JP2015224587A - 高圧燃料ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】
高圧燃料ポンプにおいて可動子が衝突する際の衝突力を低減し、可動子の衝突に起因する動作音を低減することを目的とする。
【解決手段】
燃料を加圧するための加圧室と、前記加圧室の吸入側に設けられ、吸入側の燃料流路の流路開閉を行う電磁吸入弁機構と、を備えた高圧燃料ポンプにおいて、前記電磁吸入弁機構は磁気吸引力によって移動する可動部を備え、可動部の外周側に可動部の移動により体積が増減する空洞部が形成されるとともに、前記空洞部から前記加圧室の側に燃料を供給する燃料流路が形成され、前記燃料流路から吐出される燃料の流路面積は前記可動部が磁気吸引力により移動することにより減少するように構成される。
【選択図】図3
高圧燃料ポンプにおいて可動子が衝突する際の衝突力を低減し、可動子の衝突に起因する動作音を低減することを目的とする。
【解決手段】
燃料を加圧するための加圧室と、前記加圧室の吸入側に設けられ、吸入側の燃料流路の流路開閉を行う電磁吸入弁機構と、を備えた高圧燃料ポンプにおいて、前記電磁吸入弁機構は磁気吸引力によって移動する可動部を備え、可動部の外周側に可動部の移動により体積が増減する空洞部が形成されるとともに、前記空洞部から前記加圧室の側に燃料を供給する燃料流路が形成され、前記燃料流路から吐出される燃料の流路面積は前記可動部が磁気吸引力により移動することにより減少するように構成される。
【選択図】図3
Description
本発明は、高圧燃料ポンプにおいて、燃料の吐出量を調節する電磁式吸入弁などに用いられる電磁弁の構造、および当該構造を備える高圧燃料ポンプに関する。
加圧燃料を内燃機関に供給する高圧燃料ポンプは、噴射器によって内燃機関の燃焼室内へ燃料が直接噴射される直接噴射運転に基づいた燃料供給系に使用することができる。内燃機関の燃焼室内へ直接噴射される加圧燃料は、高圧燃料ポンプによって加圧・供給されるため、消費される燃料の量に応じて高圧燃料ポンプは吐出する流量を調節する必要がある。
例えば特許文献1では高圧燃料ポンプから高圧圧送される燃料の量は電磁弁のソレノイドへのON(通電)タイミングを制御することにより調節する。具体的には高圧燃料ポンプのピストンプランジャによる圧縮工程の途中でソレノイドをON(通電)すると、プランジャロッドが吸入弁から離れて移動して、吸入弁がばねの力と加圧燃料の圧力とによって閉弁位置に移動される。ピストンプランジャが下死点に向かって移動し始めて加圧室内の圧力が下がると、プランジャロッド、および吸入弁は開弁方向へ移動する。この時に第二電流供給領域を設けることで、プランジャロッド・吸入弁とバルブストッパとの衝突に起因する衝突音を低減できると特許文献1に記載されている。
また、特許文献2では電磁弁のソレノイドへの供給電流を高い値の区間と低い値の区間を設定することで、プランジャロッドの衝突音を低減できると記載されている。
特許文献1や特許文献2はいずれも高圧燃料ポンプの動作音の低減に関するものである。特に乗用車において、エンジンがアイドル運転しているときは高圧燃料ポンプの作動音が目立ってしまい、さらなる騒音の低減方法を見出す努力が継続されている。そこで本発明は高圧燃料ポンプにおいて可動子が衝突する際の衝突力を低減し、可動子の衝突に起因する動作音を低減することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、燃料を加圧するための加圧室と、前記加圧室の吸入側に設けられ、燃料の流路開閉を行う電磁吸入弁機構と、を備えた高圧燃料ポンプにおいて、前記電磁吸入弁機構は磁気吸引力によって移動する可動部を備え、前記可動部の外周側に前記可動部の移動により体積が増減する空洞部が形成されるとともに、前記空洞部から前記加圧室の側に燃料を供給する燃料流路が形成され、前記燃料流路から吐出される燃料の流路面積は前記可動部が磁気吸引力により移動することにより減少するように構成されることを特徴とする。
本発明によれば、可動子が衝突する際の衝突力を低減し、可動子の衝突に起因する動作音を低減させる効果がある。本発明のその他の構成、作用、効果は以下の実施例において詳細に説明する。
以下、図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
以下、図1〜図3を用いて、本発明の第一実施例を説明する。
まず図1の全体概略図を用いてシステムの構成と動作を説明する。図1は高圧燃料ポンプの全体の構成を模式的に表した図である。
破線で囲まれた部分が高圧ポンプ本体を示し、この破線の中に示されている機構、部品
は高圧ポンプ本体1に一体に組み込まれていることを示す。燃料タンク20の燃料はフィードポンプ21によって汲み上げられ、吸入配管28を通してポンプ本体1の吸入ジョイント10aに送られる。吸入ジョイント10aを通過した燃料は圧力脈動低減機構9、吸入通路10dを介して容量可変機構を構成する電磁吸入弁機構30の吸入ポート30aに至る。
まず図1の全体概略図を用いてシステムの構成と動作を説明する。図1は高圧燃料ポンプの全体の構成を模式的に表した図である。
破線で囲まれた部分が高圧ポンプ本体を示し、この破線の中に示されている機構、部品
は高圧ポンプ本体1に一体に組み込まれていることを示す。燃料タンク20の燃料はフィードポンプ21によって汲み上げられ、吸入配管28を通してポンプ本体1の吸入ジョイント10aに送られる。吸入ジョイント10aを通過した燃料は圧力脈動低減機構9、吸入通路10dを介して容量可変機構を構成する電磁吸入弁機構30の吸入ポート30aに至る。
電磁吸入弁機構30は電磁コイル30bを備え、この電磁コイル30bが通電されていない状態では可動子30cが図1の右方に移動した状態で、ばね33が圧縮されていない状態である。可動子30cの先端に取り付けられた吸入弁体31が高圧ポンプの加圧室11につながる吸入口32を開いている。このばね33の付勢力により、吸入弁体31は開弁方向に付勢され吸入口32は開いた状態となっている。
具体的には以下のように動作する。
後述するカム5の回転により、プランジャ2が図1の下方に変位して吸入工程状態にある時は、加圧室11の容積は増加し加圧室11内の燃料圧力が低下する。この工程で加圧室11内の燃料圧力が吸入通路10d(吸入ポート30a)の圧力よりも低くなり、吸入ポート30aから吸入口32を通り燃料が加圧室11内に流れ込む。
後述するカム5の回転により、プランジャ2が図1の下方に変位して吸入工程状態にある時は、加圧室11の容積は増加し加圧室11内の燃料圧力が低下する。この工程で加圧室11内の燃料圧力が吸入通路10d(吸入ポート30a)の圧力よりも低くなり、吸入ポート30aから吸入口32を通り燃料が加圧室11内に流れ込む。
プランジャ2が吸入工程を終了し、圧縮工程(図1の上方へ移動する状態)に移る時、依然として吸入弁体31は開弁したままである。加圧室11の容積は、プランジャ2の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、一度加圧室11に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入弁体31を通して吸入通路10d(吸入ポート30a)へと戻されるので、加圧室の圧力が上昇することは無い。この工程を戻し工程と称す。この状態にて、エンジンコントロールユニット27(以下ECUと称す)からの制御信号が電磁吸入弁機構30に印加されると電磁吸入弁機構30の電磁コイル30bには電流が流れ、磁気吸引力により可動子30cが図1の左に移動し、ばね33が圧縮される。その結果、吸入弁体31も図1の左に移動し、吸入口32が閉じられる。
吸入口32が閉じるとこのときから加圧室11の燃料圧力はプランジャ2の上昇運動と共に上昇する。そして、燃料吐出口12の圧力以上になると、吐出弁機構8を介して加圧室11に残っている燃料の高圧吐出が行われ、コモンレール23へと供給される。この工程を吐出工程と称す。すなわち、プランジャ2の圧縮工程(下始点から上始点までの間の上昇工程)は、戻し工程と吐出工程からなる。この状態で、ECU27からの制御信号を解除して、電磁コイル30bへの通電を断つと、可動子30cに働いている磁気吸引力は一定の時間後(磁気的、機械的遅れ時間後)に消去される。可動子30cにはばね33による付勢力が働いているので、図1の右方向に移動しようとする。しかし、プランジャ2の圧縮行程中は加圧室11内の圧力が高く、その圧力によって吸入弁体31は閉弁状態が維持される。そのため可動子30cはECU27からの制御信号が解除された後でも、プランジャ2の圧縮行程中は図1の左に移動した状態が維持される。
プランジャ2の圧縮行程が終了し再び吸入行程が開始すると、加圧室11内の圧力が下がり吸入弁体31は図1の右に移動し吸入口32が開かれる。これに伴い可動子30cも図1の右に移動する。
プランジャ2の圧縮行程が終了し再び吸入行程が開始すると、加圧室11内の圧力が下がり吸入弁体31は図1の右に移動し吸入口32が開かれる。これに伴い可動子30cも図1の右に移動する。
電磁吸入弁機構30の電磁コイル30bへの通電を開始するタイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイルへ30bへの通電を開始するタイミングを早くすれば、圧縮工程中の戻し工程の割合が小さく、吐出工程の割合が大きい。すなわち、吸入通路10d(吸入ポート30a)に戻される燃料が少なく、高圧吐出される燃料は多くなる。一方、入力電圧を開始するタイミングを遅くすれば、圧縮工程中の、戻し工程の割合が大きく、吐出工程の割合が小さい。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が多く、高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイルへ30bへの通電を解除するタイミングは、ECUからの指令によって制御される。
以上のように構成することで、電磁コイルへ30bへの通電を解除するタイミングを制
御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することが出来
る。
以上のように構成することで、電磁コイルへ30bへの通電を解除するタイミングを制
御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することが出来
る。
加圧室11の出口には吐出弁機構8が設けられている。吐出弁機構8は吐出弁シート8a、吐出弁8b、吐出弁ばね8cを備え、加圧室11と燃料吐出口12に燃料差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cによる付勢力で吐出弁シート8aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室11の燃料圧力が、燃料吐出口12の燃料圧力よりも大きくなった時に始めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cに逆らって開弁し、加圧室11内の燃料は燃料吐出口12を経てコモンレール23へと高圧吐出される。
かくして、燃料吸入口10aに導かれた燃料はポンプ本体1の加圧室11にてプランジャ2の往復動によって必要な量が高圧に加圧され、燃料吐出口12からコモンレール23に圧送される。
コモンレール23には、インジェクタ24、圧力センサ26が装着されている。インジェクタ24は、内燃機関の気筒数に合わせて装着されており、エンジンコントロールユニット(ECU)27の制御信号にてしたがって開閉弁して、燃料をシリンダ内に噴射する。
ポンプ本体1にはさらに、吐出弁8bの下流側と加圧室11とを連通するリリーフ通路100Aが吐出流路とは別に吐出弁をバイパスして設けられている。リリーフ通路100Aには燃料の流れを吐出流路から加圧室11への一方向のみに制限するリリーフ弁102が設けられている。リリーフ弁102は、押付力を発生するリリーフばね104によりリリーフ弁シート101に押付けられており、加圧室内とリリーフ通路内との間の圧力差が規定の圧力以上になるとリリーフ弁102がリリーフ弁シート101から離れ、開弁するように設定している。
インジェクタ24の故障等によりコモンレール23等に異常高圧が発生した場合、リリーフ通路100Aと加圧室11の差圧がリリーフ弁102の開弁圧力以上になると、リリーフ弁102が開弁し、異常高圧となった燃料はリリーフ通路100Aから加圧室11へと戻され、コモンレール23等の高圧部配管が保護される。
以下に高圧燃料ポンプの構成、動作を図2を用いてさらに詳しく説明する。図2は高圧燃料ポンプの正面から見た断面図である。
ポンプ本体には中心に加圧室11が形成されており、さらに加圧室11に燃料を供給するための電磁吸入弁機構30と加圧室11から吐出通路に燃料を吐出するための吐出弁機構が設けられている。
プランジャ2の進退運動をガイドするシリンダ6が加圧室11に臨むようにして取り付けられている。シリンダ6は外周がシリンダホルダ7で保持され、ポンプ本体1に固定される。シリンダ6は加圧室内で進退運動するプランジャ2をその進退運動方向に沿って摺動可能に保持する。
プランジャ2の下端には、エンジンのカムシャフトに取り付けられたカム5の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達するタペット3が設けられている。これによりカム5の回転運動に伴い、プランジャ2を上下に進退(往復)運動させることができる。ダンパカバー14には、ポンプ内で発生した圧力脈動が燃料配管28へ波及するのを低減させる圧力脈動低減機構9が設置されている。
圧力脈動低減機構9を通った燃料は吸入通路10b、吸入ポート30aの順に吸入口32を通って加圧室11内へ流れる。先述の通り、電磁吸入弁機構30は電磁コイル30bを備え、この電磁コイル30bが通電されていない状態では可動子30cが図1の右方に移動した状態で、ばね33が圧縮されていない状態である。可動子30cの先端に取り付けられた吸入弁体31が高圧ポンプの加圧室11につながる吸入口32を開いている。このばね33の付勢力により、吸入弁体31は開弁方向に付勢され吸入口32は開いた状態となっている。
プランジャ2の圧縮期間中に制御信号が電磁吸入弁機構30に印加されると電磁吸入弁機構30の電磁コイル30bには電流が流れ、磁気吸引力により可動子30cが図1の左に移動し、ばね33が圧縮される。この時可動子30cは固定子34に衝突するまで移動し、固定子34に衝突した際に衝撃音が発生する。一般論として、衝突する物体の速度が速ければ速いほど衝突音も大きいことが言え、可動子30cが固定子34と衝突して発せされる音も、可動子30の移動速度を遅くすることで音を低減できる。
可動子30cの移動速度を遅くするためには、電磁コイル30bによる磁気吸引力を小さくすることも考えられる。しかし磁気吸引力を小さくすると可動子の動きに時間がかかってしまい、吸入弁体31が所定の応答時間で吸入弁を開閉できなくなってしまう。吸入弁が所定の応答時間を維持しつつ、衝突音を低減させるためには可動子30cが固定子34と衝突する直前に減速することが望ましい。そこで本発明は流体の力を利用して可動子30cが固定子34と衝突する直前に減速させることを実現した。
以下に図3を用いて第一実施例の詳細を説明する。図3は第一実施例における可動子30cと固定子34とそれを支持する部材に関しての詳細な断面図である。
第一実施例においては、図3の破線で示す領域の中で可動子30cと固定部材によって形成された燃料によって満たされたスペースを空洞部301と定義する。空洞部301は可動子30cが移動を開始する前と移動した後で、体積が変化し、変化した体積分の燃料が空洞部301を出入りする。この燃料が空洞部301を出入りできるように、空洞部301と吸入ポート30aの間をつなぐ通路302を支持部材306に設ける。可動子30cが先に述べたように磁気吸引力によって図3の左に移動すると、空洞部301から燃料が押し出される。押し出された燃料は303の矢印に示す流れのように通路302を通り吸入ポート30aに流れる。
ここで可動子30cに突起部304を可動子の移動方向から見て通路302と重なるように設ける。こうすることにより可動子30cが図3の左に移動した後は突起部304が通路302の出口を覆い塞ぐ形となる。この時通路302を流れている燃料の流路は、突起部304が通路302の出口を塞ぐことで狭くなる。つまり空洞部301から吸入ポート30aまでの燃料の流路において、最小となる流路面積が、可動子30cが移動したことで減少する構成となっている。この時、最小となる流路は可動子30cと支持部材306の壁面により形成される軸方向の隙間となる。
つまり本実施例の高圧燃料ポンプは燃料を加圧するための加圧室11と、前記加圧室の吸入側に設けられ、吸入側の燃料流路(吸入通路10b)の流路開閉を行う電磁吸入弁機構30とを備えている。また、電磁吸入弁機構30は磁気吸引力によって移動する可動部(可動子30c)を備え、可動部(可動子30c)の外周側に可動部(可動子30c)の移動により体積が増減する空洞部301が形成される。また空洞部301から加圧室11の側に燃料を供給する燃料流路(通路302)が形成され、燃料流路(通路302)から吐出される燃料の流路面積は可動子30cが磁気吸引力により移動することにより減少するように構成される。可動部(可動子30c)は燃料流路(通路302)よりも加圧室11の側に外周側に凸となる突起部304が形成され、この突起部304は燃料流路(通路302)と可動方向で重なるように形成される。
本実施例ではこの燃料流路(通路302)が可動部(可動子30c)の外周側でかつ空洞部301よりも加圧室11側に設けられた支持部材306に形成される。燃料流路(通路302)は支持部材306の加圧室11の側の端面とから空洞部301の側の端面との双方に開口しており、支持部材306を略直線形状に貫通する様に設けられる。図3では断面図を示したが、支持部材306の周方向に複数、設けるようにしても良い。また、突起部304は所定の厚みを有する略円盤形状で構成され、支持部材306に対応して配置される。燃料の流路面積、つまり可動子30cの可動方向における支持部材306と突起部304とのすき間は可動子30cが磁気吸引力により移動することにより減少し、流路面積を減少するものである。
本実施例ではこの燃料流路(通路302)が可動部(可動子30c)の外周側でかつ空洞部301よりも加圧室11側に設けられた支持部材306に形成される。燃料流路(通路302)は支持部材306の加圧室11の側の端面とから空洞部301の側の端面との双方に開口しており、支持部材306を略直線形状に貫通する様に設けられる。図3では断面図を示したが、支持部材306の周方向に複数、設けるようにしても良い。また、突起部304は所定の厚みを有する略円盤形状で構成され、支持部材306に対応して配置される。燃料の流路面積、つまり可動子30cの可動方向における支持部材306と突起部304とのすき間は可動子30cが磁気吸引力により移動することにより減少し、流路面積を減少するものである。
流路面積が減少、つまり流路が狭くなることで通路302を通り吸入ポート30aに流れる燃料が流れにくくなる。通路302を通る燃料が流れにくくなることで可動子30cの移動を阻害し移動速度を減速させる作用がある。具体的には通路302を流れる燃料が流れにくくなることで空洞部301にある燃料が可動子30cによって圧縮され、空洞部301の圧力が一時的に上昇する。空洞部301の圧力が上昇することで可動子30cは圧力を受け移動速度が遅くなる。
また、可動子30cが移動を開始した直後は突起部304と通路302との距離は離れているので流路は広く燃料は比較的流れ易い。これに対し可動子30cが固定子34と衝突する直前には流路が急激に狭くなるので燃料はより流れにくくなる構成となっている。これにより可動子30cが固定子34と衝突する直前に可動子30cを大きく減速させることができ、吸入弁の閉弁時応答を損なうことなく可動子30cの衝突音を低減させる効果を得ることができる。
また、可動子30cが固定子34と衝突し停止した際、最小となる流路面積がゼロより大きい所定の値となるように構成する。つまり、可動子30cが固定子34と衝突した状態においても、燃料流路(通路302)からの燃料が加圧室11側に送る流路が形成されるように突起部304を構成する。具体的には、図3に示す可動子30cが固定子34と衝突した際に、可動子30cの突起部304の一部又は全部が通路302と接触しない構成にする。突起部304と通路302の出口との距離を、可動子30cの移動距離より大きくすることで、可動子30cが固定子34と衝突し停止した際には突起部304と通路302の出口(開口側端面)との間に隙間を残す構成にする。つまり突起部304を通路302と対応する位置において、通路302と反対側に凹むように凹み部を形成することで、可動子30cが停止した後も前記最小となる流路面積がゼロとならず、燃料が流れる構成にする。
こうすることで空洞部301と吸入ポート30aを繋ぐ流路が完全に塞がれることを回避することができる。空洞部301と吸入ポート30aを繋ぐ通路302を、可動子30cに設けられた突起部304によって完全に塞いでしまうと、可動子30cが図3の左に移動する際は大きな減速効果を得ることができるが、可動子30cが図3の右に移動する際は動き出しに長い時間がかかってしまうことが考えられる。
これは空洞部301を燃料が出入りすることが出来なくなってしまい、可動子30cの動きを大きく阻害してしまうことに起因する。吸入弁が開弁する際に、可動子30cの動き出しに時間がかかってしまうと吸入弁の開弁に時間がかかってしまい、吸入弁の応答が遅くなってしまう。可動子30cが固定子34と衝突し停止した際、前記最小となる流路面積がゼロより大きい所定の値となるように構成することで、吸入弁が開弁する際でも、空洞部301へ燃料が出入りでき可動子30cの動き出しが阻害されることがない。これにより吸入弁の開弁時の応答も損なうことなく、可動子30cの衝突音を低減させる効果を得ることができる。
以下に図4を用いて第二実施例の詳細を説明する。図4は第二実施例における可動子30cと固定子34とそれを支持する部材に関しての詳細な断面図である。
第二実施例においては、図4の破線で示す領域の中で可動子30cと固定部材によって形成された燃料によって満たされたスペースを空洞部301と定義する。第一実施例と同様に、空洞部301は可動子30cが移動を開始する前と移動した後で、体積が変化し、変化した体積分の燃料が空洞部301を出入りする。この燃料が空洞部301を出入りできるように、空洞部301と吸入ポート30aの間をつなぐ通路302を可動子30cに設ける。可動子30cが先に述べたように磁気吸引力によって図3の左に移動すると、空洞部301から燃料が押し出される。押し出された燃料は303の矢印に示す流れのように通路302を通り吸入ポート30aに流れる。ここで可動子30cに設けた通路302の吸入ポート30aへの出口を可動子30cの移動方向とは垂直になるように設け、可動子30cが図4の左に移動した時は可動子30cの支持部材306と通路302の出口とが重なる構成にする。この時通路302を流れている燃料の流路が、支持部材306が通路302の出口を塞ぐことで狭くなる。つまり第一実施例と同様に、空洞部301から吸入ポート30aまでの燃料の流路において、最小となる流路面積が、可動子30cが移動したことで減少する構成となっている。
流路面積が減少、つまり流路が狭くなることで通路302を通り吸入ポート30aに流れる燃料が流れにくくなる。通路302を通る燃料が流れにくくなることで可動子30cの移動を阻害し移動速度を減速させる作用がある。具体的には通路302を流れる燃料が流れにくくなることで空洞部301にある燃料が可動子30cによって圧縮され、空洞部301の圧力が一時的に上昇する。空洞部301の圧力が上昇することで可動子30cは圧力を受け移動速度が遅くなる。
また、可動子30cが移動を開始した直後は支持部材306と通路302の出口と重なっていないので、流路は広く燃料は比較的流れ易い。これに対し可動子30cが固定子34と衝突する直前には流路が急激に狭くなるので燃料はより流れにくくなる構成となっている。これにより可動子30cが固定子34と衝突する直前に可動子30cを大きく減速させることができ、吸入弁の閉弁時応答を損なうことなく可動子30cの衝突音を低減させる効果を得ることができる。
1 高圧燃料ポンプ本体
2 プランジャ
3 タペット
11 加圧室
12 燃料吐出口
8 吐出弁機構
23 コモンレール
20 燃料ランク
21 フィードポンプ
28 吸入配管
10a 吸入ジョイント
9 圧力脈動低減機構
10b 吸入通路
30 電磁吸入弁機構
102 リリーフ弁
30a 吸入ポート
30b 電磁コイル
33 ばね
30c 可動子
34 固定子
306 支持部材
303 連通路
2 プランジャ
3 タペット
11 加圧室
12 燃料吐出口
8 吐出弁機構
23 コモンレール
20 燃料ランク
21 フィードポンプ
28 吸入配管
10a 吸入ジョイント
9 圧力脈動低減機構
10b 吸入通路
30 電磁吸入弁機構
102 リリーフ弁
30a 吸入ポート
30b 電磁コイル
33 ばね
30c 可動子
34 固定子
306 支持部材
303 連通路
Claims (7)
- 燃料を加圧するための加圧室と、
前記加圧室の吸入側に設けられ、燃料の流路開閉を行う電磁吸入弁機構と、を備えた高圧燃料ポンプにおいて、
前記電磁吸入弁機構は磁気吸引力によって移動する可動部を備え、前記可動部の外周側に前記可動部の移動により体積が増減する空洞部が形成されるとともに、前記空洞部から前記加圧室の側に燃料を供給する燃料流路が形成され、前記燃料流路から吐出される燃料の流路面積は前記可動部が磁気吸引力により移動することにより減少するように構成されることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記可動部は前記燃料流路よりも前記加圧室の側に外周側に凸となる突起部が形成されることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項2に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記突起部は前記燃料流路と前記可動部の可動方向で重なるように形成されることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記燃料流路が前記可動部の外周側でかつ前記空洞部よりも前記加圧室の側に設けられた支持部材に形成されることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項4に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記燃料流路は前記支持部材の前記加圧室の側の端面とから前記空洞部の側の端面との双方に開口しており、前記支持部材を略直線形状に貫通するように設けられることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項4に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記可動部の可動方向における前記支持部材と前記突起部とのすき間は前記可動子が磁気吸引力により移動することにより減少することを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記可動部が固定子と衝突した状態において、前記燃料流路からの燃料が前記加圧室の側に送る流路が形成されることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
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