以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して、後述するカメラ制御部21へ送出される。そして、カメラ制御部21は、この情報に基づいて、フォーカスレンズ32の目標駆動量を演算し、演算したフォーカスレンズ32の目標駆動量を、レンズ制御部37を介して、フォーカスレンズ駆動モータ36に送信する。これにより、フォーカスレンズ駆動モータ36は、フォーカスレンズ32を目標駆動位置まで駆動させることができる。
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるカメラメモリ24に記録される。なお、カメラメモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された撮影画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へレンズ駆動量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による光学系の焦点状態の検出を行う。なお、具体的な焦点状態の検出方法については、後述する。
操作部28は、シャッターレリーズボタンなどの撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、オートフォーカスモードの中でも、AF−Sモード/AF−Cモードの切換が行えるようになっている。さらに、操作部28は、これらに加えて、静止画撮影モード/動画撮影モードの切換、風景撮影モード/スポーツ撮影モード/ペット撮影モードなどの撮影シーンモードの切換、連写撮影モード/単写撮影モードの切換、省電力モードの設定、速度優先モードの設定などが行えるようになっている。操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。さらに、ユーザは、シャッターレリーズボタンの半押し操作(第1スイッチSW1のオン)の直後に全押し操作(第2スイッチSW2のオン)を行うことで、一気押し操作を行うことができ、この場合、一気押し操作が行われたことを示す情報がカメラ制御部21に送信される。
ここで、AF−Sモードとは、シャッターレリーズボタンの半押しがされた後、焦点検出結果に基づき、フォーカスレンズ32を駆動することで合焦駆動を行ない、一度調節したフォーカスレンズ32の位置を固定し、そのフォーカスレンズ位置で撮影するモードである。なお、AF−Sモードは、合焦精度を重視したモードであり、たとえば、静止している被写体を撮影する際に選択される。また、AF−Cモードとは、シャッターレリーズボタンの半押しがされた後、焦点検出結果に基づき、フォーカスレンズ32を駆動することで合焦駆動を行ない、その後、シャッターレリーズボタンの半押し操作が継続されている間は、焦点状態の検出を繰り返し行い、焦点状態が変化した場合には、変化した焦点状態に応じて、フォーカスレンズ32を駆動するモードである。なお、AF−Cモードは、被写体への追従性を重視したモードであり、たとえば、動体である被写体を撮影する際に選択される。
なお、本実施形態においては、オートフォーカスモードを切換えるためのスイッチとして、ワンショットモード/コンティニュアスモードを切換えるスイッチを備えた構成としてもよい。そして、この場合においては、撮影者によりワンショットモードが選択された場合には、AF−Sモードに設定され、また、撮影者によりコンティニュアスモードが選択された場合には、AF−Cモードに設定されるような構成とすることができる。
また、省電力モードとは、消費電力の抑制を優先するモードである。たとえば、本実施形態では、省電力モードが設定されている場合には、カメラ1の消費電力を抑制するために、画像処理回路の一部に対する電力供給の抑制や、フォーカスレンズ32の駆動モータに対する電力供給の抑制が行われる。
さらに、速度優先モードとは、消費電力の抑制よりも、被写体に素早くピントを合わせることを優先するモードである。たとえば、本実施形態では、速度優先モードが設定されている場合に、カメラ制御部21により、短い時間でフォーカスレンズ32が合焦位置まで駆動するように、フォーカスレンズ32の駆動制御が行われる。
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2のIII部分を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
本実施形態の撮像素子22は、図3に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
図4(A)は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図4(D)は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図4(D)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
また、撮像素子22の撮像面の中心、ならびに中心から左右対称位置の3箇所には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された焦点検出画素列22a,22b,22cが設けられている。そして、図3に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列(22a,22c,22c)に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、二箇所にすることもでき、また、四箇所以上の位置に配置することもできる。また、実際の焦点検出に際しては、複数配置された焦点検出画素列22a〜22cの中から、撮影者が操作部28を手動操作することにより所望の焦点検出画素列を、焦点検出エリアとして選択することもできる。
図4(B)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図4(E)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図4(C)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図4(F)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図4(B)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図4(E)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図4(C)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図4(F)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3に示すように、互いに隣接して交互に、横一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cを構成する。
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。
また、図4(B)、図4(C)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
図5は、図3のV-V線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳350の測距瞳351,352から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図5においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L1近傍に位置するもののみを例示して示したが、図5に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳351,352から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
ここで、射出瞳350とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳351,352とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
なお、図5において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳351,352の並び方向と一致している。
また、図5に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳350上に投影され、その投影形状は測距瞳351,352を形成する。
すなわち、測距距離Dにある射出瞳350上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳351,352)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
図5に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳351を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳351を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳352を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳352を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図4に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳351と測距瞳352とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳351と測距瞳352とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。そして、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出する。
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出エリアにおける焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
なお、これら位相差検出方式による像ズレ量の演算、デフォーカス量の演算、および合焦駆動はカメラ制御部21により実行される。
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出することでも求めることができる。
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
ここで、図6は、コントラスト検出方式による焦点検出方法の一例を説明するための図である。図6に示す例では、フォーカスレンズ32が、図6に示すP0に位置しており、まず、P0から、所定のサーチ開始位置(図6中、P1の位置)まで、フォーカスレンズ32を駆動させる初期駆動が行われる。そして、フォーカスレンズ32を、サーチ開始位置から(図6中、P1の位置)、無限遠側から至近側に向けて駆動させながら、所定間隔で、コントラスト検出方式による焦点評価値の取得を行うサーチ駆動が行われる。そして、フォーカスレンズ32を、図6に示すP2の位置に移動させた時点において、焦点評価値のピーク位置(図6中、P3の位置)が合焦位置として検出され、検出された合焦位置(図6中、P3の位置)まで、フォーカスレンズ32を駆動させる合焦駆動が行われる。
次に、第1実施形態におけるレンズ鏡筒3とカメラ本体2とのフォーカスレンズ32の駆動制御に関する情報の授受について説明する。図7は、第1実施形態におけるレンズ鏡筒3とカメラ本体2とのフォーカスレンズ32の駆動制御に関する情報の授受の一例を説明するための図である。
第1実施形態において、カメラ本体2は、位相差検出方式によりデフォーカス量を算出した場合には、デフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ32の目標駆動量を算出し、図7に示すように、算出した目標駆動量を、命令IDを含む駆動命令とともにレンズ鏡筒3に送信する。また、本実施形態では、目標駆動量に基づいてフォーカスレンズ32を目標駆動位置まで駆動している間も、位相差検出方式による焦点検出は繰り返し行われおり、カメラ本体2は、所定の時間間隔で、駆動命令と目標駆動量とをレンズ鏡筒3に送信する。
そして、カメラ本体2からレンズ鏡筒3に駆動命令と目標駆動量とが送信されると、レンズ鏡筒3は、フォーカスレンズ32が目標駆動量を駆動するように、フォーカスレンズ32を駆動する。また、レンズ鏡筒3は、フォーカスレンズ32のレンズ位置を繰り返し検出しており、フォーカスレンズのレンズ位置を駆動命令の命令IDに関連付けて、カメラ本体2に周期的に送信する。
また、コントラスト検出方式により合焦位置を検出した場合には、カメラ本体2は、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動するための目標駆動量を算出し、算出した目標駆動量を、命令IDを含む駆動命令とともにレンズ鏡筒3に送信する。この場合も、レンズ鏡筒3は、フォーカスレンズ32が目標駆動量を駆動するように、フォーカスレンズ32を駆動するともに、フォーカスレンズ32のレンズ位置を検出し、駆動命令に含まれる命令IDとフォーカスレンズのレンズ位置とをカメラ本体2に送信する。
さらに、第1実施形態において、カメラ本体2は、フォーカスレンズ32の目標駆動完了時間をレンズ鏡筒3に送信する。ここで、目標駆動完了時間とは、駆動命令に基づいてフォーカスレンズ32を駆動させる場合に、フォーカスレンズ32が目標駆動位置に到達するまでに与えられる駆動時間である。言い換えれば、目標駆動完了時間とは、駆動命令に基づいてフォーカスレンズ32を駆動させる場合に、当該目標駆動完了時間内に、フォーカスレンズ32の駆動が完了していることが望まれる時間である。
本実施形態においては、目標駆動完了時間の長さは、カメラ制御部21により設定される。具体的には、カメラ制御部21は、AF−S/AF−Cのフォーカスモード、風景撮影シーン、スポーツ撮影シーン、またはペット撮影シーンなどの撮影シーンモード、単写撮影であるか連写撮影であるか、動画撮影であるか静止画撮影であるか、レリーズボタンを一気押ししているか否か、省電力モードが設定されているか否か、速度優先モードが設定されているか否か、レンズ鏡筒3がマクロレンズであるか否かなどに基づいて、目標駆動完了時間の長さを決定することができる。なお、カメラ制御部21による目標駆動完了時間の設定方法については後述する。
また、レンズ鏡筒3は、カメラ本体2から目標駆動完了時間を受信すると、目標駆動完了時間内でフォーカスレンズ32を駆動するように、フォーカスレンズ32の駆動制御を実行する。また、本実施形態において、レンズ鏡筒3は、図7に示すように、目標駆動完了時間に基づくフォーカスレンズ32の駆動制御が実行可能なレンズ鏡筒であることを示す識別信号をカメラ本体2に送信しており、カメラ本体2は、レンズ鏡筒3からこの識別信号を受信した場合に、カメラ鏡筒3に対して目標駆動完了時間を送信する。
なお、レンズ鏡筒3が目標駆動完了時間に基づいた駆動制御を実行することができないレンズ鏡筒である場合には、レンズ鏡筒3からカメラ本体2に対して、上記識別信号は送信されない。このように、レンズ鏡筒3から識別信号を受信できない場合には、カメラ本体2は、目標駆動完了時間をレンズ鏡筒3に送信せずに、駆動命令および目標駆動量のみをレンズ鏡筒3に送信する。
次いで、第1実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図8は、カメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、図8に示す動作は、カメラ本体2の電源がオンされることで開始される。
まず、ステップS101では、カメラ制御部21により、レンズ鏡筒3が、目標駆動完了時間に基づいたフォーカスレンズ32の駆動制御を実行可能なレンズ鏡筒であるか否かを確認するレンズ確認処理が行われる。本実施形態では、レンズ鏡筒3が目標駆動完了時間に基づいた駆動制御を実行可能である場合には、図7に示すように、レンズ鏡筒3が目標駆動完了時間に基づいた駆動制御を実行可能であることを示す識別信号が、レンズ鏡筒3からカメラ本体2に周期的に送信される。これにより、カメラ制御部21は、レンズ鏡筒3が目標駆動完了時間に基づいた駆動制御を実行可能なレンズ鏡筒であるか否かを確認することができる。なお、このレンズ確認処理の結果は、後述するステップ202,302において利用されることとなる。
ステップS102では、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理が開始される。本実施形態では、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理は、次のように行なわれる。すなわち、まず、カメラ制御部21により、撮像素子22の3つの焦点検出画素列22a〜22cを構成する各焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しが行なわれる。そして、カメラ制御部21は、読み出された一対の像データに基づいて像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を実行し、3つの焦点検出画素列22a〜22cに対応する焦点検出位置における像ズレ量を演算し、さらに像ズレ量をデフォーカス量に変換する。また、カメラ制御部21は、算出したデフォーカス量の信頼性の評価を行う。なお、デフォーカス量の信頼性の評価は、たとえば、一対の像データの一致度やコントラストなどに基づいて行なわれる。また、このような位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理は、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS103では、カメラ制御部21による焦点評価値の算出処理が開始される。本実施形態では、焦点評価値の算出処理は、撮像素子22の撮像画素221の画素出力を読み出し、読み出した画素出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算することにより行われる。焦点評価値の算出は、使用者の手動操作により、特定の焦点検出位置が選択されているときには、選択された焦点検出位置に対応する撮像画素221の画素出力のみを読み出すような構成としてもよい。なお、焦点評価値の算出処理も、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS104では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。第1スイッチSW1がオンした場合はステップS105に進み、一方、第1スイッチSW1がオンしていない場合は、第1スイッチSW1がオンされるまで、ステップS14を繰り返す。すなわち、第1スイッチSW1がオンされるまで、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理、および焦点評価値の算出処理が繰り返し実行される。
ステップS105では、カメラ制御部21により、デフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。位相差検出方式によりデフォーカス量が算出できた場合には、測距可能と判断して、ステップS110に進む。一方、デフォーカス量が算出できなかった場合には、測距不能と判断して、ステップS106に進む。なお、本実施形態においては、デフォーカス量の算出ができた場合でも、算出されたデフォーカス量の信頼性が低い場合にも、デフォーカス量の算出ができなかったものとして扱い、ステップS106に進むこととする。
ステップS105において、デフォーカス量が算出できたと判定され、測距可能と判断された場合には、ステップS110に進み、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させるレンズ駆動制御処理が行なわれる。ここで、図9は、ステップS110のレンズ駆動制御処理を示すフローチャートであり、図10は、本実施形態に係るフォーカスレンズの駆動制御を説明するための図である。
第1実施形態に係るフォーカスレンズ32の駆動制御では、図10に示すように、フォーカスレンズ32を最大駆動速度で目標駆動位置まで駆動させる第1駆動制御と、少なくとも目標駆動位置近傍においてフォーカスレンズ32の駆動速度を遅くすることで、フォーカスレンズ32をより高い精度で目標駆動位置に停止させる第2駆動制御とが行われる。
まず、ステップS201では、カメラ制御部21により、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32の目標駆動量の算出が行われる。
そして、ステップS202では、カメラ制御部21により、レンズ鏡筒3が、第2駆動制御に対応するレンズ鏡筒であるか否か、すなわち、目標駆動完了時間に基づく駆動制御可能なレンズ鏡筒であるか否かの判断が行われる。たとえば、カメラ制御部21は、ステップS101でのレンズ確認処理の結果を参照することで、レンズ鏡筒3が第2駆動制御に対応するレンズ鏡筒であるか否かを判断することができる。そして、レンズ鏡筒3が第2駆動制御に対応するレンズ鏡筒であると判断された場合には、ステップS205に進み、一方、レンズ鏡筒3が第2駆動制御に対応しないレンズ鏡筒であると判断された場合には、ステップS203に進む。
ステップS203〜204では、レンズ鏡筒3が第2駆動制御に対応していないレンズ鏡筒であると判断されているため、従来と同様に、フォーカスレンズ32を、フォーカスレンズ32の最大駆動速度で目標駆動位置まで駆動させる第1駆動制御が行われる。
すなわち、まず、ステップS203では、カメラ制御部21により、ステップS201で算出された目標駆動量と駆動命令とがレンズ鏡筒3に送信される。なお、ステップS203では、レンズ鏡筒3が第2駆動制御に対応していないレンズ鏡筒であると判断されているため、カメラ本体2からレンズ鏡筒3に対して目標駆動完了時間は送信されず、目標駆動量と駆動命令のみが送信される。そして、カメラ本体2から送信された目標駆動量および駆動命令がレンズ鏡筒3により受信される。
ステップS204では、レンズ制御部37により、ステップS202で受信したレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の第1駆動制御が行われる。具体的には、レンズ制御部37は、図10に示すように、フォーカスレンズ32を最大駆動速度で目標駆動量だけ駆動させる。
一方、ステップS202において、レンズ鏡筒3が第2駆動制御に対応するレンズ鏡筒であると判断された場合には、ステップS205に進む。そして、ステップS205〜S209では、目標駆動完了時間に基づいてフォーカスレンズ32の駆動制御を行う第2駆動制御が実行される。
まず、ステップS205では、カメラ制御部21により、目標駆動完了時間の設定が行われる。たとえば、カメラ制御部21は、オートフォーカスモードとしてAF−Cモードが設定されている場合には、移動する被写体に短い時間でピントを合わせる必要があるため、目標駆動完了時間を短く設定することができ、また、オートフォーカスモードとしてAF−Sモードが設定されている場合には、精度優先の観点から、目標駆動完了時間を長く設定することができる。
また、カメラ制御部21は、たとえば、静止画撮影モードが設定されている場合には、被写体に素早くピントを合わせるために目標駆動完了時間を短く設定し、動画撮影モードが設定されている場合には、たとえば、フォーカスレンズ32のレンズ位置の変化により画角が短時間で大きく変化してしまわないように、目標駆動完了時間を長く設定することができる。さらに、カメラ制御部21は、たとえば、撮影シーンモードとして風景撮影シーンが設定されている場合には、被写体の像面位置の変化が少ないものと判断して、目標駆動完了時間を長く設定することができ、また、撮影シーンモードとしてスポーツ撮影モードやペット撮影モードが設定されている場合には、被写体の像面位置の変化が大きいものと判断して、目標駆動完了時間を長く設定することができる。
さらに、カメラ制御部21は、たとえば、連写撮影モードが設定されている場合には、移動する被写体に短い時間でピントを合わせる必要がある傾向が高いため、目標駆動完了時間を短く設定し、一方、単写撮影モードが設定されている場合には、このような時間的な要求は小さいため、目標駆動完了時間を長く設定することができる。また、カメラ制御部21は、ユーザがレリーズボタンを一気押しした場合には、ユーザは素早く被写体を撮影したいと判断し、目標駆動完了時間を短く設定することができる。
加えて、カメラ制御部21は、たとえば省電力モードが設定されている場合には、フォーカスレンズ32の駆動速度が抑えられるため、目標駆動完了時間を長く設定することができる。さらに、カメラ制御部21は、たとえば速度優先モードが設定されている場合には、撮影までの時間が短くなるため、目標駆動完了時間を短く設定することができる。
また、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32のレンズ情報に基づいて、フォーカスレンズ32がマクロレンズであると判断できた場合には、被写界深度が浅いため、フォーカスレンズ32の停止精度を優先し、目標駆動完了時間を長く設定することができる。
カメラ制御部21は、このような条件を総合的に判断して、目標駆動完了時間を適切に設定することができる。
そして、ステップS206では、カメラ制御部21により、ステップS201で算出した目標駆動量と、ステップS205で設定した目標駆動完了時間とが、駆動命令とともにレンズ鏡筒3に送信される。そして、カメラ制御部21により送信された目標駆動量と目標駆動完了時間と駆動命令とがレンズ制御部37に受信される。このように、ステップS206では、レンズ鏡筒3が第2駆動制御に対応するレンズ鏡筒であると判断されているため、目標駆動完了時間が目標駆動量とともにレンズ鏡筒3に送信される。
さらに、ステップS207では、レンズ制御部21により、予定駆動完了時間の算出が行われる。たとえば、レンズ制御部21は、フォーカスレンズ32を最大駆動速度で目標駆動量だけ駆動させた場合にかかる時間を、予定駆動完了時間として算出することができる。また、レンズ制御部37は、フォーカスレンズ32を最大駆動速度で目標駆動量だけ駆動させた場合にかかる時間と、ガタ詰めに必要な時間との合計時間を、予定駆動完了時間として算出する構成としてもよい。
ステップS208では、レンズ制御部37により、ステップS206で受信した目標駆動完了時間と、ステップS207で算出した予定駆動完了時間との比較が行われる。そして、ステップS209では、レンズ制御部37により、ステップS208の比較結果に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動時間に余裕があるか否かの判断が行われる。
たとえば、レンズ制御部37は、予定駆動完了時間が目標駆動完了時間よりも短い場合には、フォーカスレンズ32の駆動時間に余裕があると判断することができる。そして、フォーカスレンズ32の駆動時間に余裕があると判断された場合には、第2駆動制御を行うためにステップS210に進む。一方、フォーカスレンズ32の駆動時間に余裕がないと判断された場合には、ステップS204に進み、上述した第1駆動制御が行われる。
ステップS210では、レンズ制御部37により、フォーカスレンズ32の第2駆動制御が行われる。具体的には、レンズ制御部37は、図10に示すように、第1駆動制御と比べて、フォーカスレンズ32の駆動速度が目標駆動位置近傍で遅くなるように、フォーカスレンズ32の駆動速度を制御する。また、レンズ制御部37は、第2駆動制御におけるフォーカスレンズ32の駆動時間が、第1駆動制御におけるフォーカスレンズ32の駆動時間よりも長く、かつ、目標駆動完了時間以下となるように、フォーカスレンズ32の駆動を制御する。
このように、フォーカスレンズ32の第2駆動制御では、フォーカスレンズ32の駆動速度を目標駆動位置近傍で遅くすることで、フォーカスレンズ32をより高い精度で目標駆動位置に停止させることができる。ここで、図11(A),(B)は、第1駆動制御および第2駆動制御によるフォーカスレンズ32の駆動停止位置の一例を示す図である。
すなわち、第1駆動制御では、位相差検出方式により検出されたデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ32を目標駆動位置まで駆動させる場合に、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を目標駆動位置まで駆動させながらデフォーカス量の算出を繰り返し行い、算出したデフォーカス量が所定値以下となった場合に、フォーカスレンズ32の駆動を終了する。そのため、第1駆動制御では、たとえば図11(A)に示すように、現在のフォーカスレンズ位置がp0である場合には、フォーカスレンズ32が、デフォーカス量が所定値以下となる合焦許容範囲内(たとえば、p1の位置)に到達した場合に、合焦許容範囲内のレンズ位置(たとえば、p1の位置)において、フォーカスレンズ32が停止する。
これに対して、第2駆動制御では、デフォーカス量がゼロとなる目標駆動位置p2近傍において、フォーカスレンズ32の駆動速度を遅くし、フォーカスレンズ32を目標駆動位置p2で停止するように、フォーカスレンズ32の駆動を制御する。これにより、第2駆動制御では、フォーカスレンズ32を、第1駆動制御におけるレンズ停止位置(たとえば、図11(A)のp1の位置)よりも、被写体によりピントの合う目標駆動位置p2に停止させることができ、光学系の焦点調節精度をより向上させることができる。
また、第1駆動制御の目標駆動位置近傍での駆動速度v1は、第2駆動制御の目標駆動位置近傍での駆動速度v2よりも速いため、仮にフォーカスレンズ32を目標駆動位置p2に停止させようとしても、フォーカスレンズ32を目標駆動位置p2に停止させることが困難な場合があった。すなわち、第1駆動制御では、目標駆動位置近傍での駆動速度v1が速いために、図11(B)に示すように、合焦許容範囲内のレンズ位置までフォーカスレンズ32を駆動させることはできるが、速度が速すぎて、フォーカスレンズ32を目標駆動位置に正確に停止させることができない場合があった。これに対して、第2駆動制御では、目標駆動位置p2近傍での駆動速度を抑えることで、目標駆動位置p2にフォーカスレンズ32をより正確に停止させることが可能となる。
また、第2駆動制御におけるフォーカスレンズ32の駆動方法は、上述した例に限定されず、以下のように、フォーカスレンズ32の駆動を制御する構成としてもよい。ここで、図12は、第2駆動制御におけるフォーカスレンズ32の他の駆動制御方法を説明するための図である。
すなわち、図12に示すように、目標駆動完了時間内において、フォーカスレンズ32を目標駆動位置を超えるレンズ位置まで駆動し、その後、フォーカスレンズ32を反転させて、フォーカスレンズ32を目標駆動位置まで駆動する構成としてもよい。たとえば、本実施形態では、目標駆動量として、目標駆動量に応じたパルス数をレンズ鏡筒3に送信しているが、レンズ鏡筒3が有する駆動能力によっては、数パルス以下の駆動が行えない場合もある。一例を挙げると、たとえば、10パルス以上での駆動しかできず、仮に10パルス未満の駆動量が送信されてきた場合には、フォーカスレンズ32の駆動を行わないレンズ鏡筒などがある。このような場合も、図12に示すように第2駆動制御を行うことで、たとえば、目標駆動位置を超えるレンズ位置までフォーカスレンズを駆動し(たとえば14パルスでフォーカスレンズを駆動し)、その後、フォーカスレンズ32を反転させて、10パルス以上の駆動を行う(たとえば10パルスでフォーカスレンズ駆動する)ことで、フォーカスレンズ32を最初のレンズ位置から10パルス未満(上記例では4パルス)のレンズ位置に停止させることができる。
次いで、図8に戻り、ステップS105において、位相差検出方式によりデフォーカス量が算出できないと判断された場合には、ステップS106に進み、カメラ制御部21により、スキャン動作が開始される。
スキャン動作とは、フォーカスレンズ駆動モータ36により、フォーカスレンズ32を所定の駆動速度で駆動(スキャン駆動)させながら、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、および焦点評価値の算出を、所定の間隔で同時に行い、これにより、位相差検出方式による合焦位置の検出と、コントラスト検出方式による合焦位置の検出とを、所定の間隔で、同時に実行する動作である。
具体的には、カメラ制御部21は、レンズ制御部37にスキャン駆動開始指令を送出し、レンズ制御部37は、カメラ制御部21からの指令に基づき、フォーカスレンズ駆動モータ36を駆動させ、フォーカスレンズ32を光軸L1に沿ってスキャン駆動させる。なお、フォーカスレンズ32のスキャン駆動は、無限遠端から至近端に向かって行なってもよいし、あるいは、至近端から無限遠端に向かって行なってもよい。
そして、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、撮像素子22の焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しを行い、これに基づき、位相差検出方式により、デフォーカス量の算出を行うとともに、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、撮像素子22の撮像画素221から画素出力の読み出しを行い、これに基づき、焦点評価値を算出し、これにより、異なるフォーカスレンズ位置における焦点評価値を取得することで、コントラスト検出方式により合焦位置の検出を行う。
そして、ステップS107では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式によりデフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。デフォーカス量が算出できた場合には、測距可能と判断して、ステップS110に進み、一方、デフォーカス量が算出できなかった場合には、測距不能と判断して、ステップS108に進む。なお、ステップS107においても、上述したステップS105と同様に、デフォーカス量の算出ができた場合でも、算出されたデフォーカス量の信頼性が低い場合には、デフォーカス量の算出ができなかったものとして扱い、ステップ108に進むこととする。
ステップS108では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、コントラスト検出方式により合焦位置の検出ができたか否かの判定が行なわれる。コントラスト検出方式により合焦位置の検出ができた場合には、ステップS111に進み、一方、合焦位置の検出ができなかった場合には、ステップS109に進む。
ステップS109では、カメラ制御部21により、スキャン駆動範囲の全域においてスキャン駆動が実行されたか否かの判断が行われる。スキャン駆動範囲の全域においてスキャン駆動が行なわれていない場合には、ステップS107に戻り、ステップS107〜S109を繰り返すことにより、スキャン動作、すなわち、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を、所定の間隔で同時に実行する動作を継続して行なう。一方、スキャン駆動範囲の全域においてスキャン動作の実行を完了している場合には、ステップS112に進む。
そして、スキャン動作を実行した結果、ステップS107において、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたと判定された場合には、スキャン動作を停止し、ステップS110に進み、上記と同様にして、位相差検出方式での焦点検出結果に基づくフォーカスレンズ32の駆動制御が行われる。
また、スキャン動作を実行した結果、ステップS108において、コントラスト検出方式により合焦位置が検出できたと判定された場合には、スキャン動作を停止し、ステップS111に進み、コントラスト検出方式による焦点検出結果に基づくフォーカスレンズ32の駆動制御が行われる。ここで、図13は、コントラスト検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS301では、カメラ制御部21により、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置に駆動するための目標駆動量の算出が行われる。
また、ステップS302〜S310では、ステップS202〜S210と同様の処理が行われる。すなわち、レンズ鏡筒3が第2駆動制御に対応するレンズ鏡筒ではないと判断された場合には(ステップS301=No)、従来と同様に、カメラ制御部21からレンズ鏡筒3に対して目標駆動量が送信され、図10に示すように、フォーカスレンズ32を、フォーカスレンズ32の最大駆動速度で合焦位置まで駆動させる第1駆動制御が行われる(ステップS304)。
一方、レンズ鏡筒3が第2駆動制御に対応しているレンズ鏡筒であると判断された場合には(ステップS301=Yes)、カメラ制御部21は、目標駆動完了時間を設定し(ステップS305)、目標駆動完了時間および目標駆動量をレンズ鏡筒3に送信する(ステップS306)。そして、レンズ制御部37は、目標駆動量に基づいて予定駆動完了時間を算出し(ステップS307)、目標駆動完了時間と予定駆動完了時間との比較結果に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動時間に余裕があるか否かを判断する(ステップS308,S309)。フォーカスレンズ32の駆動時間に余裕がある場合には(ステップS309=Yes)、図15に示すように、フォーカスレンズ32の第2駆動制御が行なわれる(ステップS310)。なお、図15は、第2駆動制御でのフォーカスレンズの他の駆動制御方法を説明するための図である。
すなわち、フォーカスレンズ32を駆動するためのフォーカスレンズ駆動モータ36は、通常、機械的な駆動伝達機構から構成され、このような駆動伝達機構は、たとえば、図14に示すように、第1の駆動機構500および第2の駆動機構600からなり、第1の駆動機構500が駆動することにより、これに伴い、フォーカスレンズ32側の第2の駆動機構600を駆動させ、これにより、フォーカスレンズ32を、至近側あるいは無限遠側に移動させるような構成を備えている。そして、このような駆動機構においては、通常、歯車の噛み合わせ部の円滑な動作の観点より、ガタ量Gが設けられている。しかしその一方で、コントラスト検出方式においては、その機構上、図6に示すように、フォーカスレンズ32は、スキャン動作により、一度、合焦位置を通り過ぎた後に、駆動方向を反転させ、合焦位置へと駆動させる必要がある。そして、この場合において、図6に示すように、ガタ詰め駆動をしない場合には、フォーカスレンズ32のレンズ位置が、ガタ量Gだけ合焦位置からずれてしまうという特性がある。そのため、このようなガタ量Gの影響を除去するためには、図6に示すように、フォーカスレンズ32の合焦駆動を行う際に、一度、合焦位置を通り過ぎた後に、再度、駆動方向を反転させて合焦位置へと駆動させるガタ詰め駆動を行う必要が生じてくる。
そこで、第2駆動制御として、コントラスト検出方式による焦点検出結果に基づいてフォーカスレンズ32を駆動する場合、レンズ制御部37は、たとえば、フォーカスレンズ32を最大駆動速度で合焦位置まで駆動させた場合にかかる時間とガタ詰めに必要な時間との合計時間を予定駆動完了時間として算出し(ステップS307)、算出した予定駆動完了時間と目標駆動完了時間とを比較し(ステップS308)、比較の結果、フォーカスレンズ32の駆動時間に余裕があると判断した場合には(ステップS309=Yes)、図15に示すように、目標駆動完了時間内で、フォーカスレンズ32のガタ詰めを行うように、フォーカスレンズ32の駆動を制御する第2駆動制御を実行する。
たとえば、第2駆動制御として、レンズ制御部37は、図15に示すように、時刻t1において、合焦位置を超えたレンズ位置で合焦位置を検出すると、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動するために、フォーカスレンズ32の駆動方向を反転する。そして、レンズ制御部37は、時刻t2において、フォーカスレンズ32を合焦位置を超えた位置まで駆動し、フォーカスレンズ32をさらに反転することで、ガタ詰め処理を実行する。これにより、ガタ量Gの影響を除外することができる。
また、図15に示すように、レンズ制御部37は、第1駆動制御と比べて、第2駆動制御において、焦点評価値を算出する際のスキャン駆動の駆動速度を遅くすることで、焦点評価値の算出間隔を短くすることができ、その分だけ、合焦位置の検出精度を高くすることができる。
図8に戻り、ステップS109において、スキャン駆動範囲の全域について、スキャン動作の実行が完了していると判定された場合には、ステップS112に進む。ステップS112では、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式およびコントラスト検出方式のいずれの方式によっても、焦点検出を行うことができなかったため、スキャン動作の終了処理が行なわれ、ステップS113に進み、合焦位置を検出できなかったため、合焦不能表示が行われる。
以上のように、第1実施形態に係るカメラ1の動作が行われる。
このように、第1実施形態に係るカメラ1によれば、カメラ本体2からレンズ鏡筒3に対して目標駆動完了時間を送信し、目標駆動完了時間と予定駆動完了時間との比較の結果、フォーカスレンズ32の駆動時間に余裕がある場合には、レンズ鏡筒3において、図10または図11に示すように、目標駆動完了時間内において、少なくとも目標駆動位置近傍におけるフォーカスレンズ32の駆動速度を、第1駆動制御と比べて遅く駆動する第2駆動制御を行うことで、フォーカスレンズ32を目標駆動位置により高い精度で停止させることができ、光学系の焦点調節精度をより向上させることができる。
また、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32の駆動速度が優先される場合には、目標駆動完了時間を短く設定し、一方、フォーカスレンズ32の駆動精度が優先される場合には、目標駆動完了時間を長く設定する。これにより、フォーカスレンズ32の駆動速度が優先される場合には、フォーカスレンズ32を目標駆動位置まで短時間で駆動させることができるとともに、フォーカスレンズ32の駆動精度が優先される場合には、フォーカスレンズ32を目標駆動位置に高い精度で停止させることができる。
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。第2実施形態では、図1に示すカメラ1において、以下に説明するようにカメラ1が動作すること以外は、第1実施形態と同様の構成を備え、第1実施形態と同様に動作する。
ここで、図16は、第2実施形態におけるレンズ鏡筒3とカメラ本体2とのフォーカスレンズ32の駆動制御に関する情報の授受の一例を説明するための図である。第2実施形態では、第1実施形態と同様に、カメラ本体2からレンズ鏡筒3に対して、目標駆動量と命令IDを含む駆動命令とが送信される。
また、第2実施形態では、レンズ鏡筒3からカメラ本体2に対して、レンズ位置、駆動残時間、命令ID、および識別信号が送信される。ここで、駆動残時間とは、フォーカスレンズ32の目標駆動量への駆動が完了するまでの残り時間である。本実施形態において、駆動残時間は、カメラ本体2から送信された目標駆動量に基づいて、レンズ鏡筒3により算出される。そして、レンズ鏡筒3は、算出した駆動残時間を駆動命令の命令IDに関連付けて、カメラ本体2に送信する。
さらに、第2実施形態では、レンズ鏡筒3が駆動残時間を算出し、算出した駆動残時間をカメラ本体2に送信する機能を有している場合に、レンズ鏡筒3は、図16に示すように、駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒であることをカメラ本体2に識別させるための識別信号を、カメラ本体2に送信する。
次に、第2実施形態に係るカメラ1の動作について説明する。第2実施形態においても、カメラ1は図8に示す処理を実行する。ただし、第2実施形態においては、図8に示す処理のうち、ステップS101のレンズ確認処理、ステップS110の位相差検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理、ステップS111のコントラスト検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理において、第1実施形態とは異なる内容の処理が行われることとなる。
すなわち、第2実施形態に係るステップS101のレンズ確認処理では、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒であるか否かを確認するレンズ確認処理が行われる。上述したように、第2実施形態において、レンズ鏡筒3は、駆動残時間をカメラ本体2に送信可能なレンズ鏡筒であることをカメラ本体2に識別させるための識別信号を、カメラ本体2に送信しており、カメラ制御部21は、レンズ鏡筒3から識別信号を受信できた場合に、レンズ鏡筒3は駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒であると判断することができる。なお、このレンズ確認処理の結果は、後述するステップ402,502において利用される。
ステップS102〜S109においては、第1実施形態と同様に処理が行われる。すなわち、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理と、コントラスト検出方式による焦点評価値の算出処理が開始され(ステップS102,S103)、フォーカスレンズの半押し操作後(ステップS104=Yes)、デフォーカス量が算出された場合には(ステップS105=Yes)、位相差検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理が行なわれる(ステップS110)。また、デフォーカス量が算出できない場合には、スキャン動作が実行され(ステップS106)、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式によりデフォーカス量が算出できた場合には、位相差検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理が行われ(ステップS110)、コントラスト検出方式により合焦位置の検出ができた場合には、コントラスト検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理が行われる(ステップS111)。
ここで、第2実施形態における、ステップS110の位相差検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理について説明する。図17は、第2実施形態に係る位相差検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS401では、第1実施形態のステップS201と同様に、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づいて、目標駆動量の算出が行われる。続くステップS402では、カメラ制御部21により、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒であるか否かの判断が行われる。たとえば、カメラ制御部21は、ステップS101のレンズ確認処理の結果を参照することで、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒であるか否かを判断することができる。そして、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒であると判断された場合には、ステップS407に進み、一方、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信できないレンズ鏡筒であると判断された場合には、ステップS403に進む。
ステップS403では、カメラ制御部21により、ステップS401で算出された目標駆動量と駆動命令とがレンズ鏡筒3に対して送信される。続くステップS404では、レンズ制御部37により、ステップS403で送信された目標駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動が開始される。そして、ステップS405では、レンズ制御部37により、フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動が完了したか否かの判断が行われる。フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動が完了するまでは、ステップS405で待機し、フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動が完了すると、ステップS406に進み、ステップS406において、カメラ制御部21により、露光動作の前処理が開始される。たとえば、本実施形態では、露光動作の前処理として、撮像素子の感度などの切換え処理、シャッター速度の切換処理、絞り駆動処理、手ぶれ補正レンズのセンタリング処理などが行われる。
このように、第2実施形態では、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信できないレンズ鏡筒である場合には、図18(A)に示すように、フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動(合焦駆動処理)が完了した後に、露光動作の前処理が開始される。なお、図18(A)は、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信できないレンズ鏡筒である場合のカメラ1の動作を説明するための図である。
一方、ステップS402において、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒であると判断された場合には、ステップS407に進む。ステップS407〜S411では、駆動残時間に基づくフォーカスレンズ32の駆動制御が行われる。
具体的には、まず、ステップS407では、カメラ制御部21により、ステップS401で算出された目標駆動量と駆動命令とがレンズ鏡筒3に対して送信される。そして、ステップS408では、レンズ制御部37により、ステップS407で送信された目標駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が開始される。
また、ステップS409では、レンズ制御部37により、ステップS407で送信された目標駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の目標駆動位置への駆動が完了するまでの残り時間が、駆動残時間として算出される。具体的には、レンズ制御部37は、ガタ詰めの実施の要否を判断し、ガタ詰めの実施が必要な場合には、フォーカスレンズ32を最大駆動速度で現在のレンズ位置から目標駆動位置まで駆動する場合の駆動時間と、ガタ詰めに要する時間との合計時間を、駆動残時間として算出することができる。また、レンズ制御部37は、ガタ詰めの実施が不要な場合には、フォーカスレンズ32を最大駆動速度で現在のレンズ位置から目標駆動位置まで駆動する場合の駆動時間を、駆動残時間として算出することができる。
なお、カメラ制御部21は、たとえば、現在のレンズ位置と駆動開始時のレンズ位置と目標駆動量とから、目標駆動位置までの残りの駆動量を算出し、フォーカスレンズ32を最大駆動速度で残りの駆動量だけ駆動させるために要する時間を駆動残時間として算出することができる。また、カメラ制御部21は、ガタ詰めを行った場合の像面移動量と、光学系の焦点深度とを比較することで、ガタ詰めの実施が必要か否かを判断することができる。
ステップS410では、レンズ鏡筒3からカメラ本体2に対して、ステップS409で算出した駆動残時間が送信される。そして、ステップS411では、カメラ制御部21により、ステップS410で受信した駆動残時間が所定時間未満であるか否かの判断が行われる。ここで、所定時間とは、たとえばガタ詰めの実施が必要な場合には、ガタ詰めに要する時間と、その後に行われる露光動作の準備時間との合計時間とすることができる。また、ガタ詰めの実施が不要な場合には、所定時間を、露光動作の準備時間とすることができる。一例として、所定時間を0.03秒などに設定することができる。駆動残時間が所定時間未満ではない場合は、ステップS409に戻り、レンズ鏡筒3での駆動残時間の算出と、算出した駆動残時間のカメラ本体2への送信とが繰り返し行われる。そして、駆動残時間が所定時間未満となった場合に、ステップS406に進み、露光動作の開始処理が行われる。
このように、第2実施形態では、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒である場合には、図18(B)に示すように、フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動が完了する前に、露光動作が開始されることとなる。これにより、合焦駆動処理が終了した後に直ぐに、露光動作を行うことができるため、図18(A)に示す場合と比べて、露光までにかかる時間を短縮することができる。なお、図18(B)は、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒である場合のカメラ1の動作を説明するための図である。
次に、第2実施形態における、ステップS111のコントラスト検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理について説明する。図19は、第2実施形態に係るコントラスト検出方式による焦点検出結果に基づくレンズ駆動制御処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS501では、第1実施形態のステップS301と同様に、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づいて、目標駆動量の算出が行われる。そして、ステップS502〜S511では、ステップS402〜S411と同様に処理が行われる。
すなわち、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信できないレンズ鏡筒である場合には(ステップS502=No)、目標駆動量がカメラ本体2からレンズ鏡筒3に送信され(ステップS503)、フォーカスレンズ32の目標駆動位置への駆動が開始される(ステップS504)。そして、図18(A)に示すように、フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動が完了した後に(ステップS505=Yes)、露光動作の前処理が開始される(ステップS506)。
また、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒である場合には(ステップS502=Yes)、目標駆動量がカメラ本体2からレンズ鏡筒3に送信され(ステップS507)、フォーカスレンズ32の目標駆動位置への駆動が開始される(ステップS508)。さらに、レンズ鏡筒3において駆動残時間の算出が行われ(ステップS509)、駆動残時間がレンズ鏡筒3からカメラ本体2に送信される(ステップS510)。そして、駆動残時間が所定時間未満となった場合に(ステップS511=Yes)、図18(B)に示すように、フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動が完了する前に、露光動作の前処理が開始される(ステップS506)。
以上のように、第2実施形態では、レンズ鏡筒3が駆動残時間を送信可能なレンズ鏡筒である場合には、レンズ鏡筒3からカメラ本体2に駆動残時間が送信される。そして、カメラ本体2では、駆動残時間と所定時間とを比較し、駆動残時間が所定時間未満となった場合には、フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動が完了する前であっても、露光動作の前処理を開始する。これにより、第2実施形態では、フォーカスレンズ32の駆動目標位置への駆動完了後、露光動作が開始されるまでのタイムラグを短縮することができ、ユーザがシャッターレリーズボタンを駆動してから露光が行われるまでの時間を短縮することが可能となる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。たとえば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせることもできる。
また、上述した実施形態では、フォーカスレンズ32の駆動目標量をカメラ本体2からレンズ鏡筒3に送信する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、フォーカスレンズ32の駆動目標位置をカメラ本体2からレンズ鏡筒3に送信する構成としてもよい。
さらに、上述した第2実施形態では、レンズ鏡筒3からカメラ本体2に対して駆動残時間を送信し、カメラ本体2において、駆動残時間が所定時間未満であると判断された場合に、露光動作の前処理を開始する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、レンズ鏡筒3において、駆動残時間が所定時間未満であるか否かを判断し、駆動残時間が所定時間未満である場合に、レンズ鏡筒3からカメラ本体2に対して、露光動作の前処理の開始を許可する信号を送信する構成としてもよい。
また、上述した第2実施形態において、駆動残時間が所定時間未満となり、露光開始の前処理が開始される場合には、合焦表示を行う構成としてもよい。これにより、ユーザにより早く合焦したことを通知することができる。なお、駆動残時間が所定時間未満となり、露光開始の前処理が開始される時点では、フォーカスレンズ32の駆動は実際に完了していないが、スルー画像の表示準備時間などを考慮すると、フォーカスレンズ32が駆動中であることをユーザに知覚されるおそれは少ない。また、カメラ制御部21は、電子ビューファインダを介して、合焦である旨の表示を行うことができる。
さらに、上述した実施形態では、フォーカスレンズ32を目標駆動位置(合焦位置)まで駆動する合焦駆動において本発明に係るレンズ駆動制御処理を説明したが、この構成に限定されず、たとえば、図6に示す初期駆動において、本発明に係るレンズ駆動制御処理を行う構成としてもよい。この場合、たとえば、フォーカスレンズ32の駆動時間に余裕があると判断できる場合に、ウォブリング駆動を行う構成とすることができる。
なお、上述した実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。