アミノ酸を典型的に1つ含む目的のタンパク質典型的ペプチドと同じアミノ酸配列を有する。ラベル化ペプチドは、分子質量に基づく最終段階の定量化ステップの間を除いて、プロセス全体の間、内因性のペプチドと同一の化学的およびクロマトグラフ的挙動を示す。
− トリプシン消化。減少処理を行った血清/血漿試料中のタンパク質は、トリプシンを用いてペプチドに分解される。この酵素は、リシンまたはアルギニンのC末端側にプロリンが存在する場合を除き、リシンおよびアルギニンのC末端側でタンパク質を切断する。切断前に、タンパク質は、煮沸することで変性させ、タンパク質分子が37°Cで16時間のインキュベーション中にトリプシン活性を受けやすいようにする。
− ペプチドに基づいた第1分別:無担体電気泳動(FFE;BDダイアグノスティク)は、連続的な層流中を移動する荷電分子がその流れに直交する電界によって分離される、ゲルを用いない液体分離技術である。電界によって、荷電分子は、その等電点(pI)にしたがってpH勾配中で分離する。モニター中のペプチドを含む画分のみを、さらなる分別およびLC−MS/MS解析のために選択する。目的のペプチドは、それぞれ、FFE容器から、合成ペプチドホモログを用いたタンパク質アッセイの実行中に決定される特定の画分番号で溶出する。特定の画分または画分のプール(多重化)は、次の分別レベルへと進む。
− ペプチドに基づいた第2分別:フェニルHPLC(XBridgeフェニル;ウォーターズ)により、ペプチド配列中に存在するアミノ酸の疎水性および芳香族の性質にしたがって、ペプチドを分離する。バックエンドのC18分離との直交性は、pH値を上昇させて(pH10)カラム操作を行うことで、達成される。ギラー(Gilar)ら、『ジャーナル・オブ・セパレーション・サイエンス(J Sep Sci)』2005年;28巻(14号):1694〜1703頁で証明されているように、pHが、RP−HPLCにおいてペプチドの選択性をもっとも劇的に変化させるパラメータである。目的のペプチドはそれぞれ、合成ペプチドホモログを用いたタンパク質アッセイの実行中に決定される特定の保持時間でフェニルカラムから溶出する。1回の試料分離の前に9つの標準ペプチドの混合物が分離される外部対照システムを用いることで、保持時間のずれを補正するために、画分の回収が調節される。分別の程度は、試料中のタンパク質濃度およびその試料の複雑さに依存する。
− 逆相(C18)ナノLC(PepMap C18;ダイオネックス)を用いたさらなる分離およびMS/MSを含む、LC−MS/MSに基づく定量化:MRM(4000 QTRAP;ABI)/SRM (Vantage TSQ;サーモ・サイエンティフィック)モードを用いたタンデム質量分析。LCカラムは、質量分析計のソースヘッドに接続されたエレクトロスプレーニードルに接続されている。物質がカラムから溶出するにつれ、分子がイオン化されて、気相で質量分析計に入る。モニターされるペプチドは、その質量電荷比(m/z)に基づいて、特異的に選択されて第1四重極(Q1)を通過する。選択されたペプチドは、次に、衝突セルとして用いられる第2四重極(Q2)で断片化される。得られた断片は、次に、第3四重極(Q3)に入る。装置の設定(アッセイを行う段階で決定される)に応じて、特定のペプチド断片が1つのみまたは複数の特異的なペプチド断片(あるいは、いわゆる遷移)が、検出のために選択される。
− モニターされるペプチドのm/zおよびこのペプチドのモニターされる断片のm/zの組み合わせは、遷移と呼ばれる。このプロセスは、1回の実験中に、複数の遷移のために行うことができる。内因性のペプチド(検体)およびそれが対応する同位体ラベル化合成ペプチド(内部対照)の両方が、同じ保持時間で溶出し、同じLC−MS/MS実験で測定される。
− MASSterclassの測定値は、検体に特異的なピーク下の面積と、合成同位体ラベル化類似体(内部対照)に特異的なピーク下の面積との比で定義される。MASSterclassの測定値は、試料中のタンパク質の初めの濃度に直接関連する。したがって、MASSterclassの測定値は、異なる試料間、および試料群間で比較することができる。
本実験でしたがう典型的なMASSTERCLASSのプロトコルは、以下に与えられる。
− 20 mM NH4HCO3を結合/平衡化緩衝液として用いた以外は、製造者のプロトコルにしたがって、25 μLの血漿を、ヒトアルブミンおよびIgGの減少(ProteoPrepスピンカラム;シグマ・アルドリッチ)に供する。
− 減少された試料(225 μL)を95°Cで15分間変性させ、すぐに氷上で冷却する。
− 500 fmolの同位体ラベル化ペプチド(特注の“Heavy AQUA”ペプチド;サーモ・サイエンティフィック)を試料に混合する。
− 20 μgのトリプシンを試料に加え、37°Cで16時間切断する。
− 切断された試料を、まず溶媒A(0.1%ギ酸)で1/8に希釈し、次に、250 amol/μLのすべての同位体ラベル化された目的のペプチド(特注の“Heavy AQUA”ペプチド;サーモ・サイエンティフィック)を含む同じ溶媒で1/20に希釈する。
− 20 μlの最終希釈液を、MRM/SRMモードのオンラインMS/MSとともに逆相ナノLCを用いて分離した。
− カラム:PepMap C18、内径75 μm×長さ25 cm L、孔径100 Å、粒径5 μm
− 溶媒A:0.1%ギ酸
− 溶媒B:80%アセトニトリル、0.1%ギ酸
− 勾配:30分;2%〜55%溶媒B
− MRMモードのMS/MS:方法は、検体の遷移に加えて合成ラベル化ペプチドの遷移も含む
− 用いる遷移は実験的に決定され、タンパク質アッセイ実行中に選択される。
− 目的の遷移はそれぞれ、目的のペプチドの決定された保持時間の3分前に始まり3分後に終了する期間測定され、それぞれのピークが少なくとも15個のデータ点を有することを確認した。
− LCQuanソフトウェア(サーモ・サイエンティフィック)を用いて、生データを解析し定量化した:同じC18保持時間における検体(=LTBP2ペプチド)のピーク下の面積および内部標準(ラベル化された合成LTBP2ペプチド)のピーク下の面積を、自動ピーク検出によって求めた。手動でこれらを照合した。
− 検体のピーク面積と内部標準のピーク面積の比によって、MASSterclassの測定値を定義した。
− 20 mM NH4HCO3を結合/平衡化緩衝液として用いた以外は、製造者のプロトコルにしたがって、25 μLの血漿を、ヒトアルブミンおよびIgGの減少(ProteoPrepスピンカラム;シグマ・アルドリッチ)に供する。
− 減少された試料(225 μL)を95°Cで15分間変性させ、すぐに氷上で冷却する。
− 500 fmolの同位体ラベル化ペプチド(特注の“Heavy AQUA”ペプチド;サーモ・サイエンティフィック)を試料に混合する。
− 20 μgのトリプシンを試料に加え、37°Cで16時間切断する。
− 切断された試料を、まず溶媒A(0.1%ギ酸)で1/8に希釈し、次に、250 amol/μLのすべての同位体ラベル化された目的のペプチド(特注の“Heavy AQUA”ペプチド;サーモ・サイエンティフィック)を含む同じ溶媒で1/20に希釈する。
− 20 μlの最終希釈液を、MRM/SRMモードのオンラインMS/MSとともに逆相ナノLCを用いて分離した。
− カラム:PepMap C18、内径75 μm×長さ25 cm L、孔径100 Å、粒径5 μm
− 溶媒A:0.1%ギ酸
− 溶媒B:80%アセトニトリル、0.1%ギ酸
− 勾配:30分;2%〜55%溶媒B
− MRMモードのMS/MS:方法は、検体の遷移に加えて合成ラベル化ペプチドの遷移も含む
− 用いる遷移は実験的に決定され、タンパク質アッセイ実行中に選択される。
− 目的の遷移はそれぞれ、目的のペプチドの決定された保持時間の3分前に始まり3分後に終了する期間測定され、それぞれのピークが少なくとも15個のデータ点を有することを確認した。
− LCQuanソフトウェア(サーモ・サイエンティフィック)を用いて、生データを解析し定量化した:同じC18保持時間における検体(=LTBP2ペプチド)のピーク下の面積および内部標準(ラベル化された合成LTBP2ペプチド)のピーク下の面積を、自動ピーク検出によって求めた。手動でこれらを照合した。
− 検体のピーク面積と内部標準のピーク面積の比によって、MASSterclassの測定値を定義した。
MASSTERCLASS測定値
測定された比は、ペプチドの差分定量である。換言すると、比は、ペプチドの正規化された濃度である。ペプチドの濃度は、質量分析計で測定された比に比例する。
測定された比は、ペプチドの差分定量である。換言すると、比は、ペプチドの正規化された濃度である。ペプチドの濃度は、質量分析計で測定された比に比例する。
(実施例2:急性呼吸困難患者における肺臓死のバイオマーカーとしてのLTBP2)
研究対象母集団
研究対象母集団は、スイスのバーゼル大学病院の救急科を訪れた、急性呼吸困難が主訴である患者から任意抽出された患者で構成された。2006年4月から2007年3月まで、292人の患者(検査した327人の患者のうち)が、あらかじめ登録された。除外基準は、年齢が18歳未満であること、呼吸困難の原因が明らかに外傷性であること、および透析患者であることとした。研究は、ヘルシンキ宣言の原則にしたがって行われ、地域の倫理委員会の承諾を得た。書面によるインフォームドコンセントを、参加患者すべてから得た。
研究対象母集団
研究対象母集団は、スイスのバーゼル大学病院の救急科を訪れた、急性呼吸困難が主訴である患者から任意抽出された患者で構成された。2006年4月から2007年3月まで、292人の患者(検査した327人の患者のうち)が、あらかじめ登録された。除外基準は、年齢が18歳未満であること、呼吸困難の原因が明らかに外傷性であること、および透析患者であることとした。研究は、ヘルシンキ宣言の原則にしたがって行われ、地域の倫理委員会の承諾を得た。書面によるインフォームドコンセントを、参加患者すべてから得た。
臨床評価および追跡
患者は、病歴、健康診断、心電図、パルスオキシメトリー、BNPを含む血液検査、および胸部X線を含む初期臨床評価を受けた。エコー心電図検査、肺機能検査およびCT−血管造影のような他の診断検査が、治療する医師にしたがって行われた。CT−血管造影は、肺塞栓症が疑われる患者の場合に選択される画像診断法である。呼吸困難の重症度を評価するために、NYHA(ニューヨーク心臓協会)の機能分類を用いた。ここで、NYHA IIは「わずかな傾斜を歩いて上る間の呼吸困難」、IIIは「平らな地面を歩く間の呼吸困難」、IVは「安静時の呼吸困難」である。
患者は、病歴、健康診断、心電図、パルスオキシメトリー、BNPを含む血液検査、および胸部X線を含む初期臨床評価を受けた。エコー心電図検査、肺機能検査およびCT−血管造影のような他の診断検査が、治療する医師にしたがって行われた。CT−血管造影は、肺塞栓症が疑われる患者の場合に選択される画像診断法である。呼吸困難の重症度を評価するために、NYHA(ニューヨーク心臓協会)の機能分類を用いた。ここで、NYHA IIは「わずかな傾斜を歩いて上る間の呼吸困難」、IIIは「平らな地面を歩く間の呼吸困難」、IVは「安静時の呼吸困難」である。
LTBP2について隠された独立した内科医二人が、BNPレベルを含むすべての診療記録を調査し、患者の一次診断を7つのカテゴリーに独立して分類した。その分類は、急性心不全(AHF)、慢性閉塞性肺疾患の急性憎悪、肺炎、悪性腫瘍の急性合併症、急性肺塞栓症、過呼吸症候群、およびその他である。その内科医2人は、また、独立して死因を判定した。調査者である内科医間で診断の不一致があった場合は、共通の結論に至るために、会うよう求められた。共通の結論に至ることができなかった場合は、第三者の判定者である内科医がデータを調査し、どちらの診断および死因が正確かを決定するよう求められた。
本研究の最終目的は、死因特異的な30日死亡率であった。全死因の30日死亡率、死因特異的な1年死亡率および全死因の1年死亡率は、二次的な最終目的として評価された。心臓死は、冠動脈疾患、心不全または不整脈に起因する死として定義された。肺臓死は、慢性閉塞性肺疾患の急性憎悪、肺炎または喘息に起因する死として定義された。365日後に、1人の訓練された研究者が、追跡のために、電話でそれぞれの患者と連絡をとった。患者と連絡が取ることができなかった場合、委託医師および親類と連絡をとるか、またはそれぞれが住んでいる街の行政のデータベースを調査して、生存状況を評価した。注記として、患者1名を追跡することができず、死亡率の解析は291人の患者において行われた。
検査室測定
LTBP2、BNPおよびNT−プロBNPを求めるための血液試料は、診察時にカリウムEDTAを含む試験管に集められた。遠心分離後、試料は、1回の測定分ずつ、匿名化された様式で、アッセイまで−80°Cで冷凍された。NT−プロBNPのレベルは、匿名化された様式で、ラン内の不正確さおよび全体の不正確さに対する製造者による変動係数が、それぞれ1.8%〜2.7%および2.35%〜3.2%である量的な電気化学発光免疫アッセイ法(Elecsys proBNP、ロシュ・ダイアグノスティクAG、チューリッヒ、スイス)によって求められ、BNPは、病院の検査室において、ラン内の不正確さおよび全体の不正確さに対する製造者による変動係数が、それぞれ4.3%〜6.3%および6.5%〜9.4%である微粒子酵素免疫アッセイ(AxSym、アボット・ラボラトリーズ、アボット・パーク/イリノイ州、米国)によって測定された。
LTBP2、BNPおよびNT−プロBNPを求めるための血液試料は、診察時にカリウムEDTAを含む試験管に集められた。遠心分離後、試料は、1回の測定分ずつ、匿名化された様式で、アッセイまで−80°Cで冷凍された。NT−プロBNPのレベルは、匿名化された様式で、ラン内の不正確さおよび全体の不正確さに対する製造者による変動係数が、それぞれ1.8%〜2.7%および2.35%〜3.2%である量的な電気化学発光免疫アッセイ法(Elecsys proBNP、ロシュ・ダイアグノスティクAG、チューリッヒ、スイス)によって求められ、BNPは、病院の検査室において、ラン内の不正確さおよび全体の不正確さに対する製造者による変動係数が、それぞれ4.3%〜6.3%および6.5%〜9.4%である微粒子酵素免疫アッセイ(AxSym、アボット・ラボラトリーズ、アボット・パーク/イリノイ州、米国)によって測定された。
統計解析
連続変数は、平均±SDまたは中央値(四分位範囲とともに)として表され、カテゴリー変数は、数値およびパーセントとして表される。人口統計学的特徴および臨床的特徴についての単変量のデータは、マンホイットニーU検定またはフィッシャーの直接確率検定で適宜比較された。連続変数間の相関は、スピアマンの順位相関係数で評価された。受信者動作特性(ROC)曲線を用いて、LTBP2、NT−プロBNPおよびBNPの精度を評価し、死を予測した。曲線下面積(AUC)をすべてのマーカーについて算出した。AUCは、ハンリー(Hanley)およびマクニール(McNeil)による方法にしたがって比較された。Cox回帰分析を、単変量解析および多変量解析で評価し、独立した結果の予測変数を識別した。多変量解析は、単変量解析によって確立された有意な候補変数(p<0.05)をすべて含んだ。カプランーマイヤー累積生存曲線は、ログランク検定で比較された。糸球体濾過量は、省略された「腎臓病における食事の変更」(MDRD)の式を用いて算出された。データは、SPSS15.0ソフトウェア(SPSS社、シカゴ、イリノイ州、米国)およびMedCalc9.3.9.0パッケージ(メドカルク・ソフトウェア、マリアケルケ、ベルギー)を用いて統計的に解析された。確率はすべて両側であり、P<0.05を有意とみなした。
連続変数は、平均±SDまたは中央値(四分位範囲とともに)として表され、カテゴリー変数は、数値およびパーセントとして表される。人口統計学的特徴および臨床的特徴についての単変量のデータは、マンホイットニーU検定またはフィッシャーの直接確率検定で適宜比較された。連続変数間の相関は、スピアマンの順位相関係数で評価された。受信者動作特性(ROC)曲線を用いて、LTBP2、NT−プロBNPおよびBNPの精度を評価し、死を予測した。曲線下面積(AUC)をすべてのマーカーについて算出した。AUCは、ハンリー(Hanley)およびマクニール(McNeil)による方法にしたがって比較された。Cox回帰分析を、単変量解析および多変量解析で評価し、独立した結果の予測変数を識別した。多変量解析は、単変量解析によって確立された有意な候補変数(p<0.05)をすべて含んだ。カプランーマイヤー累積生存曲線は、ログランク検定で比較された。糸球体濾過量は、省略された「腎臓病における食事の変更」(MDRD)の式を用いて算出された。データは、SPSS15.0ソフトウェア(SPSS社、シカゴ、イリノイ州、米国)およびMedCalc9.3.9.0パッケージ(メドカルク・ソフトウェア、マリアケルケ、ベルギー)を用いて統計的に解析された。確率はすべて両側であり、P<0.05を有意とみなした。
患者の特性
急性呼吸困難を示す292人の患者の基本的な特性を、表1に記す。全体に、平均年齢は74±12歳(中央値は77歳、四分位範囲(IQR)は68〜83歳)、52%が男性で、80%がNYHA機能分類IIIおよびIVであった。一次診断は、AHFが158人(54%)、慢性閉塞性肺疾患の急性憎悪が57人(20%)、肺炎が32人(11%)、急性肺塞栓症が8人(3%)、悪性腫瘍の急性合併症が7人(2%)、過呼吸症候群が5人(2%)、そして間質性肺疾患、喘息または気管支炎などの他の原因が24人(8%)であった。
急性呼吸困難を示す292人の患者の基本的な特性を、表1に記す。全体に、平均年齢は74±12歳(中央値は77歳、四分位範囲(IQR)は68〜83歳)、52%が男性で、80%がNYHA機能分類IIIおよびIVであった。一次診断は、AHFが158人(54%)、慢性閉塞性肺疾患の急性憎悪が57人(20%)、肺炎が32人(11%)、急性肺塞栓症が8人(3%)、悪性腫瘍の急性合併症が7人(2%)、過呼吸症候群が5人(2%)、そして間質性肺疾患、喘息または気管支炎などの他の原因が24人(8%)であった。
診察時の呼吸困難患者のLTBP2濃度は、腎機能障害のマーカー(クレアチニン:r=0.71、p<0.001;シスタチンC:r=0.83、p<0.001)、BNP(r=0.52、p<0.001)およびNT−プロBNP(r=0.66、p<0.001)と強く相関していた。NYHA機能分類(r=0.18、p=0.003)および感染のマーカー(好中球数:r=0.23、p<0.001;C−反応性タンパク質:r=0.13、p=0.04)では、弱いが有意な相関が見られた。これらの相関は、呼吸困難の一次原因とは独立しており、AHFの患者およびAHFでない患者で持続していた。
LTBP2レベルおよび短期転帰でのLTBP2の予後値
30日時点で、29人の患者(10%)が亡くなった。非生存者では、LTBP2レベルが、集団全体の生存者(p<0.001)、AHF患者の下位集団の生存者(p<0.001)および肺由来の呼吸困難患者の生存者(p=0.011)よりも有意に高かった(図1A)。図1Aにさらに示されるように、LTBP2レベルは、肺疾患が原因で死亡する患者において特に上昇していた(生存者:正規化レベルで0.011[0.006〜0.021]、心臓死:正規化レベルで0.021[0.012〜0.028]、肺臓死:正規化レベルで0.066[0.043〜0.078])。対照的に、図1Bに示されるように、ナトリウム利尿ペプチドのレベルは、心臓疾患または肺疾患が原因で死亡する患者で有意に異なることはなかった(NT−プロBNP:11941 pg/ml[3338〜20973]対16195 pg/ml[4897〜25909];p=0.39)。
30日時点で、29人の患者(10%)が亡くなった。非生存者では、LTBP2レベルが、集団全体の生存者(p<0.001)、AHF患者の下位集団の生存者(p<0.001)および肺由来の呼吸困難患者の生存者(p=0.011)よりも有意に高かった(図1A)。図1Aにさらに示されるように、LTBP2レベルは、肺疾患が原因で死亡する患者において特に上昇していた(生存者:正規化レベルで0.011[0.006〜0.021]、心臓死:正規化レベルで0.021[0.012〜0.028]、肺臓死:正規化レベルで0.066[0.043〜0.078])。対照的に、図1Bに示されるように、ナトリウム利尿ペプチドのレベルは、心臓疾患または肺疾患が原因で死亡する患者で有意に異なることはなかった(NT−プロBNP:11941 pg/ml[3338〜20973]対16195 pg/ml[4897〜25909];p=0.39)。
受信者動作特性曲線解析は、LTBP2レベルの潜在性を評価して全死因の短期死亡率を予測するために行われた。全死因の死亡率を予測する曲線下面積(AUC)はLTBP2(0.79;95%CI 70〜87)、NT−プロBNP(0.75;95%CI 0.65〜0.84)およびBNP(0.62;95%CI 0.51〜0.73)である。死因特異的死亡率も求めた。受信者動作特性曲線(ROC)解析によって、NT−プロBNP(0.84;95%CI 0.75〜0.94)およびBNP(0.63;95%CI 0.48〜0.77)で見られた肺疾患の30日死亡率(それぞれp=0.04およびp<0.001)に対するAUCよりも有意に高い、LTBP2に対する0.95のAUC(95%CI 0.91〜0.98)により肺疾患の30日死亡率を予測することが示された。
LTBP2レベルおよび1年転帰でのLTBP2の予後値
全体で80人の患者(27%)が、1年の追跡期間中になくなった。心不全(n=28)、心筋梗塞(n=14)および肺臓死(n=14)が、最も一般的な死因であった。非生存者のLTBP2レベルは、患者集団全体の生存者(P<0.001)、AHF患者の生存者(p<0.001)およびAHFでない患者の生存者(p=0.021)と比較して、有意に高かった。また、肺疾患が原因で亡くなる患者では、LTBP2値がより高くなる傾向があった(生存者:正規化レベルで0.01[0.0056〜0.016]、心臓死:正規化レベルで0.025[0.016〜0.037]、肺臓死:正規化レベルで0.052[0.017〜0.071])(図3A)。図3Bに示されるように、ナトリウム利尿ペプチドのレベルは、死因間で分離されなかった(NT−プロBNP:7785 pg/ml[1920〜22584]対9757 pg/ml[3772〜18609];p=0.52)。LTBP2レベルの十分位数による死亡率は、図4に図示されている。
全体で80人の患者(27%)が、1年の追跡期間中になくなった。心不全(n=28)、心筋梗塞(n=14)および肺臓死(n=14)が、最も一般的な死因であった。非生存者のLTBP2レベルは、患者集団全体の生存者(P<0.001)、AHF患者の生存者(p<0.001)およびAHFでない患者の生存者(p=0.021)と比較して、有意に高かった。また、肺疾患が原因で亡くなる患者では、LTBP2値がより高くなる傾向があった(生存者:正規化レベルで0.01[0.0056〜0.016]、心臓死:正規化レベルで0.025[0.016〜0.037]、肺臓死:正規化レベルで0.052[0.017〜0.071])(図3A)。図3Bに示されるように、ナトリウム利尿ペプチドのレベルは、死因間で分離されなかった(NT−プロBNP:7785 pg/ml[1920〜22584]対9757 pg/ml[3772〜18609];p=0.52)。LTBP2レベルの十分位数による死亡率は、図4に図示されている。
受信者動作特性曲線解析は、LTBP2レベルの潜在性を評価して全死因および死因特異的な1年死亡率を予測するために行われた。重要なことに、LTBP2(AUC 0.77;95%CI 0.70〜0.83)の予後判定の潜在性は、NT−プロBNP(AUC 0.77;95%CI 0.71〜0.84)およびBNP(AUC 0.71;95%CI 0.64〜0.79)と、全死因および心臓疾患による死亡率AUC(それぞれ、0.77、0.79、0.80)について同等であり、肺臓死のAUC(それぞれ、0.80、0.75、0.59;NT−プロBNPに対するpは0.59でありBNPに対するpは0.04)の予測よりも優れているという傾向があった。重要なことに、LTBP2の予測の潜在性は、腎機能障害とは独立しており、腎機能が保存されている患者で持続していた(AUC 0.77、95%CI 0.70〜0.83)。
Claims (24)
- 患者の肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視するための、血液バイオマーカーとしての潜在型トランスフォーミング成長因子ベータ結合タンパク質2(LTBP2)の使用。
- 放置すると致命的になり得る、重篤な慢性閉塞性肺疾患(COPD)または肺炎などの、重篤な肺合併症を発症するリスクを評価するための、血液バイオマーカーとしての潜在型トランスフォーミング成長因子ベータ結合タンパク質2(LTBP2)の使用。
- 肺疾患または肺合併症によって死亡するリスクを評価するための、血液バイオマーカーとしての潜在型トランスフォーミング成長因子ベータ結合タンパク質2(LTBP2)の使用。
- 前記肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視することが、前記患者の肺障害の程度を評価することを含む、請求項1に記載の使用。
- 前記肺障害の程度が、
(i)障害なし、
(ii)治療せずに放置した場合、合併症をひき起こし得る可逆的な障害をともなう肺障害、または
(iii)潜在的で、不可逆的もしくは修復不可能な生理学的損傷、病的状態、または致死性を有する肺障害
として評価される、請求項1または4に記載の使用。 - クレアチニン、シスタチンC、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、ベータトレースタンパク質、腎障害分子1、およびインターロイキン−18(IL−18)からなる群から選択される1つ以上の腎臓由来マーカー、および/または、
炎症誘発性サイトカイン、インターフェロンガンマ、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−10(IL−10)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−ベータ)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−18(IL−18)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP−)−2、単球走化性タンパク質(MCP)−1、インターロイキン−1ベータ(IL−1ベータ)、インターロイキン−1アルファ(IL−1アルファ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−アルファ)、血清アミロイドA(SAA)、フラクタルカイン(CX3CL1)、C−反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)およびナトリウム利尿ペプチド(B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、プロB型ナトリウム利尿ペプチド(プロBNP)、アミノ末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP)からなる群から選択される)からなる群から選択される1つ以上の他のバイオマーカー、および/または、
白血球数、病歴、健康診断、心電図、パルスオキシメトリー、血液検査、胸部X線、エコー心電図検査、肺機能検査、コンピュータ断層撮影(CT)−血管造影および患者の胸郭インピーダンスを求めることからなる群から選択される1つ以上の臨床パラメータまたは検査、
を組み合わせて用いる、請求項1から5のいずれか1つに記載の使用。 - 患者の肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視する方法であって、前記方法の検査段階が、前記患者から得た血液試料中のLTBP2量を測定することを含む、方法。
- 前記肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視することが、前記患者の肺障害の程度を評価することを含む、請求項7に記載の方法。
- 前記肺障害の程度が、
(i)障害なし、
(ii)治療せずに放置した場合、合併症をひき起こし得る可逆的な障害をともなう肺障害、または
(iii)潜在的で、不可逆的もしくは修復不可能な生理学的損傷、病的状態、または致死性を有する肺障害
として評価される、請求項7または8に記載の方法。 - 患者の重篤なCOPD、肺炎または肺臓死などの、重篤な肺合併症を発症するリスクを評価または予測するための方法であって、前記方法の検査段階が、前記患者から得た血液試料中のLTBP2量を測定することを含む、方法。
- 患者が肺疾患または肺合併症によって死亡するリスクを評価するための方法であって、前記方法の検査段階が、前記患者の血液試料中の潜在型トランスフォーミング成長因子ベータ結合タンパク質2(LTBP2)を測定することを含む、方法。
- 前記方法の検査段階が、
前記患者から得た血液試料中の、クレアチニン、シスタチンC、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、ベータトレースタンパク質、腎障害分子1、およびインターロイキン−18(IL−18)からなる群から選択される1つ以上の腎臓由来マーカーの量を測定すること、および/または、
前記患者から得た血液試料中の、炎症誘発性サイトカイン、インターフェロンガンマ、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−10(IL−10)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−ベータ)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−18(IL−18)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP−)−2、単球走化性タンパク質(MCP)−1、インターロイキン−1ベータ(IL−1ベータ)、インターロイキン−1アルファ(IL−1アルファ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−アルファ)、血清アミロイドA(SAA)、フラクタルカイン(CX3CL1)、C−反応性タンパク質(CRP)、プロカルシトニン(PCT)およびナトリウム利尿ペプチド(B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、プロB型ナトリウム利尿ペプチド(プロBNP)、アミノ末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT−プロBNP)からなる群から選択される)からなる群から選択される1つ以上の炎症性バイオマーカーの量を測定すること、および/または、
白血球数、病歴、健康診断、心電図、パルスオキシメトリー、血液検査、胸部X線、エコー心電図検査、肺機能検査、コンピュータ断層撮影(CT)−血管造影および前記患者の胸郭インピーダンスを求めることからなる群から選択される1つ以上の臨床パラメータを解析すること、
をさらに含む、請求項7から11のいずれか1つに記載の方法。 - 前記方法の検査段階が、前記患者から得た血液試料中の、BNP、プロBNP、およびNTプロBNPから選択される1つ以上のナトリウム利尿ペプチドの量を測定することをさらに含む、請求項7から12のいずれか1つに記載の方法。
- 前記方法の検査段階が、病歴、健康診断、心電図、パルスオキシメトリー、血液検査、胸部X線、エコー心電図検査、肺機能検査、CT−血管造影および/または前記患者の胸郭インピーダンスを求めることのうち1つ以上さらに含む、請求項9から13のいずれか1つに記載の方法。
- 前記方法の検査段階が、前記患者の肺炎症が軽減したことを示す他のマーカーの量を測定することをさらに含む、請求項8から14のいずれか1つに記載の方法。
- 前記肺障害の原因が、急性腎障害または心臓もしくは脳の再灌流障害、心筋または他の臓器の梗塞、血栓症、塞栓症もしくは物理的な閉塞による臓器灌流の悪化、あるいは急性心不全によって生じる炎症性物質などの、別の臓器で生じる炎症性物質である、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
- 前記肺障害が肺炎である、請求項1から16のいずれか1つに記載の使用または方法。
- 前記肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視することが、肺梗塞、肺組織機能喪失、肺気腫、肺線維症、無気肺、胸膜炎または肺高血圧合併症などを患う患者から、転帰が良好な患者を区別することを含む、請求項1から17のいずれか1つに記載の使用または方法。
- 前記肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視することが、活発に進行している肺線維症を患う患者から、転帰が良好な患者を区別することを含む、請求項1から18に記載の使用または方法。
- 前記肺障害を診断、予測、予後判定および/または監視することが、肺線維症の程度が異なる患者から、転帰が良好な患者を区別することを含む、請求項1から19に記載の使用または方法。
- 前記患者における治療的介入を決定する、かつ/または指示する、請求項1から20のいずれか1つに記載の使用または方法。
- 前記治療的介入の影響を評価する、請求項1から21のいずれか1つに記載の使用または方法。
- 前記患者が、重度の外傷、全身性炎症反応症候群、敗血症、重度の敗血症、臓器機能不全をともなう敗血症、敗血症性ショック、急性憎悪をともなうまたはともなわない慢性閉塞性肺疾患(COPD)、手術後、特に心臓手術を受けた患者、手術による合併症、医療ショック、細菌、菌またはウイルス感染、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺および全身の炎症、肺の内皮および外皮の障害、呼吸困難、急性呼吸困難、重度の肺炎、呼吸不全、急性呼吸不全、呼吸窮迫、急性または慢性心不全、中毒、重度のアレルギー反応およびアナフィラキシー、火傷、および患者が人工呼吸を必要とする病状のうち1つ以上を患って、集中治療室(ICU)または救急科(ED)を訪れる患者からなる群から選択される重病の患者である、請求項1から21のいずれか1つに記載の方法。
- 前記試料が、血液、血清または血漿である、請求項1から23のいずれか1つに記載の使用または方法。
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