JP2015200246A - 点火装置の故障診断装置、および、点火装置の故障診断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】故障診断装置Aは、ECU4、異常判定部11および診断ツール31を含んで構成され、次の火花放電強制手段および異常判定手段の機能を有する。まず、火花放電強制手段は、各種指令信号の入力に応じて、主点火回路8を動作させるとともに、引き続きエネルギー投入回路9を動作させる。また、異常判定手段は、火花放電強制手段の実行により火花放電が生じて所定の期間継続したか否かを判定する。これにより、エネルギー投入回路9を備える点火装置1において、継続火花放電が正常に発生しているか否かを判断することができる。
【選択図】図1
Description
なお、以下では、エネルギー投入回路により継続させる火花放電、つまり、主点火に続く火花放電を継続火花放電と呼ぶ。また、継続火花放電が続く期間を放電継続期間と呼ぶ。
次に、本発明の理解補助の目的で、本発明を適用していないエネルギー投入回路の参考例を図6に基づき説明する。
図6に示す点火装置100は、フルトラに基づく主点火を点火プラグ101に生じさせる主点火回路102と、主点火に継続させて継続火花放電を生じさせるエネルギー投入回路103とを備える。
エネルギー投入回路103は、ガソリンを燃料とする過給かつ希薄燃焼(リーンバーン)のように、いわゆる吹き消えが生じる可能性があるときに使用し、吹き消えが生じる可能性が低いときにはエネルギー投入回路103を使用せず、主点火回路102のフルトラに基づき点火するのが好ましい。したがって、この要請に応じて点火制御システムを構築すると、点火装置100では、エンジンの運転状態に応じて、エネルギー投入回路103の使用・未使用が制御されるので、実運転では、エンジンの始動後、所定の運転条件が整った後、エネルギー投入回路103が使用される。
例えば、特許文献1には、OBDコネクタ等を介して部品の故障有無を判別する故障診断ツールが開示されており、このようなツールを用いて、継続火花放電が正常に生じるか否かを判断することができるようにしておくことが望まれる。
主点火回路は、点火コイルの1次コイルの通電制御を行って点火プラグに火花放電を生じさせる。また、エネルギー投入回路は、主点火回路の動作によって開始した火花放電中に、1次コイルの通電制御を行って、点火コイルの2次コイルに同一方向の2次電流を継続して流し、主点火回路の動作によって開始した火花放電を継続させる。
火花放電強制手段は、所定の指令信号が入力されると、主点火回路を動作させるとともに、引き続きエネルギー投入回路を動作させる。また、異常判定手段は、火花放電強制手段の実行により火花放電が生じて所定の期間継続したか否かを判定する。
図1〜図5を参照して実施例の故障診断装置Aの診断対象となる点火装置1を説明する。
点火装置1は、車両走行用の火花点火エンジンに搭載されるものであり、所定の点火時期に燃焼室内の混合気に点火するものである。なお、エンジンの一例は、ガソリンを燃料とする希薄燃焼(リーンバーン)が可能な直噴式エンジンであり、気筒内にタンブル流やスワール流等の混合気の旋回流を生じさせる旋回流コントロール手段を備える。そして、リーンバーンのように気筒内のガス流速が高く火花放電の吹き消え発生の可能性がある運転状態において、点火装置1は、主点火に続けて継続火花放電を行うように制御される。
さらに、点火装置1は、エンジン制御の中枢を成す電子制御ユニット(以下、ECU4と呼ぶ。)から与えられる点火信号IGtや放電継続信号IGw等の信号に基づいて点火コイル3の1次コイル5を通電制御するものであり、1次コイル5を通電制御することで点火コイル3の2次コイル6に生じる電気エネルギーを操作して、点火プラグ2の火花放電を制御する。
点火コイル3は、1次コイル5と2次コイル6とを有し、1次コイル5を流れる電流(1次電流)の増減に応じて電磁誘導により2次コイル6に電流(2次電流)を発生させる周知構造である。
まず、昇圧回路15は、ECU4から点火信号IGtが与えられる期間において車載バッテリ12の電圧を昇圧してコンデンサ18に蓄えさせる。
次に、投入エネルギー制御手段16は、コンデンサ18に蓄えた電気エネルギーを1次コイル5のマイナス側(接地側)に投入する。
ここで、チョークコイル19は一端が車載バッテリ12のプラス電極に接続され、昇圧用スイッチング手段20によりチョークコイル19の通電状態が断続される。また、昇圧用ドライバ回路21は、昇圧用スイッチング手段20に制御信号を与えて昇圧用スイッチング手段20をオンオフさせるものであり、昇圧用スイッチング手段20のオンオフ動作により、チョークコイル19で蓄えた磁気エネルギーはコンデンサ18で電気エネルギーとして充電される。
また、第2ダイオード22は、コンデンサ18に蓄えた電気エネルギーがチョークコイル19側へ逆流するのを防ぐものである。
ここで、投入用スイッチング手段24は、コンデンサ18に蓄えた電気エネルギーを1次コイル5にマイナス側から投入するのをオンオフし、投入用ドライバ回路25は、投入用スイッチング手段24に制御信号を与えてオンオフさせる。
なお、第3ダイオード26は、1次コイル5からコンデンサ18への電流の逆流を阻止するものである。
ここで、フィードバック回路10には、2次電流を検出する2次電流検出抵抗28、および、フィードバック信号を合成して出力する電流検出回路29が設けられている。そして、2次電流の検出値は、2次電流検出抵抗28により電圧に変換されて電流検出回路29に出力される。また、電流検出回路29では、例えば、2次電流に対する上限下限の閾値が設定されており、検出値と上限、下限の閾値との比較に応じたフィードバック信号が合成されて投入用ドライバ回路25に出力される。
なお、図2において、「IGt」は点火信号IGtの入力状態をハイ/ローで表すものであり、「IGw」は放電継続信号IGwの入力状態をハイ/ローで表すものである。また、「点火用スイッチ」、「投入用スイッチ」は、それぞれ、点火用スイッチング手段13、投入用スイッチング手段24のオンオフを表し、「I1」は1次電流(1次コイル5に流れる電流値)、「I2」は2次電流(2次コイル6に流れる電流値)を表す。
点火プラグ2において主点火が開始された後、2次電流は略三角波形状で減衰する(I2の点線を参照。)。そして、2次電流が下限の閾値に到達する前に、放電継続信号IGwがローからハイへ切り替わる(時間t03参照。)。
以上により、投入用スイッチング手段24をオンオフ制御することで、2次電流が火花放電を維持可能な程度に継続して流れる。その結果、放電継続信号IGwのオン状態が続くと、継続火花放電が点火プラグ2において維持される。
故障診断装置Aは、点火装置1において故障等に伴う部品交換後に、継続火花放電が正常に生じるか否かを判断するものであり、例えば、ECU4、異常判定部11、および、車両外部の診断ツール31等により形成される。ここで、ECU4は、診断ツール31がコネクタを介して接続可能となっており、診断ツール31から出力される各種の指令信号に応じて点火装置1を診断する。このとき、異常判定部11は、2次電流の検出値に基づき、継続火花放電が正常に生じるか否を判定する。
まず、火花放電強制手段は、各種の指令信号が入力されると、主点火回路8を動作させるとともに、引き続きエネルギー投入回路9を動作させるものである。また、異常判定手段は、火花放電強制手段の実行により火花放電が生じて所定の期間継続したか否かを判定するものである。
なお、図4において、「診断要求信号」は診断要求信号の入力状態をハイ/ローで表すものであり、「DCDC駆動要求信号」はDCDC駆動要求信号の入力状態をハイ/ローで表すものであり、「放電実施要求信号」は放電実施要求信号の入力状態をハイ/ローで表すものであり、「IGt」は点火信号IGtの入力状態をハイ/ローで表すものであり、「IGw」は放電継続信号IGwの入力状態をハイ/ローで表すものである。また、「昇圧用スイッチ」は、昇圧用スイッチング手段20のオンオフを表し、「I2」は2次電流(2次コイル6に流れる電流値)を表す。
まず、ステップS1で、ECU4は、点火装置1の診断を要求する診断要求信号が診断ツール31から入力されたか否かを判定する(図4の時間t1を参照。)。そして、診断要求信号が入力されたと判定した場合(YES)、ステップS2に進み、診断要求信号が入力されていないと判定した場合(NO)、制御フローを終了する。
その後、放電実施要求信号の入力が止まるまで(図4の時間t4を参照。)、ECU4から点火信号IGtおよび放電継続信号IGwの出力が繰り返され、点火装置1は、図2と同様の動作を繰り返して2次電流を発生させる(以上により、ステップS1〜S6が火花放電強制手段に相当する。)。
この判定は、継続火花放電が正常に発生したか否かを異常判定部11により判定することで実行される。
例えば、異常判定部11は、点火信号IGtのオフからカウントした所定の時期taに、2次電流の検出値が所定の閾値αよりもマイナス側に大きいか否かに基づき、主点火が正常に発生したか否かを判定する。つまり、異常判定部11は、時期taにおいて2次電流の検出値が閾値αよりもマイナス側に大きいときに主点火が正常に発生したものと判定する。
なお、閾値βは、閾値αよりもマイナス側に大きい値として設定されている。
実施例の故障診断装置Aは、ECU4、異常判定部11および診断ツール31を含んで構成され、次の火花放電強制手段および異常判定手段の機能を有する。
まず、火花放電強制手段は、各種指令信号の入力に応じて、主点火回路8を動作させるとともに、引き続きエネルギー投入回路9を動作させる。また、異常判定手段は、火花放電強制手段の実行により火花放電が生じて所定の期間継続したか否かを判定する。
上記の実施例では、診断に関わる各種の指令信号を診断ツール31からECU4に入力することで点火装置1の診断を行う例を開示したが、診断ツール31を使用せず、ECU4に点検用端子を設けて診断ツール31を使用せずに診断を行ってもよい。
上記の実施例では、故障診断時にも電流検出回路29で設定された上限下限に基づき2次電流を制御したが、故障診断時には2次電流の指令値を、例えば、診断ツール31から別途入力し、この指令値に検出値を略一致させるようにフィードバック制御してもよい。
Claims (4)
- 内燃機関用の点火装置(1)の故障診断装置(A)であって、
故障診断の対象となる点火装置(1)は、
点火コイル(3)の1次コイル(5)の通電制御を行って点火プラグ(2)に火花放電を生じさせる主点火回路(8)と、
この主点火回路(8)の動作によって開始した火花放電中に、前記1次コイル(5)の通電制御を行って、前記点火コイル(3)の2次コイル(6)に同一方向の2次電流を継続して流し、前記主点火回路(8)の動作によって開始した火花放電を継続させるエネルギー投入回路(9)とを備え、
前記故障診断装置(A)は、
所定の指令信号が入力されると、前記主点火回路(8)を動作させるとともに、引き続き前記エネルギー投入回路(9)を動作させる火花放電強制手段(4)と、
この火花放電強制手段(4)の実行により火花放電が生じて所定の期間継続したか否かを判定する異常判定手段(11)とを備える故障診断装置(A)。 - 請求項1に記載の故障診断装置(A)において、
前記故障診断の対象となる点火装置(1)は、
前記2次電流を検出して前記エネルギー投入回路(9)にフィードバックするフィードバック回路(10)を備え、
前記異常判定手段(11)は、前記エネルギー投入回路(9)が動作している期間の所定のタイミングで前記2次電流が所望の数値に達しているか否かを判定することで、火花放電が所定の期間継続したか否かを判定することを特徴とする故障診断装置(A)。 - 内燃機関用の点火装置(1)の故障診断方法であって、
故障診断の対象となる点火装置(1)は、
点火コイル(3)の1次コイル(5)の通電制御を行って点火プラグ(2)に火花放電を生じさせる主点火回路(8)と、
この主点火回路(8)の動作によって開始した火花放電中に、前記1次コイル(5)の通電制御を行って、前記点火コイル(3)の2次コイル(6)に同一方向の2次電流を継続して流し、前記主点火回路(8)の動作によって開始した火花放電を継続させるエネルギー投入回路(9)とを備え、
前記故障診断方法は、
前記内燃機関が停止しているときでも、所定の指令信号が入力されると、前記主点火回路(8)を動作させるとともに、引き続き前記エネルギー投入回路(9)を動作させる火花放電強制工程と、
この火花放電強制工程により火花放電が生じて所定の期間継続したか否かを判定する異常判定工程とを備える故障診断方法。 - 請求項3に記載の故障診断方法において、
前記故障診断の対象となる点火装置(1)は、
前記2次電流を検出して前記エネルギー投入回路(9)にフィードバックするフィードバック回路(10)を備え、
前記異常判定工程は、前記エネルギー投入回路(9)が動作している期間の所定のタイミングで前記2次電流が所望の数値に達しているか否かを判定することで、火花放電が所定の期間継続したか否かを判定することを特徴とする故障診断方法。
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