JP2015231321A - 回転電機の駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】緊急時に放電動作を行い平滑コンデンサの電圧を積極的に下げることのできる回転電機の駆動装置を提供することを目的とする。【解決手段】電流センサ47u,47v,47wの電流測定結果から、オフセット電流演算部30でのオフセット電流の演算と、PI制御部32での演算とを繰り返し、演算結果に基づいて能動素子13u,13v,13wのオン/オフ制御を継続することで、必要なオフセット電流値に近くなるようにオフセット電流を制御しつづけることができる。DCプラスライン8から保護回路スイッチ16と中性点19を経て、能動素子13u,13v,13wを通りDCマイナスライン9までの電流経路に必要なオフセット電流値に近くなるようにオフセット電流を流すことで、効率的に平滑コンデンサ10の放電を行うことができる。【選択図】図2
Description
この発明は、車両に搭載される回転電機の駆動装置に関する。
回転電機であるモータによって走行する電気自動車(EV車)やモータとガソリンエンジンとの併用によって走行するプラグインハイブリッド車(PHV車)が普及してきている。これらEV車やPHV車には、直流電源である二次電池が搭載されており、二次電池に蓄えられた電気エネルギーによってモータを駆動することにより車両の走行が行われる。
現在、EV車やPHV車等各種車両用のモータとしては、一般的にブラシレス直流モータのような、インバータにより制御されるモータが使用される。こうしたインバータによりモータを駆動させるための装置には、インバータに入力する電圧を平滑化するために、平滑化コンデンサが設けられている。そして、この装置の稼働中は、平滑コンデンサに電荷が蓄えられている。そのため、車両が交通事故等を起こした場合等の緊急時には、平滑化コンデンサに蓄えられた電荷による二次被害を防ぐため、平滑コンデンサの電荷を放電する必要がある。
特許文献1には、スイッチング素子と、緊急放電抵抗とを備えたモータ駆動装置が記載されている。このモータ駆動装置は、緊急時にスイッチング素子をオンにすることで、平滑コンデンサの蓄えた電荷を緊急放電抵抗に流して放電することが可能である。
しかしながら、特許文献1に記載されたモータ駆動装置では、モータを駆動させるためのインバータの回路とは別に、スイッチング素子とスイッチング素子の駆動回路とが別途必要になるため、部品点数とコストが増大するという問題があった。
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で、緊急時に平滑コンデンサの電圧を積極的に下げることのできる回転電機の駆動装置を提供することを目的とする。
この発明に係る回転電機の駆動装置は、直流電源に対して並列に接続されている平滑コンデンサと、直流電源の正極から延びる配線であるDCプラスラインと、直流電源の負極から延びる配線であるDCマイナスラインと、入力側にDCプラスライン及びDCマイナスラインが接続され、出力側に回転電機が接続され、出力側は少なくとも2相の出力を備え、各相にスイッチング素子とスイッチング素子毎に並列に接続された還流ダイオードとを備えるインバータと、回転電機の中性点とDCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか一方との間に接続されている保護回路能動素子と、保護回路能動素子と並列であってカソード端子がDCプラスライン側又はアノード端子がDCマイナスライン側になるように接続される保護回路還流ダイオードとを有する保護回路スイッチと、保護回路スイッチをオンにした後に、DCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか他方に直接接続されている全ての相のスイッチング素子を同時にオンオフするオンオフ制御を行う制御回路とを備える。
回転電機の各相毎の相電流を測定する電流センサを備え、制御回路は、電流センサの測定電流値が所定の値になるように、DCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか他方に接続されている全ての相のスイッチング素子のオン時間のデューティー比を生成し、デューティー比に基づいてDCマイナスライン又はDCプラスラインに直接接続されている全ての相のスイッチング素子のオンオフ制御を行ってもよい。
中性点とDCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか他方との間に、カソード端子がDCプラスライン側又はアノード端子がDCマイナスライン側になるように接続されている保護回路ダイオードが設けられていてもよい。
回転電機の中性点とDCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか他方との間に接続されている第2の保護回路能動素子と、第2の保護回路能動素子と並列であってカソード端子がDCプラスライン又はアノード端子がDCマイナスライン側になるように接続される第2の保護回路還流ダイオードとを有する第2の保護回路スイッチを備えてもよい。
第2の保護回路スイッチと直列に接続され、保護回路コンデンサ及び保護回路抵抗のうち少なくともいずれか一つを備える平滑コンデンサ電圧抑制部を備えてもよい。
回転電機の駆動コイルが星形結線であってもよい。
回転電機の駆動コイルがΔ結線であり、駆動コイルは回転電機の巻線に接続された結線切り替えスイッチによって星形結線に切り替えることが可能であり、回転電機の中性点は、回転電機の各相の巻線を星形結線に切り替えた場合の中性点であってもよい。
回転電機の各相毎の相電流を測定する電流センサを備え、制御回路は、電流センサの測定電流値が所定の値になるように、DCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか他方に接続されている全ての相のスイッチング素子のオン時間のデューティー比を生成し、デューティー比に基づいてDCマイナスライン又はDCプラスラインに直接接続されている全ての相のスイッチング素子のオンオフ制御を行ってもよい。
中性点とDCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか他方との間に、カソード端子がDCプラスライン側又はアノード端子がDCマイナスライン側になるように接続されている保護回路ダイオードが設けられていてもよい。
回転電機の中性点とDCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか他方との間に接続されている第2の保護回路能動素子と、第2の保護回路能動素子と並列であってカソード端子がDCプラスライン又はアノード端子がDCマイナスライン側になるように接続される第2の保護回路還流ダイオードとを有する第2の保護回路スイッチを備えてもよい。
第2の保護回路スイッチと直列に接続され、保護回路コンデンサ及び保護回路抵抗のうち少なくともいずれか一つを備える平滑コンデンサ電圧抑制部を備えてもよい。
回転電機の駆動コイルが星形結線であってもよい。
回転電機の駆動コイルがΔ結線であり、駆動コイルは回転電機の巻線に接続された結線切り替えスイッチによって星形結線に切り替えることが可能であり、回転電機の中性点は、回転電機の各相の巻線を星形結線に切り替えた場合の中性点であってもよい。
この発明によれば、DCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか一方に接続されている保護回路スイッチをオンにした後に、DCプラスライン又はDCマイナスラインのいずれか他方に接続されている全ての相のインバータのスイッチング素子を同時にオンオフするオンオフ制御を行うことで、平滑コンデンサの電荷を放電することができるので、緊急時に平滑コンデンサの電圧を積極的に下げることができる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
この発明の実施の形態1に係る回転電機の駆動装置が設けられた車両を図1に示す。車両1はPHV車であり、エンジン2と回転電機であるモータ3とモータ3を駆動させるための駆動装置4とを備えている。エンジン2とモータ3とは車両1の動力であり、動力伝達部5によって接続されている。モータ3は三相のブラシレス直流モータである。モータ3と駆動装置4とは電気的に接続されている。さらに車両1は、二次電池6と車両ECU7とを備えている。二次電池6は、駆動装置4と車両ECU7と補機類29とに電気的に接続されており、これらに電力を供給する。補機類29は例えば、車両1のヘッドライト等である。車両ECU7は、エンジン2とモータ3と駆動装置4と二次電池6と補機類29とに電気的に接続されており、これらの動作を制御する。
実施の形態1
この発明の実施の形態1に係る回転電機の駆動装置が設けられた車両を図1に示す。車両1はPHV車であり、エンジン2と回転電機であるモータ3とモータ3を駆動させるための駆動装置4とを備えている。エンジン2とモータ3とは車両1の動力であり、動力伝達部5によって接続されている。モータ3は三相のブラシレス直流モータである。モータ3と駆動装置4とは電気的に接続されている。さらに車両1は、二次電池6と車両ECU7とを備えている。二次電池6は、駆動装置4と車両ECU7と補機類29とに電気的に接続されており、これらに電力を供給する。補機類29は例えば、車両1のヘッドライト等である。車両ECU7は、エンジン2とモータ3と駆動装置4と二次電池6と補機類29とに電気的に接続されており、これらの動作を制御する。
駆動装置4の構成を図2に示す。二次電池6の陽極から延びる配線をDCプラスライン8とし、陰極から延び駆動装置4のグランドと共通である配線をDCマイナスライン9とする。DCプラスライン8とDCマイナスライン9との間に二次電池6と並列に、補機類29(図1参照)の駆動電力を一時的に蓄積するための平滑コンデンサ10が接続されている。DCプラスライン8とDCマイナスライン9との間の電圧が駆動装置4における二次電池6及び平滑コンデンサ10の端子間電圧と同じであり、DCマイナスライン9はグランドと共通であるため、DCプラスライン8の電圧を駆動装置4における基準電圧Vccとして表す。平滑コンデンサ10と補機類29とは電気的に接続されている。また、DCプラスライン8とDCマイナスライン9との間に3相のインバータであるインバータ11が設けられている。インバータ11には、スイッチング素子として能動素子12u,12v,12w,13u,13v,13wが設けられている。能動素子12u,12v,12w,13u,13v,13wはPチャネル形MOSFETである。
モータ3は内部に、U相の駆動コイル18uと、V相の駆動コイル18vと、W相の駆動コイル18wとを有している。駆動コイル18uと、駆動コイル18vと、駆動コイル18wとは星形結線であり、中性点19にそれぞれ接続している。能動素子12uは、DCプラスライン8と駆動コイル18uとの間に接続されている。能動素子13uは、DCマイナスライン9と駆動コイル18uとの間に接続されている。能動素子12vは、DCプラスライン8と駆動コイル18vとの間に接続されている。能動素子13vは、DCマイナスライン9と駆動コイル18vとの間に接続されている。能動素子12wは、DCプラスライン8と駆動コイル18wとの間に接続されている。能動素子13wは、DCマイナスライン9と駆動コイル18wとの間に接続されている。能動素子12u,12v,12w,13u,13v,13wのゲートは、図示しないゲートドライバ回路に接続されており、図示しないゲートドライバ回路は車両ECU7(図1参照)に接続されている。能動素子12u,12v,12wには、能動素子12u,12v,12wと並列に且つDCプラスライン8側にカソード端子が接続されるように還流ダイオード14u,14v,14wが設けられている。能動素子13u,13v,13wには、能動素子13u,13v,13wと並列に且つDCマイナスライン9側にアノード端子が接続されるように還流ダイオード15u,15v,15wが設けられている。この実施の形態1では、能動素子12u〜12w,13u〜13wはMOSFETであるので、それぞれの寄生ダイオードを還流ダイオードとして用いてもよい。
DCプラスライン8と中性点19との間に、Pチャネル形MOSFETである保護回路能動素子17が設けられている。さらに、保護回路能動素子17と並列に且つDCプラスライン8側にカソード端子が接続されるように、保護回路還流ダイオード20が設けられている。この保護回路還流ダイオードも寄生ダイオードを用いてもよい。保護回路能動素子17と、保護回路還流ダイオード20とは、保護回路スイッチ16を構成している。そして、保護回路能動素子17のゲート端子に、制御回路22の出力線である制御回路出力線23が接続されている。また、モータ3とインバータ11とを接続するU相、V相、W相の各相の配線に、各相毎の電流を測定するための電流センサ47u,47v,47wがそれぞれ設けられている。電流センサ47u,47v,47wの測定結果を制御回路22へ入力するための電流センサ出力線25u,25v,25wが、電流センサ47u,47v,47wのそれぞれに対して設けられている。
制御回路22の構成を図3に示す。車両ECU7(図1参照)に接続されている制御回路入力線21には、保護回路動作指示部24と電流検知部28とが接続されている。保護回路動作指示部24には、ラッチ回路26が接続されている。ラッチ回路26には、保護回路能動素子駆動IC27が接続されている。保護回路能動素子駆動IC27には、制御回路出力線23が接続されている。電流センサ出力線25u,25v,25wが、電流検知部28に接続されている。電流検知部28には、オフセット電流演算部30が接続されている。オフセット電流演算部30には、PI制御部32が接続されている。PI制御部32には、平滑コンデンサ10(図2参照)の放電レートの設定値を記憶しているオフセット電流指令部31が接続されている。また、PI制御部32には、デューティー比作成部33が接続されている。デューティー比作成部33には、ゲート指令部34が接続されている。ゲート指令部34には、ゲート指令部出力線48u,48v,48wが接続されている。ゲート指令部出力線48u,48v,48wは、能動素子13u,13v,13w(図2参照)のゲートに接続されている。
次に、この発明の実施の形態1に係る回転電機の駆動装置の動作を説明する。
図1に示すように、モータ3の動力によって車両1が走行する場合は、車両ECU7が駆動装置4を制御する。具体的には、図2に示すように、駆動装置4に設けられているインバータ11の能動素子12u,12v,12w,13u,13v,13wのゲートを、図示しないゲートドライバ回路がスイッチング制御することで、インバータ11から出力される交流電力によりモータ3が回転する。この時、制御回路出力線23からの出力はない状態、つまり電圧出力Lowの状態であるため、保護回路能動素子17はオフの状態である。
図1に示すように、モータ3の動力によって車両1が走行する場合は、車両ECU7が駆動装置4を制御する。具体的には、図2に示すように、駆動装置4に設けられているインバータ11の能動素子12u,12v,12w,13u,13v,13wのゲートを、図示しないゲートドライバ回路がスイッチング制御することで、インバータ11から出力される交流電力によりモータ3が回転する。この時、制御回路出力線23からの出力はない状態、つまり電圧出力Lowの状態であるため、保護回路能動素子17はオフの状態である。
車両1の走行中に、交通事故等の緊急事態が発生した場合、車両ECU7は図3に示すように、保護回路動作指示部24と電流検知部28とに緊急事態通知信号を送信する。保護回路動作指示部24は、ラッチ回路26に信号を出力する。ラッチ回路26は初期状態では、保護回路能動素子駆動IC27へ電圧出力をしていない状態であり、つまり電圧出力がLowである。そしてラッチ回路26は信号が入力されると、保護回路能動素子駆動IC27への電圧出力をHighに切り替えてその状態を保持する。保護回路能動素子駆動IC27は制御回路出力線23を介して、図2に示す保護回路能動素子17のゲート端子に電圧を出力する。これにより、保護回路能動素子17がオンになる。すなわち、保護回路スイッチ16がオンになる。
保護回路スイッチ16がオンになった後、電流検知部28(図3参照)は、電流センサ47u,47v,47wの測定結果を電流センサ出力線25u,25v,25wを経由して受信する。図3に示すように、電流検知部28は、各相の電流値をオフセット電流演算部30へ送信する。この時、各相の電流には、モータ3の逆起電力による正弦波の交流電流成分と、モータ3にて発生した逆起電力により、モータ3からの電流が還流ダイオード14u,14v,14wを通ってDCプラスライン8へ流れ、DCプラスライン8から保護回路能動素子17を通ってモータ3の中性点19へ流れる直流電流成分と、平滑コンデンサ10からの出力電流とが含まれている。この直流電流成分をオフセット電流という。オフセット電流演算部30では、受信した各相の電流値のオフセット電流値を得るために、受信した交流電流値をローパスフィルターに通して平滑化処理(例えばなまし処理)を実施する。また、オフセット電流指令部31は、あらかじめ決められた緊急時の平滑コンデンサ10の放電時に必要な平滑コンデンサ10の放電レートから、駆動装置4(図2参照)の回路構成においてこの放電レートで放電するために必要なオフセット電流値を算出する。この必要なオフセット電流値は、一般に通常時のオフセット電流値よりも大きくなる。オフセット電流演算部30は、現在のオフセット電流値をPI制御部32に送信する。同じく、オフセット電流指令部31は、算出した必要なオフセット電流値をPI制御部32に送信する。PI制御部32は、現在のオフセット電流値を必要なオフセット電流値に近づけるためのPI制御のための演算を行い、その結果をデューティー比作成部33へ送信する。デューティー比作成部33は、受信した演算結果に基づいて、能動素子13u,13v,13wのオン/オフのデューティー比を演算し、このデューティー比に基づいた、電圧値High/Lowの矩形波をゲート指令部34に送信する。なお、この時デューティー比は、100%にはならないように制御する。
ゲート指令部34は、受信した矩形波に基づいて、能動素子13u,13v,13wのゲートに電圧値High/Lowの矩形波を送信する。これにより、能動素子13u,13v,13wは、デューティー比に基づいたオン/オフのスイッチング動作を行う。能動素子13u,13v,13wがオンであれば、DCプラスライン8から保護回路スイッチ16と中性点19とを経て、能動素子13u,13v,13wを通りDCマイナスライン9まで至る電流経路ができるので、オフセット電流が増加し、能動素子13u,13v,13wがオフであれば、オフセット電流は変化しない。したがって、能動素子13u,13v,13wはオン/オフのスイッチング動作を行うことで、必要なオフセット電流に近くなるようにオフセット電流を制御することができる。以降は、電流センサ47u,47v,47wの電流測定結果から、オフセット電流演算部30でのオフセット電流の演算と、PI制御部32での演算とを繰り返し、演算結果に基づいて能動素子13u,13v,13wのオン/オフ制御を継続することで、必要なオフセット電流値に近くなるようにオフセット電流を制御しつづけることができる。DCプラスライン8から保護回路スイッチ16と中性点19を経て、能動素子13u,13v,13wを通りDCマイナスライン9までの電流経路に必要なオフセット電流値に近くなるようにオフセット電流を流すことで、通常時よりもモータ銅損、MOS損失、そして他の導通損失が増えるため、効率的に平滑コンデンサ10の放電を行うことができる。
このように、DCプラスライン8に接続されている保護回路スイッチ16をオンにした後に、DCマイナスライン9に接続されている全ての相のインバータ11の能動素子13u,13v、13wを同時にオンオフするオンオフ制御を行うことで、平滑コンデンサ10の電荷を放電することができるので、緊急時に平滑コンデンサ10の電圧を積極的に下げることができる。
実施の形態2
次に、この発明の実施の形態2に係る回転電機の駆動装置を説明する。尚、実施の形態2において、図1〜図3の参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
この発明の実施の形態2に係る回転電機の駆動装置は、実施の形態1に対して、モータ3の結線を星形結線からΔ結線に変更したものである。
次に、この発明の実施の形態2に係る回転電機の駆動装置を説明する。尚、実施の形態2において、図1〜図3の参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
この発明の実施の形態2に係る回転電機の駆動装置は、実施の形態1に対して、モータ3の結線を星形結線からΔ結線に変更したものである。
図4に示すように、回転電機であるモータ35とモータ35の駆動装置である駆動装置4’とが車両1(図1参照)に設けられている。モータ35は、Δ結線の三相のブラシレス直流モータであり、駆動コイル36u,36v,36w,37u,37v,37wが設けられている。駆動コイル36u,37uがインバータ11のU相の出力とV相の出力との間に接続されてモータ35のU相の結線を構成している。同じく駆動コイル36v,37vがインバータ11のV相の出力とW相の出力との間に接続されてモータ35のV相の結線を構成している。さらに駆動コイル36w,37wがインバータ11のW相の出力とU相の出力との間に接続されてモータ35のW相の結線を構成している。そして駆動コイル36u,37uと、駆動コイル36v,37vと、駆動コイル36w,37wとはΔ結線されている。Δ結線の駆動装置4’には、駆動コイル36uと駆動コイル37uとが接続されている点から駆動コイル36wと駆動コイル37wとが接続されている点までの間に結線切り替えスイッチ能動素子38が設けられている。同様に、駆動コイル36vと駆動コイル37vとが接続されている点から駆動コイル36wと駆動コイル37wとが接続されている点までの間に結線切り替えスイッチ能動素子41が設けられている。結線切り替えスイッチ能動素子38,41はPチャネル形MOSFETである。結線切り替えスイッチ能動素子38,41と並列に、結線切り替えスイッチ還流ダイオード39,42が、駆動コイル37wと接続する点をカソード側にして設けられている。結線切り替えスイッチ能動素子38と結線切り替えスイッチ還流ダイオード39とで、結線切り替えスイッチ40を構成している。結線切り替えスイッチ能動素子41と結線切り替えスイッチ還流ダイオード42とで、結線切り替えスイッチ43を構成している。この結線切り替えスイッチ還流ダイオード39,42も寄生ダイオードを用いてもよい。制御回路22’のモータ結線切り替え出力線44が、結線切り替えスイッチ能動素子38,41のゲートに接続されている。
DCプラスライン8から駆動コイル36wと駆動コイル37wとが接続されている点までの間に、DCプラスライン8側に保護回路還流ダイオード20のカソード側があるように、保護回路スイッチ16が設けられている。図5に示すように、制御回路22’においては、保護回路能動素子駆動IC27に遅延回路45が接続されている。遅延回路45の出力が、制御回路出力線23に接続されている。ラッチ回路26には、モータ結線切り替え出力線44が接続されている。その他の構成は実施の形態1と同じである。
次に、この発明の実施の形態2に係る回転電機の駆動装置の動作を説明する。
実施の形態1と同様に、車両1’の走行中に、交通事故等の緊急事態が発生した場合、車両ECU7は図5に示すように、保護回路動作指示部24と電流検知部28とに緊急事態通知信号を送信する。保護回路動作指示部24は、ラッチ回路26に信号を出力する。ラッチ回路26は初期状態では、保護回路能動素子駆動IC27へ電圧出力をしていない状態であり、つまり電圧出力がLowである。そしてラッチ回路26は信号が入力されると保護回路能動素子駆動IC27及びモータ結線切り替え出力線44への電圧出力をHighに切り替えてその状態を保持する。
実施の形態1と同様に、車両1’の走行中に、交通事故等の緊急事態が発生した場合、車両ECU7は図5に示すように、保護回路動作指示部24と電流検知部28とに緊急事態通知信号を送信する。保護回路動作指示部24は、ラッチ回路26に信号を出力する。ラッチ回路26は初期状態では、保護回路能動素子駆動IC27へ電圧出力をしていない状態であり、つまり電圧出力がLowである。そしてラッチ回路26は信号が入力されると保護回路能動素子駆動IC27及びモータ結線切り替え出力線44への電圧出力をHighに切り替えてその状態を保持する。
図4に示すように、モータ結線切り替え出力線44の電圧出力がHighになったことで、結線切り替えスイッチ能動素子38,41のゲート端子の電圧出力がHighになり、結線切り替えスイッチ能動素子38,41がオンに切り替わる。すると、モータ35と保護回路能動素子17と保護回路還流ダイオード20との結線は、オン状態の結線切り替えスイッチ能動素子38,41とそれらに並列な結線切り替えスイッチ還流ダイオード39,42とを省略して記載すると、図6に示すような結線と等価になる。したがって、結線切り替えスイッチ能動素子38,41がオンに切り替わった時のモータ35は、駆動コイル36uに対して駆動コイル37wと、駆動コイル37uに対して駆動コイル36vと、駆動コイル37vに対して駆動コイル36wとがそれぞれ組となって並列に結線されるようになる。そして各並列に結線された駆動コイルのそれぞれの組は、中性点46に星形結線されるようになる。つまり、結線切り替えスイッチ40,43をオンにすることにより、駆動コイルをΔ結線から星形結線に切り替えることが可能である。さらに中性点46からDCプラスライン8までの間に保護回路スイッチ16が設けられている。中性点46からDCプラスライン8までの間に保護回路スイッチ16が設けられている構成は実施の形態1と同じ構成であるため、これ以降は、実施の形態1のように能動素子13u,13v,13wを制御回路22’によってデューティー比に基づいてスイッチングすることで、実施の形態1と同じ効果を得ることができる。
このように、Δ結線のモータ35が設けられた駆動装置4’においても、駆動コイル36uと駆動コイル37uとが接続されている点から駆動コイル36wと駆動コイル37wとが接続されている点までの間に、結線切り替えスイッチ40を設け、駆動コイル36vと駆動コイル37vとが接続されている点から駆動コイル36wと駆動コイル37wとが接続されている点までの間に、結線切り替えスイッチ43を設け、モータ35の駆動コイルを星形結線に切り替えることにより、駆動装置4’の構成が実施の形態1の駆動装置4と同じ構成となるので、実施の形態1と同じ効果を得ることができる。
実施の形態1及び2では、DCプラスライン8と中性点19,46との間に保護回路スイッチ16が設けられていたが、これとは逆に、DCマイナスライン9と中性点19,46との間に保護回路スイッチ16を、DCマイナスライン9と保護回路還流ダイオード20のアノード側端子とを接続するように設けてもよい。この場合、保護回路能動素子17をオンにして、電流センサ47u,47v,47wの電流測定結果から、オフセット電流演算部30でのオフセット電流の演算と、PI制御部32での演算とを繰り返し、演算結果に基づいて能動素子12u,12v,12wのオン/オフ制御を継続することで、必要なオフセット電流値に近くなるようにオフセット電流を制御しつづけることができ、実施の形態1及び2と同じ効果を得ることができる。
実施の形態1及び2において、DCマイナスライン9と中性点19,46との間に、DCマイナスライン9側にアノード端子が接続されるように保護回路ダイオードを設けてもよい。車両1の走行中に何らかの原因でインバータ11の制御が停止して全てのスイッチング素子がオフ状態となった場合、モータ3の回転によりモータ3の各相に逆起電力が発生し、これにより、モータ3からの電流が還流ダイオード14u,14v,14wを通ってDCプラスライン8へ流れ込む。このとき平滑コンデンサ10の静電容量に余裕があれば平滑コンデンサ10に電荷がチャージされていくので、そのままでは平滑コンデンサ10の耐電圧以上に平滑コンデンサ10の電圧が上がってしまう過電圧状態になる可能性がある。このような場合に、保護回路スイッチ16をオンにするとモータ3,35にて発生した逆起電力によるモータ3からの電流が、還流ダイオード14u,14v,14wを通ってDCプラスライン8へ流れ、DCプラスライン8から保護回路能動素子17を通ってモータ3,35の中性点19へ流れる。モータ3,35で発生した電流が保護回路能動素子17を通ってモータ3,35へ帰還しているため、DCプラスライン8から平滑コンデンサ10へ電流が流れこまず、平滑コンデンサ10へのチャージは起こらなくなる。また、モータ3,35の駆動コイル18u、18v、18w又はモータ35の駆動コイル36u,36v,36w,37u,37v,37wを電流が流れることで基準電圧Vccが低下する。さらに、車両1の走行に伴い平滑コンデンサ10の電力が補機類29で消費されるため、平滑コンデンサ10の電荷量が減少する。これにより、インバータ11の制御が停止した時の、モータ3,35の逆起電力により平滑コンデンサ10が過電圧状態になることを防止することができる。また、DCマイナスライン9と中性点19,46との間に保護回路スイッチを設け、DCプラスライン8と中性点19,46との間にDCプラスライン8側にカソード端子が接続されるように保護回路ダイオードを設けてもよい。
実施の形態1及び2では、DCプラスライン8と中性点19,46との間に保護回路スイッチ16が設けられていたが、DCマイナスライン9と中性点19,46との間に、DCマイナスライン9側に保護回路還流ダイオード20(第2の保護回路還流ダイオード)のアノード端子が接続されるように、さらにもう一つの保護回路スイッチ16(第2の保護回路スイッチ)を設けてもよい。この場合、制御回路22,22’が、DCプラスライン8側に接続された保護回路スイッチ16とDCマイナスライン9側に接続された第2の保護回路スイッチとのいずれか1つをオンするように選択することで、必要なオフセット電流値に近くなるようにオフセット電流を制御するために、能動素子12u,12v,12wと能動素子13u,13v,13wとのどちらのオン/オフ制御を実施するかを選択することができるので、駆動装置4,4’の使用の柔軟性が増す。また、オンにしなかった側の保護回路スイッチの保護回路還流ダイオード20を、保護回路ダイオードとして用いてもよい。これにより、インバータ11の制御が停止した時の、モータ3,35の逆起電力により平滑コンデンサ10が過電圧状態になることを防止することができる。
実施の形態1及び2では、DCプラスライン8と中性点19,46との間に保護回路スイッチ16が設けられていたが、DCマイナスライン9と中性点19,46との間に、DCマイナスライン9側に保護回路還流ダイオード20(第2の保護回路還流ダイオード)のアノード端子が接続されるように設けたさらにもう一つの保護回路スイッチ16(第2の保護回路スイッチ)と、これに直列に接続された平滑コンデンサ電圧抑制部とを設けてもよい。この平滑コンデンサ電圧抑制部は、コンデンサと抵抗とのうち少なくとも1つを直列に接続したものである。車両1の走行中に何らかの原因でインバータ11の制御が停止して全てのスイッチング素子がオフ状態となった場合、モータ3の回転によりモータ3の各相に逆起電力が発生する。これにより、モータ3からの電流が還流ダイオード14u,14v,14wを通ってDCプラスライン8へ流れ込む。このとき平滑コンデンサ10の静電容量に余裕があれば平滑コンデンサ10に電荷がチャージされていくので、そのままでは平滑コンデンサ10の耐電圧以上に平滑コンデンサ10の電圧が上がってしまう過電圧状態になる可能性がある。このような場合に、DCプラスライン8側の保護回路スイッチ16及びDCマイナスライン9側の第2の保護回路スイッチをオンにすると、モータ3,35にて発生した逆起電力によるモータ3,35からの電流が、還流ダイオード14u,14v,14wを通ってDCプラスライン8へ流れ、DCプラスライン8からDCプラスライン8側の保護回路スイッチ16とDCマイナスライン9側の第2の保護回路スイッチとを流れて平滑コンデンサ電圧抑制部に流れ込む。モータ3,35からの電流が平滑コンデンサ電圧抑制部を流れることにより、モータ3,35からの電流は平滑コンデンサ10へ流れなくなり、さらにモータ3,35からの電流が平滑コンデンサ電圧抑制部で使用されて電荷量が減少する。これにより、インバータ11の制御が停止した時の、モータ3,35の逆起電力により平滑コンデンサ10が過電圧状態になることを防止することができる。また、DCプラスライン8側に設けた保護回路スイッチ16に平滑コンデンサ電圧抑制部を直列に接続してもよい。
実施の形態1及び2では、保護回路スイッチ16には保護回路還流ダイオード20が設けられていたが、保護回路還流ダイオード20を設けなくてもよい。
実施の形態1及び2では、インバータ11の能動素子12u、12v,12w及び13u,13v,13wはPチャネル形MOSFETを用いたが、Nチャネル形MOSFETや、バイポーラトランジスタなど他の種類の能動素子を用いてもよい。
実施の形態1及び2では、保護回路スイッチ16の保護回路能動素子17はPチャネル形MOSFETであり、実施の形態2では結線切り替えスイッチ40,43の結線切り替えスイッチ能動素子38,41はそれぞれ、Pチャネル形MOSFETであるが、スイッチとして使用できる素子や部品であれば他の種類の素子や部品であってもよい。保護回路能動素子17及び結線切り替えスイッチ能動素子38,41に、IGBTを用いてもよいし、リレー等の機械的スイッチを用いてもよい。すなわち、この場合における能動素子とは、入力側への入力電流の入力によりスイッチとして導通状態になることで、出力側より出力電流を出力する素子のことを言う。
実施の形態1及び2では、モータ3,35は三相のブラシレス直流モータであったが、インバータで制御されるモータであれば他の種類の三相モータであってもよい。また、インバータで制御される少なくとも2相以上の電流を使用するモータであってもよい。この場合、モータの相の数に応じてインバータの相の数も変更する。
実施の形態1及び2では、PI制御によりオフセット電流を制御していたが、他の制御方法であってもよい。例えば、あらかじめ設定されたデューティー比に基づいて能動素子12u,12v,12w,13u,13v,13wのオン/オフ制御を行ってもよい。
3,35 モータ(回転電機)、6 二次電池(直流電源)、8 DCプラスライン、9 DCマイナスライン、10 平滑コンデンサ、11 インバータ、12u,12v,12w,13u,13v,13w 能動素子(スイッチング素子)、14u,14v,14w、15u,15v,15w 還流ダイオード、16 保護回路スイッチ、17 保護回路能動素子、18u,18v,18w,36u,36v,36w,37u,37v,37w 駆動コイル、19,46 中性点、20 保護回路還流ダイオード、22,22’ 制御回路、40,43 結線切り替えスイッチ、47u,47v,47w 電流センサ。
Claims (7)
- 回転電機の駆動装置であって、
直流電源に対して並列に接続されている平滑コンデンサと、
前記直流電源の正極から延びる配線であるDCプラスラインと、
前記直流電源の負極から延びる配線であるDCマイナスラインと、
入力側に前記DCプラスライン及び前記DCマイナスラインが接続され、出力側に前記回転電機が接続され、前記出力側は少なくとも2相の出力を備え、各相にスイッチング素子と前記スイッチング素子毎に並列に接続された還流ダイオードとを備えるインバータと、
前記回転電機の中性点と前記DCプラスライン又は前記DCマイナスラインのいずれか一方との間に接続されている保護回路能動素子と、前記保護回路能動素子と並列であってカソード端子が前記DCプラスライン側又はアノード端子が前記DCマイナスライン側になるように接続される保護回路還流ダイオードとを有する保護回路スイッチと、
前記保護回路スイッチをオンにした後に、前記DCプラスライン又は前記DCマイナスラインのいずれか他方に直接接続されている全ての相の前記スイッチング素子を同時にオンオフするオンオフ制御を行う制御回路と
を備える回転電機の駆動装置。 - 前記回転電機の各相毎の相電流を測定する電流センサを備え、
前記制御回路は、前記電流センサの測定電流値が所定の値になるように、前記DCプラスライン又は前記DCマイナスラインのいずれか他方に接続されている全ての相の前記スイッチング素子のオン時間のデューティー比を生成し、前記デューティー比に基づいて前記DCマイナスライン又は前記DCプラスラインに直接接続されている全ての相の前記スイッチング素子のオンオフ制御を行う、請求項1に記載の回転電機の駆動装置。 - 前記中性点と前記DCプラスライン又は前記DCマイナスラインのいずれか他方との間に、カソード端子が前記DCプラスライン側又はアノード端子が前記DCマイナスライン側になるように接続されている保護回路ダイオードが設けられている、請求項1又は2に記載の回転電機の駆動装置。
- 前記回転電機の中性点と前記DCプラスライン又は前記DCマイナスラインのいずれか他方との間に接続されている第2の保護回路能動素子と、前記第2の保護回路能動素子と並列であってカソード端子が前記DCプラスライン又はアノード端子が前記DCマイナスライン側になるように接続される第2の保護回路還流ダイオードとを有する第2の保護回路スイッチを備える請求項1又は2に記載の回転電機の駆動装置。
- 前記第2の保護回路スイッチと直列に接続され、保護回路コンデンサ及び保護回路抵抗のうち少なくともいずれか一つを備える平滑コンデンサ電圧抑制部を備える請求項4に記載の回転電機の駆動装置。
- 前記回転電機の駆動コイルが星形結線である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転電機の駆動装置。
- 前記回転電機の駆動コイルがΔ結線であり、前記駆動コイルは前記回転電機の巻線に接続された結線切り替えスイッチによって星形結線に切り替えることが可能であり、
前記回転電機の中性点は、前記回転電機の各相の巻線を星形結線に切り替えた場合の中性点である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転電機の駆動装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014118068A JP2015231321A (ja) | 2014-06-06 | 2014-06-06 | 回転電機の駆動装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018180238A1 (ja) * | 2017-03-29 | 2018-10-04 | 日本電産株式会社 | 電力変換装置、モータ駆動ユニットおよび電動パワーステアリング装置 |
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2014
- 2014-06-06 JP JP2014118068A patent/JP2015231321A/ja active Pending
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