JP2015199678A - ラパチニブトシル酸塩水和物を含有する抗腫瘍剤及び抗腫瘍効果増強剤 - Google Patents

ラパチニブトシル酸塩水和物を含有する抗腫瘍剤及び抗腫瘍効果増強剤 Download PDF

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Abstract

【課題】顕著に優れた抗腫瘍効果を示し、副作用の少ないFTD・TPI配合剤の新規な癌治療方法の提供。
【解決手段】FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物を併用投与することを特徴とする抗腫瘍剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩の配合剤と、ラパチニブトシル酸塩水和物とを併用する抗腫瘍剤、及びラパチニブトシル酸塩水和物の抗腫瘍効果増強剤に関する。
トリフルリジン(別名:α,α,α−トリフルオロチミジン。以下、「FTD」とも称す)は、チミジレート生成阻害作用によるDNA合成阻害とDNAへの取り込みによるDNA機能障害により抗腫瘍効果を発揮する。一方、チピラシル塩酸塩(化学名:5−クロロ−6−[(2−イミノピロリジン−1−イル)メチル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン塩酸塩。以下、「TPI」とも称す)は、チミジンホスホリラーゼ阻害作用を有する。TPIがチミジンホスホリラーゼによるFTDの生体内での分解を抑制することにより、FTDの抗腫瘍効果が増強されることが知られている(特許文献1)。現在、FTDとTPIをモル比1:0.5で含有する抗腫瘍剤(以下、「FTD・TPI配合剤」とも称す)は、固形癌の治療剤として開発中であり、日本では進行・再発の結腸直腸癌の治療剤として承認されている(非特許文献1及び2)。
さらに、FTD・TPI配合剤の抗腫瘍効果を高めるべく、併用療法の検討がなされており、これまで当該配合剤とイリノテカンやオキサリプラチン等との併用効果が示唆されている(非特許文献3及び4)。
また、ラパチニブトシル酸塩水和物は、4−アニリノキナゾリン構造を有し、HERファミリーのEGFR及びHER2の両者を選択的に阻害することにより、抗腫瘍効果を発揮する。ラパチニブトシル酸塩水和物は、乳癌の治療剤として、カペシタビンとの併用療法において臨床で用いられている(非特許文献5)。
上記のとおり、FTD・TPI配合剤を含む治療法及びラパチニブトシル酸塩水和物を含む治療法の開発が精力的に行われているが、FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物の併用療法は行なわれていない。
国際公開第96/30346号
Invest New Drugs 26(5):445−54,2008. Lancet Oncol.13(10):993−1001, 2012. Eur J Cancer.43(1):175−83,2007. Br J Cancer.96(2):231−40,2007. N Engl J Med 355(26):2733−2743,2006. Core Evid 1(2):77−87,2005.
本発明は、顕著に優れた抗腫瘍効果を示し、副作用の少ないFTD・TPI配合剤を用いた新規な癌治療方法を提供することを課題とする。
そこで本発明者は、FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物とを併用して抗腫瘍効果を検討したところ、FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物とを併用することにより、単独でFTD・TPI配合剤またはラパチニブトシル酸塩水和物を使用するよりも、さらに抗腫瘍効果が顕著に増強することを見出した。
すなわち本発明は、以下の発明〔1〕〜〔15〕を提供するものである。
〔1〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と、ラパチニブトシル酸塩水和物を併用投与することを特徴とする抗腫瘍剤。
〔2〕トリフルリジン1モルあたりに対して、ラパチニブトシル酸塩水和物が1.2〜11モルであることを特徴とする〔1〕記載の抗腫瘍剤。
〔3〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における推奨用量の50〜100%である〔1〕又は〔2〕記載の抗腫瘍剤。
〔4〕ラパチニブトシル酸塩水和物の投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における最大耐薬用量の25〜100%であ〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
〔5〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が35〜70mg/m2/dayである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
〔6〕ラパチニブトシル酸塩水和物の投与日における1日投与量が450〜1800mg/body/dayである〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
〔7〕対象となる癌が、消化器癌、肺癌又は乳癌である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
〔8〕対象となる癌が、胃癌である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
〔9〕ラパチニブトシル酸塩水和物の抗腫瘍効果を増強するための、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍効果増強剤。
〔10〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤の抗腫瘍効果を増強するための、ラパチニブトシル酸塩水和物からなる抗腫瘍効果増強剤。
〔11〕ラパチニブトシル酸塩水和物を投与された癌患者を治療するための、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍剤。
〔12〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤を投与された癌患者を治療するための、ラパチニブトシル酸塩水和物からなる抗腫瘍剤。
〔13〕ラパチニブトシル酸塩水和物と併用することを特徴とする、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍剤。
〔14〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と併用することを特徴とする、ラパチニブトシル酸塩水和物からなる抗腫瘍剤。
〔15〕トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と使用説明書を含むキット製剤。
本発明の抗腫瘍剤によれば、副作用の発症を抑えつつ、高い抗腫瘍効果(特に、腫瘍縮小効果、腫瘍増殖遅延効果(延命効果))を奏する癌治療を行うことが可能である。ひいては、癌患者の長期間の生存をもたらす。
FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物の胃癌に対する併用効果を示す図である。 FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物の胃癌に対する併用効果を示す図である。 FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物の胃癌に対する併用効果を示す図である。 FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物の胃癌に対する併用効果を示す図である。 FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物の胃癌に対する併用効果を示す図である。 FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物の胃癌に対する併用効果を示す図である。
本発明は、FTD・TPI配合剤と、ラパチニブトシル酸塩水和物を併用投与することを特徴とする抗腫瘍剤に関する。
本発明におけるFTD及びTPIはそれぞれ公知の化合物であり、例えば、国際公開第96/30346号パンフレットに記載の方法に従って合成することができる。また、FTD及びTPIをモル比1:0.5で含有する配合剤も公知である(非特許文献1及び2)。また、FTD・TPI配合剤は、日本において進行・再発の結腸直腸癌の治療剤として承認されており、その用法用量はFTDとして70mg/m2/dayを、1日2回、5日間連続経口投与したのち2日間休薬する。これを2回繰り返したのち14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す、と定義されている。
本発明のラパチニブトシル酸塩水和物は公知の化合物であり、特許第4386967号に記載の方法に準じて合成することができる。また、市販品(タイケルブ(登録商標)、グラクソ・スミスクライン株式会社)を用いても良い。
本発明の抗腫瘍剤におけるFTD・TPI配合剤の投与日における1日投与量としては、FTD・TPI配合剤によるラパチニブトシル酸塩水和物の抗腫瘍効果の増強作用の観点から、FTD・TPI配合剤を単独で投与する場合における推奨用量の50〜100%が好ましく、100%がより好ましい。具体的には、ヒトにおけるFTD・TPI配合剤の単独で投与する場合における推奨用量は、上述のとおり日本において承認を受けた投与量であるFTDとして70mg/m2/dayであることから、本発明の抗腫瘍剤におけるFTD・TPI配合剤の投与日における1日投与量は、FTD換算量として35〜210mg/m2/dayであり、好ましくは35〜70mg/m2/dayであり、特に好ましく70mg/m2/dayである。
なお、本発明において「推奨用量」とは、臨床試験などにより決定された、重篤な副作用を発症せずに安全に使用できる範囲で、最大の治療効果をもたらす投与量であり、具体的には、日本独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)、米国食品医薬品局(FDA;Food and Drug Administration)、欧州医薬品庁(EMA;European Medicines Agency)等の公的機関や団体により承認・推奨・勧告され、添付文書・インタビューフォーム・治療ガイドライン等に記載された投与量があげられ、PMDA、FDA又はEMAのいずれかの公的機関により承認された投与量が好ましい。
本発明の抗腫瘍剤におけるラパチニブトシル酸塩水和物の投与日における1日投与量としては、FTD・TPI配合剤によるラパチニブトシル酸塩水和物の抗腫瘍効果の増強作用の観点から、ラパチニブトシル酸塩水和物を単独で癌患者に投与する場合における最大耐薬用量の25〜100%が好ましく、50〜100%がより好ましい。具体的には、ヒトにおけるラパチニブトシル酸塩水和物の単独で投与する場合における最大耐薬用量(MTD)は1800mg/body/dayであることから、本発明の抗腫瘍剤におけるラパチニブトシル酸塩水和物の投与日における1日投与量は、450〜1800mg/body/dayが好ましく、900〜1800mg/body/dayがより好ましい(非特許文献6)。
上記のFTD・TPI配合剤及びラパチニブトシル酸塩水和物の投与量から、これらのモル比を算出することができる。
本発明の抗腫瘍剤におけるFTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物のヒト投与量のモル比は、FTD1モルに対して、ラパチニブトシル酸塩水和物が1.2〜11モルが好ましい。
本発明の抗腫瘍剤の投与スケジュールは、癌腫や病期等に応じて適宜選択しうる。FTD・TPI配合剤は、5日間連日投与し2日間休薬を2回繰り返した後、2週間休薬する投与スケジュールが好ましく、このような投与スケジュールを1回又は2回以上繰り返して実施してもよい。ラパチニブトシル酸塩水和物は、連日投与が好ましい。
本発明の抗腫瘍剤の対象となる癌としては、具体的には、頭頚部癌、消化器癌(食道癌、胃癌、十二指腸癌、肝臓癌、胆道癌(胆嚢・胆管癌など)、膵臓癌、小腸癌、大腸癌(結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌など)など)、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌など)、乳癌、卵巣癌、子宮癌(子宮頚癌、子宮体癌など)、腎癌、膀胱癌、前立腺癌等が挙げられる。このうち、抗腫瘍効果と副作用の観点から、消化器癌、肺癌又は乳癌が好ましく、結腸直腸癌、乳癌又は胃癌がより好ましく、胃癌が特に好ましい。なお、ここで癌には、原発巣のみならず、他の臓器(肝臓など)に転移した癌をも含む。また、本発明の抗腫瘍剤は、腫瘍を外科的に摘出した後に再発防止のために行われる術後補助化学療法に用いるものであっても、腫瘍を外科的に摘出するために事前行われる術前補助化学療法であってもよい。
各有効成分で投与スケジュールが異なり、全ての有効成分を一つの剤形にまとめて製剤化することはできないため、本発明の抗腫瘍剤は各有効成分を複数の剤形に分けて製剤化する。即ち、FTD及びTPIは配合剤として、ラパチニブトシル酸塩水和物は単剤として製剤化することが好ましい。
また、本発明の投与量によって各有効成分が投与される限り、各製剤を併用投与に適した1個のパッケージにまとめて製造販売してもよく、また各製剤を別個のパッケージに分けて製造販売してもよい。
本発明の抗腫瘍剤の投与形態としては特に制限は無く、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には経口剤(錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤など)、注射剤、坐剤、貼付剤、軟膏剤等が例示できる。FTD及びTPIの配合剤は経口剤が、ラパチニブトシル酸塩水和物は経口剤が好ましい。
本発明における抗腫瘍剤は、FTD・TPI配合剤についてもラパチニブトシル酸塩水和物単剤についてもその投与形態に応じて、薬学的に許容される担体を用いて、通常公知の方法により調製することができる。斯かる担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を例示できる。
本発明はまた、癌患者(特に、胃癌患者)に対するラパチニブトシル酸塩水和物の抗腫瘍効果を増強するためのFTD・TPI配合剤を含む抗腫瘍効果増強剤に関する。当該抗腫瘍効果増強剤は、上記抗腫瘍剤の製剤形態を有する。
本発明はまた、癌患者(特に、胃癌患者)に対するFTD・TPI配合剤の抗腫瘍効果を増強するためのラパチニブトシル酸塩水和物を含む抗腫瘍効果増強剤に関する。当該抗腫瘍効果増強剤は、上記抗腫瘍剤の製剤形態を有する。
本発明はまた、ラパチニブトシル酸塩水和物を投与された癌患者(特に、胃癌患者)を治療するためのFTD・TPI配合剤を含む抗腫瘍剤に関する。当該抗腫瘍剤は、上記の製剤形態を有する。
本発明はまた、FTD・TPI配合剤を投与された癌患者(特に、胃癌患者)を治療するためのラパチニブトシル酸塩水和物を含む抗腫瘍剤に関する。当該抗腫瘍剤は、上記の製剤形態を有する。
本発明はまた、癌患者(特に、胃癌患者)に対するラパチニブトシル酸塩水和物と併用することを特徴とする、FTD・TPI配合剤を含む抗腫瘍剤に関する。当該抗腫瘍剤は、上記の製剤形態を有する。
本発明はまた、癌患者(特に、胃癌患者)に対するFTD・TPI配合剤と併用することを特徴とする、ラパチニブトシル酸塩水和物を含む抗腫瘍剤に関する。当該抗腫瘍剤は、上記の製剤形態を有する。
本発明はまた、FTD・TPI配合剤と、癌患者(特に、胃癌患者)に対してFTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物を併用投与することを記載した使用説明書を含むキット製剤に関する。ここで「使用説明書」とは、上記投与量が記載されたものであればよく、法的拘束力の有無を問わないが、上記投与量が推奨されているものが好ましい。具体的には、添付文書、パンフレット等が例示される。また、使用説明書を含むキット製剤とは、キット製剤のパッケージに使用説明書が印刷・添付されているものであっても、キット製剤のパッケージに抗腫瘍剤とともに使用説明書が同封されているものであってもよい。
次に実施例及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
参考例1
ヒト大腸癌株(KM20C)の培養細胞(1×107cells/マウス)を生後5〜6週齢のBALB/cA Jcl−nuマウスの腹腔内に移植し、各群の平均体重が均等になるように各群にマウスを割り付け、群分け(n=10)を実施した日をDay 0とした。
FTD・TPI配合剤(FTDとTPIのモル比1:0.5の混合物)は、FTDとして75、100、150、300及び450mg/kg/dayとなるように調製した。薬剤の投与はDay3から開始し、FTD・TPI配合剤は5日間連日経口投与・2日間休薬を6週間行った。
抗腫瘍効果の指標として、各群のマウスの生存数を確認し、各群の生存期間、延命率(ILS)を比較した。延命率(ILS; Increased Life Span)は以下のように計算した。
Figure 2015199678
結果を表1に示す。
Figure 2015199678
表1に記載のように、FTD・TPI配合剤は、FTD量で75〜450mg/kg/dayの全ての群で生存期間の延長効果が認められ、そのうち150mg/kg/dayの群で最も生存期間が長かったことから、マウスにおけるFTD・TPI配合剤の推奨投与量(RD)は、FTDとして150mg/kg/dayである。つまり、FTD・TPI配合剤は、少なくともRDの50%〜300%の投与量において生存期間の延長効果を発揮することが示された。
一方、ヒトにおけるFTD・TPI配合剤の単独で投与する場合のRDは、FTDとして70mg/m2/dayであることが知られている。よって、FTD・TPI配合剤のFTDとしての投与量は、マウスにおける150mg/kg/dayと、ヒトにおける70mg/m2/dayが相当する。
参考例2
ヒト乳癌株(KPL−4)の培養細胞(1×107cells/マウス)を生後5〜6週齢のBALB/cA Jcl−nuマウスの腹腔内に移植し、各群の平均体重が均等になるように各群にマウスを割り付け、群分け(n=5)を実施した日をDay 0とした。ラパチニブは100、200および400mg/kg/dayとなるように調製した。薬剤の投与はDay1から開始し、ラパチニブは1日2回14日間連日経口投与を2週間行った。
Figure 2015199678
表2に記載のように、100、200mg/kg/dayの投与群においては、マウスは全例生存し、400mg/dayを投与した場合においては,マウスが全例死亡した。つまり、マウスにおけるラパチニブのMTDは200mg/kg/dayである。一方、ヒトにおけるMTDは1800mg/dayであることから、マウスにおける200mg/kg/dayは、ヒトにおける1800mg/dayに相当する。
実施例1
HER−2陽性ヒト胃癌株(NCI−N87)を生後6週齢のBALB/cA Jcl−nu/nuマウスの皮下に移植した。腫瘍移植後に腫瘍の長径(mm)および短径(mm)を測定し、腫瘍体積(tumor volume:TV)を算出後、各群の平均TVが均等になるように各群にマウスを割り付け、群分け(n=6)を実施した日をDay 0とした。
薬剤の投与容量は10mL/kgであり,FTD・TPI配合剤(FTDとTPIのモル比1:0.5の混合物)は、FTDの投与量として75及び150mg/kg/dayとなるように調製した。ラパチニブトシル酸塩水和物(タイケルブ錠250mg、日本化薬株式会社)は50、100、及び200mg/kg/dayとなるように調製した。FTD・TPI配合剤及びラパチニブトシル酸塩水和物はDay1〜14に連日経口投与した。併用投与群は、単剤投与群と同じ投与量及び投与スケジュールでFTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物を投与した。
抗腫瘍効果の指標として、各群のTVを算出し、下式によりDay 0に対する相対腫瘍体積(relative tumor volume:RTV)を求めてプロットし、無処置群(control)、FTD・TPI配合剤投与群、ラパチニブトシル酸塩水和物投与群及びFTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物併用投与群のRTVの経日的推移を比較した。
Figure 2015199678
上記RTVを各測定日についてプロットし、無処置群、FTD・TPI配合剤投与群、ラパチニブトシル酸塩水和物投与群およびFTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物併用投与群のRTVの経日的推移を比較した。Day29におけるRTVの無処置群および単剤投与群の結果を表3及び4に示す。
また、副作用の指標として体重減少を評価すべく、上記各測定日において各群の体重を測定した。
Figure 2015199678
Figure 2015199678
抗腫瘍効果の指標として、各群のDay15における腫瘍体積をDay0の腫瘍体積と比較した。各群のDay0及びDay15における腫瘍体積の結果を表5及び6に示す。
Figure 2015199678
Figure 2015199678
表5及び6のとおり、FTD・TPI配合剤がFTD換算で75〜150mg/kg/dayであり、ラパチニブトシル酸塩水和物が50mg/kg/dayのときに、Control群の腫瘍体積(716.4mm3)と比較し統計上有意な腫瘍抑制効果を示したが、Day0の腫瘍体積と比べ、統計上有意に腫瘍が増殖していた。また、FTD・TPI配合剤がFTD換算で75〜150mg/kg/dayであり、ラパチニブトシル酸塩水和物が100mg/kg/day及びFTD・TPI配合剤がFTD換算で75mg/kg/dayであり、ラパチニブトシル酸塩水和物が200mg/kg/dayのときに、Day0の腫瘍体積と比べ、統計上有意な腫瘍増殖が見られなかった。しかし、Day0の腫瘍体積をほぼ維持しており、優れた腫瘍増殖遅延効果が示唆された。また、FTD・TPI配合剤がFTD換算で150mg/kg/dayであり、ラパチニブトシル酸塩水和物が200mg/kg/dayのときに、Day0の腫瘍体積と比べ、統計上有意な腫瘍縮小効果が見られた。
表3、4及び図1〜6のとおり、FTD・TPI配合剤がFTDとして75〜150mg/kg/dayであり、ラパチニブトシル酸塩水和物が50〜200mg/kg/dayのときに、統計上有意な顕著に増強された抗腫瘍効果を確認した。また、FTD・TPI配合剤とラパチニブトシル酸塩水和物併用投与群において、−20%を超える重篤な体重減少は見られず、許容できる副作用であった。
参考例のとおり、FTD・TPI配合剤では150mg/kg/day(FTD量)が、ラパチニブトシル酸塩水和物では200mg/kg/dayがそれぞれ単独使用時における最大耐薬用量であることから、FTD・TPI配合剤が単独使用時における推奨用量の50〜100%、ラパチニブトシル酸塩水和物が単独使用時における最大耐薬用量の25〜100%のときに、抗腫瘍効果の顕著な増強が見られたことを意味する。
以上、実施例1のとおり、FTD・TPI配合剤が単独使用時における推奨用量の50〜100%、ラパチニブトシル酸塩水和物が単独使用時における最大耐薬用量の25〜100%のときに、副作用を抑えつつ、抗腫瘍効果を顕著な増強されることが確認された。また、参考例1のとおり、FTD・TPI配合剤が300〜450mg/kg/dayの群において、上記実施例のとおりラパチニブトシル酸塩水和物との併用による抗腫瘍効果の増強が確認された75mg/kg/dayの群を上回る生存期間延長効果が確認されていることから、FTD・TPI配合剤が75〜450mg/kg/day(単独使用時における推奨用量の50〜300%に相当)のときに、単独使用時における最大耐薬用量の25〜100%のラパチニブトシル酸塩水和物と併用することにより、抗腫瘍効果の顕著な増強効果が発揮されることが示唆される。
なお、本発明は上述した各実施形態及び実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (15)

  1. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と、ラパチニブトシル酸塩水和物を併用投与することを特徴とする抗腫瘍剤。
  2. トリフルリジン1モルあたりに対して、ラパチニブトシル酸塩水和物が1.2〜11モルであることを特徴とする請求項1記載の抗腫瘍剤。
  3. トリフルリジンの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における推奨用量の50〜100%である請求項1又は2記載の抗腫瘍剤。
  4. ラパチニブトシル酸塩水和物の投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における最大耐薬用量の25〜100%である請求項1〜3のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  5. トリフルリジンの投与日における1日投与量が35〜70mg/m2/dayである請求項1〜4のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  6. ラパチニブトシル酸塩水和物の投与日における1日投与量が450〜1800mg/body/dayである請求項1〜5のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  7. 対象となる癌が、消化器癌、肺癌又は乳癌である請求項1〜6のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
  8. 対象となる癌が、胃癌である請求項1〜7のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  9. ラパチニブトシル酸塩水和物の抗腫瘍効果を増強するための、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍効果増強剤。
  10. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤の抗腫瘍効果を増強するための、ラパチニブトシル酸塩水和物からなる抗腫瘍効果増強剤。
  11. ラパチニブトシル酸塩水和物を投与された癌患者を治療するための、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍剤。
  12. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤を投与された癌患者を治療するための、ラパチニブトシル酸塩水和物からなる抗腫瘍剤。
  13. ラパチニブトシル酸塩水和物と併用することを特徴とする、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤からなる抗腫瘍剤。
  14. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と併用することを特徴とする、ラパチニブトシル酸塩水和物からなる抗腫瘍剤。
  15. トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤と使用説明書を含むキット製剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105963271A (zh) * 2016-06-01 2016-09-28 国药心制药有限公司 一种药用辅料组合物及一种曲氟尿苷、盐酸替匹嘧啶薄膜衣片

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