JP2015208946A - 離型ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 偏光板貼り付け後に打ち抜きする場合に、打ち抜き端部での剥がれ、粘着剤に剥がれた痕が付くこと、離型フィルムのヘーズよる検査性悪化などを解決した離型ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 融点が180〜225℃の範囲であるポリエステル層Bと、当該層Bに隣接する層AおよびCを有する積層フィルムであって、層Aおよび層Cの融点が層Bの融点より高く、融点の差が10〜40℃の範囲であり、フィルム中に無機粒子を25〜200ppm含有し、フィルムの両面に、四級アンモニウム塩基含有ポリマー、ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマーおよび架橋剤を含有する塗布液を塗布して得られた塗布層を有し、層A側の塗布層上に、少なくとも一種のオルガノシロキサン化合物を含有する塗布剤を塗布して形成された、厚み10〜100nmの塗布層(2)、当該塗布層(2)上にシリコーン系離型層を有する離型ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学用途向けの基材レス両面粘着シート用や偏光板基材用として好適な離型ポリエステルフィルムに関するものである。
基材レス両面粘着シート用、もしくは、偏光板セパ用の離型ポリエステルフィルムを偏光板に貼り付けて、製品にする工程で、離型ポリエステルフィルムごと切り取る、打ち抜き作業が行われることがある。
この打ち抜き作業では、ポリエステルフィルムにおける加工時の裁断、つまり、打ち抜いた時に、その打ち抜き端部の離型フィルムが粘着剤から剥がれ、空気が入ることで、粘着剤に剥がれた痕(以後、剥がれと呼ぶことあり)が付き、不良品となり、生産性の低下を引き起こす場合がある。
また、上記工程では、フィルム打ち抜き後に目視検査を実施することが通常であり、その際、離型フィルムを貼り付けたまま検査を実施するのだが、製品検査レベルの向上と共に通常離型フィルムのヘーズでは視認性が悪く、精密な検査ができない場合がある。
さらには、粘着剤工程の後工程以降で、傷、もしくは、加熱により、ポリエステルフィルムからポリエステルフィルム基材成分(ここでは、オリゴマーを示し、以後、OLと略すことがある)が発生することがあり、工程汚染を引き起こすことがある。また、同じ理由で、発生したOLが粘着剤へと混入し、最終製品を見たときに、OLが結晶化し、輝点となってしまう。
離型ポリエステルフィルムにおけるOL発生を抑制する既存技術としては、OL量の少ないポリエステル原料を用いる、OL封止層を設ける、などが挙げられる。しかし、前者では、効力が不足することがあり、後者では、OL封止層の成分の微量な転写が原因で、最終シリコーン加工時に、シリコーン製膜が上手くできないという課題がある。
特開2003−231214号公報 特開2002−361737号公報 特願2001−301024号公報 特願2010−121101号公報 特開2009−220496号公報 特願2009−188230号公報 特許第5281595号公報 特開2012−179870号公開
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、離型ポリエステルフィルムを光学用途、例えば、タッチパネル、液晶偏向板、位相差板等、に用いる時、偏光板貼り付け後に該当製品サイズへの打ち抜き工程を有する場合に、その打ち抜きの際に打ち抜き端部で離型フィルムの剥がれが発生し、粘着剤に剥がれた痕が付くことでの生産性の低下、また離型フィルムのヘーズよる検査性悪化などの問題を解決し、かつ、工程汚染、粘着剤汚染を引き起こさない離型フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、融点(TmB)が180〜225℃の範囲であるポリエステル層Bと、当該層Bに隣接する層Aおよび層Cを有する積層ポリエステルフィルムであって、層Aおよび層Cの融点(TmA、TmC)がそれぞれ層Bの融点より高く、融点の差(TmA−TmBおよびTmC−TmB)がそれぞれ10〜40℃の範囲であり、当該ポリエステルフィルム中に無機粒子を25〜200ppm含有し、当該ポリエステルフィルムの両面に、四級アンモニウム塩基含有ポリマー、ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマーおよび架橋剤を含有する塗布液を塗布して得られた塗布層1を有し、層A側の当該塗布層上に、少なくとも一種のオルガノシロキサン化合物を含有する塗布剤を塗布して形成された、厚みが10〜100nmの塗布層(2)を有し、当該塗布層(2)上にシリコーン系離型層を有することを特徴とする離型ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、偏光板基材の生産工程における、打ち抜き、つまり、切り抜きが容易な離型ポリエステルフィルムで、そのときに打ち抜き端部の離型フィルム剥がれが発生し難く、また検査性に優れ、かつ、工程汚染、粘着剤汚染を引き起こさない離型フィルムを提供することができるため、その工業的価値は高い。
本発明のフィルムを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸が好ましく、これらのほかに、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの公知のジカルボン酸の一種以上を、共重合成分として含んでいてもよい。また、ジオール成分としては、エチレングリコールが好ましく、これらのほかに、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの公知のジオールの一種以上を、共重合成分として含んでいてもよい。
本発明においてフィルム各層の融点を指定範囲に収めるためには上記第三成分の量を調整することが有効である。
重合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物やゲルマニウム化合物やチタン化合物が挙げられる。チタン化合物では、例えばテトラアルキルチタネート、テトラアリールチタネート、シュウ酸チタニル塩類、シュウ酸チタニル、チタンを含むキレート化合物、チタンのテトラカルボキシレート等であり、具体的にはテトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニルカリウム、チタントリアセチルアセトネート等が挙げられる。
また、本発明のポリエステルフィルムには、無機粒子を添加する。用いることのできる無機粒子としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウム等が挙げられる。
使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。
これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
また、ポリエステルフィルム中の粒子の添加量は25〜200ppmであることが必要である。粒子量が25ppm未満の場合、フィルム表面が平坦になるため十分なすべり性を確保できず、フィルムに傷が入りやすくなるなど取扱性および後工程の粘着剤加工工程に支障が出ることがある。また、傷が付きやすいがために、OL発生を助長する場合がある。粒子量が200ppmを超える場合、フィルムの製膜性が低い、また、ヘーズが高くなるため、検査時の視認性が悪く、精密な検査ができない場合がある。
本特許では粒子量を上記範囲で調整することでヘーズが3%以下、内部ヘーズが0.5%以下を達成できる。そのため、離型フィルム単体でも高い視認性を持ち、かつ、偏光板と貼り合わせ後の視認性および検査性を両立できる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明のポリエステルフィルムの総厚みは、本発明のポリエステルフィルムが使用される用途に応じ適宜選択されるため、特に限定されないが、機械的強度、ハンドリング性および生産性などの点から、4〜250μmであり、好ましくは9〜125μmであり、さらに好ましくは25〜75μmである。
本発明の基材として用いられるポリエステルフィルムは多層構成が必要である。最外層を溶剤に強いスキン層とし、中間層を追従性の良いソフト層とすることで、打ち抜き性と耐溶剤性を両立させることができる。さらには多層構成の最外層を耐OL原料とすることでとすることでOL封止機能を向上させることができる。
多層構成を達成するため方法に関しては特に限定されるものではないが、その経済性から溶融押出機を2台または3台以上用いる、いわゆる共押出法により、3層以上のフィルムを得ることが好ましい。
次に本発明におけるポリエステルフィルムを構成する塗布層1、1‘の形成について説明する。塗布層1に関してはポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であり、塗布層1の厚みを延伸倍率により変化させることができるという点でインラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明において、塗布層1、1‘は、粘着剤層中へのオリゴマー成分の進入防止を図ることを目的として、四級アンモニウム塩基含有ポリマーを含有する塗布液を使用することを必須の要件とするものである。
本発明において使用する4級アンモニウム塩基含有ポリマーに関しては、分子中の主鎖や側鎖に、4級アンモニウム塩基を含む構成要素を有するものが対象となる。具体例としては、ピロリジウム環、アルキルアミンの4級化物、さらにこれらをアクリル酸やメタクリル酸と共重合したもの、N−アルキルアミノアクリルアミドの4級化物、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩、2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。さらに、これらを組み合わせたり、あるいは他のバインダーポリマーと共重合させたりしても構わない。また、これら4級アンモニウム塩の対イオンとなるアニオンとしては、例えば、ハロゲン、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、硝酸等のイオンが挙げられる。中でも、ハロゲン以外の対イオンが、特に耐熱性が良好となる点で本発明の用途上好ましい。
また、4級アンモニウム塩基含有ポリマーの分子量に関して、分子量が低すぎる場合は、塗布層中から容易に除去されて経時的に性能が低下、或いは塗布層のブロッキング等の不具合を生じる。また、分子量が低いと耐熱安定性に劣る。
かかる観点より、4級アンモニウム塩基含有ポリマーの数平均分子量は、通常、1000以上、好ましくは2000以上、さらに好ましくは5000以上である。一方、数平均分子量が高すぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎる等の不具合を生じるので、数平均分子量の上限は500、000以下を目安にするのが好ましい。また、これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
塗布層1、1‘中における四級アンモニウム塩基含有ポリマーの配合量は、乾燥重量比で20〜70重量%の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは40〜70重量%の範囲である。当該範囲を外れる場合、所望するオリゴマー封止効果を得るのが困難になる。
本発明において、塗布層1、1‘形成時における延伸追従性を良好とすることを目的として、塗布液中に、ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマーを含有することを必須とする。具体的には、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(ポリエチレグリコール単位の重合度は4〜14の範囲が好ましい)、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート等を出発原料とする重合体が例示される。
本発明で用いるポリエチレングリコール含有アクリレートポリマーの数平均分子量は、通常1000以上、好ましくは2000以上、さらに好ましくは5000以上である。一方、数平均分子量が高すぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎる等の不具合を生じる。かかる観点より、数平均分子量の上限は500、000以下を目安にするのが好ましい。また、これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本発明において、さらに延伸追従性を良好とするために、ポリエチレングリコール含有アルキルアクリレートポリマーを併用するのがよい。アルキル鎖の鎖長については従来から、ポリマーとして重合可能な範囲であれば、特に限定されるわけではない。本発明における塗布層1を構成するポリエチレングリコール含有アルキルアクリレートポリマーの含有量については延伸追従性を良好とするために5〜40重量%の範囲が好ましい。当該範囲を外れる場合、塗布層1形成時における延伸追従性が不十分になる等の不具合を生じる。
本発明のポリエステルフィルムを構成する塗布層1、1‘に関して、用いる四級アンモニウム塩基含有ポリマーおよびポリエチレングリコール含有アクリレートポリマーは混合物であってもよいし、あらかじめ、共重合されていてもよく、本発明の要旨を損なわない範囲においては特に限定されるわけではない。また、共重合化させる場合には、従来公知の製造方法を用いることができる。
本発明において、塗布層1、1‘のさらなる耐久性向上を目的として、塗布液として架橋剤を併用する必要がある。具体例として、メチロール化またはアルキロール化した尿素、メラミン、グアナミン、オキサゾリン、エポキシ化合物、アクリルアミド、ポリアミド化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、イソシアネート化合物、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤、ポリカルボジイミド等が挙げられる。
架橋剤の中でも、特に本発明の用途上、塗布性、耐久密着性が良好となる点で、メラミン架橋剤が好ましい。メラミン架橋剤としては、特に限定されるものではないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全エーテル化した化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
また、メラミン架橋剤は、単量体、あるいは2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。上記エーテル化に用いる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを好ましく使用することができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール基型メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、完全アルキル型メチル化メラミンなどを用いることができる。それらの中でもメチロール化メラミンが最も好ましい。さらに、メラミン架橋剤の熱硬化促進を目的として、例えば、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を併用することもできる。
本発明において用いるオキサゾリン架橋剤としては、分子内にオキサゾリン環を持つ化合物であり、オキサゾリン環を有するモノマーや、オキサゾリン化合物を原料モノマーの1つとして合成されるポリマーも含まれる。
本発明で用いるイソシアネート化合物としては、分子内にイソシアネート基を持つ化合物を指し、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートや、これらの重合体、誘導体等が挙げられる。
本発明で用いるエポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基を含む化合物、そのプレポリマーおよび硬化物が挙げられる。代表的な例は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの縮合物である。特に、低分子ポリオールのエピクロロヒドリンとの反応物は、水溶性に優れたエポキシ樹脂を与える。
これらの架橋剤は、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。さらにインラインコーティングへの適用等を配慮した場合、水溶性または水分散性を有することが好ましい。
本発明において、本発明の要旨を損なわない範囲において、塗布層中にバインダーポリマーを併用することも可能である。
本発明において使用する「バインダーポリマー」とは高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
バインダーポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリウレタン樹脂、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。
塗布層1、1‘を形成させるための塗布液中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS等の表面分析によって行うことができる。
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明のポリエステルフィルムの離型面側の塗布層1に関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、通常0.002〜1.0g/m、より好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/mの範囲である。膜厚が0.002g/m未満の場合は十分な密着性が得られず、1.0g/mを超える場合は、外観や透明性、フィルムのブロッキング性が悪化する。
また、本発明のポリエステルフィルムの反離型層面側の塗布層1‘に関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、通常0.05〜0.15g/m、より好ましくは0.07〜0.12g/mの範囲である。つまり、塗布層の具体的な膜厚は、40〜100nmの範囲で、より好ましくは60〜80nmの範囲で制御することが好ましい。膜厚が40nm未満の場合は十分なOL封止性が得られず、工程内のロールでキズが入る、また、加熱を受ける等が生じた場合に、OLを析出してしまう不具合を生じ、100nmを超える場合は、コスト上昇を招く。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、塗布層1、1‘を設ける方法は、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を挙げることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層1、1‘を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより塗布層1を設ける場合、通常、70〜280℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
次に塗布層1上に積層する塗布層(以下、単に塗布層2と略記することがある)の形成について説明する。塗布層2に関しては、上述の塗布延伸法(インラインコーティング)を用いてもよく、一旦製造した上述塗布層を有するポリエステルフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、何れの手法を採用してもよい。
本発明における塗布層2を形成するために使用する塗布剤中に配合するオルガノシロキサン化合物の例を以下に示す。下記式のオルガノシロキサンの置換基を様々代えたものである。
(R)(R)Si−(O−Si(R)(R))n−(O−Si(R)(R))m−R
上記式中、RおよびRは、それぞれ独立して、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などのようなエポキシ基を含有する有機基、または、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基であり、Rはメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、または下記式で示される基である。
−O−Si(R)(R)
上記式中、RはR基またはR基と同じ、エポキシ基含有有機基またはアルコキシ基である。このオルガノシロキサンとして具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、メトラエトキシシランなどの単量体、およびこれら単量体もしくはこれら単量体の混合物の加水分解性生物が例示される。
塗布層2形成材料を溶解する有機溶剤はエタノール、プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノールおよびペンタノール等から選択された少なくとも一種のアルコール系溶剤を含有するものが好ましい。
さらに塗布層2の固着性、滑り性改良を目的として、無機系粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
また、離型層の硬化反応阻害に影響が低い材料であれば、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明の要旨を越えない範囲において、分散性改良、造膜性改良等を目的として、使用する有機溶剤は一種類のみでもよく、適宜、二種類以上を使用してもよい。
本発明において、塗布層2の塗布量(乾燥後)は、通常10〜100nm、好ましくは20〜100nmの範囲である。塗布量が10nm未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、熱処理後、塗布層2表面から析出するOL量が多くなる。一方、100nmを超えると、OL封止性能はあっても、塗膜が脆く、塗布後、乾燥工程、ついで巻取り工程の中でキズが発生しやすい、また、フィルム外観が曇りやすくなる。
本発明において、塗布層2を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層2を形成する際の硬化条件に関しては、通常120℃以上で熱処理するが、好ましくは120〜200℃で3〜40秒間、さらに好ましくは120〜160℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行う。120℃以上で加熱処理されない場合、塗膜形成が不完全で、OLの析出量が多くなる。
本発明おいて、OL(オリゴマー)とは、熱処理後、結晶化してフィルム表面に析出する低分子量物のうちの環状三量体と定義する。
本発明において、単独でOL封止性能がある、塗布層1、塗布層2だが、これらを組み合わせることで、膜内の密着性相互作用、また、互いの間隙を補い合う構成を取り、どちらか一方の膜を同程度の厚み(塗布層1+塗布層2の厚み)にするよりも、効率的にOL封止性能を出すことが出来る。また、塗布層2のみでも、100nmを超えるような、ある程度厚塗りを実施すれば、所望のOL封止性能を付与することが出来るが、前記不具合を生じることはもとより、塗布層2上に塗工するシリコーン塗膜(離型層)形成時、硬化阻害を引き起こす。本特許の技術的な鍵は、この塗布層1と塗布層2の組み合わせ、厚みの組み合わせが重要で、OL封止性能においても相乗効果をもたらしていると考えられる。
本発明において当該塗布層2上に形成する離型層は、離型性を有する材料を含有していれば、特に限定されるものではない。その中でも、硬化型シリコーン樹脂を含有するものによれば離型性が良好となるので好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、東レ・ダウ・コーニング(株)製SD7220、SD7226、SD7229等が挙げられる。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
また、上述のとおり、離型層中にアミノ基を有するシラン化合物を添加することもある。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法としては、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。本発明における離型層の塗布量は、通常0.01〜1g/m2の範囲である。
本発明において、離型層が設けられていない面には、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよく、また、ポリエステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
また、粘着剤層または離型層の塗膜の乾燥および/または硬化(熱硬化、電離放射線硬化等)は、それぞれ個別又は同時に行うことができる。同時に行う場合には、80℃以上の温度で行うことが好ましい。乾燥および硬化の条件としては、80℃以上で10秒以上が好ましい。乾燥温度が80℃未満または硬化時間が10秒未満では塗膜の硬化が不完全であり、塗膜が脱落しやすくなるため好ましくない。
本発明のフィルムを構成するポリエステルフィルムは、ベースとなる層Bと、層Bに隣接する層Aおよび層Cを有し、層Bの融点(TmB)が180〜225℃の範囲であり、層Aおよび層Cの融点(TmA、TmC)がベース層Bの融点より高く、その融点の差(TmA−TmBおよびTmC−TmB)が10〜40℃あることが必要である。この条件を満足する場合、離型層を塗工する際に、ポリエステルフィルムの耐溶剤性が良く、また、偏光板貼り付け後の打ち抜き作業の際に、打ち抜き端部の離型フィルムの剥がれが発生し難いなどの利点が生じる。フィルムのベース層の融点(TmB)が180℃未満の場合、塗布層を設ける時にかかる温度、および、偏光板作製時に温度を加える場合、穴が開いたり破れたりするなどの現象が発生する場合が多く、耐熱性に劣る。層Bの融点(TmB)が225℃より高い場合、機械特性が剛直になるため打ち抜き時に剥がれが生じやすくなる。融点の差(TmA−TmBおよびTmC−TmB)が10℃未満の場合、フィルムの上に表面処理を実施する際に必要な耐溶剤性を持たせた場合、フィルムの打ち抜き性に劣るなど、2つの特性を両立させることが困難である。融点の差(TmA−TmBおよびTmC−TmB)が40℃より大きい場合、フィルムが変形した際にベース層Bと外層Aおよび外層Cの間にクラックが入り、その界面で剥離してしまうという現象が起こってしまう。
本特許ではA/B/C構成を採用し、離型面に接する面と反離型面の粒子量を所望に変更ができることを技術的特徴としている。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)ポリエステル組成
ポリエステルフィルムを重水素化トリフルオロ酢酸に溶解し、 1 H−NMR法で分析してイソフタル酸含有量および1,4−シクロヘキサンジメタノール含有量を求めた。
(3)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(4)塗布層(塗布層1、塗布層2)のコート厚み
離型ポリエステルフィルムの断面を凍結超薄切片法にて切り出し、RuO染色による染色超薄切片法により、日立製作所製透過型電子顕微鏡H−7100FA型を用い、加速電圧100kVにて積層膜部の観察、写真撮影を行った。その断面写真から積層膜の厚みを測定した。
(5)離型フィルムの剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(6)離型フィルムのヘーズ測定
JIS−K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−20Dにより、フィルムのヘーズを測定した。
◎:ヘーズ1.5%未満
○:ヘーズ1.5%以上3.0%未満
×:ヘーズ3.0%以上
(7)離型フィルムの内部ヘーズ測定
エタノールで満たした石英セルをブランクとし、エタノール液中に浸したフィルムのヘーズを日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−20Dを用いて測定した。
○:0.5%以下
×:0.5%より大きい
(8)離型フィルムの傷付き性評価
離型フィルムの離型面にも一方の離型フィルムの反離型面が接するように2枚のフィルムを設置し、その上に重さ50gの重りを置き、フィルム同士がこすれるようにフィルムを5往復させた時に傷が入るかどうかを目視検査する。
○:傷が入らない
×:傷が入る
(9)離型面、反離型面(1‘)から抽出されるOL測定
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のOL量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面OL量(mg/m)とする。
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したOL(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
《判定基準》
離型面について
○:0.15mg/m以下
×:0.15mg/mより値が高い
反離型面について
○:1.0mg/m以下
×:1.0mg/mより値が高い
(10)離型ポリエステルフィルムのDSC測定による融解ピーク温度(Tm)の測定
ティーエーイインスツルメント社製の示差走査熱量計「MDSC2920型」を使用し、ポリエステル樹脂約5mgを0℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。上述の方法により得た融解ピーク温度の内、製膜したフィルムの外層(層A、層C)のみをサンプリングし測定したものの融解ピーク温度を外層Aおよび外層Cの融点(TmAおよびTmC)とし、製膜したフィルムの外層(層A、層C)を除去したフィルムから得られた融解ピーク温度をベース層Bの融点(TmB)とし、融点の差=TmA−TmBおよびTmC−TmBを求めた。
○:TmB:180〜225℃の範囲、TmA−TmBおよびTmC−TmB:10〜40℃の範囲
×:TmB:180℃より小さい、225℃より高い、TmA−TmBおよびTmC−TmB:10℃より小さい、40℃より高い
(11)粘着剤加工特性
A)粘着剤加工工程ロール汚れ
粘着剤工程において、定量的に離型フィルムを使用した時の、加温ロール、金属ロールのロール汚れを評価した。次のような基準で判断する。
《判定基準》
○:10000m以上加工してもロール汚れが起こらない(実施可能なレベル)
×:10000m加工しないうちに、ロール汚れが起こる(実施が困難なレベル)
B)粘着剤加工工程汚染
粘着剤工程において、定量的に離型フィルムを使用した時の、粘着剤乾燥工程におけ
る、汚染の度合いを評価した。次のような基準で判断する。
《判定基準》
○:1週間生産しても、汚染が目立たない(実施可能なレベル)
×:1週間生産しないうちに、白っぽい汚染が発生する(実施が困難なレベル)
C)粘着剤加工生産性
粘着剤工程において、上記A),B)を満たさない、また、異物検査性が悪く、不良
を出してしまうかを総合的に評価した。次のような基準で判断する。
《判定基準》
○:粘着剤工程汚染が無く、かつ、異物検査性も良好(実施可能なレベル)
×:粘着剤工程汚染がある、もしくは、異物検査性に不良(実施が困難なレベル)
(12)打ち抜き性
偏光板と離型ポリエステルフィルムが貼り合わされたものを工程内で所望のサイズに切り取る際の打ち抜きのし易さを評価した。次のような基準で判断する。
○:きれいに打ち抜きでき、打ち抜き端部で離型フィルムが剥がれない。
×:打ち抜き時に引っ掛りが生じ、打ち抜き端部の離型フィルム剥がれが発生する
(13)偏光板の目視検査性
偏光板と離型ポリエステルフィルムが貼り合わされたものを打ち抜いたチップにて目視で検査を実施し、目視検査のし易さを評価した。次のような基準で判断する。
◎:離型フィルムのヘーズの影響がほとんどなく、非常に精密な目視検査が可能
○:離型フィルムのヘーズの影響が少なく、十分な目視検査が可能
×:離型フィルムのヘーズの影響があり、精密な目視検査が困難
(14)総合評価
打ち抜き性、剥離特性から、生産歩留まり、生産性全てを考慮に入れた評価を行う。次のような基準で判断する。
○:生産性良く、十分に製品として供給できる
×:生産性が悪いか、剥離特性および汚染の問題が多発する
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(a)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた後、4時間重縮合反応を行った。
すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.61に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.61のポリエステル(a)を得た。
<ポリエステル(b)の製造方法>
ポリエステル(a)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒子径2.5μmの酸化ケイ素粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が3000ppmとなるように添加した以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(b)を得た。得られたポリエステル(b)は極限粘度0.60であった。
<ポリエステル(c)の製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。
4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。
一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.45に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(c)を得た。このポリエステルの固有粘度は0.45であった。
<ポリエステル(d)の製造>
ポリエステルチップ(c)を固相重縮合法にて固有粘度を上げた。予備結晶化槽にて170℃の窒素雰囲気化にて0.5時間処理した後、不活性ガスを流す塔式乾燥機を用い、200℃の温度下にて水分率が0.005%になるまで乾燥した。その後固相重合槽へ送り、240℃にて3時間、固相重合を行い固有粘度0.70のポリエステル(d)を得た。
<ポリエステル(e)の製造>
ポリエステル(d)を製造する際、固相重合槽にて5時間固相重合を行い、固有粘度0.80のポリエステル(e)を得た。
<ポリエステル(f)の製造方法>
ジカルボン酸成分としてイソフタル酸およびテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールをそれぞれ使用し、常法の溶融重縮合法で重合した原料チップを製造した。この原料のジカルボン酸成分中のイソフタル酸含量は16モル%であった。
<ポリエステル(g)の製造方法>
ジカルボン酸成分としてイソフタル酸およびテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールをそれぞれ使用し、常法の溶融重縮合法で重合した原料チップを製造した。この原料のジカルボン酸成分中のイソフタル酸含量は22モル%であった。
<ポリエステル(h)の製造方法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールをそれぞれ使用し、常法の溶融重縮合法で重合した原料チップを製造した。この原料のジオール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノール含有量は33モル%であった。
実施例1:
〈ポリエステルフィルムの製造〉
外層Aおよび外層Cの原料としてポリエステル(b)30重量%、ポリエステル(f)40重量%と、ポリエステル(e)30重量%とを混合し、内層Bの原料として、ポリエステル(a)20重量%、ポリエステル(g)30重量%とポリエステル(h)50重量%とを混合し、3台のベント付き押出機に各々供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、この縦延伸フィルムの外層A側に、下記塗布剤を塗布量(乾燥後)が0.03g/mになるように塗布し(1層)、また、もう一方の層C側に、塗布量(乾燥後)が0.07g/mになるように塗布し(1‘層)た後、テンターに導き、テンター内で予熱工程を経て120℃で5.1倍の横延伸を施した後、220℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に4%の弛緩を加え、幅4000mmのマスターロールを得た。このマスターロールの端から1400mmの位置よりスリットを行い、コアに1000m巻き取りし、ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの全厚みは38μm(層構成:外層A2μm/内層B34μm/外層C2μm)であった。
なお、1、1´層を構成するために使用した化合物は以下のとおりである。
(化合物例)
・4級アンモニウム塩基含有ポリマー(A1):
2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩ポリマー
対イオン:メチルスルホネート 数平均分子量:30000
・ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマー(B1):
ポリエチレングリコール含有モノアクリレートポリマー 数平均分子量:20000
・ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマー(B2):
オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート ポリマー 数平均分子量:32000
・架橋剤(C1):メラミン架橋剤 (DIC社製:ベッカミン「MAS」)
・架橋剤(C2):オキサゾリン架橋剤(日本触媒製:エポクロス「WS500」)
・粒子(D1):アルミナ表面変性コロイダルシリカ(平均粒径:50nm)
・粒子(D2):コロイダルシリカ(平均粒径:70nm)
得られたポリエステルフィルムの層A側の塗布層1上に、下記塗布剤を塗布量(乾燥後)が0.05g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布した後、120℃、30秒間熱処理し、塗布層2を付与した積層ポリエステルフィルムを得た。
なお、塗布層2を構成するために使用した塗布剤組成は以下のとおりである。
《塗布剤組成》
オルガノシロキサン(エチルシリケート48:コルコート社)
:0.9重量%(溶媒100重量%に対して)
i−プロパノール/ブタノール=6/4混合溶媒で希釈し0.9重量%とした。
得られたポリエステルフィルムの塗布層2上に、下記に示す離型剤組成−Aからなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、ドライヤー温度120℃、ライン速度30m/minの条件でロール状の剥離力が21mN/cmの離型ポリエステルフィルムが得られた。そのポリエステルフィルムのTmBは218℃、TmA−TmBは22℃であった。
<離型剤組成−A>
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 20部
触媒(PL−50T:信越化学製) 0.3部(1.5wt%)
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)
得られた離型ポリエステルフィルムは、下記方法で偏向板を作成された。得られた離型ポリエステルフィルムは、打ち抜き性が良好、端部の離型フィルム剥がれが発生せず、かつ、剥離特性も良好で、粘着剤付き偏光板ときれいに剥がれ、粘着剤が離型層に付着する現象が見られなかった。
<離型フィルム付き偏光板の製造>
偏光板に下記に示すアクリル粘着剤を、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、130℃の乾燥炉内を30秒で通過させた後、離型フィルムを貼り合わせ、粘着剤を介して離型フィルムと偏光フィルムが密着された離型フィルム付き偏光板を作成した。フィルムの貼り合せ方向は、離型フィルムの幅方向が、偏光フィルムの配向軸と平行となるように行った。
・アクリル粘着剤塗布液
アクリル粘着剤(オリバインBPS429−4:東洋インキ製) 100部
硬化剤(BPS8515:東洋インキ製) 3部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 50部
実施例2〜6:
実施例1において、ポリエステルフィルム製造時の外層Aおよび外層Cと内層Bの原料種・配合比、フィルム厚み、塗布層2の塗布厚みを変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られた結果をまとめて下記表1、2に示す。
Figure 2015208946
Figure 2015208946
比較例1〜6:
実施例1において、ポリエステルフィルム製造時の外層A、外層Cと内層Bの原料種・配合比、塗布層1および塗布層2の塗布厚みを変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られた結果をまとめて下記表3、4に示す。
Figure 2015208946
上記表3中の※1は、ベースフィルムのA、B間で層間剥離が起こった事を意味する。
Figure 2015208946
上記表4中の※2は、原反フィルムの耐溶剤性が悪く、塗布が困難であったことを意味する。
本発明のポリエステルフィルムは、偏光板基材用の離型ポリエステルフィルムとして好適に利用できる。

Claims (1)

  1. 融点(TmB)が180〜225℃の範囲であるポリエステル層Bと、当該層Bに隣接する層Aおよび層Cを有する積層ポリエステルフィルムであって、層Aおよび層Cの融点(TmA、TmC)がそれぞれ層Bの融点より高く、融点の差(TmA−TmBおよびTmC−TmB)がそれぞれ10〜40℃の範囲であり、当該ポリエステルフィルム中に無機粒子を25〜200ppm含有し、当該ポリエステルフィルムの両面に、四級アンモニウム塩基含有ポリマー、ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマーおよび架橋剤を含有する塗布液を塗布して得られた塗布層1を有し、層A側の当該塗布層上に、少なくとも一種のオルガノシロキサン化合物を含有する塗布剤を塗布して形成された、厚みが10〜100nmの塗布層(2)を有し、当該塗布層(2)上にシリコーン系離型層を有することを特徴とする離型ポリエステルフィルム。
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