JP2015220891A - 共振器及び無線給電システム - Google Patents

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Shinichiro Haneishi
真一郎 拮石
圭介 服田
Keisuke Fukuda
圭介 服田
高木 桂二
Keiji Takagi
桂二 高木
善徳 辻村
Yoshinori Tsujimura
善徳 辻村
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Abstract

【課題】磁界共鳴方式を利用して良好な伝送効率を容易に実現可能な共振器及び無線給電システムを提供する。
【解決手段】本発明の共振器30は、磁界共鳴方式に基づいて電力を伝送する無線給電システムに用いられ、所定の共振周波数を有する共振コイル(巻線コイル)32と、この共振コイル32を支持する支持部材31と、共振コイル32の表面近傍領域の一部に配置されて支持部材31の材料の誘電率よりも高い誘電率を有する誘電体セラミック材料からなる電界集中部33とを備えて構成される。これにより、共振コイル32の線間の電界を高誘電率の電界集中部33に集中させることにより、損失を低減して共振コイル32のQ値を高めることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、共振器間の磁場の共鳴を利用して送電装置から受電装置に非接触で電力を伝送する無線給電システムに関する。
従来から、送電装置から受電装置に対して非接触で電力を伝送する無線給電システムが要望されている。無線給電システムを実現するための手法としては、電磁誘導を利用した技術や電磁波を利用した技術などが提案されている。近年、無線給電システムに適用可能な技術として、共振器間の磁場の共鳴を利用して送電装置から受電装置に電力を伝送する磁界共鳴方式が注目されている。例えば、特許文献1には、所定距離だけ離して対向配置した2つの共振器の磁場の共鳴により、一方の共振器から他方の共振器に電力を伝送する磁界共鳴方式の基礎的概念が開示されている。また例えば、非特許文献1には、磁界共鳴方式に用いるアンテナとしての共振コイルにおいて高いQ値を実現するための手法が示されている。また例えば、非特許文献2には、磁界共鳴方式において得られる最大の伝送効率に関して理論的な検討がなされており、各々の共振器のQ値を高めることにより伝送効率の向上が可能であることが示されている。また例えば、特許文献2には、無線給電システムの適用対象として電気自動車やプラグインハイブリッド車を想定し、磁界共鳴方式を利用して、車両下部に配設した共振コイルから、車両内に設けた共振コイルに電力を伝送する技術が開示されている。
特表2009−501510号公報 特開2009−106136号公報
藤枝智之、鈴木雅美、「磁界共鳴方式電力伝送用低損失アンテナの検討」、PIONEER R&D、Vol.21、No.1/2012、p.11−15 松木英敏、他、「非接触電力伝送技術の最前線」、シーエムシー出版、p.7(2009年8月)
上述の無線給電システムにおける共振器は、例えば、銅線等の巻線コイルを用いた共振コイルと、その共振コイルの形状を確保するための機械的強度を有する支持部材とにより構成される。無線給電システムにおいて共振器を用いて交流電力を伝送する場合、良好な伝送効率を保つには、共振コイルの損失が大きくなってQ値が低下することを防止する必要がある。しかし、上述の構造の共振器を用いる場合、コイル線間の電位差により発生した電界が支持部材を通過することにより、支持部材が誘電体として作用するので、共振コイルの損失(誘電体損)の増加によってQ値が低下し、伝送効率が低下するという問題がある。一方、支持部材に用いる材料は、機械的強度やコストを勘案すると、一般的な樹脂材料等を用いることが望ましく、その場合の損失の増加は避けられない。以上のように、磁界共鳴方式を利用した従来の無線給電システムにおいては、共振コイル及び支持部材を備える共振器を用いて高い伝送効率で電力を伝送することが困難であった。
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、良好な伝送効率を容易に実現可能な共振器及び無線給電システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の共振器は、主に磁場の共鳴を利用して送電側共振器から受電側共振器に電力を伝送する無線給電システムにおける共振器であって、所定の共振周波数の交流電力と電磁界エネルギーとを相互に変換する共振コイルと、前記共振コイルを支持する支持部材と、前記共振コイルの表面近傍領域の一部に配置され、前記支持部材の材料の誘電率よりも高い誘電率を有する高誘電率の誘電体セラミック材料からなる電界集中部とを備えて構成される。
本発明の共振器によれば、磁場の共鳴を利用する非接触の電力伝送方式(磁界共鳴方式)の無線給電システムにおいて、送電側及び受電側の各共振器を構成する共振コイルは、支持部材により支持されるとともに、自身の表面近傍領域の一部には、支持部材の材料よりも高い誘電率の誘電体セラミック材料からなる電界集中部が配置されている。よって、共振器の動作時に共振コイルの線間に発生した電界は、相対的に損失が少ない誘電体セラミック材料を通過するので、共振コイルのQ値を高めることができる。そして、このようにQ値の高い共振コイルを用いて送電側及び受電側の共振器間で電磁界エネルギーを伝送する際、良好な伝送効率を実現することができる。なお、「共振コイルの表面近傍領域」としては、共振コイルの表面に接するか、あるいは、共振コイルの表面からの距離が共振コイルを形成する巻線コイルの線間ピッチより小さい領域であることが望ましい。
本発明の共振器において、電界集中部を構成する誘電体セラミック材料は、比誘電率εrを8以上とし、誘電正接tanδを10−2以下とすることが望ましい。誘電体セラミック材料の比誘電率εrが8に満たないと、共振コイルの線間の電界を集中させてQ値を高める効果が不十分になるし、誘電体セラミック材料の誘電正接tanδが10−2を超えると、誘電体損の増加によりQ値が低下するからである。
本発明の共振器において、前述の電界集中部は、共振コイルの表面近傍領域のうち面積比で10%以上の領域に設定することが望ましい。電界集中部の領域が面積比で10%に満たないと、Q値が低下するためである。ただし、電界集中部の領域を面積比で10%程度に設定したとしも所望のQ値を確保できるので、共振器の機械的強度を確保しつつ、誘電体セラミック材料による重量増加を抑制することができる。
本発明の共振器においては、多様な構造の共振コイルを用いることができる。例えば、スパイラル型の巻線コイルにより構成された共振コイルや、ヘリカル型の巻線コイルにより構成された共振コイルを採用してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の無線給電システムは、主に磁場の共鳴を利用して送電装置から受電装置に電力を伝送する無線給電システムであって、前記送電装置は、所定の周波数の交流電力を供給する電源と、前記電源から供給された前記交流電力に共振し、前記交流電力を電磁界エネルギーとして送電する送電側共振器と、を備え、前記受電装置は、前記送電側共振コイルと前記磁場の共鳴により結合し、前記電磁界エネルギーを交流電力として受電する受電側共振器と、前記受電側共振器により受電された前記交流電力により動作する回路部と、を備え、前記送電側共振器及び前記受電側共振器の各々は、所定の共振周波数の交流電力と電磁界エネルギーとを相互に変換する共振コイルと、前記共振コイルを支持する支持部材と、前記共振コイルの表面近傍領域の一部に配置され、前記支持部材の材料の誘電率よりも高い誘電率を有する高誘電率の誘電体セラミック材料からなる電界集中部とを備えて構成される。
本発明の無線給電システムによれば、上述の特徴を有する共振器を、送電装置の送電側共振器と、受電装置の受電側共振器のそれぞれに適用することができる。よって、送電装置においては、電源から供給される交流電力に共振する送電側共振器が電磁界エネルギーを伝送し、受電装置においては、受電側共振器が電磁界エネルギーを受け取って後段の回路部に交流電力を出力する。例えば、本発明の無線給電システムは、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの車両への電源供給などの多様な用途に利用することができる。なお、本発明の無線給電システムにおける共振器の構造は上述した通りであり、電界集中部への電界の集中により共振コイルのQ値を高める効果を得られる点も同様である。
本発明によれば、共振コイルと支持部材を備える共振器において、共振コイルの表面近傍領域の一部に配置した高誘電率の誘電体セラミック材料からなる電界集中部を設けたので、損失の発生を抑制して共振コイルのQ値を高めることができ、共振器間の良好な伝送効率を確保し得る無線給電システムを実現することができる。
本発明を適用した無線給電システムの一構成例を示すブロック図である。 送電装置における送電側共振器及びそれに関連する回路部分と、受電装置における受電側共振器及びそれに関連する回路部分との等価回路の一例を示す図である。 本実施形態の共振器の構造例を示す図である。 本実施形態の共振器内に発生する電界について模式的に説明する図である。 本実施形態の巻線コイルのQ値をシミュレーションにより検証した結果を示す図である。 本実施形態の巻線コイルの表面近傍領域のうち上述の電界集中部としての誘電体セラミック部材が配置された領域が占める面積比とQ値との関係についてシミュレーションにより検証した結果を示す図である。 本実施形態の一変形例に係る共振器の構造例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に述べる実施形態は本発明の技術思想を適用した形態の一例であって、本発明が本実施形態の内容により限定されることはない。
図1は、本発明を適用した無線給電システムの一構成例を示すブロック図である。図1に示す無線給電システムは、送電装置1から受電装置2に非接触(無線)で電力を伝送するシステムである。例えば、車両に内蔵された受電装置2に対し、地面や路面に配設された送電装置1から非接触で給電を行う無線給電システムを挙げることができる。
図1に示すように、送電装置1は、AC/DCコンバータ10と、高周波電源11と、整合回路12と、送電側共振器13と、無線通信部14と、制御部15とを含んで構成される。また、受電装置2は、受電側共振器20と、整合回路21と、整流器22と、バッテリ23と、負荷回路24と、無線通信部25と、制御部26とを含んで構成される。
送電装置1において、AC/DCコンバータ10は、商用電源等の交流電力を直流電力に変換する。高周波電源11は、AC/DCコンバータ10から供給される直流電力を用いて所定の周波数の高周波電力を発生する発振器である。整合回路12は、高周波電力を供給する高周波電源11の出力側と後段の送電側共振器13とのインピーダンス整合を行う。送電側共振器13は、整合回路12を介して供給される高周波電力を受け、その所定の周波数で共振して電磁界エネルギーを生成する共振器である。送電側共振器13の具体的な構造と作用については後述する。
受電装置2において、受電側共振器20は、送電装置1の送電側共振器13と磁気的に結合し、磁界共鳴に基づき上述の所定の周波数で共振して高周波電力を発生する共振器である。本実施形態において、受電側共振器20は、基本的に送電装置1の送電側共振器13と同一の構造としてよい。整合回路21は、受電側共振器20と後段の整流器22とのインピーダンス整合を行う。整流器22は、整合回路21を経由して供給される高周波電力を整流して直流電力に変換する。蓄電器として機能するバッテリ23は、整流器22を介して供給される電力を蓄える二次電池である。負荷回路24は、バッテリ23から供給される放電電流に応じて動作する回路であって、受電装置2の取り付け対象に含まれる多様な構成要素が想定される。
一方、送電装置1の制御部15は、送電装置1の全体の動作を制御する。同様に、受電装置2の制御部26は、受電装置2の全体の動作を制御する。各々の制御部15、26は、例えば、無線給電システムにより定められた処理を実行するプロセッサと、データおよびプログラムを記憶するメモリを含む。また、送電装置1の無線通信部14と受電装置2の無線通信部25は、上述の送電側共振器13及び受電側共振器20の間の電力の伝送とは別に、それぞれの制御部15、26で必要な情報を無線により相互に伝送する手段であり、例えば、送受信回路とアンテナを含んで構成される。
次に、図1の無線給電システムのうち、送電側共振器13及び受電側共振器20の構造及び動作について説明する。本実施形態において、送電側共振器13及び受電側共振器20は、いずれも所定の共振周波数の交流電力と電磁界エネルギーを相互に変換する共振コイルを含み、送電側共振器13及び受電側共振器20を比較的近い距離で対向させて配置して両者を磁気的に結合させた状態で用いられる。このような状態で、送電側共振器13から主に磁界エネルギーが受電側共振器20に伝送され、いわゆる磁界共鳴方式に基づく非接触の電力伝送が可能となる。
図2は、送電装置1における送電側共振器13及びそれに関連する回路部分と、受電装置2における受電側共振器20及びそれに関連する回路部分との等価回路の一例を示している。送電装置1においては、発振器11aとインピーダンスZoの直列回路の部分は図1の高周波電源11に相当し、インダクタンスL1、容量C1、抵抗R1の直列回路の部分は図1の送電側共振器13に相当し、両者が接続されている。また、受電装置2においては、インダクタンスL2、容量C2、抵抗R2の直列回路の部分は図1の受電側共振器20に相当し、その回路部分と負荷(図1のバッテリ23又は負荷回路24)が接続されている。このように、送電側共振器13と受電側共振器20は同一の等価回路で表されるので、磁界の結合によって同一の共振周波数で共振(共鳴)する。
送電側共振器13及び受電側共振器20において、インダクタンスLは共振コイルの部分のサイズや巻数に依存して定まり、容量Cは共振コイルの配線間の寄生容量(浮遊容量)に依存して定まる。図2の等価回路において、1対の送電側共振器13及び受電側共振器20の回路部分は、1対のコイルが電磁誘導を生じる回路形式と同様に表現される。ただし、電磁誘導の場合は、コイルに磁性体が用いられるためQ値が極めて低くなって1対のコイルの距離が離れると電力の伝送が困難となるのに対し、本実施形態では、後述の構造及び材料によって共振コイルのQ値を高くできるので、送電側共振器13と受電側共振器20がある程度距離が離れたとしても、磁界結合によって効率的に電力を伝送することができる。
ここで、送電側共振器13から受電側共振器20への伝送効率ηは、次の(1)式のfom(性能指数)に関係する。
fom=k(Q1・Q2)1/2 (1)
ただし、k:結合係数
Q1:送電側共振器13の共振コイルのQ値
Q2:受電側共振器20の共振コイルのQ値
(1)式において、結合係数kは、送電側共振器13と受電側共振器20の各共振コイル同士の間隔(エアギャップ)に依存し、間隔が大きくなるほど低下する。すなわち、各共振コイルの配置の制約に応じた所与の結合係数kに対し、上述のQ1、Q2が高くなるほど、伝送効率ηを向上させることができる。一般に、角周波数ωにおける共振コイルのQ値は、(2)式により与えられる。
Q=ωL/r (2)
ただし、L:インダクタンス
r:抵抗
(2)式において、抵抗rは、誘電体損、導体損、放射損などの損失の和で表される。本実施形態では、送電側共振器13及び受電側共振器20の構造に基づき共振コイルの損失を低減することにより、共振コイルのQ値の向上を図るものであるが、詳しくは後述する。
次に、図1の送電側共振器13及び受電側共振器20の構造について説明する。上述したように、送電側共振器13及び受電側共振器20の基本構造は同じであるため、以下では、送電側共振器13及び受電側共振器20の両方に適合する共振器30を想定して説明を行うものとする。まず、本実施形態の共振器30の構造例について図3を参照して説明する。図3に示す共振器30は、円板状の支持部材31と、支持部材31の内部の導体からなるスパイラル型の巻線コイル32(本発明の共振コイル)と、巻線コイル32の表面の一部の領域に配置された誘電体セラミック部材33(本発明の電界集中部)とにより構成される。
図3の構造例において、支持部材31は、共振器30の全体を支持する筐体としての役割があり、例えば、一般的な樹脂材料により形成される。図3の例では、支持部材31は所定の厚みを有する円板状の部材であり、中央に円形の開口部31aが設けられている。支持部材31の形状及び構造は、図3の例には限られないが、巻線コイル32の一定の形状を確保でき、かつ十分な機械的強度を得られる構造を有することが望ましい。支持部材31の内部には、巻線コイル32及び誘電体セラミック部材33が固定された状態で配置されている。なお、支持部材31の内部は、例えば樹脂材料で充填してもよいが、支持部材31の内部に空間が存在してもよい。
巻線コイル32は、支持部材31の厚さ方向の略中央の位置に配置され、スパイラル状に巻いた状態の線状導体(例えば、銅線)により構成される。巻線コイル32のサイズ、巻き数、巻線コイル32を構成する線状導体の線径及び線間ピッチは、共振器30のサイズ、共振周波数、Q値などの設計条件に応じて適切に決定することができる。なお、巻線コイル32は、支持部材31の内部に配置する構造に限らず、支持部材31の表面に配置する構造としてもよい。
巻線コイル32の両端は開放(オープン)されていてもよいし、あるいは回路素子に接続されていてもよい。巻線コイル32の両端が開放されている状態で共振器30に給電するには、例えば、近傍に配置したループ素子を介して共振器30に給電すればよい。また、共振器30に対し、巻線コイル32の一端にキャパシタを直列に接続してもよいし、巻線コイル32の両端にキャパシタを並列に接続してもよい。このようなキャパシタの容量値を適切に設定することにより、共振器30の共振周波数やQ値を調整することができる。
誘電体セラミック部材33は、高誘電率のセラミック材料により形成された複数の板状部材であり、巻線コイル32の表面近傍の領域のうち一部に配置されている。誘電体セラミック部材33の材料は、少なくとも支持部材31の材料の誘電率よりも高い誘電率を有している。誘電体セラミック部材33の材料としては、比誘電率εrが8以上で、かつ、誘電正接tanδが10−2以下の誘電体セラミック材料を用いることが望ましい。なお、支持部材31の一般的な樹脂材料としては、例えば、比誘電率εrが2程度となる。支持部材31及び誘電体セラミック部材33の各誘電率の相違により、巻線コイル32の巻線間に発生する電界を誘電体セラミック部材33に集中させて巻線コイル32のQ値を高めることができるが、具体的な作用及び効果については後述する。
図3の例では、誘電体セラミック部材33として、巻線コイル32の周方向の所定位置に配置された3個の板状部材が示されているが、誘電体セラミック部材33を構成する板状部材の個数や配置は制約されない。この場合、誘電体セラミック部材33を1個の板状部材で構成してもよい。ただし、誘電体セラミック部材33を構成する1個又は複数の板状部材は、巻線コイル32の表面近傍の全部の領域を覆う程度のサイズであると共振器30の軽量化を阻害するので、巻線コイル32の表面近傍の一部の領域を覆う程度のサイズとすることが望ましい。また、図3では省略しているが、電界の集中の効果を高めるには、巻線コイル32の両側(上部及び下部)の表面に誘電体セラミック部材33を配置することが望ましい。
本実施形態の共振器30の設計条件は、無線給電システムの形態や用途に応じた多様な選択が可能である。例えば、巻線コイル32の寸法パラメータを含む設計条件の具体例としては、共振周波数を10MHzとしたとき、巻数が6、コイル内径が200mm、線間ピッチが1mm、円形断面の線状導体の線径が0.96mmのように設定することができる。なお、誘電体セラミック部材33の厚さは、例えば、5mmに設定することができる。
ここで、図4を用いて、本実施形態の共振器30内に発生する電界について模式的に説明する。まず、図4(A)は、本実施形態との比較のため、誘電体セラミック部材33を設けない場合の共振器30の部分的な断面構造を拡大して示している。一方、図4(B)は、本実施形態の図3の構造のうち、誘電体セラミック部材33が配置された領域の部分的な断面構造を拡大して示している。図4(A)、(B)においては、誘電体セラミック部材33の有無を除いて、同様の構造である。すなわち、巻線コイル32が支持部材31の厚さ方向の略中央に固定され、複数の線状導体が一定間隔(線間ピッチ)で並ぶ構造で表される。なお、巻線コイル32を構成する線状導体は円形断面で表されるが、方形断面であってもよい。また、誘電体セラミック部材33は、巻線コイル32を上部表面と下部表面から挟み込むように配置されている。
図4(A)、(B)においては、巻線コイル32の隣接する線状導体の間に発生する電界の様子をそれぞれ矢印(電気力線)で示している。通常、共振器30間に伝送される電磁界エネルギーとして磁界が主であるため、巻線コイル32の線間の電界は伝送には寄与しない。しかし、巻線コイル32のQ値の低下を抑制するには、巻線コイル32の線間の電界が誘電体材料を通過する際の損失(主に誘電体損)を小さくする必要がある。まず、比較例の図4(A)は、巻線コイル32の線間の電界が支持部材31の樹脂材料を通過するが、樹脂材料の誘電率が低いため、電界が広がって分布するとともに、比較的大きな損失が発生する。これに対し、本実施形態の図4(B)では、巻線コイル32の線間の電界は、誘電率が高い誘電体セラミック部材33の内部に集中し、その外側では極めて小さくなる。この場合、誘電体セラミック部材33の誘電率が高いほど、誘電体セラミック部材33の電界の集中の度合(電気力線の密度)が強くなり、それによる損失を低下させることができる。ただし、図4(B)において、巻線コイル32と誘電体セラミック部材33の間に樹脂材料等が存在すると、そこを電界が通過して損失が発生するので、巻線コイル32と誘電体セラミック部材33はできるだけ密着させた状態で配置すること望ましい。このように、本実施形態の図4(B)の構造を採用すると、比較例の図4(A)の構造に比べ、巻線コイル32の線間の電界の損失を抑制し、そのQ値を高める効果が得られる。
図5は、本実施形態の巻線コイル32のQ値をシミュレーションにより検証した結果を示している。図5においては、所定の条件下で、巻線コイル32のみを設けた構造S0と、支持部材31及び巻線コイル32を設けた構造S1(図4(A)の構造)と、支持部材31、巻線コイル32、誘電体セラミック部材33を設けた構造(図4(B)の構造)であって誘電体セラミック部材33の材料の比誘電率εrとしてεr=10、30にそれぞれ設定した構造S2、S3に関し、それぞれのQ値を比較している。このうち、巻線コイル32のみを設けた構造S0は材料の損失が無視でき、最も高いQ値が得られるので、これを基準に他の構造の良否を判断することができる。
図4(A)の構造S1のQ値は、構造S0のQ値に比べ大きく低下している。すなわち、前述のように、支持部材31の材料の損失に起因するQ値の劣化が確認された。これに対し、本実施形態の図4(B)の構造S2、S3の各Q値は、構造S1のQ値よりも大幅に向上し、構造S0に比べたQ値の低下は比較的小さい範囲にとどまる。また、εr=10の場合の構造S2よりも、εr=30の場合の構造S3の方が高いQ値が得られることがわかる。よって、他の条件が同様であれば、前述したように、誘電体セラミック部材33の誘電率を高くすることで、Q値の向上の効果を高めることができる。
次に図6は、本実施形態の巻線コイル32の表面近傍領域のうち上述の電界集中部としての誘電体セラミック部材33が配置された領域が占める面積比とQ値との関係についてシミュレーションにより検証した結果を示している。例えば、前述の図3の構造では、巻線コイル32の表面近傍領域の30%程度の面積比で誘電体セラミック部材33が配置されているが、この面積比を増減したときのQ値の変化が問題となる。図6においては、Q値の比較のため、支持部材31及び巻線コイル32のみを設けた場合(図5の構造S1)の特性C0(図6の左端)を示し、巻線コイル32のみを設けた場合(図5の構造S0)の特性C3(図6の右端)を示す。そして、面積比0〜100%の範囲内で、図5の構造S2、S3に関連して、εr=10の誘電体セラミック部材33の特性C1と、εr=30の誘電体セラミック部材33の特性C2とをそれぞれ示している。なお、図6のシミュレーションでは、支持部材31はεr=2程度の一般樹脂を用い、共振周波数が約10MHzの巻線コイル32を用いた。
図6に示すように、特性C1、C2のいずれとも上記面積比が10%を下回るとQ値が急激に低下する。また、上記面積比が10〜100%の範囲では、特性C1、C2のいずれともQ値が安定するが、εr=10の特性C1に比べεr=30の特性C2の方が高いQ値が得られることがわかる。よって、巻線コイル32の表面近傍領域で誘電体セラミック部材33の面積比を10%以上に設定することが望ましく、その範囲内で誘電体セラミック部材33の誘電率が高い方がQ値の向上に有利である。また、面積比が100%の場合は誘電体セラミック材料の重量が増加するという問題がある。面積比が100%でなくとも、面積比で10%程度に設定されていれば所望のQ値を確保できる。そのため、誘電体セラミック部材33を巻線コイル32の表面近傍領域の一部に配置すれば、共振器30の機械的強度を確保しつつ、誘電体セラミック材料による重量増加を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態の共振器30を採用することにより、支持部材31の材料よりも誘電率が高い誘電体セラミック部材33を巻線コイル32の表面近領域の一部に配置し、それを電界集中部として作用させることで、Q値の高い共振器30を実現し、無線給電システムにおける伝送効率の向上が可能となる。この場合、巻線コイル32の表面近傍領域に占める誘電体セラミック部材33の面積比は10%程度確保すればよいため、共振器30の重量増加にはつながらず、誘電体セラミック部材33の割れ等の問題を回避して機械的強度を高めるのに適した構造を実現することができる。
図3〜図6においては、本実施形態の共振器30として、スパイラル型の巻線コイル32を用いる構造例を説明したが、巻線コイル32の構造例には多様な変形例がある。図7は、本実施形態の一変形例に係る共振器40として、円筒状の支持部材41と、ヘリカル型の巻線コイル42と、誘電体セラミック部材43とにより構成される構造例を示している。支持部材41は、中空状に加工され、その円筒側面に巻線コイル42が配置されている。また、巻線コイル42の外側の表面の一部の領域には、誘電体セラミック部材43(図7では4個の板状部材)が配置されている。支持部材41及び誘電体セラミック部材43の材料及び両者の誘電率の関係については、図3の共振器30と同様である。
図7の変形例の巻線コイル42のサイズ、巻き数、線状導体の線径及び線間ピッチなどは、図3の巻線コイル32と同様、共振器40の設計条件に応じて適切に決定することができる。また、誘電体セラミック部材43を構成する板状部材の個数や配置が制約されない点についても同様である。図7の変形例を採用する場合であっても、図4を用いて説明した通り、巻線コイル42の巻線間に発生する電界を誘電体セラミック部材43に集中させて巻線コイル42のQ値を高める効果が得られる。
なお、図7の変形例の支持部材41は、円筒状に限られず、例えば、矩形状に形成してもよい。この場合、矩形状の支持部材41の断面矩形の側面に沿って巻線コイル42を配置し、その外側の一又は複数の所定箇所にそれぞれ板状部材からなる誘電体セラミック43を配置すればよい。この場合、巻線コイル42が周囲に巻かれた支持部材41の内部は、空芯状には限られず、所定の誘電率を有する部材を挿入してもよい。
以上、本実施形態に基づき本発明の内容を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で多様な変更を施すことができる。例えば、本実施形態の無線給電システムとして、図1の構成例を示したが、これに限られることなく、本発明の構造上の特徴を具備する共振器を用いる限り、多様な構成の無線給電システムに対して本発明を適用することができる。また、本発明を適用可能な無線給電システムの用途として、車両への電源供給に言及したが、例えば、携帯電話やノートPCなどの情報端末、TV、家電機器、照明機器、ゲーム機器、医療機器、産業機器など多様な用途の無線給電システムに対して本発明の適用が可能である。さらに、その他の点についても上記実施形態により本発明の内容が限定されるものではなく、本発明の作用効果を得られる限り、上記実施形態に開示した内容には限定されることなく適宜に変更可能である。
1…送電装置
2…受電装置
10…AC/DCコンバータ
11…高周波電源
12…整合回路
13…送電側共振器
14…無線通信部
15…制御部
20…受電側共振器
21…整合回路
22…整流器
23…バッテリ
24…負荷回路
25…無線通信部
26…制御部
30、40…共振器
31、41…支持部材
32、42…巻線コイル
33、43…誘電体セラミック部材

Claims (8)

  1. 主に磁場の共鳴を利用して送電側共振器から受電側共振器に電力を伝送する無線給電システムにおける共振器であって、
    所定の共振周波数の交流電力と電磁界エネルギーとを相互に変換する共振コイルと、
    前記共振コイルを支持する支持部材と、
    前記共振コイルの表面近傍領域の一部に配置され、前記支持部材の材料の誘電率よりも高い誘電率を有する高誘電率の誘電体セラミック材料からなる電界集中部と、
    を備えることを特徴とする共振器。
  2. 前記誘電体セラミック材料は、比誘電率εrが8以上であり、誘電正接tanδが10−2以下であることを特徴とする請求項1に記載の共振器。
  3. 前記共振コイルの前記表面近傍領域のうち、前記電界集中部が配置された領域は面積比で10%以上に設定されることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載の共振器。
  4. 前記共振コイルは、スパイラル型の巻線コイルにより構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の共振器
  5. 前記共振コイルは、ヘリカル型の巻線コイルにより構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の共振器
  6. 主に磁場の共鳴を利用して送電装置から受電装置に電力を伝送する無線給電システムであって、
    前記送電装置は、
    所定の周波数の交流電力を供給する電源と、
    前記電源から供給された前記交流電力に共振し、前記交流電力を電磁界エネルギーとして送電する送電側共振器と、
    を備え、
    前記受電装置は、
    前記送電側共振コイルと前記磁場の共鳴により結合し、前記電磁界エネルギーを交流電力として受電する受電側共振器と、
    前記受電側共振器により受電された前記交流電力により動作する回路部と、
    を備え、
    前記送電側共振器及び前記受電側共振器の各々は、
    所定の共振周波数の交流電力と電磁界エネルギーとを相互に変換する共振コイルと、
    前記共振コイルを支持する支持部材と、
    前記共振コイルの表面近傍領域の一部に配置され、前記支持部材の材料の誘電率よりも高い誘電率を有する高誘電率の誘電体セラミック材料からなる電界集中部と、
    を備えることを特徴とする無線給電システム。
  7. 前記誘電体セラミック材料は、比誘電率εrが8以上であり、誘電正接tanδが10−2以下であることを特徴とする請求項6に記載の無線給電システム。
  8. 前記共振コイルの前記表面近傍領域のうち、前記電界集中部が配置された領域は面積比で10%以上に設定されることを特徴とする請求項6から7のいずれか1項に記載の無線給電システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019126936A1 (zh) * 2017-12-25 2019-07-04 深圳先进技术研究院 一种用于磁共振成像的高介电常数衬垫新型结构
CN113661596A (zh) * 2019-03-28 2021-11-16 爱欧艾日本株式会社 具有与搭载灯部的受电装置嵌合的电池搭载装置的无线馈电***

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